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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175323
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20231205BHJP
   H04N 1/393 20060101ALI20231205BHJP
   B41J 11/70 20060101ALI20231205BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20231205BHJP
   B41J 21/00 20060101ALN20231205BHJP
【FI】
B41J29/38 206
B41J29/38 202
H04N1/393
B41J11/70
H04N1/00 567B
B41J21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087711
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】次村 浩一
(72)【発明者】
【氏名】大橋 雅司
(72)【発明者】
【氏名】中野 靖大
(72)【発明者】
【氏名】疇地 悠
(72)【発明者】
【氏名】荒金 覚
【テーマコード(参考)】
2C058
2C061
2C187
5C062
5C076
【Fターム(参考)】
2C058AB12
2C058AC07
2C058AC11
2C058AD01
2C058AE02
2C058AE04
2C058AE09
2C058AF04
2C058AF06
2C058AF12
2C058AF15
2C058AF20
2C058AF25
2C058AF51
2C058LA02
2C058LA24
2C058LA30
2C058LB10
2C058LC02
2C058LC12
2C061AQ05
2C061AS06
2C061CK01
2C061HJ10
2C061HK07
2C061HK11
2C061HL03
2C061HL04
2C061HN04
2C061HN19
2C187AC08
2C187AG05
2C187BH23
2C187BH27
2C187CC04
2C187CD02
2C187DB27
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB22
5C062AB30
5C062AB32
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC22
5C062AC34
5C062AE15
5C076AA21
5C076AA22
5C076BA06
5C076CA02
5C076CB02
(57)【要約】
【課題】ユーザが指定したサイズが媒体の幅より小さくてもフチなしの印刷物を適切に取得しやすい。
【解決手段】フチなし印刷を行う第1~第4モードを実行する。これらのモードにおいて、画像領域に対して画像形成動作が行われると共にカッター3によって切断されたロール紙Rpが排紙トレイに排出される。第1~第3モードでは、ロール紙Rpに形成された画像の両端がユーザ切断位置に設定される。また、第4モードでは、ユーザ切断位置を指示する破線マーカがロール紙Rpに形成される。したがって、いずれのモードにおいてもユーザ切断位置を把握しやすい。また、いずれのモードにおいても、排出されたロール紙Rpがユーザ切断位置で切断されることで、ロール紙Rpの縦方向及び横方向一杯に画像が形成された最終印刷物が取得される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のシート状媒体がロール状に巻回されたロール体を収容可能な媒体収容部と、
前記媒体収容部からのシート状媒体を所定の搬送方向に沿って搬送する媒体搬送部と、
前記媒体搬送部によって搬送されるシート状媒体に画像を形成する画像形成動作を行う画像形成部と、
前記画像形成部によって画像が形成されたシート状媒体を前記所定の搬送方向と直交する方向に切断する切断部と、
シート状媒体における前記所定の搬送方向と対応する縦方向及び前記縦方向と直交する横方向のそれぞれの大きさについてユーザが指定した内容を示す指定サイズ情報と画像形成に関するモードの複数の選択肢からいずれかをユーザが選択した内容を示す選択情報とを取得する情報取得部と、
前記指定サイズ情報及び前記選択情報が示す前記モードの内容に従って前記媒体搬送部、前記画像形成部及び前記切断部を制御する制御部とを備えており、
前記指定サイズ情報が示す前記横方向の大きさが、シート状媒体の前記横方向の幅より小さく、
前記複数の選択肢が、
前記縦方向及び前記横方向の両方について前記指定サイズ情報が示す大きさの画像がシート状媒体に形成されると共に、前記縦方向について画像が形成された領域の両端のそれぞれにおいてシート状媒体が切断される第1モードと、
前記縦方向について切断後に前記指定サイズ情報が示す大きさになるようにシート状媒体が切断されると共に、前記縦方向について切断後のシート状媒体が占めることになる範囲を跨ぎ前記横方向について前記指定サイズ情報と同じ大きさである領域に対して前記画像形成動作が行われる第2モードと、
前記縦方向及び前記横方向の両方について前記指定サイズ情報が示す大きさの画像がシート状媒体に形成されると共に、前記縦方向について画像が形成された領域外においてシート状媒体が切断される第3モードと、
前記縦方向について切断後に前記指定サイズ情報が示す大きさになるようにシート状媒体が切断され、前記縦方向について切断後のシート状媒体が占めることになる範囲を跨ぎ前記横方向について前記指定サイズ情報が示す大きさより大きい領域に対して前記画像形成動作が行われると共に、前記横方向について画像が形成される領域内に前記指定サイズ情報が示す大きさに対応する切断位置を示すマーカが形成される第4モードとのいずれか2つ以上を含んでいることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1モード、前記第3モード及び前記第4モードの少なくともいずれかが、前記画像形成動作が行われる領域の大きさの前記縦方向及び前記横方向の比率が、元の画像データにおける前記縦方向及び前記横方向の比率と等しいモードであって、前記複数の選択肢に含まれていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1モード、前記第3モード及び前記第4モードのいずれにおいても、前記画像形成動作が行われる領域の大きさの前記縦方向及び前記横方向の比率が、元の画像データにおける前記縦方向及び前記横方向の比率と等しく、
前記複数の選択肢として、
前記第2モード及び前記第4モードを含んだ第1選択肢群と、前記第1モード及び前記第3モードを含んだ第2選択肢群と、前記第1モード~前記第4モードを含んだ第3選択肢群とのいずれかが、画像形成の対象となる画像の種類に応じて選択されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像形成装置と、前記画像形成装置と通信可能なコンピュータとを備えた画像形成システムであって、
