(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175263
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20231205BHJP
H05K 7/06 20060101ALI20231205BHJP
H01H 85/20 20060101ALI20231205BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20231205BHJP
【FI】
H02G3/16
H05K7/06 C
H01H85/20 D
B60R16/02 635
B60R16/02 610Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087618
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】室井 亮
(72)【発明者】
【氏名】久保木 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】伊佐治 優介
【テーマコード(参考)】
5G361
5G502
【Fターム(参考)】
5G361BA03
5G361BC01
5G361BC02
5G502AA20
5G502BA04
5G502BC03
5G502CC03
5G502CC22
5G502CC26
5G502CC28
5G502FF08
(57)【要約】
【課題】同一の電気接続箱でサイズの異なる少なくとも2つのヒューズを搭載可能とし、コストを抑える。
【解決手段】本開示の電気接続箱10は、筐体20と、筐体20に取り付けられたバスバー30と、を備えた電気接続箱10であって、筐体20は、互いにサイズの異なる大ヒューズ41および小ヒューズ42を含む少なくとも2つのヒューズがそれぞれ搭載される共用のヒューズ搭載部21を備えており、ヒューズ搭載部21は、大ヒューズ41の大入力端子41Bが固定される大入力側固定部23と、大ヒューズ41の大出力端子41Cが固定される大出力側固定部24と、小ヒューズ42の小入力端子42Bが固定される小入力側固定部25と、小ヒューズ42の小出力端子42Cが固定される小出力側固定部26と、を備え、小入力側固定部25と小出力側固定部26は、大入力側固定部23と大出力側固定部24の間に配されている、電気接続箱10である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体に取り付けられたバスバーと、を備えた電気接続箱であって、
前記筐体は、互いにサイズの異なる大ヒューズおよび小ヒューズを含む少なくとも2つのヒューズがそれぞれ搭載される共用のヒューズ搭載部を備えており、
前記ヒューズ搭載部は、前記大ヒューズの一端側に設けられた大入力端子が固定される大入力側固定部と、前記大ヒューズの他端側に設けられた大出力端子が固定される大出力側固定部と、前記小ヒューズの一端側に設けられた小入力端子が固定される小入力側固定部と、前記小ヒューズの他端側に設けられた小出力端子が固定される小出力側固定部と、を備え、
前記小入力側固定部と前記小出力側固定部は、前記大入力側固定部と前記大出力側固定部の間に配されている、電気接続箱。
【請求項2】
前記バスバーは、前記大入力端子に接続された状態で前記大入力側固定部に固定される大入力側接続部と前記小入力端子に接続された状態で前記小入力側固定部に固定される小入力側接続部とを有する入力側バスバーと、前記大出力端子に接続された状態で前記大出力側固定部に固定される大出力側接続部と前記小出力端子に接続された状態で前記小出力側固定部に固定される小出力側接続部とを有する出力側バスバーと、を備える、請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記大入力側接続部と前記小入力側接続部は、平面視における並び方向と直交する高さ方向において、異なる高さ位置に配され、前記入力側バスバーは、前記大入力側接続部と前記小入力側接続部を段付き状に接続する入力側段差を有し、
