IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大王パッケージ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-箱用シート 図1
  • 特開-箱用シート 図2
  • 特開-箱用シート 図3
  • 特開-箱用シート 図4
  • 特開-箱用シート 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175352
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】箱用シート
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/10 20060101AFI20231205BHJP
   B65D 5/02 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B65D5/10 C
B65D5/02 K
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087759
(22)【出願日】2022-05-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】513133077
【氏名又は名称】大王パッケージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100199808
【弁理士】
【氏名又は名称】川端 昌代
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(74)【代理人】
【識別番号】100208708
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 健志
(74)【代理人】
【識別番号】100215371
【弁理士】
【氏名又は名称】古茂田 道夫
(74)【代理人】
【識別番号】100187997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 厳輝
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 謙矢
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060BA05
3E060BC02
3E060BC10
3E060CG03
3E060DA13
(57)【要約】
【課題】本発明は、箱体の底部の組み立ての容易化を図ることが可能な箱用シートを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一態様に係る箱用シートは、一対の長さ面パネルの下縁から延出する一対の底外フラップと、一対の幅面パネルの下縁から延出する一対の底内フラップとを備え、底内フラップのそれぞれの先端縁に、一方の底外フラップの先端側の角部が差し込まれる第1切欠き及び他方の底外フラップの先端側の角部が差し込まれる第2切欠きが設けられており、第1切欠きが、この第1切欠きが設けられている底内フラップの先端縁側かつ第2切欠き側に向けて傾斜する第1傾斜縁を有し、第2切欠きが、この第2切欠きが設けられている底内フラップの先端縁側かつ第1切欠き側に向けて傾斜する第2傾斜縁を有しており、一対の底外フラップが時間差をおいて一対の底内フラップに重ねられるように、第1傾斜縁及び第2傾斜縁の傾斜角度が相違している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組立状態で対向する一対の長さ面パネル及び一対の幅面パネルと、
上記一対の長さ面パネルの下縁から延出する一対の底外フラップと、
上記一対の幅面パネルの下縁から延出する一対の底内フラップと
を備え、箱体に組み立てられる箱用シートであって、
上記底内フラップのそれぞれの先端縁に、一方の上記底外フラップの先端側の角部が差し込まれる第1切欠き及び他方の上記底外フラップの先端側の角部が差し込まれる第2切欠きが設けられており、
