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  • 特開-管路計測装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175241
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】管路計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20231205BHJP
   G01C 7/06 20060101ALI20231205BHJP
   G01D 11/30 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G01C15/00 104B
G01C7/06
G01D11/30 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087589
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】三石 真宏
(57)【要約】
【課題】従来の管路計測装置の場合、壁に沿って動くアームやローラの動きを加速度計やジャイロスコープでデータ化しなければならず、装置としての信頼性に課題があった。また、他の従来例においては、被計測管の大きさに合わせたサイズの装置を作るため、大変な手間がかかっていた。
【解決手段】計測対象である管体Waと、管体Wa内に設けられた挿入管32と、挿入管32内に設けられた管路計測体4と、管体Waの内面30と挿入管32の外面32Bとの間の輪状空間31内に挿入された少なくとも3個以上のバルーン80と、バルーン80内に収容された流体Rと、を備え、挿入管32を管体Waに対してバルーン80を介してセンタリングする構造である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象である管体(Wa)と、前記管体(Wa)内に設けられた挿入管(32)と、前記挿入管(32)内に設けられた管路計測体(4)と、前記管体(Wa)の内面(30)と前記挿入管(32)の外面(32B)との間の輪状空間(31)内に挿入された少なくとも3個以上のバルーン(80)と、前記バルーン(80)内に収容された流体(R)と、を備え、
前記挿入管(32)を前記管体(Wa)に対して前記バルーン(80)を介してセンタリングすることを特徴とする管路計測装置。
【請求項2】
3個以上の前記バルーン(80)によって形成される1個の群を有し、前記各群は、間隔をおいて複数配設されていることを特徴とする請求項1記載の管路計測装置。
【請求項3】
前記バルーン(80)が前記管体(Wa)内で固定する時は、前記管体(Wa)の内面形状に応じて変形することを特徴とする請求項1記載の管路計測装置。
【請求項4】
前記バルーン(80)内の流体Rは、液体、気体の内の何れかであることを特徴とする請求項1又は2記載の管路計測装置。
【請求項5】
前記センタリング中は、前記バルーン(80)の第1長手方向(L1)と前記管路計測体(4)の第2長手方向(L2)は平行であることを特徴とする請求項1記載の管路計測装置。
【請求項6】
前記バルーン(80)の流体圧は、冗長系であることを特徴とする請求項1記載の管路計測装置。
【請求項7】
前記バルーン(80)は、前記管体(Wa)中を移動中は萎み、固定中は膨らむことを特徴とする請求項1記載の管路計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路計測装置に関し、特に、現場にて使用されている種々の径の管体内を管路計測装置で計測するため、この管路計測装置専用の挿入管を計測対象の管体内に挿入して、バルーンを介し、センタリングさせるための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種の管路計測装置として、特許文献1に開示された「管路計測装置」においては、図6に示される第1従来構成のように、加速度計12とジャイロスコープ14をケーシング16内に搭載したプローブ20と、該ケーシングに回動自在に軸支され、該ケーシングから外に突出し、その脚先が管路内面に接触して走行できる一側の脚22Aと、前記プローブの中心軸線L0を含む平面に対して前記一側の脚とは対称の状態に配設された他側の脚22Bと、前記一側の脚と他側の脚とのなす角度が互いに広がるよう常時付勢している弾力性部材26A、26Bと、軸支の軸JAを中心とした前記一側の脚22Aの回動を伝達し、前記他側の脚22Bを前記一側の脚の回動方向とは反対の向きに同じ大きさの角度回動させる伝達機構28A、28Bとを具備するよう構成されていた。
【0003】
また、図7は特許文献2の他の従来構成を示しており、図7には、管体Waが地滑り層50Cで曲折した場合でも、簡単に検出器を挿入及び引上げできる管路内の曲がり状態の測定装置が開示されている。管路60内の曲がり状態の測定装置及び方法は、土中に管体Waを縦方向に挿入し、地滑りによって、管体の途中位置が曲折しているか否かを管体内への管路計測体4の挿入A及び引上げによって検出するようにしたものである。管路計測体4は伸縮自在で防水性を有する袋80内に収納され、袋には圧縮器71が接続され、管路計測体4は周知のIMUからなり、袋80内の流体を抜いて袋を縮小させた状態で、管路計測体4を管体の奥へ挿入し、袋内に流体を供給して袋を膨張化して袋80を管路計測体4外に取り出す構成と方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-105627号公報
