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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175311
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】受電装置、および携帯通信装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/70 20160101AFI20231205BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20231205BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20231205BHJP
   H04B 1/3827 20150101ALI20231205BHJP
【FI】
H02J50/70
H02J50/10
H01F38/14
H04B1/3827 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087692
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】小杉 正則
【テーマコード(参考)】
5K011
【Fターム(参考)】
5K011AA08
5K011AA12
5K011DA29
5K011JA01
5K011KA13
(57)【要約】
【課題】無線給電に伴い携帯通信装置に生じうる発熱を抑制する。
【解決手段】受電装置14は、無線通信に基づき被制御装置を制御する携帯通信装置に搭載される。第一電極145は、第一コイル141の軸心141aと交差する方向に沿って延びており、第一電極145コイルと電気的に接続されている。回路部144は、電磁誘導により第一コイル141に生じた電圧を、前記携帯通信装置に供給する。磁性体147は、第一電極145と第一コイル141の間に配置されており、かつ第一コイル141の軸心141aと交差する方向に沿って延びている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信に基づき被制御装置を制御する携帯通信装置に搭載される受電装置であって、
コイルと、
前記コイルの軸心と交差する方向に沿って延びており、前記コイルと電気的に接続されている電極と、
電磁誘導により前記コイルに生じた電圧を前記携帯通信装置に供給する回路部と、
前記電極と前記コイルの間に配置されており、かつ前記コイルの軸心と交差する方向に沿って延びている磁性体と、
を備えている、
受電装置。
【請求項2】
前記磁性体は、フェライトである、
請求項1に記載の受電装置。
【請求項3】
前記電極は、スリットによって複数の領域に区分されており、当該複数の領域同士は、電気的に接続されている、
請求項1に記載の受電装置。
【請求項4】
前記スリットは、交差する複数のスリットを含んでおり、
前記複数のスリット同士の交差点は、前記携帯通信装置に設けられた電極と前記電極との接点を避ける位置に配置されている、
請求項3に記載の受電装置。
【請求項5】
無線通信に基づき被制御装置を制御する携帯通信装置に搭載される受電装置であって、
コイルと、
前記コイルの軸心と交差する方向に沿って延びており、前記コイルと電気的に接続されている電極と、
電磁誘導により前記コイルに生じた電圧を前記携帯通信装置に供給する回路部と、
を備えており、
前記電極は、スリットによって複数の領域に区分されており、当該複数の領域同士は、電気的に接続されている、
受電装置。
【請求項6】
前記スリットは、交差する複数のスリットを含んでおり、
前記複数のスリット同士の交差点は、前記携帯通信装置に設けられた電極と前記電極との接点を避ける位置に配置されている、
請求項5に記載の受電装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の受電装置が搭載されている、
携帯通信装置。
【請求項8】
前記被制御装置は、開閉体を施解錠する施解錠装置を含んでいる、
請求項7に記載の携帯通信装置。
【請求項9】
前記開閉体は、移動体に搭載されている、
