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特開2023-175373電気コネクタおよび電気コネクタの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175373
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】電気コネクタおよび電気コネクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/60 20110101AFI20231205BHJP
   H01R 43/24 20060101ALI20231205BHJP
   H01R 13/405 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H01R24/60
H01R43/24
H01R13/405
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087789
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100173691
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 康久
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】岡本 翼
(72)【発明者】
【氏名】筒井 敬貴
【テーマコード(参考)】
5E063
5E087
5E223
【Fターム(参考)】
5E063JB05
5E063JB09
5E063XA02
5E087EE02
5E087EE14
5E087FF03
5E087GG02
5E087HH01
5E087JJ03
5E087MM02
5E087RR06
5E223AB15
5E223AB20
5E223AB59
5E223AC12
5E223AC21
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB25
5E223CB31
5E223CB81
5E223CD01
5E223DB09
5E223DB11
5E223EA03
5E223EA33
5E223EB03
5E223EB13
5E223EB15
(57)【要約】
【課題】電気コネクタのハウジングの舌状部上で保持されるコンタクトの座屈および変形を効果的に防止することができる電気コネクタおよび電気コネクタの製造方法を提供する。
【解決手段】電気コネクタ1は、ベース部71と、舌状部72と、舌状部72上に形成された複数の収納凹部74と、複数の収納凹部74の先端面から基端側に向かって延伸する複数の突部75と、を備える絶縁性のハウジング7と、コンタクト平面上に配列するようハウジング7の舌状部72上で保持され、相手側コネクタの挿抜方向に沿って直線状に延伸する複数のコンタクト6と、を含む。複数のコンタクト6のそれぞれの先端部61は、複数の収納凹部74内にそれぞれ位置し、複数の突部75は、複数のコンタクト6の先端部61に接触している。複数のコンタクト6は、ハウジング7の舌状部72に接着していない。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側から挿入される相手側コネクタと嵌合可能な電気コネクタであって、
ベース部と、前記ベース部から前記相手側コネクタの挿抜方向に延伸する舌状部と、前記舌状部上に形成された複数の収納凹部と、前記舌状部上に設けられ、前記複数の収納凹部の先端面から基端側に向かって延伸する複数の突部と、を備える絶縁性のハウジングと、
コンタクト平面上に配列するよう前記ハウジングの前記舌状部上で保持され、前記相手側コネクタの前記挿抜方向に沿って直線状に延伸する複数のコンタクトと、を含み、
前記複数のコンタクトの先端部は、前記ハウジングの前記舌状部上に形成された前記複数の収納凹部内にそれぞれ位置し、
前記ハウジングの前記複数の突部は、前記複数の収納凹部内に位置する前記複数のコンタクトの前記先端部に接触しており、
前記複数のコンタクトは、前記ハウジングの前記舌状部に接着していないことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジング上の前記舌状部上に形成された前記複数の収納凹部のそれぞれの底面と、対応する前記コンタクトの前記先端部との間に間隙が形成されている請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記複数の突部と、対応する前記コンタクトの前記先端部とが接着され、一体化されている請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングの前記複数の突部のそれぞれは、対応する前記コンタクトの前記先端部の接触面の面積の少なくとも3%を覆うよう、対応する前記コンタクトの前記先端部の前記接触面に接触している請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記複数のコンタクトのそれぞれは、対応する前記収納凹部内に位置する前記先端部と、前記先端部から前記基端側に延伸し、前記相手側コネクタの対応するコンタクトと接触する接点部と、前記接点部から前記基端側へ水平に延伸する第1の水平延伸部と、前記第1の水平延伸部から前記基端側へ延伸するブリッジ部と、前記ブリッジ部から前記基端側へ延伸する端子部と、を有し、
前記ブリッジ部は、前記第1の水平延伸部から斜め上方に延伸する第1の脚部と、前記第1の脚部から前記基端側へ水平に延伸する第2の水平延伸部と、前記第2の水平延伸部から斜め下方に延伸し、前記端子部と接続する第2の脚部と、を有する請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記複数のコンタクトのそれぞれの前記先端部は、前記接点部から前記ハウジングの対応する前記収納凹部内に向かって延伸しており、
前記ハウジングの前記複数の突部のそれぞれは、対応する前記コンタクトの前記先端部の接触面を前記ハウジングの前記収納凹部内に向かって押圧している請求項5に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記複数のコンタクトの前記接点部は、前記ハウジングの前記舌状部上において外側に向かって露出しており、
前記複数のコンタクトの前記第1の水平延伸部および前記ブリッジ部は、前記ハウジングの前記ベース部内に埋め込まれている請求項5に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記コンタクト平面は、第1のコンタクト平面と、前記第1のコンタクト平面に対して平行な第2のコンタクト平面を含み、
前記複数のコンタクトは、前記第1のコンタクト平面上に配列される複数の第1のコンタクトと、前記第2のコンタクト平面上に配列される複数の第2のコンタクトと、を含み、
前記ハウジングは、前記複数の第1のコンタクトを保持する上側ハウジングと、前記複数の第2のコンタクトを保持する下側ハウジングと、を含み、
前記ハウジングの前記舌状部、前記複数の収納凹部、および前記複数の突部は、前記下側ハウジングに含まれており、
前記上側ハウジングは、前記上側ハウジングによって保持された前記複数の第1のコンタクトが、前記下側ハウジングの前記舌状部の上面上に位置するよう、前記下側ハウジングに取り付けられており、
前記複数の第2のコンタクトは、前記下側ハウジングの前記舌状部の下面上で保持されている請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記下側ハウジングは、前記上側ハウジングと一体化される溶着突部を有しており、
前記下側ハウジングの前記溶着突部は、前記上側ハウジングに接着され、これにより、前記上側ハウジングと前記下側ハウジングとが一体化されている請求項8に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
ベース部と、前記ベース部から相手側コネクタの挿抜方向に延伸する舌状部と、前記舌状部上に形成された複数の収納凹部と、前記舌状部上に設けられた複数の突部と、を備える絶縁性のハウジングによって、複数のコンタクトの先端部がそれぞれ前記複数の収納凹部内に位置するよう、前記ハウジングの前記舌状部上で前記複数のコンタクトを保持する工程と、
前記ハウジングの前記複数の突部を加熱および押圧し、前記ハウジングの前記複数の突部のそれぞれを、対応する前記コンタクトの前記先端部に接触させる熱溶着工程と、を含み、
前記熱溶着工程の後、前記ハウジングの前記複数の突部のそれぞれは、前記複数の収納凹部の先端面から基端側に向かって延伸し、さらに、前記複数の収納凹部内にそれぞれ位置する対応する前記コンタクトの前記先端部に接触しており、
前記複数のコンタクトは、前記ハウジングの前記舌状部に接着していないことを特徴とする電気コネクタの製造方法。
【請求項11】
前記熱溶着工程は、前記ハウジングの前記複数の突部を加熱および押圧することにより、前記ハウジングの前記複数の突部を溶融および変形させ、前記ハウジングの前記複数の突部と、前記複数のコンタクトの前記先端部とをそれぞれ接着させることにより、前記ハウジングの前記複数の突部と、前記複数のコンタクトの前記先端部とを一体化させる請求項10に記載の電気コネクタの製造方法。
【請求項12】
前記複数のコンタクトは、第1のコンタクト平面上に配列される複数の第1のコンタクトと、前記第1のコンタクト平面と平行な第2のコンタクト平面上に配列される複数の第2のコンタクトと、を含み、
前記ハウジングは、前記複数の第1のコンタクトを保持する上側ハウジングと、前記複数の第2のコンタクトを保持する下側ハウジングと、を含み、
前記ハウジングによって前記複数のコンタクトを保持する前記工程は、
前記複数の第1のコンタクトと前記上側ハウジングとを一体成形して、前記複数の第1のコンタクトを保持した上側部品を得る工程と、
前記複数の第2のコンタクトと前記下側ハウジングとを一体成形して、前記複数の第2のコンタクトを保持した下側部品を得る工程と、
前記下側部品に、前記上側部品を取り付ける工程と、を含む請求項10に記載の電気コネクタの製造方法。
【請求項13】
前記下側ハウジングは、前記上側ハウジングと前記熱溶着工程により一体化される溶着突部を有しており、
