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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175319
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20231205BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H05K1/02 J
H05K3/46 B
H05K3/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087707
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003029
【氏名又は名称】弁理士法人ブナ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橘木 直斗
(72)【発明者】
【氏名】山平 真聖
【テーマコード(参考)】
5E316
5E338
【Fターム(参考)】
5E316AA32
5E316AA35
5E316AA43
5E316BB02
5E316BB04
5E316BB06
5E316BB13
5E316CC04
5E316CC05
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC32
5E316DD22
5E316DD33
5E316EE31
5E316FF07
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH06
5E316HH22
5E338AA03
5E338AA16
5E338BB02
5E338BB13
5E338CC02
5E338CC06
5E338CD02
5E338CD13
5E338CD23
5E338EE14
5E338EE22
(57)【要約】
【課題】配線基板の小型化を図りつつ、伝送特性に影響を及ぼす静電容量の形成を低減する配線基板を提供する。
【解決手段】本開示に係る配線基板は、最下層に位置する第1絶縁層と、第1絶縁層の第1上面側に位置する複数の第2絶縁層と、第1絶縁層の第1下面に位置するパッドと、第1絶縁層の第1下面に位置する第1導体層と、複数の第2絶縁層の少なくとも1層の第2下面に位置するランドと、ランドが位置する第2絶縁層の第2下面に位置する第2導体層とを含む。第1絶縁層の第1下面は、第1方向における第1外周縁からパッドまでの間の第1領域を有する。第2絶縁層の第2下面は、第1方向における第2外周縁からランドまでの間の第2領域を有する。平面視で、第1領域には導体層が位置せず、第2領域の少なくとも一部には導体層が位置している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最下層に位置する第1絶縁層と、
該第1絶縁層の第1上面側に位置する複数の第2絶縁層と、
前記第1絶縁層の第1下面に位置するパッドと、
前記第1絶縁層の前記第1下面に位置する第1導体層と、
複数の前記第2絶縁層の少なくとも1層の第2下面に位置するランドと、
該ランドが位置する前記第2絶縁層の前記第2下面に位置する第2導体層と、
を含み、
前記パッドは、前記第1絶縁層の第1外周縁から内部に向かう第1方向において、前記第1外周縁から第1距離を空けて位置し、
前記第1絶縁層の前記第1下面は、前記第1方向における前記第1外周縁から前記パッドまでの間の第1領域を有し、
前記第1導体層は、
前記第1外周縁から前記第1方向に向かって前記第1距離よりも短い第2距離を空け、かつ前記第1外周縁に沿って前記第1領域を挟むように互いに離間して位置する2つの第1外辺と、
該2つの第1外辺から前記第1方向に向かって延び、前記パッドの外周の少なくとも一部を囲むように前記パッドに隣接し、前記2つの第1外辺を接続する第1隣接辺と、
を有し、
前記ランドは、前記第2絶縁層の外周縁のうち、前記第1外周縁に重なる第2外周縁から前記第1方向に向かって第3距離を空けて、平面透視で前記パッドと重なって位置し、
前記第2絶縁層の前記第2下面は、前記第1方向における前記第2外周縁から前記ランドまでの間の第2領域を有し、
前記第2導体層は、
前記第2外周縁から前記第1方向に向かって前記第3距離よりも短い第4距離を空け、かつ前記第2外周縁に沿って前記第2領域を挟むように互いに離間して位置する2つの第2外辺と、
前記第2領域を挟み、前記第2外周縁に沿う方向において2つの前記第2外辺の間に位置する2つの端部を有し、該二つの端部から前記第1方向に向かって延び、前記ランドの外周の少なくとも一部を囲むように前記ランドに隣接する第2隣接辺と、
