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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175293
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
B25J19/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087667
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】山中 晶貴
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS12
3C707CY03
3C707CY06
3C707CY12
3C707CY13
3C707DS01
3C707KS33
3C707KT01
3C707KT05
3C707KX06
(57)【要約】
【課題】先端アームの組み付けの際に、配線や配管の噛み込みや折れが発生するのを抑制することができるロボットを提供する。
【解決手段】ロボットが備える複数のアームには、ハンド18が取り付けられる有底筒状の第6アーム17と、第6アーム17に隣接する第5アーム16とが含まれている。第6アーム17は、第5アーム16に連結された筒状体21と、筒状体21の先端開口を塞いだ状態で設けられ、ハンド18が取り付けられる蓋部22とを有する。筒状体21には、配線コネクタ31と配管コネクタ32とが設けられている。各コネクタ31,32には、ハンド18から延びる配線51及び配管53をそれぞれ接続可能となっているとともに、第5アーム16の内部から第6アーム17の内部へ延びる内部配線部55及び内部配管部56がそれぞれ接続されている。また、筒状体21と蓋部22とは互いに別体として形成され、ボルトを用いて互いに固定されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに連結された複数のアームを備え、
前記複数のアームには、エンドエフェクタが取り付けられる有底筒状の先端アームと、前記先端アームに隣接する隣接アームとが含まれており、
前記先端アームには、配線部又は配管部のいずれかである線状部が接続される接続部が設けられ、
前記接続部には、前記エンドエフェクタ側から延びる前記線状部が接続可能とされているとともに、前記隣接アームの内部から前記先端アームの内部へ延びる前記線状部が内部線状部として接続されるロボットであって、
前記先端アームは、
前記隣接アームに連結され、前記接続部が設けられた筒状体と、
前記筒状体の先端開口を塞ぎ、前記エンドエフェクタが取り付けられる蓋部とを有し、
前記筒状体と前記蓋部とは、互いに別体として形成され、固定具を用いて互いに固定されている、ロボット。
【請求項2】
前記筒状体は、その軸線方向に分割されているとともに、互いに結合された第1筒状部及び第2筒状部を有しており、
前記第1筒状部及び前記第2筒状部のうち、前記第1筒状部にのみ前記接続部が設けられている、請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記第2筒状部の外周面には、滑り止め構造が設けられている、請求項2に記載のロボット。
【請求項4】
前記筒状体には、前記接続部として、配線接続用の配線接続部が複数設けられており、
それら複数の配線接続部には、前記内部線状部としての内部配線部が接続されており、
前記筒状体の内側空間には、その内側空間を前記筒状体の軸線方向に仕切るように基板が設けられており、
前記内部配線部は、
前記隣接アームの内部から前記内側空間に入り込み、前記基板に接続された第1配線と、
前記配線接続部ごとに設けられ、前記基板と前記配線接続部とにそれぞれ接続された複数の第2配線と、を有しており、
前記複数の配線接続部は、前記軸線方向において前記基板よりも前記蓋部側に配置されている、請求項1に記載のロボット。
【請求項5】
前記基板には、前記第1配線を挿通させる挿通部が形成され、
前記第1配線は、前記挿通部を通じて前記基板よりも前記蓋部側に導かれ、前記基板に前記蓋部側から接続されている、請求項4に記載のロボット。
【請求項6】
前記蓋部は、前記筒状体に着脱可能に固定されている、請求項1に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
