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特開2023-175239スイッチング素子の駆動回路及びインテリジェントパワーモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175239
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】スイッチング素子の駆動回路及びインテリジェントパワーモジュール
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/08 20060101AFI20231205BHJP
   H02M 1/00 20070101ALI20231205BHJP
【FI】
H02M1/08 A
H02M1/00 E
H02M1/00 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087586
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 英二
【テーマコード(参考)】
5H740
【Fターム(参考)】
5H740BA11
5H740BB02
5H740BB09
5H740BB10
5H740BC01
5H740BC02
5H740HH05
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK01
5H740MM08
5H740MM11
(57)【要約】
【課題】本発明は、簡易な方法でスイッチング素子を駆動するための駆動能力を選択することができるスイッチング素子の駆動回路及びインテリジェントパワーモジュールを提供することを目的とする。
【解決手段】ゲート駆動回路22Aは、入力信号SinULの信号レベルに応じて半導体素子21uのIGBT211aをオン状態に動作させるために、IGBT211aのゲートGに定電流を供給する定電流供給部223uAと、切替信号Ssw4が入力される切替信号入力端子Tsw4と、切替信号Ssw4の信号レベルを判定する信号レベル判定部226uAと、信号レベル判定部226uAでの判定結果及び入力信号SinULの信号レベルに基づいて定電流供給部223uAから出力される定電流の電流量を変更して定電流供給部223uAの駆動能力を切り替える駆動能力切替部224uAとを備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力される入力信号の信号レベルに応じてスイッチング素子をオン状態に動作させるために、前記スイッチング素子の制御信号入力端子に定電流を供給する定電流供給部と、
前記スイッチング素子を動作させる前記定電流供給部の駆動能力を切り替えるための切替信号が入力される切替信号入力端子と、
前記切替信号の信号レベルを判定する信号レベル判定部と、
前記信号レベル判定部での判定結果及び前記入力信号の信号レベルに基づいて前記定電流の電流量を変更して前記駆動能力を切り替える駆動能力切替部と
を備えるスイッチング素子の駆動回路。
【請求項2】
前記定電流供給部は、前記制御信号入力端子に前記定電流を供給する複数のトランジスタを有し、
前記複数のトランジスタは前記定電流の電流量が同一である、又は前記複数のトランジスタのうちの少なくとも2つのトランジスタは前記定電流の電流量が互いに異なっている
請求項1に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項3】
前記駆動能力切替部は、前記判定結果及び前記入力信号の信号レベルに基づいて、前記複数のトランジスタの少なくとも1つをオン状態に制御する
請求項2に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項4】
前記信号レベル判定部は、所定の信号レベルに設定された比較信号と前記切替信号とを比較する複数の比較器を有し、
前記複数の比較器のうちの少なくとも2つの比較器は、互いに信号レベルが反転した出力信号を前記駆動能力切替部に出力する
請求項3に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項5】
前記駆動能力切替部は、前記2つの比較器のうちの一方の前記出力信号の信号レベルと前記入力信号に基づく信号の信号レベルとを論理演算する第一演算部と、前記2つの比較器のうちの他方の前記出力信号又は該出力信号に基づく信号の信号レベルと前記入力信号に基づく信号の信号レベルとを論理演算する第二演算部とを有し、
前記第一演算部は、前記2つのトランジスタの一方の制御信号入力端子に演算結果信号を出力し、
前記第二演算部は、前記2つのトランジスタの他方の制御信号入力端子に演算結果信号を出力する
請求項4に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項6】
前記スイッチング素子の温度を検出する温度検出部と、
前記スイッチング素子に流れる電流を検出する電流検出部と、
前記定電流供給部を制御する制御電圧を検出する制御電圧検出部と、 前記温度検出部、前記電流検出部及び前記制御電圧検出部の少なくとも1つが異常を検出したことを報知するアラーム信号を生成するアラーム信号生成部と
を備える
請求項1から5までのいずれか一項に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項7】
スイッチング素子と、
請求項1から5までのいずれか一項に記載のスイッチング素子の駆動回路と
を備えるインテリジェントパワーモジュール。
【請求項8】
スイッチング素子と、
請求項6に記載のスイッチング素子の駆動回路と
を備えるインテリジェントパワーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子駆動するスイッチング素子の駆動回路及びそれを備えるインテリジェントパワーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、駆動回路を電圧制御型デバイス及び駆動回路の少なくとも一方の仕様などに合わせてターンオン能力の調整が可能な電圧制御型デバイスの駆動回路が開示されている。特許文献2には、スイッチング動作を行うトランジスタを駆動するプリドライバーの駆動能力をソフトウェアによって調整することが可能なプログラマブルな駆動制御回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/9582号
【特許文献2】特開2018-143017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力変換用絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBT)及び還流ダイオードを有する半導体チップと、駆動・保護機能用ICとを1つのパーッケージに集約したインテリジェントパワーモジュールが知られている。このような、インテリジェントパワーモジュール(Intelligent Power Module:IPM)では、電力変換用IGBTを駆動する駆動回路の駆動能力が固定されている。このため、IGBTをオン状態にするための信号がIPMに入力されると、IGBTを駆動するためにIPMに設けられた金属酸化膜半導体(Metal-Oxide-Semiconductor:MOS)トランジスタが動作する。これにより、駆動能力が固定されたMOSトランジスタからIGBTに一定の電流量の電流が供給され、当該IGBTはオフ状態からオン状態に動作する。
【0005】
このように、IPMでは、MOSトランジスタからIGBTに供給される電流が一定の電流値に固定、すなわちIGBTを駆動する駆動能力が固定されている。このため、従来のIPMでは、IPMに設けられたIGBTの駆動能力がIPMの駆動対象である例えばモータに対して過剰に高い場合あるいは不足している場合、IPMを新規に開発する必要があるという問題が生じる。
【0006】
本発明の目的は、簡易な方法でスイッチング素子を駆動するための駆動能力を選択することができるスイッチング素子の駆動回路及びインテリジェントパワーモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様によるスイッチング素子の駆動回路は、外部から入力される入力信号の信号レベルに応じてスイッチング素子をオン状態に動作させるために、前記スイッチング素子の制御信号入力端子に定電流を供給する定電流供給部と、前記スイッチング素子を動作させる前記定電流供給部の駆動能力を切り替えるための切替信号が入力される切替信号入力端子と、前記切替信号の信号レベルを判定する信号レベル判定部と、前記信号レベル判定部での判定結果及び前記入力信号の信号レベルに基づいて前記定電流の電流量を変更して前記駆動能力を切り替える駆動能力切替部とを備える。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明の一態様によるインテリジェントパワーモジュールは、スイッチング素子と、上記本発明の一態様によるスイッチング素子の駆動回路とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、簡易な方法でスイッチング素子を駆動するための駆動能力を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態によるインテリジェントパワーモジュールを備える電力変換装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態によるスイッチング素子の駆動回路としてのゲート駆動回路の一例を示す回路ブロック図である。
図3】本発明の第2実施形態によるスイッチング素子の駆動回路としてのゲート駆動回路の一例を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の各実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
以下、各実施形態によるインテリジェントパワーモジュールは、インバータ装置を例にとって説明するが、各実施形態によるインテリジェントパワーモジュールは、インバータ装置に限られず、コンバータ装置やモジュラーマルチレベル変換器などにも適用できる。
【0013】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態によるスイッチング素子の駆動回路及びインテリジェントパワーモジュールについて図1及び図2を用いて説明する。まず、本実施形態によるインテリジェントパワーモジュール2Aの全体構成の一例について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態によるインテリジェントパワーモジュール2Aの概略構成の一例を示すブロック図である。
【0014】
(インテリジェントパワーモジュールの全体構成)
図1に示すように、本実施形態によるインテリジェントパワーモジュール2Aを備える電力変換装置1Aは、交流電源部4に接続されている。交流電源部4は例えば、三相交流電源(不図示)と、三相交流電源から入力される三相交流電力を全波整流する整流回路(不図示)とを有している。電力変換装置1Aには、当該整流回路で整流された電力を平滑化する平滑用コンデンサ5を有している。当該整流回路は、図示は省略するが例えば6つのダイオードをフルブリッジ接続して構成されるか又は6つのスイッチング素子をフルブリッジ接続して構成されている。
【0015】
交流電源部4の正極側(すなわち当該整流回路の正極出力端子)に正極側ラインLpが接続され、交流電源部4の負極側(すなわち当該整流回路の負極出力端子)に負極側ラインLnが接続されている。正極側ラインLp及び負極側ラインLn間に平滑用コンデンサ5が接続されている。電力変換装置1Aは、正極側ラインLp及び負極側ラインLn間に印加された直流電圧を三相(U相、V相及びW相)交流電圧に変換するインバータ装置として機能するインテリジェントパワーモジュール2Aと、インテリジェントパワーモジュール2Aを制御する制御装置3とを備えている。
【0016】
図1に示すように、インテリジェントパワーモジュール2Aは、正極側ラインLpが接続される正極側電源入力端子Tpと、負極側ラインLnに接続される負極側電源入力端子Tnとを有している。インテリジェントパワーモジュール2Aは、正極側電源入力端子Tpと負極側電源入力端子Tnとの間に直列に接続された半導体素子20u及び半導体素子21uを有している。インテリジェントパワーモジュール2Aは、正極側電源入力端子Tpと負極側電源入力端子Tnとの間に直列に接続された半導体素子20v及び半導体素子21vを有している。インテリジェントパワーモジュール2Aは、正極側電源入力端子Tpと負極側電源入力端子Tnとの間に直列に接続された半導体素子20w及び半導体素子21wを有している。
【0017】
半導体素子20u及び半導体素子21uは、U相出力アーム2Uを構成している。半導体素子20v及び半導体素子21vは、V相出力アーム2Vを構成している。半導体素子20w及び半導体素子21wは、W相出力アーム2Wを構成している。半導体素子20u,20v,20wは、正極側電源入力端子Tpを介して正極側ラインLpに接続され、上アーム部を構成する。半導体素子21u,21v,21wは、負極側電源入力端子Tnを介して負極側ラインLnに接続され、下アーム部を構成する。
【0018】
半導体素子20u,20v,20wはそれぞれ、IGBTチップ201と、IGBTチップ201に設けられたIGBT201aに逆並列に接続された還流ダイオード202とを有している。半導体素子20uに設けられたIGBT201a及び還流ダイオード202は、同一の半導体チップに形成されていてもよい。半導体素子20vに設けられたIGBT201a及び還流ダイオード202は、同一の半導体チップに形成されていてもよい。半導体素子20wに設けられたIGBT201a及び還流ダイオード202は、同一の半導体チップに形成されていてもよい。半導体素子20u,20v,20wのそれぞれに設けられたIGBT201a及び還流ダイオード202は、互いに異なる半導体チップに形成されている。詳細は後述するが、半導体素子20u,20v,20wのそれぞれに設けられたIGBTチップ201は、IGBT201aの温度を検知する温度検知素子(図1では不図示)を有している。
【0019】
半導体素子20u,20v,20wのそれぞれに設けられたIGBT201aのコレクタC及び還流ダイオード202のカソードKは、互いに接続され、正極側電源入力端子Tpに接続されている。半導体素子20u,20v,20wのそれぞれに設けられたIGBT201aのエミッタE及び還流ダイオード202のアノードAは、互いに接続されている。半導体素子20u,20v,20wのそれぞれに設けられたIGBT201aは、IGBT201aに流れる電流を検知するための電流検出端子Sn(詳細は後述)を有している。
【0020】