前記大出力側接続部と前記小出力側接続部は、平面視における並び方向と直交する高さ方向において、異なる高さ位置に配され、前記出力側バスバーは、前記大出力側接続部と前記小出力側接続部を段付き状に接続する出力側段差を有している、請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記筐体は、前記ヒューズ搭載部の両側に配された一対のヒューズ保護壁をさらに備えており、
前記一対のヒューズ保護壁は、前記大ヒューズを両側から覆う外側位置と、前記外側位置よりも内側に位置して前記小ヒューズを両側から覆う内側位置と、に配置可能とされている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記一対のヒューズ保護壁は、前記軸線方向および前記高さ方向に直交する幅方向に移動可能とされ、かつ歯車を介して連動可能とされている、請求項4に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒュージブルリンクを搭載した電気接続箱として、特開2005-185002号公報(下記特許文献1)に記載の電気接続箱が知られている。この電気接続箱は、ロアケースと、ロアケースの上面側に被せて組み付けられるアッパーケースと、を備えている。ロアケースの上面には、入力側LA端子接続部と、出力側LA端子接続部と、LA端子接続部に隣接する第1ヒュージブルリンク搭載部と、第2ヒュージブルリンク搭載部と、複数のリレー収容部と、ヒューズ収容部と、が設けられている。
【0003】
第1ヒュージブルリンク搭載部に搭載されるヒュージブルリンクは、本体部と、本体部の一側下端から側方に向けて突出した入力端子部と、本体部の他側下端から入力端子部とは反対方向に向けて突出した出力端子部と、を備えている。ヒュージブルリンクと第1ヒュージブルリンク搭載部は、第1ヒュージブルリンク搭載部のボルト穴とヒュージブルリンクの入力端子部のボルト穴とにボルトを通してナットに締め付けることで固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に車種やグレードによって搭載するヒュージブルリンクのサイズは異なる場合がある。このため、従来の電気接続箱では、各サイズのヒュージブルリンクに合わせた専用の電気接続箱を設計する必要があり、汎用性がなく、コストが高いものになっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電気接続箱は、筐体と、前記筐体に取り付けられたバスバーと、を備えた電気接続箱であって、前記筐体は、互いにサイズの異なる大ヒューズおよび小ヒューズを含む少なくとも2つのヒューズがそれぞれ搭載される共用のヒューズ搭載部を備えており、前記ヒューズ搭載部は、前記大ヒューズの一端側に設けられた大入力端子が固定される大入力側固定部と、前記大ヒューズの他端側に設けられた大出力端子が固定される大出力側固定部と、前記小ヒューズの一端側に設けられた小入力端子が固定される小入力側固定部と、前記小ヒューズの他端側に設けられた小出力端子が固定される小出力側固定部と、を備え、前記小入力側固定部と前記小出力側固定部は、前記大入力側固定部と前記大出力側固定部の間に配されている、電気接続箱である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、同一の電気接続箱でサイズの異なる少なくとも2つのヒューズを搭載することができ、コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、大ヒューズが搭載された電気接続箱の平面図である。
【
図2】
図2は、小ヒューズが搭載された電気接続箱の平面図である。
【
図3】
図3は、大ヒューズが搭載されたヒューズ搭載部を拡大して示す電気接続箱の一部拡大平面図である。
【
図5】
図5は、大ヒューズが搭載されたヒューズ搭載部を拡大して示す電気接続箱の一部拡大背面図である。
【
図7】
