(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175297
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】車載通信機および通信システム
(51)【国際特許分類】
H04M 11/00 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
H04M11/00 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087673
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石橋 真之
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 仁臣
【テーマコード(参考)】
5K201
【Fターム(参考)】
5K201AA02
5K201BA02
5K201BC27
5K201CB10
5K201CC09
5K201EA07
5K201EB07
5K201EC06
5K201ED04
5K201ED05
5K201EE08
(57)【要約】
【課題】車両に複数のユーザが存在する場合でも通知をすべきユーザに操作不備を通知することができる。
【解決手段】本開示にかかる車載通信機は、複数の車載装置を有する車両に搭載される車載通信機であって、複数のユーザの複数の携帯端末と無線で通信可能な第1の通信部と、複数の携帯端末に通知を行うサーバと無線で通信可能な第2の通信部と、第1の通信部を介して、複数の携帯端末から複数の携帯端末のそれぞれを一意に特定する端末情報を取得する端末情報取得部と、複数の車載装置を含む車載装置群から、車両の状態を示す車両情報を取得する車両情報取得部と、を備え、端末情報取得部は、第1の通信部と複数の携帯端末のいずれかの携帯端末との通信が確立すると、通信が確立した携帯端末から端末情報を取得し、車両情報取得部は、車載装置群から取得した車両情報を、端末情報取得部が取得した端末情報に紐づけて、第2の通信部を介してサーバに送信する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車載装置を有する車両に搭載される車載通信機であって、
複数のユーザの複数の携帯端末と無線で通信可能な第1の通信部と、
前記複数の携帯端末に通知を行うサーバと無線で通信可能な第2の通信部と、
前記第1の通信部を介して、前記複数の携帯端末から前記複数の携帯端末のそれぞれを一意に特定する端末情報を取得する端末情報取得部と、
前記複数の車載装置を含む車載装置群から、前記車両の状態を示す車両情報を取得する車両情報取得部と、を備え、
前記端末情報取得部は、
前記第1の通信部と前記複数の携帯端末のいずれかの携帯端末との通信が確立すると、前記通信が確立した前記携帯端末から前記端末情報を取得し、
前記車両情報取得部は、
前記車載装置群から取得した前記車両情報を、前記端末情報取得部が取得した前記端末情報に紐づけて、前記第2の通信部を介して前記サーバに送信する、
車載通信機。
【請求項2】
前記端末情報取得部は、
前記車両の電源がオンされた後に前記通信が確立した前記携帯端末から前記端末情報を取得し、
前記車両情報取得部は、
前記電源がオフされると、前記端末情報に紐づけた前記車両情報を前記サーバに送信する、
請求項1に記載の車載通信機。
【請求項3】
前記第1の通信部は、
近距離無線通信を用いて前記複数の携帯端末と通信し、
前記第2の通信部は、
広域通信網を用いて前記サーバと通信する、
請求項1に記載の車載通信機。
【請求項4】
複数のユーザの複数の携帯端末と、
複数の車載装置を有する車両に搭載される車載通信機と、
前記複数の携帯端末に通知を行うサーバと、を備え、
前記車載通信機は、
前記複数の携帯端末と無線で通信可能な第1の通信部と、
前記サーバと無線で通信可能な第2の通信部と、
前記第1の通信部を介して、前記複数の携帯端末から前記複数の携帯端末のそれぞれを一意に特定する端末情報を取得する端末情報取得部と、
前記複数の車載装置を含む車載装置群から、前記車両の状態を示す車両情報を取得する車両情報取得部と、を有し、
前記サーバは、
前記車載通信機および前記複数の携帯端末と通信可能な第3の通信部と、
前記第3の通信部を介して、前記車載通信機から取得した前記車両情報に通知対象事象が含まれるか否かを判定する判定部と、