上記第1切欠きが、この第1切欠きが設けられている底内フラップの先端縁側かつ第2切欠き側に向けて傾斜する第1傾斜縁を有し、
上記第2切欠きが、この第2切欠きが設けられている底内フラップの先端縁側かつ第1切欠き側に向けて傾斜する第2傾斜縁を有しており、
上記一対の底外フラップが時間差をおいて上記一対の底内フラップに重ねられるように、上記第1傾斜縁及び上記第2傾斜縁の傾斜角度が相違している箱用シート。
【請求項2】
上記一対の底外フラップ同士の延出方向長さが等しく、かつ上記一対の底外フラップ同士の延出方向長さが上記幅面パネルの左右方向長さの1/2よりも大きい請求項1に記載の箱用シート。
【請求項3】
上記第1傾斜縁の深さ方向先端側の端部とこの第1傾斜縁に隣接する上記底内フラップの側縁との間隔と、上記第2傾斜縁の深さ方向先端側の端部とこの第2傾斜縁に隣接する上記底内フラップの側縁との間隔とが等しい請求項1又は請求項2に記載の箱用シート。
【請求項4】
上記底内フラップの先端縁に対する上記第1傾斜縁と上記第2傾斜縁との傾斜角度の差が10°以上30°以下である請求項1又は請求項2に記載の箱用シート。
【請求項5】
上記底外フラップの両側の側縁が、基端側から先端側に向けて幅方向の内側に傾斜して延びる縮幅部分と、この縮幅部分の先端側に配置され、上記底外フラップの先端縁に向けて幅方向の外側に傾斜して延びる拡幅部分とを有しており、
上記角部が、上記拡幅部分に設けられている請求項1又は請求項2に記載の箱用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
段ボールシート等から構成される箱用シートを組み立ててなる箱体が物品の梱包容器として広く用いられている。この箱用シートとしては、一対の底内フラップの先端縁に切欠きが設けられており、一対の底外フラップの先端側の角部をこれらの切欠きに差し込むことで底部が組み立てられるものが公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-343543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、一対の底内フラップの先端縁に2本の平行な切り込みを有し、一対の底外フラップの先端縁に差し込み片を有する構成が記載されている。特許文献1には、一対の底内フラップを外側から押圧するように一対の底外フラップを折り曲げていき、差し込み片を切り込みに差し込むことで底部を形成できることが記載されている。
【0005】
特許文献1に記載されている構成によると、一対の底外フラップの差し込み片が、一対の底内フラップの内面に同時に重ねられる。しかしながら、この構成によると、底部の組み立ての容易化を図り難いことがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、箱体の底部の組み立ての容易化を図ることが可能な箱用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る箱用シートは、組立状態で対向する一対の長さ面パネル及び一対の幅面パネルと、上記一対の長さ面パネルの下縁から延出する一対の底外フラップと、上記一対の幅面パネルの下縁から延出する一対の底内フラップとを備え、箱体に組み立てられる箱用シートであって、上記底内フラップのそれぞれの先端縁に、一方の上記底外フラップの先端側の角部が差し込まれる第1切欠き及び他方の上記底外フラップの先端側の角部が差し込まれる第2切欠きが設けられており、上記第1切欠きが、この第1切欠きが設けられている底内フラップの先端縁側かつ第2切欠き側に向けて傾斜する第1傾斜縁を有し、上記第2切欠きが、この第2切欠きが設けられている底内フラップの先端縁側かつ第1切欠き側に向けて傾斜する第2傾斜縁を有しており、上記一対の底外フラップが時間差をおいて上記一対の底内フラップに重ねられるように、上記第1傾斜縁及び上記第2傾斜縁の傾斜角度が相違している。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る箱用シートは、箱体の底部を容易に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る箱用シートを示す模式的平面図である。
