(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175277
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】浚渫装置
(51)【国際特許分類】
E02F 3/88 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
E02F3/88 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087644
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】稲見 悠太
(57)【要約】
【課題】作業水域の汚濁を抑制するとともに、水深の深い場所の堆積土砂を回収する。
【解決手段】水中に配置された第1筐体40と、第1筐体40の内部に配置された第1圧送ポンプ42と、第1筐体40に設けられ、その先端が水中の底部Bに配置される土砂吸い込み管14と、第1筐体40の上方に配置された第2筐体50と、第2筐体50の内部に配置された第2圧送ポンプ52と、水上に配置された真空吸引装置24と、真空吸引装置24と第1筐体40とを接続する第1真空吸引路26と、真空吸引装置24と第2筐体50とを接続する第2真空吸引路28と、第1圧送ポンプ42と第2筐体50とを接続し、第1筐体40内の堆積土砂を第2筐体50に圧送する第1圧送路30と、第2圧送ポンプ52と第2真空吸引路28とを接続し、第2筐体50内の堆積土砂Dを第2真空吸引路28に圧送する第2圧送路32とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中の底部に堆積した堆積土砂を回収する浚渫装置であって、
水中に配置された第1筐体と、
前記第1筐体の内部に配置された第1圧送ポンプと、
前記第1筐体に設けられ、その先端が前記水中の底部に配置される土砂吸い込み管と、
前記第1筐体の上方に配置された第2筐体と、
前記第2筐体の内部に配置された第2圧送ポンプと、
水上に配置された真空吸引装置と、
前記真空吸引装置と前記第1筐体とを接続する第1真空吸引路と、
前記真空吸引装置と前記第2筐体とを接続する第2真空吸引路と、
前記第1圧送ポンプと前記第2筐体とを接続し、前記第1筐体内の堆積土砂を前記第2筐体に圧送する第1圧送路と、
前記第2圧送ポンプと前記第2真空吸引路とを接続し、前記第2筐体内の堆積土砂を前記第2真空吸引路に圧送する第2圧送路と、
を備えることを特徴とする浚渫装置。
【請求項2】
前記真空吸引装置は単一であって、
前記第2真空吸引路は、前記第2筐体の上方で前記第1真空吸引路に接続され、
前記第2真空吸引路の接続箇所から前記真空吸引装置までの前記第1真空吸引路は、前記第2真空吸引路を兼ねている、
ことを特徴とする請求項1記載の浚渫装置。
【請求項3】
前記真空吸引装置は単一であって、
前記第2筐体は、前記第1真空吸引路の途中に介設されており、
前記第1真空吸引路は、前記第2筐体を含んで構成され、
前記第2筐体から前記真空吸引装置までの前記第1真空吸引路は、前記第2真空吸引路を兼ねている、
ことを特徴とする請求項1記載の浚渫装置。
【請求項4】
前記真空吸引装置は単一であって、
前記第1筐体と前記第2筐体との間に少なくとも一つ配置された第3筐体と、
前記第3筐体の内部に配置された第3圧送ポンプと、
前記第3圧送ポンプと前記第2筐体とを接続し、前記第3筐体内の堆積土砂を前記第2筐体に圧送する第3圧送路と、をさらに備え、
前記第2筐体と前記第3筐体は、前記第1真空吸引路の途中に介設されており、
前記第1真空吸引路は、前記第2筐体と前記第3筐体とを含んで構成され、
前記第1圧送路は、前記第1圧送ポンプと前記第2筐体とを、前記第3圧送ポンプと前記第3圧送路を介して接続して前記第1筐体内の堆積土砂を前記第2筐体に圧送し、
前記第2筐体から前記真空吸引装置までの前記第1真空吸引路は、前記第2真空吸引路を兼ねている、
ことを特徴とする請求項1記載の浚渫装置。
【請求項5】
前記第1真空吸引路の途中に介設されて水上に配置され、堆積土砂を回収する回収タンクをさらに備え、
前記水中の底部から前記第1筐体の下端までの高さ、前記第1筐体の下端から前記第2筐体の下端までの高さ、および前記第2筐体の下端から前記回収タンクの前記第1真空吸引路の接続位置までの高さは、それぞれ6m~9mである、
ことを特徴とする請求項1~3記載の浚渫装置。
【請求項6】
前記第1筐体に設けられ、前記第1筐体の内部に空気を供給する第1給気管と、
前記第2筐体に設けられ、前記第2筐体の内部に空気を供給する第2給気管と、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1~3記載の浚渫装置。
【請求項7】
前記第1真空吸引路の途中に介設されて水上に配置され、堆積土砂を回収する回収タンクをさらに備え、
