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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175254
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】燃料供給装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 37/10 20060101AFI20231205BHJP
   F02M 37/08 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
F02M37/10 B
F02M37/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087608
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】塚田 悟
(72)【発明者】
【氏名】鵤木 孝夫
(57)【要約】
【課題】省スペースで配置可能であり、小型化しても強度を維持することが可能で、燃料供給効率向上が可能で、燃料吸引効率向上が可能な燃料供給装置を提供する。
【解決手段】燃料タンク2内の燃料Fを供給する燃料供給装置1であって、燃料タンクに開口した開口部2bを覆うオーバル輪郭形状を有するフランジ部材30と、燃料タンク内に配置される燃料ポンプ10と、燃料ポンプを収容してフランジ部材に取り付けられるポンプ収容部材20と、フランジ部材を厚さ方向に貫通する燃料流路が内部に配置されて燃料タンク内に突出する燃料流路収容部70と、を備え、燃料ポンプは、長手方向の一端が燃料流路収容部に接続され、他端に燃料吸入口14が形成され、フランジ部材の厚さ方向に見て、燃料ポンプの燃料吸入口がフランジ部材の輪郭外方に位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクに取り付けられ前記燃料タンク内の燃料を前記燃料タンク外に供給する燃料供給装置であって、
前記燃料タンクに開口した開口部を覆うオーバル輪郭形状を有するフランジ部材と、
前記燃料タンク内に露出した前記フランジ部材の配置面および前記フランジ部材のオーバル輪郭長軸方向に長手方向が沿った状態で前記燃料タンク内に配置される燃料ポンプと、
前記燃料ポンプを収容して前記フランジ部材に取り付けられる筒状のポンプ収容部材と、
前記フランジ部材を厚さ方向に貫通して前記燃料ポンプから送られた燃料を前記燃料タンク外に供給する燃料流路が内部に配置されて前記配置面から前記燃料タンク内に突出する燃料流路収容部と、
を備え、
前記燃料ポンプは、長手方向の一端が前記燃料流路収容部に接続され、他端に燃料吸入口が形成され、
前記フランジ部材の厚さ方向に見て、前記燃料ポンプの前記燃料吸入口が前記フランジ部材のオーバル輪郭形状長軸方向で外方に位置する、
ことを特徴とする燃料供給装置。
【請求項2】
前記燃料流路収容部が筒状に立設しており、前記フランジ部材の厚さ方向に見て、前記燃料流路収容部の中心が、前記フランジ部材のオーバル輪郭形状長軸方向で前記燃料流路収容部よりも外方となる端部の円弧状輪郭の中心の近傍で前記オーバル輪郭形状長軸の中心に近接する位置にある、
ことを特徴とする請求項1記載の燃料供給装置。
【請求項3】
前記フランジ部材の厚さ方向に見て、前記フランジ部材のオーバル輪郭短軸方向に沿った前記燃料流路収容部の両側に径方向外向きに延在する支持板部が形成され、
前記支持板部および前記燃料流路収容部よりも、前記フランジ部材のオーバル輪郭形状長軸方向で外方には、前記配置面から凹んだ配置面凹部が形成される、
ことを特徴とする請求項2記載の燃料供給装置。
【請求項4】
前記配置面凹部には、前記燃料タンク外から引き込まれ前記燃料ポンプに電力供給する配線に接続されたターミナルが配置され、
前記ターミナルは、前記フランジ部材の厚さ方向に見て前記フランジ部材の周縁から離間して配置される、
ことを特徴とする請求項3記載の燃料供給装置。
【請求項5】
前記フランジ部材の厚さ方向に見て、前記フランジ部材のオーバル輪郭短軸方向に沿った前記燃料流路収容部の両側に径方向外向きに延在する支持板部が形成され、
前記支持板部および前記燃料流路収容部よりも、前記フランジ部材のオーバル輪郭形状長軸方向で前記燃料ポンプと一致する方向となる前記配置面の裏面には、前記フランジ部材の周縁部から凹んだ裏面凹部が形成される、
ことを特徴とする請求項2記載の燃料供給装置。
【請求項6】
前記裏面凹部には、前記フランジ部材のオーバル輪郭短軸方向に沿って延在する裏面リブが形成され、
前記フランジ部材と前記ポンプ収容部材とがスライドして互いに取り付けられる取付方向を前記フランジ部材の前記配置面に沿うように規制するガイドレール構造を備え、
前記ガイドレール構造は、前記取付方向に互いにスライドするレール部およびガイド部を有するとともに、少なくとも前記レール部および前記ガイド部の一方に、前記取付方向のスライド始端よりもスライド終端において互いに接触圧を増大するように傾斜した傾斜部が形成され、
前記裏面リブは、前記フランジ部材のオーバル輪郭形状長軸方向で前記傾斜部と一致する位置に形成される、
ことを特徴とする請求項5記載の燃料供給装置。
【請求項7】
前記裏面凹部には、前記フランジ部材のオーバル輪郭短軸方向に沿って延在する裏面リブが形成され、
前記フランジ部材と前記ポンプ収容部材とがスライドして互いに取り付けられる取付方向を前記フランジ部材の前記配置面に沿うように規制するガイドレール構造を備え、
前記ガイドレール構造は、前記取付方向に互いにスライドするレール部およびガイド部を有するとともに、少なくとも前記レール部および前記ガイド部の一方に、前記取付方向のスライド始端よりもスライド終端において互いに接触圧を増大するように傾斜した傾斜部が形成され、
前記裏面リブは、前記フランジ部材のオーバル輪郭形状長軸方向で前記傾斜部よりも終端側となる位置に形成される、
ことを特徴とする請求項5記載の燃料供給装置。
【請求項8】
前記燃料タンク外で前記フランジ部材の前記裏面およびオーバル輪郭長軸方向に沿った状態で延在し前記燃料タンク外から前記燃料ポンプに電力供給する配線に接続される外部コネクタが設けられ、
前記外部コネクタが前記裏面から前記フランジ部材の厚さ方向に立設された支持部により前記裏面から離間する、
ことを特徴とする請求項5記載の燃料供給装置。
【請求項9】
前記フランジ部材は、前記燃料タンクの側壁面部に配置された前記開口部に取り付けられ、同時に、そのオーバル輪郭長軸の一端が上方に他端が下方となるように傾斜して配置される、
ことを特徴とする請求項1記載の燃料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、燃料タンクからエンジンに燃料を供給するための車両用の燃料供給装置が知られている。特許文献1に記載されるように、燃料タンクの底部に配置された燃料供給装置が知られている。燃料供給装置は、燃料タンクに貯留された燃料を吸入口から吸引し、エンジンに圧送する燃料ポンプと、燃料ポンプ内に異物が混入しないようにするために吸入口に取り付けられるフィルタと、を備えている。
【0003】
燃料供給装置は、例えば、燃料ポンプを内包する円筒状のカップ(外装体)と、カップに取り付けられるプレッシャレギュレータと、を備えている。燃料ポンプは、排出ポート(燃料取出管)を介して燃料を吐出する。プレッシャレギュレータは、燃料供給装置から内燃機関へと供給される燃料の圧力が過大になるのを防止する。このため、プレッシャレギュレータは、燃料ポンプの排出ポートから内燃機関に至る間の流路の途中に設けられる。
【0004】
この燃料供給装置では、燃料ポンプとカップ(外装体)とは、燃料タンクの壁部・底部と軸線を平行に配置されている。カップ、および、カップとプレッシャレギュレータとをタンクに取り付けるフランジ(蓋部材)は、例えば樹脂製とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-233067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、車体前後に設けられた車体フレームを跨いで配置されるような燃料タンクにおいて燃料供給装置を取り付ける場合、その内部には充分なスペースがないため、省スペースで配置可能な燃料供給装置が求められていた。同時に、燃料ポンプを取り付ける部分が曲面敷かない可能性があり、燃料ポンプを燃料タンクに取り付けるフランジの輪郭形状を小さくしたいという要求がある。さらに、フランジを小さくした場合、取り付け強度が足りなくなるおそれがあるため、小型化にともなって、燃料供給装置における機械的強度が低下してしまうことを防止したいという要求がある。
【0007】
また、スペースのない燃料タンク内では、燃料の偏在が発生してうまく燃料吸引がおこなえない可能性があり、これを改善したいという要求があった。また、省スペース化を求めて小型化した場合、燃料供給装置におけるエンジンへの燃料供給効率が低減する可能性があり、これを改善したいという要求があった。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、省スペースで配置可能であり、小型化しても強度を維持することが可能で、燃料供給効率向上が可能で、燃料吸引効率向上が可能な燃料供給装置を提供するという目的を達成しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明の一形態にかかる燃料供給装置は、
燃料タンクに取り付けられ前記燃料タンク内の燃料を前記燃料タンク外に供給する燃料供給装置であって、
前記燃料タンクに開口した開口部を覆うオーバル輪郭形状を有するフランジ部材と、
前記燃料タンク内に露出した前記フランジ部材の配置面および前記フランジ部材のオーバル輪郭長軸方向に長手方向が沿った状態で前記燃料タンク内に配置される燃料ポンプと、
前記燃料ポンプを収容して前記フランジ部材に取り付けられる筒状のポンプ収容部材と、
前記フランジ部材を厚さ方向に貫通して前記燃料ポンプから送られた燃料を前記燃料タンク外に供給する燃料流路が内部に配置されて前記配置面から前記燃料タンク内に突出する燃料流路収容部と、
を備え、
前記燃料ポンプは、長手方向の一端が前記燃料流路収容部に接続され、他端に燃料吸入口が形成され、
前記フランジ部材の厚さ方向に見て、前記燃料ポンプの前記燃料吸入口が前記フランジ部材のオーバル輪郭形状長軸方向で外方に位置する、
ことにより上記課題を解決した。
【0010】
上記の構成によれば、燃料ポンプよりも短い長軸を有するオーバル輪郭形状のフランジ部材により、フランジ部材の輪郭を小さくして取り付け位置の自由度が高い状態で、オーバル輪郭形状を有するフランジ部材が傾斜した状態で燃料タンクに取り付けられる。これにより、燃料ポンプの燃料吸入口およびこの燃料吸入口に接続されるフィルタを燃料タンクの底面部の最下部に位置するように燃料供給装置を取り付けることができる。燃料タンク内で貯留される燃料が減少した場合でも、必要な燃料を吸入して、エンジン等に供給することが容易となる。しかも、車体前後に設けられた車体フレームを跨いで配置されるような燃料タンクにおいて、その内部空間が小さい場合でも、燃料供給装置を省スペース化して燃料供給が可能な位置に取り付けることが可能となる。タンクレイアウトの向上を図ることができる。また、燃料供給装置を燃料タンクに取り付ける際の作業性を向上することが可能となる。
しかも、この場合、車体フレームを跨いだ位置となる側壁面部に燃料供給装置を配置することが可能なため、露出度の多い二輪車両においてもその外観における美感を損なうことがなく、デザイン性を求める二輪車両等においても、その外観に影響を及ぼさない配置とすることができる。
【0011】
(2) 本発明の燃料供給装置は、上記(1)において、
前記燃料流路収容部が筒状に立設しており、前記フランジ部材の厚さ方向に見て、前記燃料流路収容部の中心が、前記フランジ部材のオーバル輪郭形状長軸方向で前記燃料流路収容部よりも外方となる端部の円弧状輪郭の中心の近傍で前記オーバル輪郭形状長軸の中心に近接する位置にある、
ことができる。
【0012】
上記の構成によれば、燃料ポンプよりも短い長軸を有するオーバル輪郭形状のフランジ部材により、フランジ部材の輪郭を小さくして取り付け位置の自由度が高い状態で、オーバル輪郭形状を有するフランジ部材が傾斜した状態で燃料タンクに取り付けられる。車体前後に設けられた車体フレームを跨いで配置されるような燃料タンクにおいて、その内部空間が小さい場合でも、燃料供給装置を省スペース化して燃料供給が可能な位置に取り付けることが可能となる。しかも、フランジ部材から立設された燃料流路収容部やハーネス等が、燃料タンクの開口部に当接しないように燃料供給装置を燃料タンクに取り付けることができる。タンクレイアウトの向上を図ることができる。また、燃料供給装置を燃料タンクに取り付ける際の作業性を向上することが可能となる。
