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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175381
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】荷重測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 1/02 20060101AFI20231205BHJP
   A43B 3/48 20220101ALI20231205BHJP
   A43B 3/44 20220101ALI20231205BHJP
   A63B 23/04 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
A61H1/02 R
A43B3/48
A43B3/44
A63B23/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087802
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138014
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 香織
(72)【発明者】
【氏名】和田 晃
(72)【発明者】
【氏名】山下 明浦
(72)【発明者】
【氏名】東本 佳久
(72)【発明者】
【氏名】長田 優輔
【テーマコード(参考)】
4C046
4F050
【Fターム(参考)】
4C046AA25
4C046AA45
4C046BB07
4C046CC01
4C046DD39
4C046EE05
4F050DA29
4F050GA02
4F050GA30
4F050JA30
(57)【要約】
【課題】本発明は、被測定者(患者)は、被測定者の履き慣れた歩行用の靴を履いた状態で、荷重測定装置としての履物本体に容易に装着(着脱)できるようにすると共に、荷重測定時においては、被測定者は、違和感なく安定した状態で歩行訓練ができるようにすることを目的とする。
【解決手段】履物底部としてのソールと、少なくとも、足の甲部を保持するアッパーからなる履物本体と、履物底部に設置される圧力センサと、圧力センサからの信号を無線送信する送信部と、を備える、荷重測定装置において、被測定者は、被測定者の歩行用の靴を履いた状態又は履かない状態で、履物本体に装着することができる
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物底部としてのソールと、少なくとも、足の甲部を保持するアッパーからなる履物本体と、前記履物底部に設置される圧力センサと、前記圧力センサからの信号を無線送信する送信部と、を備える、荷重測定装置において、
被測定者は、前記被測定者の歩行用の靴を履いた状態又は履かない状態で、前記履物本体に装着することができる、ことを特徴とする荷重測定装置。
【請求項2】
前記アッパーは、前記足の甲部を前記履物本体に着脱自在に係止可能な左右二つの甲部係止用片を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の荷重測定装置。
【請求項3】
前記二つの甲部係止用片は、それぞれ、ソールの左右両側部に前記甲部係止用片の基部が固定され、前記甲部係止用片の他端を相互に重ね合わせて前記甲部係止用片に取付けられた係止部材で結合し、装着するようにした、ことを特徴とする請求項2に記載の荷重測定装置。
【請求項4】
係止部材は、面ファスナで構成され、止める位置を変えることにより前記甲部係止用片の重なり長さを調整可能とする、ことを特徴とする請求項3に記載の荷重測定装置。
【請求項5】
前記二つの甲部係止用片における係止部材として、一方の甲部係止用片の外側面には雄型の面ファスナが取付けられ、前記一方の甲部係止用片の内側面には雌型の面ファスナが取付けられると共に、他方の甲部係止用片の外側面には雄型の面ファスナが取付けられ、前記他方の甲部係止用片の内側面には雌型の面ファスナが取付けられる、ことを特徴とする請求項3に記載の荷重測定装置。
【請求項6】
前記アッパーは、前記足の踵部を前記履物本体に着脱自在に係止可能な左右二つの踵部係止用片をさらに備えた、ことを特徴とする請求項2に記載の荷重測定装置。
【請求項7】
履物底部としてのソールと、少なくとも、足の甲部を保持するアッパーからなる履物本体と、前記履物底部に設置される圧力センサと、前記圧力センサからの信号を無線送信する送信部と、を備える、荷重測定装置において、
前記履物本体は左右同一形状に構成され、前記圧力センサはソールの幅方向に左右対称に配置される、ことを特徴とする荷重測定装置。
【請求項8】