前記水中の底部から前記第1筐体の下端までの高さ、前記第1筐体の下端から前記第3筐体の下端までの高さ、前記第3筐体の下端から前記第2筐体の下端までの高さ、および前記第2筐体の下端から前記回収タンクの前記第1真空吸引路の接続位置までの高さは、それぞれ6m~9mである、
ことを特徴とする請求項4記載の浚渫装置。
【請求項8】
前記第1筐体に設けられ、前記第1筐体の内部に空気を供給する第1給気管と、
前記第2筐体に設けられ、前記第2筐体の内部に空気を供給する第2給気管と、
前記第3筐体に設けられ、前記第3筐体の内部に空気を供給する第3給気管と、をさらに備えることを特徴とする請求項4記載の浚渫装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浚渫装置に関する。
【背景技術】
【0002】
河川、運河、湖、ダム貯水池、ポンプ沈砂池などの水中の底部に堆積した堆積土砂を取り除く浚渫方法として、水中サンドポンプにより流体輸送を行うもの(特許文献1参照)、真空発生装置により気流搬送を行なうもの(特許文献2参照)、真空発生装置および圧送ポンプにより気流搬送を行なうもの(特許文献3参照)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-47522号公報
【特許文献2】特開2018-158277号公報
【特許文献3】特開2020-45661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の浚渫方法は、撹拌用スクリュー(回転翼)を回転して堆積土砂を掘削撹拌してから吸引するため、水中の底部の堆積土砂を回収できるものの、作業水域が汚濁してしまう。その結果、ダム貯水池から濁水が放流されてしまう場合があり、ダム貯水池から河川や海に放流された濁水によって漁業に悪影響を及ぼすことも懸念される。
また、特許文献2のように真空発生装置により水底の堆積土砂を吸引して上方の回収タンクに搬送する場合、絶対真空条件下であってもトリチェリの原理により揚程が10m(760mmHg)以下とされている。そのため、揚程が高くなると真空吸引効果が低下してしまい、比重や粘性の高い泥土や土砂の搬送が困難となってしまう。
また、特許文献3のように真空発生装置および圧送ポンプを併用して水底の堆積土砂を回収タンクまで搬送する場合、真空発生装置の吸引による水底から筐体までの揚程を10m以下に設定すれば筐体までは堆積土砂を搬送できるが、筐体から回収タンクまでの揚程が高くなると圧送ポンプによる搬送力も低下してしまうことがあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、作業水域の汚濁を抑制するとともに、水深の深い場所の堆積土砂を回収する上で有利な浚渫装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するため本発明の一実施形態は、水中の底部に堆積した堆積土砂を回収する浚渫装置であって、水中に配置された第1筐体と、前記第1筐体の内部に配置された第1圧送ポンプと、前記第1筐体に設けられ、その先端が前記水中の底部に配置される土砂吸い込み管と、前記第1筐体の上方に配置された第2筐体と、前記第2筐体の内部に配置された第2圧送ポンプと、水上に配置された真空吸引装置と、前記真空吸引装置と前記第1筐体とを接続する第1真空吸引路と、前記真空吸引装置と前記第2筐体とを接続する第2真空吸引路と、前記第1圧送ポンプと前記第2筐体とを接続し、前記第1筐体内の堆積土砂を前記第2筐体に圧送する第1圧送路と、前記第2圧送ポンプと前記第2真空吸引路とを接続し、前記第2筐体内の堆積土砂を前記第2真空吸引路に圧送する第2圧送路とを備える。
また、本発明の一実施形態は、前記真空吸引装置は単一であって、前記第2真空吸引路は、前記第2筐体の上方で前記第1真空吸引路に接続され、前記第2真空吸引路の接続箇所から前記真空吸引装置までの前記第1真空吸引路は、前記第2真空吸引路を兼ねていることを特徴とする。
また、本発明の一実施形態は、前記真空吸引装置は単一であって、前記第2筐体は、前記第1真空吸引路の途中に介設されており、前記第1真空吸引路は、前記第2筐体を含んで構成され、前記第2筐体から前記真空吸引装置までの前記第1真空吸引路は、前記第2真空吸引路を兼ねていることを特徴とする。
また、本発明の一実施形態は、前記真空吸引装置は単一であって、前記第1筐体と前記第2筐体との間に少なくとも一つ配置された第3筐体と、前記第3筐体の内部に配置された第3圧送ポンプと、前記第3圧送ポンプと前記第2筐体とを接続し、前記第3筐体内の堆積土砂を前記第2筐体に圧送する第3圧送路と、をさらに備え、前記第2筐体と前記第3筐体は、前記第1真空吸引路の途中に介設されており、前記第1真空吸引路は、前記第2筐体と前記第3筐体とを含んで構成され、前記第1圧送路は、前記第1圧送ポンプと前記第2筐体とを、前記第3圧送ポンプと前記第3圧送路を介して接続して前記第1筐体内の堆積土砂を前記第2筐体に圧送し、前記第2筐体から前記真空吸引装置までの前記第1真空吸引路は、前記第2真空吸引路を兼ねていることを特徴とする。
