(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175288
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】移動診断システム及び輸送管理装置
(51)【国際特許分類】
G16H 40/20 20180101AFI20231205BHJP
G06Q 10/083 20230101ALI20231205BHJP
B60P 3/00 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G16H40/20
G06Q10/08 300
B60P3/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087661
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 章浩
(72)【発明者】
【氏名】橋本 敬介
(72)【発明者】
【氏名】藤本 克彦
(72)【発明者】
【氏名】藤田 文理
【テーマコード(参考)】
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L049AA16
5L099AA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】必要な時に適切な医療サービスを享受できない人々又は地域に、当該人々や地域に適した医療機器を輸送する移動診断システム及び輸送管理装置を提供する。
【解決手段】移動診断システムは、複数のコンテナUx、U0と、移動体Tと、輸送管理装置100と、を備える。コンテナUxは、医療機器200を格納し、互いに組み合わせ可能とする。移動体は、複数のコンテナのうち、医療サービスの提供が要求される人又は地域に適した組み合わせのコンテナを積載して、人又は地域のもとに輸送する。輸送管理装置は、コンテナの輸送を管理し、移動体に積載されたコンテナの組み合わせが、人又は地域に適したコンテナの組み合わせであるか否かを判定する処理部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器が格納された複数のコンテナであって、互いに組み合わせ可能な複数のコンテナと、
前記複数のコンテナのうち、医療サービスの提供が要求される人又は地域に適した組み合わせの前記コンテナを積載して、前記人又は前記地域のもとに輸送する移動体と、
を備える移動診断システム。
【請求項2】
前記コンテナの輸送を管理する輸送管理装置を更に備え、
前記輸送管理装置は、前記移動体に積載されたコンテナの組み合わせが、前記人又は前記地域に適したコンテナの組み合わせであるか否かを判定する処理部を有する、
請求項1に記載の移動診断システム。
【請求項3】
前記輸送管理装置は、前記移動体に積載される何れか一つのコンテナに格納され、
前記人又は前記地域に適したコンテナの組み合わせには、前記輸送管理装置が格納されたコンテナが少なくとも含まれる、
請求項2に記載の移動診断システム。
【請求項4】
前記処理部は、前記移動体によって前記複数のコンテナが前記人又は前記地域のもとに輸送され、前記輸送された複数のコンテナの其々に格納された前記医療機器を用いて前記医療サービスが提供された場合、各医療機器から診療結果を取得する、
請求項2又は3に記載の移動診断システム。
【請求項5】
前記コンテナの輸送を管理する輸送管理装置を更に備え、
前記輸送管理装置は、前記医療サービスの提供が要求される前記地域である目標地域と異なる他の地域に前記複数のコンテナが点在している場合、前記目標地域と、前記他の地域から前記目標地域までに至る経路とを含むエリアに関する地理情報及びインフラストラクチャー情報の少なくとも一方に基づいて、前記複数のコンテナの輸送計画を決定する処理部を有する、
請求項1又は2に記載の移動診断システム。
【請求項6】
前記処理部は、更に、前記エリアに広がる病気の感染分布に基づいて、前記輸送計画を決定する、
請求項5に記載の移動診断システム。
【請求項7】
医療機器が格納され、互いに組み合わせ可能な複数のコンテナのうち、医療サービスの提供が要求される人又は地域に適した組み合わせの前記コンテナを移動体に積載して、前記人又は前記地域のもとに輸送するように管理する処理部を備える、
輸送管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、移動診断システム及び輸送管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医師の偏在や医師の高齢化、社会インフラストラクチャーの未整備等より、必要な時に適切な医療サービスを享受できない人々又は地域が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は、必要な時に適切な医療サービスを享受できない人々又は地域に、当該人々や地域に適した医療機器を輸送することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の移動診断システムは、複数のコンテナと、移動体とをもつ。前記複数のコンテナは、医療機器が格納され、互いに組み合わせ可能である。前記移動体は、前記複数のコンテナのうち、医療サービスの提供が要求される人又は地域に適した組み合わせの前記コンテナを積載して、前記人又は前記地域のもとに輸送する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態における移動診断システム1の構成例を表す図。