図2図2は、図1の箱用シートを組み立ててなる箱体を示す模式的斜視図である。
図3図3は、図2の箱体の底部を組み立てる途中の状態を示す模式的底面図である。
図4図4は、図2の箱体の底部を組み立てる途中の図3の次の状態を示す模式的底面図である。
図5図5は、図2の箱体の模式的底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0011】
本発明の一態様に係る箱用シートは、組立状態で対向する一対の長さ面パネル及び一対の幅面パネルと、上記一対の長さ面パネルの下縁から延出する一対の底外フラップと、上記一対の幅面パネルの下縁から延出する一対の底内フラップとを備え、箱体に組み立てられる箱用シートであって、上記底内フラップのそれぞれの先端縁に、一方の上記底外フラップの先端側の角部が差し込まれる第1切欠き及び他方の上記底外フラップの先端側の角部が差し込まれる第2切欠きが設けられており、上記第1切欠きが、この第1切欠きが設けられている底内フラップの先端縁側かつ第2切欠き側に向けて傾斜する第1傾斜縁を有し、上記第2切欠きが、この第2切欠きが設けられている底内フラップの先端縁側かつ第1切欠き側に向けて傾斜する第2傾斜縁を有しており、上記一対の底外フラップが時間差をおいて上記一対の底内フラップに重ねられるように、上記第1傾斜縁及び上記第2傾斜縁の傾斜角度が相違している。
【0012】
当該箱用シートは、上記一対の底外フラップが時間差をおいて上記一対の底内フラップに重ねられるように、上記第1傾斜縁及び上記第2傾斜縁の傾斜角度が相違しているので、箱体の底部を容易に組み立てることができる。
【0013】
上記一対の底外フラップ同士の延出方向長さが等しく、かつ上記一対の底外フラップ同士の延出方向長さが上記幅面パネルの左右方向長さの1/2よりも大きいとよい。当該箱用シートによると、上記第1切欠きに差し込まれた底外フラップと上記第2切欠きに差し込まれた底外フラップとが、タイミングをずらしながら上記底内フラップの内面に容易に配置される。そのため、上記一対の底外フラップ同士の延出方向長さが等しく、かつ上記一対の底外フラップ同士の延出方向長さが上記幅面パネルの左右方向長さの1/2よりも大きいことで、一対の底外フラップ同士が干渉することを抑制しつつ、これらの底外フラップを上記一対の底内フラップの内面に重ねることができる。その結果、箱体の底部を容易に組み立てつつ、この底部において一対の底外フラップ同士を部分的に重ね合わせることで、底部の底抜けを容易に抑制することができる。
【0014】
上記第1傾斜縁の深さ方向先端側の端部とこの第1傾斜縁に隣接する上記底内フラップの側縁との間隔と、上記第2傾斜縁の深さ方向先端側の端部とこの第2傾斜縁に隣接する上記底内フラップの側縁との間隔とが等しいとよい。このように、上記第1傾斜縁の深さ方向先端側の端部とこの第1傾斜縁に隣接する上記底内フラップの側縁との間隔と、上記第2傾斜縁の深さ方向先端側の端部とこの第2傾斜縁に隣接する上記底内フラップの側縁との間隔とが等しいことで、上記第1切欠きに差し込まれた底外フラップと上記第2切欠きに差し込まれた底外フラップとを、上記第1傾斜縁及び上記第2傾斜縁と摺動させつつ、タイミングをずらしながら上記底内フラップの内面により容易に配置することができる。
【0015】
上記底内フラップの先端縁に対する上記第1傾斜縁と上記第2傾斜縁との傾斜角度の差としては10°以上30°以下が好ましい。このように、上記底内フラップの先端縁に対する上記第1傾斜縁と上記第2傾斜縁との傾斜角度の差が上記範囲内であることによって、上記第1切欠きに差し込まれた底外フラップと上記第2切欠きに差し込まれた底外フラップとを、上記第1傾斜縁及び上記第2傾斜縁と摺動させつつ、タイミングをずらしながら上記底内フラップの内面により容易に配置することができる。
【0016】