を有しており、
平面視で、前記第1領域には導体層が位置せず、前記第2領域の少なくとも一部には導体層が位置している、
配線基板。
【請求項2】
前記複数の第2絶縁層のうち1層がコア用絶縁層であり、該コア用絶縁層の上面側に位置する前記第2絶縁層が第1ビルドアップ用絶縁層であり、前記コア用絶縁層の下面側に位置する前記第1絶縁層および第2絶縁層が第2ビルドアップ用絶縁層であり、
該第2ビルドアップ用絶縁層の少なくとも1層に、前記ランドおよび前記第2導体層が位置している、
請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記第2領域に、前記2つの第2外辺同士を接続し、該2つの第2外辺よりも前記第2外周縁側に張り出して延在する帯状導体が位置している、請求項1または2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記第2領域に、前記2つの第2外辺同士を結ぶ仮想線に沿って、複数の島状導体が断続的に位置している、請求項1または2に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第2距離が500μm以下であり、かつ前記第1距離と前記第2距離との差が50μm以下である、請求項1または2に記載の配線基板。
【請求項6】
前記第4距離が800μm以下であり、かつ前記第3距離と前記第4距離との差が250μm以上である、請求項1または2に記載の配線基板。
【請求項7】
前記パッドおよび前記ランドが信号用導体であり、前記第1導体層および前記第2導体層が接地用導体である、請求項1または2に記載の配線基板。
【請求項8】
前記パッドが、互いに隣接して位置する二つの電極を有するペアパッドである、請求項1または2に記載の配線基板。
【請求項9】
請求項1または2に記載の配線基板と、前記配線基板に接続された電子部品および外部基板とを含む、実装構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のような従来の配線基板において、信号用配線などの配線導体は、電子部品が実装されている実装領域から絶縁層の外周縁近傍まで延伸されている。そのため、信号用配線の一部である信号用パッドやランドは、絶縁層の外周縁近傍に位置するものがある。
【0003】
このようなパッドやランドは、通常、周囲に所定の間隔を設けて接地用導体層で囲まれている。しかし、配線基板の小型化に伴い、パッドやランドと接地用導体層との間隔が小さくなる傾向にある。このため、パッドやランドと接地用導体層との間に静電容量が生じ、信号の伝送特性に影響を及ぼすことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-212400
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の課題は、配線基板の小型化を図りつつ、伝送特性に影響を及ぼす静電容量の形成を低減する配線基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る配線基板は、(1)最下層に位置する第1絶縁層と、第1絶縁層の第1上面側に位置する複数の第2絶縁層と、第1絶縁層の第1下面に位置するパッドと、第1絶縁層の第1下面に位置する第1導体層と、複数の第2絶縁層の少なくとも1層の第2下面に位置するランドと、ランドが位置する第2絶縁層の第2下面に位置する第2導体層とを含む。パッドは、第1絶縁層の第1外周縁から内部に向かう第1方向において、第1外周縁から第1距離を空けて位置している。第1絶縁層の第1下面は、第1方向における第1外周縁からパッドまでの間の第1領域を有する。第1導体層は、第1外周縁から第1方向に向かって第1距離よりも短い第2距離を空け、かつ第1外周縁に沿って第1領域を挟むように互いに離間して位置する2つの第1外辺と、2つの第1外辺から第1方向に向かって延び、パッドの外周の少なくとも一部を囲むようにパッドに隣接し、2つの第1外辺を接続する第1隣接辺とを有する。ランドは、第2絶縁層の外周縁のうち、第1外周縁に重なる第2外周縁から第1方向に向かって第3距離を空けて、平面透視でパッドと重なって位置している。第2絶縁層の第2下面は、第1方向における第2外周縁からランドまでの間の第2領域を有する。第2導体層は、第2外周縁から第1方向に向かって第3距離よりも短い第4距離を空け、かつ第2外周縁に沿って第2領域を挟むように互いに離間して位置する2つの第2外辺と、第2領域を挟み、第2外周縁に沿う方向において2つの第2外辺の間に位置する2つの端部を有し、二つの端部から第1方向に向かって延び、ランドの外周の少なくとも一部を囲むようにランドに隣接する第2隣接辺とを有している。平面視で、第1領域には導体層が位置せず、第2領域の少なくとも一部には導体層が位置している。