前記複数の携帯端末への通知を生成する通知生成部と、を有し、
前記端末情報取得部は、
前記第1の通信部と前記複数の携帯端末のいずれかの携帯端末との通信が確立すると、前記通信が確立した前記携帯端末から前記端末情報を取得し、
前記車両情報取得部は、
前記車載装置群から取得した前記車両情報を、前記端末情報取得部が取得した前記端末情報に紐づけて、前記第2の通信部を介して前記サーバに送信し、
前記判定部は、
前記車載通信機から取得した前記車両情報に前記通知対象事象が含まれる場合には、前記車両情報に紐づけられた前記端末情報に基づいて前記携帯端末を特定し、
前記通知生成部は、
前記通知対象事象についての通知を生成し、
前記第3の通信部は、
特定された前記携帯端末に前記通知対象事象についての通知を送信する、
通信システム。
【請求項5】
前記複数の携帯端末は、
前記車載通信機および前記サーバと無線で通信可能な通信アプリケーションを有する、
請求項4に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載通信機および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両のコネクティッド技術を用いた各種サービスが車両のユーザに提供されている。一例として、車両のアクセサリ電源等の状態をサーバに通知する車載装置と、車載装置からの通知に基づいて、車両の所有者の携帯電話に操作忘れ通知を行うサーバとによって、操作忘れ通知サービスを行う技術がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両には、車両の所有者以外にも複数のユーザがいる場合があり、操作忘れを行った者が所有者以外のユーザであることもあり得る。このような場合、例えば上述の特許文献1では、本来、通知をすべき者には通知が送信されず、通知すべき者とは異なる相手に対して通知が送信されてしまう。
【0005】
本開示は、車両に複数のユーザが存在する場合でも、通知をすべきユーザに操作不備を通知することができる車載通信機および通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる車載通信機は、複数の車載装置を有する車両に搭載される車載通信機であって、複数のユーザの複数の携帯端末と無線で通信可能な第1の通信部と、前記複数の携帯端末に通知を行うサーバと無線で通信可能な第2の通信部と、前記第1の通信部を介して、前記複数の携帯端末から前記複数の携帯端末のそれぞれを一意に特定する端末情報を取得する端末情報取得部と、前記複数の車載装置を含む車載装置群から、前記車両の状態を示す車両情報を取得する車両情報取得部と、を備え、前記端末情報取得部は、前記第1の通信部と前記複数の携帯端末のいずれかの携帯端末との通信が確立すると、前記通信が確立した前記携帯端末から前記端末情報を取得し、前記車両情報取得部は、前記車載装置群から取得した前記車両情報を、前記端末情報取得部が取得した前記端末情報に紐づけて、前記第2の通信部を介して前記サーバに送信する。
【発明の効果】
【0007】
本開示にかかる車載通信機および通信システムによれば、車両に複数のユーザが存在する場合でも、通知をすべきユーザに操作不備を通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる通信システムの構成の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかる車載通信機のハードウェア構成の一例を、車両の他の構成とともに示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかる車載通信機の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態にかかるサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかるサーバの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態にかかる携帯端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態にかかる通信システムの動作の一例について順に示す説明図である。
【
図8】
図8は、実施形態にかかる通信システムの動作の一例について順に示す説明図である。
【
図9】