前記履物本体は、荷重測定時においては左右一組で両足に装着され、前記両足に装着される履物本体の一方は、前記圧力センサ及び送信部を備えていないダミーの履物として構成される、ことを特徴とする請求項7に記載の荷重測定装置。
【請求項9】
前記荷重測定装置は、前記圧力センサに測定する荷重を伝達するアクチュエータ部を備え、前記ダミーの履物は、前記圧力センサにおけるアクチュエータ部だけが配置される、ことを特徴とする請求項8に記載の荷重測定装置。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は荷重測定装置に関する。詳しくは、リハビリテーション時の歩行訓練等に用いる足装着型の荷重測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下肢骨折や骨関節疾患などの術後患者に対する理学療法の1つに免荷訓練がある。免荷訓練では、患者の全体重よりも軽い荷重に制限しながら、当該患者に負荷して歩行訓練等を行うが、患者に過度の負荷を与えることなく、かつ、効果的な訓練を行うには、適切な荷重制御が必要となる。
【0003】
訓練時に適切な荷重制御を行うには、免荷訓練等における患者の下肢に作用する荷重を測定する必要がある。特許文献1には、患者が歩行訓練において足に実際にかけた体重を数値として正確に、且つリアルタイムに知ることのできる歩行訓練のためのリハビリテーション用履物(免荷歩行フィードバック訓練装置)が開示されており、免荷訓練に用い得ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭59-193419
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の特許文献1に開示されるリハビリテーション用履物においては、患者が履き慣れた靴を履いた状態で装着できることを想定したものではなく、患者は、履き慣れないリハビリテーション用履物だけを直接足に装着し、違和感のあるまま荷重測定を行うことになる。又、荷重測定時においては、両足の内、測定する側だけにリハビリテーション用履物を装着することになり、左右バランスがとりづらく、不安定である。左右両側用のリハビリテーション用履物を揃えることもできるが、コスト高となる。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑み、被測定者(患者)は、被測定者の履き慣れた歩行用の靴を履いた状態で、荷重測定装置としての履物本体に容易に装着(着脱)できるようにすると共に、荷重測定時においては、被測定者は、違和感なく安定した状態で歩行訓練ができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、履物底部としてのソールと、少なくとも、足の甲部を保持するアッパーからなる履物本体と、前記履物底部に設置される圧力センサと、前記圧力センサからの信号を無線送信する送信部と、を備える、荷重測定装置において、被測定者は、前記被測定者の歩行用の靴を履いた状態又は履かない状態で、前記履物本体に装着することができる、ことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の荷重測定装置において、前記アッパーは、前記足の甲部を前記履物本体に着脱自在に係止可能な左右二つの甲部係止用片を備える、ことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の荷重測定装置において、前記二つの甲部係止用片は、それぞれ、ソールの左右両側部に前記甲部係止用片の基部が固定され、前記甲部係止用片の他端を相互に重ね合わせて前記甲部係止用片に取付けられた係止部材で結合し、装着するようにした、ことを特徴とするものである。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の荷重測定装置において、係止部材は、面ファスナで構成され、止める位置を変えることにより前記甲部係止用片の重なり長さを調整可能とする、ことを特徴とするものである。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項3に記載の荷重測定装置において、前記二つの甲部係止用片における係止部材として、一方の甲部係止用片の外側面には雄型の面ファスナが取付けられ、前記一方の甲部係止用片の内側面には雌型の面ファスナが取付けられると共に、他方の甲部係止用片の外側面には雄型の面ファスナが取付けられ、前記他方の甲部係止用片の内側面には雌型の面ファスナが取付けられる、ことを特徴とするものである。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項2に記載の荷重測定装置において、前記アッパーは、前記足の踵部を前記履物本体に着脱自在に係止可能な左右二つの踵部係止用片をさらに備えた、ことを特徴とするものである。
【0013】