半導体素子21u,21v,21wはそれぞれ、IGBTチップ211と、IGBTチップ211に設けられたIGBT211aに逆並列に接続された還流ダイオード212とを有している。半導体素子21uに設けられたIGBT211a及び還流ダイオード212は、同一の半導体チップに形成されていてもよい。半導体素子21vに設けられたIGBT211a及び還流ダイオード212は、同一の半導体チップに形成されていてもよい。半導体素子21wに設けられたIGBT211a及び還流ダイオード212は、同一の半導体チップに形成されていてもよい。半導体素子21u,21v,21wのそれぞれに設けられたIGBT211a及び還流ダイオード212は、互いに異なる半導体チップに形成されている。詳細は後述するが、半導体素子21u,21v,21wのそれぞれに設けられたIGBTチップ211は、IGBT211aの温度を検知する温度検知素子(図1では不図示)を有している。
【0021】
半導体素子21u,21v,21wのそれぞれに設けられたIGBT211aのコレクタC及び還流ダイオード212のカソードKは、互いに接続されている。半導体素子21uに設けられたIGBT211aのコレクタC及び還流ダイオード212のカソードKは、半導体素子20uに設けられたIGBT201aのエミッタE及び還流ダイオード202のアノードAに接続されている。半導体素子21vに設けられたIGBT211aのコレクタC及び還流ダイオード212のカソードKは、半導体素子20vに設けられたIGBT201aのエミッタE及び還流ダイオード202のアノードAに接続されている。半導体素子21wに設けられたIGBT211aのコレクタC及び還流ダイオード212のカソードKは、半導体素子20wに設けられたIGBT201aのエミッタE及び還流ダイオード202のアノードAに接続されている。半導体素子21u,21v,21wのそれぞれに設けられたIGBT211aのエミッタE及び還流ダイオード212のアノードAは、互いに接続され、負極側電源入力端子Tnに接続されている。半導体素子21u,21v,21wのそれぞれに設けられたIGBT211aは、IGBT211aに流れる電流を検知するための電流検出端子Sn(詳細は後述)を有している。
【0022】
半導体素子20uに設けられたIGBTのエミッタE及び還流ダイオード202のアノードA並びに半導体素子21uに設けられたIGBTのコレクタC及び還流ダイオード212のカソードKは、U相出力端子TUに接続されている。U相出力端子TUは、インテリジェントパワーモジュール2Aが交流電源部4から入力された直流電圧を直流-交流変換して生成したU相の交流電圧が出力される端子である。
【0023】
半導体素子20vに設けられたIGBTのエミッタE及び還流ダイオード202のアノードA並びに半導体素子21vに設けられたIGBTのコレクタC及び還流ダイオード212のカソードKは、V相出力端子TVに接続されている。V相出力端子TVは、インテリジェントパワーモジュール2Aが交流電源部4から入力された直流電圧を直流-交流変換して生成したV相の交流電圧が出力される端子である。
【0024】
半導体素子20wに設けられたIGBTのエミッタE及び還流ダイオード202のアノードA並びに半導体素子21wに設けられたIGBTのコレクタC及び還流ダイオード212のカソードKは、W相出力端子TWに接続されている。W相出力端子TWは、インテリジェントパワーモジュール2Aが交流電源部4から入力された直流電圧を直流-交流変換して生成したW相の交流電圧が出力される端子である。
【0025】
図1に示すように、負荷となる例えばモータ7は、インテリジェントパワーモジュール2Aに設けられたU相出力端子TU、V相出力端子TV及びW相出力端子TWに接続されている。このため、半導体素子20u,20v,20wのそれぞれに設けられたIGBT201aのエミッタE及び還流ダイオード202のアノードA並びに半導体素子21u,21v,21wのそれぞれに設けられたIGBT211aのコレクタC及び還流ダイオード212のカソードKは、モータ7に接続される。
【0026】
図1に示すように、インテリジェントパワーモジュール2Aは、半導体素子20u,20v,20w,21u,21v,21wを駆動するゲート駆動回路22Aを備えている。半導体素子20u,20v,20wのそれぞれに設けられたIGBT201a及び半導体素子21u,21v,21wのそれぞれに設けられたIGBT211aのそれぞれは、スイッチング素子の一例に相当する。また、ゲート駆動回路22Aは、本実施形態によるスイッチング素子の駆動回路の一例に相当する。したがって、インテリジェントパワーモジュール2Aは、IGBT(スイッチング素子の一例)201a,211aと、ゲート駆動回路22A(本実施形態によるスイッチング素子の駆動回路の一例)とを備えている。
【0027】
図1に示すように、ゲート駆動回路22Aは、制御装置(外部の一例)3(詳細は後述)から入力される入力信号SinUHの信号レベルに応じて半導体素子20uのIGBT201aをオン状態に動作させるために、当該IGBT201aのゲート(制御信号入力端子の一例)Gに定電流を供給する定電流供給部221uAを備えている。ゲート駆動回路22Aは、制御装置3が出力する入力信号SinUHが入力される信号入力端子Tiuhを有している。定電流供給部221uAは、信号入力端子Tiuhに接続されている。これにより、入力信号SinUHが定電流供給部221uAに入力されることができる。
【0028】
ゲート駆動回路22Aは、半導体素子20uに設けられたIGBT201aを動作させる定電流供給部221uAの駆動能力を切り替えるための切替信号Ssw1が入力される切替信号入力端子Tsw1を備えている。切替信号入力端子Tsw1には、切替信号Ssw1を生成するとともに、切替信号Ssw1の信号レベルを決定するツェナーダイオード6uHが接続されている。ツェナーダイオード6uHは、切替信号入力端子Tsw1と基準電位端子T22(例えばグランド端子)との間に接続されている。ツェナーダイオード6uHのカソードKは、切替信号入力端子Tsw1に接続され、ツェナーダイオード6uHのアノードAは、基準電位端子T22に接続されている。
【0029】
ゲート駆動回路22Aは、切替信号Ssw1の信号レベルを判定する信号レベル判定部227uAを備えている。ゲート駆動回路22Aは、信号レベル判定部227uAでの判定結果及び入力信号SinUHの信号レベルに基づいて定電流供給部221uAから出力される定電流の電流量を変更して定電流供給部221uAの駆動能力を切り替える駆動能力切替部222uAを備えている。信号レベル判定部227uAの出力端子は、駆動能力切替部222uAの入力端子に接続されている。これにより、信号レベル判定部227uAにおいて切替信号入力端子Tsw1から入力される切替信号Ssw1の信号レベルが判定された判定結果の情報を含む出力信号が駆動能力切替部222uAに入力されることができる。
【0030】
ゲート駆動回路22Aは、制御装置3から入力される入力信号SinVHの信号レベルに応じて半導体素子20vのIGBT201aをオン状態に動作させるために、当該IGBT201aのゲートGに定電流を供給する定電流供給部221vAを備えている。ゲート駆動回路22Aは、制御装置3が出力する入力信号SinVHが入力される信号入力端子Tivhを有している。定電流供給部221vAは、信号入力端子Tivhに接続されている。これにより、入力信号SinVHが定電流供給部221vAに入力されることができる。
【0031】
ゲート駆動回路22Aは、半導体素子20vのIGBT201aを動作させる定電流供給部221vAの駆動能力を切り替えるための切替信号Ssw2が入力される切替信号入力端子Tsw2を備えている。切替信号入力端子Tsw2には、切替信号Ssw2を生成するとともに、切替信号Ssw2の信号レベルを決定するツェナーダイオード6vHが接続されている。ツェナーダイオード6vHは、切替信号入力端子Tsw2と基準電位端子T22との間に接続されている。ツェナーダイオード6vHのカソードKは、切替信号入力端子Tsw2に接続され、ツェナーダイオード6vHのアノードAは、基準電位端子T22に接続されている。
【0032】
ゲート駆動回路22Aは、切替信号Ssw2の信号レベルを判定する信号レベル判定部227vAを備えている。ゲート駆動回路22Aは、信号レベル判定部227vAでの判定結果及び入力信号SinVHの信号レベルに基づいて定電流供給部221vAから出力される定電流の電流量を変更して定電流供給部221vAの駆動能力を切り替える駆動能力切替部222vAを備えている。信号レベル判定部227vAの出力端子は、駆動能力切替部222vAの入力端子に接続されている。これにより、信号レベル判定部227vAから出力されて判定結果の情報を含む出力信号が駆動能力切替部222vAに入力されることができる。
【0033】
ゲート駆動回路22Aは、制御装置3から入力される入力信号SinWHの信号レベルに応じて半導体素子20wに設けられたIGBT201aをオン状態に動作させるために、当該IGBT201aに設けられたゲートGに定電流を供給する定電流供給部221wAを備えている。ゲート駆動回路22Aは、制御装置3が出力する入力信号SinWHが入力される信号入力端子Tiwhを有している。定電流供給部221wAは、信号入力端子Tiwhに接続されている。これにより、入力信号SinWHが定電流供給部221wAに入力されることができる。
【0034】
ゲート駆動回路22Aは、半導体素子20wのIGBT201aを動作させる定電流供給部221wAの駆動能力を切り替えるための切替信号Ssw3が入力される切替信号入力端子Tsw3を備えている。切替信号入力端子Tsw3には、切替信号Ssw3を生成するとともに、切替信号Ssw3の信号レベルを決定するツェナーダイオード6wHが接続されている。ツェナーダイオード6wHは、切替信号入力端子Tsw3と基準電位端子T22との間に接続されている。ツェナーダイオード6wHのカソードKは、切替信号入力端子Tsw3に接続され、ツェナーダイオード6wHのアノードAは、基準電位端子T22に接続されている。
【0035】
ゲート駆動回路22Aは、切替信号Ssw3の信号レベルを判定する信号レベル判定部227wAを備えている。ゲート駆動回路22Aは、信号レベル判定部227wAでの判定結果及び入力信号SinWHの信号レベルに基づいて定電流供給部221wAから出力される定電流の電流量を変更して定電流供給部221wAの駆動能力を切り替える駆動能力切替部222wAを備えている。信号レベル判定部227wAの出力端子は、駆動能力切替部222wAの入力端子に接続されている。これにより、信号レベル判定部227wAから出力されて判定結果の情報を含む出力信号が駆動能力切替部222wAに入力されることができる。
【0036】
ゲート駆動回路22Aは、制御装置3から入力される入力信号SinULの信号レベルに応じて半導体素子21uに設けられたIGBT211aをオン状態に動作させるために、当該IGBT211aに設けられたゲートGに定電流を供給する定電流供給部223uAを備えている。ゲート駆動回路22Aは、制御装置3が出力する入力信号SinULが入力される信号入力端子Tiulを有している。定電流供給部223uAは、信号入力端子Tiulに接続されている。これにより、入力信号SinULが定電流供給部223uAに入力されることができる。
【0037】
ゲート駆動回路22Aは、半導体素子21uのIGBT211aを動作させる定電流供給部223uAの駆動能力を切り替えるための切替信号Ssw4が入力される切替信号入力端子Tsw4を備えている。切替信号入力端子Tsw4には、切替信号Ssw4を生成するとともに、切替信号Ssw4の信号レベルを決定するツェナーダイオード6uLが接続されている。ツェナーダイオード6uLは、切替信号入力端子Tsw4と基準電位端子T22との間に接続されている。ツェナーダイオード6uLのカソードKは、切替信号入力端子Tsw4に接続され、ツェナーダイオード6uLのアノードAは、基準電位端子T22に接続されている。
【0038】
ゲート駆動回路22Aは、切替信号Ssw4の信号レベルを判定する信号レベル判定部226uAを備えている。ゲート駆動回路22Aは、信号レベル判定部226uAでの判定結果及び入力信号SinULの信号レベルに基づいて定電流供給部223uAから出力される定電流の電流量を変更して定電流供給部223uAの駆動能力を切り替える駆動能力切替部224uAを備えている。信号レベル判定部226uAの出力端子は、駆動能力切替部224uAの入力端子に接続されている。これにより、信号レベル判定部226uAから出力されて判定結果の情報を含む出力信号が駆動能力切替部224uAに入力されることができる。
【0039】
ゲート駆動回路22Aは、制御装置3から入力される入力信号SinVLの信号レベルに応じて半導体素子21vに設けられたIGBT211aをオン状態に動作させるために、当該IGBT211aのゲートGに定電流を供給する定電流供給部223vAを備えている。ゲート駆動回路22Aは、制御装置3が出力する入力信号SinVLが入力される信号入力端子Tivlを有している。定電流供給部223vAは、信号入力端子Tivlに接続されている。これにより、入力信号SinVLが定電流供給部223vAに入力されることができる。
【0040】
ゲート駆動回路22Aは、半導体素子21vのIGBT211aを動作させる定電流供給部223vAの駆動能力を切り替えるための切替信号Ssw5が入力される切替信号入力端子Tsw5を備えている。切替信号入力端子Tsw5には、切替信号Ssw5を生成するとともに、切替信号Ssw5の信号レベルを決定するツェナーダイオード6vLが接続されている。ツェナーダイオード6vLは、切替信号入力端子Tsw5と基準電位端子T22との間に接続されている。ツェナーダイオード6vLのカソードKは、切替信号入力端子Tsw5に接続され、ツェナーダイオード6vLのアノードAは、基準電位端子T22に接続されている。
【0041】
ゲート駆動回路22Aは、切替信号Ssw5の信号レベルを判定する信号レベル判定部226vAを備えている。ゲート駆動回路22Aは、信号レベル判定部226vAでの判定結果及び入力信号SinVLの信号レベルに基づいて定電流供給部223vAから出力される定電流の電流量を変更して定電流供給部223vAの駆動能力を切り替える駆動能力切替部224vAを備えている。信号レベル判定部226vAの出力端子は、駆動能力切替部224vAの入力端子に接続されている。これにより、信号レベル判定部226vAから出力されて判定結果の情報を含む出力信号が駆動能力切替部224vAに入力されることができる。
【0042】
ゲート駆動回路22Aは、制御装置3から入力される入力信号SinWLの信号レベルに応じて半導体素子21wに設けられたIGBT211aをオン状態に動作させるために、当該IGBT211aのゲートGに定電流を供給する定電流供給部223wAを備えている。ゲート駆動回路22Aは、制御装置3が出力する入力信号SinWLが入力される信号入力端子Tiwlを有している。定電流供給部223wAは、信号入力端子Tiwlに接続されている。これにより、入力信号SinWLが定電流供給部223wAに入力されることができる。
【0043】
ゲート駆動回路22Aは、半導体素子21uのIGBT211aを動作させる定電流供給部223wAの駆動能力を切り替えるための切替信号Ssw6が入力される切替信号入力端子Tsw6を備えている。切替信号入力端子Tsw6には、切替信号Ssw6を生成するとともに、切替信号Ssw6の信号レベルを決定するツェナーダイオード6wLが接続されている。ツェナーダイオード6wLは、切替信号入力端子Tsw6と基準電位端子T22との間に接続されている。ツェナーダイオード6wLのカソードKは、切替信号入力端子Tsw6に接続され、ツェナーダイオード6wLのアノードAは、基準電位端子T22に接続されている。