請求項8に記載の携帯通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信に基づき被制御装置を制御する携帯通信装置に搭載される受電装置に関連する。本開示は、当該携帯通信装置にも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両に搭載された被制御装置を無線通信に基づき制御する携帯通信装置に対して無線給電を行なうことが可能な構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-197823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線給電に伴い携帯通信装置に生じうる発熱を抑制することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示により提供される第一態様例は、無線通信に基づき被制御装置を制御する携帯通信装置に搭載される受電装置であって、
コイルと、
前記コイルの軸心と交差する方向に沿って延びており、前記コイルと電気的に接続されている電極と、
電磁誘導により前記コイルに生じた電圧を前記携帯通信装置に供給する回路部と、
前記電極と前記コイルの間に配置されており、かつ前記コイルの軸心と交差する方向に沿って延びている磁性体と、
を備えている。
【0006】
第一態様例に係る構成によれば、携帯通信装置に搭載された受電装置に対する無線給電時にコイルの内側を軸心に沿って電極に向かう磁場が生じても、コイルと電極の間には磁性体が配置されているので、当該磁場は、磁性体に沿って軸心と交差する向きに導かれる。これにより、電極に到達する磁場を低減できるので、電極の発熱を抑制できる。結果として、無線給電に伴い携帯通信装置に生じうる発熱を抑制できる。
【0007】
本開示により提供される第二態様例は、無線通信に基づき被制御装置を制御する携帯通信装置に搭載される受電装置であって、
コイルと、
前記コイルの軸心と交差する方向に沿って延びており、前記コイルと電気的に接続されている電極と、
電磁誘導により前記コイルに生じた電圧を前記携帯通信装置に供給する回路部と、
を備えており、
前記電極は、スリットによって複数の領域に区分されており、当該複数の領域同士は、電気的に接続されている。
【0008】
第二態様例に係る構成によれば、電極がスリットによって複数の領域に区分されることにより、携帯通信装置に搭載された受電装置に対する無線給電により形成される磁場によって電極に生じうる渦電流のループを小さくできるので、電極の発熱を抑制できる。結果として、無線給電に伴い携帯通信装置に生じうる発熱を抑制できる。
【0009】
本開示により提供される第三態様例は、第一態様例または第二態様例に係る受電装置が搭載されている携帯通信装置である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る遠隔制御システムの構成を例示している。
図2図1の筐体装置の構成の一例を示している。
図3】一実施形態に係る無線給電システムの回路構成を例示している。
図4図2の筐体装置の動作の一例を示している。
図5図2の筐体装置の動作の一例を示している。
図6図2の受電装置の一部の外観を例示している。
図7図2の受電装置の内部構成を例示している。
図8図6における電極の外観の一例を示している。
図9図6における電極の外観の別例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。図1は、一実施形態に係る遠隔制御システム10の構成を例示している。各図においては、例示される各要素を認識可能な大きさとするために、縮尺を適宜に変更している。
【0012】
遠隔制御システム10は、モバイル装置11を含んでいる。モバイル装置11は、ユーザ20により携帯可能な装置である。モバイル装置11の例としては、スマートフォンなどの汎用携帯情報端末が挙げられる。
【0013】
遠隔制御システム10は、電子キー12を含んでいる。電子キー12もまた、ユーザ20による携帯が可能な装置である。電子キー12は、第一無線通信に基づいて車両30に搭載された制御装置31に施解錠装置32の動作制御を行なわせることが可能な通信装置である。施解錠装置32は、車両30の車室33を開閉するドア34を施解錠する装置である。
【0014】
車両30は、移動体の一例である。施解錠装置32は、被制御装置の一例である。ドア34は、開閉体の一例である。車室33は、開閉体により開閉される空間の一例である。
【0015】
第一無線通信は、第一周波数帯を用いる第一信号S1と第二周波数帯を用いる第二信号S2の送受信を含んでいる。第一周波数帯と第二周波数帯は相違している。第一周波数帯の例としては、長波(LF)帯が挙げられる。第二周波数帯の例としては、極超短波(UHF)帯が挙げられる。換言すると、電子キー12は、施解錠装置32の制御に必要な情報を出力する。
【0016】
