(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175382
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】水分除去方法および水分除去装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20231205BHJP
C01B 3/50 20060101ALI20231205BHJP
C01B 3/56 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B01D53/26 231
B01D53/26 100
C01B3/50
C01B3/56 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087803
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山野 めぐみ
(72)【発明者】
【氏名】シュー シュンカイ
(72)【発明者】
【氏名】末長 純也
【テーマコード(参考)】
4D052
4G140
【Fターム(参考)】
4D052AA02
4D052BA00
4D052CD01
4D052DA01
4D052DB01
4D052DB04
4D052EA08
4D052GA01
4D052GA03
4D052GB02
4D052GB08
4D052HA01
4D052HA02
4D052HA03
4G140FA01
4G140FB02
4G140FC02
4G140FC08
4G140FD01
4G140FE01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】水素ガスの回収率を低下させることなく、水分を含む水素ガスから水分を除去することができる水分除去方法および水分除去装置を提供すること。
【解決手段】吸着剤が各々充填された一対の吸着塔10A,10Bを用い、水素ガスと水分を含む対象ガスを一方の吸着塔に供給し、水分を前記吸着剤に吸着させることにより対象ガスから水分を分離する吸着工程と、前記吸着工程後の吸着塔に対し、前記対象ガスの一部を加熱して供給することにより吸着剤から水分を脱着させる加熱再生工程と、前記加熱再生工程後の吸着塔に対し、前記対象ガスの一部を加熱しないで供給することにより吸着剤を吸着可能となる温度まで冷却する冷却工程と、を含む吸着サイクルを各吸着塔においてそれぞれ繰り返し行い、一方の吸着塔で前記吸着工程が行われている間は、他方の吸着塔で前記吸着工程以外の工程を行う、水分除去方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着剤が各々充填された一対の吸着塔を用いて、対象ガスと、第1対象ガスと、第2対象ガスと、を含む混合ガスから水分を除去する水分除去方法であって、
前記対象ガス、前記第1対象ガスおよび前記第2対象ガスは、水素ガスおよび水分を含み、
前記吸着塔に前記混合ガスを供給し、水分を前記吸着剤に吸着させることにより、前記混合ガスから水分を分離する吸着工程と、
前記吸着工程後の前記吸着塔に対し、前記対象ガスの一部を加熱して供給することにより、前記吸着剤から水分を脱着させて、前記第1対象ガスを排出する加熱再生工程と、
前記加熱再生工程後の前記吸着塔に対し、前記対象ガスの一部を加熱しないで供給することにより、前記吸着剤を吸着可能となる温度まで冷却させて、前記第2対象ガスを排出する冷却工程と、
を含む吸着サイクルを、各吸着塔においてそれぞれ繰り返し行い、
一方の吸着塔で前記吸着工程が行われている間は、他方の吸着塔で前記吸着工程以外の工程を行う、水分除去方法。
【請求項2】
前記対象ガスよりも水分を多く含む原料ガスを凝縮して、前記対象ガスを得る凝縮工程をさらに備える、請求項1に記載の水分除去方法。
【請求項3】
前記対象ガスは、前記原料ガスを圧縮後、冷却し水分を凝縮除去したものである、請求項2に記載の水分除去方法。
【請求項4】
前記原料ガスは、水の電気分解により得られるガスである、請求項2または請求項3に記載の水分除去方法。
【請求項5】
