(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175325
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】タウオパチーの鑑別診断法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
G01N33/53 D
G01N33/53 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087713
(22)【出願日】2022-05-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)2021年6月14日 「順天堂大学学術情報リポジトリ」にて公開 (2)2022年3月18日 「順天堂大学学術情報リポジトリ」にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】502285457
【氏名又は名称】学校法人順天堂
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 大祐
(72)【発明者】
【氏名】服部 信孝
(72)【発明者】
【氏名】波田野 琢
(72)【発明者】
【氏名】今居 譲
(57)【要約】
【課題】タウオパチーのうち、大脳皮質基底核変性症とPSPとを区別して容易に診断できる方法を提供すること。
【解決手段】ヒト由来の検体にヒトタウ蛋白のA168から始まるC末断片のN末側を認識する抗体及びヒトタウ蛋白のN368で切断されたN末断片のC末側を認識する抗体を反応させることを特徴とする、ヒト検体中の大脳皮質基底核変性症に特異的なタウ断片の検出方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト由来の検体にヒトタウ蛋白のA168から始まるC末断片のN末側を認識する抗体及びヒトタウ蛋白のN368で切断されたN末断片のC末側を認識する抗体を反応させることを特徴とする、ヒト検体中の大脳皮質基底核変性症に特異的なタウ断片の検出方法。
【請求項2】
前記ヒトタウ蛋白のA168から始まるC末断片のN末側を認識する抗体と反応し、前記ヒトタウ蛋白のN368で切断されたN末断片のC末側を認識する抗体と反応しない検体が、大脳皮質基底核変性症に特異的なタウ断片を有する検体であると判定する請求項1記載の検出方法。
【請求項3】
前記抗体の反応が、免疫組織染色である請求項1又は2記載の検出方法。
【請求項4】
ヒト由来の検体に対して、ヒトタウ蛋白のA168から始まるC末断片のN末側を認識する抗体、ヒトタウ蛋白のN368で切断されたN末断片のC末側を認識する抗体、及びヒトタウ蛋白のA168-N368断片を認識する抗体から選ばれる1種以上の抗体を用いてウエスタンブロット法を行うことを特徴とする、ヒト検体中の大脳皮質基底核変性症に特異的なタウ断片の検出方法。
【請求項5】
ヒト由来の検体が、タウ蛋白を含有するヒト由来の検体である請求項1~4のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項6】
ヒトタウ蛋白のA168から始まるC末断片のN末側を認識する抗体及びヒトタウ蛋白のN368で切断されたN末断片のC末側を認識する抗体を含有する大脳皮質基底核変性症診断薬。
【請求項7】
ヒトタウ蛋白のA168から始まるC末断片のN末側を認識する抗体、ヒトタウ蛋白のN368で切断されたN末断片のC末側を認識する抗体、及びヒトタウ蛋白のA168-N368断片を認識する抗体から選ばれる1種以上の抗体を含有する、ウエスタンブロット用大脳皮質基底核変性症診断薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タウオパチーの鑑別診断法に関する。
【背景技術】
【0002】
タウオパチーは、ヒトの脳の神経細胞やグリア細胞において不溶化タウの沈着を伴う神経変性疾患群である。タウオパチーには、アルツハイマー病、大脳皮質基底核変性症(CBD)、進行性核上性麻痺(PSP)などがある。
このうち、CBDとPSPはともにパーキンソニズムを呈する代表的なタウオパチーであるが、両者は臨床的に鑑別が困難なことが多い。確定診断は、病理学的にはアストロサイトのタウ病理の形態、生化学的には患者脳不溶画分のタウC末側タウ断片のバンドパターンの違いによってなされるが、診断には経験を要する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、タウオパチーのうち、CBDとPSPとを区別して容易に診断できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