【0013】
(3) 本発明の燃料供給装置は、上記(2)において、
前記フランジ部材の厚さ方向に見て、前記フランジ部材のオーバル輪郭短軸方向に沿った前記燃料流路収容部の両側に径方向外向きに延在する支持板部が形成され、
前記支持板部および前記燃料流路収容部よりも、前記フランジ部材のオーバル輪郭形状長軸方向で外方には、前記配置面から凹んだ配置面凹部が形成される、
ことができる。
【0014】
上記の構成によれば、燃料流路収容部の外周には、燃料流路収容部と同じ方向に立設される支持板部がオーバル輪郭短軸方向に沿った径方向外向きに形成されることで、支持板部によって配置面からフランジ部材の厚さ方向に突出している燃料流路収容部の強度を増すことができる。これにより、燃料ポンプの接続される燃料流路収容部の強度が増加して、燃料供給装置を軽量化および小型化でき、取り付け作業性が低下することなどがない。
【0015】
(4) 本発明の燃料供給装置は、上記(3)において、
前記配置面凹部には、前記燃料タンク外から引き込まれ前記燃料ポンプに電力供給する配線に接続されたターミナルが配置され、
前記ターミナルは、前記フランジ部材の厚さ方向に見て前記フランジ部材の周縁から離間して配置される、
ことができる。
【0016】
上記の構成によれば、ターミナルとフランジ部材の周縁、および、ターミナルと燃料流路収容部が、フランジ部材の厚さ方向に見ていずれも離間した配置であり、ターミナルが燃料流路収容部および支持板部と同じ方向に立設することで、燃料タンク内における水分等によりターミナル内部の端子等金属部分を腐食してしまうことを防止できる。また、リブ等によってフランジ部材とターミナルと燃料流路収容部とを接続することでフランジ部材の強度を向上することが可能となる。
【0017】
(5) 本発明の燃料供給装置は、上記(2)において、
前記フランジ部材の厚さ方向に見て、前記フランジ部材のオーバル輪郭短軸方向に沿った前記燃料流路収容部の両側に径方向外向きに延在する支持板部が形成され、
前記支持板部および前記燃料流路収容部よりも、前記フランジ部材のオーバル輪郭形状長軸方向で前記燃料ポンプと一致する方向となる前記配置面の裏面には、前記フランジ部材の周縁部から凹んだ裏面凹部が形成される、
ことができる。
【0018】
上記の構成によれば、配置面にフランジ部材と前記ポンプ収容部材とをスライドして互いに取り付ける取付方向を規制するガイドレール構造を設けることができ、かつ、フランジ部材の強度を維持したままその軽量化と小型化とを図ることが可能となる。また、燃料供給装置の高さ寸法を増やすことなく燃料流路収容部の立設高さを増加することができるため、燃料流路収容部に水等が侵入することを阻害しやすくできる。
【0019】
(6) 本発明の燃料供給装置は、上記(5)において、
前記裏面凹部には、前記フランジ部材のオーバル輪郭短軸方向に沿って延在する裏面リブが形成され、
前記フランジ部材と前記ポンプ収容部材とがスライドして互いに取り付けられる取付方向を前記フランジ部材の前記配置面に沿うように規制するガイドレール構造を備え、
前記ガイドレール構造は、前記取付方向に互いにスライドするレール部およびガイド部を有するとともに、少なくとも前記レール部および前記ガイド部の一方に、前記取付方向のスライド始端よりもスライド終端において互いに接触圧を増大するように傾斜した傾斜部が形成され、
前記裏面リブは、前記フランジ部材のオーバル輪郭形状長軸方向で前記傾斜部と一致する位置に形成される、
ことができる。
【0020】
上記の構成によれば、フランジ部材とポンプ収容部材とを取り付けた際に、レール部およびガイド部の接触圧が増大する傾斜部に対応する位置を裏面リブの形成位置とすることで、この接触圧の増大、すなわち、フランジ部材に対して印加される荷重の増大を裏面リブによって吸収し、変形等が発生することを防止可能とできる。これにより、フランジ部材における強度を向上し、燃料供給装置における変形発生等を防止して、燃料流路収容部および燃料ポンプの開口部に対する変位を防止することが可能となり。これにより、燃料供給装置の動作信頼性を向上することができる。
【0021】
(7) 本発明の燃料供給装置は、上記(5)において、
前記裏面凹部には、前記フランジ部材のオーバル輪郭短軸方向に沿って延在する裏面リブが形成され、
前記フランジ部材と前記ポンプ収容部材とがスライドして互いに取り付けられる取付方向を前記フランジ部材の前記配置面に沿うように規制するガイドレール構造を備え、
前記ガイドレール構造は、前記取付方向に互いにスライドするレール部およびガイド部を有するとともに、少なくとも前記レール部および前記ガイド部の一方に、前記取付方向のスライド始端よりもスライド終端において互いに接触圧を増大するように傾斜した傾斜部が形成され、
前記裏面リブは、前記フランジ部材のオーバル輪郭形状長軸方向で前記傾斜部よりも終端側となる位置に形成される、
ことができる。
【0022】
上記の構成によれば、フランジ部材とポンプ収容部材とを取り付けた際に、レール部およびガイド部の接触圧が増大した後に傾斜部を越えてスライドし、これらを互いに固定する固定部に対応する位置を裏面リブの形成位置とすることで、この接触圧の増大、すなわち、フランジ部材に対して印加される荷重の増大を裏面リブによって吸収し、変形等が発生することを防止可能とできる。これにより、フランジ部材における強度を向上し、燃料供給装置における変形発生等を防止して、燃料流路収容部および燃料ポンプの開口部に対する変位を防止することが可能となり。これにより、燃料供給装置の動作信頼性を向上することができる。
【0023】
(8) 本発明の燃料供給装置は、上記(5)において、
前記燃料タンク外で前記フランジ部材の前記裏面およびオーバル輪郭長軸方向に沿った状態で延在し前記燃料タンク外から前記燃料ポンプに電力供給する配線に接続される外部コネクタが設けられ、
前記外部コネクタが前記裏面から前記フランジ部材の厚さ方向に立設された支持部により前記裏面から離間する、
ことができる。
【0024】
上記の構成によれば、フランジ部材の輪郭を小さくしても、外部コネクタへの接続作業性が悪化することがない。これにより、燃料供給装置を燃料タンクに取り付ける際の作業性を向上することを可能とし、外部コネクタへの接続作業性を向上することを可能とすることができる。また、燃料タンクへの燃料供給装置の組み付け時に、フランジ部材から突出した燃料ポンプの燃料吸入口側端部からタンク開口部へ燃料供給装置を挿入する際、外部コネクタがじゃまになることを抑制して、燃料流路収容部やハーネス(リード線)等の給電部などが開口部に直接接触して損傷することを防止できる。
【0025】
(9) 本発明の燃料供給装置は、上記(1)において、
前記フランジ部材は、前記燃料タンクの側壁面部に配置された前記開口部に取り付けられ、同時に、そのオーバル輪郭長軸の一端が上方に他端が下方となるように傾斜して配置される、
ことができる。
【0026】
上記の構成によれば、車体前後に設けられた車体フレームを跨いで配置されるような燃料タンクにおいても、フランジ部材がタンク壁における最下部に近い側壁面部に設けられた開口部を覆うように配置されることにより、燃料タンクに沿って配索されるため露出度の多い二輪車両においてもその外観における美感を損なうことがなく、特に、外部コネクタへの電源配線が屈曲した状態で接続されることを防止して、接続作業における取り回しの容易化と、電源配線へのダメージ低下を図ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、省スペースで配置可能であり、小型化しても強度を維持することが可能で、燃料供給効率向上が可能で、燃料吸引効率向上が可能な燃料供給装置を提供することができるという効果を奏することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係る燃料供給装置の第1実施形態を示す斜視図である。
図2】本発明に係る燃料供給装置の第1実施形態を示す断面図である。
図3】本発明に係る燃料供給装置の第1実施形態を示す上面図である。
図4】本発明に係る燃料供給装置の第1実施形態を示す裏面図である。
図5】本発明に係る燃料供給装置の第1実施形態におけるフランジ部材を示す斜視図である。
図6】本発明に係る燃料供給装置の第1実施形態におけるポンプ収容部材を示す斜視図である。
図7】本発明に係る燃料供給装置の第1実施形態におけるポンプ収容部材のガイドレール構造を示す斜視図である。
図8】本発明に係る燃料供給装置の第1実施形態における縦ガイドレール構造を示すX-Y面の断面図である。
図9】本発明に係る燃料供給装置の第1実施形態における縦ガイドレール構造を示すX-Y面の断面図である。
図10】本発明に係る燃料供給装置の第1実施形態における縦ガイドレール構造を示すY-Z面の断面図である。
図11】本発明に係る燃料供給装置の第1実施形態におけるガイドレール構造を示すX-Y面の断面図である。
図12】本発明に係る燃料供給装置の第1実施形態の燃料タンクへの取り付け状態を示す斜視図である。
図13】本発明に係る燃料供給装置の第1実施形態における縦ガイドレール構造の他の例を示すY-Z面の断面図である。
図14】本発明に係る燃料供給装置の第1実施形態における縦ガイドレール構造の他の例を示すY-Z面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る燃料供給装置の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における燃料供給装置を示す斜視図であり、図2は、本実施形態における燃料供給装置を示す断面図である。図3は、本実施形態における燃料供給装置を示す上面図である。図4は、本実施形態における燃料供給装置を示す裏面図である。図において、符号1は、燃料供給装置である。
なお、以下の説明では、後述する燃料ポンプ10の中心軸を中心軸C(図2参照)とし、中心軸Cに沿った方向を取付方向(スライド方向;X方向)といい、後述する燃料タンク2の側壁面部2cに形成されている開口部2bを閉塞するフランジ部材30の配置面に沿って取付方向と直交する方向を交差方向(Y方向)といい、配置面に対する法線方向を対向方向(Z方向)という。
【0030】
<燃料供給装置>
本実施形態に係る燃料供給装置1は、自動二輪車や四輪車等の車両に取り付けられる。燃料供給装置1は、いわゆる下付タイプのものである。燃料供給装置1は、図1図4に示すように、燃料タンク2の底面部2a(図12参照)に近接した側壁面部2cに形成されている開口部2bから挿入され、燃料タンク2の側壁面部2cに取り付けられている。燃料供給装置1は、燃料タンク2内に配置される燃料ポンプ10と、燃料ポンプ10を内包(収容)するカップ(ポンプ収容部材)20と、カップ20とともに燃料ポンプ10を支持するとともに燃料タンク2の側壁面部2cに面一に取り付けられるフランジユニット(フランジ部材)30と、フランジユニット30の内部に取り付けられたプレッシャレギュレータ45と、を備えている。
【0031】
すなわち、本実施形態に係る燃料供給装置1は、燃料タンク2の底面部2aに近接した側壁面部2cに開口した開口部2bを覆うフランジ部材30と、燃料タンク2内に露出したフランジ部材30の配置面30aに沿うように横置き状態で燃料タンク2内のZ方向下側となる底面部2a付近に配置される燃料ポンプ10と、燃料ポンプ10を収容してフランジ部材30に取り付けられる筒状のポンプ収容部材20と、燃料ポンプ10に接続されるフィルタ14aと、ポンプ収容部材20に接続されたインレットカバー50と、後述するように、フランジ部材30とポンプ収容部材20とが互いにX方向にスライドして取り付けられる取付方向をフランジ部材30の配置面30aに沿うように規制するガイドレール構造100と、取付方向のスライド終端となる位置でフランジ部材30とポンプ収容部材20とを互いに係止して位置規制するスナップフィット構造200と、を備える。
【0032】
<燃料ポンプ>
燃料ポンプ10は、中心軸C方向がX方向に一致した円柱状に形成されている。燃料ポンプ10は、図1図3で左側に配設されたモータ部11と、図1図3で右側に配設されたポンプ部12と、を有している。燃料ポンプ10の外周面は、例えば金属からなる円筒状のハウジングケース13により形成されている。ハウジングケース13は、モータ部11とポンプ部12とを外側から支持している。
【0033】
なお、ここで、図中の右側とは、X方向における右側、つまり、フランジ部材30の配置面30aおよび燃料ポンプ10の軸線方向に沿った向きで燃料吸引側を意味する。また、左側とは、同様に、X方向における左側、つまり、フランジ部材30の配置面30aおよび燃料ポンプ10の軸線方向に沿った向きで燃料吐出側を意味する。
モータ部11には、例えば、ブラシ(不図示)付きの直流モータ11aが使用される。 モータ部11は、径方向中央にX下方向に沿って延びる出力軸15を有している。出力軸15は、モータ部11の左側からポンプ部12の右側まで延びている。出力軸15は、燃料ポンプ10の外形である円柱の軸線と一致する。