前記第1モード、前記第3モード及び前記第4モードのいずれにおいても、前記画像形成動作が行われる領域の大きさの前記縦方向及び前記横方向の比率が、元の画像データにおける前記縦方向及び前記横方向の比率と等しく、
前記複数の選択肢として、
前記第2モード及び前記第4モードを含んだ第1選択肢群と、前記第1モード及び前記第3モードを含んだ第2選択肢群と、前記第1モード~前記第4モードを含んだ第3選択肢群とのいずれかが、画像形成の対象となる画像の種類に応じて、前記画像形成装置及び前記コンピュータの少なくともいずれかにおいて選択可能であることを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
前記第2モードにおいて前記画像形成動作が行われる領域が、元の画像データと同じ内容を有する第1画像部分に関する前記画像形成動作が行われる部分と、前記第1画像部分の前記縦方向の端部と連続する第2画像部分に関する前記画像形成動作が行われる部分とを含んでおり、
前記第2画像部分が、前記第1画像部分の前記端部と同じ内容を有しており、
前記第2モードにおいてシート状媒体が切断される位置が、前記縦方向について前記第1画像部分の両端の位置であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成部が、
前記所定の搬送方向に関して前記切断部より下流側に配置されており、前記第2モード及び前記第4モードにおいて、前記縦方向について、切断されたシート状媒体を跨ぐ領域に対して前記画像形成動作を行うことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
長尺のシート状媒体がロール状に巻回されたロール体を収容可能な媒体収容部と、
前記媒体収容部からのシート状媒体を所定の搬送方向に沿って搬送する媒体搬送部と、
前記媒体搬送部によって搬送されるシート状媒体に画像を形成する画像形成動作を行う画像形成部と、
前記画像形成部によって画像が形成されたシート状媒体を前記所定の搬送方向と直交する方向に切断する切断部と、
シート状媒体における前記所定の搬送方向と対応する縦方向及び前記縦方向と直交する横方向のそれぞれの大きさについてユーザが指定した内容を示す指定サイズ情報を取得する情報取得部と、
前記指定サイズ情報及び画像形成に関するモードに従って前記媒体搬送部、前記画像形成部及び前記切断部を制御する制御部とを備えており、
前記指定サイズ情報が示す前記横方向の大きさが、シート状媒体の前記横方向の幅より小さく、
前記モードが、
前記縦方向及び前記横方向の両方について前記指定サイズ情報が示す大きさの画像がシート状媒体に形成されると共に、前記縦方向について画像が形成された領域の両端のそれぞれにおいてシート状媒体が切断されるモードであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
長尺のシート状媒体がロール状に巻回されたロール体を収容可能な媒体収容部と、
前記媒体収容部からのシート状媒体を所定の搬送方向に沿って搬送する媒体搬送部と、
前記媒体搬送部によって搬送されるシート状媒体に画像を形成する画像形成動作を行う画像形成部と、
前記画像形成部によって画像が形成されたシート状媒体を前記所定の搬送方向と直交する方向に切断する切断部と、
シート状媒体における前記所定の搬送方向と対応する縦方向及び前記縦方向と直交する横方向のそれぞれの大きさについてユーザが指定した内容を示す指定サイズ情報を取得する情報取得部と、
前記指定サイズ情報及び画像形成に関するモードに従って前記媒体搬送部、前記画像形成部及び前記切断部を制御する制御部とを備えており、
前記指定サイズ情報が示す前記横方向の大きさが、シート状媒体の前記横方向の幅より小さく、
前記モードが、
前記縦方向について切断後に前記指定サイズ情報が示す大きさになるようにシート状媒体が切断されると共に、前記縦方向について切断後のシート状媒体が占めることになる範囲を跨ぎ前記横方向について前記指定サイズ情報と同じ大きさである領域に対して前記画像形成動作が行われるモードであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
長尺のシート状媒体がロール状に巻回されたロール体を収容可能な媒体収容部と、
前記媒体収容部からのシート状媒体を所定の搬送方向に沿って搬送する媒体搬送部と、
前記媒体搬送部によって搬送されるシート状媒体に画像を形成する画像形成動作を行う画像形成部と、
前記画像形成部によって画像が形成されたシート状媒体を前記所定の搬送方向と直交する方向に切断する切断部と、
シート状媒体における前記所定の搬送方向と対応する縦方向及び前記縦方向と直交する横方向のそれぞれの大きさについてユーザが指定した内容を示す指定サイズ情報を取得する情報取得部と、
前記指定サイズ情報及び画像形成に関するモードに従って前記媒体搬送部、前記画像形成部及び前記切断部を制御する制御部とを備えており、
前記指定サイズ情報が示す前記横方向の大きさが、シート状媒体の前記横方向の幅より小さく、
前記モードが、
前記縦方向及び前記横方向の両方について前記指定サイズ情報が示す大きさの画像がシート状媒体に形成されると共に、前記縦方向について画像が形成された領域外においてシート状媒体が切断されるモードであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
長尺のシート状媒体がロール状に巻回されたロール体を収容可能な媒体収容部と、
前記媒体収容部からのシート状媒体を所定の搬送方向に沿って搬送する媒体搬送部と、
前記媒体搬送部によって搬送されるシート状媒体に画像を形成する画像形成動作を行う画像形成部と、
前記画像形成部によって画像が形成されたシート状媒体を前記所定の搬送方向と直交する方向に切断する切断部と、
シート状媒体における前記所定の搬送方向と対応する縦方向及び前記縦方向と直交する横方向のそれぞれの大きさについてユーザが指定した内容を示す指定サイズ情報を取得する情報取得部と、
前記指定サイズ情報及び画像形成に関するモードに従って前記媒体搬送部、前記画像形成部及び前記切断部を制御する制御部とを備えており、
前記指定サイズ情報が示す前記横方向の大きさが、シート状媒体の前記横方向の幅より小さく、
前記モードが、
前記縦方向について切断後に前記指定サイズ情報が示す大きさになるようにシート状媒体が切断され、前記縦方向について切断後のシート状媒体が占めることになる範囲を跨ぎ前記横方向について前記指定サイズ情報が示す大きさより大きい領域に対して前記画像形成動作が行われると共に、前記横方向について画像が形成される領域内に前記指定サイズ情報が示す大きさに対応する切断位置を示すマーカが形成されるモードであることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状媒体に対して画像形成を行う画像形成装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
