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特開2023-175348果菜載せ体、果菜搬送体、果菜自動選別装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175348
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】果菜載せ体、果菜搬送体、果菜自動選別装置
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/36 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
B07C5/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087755
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】391017702
【氏名又は名称】日本協同企画株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】宮田 和男
【テーマコード(参考)】
3F079
【Fターム(参考)】
3F079AC21
3F079AC23
3F079CA18
3F079CA19
3F079CA20
3F079CA21
3F079CA23
3F079CA34
3F079CA41
3F079CA42
3F079CB29
3F079DA12
3F079DA13
3F079DA18
3F079DA23
3F079EA03
(57)【要約】
【課題】 可動体からの落下時に果菜が受ける衝撃を緩和できるようにする。
【解決手段】 本発明の果菜載せ体は、無端搬送体に取り付ける基部と、基部に回転可能に軸支された可動体と、可動体を支持する支持体を備え、可動体は基部を無端搬送体に取り付けたときに、無端搬送体の走行方向に対して斜め後方を向くように設けられている。本発明の果菜搬送体は、無端搬送体に本発明の果菜載せ体が取り付けられたものである。本発明の果菜自動選別装置は、果菜載せ体に果菜を載せて搬送する果菜搬送体と、果菜搬送体で搬送中の果菜を計測する計測手段と、計測手段での計測結果に基づいて果菜の等階級を判別する等階級判別手段と、等階級判別手段での判別結果に基づいて果菜を等階級別に排出するプールコンベアを備えた装置であって、果菜載せ体として、本発明の果菜載せ体を備えたものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
果菜自動選別装置の無端搬送体に取り付けて使用する果菜載せ体において、
前記無端搬送体に取り付ける基部と、当該基部に回転可能に軸支された可動体と、当該可動体を支持する支持体を備え、
前記可動体は、前記基部を前記無端搬送体に取り付けたときに、当該無端搬送体の走行方向に対して斜め後方を向くように設けられた、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項2】
請求項1記載の果菜載せ体において、
可動体の上面に、無端搬送体の走行方向に対して斜め後方に向けて形成された斜めガイドが設けられた、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項3】
請求項1記載の果菜載せ体において、
可動体の上面に、果菜の落下を防止する落下防止部が設けられた、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項4】
請求項1記載の果菜載せ体において、
可動体は、無端搬送体の走行方向後方を向くようにねじれがつけられた、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項5】
請求項1記載の果菜載せ体において、
可動体に、排出された果菜が接触する緩衝体が設けられた、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項6】
請求項5記載の果菜載せ体において、
緩衝体が可動体の上面よりも下側に突設された、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項7】
請求項5記載の果菜載せ体において、
緩衝体が可動体の搬送方向後方側の端面に設けられた、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項8】