互いに連結された複数のアームを備える多関節型のロボットでは、複数のアームのうち先端に位置する先端アームに把持部(ハンド)等のエンドエフェクタが取り付けられる(例えば特許文献1参照)。先端アームは有底の筒状(容器状)をなしており、その先端側となる底部にエンドエフェクタが取り付けられるようになっている。また、先端アームは、例えば金属材料により一体形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-131761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロボットには、エンドエフェクタから延びる配線や配管(以下、エンドエフェクタ用の配線・配管という)が接続されるコネクタが設けられている。エンドエフェクタ用の配線・配管はロボット外部を通って配設されるため、例えば人と協働する協働ロボットでは、配線・配管が長いと人と干渉するおそれがある。そのため、エンドエフェクタ用の配線・配管はできるだけ短くするのが望ましい。
【0005】
そこで、上記のコネクタを、エンドエフェクタが取り付けられる先端アームに設けることにより、エンドエフェクタ用の配線・配管を短くすることが考えられる。この場合、ロボットには、各アーム内を通じて先端アームの内部まで延びる内部配線や内部配管を配設しておき、その内部配線・内部配管をコネクタに先端アーム内から接続しておくことになる。この場合、コネクタを介して内部配線とエンドエフェクタ用の配線とが接続され、内部配管とエンドエフェクタ用の配管とが接続されることになる。
【0006】
ここで、上記の構成において、先端アームを、先端アームの隣のアームに組み付ける際には、まず先端アームのコネクタに内部配線・内部配管を接続し、その後、先端アームを隣のアームに組み付けることになる。しかしながら、かかる組付方法では、先端アームを隣のアームに組み付ける際、内部配線・内部配管の状態を目視で確認するのが困難である。そのため、内部配線・内部配管が先端アームと隣のアームとの間に噛み込んだり、折れ曲がったりするおそれがある。
【0007】
また、先端アームのコネクタに内部配線・内部配管を接続する際には、先端アームを隣のアームからある程度離しておく必要がある。そのため、内部配線・内部配管の長さはある程度長めに設定しておく必要がある。しかしながら、内部配線・内部配管の長さが長いと、先端アームを隣のアームに組み付ける際に、内部配線・内部配管が大きく折れ曲がり易く、そのため噛み込みも生じ易いと考えられる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、先端アームの組み付けの際に、配線や配管の噛み込みや折れが発生するのを抑制することができるロボットを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、第1の発明は、互いに連結された複数のアームを備え、前記複数のアームには、エンドエフェクタが取り付けられる有底筒状の先端アームと、前記先端アームに隣接する隣接アームとが含まれており、前記先端アームには、配線部又は配管部のいずれかである線状部が接続される接続部が設けられ、前記接続部には、前記エンドエフェクタ側から延びる前記線状部が接続可能とされているとともに、前記隣接アームの内部から前記先端アームの内部へ延びる前記線状部が内部線状部として接続されるロボットであって、前記先端アームは、前記隣接アームに連結され、前記接続部が設けられた筒状体と、前記筒状体の先端開口を塞ぎ、前記エンドエフェクタが取り付けられる蓋部とを有し、前記筒状体と前記蓋部とは、互いに別体として形成され、固定具を用いて互いに固定されている。
【0010】
第1の発明によれば、先端アームが、先端アームに隣接する隣接アームに連結された筒状体と、筒状体の先端開口を塞ぐ蓋部とを有している。蓋部にはエンドエフェクタが取り付けられ、筒状体にはエンドエフェクタ側から延びる線状部(配線部又は配管部)を接続可能な接続部が設けられている。また、接続部には、隣接アームの内部から先端アームの内部へ延びる内部線状部が接続される。なお、「エンドエフェクタ側から延びる線状部」には、エンドエフェクタから延びる線状部に加え、エンドエフェクタに付随する機器から延びる線状部が含まれる。
【0011】
筒状体と蓋部とは互いに別体として形成され、固定具を用いて互いに固定されている。かかる構成では、先端アームの組み付け作業の際、まず筒状体を隣接アームに連結し、その後、筒状体に設けられた接続部に内部線状部を接続することができる。この場合、筒状体の先端開口より内部線状部の配設状態を目視確認しながら接続作業を行うことができる。そのため、内部線状部に折れが生じるのを抑制することができる。
【0012】
その後、蓋部を筒状体に固定具を用いて固定する。この場合、内部線状部の配設状態を確認しながら蓋部を固定することができる。そのため、内部線状部を蓋部と筒状体との間に噛み込んでしまうのを抑制することができる。よって、以上より、先端アームの組付作業の際に、内部線状部(配線部や配管部)の噛み込みや折れが発生するのを抑制することができる。
【0013】