図9は、実施形態にかかる通信システムの動作の一例について順に示す説明図である。
【
図10】
図10は、実施形態にかかる車載通信機による処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図11】
図11は、実施形態にかかるサーバによる処理の手順の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示にかかる車載通信機および通信システムの実施形態について説明する。
【0010】
(通信システムの構成例)
図1は、実施形態にかかる通信システム1の構成の一例を示す模式図である。
図1に示すように、実施形態の通信システム1は、車載通信機10、サーバ20、及び複数の携帯端末30(30a,30b,30c・・・)を備える。
【0011】
車載通信機10は、車両VHに搭載され、車両VHの各部の状態を示す車両情報を取得する。車載通信機10は、インターネット等の広域通信網WAを介してサーバ20と無線で通信可能であり、取得した車両情報をサーバ20に送信する。
【0012】
また、車載通信機10は、例えばBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信NFにより、複数の携帯端末30と通信可能である。車載通信機10は、複数の携帯端末30から、それぞれの携帯端末30を特定する端末情報を取得する。
【0013】
サーバ20は、広域通信網WAを介して、車載通信機10及び複数の携帯端末30と通信可能に構成される。サーバ20は、車載通信機10から取得した車両情報に基づいて、複数の携帯端末30に通知を行う。
【0014】
複数の携帯端末30は、車両VHを利用する複数のユーザが所持するスマートフォン、携帯電話、タブレット端末等である。複数のユーザには車両VHの所有者が含まれていてよい。
【0015】
複数の携帯端末30は、近距離無線通信NFによって車載通信機10に自身を特定する端末情報を送信する。また、複数の携帯端末30は、広域通信網WAを介してサーバ20と無線で通信可能であり、サーバ20からの通知を受信する。
【0016】
(車載通信機の構成例)
次に、
図2及び
図3を用いて、実施形態の車載通信機10の構成例について説明する。
図2は、実施形態にかかる車載通信機10のハードウェア構成の一例を、車両VHの他の構成とともに示すブロック図である。
【0017】
図2に示すように、車載通信機10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、記憶装置14、通信I/F(インターフェース)15,17、及び入出力I/F16を備える。
【0018】
CPU11は、車載通信機10の全体を制御する。ROM12は、車載通信機10における保存領域として機能する。ROM12に記憶された情報は、車載通信機10の電源が切られても保持される。RAM13は、一次記憶装置として機能し、CPU11の作業領域となる。
【0019】
CPU11が、例えばROM12に格納される制御プログラムをRAM13に展開して実行することで、車載通信機10としての各種機能が実現する。
【0020】
記憶装置14は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等であり、CPU11の補助記憶装置として機能する。
【0021】
通信I/F15は、例えば無線によって広域通信網WA(
図1参照)に接続可能に構成される。通信I/F15により、車載通信機10とサーバ20との間で各種情報の授受が可能となる。
【0022】
通信I/F17は、例えば近距離無線通信NF(
図1参照)によって複数のユーザが所持する携帯端末30に接続可能に構成される。通信I/F17により、車載通信機10と携帯端末30との間で各種情報の授受が可能となる。
【0023】
入出力I/F16は、複数の車載装置を含む車載装置群40に接続され、車載装置群40から車両VHに関する各種情報を取得する。これらの車載装置は、車載通信機10と同様、車両VHに搭載されている。
【0024】
複数の車載装置には、例えば各種のECU(Electronic Control Unit)41(41a,41b,41c・・・)、及び各種ECU41に接続される各種のセンサ42(42a,42b,42c・・・)が含まれる。
【0025】
各種のセンサ42は、ドア及びウィンドウの開閉状態、ドアロックの状態、ヘッドランプ等の各種ランプの点灯状態などの車両VHの各部の状態を検知する。各種のECU41は、各種センサ42の検知情報に基づいて、車両VHの各部を管理し制御する。