【0034】
ポンプ部12には、インペラ16を有する非容積型のポンプが用いられている。ポンプ部12には、インペラ16の他に、インペラ16の全体を覆うように形成されたインペラケース18を有している。
インペラ16は、例えば樹脂により円板状に形成された部材である。インペラ16の径方向中央に挿通孔16aが形成されている。挿通孔16aに直流モータ11aの出力軸15が挿通されている。出力軸15は、その軸線方向がX方向となるように配置される。
【0035】
インペラ16の左面および右面には、外周側に複数の羽根部(不図示)が形成されている。これら複数の羽根部の間は、インペラ16の左面および右面を貫通している。また、インペラ16の挿通孔16aと不図示の羽根部との間には、インペラ16の左面および右面とを貫通する燃料流路孔(不図示)が形成されている。そして、直流モータ11aが駆動してインペラ16が回転すると、燃料Fが不図示の燃料流路孔を通過し、インペラ16の右側から左側に向かって圧送される。
【0036】
インペラケース18は、インペラ16の左面、右面および外周を覆うように形成されている。インペラケース18の右面18aの外周縁には、ハウジングケース13の下端がかしめられている。また、インペラケース18の右面の外周側には、右方に向けて突出した燃料吸入口14が形成されている。さらに、インペラケース18には、X方向に貫通する連通孔(不図示)が形成されており、不図示の連通孔が、燃料吸入口14と連通されている。これにより、燃料吸入口14および不図示の連通孔を介してポンプ部12に燃料Fが汲み上げられる。このような燃料ポンプ10の右側には、カップ20に対してインレットカバー50が装着される。
【0037】
ハウジングケース13の左側には、排出ポート51が形成される。排出ポート51は、燃料流路収容部(レギュレータ収容部)70に形成された燃料流路71に連通する。
ハウジングケース13の左側には、ポンプ部12を駆動する電力源に接続される給電端子19が形成される。給電端子19は、後述するフランジ部32のオーバル輪郭形状の短軸に沿った方向(Y方向)の両端にそれぞれ形成される。給電端子19は、レギュレータ収容部70の頂部(端部)70aよりも配置面30aに近接して配置される。給電端子19に関しては後述する。
【0038】
モータ部11の右側には、アウトレットカバー17が設けられている。アウトレットカバー17は、例えば樹脂によって形成されている。アウトレットカバー17は、フランジ部材30と一体とされる。アウトレットカバー17は、円筒状のカップ20に収納された燃料ポンプ10に当接する。アウトレットカバー17は、後述するようにフランジ部材30の配置面30aから立設されるレギュレータ収容部70と一体とされる。
【0039】
アウトレットカバー17は、配置面30aから立設された直方体状に形成される。アウトレットカバー17は、後述するスナップフィット構造200によってフランジ部材30とカップ20とが係止された際に、カップ20に対して燃料ポンプ10が収納された状態を維持するように構成される。なお、アウトレットカバー17は、カップ20に対して燃料ポンプ10を収納状態に維持できれば他の形状とすることができる。
アウトレットカバー17には、カップ20および燃料ポンプ10に当接する当接面17aが形成される。当接面17aは、X方向で、カップ20および燃料ポンプ10に対向する平面とされる。当接面17aは、Z方向に延在するように形成される。
【0040】
<インレットカバー>
インレットカバー50は、円筒状のカップ20の右端から、図1中でさらに右側に配置される。インレットカバー50は、カップ20の右端の周囲を囲んでカップ20対して取り付けられる。さらに、インレットカバー50の下内部には、燃料Fを燃料ポンプ10に流入する燃料吸入口14が位置している。
インレットカバー50の内部には、燃料吸入口14と連通する図示しないチェックバルブとが収納されていてもよい。チェックバルブは、燃料吸入口14から流入された燃料Fが逆流しないようにするためのものである。
【0041】
インレットカバー50には、燃料タンク2に貯留されている燃料Fの液面高さを検出するための液面検出器が取り付けられていてもよい。燃料吸入口14には、1次フィルタ(フィルタ)14aが接続される。フィルタ14aは、インレットカバー50に収納される。フィルタ14aは、燃料タンク2内の最下方に位置する。なお、インレットカバー50のX方向におけるカップ20と逆側は開口されて、燃料タンク2内の燃料Fが流入可能となっている。1次フィルタ14aについては後述する。
【0042】
<カップ(ポンプ収容部材)>
カップ(ポンプ収容部材)20は、例えば、耐久性に優れた樹脂により、X方向で左方のレギュレータ収容部70に向けて開口部を有する有底筒状に形成されている。すなわち、カップ20は、燃料ポンプ10を内部に収容するように装着される。カップ20は、燃料ポンプ10に外嵌される筒部22と、筒部22の右端開口部を閉塞するように形成された端壁21とが一体形成されたものである。
【0043】
カップ20の筒部22には、X方向で右側に向かって延出形成された板状の係止片202が形成されている。係止片202は、筒部22の頂部にその外周を軸線方向に延長するように形成されている。係止片202は、レギュレータ収容部70の上端まで延在する被覆片220を有する。係止片202に関しては後述する。
カップ20の筒部22には、外周面に開口する窓部23が設けられていてもよい。窓部23が複数形成されることができる。カップ20の筒部22には、その下部にフランジ部材30に対してスライド可能なガイドレール構造100が形成される。
【0044】
カップ20の下端は、フランジ部材30と接している。カップ20のZ方向の下側には、後述するように下端面であるスライド面20aを有する厚さを持ったスライド部24が形成されている。スライド面20aは、配置面30aと平行であり、X-Y方向に延在する。また、スライド面20aの形成されたスライド部24のY方向の寸法は、燃料ポンプ10を収納する筒部22のY方向の寸法よりも小さい。また、スライド部24のX方向の寸法は、燃料ポンプ10を収納する筒部22のX方向の寸法よりも小さい。つまり、スライド部24は、Z方向視してカップ20の筒部22にほぼ隠れるように形成される。
【0045】
なお、スライド部24に形成されたスライド面20aのX方向の寸法は、後述するように、燃料ポンプ10を収納する筒部22のX方向の寸法よりも小さい。スライド部24のZ方向の寸法つまり厚さは、後述するように、ガイドレール構造100としての溝を形成しても、フランジ部材30とカップ20とのスライドを可能とするとともに燃料ポンプ10を保持可能な強度を有するものとされる。
【0046】
<フランジユニット>
フランジユニット(フランジ部材)30は、例えば耐油性に優れた樹脂により形成されたものである。フランジユニット30は、開口部2bを閉塞する板状のフランジ部32と、フランジ部32の燃料タンク2内向きに立設された燃料流路収容部(レギュレータ収容部)70と、フランジ部32の燃料タンク2外向きに延出する筒部34と、筒部34と離間してフランジ部32の燃料タンク2外向きに延出する外部コネクタ33と、を有している。
【0047】
フランジ部32は、開口部2bの輪郭形状に対応した輪郭形状を有する。本実施形態では、フランジ部32は、平面視してオーバル輪郭形状を有する。フランジ部32は、燃料タンク2の内側に配置面30aが形成される。フランジ部32には、平面視して、中心からオーバル輪郭形状の長軸方向に偏心した位置にレギュレータ収容部70が立設される。ここで、オーバル輪郭形状とは、長円状あるいは、楕円状を意味する。
フランジ部32は、オーバル輪郭形状の長軸方向がX方向に一致する。つまり、燃料ポンプ10は、中心軸C方向が、オーバル輪郭形状の長軸方向に一致する。
【0048】
フランジ部32には、燃料タンク2の開口部2bに対応する部位に、上方に向けて突出する周溝部32aが形成されている。そして、燃料タンク2の外側から開口部2bにフランジユニット30を挿入し、燃料タンク2の側壁面部2cにフランジユニット30のフランジ部32に外方から固定部材(不図示)に当接し、この固定部材をボルト(不図示)によって燃料タンク2に締結固定する。
フランジ部32は、開口部2bの周囲に対応する裏面30bに固定凸部32gを有し、この固定凸部32gが斜めに固定されたフランジ部材30における下方に位置する(図4図12参照)。
【0049】
すると、フランジ部32よりも図1における下側(筒部34および外部コネクタ33等)が燃料タンク2の外部に露出した状態になる。またフランジ部32よりも図1における上側(レギュレータ収容部70等)が燃料タンク2内の燃料Fに浸漬可能な状態になる。フランジ部32と燃料タンク2の側壁面部2cとの間には、ゴム等からなるシール部材32bが設けられており、燃料供給装置1と燃料タンク2とのシール性を確保することができる。
【0050】
フランジ部32において、周溝部32aは、フランジ部材30のオーバル輪郭形状の長軸方向(X方向)において、端壁21よりもレギュレータ収容部70に近接する。つまり、Z方向視して周溝部32aは、カップ20の筒部22に隠れる部分を有する。
【0051】
レギュレータ収容部70は、フランジ部32の配置面30aからZ方向に立設され、その内部に燃料流路71が形成されている。燃料流路71は、フランジ部32を厚さ方向に貫通して、筒部34内部へと連通する。燃料流路71はZ方向に延在する。配置面30aから最も離間したレギュレータ収容部70の頂部(端部)70a付近には、プレッシャレギュレータ45が収納される。
レギュレータ収容部70は、フランジ部32の配置面30aからZ方向に立設する筒状の筒部70dと、筒部70dの径方向外側に向かって形成された複数の支持板部70eと、を有する。筒部70dと支持板部70eとは一体に形成される。筒部70dと支持板部70eとの基端は、いずれもフランジ部32と一体に形成される。
【0052】
レギュレータ収容部70の外周位置には、レギュレータ収容部70の径方向外向きに延在する支持板部70eが形成され、支持板部70eが配置面30aからZ方向にレギュレータ収容部70に沿って立設する。支持板部70eは、筒部70dの周方向に複数形成される。
支持板部70eは、レギュレータ収容部70の立設方向であるZ方向と平行な面を有する。支持板部70eが、フランジ部材30の厚さ方向に見て、レギュレータ収容部70に対する周方向に複数枚形成される。
【0053】
支持板部70eは、フランジ部材30の厚さ方向であるZ方向に見て、フランジ部材30のオーバル輪郭短軸方向であるY方向に沿った筒部70dの両側に面一に形成される。支持板部70eは、フランジ部材30の厚さ方向であるZ方向に見て、フランジ部材30のオーバル輪郭短軸方向であるY方向に沿った方向とは異なる方向に沿って前記燃料流路収容部の周囲に形成される。具体的には、Y方向に沿った支持板部70eと、燃料ポンプ10の延在するX方向とは逆向きでかつX方向に沿った支持板部70eと、X方向とY方向との中程となる方向、つまり、X方向とY方向とから45°を為す方向に沿った支持板部70eと、を有する。
【0054】
複数の支持板部70eのうち、フランジ部材30のオーバル輪郭短軸方向であるY方向に沿った支持板部70eは、フランジ部材30の厚さ方向であるZ方向に見て、他の方向に沿う支持板部70eよりも径方向に長く形成される(図12参照)。
複数の支持板部70eの形成枚数は上記の枚数に限定されるものではなく、多くても少なくてもよい。ただし、Y方向に沿った2枚の支持板部70eは設けておくことが好ましい。さらに、X方向に沿った支持板部70eも設けておくことが好ましい。
【0055】
レギュレータ収容部70は、フランジ部32におけるオーバル輪郭形状の中心位置から、その長軸方向、つまり、X方向にずれて配置される。フランジ部32におけるオーバル輪郭形状の長軸方向(X方向)において、中心位置からレギュレータ収容部70がずれた方向と逆向きに燃料ポンプ10が延在するように配置される。つまり、レギュレータ収容部70のフランジ部32におけるオーバル輪郭形状の中心に向いた位置に燃料ポンプ10が接続される。レギュレータ収容部70のフランジ部32におけるオーバル輪郭形状の中心に近接する側に燃料ポンプ10が接続される。レギュレータ収容部70は、Z方向視した中心が、X方向でフランジ部32のレギュレータ収容部70よりも外方に位置する端部の円弧状輪郭となる周溝部32aや配置面凹部35aの中心の近傍で、オーバル形状長軸の中心に近接する位置に配置される。
【0056】
レギュレータ収容部70のフランジ部32におけるオーバル輪郭形状の中心から離間する位置には、外部コネクタ33から給電線により接続されたターミナル72が複数配置される。ターミナル72については後述する。
【0057】