図7は、小ヒューズが搭載されたビューズ搭載部を拡大して示す電気接続箱の一部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の電気接続箱は、筐体と、前記筐体に取り付けられたバスバーと、を備えた電気接続箱であって、前記筐体は、互いにサイズの異なる大ヒューズおよび小ヒューズを含む少なくとも2つのヒューズがそれぞれ搭載される共用のヒューズ搭載部を備えており、前記ヒューズ搭載部は、前記大ヒューズの一端側に設けられた大入力端子が固定される大入力側固定部と、前記大ヒューズの他端側に設けられた大出力端子が固定される大出力側固定部と、前記小ヒューズの一端側に設けられた小入力端子が固定される小入力側固定部と、前記小ヒューズの他端側に設けられた小出力端子が固定される小出力側固定部と、を備え、前記小入力側固定部と前記小出力側固定部は、前記大入力側固定部と前記大出力側固定部の間に配されている、電気接続箱である。
【0010】
大ヒューズをヒューズ搭載部に搭載するには、大入力端子を大入力側固定部に固定するとともに、大出力端子を大出力側固定部に固定する。小ヒューズをヒューズ搭載部に搭載するには、小入力端子を小入力側固定部に固定するとともに、小出力端子を小出力側固定部に固定する。このように1つのヒューズ搭載部に大ヒューズと小ヒューズを搭載可能となっているから、同一の電気接続箱でサイズの異なる少なくとも2つのヒューズを搭載することができ、コストを抑えることができる。
【0011】
(2)前記バスバーは、前記大入力端子に接続された状態で前記大入力側固定部に固定される大入力側接続部と前記小入力端子に接続された状態で前記小入力側固定部に固定される小入力側接続部とを有する入力側バスバーと、前記大出力端子に接続された状態で前記大出力側固定部に固定される大出力側接続部と前記小出力端子に接続された状態で前記小出力側固定部に固定される小出力側接続部とを有する出力側バスバーと、を備えることが好ましい。
大ヒューズを入力側バスバーに接続するには、大入力端子とともに大入力側接続部を大入力側固定部に固定し、大ヒューズを出力側バスバーに接続するには、大出力端子とともに大出力側接続部を大出力側固定部に固定する。小ヒューズを入力側バスバーに接続するには、小入力端子とともに小入力側接続部を小入力側固定部に固定し、小ヒューズを出力側バスバーに接続するには、小出力端子とともに小出力側接続部を小出力側固定部に固定する。このように大ヒューズと小ヒューズのいずれか一方を選択して入力側バスバーと出力側バスバーとを接続可能となっているから、同一の電気接続箱で異なる車種やグレードに対応できる。
【0012】
(3)前記大入力側接続部と前記小入力側接続部は、平面視における並び方向と直交する高さ方向において、異なる高さ位置に配され、前記入力側バスバーは、前記大入力側接続部と前記小入力側接続部を段付き状に接続する入力側段差を有し、前記大出力側接続部と前記小出力側接続部は、平面視における並び方向と直交する高さ方向において、異なる高さ位置に配され、前記出力側バスバーは、前記大出力側接続部と前記小出力側接続部を段付き状に接続する出力側段差を有していることが好ましい。
入力側バスバーは入力側段差によって段付き状に形成され、出力側バスバーは出力側段差によって段付き状に形成されているから、大ヒューズをヒューズ搭載部に搭載する際にバスバーと干渉しにくくなる。
【0013】
(4)前記筐体は、前記ヒューズ搭載部の両側に配された一対のヒューズ保護壁をさらに備えており、前記一対のヒューズ保護壁は、前記大ヒューズを両側から覆う外側位置と、前記外側位置よりも内側に位置して前記小ヒューズを両側から覆う内側位置と、に配置可能とされていることが好ましい。
大ヒューズは外側位置にある一対のヒューズ保護壁によって保護され、小ヒューズは内側位置にある一対の保護壁によって保護される。
【0014】
(5)前記一対のヒューズ保護壁は、前記軸線方向および前記高さ方向に直交する幅方向に移動可能とされ、かつ歯車を介して連動可能とされていることが好ましい。
一方のヒューズ保護壁を動かすと、歯車を介して他方のヒューズ保護壁を動かすことができる。
【0015】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0016】
<実施形態>
本開示の実施形態を
図1から
図8を参照しつつ説明する。本実施形態の電気接続箱10は、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両に搭載されて、バッテリなどの電源から補機類などの負荷への電力供給経路に配される。