請求項7記載の発明は、履物底部としてのソールと、少なくとも、足の甲部を保持するアッパーからなる履物本体と、前記履物底部に設置される圧力センサと、前記圧力センサからの信号を無線送信する送信部と、を備える、荷重測定装置において、
前記履物本体は左右同一形状に構成され、前記圧力センサはソールの幅方向に左右対称に配置される、ことを特徴とするものである。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項7に記載の荷重測定装置において、前記履物本体は、荷重測定時においては左右一組で両足に装着され、前記両足に装着される履物本体の一方は、前記圧力センサ及び送信部を備えていないダミーの履物として構成される、ことを特徴とするものである。
【0015】
請求項9記載の発明は、請求項8に記載の荷重測定装置において、前記荷重測定装置は、前記圧力センサに測定する荷重を伝達するアクチュエータ部を備え、前記ダミーの履物は、前記圧力センサにおけるアクチュエータ部だけが配置される、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、被測定者は、被測定者の履き慣れた歩行用の靴を履いた状態で、荷重測定装置としての履物本体に容易に装着(着脱)できると共に、荷重測定時においては、被測定者は、違和感なく安定した状態で歩行訓練ができる。尚、被測定者の希望により、被測定者の靴を履かない状態で、履物本体に容易に装着(着脱)することもできる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、アッパーは、足の甲部を履物本体に着脱自在に係止可能な左右二つの甲部係止用片を備える為、被測定者の靴(足)を履物本体に容易に装着(着脱)することができる。又、種々の靴(足)のサイズを装着できる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、二つの甲部係止用片は、それぞれ、ソールの左右両側部に甲部係止用片の基部が固定され、甲部係止用片の他端を相互に重ね合わせて甲部係止用片に取付けられた係止部材で結合し、装着するようにした為、係止部材にて、被測定者の靴(足)を履物本体に容易に装着(着脱)することができる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、係止部材は、面ファスナで構成される為、止める位置を変えることにより甲部係止用片の重なり長さを容易に調整可能である。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、二つの甲部係止用片における係止部材として、一方の甲部係止用片の外側面には雄型の面ファスナが取付けられ、前記一方の甲部係止用片の内側面には雌型の面ファスナが取付けられると共に、他方の甲部係止用片の外側面には雄型の面ファスナが取付けられ、前記他方の甲部係止用片の内側面には雌型の面ファスナが取付けられる為、甲部係止用片の両端を相互に重ね合わせて面ファスナで結合する際、甲部係止用片の両端の左右どちら側が上になっても結合でき、被測定者が右利きでも左利きでも面ファスナにて、被測定者の靴(足)を履物本体に容易に装着(着脱)することができる。又、二つの甲部係止用片の内側面には雌型の面ファスナがそれぞれ取付けられている為、被測定者(患者)の靴や靴下に面ファスナが直接貼り付くことを防ぐことができる。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、アッパーは、足の甲部を履物本体に着脱自在に係止可能な左右二つの甲部係止用片に加えて、さらに、足の踵部を履物本体に着脱自在に係止可能な左右二つの踵部係止用片を備えた為、被測定者の靴(足)を履物本体にさらに確実に装着することができる。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、荷重測定装置において、履物本体は左右同一形状に構成され、圧力センサはソールの幅方向に左右対称に配置される為、履物本体の左右の区別がなく、左右どちらにも装着できる。又、被測定者の靴(足)を履物本体に容易に装着することができる。
【0023】
請求項8記載の発明によれば、履物本体は、荷重測定時においては左右一組で両足に装着され、両足に装着される履物本体の一方は、圧力センサ及び送信部を備えていないダミーの履物として構成される為、履物本体をダミーの履物を含む左右一組で購入すれば、荷重測定時において、被測定者の左右バランスが安定する。又、左右どちらが測定側の足となっても、履物本体の左右の区別がない為、左右交換すれば済み、コスト安となる。
【0024】
請求項9記載の発明によれば、荷重測定装置は、圧力センサに測定する荷重を伝達するアクチュエータ部を備え、ダミーの履物は、圧力センサにおけるアクチュエータ部だけが配置される為、荷重測定時において、コスト安になると共に、被測定者の左右バランスが安定する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第一実施形態の荷重測定装置の全体システムを示す斜視図である。