請求項1に記載の水分除去方法に用いられる水分除去装置であって、
前記一対の吸着塔のうち、前記吸着工程を行う一方の吸着塔には、前記混合ガスを供給し、前記吸着工程以外の工程を行う他方の吸着塔には、前記混合ガスを供給しない混合ガス供給手段と、
前記加熱再生工程中の前記吸着塔に、加熱された前記対象ガスを供給する第1導入路と、
前記第1導入路に接続され、前記対象ガスを加熱する加熱手段と、
前記冷却工程中の前記吸着塔に、加熱されていない前記対象ガスを供給する第2導入路と、を備え、
前記第1導入路および前記第2導入路は、前記混合ガス供給手段に接続されている、水分除去装置。
【請求項6】
前記対象ガスよりも水分を多く含む原料ガスを凝縮して、前記対象ガスを得る凝縮手段をさらに備える、請求項5に記載の水分除去装置。
【請求項7】
前記原料ガスを凝縮する圧縮式冷却器を備える、請求項6に記載の水分除去装置。
【請求項8】
前記原料ガスは、水の電気分解により得られるガスである、請求項6または請求項7に記載の水分除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水分除去方法および水分除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クリーンエネルギーとして水素ガスが注目されている。水素ガスを発生させる方法としては、水蒸気改質法等が一般的であるが、このような方法では水素ガスの発生と共に二酸化炭素も発生する。脱炭素化の観点から、二酸化炭素を発生しない水素ガスの発生方法が求められる。
【0003】
二酸化炭素を発生しない水素ガスの発生方法としては、例えば、水電解法が挙げられる。しかし、水電解法では、電解セルから発生する水素ガスに多くの水分が含まれ、燃焼させてエネルギー利用する際には、熱効率の観点から除湿処理を実施する必要がある。また、水素ガスに水分が多く含まれていると、配管が詰まる等のハンドリング上の不具合があるとの観点からも、除湿処理を実施する必要がある。例えば、特許文献1(特開2019-23328号公報)には、水分を吸着する吸着剤が充填された一対の吸着筒に水素ガスを供給することで、水素ガスから水分を吸着する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法では、一方の吸着筒で除湿した水素ガスの一部を他方の吸着筒に分配することで、吸着剤の再生に利用している。しかし、このように利用された水素ガスは汚染され、圧力も失っているため、製品として使用することができない。その結果、水素ガスの回収率は低下する。
【0006】
本開示の目的は、水素ガスの回収率を低下させることなく、水分を含む水素ガスから水分を除去することができる水分除去方法および水分除去装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔1〕吸着剤が各々充填された一対の吸着塔を用いて、対象ガスと、第1対象ガスと、第2対象ガスと、を含む混合ガスから水分を除去する水分除去方法であって、
前記対象ガス、前記第1対象ガスおよび前記第2対象ガスは、水素ガスおよび水分を含み、
前記吸着塔に前記混合ガスを供給し、水分を前記吸着剤に吸着させることにより、前記混合ガスから水分を分離する吸着工程と、
前記吸着工程後の前記吸着塔に対し、前記対象ガスの一部を加熱して供給することにより、前記吸着剤から水分を脱着させて、前記第1対象ガスを排出する加熱再生工程と、
前記加熱再生工程後の前記吸着塔に対し、前記対象ガスの一部を加熱しないで供給することにより、前記吸着剤を吸着可能となる温度まで冷却させて、前記第2対象ガスを排出する冷却工程と、
を含む吸着サイクルを、各吸着塔においてそれぞれ繰り返し行い、
一方の吸着塔で前記吸着工程が行われている間は、他方の吸着塔で前記吸着工程以外の工程を行う、水分除去方法。
【0008】
〔2〕前記対象ガスよりも水分を多く含む原料ガスを凝縮して、前記対象ガスを得る凝縮工程をさらに備える、〔1〕に記載の水分除去方法。
【0009】
〔3〕前記対象ガスは、前記原料ガスを圧縮後、冷却し水分を凝縮除去したものである、〔2〕に記載の水分除去方法。
【0010】