請求項1記載の果菜載せ体において、
可動体の上面に下り傾斜部と上り傾斜部が設けられ、
前記下り傾斜部と上り傾斜面の間に果菜載置部が設けられた、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項9】
無端搬送体に取り付けられた果菜載せ体に果菜を載せて搬送する果菜搬送体において、
前記果菜載せ体が請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の果菜載せ体である、
ことを特徴とする果菜搬送体。
【請求項10】
果菜載せ体に果菜を載せて搬送する果菜搬送体と、当該果菜搬送体で搬送中の果菜を計測する計測手段と、当該計測手段での計測結果に基づいて果菜の等階級を判別する等階級判別手段と、等階級判別手段での判別結果に基づいて果菜を等階級別に排出するプールコンベアを備えた果菜自動選別装置において、
前記果菜載せ体が請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の果菜載せ体である、
ことを特徴とする果菜自動選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果菜を載せて搬送する果菜載せ体と、当該果菜載せ体を備えた果菜搬送体及び果菜自動選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
果菜の選別には果菜自動選別装置が使用される。果菜自動選別装置の一種として、ピアノ鍵盤式(以下「PK式」という)と称される果菜載せ体を備えたもの(特許文献1~3)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-018354号公報
【特許文献2】特開2008-018355号公報
【特許文献3】特開2018-094474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記PK式の果菜載せ体では、可動体が下向きに回動することによって果菜が排出されるが、従来のPK式の果菜載せ体では、可動体上の果菜は搬送中に排出されるため、慣性力によって果菜が排出先で衝撃を受けることがあった。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、落下時に果菜が受ける衝撃を緩和することのできる果菜載せ体、果菜搬送体及び果菜自動選別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[果菜載せ体]
本発明の果菜載せ体は、果菜自動選別装置の無端搬送体に取り付けて使用するものであって、無端搬送体に取り付ける基部と、当該基部に回転可能に軸支された可動体と、当該可動体を支持する支持体を備えている。可動体は基部を無端搬送体に取り付けたときに、無端搬送体の走行方向に対して斜め後方を向くように設けられている。
【0007】
[果菜搬送体]
本発明の果菜搬送体は、無端搬送体に取り付けられた果菜載せ体に果菜を載せて搬送するものであって、果菜載せ体として本発明の果菜載せ体を備えたものである。
【0008】
[果菜自動選別装置]
本発明の果菜自動選別装置は、果菜載せ体に果菜を載せて搬送する果菜搬送体と、果菜搬送体で搬送中の果菜を計測する計測手段と、計測手段での計測結果に基づいて果菜の等階級を判別する等階級判別手段と、等階級判別手段での判別結果に基づいて果菜を等階級別に排出するプールコンベアを備えた装置であって、果菜載せ体として、本発明の果菜載せ体を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の果菜載せ体、果菜搬送体及び果菜自動選別装置では、可動体が無端搬送体の走行方向に対して斜め後方を向いているため、搬送方向に働く慣性力を打ち消して、落下時に果菜が受ける衝撃を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の果菜載せ体の一例を示す斜視図。
図2】(a)は図1の果菜載せ体の別の角度からの斜視図、(b)は図1の果菜載せ体の別の角度からの斜視図。
図3】(a)は可動体が支持体で支持された状態の説明図、(b)は可動体が下がった状態の説明図。
図4】(a)は図1の果菜載せ体の正面図、(b)は(a)の果菜載せ体の背面図、、(c)は(a)の果菜載せ体の平面図、(d)は(a)の果菜載せ体の底面図、(e)は(a)の果菜載せ体の左側面図、(f)は(a)の果菜載せ体の右側面図。