【0044】
ゲート駆動回路22Aは、信号レベル判定部226wAでの判定結果及び入力信号SinWLの信号レベルに基づいて定電流供給部223wAから出力される定電流の電流量を変更して定電流供給部223wAの駆動能力を切り替える駆動能力切替部224wAを備えている。信号レベル判定部226wAの出力端子は、駆動能力切替部224wAの入力端子に接続されている。これにより、信号レベル判定部226wAから出力されて判定結果の情報を含む出力信号が駆動能力切替部224wAに入力されることができる。
【0045】
図示は省略するが、ゲート駆動回路22Aは、定電流供給部221uAを制御する制御電圧が入力される電源端子と、定電流供給部221vAを制御する制御電圧が入力される電源端子と、定電流供給部221wAを制御する制御電圧が入力される電源端子と、定電流供給部223uA、定電流供給部223vA及び定電流供給部223wAを制御する制御電圧が入力される電源端子とを有している。
【0046】
以下、半導体素子20u,20v,20w,21u,21v,21wを「半導体素子20u~21w」と略記する場合がある。定電流供給部221uA,221vA,221wA,223uA,223vA,223wAを「定電流供給部221uA~223wA」と略記する場合がある。また、駆動能力切替部222uA,222vA,222wA,224uA,224vA,224wAを「駆動能力切替部222uA~224wA」と略記する場合がある。また、入力信号SinUH,SinVH,SinWH,SinUL,SinVL,SinWLを「入力信号SinUH~SinWL」と略記する場合がある。また、ツェナーダイオード6uH,6vH,6wH,6uL,6vL,6wLを「ツェナーダイオード6uH~6wL」と略記する場合がある。また、切替信号入力端子Tsw1,Tsw2,Tsw3,Tsw4,Tsw5,Tsw6を「切替信号入力端子Tsw1~Tsw6」と略記する場合がある。また、アラーム信号出力端子VFOu,VFOv,VFOw,VFOを「アラーム信号出力端子VFOu~VFO」と略記する場合がある。
【0047】
図1に示すように、ゲート駆動回路22Aは、半導体素子20uに設けられたIGBT201aの過電流や高温状態からの保護及び制御電圧の低下に起因する定電流供給部221uAの誤動作から保護する保護部225uAを備えている。ゲート駆動回路22Aは、半導体素子20vに設けられたIGBT201aの過電流や高温状態からの保護及び制御電圧の低下に起因する定電流供給部221vAの誤動作から保護する保護部225vAを備えている。ゲート駆動回路22Aは、半導体素子20wに設けられたIGBT201aの過電流や高温状態からの保護及び制御電圧の低下に起因する定電流供給部221wAの誤動作から保護する保護部225wAを備えている。ゲート駆動回路22Aは、半導体素子21u,21v,21wのそれぞれに設けられたIGBT211aの過電流や高温状態からの保護及び制御電圧の低下に起因する定電流供給部223uA,223vA,223wAの誤動作から保護する保護部225を備えている。このように、ゲート駆動回路22Aは、上アーム側にはU相、V相及びW相ごとに個別に保護部225uA,225vA,225wAを備え、下アーム側にはU相、V相及びW相で共通の保護部225を備えている。保護部225uA,225vA,225wA,225の詳細については後述する。
【0048】
図1に示すように、ゲート駆動回路22Aは、保護部225uAに接続されて保護部225uAで生成されたアラーム信号ALMuが出力されるアラーム信号出力端子VFOuを有している。ゲート駆動回路22Aは、保護部225vAに接続されて保護部225Aで生成されたアラーム信号ALMvが出力されるアラーム信号出力端子VFOvを有している。ゲート駆動回路22Aは、保護部225wAに接続されて保護部225wAで生成されたアラーム信号ALMwが出力されるアラーム信号出力端子VFOwを有している。ゲート駆動回路22Aは、保護部225に接続されて保護部225で生成されたアラーム信号ALMが出力されるアラーム信号出力端子VFOを有している。
【0049】
ゲート駆動回路22Aの駆動能力は、ツェナーダイオード6uH~6wLのツェナー電圧によって上アーム及び下アームのそれぞれをU相、V相及びW相ごとに切り替えられるようになっている。また、インテリジェントパワーモジュール2Aは、インテリジェントパワーモジュール2Aの使用者が切替信号入力端子Tsw1~Tsw6にツェナーダイオード6uH~6wLを取り付けることできるように構成されている。このため、ゲート駆動回路22A及びインテリジェントパワーモジュール2Aでは、ツェナーダイオード6uH~6wLを切替信号入力端子Tsw1~Tsw6に取り付けるという簡易な方法によって駆動能力を切り替えることができる。
【0050】
詳細は後述するが、アラーム信号出力端子VFOu~VFOは、オープンドレイン構成を有している。このため、保護部225uA,225vA,225wA,225がIGBT201a~211aなどの異常を検出していない場合には、電圧レベルがハイレベルとなっている。一方、保護部225uA,225vA,225wA,225がIGBT201a~211aなどの異常を検出した場合には、電圧レベル(すなわち信号レベル)がローレベル(例えば基準電位端子の電圧レベル(例えば0V))のアラーム信号ALMu,ALMv,ALMw,ALMが出力される。
【0051】
図1に示すように、制御装置3は、ゲート駆動回路22Aに例えばパルス状の入力信号SinUH~SinWLを出力するように構成されている。これにより、制御装置3は、ゲート駆動回路22Aを制御して、半導体素子20u,20v,20wのそれぞれに備えられたIGBT201a及び半導体素子21u,21v,21wのそれぞれに備えられたIGBT211aを例えばパルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)によって制御することができる。
【0052】
(スイッチング素子の駆動回路の構成)
次に、本実施形態によるスイッチング素子の駆動回路としてのゲート駆動回路22Aの概略構成について図1を参照しつつ図2を用いて説明する。定電流供給部221uA~223wAは互いに同一の構成を有している。このため、定電流供給部221uA~223wAの構成について定電流供給部223uAを例にとって説明する。駆動能力切替部222uA~224wAは互いに同一の構成を有している。このため、駆動能力切替部222uA~224wAの構成について駆動能力切替部224uAを例にとって説明する。
【0053】
図2は、ゲート駆動回路22Aの概略構成を示す回路ブロック図である。図2では、ゲート駆動回路22Aに設けられた構成要素のうち、定電流供給部223uA、駆動能力切替部224uA及び保護部225が図示されている。また、図2では、理解を容易にするため、定電流供給部223uAが電流を供給するIGBT211aを有する半導体素子21uと、切替信号入力端子Tsw4に接続されたツェナーダイオード6uLと、電源端子Tvinに接続された電源8Lとが併せて図示されている。
【0054】
図2に示すように、定電流供給部223uAは、電源端子Tvinに接続された定電流源223eと、定電流源223eと基準電位端子T223との間に直列に接続された抵抗素子223c及び抵抗素子223dとを有している。抵抗素子223cの一端子は定電流源223eの電流出力端子に接続され、抵抗素子223cの他端子は抵抗素子223dの一端子に接続されている。定電流源223eの出力端子及び抵抗素子223cの一端子の接続部は、信号入力端子Tiulに接続されている。
【0055】
抵抗素子223dの他端子は、基準電位端子T223に接続されている。定電流供給部223uAは、下アームを構成する半導体素子21uを駆動する構成要素である。このため、基準電位端子T223は、基準電位端子T22に接続され、例えばグランド端子に接続されている。なお、上アームを構成する半導体素子20u,20v,20wを駆動する定電流供給部221uA,221vA,221wA(図1参照)に設けられ、基準電位端子T223に対応する基準電位端子(不図示)は例えば、半導体素子20u,20v,20wに設けられたIGBT201aのエミッタE(図1参照)に接続されている。
【0056】
定電流供給部223uAは、例えばオペアンプで構成された比較器223aと、比較器223aの非反転入力端子(+)に接続された電圧生成部223bとを有している。比較器223aに反転入力端子(-)は、抵抗素子223cの他端子と抵抗素子223dの一端子との接続部に接続されている。比較器223aの出力端子は、駆動能力切替部224uAに接続されている。
【0057】
電圧生成部223bは、例えば定電圧源で構成されている。電圧生成部223bの負極側は基準電位端子T223に接続されている。電圧生成部223bの正極側は、比較器223aの非反転入力端子(+)に接続されている。電圧生成部223bは、比較器223aでの比較の基準となる比較電圧V0を生成するようになっている。比較電圧V0は、信号入力端子Tiulから入力される入力信号SinULの信号レベルがハイレベル又はローレベルのいずれであるのかを検出できる電圧レベルに設定される。比較器223aの反転入力端子(-)には、入力信号SinULの信号レベル(すなわち電圧レベル)を抵抗素子223cの抵抗値及び抵抗素子223dの抵抗値で抵抗分割した分割電圧が入力される。このため、比較電圧V0は、入力信号SinULの信号レベルが最大レベルの場合の分割電圧と、入力信号SinULの信号レベルが最小レベルの場合の分割電圧との間の電圧となるように電圧レベルが設定される。
【0058】
これにより、比較器223aは、信号入力端子Tiulから入力される入力信号SinULの信号レベルがハイレベルかローレベルであるのかを判定できる。比較器223aは、反転入力端子(+)に入力される分割電圧の電圧レベルが比較電圧V0の電圧レベルよりも低い場合、すなわち入力信号SinULの信号レベルがローレベルの場合、信号レベルがハイレベルの出力信号So0を駆動能力切替部224uAに出力する。一方、比較器223aは、反転入力端子(+)に入力される分割電圧の電圧レベルが比較電圧V0の電圧レベルよりも高い場合、すなわち入力信号SinULの信号レベルがハイレベルの場合、信号レベルがローレベルの出力信号So0を駆動能力切替部224uAに出力する。
【0059】
図2に示すように、定電流供給部223uAは、半導体素子21uに設けられたIGBT211aのゲートGに定電流を供給する複数(本実施形態では2つ)のトランジスタ223f,223gを有している。トランジスタ223f及びトランジスタ223gは、例えばP型のMOS電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)で構成されている。トランジスタ223f及びトランジスタ223gのそれぞれのソースSは、電源端子Tvinに接続されている。トランジスタ223f及びトランジスタ223gのそれぞれのドレインDは、半導体素子21uに設けられたIGBT211aのゲートGに接続されている。トランジスタ223fのゲートG及びトランジスタ223gのゲートGはそれぞれ、駆動能力切替部224uAに接続されている。
【0060】
トランジスタ223f,223g(複数のトランジスタのうちの少なくとも2つのトランジスタの一例)は、半導体素子21uに設けられたIGBT211aのゲートGに供給する定電流の電流量が互いに異なっている。例えば、トランジスタ223gは、トランジスタ223fよりも大きいトランジスタサイズを有している。これにより、トランジスタ223fの当該定電流の電流量は、トランジスタ223gの当該定電流の電流量よりも大きくなる。
【0061】
詳細は後述するが、定電流供給部223uAは、半導体素子21uに設けられたIGBT211aに定電流を供給するトランジスタとしてトランジスタ223gが選択された場合、トランジスタ223fが選択された場合よりも高い駆動能力で当該IGBT211aをオン状態に動作させることができる。一方、定電流供給部223uAは、半導体素子21uに設けられたIGBT211aに定電流を供給するトランジスタとしてトランジスタ223fを選択した場合、トランジスタ223gを選択した場合よりも低い駆動能力で当該IGBT211aをオン状態に動作させることができる。このように、定電流供給部223uAは、トランジスタ223g及びトランジスタ223fのうち、動作させるトランジスタを変更することにより、当該IGBT211aを駆動する駆動能力を切り替えることができる。
【0062】
図2に示すように、ゲート駆動回路22Aに備えられた保護部225は、IGBT211aの温度を検出する温度検出回路(温度検出部の一例)225fと、IGBT211aに流れる電流を検出する電流検出回路(電流検出部の一例)225gと、定電流供給部223uAを制御する制御電圧を検出する制御電圧検出回路(制御電圧検出部の一例)225eと、温度検出回路225f、電流検出回路225g及び制御電圧検出回路225eの少なくとも1つが異常を検出したことを報知するアラーム信号ALMを生成するアラーム信号生成回路(アラーム信号生成部の一例)225dとを有している。
【0063】
図2に示すように、IGBTチップ211に設けられた温度検知素子211bは、例えばダイオードで構成されている。当該ダイオードは例えばシリコンで形成されている。温度検知素子211bは、温度検出回路225fに接続されている。温度検出回路225fは、所定の信号レベルに設定された比較信号と温度検知素子211bで検知された検知信号とを比較する比較器225f-1を有している。温度検出回路225fは、比較信号の電圧を生成する電圧生成部225f-2を有している。比較器225f-1は例えばオペアンプで構成されている。電圧生成部225f-2は例えば定電圧源で構成されている。電圧生成部225f-2は、例えばIGBT211aの絶対最大定格の温度に対応する電圧を生成する。
【0064】
温度検知素子211bのアノードは、比較器225f-1の反転入力端子(-)に接続され、温度検知素子211bのカソードは、基準電位端子T22に接続されている。比較器225f-1の非反転入力端子(+)は、電圧生成部225f-2の正極側に接続されている。比較器255f-1の出力端子は、アラーム信号生成回路225dの入力端子に接続されている。電圧生成部225f-2の負極側は、基準電位端子T22に接続されている。
【0065】
図示は省略するが、温度検知素子211bのアノードには定電流源が接続されている。一般的にシリコンのダイオードの順方向電圧は、周囲温度が低い場合よりも高い場合の方が低くなる。このため、当該定電流源から温度検知素子211bに定電流が入力されている場合に、IGBT211aの温度が上昇すると、温度検知素子211bでの電圧降下が小さくなる。これにより、温度検知素子211bから温度検出回路225fに入力される電圧は、IGBT211aの温度が高くなると低下する。
【0066】
このため、IGBT211aが絶対最大定格温度よりも低い場合は、温度検知素子211bで検知される電圧が電圧生成部225f-2で生成される比較信号の電圧よりも高くなるので、比較器225f-1は信号レベルがローレベルの出力信号をアラーム信号生成回路225dに出力する。一方、IGBT211aが絶対最大定格温度よりも高い場合は、温度検知素子211bで検知される電圧が電圧生成部225f-2で生成される比較信号の電圧よりも低くなるので、比較器225f-1は信号レベルがハイレベルの出力信号をアラーム信号生成回路225dに出力する。このように、温度検出回路225fは、温度検知素子211bから入力されてIGBT211aの温度に応じて変化する電圧を用いることによって、IGBT211aの絶対最大定格温度を超えているか否かを検出することができる。