CBDは、生化学的にはサルコシル不溶分画中に37-40kDaのC末側タウ断片を認める点が特徴的だが、その生成機序は解明されていなかった。そこで 、本発明者は、タウ蛋白の切断酵素としてリソソーム酵素であるアスパラギンエンドペプチダーゼ(レグマイン)を想定して検討したところ、レグマインで処理したタウ凝集体の切断パターンの違いにより、37-40kDaのC末側タウ断片が生じることを見出した。また、切断パターンの違いはCBDに特異的なタウ凝集体の構造から生じることも見出し、レグマイン切断断片を認識する抗体を用いることにより、ウエスタンブロット法でCBDとPSPを鑑別できることを見出した。さらに、レグマイン切断部位を特異的に認識する抗体を用いることで、今まで免疫組織学的に区別が困難であったCBDのアストロサイト斑とPSPに特異的な房状アストロサイトを区別できることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は、次の発明[1]~[7]を提供するものである。
[1]ヒト由来の検体にヒトタウ蛋白のA168から始まるC末断片のN末側を認識する抗体及びヒトタウ蛋白のN368で切断されたN末断片のC末側を認識する抗体を反応させることを特徴とする、ヒト検体中のCBDに特異的なタウ断片の検出方法。
[2]前記ヒトタウ蛋白のA168から始まるC末断片のN末側を認識する抗体と反応し、前記ヒトタウ蛋白のN368で切断されたN末断片のC末側を認識する抗体と反応しない検体が、CBDに特異的なタウ断片を有する検体であると判定する[1]記載の検出方法。
[3]前記抗体の反応が、免疫組織染色である[1]又は[2]記載の検出方法。
[4]ヒト由来の検体に対して、ヒトタウ蛋白のA168から始まるC末断片のN末側を認識する抗体、ヒトタウ蛋白のN368で切断されたN末断片のC末側を認識する抗体、及びヒトタウ蛋白のA168-N368断片を認識する抗体から選ばれる1種以上の抗体を用いてウエスタンブロット法を行うことを特徴とする、ヒト検体中のCBDに特異的なタウ断片の検出方法。
[5]ヒト由来の検体が、タウ蛋白を含有するヒト由来の検体である[1] ~[4]のいずれかに記載の検出方法。
[6]ヒトタウ蛋白のA168から始まるC末断片のN末側を認識する抗体及びヒトタウ蛋白のN368で切断されたN末断片のC末側を認識する抗体を含有するCBD診断薬。
[7]ヒトタウ蛋白のA168から始まるC末断片のN末側を認識する抗体、ヒトタウ蛋白のN368で切断されたN末断片のC末側を認識する抗体、及びヒトタウ蛋白のA168-N368断片を認識する抗体から選ばれる1種以上の抗体を含有する、ウエスタンブロット用CBD診断薬。
【発明の効果】
【0006】
本発明方法によれば、簡便な免疫組織染色法又はウエスタンブロット法の手段により、CBDとPSPとを明確に区別して診断できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】タウ蛋白全長と、レグマイン切断部位、A168C末断片、N368N末断片、抗A168抗体と抗N368抗体の認識部位を示す図である。
【
図2】患者脳の1%サルコシル不溶画分のウエスタンブロットの図である。黒矢頭でCBDの特異的な37-40kDaC末断片を示している。タウC末抗体は、市販品タウモノクローナル抗体T46を使用した。
【
図3】PSPとCBDの不溶化タウにレグマインを反応させ、経時的変化を見たウエスタンブロットの図である。黒矢頭で全長タウ、白矢頭で37-40kDaC末断片を示している。
【
図4】PSPの房状アストロサイトとCBDのアストロサイト斑の、抗リン酸化タウ抗体と抗A168抗体による蛍光二重免疫組織染色の図である。抗リン酸化タウ抗体は、市販されているモノクローナル抗体AT8を使用した。
【
図5】PSPの房状アストロサイトとCBDのアストロサイト斑の抗リン酸化タウ抗体と抗N368抗体による蛍光二重免疫組織染色の図である。
【
図6】不溶化タウの立体構造をグアニジン塩酸塩で壊したのちにレグマインを反応させ、経時的変化を見たウエスタンブロットの図である。黒矢頭で全長タウ、白矢頭で37-40kDaC末断片を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一形態は、ヒト由来の検体に、ヒトタウ蛋白のA168から始まるC末断片のN末側を認識する抗体及びヒトタウ蛋白のN368で切断されたN末断片のC末側を認識する抗体を反応させることを特徴とする、ヒト検体中のCBDに特異的なタウ断片の検出方法である。
【0009】
本発明に用いられる検体としては、ヒト由来のタウ蛋白の存在が疑われる細胞を含む組織、髄液等の体液などが挙げられる。そのような細胞としては、神経細胞、アストロサイトを含む組織、体液、及び患者体液由来のタウ蛋白を感染させた培養細胞が挙げられる。
【0010】