前記熱溶着工程は、前記下側ハウジングの前記溶着突部を加熱および押圧し、前記上側ハウジングに接着させ、これにより、前記上側ハウジングと前記下側ハウジングとを一体化する工程を含む請求項12に記載の電気コネクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電気コネクタおよび電気コネクタの製造方法に関し、より具体的には、複数のコンタクトの先端部がハウジングの舌状部上に形成された複数の収納凹部内に位置するよう、ハウジングの舌状部上で複数のコンタクトを保持した状態において、ハウジングの舌状部上に形成された複数の収納凹部の先端面から延伸する複数の突部を、複数のコンタクトの先端部にそれぞれ接触させることにより、ハウジングの舌状部と複数のコンタクトの一体性を高め、これにより、ハウジングの舌状部上に設けられた複数のコンタクトの座屈および変形を防止することが可能な電気コネクタおよび電気コネクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子デバイスと他の電子デバイスとを電気的に接続するために電気コネクタが用いられている。電子デバイスと他の電子デバイスとの間の電気的接続を得るために、電子デバイスの筐体内に設けられた回路基板上に実装され、電子デバイスの筐体に設けられた貫通孔から差込口が電子デバイスの外部に露出するレセプタクルコネクタと、レセプタクルコネクタの差込口に挿入されるプラグコネクタの2種類の電気コネクタが組み合わされて用いられる。
【0003】
また、近年の電子デバイスの小型化に伴い、電気コネクタに対する小型化要求が高まっている。そのような電気コネクタに対する小型化要求に応え、USB Type-Cの規格が提案されている(特許文献1参照)。USB Type-Cの規格に従う電気コネクタは、上下対称なデザインを採用しており、コネクタの上下の向きに関わらず、プラグコネクタをレセプタクルコネクタに挿入することが可能となっている。
【0004】
USB Type-Cの規格に従う電気コネクタは、金属製のシェルと、シェルの内部に収納される内部構造体と、を含んでいる。例えば、特許文献1は、図1に示されているような内部構造体500を含む電気コネクタを開示している。図1に示されているように、内部構造体500は、相手側コネクタ(プラグコネクタ)の複数のコネクタにそれぞれ接触する複数のコンタクト501と、グランドプレート502と、複数のコンタクト501およびグランドプレート502を互いに絶縁された状態で保持する絶縁性のハウジング503と、を備えている。
【0005】
ハウジング503は、ベース部504と、ベース部504から先端側に向かって延伸する舌状部505と、舌状部505上に形成された複数のコンタクト受け部506と、を備えている。ハウジング503の舌状部505は、ベース部504から先端側に向かって延伸する平板状の部材であり、複数のコンタクト501を載置し、さらに、グランドプレート502を内部において保持している。さらに、舌状部505上に形成された複数のコンタクト受け部506内に複数のコンタクト501がそれぞれ収納される。
【0006】
図1に示すように、複数のコンタクト501は、同一平面上に1つの方向(相手側コネクタの挿抜方向)に沿って互いに平行に配列され、舌状部505上に形成された複数のコンタクト受け部506内にそれぞれ載置されている。複数のコンタクト501のそれぞれは、先端部507と、ハウジング503の舌状部505上において外側に露出する接点部508と、接点部508から基端側へ水平に延伸し、ハウジング503のベース部504に埋め込まれる水平延伸部509と、を有している。複数のコンタクト501のそれぞれの接点部508は、内部構造体500を備える電気コネクタに対して相手側コネクタが挿入されたときに、相手側コネクタの対応するコンタクトと接触する。この際、相手側コネクタと電気コネクタが嵌合状態となり、相手側コネクタと電気コネクタとの間の電気的接続が提供される。
【0007】
コンタクト501の水平延伸部509は、接点部508の延伸方向と同一方向に延伸している。水平延伸部509がハウジング503のベース部504に埋め込まれ、コンタクト501の水平延伸部509がハウジング503に対して固定される。一方、コンタクト501の先端部507および接点部508は、ハウジング503のコンタクト受け部506内に収納されているが、舌状部505に接着等されておらず、舌状部505に対して固定されていない。
【0008】
このように、コンタクト501の先端部507および接点部508は、ハウジング503の舌状部505に対して、固定されていない。そのため、電気コネクタに対して相手側コネクタが挿入される際に、電気コネクタに対する相手側コネクタの挿入角度が斜めである場合、コンタクト501の接点部508に対して相手側コネクタの対応するコンタクトが斜めに接触し、これにより、接点部508に対して負荷が印加されてしまう。印加された負荷によって、接点部508に座屈または変形が生じ、接点部508が舌状部505から離脱(めくり上がり)してしまう事がある。この結果、コンタクト501と相手方コネクタの対応するコンタクトとの接続の信頼性が損なわれてしまうという問題、および、電気コネクタの製品寿命が短くなってしまうという問題がある。
【0009】
このような問題に対し、ハウジング503と全てのコンタクト501を同時に一体成形(インサートモールディング)することにより、全てのコンタクト501の先端部507および接点部508をハウジング503の舌状部505に接着(固定)し、これらを一体化する方法が知られている。この方法によれば、電気コネクタに対して相手方コネクタが斜めに挿入されたとしても、全てコンタクト501の接点部508は、舌状部505に接着され、固定されているので、接点部508が座屈または変形し、舌状部505から接点部508が離脱することを防止することができる。しかしながら、全てのコンタクト501とハウジング503とを同時に一体化するこのような一体成形は、全てのコンタクト501を含む多数の部品を同時に一体成形するため、各部品の位置決めの難易度が増加し、一体成形の技術的な難易度が増加する。さらに、多数の部品の一体成形を行う必要があるため、一体成形用の金型の構造が複雑になり、金型のコストが増加し、電気コネクタの製造コストが増加してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2020-71954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記従来の問題点を鑑みたものである。その目的は、電気コネクタのハウジングの舌状部上で保持されるコンタクトの座屈および変形を効果的に防止することができる電気コネクタおよび電気コネクタの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的は、以下の(1)または(2)の本発明により達成される。
(1)先端側から挿入される相手側コネクタと嵌合可能な電気コネクタであって、
ベース部と、前記ベース部から前記相手側コネクタの挿抜方向に延伸する舌状部と、前記舌状部上に形成された複数の収納凹部と、前記舌状部上に設けられ、前記複数の収納凹部の先端面から基端側に向かって延伸する複数の突部と、を備える絶縁性のハウジングと、
コンタクト平面上に配列するよう前記ハウジングの前記舌状部上で保持され、前記相手側コネクタの前記挿抜方向に沿って直線状に延伸する複数のコンタクトと、を含み、
前記複数のコンタクトの先端部は、前記ハウジングの前記舌状部上に形成された前記複数の収納凹部内にそれぞれ位置し、
前記ハウジングの前記複数の突部は、前記複数の収納凹部内に位置する前記複数のコンタクトの前記先端部に接触しており、
前記複数のコンタクトは、前記ハウジングの前記舌状部に接着していないことを特徴とする電気コネクタ。
【0013】
(2)ベース部と、前記ベース部から相手側コネクタの挿抜方向に延伸する舌状部と、前記舌状部上に形成された複数の収納凹部と、前記舌状部上に設けられた複数の突部と、を備える絶縁性のハウジングによって、複数のコンタクトの先端部がそれぞれ前記複数の収納凹部内に位置するよう、前記ハウジングの前記舌状部上で前記複数のコンタクトを保持する工程と、
前記ハウジングの前記複数の突部を加熱および押圧し、前記ハウジングの前記複数の突部のそれぞれを、対応する前記コンタクトの前記先端部に接触させる熱溶着工程と、を含み、
前記熱溶着工程の後、前記ハウジングの前記複数の突部のそれぞれは、前記複数の収納凹部の先端面から基端側に向かって延伸し、さらに、前記複数の収納凹部内にそれぞれ位置する対応する前記コンタクトの前記先端部に接触しており、
前記複数のコンタクトは、前記ハウジングの前記舌状部に接着していないことを特徴とする電気コネクタの製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電気コネクタでは、ハウジングの舌状部上に形成された複数の収納凹部内にそれぞれ位置する複数のコンタクトの先端部に、複数の収納凹部の先端部から基端側に延伸するよう設けられた複数の突部が、それぞれ接触している。そのため、ハウジングの舌状部とコンタクトの一体性が高まる。この結果、電気コネクタに対して相手側コネクタが挿入される際に生じ得る、ハウジングの舌状部上に設けられたコンタクトの座屈または変形を防止することができる。したがって、電気コネクタと相手方コネクタのコンタクトとの接続の信頼性を向上させ、さらに、電気コネクタの製品寿命を長くすることができる。
【0015】
さらに、本発明の電気コネクタの製造方法によれば、従来技術のように、ハウジングの舌状部上に設けられたコンタクトの座屈または変形を防止するために、複数のコンタクトを含む多数の部品を同時に一体化する一体成形を実行する必要がない。そのため、従来技術のような多数の部品を同時に一体化する、技術的難易度の高い一体成形を実行する必要がなく、電気コネクタを容易に製造することが可能となる。さらに、多数の部品を同時に一体化するための複雑な構造を有する高価な金型が不要となるため、電気コネクタの製造コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来の電気コネクタの斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る電気コネクタの斜視図である。
図3図2に示す電気コネクタのA-A線断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る電気コネクタの分解斜視図である。
