(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175364
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】電子製品の筐体
(51)【国際特許分類】
H05K 5/06 20060101AFI20231205BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20231205BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20231205BHJP
H05K 5/00 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H05K5/06 D
H05K5/02 L
H05K5/03 D
H05K5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087776
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169856
【弁理士】
【氏名又は名称】尾山 栄啓
(72)【発明者】
【氏名】田邉 択郎
(72)【発明者】
【氏名】秋枝 真一郎
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AA03
4E360AB08
4E360AB09
4E360AB12
4E360AB33
4E360AB42
4E360AD03
4E360BA08
4E360BB02
4E360BB20
4E360BB22
4E360BC03
4E360BC05
4E360CA02
4E360EA18
4E360EA24
4E360EA29
4E360EC05
4E360EC11
4E360EC14
4E360EC16
4E360ED03
4E360ED28
4E360EE03
4E360FA02
4E360FA12
4E360GA07
4E360GA08
4E360GA12
4E360GA23
4E360GA29
4E360GA53
4E360GB26
4E360GC08
4E360GC14
(57)【要約】
【課題】組立性を向上できると共に、使用者にとって一層利便性のある機能を提供することができる筐体を提供する。
【解決手段】電子製品を収容する筐体であって、円筒形のケースと、ケースに装着して回転することによりケースと嵌合する円筒形の蓋と、蓋とケースとを繋ぐ接続部であって、蓋が前記ケースに嵌合した状態で湾曲して穴を形成する接続部と、蓋がケースに嵌合した状態で、蓋とケースとの間の隙間を封止し筐体の内部空間を水密に維持するパッキンとを備える、筐体である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子製品を収容する筐体であって、
円筒形のケースと、
前記ケースに装着して回転することにより前記ケースと嵌合する円筒形の蓋と、
前記蓋と前記ケースとを繋ぐ接続部であって、前記蓋が前記ケースに嵌合した状態で湾曲して穴を形成する接続部と、
前記蓋が前記ケースに嵌合した状態で、前記蓋と前記ケースとの間の隙間を封止し前記筐体の内部空間を水密に維持するパッキンとを備える、筐体。
【請求項2】
前記蓋は、前記ケースの外周面を囲むように形成された外周壁を有し、
前記蓋の外周壁の内周面または前記ケースの外周面には突起が形成され、
前記ケースの外周面または前記蓋の外周壁の内周面には、前記回転の方向に前記突起を案内するガイド溝が形成されている、請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
前記ガイド溝における、前記回転の方向に直交する上下方向の上側を画定する上面に、前記回転に伴って前記蓋が前記ケース側に引き込まれるように前記突起を案内する、前記回転の方向に対して傾斜する傾斜部が形成されている、請求項2に記載の筐体。
【請求項4】
前記ガイド溝の前記上面に、前記突起が乗り越える係止突起が形成されている、請求項3に記載の筐体。
【請求項5】
前記パッキンは、前記ケースの外周壁の端面から突出するように形成され、前記蓋が前記ケースに嵌合した状態で、前記蓋の天板の内面に押圧されて弾性変形する、請求項2から4のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項6】
前記電子製品は、前記ケースの底部に配置されるプリント基板と、前記プリント基板の上面側に配置される電池とを有し、
前記ケースの底面には、前記プリント基板を位置決めするピンが形成され、
前記ケースの前記底面には、前記電池の側面を互いに対向する側から押える押え部が形成され、
前記プリント基板は、前記ピンが挿入される位置決め穴を有し、
前記プリント基板は、前記底部に配置された場合に前記押え部と干渉しないように部分的に切り欠いた形状に形成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項7】
前記プリント基板の上面には、前記位置決め穴がある側に、前記電池の側面と当接する端子が配置され、