具体的には、車両30における適宜の箇所に配置された通信装置を通じて第一信号S1が送信される。第一信号S1の送信は、連続的になされてもよいし、断続的になされてもよい。電子キー12は、第一信号S1の受信と第二信号S2の送信が可能なアンテナを含む通信装置を備えている。電子キー12は、第一信号S1を受信すると第二信号S2を送信するように構成されている。第二信号S2は、電子キー12の認証に必要な認証情報を含むように構成されている。認証情報は、電子キー12とユーザ20の少なくとも一方を特定可能な情報である。
【0017】
制御装置31は、車両30における適宜の箇所に配置された通信装置を通じて第二信号S2を受信すると、認証処理を実行するように構成されている。具体的には、制御装置31は、第二信号S2に含まれる認証情報を、不図示の記憶装置に予め格納されている電子キー12の認証情報と照合するように構成されている。両情報の一致度が閾値を上回る場合、制御装置31は、電子キー12の認証が成立したと判断する。
【0018】
制御装置31は、電子キー12の認証が成立したと判断されると、施解錠装置32にドア34の施解錠を許可する制御信号CSを出力するように構成されている。この状態でユーザ20が例えばドアハンドルに設けられたタッチセンサに触れると、施解錠装置32はドア34を施解錠する。
【0019】
すなわち、電子キー12を携帯したユーザ20が第一信号S1を受信可能な領域に進入すると、第一無線通信を通じて電子キー12の認証がなされる。認証が成立すると、ユーザ20は、キーをキーシリンダに挿入して回すといった動作を行なうことなく、ドア34を施解錠できる。
【0020】
遠隔制御システム10は、筐体装置13を含んでいる。筐体装置13は、車両30の車室33内における適宜の場所に設置されるように構成されている。当該場所には、車室33内に設置されたグローブボックスやアクセサリボックスなどの収容空間が含まれうる。筐体装置13は、電子キー12を格納できるように構成されている。すなわち、電子キー12は、車室33内に配置されうる。
【0021】
図2に例示されるように、筐体装置13は、筐体131を備えている。筐体131は、少なくとも第二信号S2が透過可能な材料により形成されている。筐体131は、電子キー12が格納される格納部131aを有している。
【0022】
筐体装置13は、アクチュエータ132を備えている。アクチュエータ132は、格納部131aに格納された電子キー12の可動部121を操作可能に構成されている。電子キー12は、可動部121に対して所定の操作がなされると、第一信号S1の受信状態に依らず第二信号S2を送信するように構成されている。可動部121は、ボタンやレバーなどにより実現されうる。アクチュエータ132は、ソレノイド、カム機構、ラックピニオン機構などにより実現されうる。電子キー12に第二信号S2を送信させるための可動部121の操作の例としては、少なくとも一回の押下操作などが挙げられる。
【0023】
筐体装置13は、通信部133を備えている。通信部133は、モバイル装置11と第二無線通信を行なうためのアンテナを備えている。本例においては、第二無線通信は、短距離無線通信である。
【0024】
本明細書において用いられる「短距離無線通信」という語は、標準規格であるIEEE802.15またはIEEE802.11に準拠して行なわれる無線通信を意味する。そのような無線通信を実行可能な技術としては、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)などが挙げられる。本明細書における「短距離無線通信」は、読取装置から送信される電波から微小な電力を得てモバイル装置が情報の送信を行なう非接触通信技術を用いる「近接無線通信」とは区別される。近接無線通信を実行可能な技術としては、RF-IDやNFCなどが挙げられる。
【0025】
電子キー12は、第一信号S1に応答して第二信号S2を送信する通信装置に電力を供給するための電池を収容可能な収容部を備えている。収容部は、当該電池に代えて、受電装置14も収容可能に構成されている。
【0026】
受電装置14は、第一コイル141を搭載している。第一コイル141は、軸心141aを有する空芯コイルである。
【0027】
本例に係る筐体装置13は、第二コイル134を備えている。第二コイル134は、軸心134aを有する空芯コイルである。第二コイル134は、格納部131aに格納された電子キー12の第一コイル141を包囲するように配置されている。
【0028】