図5図4に示す内部構造体の分解上側部品および下側部品の斜視図である。
図6図5に示す上側部品の分解斜視図である。
図7図5に示す下側部品の分解斜視図である。
図8図7に示す下側ハウジングを別の角度から示す斜視図である
図9図5に示す下側部品を別の角度から示す斜視図である。
図10】内部構造体に対して熱溶着工程を施す前の内部構造体の斜視図である。
図11】複数の突部に対する第1の熱溶着工程を説明するための図である。
図12】第1のコンタクトの先端部付近の断面図の拡大図である。
図13】本発明の電気コネクタの製造方法を示すフローチャートである。
図14図13に示すハウジングにコンタクトを設ける工程のフローチャートである。
図15】上側部品を下側部品に取り付ける工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の電気コネクタおよび電気コネクタの製造方法を、添付図面に示す好適な実施形態に基づいて、説明する。なお、以下で参照する各図は、本発明の説明のために用意された模式的な図である。図面に示された各構成要素の寸法(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法を反映したものではない。また、各図において、同一または対応する要素には、同じ参照番号が付されている。以下の説明において、各図のZ軸の正方向を「先端側」といい、Z軸の負方向を「基端側」といい、Y軸の正方向を「上側」といい、Y軸の負方向を「下側」といい、X軸の正方向を「手前側」といい、X軸の負方向を「奥側」ということがある。また、Z方向を、「相手側コネクタの挿抜方向」ということがある。
【0018】
最初に、図2から図12を参照して、本発明の実施形態に係る電気コネクタを詳述する。図2は、本発明の実施形態に係る電気コネクタの斜視図である。図3は、図2に示す電気コネクタのA-A線断面図である。図4は、本発明の実施形態に係る電気コネクタの分解斜視図である。図5は、図4に示す内部構造体の分解上側部品および下側部品斜視図である。図6は、図5に示す上側部品の分解斜視図である。図7は、図5に示す下側部品の分解斜視図である。図8は、図7に示す下側ハウジングを別の角度から示す斜視図である。図9は、図5に示す下側部品を別の角度から示す斜視図である。図10は、内部構造体に対して熱溶着工程を施す前の内部構造体の斜視図である。図11は、複数の突部に対する第1の熱溶着工程を説明するための図である。図12は、第1のコンタクトの先端部付近の断面図の拡大図である。
【0019】
図2および図3に示す本発明の実施形態に係る電気コネクタ1は、USB Type-Cの規格によって定められた仕様に従うよう構成されている。例えば、電気コネクタ1は、携帯電話機、スマートフォン、携帯情報端末、携帯型音楽プレーヤー、電子書籍リーダー等の電子デバイスの筐体(図示せず)内に設けられた回路基板上に、レセプタクルコネクタとして実装される。電気コネクタ1の先端側(+Z方向側)から相手側コネクタが挿入され、相手側コネクタと電気コネクタ1との間の電気的接続が提供される。
【0020】
図4に示されているように、電気コネクタ1は、内部構造体2と、内部構造体2を外側から覆い、内部構造体2を内部において保持する金属製のシェル3と、内部構造体2およびシェル3を上方から覆うシールド部材4と、を含んでいる。
【0021】
図5に示されているように、内部構造体2は、複数の第1のコンタクト6を上側ハウジング5によって保持することにより得られる上側部品21と、グランドプレート8および複数の第2のコンタクト9を下側ハウジング7によって保持することにより得られる下側部品22と、から構成されている。下側部品22の上方から、上側部品21が下側部品22に取り付けられ、さらに、下側部品22に対して熱溶着工程を施すことによって、内部構造体2が得られる。
【0022】
図6に示されているように、上側部品21は、絶縁性の上側ハウジング5と、上側ハウジング5によって保持される複数の第1のコンタクト6と、を含んでいる。複数の第1のコンタクト6は、X軸方向に沿って互いに平行に配列され、上側ハウジング5によって互いに絶縁するよう離間した状態で保持されている。上側部品21は、複数の第1のコンタクト6を、上側ハウジング5に対応した形状を有する金型内に配置し、熱可塑性の絶縁性材料を流し込む一体成形(インサートモールディング)を行い、複数の第1のコンタクト6を上側ハウジング5によって保持することにより得られる。
【0023】
上側ハウジング5は、先端側に位置する先端部51と、先端部51よりも基端側に位置する基端部52と、を含んでいる。上側ハウジング5は、熱可塑性樹脂(例えば、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエチレン(PE)、ABS樹脂)等の熱可塑性の絶縁性材料により形成されており、一体成形により、複数の第1のコンタクト6と一体化される。
【0024】
先端部51は、基端部52から先端側に延伸する板状部511と、板状部511に形成された複数のタイバーカット孔512と、後述する下側ハウジング7の溶着突部76(図5および図7参照)を挿通させる一対の熱溶着孔513と、板状部511の基端側部分の両側面から上方に向かって延伸する一対の壁部514と、一対の壁部514のそれぞれの外側面から外側に突出するよう形成された一対の圧入部515と、一対の圧入部515のそれぞれの外側面から外側に突出するよう形成された一対の圧入リブ516と、を備えている。
【0025】
板状部511は、基端部52の先端側から上側ハウジング5の先端側に延伸する平板状の部材であり、複数の第1のコンタクト6を内部において保持する機能を有している。具体的には、板状部511は、後述する複数の第1のコンタクト6の第1の水平延伸部63を内部において保持し、これと一体化することで複数の第1のコンタクト6を保持している。
【0026】
複数のタイバーカット孔512は、板状部511の上面の幅方向(図中のX軸方向)の両側にそれぞれ形成されている。複数の第1のコンタクト6および上側ハウジング5を一体成形して上側部品21を得る際には、複数の第1のコンタクト6は、接続部を介して互いに接続されている。複数のタイバーカット孔512は、上側部品21を一体成形によって得た後に、カッターによって接続部を打ち抜き、第1のコンタクト6を互いに分離させるためのタイバーカットを実行するために用いられる。
【0027】
一対の熱溶着孔513は、板状部511の上面の幅方向(図中のX軸方向)の略中心であって、一対のタイバーカット孔512の間に形成されている。一対の熱溶着孔513は、下側ハウジング7上に形成された一対の溶着突部76をそれぞれ挿通させるために用いられる。また、一対の熱溶着孔513は、前述のタイバーカットを実行するためのカッターを挿通させるためのタイバーカット孔としても用いられる。上側部品21が下側部品22に取り付けられた後、熱溶着孔513に溶着突部76がそれぞれ挿通された状態で、溶着突部76に対して熱溶着工程が施され、熱溶着孔513が、溶融した溶着突部76で部分的または完全に埋められ、これにより、上側部品21と下側部品22が一体化される。
【0028】
一対の壁部514は、板状部511の基端側部分の両側面からそれぞれ上方に向かって延伸し、かつ、基端部52の先端側から先端側に向かって突出している。上側部品21が下側部品22に取り付けられると、一対の壁部514の外側面と、下側部品22の一対の壁部714(図5および図7参照)の内側面がそれぞれ接触する。
【0029】
一対の圧入部515は、一対の壁部514のそれぞれの外側面から外側にそれぞれ突出するよう形成されている。さらに、圧入部515の外側面は、基端部52の外側面と段差なく連続している。一対の圧入部515は、上側部品21が下側部品22に取り付けられる際に、下側部品22の一対の圧入溝713に圧入され、これにより、上側部品21が下側部品22に対して取り付けられる。
【0030】
一対の圧入リブ516は、一対の圧入部515のそれぞれの外側面から外側に突出するよう形成されている。また、圧入リブ516は、圧入部515の外側面上において上下方向(Y方向)に延伸している。上側部品21を下側部品22に取り付けるために、一対の圧入部515が、下側部品22の一対の圧入溝713内に上方から圧入される際、一対の圧入リブ516は、弾性変形し、一対の圧入溝713にそれぞれ押し付けられる。これにより、上側部品21の下側部品22に対する取り付けの強度が増加する。
【0031】
基端部52は、先端部51から基端側に延伸する板状部521と、板状部521の下面上に形成された嵌合凹部522と、板状部521と先端部51とを接続する接続部523と、を備えている。また、基端部52は、先端部51と一体的に成形されている。
【0032】
板状部521は、先端部51から基端側に延伸する平板状の部材であり、複数の第1のコンタクト6を内部において保持する機能を有している。具体的には、板状部521は、後述する複数の第1のコンタクト6のブリッジ部64を内部に保持し、これと一体化することで複数の第1のコンタクト6を保持している。
【0033】
嵌合凹部522は、基端部52の下面の先端側に形成されており、後述する下側部品22の中央部711(図5および図7参照)の形状に対応した凹形状を有している。嵌合凹部522内に中央部711が嵌合することにより、下側部品22に対する上側部品21の揺動が防止される。接続部523は、先端部51の基端側から斜め上方に延伸し、先端部51と基端部52を接続している。さらに、上側部品21が下側部品22に取り付けられた状態で、接続部523の内側面は、下側部品22の中央部711の先端側の斜面7111(図5および図7参照)と接触している。
【0034】
複数の第1のコンタクト6のそれぞれは、全体として、相手側コネクタの挿抜方向(Z軸方向)に沿って直線状に延伸する棒状形状を有している。複数の第1のコンタクト6は、全て同一の構成を有しているので、以下、代表して1つの第1のコンタクト6について詳述する。第1のコンタクト6は、最先端(+Z方向側)に位置する先端部61と、先端部61の基端部から基端側に水平に延伸し、相手側コネクタの対応するコンタクトと接触する接点部62と、接点部62から基端側(-Z方向側)へ水平に延伸する第1の水平延伸部63と、第1の水平延伸部63から基端側へ延伸するブリッジ部64と、ブリッジ部64から基端側へ延伸する端子部65と、を備えている。なお、複数の第1のコンタクト6の接点部62および第1の水平延伸部63は、全て同一平面上に位置している。以下、本明細書において、複数の第1のコンタクト6の接点部62および第1の水平延伸部63が位置する平面を、「第1のコンタクト平面」と呼ぶ。