また、本発明の一実施形態は、前記第1真空吸引路の途中に介設されて水上に配置され、堆積土砂を回収する回収タンクをさらに備え、前記水中の底部から前記第1筐体の下端までの高さ、前記第1筐体の下端から前記第2筐体の下端までの高さ、および前記第2筐体の下端から前記回収タンクの前記第1真空吸引路の接続位置までの高さは、それぞれ6m~9mであることを特徴とする。
また、本発明の一実施形態は、前記第1筐体に設けられ、前記第1筐体の内部に空気を供給する第1給気管と、前記第2筐体に設けられ、前記第2筐体の内部に空気を供給する第2給気管と、をさらに備えることを特徴とする。
また、本発明の一実施形態は、前記第1真空吸引路の途中に介設されて水上に配置され、堆積土砂を回収する回収タンクをさらに備え、前記水中の底部から前記第1筐体の下端までの高さ、前記第1筐体の下端から前記第3筐体の下端までの高さ、前記第3筐体の下端から前記第2筐体の下端までの高さ、および前記第2筐体の下端から前記回収タンクの前記第1真空吸引路の接続位置までの高さは、それぞれ6m~9mであることを特徴とする。
また、本発明の一実施形態は、前記第1筐体に設けられ、前記第1筐体の内部に空気を供給する第1給気管と、前記第2筐体に設けられ、前記第2筐体の内部に空気を供給する第2給気管と、前記第3筐体に設けられ、前記第3筐体の内部に空気を供給する第3給気管とをさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、水中に配置され内部に第1圧送ポンプが配置された第1筐体と、第1筐体の上方に配置され内部に第2圧送ポンプが配置された第2筐体とを備え、真空吸引装置により土砂吸い込み管および第1真空吸引路を介して堆積土砂を吸引して第1筐体に搬送した後、第1筐体内の堆積土砂を第1圧送ポンプにより第1圧送路を介して第2筐体に圧送し、第2筐体内の堆積土砂を第2圧送ポンプにより第2圧送路を介して第2真空吸引路に圧送して浚渫作業を行うため、作業水域の汚濁を抑制するとともに、水深の深い場所の堆積土砂を回収する上で有利となる。
また、第2真空吸引路が第2筐体の上方で第1真空吸引路に接続され、第2真空吸引路の接続箇所から真空吸引装置までの第1真空吸引路が第2真空吸引路を兼ねた構成とすると、第1真空吸引路により第2筐体を介さずに第1筐体と真空吸引装置とを接続できるため、真空吸引装置による吸引力を高める上で有利となる。
また、第2筐体を第1真空吸引路の途中に介設して第1真空吸引路が第2筐体を含む構成とすると、浚渫装置を簡素に構成できるとともにコストを削減する上で有利となる。
また、水中の底部から第1筐体の下端までの高さ、第1筐体の下端から第2筐体の下端までの高さ、および第2筐体の下端から回収タンクの第1真空吸引路の接続位置までの高さをそれぞれ6m~9mとして構成すると、第1圧送ポンプおよび第2圧送ポンプによる搬送力の低下を抑制しながら水中の底部からの揚程を高くする上で有利となる。
また、第1筐体に第1筐体の内部に空気を供給する第1給気管を設け、第2筐体に第2筐体の内部に空気を供給する第2給気管を設けた構成とすると、真空吸引路や圧送路への圧力を調整することができ、堆積土砂の搬送力を高める上で有利となる。
また、第1筐体と第2筐体の間に第3圧送ポンプを備えた第3筐体を少なくとも一つ配置し、第1筐体内の堆積土砂を第3筐体に圧送した後、第3筐体内の堆積土砂を第2筐体に圧送することで、堆積土砂の搬送力を維持しながら水中の底部からの揚程を高くする上で有利となる。
また、水中の底部から第1筐体の下端までの高さ、第1筐体の下端から第3筐体の下端までの高さ、第3筐体の下端から第2筐体の下端までの高さ、および第2筐体の下端から回収タンクの第1真空吸引路の接続位置までの高さをそれぞれ6m~9mとして構成すると、第1圧送ポンプ、第2圧送ポンプ、および第3圧送ポンプによる搬送力の低下を抑制しながら水中の底部からの揚程を高くする上で有利となる。
また、第1筐体に第1筐体の内部に空気を供給する第1給気管を設け、第2筐体に第2筐体の内部に空気を供給する第2給気管を設け、第3筐体に第3筐体の内部に空気を供給する第3給気管を設けた構成とすると、真空吸引路や圧送路への圧力を調整することができ、堆積土砂の搬送力を高める上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態の浚渫装置を示す概要図である。
【
図2】第1の実施形態の浚渫装置の中継ポンプユニットの配置説明図である。
【
図3】第2の実施形態の浚渫装置の中継ポンプユニットの配置説明図である。
【
図4】第3の実施形態の浚渫装置の中継ポンプユニットの配置説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
第1の実施形態の浚渫装置10Aは、河川、運河、湖、ダム貯水池、ポンプ沈砂池などの水中の底部に堆積した堆積土砂を回収して浚渫するものである。