前記電池は、前記端子と、前記押え部と、前記ケースの外周壁の内周面とにより保持される、請求項6に記載の筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線機器等の電子製品を収容する筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体、通信機器等を含む電子製品を収容する筐体は、その用途により様々な種類のものが利用に供されている。ICチップを配置する円形状のハウジングと蓋とを備え蓋をハウジングに嵌合させる構成のICソケット装置が知られている。このICソケット装置では、ハウジングにICチップを配置して位置決め可能な載置部が形成され、蓋をハウジングに装着して回動させることにより蓋が上下動して載置部に載置されたICチップを押圧可能に構成されている。
【0003】
磁気回転子組立体を保持するケースと蓋とを備える回路素子が知られている。この回路素子では、ケースは円周方向に沿って切り欠かれた凹部を有し、蓋は円形状の外周面に突設された凸部を有しており、この凸部が凹部に嵌合してケースと組み合わされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-162652号公報
【特許文献2】特開2013-247567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような蓋及びケースを組み立てることで構成される筐体では、組立性の向上が要求されると共に、使用者にとってより利便性のある機能を提供できることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、電子製品を収容する筐体であって、円筒形のケースと、前記ケースに装着して回転することにより前記ケースと嵌合する円筒形の蓋と、前記蓋と前記ケースとを繋ぐ接続部であって、前記蓋が前記ケースに嵌合した状態で湾曲して穴を形成する接続部と、前記蓋が前記ケースに嵌合した状態で、前記蓋と前記ケースとの間の隙間を封止し前記筐体の内部空間を水密に維持するパッキンとを備える、筐体である。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、組立性及び開閉時の操作性を向上させることができると同時に、ストラップ用の取付穴の提供及び防水機能の提供により使用者の利便性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】蓋をケースから取り外した状態の筐体の斜視図である。
【
図2】蓋をケースに嵌合させた状態の筐体の斜視図である。
【
図7】
図6AにおけるX1-X1矢視の筐体の部分断面図である。
【
図8】蓋をケースに装着する前の状態を示す斜視図である。
【
図9】蓋とケースとを型から外した直後の状態を示す図である。
【
図11】ケースにプリント基板及び電池を取り付けた状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。参照する図面において、同様の構成部分または機能部分には同様の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これらの図面は縮尺を適宜変更している。また、図面に示される形態は本発明を実施するための一つの例であり、本発明は図示された形態に限定されるものではない。
【0010】
図1は一実施形態に係る電子製品の筐体1の斜視図であって、蓋10をケース20から取り外した状態を示す図である。
図2は、筐体1の斜視図であって、蓋10をケース20に嵌合させた状態を示す図である。筐体1は、例えば、電池で駆動する無線機器のような電子製品を収容する筐体として用いられる。説明の便宜上、
図1に図示のようにケース20を下側、蓋10を上側に配置した状態の鉛直方向を上下方向として定義する。
【0011】
図1に示すように、筐体1は、ケース20と、ケース20に嵌合する蓋10と、蓋10とケース20とを接続する、弾性を有する接続部30とを備える。後述するように、筐体1は、蓋10がケース20に嵌合した状態で筐体1の内部空間1aを水密に維持するパッキン部26を備えている(
図8参照)。接続部30は、例えば、弾性樹脂によりケース20、蓋10と一体的に形成される。
図2に示すように、接続部30は、蓋10をケース20に嵌合させた状態でストラップ用の取付穴35を形成する。取付穴35とは、ストラップやキーホルダ、その他の吊り下げ用の各種(
図2において符号2で示す)を通すことのできる取付穴であることを指す。使用者は、取付穴35に、ストラップその他の吊り下げ用の部材を通すことで、筐体1を携帯したり、或いは物に吊り下げて使用することができる。
【0012】
図3Aは、蓋10を上方より見た平面図である。
図3Bは、蓋10の側面図である。
図3Cは、蓋10を下方より見た底面図である。
図3A-
図3Cに示すように、蓋10は、円筒形の形状を有する。蓋10は、円形の天板11と、天板11の外周端から下方側に延長するように形成された円筒形の外周壁12とを有する。
図3Cに示すように、外周壁12の内周面12a上には、後述するケース20のガイド溝250と嵌合する突起15が、周方向に均等に間隔を置いた3か所の位置に形成されている。
【0013】