【0035】
先端部61は、第1のコンタクト6の最先端に位置し、接点部62から斜め下方に向かって延伸する部位である。図3および図11に示されているように、先端部61は、後述する下側ハウジング7の舌状部72の上面上に形成された収納凹部74内に位置する。したがって、電気コネクタ1が組み立てられた状態において、先端部61は、接点部62から、下側ハウジング7の対応する収納凹部74に向かって延伸している。図6に戻り、接点部62は、電気コネクタ1が組み立てられた状態において、先端側からシェル3の差込口311を介して相手側コネクタが挿入されたときに、相手側コネクタの対応するコンタクトと接触する部位である。したがって、図4に示されているように、内部構造体2が形成された状態において、接点部62の上面は、外側(+Y方向)に向かって露出している。
【0036】
図6に戻り、第1の水平延伸部63は、接点部62の基端部から基端側へ水平に延伸し、上側ハウジング5の先端部51内に埋め込まれる部分である。ブリッジ部64は、第1の水平延伸部63の基端部から斜め上方へ向けて延伸する第1の脚部641と、第1の脚部641から基端側へ水平に延伸する第2の水平延伸部642と、第2の水平延伸部642の基端部から斜め下方に延伸し、端子部65と接続する第2の脚部643と、を有する。第1の脚部641、第2の水平延伸部642、および第2の脚部643の一部は、上側ハウジング5の先端部51および基端部52内に埋め込まれる。端子部65は、第2の脚部643の基端部から基端側へ水平に延伸する部分である。電気コネクタ1が回路基板上に実装される際、端子部65は、回路基板上に設けられた対応する端子に接続される。
【0037】
前述したように、上側部品21は、複数の第1のコンタクト6と上側ハウジング5とを一体成形することにより得られる。上側部品21の一体成形時においては、上側ハウジング5内における複数の第1のコンタクト6の位置ズレや傾きを防止するため、複数の第1のコンタクト6のそれぞれは、接続部によって互いに接続されている。そのため、上側部品21の一体成形後に、上側ハウジング5のタイバーカット孔512および一対の熱溶着孔513を介してカッターが挿通され、複数の第1のコンタクト6のそれぞれを接続している接続部を打ち抜き、複数の第1のコンタクト6を互いに分離させるためのタイバーカットが実行される。
【0038】
また、複数の第1のコンタクト6は、相手側コネクタとの間で高周波の差動信号を伝送するための2つの高周波信号コンタクト6Aから構成される二対の高周波信号コンタクトペアCP1と、相手側コネクタとの間で通常の周波数の差動信号を伝送するための2つの通常信号コンタクト6Bから構成される一対の通常信号コンタクトペアCP2と、信号伝送以外の用途で用いられる複数の非信号コンタクト6Cと、を含む。
【0039】
二対の高周波信号コンタクトペアCP1のそれぞれは、隣り合う2つの高周波信号コンタクト6Aから構成されている。二対の高周波信号コンタクトペアCP1は、それぞれ、電気コネクタ1の幅方向(図中のX軸方向)の両側に位置している。さらに、二対の高周波信号コンタクトペアCP1の両側には、非信号コンタクト6Cが配列されている。図6において、二対の高周波信号コンタクトペアCP1のそれぞれの外側に配置されている非信号コンタクト6Cは、相手側コネクタのグランド端子と接触するグランド端子である。一方、二対の高周波信号コンタクトペアCP1のそれぞれの内側に配置されている非信号コンタクト6Cは、電気コネクタ1に電力を供給するための電力供給用端子である。
【0040】
一対の通常信号コンタクトペアCP2は、相手側コネクタとの間で通常の周波数の差動信号を伝送するための2つの通常信号コンタクト6Bから構成されており、二対の高周波信号コンタクトペアCP1の間に配列されている。さらに、一対の通常信号コンタクトペアCP2の両側には、非信号コンタクト6Cが配列されている。一対の通常信号コンタクトペアCP2の両側に配列されている非信号コンタクト6Cのそれぞれは、電気コネクタ1を識別するための信号の伝送に用いられる識別用コンタクトである。
【0041】
前述したように、上側部品21は、複数の第1のコンタクト6と上側ハウジング5とを一体成形することにより得られる。図3および図5に示されているように、複数の第1のコンタクト6と上側ハウジング5と一体化された状態において、複数の第1のコンタクト6の先端部61および接点部62が、上側ハウジング5の先端部51の板状部511から先端側に向かって突出し、露出している。さらに、複数の第1のコンタクト6の第2の脚部643の一部および端子部65が、上側ハウジング5の基端部52の下面の基端側から基端側に向かって突出し、露出している。
【0042】
図7に示されているように、下側部品22は、絶縁性の下側ハウジング7と、絶縁性の下側ハウジング7に保持されたグランドプレート8と、絶縁性の下側ハウジング7に保持され、グランドプレート8が配置されたグランド平面と平行な同一平面上に配列された複数の第2のコンタクト9と、を含んでいる。グランドプレート8は、下側ハウジング7によって、複数の第2のコンタクト9と絶縁するよう、複数の第2のコンタクト9と離間した状態で、グランド平面において保持されている。また、複数の第2のコンタクト9は、X軸方向に沿って互いに平行に配列され、下側ハウジング7によって互いに絶縁するよう離間した状態で保持されている。下側部品22は、グランドプレート8および複数の第2のコンタクト9を、下側ハウジング7に対応した形状を有する金型内に配置し、熱可塑性の絶縁性材料を流し込む一体成形を行い、グランドプレート8および複数の第2のコンタクト9を下側ハウジング7によって保持することにより得られる。
【0043】
下側ハウジング7は、熱可塑性樹脂等の熱可塑性の絶縁性材料により形成されており、一体成形により、グランドプレート8および複数の第2のコンタクト9と一体化される。下側ハウジング7は、内部構造体2をシェル3に対して固定するためにシェル3の本体部31の基端側開口312(図3および図4参照)に圧入されるベース部71と、ベース部71から先端側に向かって延伸する舌状部72と、を備えている。
【0044】
ベース部71は、XY平面においてシェル3の本体部31の基端側開口312に対応する外形を有する部材である。上側部品21と下側部品22とを一体化して内部構造体2を得た後、ベース部71をシェル3の本体部31の基端側開口312内に圧入することにより、内部構造体2がシェル3の本体部31の内部に固定的に収納される。
【0045】
ベース部71は、ベース部71の中央に位置する中央部711と、中央部711の両側面にそれぞれ形成されている一対の側部712と、一対の側部712のそれぞれの内側面上に形成された一対の圧入溝713と、一対の側部712から先端側にそれぞれ延伸する一対の壁部714と、一対の側部712の突出部7121の下面から下方に突出する一対の位置決め突起715と、一対の側部712の上面にそれぞれ形成された一対の圧入孔716と、を備えている。なお、ベース部71の各部は、全て一体的に形成されている。
【0046】
中央部711は、ベース部71の幅方向(図中のX軸方向)の中央に位置し、舌状部72の基端側において上方に延伸している。下側部品22に対して上側部品21が取り付けられる際に、中央部711は、上側部品21の嵌合凹部522内に挿入され、中央部711と嵌合凹部522とが嵌合する。また、中央部711の先端側角部は角取りされており、斜面7111が形成されている。中央部711と嵌合凹部522とが嵌合した際、斜面7111が上側ハウジング5の接続部523の内側面と接触する。
【0047】
一対の側部712は、ベース部71の幅方向(図中のX軸方向)の両側にそれぞれ形成されており、中央部711の幅方向(図中のX軸方向)の両側面とそれぞれ接続されている。また、一対の側部712のそれぞれは、側部712の上側部分から基端側に向かって突出する突出部7121を有している。内部構造体2がシェル3に圧入された際、一対の側部712の先端面は、シェル3の基端側開口312の縁に接触する。
【0048】
一対の圧入溝713は、一対の側部712のそれぞれの内側面上に、中央部711よりも先端側に位置するよう形成された凹部である。前述のように、上側部品21を下側部品22に取り付ける際に、上側ハウジング5の一対の圧入部515が、一対の圧入溝713に上方からそれぞれ圧入される。この際、一対の圧入部515の外側面上に形成された一対の圧入リブ516が、弾性変形し(潰れて)、一対の圧入溝713にそれぞれ押し付けられる。このような構成により、上側部品21が下側部品22に対して取り付けられる。
【0049】
一対の壁部714は、一対の側部712から先端側に延伸する部分であり、一対の圧入溝713よりも先端側に位置するよう形成されている。また、一対の壁部714は、舌状部72の幅方向(図中のX軸方向)の両側面から上方に延伸している。上側部品21を下側部品22に取り付けるため、上側ハウジング5の一対の圧入部515が一対の圧入溝713内に圧入されると、一対の壁部714の内側面が、上側ハウジング5の一対の壁部514の外側面とそれぞれ接触する。
【0050】
一対の位置決め突起715は、一対の側部712の突出部7121の下側面から下方にそれぞれ突出する円柱形状の部分であり、回路基板上での電気コネクタ1の位置決めに用いられる。電気コネクタ1を組み立てた状態において、一対の位置決め突起715を、回路基板上の対応する一対のボス内に圧入することにより、回路基板に対する電気コネクタ1の位置決めが実行される。一対の圧入孔716は、一対の側部712の上面にそれぞれ形成されており、上側部品21を下側部品22に取り付けることにより、内部構造体2が得られ、さらに、内部構造体2をシェル3内に圧入することにより内部構造体2をシェル3に収納した後に、後述するシールド部材4の一対の圧入突起43(図4参照)を、一対の圧入孔716内にそれぞれ挿入することにより、シールド部材4が内部構造体2に取り付けられる。
【0051】
舌状部72は、ベース部71から相手側コネクタの挿抜方向(先端側)に向かって延伸する平板状の部材である。図7に示されているように、舌状部72は、舌状部72の内部に埋め込まれているグランドプレート8の本体部81よりも上側(+Y方向)に位置する上側部72Tと、グランドプレート8の本体部81よりも下側(-Y方向)に位置する下側部72Bと、舌状部72上に形成された複数のタイバーカット孔721と、を有している。