プレッシャレギュレータ45は、燃料流路71に連通する保持凹部73に収納される。保持凹部73は、燃料流路71のZ方向上側端部に位置して形成される。保持凹部73は、レギュレータ収容部70の頂部(端部)70aで燃料タンク2内に開口する開口部73aを有する。プレッシャレギュレータ45は、開口部73aのY方向に形成された凸部221によって保持凹部73に固定されている。凸部221は、開口部73a周縁のY方向側部となる位置にZ方向上向きに突出する。凸部221は、熱カシメ部とされている。
【0058】
図3に示すように、レギュレータ収容部70よりも、オーバル輪郭形状長手方向(X方向)で燃料ポンプ10と逆方向となるフランジ部材30には、配置面30aよりも凹んだ配置面凹部35aが形成される。配置面凹部35aは、Y方向に延在する支持板部70eよりもX方向端部に近接し、かつ、周溝部32aの輪郭内側に形成される。配置面凹部35aの内部には、オーバル輪郭形状短軸方向(Y方向)に延在する配置面リブ36aが形成される。
【0059】
配置面リブ36aは、Y方向に延在する支持板部70eと平行に形成される。配置面リブ36aは、その両端がY方向における配置面凹部35aの円弧状側壁部分に接続されている。配置面リブ36aは、Y方向における長さ寸法が、配置面凹部35aのY方向における最大寸法よりも小さい。
また、配置面リブ36aは、Y方向の全長で配置面凹部35aの底部に接続される。配置面リブ36aは、フランジ部材30と一体に形成される。配置面リブ36aのZ方向の寸法は、配置面凹部35aの深さ寸と同じである。つまり、配置面リブ36aのZ方向上縁は、配置面30aとほぼ面一に形成される。
【0060】
配置面リブ36aは、Y方向の中程で、X方向に延在する支持板部70eに一体として接続される。配置面リブ36aは、Y方向の中程となる位置で、ターミナル72に一体として接続される。ターミナルは、Y方向における配置面リブ36aの中心位置から端部に近接する位置に偏っている。
【0061】
配置面リブ36aは、X方向において、レギュレータ収容部70の基端とは接続されていない。配置面リブ36aは、Y方向の中程となる位置で、X方向に延在する支持板部70eに一体として接続される。配置面リブ36aは、Y方向の中心位置から端部に近接する位置で、X方向とY方向とから45°を為す方向に沿った支持板部70eに最も近接する。配置面リブ36aは、X方向とY方向とから45°を為す方向に沿った支持板部70eとは接続されていない。つまり、図3に符号QPで示すように、筒部70dの基端の周囲の配置面凹部35aは、XY面に沿った方向で外方に開放されている。
【0062】
図4に示すように、レギュレータ収容部70よりも、オーバル輪郭形状長手方向(X方向)で燃料ポンプ10と同方向となるフランジ部材30の裏面30bには、配置面30aに対応する位置に、裏面30bよりも凹んだ裏面凹部35bが形成される。裏面凹部35bの深さ寸法は、配置面凹部35aの深さ寸法と同じである。つまり、フランジ部材30は、レギュレータ収容部70、および、Y方向に延在する支持板部70eに対するX方向の両側が、異なるZ方向位置でそれぞれ配置面凹部35a、裏面凹部35bの底部に接続される。
【0063】
裏面凹部35bは、Y方向に延在する支持板部70eよりもX方向で燃料ポンプ10の接続される側の配置面30aに対応する領域全体で、かつ、周溝部32aの輪郭内側に形成される。裏面凹部35bの内部には、オーバル輪郭形状長軸方向(X方向)に延在する裏面リブ36bと、オーバル輪郭形状短軸方向(Y方向)に延在する裏面リブ36bと、が形成される。
全ての裏面リブ36bは、その全長で裏面凹部35bの底部に接続される。裏面リブ36bは、フランジ部材30と一体に形成される。裏面リブ36bのZ方向の寸法は、裏面凹部35bの深さ寸と同じである。つまり、裏面リブ36bのZ方向下縁は、裏面30bとほぼ面一に形成される。
【0064】
X方向に延在する裏面リブ36bは、図4に示すように、Y方向における裏面凹部35bの中心位置に配置される。X方向に延在する裏面リブ36bは、Z方向視して、燃料ポンプ10の中心軸Cと平行かつ一致して配置される。X方向に延在する裏面リブ36bは、その両端がY方向における裏面凹部35bの最大寸法となる側壁部分に接続されている。
Y方向に延在する裏面リブ36bは、X方向に互いに離間して平行な位置に2本形成される。Y方向に延在する裏面リブ36bは、Y方向に延在する支持板部70eと平行に形成される。Y方向に延在する2本の裏面リブ36bとX方向に延在する裏面リブ36bとは交差した位置で互いに接続されている。
【0065】
Y方向に延在する裏面リブ36bのうち、レギュレータ収容部70に近接する1本である中央裏面リブ(裏面リブ)36bは、X方向で裏面凹部35bの中央付近に形成される。この中央裏面リブ36bは、その両端がY方向における裏面凹部35bの最大寸法となる側壁部分に接続されている。中央裏面リブ36bは、Y方向における長さ寸法が、裏面凹部35bのY方向における最大寸法と同じである。
また、Y方向に延在する裏面リブ36bのうち、レギュレータ収容部70から離間した1本は、その両端がY方向における裏面凹部35bの円弧状側壁部分に接続されている。Y方向に延在する裏面リブ36bは、Y方向における長さ寸法が、裏面凹部35bのY方向における最大寸法よりも小さい。
【0066】
中央裏面リブ(裏面リブ)36bは、X方向で後述する傾斜面(傾斜部)120bと重なる位置に配置されている。また、Y方向に延在する裏面リブ36bのうち、レギュレータ収容部70から離間した1本は、X方向で後述する固定面(固定部)120cと重なる位置に配置されている。
【0067】
<プレッシャレギュレータ>
プレッシャレギュレータ45は、燃料流路71内を流れる燃料Fの燃圧を一定の値以下にするためのものである。プレッシャレギュレータ45は、円柱状に形成されている。プレッシャレギュレータ45の外周面が、保持凹部73の内周面に嵌め込まれている。プレッシャレギュレータ45の外形状は、保持凹部73の内形状と略一致している。
このため、プレッシャレギュレータ45は、保持凹部73に確実に保持される。これにより、プレッシャレギュレータ45のガタツキが抑制される。
【0068】
また、プレッシャレギュレータ45の下方に設けられた燃料流入口(不図示)は、燃料流路71と連通している。
燃料流路71のZ方向で保持凹部73よりも下側かつ配置面30aよりも上側には、X方向に連通して分岐する排出流路71bを介して排出ポート51と連通している。プレッシャレギュレータ45は、燃料流路71および排出流路71bを介して排出ポート51と連通している。また、プレッシャレギュレータ45と保持凹部73の底部との間には、Oリング(不図示)が設けられており、シール性が確保されている。
【0069】
燃料流路71内の燃圧が所定圧力よりも高くなった場合に、プレッシャレギュレータ45内に設けられた開閉弁(不図示)が、燃料流路71に満たされている燃料Fによって押し上げられる。すると、燃料Fは、プレッシャレギュレータ45内に下方から流入し、プレッシャレギュレータ45の上方の開口部73aから燃料タンク2に排出される。燃料Fが燃料タンク2に排出されると、燃料流路71内の燃圧が減圧される。燃料流路71内の燃圧が正常値に戻ると、プレッシャレギュレータ45からの燃料Fの排出が停止される。これにより、燃料流路71の燃圧が一定の値以下になる。
【0070】
燃料流路71のZ方向下端は、フランジ部32を貫通して筒部34内まで伸長される。筒部34のZ方向下端には、フランジ部32に沿ってX方向に形成された吐出配管34aが接続される。吐出配管34aの延在する方向は、燃料ポンプ10の軸線方向と一致する。
燃料流路71は、筒部34のZ方向下端において、筒部34から吐出配管34a内に形成された第2流路71cに連通する。第2流路71cの外側端は、2次フィルタ56を介して、内燃機関57と連通している。筒部34と吐出配管34aとは、フランジ部32に一体成型される。
【0071】
<フィルタ>
インレットカバー50には、燃料タンク2の側壁面部2cに沿うように縦置きさせた状態で1次フィルタ(フィルタ)14aが配置されている。1次フィルタ14aは、燃料ポンプ10に汲み上げられる燃料Fを濾過するためのものである。1次フィルタ14aは、略板状に形成される。1次フィルタ14aの主面は、フランジ部材30の配置面30aに沿って配置される。1次フィルタ14aは、例えばサンクションフィルタである。1次フィルタ14aは、一対の濾材(不図示)を重ね合わせ、外周縁を溶着することにより袋状に形成されている。1次フィルタ14aのメッシュ径は例えば、70μmである。1次フィルタ14aの配置に関しては後述する。
【0072】
一方、吐出配管34aと内燃機関57との間に設けられた2次フィルタ56は、1次フィルタ14aによって濾過された燃料Fを、内燃機関57に供給する前にさらに精度良く濾過するためのものである。2次フィルタ56のメッシュ径は、1次フィルタ14aのメッシュ径よりも小さく、例えば10μmである。
【0073】
フランジ部32の下側、つまり、燃料タンク2の外部に露出した箇所に設けられた外部コネクタ33には、外部電源(不図示)や制御装置(不図示)等に接続された外側コネクタ(不図示)が嵌め合わされる。外部コネクタ33は、X方向から見て矩形状の筒状部材である。外部コネクタ33は、フランジ部32の下側から支持部33dによってZ方向に離間した位置に開口する。外部コネクタ33は、フランジ部材30のオーバル輪郭形状長軸方向である径方向外側に向けて開口するコネクタ嵌合部33aを有している。
【0074】
コネクタ嵌合部33aの内部には、燃料タンク2の内外を導通させるコネクタ端子33bが設けられている。コネクタ端子33bは、銅等の金属からなる部材である。コネクタ端子33bは、フランジ部32を貫通してレギュレータ収容部70の基部付近に設けられたターミナル72および液面検出器と電気的に接続される。ターミナル72は、レギュレータ収容部70の筒部70dの外周基端に配置される。ターミナル72は、フランジ部32の厚さ方向(Z方向)に見て、筒部70dのフランジ部32におけるオーバル輪郭形状の長軸方向で中心よりも外側位置、かつ、短軸方向に外側位置にそれぞれ配置される。
【0075】
ターミナル72は、フランジ部材30の厚さ方向に見てフランジ部材30の周縁に位置する周溝部32aから離間して配置される。ターミナル72は、レギュレータ収容部70の周方向で支持板部70eの間に配置される。ターミナル72は、筒部70dに沿ってZ方向上向きに開口する。ターミナル72は、それぞれハーネス(リード線)59を介して、モータ部11の給電端子19と電気的に接続している。
【0076】
ターミナル72は、配置面30aからZ方向に離間する位置に開口する。ターミナル72は、レギュレータ収容部70の頂部(端部)70aよりも配置面30aに近接する位置に配置される。
外部コネクタ33、ターミナル72、レギュレータ収容部70および燃料ポンプ10の外周に引き回されたハーネス(リード線)59、給電端子19により、外部電源や制御装置とモータ部11とが電気的に接続される。
【0077】
ターミナル72は、2本のハーネス(リード線)59を配置面30aから離間する方向に引き回し可能に形成される。2本のハーネス(リード線)59は、図3に符号QPで示すように、レギュレータ収容部70の頂部(端部)70a付近で交差している。つまり、筒部70dの中心よりもY方向で一方側にあるターミナル72に接続されたハーネス59は、筒部70dの中心よりもY方向で他方側にある給電端子19に接続される。また、筒部70dの中心よりもY方向で他方側にあるターミナル72に接続されたハーネス59は、筒部70dの中心よりもY方向で一方側にある給電端子19に接続される。
【0078】
また、2本のハーネス(リード線)59は、互いに長さが異なる。図1においては、紙面奥側のターミナル72に接続されたハーネス59が、紙面手前側のターミナル72に接続されたハーネス59よりも長い。言い換えると、紙面奥側の給電端子に接続されたハーネス59が、紙面手前側の給電端子19に接続されたハーネス59よりも短い。これにより、レギュレータ収容部70の頂部(端部)70a付近でクロスする2本のハーネス59が、互いに離間して接触しない。これにより、既存のコンパーチブルの燃料ポンプ10を使用することができる。
【0079】
図5は、本実施形態におけるフランジ部材30をガイドレール構造とともに示す斜視図である。図6は、本実施形態におけるカップ(ポンプ収容部材)20を示す斜視図である。図7は、本実施形態におけるカップ(ポンプ収容部材)20におけるガイドレール構造を示す斜視図である。なお、図7は、図6のカップ(ポンプ収容部材)20をスライド面20a側からみた斜視図である。図8は、本実施形態におけるガイドレール構造100における縦ガイドレール構造110を示すY-Z方向の断面図である。図8は、誘導面120aに対応する位置での断面図である。図9は、本実施形態におけるガイドレール構造100における縦ガイドレール構造110を示すY-Z方向の断面図である。図9は、固定面120cに対応する位置での断面図である。