本明細書で用いられる「第二コイル134が第一コイル141を包囲する」という表現は、第二コイル134の軸心134aに直交する向きから見て第一コイル141と第二コイル134の少なくとも一部が重なっている状態を意味している。
【0029】
本例に係る筐体装置13は、電源135を備えている。電源135は、交流電源である。電源135の動作周波数は、上記の第一信号S1の周波数および第二信号S2の周波数と異なるように、かつ第一信号S1の周波数および第二信号S2の周波数の各々に影響を与えないように定められる。例えば、第一信号S1の周波数および第二信号S2の周波数の各々の逓倍である周波数は使用されない。
【0030】
具体的には、図3に例示されるように、電源135は、第二コイル134およびコンデンサ136とともに一次側の無線給電回路を形成している。第二コイル134とコンデンサ136は、LC直列共振回路を形成している。当該無線給電回路は、給電制御装置の一例である。
【0031】
他方、受電装置14においては、第一コイル141が回路部142とともに二次側の無線給電回路を形成している。回路部142は、コンデンサ142a、ダイオード142b、およびコンデンサ142cを含んでいる。第一コイル141とコンデンサ142aは、共振ループ回路を形成している。ダイオード142bは半端整流を行なうために設けられている。コンデンサ142cは、平滑化を行なうために設けられている。
【0032】
筐体装置13に電子キー12が格納された状態で車両30のドア34の解錠を希望するユーザ20は、モバイル装置11に対して所定の操作を入力する。操作入力は、スイッチまたはスイッチ画像の操作、音声指示入力、ジェスチャ入力などによりなされうる。図1に例示されるように、モバイル装置11は、当該所定の操作に基づいて解錠信号ULを送信するように構成されている。
【0033】
図2に例示されるように、筐体装置13は、制御部137を備えている。制御部137は、アクチュエータ132と電源135の動作を制御可能に構成されている。
【0034】
具体的には、図4に例示されるように、制御部137は、通信部133により解錠信号ULが受信されると、電源135に第二コイル134への給電を行なわせるように構成されている。これにより、第二コイル134から第一コイル141への無線給電がなされ、第一コイル141に電磁誘導による起電力が発生する。
【0035】
図3に例示されるように、受電装置14の回路部142は、電圧レギュレータ142dを含んでいる。電圧レギュレータ142dは、無線給電により第一コイル141に生じた電力を所定の値に制限して電子キー12の負荷122へ供給するように構成されている。負荷122は、第二信号S2の送信に必要な要素を含んでいる。
【0036】
加えて、制御部137は、通信部133により解錠信号ULが受信されると、電子キー12に第二信号S2を送信させるための可動部121の操作をアクチュエータ132に行なわせるように構成されている。
【0037】
したがって、図5に例示されるように、通信部133により解錠信号ULが受信されると、無線給電を通じて電子キー12が起動され、アクチュエータ132による可動部121の操作を通じて、電子キー12から第二信号S2が送信される。
【0038】
電子キー12から送信された第二信号S2は、車両30に搭載された制御装置31により受信される。前述の通り、制御装置31は、第二信号S2を受信すると、電子キー12の認証処理を行なう。認証処理が成立すると、制御装置31は、施解錠装置32にドア34を解錠させる制御信号CSを出力する。第二信号S2は、遠隔制御信号の一例である。
【0039】
よって、車室33内に設置された筐体装置13に電子キー12が格納された状態でユーザ20がモバイル装置11から解錠信号ULを送信すると、ドア34を解錠できる。換言すると、ユーザ20は、電子キー12を携帯せずとも、車室33の外からモバイル装置11に対する所定の操作を通じてドア34を解錠できる。
【0040】
図6は、受電装置14の一部の外観を例示している。図7は、第一コイル141の軸心141aを含み、かつ軸心141aと平行に延びる断面により受電装置14の内部構成を例示している。
【0041】
受電装置14は、ボビン143を備えている。ボビン143は、電気的絶縁性を有する材料により形成されている。第一コイル141は、ボビン143の芯部143aに導電線を巻き回すことにより形成されている。
【0042】
受電装置14は、基板144を備えている。基板144は、電気的絶縁性を有する材料により形成されている。基板144は、軸心141aと交差する方向に沿って延びる第一の面144aと第二の面144bを有している。基板144、ボビン143に装着されている。この状態において、第一の面144aは、第一コイル141に対向している。第二の面144bは、第一の面144aと反対側を向いている。