図5】果菜自動選別装置の排出受け部から整列部までの一例を示す斜視図。
図6】果菜自動選別装置の分散引き上げ体の途中から果菜搬送体の終端までの一例を示す斜視図。
図7図5の側面図。
図8図6の側面図。
図9図5の平面図。
図10図6の平面図。
図11】復帰ガイドの一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(果菜載せ体の実施形態)
本発明の果菜載せ体の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。一例として図1及び図2(a)(b)に示す果菜載せ体1は、無端搬送体(この実施形態では、搬送チェーン)19dに取り付ける基部2と、基部2に回転可能に軸支された可動体3と、可動体3を支持する支持体4を備えている。
【0012】
前記基部2は搬送チェーン19dへの取付け部2aと、可動体3及び支持体4を保持する保持片2bを備えている。保持片2bは二枚一組で構成され、基部2の上面に上向きに立設されている。この実施形態では、保持片2bが三組横並びに設けられている。
【0013】
保持片2bは可動体3の数に合わせて設ければよく、たとえば、可動体3が二本の場合には二組、四本の場合には四組とすることができる。各保持片2b(二枚一組の保持片)の間には可動体3の連結部3iが配置され、第一の軸材5で回転可能に軸支されている。
【0014】
この実施形態では、可動体3及び支持体4を三つずつ備えている場合を一例としているが、可動体3及び支持体4は三つより多くても少なくてもよい。果菜は、一本又は二本以上の可動体3に載せられて移動する。各可動体3は、基部2を搬送チェーン19dに取り付けたときに、搬送チェーン19dの走行方向に対して斜め後方を向くように設けられている。
【0015】
具体的には、各可動体3は、平面側から見た場合に、支持体4側に位置する当該支持体4と平行な平行部3aと、平行部3aから斜め後方側に向けて設けられた斜め部3bを備えている。斜め部3bは第一斜め部3cと第二斜め部3dの二つの領域を備えている。各可動体3の先端部は三角形状にしてあるが、先端部は方形状等、他の形状であってもよい。
【0016】
各可動体3は、平行部3a及び第一斜め部3cを側面側から見た場合に、基部2側の端部から先方側に向けて低くなる下り傾斜部とし、第二斜め部3dを第一斜め部3cとの境界位置から先端側に向けて高くなる上り傾斜部としてある。
【0017】
第二斜め部3dは、先端部の位置が平行部3aの基部2側の端部の位置よりも高くなるようにしてある。このようにすることで、果菜が可動体3の先端側から不用意に転がり落ちるのを防止することができる。ただし、果菜が転がり落ちない構造であれば、先端部の位置は平行部3aの基部2側の端部の位置と同じ又はそれよりも低くなるようにしてもよい。
【0018】
また、各可動体3は、正面側から見た場合に、上面が走行方向後方に向けて若干のねじれがつけられている。この方向のねじれをつけることで、果菜が搬送方向先方側から不用意に転がり落ちるのを防止することができる。ただし、ねじれは必要に応じて設ければよく、不要な場合にはねじれのないフラットな形状とすることもできる。
【0019】
また、各可動体3には、可動体3から排出された果菜が接触する緩衝体3eが設けられている。緩衝体3eに接触することで、可動体3から排出された果菜の落下速度を低減し、落下時の衝撃を緩和することができる。緩衝体3eは可動体に下向きに突出して設けられている。
【0020】
この実施形態の緩衝体3eは扇状であるが、緩衝体3eの形状は扇状以外であってもよい。この実施形態では、各可動体3に緩衝体3eが設けられているが、緩衝体3eは一部の可動体3にのみ設けることもできる。
【0021】
この実施形態の緩衝体3eは、各可動体3のうち、搬送チェーン19dの走行方向後方側の端面側に設けられている。緩衝体3eをこの位置に設けることで、可動体3から排出した果菜が排出直後に緩衝体3eに接触するため、緩衝体3eを可動体3の搬送チェーン19dの走行方向先方側の端面側に設ける場合に比べて、効率的に果菜の落下速度を低減させ、落下時の衝撃を緩和させることができる、
【0022】
なお、緩衝体3eは、可動体3と一体ものとして構成することも、可動体3と別体のものを後付けするように構成することもできる。
【0023】