堆積土砂は、比重および粘性の高い汚泥や泥土等を含んでおり、浚渫装置10Aでは、堆積土砂の水中吸引、鉛直搬送および水平搬送を一貫して連続的に行う。
第1の実施形態において、浚渫装置10Aは、ダム貯水池Wの底部Bに堆積した堆積土砂Dを浚渫する。
【0009】
図1、2に示すように、浚渫装置10Aは、第1中継ポンプユニット12と、土砂吸い込み管14と、オーガ付き吸引機16と、第2中継ポンプユニット18と、回収タンク20と、フィルタ22と、真空吸引装置24と、第1真空吸引路26と、第2真空吸引路28と、第1圧送路30と、第2圧送路32と、搬送ポンプ34と、回収土砂処理設備36(振動ふるい、濁水処理設備、沈砂池等)と、を備えて構成されている。
回収タンク20、フィルタ22、真空吸引装置24、搬送ポンプ34、および回収土砂処理設備36は、陸上(水上)に配置されている。
【0010】
第1中継ポンプユニット12は、第1筐体40と、第1圧送ポンプ42と、第1給気管44と、真空ゲージ46とを備えて構成されている。
第1筐体40は、直方体形状で水密に構成されており、ダム貯水池Wの水中に配置されている。
第1筐体40は、台船90上に設置された門型設備92のワイヤーロープ9202により昇降可能に吊り下げられており、第1筐体40に取り付けられた土砂吸い込み管14およびオーガ付き吸引機16は、第1筐体40の下降にともなってダム貯水池Wの底部Bまで下降される。
第1圧送ポンプ42は、第1筐体40の内部に配置されており、後述する第1圧送路30により第1筐体40内の堆積土砂Dを上方に向けて圧送する。
第1給気管44は、第1筐体40に設けられ、第1筐体40の内部に空気を供給する。
具体的には、本実施形態の第1給気管44は、一方の端部が第1筐体40の上面に取り付けられ、第1筐体40の上方に向けて延在した他方の端部が水上に位置しており、空気を取り入れられるよう設置されている。
第1給気管44には、不図示の開閉バルブが設けられており、当該開閉バルブの制御を行うことで第1真空吸引路26および第1圧送路30への圧力を調整することができ、第1筐体40から第2筐体50へ所定の搬送量を維持しながら堆積土砂Dを搬送できる。
真空ゲージ46は、第1筐体40内の圧力(負圧)を測定する計器である。
【0011】
土砂吸い込み管14は、第1筐体40に設けられ、その先端が水中の底部Bに配置される。
具体的には、土砂吸い込み管14は、後端が第1筐体40の底面に取り付けられ、第1筐体40の下方に向けて延在した先端に傾斜した吸引口1402が設けられ、吸引口1402がダム貯水池Wの水中の底部Bに挿入するよう配置されている。
土砂吸い込み管14は、オーガ付き吸引機16により掘削された堆積土砂Dを吸引し、第1筐体40に搬送する。
【0012】
オーガ付き吸引機16は、土砂吸い込み管14の先端付近に設けられ、水中の底部Bに堆積した堆積土砂Dを掘削して切り崩すものであって、掘削刃1602(オーガ)を備えて構成されている。掘削刃1602は、不図示のモータの駆動力が伝達されることで回転する。
オーガ付き吸引機16は、例えば掘削機(特開2021-32005号公報)に記載された掘削機など、公知の様々なものを適用可能である。
【0013】
第2中継ポンプユニット18は、第2筐体50と、第2圧送ポンプ52と、第2給気管54と、真空ゲージ56とを備えて構成されている。
第2筐体50は、直方体形状で水密に構成されており、第1筐体40の上方に配置されている。本実施形態の第2筐体50は、陸上の斜面に載置されているが、第1筐体40のように門型設備などによって吊り下げられていてもよい。
また、第2筐体50は、第1筐体40の上方であれば、ダム貯水池Wの水面や台船90上に配置してもよいし、ダム貯水池Wの水中に配置してもよい。
第2圧送ポンプ52は、第2筐体50の内部に配置されており、後述する第2圧送路32により第2筐体50内の堆積土砂Dを上方に向けて圧送する。
第2給気管54は、第2筐体50に設けられ、第2筐体50の内部に空気を供給する。
具体的には、本実施形態の第2給気管54は、一方の端部が第2筐体50の上面に取り付けられ、第2筐体50の上方に向けて延在しており、空気を取り入れられるよう設置されている。
第2給気管54には、不図示の開閉バルブが設けられており、当該開閉バルブの制御を行うことで第2真空吸引路28および第2圧送路32への圧力を調整することができ、第2筐体50から回収タンク20へ所定の搬送量を維持しながら堆積土砂Dを搬送できる。
真空ゲージ56は、第2筐体50内の圧力(負圧)を測定する計器である。
【0014】
回収タンク20は、後述する第1真空吸引路26の途中に介設されて陸上(水上)に配置され、第1真空吸引路26によって吸引して搬送されてきた堆積土砂Dを回収する。回収された堆積土砂Dは、搬送ポンプ34により回収土砂処理設備36に排出される。
回収タンク20は、第1真空吸引路26による堆積土砂Dの吸引と、回収した堆積土砂Dの排出とを並行して連続的に実行できる機能を有している。