〔4〕前記原料ガスは、水の電気分解により得られるガスである、〔2〕または〔3〕に記載の水分除去方法。
【0011】
〔5〕〔1〕から〔4〕のいずれか1項に記載の水分除去方法に用いられる水分除去装置であって、
前記一対の吸着塔のうち、前記吸着工程を行う一方の吸着塔には、前記混合ガスを供給し、前記吸着工程以外の工程を行う他方の吸着塔には、前記混合ガスを供給しない混合ガス供給手段と、
前記加熱再生工程中の前記吸着塔に、加熱された前記対象ガスを供給する第1導入路と、
前記第1導入路に接続され、前記対象ガスを加熱する加熱手段と、
前記冷却工程中の前記吸着塔に、加熱されていない前記対象ガスを供給する第2導入路と、を備え、
前記第1導入路および前記第2導入路は、前記混合ガス供給手段に接続されている、水分除去装置。
【0012】
〔6〕前記対象ガスよりも水分を多く含む原料ガスを凝縮して、前記対象ガスを得る凝縮手段をさらに備える、〔5〕に記載の水分除去装置。
【0013】
〔7〕前記原料ガスを凝縮する圧縮式冷却器を備える、〔6〕に記載の水分除去装置。
【0014】
〔8〕前記原料ガスは、水の電気分解により得られるガスである、〔6〕または〔7〕に記載の水分除去装置。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、水素ガスの回収率を低下させることなく、水分を含む水素ガスから水分を除去することができる水分除去方法および水分除去装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る水分除去装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る水分除去方法の各ステップについて、各吸着塔で行われる工程および水分除去装置におけるガス流れの状態を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る水分除去方法におけるステップ1でのガス流れの状態を示す概略図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係る水分除去方法におけるステップ2でのガス流れの状態を示す概略図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る水分除去方法におけるステップ3でのガス流れの状態を示す概略図である。
【
図6】
図6は、実施形態1に係る水分除去方法におけるステップ4でのガス流れの状態を示す概略図である。
【
図7】
図7は、実施形態2に係る水分除去装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図8】
図8は、実施形態3に係る水分除去装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図9】
図9は、実施形態3に係る水分除去方法におけるステップ1でのガス流れの状態を示す概略図である。
【
図10】
図10は、実施形態3に係る水分除去方法におけるステップ2でのガス流れの状態を示す概略図である。
【
図11】
図11は、実施形態3に係る水分除去方法におけるステップ3でのガス流れの状態を示す概略図である。
【
図12】
図12は、実施形態3に係る水分除去方法におけるステップ4でのガス流れの状態を示す概略図である。
【
図13】
図13は、実施形態4に係る水分除去装置の構成の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施形態が説明される。ただし以下の説明は特許請求の範囲を限定するものではない。
【0018】
[実施形態1]
<水分除去装置>
図1を参照して、本実施形態の水分除去装置1は、水分を吸着する吸着剤が各々充填された第1吸着塔10Aおよび第2吸着塔10Bの2塔を少なくとも用いて、温度スイング吸着法により、対象ガスと、第1対象ガスと、第2対象ガスと、を含む混合ガスから水分を除去する装置である。対象ガス、第1対象ガスおよび第2対象ガスは、水素ガスおよび水分を含む。水分除去装置1は、一対の吸着塔のうち、吸着工程を行う一方の吸着塔には、混合ガスを供給し、吸着工程以外の工程を行う他方の吸着塔には、混合ガスを供給しない混合ガス供給手段22(混合ガス供給路22A、22B)と、加熱再生工程中の吸着塔に、加熱された対象ガスを供給する第1導入路23と、第1導入路23に接続され、対象ガスを加熱する加熱手段13と、冷却工程中の吸着塔に、加熱されていない対象ガスを供給する第2導入路24と、を備える。また、第1導入路23および第2導入路24は、混合ガス供給手段22に接続されている。