図10は、本実施形態におけるガイドレール構造100における縦ガイドレール構造110を示すX-Z方向の断面図である。図11は、本実施形態におけるガイドレール構造100における縦ガイドレール構造110および横ガイドレール構造150を示すX-Y方向の断面図である。
【0080】
<ガイドレール構造>
ガイドレール構造100は、フランジ部材30と、燃料ポンプ10を収容したカップ20とを互いにX方向にスライドさせて取り付ける。
ガイドレール構造100としては、互いに対向して接触するフランジ部材30の配置面30aと、カップ20のスライド部24のスライド面20aとに配置される。
【0081】
ガイドレール構造100としては、図5図11に示すように、1本の縦ガイドレール構造(第1ガイド部)110と、2本の横ガイドレール構造(第2ガイド部)150と、を有する。1本の縦ガイドレール構造110と、2本の横ガイドレール構造150とは、いずれもX方向に延在する。1本の縦ガイドレール構造110と、2本の横ガイドレール構造150とは、互いに平行に配置される。
【0082】
また、2本の横ガイドレール構造150は、1本の縦ガイドレール構造110のY方向での両外側に離間して配置される。横ガイドレール構造150は、フランジ部材30とカップ20とのスライド時にY方向の位置を互いに規制可能とする。また、縦ガイドレール構造110は、フランジ部材30とカップ20とのスライド時にX方向およびY方向の位置を互いに規制可能とする。ここで、Y方向外側とは、Y方向に沿って縦ガイドレール構造110から両側の横ガイドレール構造150へと向かう方向を意味する。
【0083】
本実施形態においては、縦ガイドレール構造(第1ガイド部)110および横ガイドレール構造(第2ガイド部)150は、それぞれフランジ部材30とカップ20のスライド部24とに形成される。縦ガイドレール構造110および横ガイドレール構造150は、互いに対向して接触するフランジ部材30の配置面30aと、カップ20のスライド面20aとに配置される。
【0084】
<縦ガイドレール構造>
縦ガイドレール構造110は、少なくともX方向およびZ方向にフランジ部材30とポンプ収容部材20とを位置規制する。縦ガイドレール構造110は、フランジ部材30の配置面30aに形成された縦レール部111と、スライド面20aに形成された縦ガイド部112と、を有する。
【0085】
<縦レール部>
縦レール部111は、配置面30aからZ方向上向きに突出しX方向に延在する直線状の凸条として形成される。縦レール部111は、Y-Z方向の断面輪郭が略T字状に形成される。縦レール部111は、配置面30aから立設される基部113と、基部113からZ方向に延在して縦レール部111のZ方向先端115に、Y方向の両側に突出して形成される突出部117と、を有する。つまり、縦レール部111は、基部113のY方向寸法に比べて、先端115のY方向寸法が大きくなる。縦レール部111は、基部113に対して、先端115のY方向寸法が、Y方向の両側方に向けて大きくなる。
【0086】
基部113のY方向寸法は、配置面30aからZ方向上向きに突出部117の下端まで同じ寸法に形成される。基部113のY方向寸法は、X方向で縦レール部111の全長でほぼ等しく形成される。
縦レール部111のZ方向の頂端面111aは、X-Y面において面一に形成され、縦レール部111の配置面30aから立設されたZ方向高さはほぼ均一である。
【0087】
突出部117は、X方向の縦レール部111の全長に形成される。突出部117は、X方向の縦レール部111の全長に形成される。突出部117は、Y方向で縦レール部111中心に対して対称に形成される。突出部117は、基部113からY方向両側に突出して、Y-Z方向の断面が矩形の突条に形成される。2つの突出部117は、Y方向で同じ形状に形成される。突出部117は、その下面119が基部113からY方向に突出し、後述する縦ガイド部112の接触面120に接触する接触面119となる。
接触面119は、X方向およびY方向の全長で平面状に形成される。接触面119は、X方向およびY方向の全長で配置面30aと平行に形成される。
【0088】
<縦ガイド部>
縦ガイド部112は、縦レール部111のY方向両側に、縦レール部111と平行に2本形成される。縦ガイド部112は、いずれも、スライド部24からZ方向下向きに突出しX方向に延在する直線状の凸条として形成される。縦ガイド部112は、2本ともZ方向の下端(先端)がスライド面20aとして一致し、いずれも面一となるように形成される。2本の縦ガイド部112は、互いにY方向に離間して、いずれも縦レール部111を挟むようにX方向に延在する直線状に形成される。つまり、2本の縦ガイド部112は、Y方向における間がスライド面20aに開口部116として開口する溝状となるように形成される。2本の縦ガイド部112は、Y方向における縦レール部111の中心に対して、互いにY方向に対称に形成される。
【0089】
2本の縦ガイド部112の間の溝は、スライド部24のX方向でレギュレータ収容部70に近接する側端面24aにも開口する。2本の縦ガイド部112の間の溝は、スライド部24のX方向でレギュレータ収容部70から離間する側端面24cにも開口する。2本の縦ガイド部112の間の溝は、Y方向のほぼ全長でスライド部24のスライド面20aに開口する。
【0090】
2本の縦ガイド部112の間の溝の頂底面112aは、スライド面20aおよび配置面30aと平行な平面とされる。2本の縦ガイド部112のZ方向下向きの先端には、いずれも、互いに近接する方向に突出する突出部118が形成される。つまり、それぞれの縦ガイド部112では、突出部118が縦レール部111の基部113へ向けてY方向に突出する。
2本の縦ガイド部112は、それぞれY-Z方向の断面輪郭が略L字状に形成される。同様に、側端面24aに開口する縦ガイド部112の断面形状は、同方向での縦レール部111の輪郭形状の周囲に沿った形状に対応する。
【0091】
2本の縦ガイド部112によって形成される溝は、頂端面111aに対向してスライド面20aからZ方向上向きに最も離間した頂底面112aと、頂底面112aにおけるY方向両端からZ方向下向きに下垂する側面114と、側面114のZ方向下端で、スライド面20aに形成される開口部116と、開口部116の溝幅を縮幅するようにY方向の両側方に形成される突出部118と、を有する。
【0092】
突出部118は、縦ガイド部112のX方向全長にわたって形成される。突出部118は、開口部116の両側が挟幅するようにY方向で対向して側面114から突出し、側面114からY方向に突出した上面が、縦レール部111の接触面119に接触する接触面120となる。接触面120とスライド面20aとのZ方向距離は、後述するようにX方向において変化する。これにともなって、X方向において、頂底面112aから接触面120までのZ方向高さ寸法は、側面114のZ方向高さ寸法と等しくX方向において変化する。
【0093】
<接触面>
接触面120は、縦ガイド部112のX方向全長にわたって形成される。
ここで、接触面120は、図10に示すように、X方向に3つの領域を有する。具体的には、X方向において、接触面120の側端面24aから側端面24cに向かって、誘導面120a、傾斜部としての傾斜面120b、固定部としての固定面120cである。
【0094】
誘導面120aは、接触面120のうち、X方向で溝の開口する側端面24aに近接する位置に形成される。誘導面120aは、フランジ部材30とカップ20とのスライド時に、最初にフランジ部材30とカップ20とが接触する位置、つまり、縦ガイド部112としての取付方向(X方向)先端に形成される。誘導面120aは、スライド面20aおよび配置面30aと平行である。誘導面120aとスライド面20aとのZ方向距離は、配置面30aと接触面119とのZ方向距離に比べて小さい。つまり、誘導面120aに対応する突出部118のZ方向厚さ寸法は、基部113のZ方向高さ寸法よりも小さい。
【0095】
傾斜面(傾斜部)120bは、接触面120のうち、X方向で側端面24aと側端面24cとの間の位置で、X方向で側端面24aと側端面24cとから離間する位置に形成される。傾斜面120bは、X方向で側端面24aから側端面24cに向かってスライド面20aから離間するように傾斜している。つまり、傾斜面120bは、側端面24aから側端面24cに向かうに連れてX方向で頂底面112aに近接するように傾斜している。傾斜面120bは、誘導面120aに連続して突出部118のZ方向上方に形成される。傾斜面120bは、フランジ部材30とカップ20とのスライド時に、誘導面120aに続いてフランジ部材30とカップ20とが接触する位置、つまり、縦ガイド部112としての取付方向(X方向)の中程に形成される。
なお、傾斜面(傾斜部)120bをフランジ部材30の成型時に抜き勾配として形成することもできるが、位置規制を正確に行うためには意図的に形成することが好ましい。
【0096】
傾斜面120bとスライド面20aとのZ方向距離は、誘導面120aに隣接する位置で、誘導面120aとスライド面20aとのZ方向距離に等しい。つまり、傾斜面120bに対応する突出部118のZ方向厚さ寸法は、基部113のZ方向高さ寸法よりも小さい。傾斜面120bとスライド面20aとのZ方向距離は、後述する固定面120cに隣接する位置で、固定面120cとスライド面20aとのZ方向距離に等しい。つまり、傾斜面120bに対応する突出部118のZ方向厚さ寸法は、基部113のZ方向高さ寸法とほぼ等しい。
【0097】
固定面120cは、接触面120のうち、X方向で溝が端部で開口する側端面24cに近接する位置に形成される。固定面120cは、X方向で側端面24cに開口して形成される。固定面120cは、フランジ部材30とカップ20とのスライド時に、フランジ部材30とカップ20とが最後に接触する位置、つまり、縦ガイド部112としての取付方向(X方向)基端に形成される。固定面120cは、スライド面20aおよび配置面30aと平行である。固定面120cとスライド面20aとのZ方向距離は、配置面30aと接触面119とのZ方向距離にほぼ等しい。つまり、固定面120cに対応する突出部118のZ方向厚さ寸法は、基部113のZ方向高さ寸法とほぼ等しい。
【0098】
傾斜面(傾斜部)120bは、X方向で中央裏面リブ(裏面リブ)36bと重なる位置に配置されている。また、固定面(固定部)120cは、X方向において、Y方向に延在する裏面リブ36bのうち、レギュレータ収容部70から離間した1本と重なる位置に配置されている。
【0099】
<横ガイドレール構造>
横ガイドレール構造150は、少なくともX方向にフランジ部材30とポンプ収容部材20とを位置規制する。横ガイドレール構造150は、X方向に延在する直線状に形成される。横ガイドレール構造150は、縦ガイドレール構造110に対して、Y方向の両側に2本形成される。横ガイドレール構造150は、縦ガイドレール構造110とY方向で離間して形成される。2本の横ガイドレール構造150は、縦ガイドレール構造110に対して、Y方向に対称に形成される。
【0100】
片方の横ガイドレール構造150は、フランジ部材30の配置面30aに形成された横レール部151と、スライド面20aに形成された横内ガイド部(横ガイド部)152と、スライド面20aに形成された横外ガイド部(横ガイド部)153と、を有する。
横ガイドレール構造150は、Y方向において、横内ガイド部152、横レール部151、横外ガイド部153の順に、縦ガイドレール構造110からY方向に離間して配置される。
【0101】
<横レール部>
横レール部151は、配置面30aからZ方向上向きに突出しX方向に延在する直線状の凸条として形成される。横レール部151は、Y-Z方向の断面輪郭が略矩形状に形成される。
横レール部151は、X方向の全長で、Y方向寸法が均一に形成される。横レール部151は、X方向の全長で、Z方向寸法が均一に形成される。
【0102】
横レール部151は、配置面30aから立設されてY方向の側面のうち縦レール部111に向かって対向する面が、横接触面(接触面)155とされる。横接触面155は、X-Z面に延在する平面とされる。横接触面155は、横レール部151のX方向全長に形成される。
なお、縦ガイドレール構造110のY方向両側に位置する2本の横ガイドレール構造150においては、横接触面155が互いにY方向で対向している。
【0103】
横レール部151のZ方向の先端は、頂端面151aとしてX方向の全長で配置面30aと平行に形成される。横レール部151のZ方向高さ、つまり、配置面30aから頂端面151aまでの高さは、X方向の全長で均一である。横レール部151のZ方向高さは、スライド面20aから後述する頂底面152aまでのZ方向高さと同じにすることができる。
【0104】
<横ガイド部>