回収土砂処理設備36は、搬送された堆積土砂Dを固体と水とに分離する固液分離装置など従来公知の様々な設備が採用可能である。分離された固体は、例えば排砂地等に運ばれたり、埋め立てに用いられ、分離された水は、例えば排水処理設備等で浄化した後、ダム貯水池Wに戻される。
【0015】
真空吸引装置24は、例えば単一の真空ポンプであって、陸上(水上)に配置され、フィルタ22を介して土砂吸い込み管14、第1真空吸引路26、および第2真空吸引路28を吸引する。これにより、土砂吸い込み管14、第1筐体40、第1真空吸引路26、第2筐体50、第2真空吸引路28、および回収タンク20の内部は負圧を維持される。
【0016】
第1真空吸引路26は、真空吸引装置24と第1筐体40とを接続する真空吸引管により形成された吸引経路である。
第2真空吸引路28は、真空吸引装置24と第2筐体50とを接続する真空吸引管により形成された吸引経路である。
第2真空吸引路28は、第2筐体50の上方で第1真空吸引路26に接続されており、第2真空吸引路28の接続箇所から真空吸引装置24までの第1真空吸引路26は、第2真空吸引路28を兼ねている。
そして、第2真空吸引路28を兼ねた第1真空吸引路26の途中に、回収タンク20とフィルタ22とが介設されている。
【0017】
第1圧送路30は、第1圧送ポンプ42と第2筐体50とを接続する圧送管により形成された圧送経路であって、第1筐体40内の堆積土砂Dを第2筐体50に圧送する。
第2圧送路32と、第2圧送ポンプ52と第2真空吸引路28とを接続する圧送管により形成された圧送経路であって、第2筐体50内の堆積土砂Dを第2真空吸引路28に圧送する。
【0018】
次に、本実施形態の浚渫装置10Aによるダム貯水池Wの水中の底部Bから回収タンク20までの堆積土砂Dの搬送および揚程について説明する。
上述したように、真空吸引装置により水中の底部の堆積土砂を吸引して上方の回収タンクに搬送する場合、絶対真空条件下であってもトリチェリの原理により揚程は10m以下が好ましいとされている。また、真空吸引装置および圧送ポンプを併用する場合、真空吸引装置の吸引による水底から筐体までの揚程を10m以下に設定すれば筐体までは堆積土砂を搬送できるが、筐体から回収タンクまでの揚程が高くなると、性能にも依存するが圧送ポンプによる搬送力も低下してしまうことがあった。
したがって、本実施形態では、ダム貯水池Wの底部から第1筐体40までは真空吸引装置24により堆積土砂Dを吸引し、第1筐体40から第2筐体50までは第1圧送ポンプ42により、第2筐体50から回収タンク20までは第2圧送ポンプ52により、それぞれ堆積土砂Dを圧送して搬送している。
そして、水中の底部Bから第1筐体40の下端までの高さh1、第1筐体40の下端から第2筐体50の下端までの高さh2、および第2筐体50の下端から回収タンク20の第1真空吸引路26の接続位置までの高さh3は、それぞれ6m~9mに設定している。
したがって、本実施形態では、ダム貯水池Wの底部Bから回収タンク20までを6m~9mごとに分けて、真空吸引装置24および2つの圧送ポンプ42、52によって堆積土砂Dを搬送することで、堆積土砂Dを回収タンク20まで搬送させやすい構成となっている。
つまり、本実施形態の浚渫装置10Aは、ダム貯水池Wの底部Bから回収タンク20までの高さH1が18m~27mの揚程である場合に適している。また、大型の圧送ポンプは高価であるため、本実施形態のように複数の小型の圧送ポンプを配置することでコストを削減することもできる。
【0019】
次に、本実施形態の浚渫装置10Aの浚渫作業の流れについて説明する。
第1中継ポンプユニット12および第2中継ポンプユニット13に真空吸引管および圧送管を接続することで、第1真空吸引路26、第2真空吸引路28、第1圧送路30、および第2圧送路32を形成する。
台船90を堆積土砂Dを回収すべきダム貯水池Wの底部Bの上方に移動させて停止し、門型設備92のワイヤーロープ9202により、土砂吸い込み管14およびオーガ付き吸引機16が設けられた第1中継ポンプユニット12をダム貯水池Wの底部Bに向けて降下させる。
オーガ付き吸引機16の掘削刃1602がダム貯水池Wの底部Bに到達したら、真空吸引装置24によって土砂吸い込み管14の吸引口1402から水を吸引させ、吸引口1402に向かって流れる水流を発生させる。
そして、不図示のモータを駆動して掘削刃1602を回転させ、掘削刃1602により堆積土砂Dを掘削して切り崩し、真空吸引装置24により土砂吸い込み管14から堆積土砂Dを吸引する。土砂吸い込み管14により吸引された堆積土砂Dは、第1筐体40の内部に搬送され回収される。
【0020】
次に、第1圧送ポンプ42によって第1筐体40の内部に回収された堆積土砂Dが圧送され、第1圧送路30を通って第2筐体50の内部に搬送され、堆積土砂Dが回収される。