【0007】
(2)上記(1)に記載の配線基板において、複数の第2絶縁層のうち1層がコア用絶縁層であり、コア用絶縁層の上面側に位置する第2絶縁層が第1ビルドアップ用絶縁層であり、コア用絶縁層の下面側に位置する第1絶縁層および第2絶縁層が第2ビルドアップ用絶縁層であり、第2ビルドアップ用絶縁層の少なくとも1層に、ランドおよび第2導体層が位置している。
(3)上記(1)または(2)に記載の配線基板において、第2領域に、2つの第2外辺同士を接続し、2つの第2外辺よりも第2外周縁側に張り出して延在する帯状導体が位置している。
(4)上記(1)~(3)のいずれかに記載の配線基板において、第2領域に、2つの第2外辺同士を結ぶ仮想線に沿って、複数の島状導体が断続的に位置している。
(5)上記(1)~(4)のいずれかに記載の配線基板において、第2距離は500μm以下であり、かつ第1距離と第2距離との差は50μm以下である。
(6)上記(1)~(5)のいずれかに記載の配線基板において、第4距離が500μm以下であり、かつ第3距離と第4距離との差が250μm以上である。
(7)上記(1)~(6)のいずれかに記載の配線基板において、パッドおよびランドは信号用導体であり、第1導体層および第2導体層は接地用導体である。
(8)上記(1)~(7)のいずれかに記載の配線基板において、パッドは、互いに隣接して位置する二つの電極を有するペアパッドである。
【0008】
本開示に係る実装構造体は、(9)上記(1)~(8)に記載の配線基板と、配線基板に接続された電子部品および外部基板とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、配線基板の小型化を図りつつ、伝送特性に影響を及ぼす静電容量の形成を低減する配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係る配線基板の要部を示す断面図である。
図2図1に示す領域Xにおいて、導体層のみを模式的に示した斜視図である。
図3図1に示す領域Xにおいて、各層を平面視した場合を模式的に示した説明図である。
図4図3に示す領域Yを説明するための拡大説明図である。
図5】本開示の他の実施形態に係る配線基板の要部を示す断面図である。
図6図5に示す領域Zにおいて、導体層のみを模式的に示した斜視図である。
図7図5に示す領域Zにおいて、各層を平面視した場合を模式的に示した説明図である。
図8】本開示の一実施形態に係る配線基板を含む電気特性のシミュレーション結果を示すものである。
図9】本開示の他の実施形態に係る配線基板を含む電気特性のシミュレーション結果を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の一実施形態に係る配線基板を、図1~4に基づいて説明する。図1は、本開示の一実施形態に係る配線基板1の要部を示す断面図である。一実施形態に係る配線基板1は、第1絶縁層21、第2絶縁層22、導体層3およびソルダーレジスト4を含む。
【0012】
第1絶縁層21および第2絶縁層22は、絶縁性を有する素材であれば特に限定されない。絶縁性を有する素材としては、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド-トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。
【0013】
第1絶縁層21および第2絶縁層22には、補強材が含まれていてもよい。補強材としては、例えば、ガラス繊維、ガラス不織布、アラミド不織布、アラミド繊維、ポリエステル繊維などの絶縁性布材が挙げられる。補強材は2種以上を併用してもよい。さらに、第1絶縁層21および第2絶縁層22には、シリカ、硫酸バリウム、タルク、クレー、ガラス、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機絶縁性フィラーが分散されていてもよい。
【0014】
図1に示すように、複数の第2絶縁層22のうち1層がコア用絶縁層22aであってもよい。コア用絶縁層22aは、配線基板1の厚み方向において略中央部に位置しており、通常、他の第2絶縁層22および第1絶縁層21よりも厚い。コア用絶縁層22aの厚みは特に限定されず、例えば100μm以上800μm以下である。
【0015】