図4Aは、ケース20を上方より見た平面図である。
図4Bは、ケース20の側面図である。
図4Cは、ケース20を下方より見た底面図である。
図4A-
図4Cに示すように、ケース20は、円筒形の形状を有する。ケース20は、底壁21と、底壁21の外周端から上方に延長するように形成された円筒形の外周壁22とを有する。外周壁22の外周面には、蓋10の突起15と嵌合するガイド溝250が、周方向に均等に間隔をおいた3箇所の位置に形成されている。ガイド溝250は、突起15がガイド溝250に進入するように蓋10をケース20に取り付けた蓋10を回転させたときに、突起15を案内すると共に蓋10がケース20に嵌合する状態に導くように形成されている。
【0014】
図4A及び
図4Bに示すように、外周壁22の上端面22a上には、上端面22aから上方に向かって突出するようにパッキン部26が形成されている。パッキン部26は、上端面22aの周方向全体に亘って形成され、上方から見て円形の形状を有する。筐体1において、パッキン部26は、弾性樹脂により形成されている。なお、
図4Aに示したケース20の内部に形成された、電子製品の取り付けるための構造(第1及び第2のベース261、262、ピン261a、262a、押え部263、264、及び第3のベース265)については後述する。
【0015】
図5に、ガイド溝250近辺の拡大図を示す。ガイド溝250は、外周壁22の外周面上において所定の深さを有する凹部として形成されている。
図4B及び
図5に示されるように、ガイド溝250は、上方の入口端250aから下方に向かって形成された第1溝部251と、第1溝部251から外周壁22の円周方向(水平方向)に伸びるように形成された第2溝部252とを有する。第1溝部251の片方の側面251aは、上方から下方に向かって第1溝部251としての幅が次第に狭くなるように傾斜して形成されている。これにより、突起15を進入させる入口端250a側が広くなり突起15をガイド溝250に入れ易くなる。また、突起15をガイド溝250に合わせて蓋10を下方に押し下げる際に突起15が第2溝部252側にスムーズに案内される。
【0016】
第2溝部252の上面253は、入口側(第1溝部251側)から終端254側に向かって下方に傾斜するように形成された第1上面部(傾斜部)253aと、第1上面部253aの終端側の高さと実質的に同じ高さで終端254まで延長する第2上面部253bとを有する。第2溝部252の上面253における第1上面部253aよりも終端254側の位置(第2上面部253bの中途の位置)には、下方に突出する係止突起255が形成されている。
【0017】
図6Aは、蓋10をケース20に取り付けて嵌合させた状態を示す図であって、蓋10を透明に表して内部の状態を透視可能に表した図である。なお、
図6Aにおいて突起15は実線で示している。
図6Bは、
図6Aにおけるガイド溝250近辺を拡大して側面図として表したものである。蓋10をケース20に取り付ける際には、突起15がガイド溝250の入口端250aに進入するように蓋10をケース20に対して押し込み、蓋10を
図6Aの矢印A方向にケース20に対して回転させる。なお、この回転操作の方向は、上下方向と実質的に直交する方向である。蓋10の回転にともなって、突起15は第1上面部253aによって下方に案内され、それに伴い蓋10は下方に、すなわちケース20に向かって引き込まれる。更なる蓋10の回転に伴い、突起15は、係止突起255を乗り越え、終端254まで至る(
図6B)。この状態で、蓋10とケース20は互いに締め付け合い、固定された状態になる。
【0018】
図7に
図6AにおけるX1-X1矢視の筐体1の部分断面図を示す。
図7は、突起15が終端254まで進入した状態における、蓋10及びケース20の部分断面図である。
図7を更に参照して、蓋10をケースに嵌合させる構造及び防水構造に関して説明する。蓋10をケース20に対して
図6A中矢印A方向に回転させることで突起15が第1上面部253aに沿って斜め下方に案内され、それにより蓋10が下方に引き込まれる間、天板11の内面11aはケース20のパッキン部26に当接して密着する状態となる。そして、
図7に示すように、突起15が第1上面部253aの終端254側まで案内され蓋10がその最も下方の位置まで引き込まれた状態で、内面11aは、パッキン部26が弾性変形する状態にまでパッキン部26を押し込む状態となる。なお、
図7では、内面11aがパッキン部26を押しつぶす状態であることを、内面11aの位置がパッキン部26の頂部よりも下方の位置にあることを図示することで表している。
【0019】
図7に示されるように、第2上面部253bの、ケース20の上端面22aからの距離(第2上面部253bの高さ)は、
図7の状態においてパッキン部26が蓋10の内面11aにより下方に押しつぶされたときに、その反発力により突起15が第2上面部253bに押し付けられるような高さに設定されている。すなわち、突起15がガイド溝250の第2上面部253bまで進入した状態で筐体1の内部空間1aが水密に維持され、突起15がガイド溝250の終端254まで進入した状態で、蓋10は、ケース20に対してしっかりと固定される。以上のような蓋10とケース20との嵌合構造によれば、使用者は蓋10をケース20に装着して回転操作することで蓋10をケース20に対して締付け固定することができる。すなわち、優れた組み立て容易性がもたらされる。