長尺なシート状媒体に画像を形成する画像形成装置において、通常の画像形成では、ユーザ指定の媒体サイズより若干小さい範囲に画像が形成されることで、最終的に得られる印刷物(以下、最終印刷物とする)において画像の周囲に空白が形成される。これに対し、最終印刷物において、画像の周囲に空白が形成されず、画像形成領域が印刷物の幅一杯になるようにする方法(以下、「フチなし印刷」とする)がある。特許文献1は、このようなフチなし印刷が可能な画像形成装置の一例に関する。特許文献1の画像形成装置は、シート状媒体の幅より若干大きくシート状媒体に画像を形成することで、最終印刷物が幅一杯に画像が形成されたものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-244027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
長尺なシート状媒体に画像を形成する場合、ユーザ指定の媒体サイズが示す横方向の大きさがシート状媒体の幅より小さいことがある。これは、画像形成装置から排出された画像形成済みの媒体をユーザがその幅方向に切断することで所望のサイズの最終印刷物を得ることが想定された画像形成の方法である。このように、ユーザ指定の媒体サイズが示す横方向の大きさがシート状媒体の幅より小さい場合において、フチなし印刷を行うときに、例えば特許文献1の方法を応用し、ユーザ指定の媒体サイズより若干大きくシート状媒体に画像を形成したとする。この場合、画像形成装置から排出された画像形成済みの媒体をユーザ指定の媒体サイズになるようにユーザが切断すれば所望のサイズの最終印刷物を得ることができる。しかしながら、シート状媒体に形成された画像はユーザ指定の媒体サイズより大きいため、媒体をどの位置で切断すればユーザ指定の媒体サイズの印刷物が得られるかが把握しづらい。
【0005】
本発明の目的は、ユーザが指定したサイズが媒体の幅より小さくてもフチなしの印刷物を適切に取得しやすい画像形成装置及び画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、長尺のシート状媒体がロール状に巻回されたロール体を収容可能な媒体収容部と、前記媒体収容部からのシート状媒体を所定の搬送方向に沿って搬送する媒体搬送部と、前記媒体搬送部によって搬送されるシート状媒体に画像を形成する画像形成動作を行う画像形成部と、前記画像形成部によって画像が形成されたシート状媒体を前記所定の搬送方向と直交する方向に切断する切断部と、シート状媒体における前記所定の搬送方向と対応する縦方向及び前記縦方向と直交する横方向のそれぞれの大きさについてユーザが指定した内容を示す指定サイズ情報と画像形成に関するモードの複数の選択肢からいずれかをユーザが選択した内容を示す選択情報とを取得する情報取得部と、前記指定サイズ情報及び前記選択情報が示す前記モードの内容に従って前記媒体搬送部、前記画像形成部及び前記切断部を制御する制御部とを備えており、前記指定サイズ情報が示す前記横方向の大きさが、シート状媒体の前記横方向の幅より小さく、前記複数の選択肢が、前記縦方向及び前記横方向の両方について前記指定サイズ情報が示す大きさの画像がシート状媒体に形成されると共に、前記縦方向について画像が形成された領域の両端のそれぞれにおいてシート状媒体が切断される第1モードと、前記縦方向について切断後に前記指定サイズ情報が示す大きさになるようにシート状媒体が切断されると共に、前記縦方向について切断後のシート状媒体が占めることになる範囲を跨ぎ 前記横方向について前記指定サイズ情報と同じ大きさである領域に対して前記画像形成動作が行われる第2モードと、前記縦方向及び前記横方向の両方について前記指定サイズ情報が示す大きさの画像がシート状媒体に形成されると共に、前記縦方向について画像が形成された領域外においてシート状媒体が切断される第3モードと、前記縦方向について切断後に前記指定サイズ情報が示す大きさになるようにシート状媒体が切断され、前記縦方向について切断後のシート状媒体が占めることになる範囲を跨ぎ前記横方向について前記指定サイズ情報が示す大きさより大きい領域に対して前記画像形成動作が行われると共に、前記横方向について画像が形成される領域内に前記指定サイズ情報が示す大きさに対応する切断位置を示すマーカが形成される第4モードとのいずれか2つ以上を含んでいる。
【0007】
また、第2発明に係る画像形成装置は、長尺のシート状媒体がロール状に巻回されたロール体を収容可能な媒体収容部と、前記媒体収容部からのシート状媒体を所定の搬送方向に沿って搬送する媒体搬送部と、前記媒体搬送部によって搬送されるシート状媒体に画像を形成する画像形成動作を行う画像形成部と、前記画像形成部によって画像が形成されたシート状媒体を前記所定の搬送方向と直交する方向に切断する切断部と、シート状媒体における前記所定の搬送方向と対応する縦方向及び前記縦方向と直交する横方向のそれぞれの大きさについてユーザが指定した内容を示す指定サイズ情報を取得する情報取得部と、前記指定サイズ情報及び画像形成に関するモードに従って前記媒体搬送部、前記画像形成部及び前記切断部を制御する制御部とを備えており、前記指定サイズ情報が示す前記横方向の大きさが、シート状媒体の前記横方向の幅より小さく、前記モードが、第1発明に係る第1モード~第4モードのいずれかである。
【発明の効果】
【0008】
第1発明又は第2発明に係る画像形成装置によると、第1モード及び第2モードは、装置から排出された媒体を、横方向について画像の両端で切断すれば、指定サイズ情報が示す所望のサイズであってフチなしの印刷物が取得される。第3モードは、装置から排出された媒体を、横方向及び縦方向のそれぞれについて画像の両端で切断すれば、所望のサイズであってフチなしの印刷物が取得される。第4モードは、装置から排出された媒体を、横方向についてマーカに沿って切断すれば、所望のサイズであってフチなしの印刷物が取得される。このように、第1モード~第4モードのいずれにおいても媒体をどの位置で切断すればユーザ指定の媒体サイズの印刷物が得られるかが把握しやすい。
【0009】
一方で、各モードにはそれぞれの特徴がある。例えば第1モードは、指定サイズ情報の大きさ通りに画像が形成されるので画像形成領域が所望のサイズより大きくならないが、万一、媒体の切断位置が画像形成領域よりずれると、最終的に得られる印刷物(以下、最終印刷物とする)の端部に空白が生じるおそれがある。また、第2モード及び第4モードは、指定サイズ情報が示す大きさより大きい領域に対して画像形成動作が行われるので媒体の切断後に空白が生じる可能性が抑制されるが、所望のサイズに媒体が切断されると最終印刷物において画像の端部が切れた状態になる可能性がある。第3モードは、指定サイズ情報の大きさ通りに画像が形成されるので画像形成領域が所望のサイズより大きくならないが、横方向のみならず縦方向に関してもユーザが媒体を切断しなければならない。
【0010】