【0067】
図2に示すように、電流検出回路225gは、IGBT211aの電流検出端子Snと基準電位端子T22との間に接続された抵抗素子225g-3を有している。抵抗素子225g-3の一端子は電流検出端子Snに接続され、抵抗素子225g-3の他端子は基準電位端子T22に接続されている。電流検出回路225gは、電流検出端子Snから出力される検出電流が抵抗素子255g-3を流れることによって抵抗素子255g-3に生じる電圧降下を検出電圧として出力するように構成されている。つまり、電流検出回路255gは、電流検出端子Snに接続された抵抗素子255g-3の一端子の電圧を検出電圧として出力する。
【0068】
電流検出回路225gは、抵抗素子255g-3の一端子に接続された比較器255g-1と、比較器255g-1での比較の基準となる基準電圧を生成する電圧生成部255g-2とを有している。
【0069】
電圧生成部255g-2は、例えば直流電源で構成されている。電圧生成部255g-2の負極側は基準電位端子T22に接続されている。電圧生成部255g-2は、所定の電圧レベルの比較電圧を生成するようになっている。比較電圧は、例えばIGBT211aの絶対最大定格電流に対応する電圧に設定される。
【0070】
比較器255g-1は例えば、オペアンプによって構成されている。比較器255g-1の反転入力端子(-)には、電流検出端子Sn及び抵抗素子255g-3の一端子が接続されている。比較器255g-1の非反転入力端子(+)には、電圧生成部255g-2の正極側が接続されている。比較器255g-1の出力端子は、アラーム信号生成回路255dの入力端子に接続されている。比較器255g-1は、抵抗素子255g-3での電圧降下である検出電圧が電圧生成部255g-2で生成される比較電圧より小さい場合に信号レベル(すなわち電圧レベル)がローレベルの出力信号をアラーム信号生成回路225dに出力する。また、比較器255g-1は、当該検出電圧が当該比較電圧よりも高い場合に信号レベルがハイレベルの出力信号をアラーム信号生成回路255dに出力する。
【0071】
電流検出端子Snから出力される検出電流は、IGBT211aのエミッタEから出力される電流に比例する。このため、電流検出回路255gは、電流検出端子Snから出力される検出電流に対応する電圧がIGBT211aの絶対最大定格電流に対応する電圧よりも低い場合(すなわちIGBT211aが正常状態の場合)、信号レベルがローレベルの出力信号を出力する。一方、電流検出回路255gは、電流検出端子Snから出力される検出電流に対応する電圧がIGBT211aの絶対最大定格電流に対応する電圧よりも高い場合(すなわちIGBT211aに過電流が流れている場合)、信号レベルがハイレベルの出力信号を出力する。
【0072】
図2に示すように、制御電圧検出回路225eは、電源端子Tvinに接続された比較器255e-1と、比較器255e-1での比較の基準となる基準電圧を生成する電圧生成部255e-2とを有している。
【0073】
電圧生成部255e-2は、例えば直流電源で構成されている。電圧生成部255e-2の負極側は基準電位端子T22に接続されている。電圧生成部255e-3は、所定の電圧レベルの比較電圧を生成するようになっている。比較電圧は、例えば定電流供給部223uAが動作可能な最低電圧に設定される。
【0074】
比較器255e-1は、例えばオペアンプによって構成されている。比較器255e-1の反転入力端子(-)には、電源端子Tvinが接続されている。比較器255e-1の非反転入力端子(+)には、電圧生成部255e-2の正極側が接続されている。比較器255e-1の出力端子は、アラーム信号生成回路255dの入力端子に接続されている。比較器255e-1は、電源端子Tvinから入力される制御電圧が電圧生成部255e-2で生成される比較電圧より高い場合に信号レベル(すなわち電圧レベル)がローレベルの出力信号をアラーム信号生成回路225dに出力する。また、比較器255e-1は、当該制御電圧が当該比較電圧よりも低い場合に信号レベルがハイレベルの出力信号をアラーム信号生成回路255dに出力する。
【0075】
このため、制御電圧検出回路225eは、電源端子Tvinから入力される制御電圧が定電流供給部223uAの動作可能な最低電圧よりも高い場合(すなわち定電流供給部223uAが正常に動作可能な場合)、信号レベルがローレベルの出力信号を出力する。一方、制御電圧検出回路225eは、電源端子Tvinから入力される制御電圧が定電流供給部223uAの動作可能な最低電圧よりも低い場合(すなわち定電流供給部223uAが正常に動作不可能な場合)、信号レベルがハイレベルの出力信号を出力する。
【0076】
このように、温度検出回路225f、電流検出回路225g及び制御電圧検出回路225eはいずれも、検出対象が正常状態であることを検出した場合には信号レベルがローレベルの出力信号をアラーム信号生成回路225dに出力し、検出対象が異常状態であることを検出した場合には信号レベルがハイレベルの出力信号をアラーム信号生成回路225dに出力する。
【0077】
図示は省略するが、保護部255は、温度検出回路255fと同様の構成を有し半導体素子21vに設けられたIGBT211aの温度を検出する温度検出回路と、電流検出回路225gと同様の構成を有し半導体素子21vに設けられたIGBT211aに流れる電流を検出する電流検出回路を有している。また、保護部255は、温度検出回路255fと同様の構成を有し半導体素子21wに設けられたIGBT211aの温度を検出する温度検出回路と、電流検出回路225gと同様の構成を有し半導体素子21wに設けられたIGBT211aに流れる電流を検出する電流検出回路を有している。これらの検出回路から出力される出力信号は、アラーム信号生成回路225dに入力される。
【0078】
アラーム信号生成回路225dは、制御電圧検出回路225e、半導体素子21uを検出対象とする温度検出回路225f及び電流検出回路225g、半導体素子21v(図1参照)を検出対象とする温度検出回路及び電流検出回路(不図示)並びに半導体素子21w(図1参照)を検出対象とする温度検出回路及び電流検出回路(不図示)いずれも異常を検出していない場合には、信号レベル(すなわち電圧レベル)がローレベルの出力信号を出力する。一方、アラーム信号生成回路225dは、制御電圧検出回路225e、半導体素子21uを検出対象とする温度検出回路225f及び電流検出回路225g、半導体素子21vを検出対象とする温度検出回路及び電流検出回路並びに半導体素子21wを検出対象とする温度検出回路及び電流検出回路のうちの少なくとも1つが異常を検出している場合には、信号レベルがハイレベルの出力信号を出力する。以下、制御電圧検出回路225e、半導体素子21uを検出対象とする温度検出回路225f及び電流検出回路225g、半導体素子21vを検出対象とする温度検出回路及び電流検出回路並びに半導体素子21wを検出対象とする温度検出回路及び電流検出回路を「各種検出回路」と総称する場合がある。
【0079】
保護部225は、アラーム信号生成回路225dの出力端子に接続されたゲートGを有するトランジスタ225bと、トランジスタ225bのドレインDに接続された定電流源225cとを有している。トランジスタ225bは、例えばN型のMOSFETで構成されている。トランジスタ225bのソースSは、基準電位端子T22に接続されている。
【0080】
アラーム信号生成回路225dは、各種検出回路のいずれも異常を検出していない場合には、信号レベルがローレベルの出力信号をトランジスタ225bのゲートGに出力する。一方、アラーム信号生成回路225dは、各種検出回路のうちの少なくとも1つが異常を検出している場合には、所定の期間だけ信号レベルがハイレベルの出力信号をトランジスタ225bのゲートGに出力する。したがって、アラーム信号生成回路225dは、ゲート駆動回路22Aが正常状態から異常状態に変化すると、所定の期間だけ信号レベルがハイレベルとなるパルス状の出力信号をトランジスタ225bのゲートGに出力する。
【0081】
このため、トランジスタ225bは、ゲート駆動回路22Aが正常状態である場合にはオフ状態となる。一方、トランジスタ225bは、ゲート駆動回路22Aが正常状態から異常状態に変化した場合には、アラーム信号生成回路225dから出力される出力信号の信号レベルがハイレベルの期間だけオン状態となる。ゲート駆動回路22Aが異常状態でない場合は、IGBT211aが動作可能な高温及び電流状態、かつ電源端子Tvinから入力される制御電圧が定電流供給部221uA~223wAの動作可能な電圧値である場合である。また、ゲート駆動回路22Aが異常状態である場合は、IGBT211aが高温状態及び過電流状態並びに電源端子Tvinから入力される制御電圧が定電流供給部221uA~223wAの動作が不可能な電圧値である状態のうちの少なくとも1つの状態である場合である。
【0082】
保護部225は、トランジスタ225bのドレインD及び定電流源225cの出力端子の接続部と、アラーム信号出力端子VFOとの間に接続された抵抗素子225hを有している。抵抗素子225hの一端子は、トランジスタ225bのドレインD及び定電流源225cの出力端子の接続部に接続されている。抵抗素子225hの他端子は、アラーム信号出力端子VFOに接続されている。
【0083】
アラーム信号出力端子VFOは、抵抗素子225hを介してトランジスタ225bのドレインDに接続されているので、オープンドレイン出力となっている。ゲート駆動回路22Aが正常状態である場合には、アラーム信号生成回路225dから出力される出力信号がローレベルであるため、トランジスタ225bがオフ状態となる。このため、アラーム信号出力端子VFOの電圧は、ハイレベルの電圧となる。となる。一方、ゲート駆動回路22Aが異常状態である場合には、アラーム信号生成回路225dから出力される出力信号がハイレベルであるため、トランジスタ225bがオン状態となる。このため、アラーム信号出力端子VFOの電圧は、基準電位端子T22の電位(例えば0V)となる。このように、アラーム信号出力端子VFOの電圧は、アラーム信号生成回路225dから出力される出力信号の電圧が反転した電圧となる。これにより、アラーム信号生成回路225dから出力される出力信号に基づくアラーム信号ALMがアラーム信号出力端子VFOから出力される。
【0084】
図示は省略するが、保護部255uAは、定電流供給部221uAの制御電圧及び定電流供給部221uAが駆動する半導体素子20uのみの異常を検出する点を除いて、保護部255と同様の構成を有し、同様の機能を発揮するように構成されている。また、保護部255vAは、定電流供給部221vAの制御電圧及び定電流供給部221vAが駆動する半導体素子20vのみの異常を検出する点を除いて、保護部255と同様の構成を有し、同様の機能を発揮するように構成されている。また、保護部255wAは、定電流供給部221wAの制御電圧及び定電流供給部221wAが駆動する半導体素子20wのみの異常を検出する点を除いて、保護部255と同様の構成を有し、同様の機能を発揮するように構成されている。
【0085】
図2に示すように、信号レベル判定部226uAは、所定の信号レベルに設定された比較信号Scoと切替信号Sswとを比較する複数(本実施形態では2つ)の比較器226a,226bを有している。信号レベル判定部226Aは、比較信号Scoの電圧を生成する電圧生成部226cを有している。比較器226a,226bは例えばオペアンプで構成されている。電圧生成部226cは例えば定電圧源で構成されている。
【0086】
比較器226aの非反転入力端子(+)は、切替信号入力端子Tsw4、アラーム信号出力端子VFO及び抵抗素子225hの他端子に接続されている。比較器226aの反転入力端子(-)は、電圧生成部226cの正極側に接続されている。比較器226aの出力端子は、駆動能力切替部224uAに接続されている。比較器226bの非反転入力端子(+)は、電圧生成部226cの正極側に接続されている。比較器226bの反転入力端子(-)は、切替信号入力端子Tsw4、アラーム信号出力端子VFO及び抵抗素子225hの他端子に接続されている。比較器226bの出力端子は、駆動能力切替部224uAに接続されている。このように、比較器226a及び比較器226bは、入力先が互いに逆転した関係を有している。このため、比較器226a及び比較器226b(複数の比較器のうちの少なくとも2つの比較器の一例)は、互いに信号レベルが反転した出力信号を駆動能力切替部224uAに出力する。
【0087】
電圧生成部226cの負極側は、基準電位端子T22に接続されている。電圧生成部226cは、比較器226a,226bでの比較の基準となる比較信号Scoの電圧を生成するようになっている。切替信号Ssw4の信号レベルが比較信号Scoの信号レベルよりも高くなる又は低くなるように、ツェナー電圧を有するツェナーダイオード6uLが切替信号入力端子Tsw4に接続される。本実施形態では、電圧生成部226cが生成する電圧の電圧レベルは予め設定されている。このため、定電流供給部223uAを含むゲート駆動回路22Aに備えられた全ての定電流供給部の駆動能力が、インテリジェントパワーモジュール2Aの使用者の所望の駆動能力となるように、電圧生成部226cが生成する電圧の電圧レベルと異なる電圧レベルのツェナー電圧を有するツェナーダイオード6uLが切替信号入力端子Tsw4に接続される。インテリジェントパワーモジュール2Aでは、当該使用者が切替信号入力端子Tsw4にツェナーダイオード6uLを接続できるようになっている。
【0088】
電圧生成部226cで生成される電圧よりも高いツェナー電圧を有するツェナーダイオード6uLが切替信号入力端子Tsw4に接続された場合、切替信号Ssw4の信号レベルは、比較信号Scoの信号レベルよりも高くなる。したがって、この場合、比較器226aは、信号レベルがハイレベルの出力信号Soaを駆動能力切替部224uAに出力し、比較器226bは、信号レベルがローレベルの出力信号Sobを駆動能力切替部224uAに出力する。一方、電圧生成部226cで生成される電圧よりも低いツェナー電圧を有するツェナーダイオード6uLが切替信号入力端子Tsw4に接続された場合、切替信号Ssw4の信号レベルは、比較信号Scoの信号レベルよりも低くなる。したがって、この場合、比較器226aは、信号レベルがローレベルの出力信号Soaを駆動能力切替部224uAに出力し、比較器226bは、信号レベルがハイレベルの出力信号Sobを駆動能力切替部224uAに出力する。
【0089】
図2に示すように。駆動能力切替部224uAは、比較器226a(2つの比較器のうちの一方の一例)の出力信号Soaの信号レベルと、比較器223aの出力信号So0(入力信号に基づく信号の一例)の信号レベルとを論理演算する否定論理積(NAND)ゲート224a(第一演算部の一例)を有している。また、駆動能力切替部224uAは、比較器226b(2つの比較器のうちの他方の一例)の出力信号Sobの信号レベルと出力信号So0の信号レベルとを論理演算する否定論理積(NAND)ゲート224b(第二演算部の一例)を有している。