横内ガイド部152および横外ガイド部153は、横レール部151のY方向両側に、横レール部151といずれも平行に形成される。横内ガイド部152および横外ガイド部153は、いずれも、スライド部24からZ方向下向きに突出しX方向に延在する直線状の凸条として形成される。横内ガイド部152および横外ガイド部153は、いずれもZ方向の下端がスライド面20aとして一致し、いずれも面一となるように形成される。
【0105】
横内ガイド部152および横外ガイド部153は、互いにY方向に離間して、いずれも縦レール部111を挟むようにX方向に延在する直線状に形成される。つまり、横内ガイド部152および横外ガイド部153は、Y方向における間がスライド面20aに開口部156として開口する溝状となるように形成される。2本の縦ガイド部112は、Y方向における縦レール部111の中心に対して、互いにY方向に対称に形成される。
【0106】
横内ガイド部152および横外ガイド部153の間の溝は、スライド部24のX方向でレギュレータ収容部70に近接する側端面24aにも開口する。横内ガイド部152および横外ガイド部153の間の溝は、スライド部24のX方向でレギュレータ収容部70から離間する側端面24cも開口する。横内ガイド部152および横外ガイド部153の間の溝は、Y方向のほぼ全長でスライド部24のスライド面20aに開口する。
横内ガイド部152および横外ガイド部153の間の溝の頂底面152aは、スライド面20aおよび配置面30aと平行な平面とされる。
【0107】
横外ガイド部153は、Y-Z方向の断面輪郭が略矩形状に形成される。
横外ガイド部153は、X方向の全長で、Y方向寸法が均一に形成される。横外ガイド部153は、X方向の全長で、Z方向寸法が均一に形成される。
【0108】
横内ガイド部152は、Y-Z方向の断面輪郭が略矩形状に形成される。横内ガイド部152は、X方向の全長で、Z方向寸法が均一に形成される。
【0109】
横内ガイド部152および横外ガイド部153によって形成される溝は、頂端面151aに対向してスライド面20aからZ方向上向きに最も離間した頂底面152aと、頂底面152aにおけるY方向両端からZ方向下向きに開口部156まで下垂する側面としての横外ガイド部153の側面154と、頂底面152aにおけるY方向両端からZ方向下向きに開口部156まで下垂する側面としての横内ガイド部152の横接触面(接触面)158と、を有する。
【0110】
<横接触面>
横接触面(接触面)158は、X-Z面に沿って延在する平面を有する。横接触面158は、横内ガイド部152のX方向全長にわたって形成される。
ここで、横接触面158は、図11に示すように、X方向に3つの領域を有する。具体的には、横接触面158が、X方向において側端面24aから側端面24cに向かって、横誘導面158a、傾斜部としての横傾斜面158b、固定部としての横固定面158cである。
【0111】
横誘導面158aは、横接触面158のうち、X方向で溝の開口する側端面24aに近接する位置に形成される。横誘導面158aは、フランジ部材30とカップ20とのスライド時に、最初にフランジ部材30とカップ20とが接触する位置、つまり、横内ガイド部152としての取付方向(X方向)先端側に形成される。横誘導面158aは、スライド面20aおよび配置面30aと直交するX-Y平面に沿っている。横誘導面158aと縦ガイドレール構造110とのY方向距離は、横誘導面158aのX方向の全長で一定である。つまり、横誘導面158aに対応する横内ガイド部152のY方向厚さ寸法は、横誘導面158aのX方向の全長で一定である。
【0112】
横傾斜面(傾斜部)158bは、横接触面158のうち、X方向で側端面24aと側端面24cとの間の位置でX方向で側端面24aと側端面24cと離間する位置に形成される。横傾斜面158bは、X方向で側端面24aから側端面24cに向かうに連れて縦ガイドレール構造110からY方向に離間するように傾斜している。つまり、横傾斜面158bは、側端面24aから側端面24cに向かうに連れてY方向で横外ガイド部153に近接するように傾斜している。横傾斜面158bは、横誘導面158aに連続して横内ガイド部152のY方向外側に形成される。横傾斜面158bは、フランジ部材30とカップ20とのスライド時に、横誘導面158aに続いてフランジ部材30とカップ20とが接触する位置、つまり、横内ガイド部152としての取付方向(X方向)の中程に形成される。
【0113】
横傾斜面158bと縦ガイドレール構造110とのY方向距離は、横誘導面158aに隣接する位置で、横誘導面158aと縦ガイドレール構造110とのY方向距離に等しい。つまり、横傾斜面158bに対応する横内ガイド部152のY方向厚さ寸法は、横誘導面158aに隣接する位置で、横誘導面158aに対応する横内ガイド部152のY方向厚さ寸法と等しい。横傾斜面158bと縦ガイドレール構造110とのY方向距離は、後述する横固定面158cに隣接する位置で、横固定面158cと縦ガイドレール構造110とのY方向距離に等しい。つまり、横傾斜面158bに対応する横内ガイド部152のY方向厚さ寸法は、横固定面158cに対応する横内ガイド部152のY方向厚さ寸法とほぼ等しい。
【0114】
横固定面158cは、横接触面158のうち、X方向で溝が端部で開口する側端面24cに近接する位置に形成される。横固定面158cは、X方向で側端面24cに開口して形成される。横固定面158cは、フランジ部材30とカップ20とのスライド時に、フランジ部材30とカップ20とが最後に接触するスライド終端となる位置、つまり、横内ガイド部152としての取付方向(X方向)基端に形成される。横固定面158cは、スライド面20aおよび配置面30aと直交するX-Y平面に沿っている。横固定面158cと縦ガイドレール構造110とのY方向距離は、横固定面158cのX方向の全長で一定である。横固定面158cと縦ガイドレール構造110とのY方向距離は、横誘導面158aと縦ガイドレール構造110とのY方向距離よりも大きい。つまり、横固定面158cに対応する横内ガイド部152のY方向厚さ寸法は、横固定面158cのX方向の全長で一定である。横固定面158cに対応する横内ガイド部152のY方向厚さ寸法は、横誘導面158aに対応する横内ガイド部152のY方向厚さ寸法よりも大きい。
【0115】
ここで、縦ガイドレール構造110のY方向両外側に位置する2本の横内ガイド部152は、いずれも、横誘導面158aよりも横固定面158cがY方向両外側に位置するように、横傾斜面158bが傾斜している。つまり、2本の横ガイドレール構造150においては、X方向で側端面24aから側端面24cに向かうに連れて、Y方向における2つの横傾斜面158bの間の離間間隔が大きくなる。また、2本の横ガイドレール構造150においては、Y方向における横誘導面158aの間の離間間隔よりも、Y方向における横固定面158cの間の離間間隔が大きい。これにより、横接触面158に接触する横接触面155は、フランジ部材30とカップ20とがスライドする最終時に、Y方向外向きに押圧される。つまり、横傾斜面158bによって、横内ガイド部152と横レール部151とのY方向における接触圧が増大する。
【0116】
横傾斜面158bと傾斜面120bとは、X方向における配置が一致する。つまり、横誘導面158aと横傾斜面158bとの境界は、X方向における配置が、誘導面120aと傾斜面120bとの境界に一致する。
同様に、横固定面158cと横傾斜面158bとの境界は、X方向における配置が、固定面120cと傾斜面120bとの境界に一致する。
【0117】
横傾斜面158bは、X方向で中央裏面リブ(裏面リブ)36bと重なる位置に配置されている。また、横固定面158cは、X方向において、Y方向に延在する裏面リブ36bのうち、レギュレータ収容部70から離間した1本と重なる位置に配置されている。
【0118】
固定面120cは、接触面120のうち、側端面24cに近接する位置に開口する溝の一面として形成される。
横固定面158cは、横接触面158のうち、側端面24cに近接する位置に開口する溝の一面として形成される。
【0119】
スライド部24は、図6に示すように、そのX方向の端部である側端面24cが、フランジ部材30における配置面30aの輪郭となる配置側面30cに沿って曲面状に形成される。配置側面30cは、Z方向視してオーバル輪郭形状を有する。つまり、側端面24cは、Z方向視して長円の曲部、すなわち、ほぼ円弧状に形成される。
【0120】
また、側端面24cには、2本の縦ガイド部112が、X方向における最奥側端部が開口部116cとして開口する溝状となるように形成される。つまり、2本の縦ガイド部112は、3方向に開口した溝状に形成される。同時に、側端面24cには、横ガイド部152のX方向における最奥側端部が開口部152cとして開口する溝状となるように形成される。
【0121】
<スナップフィット構造>
スナップフィット構造200は、X方向(取付方向)のスライド終端となる位置でフランジ部材30とポンプ収容部材20とを互いに係止して位置規制する。スナップフィット構造200としては、筒部22の周方向に離間して複数設けられることができる。本実施形態においてスナップフィット構造200は、3箇所とされる。
【0122】
スナップフィット構造200は、レギュレータ収容部70の頂部、および、Y方向でのポンプ収容部材20の両側で配置面30a付近の2箇所に設けられる。スナップフィット構造200は、3つの係止片202,212,212および対応する係止凸部203,213,213を有する。
係止片202、係止片212、係止片212は、いずれも、ポンプ収容部材20からX方向でレギュレータ収容部70に向けて突出する。
係止片202は、レギュレータ収容部70の頂部に形成される。係止片212および係止片212は、配置面30a付近のポンプ収容部材20におけるY方向の両側位置に設けられる。
【0123】
係止片202は、レギュレータ収容部70の頂部に架け渡されるようにX方向に延在する。係止片202は、X方向に沿った中心軸C周りの円筒状とされる筒部22のZ方向最上部、すなわち頂部に接続される。係止片202は、Y方向に所定の寸法を有する。係止片202は、筒部22の円筒面に連続する曲面状に形成される、係止片202には開口部201が形成される。開口部201は略矩形輪郭を有する。開口部201は、Y方向において、係止片202のほぼ中央に位置する。開口部201は、Z方向の上下にむけて開口し、Z方向に係止片202を貫通している。係止片202および開口部201は、Z方向視して、縦ガイドレール構造110をX方向に延長した位置に配置される。
【0124】
係止凸部203は、レギュレータ収容部70の頂部に形成される。係止凸部203は、アウトレットカバー17のZ方向頂部に形成される。係止凸部203は、X方向で当接面17aよりもポンプ収容部材20から離間した位置に形成される。係止凸部203は、X方向で開口部73aよりもポンプ収容部材20に近接した位置に形成される。係止凸部203は、Z方向上向きに突出し、開口部201に挿入されて、係止片202を係止可能とする。係止凸部203は、Z方向視して、縦ガイドレール構造110をX方向に延長した位置に配置される。Z方向視した係止凸部203の輪郭形状は、開口部201と同じ形状とされる。係止凸部203は、X方向でレギュレータ収容部70から離間する位置に傾斜面が形成されて、開口部201が係止される際に、係止片202が係止動作を容易にする。
【0125】
係止片202は、開口部201からさらにX方向に延長されて、開口部73aの上側位置まで延在する被覆片220を有する。被覆片220は、Z方向視して開口部73aと重なる。被覆片220は、開口部73aの縁部との間に隙間を有している。つまり、被覆片220は、開口部73aの全周と接触しておらず、重なっているだけで、開口部73aを閉塞していない。被覆片220は、開口部73aのY方向側部位置に形成された凸部221と接触することができる。
【0126】
被覆片220は、開口部73aを塞ぐことがなく、プレッシャレギュレータ45から燃料タンク2内へ吐出される燃料Fを阻害することがなく、同時に、燃料タンク2内からレギュレータ収容部70の内部へと、異物が侵入することを抑制することができる。このように、異物混入防止部材となる被覆片220を係止片202と一体にして、部品点数の削減をおこなうことができる。
また、ハーネス(リード線)59は、被覆片220よりもZ方向で配置面30aから離間した位置で引き回される。2本のハーネス(リード線)59は、図3に符号QPで示すように、被覆片220よりもZ方向で配置面30aから離間した状態で互いにクロスする。
【0127】
係止片212および係止片212は、平面視して筒部22のY方向両側に形成される。係止片212および係止片212は、スライド部24の側端面24aからX方向に延出する。係止片212および係止片212は、所定のZ方向厚さを有する平板状に形成される。係止片212および係止片212は、Y方向に所定の寸法を有する。係止片212には、いずれも同形の開口部211が形成される。開口部211は略矩形輪郭を有する。開口部211は、Y方向において、係止片212のほぼ中央に位置する。開口部211は、Z方向の上下にむけて開口し、Z方向に係止片212を貫通している。係止片212および開口部211は、いずれも、Z方向視して横ガイドレール構造150をX方向に延長した位置に配置される。