第1発明は、以上のような互いに異なる特徴を有する第1モード~第4モードの2つ以上を含んだ選択肢からフチなし印刷のモードを選択可能であるので、ユーザの要望に適切に応じたフチなし印刷を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るプリンタの内部構造を示す概略側面図である。
図2図1に示すプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
図3図3(a)は、通常印刷によりカット紙に形成される画像の一例を示している。図3(b)は、フチなし印刷によりカット紙に形成される画像の一例を示している。
図4】通常印刷によりロール紙に形成される画像の一例を示している。
図5】フチなし印刷によりロール紙に形成される画像の一例を示している。
図6】フチなし印刷に係る第1モードによりロール紙に形成される画像の一例を示している。
図7】フチなし印刷に係る第2モードによりロール紙に形成される画像の一例を示している。
図8】フチなし印刷に係る第3モードによりロール紙に形成される画像の一例を示している。
図9】フチなし印刷に係る第4モードによりロール紙に形成される画像の一例を示している。
図10】本発明の別の一実施形態に係るプリンタシステムの概略的な構成を示すブロック図である。
図11】本発明のさらに別の一実施形態に係るフチなし印刷における第2’モードによりロール紙に形成される画像の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
本発明の好適な一実施形態である第1の実施形態に係るプリンタ100(本発明の「画像形成装置」に相当する)について、図1図7を参照しつつ、以下に説明する。なお、図1に示す上下方向、前後方向及び左右方向を、プリンタ100の上下方向、前後方向及び左右方向とする。
【0013】
プリンタ100は、図1及び図2に示すように、筐体100a、給送トレイ1、搬送機構2、カッター3、キャリッジ4、ヘッド5、移動機構6、排紙トレイ7及び制御部9を主に備えている。
【0014】
給送トレイ1(本発明の「媒体収容部」に相当する)は、筐体100a内においてヘッド5の下方に配置されている。給送トレイ1は、筐体100aの前壁に形成された開口10pを介して筐体100aに対して前後方向に沿って挿抜可能である。
【0015】
給送トレイ1は、ロール体R及びカット紙Kpを収容可能である。給送トレイ1は、ロール体R及びカット紙Kpを同時に収容可能であってもよいし、ロール体R及びカット紙Kpのいずれかを選択的に収容可能であってもよい。給送トレイ1は、ロール体Rを支持するロール体支持部11と、カット紙Kpが載置される載置面12と、を有している。
【0016】
ロール体Rは、円筒状の芯部材Rcの外周面に、長尺の用紙がロール状に巻回されたものである。カット紙Kpは、ロール体Rを構成する長尺の用紙よりも短尺の用紙であり、例えばA4サイズやB5サイズの定形サイズの用紙である。本実施形態のプリンタ100で使用可能なカット紙Kpのうち最大サイズのものは、A4サイズの用紙である。カット紙Kpは、複数積層された状態で載置面12上に載置される。
【0017】
搬送機構2は、給送トレイ1からヘッド5を経由して排紙トレイ7までの搬送経路(図1において用紙Pを表す太い黒線に沿った経路)に沿って用紙Pを搬送する。以下、「上流」及び「下流」の用語は、搬送機構2による搬送経路に沿った用紙Pの搬送方向に関して上流及び下流をそれぞれ表すものとする。搬送機構2(本発明の「媒体搬送部」に相当する)は、給送ローラ21、中間ローラ対22、搬送ローラ対23、排紙ローラ対24及びガイド部材25を有している。これらのローラ及びローラ対は、搬送経路に沿って上流から下流に向かって、給送ローラ21、中間ローラ対22、搬送ローラ対23及び排紙ローラ対24の順に配置されている。
【0018】
給送ローラ21は、ロール体支持部11に支持されたロール体Rから巻き解かれたロール紙Rp又は載置面12に載置されたカット紙Kpを給送トレイ1から給送する。以降の説明において、ロール紙Rpとカット紙Kpとを区別しない場合には、「用紙P」と称する。
【0019】
給送ローラ21は、給送モータ21a(図2参照)の駆動により回転する。制御部9の制御により給送モータ21aが駆動されると、給送ローラ21が回転して、給送ローラ21と接触する用紙Pに対して前方から後方に向かう方向の搬送力が付与される。これにより、用紙Pが給送トレイ1から送り出される。なお、給送トレイ1の後方側の端部に設けられた後壁15は、上端部が下端部よりも後方に位置するように傾斜している。したがって、給送トレイ1から送り出された用紙Pは、斜め上方に向かう。
【0020】
中間ローラ対22は、中間モータ22a(図2参照)の駆動により回転する駆動ローラと駆動ローラに連れ回る従動ローラとで構成されている。制御部9の制御により中間モータ22aが駆動されると、中間ローラ対22が用紙Pを挟持しつつ回転して用紙Pを搬送する。中間ローラ対22は、給送トレイ1の後方側の端部の上方に位置している。中間ローラ対22は、給送ローラ21によって給送トレイ1から送り出されて斜め上方に向かう用紙Pを挟持しつつ上方に搬送する。ガイド部材25は、中間ローラ対22の上方に位置している。ガイド部材25は、中間ローラ対22によって上方に搬送される用紙Pを前方に案内する。
【0021】
搬送ローラ対23は、搬送モータ23a(図2参照)の駆動により回転する駆動ローラと、駆動ローラに連れ回る従動ローラとで構成されている。排紙ローラ対24は、排紙モータ24a(図2参照)の駆動により回転する駆動ローラと、駆動ローラに連れ回る従動ローラとで構成されている。
【0022】
制御部9の制御により搬送モータ23a及び排紙モータ24aが駆動されると、搬送ローラ対23及び排紙ローラ対24が用紙Pを挟持しつつ回転して、搬送方向である前方に向かって用紙Pを搬送する。搬送ローラ対23はヘッド5の後方に位置しており、排紙ローラ対24はヘッド5の前方に位置している。搬送ローラ対23は、ガイド部材25によって前方に案内された用紙Pを排紙ローラ対24に向かってさらに前方に搬送する。排紙ローラ対24は、搬送ローラ対23によって前方に搬送される用紙Pを挟持しつつさらに前方に搬送し、排紙トレイ7に排紙する。
【0023】
搬送ローラ対23の僅かに後方には用紙センサ96が設けられている。用紙センサ96は、用紙Pの先端を検出すると、その検出結果を制御部9に出力する。用紙センサ96が用紙Pの先端を検出するタイミングは、用紙Pの先端が搬送ローラ対23に到達するタイミングと一致、又はほぼ一致するように調整されている。また、搬送ローラ対23の従動ローラにはロータリーエンコーダ97が設置されている。ロータリーエンコーダ97は、従動ローラの回転量を検出することで、搬送ローラ対23の回転量を検出可能である。ロータリーエンコーダ97は、搬送ローラ対23の回転量を示す信号を制御部9に出力する。制御部9は、用紙センサ96及びロータリーエンコーダ97の検出結果に基づき、用紙Pの先端が搬送ローラ対23に到達してからの搬送ローラ対23の回転回数を取得する。この回転回数に基づき、制御部9は、用紙Pの先端が搬送ローラ対23からどれくらい前方の位置まで到達したかを算出することが可能である。これにより、制御部9は、ヘッド5による用紙Pに対する画像形成の位置や、カッター3によるロール紙Rpの切断位置を、用紙Pの搬送方向に関して調整することができる。