図2】履物本体の使用時と装着前の状態を示す平面図である。
図3】靴を履いたまま履物本体に装着した状態を示す側面図である。
図4】ソールから中敷きを取り外した状態の平面図及び、その断面図である。
図5図4の断面図の要部拡大図である。
図6】圧力センサ全体の外観を示す斜視図である。
図7】荷重測定装置の全体システムを示すブロック図である。
図8】スマートフォンにおける本発明の設定画面を示す平面図である。
図9】スマートフォンにおける本発明の測定画面を示す平面図である。
図10】本発明の設定時におけるフロー図である。
図11】本発明の測定時におけるフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施例を図1乃至図6を参照して説明する。ここで、図1は本発明の一実施例の荷重測定装置1における全体システムを示す斜視図、図2は同実施例の履物本体10の使用時と装着前の状態を示す斜視図、図3は同実施例の靴21を履いたまま履物本体10に装着した状態を示す平面図、図4は同実施例のソール11から中敷き14を取り外した状態の平面図及び、その断面図、図5は同実施例の図4の断面図の要部拡大図、図6は同実施例の圧力センサ61を示す斜視図である。
【0027】
本実施例では被測定者の足の保持手段を履物とし、荷重センサを履物本体10のソール11に組み込み、下肢を被訓練部位として、歩行の免荷訓練を行う場合について説明する。図1に示すように、本実施例は、被検者が免荷訓練を行う側の足部に装着する履物本体10、他の足部に装着するダミーの履物20、履物底部としてのソール11に設置される圧力センサ(不図示)及び圧力センサからの信号をスマートフォン等の受信部40に無線送信する送信部30と、を備える。尚、送信部30の下部には面ファスナ(不図示)が取付けられており、履物本体10の甲部上面に取付けられている面ファスナ51と結合され、接離自在に甲部に設置される。又、送信部30は、リード線31を介してソール11内部の圧力センサと接続されている。
【0028】
図2(a),(b)は本発明の一実施の形態に係る荷重測定装置1における履物本体10を示す使用状態時の平面図および履く前の状態の平面図である。尚、図2(a)においては、送信部30を省略している。又、図2(b)においては、中敷き14を取り外した状態を示しており、圧力センサ61が露出した状態となっている。尚、中敷き14の裏側には面ファスナ(不図示)が取付けられており、ソール11側の面ファスナ53と結合される。この実施の形態の履物本体10では、上述の図から明らかなように、被測定者(患者)が容易に着脱することのできるサンダル形態とした場合を例示している。但し、本発明の履物本体10はサンダル形態のものに限らず、他の履物形態として適用することもできる。すなわち、足を乗せる履物底部としてのソール11と足の甲を覆うアッパー15を少なくとも備えていればよい。アッパー15は、足の甲部を履物本体10に着脱自在に係止可能である。
【0029】
この履物本体10は、ソール11の左右両側部に前記甲部係止用片12(12a、12b)の基部がそれぞれ固定され、甲部係止用片12a、12bの他端を相互に重ね合わせて甲部係止用片12a、12bに取付けられた係止部材で結合し、装着するようにしたサンダル形態になっている。係止部材は、面ファスナ51a、51bで構成され、止める位置を変えることにより甲部係止用片12a、12bの重なり長さを調整可能である。尚、面ファスナとは、一般にマジックテープ(登録商標)と呼称されているものである。又、二つの甲部係止用片12a、12bにおける係止部材として、一方の甲部係止用片12aの外側面には雄型の面ファスナ51aが取付けられ、前記一方の甲部係止用片12aの内側面には雌型の面ファスナ51a´が取付けられると共に、他方の甲部係止用片12bの外側面には雄型の面ファスナ51bが取付けられ、前記他方の甲部係止用片12bの内側面には雌型の面ファスナ51b´が取付けられる。
【0030】
これによれば、甲部係止用片12a、12bの両端を相互に重ね合わせて面ファスナで結合する際、甲部係止用片の両端の左右どちら側が上になっても結合でき、被測定者が右利きでも左利きでも面ファスナにて、被測定者の靴(足)を履物本体に容易に装着(着脱)することができる。又、二つの甲部係止用片12a、12bの内側面には雌型の面ファスナ51a´、51b´がそれぞれ取付けられている為、被測定者(患者)の靴や靴下に直接面ファスナが貼り付くことを防ぐことができる。すなわち、面ファスナの内、雄型の面ファスナ51a、51bの先端はフック状となっており、他のものに貼り付きやすい(絡まりやすい)。それに対して、雌型の面ファスナ51a´、51b´の先端はループ状となっている為、他のものに貼り付きにくい(絡まりにくい)。