第2の発明では、前記筒状体は、その軸線方向に分割されているとともに、互いに結合された第1筒状部及び第2筒状部を有しており、前記第1筒状部及び前記第2筒状部のうち、前記第1筒状部にのみ前記接続部が設けられている。
【0014】
ユーザが先端アームを動かしてロボットのティーチングを行う際等には、ユーザが先端アームを把持した状態で動かすことになる、ここで、先端アームには接続部が設けられているため、接続部の周辺では先端アームを把持しづらいことが想定される。そこで、第2の発明では、その点を鑑み、先端アームの筒状体を、軸線方向に分割された第1筒状部及び第2筒状部を有して構成し、そして、各筒状部のうち第1筒状部にのみ接続部を設け、第2筒状部には接続部を設けないようにした。この場合、第2筒状部をユーザが把持する把持部として好適に用いることが可能となる。
【0015】
また、ユーザが先端アームを把持する際に、把持し易い位置(又は操作し易い位置)はユーザによって異なることが考えられる。その点、上記の構成では、各筒状部が分割されているため、第2筒状部を第1筒状部に対して蓋部側に配置するか又は反蓋部側に配置するかにより、把持部の位置を蓋部側又は反蓋部側に設定することができる。そのため、ユーザに応じて把持部の位置を比較的容易に設定することが可能となる。
【0016】
第2の発明によれば、先端アームの筒状体が軸線方向に分割された第1筒状部及び第2筒状部を有している。各筒状部のうち第1筒状部にのみ接続部が設けられ、第2筒状部には接続部が設けられていない。この場合、ユーザが先端アームを動かしてロボットのティーチングを行う際等に、第2筒状部をユーザが把持する把持部として用いることができる。また、各筒状部のうち、第2筒状部を蓋部側に配置するか又は反蓋部側に配置するかにより、把持部の位置を変えることができる。そのため、ユーザに応じて把持部の位置を適切な位置に設定することができる。
【0017】
第3の発明では、前記第2筒状部の外周面には、滑り止め構造が設けられている。
【0018】
第3の発明によれば、第2筒状部の外周面に滑り止め構造が設けられているため、第2筒状部を把持して先端アームを動かす際に、手が滑るのを抑制することができる。
【0019】
第4の発明では、前記筒状体には、前記接続部として、配線接続用の配線接続部が複数設けられており、それら複数の配線接続部には、前記内部線状部としての内部配線部が接続されており、前記筒状体の内側空間には、その内側空間を前記筒状体の軸線方向に仕切るように基板が設けられており、前記内部配線部は、前記隣接アームの内部から前記内側空間に入り込み、前記基板に接続された第1配線と、前記配線接続部ごとに設けられ、前記基板と前記配線接続部とにそれぞれ接続された複数の第2配線と、を有しており、前記複数の配線接続部は、前記軸線方向において前記基板よりも前記蓋部側に配置されている。
【0020】
第4の発明によれば、筒状体に配線接続用の配線接続部が複数設けられ、それら複数の配線接続部には、隣接アームの内部から先端アームの内部へ延びる内部配線部が接続されている。また、筒状体の内側空間には基板が設けられている。配線接続部は、隣接アームの内部から延びて基板に接続された第1配線と、基板と配線接続部とにそれぞれ接続された複数の第2配線とを有している。この場合、電力が第1配線から基板及び各第2配線を介して各配線接続部に分配供給される。かかる構成では、複数の配線接続部に電力を供給する上で、先端アームよりも基端側のアーム内(例えば隣接アーム内)に配設される配線の本数を削減することができる。そのため、アーム内における配線用の空間を好適に確保することができ、その結果、配線の断線リスクの低減等を図ることができる。
【0021】
また、複数の配線接続部はいずれも、基板よりも蓋部側に配置されている。この場合、筒状体の内部に基板が設けられた構成にあって、配線接続部に対する第2配線の接続状態を筒状体の先端開口より目視確認し易くすることができる。そのため、配線接続部と第2配線との接続部分に接続不良が発生するのを好適に抑制することができる。特に、配線接続部が複数設けられた構成においては、かかる効果を得ることの意義は大きいといえる。
【0022】
第5の発明では、前記基板には、前記第1配線を挿通させる挿通部が形成され、前記第1配線は、前記挿通部を通じて前記基板よりも前記蓋部側に導かれ、前記基板に前記蓋部側から接続されている。
【0023】
第5の発明によれば、隣接アームの内部から延びる第1配線が、基板に形成された挿通部を通じて基板よりも蓋部側に導かれ、基板に対して蓋部側から接続されている。この場合、基板と第1配線との接続状態を筒状体の先端開口を通じて目視確認し易くすることができる。そのため、基板と第1配線との接続部分に接続不良が発生するのを好適に抑制することができる。
【0024】
