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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175265
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
A47J37/06 316
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087624
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 智志
(72)【発明者】
【氏名】小林 博明
(72)【発明者】
【氏名】三宅 一也
【テーマコード(参考)】
4B040
【Fターム(参考)】
4B040AA08
4B040AC03
4B040AD04
4B040CA04
4B040CA16
4B040EB03
(57)【要約】
【課題】従来にはない形状を有する調理プレートを備えることで脂跳や脂煙の発生を抑制する加熱調理器を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の加熱調理器1は、調理器本体8と、調理器本体8に設けられたシーズヒータ5と、調理器本体8に着脱可能であり、シーズヒータ5により加熱される調理プレート7と、を備え、調理プレート7は、傾斜した傾斜部42を有し、傾斜部42には、複数の溝部46が形成され、溝部46の下端48には、調理プレート7を貫通する滴下孔49が形成され、滴下孔49が他の溝部46の延長線Lと交差する長さに形成されていることで、傾斜部42を流動する肉汁Mを滴下孔49に効率的かつ確実に流し込む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器本体と、
前記調理器本体に設けられた加熱手段と、
前記調理器本体に着脱可能であり、前記加熱手段により加熱される調理プレートと、を備え、
前記調理プレートは、傾斜した傾斜部を有し、
前記傾斜部には、複数の溝部が形成され、
前記溝部の下端には、前記調理プレートを貫通する滴下孔が形成され、
前記滴下孔が他の前記溝部の延長線と交差する長さに形成されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記滴下孔の下側開口の面積が上側開口の面積よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記調理プレートの温度を検知する温度検知手段をさらに備え、
前記傾斜部が前記調理プレートの中心部から周囲部に向かって低くなるように傾斜し、
前記中心部の下面部に前記温度検知手段が当接することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記中心部には前記溝部が形成されていないことを特徴とする請求項3に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記調理器本体に着脱可能であり、前記加熱手段により加熱され、内側底部が平坦な底平坦プレートをさらに備え、
前記調理プレートと前記底平坦プレートは、何れか一方のみを前記調理器本体に取り付けて加熱可能であり、
前記底平坦プレートの中心部分の下面部に前記温度検知手段が当接することを特徴とする請求項3に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記加熱手段が水平方向に設けられており、
前記加熱手段と前記調理プレートとの距離が前記中心部よりも前記周囲部の方が短く、