三本の可動体3のうち、搬送チェーン19dの走行方向後方側の可動体3(以下「後方可動体」という)3Rの平行部3aの上面には、搬送チェーン19dの走行方向に平行な第一リブ(平行ガイド)3fが突設されている。図示する例では第一リブ3fが四枚の場合を一例としているが、第一リブ3fは四枚より多くても少なくてもよい。また、第一リブ3fは走行方向に対して斜め後方向きにすることもできる。
【0024】
後方可動体3Rの第一斜め部3cの上面には、搬送チェーン19dの走行方向に対して斜め後方を向いた第二リブ(斜めガイド)3gが突設されている。図示する例では第二リブ3gが二枚の場合を一例としているが、第二リブ3gは二枚より多くても少なくてもよい。
【0025】
後方可動体3Rの第二斜め部3dの上面には、走行中に果菜が可動体3から落下するのを防止するためのこぼれ止め(落下防止部)3hが突設されている。この実施形態のこぼれ止め3hは、直角三角形の断面を備えた三角柱状の部材であり、第二斜め部3dの長さ方向に沿って設けられている。
【0026】
この実施形態では、第一リブ3f、第二リブ3g及びこぼれ止め3hのすべてが設けられた場合を一例としているが、第一リブ3f、第二リブ3g及びこぼれ止め3hはすべてが必須の構成というわけではなく、不要な構成は適宜省略することができる。
【0027】
また、この実施形態では、第一リブ3f、第二リブ3g及びこぼれ止め3hが後方可動体3Rのみに設けられた場合を一例としているが、これらの構成(第一リブ3f、第二リブ3g及びこぼれ止め3h)は、三本の可動体3の他の一本の可動体3(先方可動体3Fや中間可動体3C)に設けることも、三本の可動体3の複数本に設けることもできる。
【0028】
複数本に設ける場合、先方可動体3Fと後方可動体3Rに設けるほか、先方可動体3Fと中間可動体3Cに設けたり、後方可動体3Rと中間可動体3Cに設けたりすることができる。どの可動体3に設けるかは、搬送対象である果菜の種類やサイズなどに応じて決めることができる。
【0029】
第一リブ3f、第二リブ3g及びこぼれ止め3hは、可動体3に直接設けることもできるが、可動体3を芯材と芯材に被せる被覆材とから構成し、第一リブ3f、第二リブ3g及びこぼれ止め3hを被覆材に設けるようにすることもできる。この場合、被覆材は、たとえば、シリコンやゴムなどの弾性材料で構成することができる。
【0030】
各可動体3には、平行部3aの底面側に連結部3iが突設されている。各連結部3iは基部2に設けられた保持片2b(二枚一組の保持片)の間に配置され、各連結部3i及び各保持片2bの貫通孔に挿通された第一の軸材5で回動可能に軸支されている。各可動体3には図示しない付勢バネが配置され、可動体3の先端側の端部が下方に回転する方向に付勢されている。
【0031】
前記支持体4は、それぞれの保持片2bの後端側(取付け部側)に、第二の軸材6で回転可能に支持されている。一例として図3(a)(b)に示す支持体4は側面視V字状であり、可動体3の係止溝3jに係止する係止部4aと、係止部4aの係止を解除する解除部4bを備えている。
【0032】
係止部4aを係止溝3jに係止することで可動体3がロックされ、係止部4aによる係止を解除することで可動体3が回転する(可動体3の先端側が下がる)ようにしてある。
【0033】
なお、この実施形態の果菜載せ体は、図4(a)~(f)に示すような外観を備えている。図4(a)は果菜載せ体の正面図、同(b)は(a)の果菜載せ体の背面図、同(c)は(a)の果菜載せ体の平面図、同(d)は(a)の果菜載せ体の底面図、同(e)は(a)の果菜載せ体の左側面図、同(f)は(a)の果菜載せ体の右側面図である。
【0034】
前記果菜載せ体の構成は一例であり、本発明の果菜載せ体の構成はこれに限定されるものではない。本発明の果菜載せ体は、所期の目的を達成できる範囲で、構成の追加や入替え、省略等の変更を加えることができる。
【0035】
(果菜搬送体及び果菜自動選別装置の実施形態)
次に、本発明の果菜搬送体及び果菜自動選別装置の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。図5~10は、果菜搬送体を備えた果菜自動選別装置の一例を示す概略図である。
【0036】
一例として図5~10に示す果菜自動選別装置は、コンテナ10から排出される果菜を受ける排出受け部11と、排出受け部11の先方に設けられた傾斜板12と、傾斜板12の先方に設けられた引き上げ体13と、引き上げ体13の先方に設けられた送り搬送体14と、送り搬送体14の先方に設けられた分散傾斜体15と、分散傾斜体15の先方に設けられた振動体16と、振動体16の先方に設けられた分散引き上げ体17と、分散引き上げ体17の先方に設けられた整列部18と、整列部18の先方に設けられた果菜搬送体19を備えている。