上記底外フラップの両側の側縁が、基端側から先端側に向けて幅方向の内側に傾斜して延びる縮幅部分と、この縮幅部分の先端側に配置され、上記底外フラップの先端縁に向けて幅方向の外側に傾斜して延びる拡幅部分とを有しており、上記角部が、上記拡幅部分に設けられているとよい。このように、上記底外フラップの両側の側縁が、基端側から先端側に向けて幅方向の内側に傾斜して延びる縮幅部分と、この縮幅部分の先端側に配置され、上記底外フラップの先端縁に向けて幅方向の外側に傾斜して延びる拡幅部分とを有しており、上記角部が、上記拡幅部分に設けられていることによって、上記第1切欠き及び上記第2切欠きに上記角部を容易かつ確実に差し込むことができる。
【0017】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0018】
[箱用シート]
図1の箱用シート10は、組立状態で対向する一対の長さ面パネル1及び一対の幅面パネル2と、一対の長さ面パネル1の下縁から延出する一対の底外フラップ3a、3b(第1底外フラップ3a及び第2底外フラップ3b)と、一対の幅面パネル2の下縁から延出する一対の底内フラップ4とを備える。また、当該箱用シート10は、一対の長さ面パネル1の上縁から延出する一対の蓋外フラップ5と、一対の幅面パネル2の上縁から延出する一対の蓋内フラップ6と、長さ面パネル1の側縁から延出する継代7とを備える。一対の長さ面パネル1及び一対の幅面パネル2は、左右方向に交互に連接されている。継代7は、左右方向外側(図1では右側)に位置する長さ面パネル1の外側の側縁から延出している。長さ面パネル1と幅面パネル2との間の境界線、長さ面パネル1と蓋外フラップ5及び底外フラップ3a、3bとの間の境界線、幅面パネル2と蓋内フラップ6及び底内フラップ4との間の境界線、並びに長さ面パネル1と継代7との間の境界線には、それぞれ折り曲げ容易線が設けられている。この折り曲げ容易線としては、特に限定されるものではなく、例えばシートの片面を筋押しして形成された罫線が挙げられる。なお、本明細書において、「上」とは、箱用シートを組み立ててなる箱体において想定される一般的な使用態様における上を意味し、「下」とは、箱用シートを組み立ててなる箱体において想定される一般的な使用態様における下を意味する。また、「左右方向」とは、箱用シートを組み立ててなる箱体において想定される一般的な使用態様における水平方向を意味する。
【0019】
底内フラップ4のそれぞれの先端縁には、一方の底外フラップ(第1底外フラップ3a)の先端側の角部11aが差し込まれる第1切欠き12、及び他方の底外フラップ(第2底外フラップ3b)の先端側の角部11bが差し込まれる第2切欠き13が設けられている。第1切欠き12は、この第1切欠き12が設けられている底内フラップ4の先端縁側かつ第2切欠き13側に向けて傾斜する第1傾斜縁12aを有する。第2切欠き13は、この第2切欠き13が設けられている底内フラップ4の先端縁側かつ第1切欠き12側に向けて傾斜する第2傾斜縁13aを有する。当該箱用シート10は、一対の底外フラップ3a、3bが時間差をおいて一対の底内フラップ4に重ねられるように、第1傾斜縁12a及び第2傾斜縁13aの傾斜角度が相違している。
【0020】
当該箱用シート10は、箱体に組み立て可能である。具体的には、当該箱用シート10は、図2の箱体20に組み立てられる。当該箱用シート10を箱体20に組み立てる手順について説明する。まず、左右方向外側(図1では右側)に位置する長さ面パネル1をこの長さ面パネル1に連接される幅面パネル2の内面に折り重ね、左右方向外側(図1では左側)に位置する幅面パネル2をこの幅面パネル2に連接される長さ面パネル1の内面に折り重ね、継代7を折り重ねられた幅面パネル2の内面に貼着する。これにより、一対の長さ面パネル1と一対の幅面パネル2とが無端状に接続され、箱体20の胴部(四角筒状部)が組み立てられる。次に、図3に示すように、一対の底内フラップ4をそれぞれ幅面パネル2の内面側に折り曲げ、さらに一対の底外フラップ3a、3bをそれぞれ底内フラップ4の外面に折り重ねる。