【
図2】第1実施形態における輸送管理装置100の構成例を表す図。
【
図3】第1実施形態における移動診断システム1全体の処理の流れを表すフローチャート。
【
図4】ユニットの組み合わせの判定方法を説明するための図。
【
図5】第2実施形態における移動診断システム1全体の処理の流れを表すフローチャート。
【
図6】各地にユニットが点在している様子を表す図。
【
図7】病気の感染分布をもとに輸送計画を決定する例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、実施形態の移動診断システム及び輸送管理装置について説明する。
【0008】
(第1実施形態)
[移動診断システムの構成]
図1は、第1実施形態における移動診断システム1の構成例を表す図である。移動診断システム1は、複数のコンテナと、その複数のコンテナを積載する移動体Tとを備える。複数のコンテナには、輸送管理装置100が格納されるコンテナ(以下、基本ユニットU0という)と、医療機器(モダリティ)200が格納されるコンテナ(以下、診療ユニットUxという)とが含まれる。
【0009】
医療機器200は、例えば、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、音波画像診断装置などである。医療機器200は、典型的には、コンテナの床面に載置されるがこれに限られず、コンテナの壁面や天井などに設置されてもよい。
【0010】
各コンテナ(ユニット)の中には人が入ることができる。例えば、基本ユニットU0では、輸送管理装置100が格納されているだけでなく、人が着替えることができるスペースが存在し、衣服や荷物を収納できるロッカーなどが設置される。
【0011】
移動体Tは、典型的には、トレーラートラックであるがこれに限られず、例えば、航空機や船舶、鉄道車両といったその他の輸送機関であってもよい。以下、一例として移動体Tがトレーラートラックであるものとして説明する。トレーラートラックTは、基本ユニットU0と診療ユニットUxとを積載し、種々の事情によって必要な時に適切な医療サービスを享受できない人々又は地域に積載ユニットを輸送する。種々の事情とは、例えば、医師の偏在や医師の高齢化、社会インフラストラクチャーの未整備などである。以下、各ユニットの輸送先である人々(つまり必要な時に適切な医療サービスを享受できない人々)のことを「目標患者」と称し、各ユニットの輸送先である地域(つまり必要な時に適切な医療サービスを享受できない地域)のことを「目標地域」と称して説明する。
【0012】
[輸送管理装置の構成]
図2は、第1実施形態における輸送管理装置100の構成例を表す図である。輸送管理装置100は、例えば、通信インタフェース111と、入力インタフェース112と、出力インタフェース113と、メモリ114と、処理回路120とを備える。
【0013】
通信インタフェース111は、通信ネットワークNWを介して外部装置と通信する。通信ネットワークNWは、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)を含む。外部装置には、各診療ユニットUxに格納された医療機器200(図示の例では200-1~200-3)などが含まれる。通信インタフェース111は、例えば、NIC(Network Interface Card)や無線通信用のアンテナ、診療ユニットUx内の医療機器200と有線又は無線で接続可能なコネクタ等を含む。
【0014】
入力インタフェース112は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路120に出力する。例えば、入力インタフェース112は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパネル等を含む。入力インタフェース112は、例えば、マイクロフォン等の音声入力を受け付けるユーザインタフェースであってもよい。入力インタフェース112がタッチパネルである場合、入力インタフェース112は、後述する出力インタフェース113に含まれるディスプレイ113aの表示機能を兼ね備えるものであってもよい。
【0015】
なお、本明細書において入力インタフェース112はマウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース112の例に含まれる。
【0016】
出力インタフェース113は、例えば、ディスプレイ113aやスピーカ113bなどを備える。ディスプレイ113aは、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ113aは、処理回路120によって生成された画像や、操作者からの各種の入力操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を表示する。例えば、ディスプレイ113aは、LCD(Liquid Crystal Display)や、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。スピーカ113bは、処理回路120から入力された情報を音声として出力する。