前記加熱手段と前記底平坦プレートとの距離は前記底平坦プレートの中心部分と周囲部分で略同一であることを特徴とする請求項5に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理板(プレート)を備えるホットプレート式の加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭でホットプレートを使用して焼肉等を行う場合に、食肉から流れ出た液状の脂等(肉汁)が加熱されることにより脂跳や脂煙が発生する。この脂跳や脂煙の発生を抑制する技術として、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1には、ケース本体と、ケース本体に載置され被調理物を調理するための調理プレートと、調理プレートの下方に配置されるヒーターとを備え、調理プレートは、下方に向かって傾斜するすり鉢状領域を有し、すり鉢状領域の中心部には、貫通孔を有し、すり鉢状領域には、貫通孔に向かって伸びる第1の凸状リブ群と、第1の凸状リブ群に直交し、且つ第1の凸状リブ群と交わらない第2の凸状リブ群及び第3の凸状リブ群とを有し、第1の凸状リブ群は、貫通孔上を橋渡しされる構成の加熱調理器が記載されている。そして、すり鉢状領域で食肉を焼いた場合には、脂を含む肉汁は第1の凸状リブ群、第2の凸状リブ群、第3の凸状リブ群の間等を流動し、貫通孔に流れ込むようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-115425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された加熱調理器以外にも、脂跳や脂煙の発生を抑制するための調理プレートの形状は様々知られているが、本発明は、従来にはない形状を有する調理プレートを備えることで脂跳や脂煙の発生を抑制する加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の加熱調理器は、調理器本体と、前記調理器本体に設けられた加熱手段と、前記調理器本体に着脱可能であり、前記加熱手段により加熱される調理プレートと、を備え、前記調理プレートは、傾斜した傾斜部を有し、前記傾斜部には、複数の溝部が形成され、前記溝部の下端には、前記調理プレートを貫通する滴下孔が形成され、前記滴下孔が他の前記溝部の延長線と交差する長さに形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の加熱調理器によれば、被調理物から流れ出る脂や水等を効率良く流動させ、脂跳や脂煙の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の調理プレートを使用した加熱調理器の部分平面図と縦断面図である。
図2】本発明の一実施形態の調理プレートを使用した加熱中の加熱調理器の部分平面図と縦断面図である。
図3図1のA-A断面図である。
図4】本発明の一実施形態の平プレートを使用した加熱調理器の縦断面図である。
図5】本発明の一実施形態の深鍋プレートを使用した加熱調理器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明における好ましい加熱調理器の実施形態について、添付図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【0010】
図1に示すように、本実施形態の加熱調理器1は、外枠2と、内枠3と、遮熱体4と、加熱手段であるシーズヒータ5と、温度センサー組立6と、調理プレート7と、を備えている。外枠2と、内枠3と、遮熱体4と、シーズヒータ5と、温度センサー組立6は、調理器本体8を構成する。調理プレート7や後述する脂受け皿21は、調理器本体8に着脱可能となっている。また、調理器本体8には、給電用の電源プラグを有する電源コード(図示せず)が着脱可能となっている。さらに、調理器本体8には、温度調節等を行う操作部(図示せず)が設けられている。
【0011】
外枠2は有底で上方が開口しており、内部に内枠3、遮熱体4、シーズヒータ5、温度センサー組立6、調理プレート7が配設されている。
【0012】
内枠3は、底板部11と、内側板部12と、外側板部13と、受板部14と、を有し、全体として略円環形状をなしている。底板部11は略水平に配設され、内側板部12は底板部11のうち加熱調理器1の中心に近い端部から立設されており、外側板部13は底板部11のうち加熱調理器1の中心から遠い端部から立設されている。そのため、内枠3は、底板部11と内側板部12と外側板部13により囲まれた空間S1を有し、空間S1の上方は開口している。受板部14は外側板部の上端部から外側方向(加熱調理器1の中心から離れる方向)に略水平に延設されている。
【0013】