続いて、図4に示すように、第1底外フラップ3aの先端側の両方の角部11aが一対の底内フラップ4の第1切欠き12に差し込まれ、かつ第2底外フラップ3bの先端側の角部11bが一対の底内フラップ4の第2切欠き13に差し込まれるように、一対の底外フラップ3a、3bを内側(箱体における内側)に押し込んでいく。その後、一対の底外フラップ3a、3bの角部11a、11bが一対の底内フラップ4の内面側に重なるように、一対の底外フラップ3a、3bの押し込みを解除する。これにより、図5に示すように、箱体20の底部が組み立てられる。次に、一対の蓋内フラップ6を内側に折り曲げ、さらに一対の蓋外フラップ5を内側に折り曲げて先端縁同士を突き合わせることで箱体20の蓋部を組み立てる。なお、一対の蓋外フラップ5の先端縁同士の合わせ目には、封函テープXを貼着してもよい。これにより、図2の箱体20が組み立てられる。
【0021】
当該箱用シート10に用いられるシートとしては、当該箱用シート10を組み立ててなる箱体20の形状を維持できる程度の強度を有する限り特に限定されるものではなく、例えば段ボールシート、ボール紙等の紙製シート、合成樹脂製シート、紙製シートと合成樹脂製シートとの積層シート等が挙げられる。中でも、加工性、衝撃吸収性、取扱性、リサイクル性、経済性等の点から紙製シートが好ましく、段ボールシートが特に好ましい。当該箱用シート10を形成する段ボールシートとしては、原紙を波形状に形成した中芯をライナーに貼り合わせたものであって、例えば波形状に形成された中芯を1枚のライナーに貼り合わせた片面段ボールシート、片面段ボールシートの段頂にさらにライナーを貼り合わせた両面段ボールシート、両面段ボールシートの片側に片面段ボールシートの段頂を貼り合わせた複両面段ボールシート、複両面段ボールシートの片側に片面段ボールシートの段頂をさらに貼り合わせた複々両面段ボールシート等が挙げられる。これらの中でも、加工性、経済性、耐久性等の点から両面段ボールシートが好ましい。
【0022】
(長さ面パネル)
長さ面パネル1は略矩形状である。また、一対の長さ面パネル1同士は、略同一形状である。長さ面パネル1の左右方向長さは、幅面パネル2の左右方向長さ以上とすることができる。長さ面パネル1の左右方向長さ及び上下方向長さは、箱体20に収容する物品の大きさ等に基づいて設定可能である。
【0023】
(幅面パネル)
幅面パネル2は略矩形状である。また、一対の幅面パネル2同士は、略同一形状である。幅面パネル2の左右方向長さは、箱体20に収容する物品の大きさ等に基づいて設定可能である。幅面パネル2の上下方向長さは、長さ面パネル1の上下方向長さと同じとすることができる。
【0024】
(底外フラップ)
底外フラップ3a、3bは、長さ面パネル1の下縁の略全領域から延出している。底外フラップ3a、3bは、それぞれ幅方向の中央位置を基準として左右対称(線対称)に形成されている。底外フラップ3a、3bの先端縁(より詳しくは、後述の先端部15の先端縁)は、長さ面パネル1の下縁と平行に延びている。一対の底外フラップ3a、3b同士は、同一形状である。
【0025】
底外フラップ3a、3bの両側の側縁は、基端側から先端側に向けて幅方向の内側に傾斜して延びる縮幅部分14aと、この縮幅部分14aの先端側に配置され、底外フラップ3a、3bの先端縁に向けて幅方向の外側に傾斜して延びる拡幅部分15aとを有する。底外フラップ3a、3bの角部11a、11bは、拡幅部分15aに設けられている。換言すると、底外フラップ3a、3bは、基端側から先端側に向けて縮幅する基部14と、基部14の先端側に配置され、底外フラップ3a、3bの先端縁に向けて拡幅する先端部15とを有しており、この先端部15の幅方向の両側に、それぞれ角部11a、11bが設けられている。なお、角部11a、11bの外縁は、第1切欠き12及び第2切欠き13への差し込みが容易となるように湾曲又は屈曲していてもよい。
【0026】
一対の底外フラップ3a、3b同士の延出方向長さは等しい。また、一対の底外フラップ3a、3b同士の延出方向長さは幅面パネル2の左右方向長さの1/2よりも大きい。より詳しくは、図5に示すように、一対の底外フラップ3a、3bは、箱体20に組み立てられた状態で先端部15同士が部分的に重なり合うように、幅面パネル2の左右方向長さの1/2よりも延出方向長さが大きく形成されている。