【0017】
[電気接続箱の全体構成]
電気接続箱10は、
図1に示すように、筐体20と、バスバー30と、第1ヒューズ40と、第2ヒューズ50と、を備える。第1ヒューズ40は、
図1において筐体20の図示上側に位置し、第2ヒューズ50は、
図1において第1ヒューズ40の図示下側に位置している。
【0018】
筐体20は、合成樹脂製であって、バスバー30などが固定されるロアケースと、ロアケースに上側から組み付けられてバスバー30などを覆うカバー(図示せず)と、を備える。本実施形態ではロアケースのみを開示している。
【0019】
バスバー30は、金属板材が打ち抜きおよび折り曲げされた部材であって、第1バスバー31と、第2バスバー32と、第3バスバー33と、を備える。第1バスバー31は、
図1において筐体20の図示右側に位置し、第2バスバー32と第3バスバー33は、
図1において第1バスバー31の図示左側に位置している。第2バスバー32は、
図1において第3バスバー33の図示上側に位置している。
【0020】
第1バスバー31は、外部接続部31Aを有し、外部接続部31Aには電源側ケーブルが接続されるようになっている。外部接続部31Aから第1バスバー31に入力された電力は分岐されて第1ヒューズ40と第2ヒューズ50に供給されるようになっている。第1バスバー31は、第1ヒューズ40に接続される第1ヒューズ接続部31Bと、第2ヒューズ50に接続される第2ヒューズ接続部31Cと、を備える。
【0021】
第2バスバー32は、第1ヒューズ40に接続される第1ヒューズ接続部32Aを備え、第3バスバー33は、第2ヒューズ50に接続される第2ヒューズ接続部33Aを備える。第1ヒューズ接続部32Aには一方の負荷側ケーブルが接続され、第2ヒューズ接続部33Aには、他方の負荷側ケーブルが接続されるようになっている。したがって、電源側ケーブルから入力された電力は、第1バスバー31で分岐された後、第1ヒューズ40および第2バスバー32を通って一方の負荷側ケーブルに出力されるとともに、第2ヒューズ50および第3バスバー33を通って他方の負荷側ケーブルに出力される。
【0022】
[筐体]
筐体20は、第1ヒューズ40が搭載される第1ヒューズ搭載部21と、第2ヒューズ50が搭載される第2ヒューズ搭載部22と、を備える。以下においては第1ヒューズ搭載部21について説明するものとし、ヒューズ搭載部21と略していうものとする。
【0023】
ヒューズ搭載部21は、互いにサイズの異なる
図1に示す大ヒューズ41と
図2に示す小ヒューズ42とがそれぞれ搭載される共用のヒューズ搭載部21とされている。第1ヒューズ40とは、大ヒューズ41と小ヒューズ42の総称である。
【0024】
[大ヒューズ]
大ヒューズ41は、
図4に示すように、大ヒューズ本体41Aと、大ヒューズ本体41Aの一端部から突出する大入力端子41Bと、大ヒューズ本体41Aの他端部から突出する大出力端子41Cと、を備える。大ヒューズ本体41Aは略円柱状をなし、その中心を通る軸線P1に沿ってのびる形態とされている。大入力端子41Bと大出力端子41Cはいずれも平板状をなして軸線P1に沿ってのびる形態とされている。大入力端子41Bと大出力端子41Cは、いずれもボルト孔41Dを有している。
【0025】
[小ヒューズ]
小ヒューズ42は、
図8に示すように、小ヒューズ本体42Aと、小ヒューズ本体42Aの一端側の下面から下方に突出した後、図示右側に突出する小入力端子42Bと、小ヒューズ本体42Aの他端側の下面から下方に突出した後、図示左側に突出する小出力端子42Cと、を備える。小ヒューズ本体42Aは略円柱状をなして軸線P2方向にのびる形態とされている。小入力端子42Bと小出力端子42Cはいずれも平板状をなして軸線P2に沿ってのびる形態とされている。小入力端子42Bと小出力端子42Cは、いずれもボルト孔42Dを有している。
【0026】
大ヒューズ本体41Aの軸線P1方向の寸法は、小ヒューズ本体42Aの軸線P2方向の寸法よりも大きい。また、大ヒューズ本体41Aの径寸法は、小ヒューズ本体42Aの径寸法よりも大きい。大入力端子41Bおよび大出力端子41Cの板厚は、小入力端子42Bおよび小出力端子42Cの板厚よりも大きい。