空間S1には、脂受け皿21の受け容器部22が配置される。受け容器部22は上方が開口した有底形状を有している。また、脂受け皿21は内枠3の受板部14に係止する係止部23を有している。脂受け皿21は、係止部23を内枠3の受板部14に係止させることで、受け容器部22が空間S1内に配置され、内枠3に対して吊設された状態となる。脂受け皿21は、内枠3に着脱可能に取り付けられるものであり、取り外して洗浄することができる。脂受け皿21は、受け容器部22が後述する滴下孔49の下方に位置し、流れ落ちる肉汁M(食肉10から滲み出た脂や水分)や油等を回収するものである。
【0014】
内枠3の底板部11の下面には、遮熱体4が取り付けられている。遮熱体4は、底板部11に取り付けられる取付部26と、遮熱壁部27と、上壁部28と、を有している。取付部26は略水平に配置された円環板状に形成されている。遮熱壁部27は取付部26の内側端部分から上方に突出しており、上方に向かって先細り形状を有している。上壁部28は遮熱壁部27の上端部分から略水平に配置され、円板形状を有している。上壁部28の中心部分には、後述するサーミスタ31を挿通する挿通孔29が形成されている。遮熱体4は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、アルミニウムメッキ鋼板等、耐熱性に優れ、かつ赤外線反射特性に優れた金属素材により形成することができる。内枠3と遮熱体4の間には、シーズヒータ5が配設されている。
【0015】
シーズヒータ5は、略水平に円環状に配置されている。本実施形態では、内側と外側の2層構造であるが、1層や、3層以上であってもよい。また、加熱手段は、IH(Induction Heating:電磁誘導加熱)式、熱板式等、他の加熱手段であってもよい。
【0016】
温度センサー組立6は、温度検知手段であるサーミスタ31と、サーミスタ31を保持する保持体32と、保持体32を上方向に付勢する付勢手段33と、サーミスタ31と保持体32と付勢手段33を取り付ける基台34と、を有している。
【0017】
基台34は円板形状を有し、遮熱体4の取付部26に取り付けられている。そのため、遮熱体4の遮熱壁部27及び上壁部28と基台34により空間S2が形成されている。この空間S2内にサーミスタ31と保持体32と付勢手段33が配設されている。基台34の上面の中心部分に付勢手段33が固定されている。付勢手段33は例えば圧縮コイルばね等である。付勢手段33の上部分にサーミスタ31を保持した保持体32が取り付けられている。保持体32とその内部に配設されたサーミスタ31の上側部分は、挿通孔29から遮熱体4(空間S2)の外側に突出しており、調理プレート7が調理器本体8に取り付けられていない状態では、付勢手段33は伸長しており、調理プレート7が調理器本体8に取り付けられた状態では、保持体32が調理プレート7により下方向に押圧されることで付勢手段33が僅かに収縮するようになっている。そのため、保持体32は付勢手段33の付勢力により調理プレート7に当接した状態が維持される。
【0018】
第1のプレートである調理プレート7は、母材を熱伝導性に優れたアルミニウムとし、上面部分に非粘着性を有するフッ素コーティングを施しているが、鉄製、アルミニウム合金製、ステンレス製、陶磁器製、麦飯石製等であってもよい。調理プレート7は、円形の皿形状を有しており、円板形状の中心部41と、中心部41から外側に向かって低くなるように傾斜した傾斜部42と、傾斜部42の外側に形成された周囲部43と、周囲部43の外側に立設された側壁部44と、を有する。中心部41は、上面部41Aと下面部41Bが平坦に形成されており、後述する溝部46は形成されていない。外枠2の外形寸法D1は、調理プレート7の外形寸法d1よりも大きくなっており、高温となる調理プレート7が外枠2から周囲に出ない構成になっている。また、外枠2の上端部9の高さ方向の位置は、調理プレート7の上端部45の高さ位置以上となっており、高温となる調理プレート7が外枠2から上方に出ない構成になっている。
【0019】