【特許文献2】特開2020-201069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の管路計測装置は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、図6の第1従来構造の場合、加速度計12及びジャイロスコープ14を有するケーシング16に設置された一対の伝達機構28A、28Bのボール24付きの脚22A、22Bを内面10Cにばねによって摺接させ、この内面10Cの状態を加速度計12及びジャイロスコープ14のデータに基づいて、ケーシングのセンタリングを行っていたため、伝達機構28A、28B及び脚22A、22B等の機械的構造に不具合が起こりやすく、信頼性が十分ではなかった。
また、図6で示す従来構造では、管路計測装置が管体10Dの大きさに合わせた寸法にぴったり合わせる必要があるため、多種類用意する必要があり、事業上、採算を取ることが困難であった。
【0006】
また、図7で示される他の第2従来構造の場合には、分岐位置検出ターゲットと呼ばれるセンサをバルーンによって管路分岐位置で固定しているため、袋80の寿命が短く、十分な信頼を得ることが困難であった。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、管路計測装置において、現場にて使用されている種々の径の管体内を管路計測装置で計測するため、この管路計測装置専用の挿入管を計測対象の管体内に挿入して、バルーンを介し、センタリングさせることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による管路計測装置は、計測対象である管体と、前記管体内に設けられた挿入管と、前記挿入管内に設けられた管路計測体と、前記管体の内面と前記挿入管の外面との間の輪状空間内に挿入された少なくとも3個以上のバルーンと、前記バルーン内に収容された流体と、を備え、前記挿入管を前記管体に対して前記バルーンを介してセンタリングする構造であり、また、3個以上の前記バルーンによって形成される1個の群を有し、前記各群は、間隔をおいて複数配設された構造であり、また、前記バルーンが前記管体内で固定する時は、前記管体の内面形状に応じて変形する構造であり、また、前記バルーン内の流体は、液体、気体の内の何れかである構造であり、また、前記センタリング中は、前記バルーンの第1長手方向と前記管路計測体の第2長手方向は平行である構造であり、また、前記バルーンの流体圧は、冗長系である構造であり、また、前記バルーンは、前記管体中を移動中は萎み、固定中は膨らむ構造である。
【発明の効果】
【0009】
本発明による管路計測装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、計測対象である管体と、前記管体内に設けられた挿入管と、前記挿入管内に設けられた管路計測体と、前記管体の内面と前記挿入管の外面との間の輪状空間内に挿入された少なくとも3個以上のバルーンと、前記バルーン内に収容された流体と、を備え、前記挿入管を前記管体に対して前記バルーンを介してセンタリングすることにより、管体の内径による治具変更の必要をなくすことができ、初期投資費用のみで複数回の計測費用を済ますことができる。
また、3個以上の前記バルーンによって形成される1個の群を有し、前記各群は、間隔をおいて複数配設されていることにより、長手状の筐体に対しても、確実なバルーンによるセンタリングを行うことができる。
また、前記バルーンが前記管体内で固定する時は、前記管体の内面形状に応じて変形することにより、バルーンの通過が容易となる。
また、前記バルーン内の流体は、液体、気体の内の何れかであることにより、その土地に応じて最良の流体を用いることができる。
また、前記センタリング中は、前記バルーンの第1長手方向と前記管路計測体の第2長手方向は平行であることにより、迅速なセンタリングができる。
また、前記バルーンの流体圧は、冗長系であることにより、長時間にわたり、センタリング動作等を継続することができる。
また、前記バルーンは、前記管体中を移動中は萎み、固定中は膨らむことにより、管路計測体の管体内での迅速な移動を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態による管路計測装置の縦断面図である。
図2図1の横断面図である。
図3図2の他の形状を示す断面図である。
図4図1のバルーンが全開状に膨らんだ状態を示す断面図である。
図5図4のバルーンが縮小した状態を示す断面図である。
図6】第1従来例を示す構造図である。
図7】第2従来例を示す構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明による管路計測装置は、現場にて使用されている種々の径の管体内を管路計測装置で計測するため、この管路計測装置専用の挿入管を計測対象の管体内に挿入して、バルーンを介し、センタリングさせることである。
【実施例0012】
以下、図面と共に本発明による管路計測装置の好適な実施の形態について説明する。