第6の発明では、前記蓋部は、前記筒状体に着脱可能に固定されている。
【0025】
エンドエフェクタの交換等に伴い、エンドエフェクタが取り付けられる先端アームを交換する必要が生じる場合がある。この点、第6の発明では、先端アームの蓋部が筒状体に着脱可能に固定されているため、こうした場合に、蓋部のみを交換することで容易に対応することが可能となる。また、蓋部が破損した場合にも、蓋部だけを取り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】ロボットの側面図。
図2】第6アームを示す斜視図。
図3】第6アームを蓋部を取り外した状態で示す斜視図。
図4】第6アームにハンドが取り付けられた状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、人と協働するロボットに具現化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0028】
図1に示すように、ロボット10は、互いに連結された複数のアームを備える垂直多関節型のロボット(いわゆる6軸ロボット)である。ロボット10は、例えば人が一人で持ち運ぶことができる程度に小型及び軽量のものである。
【0029】
ロボット10は、所定の設置面(例えば床面や机の上面)に設置されるベース11と、ベース11により支持された複数(具体的には6つ)のアーム12~17とを備える。ベース11は、設置面に固定されていてもよいし、固定されていなくてもよい。
【0030】
複数のアーム12~17には、第1アーム12、第2アーム13、第3アーム14、第4アーム15、第5アーム16、及び第6アーム17が含まれている。第1アーム12はベース11に回転可能に連結され、第2アーム13は第1アーム12に回転可能に連結され、第3アーム14は第2アーム13に回転可能に連結されている。また、第4アーム15は第3アーム14に回転可能に連結され、第5アーム16は第4アーム15に回転可能に連結され、第6アーム17は第5アーム16に回転可能に連結されている。
【0031】
ロボット10には、各アーム12~17ごとにモータ(図示略)が設けられている。それら各モータの駆動により各アーム12~17が回転動作するようになっている。また、各モータの駆動は、ロボット10に内蔵された制御装置(図示略)により制御される。
【0032】
第6アーム17(先端アームに相当)の先端部には、エンドエフェクタが取り付けられている。本実施形態では、エンドエフェクタとして、物を把持可能なハンド18(把持部)が取り付けられている。第6アーム17には、ハンド18以外のエンドエフェクタも取付可能となっており、そのため、本ロボット10では、作業内容等に応じてエンドエフェクタの付け替えが可能となっている。なお、第6アーム17は、フランジとも呼ばれる。
【0033】
また、本ロボット10は、ダイレクトティーチングを実行可能となっている。ティーチングの際には、例えばユーザが第6アーム17を把持してロボット10を動かし、ティーチングを行うようになっている。
【0034】
続いて、第6アーム17の構成について図2図4に基づき説明する。
【0035】
図2図4に示すように、第6アーム17は有底の円筒状に形成され、円筒状をなす筒状体21と、円板状の蓋部22とを有する。筒状体21と蓋部22とは互いに別体として形成され、いずれも金属材料により形成されている。筒状体21は、第5アーム16に連結され、その内側空間28(換言すると第6アーム17の内部)が第5アーム16の内部と連通されている。また、蓋部22は、筒状体21を挟んで第5アーム16とは反対側に配置されている。蓋部22は、筒状体21の先端開口21aを塞いでおり、当該筒状体21に固定されている。なお、第5アーム16は、第6アーム17(先端アーム)と隣接する隣接アームに相当する。
【0036】
筒状体21は、その軸線方向に分割された第1筒状部25及び第2筒状部26を有する。各筒状部25,26はいずれも円筒状に形成され、外径が同じとされている。各筒状部25,26は、ボルト等の固定具(図示略)を用いて互いに結合(固定)されている。各筒状部25,26のうち、第1筒状部25が蓋部22側に配置され、第2筒状部26が第5アーム16側に配置されている。
【0037】
第1筒状部25には、複数のコネクタ31,32(接続部に相当)が設けられている。各コネクタ31,32には、配線接続用の配線コネクタ31(配線接続部に相当)と、配管接続用の配管コネクタ32(配管接続部に相当)とが含まれている。また、配線コネクタ31は複数設けられている。
【0038】