【0043】
受電装置14の回路部142は、基板144の第一の面144aに支持されている。第一コイル141と回路部142は、電気的に接続されている。
【0044】
受電装置14は、第一電極145を備えている。第一電極145は、導電性を有する材料により形成されている。第一電極145は、基板144の第二の面144bに支持されている。したがって、第一電極145もまた、軸心141aと交差する方向に沿って延びている。第一電極145は、第一コイル141と電気的に接続されている。第一電極145は、受電装置14が電池に代えて電子キー12の収容部に収容される際に、当該電池の負極に対応する位置に配置される。
【0045】
受電装置14は、第二電極146を備えている。第二電極146は、導電性を有する材料により形成されている。第二電極146は、軸心141aと同心の円筒形状を有している。第二電極146は、第一コイル141と電気的に接続されている。第二電極146は、受電装置14が電池に代えて電子キー12の収容部に収容される際に、当該電池の正極に対応する位置に配置される。
【0046】
受電装置14は、磁性体147を備えている。本例においては、磁性体147としてフェライトが用いられる。磁性体147は、第一コイル141と第一電極145の間に配置されており、かつ軸心141aと交差する方向に沿って延びている。
【0047】
筐体装置13の第二コイル134から第一コイル141へ無線給電がなされると、図7に例示されるように、第一コイル141の内側を軸心141aに沿って第一電極145に向かう磁場Mが生じる。しかしながら、第一コイル141と第一電極145の間には磁性体147が配置されているので、磁場Mは、磁性体147に沿って軸心141aと交差する向きに導かれる。これにより、第一電極145に到達する磁場Mを低減できるので、第一電極145の発熱を抑制できる。結果として、無線給電に伴い電子キー12に生じうる発熱を抑制できる。
【0048】
磁性体147として用いられるフェライトは、加工容易性や耐錆性に優れ、安価である点などにおいて有利である。しかしながら、比透磁率が高く、高周波特性に優れた磁性材料であれば、磁性体147として利用可能である。そのような材料の例としては、酸化鉄が挙げられる。
【0049】
図8は、図6における矢印VIII方向から見た第一電極145の外観の一例を示している。第一電極145は、スリット145aを含んでいる。スリット145aは、第一電極145を、互いに電気的に接続された複数の領域に区分している。
【0050】
このような構成によれば、第一電極145がスリット145aによって複数の領域に区分されることにより、無線給電により形成される磁場Mによって第一電極145に生じうる渦電流のループを小さくできるので、第一電極145の発熱を抑制できる。結果として、無線給電に伴い電子キー12に生じうる発熱の抑制効果を高めることができる。
【0051】
第一電極145に形成されるスリット145aの数と形状は、区分される複数の領域が互いに電気的に接続されていれば適宜に定められうる。電子キー12側の電極との導通に係る十分な接触面積を確保するという観点からは、スリット145aの幅は狭い方が好ましい。他方、渦電流のループを小さくするという観点からは、スリット145aにより区分される領域の面積は小さいほど好ましい。図9は、スリット145a同士の交差点145bを増やすことにより区分される領域の面積が小さくされた第一電極145の形状の別例を示している。
【0052】
スリット145a同士の交差点145bは電子キー12側の電極との導通に関与しないので、当該電極との接点を避けるように配置されることが好ましい。したがって、当該接点が第一電極145の中心に対向するように配置されている場合、交差点145bは、図9に例示されるような配置をとりうる。当該接点が第一電極145の中心を避けて対向するように配置されている場合、交差点145bは、図8に例示されるような配置をとりうる。
【0053】
なお、第一電極145にスリット145aが形成されることによって所望の発熱抑制効果が得られるのであれば、磁性体147は省略されうる。
【0054】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0055】
上記の実施形態においては、筐体装置13の第二コイル134が電子キー12の第一コイル141を包囲するように配置されている。しかしながら、図7に例示される向きの磁場Mが得られるように第一コイル141への無線給電を遂行可能であれば、筐体131内における第二コイル134の配置は適宜に変更されうる。