【0017】
メモリ114は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクによって実現される。これらの非一過性の記憶媒体は、NAS(Network Attached Storage)や外部ストレージサーバ装置といった通信ネットワークNWを介して接続される他の記憶装置によって実現されてもよい。また、メモリ114には、ROM(Read Only Memory)やレジスタ等の非一過性の記憶媒体が含まれてもよい。
【0018】
メモリ114には、ハードウェアプロセッサによって実行されるプログラム又はインストラクションに加えて、処理回路120による各種処理結果が格納される。またメモリ114には、目標患者や目標地域にいる人の電子カルテが格納されてよい。電子カルテには、例えば、問診結果や診療結果、既往歴といった患者の診療の経過に関する情報が含まれる。
【0019】
処理回路120は、例えば、取得機能121と、決定機能122と、出力制御機能123とを備える。処理回路120は、例えば、ハードウェアプロセッサ(コンピュータ)がメモリ114(記憶回路)に記憶されたプログラム又はインストラクションを実行することにより、これらの機能を実現するものである。処理回路120は「処理部」の一例である。
【0020】
処理回路120におけるハードウェアプロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit; ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device; SPLD)または複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device; CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array; FPGA))等の回路(circuitry)を意味する。メモリ114にプログラムを記憶させる代わりに、ハードウェアプロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、ハードウェアプロセッサは、回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。上記のプログラムは、予めメモリ114に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の非一時的記憶媒体に格納されており、非一時的記憶媒体がユーザインタフェース10のドライブ装置(不図示)に装着されることで非一時的記憶媒体からメモリ114にインストールされてもよい。ハードウェアプロセッサは、単一の回路として構成されるものに限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのハードウェアプロセッサとして構成され、各機能を実現するようにしてもよい。また、複数の構成要素を1つのハードウェアプロセッサに統合して各機能を実現するようにしてもよい。
【0021】
[移動診断システムの処理フロー]
以下、フローチャートに即しながら、輸送管理装置100の処理回路120による処理をメインに、移動診断システム1全体の処理の流れについて説明する。
図3は、第1実施形態における移動診断システム1全体の処理の流れを表すフローチャートである。本フローチャートの処理は、少なくとも基本ユニットU0がトレーラートラックTに積載されたときに実行されてよい。
【0022】
まず、取得機能121は、通信インタフェース111を介して、トレーラートラックTに積載された全診療ユニットUxの其々に格納された医療機器200から、各医療機器固有の識別情報(以下、医療機器IDと称する)を取得する(ステップS100)。
【0023】
医療機器IDには、例えば、X線CT装置なのか、MRI装置なのか、それとも音波画像診断装置なのか、といった医療機器200の種類を識別可能な情報が含まれてよい。または同じ種類の医療機器200でもその用途が異なるものも存在する。この場合、医療機器IDには、その用途を識別可能な情報が含まれていてよい。
【0024】
具体的には、循環器系の診療に利用される医療機器200-A、消化器系の診療に利用される医療機器200-B、頭部の診療に利用される医療機器200-C、といったように同じ種類の医療機器200であってもその用途(診療の対象とする部位)が異なっている場合がある。この場合、医療機器200-Aの医療機器IDには、診療の対象が循環器系であることを識別可能な情報が含まれ、医療機器200-Bの医療機器IDには、診療の対象が消化器系であることを識別可能な情報が含まれ、医療機器200-Cの医療機器IDには、診療の対象が頭部であることを識別可能な情報が含まれてよい。
【0025】