傾斜部42には、放射状に複数の溝部46が形成されている。複数の溝部46は全て同一形状であり、断面視円弧形状を有している。また、全ての溝部46が等間隔に配置されている。また、溝部46は、短手方向の溝幅T1が上端47から下端48まで等幅である。溝部46の上端47は中心部41に接しており、溝部46の下端48は周囲部43に位置している。溝部46の上端47は隣り合う溝部46に近接している。なお、溝部46は必ずしも全てが等間隔である必要はなく、所望の間隔とすることができ、溝幅T1も部分的に変更可能であり、全ての溝部46の形状を同一としなくてもよい。また、傾斜部42の傾斜角度や、溝部46の深さと数は、被調理物を載置した際の安定性や肉汁Mの流れ易さ等を考慮して設計することができる。
【0020】
周囲部43の上面は平坦に形成されている。周囲部43には周囲部43を貫通する滴下孔49が形成されている。滴下孔49は、平面視において溝部46に接した近位端50と反対側の遠位端51が円弧状に形成された長孔である。滴下孔49は、近位端50と遠位端51の曲率が同一であり、短手方向の孔幅T2が一定となるように形成されている。滴下孔49の短手方向の孔幅T2は、溝部46の短手方向の溝幅T1と略同一の長さである。なお孔幅T2は、例えば、近位端50の曲率を遠位端51の曲率よりも小さくし、滴下孔49の孔幅T2が近位端50から遠位端51に向かって徐々に狭くする等、他の形状であってもよい。
【0021】
図3に示すように、滴下孔49は、縦断面視において、下側の開口面積が上側の開口面積よりも小さくなるように、滴下孔49の内壁52に傾斜面53が形成されている。なお、滴下孔49の内壁52は、上側に垂直面54、下側に傾斜面53が形成されたもの等、脂や肉汁Mが表面張力により膜化せず、下方に落下し易い形状であれば他の形状に形成されてもよい。なお、図面において滴下孔49のエッジ部分はシャープエッジとなっているが、実際は丸みのある角R形状となっている。
【0022】
滴下孔49は、溝部46に対して所定の角度θを有して延びている。そして、滴下孔49は、接している溝部46の隣の溝部46の延長線Lと交差している。図1において具体的に説明すると、溝部46Aに接している滴下孔49Aは隣の溝部46Bの延長線L2と交差し、溝部46Bに接している滴下孔49Bは隣の溝部46Cの延長線L3と交差し、溝部46Cに接している滴下孔49Cは隣の溝部46Dの延長線L4と交差し、溝部46Dに接している滴下孔49Dは隣の溝部46Eの延長線L5と交差し、溝部46Eに接している滴下孔49Eは隣の溝部46Fの延長線L6と交差し、溝部46Fに接している滴下孔49Fは隣の溝部(図示せず)の延長線L7と交差し、以降同様に隣の溝部46の延長線Lと交差する。なお、延長線Lは仮想線であり、調理プレート7に実際に表示されたものではない。
【0023】
上述のとおり、シーズヒータ5は、略水平方向に円環状に設けられているため、図1及び図2に示すように、調理プレート7の中心部41とシーズヒータ5が設けられている水平面Kとの距離R1は、調理プレート7の周囲部43とシーズヒータ5が設けられている水平面Kとの距離R2よりも長くなっている。そして、傾斜部42は、中心部41側から周囲部43側に向かって徐々に水平面Kとの距離R3が短くなっている。なお、水平面Kは、仮想面であり加熱調理器1を構成するものではない。
【0024】
ここで、加熱調理器1の使用方法について説明する。まず、調理器本体8に脂受け皿21を取り付ける。このとき、脂受け皿21の係止部23が内枠3の受板部14に係止する。なお、図2に示すように、脂受け皿21の受け容器部22に水Wを入れておくことで、受け容器部22に回収した肉汁Mの除去が容易となる。次に、調理器本体8に調理プレート7を取り付けると、調理プレート7の外周部分(周囲部43と側壁部44の接続部分)が脂受け皿21の係止部23に係止する。このとき、サーミスタ31を保持する保持体32が調理プレート7の中心部41の下面部41Bに当接し、付勢手段33が僅かに収縮し、保持体32が調理プレート7に押し付けられた状態となる。すなわちサーミスタ31は、保持体32を介して調理プレート7に当接し、中心部41の温度を検知可能となっている。調理器本体8に調理プレート7を取り付け、調理器本体8に給電した状態で操作部(図示せず)を操作して電源を入れると、シーズヒータ5が駆動し、調理プレート7が下側から輻射加熱される。
【0025】