為である。
【0031】
したがって、この履物本体10は、図2(b)に示すように、甲部係止用片12a、12bを両側に開いた状態として、被測定者(患者)が自身の訓練すべき足を、被測定者の履き慣れた靴を履いたままソール部11の上に乗せたのちに、図2(a)に示すように、両側の甲部係止用片12a、12bの各々の面ファスナ51a、51bを互いに重ね合わせて結合するだけで装着することができ、患者あるいはその介助者にとって極めて容易に装着できるものである。
【0032】
尚、アッパー15には、甲部係止用片12a、12bに加えて、足の踵部を履物本体10に着脱自在に係止可能な左右二つの踵部係止用片13(13a、13b)をさらに備えるように構成してもよい。
【0033】
これによれば、被測定者の靴(足)を履物本体にさらに確実に装着することができる。
【0034】
図3は、被測定者が靴21を履いたまま履物本体10に装着した状態を示す側面図である。荷重測定装置1は、病院、リハビリテーション施設などにおいて、リハビリテーション(免荷訓練等)を行う患者の下肢にかかる荷重の測定に用いられる。
【0035】
リハビリテーションの歩行訓練において、被測定者(患者)は、リハビリテーションを行う(荷重測定を行う)一方の足に履物本体10を履き、他方の足にダミーの履物20を履く。又、その際、被測定者(患者)は、図3に示すように、靴21を履いた状態で履物本体10を履き、他方の足にダミーの履物20を履く。ここで、履物本体10は左右同一形状に構成され、圧力センサ61はソール11の幅方向に左右対称に配置される。又、履物本体10は、荷重測定時においては左右一組で両足に装着され、両足に装着される履物の一方は、圧力センサ61及び送信部30を備えていないダミーの履物20として構成される。又、荷重測定装置1は、圧力センサ61に測定する荷重を伝達するアクチュエータ部を備え、ダミーの履物20は、圧力センサ61におけるアクチュエータ部だけが配置される。これについては後述する。
【0036】
以上によれば、被測定者は、被測定者の履き慣れた歩行用の靴を履いた状態で、荷重測定装置としての履物本体に容易に装着(着脱)できると共に、荷重測定時においては、被測定者は、違和感なく安定した状態で歩行訓練ができる。尚、被測定者の希望により、被測定者の靴を履かない状態で、履物本体に容易に装着(着脱)することもできる。
【0037】
又、履物本体10の左右の区別がなく、被測定者の靴(足)を履物本体10に容易に装着することができる。又、履物本体10をダミーの履物20を含む左右一組で購入すれば、荷重測定時において、被測定者の左右バランスが安定する。又、左右どちらが測定側の足となっても、履物本体10の左右の区別がない為、左右交換すれば済み、コスト安となる。又、荷重測定装置1は、圧力センサ61に測定する荷重を伝達するアクチュエータ部を備え、ダミーの履物20は、圧力センサ61におけるアクチュエータ部だけが配置される為、荷重測定時において、被測定者の左右バランスが安定する。
【0038】
[重量検出部の構成]
次に、圧力センサ61を用いた重量検出部の構成について図4乃至図6を用いて説明する。図4(a)はソール11から中敷き14を取り外した状態の平面図であり、図4(b)はその断面図(A-A断面図)である。図5図4の断面図の要部拡大図である。図6は圧力センサ61全体の外観を示す斜視図である。
【0039】
図4(a)に示すように、実施例においては、圧力センサ61(61a、61b、61c、61d)はソール11の足の甲部対向箇所に2箇所と踵部対向箇所に2箇所に、ソール11の幅方向に左右対称となるように配置される。尚、ソール11に設ける圧力センサ61の数及び配置は、これに限らず適宜変更してもよい。
【0040】
圧力センサ61は、図4(b)及び図5に示すように、歪みゲージで構成されるセンサ本体613が、長方形状のセンサ外枠611内に収納され、ソール11に取付けられている。又、図4(b)に示すように、ソール11に圧力センサ61a、61c挿入後、シャンク(補強板)63をソール11に接着し、さらに、シャンク63と圧力センサ61a、61cとを符号6111で示す箇所にてビス止めする。尚、図5では図を見やすくするために、センサ本体613、取付板612、アクチュエータ615、板材614、アクチュエータ616、ナット618、及びビス619の断面に付すべきハッチングは省略した。又、符号617部(3か所)は空間を示している。
【0041】
これによれば、シャンク63によりソール11の補強ができると共に、下方へのセンサの抜け止めを兼ねることができる。
【0042】
又、シャンク63には、圧力センサ61のアクチュエータ616部を貫通して荷重を検出できるように、開口部631を設けている。又、各圧力センサ61のアクチュエータ616下部には受圧板62がビス619で固定されている。ここで、ソール11と受圧板62は、合成樹脂で形成され、圧力を受けたときに弾力的に変形する弾力性を有している。又、シャンク63は剛性のある合成樹脂又は金属で形成されている。