【0037】
この実施形態では、整列部18と果菜搬送体19が四条ずつ設けられ、それぞれの果菜搬送体19の始端側(整列部寄り)に設けられた計測手段20で、果菜載せ体1上の果菜を計測できるようにしてある。
【0038】
四条の果菜搬送体19の下方には、果菜搬送体19の搬送方向と交差(この実施形態では、直交)する向きに複数本のプールコンベア21が設けられ、果菜を等階級別にプールできるようにしてある。説明の便宜上、図面上ではプールコンベア21を二本のみ示しているが、実際は各等階級につき一又は二本以上ずつ設けられる。
【0039】
プールコンベア21の配列方向先方には、いずれのプールコンベア21にも排出されなかった果菜を排出するための不選別コンベア22がプールコンベア21と平行に(果菜搬送体19の搬送方向と交差する向きに)設けられている。不選別コンベア22の終端側には戻り搬送体23が設けられ、選別されなかった果菜を振動体16に戻せるようにしてある。
【0040】
前記排出受け部11はコンテナ10等から排出された果菜を受ける部分である。排出受け部11には、ベルトコンベア等を用いることができる。排出受け部11には、果菜が側方から落下するのを防止する落下防止壁(図示しない)を設けることができる。図示する例は一例であり、排出受け部11はこれ以外のものであってもよい。
【0041】
排出受け部11として、ベルトコンベアのように果菜を先方へ送る手段を備えていないものを用いることもできるが、この場合は、果菜を手作業で先方へ送ればよい。排出受け部11は省略することもできる。この場合、果菜をコンテナ10等から傾斜板12に直接供給することができる。
【0042】
前記傾斜板12は、排出受け部11から供給された果菜を引き上げ体13の下端側(始端側)へ送るものである。この実施形態では、傾斜板12として、側方に落下防止壁12aを備えた平板を用いている。傾斜板12を排出受け部11と兼用にして、コンテナ10等から排出された果菜を傾斜板12で受け、引き上げ体13の下端側へ送れるようにすることもできる。
【0043】
図示する例は一例であり、傾斜板12はこれ以外のものであってもよい。傾斜板12は省略することもできる。この場合、果菜をコンテナ10等から引き上げ体13に直接供給することができる。
【0044】
前記引き上げ体13は、傾斜板12から送られた果菜を複数個ずつ引き上げて、先方の送り搬送体14へ供給するものである。一例として図5図7及び図9に示す引き上げ体13はベルトコンベアの平ベルトの外周に複数の受け材13aが突設されたものである。受け材13aの突出幅は果菜が一つ収まる程度或いは若干はみ出す程度の幅としてある。
【0045】
隣接する受け材13aの間隔は果菜が一つ収まる程度の間隔、換言すれば、両受け材13aの間に果菜が上下方向に二個以上載らない間隔としてある。したがって、一つの受け材13aに載る複数の果菜は受け材13a上で重なることなく一列に整列することとなる。
【0046】
図示する例は一例であり、引き上げ体13はこれ以外のものであってもよい。引き上げ体13は省略することもできる。この場合、果菜をコンテナ10等から送り搬送体14に直接供給することができる。
【0047】
前記送り搬送体14は、引き上げ体13で引き上げられた果菜を先方の分散傾斜体15に供給するものである。この実施形態では、送り搬送体14として既存のベルトコンベアを用いているが、ローラコンベア等、ベルトコンベア以外のものを用いることもできる。
【0048】
図5図7及び図9に示すように、送り搬送体14の側方には複数の作業員を配置できるようにしてある。作業員は、送り搬送体14上を移動する果菜を一つ一つ確認し、傷が付いているものや虫に食われているものなどを適宜取り除くことで一次選別を行う。
【0049】
前記分散傾斜体15は、送り搬送体14から送られた果菜を分散して先方の振動体16へ供給するものである。この実施形態では、側方に落下防止壁15aを備えた先広がりの平板を用いている。平板の上面には分散ガイド15bが設けられ、分散傾斜体15に供給された果菜を分散できるようにしてある。送り搬送体14で作業を行う作業員は、分散ガイド15bを目印にして果菜を分散させることができる。
【0050】
前記振動体16は、分散傾斜体15から供給される果菜をさらに均等又は略均等にバランスよく分散させるものである。この振動体16は、載せられた果菜が横方向へ移動するように振動させてある。振動体16の振動によって横方向に分散された果菜は、その分散状態を維持したまま分散引き上げ体17に供給される。