【0052】
図7に示されているように、上側部72Tは、複数の第1のコンタクト6がそれぞれ載置されるコンタクト受け部73と、複数のコンタクト受け部73の先端側にそれぞれ形成された複数の収納凹部74と、複数の収納凹部74の先端面から基端側に向かってそれぞれ延伸する複数の突部75と、熱溶着により上側ハウジング5と一体化される一対の溶着突部76と、を含んでいる。
【0053】
複数のコンタクト受け部73は、舌状部72の上面上において、複数の第1のコンタクト6のそれぞれを保持するように形成された部分である。図10に示されているように、上側部品21を下側部品22に取り付けた状態において、複数のコンタクト受け部73内に、複数の第1のコンタクト6がそれぞれ載置される。図7に戻り、コンタクト受け部73のそれぞれは、舌状部72の上面上に互いに対向するよう設けられた一対の壁部731と、一対の壁部731の内側面と舌状部72の上面とによって規定され、相手側コネクタの挿抜方向において延伸する溝732と、一対の壁部731の内側面上に形成され、第1のコンタクト6の接点部62を両側から支持する一対の支持部733と、を有している。
【0054】
一対の支持部733は、溝732の途中において、一対の壁部731の互いに対向する面から突出するよう形成されている。一対の支持部733間の離間距離は、第1のコンタクト6の幅(X軸方向)と略等しい。また、支持部733の第1のコンタクト6と対向する面は、第1のコンタクト6の側面と平行な平坦面となっている。そのため、上側部品21を下側部品22に取り付けた状態において、第1のコンタクト6の接点部62は、溝732内において一対の支持部733によって挟持され、保持される。また、溝732の深さは、第1のコンタクト6の厚さ(Y軸方向の厚さ)よりも小さい。そのため、接点部62の上面がコンタクト受け部73から外側(上側)に向かって露出し、相手側コネクタが挿入されたときに、相手側コネクタの対応するコンタクトと接触する。このような構成により、舌状部72の上面上での第1のコンタクト6の面方向の揺動が防止され、相手方コネクタのコンタクトとの安定的な接触が確保されている。
【0055】
複数の収納凹部74のそれぞれは、複数のコンタクト受け部73の溝732の先端にそれぞれ形成され、対応する第1のコンタクト6の先端部61を収納するための凹部である。本実施形態において、収納凹部74の形状は、先端部61の形状に対応するように、舌状部72の上面から斜め下方先端側に延伸している。図3および図11に示されているように、収納凹部74の先端面(+Z方向の面)は、Z方向に直交する平坦面である。また、収納凹部74の底面741(図12参照)は、Y方向に対して直交する平坦面である。
【0056】
なお、図3および図11に示されているように、本実施形態において、収納凹部74の形状は先端部61の形状に対応するよう、上側部72Tの上面から斜め下方先端側に延伸しているが、これに限らない。収納凹部74の形状は、第1のコンタクト6の先端部61を収納することができれば特に限定されず、収納凹部74が図示の形状と異なる任意の形状を有するような態様もまた、本発明の範囲内である。
【0057】
図3および図11に示されているように、複数の突部75は、舌状部72上の複数のコンタクト受け部73の先端面の上部にそれぞれ形成され、コンタクト受け部73の先端面の上部から基端側に向かって延伸している。特に、図12に示されているように、突部75の下面751は、第1のコンタクト6の先端部61の上面(接触面)611と接触している。このように、複数の突部75のそれぞれは、収納凹部74内に位置する第1のコンタクト6の先端部61の上面611を下方に向かって(収納凹部74内に向かって)押圧することで、先端部61を収納凹部74内に係止するストッパーとして作用している。また、突部75は、先端部61を下方に向かって押圧するので、第1のコンタクト6の接点部62に対して、舌状部72の上面に押し付ける負荷が印加される。このため、接点部62と舌状部72との一体性が高まる。
【0058】
また、各突部75の上面は、下側ハウジング7の舌状部72の上面と段差なく連続している。また、各突部75の上面は、第1のコンタクト6の接点部62の上面よりも下方に位置している。さらに、各突部75の下面751は、収納凹部74の底面741と離間しており、突部75の下面751と収納凹部74の底面741との間に第1のコンタクト6の先端部61が位置する。また、突部75は、収納凹部74の先端面から離間するにしたがって厚さが減少するテーパー形状を有している。
【0059】
図7に戻り、一対の溶着突部76は、舌状部72の上面の中央付近から、互いに離間した状態で上方に突出する部分である。図10に示されているように、上側部品21が下側部品22に取り付けられ、内部構造体2が得られた状態において、一対の溶着突部76は、上側部品21の一対の熱溶着孔513にそれぞれ挿通される。後述するように、図10に示されている状態において、一対の熱溶着孔513に挿通された溶着突部76に対して、熱溶着工程が施される。この熱溶着工程によって溶融した溶着突部76は、熱溶着孔513内を部分的または完全に埋めて、上側ハウジング5に接着される。これにより上側ハウジング5(上側部品21)と下側ハウジング7(下側部品22)とが一体化される。
【0060】
図8に示されているように、舌状部72の下側部72Bは、グランドプレート8の本体部81よりも下側(-Y方向)に位置しており、複数の第2のコンタクト9が埋め込まれている複数の埋込部77を有している。
【0061】
複数の埋込部77は、一体成形により複数の第2のコンタクト9が埋め込まれる部分である。複数の埋込部77のそれぞれは、対応する第2のコンタクト9の先端部91および接点部92のそれぞれの上面および側面と一体成形により接着される。なお、複数の第2のコンタクト9の接点部92の下面(外側面)は、対応する埋込部77から外側に向かって露出している。そのため、相手側コネクタが電気コネクタ1に対して挿入された際、複数の第2のコンタクト9の接点部92のそれぞれは、相手側コネクタの対応するコンタクトに接触することができる。
【0062】
図7に戻り、グランドプレート8は、第1のグランドプレート片8Lと、第2のグランドプレート片8Rと、を含む。第1のグランドプレート片8Lおよび第2のグランドプレート片8Rのそれぞれは、下側ハウジング7の舌状部72の上側部72Tと下側部72Bとの間に埋設される金属材料から構成される平板状部材である。第1のグランドプレート片8Lおよび第2のグランドプレート片8Rのそれぞれは、平板状の本体部81と、本体部81の基端部から基端側に向かって延伸し、下側ハウジング7の外部に露出する端子部82と、を有している。端子部82は、本体部81の基端部の外側部分から斜め上方に向かって延伸する第1の脚部821と、第1の脚部821の基端部から基端側に水平に延伸する水平延伸部822と、水平延伸部822の基端部から下方に延伸する第2の脚部823と、を有している。
【0063】
第1のグランドプレート片8Lおよび第2のグランドプレート片8Rは、グランド平面上において、相手側コネクタの挿入方向(Z軸方向)に直交する電気コネクタ1の幅方向(X軸方向)における電気コネクタ1の中心軸を介して互いに対向するよう配置されている。具体的には、第1のグランドプレート片8Lは、グランド平面上において、電気コネクタ1の中心軸よりもX軸の正方向の領域に配置されており、第2のグランドプレート片8Rは、グランド平面上において、電気コネクタ1の中心軸よりもX軸の負方向の領域に配置されている。
【0064】
なお、下側部品22の一体成形時においては、下側ハウジング7内における第1のグランドプレート片8Lおよび第2のグランドプレート片8Rの位置ズレや傾きを防止するため、第1のグランドプレート片8Lと、第2のグランドプレート片8Rとは、1つ以上の接続部によって、互いに接続されている。下側部品22の取得後に、下側部品22に対して実行されるタイバーカットにおいて、複数の第2のコンタクト9の接続部を打ち抜く際、同時に第1のグランドプレート片8Lと第2のグランドプレート片8Rとを接続する接続部も打ち抜かれる。これにより、第1のグランドプレート片8Lと、第2のグランドプレート片8Rとが、互いに分離された状態で、下側ハウジング7によって保持される。
【0065】
第1のグランドプレート片8Lおよび第2のグランドプレート片8Rのそれぞれの本体部81は、下側ハウジング7の舌状部72の上側部72Tと下側部72Bとの間に、複数の第1のコンタクト6および複数の第2のコンタクト9が配列されている平面とそれぞれ平行となるように埋設されている。また、本体部81は、第1のグランドプレート片8L、第2のグランドプレート片8R、および、複数の第2のコンタクト9を保持するよう下側ハウジング7を一体成形し、下側部品22を取得する際に、複数の第2のコンタクト9の位置決めを行うためのピンを挿通させるための複数の位置決め孔83と、下側ハウジング7を一体成形して下側部品22を取得した際には接続部を介して互いに接続されている複数の第2のコンタクト9の接続部を打ち抜き、複数の第2のコンタクト9を互いに分離させるためのタイバーカットを実行するためのタイバーカット孔84と、複数の第1のコンタクト6および複数の第2のコンタクト9のうち高周波信号コンタクト6A、9Aのインピーダンスを調整するためのインピーダンス調整孔85と、を備えている。
【0066】
本体部81における位置決め孔83、タイバーカット孔84、およびインピーダンス調整孔85の数、位置および形状は特に限定されず、下側部品22を一体成形する際の必要に応じて適宜設定される。図7に示すように、第1のグランドプレート片8Lおよび第2のグランドプレート片8Rのそれぞれの本体部81の複数の第1のコンタクト6および第2のコンタクト9にそれぞれ対応する位置に、位置決め孔83、タイバーカット孔84、およびインピーダンス調整孔85の少なくとも1つが形成されている。
【0067】