【0024】
カッター3は、搬送経路において中間ローラ対22より上流側であって、給送トレイ1の後方側の端部と中間ローラ対22との間の位置に配置されている。カッター3は、例えば円板状の回転刃及び従動刃からなる。カッター3は、切断モータ3a(図2参照)の駆動により回転刃が回転し、且つ、左右方向に沿って往復移動する。ロール体Rから巻き解かれて搬送されたロール紙Rpは、制御部9の制御により切断モータ3aが駆動されることで、カッター3によりロール紙Rpの幅方向(搬送方向と直交する方向)に切断される。これにより、ロール体Rから切り離された側のロール紙Rpは、切断端が後端となった1枚ごとの用紙として排紙トレイ7に排紙される。一方、ロール体Rと繋がった側のロール紙Rpの切断端は、次の画像形成に用いられる用紙の先端となる。
【0025】
ヘッド5(本発明の「画像形成部」に相当する)は、下面に形成された複数のノズルと、ドライバIC52(図2参照)とを含む。制御部9の制御によりドライバIC52が駆動されると、ノズルからインクが吐出され、そのインクが用紙Pに付着してドットを形成する。ヘッド5は、キャリッジ4に搭載されている。
【0026】
移動機構6は、2つのガイドレール61、62と、キャリッジモータ63(図2参照)と、を有している。2つのガイドレール61、62は、前後方向に互いに離隔して配置され、各々が左右方向に延設されている。キャリッジ4は、2つのガイドレール61、62を跨ぐように配置されている。キャリッジ4は、ベルト(不図示)などを介してキャリッジモータ63に接続されている。制御部9の制御によりキャリッジモータ63が駆動されると、キャリッジ4がガイドレール61、62に沿って走査方向(左右方向)に移動する。これにより、キャリッジ4に搭載されたヘッド5は、走査方向に関して用紙Pを跨ぐように移動可能である。
【0027】
ヘッド5の下方には受け部51が配置されている。受け部51は、前後方向及び左右方向の両方向についてヘッド5からインクが吐出される領域を跨ぐように延びた平板部材である。受け部51は、ヘッド5からのインクのうち、用紙Pが存在する領域から外れた位置へと吐出されたインクを受ける。
【0028】
ヘッド5がキャリッジ4の移動に伴って走査方向に往復移動しつつ吐出したインクが用紙Pに到達した場合には、走査方向に沿ってドットが順に用紙P上に形成される。このような走査方向に沿ったドットの列が、搬送機構2によって用紙Pが搬送されつつ順に形成される。用紙P上の画像形成領域には、走査方向及び搬送方向の両方向にドットが並び、このようなドットの配列からなる画像が表れる。画像形成領域は、画像のサイズに応じた長方形の領域である。ヘッド5は、走査方向について用紙Pの外側に向かってインクを吐出することも可能である。この場合、インクは受け部51の上面に到達する。画像形成領域は、インクが吐出される全体の領域(後述の画像領域)とは一致しない場合がある。
【0029】
排紙トレイ7は、筐体100a内においてヘッド5の前方であって、給送トレイ1の上方に配置されている。排紙トレイ7は、筐体100aの前壁に形成された開口100qを介して筐体100aに対して前後方向に沿って挿抜可能である。ヘッド5により画像が記録された用紙Pは、排紙トレイ7に受容される。
【0030】
用紙Pがロール紙Rpに相当する場合、排紙トレイ7に排出されたロール紙Rpは、それ自体がユーザの所望する最終的な印刷物であるか、ユーザによって適宜のサイズに切断されたものが最終的な印刷物となる。ユーザによる切断は、主に、排出されたロール紙Rpの縦方向(ロール紙Rpの搬送方向に対応する方向)に沿ってなされる(後述)。以下、このように最終的に得られる印刷物を「最終印刷物」とする。
【0031】
筐体100a内にはカートリッジ装着部が設置されている。カートリッジ装着部には、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの各色のインクをそれぞれ貯留する4つのインクカートリッジが着脱自在に装着可能である。チューブなどを介して、カートリッジ装着部に装着されたインクカートリッジからヘッド5にインクが供給される。
【0032】
筐体100aの外側の前面にはタッチパネルディスプレイ95が設置されている。タッチパネルディスプレイ95は制御部9の制御により文字や画像等を画面に表示する。また、タッチパネルディスプレイ95は、画面に指等が接触するとその接触位置を検出し、検出結果を制御部9に送信する。
【0033】
制御部9は、プリンタ100全体の制御を行うものである。制御部9には、図2に示すように、給送モータ21a、中間モータ22a、搬送モータ23a、排紙モータ24a、切断モータ3a、ドライバIC52、キャリッジモータ63、タッチパネルディスプレイ95及び用紙センサ96が電気的に接続されている。
【0034】
制御部9は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)91、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)93、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)94等を備えている。ROM92には、CPU91及びASIC94が実行するプログラム等が格納されている。RAM93は、プログラム実行時に必要なデータを一時的に記憶するものである。このデータには、PC等の外部装置から送信されたり記録媒体から読み出されたりした画像データが含まれる。
【0035】
なお、制御部9は、CPU91のみが各種処理を行うものであってもよいし、ASIC94のみが各種処理を行うものであってもよいし、CPU91とASIC94とが協働して各種処理を行うものであってもよい。また、制御部9は、1つのCPU91が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のCPU91が処理を分担して行うものであってもよい。また、制御部9は、1つのASIC94が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のASIC94が処理を分担して行うものであってもよい。
【0036】
制御部9は、主に、画像形成の方法を示す各種の情報をユーザに入力させる情報入力処理及び情報入力処理において入力された情報に従って用紙Pに画像を形成する画像形成処理を実行する。
【0037】