コア用絶縁層22aには、コア用絶縁層22aの上下面を電気的に接続するために、スルーホール導体3Tが位置している。スルーホール導体3Tは、コア用絶縁層22aの上下面を貫通するスルーホール内に位置している。スルーホール導体3Tは、例えば銅などの金属、具体的には銅めっきなどの金属めっきで形成されている。スルーホール導体3Tは、図1に示すようにスルーホールの内壁面のみに形成されていてもよく、スルーホール内に充填されていてもよい。スルーホール導体3Tは、コア用絶縁層22aの上下面に位置する導体層3に接続されている。導体層3は、例えば電源用導体、接地用導体および信号用導体を含んでいる。
【0016】
コア用絶縁層22aの上面側に位置する第2絶縁層22が第1ビルドアップ用絶縁層2aであり、コア用絶縁層22aの下面側に位置する第1絶縁層21および第2絶縁層22が第2ビルドアップ用絶縁層2bである。第1ビルドアップ用絶縁層2aおよび第2ビルドアップ用絶縁層2bを構成している第1絶縁層21および第2絶縁層22の厚みは特に限定されず、例えば10μm以上50μm以下である。
【0017】
第1絶縁層21およびコア用絶縁層22a以外の第2絶縁層22には、第1絶縁層21および第2絶縁層22の上下面を電気的に接続するために、ビアホール導体が位置している。ビアホール導体は、第1絶縁層21および第2絶縁層22の上下面を貫通するビアホール内に位置している。ビアホール導体は、例えば銅などの金属、具体的には銅めっきなどの金属めっきで形成されている。ビアホール導体は、図1に示すようにビアホール内に充填されていてもよく、ビアホールの内壁面のみに形成されていてもよい。ビアホール導体は、第1絶縁層21および第2絶縁層22の上下面に位置する導体層3に接続されている。
【0018】
第1ビルドアップ用絶縁層2aの上面および第2ビルドアップ用絶縁層2bの下面には、導体層3が位置している。導体層3は、例えば銅などの金属、具体的には銅めっきなどの金属めっきで形成されている。導体層3の厚みは特に限定されず、例えば5μm以上25μm以下である。導体層3は、互いに積層された絶縁層同士の接着領域確保のため、配線基板の端部から導体層3が露出してコンタミとなることを防止するためなどの理由から、第1絶縁層21および第2絶縁層22の外周縁から間隔をあけて位置している。
【0019】
図1に示すように、第1絶縁層21において、コア用絶縁層22a側と反対側の面(第1下面)には、導体層3のうち第1導体層31およびパッド3Pが位置している。パッド3Pと第1導体層31とは、図2に示すように接触していない。図2は、図1に示す領域Xにおいて、導体層のみを模式的に示した斜視図である。
【0020】
具体的には、図3および図4に示すように、パッド3Pは、第1方向において、第1絶縁層21の第1外周縁211から第1距離D1を空けて位置している。図3は、図1に示す領域Xにおいて、各層を平面視した場合を模式的に示した説明図である。図3において、上部3つの図が、第1ビルドアップ用絶縁層2a側を上面側から見た図であり、下部3つの図が、第2ビルドアップ用絶縁層2b側を下面側から見た図である。図4は、図3に示す領域Yを説明するための拡大説明図である。
【0021】
本明細書において「第1方向」とは、図2~4に示すように、第1絶縁層21の第1外周縁211から内部に向かう矢印Aで示す方向を意味する。第1外周縁211とパッド3Pとの距離(第1距離D1)は、第1外周縁211とパッド3Pとの最短距離を示す。第1絶縁層21の第1下面には、第1領域R1が存在している。本明細書において「第1領域R1」とは、第1外周縁211からパッド3Pまでの間(図4の下図に示す点線で囲まれた領域)を意味する。図4に示すように、2つの第1外辺31aは、第1外周縁211から第1方向に向かって第1距離D1よりも短い第2距離D2を空け、かつ第1外周縁211に沿って第1領域R1を挟むように互いに離間して位置している。
【0022】
第1距離D1は、例えば350μm以上550μm以下であってもよく、第2距離D2は、例えば300μm以上500μm以下であってもよい。第1距離D1と第2距離D2との差は、例えば、50μm以下であってもよい。第1距離D1および第2距離D2が、これらの範囲である場合、配線基板の小型化を図りつつ、導体層とパッド3Pとの間に静電容量が生じることを低減できる。
【0023】
第1導体層31には、2つの第1外辺31aから第1方向に向かって延び、パッド3Pの外周の少なくとも一部を囲むようにパッド3Pに隣接し、2つの第1外辺31aを接続する第1隣接辺31bが存在している。パッド3Pは、平面視した場合に図2~4に示すように、2つの第1外辺31aと第1隣接辺31bとで形成される凹部(切り欠き部)に位置している。
【0024】
第1導体層31において、平面視した場合、図2~4に示すように第1領域R1には導体層3は位置していない。具体的には、第1外周縁211からパッド3Pまでの間には、導体層3が位置していない。第1領域R1に導体層3が位置していないことによって、信号の伝送特性に影響を及ぼす静電容量が形成されない。