【0026】
入出力I/F16は、例えば上記のような車両VHの各部の状態を示す車両情報を各種ECU41から取得する。ただし、入出力I/F16は、直接的に各種センサ42からも車両情報を取得してもよい。
【0027】
図3は、実施形態にかかる車載通信機10の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0028】
図3に示すように、車載通信機10は、機能部として、端末情報取得部101、車両情報取得部102、端末通信部103、サーバ通信部104、及び記憶部105を備える。
【0029】
端末情報取得部101は、複数の携帯端末30のうち、車両VHの電源がオンされた後に端末通信部103との通信が確立した携帯端末30から端末情報を取得する。端末情報は、複数の携帯端末30のそれぞれに付与され、それぞれの携帯端末30を一意に特定するデバイストークン等の識別子である。
【0030】
後述するように、端末通信部103は、近距離無線通信NFによって携帯端末30との通信を行う。このため、車両VHの電源がオンされた後に、端末通信部103との通信が確立した携帯端末30は、車両VHの複数のユーザのうち、そのときに車両VHを利用しようとするユーザが所持する携帯端末30であると考えられる。
【0031】
端末情報の取得に際し、端末情報取得部101は、端末通信部103を介して、携帯端末30に端末情報送信要求を送信する。また、端末情報取得部101は、端末情報送信要求にしたがって携帯端末30から送信された端末情報を、端末通信部103を介して取得する。
【0032】
このような端末情報取得部101の機能は、例えば制御プログラムを実行するCPU11によって実現される。
【0033】
車両情報取得部102は、車両VHの電源がオフされると、各種ECU41及びセンサ42を含む車載装置群40から、ドア及びウィンドウの開閉状態、ドアロックの状態、ヘッドランプ等の各種ランプの点灯状態など、その時点での車両VHの各部の状態を示す車両情報を取得する。
【0034】
車両VHの電源オフ後、車両情報取得部102が車両情報を取得するタイミングは、例えば電源オフ直後、電源オフから数秒~数十秒後、または電源オフから数分~十数分後等、車両VHの出荷時に、またはユーザによって任意に設定されてよい。
【0035】
車両情報取得部102は、取得した車両情報を、携帯端末30から取得済みの端末情報に紐づけて、サーバ通信部104を介してサーバ20に送信する。
【0036】
このような車両情報取得部102の機能は、例えば制御プログラムを実行するCPU11、及びCPU11の制御下で動作する入出力I/F16によって実現される。
【0037】
第1の通信部としての端末通信部103は、近距離無線通信NFによって複数の携帯端末30と無線で通信する。端末通信部103は、車両VHの電源がオンされた後に、通信が確立した携帯端末30に対して端末情報送信要求を送信する。また、端末通信部103は、その携帯端末30から端末情報を取得する。
【0038】
このような端末通信部103の機能は、例えば制御プログラムを実行するCPU11の制御下で動作する通信I/F17によって実現される。
【0039】
第2の通信部としてのサーバ通信部104は、広域通信網WAを介してサーバ20と無線で通信する。車両VHの電源がオフされると、サーバ通信部104は、端末情報取得部101が取得した端末情報が紐づけられた車両情報をサーバ20へと送信する。
【0040】
このようなサーバ通信部104の機能は、例えば制御プログラムを実行するCPU11の制御下で動作する通信I/F15によって実現される。
【0041】
記憶部105は、車載通信機10を動作させる制御プログラム及び各種パラメータ、携帯端末30から取得した端末情報、並びに車載装置群40から取得した車両情報等を保有する。
【0042】
このような記憶部105の機能は、例えば制御プログラムを実行するCPU11の制御下で動作するROM12、RAM13、及び記憶装置14によって実現される。
【0043】
(サーバの構成例)
次に、
図4及び
図5を用いて、実施形態のサーバ20の構成例について説明する。
図4は、実施形態にかかるサーバ20のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0044】