【0043】
これによれば、荷重測定時において被測定者は、受圧板62の取付けなしで、各圧力センサ61のアクチュエータ616部が突出した状態で床の上を歩くよりも安定して歩行することができる。
【0044】
又、受圧板62は、ビス619取り外して交換可能に構成されている。
【0045】
これによれば、荷重測定時において被測定者が床の上を歩く際、床の材質等の表面状態によっては歩きづらい場合は、表面状態に応じて受圧板62の仕様(床側の表面状態)を変更できる為、歩行が安定する。
【0046】
図6は圧力センサ61全体の外観を示す斜視図であり、センサ外枠611の中央部には、足による外部荷重をセンサ外枠611内のセンサ本体613に伝達する為の凸状に突出したアクチュエータ616を備える。又、圧力センサ61により検出した荷重信号は、リード線32を介して送信部30に出力される。
【0047】
具体的には、圧力センサ61は、この実施の形態では、一般に多用されている歪ゲージ式ロードセルを用いており、図5に示すように、歪みゲージで構成されるセンサ本体613、このセンサ本体613が取り付けられた取付板(起歪体)612と、被測定者より受けた荷重をセンサ本体613に伝達する荷重伝達部としてのアクチュエータ615、アクチュエータ616、アクチュエータ616の空間を塞ぐ板材614、及び前記パーツを収納するセンサ外枠611とを備えた基本構造になっている。圧力センサ61を用いた重量検出部では、被測定者(患者)の足によって実際にかけられた体重に応じて前記荷重伝達部を介して取付板(起歪体)612が変形し、その取付板(起歪体)612の変形度合いに応じて歪ゲージ(センサ本体613)の電気抵抗値が変化し、受けた外部荷重に対応する荷重信号を送信部30に出力する。
【0048】
送信部30は、前記荷重信号として、圧力センサ61aからの荷重信号、圧力センサ61bからの荷重信号、圧力センサ61cからの荷重信号、及び圧力センサ61dからの荷重信号、をそれぞれ送信し、 演算部としてのCPU701は、前記荷重として、前記各々の荷重信号に基づいて4つの荷重を各々算出し、算出した4つの荷重を合計した合計荷重を算出し、受信機40に送信する。尚、前記荷重の演算部は、送信部30側のCPU701を用いてもよいし、受信機40側のCPU711を用いてもよい。ここで、本実施例の受信部40は、携帯可能な形状を有し、身体等への装着を可能とするタブレットやスマートフォンなどで構成される。
【0049】
尚、ダミーの履物20には、センサ外枠611にアクチュエータ616が突出した状態で固定したものを用いる。
【0050】
これによれば、荷重測定時において、コスト安になると共に、被測定者の左右バランスが安定する。
【0051】
[制御システム]
図7において、送信部30側の制御部70はCPU701、メモリ702等を有し、制御部70には、圧力センサ61a、圧力センサ61b、圧力センサ61c、圧力センサ61d、送信ユニット707、及び報知部703が接続されている。さらに、制御部70には、スイッチ706とバッテリ705が電源制御部704を介して接続される。又、受信部40側の制御部71はCPU711、メモリ712等を有し、制御部71には、受信ユニット716、表示部714、操作部715、報知部713が接続されている。
【0052】
図7に示すように、送信部30には、制御部70を介して各圧力センサ61a、圧力センサ61b、圧力センサ61c、圧力センサ61dが接続されている。スイッチ706をオンにすると、バッテリ705からの電力が各圧力センサ61a、圧力センサ61b、圧力センサ61c、圧力センサ61dおよび送信部30に供給される。これにより、送信部30は、各圧力センサ61a、圧力センサ61b、圧力センサ61c、圧力センサ61dからの信号を、無線送信する。より詳細には、送信部30は各圧力センサ61a、圧力センサ61b、圧力センサ61c、圧力センサ61dからのアナログ信号をデジタル信号に変換する。そして、送信部30は、デジタル信号を一定周期でサンプリングしてBluetooth(登録商標)の通信規格で受信部40に送信する。
【0053】
[荷重測定動作]
次に、本発明における荷重測定装置1を用いた荷重測定動作について、図10図11のフローチャートを用いて説明する。
【0054】
先ず、荷重測定装置1における送信部30のスイッチ706をオンにし、受信部40のスイッチ(不図示)をオンにすると、Bluetooth(登録商標)におけるペアリング接続を行い接続が完了すると、受信部40の表示画面に「connect」の文字が表示される。次に、スマートフォンにおける専用ソフトウェア(荷重測定用)を起動し、専用ソフトウェア上で荷重測定装置の登録を行う。登録では荷重測定装置の固有IDを記録している。又、スタート時に固有IDの荷重測定装置を探索し,接続,通信を行っている。
【0055】