【0027】
(底内フラップ)
底内フラップ4は、幅面パネル2の下縁の略全領域から延出している。一対の底内フラップ4同士は、当該箱用シート10の展開状態(図1の状態)で左右対称に形成されている。底内フラップ4は、その先端縁に第1切欠き12及び第2切欠き13が形成された略矩形状である。底内フラップ4の先端縁は、幅面パネル2の下縁と平行に延びている。底内フラップ4の幅は、幅面パネル2の左右方向長さと略等しい。底内フラップ4の延出方向長さは、底外フラップ3a、3bの延出方向長さと同じとすることができる。以下、第1切欠き12及び第2切欠き13について詳説する。
【0028】
〔第1切欠き〕
第1切欠き12には、第1底外フラップ3aの角部11aが差し込まれる。
【0029】
上述のように、第1切欠き12は、底内フラップ4の先端縁側かつ第2切欠き13側に向けて傾斜する第1傾斜縁12aを有する。第1傾斜縁12aは直線状である。第1傾斜縁12aの一方又は両方の端部は丸められていてもよい。また、第1切欠き12は、第1傾斜縁12aの深さ方向の先端側に接続され、底内フラップ4の先端縁に対して垂直に延びる第1支持縁12bを有する。第1支持縁12bは、第1傾斜縁12aの深さ方向の先端側から連続して延びており、かつ底内フラップ4の先端縁に至っている。つまり、第1切欠き12は、第1傾斜縁12aを斜辺とし、第1支持縁12bを隣辺とする直角三角形状である。
【0030】
第1傾斜縁12a及び第1支持縁12bは、いずれも切断縁である。つまり、第1切欠き12は、底内フラップ4の先端側の一部を除去することで形成されている。このように形成されていることで、第1切欠き12に第1底外フラップ3aの角部11aを容易かつ確実に差し込むことができる。
【0031】
底内フラップ4の先端縁に対する第1傾斜縁12aの傾斜角度α(幅面パネル2の下縁と平行な仮想線に対する第1傾斜縁12aの傾斜角度)は、底内フラップ4の先端縁に対する第2傾斜縁13aの傾斜角度β(幅面パネル2の下縁と平行な仮想線に対する第2傾斜縁13aの傾斜角度)よりも小さい。
【0032】
傾斜角度αの下限としては、30°が好ましく、40°がより好ましい。一方、傾斜角度αの上限としては、60°が好ましく、50°がより好ましい。また、傾斜角度αとしては、45°であってもよい。傾斜角度αが上記下限に満たないと、第1切欠き12の深さを十分に大きくすることができず、第1切欠き12と角部11aとの係合が不十分となるおそれがある。逆に、傾斜角度αが上記上限を超えると、箱体20の底部を組み立てる際に第1底外フラップ3aと第2底外フラップ3bとが干渉するおそれが高くなる。
【0033】
底内フラップ4の先端縁と平行な方向における第1傾斜縁12aの長さD1の下限としては、シート厚さの5倍が好ましく、シート厚さの7倍がより好ましい。一方で、上記長さD1の上限としては、シート厚さの12倍が好ましく、シート厚さの10倍がより好ましい。上記長さD1が上記下限に満たないと、箱体20の底部を組み立てる際に第1底外フラップ3aと第2底外フラップ3bとが干渉するおそれが高くなる。逆に、上記長さD1が上記上限を超えると、第1切欠き12が大きくなり過ぎるおそれや、第1切欠き12と角部11aとの係合が不十分となるおそれがある。
【0034】
〔第2切欠き〕
第2切欠き13には、第2底外フラップ3bの角部11bが差し込まれる。
【0035】
上述のように、第2切欠き13は、底内フラップ4の先端縁側かつ第1切欠き12側に向けて傾斜する第2傾斜縁13aを有する。第2傾斜縁13aは直線状である。第2傾斜縁13aの一方又は両方の端部は丸められていてもよい。また、第2切欠き13は、第2傾斜縁13aの深さ方向の先端側に接続され、底内フラップ4の先端縁に対して垂直に延びる第2支持縁13bを有する。第2支持縁13bは、第2傾斜縁13aの深さ方向の先端側から連続して延びており、かつ底内フラップ4の先端縁に至っている。つまり、第2切欠き13は、第2傾斜縁13aを斜辺とし、第2支持縁13bを隣辺とする直角三角形状である。第1切欠き12と第2切欠き13との深さは等しい。