図4に示すように、サーバ20は、CPU21、ROM22、RAM23、記憶装置24、及び通信I/F25を備える。
【0045】
CPU21は、サーバ20の全体を制御する。ROM22は、サーバ20における保存領域として機能する。ROM22に記憶された情報は、サーバ20の電源が切られても保持される。RAM23は、一次記憶装置として機能し、CPU21の作業領域となる。
【0046】
CPU21が、例えばROM22に格納される制御プログラムをRAM23に展開して実行することで、サーバ20としての各種機能が実現する。
【0047】
記憶装置24は、HDD、SSD等であり、CPU21の補助記憶装置として機能する。
【0048】
通信I/F25は、広域通信網WA(
図1参照)に接続可能に構成される。通信I/F25により、サーバ20と、車載通信機10及び携帯端末30との間で各種情報の授受が可能となる。
【0049】
図5は、実施形態にかかるサーバ20の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0050】
図5に示すように、サーバ20は、機能部として、判定部201、通知生成部202、通信部204、及び記憶部205を備える。
【0051】
判定部201は、通信部204を介して車載通信機10から取得した車両情報に、通知対象事象が含まれているか否かを判定する。
【0052】
通知対象事象とは、その車両情報が送信される直前、つまり、車両VHの電源がオフされる前に、車両VHを利用していたユーザの車両VHの操作に不備があったことが推定される事象である。具体的には、通知対象事象は、例えばドアまたはウィンドウの開状態、ドアロックの開状態、及びヘッドランプ等の各種ランプのいずれかの点灯状態を示す情報である。
【0053】
判定部201は、車両情報に上記のような通知対象事象が含まれるか否かを、例えば記憶部205に格納される通知対象事象DB(データベース)205bを参照して判定する。通知対象事象DB205bには、車載通信機10から送信されうる車両情報のうち、通知対象事象に該当する情報が記憶されている。
【0054】
ここで、電源がオフされた状態にある車両VHが上記いずれかの状態にある場合、車両VHの利用を終えた時点で、ドアもしくはウィンドウの閉め忘れ、ドアロックの施錠忘れ、または各種ランプの消灯忘れ等、ユーザの操作に不備があったことが推定される。
【0055】
判定部201は、車両情報にいずれかの通知対象事象が含まれると判定した場合、その車両情報が送信される直前に、車両VHを利用していたユーザの携帯端末30を特定する。具体的には、判定部201は、例えば記憶部205に格納される端末情報対応DB205aと、車両情報に紐づけられて車載通信機10から送信された端末情報とに基づいて、そのユーザの携帯端末30を特定する。
【0056】
端末情報対応DB205aには、車両VHの複数のユーザが所持するそれぞれの携帯端末30のユーザ情報と、それらの携帯端末30の端末情報とが対応付けられて記憶されている。携帯端末30のユーザ情報は、例えばユーザID及びメールアドレス等を含む。判定部201は、車載通信機10から送信された端末情報を、端末情報対応DB205aに含まれる複数の携帯端末30に関する情報と照合して、操作の不備が疑われるユーザの携帯端末30を特定する。
【0057】
このような判定部201の機能は、例えば制御プログラムを実行するCPU21によって実現される。
【0058】
通知生成部202は、判定部201によって車両情報にいずれかの通知対象事象が含まれると判定されると、車両情報に含まれていた通知対象事象に基づいて、ユーザの操作に不備があった可能性を知らせる通知を生成する。また、通知生成部202は、通信部204を介して、生成した通知を判定部201が特定した携帯端末30に送信する。このように、デバイストークン等の端末情報に基づいて送信される通知をプッシュ通知とも呼ぶ。
【0059】
このような通知生成部202の機能は、例えば制御プログラムを実行するCPU21によって実現される。
【0060】
第3の通信部としての通信部204は、広域通信網WAを介して車載通信機10及び複数のユーザのそれぞれの携帯端末30と通信する。
【0061】
車両VHの電源がオフされると、通信部204は、所定の携帯端末30の端末情報に紐づけられた車両情報を車載通信機10から受信する。また、通信部204は、通知生成部203が所定の携帯端末30に向けた通知を生成すると、判定部201によって特定された携帯端末30の情報に基づいて、その携帯端末30に通知を送信する。