【0090】
NANDゲート224aの一方の入力端子は、定電流供給部223uAに設けられた比較器223aの出力端子に接続されている。NANDゲート224aの他方の入力端子は、信号レベル判定部226Aに設けられた比較器226aの出力端子に接続されている。NANDゲート224aの出力端子は、定電流供給部223uAに設けられたトランジスタ223fのゲートGに接続されている。このため、NANDゲート224aは、トランジスタ223fのゲートG(2つのトランジスタの一方の制御信号入力端子の一例)に演算結果信号Scaaを出力する。
【0091】
NANDゲート224bの一方の入力端子は、定電流供給部223uAに設けられた比較器223aの出力端子に接続されている。NANDゲート224bの他方の入力端子は、信号レベル判定部226Aに設けられた比較器226bの出力端子に接続されている。NANDゲート224bの出力端子は、定電流供給部223uAに設けられたトランジスタ223gのゲートGに接続されている。このため、NANDゲート224bは、トランジスタ223gのゲートG(2つのトランジスタの他方の制御信号入力端子の一例)に演算結果信号Scabを出力する。
【0092】
NANDゲート224a,224bのそれぞれの他方の入力端子には、出力信号So0が入力される。一方、NANDゲート224a,224bのそれぞれの一方の入力端子には、互いに信号レベルが反転した出力信号Soa,Sobが入力される。このため、NANDゲート224a,224bは、出力信号So0の信号レベルがハイレベルの場合、互いに信号レベルが反転した演算結果信号Scaa,Scabをトランジスタ223f,223gのそれぞれのゲートGに出力する。これにより、トランジスタ223fがオン状態に動作する場合は、トランジスタ223gはオフ状態を維持し、トランジスタ223gがオン状態に動作する場合は、トランジスタ223fはオフ状態を維持する。
【0093】
比較器223aから出力される出力信号So0は、入力信号SinULに基づく信号である。このため、出力信号So0の信号レベルを用いて論理演算するNANDゲート224a,224bは、入力信号SinULの信号レベルに基づいて論理演算するようになっている。したがって、駆動能力切替部224uAは、信号レベル判定部226Aでの判定結果(すなわち出力信号Soa,Sobの信号レベル)及び入力信号SinULの信号レベルに基づいて、トランジスタ223f,223gの少なくとも1つをオン状態に制御する。本実施形態では、駆動能力切替部224uAは、トランジスタ223f,223gのうちのいずれか1つをオン状態に制御する。
【0094】
なお、上アーム部を構成する半導体素子20u,20v,20wを駆動するための駆動能力切替部222uA,222vA,222wAでは、NANDゲート224a,224bの入力端子には、電圧レベルシフト回路が接続されていてもよい。出力信号So0,Soa,Sobは、当該電圧レベルシフト回路に入力される。これにより、出力信号So0,Soa,Sobの電圧レベルは、上アーム部に対応する電圧レベルに変換された後にNANDゲート224a,224bによって論理演算される。
【0095】
また、上アーム部を構成する半導体素子20u,20v,20wを駆動するための定電流供給部221uA,221vA,221wAでは、トランジスタ223f,223gのそれぞれのソースSは、上アーム部のU相、V相及びW相のそれぞれの電源端子に個別に接続されている。
【0096】
(スイッチング素子の駆動回路の動作)
次に、本実施形態によるスイッチング素子の駆動回路としてのゲート駆動回路22Aの動作について図1及び図2を用いて説明する。定電流供給部221uA~223wAは互いに同様に動作する。このため、定電流供給部221uA~223wAの動作について定電流供給部223uAを例にとって説明する。駆動能力切替部222uA~224wAは互いに同様に動作する。このため、駆動能力切替部222uA~224wAの動作について駆動能力切替部224uAを例にとって説明する。
【0097】
表1は、定電流供給部223uAに設けられたトランジスタ223f,223gの真理値表である。表1中の「SinUL」は、制御装置3から定電流供給部223uAに入力される入力信号SinULを示している。表1中の「So0」は、定電流供給部223uAに設けられた比較器223aが出力する出力信号So0を示している。表1中の「Soa」は、信号レベル判定部226Aに設けられた比較器226aが出力する出力信号Soaを示している。表1中の「Sob」は、信号レベル判定部226Aに設けられた比較器226bが出力する出力信号Sobを示している。
【0098】
表1中の「Scaa」は、駆動能力切替部224uAに設けられたNANDゲート224aが出力する演算結果信号Scaaを示している。表1中の「Scab」は、駆動能力切替部224uAに設けられたNANDゲート224bが出力する演算結果信号Scabを示している。表1中の「Qf」は、定電流供給部223uAに設けられたトランジスタ223fを示している。表1中の「Qg」は、定電流供給部223uAに設けられたトランジスタ223gを示している。表1中の「L」は、信号レベルがローレベルであることを示している。表1中の「H」は、信号レベルがハイレベルであることを示している。表1中の「ON」は、トランジスタがオン状態であることを示している。表1中の「OFF」は、トランジスタがオフ状態であることを示している。
【0099】
【表1】
【0100】
(Ssw4>Scoの場合)
まず、ツェナーダイオード6uLのツェナー電圧が信号レベル判定部226Aに設けられた電圧生成部226cで生成される電圧よりも高い場合、すなわち切替信号Ssw4の信号レベルが比較信号Scoの信号レベルよりも高い場合のゲート駆動回路22Aの動作について説明する。
【0101】
信号レベルがハイレベルの入力信号SinULが制御装置3から定電流供給部223uAに入力された場合、表1の「Ssw>Sco」欄の上段に示すように、比較器223aから出力される出力信号So0の信号レベルは、ローレベルとなる。
【0102】
信号レベルがローレベルの出力信号So0が、駆動能力切替部224uAに設けられたNANDゲート224aの他方の入力端子に入力されると、表2に示すように、NANDゲート224aは、一方の入力端子に入力される出力信号Soaの信号レベルに関わらず、信号レベルがハイレベルの演算結果信号Scaaを出力する。同様に、信号レベルがローレベルの出力信号So0が、駆動能力切替部224uAに設けられたNANDゲート224bの他方の入力端子に入力されると、表2に示すように、NANDゲート224bは、一方の入力端子に入力される出力信号Sobの信号レベルに関わらず、信号レベルがハイレベルの演算結果信号Scabを出力する。
【0103】
その結果、表1の「Ssw4>Sco」欄の上段に示すように、定電流供給部223uAに設けられたトランジスタ223f,223gは、いずれもオフ状態に制御される。このため、半導体素子21uに設けられたIGBT211aがオフ状態であった場合には、定電流供給部223uAは、オフ状態を維持するように当該IGBT211aを駆動する。一方、当該IGBT211aがオン状態であった場合には、定電流供給部223uAは、オン状態からオフ状態に切り替わるように当該IGBT211aを駆動する。すなわち、定電流供給部223uAは、ターンオフするように当該IGBT211aを駆動する。
【0104】
信号レベルがローレベルの入力信号SinULが制御装置3から定電流供給部223uAに入力された場合、表1の「Ssw4<Sco」欄の上段に示すように、比較器223aから出力される出力信号So0の信号レベルは、ハイレベルとなる。
【0105】
切替信号Ssw4の信号レベルは、比較信号Scoの信号レベルよりも高いので、表1の「Ssw4>Sco」欄の下段に示すように、信号レベル判定部226Aに設けられた比較器226aは、信号レベルがハイレベルの出力信号Soaを出力する。信号レベルがハイレベルの出力信号SoaがNANDゲート224aの一方の入力端子に入力され、信号レベルがハイレベルの出力信号So0がNANDゲート224aの他方の入力端子に入力されると、表1の「Ssw4>Sco」欄の下段に示すように、NANDゲート224aは、信号レベルがローレベルの演算結果信号Scaaをトランジスタ223fのゲートGに出力する。
【0106】
一方、表1の「Ssw4>Sco」欄の下段に示すように、信号レベル判定部226Aに設けられた比較器226bは、信号レベルがローレベルの出力信号Sobを出力する。信号レベルがローレベルの出力信号SobがNANDゲート224bの一方の入力端子に入力され、信号レベルがハイレベルの出力信号So0がNANDゲート224bの他方の入力端子に入力されると、表1の「Ssw4>Sco」欄の下段に示すように、NANDゲート224bは、信号レベルがハイレベルの演算結果信号Scabをトランジスタ223gのゲートGに出力する。
【0107】
その結果、表1の「Ssw4>Sco」欄の下段に示すように、トランジスタ223fは、オン状態に制御され、トランジスタ223gは、オフ状態に制御される。このため、半導体素子21uに設けられたIGBT211aがオフ状態であった場合には、定電流供給部223uAは、トランジスタ223f,223gのうちの定電流の電流量が大きい方のトランジスタ223fから定電流を当該IGBT211aに供給する。これにより、定電流供給部223uAは、高い駆動能力で当該IGBT211aをオン状態に動作させる。
【0108】
一方、当該IGBT211aがオン状態であった場合には、定電流供給部223uAは、トランジスタ223fから定電流を当該IGBT211aに供給することにより、当該IGBT211aがオン状態を維持するように駆動する。
【0109】
(Ssw4<Scoの場合)
次に、ツェナーダイオード6uLのツェナー電圧が信号レベル判定部226Aに設けられた電圧生成部226cで生成される電圧よりも低い場合、すなわち切替信号Ssw4の信号レベルが比較信号Scoの信号レベルよりも低い場合のゲート駆動回路22Aの動作について説明する。
【0110】
駆動能力切替部224uAは、切替信号Ssw4の信号レベルが比較信号Scoの信号レベルよりも低い場合と、切替信号Ssw4の信号レベルが比較信号Scoの信号レベルよりも高い場合とで同様に動作する。このため、表1の「Ssw4<Sco」欄の上段に示すように、トランジスタ223f,223gは、いずれもオフ状態に制御される。このため、定電流供給部223uは、切替信号Ssw4の信号レベルが比較信号Scoの信号レベルよりも高い場合と同様に半導体素子21uに設けられたIGBT211aを駆動する。
【0111】
信号レベルがローレベルの入力信号SinULが制御装置3から定電流供給部223uAに入力された場合、表1の「Ssw4<Sco」欄の上段に示すように、比較器223aから出力される出力信号So0の信号レベルは、ローレベルとなる。
【0112】
切替信号Ssw4の信号レベルは、比較信号Scoの信号レベルよりも低いので、表1の「Ssw4<Sco」欄の下段に示すように、比較器226aは、信号レベルがローレベルの出力信号Soaを出力する。信号レベルがローレベルの出力信号SoaがNANDゲート224aの一方の入力端子に入力され、信号レベルがハイレベルの出力信号So0がNANDゲート224aの他方の入力端子に入力されると、表1の「Ssw4<Sco」欄の下段に示すように、NANDゲート224aは、信号レベルがハイレベルの演算結果信号Scaaをトランジスタ223fのゲートGに出力する。
【0113】
一方、表1の「Ssw4<Sco」欄の下段に示すように、比較器226bは、信号レベルがハイレベルの出力信号Sobを出力する。信号レベルがハイレベルの出力信号SobがNANDゲート224bの一方の入力端子に入力され、信号レベルがハイレベルの出力信号So0がNANDゲート224bの他方の入力端子に入力されると、表1の「Ssw4<Sco」欄の下段に示すように、NANDゲート224bは、信号レベルがローレベルの演算結果信号Scabをトランジスタ223gのゲートGに出力する。
【0114】
その結果、表1の「Ssw4<Sco」欄の下段に示すように、トランジスタ223fは、オフ状態に制御され、トランジスタ223gは、オン状態に制御される。このため、半導体素子21uに設けられたIGBT211aがオフ状態であった場合には、定電流供給部223uは、トランジスタ223f,223gのうちの定電流の電流量が小さい方のトランジスタ223gから定電流を当該IGBT211aに供給する。これにより、定電流供給部223uは、低い駆動能力で当該IGBT211aをオン状態に動作させる。
【0115】
一方、当該IGBT211aがオン状態であった場合には、定電流供給部223uは、トランジスタ223gから定電流を当該IGBT211aに供給することにより、当該IGBT211aがオン状態を維持するように駆動する。
【0116】
このように、ゲート駆動回路22A及びインテリジェントパワーモジュール2Aは、所定のツェナー電圧を有するツェナーダイオード6uH,6vH,6wH,6uL,6vL,6wLを切替信号入力端子Tsw1,Tsw2,Tsw3,Tsw4,Tsw5,Tsw6に接続するだけで半導体素子20u,20v,20wに設けられたIGBT201a及び半導体素子21u,21v,21wに設けられたIGBT211aを駆動する駆動能力を変更することできる。
【0117】
以上説明したように、本実施形態によるスイッチング素子の駆動回路としてのゲート駆動回路22Aは、制御装置3から入力される入力信号SinUH~SinWLの信号レベルに応じて半導体素子20u~21wのIGBT201a,211aをオン状態に動作させるために、IGBT201a,211aのゲートGに定電流を供給する定電流供給部221uA~223wAと、IGBT201a,211aを動作させる定電流供給部221uA~223wAの駆動能力を切り替えるための切替信号Ssw1~Ssw6が入力される切替信号入力端子Tsw1~Tsw6と、切替信号Ssw1~Ssw6の信号レベルを判定する信号レベル判定部227uA,227vA,227wA,226uA,226vA,226wAと、信号レベル判定部227uA,227vA,227wA,226uA,226vA,226wAでの判定結果及び入力信号SinUH~SinWLの信号レベルに基づいて定電流供給部221uA~223wAから出力される定電流の電流量を変更して定電流供給部221uA~223wAの駆動能力を切り替える駆動能力切替部222uA~224wAとを備えている。
【0118】
これにより、ゲート駆動回路22Aは、簡易な方法でスイッチング素子を駆動するための駆動能力を選択することができる。
【0119】
本実施形態によるインテリジェントパワーモジュール2Aは、IGBT201a,211aと、ゲート駆動回路22Aとを備えている。
これにより、インテリジェントパワーモジュール2Aは、簡易な方法でスイッチング素子を駆動するための駆動能力を選択することができる。
【0120】
(変形例)