これらのコネクタ31,32は、第1筒状部25の周壁部25aに設けられ、第1筒状部25の周方向に所定の間隔で配置されている。また、各コネクタ31,32は、周壁部25aを貫通した状態で取り付けられ、第1筒状部25の外側に突出する外部接続部31a,32aと、第1筒状部25の内側に突出する内部接続部31b,32bとを有している。なお、コネクタ31,32は、第1筒状部25にのみ設けられ、第2筒状部26には設けられていない。
【0039】
第2筒状部26の外周面には、ローレット加工部34(滑り止め構造に相当)が設けられている。ローレット加工部34は、第2筒状部26の外周面がローレット加工された部分である。ローレット加工部34では、第2筒状部26の外周面が凹凸状とされている。また、ローレット加工部34は、第2筒状部26の外周面全域に設けられている。また、本ロボット10では、第6アーム17を動かしてダイレクトティーチングを行う際、第2筒状部26の外周面(つまりローレット加工部34)が把持されるようになっている。
【0040】
蓋部22は、第1筒状部25にボルト36(固定具に相当)を用いて固定されている。ボルト36は、蓋部22の外周部に複数配置されている。各ボルト36は、蓋部22に形成された孔部37を通じて、第1筒状部25に形成された孔部38にねじ込まれている。これにより、蓋部22は第1筒状部25に着脱可能に固定されている。
【0041】
蓋部22には、ハンド18が取り付けられている。ハンド18は、蓋部22を挟んで筒状体21とは反対側に配置されている。蓋部22には、ハンド18の側に突出する円環状の凸部42が形成されている。この凸部42は、各孔部37よりも内周側に形成されている。ハンド18は、その底部に形成された凹部43に凸部42を入り込ませた状態で、蓋部22にボルト(図示略)を用いて固定されている。なお、凸部42には、上記のボルトが締め込まれるねじ孔45が複数形成されている。また、凸部42には、ハンド18を位置決めするノックピン(図示略)が挿入されるピン孔46も形成されている。
【0042】
続いて、筒状体21(第1筒状部25)に設けられたコネクタ31,32に接続される配線及び配管について説明する。
【0043】
各コネクタ31,32には、第6アーム17に取り付けられるエンドエフェクタや、エンドエフェクタに付随する機器から延びる配線や配管を接続可能となっている。本実施形態では、各配線コネクタ31のうち、配線コネクタ31Aにハンド18の配線51(「エンドエフェクタ側から延びる線状部」に相当)が接続され、配線コネクタ31Bにハンド18により把持されるカメラ23(「エンドエフェクタに付随する機器」に相当)の配線52(「エンドエフェクタ側から延びる線状部」に相当)が接続されている。これらの配線51,52は、配線コネクタ31A,31Bの外部接続部31aに接続されている。また、配管コネクタ32には、ハンド18にエアを供給するエア供給用の配管53(「エンドエフェクタ側から延びる線状部」に相当)が接続されている。配管53は、その一端部がハンド18に接続され、他端部が配管コネクタ32の外部接続部32aに接続されている。
【0044】
各配線コネクタ31の内部接続部31bには、第5アーム16の内部から第6アーム17の内部へ延びる内部配線部55(内部線状部に相当)が接続されている。また、配管コネクタ32の内部接続部32bには、第5アーム16の内部から第6アーム17の内部へ延びる内部配管部56(内部線状部に相当)が接続されている。以下、これら内部配線部55及び内部配管部56について順に説明する。
【0045】
内部配線部55は、第5アーム16の内部から第6アーム17の内部(換言すると筒状体21の内側空間28)へ延びる第1配線58と、第1配線58と基板61を介して接続された複数の第2配線59とを有している。第1配線58は、ベース11内から第1アーム12の内部に入り込み、その後各アーム12~17内を通じて第6アーム17の内部まで延びている。また、複数の第2配線59はそれぞれ、各配線コネクタ31の内部接続部31bに接続されている。
【0046】
基板61は、第6アーム17(筒状体21)の内部に設けられ、その板厚方向を筒状体21の軸線方向に向けて配置されている。そのため、基板61は、筒状体21の内側空間28を上記軸線方向に仕切るようにして配置されている。また、基板61は円板状に形成され、その中心軸が筒状体21の中心軸と同一直線状に位置するよう配置されている。この配置状態において、基板61の外周縁と筒状体21の内周面とは近接している。
【0047】
基板61は、筒状体21の各筒状部25,26の境界部付近に配置されている。そのため、基板61は、筒状体21の軸線方向において、筒状体21(第1筒状部25)に設けられた各コネクタ31,32よりも反蓋部22側に配置されている。換言すると、この場合、各コネクタ31,32は、上記軸線方向において基板61よりも蓋部22側に配置されている。また、基板61は、その外周部において第2筒状部26に設けられた基板取付部(図示略)に取り付けられている。但し、基板取付部は、第1筒状部25に設けられていてもよい。