【0062】
このような通信部204の機能は、例えば制御プログラムを実行するCPU21の制御下で動作する通信I/F25によって実現される。
【0063】
記憶部205は、サーバ20を動作させる制御プログラム及び各種パラメータ、並びに車載通信機10から取得した端末情報および車両情報等を保有する。また、記憶部205には、端末情報対応DB205a及び通知対象事象DB205bが格納されている。
【0064】
このような記憶部205の機能は、例えば制御プログラムを実行するCPU21の制御下で動作するROM22、RAM23、及び記憶装置24によって実現される。
【0065】
(携帯端末の構成例)
次に、
図6を用いて、実施形態の携帯端末30の構成例について説明する。
図6は、実施形態にかかる携帯端末30のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0066】
なお、
図6には、複数の携帯端末30(30a,30b,30c・・・)の共通する構成を示している。したがって、複数の携帯端末30の少なくとも一部が、
図6に示す構成以外であって、他の携帯端末30と異なる構成を有していてもよい。
【0067】
図6に示すように、携帯端末30は、CPU31、ROM32、RAM33、記憶装置34、及び通信I/F35,37を備える。
【0068】
CPU31は、携帯端末30の全体を制御する。ROM32は、携帯端末30における保存領域として機能する。ROM32に記憶された情報は、携帯端末30の電源が切られても保持される。RAM33は、一次記憶装置として機能し、CPU31の作業領域となる。
【0069】
また、実施形態の携帯端末30には、通信アプリケーション32aがインストールされており、例えばROM32に格納されている。
【0070】
通信アプリケーション32aは、コンピュータで実行可能な複数の命令を含むコンピュータ読取り可能なコンピュータプログラムである。通信アプリケーション32aでは、これらの複数の命令が、車載通信機10及びサーバ20と連携した各種処理をコンピュータに実行させる。
【0071】
通信アプリケーション32aは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0072】
また、通信アプリケーション32aを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、通信アプリケーション32aをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0073】
CPU31が、例えばROM32に格納される通信アプリケーション32aをRAM33に展開して実行することで、車載通信機10及びサーバ20と連携した各種サービスが携帯端末30に提供される。
【0074】
例えば、携帯端末30は、通信アプリケーション32aにより、車載通信機10と連携して車載通信機10に端末情報を送信することができる。また、携帯端末30は、通信アプリケーション32aにより、サーバ20と連携してサーバ20からのプッシュ通信を受信することができる。
【0075】
記憶装置34は、HDD、SSD等であり、CPU31の補助記憶装置として機能する。
【0076】
通信I/F35は、例えば無線によって広域通信網WA(
図1参照)に接続可能に構成される。通信I/F35により、携帯端末30とサーバ20との間で各種情報の授受が可能となる。
【0077】
通信I/F37は、例えば近距離無線通信NF(
図1参照)によって、そのユーザが利用する車両VHの車載通信機10に接続可能に構成される。通信I/F37により、携帯端末30と車載通信機10との間で各種情報の授受が可能となる。
【0078】
(通信システムの動作例)
次に、
図7~
図9を用いて、実施形態の通信システム1の動作例について説明する。
図7~
図9は、実施形態にかかる通信システム1の動作の一例について順に示す説明図である。
【0079】
図7に示すように、例えば複数のユーザのうちユーザCが、車両VHを利用するために車両VHの電源をオンしたとする。車両VHに搭載される車載通信機10は、ユーザCが所持する携帯端末30cとの通信を開始する。
【0080】
すなわち、車載通信機10の端末通信部103(
図3参照)と携帯端末30cとの近距離無線通信NFを介した無線通信が確立される。また、車載通信機10の端末情報取得部101は、端末通信部103を介して、携帯端末30cから端末情報を取得する。