次に、被調理物である食肉10を焼いているときの肉汁Mの流れについて説明する。図2に示すように、傾斜部42に食肉10を載置すると、食肉10から滲み出た肉汁Mは、溝部46内を流動し近位端50から滴下孔49内に流れ込む(流れF1)。また、肉汁Mの量が多い場合や肉汁Mの流速が速い場合には、滴下孔49の近位端50に流れ込まず周囲部43にまで流れるものもあり、隣の滴下孔49の遠位端51に流れ込む(流れF2)。また、隣り合う溝部46の間の傾斜部42を流れる肉汁Mは、一方の滴下孔49に流れ込む場合(流れF3)と他方の滴下孔49に流れ込む場合がある(流れF4)。なお、食肉10を中心部41に載置して焼いた場合も流れF1~F4の何れかの流動経路となる。このように、調理プレート7に食肉10を載置して焼いた場合には、肉汁Mを確実に滴下孔49に流し込み、下方に配設した脂受け皿21の受け容器部22に回収することができる。
【0026】
加熱調理器1は、調理プレート7に替えて調理器本体8に取り付け可能な底平坦プレートである平プレート61と深鍋プレート71を備えている。そのため、調理メニュー等に応じて調理プレート7、平プレート61、深鍋プレート71を適宜選択して使用することができる。
【0027】
図4は、第2のプレートである平プレート61を使用した状態を示している。平プレート61は、円形の浅皿形状を有しており、内側面が平坦に形成された底部62と、底部62の外周端部分に立設された側壁部63と、を有する。外枠2の外形寸法D1は、平プレート61の外形寸法d2よりも大きくなっており、高温となる平プレート61が外枠2から周囲に出ない構成になっている。また、外枠2の上端部9の高さ位置は、平プレート61の上端部64の高さ位置以上となっており、高温となる平プレート61が外枠2から上方に出ない構成になっている。
【0028】
平プレート61を使用する場合も、調理器本体8に脂受け皿21を取り付け、脂受け皿21の係止部23が内枠3の受板部14に係止する。そして、調理器本体8に平プレート61を取り付けると、平プレート61の外周部分(底部62と側壁部63の接続部分)が脂受け皿21の係止部23に係止する。このとき、サーミスタ31を保持する保持体32が平プレート61の底部62の略中心部分の下面部65に当接し、付勢手段33が僅かに収縮し、保持体32が平プレート61に押し付けられた状態となる。すなわちサーミスタ31は、保持体32を介して平プレート61に当接し、底部62の略中心部分の温度を検知可能となっている。
【0029】
図4に示すように、平プレート61の底部62は平坦に形成されているため、底部62とシーズヒータ5が設けられている水平面Kとの距離R4は、底部62のどの部分も同一である。
【0030】
図5は、第3のプレートである深鍋プレート71を使用した状態を示している。深鍋プレート71は、円形の深皿形状を有しており、内側面が平坦に形成された底部72と、底部72の外周端部分に立設された側壁部73と、を有する。外枠2の外形寸法D1は、深鍋プレート71の外形寸法d3よりも大きくなっており、高温となる深鍋プレート71が外枠2から周囲に出ない構成になっている。また、外枠2の上端部9から深鍋プレート71の上端部74までの長さhは、外枠2の高さHの1/3以下となっており、不用意に深鍋プレート71に触れ難くなっている。
【0031】
深鍋プレート71は蓋75を備えており、蓋75の上面中心部には蓋75を把持するための蓋ツマミ76が設けられている。この蓋75は、調理プレート7や平プレート61にも使用可能である。
【0032】
深鍋プレート71を使用する場合も、調理器本体8に脂受け皿21を取り付け、脂受け皿21の係止部23が内枠3の受板部14に係止する。そして、調理器本体8に深鍋プレート71を取り付けると、深鍋プレート71の外周部分(底部72と側壁部73の接続部分)が脂受け皿21の係止部23に係止する。このとき、サーミスタ31を保持する保持体32が深鍋プレート71の底部72の略中心部分の下面部77に当接し、付勢手段33が僅かに収縮し、保持体32が深鍋プレート71に押し付けられた状態となる。すなわちサーミスタ31は、保持体32を介して深鍋プレート71に当接し、底部72の略中心部分の温度を検知可能となっている。
【0033】
図5に示すように、深鍋プレート71の底部72は平坦に形成されているため、底部72とシーズヒータ5が設けられている水平面Kとの距離R5は、底部72のどの部分も同一である。