【0027】
[ヒューズ搭載部]
ヒューズ搭載部21は、大入力端子41Bが固定される大入力側固定部23と、大出力端子41Cが固定される大出力側固定部24と、小入力端子42Bが固定される小入力側固定部25と、小出力端子42Cが固定される小出力側固定部26と、を備える。小入力側固定部25と小出力側固定部26は、大入力側固定部23と大出力側固定部24の間に配されている。
【0028】
ヒューズ搭載部21のうち小入力側固定部25と小出力側固定部26が形成された部分は、大入力側固定部23と大出力側固定部24が形成された部分よりも下方に凹んで形成された凹部27として構成されている。
図4に示すように、凹部27には大ヒューズ本体41Aの下半分が収容されている。
図8に示すように、凹部27には小ヒューズ42の全体が収容されている。
【0029】
大入力側固定部23は、
図4に示すように、ナットNと、ナットNを回転不能に収容するナット収容部23Aと、大きいボルトB1の軸部を逃がすボルト逃がし部23Bと、を備えて構成されている。大出力側固定部24と小入力側固定部25と小出力側固定部26は、大入力側固定部23と同様の構成である。
【0030】
大出力側固定部24は、ナットNと、ナット収容部24Aと、ボルト逃がし部24Bと、を備えて構成され、小入力側固定部25は、ナットNと、ナット収容部25Aと、ボルト逃がし部25Bと、を備えて構成され、小出力側固定部26は、ナットNと、ナット収容部26Aと、ボルト逃がし部26Bと、を備えて構成されている。
【0031】
[大ヒューズの接続構造]
第1バスバー31の第1ヒューズ接続部31Bは、大ヒューズ41の外面に沿って形成されている。第1ヒューズ接続部31Bは、大入力端子41Bに接続された状態で大入力側固定部23に固定される大入力側接続部34Aと、小入力端子42Bに接続された状態で小入力側固定部25に固定される小入力側接続部34Bと、大入力側接続部34Aと小入力側接続部34Bを段付き状に接続する入力側段差34Cと、を有する。大入力側接続部34Aは、軸線P1、P2方向と直交する高さ方向において、小入力側接続部34Bよりも高い位置に配されている。大入力側接続部34Aと小入力側接続部34Bは、いずれもボルト孔34Dを有している。
【0032】
第2バスバー32の第1ヒューズ接続部32Aは、大出力端子41Cに接続された状態で大出力側固定部24に固定される大出力側接続部35Aと、小出力端子42Cに接続された状態で小出力側固定部26に固定される小出力側接続部35Bと、大出力側接続部35Aと小出力側接続部35Bを段付き状に接続する出力側段差35Cと、を有する。大出力側接続部35Aは、軸線P1、P2方向と直交する高さ方向において、小出力側接続部35Bよりも高い位置に配されている。大出力側接続部35Aと小出力側接続部35Bは、いずれもボルト孔35Dを有している。
【0033】
大入力側固定部23と大出力側固定部24の間の寸法は、小入力側固定部25と小出力側固定部26の間の寸法よりも大きく、大入力側固定部23と小入力側固定部25と小出力側固定部26と大出力側固定部24とは、平面視において、この順に一列に並んで配されている。平面視における、大入力側固定部23と小入力側固定部25と小出力側固定部26と大出力側固定部24とが並ぶ並び方向は、軸線P1、P2方向と一致する。
【0034】
図4に示すように、大入力側接続部34Aのボルト孔34Dと大入力側固定部23のナットNとは同軸に並んで配置されている。大入力側接続部34Aに大入力端子41Bを載置すると、大入力側接続部34Aのボルト孔34Dと大入力側固定部23のナットNと大入力端子41Bのボルト孔41Dとが同軸に並ぶ。ボルトB1をボルト孔34D、41Dに挿通してナットNに締結すると、大入力端子41Bと大入力側接続部34AがボルトB1の頭部とナットNとの間に挟持されることで、第1バスバー31の第1ヒューズ接続部31Bと大ヒューズ41の大入力端子41Bとが導通可能に接続された状態で大入力側固定部23に固定される。
【0035】