堆積土砂Dが第2筐体50に搬送されると、第2圧送ポンプ52によって第2筐体50の内部に回収された堆積土砂Dが圧送され、第2圧送路32を通って第2真空吸引路28に向けて搬送され、第2真空吸引路28に合流する。そして、合流した堆積土砂Dは、真空吸引装置24と第2圧送ポンプ52とにより第2真空吸引路28(第1真空吸引路26)を通って回収タンク20に搬送される。
一方で、真空吸引装置24によって第1筐体40の内部に回収された堆積土砂Dの一部が、第1真空吸引路26および第2真空吸引路28を通って、回収タンク20に搬送される。
すなわち、真空吸引装置24によって吸引され搬送された堆積土砂Dと、第1圧送ポンプ42および第2圧送ポンプ52により圧送された堆積土砂Dは、第2圧送路32と第2真空吸引路28の接続箇所において合流し、回収タンク20に搬送される。
そして、回収タンク20に回収された堆積土砂Dは、回収土砂処理設備36に排出され、回収土砂処理設備36により、個体と水とに分離され所定の処理が行われる。
【0021】
このように、第1実施形態の浚渫装置10Aによれば、水中に配置され内部に第1圧送ポンプ42が配置された第1筐体40と、第1筐体40の上方に配置され内部に第2圧送ポンプ52が配置された第2筐体50とを備え、真空吸引装置24と第1筐体40とを接続する第1真空吸引路26、真空吸引装置24と第2筐体50とを接続する第2真空吸引路28、第1圧送ポンプ42と第2筐体50とを接続する第1圧送路30、および第2圧送ポンプ52と第2真空吸引路28とを接続する第2圧送路32が形成されている。
そして、真空吸引装置24により土砂吸い込み管14および第1真空吸引路26を介して堆積土砂Dを吸引して第1筐体40に搬送した後、第1筐体40内の堆積土砂Dを第1圧送ポンプ42により第1圧送路30を介して第2筐体50に圧送し、第2筐体50内の堆積土砂Dを第2圧送ポンプ52により第2圧送路32を介して第2真空吸引路28に圧送し、回収タンク20まで搬送する浚渫作業を行うため、作業水域の汚濁を抑制するとともに、水深の深い場所の堆積土砂Dを回収する上で有利となる。
すなわち、真空吸引装置24によって発生させた気流により土砂吸い込み管14から掘削された堆積土砂Dを吸引することで、ダム貯水池Wの底部Bの水を濁す前に堆積土砂Dを回収して汚濁を抑制することができ、第1圧送ポンプ42および第2圧送ポンプ52によって2段階に分けて搬送することで、水深の深いダム貯水池Wの底部B付近から陸上の回収タンク20までの揚程であっても堆積土砂Dを回収できる。
さらに、浚渫作業においてダム貯水池Wの底部Bの水域の汚濁を抑制できるため、ダム貯水池Wによる水力発電を停止することなく、水力発電とともに浚渫作業を行うことができる。
【0022】
また、第2真空吸引路28が第2筐体50の上方で第1真空吸引路26に接続され、第2真空吸引路28の接続箇所から真空吸引装置24までの第1真空吸引路26が第2真空吸引路28を兼ねた構成としたため、第1真空吸引路26により第2筐体50を介さずに第1筐体40と真空吸引装置24とを接続できるため、真空吸引装置24による吸引力を高める上で有利となる。
また、ダム貯水池Wの水中の底部Bから第1筐体40の下端までの高さ、第1筐体40の下端から第2筐体50の下端までの高さ、および第2筐体50の下端から回収タンク20の第1真空吸引路26の接続位置までの高さをそれぞれ6m~9mとして構成したため、第1圧送ポンプ42および第2圧送ポンプ52による搬送力の低下を抑制しながら水中の底部Bからの揚程を高くする上で有利となる。
また、第1筐体40に第1筐体40の内部に空気を供給する第1給気管44を設け、第2筐体50に第2筐体50の内部に空気を供給する第2給気管54を設けた構成としたため、真空吸引路26、28や圧送路30、32への圧力を調整することができ、堆積土砂Dの搬送力を高める上で有利となる。
【0023】
(第2実施形態)
第1実施形態の浚渫装置10Aでは、第2真空吸引路28が第2筐体50の上方で第1真空吸引路26に接続されていたのに対して、第2実施形態の浚渫装置10Bでは、第2真空吸引路が第2筐体に接続されている点が異なっている。
なお、以下の実施形態の説明では、第1実施形態と同様な個所、部材に同一の符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なった個所について重点的に説明する。
【0024】
図3に示すように、第1真空吸引路66Aは、真空吸引装置24と第1筐体40とを接続する真空吸引管により形成された吸引経路である。
本実施形態では、第2筐体50は、第1真空吸引路66Aの途中に介設されている。このため、第1真空吸引路66Aは、第2筐体50を含んで構成されている。
第2真空吸引路28は、真空吸引装置24と第2筐体50とを接続する真空吸引管により形成された吸引経路である。
第2筐体50から真空吸引装置24までの第1真空吸引路66Aは、第2真空吸引路28を兼ねている。
そして、第2真空吸引路28を兼ねた第1真空吸引路66Aの途中に、回収タンク20とフィルタ22とが介設されている。
本実施形態の浚渫装置10Bによる浚渫作業の流れおよび揚程については、第1実施形態と同様である。