本発明に用いられる抗体は、ヒトタウ蛋白のA168から始まるC末断片のN末側を認識する抗体と、ヒトタウ蛋白のN368で切断されたN末断片のC末側を認識する抗体である。
ヒトタウ蛋白のA168から始まるC末断片は、
図1に示すA168C末断片、すなわちタウ蛋白の168番目のアラニン(A)から始まるC末断片である。従って、ヒトタウ蛋白のA168から始まるC末断片のN末側を認識する抗体は、
図1のA168C末断片のN末側を認識する抗体(抗A168抗体)である。
このような抗A168抗体としては、A168から始まる6~20ペプチド、好ましくはA168から始まる6~16ペプチドを抗原として用いて、通常のモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体の製造法に従って製造することができる。得られた抗体から、A168C末断片のN末側を認識する抗体を、アフィニティー精製で単離するのが好ましい。
【0011】
ヒトタウ蛋白のN368で切断されたN末断片は、
図1に示すN368N末断片、すなわちタウ蛋白の368番目のアスパラギン(N)で切断されたN末断片である。従って、ヒトタウ蛋白のN368で切断されN末断片のC末側を認識する抗体は、
図1のN368N末断片のC末側を認識する抗体(抗N368抗体)である。
このような抗N368抗体としては、例えばN368をN末側とする6~20ペプチド、好ましくはN368をN末側とする6~16ペプチドを抗原として用いて、通常のモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体の製造法に従って製造することができる。得られた抗体から、N368N末断片のC末側を認識する抗体を、アフィニティー精製で単離するのが好ましい。また、N368N末断片のC末側を認識する抗体は、市販されているものを使用することもできる。
【0012】
ヒト由来の検体に、ヒトタウ蛋168から始まるC末断片のN末側を認識する抗体及びヒトタウ蛋白のN368で切断されたN末断片のC末側を認識する抗体を反応させる手段としては、ウエスタンブロット法と免疫組織染色法が挙げられるが、免疫組織染色法が好ましい。
【0013】
免疫組織染色は、蛍光染色及び色素染色のいずれでもよい。蛍光染色には、FITC、Alexa、Fluor色素、Cy色素などの蛍光色素を用いても、PE、APCなどの蛍光蛋白を用いてもよい。色素染色においては、標識酵素、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなどを用いることができる。また、染色方法としては、直接法、間接法、増感法のいずれでもよい。
ここで、抗A168抗体と抗N368抗体を用いて免疫組織染色する場合の手順としては、スライドガラス上に薄切した患者脳検体を、加熱法により不活化し、一次抗体、二次抗体を反応させる。自家蛍光を消失させる処理を行い、カバーガラスで封入することで、顕微鏡観察を行うことができる。
【0014】
図4のように、PSPの房状アストロサイトは前記2種の抗体のいずれにも反応した。一方、
図5のようにCBDのアストロサイト斑では、抗A168抗体は反応したが、抗N368抗体とは反応せず、CBDでは、N167で切断されるが、N368では切断耐性があることが判明した。
【0015】
免疫染色組織染色の結果から、前記ヒトタウ蛋白のA168から始まるC末断片のN末側を認識する抗体と反応し、前記ヒトタウ蛋白のN368で切断されたN末断片のC末側を認識する抗体と反応しない検体が、CBDに特異的なタウ断片を有する検体であると判定することができる。
【0016】
本発明の一態様は、ヒトタウ蛋白のA168から始まるC末断片のN末側を認識する抗体及びヒトタウ蛋白のN368で切断されたN末断片のC末側を認識する抗体を含有するCBD診断薬である。
本発明の診断薬に用いられる抗体は、前記の抗体自体でもよく、種々の酵素、色素などで標識された抗体であってもよい。また、本発明の診断薬には、緩衝剤、不活化剤、プロトコールなどが含まれていてもよい。
【0017】
本発明の別の一態様は、ヒト由来の検体に対して、ヒトタウ蛋白のA168から始まるC末断片のN末側を認識する抗体、ヒトタウ蛋白のN368で切断されたN末断片のC末側を認識する抗体、及びヒトタウ蛋白のA168-N368断片を認識する抗体から選ばれる1種以上の抗体を用いてウエスタンブロット法を行うことを特徴とする、ヒト検体中のCBDに特異的なタウ断片の検出方法である。
【0018】
本発明に用いられる検体としては、ヒト由来のタウ蛋白の存在が疑われる細胞を含む組織由来の細胞懸濁液、髄液等の体液などが挙げられる。そのような細胞としては、神経細胞、アストロサイトを含む組織、体液、及び患者体液由来のタウ蛋白を感染させた培養細胞が挙げられる。
【0019】