【0020】
蓋10が
図6Aに示すように矢印A方向に回されて突起15が第2溝部252内を終端254に向かって案内される間、突起15はガイド溝250の上面253に向かって押し付けられるような力を受けつつ係止突起255を乗り越えることとなるため、蓋10を閉める操作を行う使用者はクリック感を得ることができ、蓋10が締ったことを認識することができる。
【0021】
また、係止突起255があることにより、蓋10がケース20に固定された状態から突起15が逆方向に移動して締結状態が解除することを防ぐことでできる。すなわち、係止突起255があることにより、蓋10をケース20に固定した状態にロックすることができる。
【0022】
また、蓋10をケース20に対して固定した状態で、パッキン部26が蓋10の内面11aに押しつぶされた状態となり、蓋10とケース20との間の隙間が水密に封止される。すなわち、内部空間1aは水密に維持される。
【0023】
筐体1において、接続部30とパッキン部26は、エラストマー等の弾性樹脂で形成されている(
図8参照)。この場合、筐体1における接続部30及びパッキン部26以外の部分は、弾性を示さないPC樹脂、ABS樹脂等の一般樹脂で形成されていても良い。接続部30とパッキン部26を弾性樹脂により形成し、それ以外の筐体1の部分を一般樹脂で形成する場合には、2色成型とよばれる成型手法を用いても良い。
【0024】
接続部30は、蓋10の外周壁12の外周面と、ケース20の外周壁22の外周面とを繋ぐ。詳細には、蓋10をケース20に嵌合させた状態において、接続部30の2つの端部は、筐体1の周方向に関して位置が揃うように配置されている(
図2参照)。これにより、接続部30は、蓋10をケース20に嵌合させた状態において、取付穴35を形成する。接続部30は、
図8に示すように、筐体1の組み立て前においては、蓋10を正しい取り付け方向で安定させる作用も有するため、接続部30により筐体1の組み立て性が更に向上する。
【0025】
蓋10とケース20は、一つの金型で同時に成型されるものであっても良い。
図9は、蓋10とケース20とを一つの金型で同時に成型した場合における、蓋10とケース20とを型から外した直後の状態を示している。この場合、接続部30は、蓋10とケース20とに樹脂を供給する供給路としてのゲート部として機能した部分を利用して構成しても良い。或いは、接続部30は、ゲート部としてではなく、通常の成型部分として設計されても良い。
【0026】
図10は、筐体1が
図8に示したような状態にある場合の接続部30を拡大して示した斜視図である。図中左手前側が接続部30の内面側(筐体1側)に対応する。
図10に示すように、接続部30の内面30aに溝31を形成し、溝31に針金32を挿入して配置しても良い。この構成により、接続部30の耐久性を向上させることができる。また、溝31に針金32を配置する構成とすると、接続部30の形状を任意の形状で安定させることができ、ケース20に対する蓋10の位置を安定にすることができる。それにより、筐体1の組み立てや取り扱いがやり易くなる。
【0027】
筐体1内部には、一例として、電子製品としての無線機器300を構成するプリント基板310とボタン型の電池(以下「電池」)320が収容される。以下、筐体1内部のプリント基板310と電池320の取り付け構造について説明する。
図11は、ケース20にプリント基板310及び電池320を取り付けた状態を上方より見た図である。
図12は、
図11に示す状態から電池320を取り外した状態を示す図である。
図13は、プリント基板310の平面図である。なお、
図13は、プリント基板310単体の形状を説明するためのものであるため実装部品は示されていない。また、
図14に、
図6AのX2-X2矢視の断面図を示す。
【0028】
図4A及び
図12に示されるように、ケース20内部の底面21aには、プリント基板310を載置するための第1及び第2のベース261、262が形成される。第1及び第2のベース261、262の上面には、プリント基板310を位置決めするための位置決め用のピン261a、262aがそれぞれ形成されている。ピン261a、262aは、底面21aの中心Cを通る中心線L1に対して一方の側に配置されている。底面21aにおける中心Cを基準として第1及び第2のベース261、262と対向する側の端部には、プリント基板310を載置するための第3のベース265が形成されている(
図4A参照)。
【0029】
底面21aにおいて、中心線L1と直交する中心線L2を挟んで両側には、電池320の円形の外周に倣って概ね円弧状に形成され、電池320を両側から押えて位置決めするための押え部263、264が形成されている(
図4A参照)。
【0030】
図13に示すように、プリント基板310は、外周壁22の内周面により規定される円と実質的に一致する円形の外周端上に矩形状の切欠部311、312を有する。プリント基板310は、ケース20に実装した状態におけるピン261a、262aに対応する位置に、一対の位置決め用の穴313、314を有する。プリント基板310を、ピン261a、262aがそれぞれ穴313、314に挿通されるように、ケース20の底部に取り付ける。