【0025】
このように、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
また、第2筐体40を第1真空吸引路66の途中に介設して第1真空吸引路66が第2筐体50を含む構成としたため、浚渫装置10Bを簡素に構成できるとともにコストを削減する上で有利となる。
したがって、第2筐体50の上方で、第1真空吸引路66、第2圧送路32、および第2真空吸引路28が近傍で合流することを回避でき、それぞれの経路を形成する真空吸引管や圧送管が絡まることを抑制できる。
【0026】
(第3実施形態)
第2実施形態の浚渫装置10Bでは、第1中継ポンプユニット、第2中継ポンプユニットを備えて構成されていたのに対して、第3実施形態の浚渫装置10Cでは、さらに第3中継ポンプユニットを備えて構成されている点が異なっている。
図4に示すように、浚渫装置10Cは、さらに、第3中継ポンプユニット70と、第3圧送路72とを備えて構成されている。
【0027】
第3中継ポンプユニット70は、第3筐体80と、第3圧送ポンプ82と、第3給気管84と、真空ゲージ86とを備えて構成されている。
第3筐体80は、直方体形状で水密に構成されており、第1筐体40と第2筐体50との間に配置されている。本実施形態の第2筐体50および第3筐体80は、ダム貯水池Wの水中に配置されており、第1筐体40と同様に門型設備により吊り下げられていてもよいし、他の昇降装置により支持されていてもよい。また、第2筐体50および第3筐体80は、陸上に配置されていてもよい。
第3圧送ポンプ82は、第3筐体80の内部に配置されており、後述する第3圧送路72により第3筐体80内の堆積土砂Dを上方に向けて圧送する。
第3給気管84は、第3筐体80に設けられ、第3筐体80の内部に空気を供給する。
具体的には、本実施形態の第3給気管84は、一方の端部が第3筐体80の上面に取り付けられ、第3筐体80の上方に向けて延在した他方の端部が水上に位置しており、空気を取り入れられるよう設置されている。
第3給気管84には、不図示のバルブが設けられており、当該バルブの開閉制御を行うことで第1真空吸引路66および第3圧送路72への圧力を調整することができ、第3筐体80から第2筐体50への堆積土砂Dの搬送力を高めることができる。
真空ゲージ86は、第1筐体40内の圧力(負圧)を測定する計器である。
【0028】
図4に示すように、第1真空吸引路66Bは、真空吸引装置24と第1筐体40とを接続する真空吸引管により形成された吸引経路である。
本実施形態では、第2筐体50と第3筐体80は、第1真空吸引路66Bの途中に介設されている。このため、第1真空吸引路66Bは、第2筐体50と第3筐体80とを含んで構成されている。
第2真空吸引路28は、第2実施形態と同様に、真空吸引装置24と第2筐体50とを接続する真空吸引管により形成された吸引経路であって、第2筐体50から真空吸引装置24までの第1真空吸引路66Bは、第2真空吸引路28を兼ねている。
そして、第2真空吸引路28を兼ねた第1真空吸引路66Bの途中に、回収タンク20とフィルタ22とが介設されている。
【0029】
第3圧送路72は、第3圧送ポンプ82と第2筐体50とを接続する圧送管により形成された圧送経路であって、第3筐体80内の堆積土砂Dを第2筐体50に圧送する。
第1圧送路30は、第2実施形態と同様に、第1圧送ポンプ42と第2筐体50とを接続する圧送管により形成された圧送経路であって、第1筐体40内の堆積土砂Dを第2筐体50に圧送する。
そして、本実施形態では、第1圧送路30は、第1圧送ポンプ42と第2筐体50とを、第3圧送ポンプ82と第3圧送路72を介して接続して第1筐体40内の堆積土砂Dを第2筐体50に圧送する。
【0030】
次に、本実施形態の浚渫装置10Cによるダム貯水池Wの水中の底部Bから回収タンク20までの堆積土砂Dの搬送および揚程について説明する。
本実施形態では、ダム貯水池Wの底部Bから第1筐体40の下端までの高さh5、第1筐体40の下端から第3筐体80の下端までの高さh6、第3筐体80の下端から第2筐体50の下端までの高さh7、および第2筐体50の下端から回収タンク20の第1真空吸引路66Bの接続位置までの高さh8は、それぞれ6m~9mに設定している。
したがって、本実施形態では、ダム貯水池Wの底部Bから回収タンク20までを6m~9mごとに分けて、真空吸引装置24および3つの圧送ポンプ42、52、82によって堆積土砂Dを搬送することで、堆積土砂Dを回収タンク20まで搬送させやすい構成となっている。
つまり、本実施形態の浚渫装置10Cは、ダム貯水池Wの底部Bから回収タンク20までの高さH2が24m~36mの揚程である場合に適している。
【0031】
次に、本実施形態の浚渫装置10Cの浚渫作業の流れについて説明する。
第1中継ポンプユニット12、第2中継ポンプユニット14、および第3中継ポンプユニット70に真空吸引管および圧送管を接続することで、第1真空吸引路66B、第2真空吸引路28、第1圧送路30、第2圧送路32、第3圧送路72を形成する。