【0019】
以下、実施形態1に係る水分除去装置について説明する。なお、本実施形態では2塔の吸着塔を用いて水分を除去する装置および方法を説明しているが、これに限定されるものではなく、例えば、3塔以上の吸着塔を用いてもよい。
【0020】
本実施形態において、「対象ガス」とは、少なくとも水素ガスと、水分と、を含むガスを示す。対象ガス中に含まれる水分の濃度は、8.0体積%以下であることが好ましく、2.0体積%以下であることがより好ましい。対象ガスとしては、例えば、二酸化炭素を発生しない水素ガスの発生方法である水電解法により発生したガスが挙げられる。
【0021】
本実施形態において、「第1対象ガス」とは、少なくとも水素ガスと、水分と、を含み、加熱再生工程において使用した後の対象ガスを示す。具体的には、
図1に示す水分除去装置1において、第1対象ガスは、対象ガス分岐路21から第1導入路23を通り、加熱手段13によって加熱され、吸着塔(第1吸着塔10Aまたは第2吸着塔10B)を通り、混合ガス供給手段22に供給される。
【0022】
本実施形態において、「第2対象ガス」とは、少なくとも水素ガスと、水分と、を含み、冷却工程において使用した後の対象ガスを示す。具体的には、
図1に示す水分除去装置1において、第2対象ガスは、対象ガス分岐路21から第2導入路24を通り、吸着塔(第1吸着塔10Aまたは第2吸着塔10B)を通り、混合ガス供給手段22に供給される。
【0023】
本実施形態において、「混合ガス」とは、対象ガスと、第1対象ガスと、第2対象ガスと、を含むガスを示す。混合ガスは、実質的に対象ガスと、第1対象ガスと、第2対象ガスと、からなる。
【0024】
吸着剤は、水分を吸着可能であり、加熱されることで吸着した水分が放出されて水分吸着性能が回復する再生可能な吸着剤である。このような吸着剤としては、例えば、合成ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ等が挙げられる。
【0025】
対象ガスの供給路として、対象ガス供給路20および対象ガス分岐路21が設けられている。対象ガス分岐路21は、さらに第1導入路23および第2導入路24に分岐する。
【0026】
対象ガス供給路20は、混合ガス供給路22に連通している。対象ガス供給路20には、弁体18が設けられており、対象ガスが弁体18を通過する際に圧力を損失させることで、第1対象ガスと、第2対象ガスと、円滑に合流することができる。
【0027】
混合ガス供給路22には、混合ガス冷却器11および混合ガス気液分離器12が設けられている。混合ガス冷却器11は、混合ガスを冷却し、温度を調整する機能を有する。混合ガス気液分離器12は、混合ガス中に含まれている水素ガスと液体となった水分の混合流体を、凝縮した水分を捕集分離することにより気液分離する機能を有する。
【0028】
第1吸着塔10Aおよび第2吸着塔10Bの塔底部には、混合ガス供給手段22としての混合ガス供給路22A、22Bがそれぞれ連通されている。混合ガス供給路22A、22Bには、それぞれ開閉弁101A、101Bが設けられており、これらを開閉制御することにより、第1吸着塔10Aおよび第2吸着塔10Bへの混合ガスの供給とその停止を制御する。なお、混合ガス供給路22A、22Bは、混合ガス供給路22から分流したものである。
【0029】
また、第1吸着塔10Aおよび第2吸着塔10Bの塔頂部には、精製された水素ガス(以下、「製品ガス」とも称する。)を排出するための製品ガス排出路25A、25Bがそれぞれ連通している。製品ガス排出路25A、25Bには、それぞれ開閉弁106A、106Bが設けられており、これらを開閉制御することにより、第1吸着塔10Aおよび第2吸着塔10Bから製品ガスの排出とその停止を制御する。なお、製品ガス排出路25A、25Bは製品ガス排出路25に合流するように連通されている。