【0051】
前記分散引き上げ体17は、振動体16から供給された果菜を引き上げて、先方の整列部18に供給するものである。この実施形態では、分散引き上げ体17として、ベルトコンベアの平ベルトの外周に複数の受け材17aが突設されたものを用いている。
【0052】
受け材17aの突設幅や隣接する受け材17aとの間隔等、分散引き上げ体17の基本的な構造は前記引き上げ体13と同じであるが、横幅は前記引き上げ体13よりも広くしてある。前記引き上げ体13と同様、分散引き上げ体17でも一つの受け材17aに載る複数の果菜は受け材17a上で重なることなく一列に整列することとなる。図示する例は一例であり、分散引き上げ体17はこれ以外のものであってもよい。
【0053】
前記整列部18は、分散引き上げ体17から供給される果菜の重なりを解消して、一列に整列させるものである。果菜の重なりを解消して一列に整列させるのは、計測手段20を通過する際に、果菜が重なって正確な計測が阻害されるのを防止するためである。
【0054】
一例として図6図8及び図10に示すものは、振動によって果菜の重なりを解消しながら先方へ送るものである。この実施形態では、幅の異なるものを三本直列に並べているが、三本より多くすることも三本より少なくすることもできる。
【0055】
三本の振動装置は、幅の広いものが手前、幅の狭いものが先方となるように、すなわち、果菜が移動する通路が先方に向かうにつれて狭くなるようにしてある。分散引き上げ体17から供給される果菜は、幅の広い振動装置から幅の狭い振動装置へ導かれ、最終的に一列に整列することとなる。
【0056】
この実施形態では、三本の振動装置からなる整列部18が横並びに四条設けられ、これら四条の整列部18に均等又は略均等にバランスよく果菜が供給されるようにしてある。四条の整列部18は、隣接する整列部18の隙間から果菜が落下するのを防止するため、間隔をあけずに設けられている。
【0057】
前記果菜搬送体19は果菜を搬送する手段であり、フレーム19aと、フレーム19aに沿って設置された搬送体19bと、搬送体19bに取り付けられた複数の果菜載せ体1と、フレーム19aに設けられた押し下げ具24を備えている。
【0058】
この実施形態の搬送体19bは、間隔をあけて配置されたスプロケット19cの外周に搬送チェーン19dが無端状に周回された縦回転式のものである。搬送チェーン19dには、一列のローラチェーンや二列のローラチェーン等、既存のチェーンを用いることができる。図示は省略しているが、スプロケット19cにはモータが接続され、搬送チェーン19dは当該モータの駆動力によって回転するようにしてある。
【0059】
搬送チェーン19dには複数の果菜載せ体1が取り付けられ、搬送チェーン19dの走行によってその走行方向に移動するようにしてある。この実施形態では、果菜載せ体1として、前記果菜載せ体1の実施形態で説明した果菜載せ体が搬送チェーン19dに取り付けられている。
【0060】
前記フレーム19aには、走行中の果菜載せ体1の支持体4を押し下げて、果菜載せ体1上の果菜をプールコンベア21や不選別コンベア22に排出する押し下げ具24が設けられている。各押し下げ具24は、フレーム19aの長手方向に間隔をあけて設けられている。押し下げ具24は、各プールコンベア21及び不選別コンベア22に対応する位置、具体的には、各プールコンベア21及び不選別コンベア22の手前側に一つずつ設けられている。
【0061】
一例として図6図8及び図10に示す押し下げ具24は、ロータリーソレノイド(図示しない)と、そのロータリーソレノイドの回転軸(図示しない)に固定された押し下げアーム24aと押し下げアーム24aの先端に設けられた押し盤24bを備えている。ロータリーソレノイドには等階級判別信号が送信され、その信号に従って押し下げアーム24aが回転するようにしてある。前記押し下げ具24は一例であり、これ以外の構成とすることもできる。
【0062】
前記計測手段20は、搬送中の果菜の形状やサイズ、糖度等を計測するものであり、撮影用のカメラ、処理回路、糖度計等から構成される。計測手段20は果菜搬送体19の上方や側方、下方等の任意位置に設置することができる。計測手段20には画像式、光学式等の各形式の計測器を使用することができる。
【0063】