【0048】
基板61には、その中央部に板厚方向に貫通する貫通孔62が形成されている。この貫通孔62は、筒状体21の軸線方向から見て筒状体21の中央部に位置しており、円形状とされている。貫通孔62(挿通孔に相当)には第1配線58が挿通されている。第1配線58は、貫通孔62を通じて基板61よりも蓋部22側に延びており、その延びた先の端部が基板61に対して蓋部22側から接続されている。詳しくは、基板61において蓋部22と対向する基板面61aにはコネクタ部65aが実装され、そのコネクタ部65aに第1配線58の上記端部に取り付けられたコネクタ部65bが接続されている。これにより、第1配線58は、各コネクタ部65a,65bを介して基板61に接続されている。
【0049】
第2配線59は、各配線コネクタ31ごとに設けられ、基板61と配線コネクタ31(内部接続部31b)とにそれぞれ接続されている。詳しくは、第2配線59の両端部にはそれぞれコネクタ部66a,67aが取り付けられ、コネクタ部66aが基板61に実装されたコネクタ部66bに接続されている。そのため、第2配線59と基板61とは、各コネクタ部66a,66bを介して接続されている。また、コネクタ部67aは、配線コネクタ31の内部接続部31bに接続されている。
【0050】
上記の構成によれば、図示しない電源部より第1配線58に電力が供給され、その電力が第1配線58より基板61と各第2配線59とを介して各配線コネクタ31に分配供給される。そして、配線コネクタ31Aより電力が配線51を介してハンド18に供給され、配線コネクタ31Bより電力が配線52を介してカメラ23に供給される。
【0051】
続いて、内部配管部56について説明する。内部配管部56は、エア供給用の配管(以下、配管56という)となっており、ベース11内から第1アーム12に入り込み、各アーム12~17内を通じて第6アーム17の内部まで延びている。配管56は、第6アーム17の内部において基板61の貫通孔62に挿通されている。この場合、配管56は、第1配線58とともに貫通孔62にまとめて挿通されている.配管56は、貫通孔62を通じて基板61よりも蓋部22側に導かれ、その導かれた先の端部が配管コネクタ32の内部接続部32bに接続されている。この場合、図示しないエア供給源よりエアが配管56を介して配管コネクタ32に供給される。そして、そのエアが配管コネクタ32より配管53を介してハンド18に供給される。
【0052】
続いて、第6アーム17を第5アーム16に組み付ける際の手順について説明する。
【0053】
第6アーム17を第5アーム16に組み付ける際にはまず、第6アーム17の第2筒状部26を第5アーム16に連結し、その後、第2筒状部26の基板取付部(図示略)に基板61を取り付ける。基板61の取り付けの際には、基板61の貫通孔62に第1配線58及び配管56をそれぞれ挿通し、その挿通状態で基板61を取り付ける。基板61の取付後、基板61に第1配線58を接続する。詳しくは、基板61のコネクタ部65aに第1配線58のコネクタ部65bを接続する。
【0054】
続いて、第1筒状部25を第2筒状部26に固定具(図示略)を用いて組み付ける。これにより、筒状体21が形成される。なお、第1筒状部25にはあらかじめ各コネクタ31,32を組み付けておく。
【0055】
続いて、各第2配線59を基板61と配線コネクタ31とにそれぞれ接続する。詳しくは、第2配線59のコネクタ部66aを基板61のコネクタ部66bに接続するとともに、第2配線59のコネクタ部67aを配線コネクタ31の内部接続部31bに接続する。また、配管56を配管コネクタ32の内部接続部32bに接続する。
【0056】
ここで、上述した第1配線58及び第2配線59の接続作業と、配管56の接続作業とは、蓋部22を取り外した状態で行われる。そのため、筒状体21の先端開口21aより配線58,59及び配管56の接続状態や配設状態を目視確認しながら接続作業を行うことができる。
【0057】
続いて、蓋部22を筒状体21にボルト36を用いて固定する。これにより、第5アーム16に対する第6アーム17の組み付けが完了する。
【0058】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0059】