大出力側接続部35Aのボルト孔35Dと大出力側固定部24のナットNとは同軸に並んで配置されている。大出力側接続部35Aに大出力端子41Cを載置すると、大出力側接続部35Aのボルト孔35Dと大出力側固定部24のナットNと大出力端子41Cのボルト孔41Dとが同軸に並ぶ。ボルトB1をボルト孔35D、41Dに挿通してナットNに締結すると、大出力端子41Cと大出力側接続部35AがボルトB1の頭部とナットNとの間に挟持されることで、第2バスバー32の第1ヒューズ接続部32Aと大ヒューズ41の大出力端子41Cとが導通可能に接続された状態で大出力側固定部24に固定される。
【0036】
[小ヒューズの接続構造]
図8に示すように、小入力側接続部34Bのボルト孔34Dと小入力側固定部25のナットNとは同軸に並んで配置されている。小入力側接続部34Bに小入力端子42Bを載置すると、小入力側接続部34Bのボルト孔34Dと小入力側固定部25のナットNと小入力端子42Bのボルト孔42Dとが同軸に並ぶ。ボルトB1より小さいボルトB2をボルト孔34D、42Dに挿通してナットNに締結すると、小入力端子42Bと小入力側接続部34BがボルトB2の頭部とナットNとの間に挟持されることで、第1バスバー31の第1ヒューズ接続部31Bと小ヒューズ42の小入力端子42Bとが導通可能に接続された状態で小入力側固定部25に固定される。
【0037】
小出力側接続部35Bのボルト孔35Dと小出力側固定部26のナットNとは同軸に並んで配置されている。小出力側接続部35Bに小出力端子42Cを載置すると、小出力側接続部35Bのボルト孔35Dと小出力側固定部26のナットNと小出力端子42Cのボルト孔42Dとが同軸に並ぶ。ボルトB2をボルト孔35D、42Dに挿通してナットNに締結すると、小出力端子42Cと小出力側接続部35BがボルトB2の頭部とナットNとの間に挟持されることで、第2バスバー32の第1ヒューズ接続部32Aと小ヒューズ42の小出力端子42Cとが導通可能に接続された状態で小出力側固定部26に固定される。
【0038】
[ヒューズ保護壁]
筐体20は、
図1に示すように、ヒューズ搭載部21の幅方向両側に配された一対のヒューズ保護壁28を備えている。ここで、幅方向とは、軸線P1方向および高さ方向に直交する方向のことである。一対のヒューズ保護壁28は、
図1に示す外側位置と、
図2に示す内側位置と、に配置可能とされている。内側位置にある一対のヒューズ保護壁28は、外側位置にある一対のヒューズ保護壁28よりも内側に位置している。外側位置にある一対のヒューズ保護壁28は大ヒューズ41を幅方向両側から覆い、内側位置にある一対のヒューズ保護壁28は小ヒューズ42を幅方向両側から覆っている。
【0039】
ヒューズ保護壁28は、
図4に示すように、軸線P1方向において大ヒューズ41より大きく、凹部27よりも小さく形成されている。また、ヒューズ保護壁28は、高さ方向において大ヒューズ41よりも大きく、凹部27よりも大きく形成されている。すなわち、大ヒューズ41の上半分は凹部27から突出しているものの、この突出した部分は一対のヒューズ保護壁28によって幅方向両側から覆われている。
【0040】
ヒューズ保護壁28の下端部には、
図5に示すように、インナーレール28Aが設けられている。インナーレール28Aはヒューズ保護壁28と直交する配置で幅方向にのびる形態とされている。一方、筐体20の下端部にはインナーレール28Aが挿入可能なアウターレール20Aが設けられている。インナーレール28Aがアウターレール20Aに沿って移動することによりヒューズ保護壁28が外側位置と内側位置との間で幅方向に移動可能とされている。
【0041】
インナーレール28Aの上面には凸部28Bが設けられている。一方、アウターレール20Aの内面には、外側位置と内側位置で凸部28Bが嵌まり込む一対の凹部が設けられている。インナーレール28Aの凸部28Bがアウターレール20Aの凹部に嵌まり込むことでヒューズ保護壁28が外側位置と内側位置でそれぞれ位置決めされて保持される。
【0042】
一対のインナーレール28Aは、