情報入力処理において入力される各種の情報には、画像形成に用いる用紙Pの種類(カット紙Kpかロール紙Rpか)、ロール紙Rpが用いられる場合には最終印刷物のサイズ、通常印刷かフチなし印刷(後述)か、フチなし印刷のモード(後述の第1モード~第4モード)の選択結果等を示す情報がある。情報入力処理においては、これらを入力させるための文字や画像等の表示を含んだ画面表示がタッチパネルディスプレイ95によって行われると共に、ユーザがタッチパネルディスプレイ95に指等を接触させた位置に基づいて情報の入力が行われる。最終印刷物のサイズは、形成される画像の縦方向に対応する方向及び横方向に対応する方向のそれぞれについて入力される。画像の縦方向とは用紙Pの搬送方向に沿った方向であり、画像の横方向とは用紙Pに沿った方向であって縦方向と直交する方向である。本実施形態においては、最終印刷物のサイズにおける縦方向及び横方向の比率(以下、縦横比とする)は、画像データが示す画像(元の画像データから拡大及び縮小のいずれも行われていない画像)の縦横比と一致する。なお、制御部9が情報入力処理を実行する機能が、本発明の「情報取得部」の機能に対応する。以下、情報入力処理において入力される最終印刷物のサイズを指定サイズとする。指定サイズを示す情報が本発明の「指定サイズ情報」に相当する。また、フチなし印刷のモードの選択結果を示す情報が本発明の「選択情報」に相当する。
【0038】
制御部9は、情報入力処理において入力された情報に沿って、搬送機構2、カッター3及びヘッド5を以下のように制御する。制御部9は、RAM93に格納された画像データに基づき、用紙Pを搬送経路に沿って所定距離ずつ搬送させる搬送動作を搬送機構2に行わせることと、移動機構6にキャリッジ4を走査方向に往復移動させつつ、複数のノズルから用紙Pに対してインクを吐出させる画像形成動作をヘッド5に行わせることとを交互に繰り返し実行する。このとき、制御部9は、情報入力処理で入力された情報が示す種類の用紙Pを搬送機構2に搬送させる。また、制御部9は、用紙Pに対して設定された画像領域(図3等参照)に対して、画像データが示す画像を縦方向及び横方向のそれぞれについて適宜の大きさに調整しつつ、調整した画像に応じたインクの吐出をヘッド5に行わせる。
【0039】
用紙Pがカット紙Kpである場合には、カット紙Kpは、搬送機構2によって搬送されつつヘッド5から吐出されたインクを受ける。これにより、カット紙Kpは、画像形成済みの用紙となって排紙トレイ7へと排出される。情報入力処理において入力された情報が通常印刷を示す場合、排出されたカット紙Kpには、図3(a)に示すように画像領域の周囲に空白領域が設定されつつ画像が形成されている。情報入力処理において入力された情報がフチなし印刷を示す場合、画像領域が縦方向及び横方向の両方についてカット紙Kpを跨ぐように設定される。これにより、排出されたカット紙Kpには、図3(b)に示すように用紙の縦方向及び横方向一杯に画像が形成されている。フチなし印刷におけるカット紙Kp上の画像は、縦方向の両端部及び横方向の両端部が一部切れた状態となる。
【0040】
用紙Pがロール紙Rpである場合には、ロール紙Rpは、搬送機構2によって搬送されつつヘッド5から吐出されたインクを受ける。ロール紙Rpは、制御部9による制御に従ったカッター3の切断動作によって所望の長さに切断される。カッター3の切断動作によって切断されたロール紙Rpは、所望の長さを有する1枚ごとの画像形成済みの用紙となって排紙トレイ7へと排出される。
【0041】
情報入力処理において入力された情報が通常印刷を示す場合、図4に示すように、排出されたロール紙Rpは、ユーザ指定領域内に設定された画像領域に画像が形成されていると共に、カッター切断位置において横方向に沿って切断されている。ユーザ指定領域は指定サイズに対応する領域である。つまり、ユーザ指定領域は、縦方向及び横方向のそれぞれについて指定サイズの大きさを有する長方形の領域である。縦方向についてユーザ指定領域の先端はロール紙Rpの先端と一致している。また、ユーザ指定領域は、画像領域と、画像領域の周囲に設定された空白領域とを含んでいる。カッター切断位置は、切断後のロール紙Rpが縦方向についてユーザ指定領域と一致するように設定されている。これに従って搬送動作、画像形成動作及び切断動作が施されたロール紙Rpが排紙トレイ7に排出される。ユーザは、排出されたロール紙Rpを、ユーザ切断位置1及びユーザ切断位置2に沿って縦方向に切断することで最終印刷物を得る。ユーザ切断位置1及びユーザ切断位置2は、横方向に関するユーザ指定領域の両端の位置である。
【0042】
情報入力処理において入力された情報がフチなし印刷を示す場合は、横方向についてのユーザ指定領域の幅がロール紙Rpの幅と一致するか否かによって事情が異なる。横方向についてのユーザ指定領域の幅がロール紙Rpの幅と一致する場合、カット紙Kpのフチなし印刷と同様の以下のような方法でフチなし印刷が実行される。図5に示すように、ユーザ指定領域は、その縦方向の先端がロール紙Rpの先端と一致するように設定される。カッター切断位置は、切断後のロール紙Rpが縦方向についてユーザ指定領域と一致するように設定される。画像領域は、ユーザ指定領域を縦方向及び横方向の両方について跨ぐように設定される。つまり、画像領域は、切断後のロール紙Rpを縦方向及び横方向の両方に跨ぐように設定される。この画像領域に対してヘッド5の画像形成動作が行われる。これにより、排紙トレイ7に排出されるロール紙Rpは、縦方向及び横方向の両方についてユーザ指定領域と一致し、縦方向及び横方向一杯に画像が形成された最終印刷物となる。画像は、図5のように、縦方向の両端部及び横方向の両端部が一部切れた状態となる場合がある。
【0043】
これに対し、横方向についてユーザ指定領域の幅がロール紙Rpの幅より小さい場合、カット紙Kpと同様の方法でフチなし印刷が行われると以下のような問題が生じる。図4の破線は、仮に、縦方向及び横方向の両方に関してユーザ指定領域を跨ぐように画像領域が設定された場合の画像に含まれる楕円形の図形の外縁を示している。このように設定された画像領域に関してロール紙Rpに画像が形成された場合、排出されたロール紙Rpがユーザによってユーザ切断位置1及び2に沿って切断されると、フチなし印刷の最終印刷印刷物が得られる。しかしながら、ロール紙Rp上の画像は横方向に関してユーザ指定領域より大きい。このため、ユーザがロール紙Rpを切断する際、ユーザ切断位置1及び2がどの位置であるかが画像を見るだけでは把握しづらい。
【0044】
そこで、本実施形態に係るロール紙Rpのフチなし印刷には、上記を考慮した以下の第1モード~第4モードが用いられる。
【0045】
第1モードでは、図6に示すように、ユーザ指定領域が、その縦方向の先端がロール紙Rpの先端と一致するように設定される。カッター切断位置は、切断後のロール紙Rpが縦方向についてユーザ指定領域と一致するように設定される。画像領域はユーザ指定領域と全体に一致するように設定される。したがって、画像領域の縦横比は画像データの縦横比と等しくなる。この画像領域に対してヘッド5の画像形成動作が行われる。ユーザ切断位置1及び2は、横方向についてユーザ指定領域の両端(=画像領域の両端)の位置である。これに従って搬送動作、画像形成動作及び切断動作が施されたロール紙Rpが排紙トレイ7に排出される。ユーザは、排出されたロール紙Rpを、ユーザ切断位置1及びユーザ切断位置2に沿って縦方向に切断することで最終印刷物を得る。このモードでは、ユーザ切断位置1及び2が画像領域の両端、つまり、形成された画像の両端の位置である。このため、ロール紙Rpの画像を見てユーザ切断位置1及び2を判断しやすい。また、ユーザ指定領域と一致する画像領域に画像が形成されると共に、画像データにおける縦横比と同じ縦横比で画像が形成される。一方、カッター3による実際の切断位置が本来の位置からずれると、最終印刷物の端部に空白が生じるおそれがある。