【0034】
以上のように、本実施形態の加熱調理器1は、調理器本体8と、調理器本体8に設けられたシーズヒータ5と、調理器本体8に着脱可能であり、シーズヒータ5により加熱される調理プレート7と、を備え、調理プレート7は、傾斜した傾斜部42を有し、傾斜部42には、複数の溝部46が形成され、溝部46の下端48には、調理プレート7を貫通する滴下孔49が形成され、滴下孔49が他の溝部46の延長線Lと交差する長さに形成されている。そのため、傾斜部42、特に溝部46によって肉汁Mを効率的に流動させ、滴下孔49から受け容器部22に確実に流れ落とすことができる。その結果、肉汁Mが長時間加熱され脂跳や脂煙が発生することを抑制することができる。
【0035】
また、本実施形態の加熱調理器1は、滴下孔49の下側開口の面積が上側開口の面積よりも小さいため、表面張力や肉汁Mの粘度等により滴下孔49に肉汁Mの膜が形成され、肉汁Mが滴下孔49から受け容器22に流れ落ち難くなることを抑制することができる。
【0036】
また、本実施形態の加熱調理器1は、調理プレート7の温度を検知するサーミスタ31をさらに備え、傾斜部42が調理プレート7の中心部41から周囲部43に向かって低くなるように傾斜し、中心部41の下面部41Bにサーミスタ31が当接する。そのため、肉汁Mが傾斜によって周囲部43方向へ流動し易くなる。また、中心部41に肉汁Mが残り難くなるため、サーミスタ31による中心部41の温度検知の精度の悪化を抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態の加熱調理器1は、中心部41には溝部46が形成されていないため、中心部41に食肉10を載置して焼いた場合であっても、肉汁Mが中心部41に残り難くすることができる。その結果、サーミスタ31による中心部41の温度検知の精度の悪化を抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態の加熱調理器1は、調理器本体8に着脱可能であり、シーズヒータ5により加熱され、底部62が平坦な平プレート61及び底部72が平坦な深鍋プレート71をさらに備え、調理プレート7と平プレート61及び深鍋プレート71は、何れか一方のみを調理器本体8に取り付けて加熱可能であり、平プレート61及び深鍋プレート71の中心部分の下面部65、77にサーミスタ31が当接する。加熱調理器1は、調理プレート7と、平プレート61と、深鍋プレート71をユーザーが選択して使用することができ、それぞれのプレートに適した加熱調理を行うことができる。また、サーミスタ31は平プレート61及び深鍋プレート71の中心部分の温度を検知するため、半解凍等の冷たい被調理物を底部62、72に部分的に載置した場合であっても、局部的かつ急激にプレートの温度が低下したことを感度よく検知することができる。
【0039】
また、本実施形態の加熱調理器1は、シーズヒータ5が水平方向に設けられており、シーズヒータ5と調理プレート7との距離が中心部41よりも周囲部43の方が短く、シーズヒータ5と平プレート61及び深鍋プレート71との距離は平プレート61及び深鍋プレート71の中心部分と周囲部分で略同一である。そのため、調理プレート7を使用した場合には、被調理物から滲み出た肉汁M等を中心部41側から周囲部43側に流動させることができる。また、平プレート61及び深鍋プレート71を使用した場合には、平プレート61及び深鍋プレート71内の被調理物を均等に加熱することができる。
【0040】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。上記実施形態では調理プレート7、平プレート61、深鍋プレート71が平面視において円形状であるが、略矩形状等、加熱調理を行うことができれば他の形状であってもよい、
【符号の説明】
【0041】
1 加熱調理器
5 シーズヒータ(加熱手段)
7 調理プレート
8 調理器本体
31 サーミスタ(温度検知手段)
41 中心部
41B 下面部
42 傾斜部
43 周囲部
46 溝部
48 下端
49 滴下孔
61 平プレート(底平坦プレート)
62 底部
65 下面部
71 深鍋プレート(底平坦プレート)
72 底部
77 下面部
L 延長線
図1
図2
図3
図4
図5