次に、決定機能122は、取得機能121によって取得された医療機器IDに基づいて、ユニットの接続を判定する(ステップS102)。
【0026】
例えば、決定機能122は、トレーラートラックTに積載された診療ユニットUxの組み合わせが、各ユニットの輸送先である目標患者や目標地域に適したユニットの組み合わせであるか否かを判定する。「目標患者や目標地域に適した」とは、目標患者に対して所望される医療サービスを提供できること、目標地域において所望される医療サービスを提供できることをいう。
【0027】
図4は、ユニットの組み合わせの判定方法を説明するための図である。例えば、トレーラートラックTに積載可能なユニットとして、基本ユニットU0と、「循環器系」の医療機器200-Aが格納された診療ユニットUaと、「消化器系」の医療機器200-Bが格納された診療ユニットUbと、「頭部」の医療機器200-Cが格納された診療ユニットUcとが存在していたとする。
【0028】
例えば、ある目標患者が心臓疾患を患っている場合、その目標患者に対して心臓の診療を行うことが要求される。このような場合、心臓疾患を患っている目標患者に適したユニットの組み合わせは、基本ユニットU0と「循環器系」の医療機器200-Aが格納された診療ユニットUaとの組み合わせとなる。
【0029】
そこで決定機能122は、取得機能121によって各診療ユニットUxの医療機器200から取得された医療機器IDを参照することで、トレーラートラックTに積載された診療ユニットUxのなかに「循環器系」の医療機器200-Aが格納された診療ユニットUaが存在するか否かを判定する。決定機能122は、診療ユニットUaが存在しなければ、トレーラートラックTに積載された診療ユニットUxの組み合わせが、目標患者に適したユニットの組み合わせでないと判定する。一方、決定機能122は、診療ユニットUaが存在すれば、トレーラートラックTに積載された診療ユニットUxの組み合わせが、目標患者に適したユニットの組み合わせであると判定する。
【0030】
出力制御機能123は、トレーラートラックTに積載された診療ユニットUxの組み合わせが、目標患者又は目標地域に適したユニットの組み合わせでないと判定された場合、出力インタフェース113を介して、アラートなどを出力してよい。
【0031】
目標患者又は目標地域に適したユニットの組み合わせは、例えば、医師などが入力インタフェース112に入力することで指定されてもよいし、医師などが利用可能なコンピュータから通信インタフェース111を介して取得されてもよい。また、決定機能122が機械学習などを利用することで、メモリ114に格納された電子カルテから目標患者又は目標地域に適したユニットの組み合わせを自動的に決定してもよい。
【0032】
トレーラートラックTに積載された診療ユニットUxの組み合わせが、目標患者又は目標地域に適したユニットの組み合わせであると判定されると、それらユニットはトレーラートラックTによって目標患者又は目標地域のもとに輸送される(ステップS104)。
【0033】
次に、診療ユニットUxに格納された医療機器200を用いて、目標患者又は目標地域にいる人々の診療が開始される(ステップS106)。
【0034】
決定機能122は、診療の開始に伴い、メモリ114に格納された電子カルテなどを基に、各医療機器200の診断条件を決定してよい。例えば、医療機器200がX線CT装置やMRI装置である場合、決定機能122は、X線CT装置やMRI装置の撮像条件を決定してよい。決定機能122によって決定された診断条件(撮像条件など)は、通信インタフェース111を介して医療機器200に送信される。これを受けて医療機器200は、決定機能122によって決定された診断条件に従って動作する。
【0035】
次に、取得機能121は、目標患者又は目標地域にいる人々の診療が終了するまで待機し(ステップS108)、診療が終了すると、通信インタフェース111を介して医療機器200から診療結果を取得する(ステップS110)。診療結果には、例えば、MR画像やCT画像といった各種医用画像が含まれてよい。
【0036】
次に、取得機能121は、診療結果を用いてメモリ114に格納された電子カルテを更新する(ステップS112)。これによって本フローチャートの処理が終了する。以降、新たに目標患者や目標地域が指定されると、トレーラートラックTに積載されたユニットが、新たな目標患者や目標地域に適したものに組み替えられ、新たな目標患者や目標地域のもとに輸送される。
【0037】
以上説明した第1実施形態によれば、輸送管理装置100が、目標患者や目標地域に適した組み合わせのユニットがトレーラートラックTに積載しているのか確認した上で、それらユニットが輸送されるため、医師の偏在や医師の高齢化、社会インフラストラクチャーの未整備といった様々な事情を抱える人々でも、必要な時に適切な医療サービスを享受することができる。
【0038】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、複数のユニットが目標地域とは異なる他の地域に点在している場合に、それら各地に点在するユニットを目標地域へと好適に輸送するための輸送計画を決定する点で上述した第1実施形態と相違する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と共通する点については説明を省略する。第2実施形態の説明において、第1実施形態と同じ部分については同一符号を付して説明する。