図7に示されているように、複数の第2のコンタクト9は、全体として、相手側コネクタの挿抜方向(Z軸方向)に沿って直線状に延伸する棒状形状を有している。複数の第2のコンタクト9のそれぞれは、基本的に、複数の第1のコンタクト6のそれぞれと同じ構成を有している。以下、代表して、1つの第2のコンタクト9の構成について詳述する。すなわち、第2のコンタクト9は、最先端(+Z方向側)に位置する先端部91と、先端部91の基端部から基端側に水平に延伸し、相手側コネクタの対応するコンタクトと接触する接点部92と、接点部92から基端側(-Z方向側)へ水平に延伸する第1の水平延伸部93と、第1の水平延伸部93から基端側へ延伸するブリッジ部94と、ブリッジ部94から基端側へ延伸する端子部95と、を備えている。なお、複数の第2のコンタクト9の接点部92、第1の水平延伸部93は、同一平面上に位置している(図7を参照)。以下、本明細書において、複数の第2のコンタクト9の接点部92、第1の水平延伸部93が位置する平面を、「第2のコンタクト平面」と呼ぶ。第2のコンタクト平面は、第1のコンタクト平面およびグランド平面と平行である。また、グランド平面は、第1のコンタクト平面と第2のコンタクト平面との間に互いに離間して位置している。
【0068】
先端部91は、第2のコンタクト9の最先端に位置し、接点部92から斜め上方に向かって延伸する部位である。先端部91は、下側ハウジング7の舌状部72の埋込部77内に埋め込まれている。接点部92は、電気コネクタ1が組み立てられた状態において、先端側からシェル3の差込口311を介して相手側コネクタが挿入されたときに、相手側コネクタの対応するコンタクトと接触する部位である。したがって、内部構造体2が形成された状態において、接点部92の下面は、外側(-Y方向)に向かって露出している。接点部92は、一体成形により、舌状部72の下側部72Bに埋め込まれているため、接点部92の上面および側面は、舌状部72に接着されている。
【0069】
第1の水平延伸部93は、接点部92の基端部から基端側へ水平に延伸し、下側ハウジング7の下側部72Bに埋め込まれる。ブリッジ部94は、第1の水平延伸部93の基端部から斜め上方へ向けて延伸する第1の脚部941と、第1の脚部941の基端部から基端側へ水平に延伸する第2の水平延伸部942と、第2の水平延伸部942の基端部から斜め下方に延伸し、端子部95と接続する第2の脚部943と、を有する。ブリッジ部94の第1の脚部941および第2の水平延伸部942の全体、ならびに、第2の脚部943の一部は、下側ハウジング7の中央部711および一対の側部712内に埋め込まれる。
【0070】
端子部95は、ブリッジ部94の第2の脚部943の基端部から基端側へ水平に延伸する部分である。電気コネクタ1が回路基板上に実装される際、端子部95は、回路基板上に設けられた対応する端子に接続される。前述したように、下側部品22は、グランドプレート8、複数の第2のコンタクト9、および下側ハウジング7を一体成形することにより得られる。下側部品22の一体成形時においては、下側ハウジング7内における複数の第2のコンタクト9の位置ズレや傾きを防止するため、複数の第2のコンタクト9のそれぞれは、接続部によって互いに接続されている。
【0071】
複数の第2のコンタクト9のそれぞれの機能は、上述した第1のコンタクト6のそれぞれの機能と同じである。具体的には、複数の第1のコンタクト6と同様に、複数の第2のコンタクト9は、相手側コネクタとの間で高周波の差動信号を伝送するための2つの高周波信号コンタクト9Aから構成される二対の高周波信号コンタクトペアCP1と、相手側コネクタとの間で通常の周波数の差動信号を伝送するための2つの通常信号コンタクト9Bから構成される一対の通常信号コンタクトペアCP2と、信号伝送以外の用途で用いられる複数の非信号コンタクト9Cと、を含む。また、複数の第2のコンタクト9の高周波信号コンタクト9A、通常信号コンタクト9B、および非信号コンタクト9Cの配置は、複数の第1のコンタクト6と同じである(図6および図7参照)。
【0072】
複数の第1のコンタクト6および複数の第2のコンタクト9は、電気コネクタ1の正面側(相手側コネクタ側)から見て、第1のコンタクト6の接点部62と第2のコンタクト9の接点部92が、グランドプレート8を介して上下対称となるように、配置されている。
【0073】
複数の第1のコンタクト6および複数の第2のコンタクト9における複数の高周波信号コンタクト6A、9Aと、複数の通常信号コンタクト6B、9Bと、複数の非信号コンタクト6C、9Cの数や配置は特に限定されず、電気コネクタ1は、電気コネクタの規格に応じて適宜設定される。
【0074】
複数のタイバーカット孔721は、舌状部72の幅方向(図中のX軸方向)の両側、および、溶着突部76の先端側にそれぞれ形成されている。下側部品22の一体成形時には接続部を介して互いに接続されている複数の第2のコンタクト9の接続部を打ち抜き、複数の第2のコンタクト9を互いに分離させるためのタイバーカットを実行するために用いられる。
【0075】
前述したように、下側部品22は、下側ハウジング7と、グランドプレート8と、複数の第2のコンタクト9と、を一体成形することにより得られる。下側ハウジング7、グランドプレート8、および複数の第2のコンタクト9が一体化された状態において、下側ハウジング7の複数のタイバーカット孔721およびグランドプレート8の複数のタイバーカット孔84を介して、複数の第2のコンタクト9のそれぞれを接続している接続部を打ち抜き、複数の第2のコンタクト9を互いに分離させるためのタイバーカットが実行される。
【0076】
図9は、複数の第2のコンタクト9に対してタイバーカットを施した後の下側部品22を示している。図9に示されているように、複数の第2のコンタクト9の接点部92の下面(外側面)が、下側ハウジング7の舌状部72から外側に向かって露出している。さらに、複数の第2のコンタクト9の第2の脚部943の一部および端子部95が、下側ハウジング7の中央部711の下面の基端側から基端側に向かって露出している。さらに、一対の側部712の突出部7121の下面から第1のグランドプレート片8Lおよび第2のグランドプレート片8Rの端子部82(第2の脚部823)がそれぞれ露出している。
【0077】
下側部品22の上方から上側部品21が下側部品22に取り付けられ、さらに、下側部品22に対して熱溶着工程を施すことによって、内部構造体2が得られる。下側部品22に対する熱溶着工程は、複数の突部75を対応する第1のコンタクト6の先端部61に接触させる第1の熱溶着工程と、一対の溶着突部76を溶融させ、上側部品21と下側部品22とを一体化させる第2の熱溶着工程と、を含む。なお、第1の熱溶着工程と、第2の熱溶着工程の順番は、特に限定されない。また、第1の熱溶着工程と、第2の熱溶着工程とが同時に実行されてもよい。
【0078】
図10は、上側部品21を下側部品22に取り付けた後であって、下側部品22に対して熱溶着工程を施す前の内部構造体2の斜視図を示している。図10に示されているように、下側部品22に対する熱溶着工程を実行する前の段階において、下側ハウジング7の舌状部72上に形成された複数の突部75は、複数の収納凹部74の先端面に先端側から隣接する部分から上方(+Y方向)に向かってそれぞれ延伸している。また、この状態において、突部75の基端面(-Z方向の面)は、収納凹部74の先端面と連続する平坦面となっている(図11の上側参照)。また、突部75の厚さは、下側から上側に向かって漸減しており、突部75は、上方に向かって延伸するテーパー形状となっている。
【0079】
図11は、複数の突部75に対する第1の熱溶着工程を概略的に示している。図11の上側は、第1の熱溶着工程を実行する前の内部構造体2の断面図であり、図11の下側は、第1の熱溶着工程を実行した後の内部構造体2の断面図である。
【0080】
また、図11の上側の断面図に示されているように、上側部品21を下側部品22に取り付けた状態において、複数の第1のコンタクト6の接点部62のそれぞれが、下側ハウジング7の舌状部72の対応するコンタクト受け部73内に載置されている。さらに、複数の第1のコンタクト6の先端部61のそれぞれが、下側ハウジング7の舌状部72の対応する収納凹部74内に位置している。また、複数の第1のコンタクト6と下側ハウジング7とは一体成形されていないので、複数の第1のコンタクト6の接点部62は、下側ハウジング7の舌状部72に接着していない。図12に示す態様では、複数の第1のコンタクト6の接点部62の下面と、舌状部72の上面との間に間隙が存在しているが、本発明はこれに限られない。複数の第1のコンタクト6の接点部62が舌状部72に接着されていなければ、複数の第1のコンタクト6の接点部62の下面と、舌状部72の上面とが接触していてもよい。一方、複数の第2のコンタクト9の先端部91および接点部92は、舌状部72の下面上に形成された埋込部77内に位置している。
【0081】
図11に示されているように、複数の突部75に対して加熱および押圧を行うことにより、複数の突部75を溶融させ、複数の突部75のそれぞれを対応する第1のコンタクト6の先端部61に接触させる。このような第1の熱溶着工程により、複数の突部75のそれぞれは、収納凹部74の先端面の上部から基端側に向かって延伸し、対応する第1のコンタクト6の先端部61に接着し、これと一体化している図11の下側に示す状態になる。
【0082】
図12は、第1の熱溶着工程を実行した後の第1のコンタクト6の先端部付近の断面図の拡大図である。上側部品21と下側部品22の取り付け後に、複数の収納凹部74の先端面に先端側から隣接する部分から上方(+Y方向)に向かってそれぞれ延伸している突部75に対して、上方から、第1の熱溶着工程が施される。この第1の熱溶着工程により、熱可塑性の絶縁性材料により構成された複数の突部75が加熱および押圧され、溶融および変形するため、複数の収納凹部74の先端面の上部から基端側に向かって延伸する形状となる。この状態において、複数の突部75のそれぞれの下面751と、対応する第1のコンタクト6の先端部61の上面(接触面)611とが接着され、一体化されている。複数の突部75のそれぞれが、上方(外側)から対応する第1のコンタクト6の先端部61の上面(接触面)611に接触し、押圧することで、対応する第1のコンタクト6の接点部62に、接点部62を下側ハウジング7の舌状部72の上面上に押し付ける負荷が発生する。これにより、複数の第1のコンタクト6の接点部62と下側ハウジング7の舌状部72との一体性が高まり、接点部62の座屈および変形を防止することが可能となる。
【0083】
図11の上側に示されているように、第1の熱溶着工程を実行する前は、各収納凹部74は、上方に向かって開口している。一方、図11の下側に示されているように、第1の熱溶着工程を実行した後は、第1の熱溶着工程により溶融し変形した複数の突部75のそれぞれが、対応する第1のコンタクト6の先端部61の上面(接触面)611に被さるため、各収納凹部74の開口は、小さくなる、または、閉ざされる。