本実施形態では、ゲート駆動回路22Aに設けられた定電流供給部221uA~223wAのトランジスタ223f,223gは、IGBT211aに供給する定電流の電流量が互いに異なっているが、当該定電流の電流量が同一でもよい。この場合、駆動能力切替部222uA~224wAは、信号レベル判定部27uA,227vA,227wA,226uA,226vA,226wAに設けられた比較器226aから入力される出力信号Soaの信号レベルがハイレベルかつ出力信号Sobの信号レベルがローレベルの場合、トランジスタ223f,223gの両方をオン状態に制御する。一方、駆動能力切替部222uA~224wAは、比較器226aから入力される出力信号Soaの信号レベルがローレベルかつ出力信号Sobの信号レベルがハイレベルの場合、トランジスタ223f,223gのいずれか一方をオン状態に制御し、他方をオフ状態に制御する。
【0121】
トランジスタ223f,223gの両方がオン状態の場合、トランジスタ223f,223gのいずれか一方がオン状態の場合と比較して、2倍の電流量の定電流をIGBT201a,211aに供給できる。これにより、ゲート駆動回路22A及びインテリジェントパワーモジュール2Aは、所定のツェナー電圧を有するツェナーダイオード6uH~6wLを切替信号入力端子Tsw1~Tsw6に接続するだけでIGBT201a,211aを駆動する駆動能力を変更することできる。
【0122】
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態によるスイッチング素子の駆動回路及びインテリジェントパワーモジュールについて図3を用いて説明する。本実施形態によるスイッチング素子の駆動回路及びインテリジェントパワーモジュールは、定電流供給部が3つのトランジスタを備えている点に特徴を有している。本実施形態によるスイッチング素子の駆動回路及びインテリジェントパワーモジュールの説明に当たり、上記第1実施形態によるスイッチング素子の駆動回路としてのゲート駆動回路22A及びインテリジェントパワーモジュール2Aの構成要素と同一の作用・機能を奏する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0123】
(インテリジェントパワーモジュールの構成)
本実施形態によるインテリジェントパワーモジュール2Bの全体構成は、上記第1実施形態によるインテリジェントパワーモジュール2Aと同様であるため、図示及びその説明は省略する。また、以下、インテリジェントパワーモジュール2Bの説明に当たって、必要に応じて図1を参照することとする。
【0124】
(スイッチング素子の駆動回路の構成)
次に、本実施形態によるスイッチング素子の駆動回路としてのゲート駆動回路22Bの概略構成について図3を用いて説明する。ゲート駆動回路22Bに設けられた上アームのU相、V相及びW相並びに下アームのU相、V相及びW相のそれぞれに対応する定電流供給部は、互いに同一の構成を有している。このため、これらの定電流供給部の構成について、下アームのU相に対応する定電流供給部223uB(上記第1実施形態における定電流供給部223uAに対応)を例にとって説明する。ゲート駆動回路22Bに設けられた上アームのU相、V相及びW相並びに下アームのU相、V相及びW相のそれぞれに対応する駆動能力切替部は、互いに同一の構成を有している。このため、これらの駆動能力切替部の構成について、下アームのU相に対応する駆動能力切替部224uB(上記第1実施形態における駆動能力切替部224uAに対応)を例にとって説明する。ゲート駆動回路22Bに設けられた上アームのU相、V相及びW相並びに下アームのU相、V相及びW相のそれぞれに対応する信号レベル判定部は、互いに同一の構成を有している。このため、これらの信号レベル判定部の構成について、下アームのU相に対応する信号レベル判定部226uB(上記第1実施形態における信号レベル判定部226uAに対応)を例にとって説明する。
【0125】
図3は、ゲート駆動回路22Bの概略構成を示す回路ブロック図である。図3では、ゲート駆動回路22Bに設けられた構成要素のうち、定電流供給部223uB、信号レベル判定部226B及び駆動能力切替部224uBが図示されている。また、図3では、理解を容易にするため、定電流供給部223uBが電流を供給するIGBT211aを有する半導体素子21uと、切替信号入力端子Tsw4に接続されたツェナーダイオード6uLと、電源端子Tvinに接続された電源8Lとが併せて図示されている。なお、ゲート駆動回路22Bに設けられて上アーム及び下アームのそれぞれのU相、V相及びW相に対応する保護部は、上記第1実施形態によるゲート駆動回路22Aに設けられた保護部225uA,225vA,225wA,225と同様の構成を有し、同様の機能を発揮するため、図3での図示及び説明は省略する。
【0126】
図3に示すように、定電流供給部223uBは、半導体素子21uに設けられたIGBT211aのゲートGに定電流を供給する複数(本実施形態では3つ)のトランジスタ223f,223g,223hを有している。トランジスタ223f、トランジスタ223g及びトランジスタ223hは、例えばP型のMOSFETで構成されている。トランジスタ223fのソースS、トランジスタ223g及びトランジスタ223hのそれぞれのソースSは、電源端子Tvinに接続されている。トランジスタ223f、トランジスタ223g及びトランジスタ223hのそれぞれのドレインDは、半導体素子21uに設けられたIGBT211aのゲートGに接続されている。トランジスタ223f、トランジスタ223g及びトランジスタ223hのそれぞれのゲートGは、駆動能力切替部224uBに接続されている。
【0127】
トランジスタ223f,223g,223h(複数のトランジスタのうちの少なくとも2つのトランジスタの一例)は、半導体素子21uに設けられたIGBT211aのゲートGに供給する定電流の電流量が互いに異なっている。例えば、トランジスタ223gは、トランジスタ223f,223hよりも大きいトランジスタサイズを有している。トランジスタ223fは、トランジスタ223hよりも大きいトランジスタサイズを有している。これにより、トランジスタ223fの当該定電流の電流量は、トランジスタ223g,223hのそれぞれの当該定電流の電流量よりも大きくなる。また、トランジスタ223gの当該定電流の電流量は、トランジスタ223hの当該定電流の電流量よりも大きくなる。
【0128】
詳細は後述するが、定電流供給部223uBは、半導体素子21uに設けられたIGBT211aに定電流を供給するトランジスタとしてトランジスタ223gが選択された場合、トランジスタ223f,223hが選択された場合よりも高い駆動能力で当該IGBT211aをオン状態に動作させることができる。また、定電流供給部223uBは、半導体素子21uに設けられたIGBT211aに定電流を供給するトランジスタとしてトランジスタ223fが選択された場合、トランジスタ223hが選択された場合よりも高い駆動能力で当該IGBT211aをオン状態に動作させることができる。さらに、定電流供給部223uBは、半導体素子21uに設けられたIGBT211aに定電流を供給するトランジスタとしてトランジスタ223hを選択した場合、最も低い駆動能力で当該IGBT211aをオン状態に動作させることができる。このように、定電流供給部223uBは、トランジスタ223g、トランジスタ223f及びトランジスタ223hのうち、動作させるトランジスタを変更することにより、当該IGBT211aを駆動する駆動能力を切り替えることができる。
【0129】
図3に示すように、信号レベル判定部226Bは、所定の信号レベルに設定された比較信号と切替信号Sswとを比較する複数(本実施形態では4つ)の比較器226a,226b,226d,226eを有している。比較器226a,226bは、比較信号Scocと切替信号Sswとを比較し、比較器226d,226eは、比較信号Scofと切替信号Sswとを比較する。信号レベル判定部226Bは、比較信号Scocの電圧を生成する電圧生成部226cと、比較信号Scofの電圧を生成する電圧生成部226fとを有している。比較器226a,226b,226d,226eは例えばオペアンプで構成されている。電圧生成部226c,226fは例えば定電圧源で構成されている。
【0130】
比較器226aの非反転入力端子(+)は、切替信号入力端子Tsw4に接続されている。比較器226aの反転入力端子(-)は、電圧生成部226cの正極側に接続されている。比較器226aの出力端子は、駆動能力切替部224uBに接続されている。比較器226bの非反転入力端子(+)は、電圧生成部226cの正極側に接続されている。比較器226bの反転入力端子(-)は、切替信号入力端子Tsw4に接続されている。比較器226bの出力端子は、駆動能力切替部224uBに接続されている。
【0131】
比較器226dの非反転入力端子(+)は、切替信号入力端子Tsw4に接続されている。比較器226dの反転入力端子(-)は、電圧生成部226fの正極側に接続されている。比較器226dの出力端子は、駆動能力切替部224uBに接続されている。比較器226eの非反転入力端子(+)は、電圧生成部226fの正極側に接続されている。比較器226eの反転入力端子(-)は、切替信号入力端子Tswに接続されている。比較器226eの出力端子は、駆動能力切替部224uBに接続されている。
【0132】
このように、比較器226a及び比較器226bは、入力先が互いに逆転した関係を有している。このため、比較器226a及び比較器226b(複数の比較器のうちの少なくとも2つの比較器の一例)は、互いに信号レベルが反転した出力信号を駆動能力切替部224uBに出力する。また、比較器226d及び比較器226eは、入力先が互いに逆転した関係を有している。このため、比較器226d及び比較器226e(複数の比較器のうちの少なくとも2つの比較器の一例)は、互いに信号レベルが反転した出力信号を駆動能力切替部224uBに出力する。
【0133】
電圧生成部226cの負極側は、基準電位端子T22に接続されている。電圧生成部226cは、比較器226a,226bでの比較の基準となる比較信号Scocの電圧を生成するようになっている。電圧生成部226fの負極側は、基準電位端子T22に接続されている。電圧生成部226fは、比較器226d,226eでの比較の基準となる比較信号Scofの電圧を生成するようになっている。電圧生成部226cが生成する電圧は、電圧生成部226fが生成する電圧よりも例えば高くなるように設定されている。したがって、比較信号Scocの信号レベルは、比較信号Scofの信号レベルよりも高くなる。
【0134】
切替信号Sswの信号レベルは、比較信号Scocの信号レベルよりも高くなる、比較信号Scocの信号レベルよりも低く且つ比較信号Scofの信号レベルよりも高くなる、又は比較信号Scofの信号レベルよりも低くなるようなツェナー電圧を有するツェナーダイオード6uLが切替信号入力端子Tsw4に接続される。本実施形態では、電圧生成部226c,226fが生成する電圧の電圧レベルは予め設定されている。このため、定電流供給部223uBを含むゲート駆動回路22Bに備えられた全ての定電流供給部の駆動能力が、インテリジェントパワーモジュール2Bの使用者の所望の駆動能力となるように、電圧生成部226c,226fが生成する電圧の電圧レベルと異なる電圧レベルのツェナー電圧を有するツェナーダイオード6uLが切替信号入力端子Tsw4に接続される。インテリジェントパワーモジュール2Bでは、当該使用者が切替信号入力端子Tsw4にツェナーダイオード6uLを接続できるようになっている。
【0135】
電圧生成部226c,226fで生成される電圧よりも高いツェナー電圧を有するツェナーダイオード6uLが切替信号入力端子Tsw4に接続された場合、切替信号Ssw4の信号レベルは、比較信号Scoc,Scofのそれぞれの信号レベルよりも高くなる。したがって、この場合、比較器226aは、信号レベルがハイレベルの出力信号Soaを駆動能力切替部224uBに出力し、比較器226bは、信号レベルがローレベルの出力信号Sobを駆動能力切替部224uBに出力する。また、この場合、比較器226dは、信号レベルがハイレベルの出力信号Sodを駆動能力切替部224uBに出力し、比較器226eは、信号レベルがローレベルの出力信号Soeを駆動能力切替部224uBに出力する。
【0136】
また、電圧生成部226cで生成される電圧よりも低く且つ電圧生成部226fで生成される電圧よりも高いツェナー電圧を有するツェナーダイオード6uLが切替信号入力端子Tsw4に接続された場合、切替信号Ssw4の信号レベルは、比較信号Scocの信号レベルよりも低く、かつ比較信号Scofの信号レベルよりも高くなる。したがって、この場合、比較器226aは、信号レベルがローレベルの出力信号Soaを駆動能力切替部224uBに出力し、比較器226bは、信号レベルがハイレベルの出力信号Sobを駆動能力切替部224uBに出力する。また、この場合、比較器226dは、信号レベルがローレベルの出力信号Sodを駆動能力切替部224uBに出力し、比較器226eは、信号レベルがハイレベルの出力信号Soeを駆動能力切替部224uBに出力する。
【0137】
さらに、電圧生成部226c,226fで生成される電圧よりも低いツェナー電圧を有するツェナーダイオード6uLが切替信号入力端子Tsw4に接続された場合、切替信号Sswの信号レベルは、比較信号Scoc,Scofのそれぞれの信号レベルよりも低くなる。したがって、この場合、比較器226aは、信号レベルがローレベルの出力信号Soaを駆動能力切替部224uBに出力し、比較器226bは、信号レベルがハイレベルの出力信号Sobを駆動能力切替部224uBに出力する。また、この場合、比較器226dは、信号レベルがローレベルの出力信号Sodを駆動能力切替部224uBに出力し、比較器226eは、信号レベルがハイレベルの出力信号Soeを駆動能力切替部224uBに出力する。
【0138】
図4に示すように、駆動能力切替部224uBは、比較器226bの出力信号Sobの信号レベルと、比較器226dの出力信号Sodの信号レベルとを論理演算する論理積(AND)ゲート224dを有している。駆動能力切替部224uBは、比較器226a(2つの比較器のうちの一方の一例)の出力信号Soaの信号レベルと、比較器223aの出力信号So0(入力信号に基づく信号の一例)の信号レベルとを論理演算する否定論理積(NAND)ゲート224a(第一演算部の一例)を有している。また、駆動能力切替部224uBは、ANDゲート224dが出力する演算結果信号Scadの信号レベルと出力信号So0の信号レベルとを論理演算する否定論理積(NAND)ゲート224b(第二演算部の一例)を有している。ここで、比較器226bは、2つの比較器のうちの他方の一例に相当する。このため、比較器226bの出力信号Sobを用いて論理演算して得られる演算結果信号Scadは、比較器226bの出力信号Sobに基づく信号の一例に相当する。さらに、駆動能力切替部224uBは、比較器226eの出力信号Soeの信号レベルと、比較器223aの出力信号So0の信号レベルとを論理演算する否定論理積(NAND)ゲート224cを有している。
【0139】
NANDゲート224aの一方の入力端子は、定電流供給部223uBに設けられた比較器223aの出力端子に接続されている。NANDゲート224aの他方の入力端子は、信号レベル判定部226uBに設けられた比較器226aの出力端子に接続されている。NANDゲート224aの出力端子は、定電流供給部223uBに設けられたトランジスタ223fのゲートGに接続されている。このため、NANDゲート224aは、トランジスタ223fのゲートG(2つのトランジスタの一方の制御信号入力端子の一例)に演算結果信号Scaaを出力する。