【0128】
係止凸部213は、いずれも配置面30aからZ方向上向きに立設され、開口部211に挿入されて、係止片212を係止可能とする。Z方向視した係止凸部213の輪郭形状は、開口部211と同じ形状とされる。係止凸部213は、X方向でレギュレータ収容部70から離間する位置に傾斜面が形成されて、開口部211が係止される際に、係止片212が係止動作を容易にする。係止凸部213は、横ガイドレール構造150の横レール部151におけるX方向端部に配置される。係止凸部213は、X方向でレギュレータ収容部70から離間する位置に傾斜面が形成されて、開口部211が係止される際に、係止片212が係止動作を容易にする。
【0129】
また、係止片212のX方向長さは、フランジ部材30とカップ20とのスライド時に、図1図3図6に示す縦レール部111の右側となるスライド始端が、傾斜面120bに到達した際に、同時に係止片212のX方向先端が係止凸部203に到達するように設定される。さらに、係止片212における開口部211のX方向位置は、フランジ部材30とカップ20とのスライド時に、図1図3図6に示す縦レール部111の右側となるスライド始端が固定面120cに到達した後に、同時に開口部211と係止凸部213とが係止するように設定される。
【0130】
同様に、係止片202のX方向長さ、および、係止片202における開口部201のX方向位置は、フランジ部材30とカップ20とのスライド時の、縦レール部111のスライド始端と傾斜面120bとの位置に対応して設定される。
同様に、係止片212のX方向長さ、および、係止片212における開口部211のX方向位置は、フランジ部材30とカップ20とのスライド時の、横レール部151のスライド始端と横傾斜面158bのX方向位置とに対応する。また、係止片202のX方向長さ、および、係止片202における開口部201のX方向位置は、横レール部151のスライド始端と横傾斜面158bのX方向位置とに対応する。
【0131】
つまり、接触面120および横接触面158によるフランジ部材30とカップ20との位置設定終了時に、開口部201,211と係止凸部203,213とが係止するように、それぞれのX方向位置が設定されている。
【0132】
次に、フランジ部材30とカップ20とのスライドによる組み立てにおけるガイドレール構造100について説明する。
【0133】
<ガイドレール構造のスライドによる組み立て>
フランジ部材30とカップ20とを組み立てるには、燃料ポンプ10をカップ20に収納した状態で、ガイドレール構造100を組み合わせる。
まず、配置面30aにスライド面20aが当接する位置として、縦レール部111と縦ガイド部112とが互いに同一の直線上に沿った状態となるようにセットする。
この状態で、カップ20とフランジ部材30のレギュレータ収容部70とが互いに近接するように、X方向に移動させる。
【0134】
このとき、図1図3図5に示す縦レール部111の右側となるスライド始端を、2本の縦ガイド部112,112で形成された溝に側端面24aの開口から挿入する。同時に、スライド始端となる側端面24aに開口する溝に対して、Y方向両側の突出部117がいずれも、突出部118の上側となるように挿入する。ここで、挿入直後には、突出部117の接触面120は、誘導面120aであるので、図8に示すように、接触面119と接触面120とは接触しない、あるいは、接触面119と接触面120とはZ方向に移動可能な余裕のある状態である。
【0135】
同時に、図1図3に示す横レール部151の右側となるスライド始端を、横内ガイド部152および横外ガイド部153で形成された溝に側端面24aの開口から挿入する。ここで、挿入直後には、横内ガイド部152の横接触面158は、横誘導面158aであるので、図8に示すように、横接触面155と横接触面158とは接触しない、あるいは、横接触面155と横接触面158とはY方向に移動可能な余裕のある状態である。
【0136】
さらに、カップ20とレギュレータ収容部70とが互いに近接するように、X方向にスライド移動させる。ここで、縦レール部111の右側となるスライド始端が、傾斜面120bに当接する。接触面119は、配置面30aからのZ方向距離が一定である。また、傾斜面120bの傾斜に沿って突出部118のZ方向の肉厚が増加している。このため、スライド移動に従って、突出部117から突出部118がZ方向下向きに押圧される。このため、縦ガイド部112がZ方向下向きに押圧される(図8図10参照)。
【0137】
同時に、カップ20とフランジ部材30とをスライド移動させると、図1図3に示す横レール部151の右側となるスライド始端では、横接触面155が横傾斜面158bに当接する。ここで、横レール部151の横接触面155は、縦ガイドレール構造110からのY方向距離が一定である。また、2本の横レール部151では、Y方向における2つの横接触面155間の距離は一定である。また、横傾斜面158bの傾斜に沿って横内ガイド部152の肉厚がY方向外向きに増加している。つまり、2本の横内ガイド部152では、Y方向における2つの横傾斜面158b間の距離が、スライド終端に向かって増加している。このため、スライド移動に従って、横傾斜面158bから横接触面155がY方向外向きに押圧される。このため、2本の横レール部151が、いずれもY方向外向きに2本の横内ガイド部152から押圧される。2本の横内ガイド部152が、いずれもY方向内向きに2本の横レール部151から押圧される。
【0138】
さらに、カップ20とレギュレータ収容部70とが互いに近接するように、X方向にスライド移動させる。すると、縦レール部111の右側となるスライド始端が、縦ガイド部112のスライド終端に近接する。接触面119が固定面120cに当接して、突出部118が突出部117からZ方向下向きに押圧される。
スライド終端において、突出部118は、突出部117の接触面119と配置面30aとに挟まれる。また、突出部117は、頂底面112aと固定面120cとで挟まれる。これらにより、突出部117と突出部118とが、それぞれ圧入された状態として固定される(図8図10参照)。
つまり、突出部118は、配置面30aと接触面120cとで規定されるZ方向位置に規制された状態で固定される。つまり、スライド面20aが配置面30aに当接した状態で、カップ20とフランジ部材30とのZ方向位置が規定される。
【0139】
同時に、カップ20とフランジ部材30とをスライド移動させると、横レール部151のスライド始端が、横内ガイド部152のスライド終端に近接する。横接触面155が横固定面158cに当接して、横レール部151が横内ガイド部152からY方向外向きに押圧される。2本の横レール部151が、それぞれが当接する横内ガイド部152から互いに逆向きとなるY方向外向きに押圧される。ここで、2本の横レール部151では、Y方向における2つの横接触面155間の距離は一定である。2本の横内ガイド部152では、Y方向における2つの横固定面158c間の距離が、スライド終端に向かって増加している。このため、2つの横固定面158c間で規定されるY方向位置と、2つの横接触面155間で規定されるY方向位置と、で規定された状態に、2本の横レール部151と2本の横内ガイド部152とが位置規制される。2本の横内ガイド部152が、いずれもY方向内向きに2本の横レール部151から押圧されて、それぞれ圧入された状態としてY方向位置が固定される。
【0140】
また、カップ20とフランジ部材30とをスライドさせる途中において、縦レール部111のスライド始端が傾斜面120bに当接した際には、横レール部151のスライド始端が横傾斜面158bに当接する。また、縦レール部111のスライド始端が固定面120cに当接した際には、横レール部151のスライド始端が横固定面158cに当接する。つまり、傾斜面120bと横傾斜面158bとのスライド時における位置は、X方向で対応している。
このように、断面T字状の縦レール部111を有するガイドレール構造100によって、フランジ部材30とカップ20との平衡を保つことができる。
【0141】
次に、フランジ部材30とカップ20とのスライドによる組み立てにおけるスナップフィット構造200について説明する。
【0142】
<スライド時のスナップフィット構造>
カップ20とフランジ部材30とをスライド移動させると、ガイドレール構造100によって、カップ20とフランジ部材30とのスライドが互いにX方向に規制される。
このとき、係止片202,212,212は、スライドに応じて係止凸部203,213,213に乗り上げた後、係止凸部203,213,213が開口部201,211,211に挿入される。
【0143】
カップ20とフランジ部材30とをスライドさせる途中において、縦レール部111のスライド始端が傾斜面120bに当接するとともに、横レール部151のスライド始端が横傾斜面158bした際には、係止片212,212は、係止凸部213,213に当接する。つまり、係止片212と係止凸部213とのスライド時における位置は、X方向で傾斜面120bと横傾斜面158bと対応している。
縦レール部111のスライド始端が傾斜面120bによって押圧される押圧力が増加するとともに、横レール部151のスライド始端が横傾斜面158bによって押圧される押圧力が増加する際には、係止片212と係止凸部213との当接が維持される。
【0144】
そして、縦レール部111のスライド始端が固定面120cによって押圧されるとともに、横レール部151のスライド始端が横固定面158cによって押圧される際には、係止凸部203,213,213が開口部201,211,211に挿入される。これにより、カップ20とフランジ部材30とが、互いに係止されたスナップフィット構造200によって固定される。
なお、係止片202は、係止片212と係止凸部213とのスライド時における当接開始に先んじて、被覆片220が係止凸部203に当接している。被覆片220は、スナップフィット構造200による係止とは関係なく、開口部73aとの位置関係が設定されている。
【0145】
この後、2本のハーネス(リード線)59を、ターミナル72と給電端子19とに接続し、さらに、フィルタ14aを接続管部14bを介して燃料吸入口14に接続する。最後に、組み立てられた燃料供給装置1を開口部2bに嵌め込んで所定のシール部材、および固定部材等によって燃料タンク2に固定する。
【0146】
さらに、カップ(ポンプ収容部材)20とフランジ部材30とを組み立てた際に、X方向において、カップ20の端壁21よりも周溝部32aが、フランジ部32の中心に近接する位置となるように形成されている。これにより、フランジ部材30におけるZ方向視した外形輪郭が小型化できる。
【0147】
図12は、本実施形態における燃料供給装置の燃料タンクへの取り付け状態を示す斜視図である。
本実施形態の燃料供給装置1は、図12に示すように、燃料タンク2の底面部2aの近傍に位置する側壁面部2cに取り付けられる。開口部2bが燃料タンク2の側壁面部2cに開口する。同時に、フランジ部材30におけるオーバル輪郭形状の長軸(オーバル輪郭長軸)、および、燃料ポンプの中心軸Cと一致する軸線が、斜め下方となるように、開口部2bが形成される。
【0148】
このとき、燃料吸入口14が燃料ポンプ10における、最も低くなるように傾斜して配置される。同時に、このとき、フィルタ14aが、燃料タンク2の底面部2aにおける、最も低くなる最下部(最低部)2a1に位置することができる。また、フィルタ14aは、燃料吸入口14からL字状に屈曲した接続管部14bを介して、燃料吸入口14に接続されている。フィルタ14aは、接続管部14bに接続された最低部2a1から、フィルタ14aの長手方向が、側壁面部2cに沿って燃料ポンプの中心軸Cと一致する軸線と交差して上昇するように斜め上方に傾斜して配置されている。
【0149】
燃料タンク2内における燃料ポンプ10は、その長手方向の一端がレギュレータ収容部70に接続され、他端の燃料吸入口14には接続管部14bを介して1次フィルタ14aが接続された状態で、レギュレータ収容部70側が上方にかつ燃料吸入口14側が下方になるように傾斜して配置されることになる。
【0150】
燃料タンク2内で貯留される燃料の液面が下降した場合でも燃料吸入口14、接続管部14b、1次フィルタ14aが燃料を吸入可能となるように燃料ポンプ10が傾斜している。同時に、燃料ポンプ10の軸線Cと、フランジ部材30のオーバル輪郭形状長手方向が一致して傾斜していることで、燃料タンク2の底面部2aがフランジ部材30と干渉することなく開口部2bを側壁面部2cに形成している。
【0151】