第6アーム17は、第5アーム16に連結された筒状体21と、筒状体21の先端開口21aを塞ぐ蓋部22とを有し、筒状体21には各コネクタ31,32が設けられ、蓋部22にはハンド18が取り付けられるようになっている。また、筒状体21と蓋部22とは互いに別体として形成され、ボルト36を用いて互いに固定されている。かかる構成では、上述したように、第6アーム17の組み付け作業の際、まず筒状体21を第5アーム16に連結し、その後、筒状体21の各配線コネクタ31に第2配線59(ひいては内部配線部55)を接続するとともに、配管コネクタ32に配管56を接続することができる。この場合、筒状体21の先端開口21aより各配線58,59(内部配線部55)及び配管56の配設状態を目視確認しながら接続作業を行うことができる。そのため、配線58,59及び配管56に折れが発生するのを抑制することができる。
【0060】
その後、蓋部22を筒状体21にボルト36を用いて固定する。この場合、配線58,59及び配管56の配設状態を確認しながら蓋部22を固定することができる。そのため、配線58,59や配管56を蓋部22と筒状体21との間に噛み込んでしまうのを抑制することができる。よって、以上より、第6アーム17の組付作業の際に、配線58,59や配管56の噛み込みや折れが発生するのを抑制することができる。
【0061】
筒状体21は、軸線方向に分割された第1筒状部25及び第2筒状部26を有している。各筒状部25,26のうち第1筒状部25にのみコネクタ31,32が設けられ、第2筒状部26にはコネクタ31,32が設けられていない。この場合、ユーザが第6アーム17を動かしてロボット10のティーチングを行う際等に、第2筒状部26をユーザが把持する把持部として好適に用いることができる。また、各筒状部25,26が軸線方向に分割されているため、第2筒状部26を第1筒状部25に対して蓋部22側に配置するか又は反蓋部22側に配置するかにより、把持部の位置を蓋部22側又は反蓋部22側に設定することができる。そのため、ユーザに応じて把持部の位置を比較的容易に設定することができる。
【0062】
また、コネクタ31,32は、第1筒状部25の外側に突出する外部接続部31a,32aを有しているため、例えばハンド18を狭小部に移動して用いる場合には、第6アーム17のコネクタ31,32が狭小部に干渉するおそれがある。その点、上記の構成によれば、このような場合、第1筒状部25を反蓋部22側に設定することにより、コネクタ31,32が狭小部に干渉しにくくすることができる。
【0063】
第2筒状部26の外周面には、ローレット加工部34が設けられている。これにより、第2筒状部26を把持して第6アーム17を動かす際に、手が滑るのを抑制することができる。
【0064】
筒状体21には、配線接続用の配線コネクタ31が複数設けられている。これらの配線コネクタ31には、第5アーム16の内部から第6アーム17の内部へ延びる内部配線部55が接続されている。また、第6アーム17の内部(筒状体21の内側空間28)には基板61が設けられている。内部配線部55は、第6アーム17の内部から延びて基板61に接続された第1配線58と、基板61と配線コネクタ31とにそれぞれ接続された複数の第2配線59とを有している。この場合、電力が第1配線58から基板61及び各第2配線59を介して各配線コネクタ31に分配供給される。かかる構成では、複数の配線コネクタ31に電力を供給する上で、第6アーム17よりも基端側のアーム12~16内に配設される配線の本数を削減することができる。そのため、アーム内における配線用の空間を好適に確保することができ、その結果、配線の断線リスクの低減等を図ることができる。
【0065】
また、複数の配線コネクタ31はいずれも、基板61よりも蓋部22側に配置されている。この場合、筒状体21の内部に基板61が設けられた構成にあって、配線コネクタ31に対する第2配線59の接続状態を筒状体21の先端開口21aより目視確認し易くすることができる。そのため、配線コネクタ31と第2配線59との接続部分に接続不良が発生するのを好適に抑制することができる。特に、配線コネクタ31が複数設けられた構成においては、かかる効果を得ることの意義は大きいといえる。
【0066】
第5アーム16の内部から延びる第1配線58が、基板61に形成された貫通孔62を通じて基板61よりも蓋部22側に導かれ、基板61に対して蓋部22側から接続されている。この場合、基板61と第1配線58との接続状態を筒状体21の先端開口21aを通じて目視確認し易くすることができる。そのため、基板61と第1配線58との接続部分(詳しくは各コネクタ65a,65bの間の接続)に接続不良が発生するのを好適に抑制することができる。
【0067】
配管コネクタ32は、基板61よりも蓋部22側に配置されている。また、第5アーム16の内部から第6アーム17の内部へ延びる配管56が基板61の貫通孔62を通じて基板61よりも蓋部22側に導かれ、配管コネクタ32に接続されている。この場合、筒状体21の内部に基板61が設けられた構成にあって、配管コネクタ32に対する配管56の接続状態を筒状体21の先端開口21aより目視確認し易くすることができる。そのため、配管コネクタ32と配管56との接続部分に接続不良が発生するのを好適に抑制することができる。