【0046】
第2モードでは、図7に示すように、ユーザ指定領域が、その縦方向の先端がロール紙Rpの先端と一致するように設定される。カッター切断位置は、切断後のロール紙Rpが縦方向についてユーザ指定領域と一致するように設定される。画像領域は、縦方向についてユーザ指定領域(つまり、縦方向について切断後のロール紙Rpが占めることになる範囲)を跨ぎ、且つ、横方向についてユーザ指定領域と一致するように設定される。つまり、画像領域は、縦方向についてユーザ指定領域の両端からはみ出したはみ出し領域1及びはみ出し領域2とユーザ指定領域とからなるように設定される。この画像領域に対してヘッド5の画像形成動作が行われる。これにより、画像は元の画像データよりも縦方向について引き伸ばされてロール紙Rp上に形成される。ユーザ切断位置1及び2は、横方向についてユーザ指定領域の両端(=画像領域の両端)の位置である。これに従って搬送動作、画像形成動作及び切断動作が施されたロール紙Rpが排紙トレイ7に排出される。ユーザは、排出されたロール紙Rpを、ユーザ切断位置1及び2に沿って縦方向に切断することで最終印刷物を得る。このモードでは、ユーザ切断位置1及び2が画像領域の両端、つまり、形成された画像の両端の位置である。このため、ロール紙Rpの画像を見てユーザ切断位置1及び2を把握しやすい。また、縦方向についてユーザ指定領域を跨ぐ画像領域に対して画像形成動作が行われるので切断後のロール紙Rpに空白が生じにくくなる。一方、図7に示すように、最終印刷物において画像の縦方向の両端部が切れた状態になる場合がある。
【0047】
第3モードでは、図8に示すように、ユーザ指定領域が、その縦方向の先端がロール紙Rpの先端より上流側に設定される。カッター切断位置は、ユーザ指定領域より上流側、つまり、ユーザ指定領域の外側に設定される。画像領域はユーザ指定領域と全体に一致するように設定される。したがって、画像領域の縦横比は画像データの縦横比と等しくなる。この画像領域に対してヘッド5の画像形成動作が行われる。ユーザ切断位置1及び2は、横方向についてユーザ指定領域の両端(=画像領域の両端)の位置である。また、これらに加え、縦方向についてユーザ指定領域の両端(=画像領域の両端)の位置がユーザ切断位置3及び4となる。これに従って搬送動作、画像形成動作及び切断動作が施されたロール紙Rpが排紙トレイ7に排出される。ユーザは、排出されたロール紙Rpを、ユーザ切断位置1及び2に沿って縦方向に切断すると共に、ユーザ切断位置3及び4に沿って横方向に切断することで最終印刷物を得る。このモードでは、ユーザ切断位置1~4が画像領域の縦方向及び横方向の両端、つまり、形成された画像の縦方向及び横方向の両端の位置である。このため、ロール紙Rpの画像を見てユーザ切断位置1~4を把握しやすい。また、ユーザ指定領域と一致する画像領域に画像が形成されると共に、画像データにおける縦横比と同じ縦横比で画像が形成される。一方、ユーザ切断位置1及び2のみならずユーザ切断位置3及び4においてもユーザがロール紙Rpを切断しなければならない。
【0048】
第4モードでは、図9に示すように、ユーザ指定領域が、その縦方向の先端がロール紙Rpの先端と一致するように設定される。カッター切断位置は、切断後のロール紙Rpが縦方向についてユーザ指定領域と一致するように設定される。画像領域は、縦方向及び横方向の両方についてユーザ指定領域(つまり、縦方向について切断後のロール紙Rpが占めることになる範囲)を跨ぎ、且つ、画像領域の縦横比が画像データの縦横比と等しくなるように設定される。つまり、画像領域は、縦方向及び横方向のそれぞれについてユーザ指定領域の両端からはみ出したはみ出し領域とユーザ指定領域とからなるように設定される。この画像領域に対してヘッド5の画像形成動作が行われる。ユーザ切断位置1及び2は、横方向についてユーザ指定領域の両端の位置である。さらに、上記画像形成動作において、ロール紙Rp上の横方向についてユーザ切断位置1及び2に、縦方向に沿った線分状の破線マーカ(本発明の「マーカ」に相当する)が形成される。これにより、破線マーカは、ユーザ指定領域の横方向の幅に対応する切断位置をユーザに適切に指示する。これに従って搬送動作、画像形成動作及び切断動作が施されたロール紙Rpが排紙トレイ7に排出される。ユーザは、排出されたロール紙Rpを、ユーザ切断位置1及び2に沿って縦方向に切断することで最終印刷物を得る。このモードでは、ユーザ切断位置1及び2を指示する破線マーカがあるため、ロール紙Rpを見てユーザ切断位置1及び2が把握しやすい。また、縦方向についてユーザ指定領域を跨ぐ画像領域に対して画像形成動作が行われるので、切断後のロール紙Rpに空白が生じにくくなる。一方、図9に示すように、最終印刷物において画像の縦方向及び横方向のそれぞれの両端部が切れた状態になる場合がある。
【0049】
以上のように、第1モード~第4モードにはそれぞれの特徴があり、一長一短がある。このため、本実施形態は、第1モード~第4モードのいずれか2つ以上からなる複数の選択肢からユーザがいずれかを選択するように構成されている。そして、情報入力処理において、上記選択肢から使用するモードを選択するための画面表示がタッチパネルディスプレイ95によって行われると共に、ユーザがタッチパネルディスプレイ95に指等を接触させた位置に基づいてモードの選択が行われる。
【0050】
このような複数の選択肢の内容は、画像データが示す画像の種類に応じて調整されてもよい。例えば、画像が写真に関する場合には、第2モード及び第4モードからなる第1選択肢群が選択肢として用いられる。第2モード及び第4モードは最終印刷物の端部において空白が生じにくい。このため、空白が生じないことが好ましい写真の画像形成に適している。また、画像が設計図面に関する場合には、第1モード及び第3モードからなる第2選択肢群が選択肢として用いられる。第1モード及び第3モードはロール紙Rp上に形成される画像の縦横比が画像データの縦横比と等しい。また、画像の端部が切れた状態となりにくい。このため、縦横比を変えず、端部が切れないことが好ましい設計図面の画像形成に適している。さらに、画像が文書に関する場合には、第1モード~第4モードからなる第3選択肢群が選択肢として用いられる。文書は、空白や縦横比等に関する制約の必要性が小さい。このため、第1モード~第4モードの全てを選択肢とすることで選択の幅を広げることができる。
【0051】
なお、第1選択肢群~第3選択肢群からの選択は、画像の種類を制御部9が自動で判定した結果に基づいて制御部9が行ってもよいし、画像の種類を示すユーザ入力の結果に基づいて制御部9が行ってもよい。
【0052】