【0081】
図8に示すように、車両VHの利用を終えたユーザCが、車両VHの電源をオフした後、車両VHから立ち去ったものとする。車両VHの電源がオフされると、車載通信機10は、車載装置群40(
図2参照)から取得した車両情報をサーバ20に送信する。
【0082】
すなわち、車載通信機10の車両情報取得部102は、車載装置群40から車両情報を取得し、携帯端末30cから取得した端末情報に紐づけて、サーバ通信部104を介して広域通信網WAを用いた無線通信によりサーバ20に送信する。
【0083】
サーバ20は、車載通信機10から取得した車両情報の解析を開始する。
【0084】
すなわち、サーバ20の判定部201(
図5参照)は、通知対象事象DB205bを参照して、車両情報に通知対象事象が含まれるか否かを判定する。車両情報に通知判定事象が含まれていた場合、判定部201は、車両情報に紐づけられた端末情報を、端末情報対応DB205aと照合して、その端末情報が、ユーザCが所持する携帯端末30cであることを特定する。
【0085】
また、サーバ20の通知生成部202は、車両情報に含まれていた通知対象事象の内容に基づいて、ユーザCによる車両VHの操作に不備があった可能性を知らせる通知を生成する。例えば、車両情報に含まれていた通知対象事象が、ウィンドウの開状態を示す情報であれば、通知生成部202は、「ウィンドウが開いています。」等の通知を生成する。
【0086】
図9に示すように、サーバ20は、ユーザCの携帯端末30cにプッシュ通知を送信する。
【0087】
すなわち、サーバ20の通知生成部202は、生成した通知を、複数のユーザA~Dが所持する携帯端末30のうち、判定部201が特定した携帯端末30cに、通信部204を介して広域通信網WAを用いた無線通信により送信する。
【0088】
(通信システムの処理例)
次に、
図10及び
図11を用いて、実施形態の通信システム1による処理例について説明する。
図10は、実施形態にかかる車載通信機10による処理の手順の一例を示すフロー図である。
【0089】
図10に示すように、車両VHの電源がオンされると(ステップS101)、車載通信機10の端末情報取得部101は、複数の携帯端末30のうちのいずれかと、端末通信部103との通信が確立するのを待ち受ける(ステップS102)。いずれかの携帯端末30と端末通信部103との通信が確立するまでの間(ステップS102:No)、端末情報取得部101は待機する。
【0090】
携帯端末30と端末通信部103との通信が確立すると(ステップS102:Yes)、端末情報取得部101は、端末通信部103を介して、その携帯端末30に端末情報送信要求を送信する(ステップS103)。また、端末情報取得部101は、端末情報送信要求に応じて携帯端末30から送信された、その携帯端末30の端末情報を、端末通信部103を介して取得する(ステップS104)。
【0091】
車両情報取得部102は、車両VHの電源がオフされるのを待ち受ける(ステップS105)。車両VHの電源がオフされるまでの間(ステップS105:No)、車両情報取得部102は待機する。
【0092】
車両VHの電源がオフされると(ステップS105:Yes)、車両情報取得部102は、車載装置群40から車両情報を取得し、また、取得した車載情報に端末情報を紐づけて、サーバ通信部104を介してサーバ20に送信する(ステップS106)。
【0093】
以上により、実施形態の車載通信機10による処理が終了する。
【0094】
図11は、実施形態にかかるサーバ20による処理の手順の一例を示すフロー図である。
【0095】
図11に示すように、サーバ20の判定部201は、端末情報に紐づいた車両情報が車載通信機10から受信されるのを待ち受ける(ステップS201)。端末情報に紐づいた車両情報が受信されるまでの間(ステップS201:No)、判定部201は待機する。
【0096】
端末情報に紐づいた車両情報が通信部204によって受信されると(ステップS201:Yes)、判定部201は、取得した車両情報と、記憶部205に格納される通知対象事象DB205bとを照合する(ステップS202)。また、判定部201は、通知対象事象DB205bに基づいて、取得した車両情報に通知対象事象が含まれるか否かを判定する(ステップS203)。
【0097】
取得した車両情報に通知対象事象が含まれない場合(ステップS203:No)、判定部201は処理を終了する。