【0039】
図5は、第2実施形態における移動診断システム1全体の処理の流れを表すフローチャートである。本フローチャートの処理は、各地に点在するユニットの輸送先である目標地域が指定されたときに実行されてよい。また、第2実施形態において、輸送管理装置100は必ずしもコンテナに格納されている必要はなく、例えば、通信ネットワークNW上のサーバの一つであってよい。輸送管理装置100がコンテナに格納されない場合、基本ユニットU0には、輸送管理装置100と同等の機能を有するコンピュータが格納されてよい。
【0040】
まず、第2実施形態における取得機能121は、各地に点在するユニットの位置情報を取得する(ステップS200)。
【0041】
図6は、各地にユニットが点在している様子を表す図である。例えば、ある地点P0には基本ユニットU0が存在し、ある地点Paには「循環器系」の医療機器200-Aが格納された診療ユニットUaが存在し、ある地点Pbには「消化器系」の医療機器200-Bが格納された診療ユニットUbが存在していたとする。このような場合、取得機能121は、通信インタフェース111を介してP0、Pa、Pbに存在するユニットにアクセスし、それらユニットの位置情報(例えばGPS(Global Positioning System)座標など)を取得する。
【0042】
次に、取得機能121は、目標地域と、ユニットが点在している地点から目標地域までに至る輸送経路とを少なくとも含むエリアを決定し、そのエリアの地理情報及び/又はインフラストラクチャー情報を取得する(ステップS202)。地理情報には、例えば、その土地の山や川の状態に関する情報や、その土地の標高といった情報が含まれてよい。インフラストラクチャー情報には、例えば、道路交通網や、電力網、上下水道網、モバイル通信網などに関する情報が含まれてよい。
【0043】
取得機能121は、更に、目標地域と輸送経路とを含むエリアの感染分布を取得してもよい。例えば、ある地域において病気の感染が拡大しており、病気に感染した人たちの診療が要望されたとする。このような場合、病気の感染が拡大した地域は目標地域となる。このような場合、取得機能121は、目標地域周辺の感染者数とその分布を取得してよい。
【0044】
次に、第2実施形態における決定機能122は、地理情報及び/又はインフラストラクチャー情報に基づいて、各地に点在するユニットを目標地域へと輸送するための輸送計画を決定する(ステップS204)。
【0045】
この際、決定機能122は、理情報及び/又はインフラストラクチャー情報に加えて、或いは代えて、目標地域と輸送経路とを含むエリアに広がる病気の感染分布に基づいて、輸送計画を決定してもよい。
【0046】
図7は、病気の感染分布をもとに輸送計画を決定する例を説明するための図である。例えば、病気の感染が広まっていない地点(感染者数が少ない地点)と、病気の感染が広まっている地点(感染者数が多い地点)との双方にユニットが存在している場合、決定機能122は、病気の感染が広まっている地点(感染者数が多い地点)に存在するユニットよりも、病気の感染が広まっていない地点(感染者数が少ない地点)に存在するユニットの方を優先的に目標地域へと輸送するような輸送計画を決定してよい。図示の例では、P0、Pa、Pbのいずれも感染拡大地域から外れているため、これらP0、Pa、Pbに存在するいずれのユニットも目標地域Rへと輸送されるような輸送計画が決定される。
【0047】
図5のフローチャートの説明に戻る。次に、輸送計画に従ってトレーラートラックTをユニットの所在地に搬送し、トレーラートラックTに各地のユニットをピックアップさせる(ステップS206)。
【0048】
次に、トレーラートラックTにピックアップさせたユニットを目標地域に輸送する(ステップS208)。
【0049】
次に、目標地域に輸送された診療ユニットUxの医療機器200を用いて、目標地域にいる人々の診療が開始される(ステップS210)。
【0050】
次に、取得機能121は、目標地域にいる人々の診療が終了するまで待機し(ステップS212)、診療が終了すると、通信インタフェース111を介して医療機器200から診療結果を取得する(ステップS214)。
【0051】
次に、取得機能121は、診療結果を用いてメモリ114に格納された電子カルテを更新する(ステップS216)。これによって本フローチャートの処理が終了する。
【0052】
以上説明した第2実施形態によれば、輸送管理装置100が、複数のユニットが目標地域とは異なる他の地域に点在している場合に、それら各地に点在するユニットを目標地域へと輸送するための輸送計画を決定する。これによって、限られた医療資源を効率的に利用することができる。
【0053】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0054】
100…輸送管理装置、111…通信インタフェース、112…入力インタフェース、113…出力インタフェース、114…メモリ、120…処理回路、121…取得機能、122…決定機能、123…出力制御機能