【0025】
図1に示すように、複数の第2絶縁層22のうち、少なくとも1層の第2絶縁層22において、コア用絶縁層22a側と反対側の面(第2下面)には、第2導体層32およびランド3Lが位置している。第2導体層32において、ランド3Lと第2導体層32とは、図2に示すように接触していない。
【0026】
具体的には、図3および図4に示すように、ランド3Lは、第1方向において、第2外周縁221から第3距離D3を空けて位置している。平面透視した場合に、第2外周縁221は、第1外周縁211と重なる位置に存在し、ランド3Lは、パッド3Pと重なる位置に存在している。
【0027】
第2外周縁221とランド3Lとの距離(第3距離D3)は、第2外周縁221とランド3Lとの最短距離を示す。第2絶縁層22の第2下面には、第2領域R2が存在している。本明細書において「第2領域R2」とは、第2外周縁221からランド3Lまでの間(図4の上図に示す点線で囲まれた領域)を意味する。図4に示すように、2つの第2外辺32aは、第2外周縁221から第1方向に向かって第3距離D3よりも短い第4距離D4を空け、かつ第2外周縁221に沿って第2領域R2を挟むように互いに離間して位置している。
【0028】
第3距離D3は、例えば600μm以上800μm以下であってもよく、第4距離D4は、例えば300μm以上500μm以下であってもよい。第3距離D3と第4距離D4との差は、例えば、250μm以上であってもよい。第3距離D3および第4距離D4が、これらの範囲である場合、配線基板の小型化を図りつつ、例えば第1絶縁層21と第2絶縁層22との接着領域を確保して接着強度を向上できるとともに、第3距離D3と第4距離D4との差を確保することができるため、ランド3Lと後述する帯状導体3aとの間に静電容量が生じることを低減できる。
【0029】
第2導体層32には、第2領域R2を挟み、第2外周縁221に沿う方向において2つの第2外辺32aの間に位置する2つの端部32Eを有し、二つの端部32Eから第1方向に向かって延び、ランド3Lの外周の少なくとも一部を囲むようにランド3Lに隣接する第2隣接辺32bが存在している。ランド3Lは、平面視した場合に図2~4に示すように、後述する帯状導体3aと第2隣接辺32bとで形成される開口部に位置している。
【0030】
導体層3は、通常、電源用導体、接地用導体および信号用導体を含んでいる。一実施形態に係る配線基板1において、例えば、パッド3Pおよびランド3Lは信号用導体であってもよく、第1導体層31および第2導体層32は接地用導体層であってもよい。
【0031】
第2導体層32において、平面視した場合、図2~4に示すように第2領域R2の少なくとも一部には導体層3が位置している。第2領域R2の少なくとも一部には導体層3が位置していることによって、例えばパッド3Pよりも面積の小さいランド3Lを金属めっきで形成する際に、ランド3Lにめっき金属が過剰に析出して厚みが厚くなり、電気特性が劣化することを低減することが可能になる。
【0032】
第2領域R2の少なくとも一部に位置している導体層3は、限定されない。一実施形態に係る配線基板1では、第2領域R2の少なくとも一部に位置している導体層3は、帯状導体3aである。具体的には、帯状導体3aとは、図2~4に示すように、2つの第2外辺32a同士を接続し、2つの第2外辺32aよりも第2外周縁221側に張り出して延在する導体である。2つの第2外辺32a同士を接続するとは、図2~4に示すように、一方の側に位置する第2外辺32aおよび第2隣接辺32bの一端を含む部分と、他方の側に位置する第2外辺32aおよび第2隣接辺32bの他端を含む部分とを接続するものであっても構わないし、2つの第2外辺32aのみに接続するものであっても構わない。帯状導体3aは、第2隣接辺32bのうち互いに対向する辺同士を接続するものであっても構わないし、一つの第2外辺32aと第2隣接辺32bとを接続するものであっても構わない。
【0033】
図8は、図1に示すようなコア用絶縁層22aの上面側に二層の第1ビルドアップ用絶縁層2a、および下面側に二層の第2ビルドアップ用絶縁層2bを有する配線基板において、第1領域R1に導体層3が位置しておらず、第2領域R2に帯状導体3aが位置している場合(実施例、実線表示)、および第1領域R1および第2領域R2の両方に帯状導体が位置している場合(比較例、点線表示)の反射損(上図)および入射損(下図)のシミュレーション結果を示すものである。いずれのシミュレーションも第1領域R1に導体層3が位置していない実施例の方が電気特性の優れたものとなっている。