【0140】
NANDゲート224bの一方の入力端子は、定電流供給部223uBに設けられた比較器223aの出力端子に接続されている。NANDゲート224bの他方の入力端子は、ANDゲート224dの出力端子に接続されている。NANDゲート224bの出力端子は、定電流供給部223uBに設けられたトランジスタ223gのゲートGに接続されている。このため、NANDゲート224bは、トランジスタ223gのゲートG(2つのトランジスタの他方の制御信号入力端子の一例)に演算結果信号Scabを出力する。
【0141】
NANDゲート224cの一方の入力端子は、定電流供給部223uBに設けられた比較器223aの出力端子に接続されている。NANDゲート224aの他方の入力端子は、信号レベル判定部226Bに設けられた比較器226eの出力端子に接続されている。NANDゲート224cの出力端子は、定電流供給部223uBに設けられたトランジスタ223hのゲートGに接続されている。このため、NANDゲート224cは、トランジスタ223hのゲートGに演算結果信号Scacを出力する。
【0142】
NANDゲート224a,224b,224cのそれぞれの他方の入力端子には、出力信号So0が入力される。このため、演算結果信号Scaa,Scab,Scacのそれぞれの信号レベルは、NANDゲート224a,224b,224cのそれぞれの一方の入力端子に入力される信号の信号レベルに依存する。詳細は後述するが、切替信号Sswの信号レベルと、比較信号Scocの信号レベル及び比較信号Scofの信号レベルとの高低関係に応じて、演算結果信号Scaa,Scab,Scacのいずれか1つの信号レベルのみがローレベルとなる。これにより、トランジスタ223fがオン状態に動作する場合は、トランジスタ223g及びトランジスタ223hはオフ状態を維持する。また、トランジスタ223gがオン状態に動作する場合は、トランジスタ223f及びトランジスタ223hはオフ状態を維持する。さらに、トランジスタ223hがオン状態に動作する場合は、トランジスタ223f及びトランジスタ223gはオフ状態を維持する。
【0143】
比較器223aから出力される出力信号So0は、入力信号SinULに基づく信号である。このため、出力信号So0の信号レベルを用いて論理演算するNANDゲート224a,224b,224cは、入力信号SinULの信号レベルに基づいて論理演算するようになっている。したがって、駆動能力切替部224uBは、信号レベル判定部226uBでの判定結果(すなわち出力信号Soa,Sob,Sod,Soeの信号レベル)及び入力信号SinULの信号レベルに基づいて、トランジスタ223f,223gの少なくとも1つをオン状態に制御する。本実施形態では、駆動能力切替部224uBは、トランジスタ223f,223g,223hのうちのいずれか1つをオン状態に制御する。
【0144】
なお、上アーム部を構成する半導体素子20u,20v,20wを駆動するための駆動能力切替部(上記第1実施形態における駆動能力切替部222uA,222vA,222wAに対応)では、NANDゲート224a,224b,224c及びANDゲート224dの入力端子には、電圧レベルシフト回路が接続されていてもよい。出力信号So0,Soa,Sob,Sod,Soeは、当該電圧レベルシフト回路に入力される。これにより、出力信号So0,Soa,Sob,Sod,Soeの電圧レベルは、上アーム部に対応する電圧レベルに変換された後にNANDゲート224a,224b,224cによって論理演算される。
【0145】
また、上アーム部を構成する半導体素子20u,20v,20wを駆動するための定電流供給部(上記第1実施形態における定電流供給部221uA,221vA,221wAでは、トランジスタ223f,223g,223hのそれぞれのソースSは、上アーム部のU相、V相及びW相のそれぞれの電源端子に個別に接続されている。
【0146】
(スイッチング素子の駆動回路の動作)
次に、本実施形態によるスイッチング素子の駆動回路としてのゲート駆動回路22Bの動作について図3を用いて説明する。ゲート駆動回路22Bに設けられた上アームのU相、V相及びW相並びに下アームのU相、V相及びW相のそれぞれに対応する定電流供給部は、互いに同様に動作する。このため、これらの定電流供給部の動作について、下アームのU相に対応する定電流供給部223uBを例にとって説明する。ゲート駆動回路22Bに設けられた上アームのU相、V相及びW相並びに下アームのU相、V相及びW相のそれぞれに対応する駆動能力切替部は、互いに同様に動作する。このため、これらの駆動能力切替部の動作について、下アームのU相に対応する駆動能力切替部224uAを例にとって説明する。ゲート駆動回路22Bに設けられた上アームのU相、V相及びW相並びに下アームのU相、V相及びW相のそれぞれに対応する信号レベル判定部は、互いに同様に動作する。このため、これらの信号レベル判定部の動作について、下アームのU相に対応する信号レベル判定部226uBを例にとって説明する。
【0147】
表2は、定電流供給部223uBに設けられたトランジスタ223f,223g,223hの真理値表である。表2中の「SinUL」は、制御装置3から定電流供給部223uBに入力される入力信号SinULを示している。表2中の「So0」は、定電流供給部223uBに設けられた比較器223aが出力する出力信号So0を示している。表2中の「Soa」は、信号レベル判定部226Bに設けられた比較器226aが出力する出力信号Soaを示している。表2中の「Sob」は、信号レベル判定部226Bに設けられた比較器226bが出力する出力信号Sobを示している。表2中の「Sod」は、信号レベル判定部226Bに設けられた比較器226dが出力する出力信号Sodを示している。表2中の「Soe」は、信号レベル判定部226Bに設けられた比較器226eが出力する出力信号Sobを示している。
【0148】
表2中の「Scad」は、駆動能力切替部224uBに設けられたANDゲート224dが出力する演算結果信号Scadを示している。表2中の「Scaa」は、駆動能力切替部224uBに設けられたNANDゲート224aが出力する演算結果信号Scaaを示している。表2中の「Scab」は、駆動能力切替部224uBに設けられたNANDゲート224bが出力する演算結果信号Scabを示している。表2中の「Scac」は、駆動能力切替部224uBに設けられたNANDゲート224cが出力する演算結果信号Scacを示している。表2中の「Qf」は、定電流供給部223uBに設けられたトランジスタ223fを示している。表2中の「Qg」は、定電流供給部223uBに設けられたトランジスタ223gを示している。表2中の「Qh」は、定電流供給部223uBに設けられたトランジスタ223hを示している。表2中の「L」は、信号レベルがローレベルであることを示している。表2中の「H」は、信号レベルがハイレベルであることを示している。表2中の「ON」は、トランジスタがオン状態であることを示している。表2中の「OFF」は、トランジスタがオフ状態であることを示している。
【0149】
【表2】
【0150】
(Ssw4>Scocの場合)
まず、ツェナーダイオード6uLのツェナー電圧が信号レベル判定部226uBに設けられた電圧生成部226cで生成される電圧よりも高い場合、すなわち切替信号Ssw4の信号レベルが比較信号Scocの信号レベルよりも高い場合のゲート駆動回路22Bの動作について説明する。
【0151】
信号レベルがハイレベルの入力信号SinULが制御装置3から定電流供給部223uBに入力された場合、表2の「Ssw4>Scoc」欄の上段に示すように、比較器223aから出力される出力信号So0の信号レベルは、ローレベルとなる。
【0152】
駆動能力切替部224uBに設けられたNANDゲート224a,224b,224cは、信号レベルがローレベルの出力信号So0が他方の入力端子に入力されると、一方の入力端子に入力される信号の信号レベルに関わらず、信号レベルがハイレベルの演算結果信号Scaa,Scab,Scacを定電流供給部223uBに設けられたトランジスタ223f,223g,223hのゲートGに出力する。このため、表2の「Ssw4>Scoc」欄の上段に示すように、トランジスタ223f,223g,223hは、いずれもオフ状態に制御される。このため、半導体素子21uに設けられたIGBT211aがオフ状態であった場合には、定電流供給部223uBは、オフ状態を維持するように当該IGBT211aを駆動する。一方、当該IGBT211aがオン状態であった場合には、定電流供給部223uBは、オン状態からオフ状態に切り替わるように当該IGBT211aを駆動する。すなわち、定電流供給部223uBは、ターンオフするように当該IGBT211aを駆動する。
【0153】
信号レベルがローレベルの入力信号SinULが制御装置3から定電流供給部223uBに入力された場合、表2の「Ssw<Scoc」欄の上段に示すように、比較器223aから出力される出力信号So0の信号レベルは、ハイレベルとなる。
【0154】
切替信号Sswの信号レベルは、比較信号Scocの信号レベルよりも高いので、表2の「Ssw>Scoc」欄の下段に示すように、比較器226aは、信号レベルがハイレベルの出力信号Soaを出力する。信号レベルがハイレベルの出力信号SoaがNANDゲート224aの一方の入力端子に入力され、信号レベルがハイレベルの出力信号So0がNANDゲート224aの他方の入力端子に入力されると、表2の「Ssw>Scoc」欄の下段に示すように、NANDゲート224aは、信号レベルがローレベルの演算結果信号Scaaをトランジスタ223fのゲートGに出力する。
【0155】
また、表2の「Ssw>Scoc」欄の下段に示すように、比較器226bは、信号レベルがローレベルの出力信号Sobを出力する。切替信号Sswの信号レベルは、比較信号Scofの信号レベルよりも高いので、比較器226dは、信号レベルがハイレベルの出力信号Sodを出力する。これにより、ANDゲート224dの一方の入力端子に信号レベルがローレベルの出力信号Sobが入力され、ANDゲート224dの他方の入力端子に信号レベルがハイレベルの出力信号Sodが入力される。このため、「Ssw>Scoc」欄の下段に示すように、ANDゲート224dは、信号レベルがローレベルの演算結果信号Scadを出力する。
【0156】
信号レベルがローレベルの演算結果信号ScadがNANDゲート224bの一方の入力端子に入力され、信号レベルがハイレベルの出力信号So0がNANDゲート224bの他方の入力端子に入力されると、表2の「Ssw>Scoc」欄の下段に示すように、NANDゲート224bは、信号レベルがハイレベルの演算結果信号Scabをトランジスタ223gのゲートGに出力する。
【0157】
また、表2の「Ssw>Scoc」欄の下段に示すように、比較器226eは、信号レベルがローレベルの出力信号Soeを出力する。信号レベルがローレベルの出力信号SoeがNANDゲート224cの一方の入力端子に入力され、信号レベルがハイレベルの出力信号So0がNANDゲート224cの他方の入力端子に入力されると、表2の「Ssw>Scoc」欄の下段に示すように、NANDゲート224cは、信号レベルがハイレベルの演算結果信号Scacをトランジスタ223hのゲートGに出力する。
【0158】
その結果、表2の「Ssw>Scoc」欄の下段に示すように、トランジスタ223fは、オン状態に制御され、トランジスタ223gは、オフ状態に制御され、トランジスタ223hは、オフ状態に制御される。このため、半導体素子21uに設けられたIGBT211aがオフ状態であった場合には、定電流供給部223uBは、トランジスタ223f,223g,223hのうちの定電流の電流量が最も大きいトランジスタ223fから定電流を当該IGBT211aに供給する。これにより、定電流供給部223uBは、高い駆動能力で当該IGBT211aをオン状態に動作させる。
【0159】
一方、当該IGBT211aがオン状態であった場合には、定電流供給部223uBは、トランジスタ223fから定電流を当該IGBT211aに供給することにより、当該IGBT211aがオン状態を維持するように駆動する。
【0160】
(Scof<Ssw<Scocの場合)
次に、ツェナーダイオード6uLのツェナー電圧が信号レベル判定部226uBに設けられた電圧生成部226cで生成される電圧よりも低く、かつ信号レベル判定部226uBに設けられた電圧生成部226fで生成される電圧よりも高い場合、すなわち切替信号Ssw4の信号レベルが、比較信号Scocの信号レベルよりも低く、かつ比較信号Scofよりも高い場合のゲート駆動回路22Bの動作について説明する。
【0161】
信号レベルがハイレベルの入力信号SinULが制御装置3から定電流供給部223uBに入力された場合、表2の「Scof<Ssw<Scoc」欄の上段に示すように、比較器223aから出力される出力信号So0の信号レベルは、ローレベルとなる。
【0162】
NANDゲート224a,224b,224cは、信号レベルがローレベルの出力信号So0が他方の入力端子に入力されると、一方の入力端子に入力される信号の信号レベルに関わらず、信号レベルがハイレベルの演算結果信号Scaa,Scab,Scacをトランジスタ223f,223g,223hのゲートGに出力する。このため、表2の「Scof<Ssw<Scoc」欄の上段に示すように、トランジスタ223f,223g,223hは、いずれもオフ状態に制御される。このため、半導体素子21uに設けられたIGBT211aがオフ状態であった場合には、定電流供給部223uBは、オフ状態を維持するように当該IGBT211aを駆動する。一方、当該IGBT211aがオン状態であった場合には、定電流供給部223uBは、オン状態からオフ状態に切り替わるように当該IGBT211aを駆動する。すなわち、定電流供給部223uBは、ターンオフするように当該IGBT211aを駆動する。
【0163】
信号レベルがローレベルの入力信号SinULが制御装置3から定電流供給部223uBに入力された場合、表2の「Scof<Ssw<Scoc」欄の上段に示すように、比較器223aから出力される出力信号So0の信号レベルは、ハイレベルとなる。
【0164】
切替信号Ssw4の信号レベルは、比較信号Scocの信号レベルよりも低いので、表2の「Scof<Ssw<Scoc」欄の下段に示すように、比較器226aは、信号レベルがローレベルの出力信号Soaを出力する。信号レベルがローレベルの出力信号SoaがNANDゲート224aの一方の入力端子に入力され、信号レベルがハイレベルの出力信号So0がNANDゲート224aの他方の入力端子に入力されると、表2の「Scof<Ssw<Scoc」欄の下段に示すように、NANDゲート224aは、信号レベルがハイレベルの演算結果信号Scaaをトランジスタ223fのゲートGに出力する。
【0165】
また、表2の「Scof<Ssw<Scoc」欄の下段に示すように、比較器226bは、信号レベルがハイレベルの出力信号Sobを出力する。切替信号Ssw4の信号レベルは、比較信号Scofの信号レベルよりも高いので、比較器226dは、信号レベルがハイレベルの出力信号Sodを出力する。これにより、ANDゲート224dの一方の入力端子に信号レベルがハイレベルの出力信号Sobが入力され、ANDゲート224dの他方の入力端子に信号レベルがハイレベルの出力信号Sodが入力される。このため、「Scof<Ssw<Scoc」欄の下段に示すように、ANDゲート224dは、信号レベルがハイレベルの演算結果信号Scadを出力する。