【0068】
エンドエフェクタの交換等に伴い、エンドエフェクタが取り付けられる第6アーム17を交換する必要が生じる場合がある。例えば、エンドエフェクタの交換が高頻度で行われると、エンドエフェクタを固定するボルトのねじ孔45にへたりが生じたり、ノックピンのかじりが生じたりする場合があり、そのような場合に第6アーム17の交換が必要となる。この点、上記の実施形態では、第6アーム17においてエンドエフェクタが取り付けられる蓋部22が筒状体21にボルト36を用いて着脱可能に固定されている。これにより、ねじ孔45にへたりが生じた場合等に、蓋部22のみを交換することで容易に対応することが可能となる。
【0069】
また、蓋部22を、蓋部22とは異なる寸法で形成された別の蓋部に交換することも可能である。例えば、エンドエフェクタには、ISO規格で定められた取付寸法以外の寸法を有するものがある。このような場合、上記のエンドエフェクタを取付可能な蓋部を用意して、その蓋部を蓋部22と交換することで、上記のエンドエフェクタを取り付けることが可能となる。
【0070】
さらに、蓋部22と筒状体21との間に、円板状の部材を介在させることも可能となる。例えば、円板状の部材として、エンドエフェクタに作用する外力等を検知する力覚センサを介在させることが考えられる。
【0071】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0072】
・上記実施形態では、筒状体21を2つの筒状部25,26に分割したが、筒状体21を3つ以上の筒状部に分割してもよい。また、筒状体21は必ずしも分割する必要はなく、一部材として形成してもよい。
【0073】
・第2筒状部26の外周面に、滑り止め構造として、ローレット加工部34に代え、ブラスト加工部やエッチング処理部を設けてもよい。ブラスト加工部は、第2筒状部26の外周面がブラスト加工された部分であり、エッチング処理部は、第2筒状部26の外周面がエッチング処理された部分である。また、第2筒状部26の外周面に滑り止め構造を設けないようにしてもよい。
【0074】
・蓋部22は必ずしも円板状である必要はない。例えば、蓋部22を、円板部と、円板部の周縁部から筒状体21の側に延びる円筒部とを有して形成してもよい。この場合、円筒部が、筒状体21と同軸上に配置されるようにする。かかる構成では、蓋部22の円板部にエンドエフェクタが取り付けられる。
【0075】
・蓋部22を筒状体21に固定する固定具としては、必ずしもボルト36を用いる必要はない。例えば、固定具として固定ピンを用い、それにより蓋部22を筒状体21に着脱不能に固定してもよい。
【0076】
・基板61に、挿通部として、貫通孔62に代え、切り欠きを設けてもよい。この場合、基板61の外周部に切り欠きを設け、その切り欠きに第1配線58及び配管56を挿通するようにする。
【0077】
・第6アーム17の内部に基板61を設けないようにしてもよい。この場合、内部配線部として、第5アーム16の内部から第6アーム17の内部へ延び、配線コネクタ31に接続される配線を設けるようにする。
【0078】
・上記実施形態では、配線コネクタ31及び配管コネクタ32がそれぞれ設けられていたが、これらのコネクタ31,32のうちいずれか一方だけが設けられた構成に本発明を適用してもよい。
【0079】
・第1筒状部25と第2筒状部26とを入替可能に筒状体21を構成してもよい。具体的には、筒状体21を、第1筒状部25を蓋部22側に配置し、第2筒状部26を第5アーム16側に配置した状態で各筒状部25,26が結合される第1状態と、第2筒状部26を蓋部22側に配置し、第1筒状部25を第5アーム16側に配置した状態で各筒状部25,26が結合される第2状態とに切替可能としてもよい。この場合、第2筒状部26にも、蓋部22を固定するボルト36を挿通するための孔部を形成する必要がある。
【0080】
・ロボット10は、垂直多関節型のロボットに限らず、水平多関節型のロボットであってもよい。また、ロボット10は、6軸ロボットに限らず、5軸以下又は7軸以上の軸数のロボットであってもよい。また、ロボット10は、協働ロボット以外のロボットであってもよい。
【符号の説明】
【0081】
10…ロボット、16…第5アーム(隣接アーム)、17…第6アーム(先端アーム)、18…ハンド(エンドエフェクタ)、21…筒状体、21a…先端開口、22…蓋部、25…第1筒状部、26…第2筒状部、28…内側空間、31…配線コネクタ(接続部、配線接続部)、32…配管コネクタ(接続部)、34…ローレット加工部(滑り止め構造)、36…ボルト(固定具)、55…内部配線部(内部線状部)、58…第1配線、59…第2配線、61…基板、62…貫通孔(挿通部)。
図1
図2
図3
図4