【0084】
複数の突部75のそれぞれは、対応する第1のコンタクト6の先端部61の上面(接触面)611の面積の少なくとも3%、好ましくは、10%、より好ましくは、50%を覆うよう、対応する第1のコンタクト6の先端部61の上面(接触面)611に接触している。
【0085】
図11の上側に示す第1の熱溶着工程を実行する前の段階において、複数の突部75のそれぞれは、上方に向かって延伸し、厚みが下方から上方に向かって漸減するテーパー形状を有している。また、第1の熱溶着工程を実行する前の段階において、複数の突部75の基端部のX軸方向の幅はコンタクト受け部73のX軸方向の幅と略等しい。また、舌状部72の上面において、各収納凹部74の先端面に先端側から隣接する部分に、1つの突部75が設けられている。しかしながら、突部75の形状、寸法、個数は、第1の熱溶着工程後に、複数の突部75が、収納凹部74内に位置する対応する第1のコンタクト6の先端部61に接触し、対応する第1のコンタクト6の接点部62と下側ハウジング7の舌状部72との一体性を向上させることができれば、特に限定されない。突部75の形状、寸法、個数が変更されたような態様もまた、本発明の範囲内である。
【0086】
引き続き図12を参照すると、複数の第1のコンタクト6のそれぞれの先端部61は、接点部62から斜め下方(収納凹部74の底面741)に向かって延伸(突出)しており、収納凹部74内に収納されている。本実施形態においては、複数の第1のコンタクト6のそれぞれの先端部61の先端と、収納凹部74の底面741との間に間隙Sが形成されている。また、複数の第1のコンタクト6は、下側ハウジング7と一体成形されていないため、第1のコンタクト6の接点部62の下面(-Y方向の面)および側面と、下側ハウジング7の舌状部72の上側部72Tの上面(+Y方向の面)とは接着していない。
【0087】
このように、本発明の電気コネクタ1においては、下側ハウジング7の舌状部72上に形成された複数の突部75のそれぞれが、対応する第1のコンタクト6の先端部61の上面(接触面)611に接触している。このような構成により、対応する第1のコンタクト6の接点部62において、接点部62を舌状部72に押し付けるような負荷が生じ、接点部62と舌状部72との一体性が高まり、接点部62の座屈や変形が防止されている。
【0088】
図4に戻り、シェル3は、金属材料から構成された扁平な筒状部材である。シェル3は、内部構造体2を外側から覆うと共に、電気コネクタ1を電子デバイスの回路基板上に固定するために用いられる。シェル3は、相手側コネクタの挿抜方向(Z方向)の先端側および基端側を除き、内部構造体2を覆った状態で、内部構造体2を内部に収納する。
【0089】
シェル3は、筒状の本体部31と、本体部31の上面の側面側の端部から外側に突出するよう形成され、下側に向かって階段状に延伸する一対のシェル脚部32と、を有している。
【0090】
シェル3の本体部31は、扁平な筒状形状を有している。本体部31の筒状形状の内面によって規定される空間内に内部構造体2が収納される。本体部31の先端側には、相手側コネクタを受け入れるための差込口311が形成されている。一方、本体部31の基端側には、シェル3の内部に収納された内部構造体2の複数の第1のコンタクト6、複数の第2のコンタクト9、およびグランドプレート8を、電子デバイスの回路基板に導くための基端側開口312が形成されている。
【0091】
電気コネクタ1が組み立てられた状態において、本体部31の内部に内部構造体2が収納される。本体部31の基端側開口312を介して、複数の第1のコンタクト6の端子部65、複数の第2のコンタクト9の端子部95、およびグランドプレート8の端子部82が外側に向かって延伸している。さらに、複数の第1のコンタクト6の端子部65、複数の第2のコンタクト9の端子部95、およびグランドプレート8の端子部82を電子デバイスの回路基板に接続することで、電気コネクタ1が電子デバイスの回路基板に実装される。
【0092】
シェル3のシェル脚部32は、電気コネクタ1を電子デバイスの回路基板上に固定するために用いられる。電気コネクタ1が組み立てられた状態において、シェル3のシェル脚部32が電子デバイスの回路基板上に形成された係合孔に挿入され、電気コネクタ1が電子デバイスの回路基板上に固定される。シェル脚部32は、本体部31の上面の側面側の端部から外側に階段状に突出するよう形成されている。
【0093】
シールド部材4は、シェル3および内部構造体2を上方から覆うことにより、これらコンポーネントを電磁シールド(EMC)する機能を有している。さらに、シールド部材4は、電気コネクタ1を電子デバイスの筐体内に設けられた回路基板上に固定する機能を有している。
【0094】
シールド部材4は、金属材料から構成されている。シールド部材4は、本体部41と、一対のネジ挿通孔42と、一対の圧入突起43と、一対のシールド脚部44と、を有している。
【0095】
本体部41は、平板状であり、シェル3の上面を覆う先端部411と、内部構造体2の上側ハウジング5の基端部52および下側ハウジング7の一対の側部712の上面を覆う基端部412と、先端部411と基端部412を連結する一対の連結部413と、を有している。
【0096】
一対の圧入突起43は、基端部412の側面側の先端部の両側面から外側にそれぞれ突出するよう形成されている。一対の圧入突起43は、基端部412の上面の側面側の端部から外側に水平方向(X軸方向)に延伸する水平延伸部431と、水平延伸部431から下方に延伸する下方延伸部432と、を有している。シールド部材4を内部構造体2およびシェル3に取り付ける際に、一対の圧入突起43の下方延伸部432は、内部構造体2の下側ハウジング7の一対の側部712の上面にそれぞれ形成された一対の圧入孔716にそれぞれ圧入される(図4参照)。
【0097】
一対のシールド脚部44は、基端部412の基端部の両側面から外側にそれぞれ突出するよう形成されている。一対のシールド脚部44は、基端部412の上面の側面側の端部から外側に水平方向(X軸方向)に延伸する水平延伸部441と、水平延伸部441から下方に延伸する下方延伸部442を有している。一対のシールド脚部44の下方延伸部442は、電気コネクタ1が回路基板上に実装される際、回路基板上に設けられた対応する端子に接続される。
【0098】
次に、図13から図15を参照して、本発明に係る電気コネクタ1の製造方法S100を詳述する。図13は、本発明の電気コネクタ1の製造方法S100を示すフローチャートである。図14は、図13に示す、ハウジングにコンタクトを設ける工程のフローチャートである。図15は、上側部品21を下側部品22に取り付ける工程を説明するための図である。
【0099】
工程S110において、複数の第1のコンタクト6が上側ハウジング5によって保持され、さらに、複数の第2のコンタクト9が下側ハウジング7によって保持される。図14は、工程S110をより詳細に示している。工程S111において、上側ハウジング5と、複数の第1のコンタクト6とが一体成形され、上側部品21が得られる。具体的には、工程S111において、複数の第1のコンタクト6が、上側ハウジング5に対応した形状を有する金型内に配置され、金型内に熱可塑性の絶縁性材料を流し込む一体成形が実行される。このような一体成形により、複数の第1のコンタクト6の第1の水平延伸部63およびブリッジ部64は、上側ハウジング5の先端部51および基端部52にそれぞれ埋め込まれる。これにより、複数の第1のコンタクト6が上側ハウジング5に保持される。なお、工程S111の段階においては、上側ハウジング5内における複数の第1のコンタクト6の位置ズレや傾きを防止するため、複数の第1のコンタクト6のそれぞれは、接続部によって互いに接続されている。
【0100】
次に、工程S112において、上側部品21に対して、複数の第1のコンタクト6を互いに接続している接続部を打ち抜くタイバーカットが施される。具体的には、上側ハウジング5のタイバーカット孔512および一対の熱溶着孔513内にそれぞれタイバーカット用のカッターが挿入され、複数の第1のコンタクト6をそれぞれ接続している接続部が打ち抜かれる。このようなタイバーカットにより、上側ハウジング5によって保持されている複数の第1のコンタクト6が互いに分離され、上側ハウジング5によって互いに絶縁された状態で保持される。
【0101】
一方、工程S113において、下側ハウジング7と、複数の第2のコンタクト9と、第1のグランドプレート片8Lおよび第2のグランドプレート片8Rから構成されるグランドプレート8とが一体成形され、下側部品22が得られる。具体的には、工程S113において、グランドプレート8および複数の第2のコンタクト9が、下側ハウジング7に対応した形状を有する金型内に配置され、金型内に熱可塑性の絶縁性材料を流し込む一体成形が実行される。このような一体成形により、複数の第2のコンタクト9の先端部91、接点部92(下面以外)、第1の水平延伸部93、およびブリッジ部94が、下側ハウジング7の下側部72Bに埋め込まれる。これにより、複数の第2のコンタクト9およびグランドプレート8が下側ハウジング7に保持される。なお、工程S113の段階においては、下側ハウジング7内における複数の第2のコンタクト9の位置ズレや傾きを防止するため、複数の第2のコンタクト9のそれぞれは、接続部によって互いに接続されている。また、工程S113の段階においては、下側ハウジング7内における第1のグランドプレート片8Lおよび第2のグランドプレート片8Rの位置ズレや傾きを防止するため、第1のグランドプレート片8Lと、第2のグランドプレート片8Rとは、1つ以上の接続部によって互いに接続されている。
【0102】
次に、工程S114において、下側部品22に対して、複数の第2のコンタクト9を互いに接続している接続部、および、第1のグランドプレート片8Lと第2のグランドプレート片8Rとを互いに接続している1つ以上の接続部を打ち抜くタイバーカットが施される。具体的には、下側ハウジング7のタイバーカット孔721およびグランドプレート8のタイバーカット孔84内にそれぞれタイバーカット用のカッターが挿入され、複数の第2のコンタクト9をそれぞれ接続している接続部、および、第1のグランドプレート片8Lと第2のグランドプレート片8Rとを互いに接続している1つ以上の接続部が打ち抜かれる。このようなタイバーカットにより、下側ハウジング7によって保持されている複数の第2のコンタクト9が互いに分離され、さらに、第1のグランドプレート片8Lと、第2のグランドプレート片8Rとが互いに分離される。この結果、複数の第2のコンタクト9、第1のグランドプレート片8L、および第2のグランドプレート片8Rが、下側ハウジング7によって互いに絶縁された状態で保持される。