【0030】
第1導入路23および第2導入路24には、それぞれ開閉弁100、102Aが設けられており、これらを開閉制御することにより、対象ガス分岐路21から対象ガスの排出とその停止を制御する。
【0031】
第1導入路23には、加熱手段13が設けられている。加熱手段13は、対象ガスを加熱する機能を有する。加熱手段13としては、特に限定されず、例えば、ガスヒーターが挙げられる。ガスヒーターとしては、例えば、電気式ステンレスシーズヒーター、蒸気式ヒーター等を使用することができる。
【0032】
第1吸着塔10Aおよび第2吸着塔10Bの塔頂部には、加熱された対象ガスを供給するための第1導入路23A、23Bがそれぞれ連通されている。第1導入路23A、23Bには、それぞれ開閉弁104A、104Bが設けられており、これらを開閉制御することにより、第1吸着塔10Aおよび第2吸着塔10Bへの加熱された対象ガスの供給とその停止を制御する。なお、第1導入路23A、23Bは、第1導入路23から分流したものである。
【0033】
第1吸着塔10Aおよび第2吸着塔10Bの塔底部には、吸着剤の加熱再生に使用された第1対象ガスを排出するための第1対象ガス排出路26A、26Bがそれぞれ連通されている。第1対象ガス排出路26A、26Bには、それぞれ開閉弁103A、103Bが設けられており、これらを開閉制御することにより、第1吸着塔10Aおよび第2吸着塔10Bから第1対象ガスの排出とその停止を制御する。なお、第1対象ガス排出路26A、26Bは第1対象ガス排出路26に合流するように連通されている。
【0034】
第1吸着塔10Aおよび第2吸着塔10Bの塔底部には、加熱されていない対象ガスを供給するための第2導入路24A、24Bがそれぞれ連通されている。第2導入路24A、24Bには、それぞれ開閉弁103A、103Bが設けられており、これらを開閉制御することにより、第1吸着塔10Aおよび第2吸着塔10Bへの加熱されていない対象ガスの供給とその停止を制御する。なお、第2導入路24A、24Bは、第2導入路24から分流したものである。
【0035】
第1吸着塔10Aおよび第2吸着塔10Bの塔頂部には、吸着剤の冷却に使用された第2対象ガスを排出するための第2対象ガス排出路27A、27Bがそれぞれ連通されている。第2対象ガス排出路27A、27Bには、それぞれ開閉弁105A、105Bが設けられており、これらを開閉制御することにより、第1吸着塔10Aおよび第2吸着塔10Bから第2対象ガスの排出とその停止を制御する。なお、第2対象ガス排出路27A、27Bは第2対象ガス排出路27に合流するように連通されている。
【0036】
第1対象ガス排出路26および第2対象ガス排出路27は、混合ガス供給路22に合流するように連通している。
【0037】
<水分除去方法>
本実施形態の水分除去方法は、水分を吸着する吸着剤が各々充填された第1吸着塔10Aおよび第2吸着塔10Bの2塔を少なくとも用いて、温度スイング吸着法により、対象ガスと、第1対象ガスと、第2対象ガスと、を含む混合ガスから水分を除去する方法である。対象ガス、第1対象ガスおよび第2対象ガスは、水素ガスおよび水分を含む。水分除去方法は、吸着塔に混合ガスを供給し、水分を吸着剤に吸着させることにより、混合ガスから水分を分離する吸着工程と、吸着工程後の吸着塔に対し、対象ガスの一部を加熱して供給することにより、吸着剤から水分を脱着させて、第1対象ガスを排出する加熱再生工程と、加熱再生工程後の吸着塔に対し、対象ガスの一部を加熱しないで供給することにより、吸着剤を吸着可能となる温度まで冷却させて、第2対象ガスを排出する冷却工程と、を含む吸着サイクルを、各吸着塔においてそれぞれ繰り返し行う。また、一方の吸着塔で吸着工程が行われている間は、他方の吸着塔で吸着工程以外の工程を行う。
以下、本実施形態の水分除去方法について説明する。
【0038】
本実施形態の水分除去方法は、温度スイング吸着法により実施されるものであり、各吸着塔においては、(1)吸着工程、(2)加熱再生工程、(3)冷却工程、の吸着サイクルを順次繰り返す。また、一方の吸着塔で吸着工程が行われている間は、他方の吸着塔で加熱再生工程および冷却工程が行われ、このような切り換えを行いながら、2つの吸着塔を稼働させることにより、連続的かつ効率的に水分の除去を可能にしている。