【0036】
第2傾斜縁13a及び第2支持縁13bは、いずれも切断縁である。つまり、第2切欠き13は、底内フラップ4の先端側の一部を除去することで形成されている。このように形成されていることで、第2切欠き13に第2底外フラップ3bの角部11bを容易かつ確実に差し込むことができる。
【0037】
底内フラップ4の先端縁に対する第1傾斜縁12aと第2傾斜縁13aとの傾斜角度の差(β-α)の下限としては、10°が好ましく、15°がより好ましい。一方で、上記傾斜角度の差(β-α)の上限としては、30°が好ましく、25°がより好ましい。上記傾斜角度の差(β-α)が上記下限に満たないと、箱体20の底部を組み立てる際に第1底外フラップ3aと第2底外フラップ3bとが干渉するおそれが高くなる。逆に、上記傾斜角度の差(β-α)が上記上限を超えると、第1切欠き12が大きくなり過ぎるおそれや、第1切欠き12の深さを十分に大きくすることができず、第1切欠き12と角部11aとの係合が不十分となるおそれがある。これに対し、上記傾斜角度の差(β-α)が上記範囲内であることによって、第1切欠き12に差し込まれた第1底外フラップ3aと第2切欠き13に差し込まれた第2底外フラップ3bとを、第1傾斜縁12a及び第2傾斜縁13aと摺動させつつ、タイミングをずらしながら底内フラップ4の内面により容易に配置することができる。
【0038】
第1傾斜縁12aの深さ方向先端側の端部とこの第1傾斜縁12aに隣接する底内フラップ4の側縁との間隔と、第2傾斜縁13aの深さ方向先端側の端部とこの第2傾斜縁13aに隣接する底内フラップ4の側縁との間隔とは等しいことが好ましい。このように構成されることで、第1切欠き12に差し込まれた第1底外フラップ3aと第2切欠き13に差し込まれた第2底外フラップ3bとを、第1傾斜縁12a及び第2傾斜縁13aと摺動させつつ、タイミングをずらしながら底内フラップ4の内面により容易に配置することができる。
【0039】
底内フラップ4の先端縁と平行な方向における第1傾斜縁12aの長さD1と、底内フラップ4の先端縁と平行な方向における第2傾斜縁13aの長さD2との差(D1-D2)の下限としては、シート厚さの1.5倍が好ましく、シート厚さの2倍がより好ましい。一方、上記差(D1-D2)の上限としては、シート厚さの4倍が好ましく、シート厚さの3倍がより好ましい。上記差(D1-D2)が上記下限に満たないと、箱体20の底部を組み立てる際に第1底外フラップ3aと第2底外フラップ3bとが干渉するおそれが高くなる。逆に、上記差(D1-D2)が上記上限を超えると、第1切欠き12及び第2切欠き13を適切なサイズに形成し難くなるおそれがある。
【0040】
〔箱体の底部の形成過程〕
当該箱用シート10による箱体20の底部の形成過程について詳説する。当該箱用シート10は、図4に示すように、第1底外フラップ3aの角部11aが第1切欠き12に差し込まれ、かつ第2底外フラップ3bの角部11bが第2切欠き13に差し込まれた状態で第1底外フラップ3a及び第2底外フラップ3bの押し込みを解除すると、シートの反力で一対の底外フラップ3a、3bが水平方向に戻される(なお、一対の底外フラップ3a、3bを水平方向に戻すにあたっては、例えば底外フラップ3a、3bの一方又は両方を上方から押さえてもよい。)。この際に、第1底外フラップ3aは、角部11aと第1傾斜縁12aとを摺動させながら、かつ第2底外フラップ3bは、角部11bと第2傾斜縁13aとを摺動させながら、水平方向に戻される。ここで、第1傾斜縁12aと第2傾斜縁13aとの傾斜角度が相違していることで、第1底外フラップ3aが底内フラップ4の内面に重なるタイミングと、第2底外フラップ3bが底内フラップ4の内面に重なるタイミングとにずれが生じる。より詳しくは、図5に示すように、第1底外フラップ3aが第2底外フラップ3bの下側に潜り込むように、一対の底外フラップ3a、3bが底内フラップ4の内面に順に重なり合う。その結果、一対の底外フラップ3a、3b同士の干渉を抑制しつつ、容易に底部を形成することができる。
【0041】
(蓋外フラップ)