真空吸引装置24により土砂吸い込み管14から吸引された堆積土砂Dは、第1筐体40の内部に搬送され回収される。
次に、第1圧送ポンプ42によって第1筐体40の内部に回収された堆積土砂Dが圧送され、第1圧送路30を通って第3筐体80の内部に搬送され、堆積土砂Dが回収される。
堆積土砂Dが第3筐体80に搬送されると、第3圧送ポンプ82によって第3筐体80の内部に回収された堆積土砂Dが圧送され、第3圧送路72を通って第2筐体50の内部に搬送され、堆積土砂Dが回収される。
堆積土砂Dが第2筐体50に搬送されると、第2圧送ポンプ52によって第2筐体50の内部に回収された堆積土砂Dが圧送され、第2圧送路32を通って第2真空吸引路28に向けて搬送され、第2真空吸引路28に合流する。そして、合流した堆積土砂Dは、真空吸引装置24と第2圧送ポンプ52とにより第2真空吸引路28(第1真空吸引路66B)を通って回収タンク20に搬送される。
一方で、真空吸引装置24によって第1筐体40の内部に回収された堆積土砂Dの一部が、第1真空吸引路66Bおよび第2真空吸引路32を通って、回収タンク20に搬送される。
すなわち、真空吸引装置24によって吸引され搬送された堆積土砂Dと、第1圧送ポンプ42、第2圧送ポンプ52、および第3圧送ポンプ82により圧送された堆積土砂Dは、第2圧送路32と第2真空吸引路28の接続箇所において合流し、回収タンク20に回収される。
そして、回収タンク20に回収された堆積土砂Dは、回収土砂処理設備36に排出され、回収土砂処理設備36により、個体と水とに分離され所定の処理が行われる。
【0032】
このように、第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
また、第1筐体40と第2筐体50の間に、第3圧送ポンプ82を備えた第3筐体80を配置し、第1筐体40内の堆積土砂Dを第3筐体80に圧送した後、第3筐体80内の堆積土砂Dを第2筐体50に圧送する構成としたため、堆積土砂の搬送力を維持しながら水中の底部Bからの揚程を高くする上で有利となる。
また、水中の底部Bから第1筐体40の下端までの高さ、第1筐体40の下端から第3筐体80の下端までの高さ、第3筐体80の下端から第2筐体50の下端までの高さ、および第2筐体50の下端から回収タンク20の第1真空吸引路66Bの接続位置までの高さをそれぞれ6m~9mとして構成したため、第1圧送ポンプ32、第2圧送ポンプ42、および第3圧送ポンプ82による搬送力の低下を抑制しながら水中の底部Bからの揚程を高くする上で有利となる。
また、第1筐体40に第1筐体40の内部に空気を供給する第1給気管44を設け、第2筐体50に第2筐体50の内部に空気を供給する第2給気管54を設け、第3筐体80に第3筐体80の内部に空気を供給する第3給気管84を設けた構成としたため、真空吸引路や圧送路への圧力を調整することができ、堆積土砂Dの搬送力を高める上で有利となる。
【0033】
上述した第3実施形態では、第1中継ポンプユニット12と第2中継ポンプユニット14との間に、一つの第3中継ポンプユニット80を配置した構成としたが、第3中継ポンプユニットを複数配置する構成としてもよい。その場合、各筐体間の上下方向の高さ(揚程)は、6m~9mに設定することが好ましい。
これにより、堆積土砂Dの搬送力を維持しながら水中の底部Bからの揚程をさらに高くする上で有利となる。
【0034】
また、上記実施形態では、第2圧送路32が第1真空吸引路26(66A、66B)に合流したのち、回収タンク20に接続された構成となっているが、第2圧送路と第2真空吸引路とを別個に回収タンク20に接続する構成としてもよい。しかし、本実施形態にように第2圧送路32を第1真空吸引路66Bに合流させた構成とすると、各種配管の配置が煩雑となることを回避でき、コストを削減できる。
また、上記実施形態では、単一の真空吸引装置24が配置された構成となっているが、複数の真空吸引装置24を配置した構成としてもよい。しかし、真空吸引装置24は高価であるため、本実施形態のように、圧送ポンプを配置した中継ポンプユニットを複数設けて、所望の揚程における堆積土砂を搬送した方がコストを削減できる。
【符号の説明】
【0035】
10A、10B、10C 浚渫装置
12 第1中継ポンプユニット
14 土砂吸い込み管
16 オーガ付き吸引機
18 第2中継ポンプユニット
20 回収タンク
22 フィルタ
24 真空吸引装置
26、66A、66B 第1真空吸引路
28 第2真空吸引路
30 第1圧送路
32 第2圧送路
34 搬送ポンプ
36 回収土砂処理設備
40 第1筐体
42 第1圧送ポンプ
44 第1給気管
46 真空ゲージ
50 第2筐体
52 第2圧送ポンプ
54 第2給気管
58 真空ゲージ
70 第3中継ポンプユニット
72 第3圧送路
80 第3筐体
82 第3圧送ポンプ
84 第3給気管
86 真空ゲージ
90 台船
92 門型設備