この実施形態では、計測結果に基づき、図示しない等階級判別手段によって果菜の等階級が判別されるようにしてある。判別された等階級は、等階級判別信号として押し下げ具24のロータリーソレノイドに送信され、当該信号を受信したロータリーソレノイドが当該信号に従って動作するようにしてある。
【0064】
前記プールコンベア21は、果菜載せ体1から排出される果菜を引き継ぐものである。一例として図6図8及び図10に示すプールコンベア21は、間隔をあけて配置されたローラの外周に平ベルトが周回されたベルトコンベア式のものである。
【0065】
プールコンベア21は、四条の果菜搬送体19の下方に、これら果菜搬送体19と直交(交差)する向きに設けられ、各果菜搬送体19の果菜載せ体1から排出される果菜が引き継がれるようにしてある。
【0066】
プールコンベア21は図6及び図10の矢印方向に連続回転或いは間欠回転するようにしてある。図示は省略しているが、プールコンベア21は各等階級につき一本又は二本以上、好ましくは三本以上ずつ設けることができる。図示は省略しているが、プールコンベア21の先方には、プールコンベア21に排出された果菜の重量や個数を自動で計測してパック詰めするパック詰め装置を設けておくこともできる。
【0067】
前記不選別コンベア22は、等階級が判別されずに最終のプールコンベア21を通過した果菜を排出するためのコンベアである。この実施形態では、間隔をあけて配置されたローラの外周に平ベルトが周回されたベルトコンベアを、プールコンベア21と平行に一本設けてある。不選別コンベア22への果菜の排出は押し下げ具24で行われるようにしてある。
【0068】
前記不選別コンベア22の先方には、不選別コンベア22に排出された果菜を前記振動体16に戻すための戻り搬送体23が設けられている。この実施形態では、戻り搬送体23は果菜搬送体19の外側に果菜搬送体19と平行に設けられており、当該戻り搬送体23のベルトが、果菜搬送体19での果菜搬送方向と反対方向(果菜載せ体1が始端側に戻る方向)に進行するようにしてある。戻り搬送体23と振動体16の間には滑り板25が設けられ、戻り搬送体23で戻された果菜を振動体16へ供給できるようにしてある。
【0069】
前記復帰ガイド26は、下向きに回動した可動体3を元の状態、すなわち、可動体3の係止溝3jに支持体4の係止部4aが係止される状態に復帰させるためのガイドである。この実施形態では、図11に示すような一本の湾曲した棒を用いている。
【0070】
この復帰ガイド26は、終端側に向けてなだらかに上昇したのち水平になる形状であり、果菜載せ体1がこの復帰ガイド26の上面側に接触しながら移動することで、元の位置に復帰できるようにしてある。復帰ガイド26の構造はこれ以外であってもよい。
【0071】
前記果菜搬送体及び果菜自動選別装置の構成は一例であり、本発明の果菜搬送体及び果菜自動選別装置の構成はこれに限定されるものではない。本発明の果菜搬送体及び果菜自動選別装置は、所期の目的を達成できる範囲で、構成の追加や入替え、省略等の変更を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本願の果菜載せ体、果菜搬送体及び果菜自動選別装置は、各種果菜の選別に用いることができ、ミニトマトやカボス、栗といった比較的傷付き難い果菜を選別するのに特に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0073】
1 果菜載せ体
2 基部
2a 取付け部
2b 保持片
3 可動体
3a 平行部
3b 斜め部
3c 第一斜め部
3d 第二斜め部
3e 緩衝体
3f 第一リブ(平行ガイド)
3g 第二リブ(斜めガイド)
3h こぼれ止め(落下防止部)
3i 連結部
3j 係止溝
3C 中間可動体
3F 先方可動体
3R 後方可動体
4 支持体
4a 係止部
4b 解除部
5 第一の軸材
6 第二の軸材
10 コンテナ
11 排出受け部
12 傾斜板
12a 落下防止壁
13 引き上げ体
13a 受け材
14 送り搬送体
15 分散傾斜体
15a 落下防止壁
15b 分散ガイド
16 振動体
17 分散引き上げ体
17a 受け材
18 整列部
19 果菜搬送体
19a フレーム
19b 搬送体
19c スプロケット
19d 搬送チェーン(無端搬送体)
20 計測手段
21 プールコンベア
22 不選別コンベア
23 戻り搬送体
24 押し下げ具
24a 押し下げアーム
24b 押し盤
25 滑り板
26 復帰ガイド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11