【0056】
上記の実施形態においては、制御装置31と電子キー12との間で行なわれる第一無線通信は、異なる周波数帯を使用している。しかしながら、第一無線通信は、同一の周波数帯を用いる適宜の無線通信規格に基づいて行なわれうる。
【0057】
上記の実施形態においては、モバイル装置11と筐体装置13の通信部133との間で行なわれる第二無線通信は、短距離無線通信である。この場合、車室33内に設置される筐体装置13の配置自由度を高めることができる。しかしながら、第二無線通信は、近接無線通信であってもよい。
【0058】
本開示に係る遠隔制御システム10は、他の移動体にも適用されうる。その他の移動体の例としては、鉄道、航空機、船舶などが挙げられる。当該移動体は、運転者を必要としなくてもよい。電子キー12により遠隔制御される被制御装置の種別は、移動体の仕様に応じて適宜に定められる。
【0059】
上記の実施形態においては、施解錠装置32により施解錠される開閉体として車室33を開閉するドア34が例示されている。ドア34の形態は、図1に例示されるようなヒンジドアであってもよいし、スライドドアであってもよい。車室33を開閉する開閉体は、サンルーフを含みうる。車両30に搭載される開閉体は、トランクやボンネットを含みうる。この場合、トランクやボンネットにより開閉される空間に筐体装置13が配置されてもよい。
【0060】
施解錠装置により施解錠される開閉体は、必ずしも移動体に搭載されることを要しない。住宅や施設における扉や窓もまた開閉体の一例になりうる。電子キー12により遠隔制御される被制御装置の種別は、当該住宅や施設の仕様に応じて適宜に定められる。
【0061】
受電装置14の第一コイル141への無線給電は、筐体装置13に搭載された第二コイル134によって行なわれることを要しない。第一コイル141の内部を軸心141aに沿って第一電極145へ向かう磁場が得られるのであれば、適宜の無線給電装置が使用されうる。
【0062】
以下に列挙する構成もまた、実施態様例として本開示の一部を構成する。

(1):無線通信に基づき被制御装置を制御する携帯通信装置に搭載される受電装置であって、
コイルと、
前記コイルの軸心と交差する方向に沿って延びており、前記コイルと電気的に接続されている電極と、
電磁誘導により前記コイルに生じた電圧を前記通信装置に供給する回路部と、
前記電極と前記コイルの間に配置されており、かつ前記コイルの軸心と交差する方向に沿って延びている磁性体と、
を備えている、
受電装置。

(2):前記磁性体は、フェライトである、(1)に記載の受電装置。

(3):前記電極は、スリットによって複数の領域に区分されており、当該複数の領域同士は、電気的に接続されている、(1)または(2)に記載の受電装置。

(4):前記スリットは、交差する複数のスリットを含んでおり、前記複数のスリット同士の交差点は、前記携帯通信装置に設けられた電極と前記電極との接点を避ける位置に配置されている、(3)に記載の受電装置。

(5):無線通信に基づき被制御装置を制御する携帯通信装置に搭載される受電装置であって、
コイルと、
前記コイルの軸心と交差する方向に沿って延びており、前記コイルと電気的に接続されている電極と、
電磁誘導により前記コイルに生じた電圧を前記携帯通信装置に供給する回路部と、
を備えており、
前記電極は、スリットによって複数の領域に区分されており、当該複数の領域同士は、電気的に接続されている、
受電装置。

(6):前記スリットは、交差する複数のスリットを含んでおり、前記複数のスリット同士の交差点は、前記携帯通信装置に設けられた電極と前記電極との接点を避ける位置に配置されている、(5)に記載の受電装置。

(7):(1)から(6)のいずれかに記載の受電装置が搭載されている、携帯通信装置。

(8):前記被制御装置は、開閉体を施解錠する施解錠装置を含んでいる、(7)に記載の携帯通信装置。

(9):前記開閉体は、移動体に搭載されている、(8)に記載の携帯通信装置。
【符号の説明】
【0063】
12:電子キー、14:受電装置、141:第一コイル、141a:軸心、142:回路部、145:第一電極、145a:スリット、145b:交差点、148:磁性体、30:車両、32:施解錠装置、34:ドア
図1
図2
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図4
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図7
図8
図9