本発明に用いられるヒトタウ蛋白のA168から始まるC末断片のN末側を認識する抗体、及びヒトタウ蛋白のN368で切断されたN末断片のC末側を認識する抗体は、前記のものを用いることができる。また、ヒトタウ蛋白のA168-N368断片を認識する抗体としては、市販のこの断片を認識する抗体を使用することができる。
【0020】
ウエスタンブロット法は、例えば、患者脳不溶画分中のタウ蛋白を抗A168抗体に反応させる。または、患者脳不溶化中のタウ蛋白をレグマインに反応させたのち例えば抗A168抗体に反応させる。
図2のように、CBDの患者脳不溶画分中のタウ蛋白は抗A168抗体と反応させると37-40kDaの明瞭なバンドが得られるが、PSPでは明瞭なバンドは認めない。また、
図3のように患者脳不溶画分中のタウ蛋白をレグマインに反応させたのちに抗A168抗体に反応させると、CBDではレグマインに切断耐性のある37-40kDaのバンドが得られるが、PSPではレグマインによる切断が進むため、37-40kDaのバンドは経時的に消失することが判明した。
【0021】
レグマインの切断パターンの違いによるCBDでみられるタウ凝集体の構造の違いは、ウエスタンブロットでも区別できる。この方法では、抗A168抗体の使用のほか、市販されている抗タウ抗体の利用も可能である。抗A168抗体を使用の場合は、抗A168抗体で認識されるバンドが生じるか否かで区別ができる。抗タウ抗体の場合は、分子量の違い(ウエスタンブロットのバンドのパターン)で区別できる。
【0022】
本発明の別の一態様は、ヒトタウ蛋白のA168から始まるC末断片のN末側を認識する抗体、ヒトタウ蛋白のN368で切断されたN末断片のC末側を認識する抗体、及びヒトタウ蛋白のA168-N368断片を認識する抗体から選ばれる1種以上の抗体を含有する、ウエスタンブロット用CBD診断薬である。
本発明の診断薬に用いられる抗体は、前記の抗体自体でもよく、種々の酵素、色素などで標識された抗体であってもよい。また、本発明の診断薬には、緩衝剤、不活化剤、プロトコールなどが含まれていてもよい。
【0023】
CBDではアルツハイマー病やPSP、コントロール群と比較してレグマインの機能に異常はなく、N368部位での切断抵抗性はタウ凝集体の構造を壊すことで消失したことから、切断パターンの違いはタウ凝集体の構造の違いが原因であることが示唆された。また、レグマイン切断部位を特異的に認識する抗体を用いることで、アストロサイト斑とPSPで見られる房状アストロサイトを免疫組織学的に区別できることが明らかになった。
【実施例0024】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定さるものではない。
【0025】
実施例1(抗A168抗体の作製)
タウ蛋白のレグマイン切断断片であるA168から始まる10アミノ酸のC末端にシステイン残基を加えた11アミノ酸をペプチド抗原(配列番号1)としてウサギ2羽にそれぞれ計4回免疫し、免疫開始後49日目に全採血を行う。A168-C末断片から始まるリコンビナントタウに対する反応が強い血清のアフィニティー精製を行う。アフィニティー精製はリコンビナント全長タウとリコンビナントA168-C末断片をそれぞれ固層化したカラムを用い、A168-C末断片に反応し、全長タウに反応しない抗体を精製する。
【0026】
実施例2(検体と抗体との反応)
(材料)
患者脳凍結組織、又は患者脳ホルマリン固定パラフィン組織切片。
【0027】
(方法)
免疫組織染色法では、ホルマリン固定パラフィン包埋した患者脳組織を薄切しスライドガラスに伸展する。脱パラフィン処理後にpH9の緩衝液で熱賦活化を行う。ブロッキング後に一次抗体を反応させる。この際の一次抗体は200倍希釈を目安に使用する。二次抗体としてAlexa fluor色素を反応させた後に、自家蛍光を消失させ、カバーガラスで封入する。観察は共焦点顕微鏡で行う。
ウエスタンブロット法では、患者脳凍結組織から細胞懸濁液を作成し、サルコシルと反応させた後に超遠心を行い、ペレット(サルコシル不溶画分)を得る。得られたペレットはタウ凝集体の立体構造を壊す目的でグアニジン塩酸塩を処理した群と処理しない群に分け、それぞれレグマインで処理したのちに、ウエスタンブロットを行い、抗A168抗体と反応させる。
【0028】
(結果)
免疫組織染色では,アストロサイト斑にはN368切断部位を認識する抗体で染色性がなかったが、PSPの房状アストロサイトでは染色性を認めた。
ウエスタンブロット法で、抗168抗体はCBDの37-40kDaのC末側タウ断片を認識したが、PSPにはほとんど反応しなかった。
レグマインはタウ凝集体のN167、N368部位を切断したが、CBDのタウ凝集体でのみN368での切断に抵抗性を認めた。N167で切断され、N368で切断されなかったタウ断片により37-40kDaのC末側タウ断片は形成されていた。
図6のように、N368部位での切断抵抗性はタウ凝集体の構造を壊すことで消失した。