蓋外フラップ5は略矩形状である。また、一対の蓋外フラップ5同士は、略同一形状である。蓋外フラップ5の幅は、長さ面パネル1の左右方向長さと略等しい。蓋外フラップ5の延出方向長さは、幅面パネル2の左右方向長さの略1/2である。
【0042】
(蓋内フラップ)
蓋内フラップ6は略矩形状である。また、一対の蓋内フラップ6同士は、略同一形状である。蓋内フラップ6の幅は、幅面パネル2の左右方向長さと略等しい。蓋内フラップ6の延出方向長さは、蓋外フラップ5の延出方向長さと同じとすることができる。
【0043】
<利点>
当該箱用シート10は、一対の底外フラップ3a、3bが時間差をおいて一対の底内フラップ4に重ねられるように、第1傾斜縁12a及び第2傾斜縁13aの傾斜角度が相違しているので、箱体20の底部を容易に組み立てることができる。
【0044】
当該箱用シート10によると、第1切欠き12に差し込まれた第1底外フラップ3aと第2切欠き13に差し込まれた第2底外フラップ3bとが、タイミングをずらしながら底内フラップ4の内面に容易に配置される。そのため、一対の底外フラップ3a、3b同士の延出方向長さが等しく、かつ一対の底外フラップ3a、3b同士の延出方向長さが幅面パネル2の左右方向長さの1/2よりも大きいことで、一対の底外フラップ3a、3b同士が干渉することを抑制しつつ、これらの底外フラップ3a、3bを一対の底内フラップ4の内面に重ねることができる。その結果、箱体20の底部を容易に組み立てつつ、この底部において一対の底外フラップ3a、3b同士を部分的に重ね合わせることで、底部の底抜けを容易に抑制することができる。
【0045】
当該箱用シート10は、底外フラップ3a、3bの両側の側縁が、基端側から先端側に向けて幅方向の内側に傾斜して延びる縮幅部分14aと、この縮幅部分14aの先端側に配置され、底外フラップ3a、3bの先端縁に向けて幅方向の外側に傾斜して延びる拡幅部分15aとを有しており、角部11a、11bが、拡幅部分15aに設けられていることによって、第1切欠き12及び第2切欠き13に角部11a、11bを容易かつ確実に差し込むことができる。
【0046】
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0047】
上述のように、上記第1切欠き及び上記第2切欠きは、上記底内フラップの先端側の一部を除去することで形成されていることが好ましい。但し、上記第1切欠き及び上記第2切欠きは、例えば上記底内フラップに形成される舌片の折り曲げによって形成することも可能である。
【0048】
上述のように、当該箱用シートは、上記一対の底外フラップ同士を部分的に重ね合わせることで箱体の底抜けを抑制するのに適している。但し、上記一対の底外フラップの延出方向長さは、箱体の用途等に応じて変更可能である。
【0049】
上記第1切欠き及び上記第2切欠きの具体的な形状及び配置は、上記実施形態の構成に限定されない。例えば上記第1切欠きと上記第2切欠きとは、深さを相違させることも可能である。
【0050】
上記底外フラップの具体的な形状は、上記実施形態の構成に限定されない。
【0051】
当該箱用シートにおいて、箱体の蓋部を形成するための具体的な構成は特に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本発明の一態様に係る箱用シートは、箱体の底部の組み立て容易化を図るのに適している。
【符号の説明】
【0053】
1 長さ面パネル
2 幅面パネル
3a 第1底外フラップ
3b 第2底外フラップ
4 底内フラップ
5 蓋外フラップ
6 蓋内フラップ
7 継代
10 箱用シート
11a、11b 角部
12 第1切欠き
12a 第1傾斜縁
12b 第1支持縁
13 第2切欠き
13a 第2傾斜縁
13b 第2支持縁
14 基部
14a 縮幅部分
15 先端部
15a 拡幅部分
20 箱体
X 封函テープ
α 底内フラップの先端縁に対する第1傾斜縁の傾斜角度
β 底内フラップの先端縁に対する第2傾斜縁の傾斜角度
D1 底内フラップの先端縁と平行な方向における第1傾斜縁の長さ
D2 底内フラップの先端縁と平行な方向における第2傾斜縁の長さ
図1
図2
図3
図4
図5