【0034】
次に、本開示の他の実施形態に係る配線基板を、図5~7に基づいて説明する。図5は、本開示の他の実施形態に係る配線基板1’の要部を示す断面図である。他の実施形態に係る配線基板1’は、一実施形態に係る配線基板1と同様、第1絶縁層21、第2絶縁層22、導体層3およびソルダーレジスト4を含む。他の実施形態に係る配線基板1’において、一実施形態に係る配線基板1と同様の部材については、同じ符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0035】
一実施形態に係る配線基板1では、第2領域R2の少なくとも一部に位置している導体層3が帯状導体3aであるのに対し、他の実施形態に係る配線基板1’では、第2領域R2の少なくとも一部に位置している導体層3が島状導体3bである点で相違する。具体的には、図6および7に示すように、2つの第2外辺32a同士を結ぶ仮想線に沿って、複数の島状導体3bが断続的に位置している。図6は、図5に示す領域Zにおいて、導体層のみを模式的に示した斜視図である。図7は、図5に示す領域Zにおいて、各層を平面視した場合を模式的に示した説明図である。
【0036】
このように、本開示に係る配線基板は、平面視で、第1領域R1には導体層が位置せず、第2領域R2の少なくとも一部には導体層が位置している。そのため、上記のように、第1領域R1に導体層が位置していないことによって、信号の伝送特性に影響を及ぼす静電容量が形成されない。さらに、上記のように、第2領域R2の少なくとも一部には導体層が位置していることによって、例えばパッド3Pよりも面積の小さいランド3Lを金属めっきで形成する際に、ランド3Lにめっき金属が過剰に析出して厚みが厚くなる。その結果、電気特性が劣化することを低減することが可能になる。したがって、本開示に係る配線基板は、伝送特性に影響を及ぼす静電容量の形成が低減される。他の実施形態に係る配線基板1’では、二つの第2外辺32aと島状導体3bとは同じ並び(第2外周縁221からの距離が同じ)に位置している。しかし、これに限らずノイズの混入および静電容量の形成などの特性を考慮の上、島状導体3bの位置を適宜決めればよい。島状導体3bの形状についても、上記例では四角形状を示しているものの、これに限られず、上記特性や製造上の簡便性を考慮して、形状を決めればよい。
【0037】
図9は、図5に示すようなコア用絶縁層22aの上面側に二層の第1ビルドアップ用絶縁層2a、および下面側に二層の第2ビルドアップ用絶縁層2bを有する配線基板において、第1領域R1に導体層3が位置しておらず、第2領域R2に島状導体3bが位置している場合(実施例、実線表示)、および第1領域R1および第2領域R2の両方に帯状導体が位置している場合(比較例、点線表示)の反射損(上図)および入射損(下図)のシミュレーション結果を示すものである。いずれのシミュレーションも第1領域R1に導体層3が位置していない実施例の方が電気特性の優れたものとなっている。
【0038】
本開示に係る実装構造体は、上述の本開示に係る配線基板と、配線基板に接続された電子部品および外部基板とを含む。電子部品は、配線基板の実装領域に半田を介して実装される。電子部品は、一般的に配線基板に搭載される電子部品であれば限定されない。このような電子部品としては、半導体集積回路素子、オプトエレクトロニクス素子などが挙げられる。外部基板としては、例えば、マザーボードなどが挙げられる。
【0039】
本開示に係る配線基板は、上述の実施形態に限定されない。例えば、上述の配線基板1、1’では、パッド3Pとして、ペアパッドが採用されている。しかし、本開示に係る配線基板においてパッドは、ペアパッドに限定されず、シングルパッドであってもよい。
【0040】
上述の配線基板1、1’では、第2ビルドアップ用絶縁層2bにランド3Lおよび第2導体層32が位置している。しかし、本開示に係る配線基板において、ランド3Lおよび第2導体層32は、第1ビルドアップ用絶縁層2aにも位置していてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 配線基板
21 第1絶縁層
211 第1外周縁
22 第2絶縁層
221 第2外周縁
22a コア用絶縁層
2a 第1ビルドアップ用絶縁層
2b 第2ビルドアップ用絶縁層
3 導体層
31 第1導体層
31a 第1外辺
31b 第1隣接辺
32 第2導体層
32a 第2外辺
32b 第2隣接辺
32E 2つの端部
3a 帯状導体
3b 島状導体
3P パッド
3L ランド
3T スルーホール導体
4 ソルダーレジスト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9