図6に示すように、歯車29を中心として点対称となるように配置されている。インナーレール28Aは、歯車29と噛み合う歯28Cを有している。歯車29は、一対のインナーレール28Aに挟まれる形でそれぞれの歯28Cと同時に噛み合っている。このため、一対のヒューズ保護壁28は、歯車29を介して連動可能とされている。したがって、一方のヒューズ保護壁28を幅方向一側に移動させると、これに伴って他方のヒューズ保護壁28も幅方向他側に移動することになる。
【0043】
[実施形態の作用効果]
本開示の電気接続箱10は、筐体20と、筐体20に取り付けられたバスバー30と、を備えた電気接続箱10であって、筐体20は、互いにサイズの異なる大ヒューズ41および小ヒューズ42がそれぞれ搭載される共用のヒューズ搭載部21を備えており、ヒューズ搭載部21は、大ヒューズ41の一端側に設けられた大入力端子41Bが固定される大入力側固定部23と、大ヒューズ41の他端側に設けられた大出力端子41Cが固定される大出力側固定部24と、小ヒューズ42の一端側に設けられた小入力端子42Bが固定される小入力側固定部25と、小ヒューズ42の他端側に設けられた小出力端子42Cが固定される小出力側固定部26と、を備え、小入力側固定部25と小出力側固定部26は、大入力側固定部23と大出力側固定部24の間に配されている、電気接続箱10である。
【0044】
大ヒューズ41をヒューズ搭載部21に搭載するには、大入力端子41Bを大入力側固定部23に固定するとともに、大出力端子41Cを大出力側固定部24に固定する。小ヒューズ42をヒューズ搭載部21に搭載するには、小入力端子42Bを小入力側固定部25に固定するとともに、小出力端子42Cを小出力側固定部26に固定する。このように1つのヒューズ搭載部21に大ヒューズ41と小ヒューズ42を搭載可能となっているから、同一の電気接続箱10でサイズの異なる少なくとも2つのヒューズを搭載することができ、コストを抑えることができる。
【0045】
バスバー30は、大入力端子41Bに接続された状態で大入力側固定部23に固定される大入力側接続部34Aと小入力端子42Bに接続された状態で小入力側固定部25に固定される小入力側接続部34Bとを有する第1バスバー31と、大出力端子41Cに接続された状態で大出力側固定部24に固定される大出力側接続部35Aと小出力端子42Cに接続された状態で小出力側固定部26に固定される小出力側接続部35Bとを有する第2バスバー32と、を備えることが好ましい。
大ヒューズ41を第1バスバー31に接続するには、大入力端子41Bとともに大入力側接続部34Aを大入力側固定部23に固定し、大ヒューズ41を第2バスバー32に接続するには、大出力端子41Cとともに大出力側接続部35Aを大出力側固定部24に固定する。小ヒューズ42を第1バスバー31に接続するには、小入力端子42Bとともに小入力側接続部34Bを小入力側固定部25に固定し、小ヒューズ42を第2バスバー32に接続するには、小出力端子42Cとともに小出力側接続部35Bを小出力側固定部26に固定する。このように大ヒューズ41と小ヒューズ42のいずれか一方を選択して第1バスバー31と第2バスバー32とを接続可能となっているから、同一の電気接続箱10で異なる車種やグレードに対応できる。
【0046】
大入力側接続部34Aと小入力側接続部34Bは、平面視における並び方向と直交する高さ方向において、異なる高さ位置に配され、第1バスバー31は、大入力側接続部34Aと小入力側接続部34Bを段付き状に接続する入力側段差34Cを有し、大出力側接続部35Aと小出力側接続部35Bは、平面視における並び方向と直交する高さ方向において、異なる高さ位置に配され、第2バスバー32は、大出力側接続部35Aと小出力側接続部35Bを段付き状に接続する出力側段差35Cを有していることが好ましい。
第1バスバー31は入力側段差34Cによって段付き状に形成され、第2バスバー32は出力側段差35Cによって段付き状に形成されているから、大ヒューズ41をヒューズ搭載部21に搭載する際にバスバー30と干渉しにくくなる。
【0047】
筐体20は、ヒューズ搭載部21の両側に配された一対のヒューズ保護壁28をさらに備えており、一対のヒューズ保護壁28は、大ヒューズ41を両側から覆う外側位置と、外側位置よりも内側に位置して小ヒューズ42を両側から覆う内側位置と、に配置可能とされていることが好ましい。