【0098】
取得した車両情報に通知対象事象が含まれていた場合(ステップS203:Yes)、判定部201は、取得した車両情報に紐づけられていた端末情報と、記憶部205に格納される端末情報対応DB205aとを照合し、その端末情報が付与された携帯端末30を特定する(ステップS204)。
【0099】
通知生成部202は、車両情報に含まれていた通知対象事象に基づいて、特定された携帯端末30に送信する通知を生成する(ステップS205)。通信部204は、通知生成部202が生成した通知を、特定された携帯端末30に送信する(ステップS206)。
【0100】
以上により、実施形態のサーバ20による処理が終了する。
【0101】
(概括)
近年、車両のコネクティッド技術を用いて種々のサービスが車両のユーザに提供されている。車両のコネクティッド技術を用いたサービスの1つに、車両の操作不備をユーザに通知するサービスがある。
【0102】
上記サービスでは、車両に専用通信モジュールを搭載し、車両の電源がオフされてから数分後のタイミングで、ドアロックなど車両の各種状態をサーバに送信し、ユーザによる操作不備と推定される車両の状態をメール等でユーザの携帯端末に通知する。サーバには、車両の所有者の携帯端末に関する情報が予め登録されており、サーバは、登録された所有者の携帯端末にメールを通知する。
【0103】
しかしながら、車両には所有者以外にも複数のユーザが存在する場合がある。このような場合、不備の可能性がある操作を行った者は所有者以外のユーザであり得る。したがって、上述の技術によれば、所有者以外のユーザによる操作不備を所有者に通知してしまうことがありうる。
【0104】
そのユーザが、例えばドアロックをせずに洗車をしていたり、車両の電源オフ後もしばらく車両に留まっていたりした場合には、操作不備の通知をすることで、所有者に却って余計な心配を与えることとなる。また、車両の状況を把握するために、所有者に不要な手間をかけさせてしまうことになりかねない。
【0105】
実施形態の通信システム1によれば、端末通信部103と複数の携帯端末30a,30b,30c・・・のうち、通信が確立した携帯端末30から端末情報を取得し、また、取得した車両情報を端末情報に紐づけてサーバ20に送信する。これにより、サーバ20は、車両VHに複数のユーザが存在する場合でも、通知をすべきユーザに操作不備を通知することができる。
【0106】
また、操作に不備があった可能性のあるユーザの携帯端末30に通知が送信されることで、そのユーザは、素早く状況を把握することができる。例えば、ドアロックをせずに洗車をしていたような場合などには、ユーザは、通知内容への対応が不要であることを素早く判断することができる。また、実際に操作不備であると判断した場合にも、ドアロックを施す等、素早く対処することができる。
【0107】
実施形態の通信システム1によれば、車両VHの電源がオンされた後に通信が確立した携帯端末30から端末情報を取得し、車両VHの電源がオフされると、取得した端末情報に紐づけられた車両情報をサーバ20に送信する。このように、電源オフ後の車両VHの状態を示す車両情報が送信されるので、車両VHの利用を終えたユーザによる操作忘れ等の操作不備を特定しやすくなる。
【0108】
実施形態の通信システム1によれば、近距離無線通信NFを用いて複数の携帯端末30と通信し、広域通信網WAを用いてサーバ20と通信する。このように、近距離無線通信NFにより携帯端末30との通信を行うので、車両VHを利用しようとして車両VHに近い位置にいるユーザの携帯端末30をより確実に特定することができる。
【0109】
実施形態の通信システム1によれば、複数の携帯端末30は、車載通信機10及びサーバ20と無線で通信可能な通信アプリケーション32aを有する。このように、上位レイヤである通信アプリケーション32aにおいて携帯端末30との通信を行うので、個々のユーザの携帯端末30の機種および仕様等によらず、複数の携帯端末30との連携を図ることができる。
【符号の説明】
【0110】
1 通信システム
10 車載通信機
20 サーバ
30 携帯端末
32a 通信アプリケーション
40 車載装置群
101 端末情報取得部
102 車両情報取得部
103 端末通信部
104 サーバ通信部
105 記憶部
201 判定部
202 通知生成部
204 通信部
205 記憶部
205a 端末情報対応DB
205b 通知対象事象DB
NF 近距離無線通信
VH 車両
WA 広域通信網