図12に示すように、プリント基板310がケース20の底部に取り付けられた状態で、押え部263、264は切欠部311、312内に収まるように位置付けられる。プリント基板310の上側端面310a、下側端面310bはそれぞれ内周面22bの上側部分、下側部分に概ね一致する位置に位置付けられる。この構成により、プリント基板310は、
図11のようにケース20の底部に取り付けられた状態で安定する。
【0031】
図12及び
図14に示されるように、プリント基板310の上面には電池320用の第1端子331と第2端子332が実装されている。第1端子331は、中心線L1に対して、一対の穴313、314が有る側に配置されている。より具体的には、第1端子331は、プリント基板310上面における穴313、314に近い箇所に配置されている。第2端子332は、プリント基板310の中央部分に配置されている。
【0032】
電池320は、
図12の状態のケース20において、第1端子331、押え部263、264及び外周壁22の図中下側の内周面22bで規定される取付空間5に上から押えるように取り付ける(
図11、
図12参照)。
【0033】
図11のように電池320をケース20に取り付けた状態で、第1端子331は電池320の側面320aに当接し、第2端子332は電池320の下面320bに当接する(
図14参照)。第1端子331のばね作用により、電池320は、底面21aの中心Cを基準として第1端子331と対向する側の内周面22bに向かって付勢される。これにより、電池320は、
図14に示す左右方向においては、第1端子331と外周壁22の内周面22bとの間で安定して保持される。また、電池320は、
図11に示すように一対の押え部263、264を結ぶ方向においても、押え部263,264により安定して保持される。以上の構成により、電池320の水平方向の位置が安定して保持される。
【0034】
図11及び
図12に示されるように、ピン261a、262aは、第1端子331に近い位置に配置されている。この構成により、プリント基板310上の特に第1端子331の位置をより安定化することができる。これにより、電池320から第1端子331に想定以上の負荷が掛かり、第1端子331に永久撓みが起きるような事態の発生を確実に防ぐことができる。
【0035】
ピン261a、262aの高さは、第1端子331の一対の腕部331a、331b(
図11、
図12)に対して、電池320から、ケース20の外側に向かう押付力が作用した際に、腕部331a、331bが外側に移動した際にピン261a、262aに突き当たるような高さに形成されていても良い。この場合、ピン261a、262aは、腕部331a、331bが過度に外側に撓むことを規制するストッパとして機能する。この構成により、腕部331a、331bが過度に撓むことを防止し、腕部331a、331bに永久撓荷が生じるような事態をさらに確実に防止することができる。
【0036】
図14から理解されるように、第2端子332は、そのばね作用により電池320を下から上に向かって付勢する。これにより、蓋10をケース20に対して嵌合させた状態において、電池320は、第2端子332と天板11の内面11aとの間で安定して保持される。
【0037】
このように、蓋10をケース20に嵌合させた状態において、内部に収容されるプリント基板310及び電池320は内部空間1aに安定して保持される。
【0038】
本実施形態によれば、組立性及び開閉時の操作性を向上させることができると同時に、ストラップ用の取付穴の提供及び防水機能の提供により使用者の利便性をより向上させることができる。
【0039】
以上、典型的な実施形態を用いて本発明を説明したが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなしに、上述の各実施形態に変更及び種々の他の変更、省略、追加を行うことができるのを理解できるであろう。
【0040】
例えば、上述の実施形態では、パッキン部26をケース20の外周壁22の上端面22a上に形成されるものとして説明したが、これは例示であり、パッキン部26は蓋10の内面11a側に形成されていても良い。突起15をケース20の外周壁22に設け、ガイド溝250を蓋11の内周面12aに形成しても良い。
【符号の説明】
【0041】
1 筐体、10 蓋、11 天板、12 外周壁、15 突起、20 ケース
21 底壁、22 外周壁、26 パッキン部、30 接続部、35 取付穴、
250 ガイド溝、255 係止突起、261 第1のベース、
262 第2のベース、261a、262a ピン、263、264 押え部、
265 第3のベース、300 無線機器、310 プリント基板、
311、312 切欠部、313、314 位置決め穴、320 電池、
331 第1端子、332 第2端子
【手続補正書】
【提出日】2022-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
【特許文献1】特開2004-152652号公報
【特許文献2】特開2013-247567号公報