図10は、初期設定時のフローチャートである。図8は、その際の受信部40としてのスマートフォンの専用ソフトウェア(荷重測定用)における表示画面80aである。
【0056】
先ず、図8に示す表示画面80aにおいて、ユーザの操作に基づき、被測定者(患者)の全体重の入力を受付ける(S1)。
【0057】
次に、目標荷重としての全体重に対する上限割合を入力する(S2)。又、入力された全体重に対する上限割合に基づき、上限値を自動的に算出し、表示する(S3)。尚、目標荷重としての全体重に対する上限値を入力し、入力された全体重に対する上限値に基づき、上限割合を自動的に算出し、表示するように構成してもよい。
【0058】
次に、目標荷重としての全体重に対する下限割合を入力する(S4)。又、入力された全体重に対する下限割合に基づき、下限値を自動的に算出し、表示する(S5)。尚、目標荷重としての全体重に対する下限値を入力し、入力された全体重に対する下限値に基づき、下限割合を自動的に算出し、表示するように構成してもよい。又、下限値入力のON・OFF設定を可能として、上限値入力だけで初期設定できるように構成してもよい。
【0059】
次に、図8に示す表示画面80aにおいて、ユーザによりスタートボタン81aがオン(タッチ)されていないかを確認する(S6)。例えば、ユーザは、使用者がリハビリテーションの歩行訓練を開始するタイミングで、表示画面におけるスタートボタン81aをオンする。
【0060】
スタートボタン81aがオンされていない場合(S6;N)は、S1に処理を戻す。スタートボタン81aがオンされている場合(S6;Y)は、初期設定の処理を終了する。
【0061】
図11は、荷重測定時のフローチャートである。図9は、その際の受信部40としてのスマートフォンの専用ソフトウェア(荷重測定用)における荷重測定画面である。
【0062】
先ず、ユーザによりスタートボタン81aがオン(タッチ)されていないかを確認する(S10)。スタートボタン81aがオンされていない場合(S10;N)は、スタートボタン81aがオンされるまで待機する。スタートボタン81aがオンされている場合(S10;Y)は、図9に示す表示画面80bを荷重測定画面に切り替える(S11)。又、スタートボタン81aをストップボタン81bに切り替える。
【0063】
次に、ユーザによりリセットボタン82がオン(タッチ)されていないかを確認する(S12)。リセットボタン82がオンされている場合(S12;Y)は、現在の測定値を0リセットする(S13)。リセットボタン82がオンされていない場合(S12;N)は、図9に示す表示画面80bに示す、合計体重83、荷重インジケータ84、波形(t-w)85をリアルタイム表示する(S14)。
【0064】
次に、リアルタイム表示における波形が図9に示す表示画面80bに示す、安全領域852に収まっているか確認する(S15)。
安全領域852に収まっていない場合(S15;N)は、サブルーチンに処理を移行する(S16)。このサブルーチンにおいては、リアルタイム表示における波形が図9に示す表示画面80bに示す、上限値851を超えているか、下限値853を下回っているかによって、警告音を変えてユーザに報知する。
【0065】
安全領域852に収まっている場合(S15;Y)は、ストップボタン81bがオン(タッチ)されていないかを確認する(S17)。ストップボタン81bがオンされていない場合(S17;N)は、処理をS12に戻す。ストップボタン81bがオンされている場合(S17;Y)は、表示画面80aを設定画面に切り替えて(S18)荷重測定の処理を終了する。
【0066】
以上によれば、被測定者は、被測定者の履き慣れた歩行用の靴21を履いた状態で、荷重測定装置としての履物本体10に容易に装着(着脱)できると共に、荷重測定時においては、被測定者は、違和感なく安定した状態で歩行訓練ができる。尚、被測定者の希望により、被測定者の靴21を履かない状態で、履物本体10に容易に装着(着脱)することもできる。又、荷重測定装置1において、履物本体10は左右同一形状に構成され、圧力センサ61はソール11の幅方向に左右対称に配置される為、履物本体10の左右の区別がなく、被測定者の靴21(足)を履物本体10に容易に装着することができる。
【0067】
尚、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 荷重測定装置
2 脚部
10 履物本体
11 ソール
12 甲部係止用片
13 踵部係止用片
14 中敷き
15 アッパー
20 ダミーの履物
21 非測定者の靴
30 送信部
31 リード線
32 リード線
40 受信部
51 面ファスナ(甲部)
52 面ファスナ(踵部)
51 面ファスナ(ソール部)
61 圧力センサ
62 受圧板
63 シャンク(補強板)
70 制御部
71 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11