以上説明した本実施形態によると、第1モード~第4モードのいずれにおいても、排出されたロール紙Rpをユーザ切断位置1及び2、あるいは1~4で切断することで最終印刷物を得ることができる。ユーザ切断位置1~4のいずれも、ロール紙Rp上の画像の両端に位置するか、破線マーカに沿っている。このため、どの位置で切断すれば最終印刷物を得られるかをユーザが把握しやすい。一方で、上記の通り、各モードにはそれぞれの特徴がある。このように互いに異なる特徴を有する第1モード~第4モードの2つ以上を含んだ選択肢からフチなし印刷のモードを選択可能であるので、ユーザの要望に適切に応じたフチなし印刷を実施することができる。
【0053】
[第2の実施形態]
以下、本発明の別の一実施形態に係る第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、図10に示すようにPC150とプリンタ200を備えたプリンタシステムに係る。プリンタ200における第1の実施形態に係るプリンタ100との主な違いは、制御部9の代わりに制御部209が採用されていることにあり、その他の構成は第1の実施形態と第2の実施形態とで共通である。このため、以下では、第1の実施形態との上記違いについて主に説明すると共に、第1の実施形態と共通の構成には同一の符号を使用し、適宜その説明を省略する。
【0054】
PC150は、CPU、ROM、RAM等のハードウェアを備えたコンピュータと、ROMやRAM等に格納されたプログラム等のソフトウェアとからなる。ソフトウェアがハードウェアを、以下の処理を実行するように機能させる。ソフトウェアは、プリンタ200に対応するドライバソフトウェアを含んでいる。PC150とプリンタ200は、各種の通信手段を用いて通信可能に接続されている。
【0055】
第2実施形態では、第2モードにおいて画像データが示す画像が画像領域に対応するように縦方向に引き伸ばされる処理と、第1選択肢群~第3選択肢群から使用する選択肢群が選択される処理とが、プリンタ200側ではなく、PC150側において実行される。前者の処理により縦方向に引き伸ばされた画像を示すデータと、後者の処理による選択結果を示すデータは、プリンタ200へと送信される。制御部209は、これらの処理を自ら行わず、その代わりにPC150から送信されるデータを用いる点において第1の実施形態に係る制御部9と異なる。制御部209のその他の機能については制御部9と同様である。
【0056】
[第3の実施形態]
以下、本発明のさらに別の一実施形態に係る第3の実施形態について説明する。本実施形態における第1及び第2の実施形態との主な違いは、上記第2モードの代わりに、図11に示す第2’モードが用いられる点にあり、その他の構成は第1及び第2の実施形態と第3の実施形態とで共通である。このため、以下では、第1及び第2の実施形態との上記違いについて主に説明すると共に、第1及び第2の実施形態と共通の内容に係る説明を適宜省略する。
【0057】
第2’モードにおいては、ユーザ指定領域、はみ出し領域1・2及びカッター切断位置が第2モードと同様に設定される。一方、図11に示すように、ユーザ指定領域に対して画像データが示す画像の全体(本発明の「第1画像部分」に相当する)に関する画像形成動作が行われ、はみ出し領域1に対してユーザ指定領域の下流側の画像の端部と同じ内容の画像(本発明の「第2画像部分」に相当する)に関する画像形成動作が行われ、はみ出し領域2に対してユーザ指定領域の上流側の画像の端部と同じ内容の画像(本発明の「第2画像部分」に相当する)に関する画像形成動作が行われる。これによると、最終印刷物の先端及び後端が、画像データが示す画像の両端と一致する。このため、画像データが示す画像の端部が最終印刷物において切れた状態になりにくい。また、仮に、カッター3による実際の切断位置が本来の位置からずれたとしても、最終印刷物の端部に空白が生じにくい。さらに、このようなずれにより、はみ出し領域1やはみ出し領域2の画像が最終印刷物側に入り込んだとしても、その内容は、ユーザ指定領域に形成された画像の端部と同じである。したがって、ユーザ指定領域とはみ出し領域1又は2とで同じ画像内容が連続するので、ユーザにとって違和感が生じにくい。
【0058】
[第4の実施形態]
以下、本発明のさらに別の一実施形態に係る第4の実施形態について説明する。本実施形態における第1の実施形態との違いは、第4の実施形態に係るプリンタが、第1モード~第4モードのいずれかのモードのみを備えている点にあり、その他の構成は第1の実施形態と第3の実施形態とで共通である。つまり、第2の実施形態に係るプリンタは、第1モードを備えたプリンタ、第2モードを備えたプリンタ、第3モードを備えたプリンタ、及び第4モードを備えたプリンタのいずれかとして実現される。これにより、各モードの特徴を備えたプリンタが実現する。
【0059】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0060】
例えば、上述の実施形態では、第1モード、第3モード及び第4モードにおいて、画像領域の縦横比が画像データの縦横比と等しい。これに対し、これらのモードにおける画像領域の縦横比が画像データの縦横比から変化してもよい。
【0061】
また、上述の実施形態では、ヘッド5がカッター3の下流側に配置されている。これに対し、ヘッド5がカッター3の上流側に配置されていてもよい。この場合、ロール紙Rpは、ヘッド5より下流側で切断されることになる。その結果、第2モード及び第4モードにおいてユーザ指定領域を跨ぐ画像領域に対して画像形成動作が行われると、ロール紙Rpには、画像領域に対応する範囲全体に画像が形成されることになる。
【0062】
また、上述の実施形態では、情報入力処理がプリンタ100のタッチパネルディスプレイ95を用いて実行される。これに対し、情報入力処理がプリンタ100と通信可能に接続された外部のPCにおいて実行されてもよい。そして、情報入力処理において入力された用紙Pの種類、最終印刷物のサイズ、通常印刷かフチなし印刷か、フチなし印刷のモードの選択結果等を示す情報がPCからプリンタ100に送信され、画像形成処理において用いられてもよい。この場合、プリンタ100がこれらの情報をPCから受け取る機能が本発明の「情報取得部」の機能に対応する。
【0063】
加えて、上述の各実施形態においては、プリンタ100に対して本発明を適用する場合について説明したが、これには限定されない。本発明は、ヘッドからインクを吐出するインクジェット式のその他の画像形成装置、例えば、複合機やコピー機などに適用されてもよい。また、インクジェット方式でインクを用紙Pに付着させる代わりに、トナーを用紙Pに付着させることで画像記録処理を実行するレーザー式の画像形成装置に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
2 搬送機構
4 キャリッジ
5 ヘッド
6 移動機構
9,209 制御部
10 インクカートリッジ
95 タッチパネルディスプレイ
100,200 プリンタ
150 PC
P 用紙
Rp ロール紙
Kp カット紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11