【0103】
なお、工程S111および工程S112による上側部品21の取得と、工程S113および工程S114による下側部品22の取得は、それぞれ個別に行われてもよいし、同時に行われてもよい。また、工程S111および工程S112による上側部品21の取得と、工程S113および工程S114による下側部品22の取得の実行順は、特に限定されない。
【0104】
上側部品21および下側部品22が取得されると、工程S115において、上側部品21が下側部品22に取り付けられる。図15は、工程S115における下側部品22に対する上側部品21の取り付けを概略的に示している。なお、前述したように、この段階において、下側ハウジング7の舌状部72上に形成された複数の突部75は、複数の収納凹部74の先端面から上方(+Y方向)に向かって延伸している。
【0105】
図15に示されている状態において、上側部品21の一対の圧入部515が、下側部品22の一対の圧入溝713内に上方から圧入される。この時、一対の圧入部515の外側面上にそれぞれ形成された一対の圧入リブ516が弾性変形し、一対の圧入溝713にそれぞれ押し付けられる。これにより、上側部品21が下側部品22に対して取り付けられる。さらに、下側ハウジング7の舌状部72上に形成された一対の溶着突部76は、上側ハウジング5の一対の熱溶着孔513にそれぞれ挿通される。
【0106】
上側部品21が下側部品22に対して取り付けられると、図13に示す工程S120において、下側ハウジング7の舌状部72上から上方に向かって延伸する複数の突部75および一対の溶着突部76に対して熱溶着(熱カシメ)処理が施される熱溶着工程が実行される。工程S120における熱溶着工程は、複数の突部75を加熱および押圧することによって、複数の突部75を、それぞれ対応する第1のコンタクト6の先端部61に接触させる第1の熱溶着工程と、一対の溶着突部76を加熱および押圧することによって、一対の溶着突部76を上側ハウジング5に溶着させ、上側ハウジング5と下側ハウジング7とを一体化する第2の熱溶着工程と、を含む。第1の熱溶着工程は、例えば、加熱した金属製プレートを複数の突部75に押し当てることにより実行される。同様に、第2の熱溶着工程は、例えば、加熱した金属製プレートを一対の溶着突部76に押し当てることにより実行される。なお、第1の熱溶着工程と第2の熱溶着工程との実行順は、特に限定されず、それぞれ個別に行われてもよいし、同時に行われてもよい。
【0107】
第1の熱溶着工程において、複数の突部75は加熱および押圧されることにより、溶融および変形するため、対応する第1のコンタクト6の先端部61に上方から接触し、先端部61に接着する。これにより、複数の突部75と対応する第1のコンタクト6の先端部61とが、一体化される。
【0108】
第1の熱溶着工程によって、図12に示されているように、複数の突部75は、対応する収納凹部74の先端面の上部から基端側に向かって延伸する。そのため、複数の突部75の下面751は、収納凹部74内に位置する対応する第1のコンタクト6の先端部61の上方から、先端部61の上面611に接触する。この結果、複数の第1のコンタクト6の先端部61がそれぞれ複数の突部75によって下方に押圧され、複数の第1のコンタクト6の接点部62に、複数の第1のコンタクト6の接点部62を下側ハウジング7の舌状部72に押し付けるような負荷が生じ、接点部62と舌状部72との一体性が高まる。そのため、第1のコンタクト6の接点部62の座屈および変形を防止することができる。
【0109】
さらに、下側ハウジング7の一対の溶着突部76は、第2の熱溶着工程によって、溶融し、上側ハウジング5の一対の熱溶着孔513内を部分的または完全に埋めるため、上側部品21および下側部品22が一体化する。
【0110】
その後、工程S130において、シェル3の基端側開口312から内部構造体2が挿入されて、取り付けられる。工程S140において、シールド部材4が、内部構造体2およびシェル3の上面に取り付けられることにより、電気コネクタ1の製造および組み立てが終了する。
【0111】
上述のように、本発明の電気コネクタ1では、下側ハウジング7の舌状部72上に設けられた突部75が、下側ハウジング7の舌状部72上に形成された複数の収納凹部74内にそれぞれ位置する複数の第1のコンタクト6の先端部61に接触している。このような構成により、複数の第1のコンタクト6の接点部62において、接点部62を舌状部72に押し付けるような負荷が生じ、接点部62と舌状部72との一体性が高まり、接点部62の座屈や変形が防止されている。この結果、電気コネクタ1に対して相手側コネクタが挿入される際の複数の第1のコンタクト6の接点部62の座屈または変形を防止することができる。したがって、電気コネクタ1と相手方コネクタのコンタクトとの接続の信頼性を向上させ、さらに、電気コネクタ1の製品寿命を長くすることができる。
【0112】
さらに、本発明に係る電気コネクタの製造方法によって得られる電気コネクタ1では、従来技術のように、下側ハウジング7の舌状部72上に設けられた複数の第1のコンタクト6の接点部62の座屈または変形を防止するために、複数の第1のコンタクト6を含む多数の部品を同時に一体化する一体成形を実行する必要がない。そのため、従来技術のような多数の部品を同時に一体化する、技術的難易度の高い一体成形を実行する必要がなく、電気コネクタ1を容易に製造することが可能となる。さらに、多数の部品を同時に一体化するための複雑な構造を有する高価な金型が不要となるため、電気コネクタ1の製造コストを削減することができる。
【0113】
なお、上述の実施形態において、複数の第2のコンタクト9は、下側ハウジング7と一体成形されるため、複数の第2のコンタクト9の接点部92が下側ハウジング7の舌状部72に接着され、これにより、接点部92の舌状部72に対する一体性が高められているが、本発明はこれに限られない。複数の第2のコンタクト9の接点部92が舌状部72に対して接着されないように(例えば、圧入等の任意の方法によって)、複数の第2のコンタクト9が下側ハウジング7によって保持されているような態様もまた本発明の範囲内である。この場合、舌状部72の上側部72Tの上面上に設けられた複数のコンタクト受け部73および複数の突部75とそれぞれ同様の複数のコンタクト受け部および複数の突部が、舌状部72の下側部72Bの下面上に形成されており、該複数の突部のそれぞれが、コンタクト受け部内に位置する対応する第2のコンタクト9の先端部91に下方(外側)から接触し、これにより、複数の第2のコンタクト9の接点部92と舌状部72との一体性が高められているような態様もまた、本発明の範囲内である。
【0114】
以上、本発明の電気コネクタおよび電気コネクタの製造方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、本発明の各構成に任意の構成のものを付加することができる。
【0115】
本発明の属する分野および技術における当業者であれば、本発明の原理、考え方、および範囲から有意に逸脱することなく、記述された本発明の電気コネクタの構成の変更を実行可能であろうし、変更された構成を有する電気コネクタもまた、本発明の範囲内である。
【0116】
また、図2図12に示された電気コネクタの構成要素の数や種類は、説明のための例示にすぎず、本発明は必ずしもこれに限られない。本発明の原理および意図から逸脱しない範囲において、任意の構成要素が追加若しくは組み合わされ、または任意の構成要素が削除された態様も、本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0117】
1…電気コネクタ 2…内部構造体 21…上側部品 22…下側部品 3…シェル 31…本体部 311…差込口 312…基端側開口 32…シェル脚部 4…シールド部材 41…本体部 411…先端部 412…基端部 413…連結部 42…ネジ挿通孔 43…圧入突起 431…水平延伸部 432…下方延伸部 44…シールド脚部 441…水平延伸部 442…下方延伸部 5…上側ハウジング 51…先端部 511…板状部 512…タイバーカット孔 513…熱溶着孔 514…壁部 515…圧入部 516…圧入リブ 52…基端部 521…板状部 522…嵌合凹部 523…接続部 6…第1のコンタクト 61…先端部 611…上面 62…接点部 63…第1の水平延伸部 64…ブリッジ部 641…第1の脚部 642…第2の水平延伸部 643…第2の脚部 65…端子部 6A…高周波信号コンタクト 6B…通常信号コンタクト 6C…非信号コンタクト 7…下側ハウジング 71…ベース部 711…中央部 7111…斜面 712…側部 7121…突出部 713…圧入溝 714…壁部 715…位置決め突起 716…圧入孔 72…舌状部 72B…下側部 72T…上側部 721…タイバーカット孔 73…コンタクト受け部 731…壁部 732…溝 733…支持部 74…収納凹部 741…底面 75…突部 751…下面 76…溶着突部 77…埋込部 8…グランドプレート 8L…第1のグランドプレート片 8R…第2のグランドプレート片 81…本体部 82…端子部 821…第1の脚部 822…水平延伸部 823…第2の脚部 83…位置決め孔 84…タイバーカット孔 85…インピーダンス調整孔 9…第2のコンタクト 91…先端部 92…接点部 93…第1の水平延伸部 94…ブリッジ部 941…第1の脚部 942…第2の水平延伸部 943…第2の脚部 95…端子部 9A…高周波信号コンタクト 9B…通常信号コンタクト 9C…非信号コンタクト 500…内部構造体 501…コンタクト 502…グランドプレート 503…ハウジング 504…ベース部 505…舌状部 506…コンタクト受け部 507…先端部 508…接点部 509…水平延伸部 CP1…高周波信号コンタクトペア CP2…通常信号コンタクトペア S…間隙 S100…製造方法 S110、S111、S112、S113、S114、S115、S120、S130、S140…工程
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