板状の1次フィルタ14aは、その主面が燃料ポンプ10の長手方向に沿って配置される。接続管部14bは、燃料ポンプ10の端部から1次フィルタ14aの主面に向けて屈曲している。つまり、燃料ポンプ10の端部からその軸線方向に突出した接続管部14bは、1次フィルタ14aの主面に向けて燃料ポンプ10の径方向に屈曲している。フランジ部材30の厚さ方向視して燃料ポンプ10よりも大きな面積を有する1次フィルタ14aを燃料吸入口14に対して接続している。
【0152】
フランジ部材30は、平面視した燃料タンク2の底面部2aにおいて、その最下部2a1に対応して燃料吸入口14が位置し、かつ、レギュレータ収容部70が燃料タンク2の底面部2aにおける最低部2a1から上方に向けて傾斜した凸部2a2に対応する位置に配置される。
【0153】
フランジ部材30は、開口部2bの周囲に対応する裏面30bに固定凸部32gを有し、この固定凸部32gが斜めに固定されたフランジ部材30における下方に位置する。
【0154】
<燃料供給装置の動作>
次に、燃料供給装置1の動作方法について説明する。
まず、燃料タンク2に燃料供給装置1を取り付け、燃料タンク2内に燃料Fを充填する。すると、燃料供給装置1が燃料Fに浸漬される。
そして、主にフランジユニット30のレギュレータ収容部70に形成されている開口部73aと被覆片220との隙間を介してフランジユニット30内に燃料Fが流入し、保持凹部73等に燃料Fが貯留される。
【0155】
この状態で、モータ部11を駆動して燃料ポンプ10を作動させると、1次フィルタ14aを介して燃料ポンプ10の燃料吸入口14に燃料Fが汲み上げられる。
燃料ポンプ10内に汲み上げられた燃料Fは、インペラ16の回転により排出ポート51に向けて圧送される。
排出ポート51に向けて圧送された燃料Fは、チェックバルブ、排出流路71bを介して燃料流路71へと送り出される。この後、燃料Fは、筒部34を通過して吐出配管34aから吐出される。吐出配管34aから吐出された燃料Fは、2次フィルタ56を通過し、内燃機関57へと圧送される。
【0156】
燃料流路71内の燃圧が所定圧力よりも高くなった場合は、燃料流路71に満たされている燃料Fが、プレッシャレギュレータ45によって、燃料タンク2内に排出される。これにより、燃料流路71の燃圧が減圧され、燃料流路71の燃圧は一定の値以下になる。したがって、燃料Fは、燃圧を一定の値以下に保たれた状態で、燃料流路71、筒部34を通り、吐出配管34aから吐出される。すなわち、プレッシャレギュレータ45によって、燃料タンク2から燃料供給装置1を介して吐出される燃料Fの圧力は、一定の値以下に保たれる。
【0157】
上記の実施形態によれば、燃料ポンプ10よりも短い長軸を有するオーバル輪郭形状のフランジ部材30により、フランジ部材30の輪郭を小さくして取り付け位置の自由度が高い状態とすることができる。しかも、小型化したことで、オーバル輪郭形状を有するフランジ部材30を傾斜した状態で狭い内部空間を有する燃料タンク2であっても取り付けることが可能となる。これにより、燃料ポンプ10の燃料吸入口14およびこの燃料吸入口14に接続されるフィルタ14aが、他に干渉することなく、燃料タンク2の底面部の最下部2a1に位置するように燃料供給装置1を取り付けることができる。また、燃料タンク2へ燃料供給装置1を取り付ける開口部2bを小さくすることができるとともに、燃料供給装置1の小型化により、固定姿勢の安定化を図ることができる。
【0158】
燃料タンク2内で貯留される燃料Fが減少した場合でも、必要な燃料Fを吸入して、エンジン等の内燃機関57に供給することが容易となる。しかも、車体前後に設けられた車体フレームを跨いで配置されるような狭い内部空間を有する燃料タンク2においても、燃料供給装置1を省スペース化して燃料供給が可能な位置に取り付けることが可能となる。タンクレイアウトの向上を図ることができる。また、燃料供給装置1を燃料タンク2に取り付ける際の作業性を向上することが可能となる。
【0159】
しかも、この場合、車体フレームを跨いだ位置となる側壁面部2cに燃料供給装置1を配置することが可能なため、露出度の多い二輪車両においてもその外観における美感を損なうことがなく、デザイン性を求める二輪車両等においても、その外観に影響を及ぼさない配置とすることができる。
【0160】
Z方向に見たレギュレータ収容部70の中心が、オーバル輪郭形状の長軸上において、フランジ部32のオーバル輪郭形状の中心位置と周溝部32aや配置面凹部35aの輪郭円弧の中心との間に位置して、フランジ部32の配置面30aからZ方向に立設しているため、燃料タンク2への燃料供給装置1の組み付け時に、レギュレータ収容部70が開口部2bの縁部等に直接接触することを防止することができる。
【0161】
さらに、フランジ部材30とカップ20とが別部材とされて別々に成型することが可能となる。これにより、Z方向に軸線を有するレギュレータ収容部70および燃料流路71を有する筒部34と、X方向に軸線を有するカップ20とを、同時に成型する必要がなくなる。このため、金型構造を簡素にすることができ、また、フランジ金型のEピン(エジェクターピン)に対する配置の自由度を上げることができ、金型離型時の変形を抑制することができる。
【0162】
また、燃料タンク2内で貯留される燃料Fの液面が下降した場合でも、傾斜した下方位置にある1次フィルタ14aを介して燃料吸入口14から燃料Fを吸入可能となる。また、レギュレータ収容部70が燃料タンク2の底面部2aにおける最低部2a1よりも傾斜して高くなった凸部2a2に対応する位置にあるため、燃料タンク2の底面部2aがフランジ部材30と干渉することがない。また、フランジ部材30の輪郭形状を小さくしているため、燃料タンク2の底面部2aとフランジ部材30とが干渉することをさらに抑制できる。
【0163】
同時に、図3に符号QPで示すように、筒部70dの基端の周囲の配置面凹部35aが、XY面に沿った方向で外方に開放されている構成としたことで、筒部70d付近の水分等を排出することが容易にできるため、燃料タンク2内における水分等がターミナル72から侵入して、ターミナル72内部の端子等金属部分を腐食してしまうことを防止することが可能となる。
【0164】
同時に、支持板部70e、配置面凹部35a、裏面凹部35b、配置面リブ36aおよび裏面リブ36bが形成されていることで、フランジ部材30およびレギュレータ収容部70の強度を向上することができるため、荷重に対する変形防止性を向上して、必要な燃料を吸入してエンジン等の内燃機関57への供給を維持し、燃料供給装置1の動作信頼性を向上することができる。
【0165】
さらに、内部空間が小さい燃料タンク2において燃料タンク2内で貯留される燃料Fが極めて減少した場合でも、必要な燃料を吸入してエンジン等の内燃機関57への供給を維持し、燃料供給装置1の動作信頼性を向上することができる。
【0166】
また、Z方向に軸線を有するレギュレータ収容部70、燃料流路71を有する筒部34および支持板部70eと、X方向に軸線を有するカップ20とを、同時に成型する必要がなく、それぞれの部品の構造を、より単純化することができる。カップ20が円形であるので、カップ20の金型構造も円筒であり簡素とすることができる。
【0167】
ガイドレール構造100とスナップフィット構造200とを用いて、縦レール部111と縦ガイド部112、横レール部151と横ガイド部152,153、による嵌合によりフランジ部材30とカップ20とを固定するため、スナップフィットのみで係止する構造よりも高剛性として強度を向上することができる。
このとき、支持板部70eによりレギュレータ収容部70の強度を向上し、燃料吸入口14のある燃料ポンプ10の端部がY方向に振れるような荷重が印加しても、これら支持板部70eおよびガイドレール構造100によって、その強度が維持される。
【0168】
さらに、傾斜面(傾斜部)120bおよび横傾斜面158bが、X方向で中央裏面リブ(裏面リブ)36bと重なる位置に配置されていることで、スライド時に荷重が印加される部分の強度を中央裏面リブ(裏面リブ)36bによって向上し、変形等が発生することを防止できる。
また、固定面(固定部)120cおよび横固定面158cが、X方向において、Y方向に延在する裏面リブ36bのうち、レギュレータ収容部70から離間した1本と重なる位置に配置されていることで、スライドが終了した固定時に荷重が印加される部分の強度を裏面リブ36bによって向上し、変形等が発生することを防止できる。
【0169】
フランジ部材30とカップ20とが別部材とされているので、燃料ポンプ10の径寸法等がことなる種類に変更された場合でも、同じフランジ部材30用いて容易に対応することができる。
【0170】
X方向に3本延在するガイドレール構造100によってフランジ部材30とカップ20とを取り付け固定するため、燃料供給装置1の衝撃耐性を向上することができる。
また、ガイドレール構造100によってフランジ部材30とカップ20とをX方向にスライドさせるだけで、取り付け固定することができる。
【0171】
係止片212と係止凸部213とのスライド時における位置が、X方向で傾斜面120bと横傾斜面158bと対応しているように、ガイドレール構造100とスナップフィット構造200とが、スライド時でのX方向位置が対応した構成とされるため、フランジ部材30とカップ20との取り付け固定において、フランジ部材30とカップ20との位置設定と、フランジ部材30とカップ20との係止固定を同時におこなうことができる。このため、取り付け固定における作業工程を簡略化し、作業工程を減らして、作業効率を向上することができる。
【0172】
これにより、作業効率が向上することから生産活動における作業ロスを低減することができるので、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」及び目標8「すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する」に貢献することが可能となる。
【0173】
本実施形態においては、ガイドレール構造100として、縦レール部111,横レール部151がフランジ部材30に形成されて、縦ガイド部112,横ガイド部152,153がカップ20に形成される構成としたが、逆に、縦レール部111,横レール部151がカップ20に形成されて、縦ガイド部112,横ガイド部152,153がフランジ部材30に形成される構成とすることもできる。
【0174】
さらに、1本の縦ガイドレール構造110と2本の横ガイドレール構造150とを、平行かつ、X方向での長さが略等しい構成としたが、これに限定されることはない。例えば、上述した縦ガイドレール構造110と、スライド終端のみにX方向長さを短くした横ガイドレール構造150と、を有する構成とすることができる。
【0175】
さらに、縦ガイドレール構造110と横ガイドレール構造150とが、X方向でオフセットされて互いにY方向視して重ならない構成とすることもできる。この場合、スライド始端のみにX方向長さを短くした縦ガイドレール構造110を配置し、スライド終端のみにX方向長さを短くした横ガイドレール構造150を配置することができる。
【0176】
または、1本の縦ガイドレール構造110と1本の横ガイドレール構造150とを有する構成とすることもできる。
この場合、スライド始端のみにX方向長さを短くした縦ガイドレール構造110を配置し、スライド終端のみにX方向長さを短くした横ガイドレール構造150を配置することができる。
【0177】
あるいは、図13に示すように、突出部117,118におけるY-Z方向の端面形状が矩形ではなく、縦ガイドレール構造110として、接触面119および接触面120a,120b,120cが、配置面30aおよびスライド面20aに対して傾斜している構成とすることも可能である。
【0178】
さらに、図14に示すように、ガイドレール構造100として、縦レール部111と縦ガイド部112において、互いに接触する突出部117,118が、Y方向の一方のみに突出した構成として、これをY方向に離間して形成し、横ガイドレールとしての機能を持たせることも可能である。
【符号の説明】
【0179】
1…燃料供給装置
2…燃料タンク
2a…底面部
2a1…最下部(最低部)
2a2…凸部
2b…開口部
2c…側壁面部
10…燃料ポンプ
14…燃料吸入口
14a…1次フィルタ(フィルタ)
14b…接続管部
19…給電端子
20…カップ(ポンプ収容部材)
20a…スライド面
24…スライド部
24a,24c…側端面
30…フランジユニット(フランジ部材)
30a…配置面
30b…裏面
32…フランジ部
32g…固定凸部
33…外部コネクタ
34a…吐出配管
33d…支持部
35a…配置面凹部
35b…裏面凹部
36a…配置面リブ
36b…裏面リブ
59…ハーネス(リード線)
45…プレッシャレギュレータ
70…燃料流路収容部(レギュレータ収容部)
70a…頂部
70d…筒部
70e…支持板部
72…ターミナル
71…燃料流路
100…ガイドレール構造
C…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14