【0166】
信号レベルがハイレベルの演算結果信号ScadがNANDゲート224bの一方の入力端子に入力され、信号レベルがハイレベルの出力信号So0がNANDゲート224bの他方の入力端子に入力されると、表2の「Scof<Ssw<Scoc」欄の下段に示すように、NANDゲート224bは、信号レベルがローレベルの演算結果信号Scabをトランジスタ223gのゲートGに出力する。
【0167】
また、表2の「Scof<Ssw<Scoc」欄の下段に示すように、比較器226eは、信号レベルがローレベルの出力信号Soeを出力する。信号レベルがローレベルの出力信号SoeがNANDゲート224cの一方の入力端子に入力され、信号レベルがハイレベルの出力信号So0がNANDゲート224cの他方の入力端子に入力されると、表2の「Scof<Ssw<Scoc」欄の下段に示すように、NANDゲート224cは、信号レベルがハイレベルの演算結果信号Scacをトランジスタ223hのゲートGに出力する。
【0168】
その結果、表2の「Scof<Ssw<Scoc」欄の下段に示すように、トランジスタ223fは、オフ状態に制御され、トランジスタ223gは、オン状態に制御され、トランジスタ223hは、オフ状態に制御される。このため、半導体素子21uに設けられたIGBT211aがオフ状態であった場合には、定電流供給部223uBは、トランジスタ223f,223g,223hのうちの定電流の電流量が2番目に大きいトランジスタ223gから定電流を当該IGBT211aに供給する。これにより、定電流供給部223uBは、2番目に高い駆動能力で当該IGBT211aをオン状態に動作させる。
【0169】
一方、当該IGBT211aがオン状態であった場合には、定電流供給部223uBは、トランジスタ223gから定電流を当該IGBT211aに供給することにより、当該IGBT211aがオン状態を維持するように駆動する。
【0170】
(Ssw4<Scofの場合)
次に、ツェナーダイオード6uLのツェナー電圧が、信号レベル判定部226uBに設けられた電圧生成部226c,226fのそれぞれで生成される電圧よりも低い場合、すなわち切替信号Ssw4の信号レベルが、比較信号Scoc,Scofのそれぞれの信号レベルよりも低い場合のゲート駆動回路22Bの動作について説明する。
【0171】
信号レベルがハイレベルの入力信号SinULが制御装置3から定電流供給部223uBに入力された場合、表2の「Ssw4<Scof」欄の上段に示すように、比較器223aから出力される出力信号So0の信号レベルは、ローレベルとなる。
【0172】
NANDゲート224a,224b,224cは、信号レベルがローレベルの出力信号So0が他方の入力端子に入力されると、一方の入力端子に入力される信号の信号レベルに関わらず、信号レベルがハイレベルの演算結果信号Scaa,Scab,Scacをトランジスタ223f,223g,223hのゲートGに出力する。このため、表2の「Ssw<Scof」欄の上段に示すように、トランジスタ223f,223g,223hは、いずれもオフ状態に制御される。このため、半導体素子21uに設けられたIGBT211aがオフ状態であった場合には、定電流供給部223uBは、オフ状態を維持するように当該IGBT211aを駆動する。一方、当該IGBT211aがオン状態であった場合には、定電流供給部223uBは、オン状態からオフ状態に切り替わるように当該IGBT211aを駆動する。すなわち、定電流供給部223uBは、ターンオフするように当該IGBT211aを駆動する。
【0173】
信号レベルがローレベルの入力信号SinULが制御装置3から定電流供給部223uBに入力された場合、表2の「Ssw4<Scof」欄の上段に示すように、比較器223aから出力される出力信号So0の信号レベルは、ハイレベルとなる。
【0174】
切替信号Ssw4の信号レベルは、比較信号Scocの信号レベルよりも低いので、表2の「Ssw4<Scof」欄の下段に示すように、比較器226aは、信号レベルがローレベルの出力信号Soaを出力する。信号レベルがローレベルの出力信号SoaがNANDゲート224aの一方の入力端子に入力され、信号レベルがハイレベルの出力信号So0がNANDゲート224aの他方の入力端子に入力されると、表2の「Ssw4<Scof」欄の下段に示すように、NANDゲート224aは、信号レベルがハイレベルの演算結果信号Scaaをトランジスタ223fのゲートGに出力する。
【0175】
また、表2の「Ssw<Scof」欄の下段に示すように、比較器226bは、信号レベルがハイレベルの出力信号Sobを出力する。切替信号Ssw4の信号レベルは、比較信号Scofの信号レベルよりも低いので、比較器226dは、信号レベルがローレベルの出力信号Sodを出力する。これにより、ANDゲート224dの一方の入力端子に信号レベルがハイレベルの出力信号Sobが入力され、ANDゲート224dの他方の入力端子に信号レベルがローレベルの出力信号Sodが入力される。このため、「Ssw4<Scof」欄の下段に示すように、ANDゲート224dは、信号レベルがローレベルの演算結果信号Scadを出力する。
【0176】
信号レベルがローレベルの演算結果信号ScadがNANDゲート224bの一方の入力端子に入力され、信号レベルがハイレベルの出力信号So0がNANDゲート224bの他方の入力端子に入力されると、表2の「Ssw4<Scof」欄の下段に示すように、NANDゲート224bは、信号レベルがハイレベルの演算結果信号Scabをトランジスタ223gのゲートGに出力する。
【0177】
また、切替信号Ssw4の信号レベルは、比較信号Scofの信号レベルよりも低いので、表2の「Ssw4<Scof」欄の下段に示すように、比較器226eは、信号レベルがハイレベルの出力信号Soeを出力する。信号レベルがハイレベルの出力信号SoeがNANDゲート224cの一方の入力端子に入力され、信号レベルがハイレベルの出力信号So0がNANDゲート224cの他方の入力端子に入力されると、表2の「Ssw4<Scof」欄の下段に示すように、NANDゲート224cは、信号レベルがローレベルの演算結果信号Scacをトランジスタ223hのゲートGに出力する。
【0178】
その結果、表2の「Ssw4<Scof」欄の下段に示すように、トランジスタ223fは、オフ状態に制御され、トランジスタ223gは、オフ状態に制御され、トランジスタ223hは、オン状態に制御される。このため、半導体素子21uに設けられたIGBT211aがオフ状態であった場合には、定電流供給部223uBは、トランジスタ223f,223g,223hのうちの定電流の電流量が最も小さいトランジスタ223hから定電流を当該IGBT211aに供給する。これにより、定電流供給部223uBは、最も低い駆動能力で当該IGBT211aをオン状態に動作させる。
【0179】
一方、当該IGBT211aがオン状態であった場合には、定電流供給部223uBは、トランジスタ223hから定電流を当該IGBT211aに供給することにより、当該IGBT211aがオン状態を維持するように駆動する。
【0180】
このように、ゲート駆動回路22B及びインテリジェントパワーモジュール2Bは、所定のツェナー電圧を有するツェナーダイオード(上記第1実施形態におけるツェナーダイオード6uH~6wL)を、上アーム及び下アームのそれぞれのU相、V相及びW相に対応する切替信号入力端子(上記第1実施形態における切替信号入力端子Tsw1~Tsw6に対応)に接続するだけで、上アーム及び下アームのそれぞれのU相、V相及びW相に対応する半導体素子に設けられたIGBT(IGBT201a,211aに対応)を駆動する駆動能力を変更することできる。
【0181】
以上説明したように、本実施形態によるスイッチング素子の駆動回路としてのゲート駆動回路22Bは、上記第1実施形態によるゲート駆動回路22Aと同様の構成を有しているので、簡易な方法でスイッチング素子を駆動するための駆動能力を選択することができる。
【0182】
本実施形態によるインテリジェントパワーモジュール2Bは、IGBT201a,211aと、ゲート駆動回路22Bとを備えている。
これにより、インテリジェントパワーモジュール2Bは、簡易な方法でスイッチング素子を駆動するための駆動能力を選択することができる。
【0183】
(変形例)
本実施形態では、ゲート駆動回路22Bに設けられた定電流供給部221uB~223wBのトランジスタ223f,223g,223hは、IGBT211aに供給する定電流の電流量が互いに異なっているが、当該定電流の電流量が同一でもよい。この場合、駆動能力切替部222uB~224wBは、信号レベル判定部226Bに設けられた比較器226aから入力される出力信号Soaの信号レベルがハイレベル、演算結果信号Scadから入力される演算結果信号Scadがローレベル、かつ出力信号Soeの信号レベルがローレベルの場合、トランジスタ223f,223g,223hの全てをオン状態に制御する。また、駆動能力切替部222uB~224wBは、比較器226a,226eから入力される出力信号Soa,Soeの信号レベルがローレベルかつ演算結果信号Scadの信号レベルがハイレベルの場合、トランジスタ223f,223g,223hのうちのいずれか2つをオン状態に制御し、残余の1つをオフ状態に制御する。さらに、駆動能力切替部222uB~224wBは、比較器226aから入力される出力信号Soaの信号レベルがローレベル、演算結果信号Scadの信号レベルがローレベル、かつ比較器226eから入力される出力信号Soeの信号レベルがハイレベルの場合、トランジスタ223hをオン状態に制御し、トランジスタ223f,223gをオフ状態に制御する。
【0184】
トランジスタ223f,223g,223hのうち、オン状態にトランジスタの個数が多いほど、定電流供給部221uA~223wBは、電流量の大きい定電流をIGBT201a,211aに供給できる。これにより、ゲート駆動回路22B及びインテリジェントパワーモジュール2Bは、所定のツェナー電圧を有するツェナーダイオード6uH~6wLを切替信号入力端子Tsw1~Tsw6に接続するだけでIGBT201a,211aを駆動する駆動能力を変更することできる。
【0185】
本発明は、上記実施形態に限らず、種々の変形が可能である。
上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、切替信号入力端子にツェナーダイオードを接続することによって、切替信号の信号レベルが設定されているが、本発明はこれに限られない。例えば、電源端子と基準電位端子との間に直列接続された複数の抵抗素子の接続部が切替信号入力端子に接続されていてもよい。この場合、当該複数の抵抗素子の抵抗分割に基づく電圧が切替信号入力端子に入力されるので、切替信号の信号レベルを設定することができる。
【0186】
上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、定電流供給部に設けられ、定電流の電流量が異なる複数のトランジスタのうちのいずれか1つがオン状態に制御されるようになっているが、本発明はこれに限られない。例えば、定電流の電流量が異なる複数のトランジスタが混在している場合も、上記第1実施形態及び上記第2実施形態の変形例のように、1又は2つ以上のトランジスタを適宜オン状態に制御されてもよい。これにより、ゲート駆動回路の駆動能力は、定電流供給部に設けられているトランジスタの個数以上に変更できる。
【0187】
上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、複数のトランジスタによってゲート駆動回路の駆動能力が切り替えられるが、本発明はこれに限られない。例えば、定電流供給部には1つのトランジスタが設けられており、切替信号の信号レベルに応じて、当該トランジスタのゲートに入力される電圧レベルが変更されることにより、当該トランジスタから供給される電流の電流量が切り替えられてもよい。この場合も、ゲート駆動回路の駆動能力を切り替えることができる。
【0188】
上記第1実施形態及び第2実施形態によるインテリジェントパワーモジュール2A,2Bは、スイッチング素子としてIGBTを備えているが、本発明はこれに限られない。インテリジェントパワーモジュール2A,2Bは、スイッチング素子として、IGBTに代えて、バイポーラトランジスタ又はパワーMOSトランジスタのいずれかを備えていてもよい。
【0189】
本発明の技術的範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の技術的範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
【符号の説明】
【0190】
1A 電力変換装置
2A,2B インテリジェントパワーモジュール
2U U相出力アーム
2V V相出力アーム
2W W相出力アーム
3 制御装置
4 交流電源部
5 平滑用コンデンサ
6uH,6vH,6wH,6uL,6vL,6wL ツェナーダイオード
7 モータ
8L 電源
20u,20v,20w,21u,21v,21w 半導体素子
22A,22B ゲート駆動回路
201,211 IGBTチップ
201a,211a IGBT
202,212 還流ダイオード
211b 温度検知素子
221uA,221uB,221vA,221vB,221wA,221wB 定電流供給部
222uA,222uB,222vA,222vB,222wA,222wB 駆動能力切替部
223a,225e-1,225f-1,225g-1,226a,226b,226d,226e 比較器
223b,225e-2,225f-2,225g-2,226c,226f 電圧生成部
223c,223d,225g-3,225h 抵抗素子
223e,225c 定電流源
223f,223g,223h,225b,233h トランジスタ
223uA,223uB,223vA,223vB,223wA,223wB 定電流供給部
224a,224b,224c NANDゲート
224d ANDゲート
224uA,224uB,224vA,224vB,224wA,224wB 駆動能力切替部
225,225uA,225vA,225wA 保護部
225a 温度検出部
225d アラーム信号生成回路
225e 制御電圧検出回路
225f 温度検出回路
225g 電流検出回路
226A,226B 信号レベル判定部
227 温度検知素子
ALM,ALMu,ALMv,ALMw アラーム信号
Ln 負極側ライン
Lp 正極側ライン
Scaa,Scab,Scac,Scad 演算結果信号
Sco,Scoc,Scof 比較信号
SinUH,SinUL,SinVH,SinVL,SinWH,SinWL 入力信号
So0,Soa,Sob,Sod,Soe 出力信号
Ssw1,Ssw2,Ssw3,Ssw4,Ssw5,Ssw6 切替信号
T22,T223 基準電位端子
Tiuh,Tiul,Tivh,Tivl,Tiwh,Tiwl 信号入力端子
Tn 負極側電源入力端子
Tp 正極側電源入力端子
Tsw1,Tsw2,Tsw3,Tsw4,Tsw5,Tsw6 切替信号入力端子
TU U相出力端子
TV V相出力端子
Tvin 電源端子
TW W相出力端子
V0 比較電圧
VFO,VFOu,VFOv,VFOw アラーム信号出力端子
図1
図2
図3