尚、前述の第2従来例(図7に示す)と同一又は同等部分には同一符号を付して説明する。
図1は本発明による管路計測装置の要部を示す断面図で、長手方向L1に沿って切断した縦断面図であり、符号Waは地中等に埋設された管体であり、この管体Waの管路Wbである内面30には、輪状空間31が形成されている。
【0013】
前記輪状空間31内の中心位置Pには、管路計測体(周知のIMU)4を有する挿入管32が設けられている。
前記挿入管32の端部の蓋体33は開閉自在に設けられていると共に孔34が設けられおり、この孔34を介して外部装置のケーブル36が前記IMU4に接続されている。
前記IMU4からの信号線35と前記ケーブル36は、図示しない上方の巻き取り機の動作によって巻き取られるように構成されている。
【0014】
前記IMU4の外面32Bと前記内面30との間の輪状空間31内には、4個の柱状をなすバルーン80が図2のように配設され、前記バルーン80の第1長手方向L1と前記管路計測体(IMU)4の第2長手方向L2は互いに平行となるように形成されている。
また、図2で示すように、前記各バルーン80の外周80aの一部80Aは、前記IMU4と前記管体Waの内面30とにそれぞれ接触しており、4個の各バルーン80には、図1で示されるように、流体(液体、気体の何れか)Rが供給または排出されるためのパイプ90が接続されている。
尚、前記各パイプ90には、図示しない流体の循環に必要な循環ポンプが複数台用いられており、一方の循環ポンプが故障した場合には、他の循環ポンプに切り換えられるように形成され、常に冗長系を保つことにより、バルーン80内の流体圧を常に一定を保つことができるように形成されている。
【0015】
次に、本発明による管路計測装置の計測動作を行う場合について説明する。
前述の管体Waは、図1では第1長手方向L1に沿って長手に形成され、前記管体Waの内面30に沿って、この内面30の上方位置から前記IMU4を内蔵した挿入管32がバルーン80に流体を供給していない潰れた状態(図5で示す)で降下する。
【0016】
前記管体Waの内面30が図1のように曲折部32A、すなわち、前記管体Waが外部の土圧等によって曲折され、輪状空間31が内側に曲がって径小化した状態が発生すると、この曲折部32Aでバルーン80が係合し、この時の前記IMU4から送信された各種データを、地上に設置された図示しない基地局で受信する。
前述の状態で、前記各バルーン80に対して流体を出入りさせることにより、前記挿入管32に対するセンタリングの動作が行われ、前記IMU4からのデータによって前記挿入管32のセンタリングが終了し、IMU4を固定するために、前記各バルーン80に流体Rが供給されて、図5で示すように、各バルーン80は、縮小された形状から、図4で示すように、拡大した形状、すなわち、図2のように、各バルーン80の外周80aの一部80Aが前記外面32Bの一部に強力に押圧され、前記各バルーン80が管体Waの内面30に対して強く押されてバルーン80によるIMU4のセンタリングが行われる。
【0017】
尚、前述の場合、センタリングにより前記IMU4を有する前記挿入管32の位置決めが行われて、その後、管体Waのどこかの位置にIMU4が固定され、かつ前記IMU4によってその位置データが外部装置へ送られることになる。
また、前記センタリング中においては、前記バルーン80の第1長手方向L1と前記IMU4の第2長手方向L2は互いに平行である。
また、前記各バルーン80の流体圧は、冗長系であり、かつ、各バルーン80は管体Wa中を移動中は萎み(縮小化)、逆にバルーン80が固定中の場合には膨らんで膨大、前記管体Waが固定した時は、膨らむように形成されている。
【0018】
図3は、図2の他の形状を示す断面図であり、この図3においては、前記IMU4の前記外面32Bと前記管体Waの前記内面30との間の前記輪状空間31内に3個のバルーン80が配設されており、3個の前記バルーン80は前記IMU4の外周に等間隔に配設されている。前記バルール80の数は少なくとも3個以上であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明による管路計測装置は、IMUを有する挿入管と管体との間の輪状空間内に、複数のバルーンを配設し、このバルーンを用いたセンタリングによって、迅速なIMUの固定ができ、管体の移動中は、各バルーンを縮小化できるため、管体の迅速なセンタリング及び固定を行うことができ、工事現場の管体設置の効率化を図ることができる。
【0020】
尚、本実施の形態においては、図示していないが、図3に示されている3個のバルーン80をまとめることにより、1個の群を形成し、この群を図1の挿入管32の外面32Bにその長手方向に沿って間隔をあけて複数個形成して用いることで、長手形状の管体Waに対しても、正確な管路測定を行うことができる。
【符号の説明】
【0021】
4 IMU(管路計測体)
30 内面
31 輪状空間
32 挿入管
32A 曲折部
32B 外面
33 蓋体
34 孔
35 信号線
36 ケーブル
80 バルーン
80A 一部
80a 外周
90 パイプ
L1 第1長手方向
L2 第2長手方向
P 中心位置
R 流体
Wa 管体
Wb 管路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7