大ヒューズ41は外側位置にある一対のヒューズ保護壁28によって保護され、小ヒューズ42は内側位置にある一対のヒューズ保護壁28によって保護される。
【0048】
一対のヒューズ保護壁28は、軸線P1、P2方向および高さ方向に直交する幅方向に移動可能とされ、かつ歯車29を介して連動可能とされていることが好ましい。
一方のヒューズ保護壁28を動かすと、歯車29を介して他方のヒューズ保護壁28を動かすことができる。
【0049】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態ではヒューズ搭載部21が凹部27を備えているものを例示したが、ヒューズ搭載部は平坦な形状でもよい。
【0050】
(2)上記実施形態では第1バスバー31が入力側段差34Cを有し、第2バスバー32が出力側段差35Cを備えているものを例示したが、バスバーは必ずしも段付き形状のものでなくてもよい。例えば、第1バスバーが枝分かれ状に形成されていて、それぞれの先端部に大入力側接続部と小入力側接続部とが設けられているものでもよい。
【0051】
(3)上記実施形態では大ヒューズ41と小ヒューズ42がバスバー30に接続されているものを例示したが、各ヒューズ41、42はバスバー30に接続されておらず、予備用ヒューズとして筐体20に保持されているだけのものでもよい。
【0052】
(4)上記実施形態では各ヒューズ41、42の各端子41B、41C、42B、42Cが筐体20にボルトB1、B2で締結されているものを例示したが、固定方法はボルトB1、B2による締結でなくてもよい。例えば、固定方法は溶接でもよく、樹脂ロックや金属クリップなどを用いた固定方法でもよい。
【0053】
(5)上記実施形態ではサイズの異なる2つのヒューズ(大ヒューズ41と小ヒューズ42)が選択的に搭載可能なヒューズ搭載部21を例示したが、サイズの異なる3つ以上のヒューズが選択的に搭載可能なヒューズ搭載部としてもよい。
【0054】
(6)上記実施形態では、大入力側固定部23と小入力側固定部25と小出力側固定部26と大出力側固定部24とが、平面視において、この順に一列に並んで配されているものを例示したが、必ずしも一列に並ぶ必要はなく、例えば大ヒューズ41の軸線P1と小ヒューズ42の軸線P2とが偏心あるいは交差した配置で固定部を設けてもよい。
【0055】
(7)上記実施形態では、筐体20とは別部材で構成されたヒューズ保護壁28を例示しているが、ヒューズ保護壁は筐体と一体に形成されているものでもよい。
【0056】
(8)上記実施形態では、歯車29によるラックアンドピニオン機構で一対のヒューズ保護壁28を連動させているが、例えばリンク機構などによって一対のヒューズ保護壁を連動させてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10:電気接続箱
20:筐体 20A:アウターレール 21:第1ヒューズ搭載部(ヒューズ搭載部) 22:第2ヒューズ搭載部 23:大入力側固定部 23A:ナット収容部 23B:ボルト逃がし部 24:大出力側固定部 24A:ナット収容部 24B:ボルト逃がし部 25:小入力側固定部 25A:ナット収容部 25B:ボルト逃がし部 26:小出力側固定部 26A:ナット収容部 26B:ボルト逃がし部 27:凹部 28:ヒューズ保護壁 28A:インナーレール 28B:凸部 28C:歯 29:歯車
30:バスバー 31:第1バスバー(入力側バスバー) 31A:外部接続部 31B:第1ヒューズ接続部 31C:第2ヒューズ接続部 32:第2バスバー(出力側バスバー) 32A:第1ヒューズ接続部 33:第3バスバー 33A:第2ヒューズ接続部 34A:大入力側接続部 34B:小入力側接続部 34C:入力側段差 34D:ボルト孔 35A:大出力側接続部 35B:小出力側接続部 35C:出力側段差 35D:ボルト孔
40:第1ヒューズ 41:大ヒューズ 41A:大ヒューズ本体 41B:大入力端子 41C:大出力端子 41D:ボルト孔 42:小ヒューズ 42A:小ヒューズ本体 42B:小入力端子 42C:小出力端子 42D:ボルト孔
50:第2ヒューズ
B1:ボルト B2:ボルト N:ナット P1:軸線 P2:軸線