【0039】
(吸着工程)
吸着工程とは、吸着塔に混合ガスを供給し、水分を吸着剤に吸着させることにより、混合ガスから水分を分離する工程である。
【0040】
図1に示す水分除去装置1において、混合ガスからの水分の分離は、内部に吸着剤が充填された第1吸着塔10Aおよび第2吸着塔10Bにおいて実施される。混合ガスを各吸着塔の塔底部から導入し、吸着剤に接触させることにより水分のみを吸着させる。
【0041】
供給する混合ガスの流量は、水分除去装置1の規模によって適宜設定される。また、供給する混合ガスの温度は、混合ガス冷却器11によって調整され、例えば、15℃以下となるように調整される。さらに、冷却により凝縮した水分は、混合ガス気液分離器12によって除去される。また、本工程の実施期間は特に限定されない。
【0042】
(加熱再生工程)
加熱再生工程とは、吸着工程後の吸着塔に対し、対象ガスの一部を加熱して供給することにより、吸着剤から水分を脱着させて、第1対象ガスを排出する工程である。換言すると、加熱再生工程は、吸着塔内に充填された吸着剤を再使用可能な状態にする工程である。
【0043】
具体的には、対象ガス分岐路21から第1導入路23に供給されてきた対象ガスは、加熱手段13によって加熱され、吸着塔内に充填された吸着剤に接触させることにより、吸着剤に吸着している水分を脱着させる。本工程により、吸着剤は再生される。
【0044】
また、本工程により排出される第1対象ガスは、加熱されているものの、実質的に対象ガスである。したがって、第1対象ガスは、冷却することで吸着工程に利用することができ、水素ガスの回収率を向上させることができる。
【0045】
対象ガス供給路20に供給される対象ガスと対象ガス分岐路21に供給される対象ガスとの割合は、水分除去装置1の規模によって適宜設定される。対象ガス分岐路21に供給される対象ガスの割合は、例えば、5%以上50%以下である。本割合は、後述する冷却工程においても同様である。
【0046】
本工程での吸着剤に対する加熱は、水分が気化する温度になるまで行われる。加熱手段13による対象ガスの加熱温度は、170℃以上であることが好ましい。また、本工程の実施期間は特に限定されないが、吸着工程の実施期間と、本工程および冷却工程の実施期間とが略同一期間となるように調整すればよい。
【0047】
(冷却工程)
冷却工程とは、加熱再生工程後の吸着塔に対し、対象ガスの一部を加熱しないで供給することにより、吸着剤を吸着可能となる温度まで冷却させて、第2対象ガスを排出する工程である。
【0048】
具体的には、対象ガス分岐路21から第2導入路24に供給されてきた対象ガスを吸着塔内に充填された吸着剤に接触させることにより、吸着剤を冷却させる。本工程により、吸着剤は水分の吸着が可能となる。
【0049】
また、本工程により排出される第2対象ガスは、加熱された吸着塔を通過しているため、温度は上昇しているものの、実質的に対象ガスである。したがって、第2対象ガスは、冷却することで吸着工程に利用することができる。
【0050】
本工程での吸着剤に対する冷却は、例えば、40℃以下としてもよい。また、本工程の実施期間は特に限定されないが、吸着工程の実施期間と、本工程および加熱再生工程の実施期間とが略同一期間となるように調整すればよい。
【0051】
以上の吸着サイクルにより水分が除去された製品ガスは、原料である対象ガス中の水素ガスを系外に排出することなく回収することができるため、水素ガスの回収率を向上させることができる。
【0052】
以上の吸着サイクルにおける各工程と上述の水分除去装置1の動作とを併せて、
図2~6を参照しながらさらに以下に説明する。
図2に示すように、第1吸着塔10Aおよび第2吸着塔10Bは、ステップ1~4の各段階で上記の各工程のいずれかを行う。
【0053】
(ステップ1)
図2および
図3に示すように、ステップ1の第1吸着塔10Aにおいては、吸着工程が行われる。すなわち、開閉弁101Aは開弁され、混合ガス供給路22、22Aから第1吸着塔10Aの塔底部に対し混合ガスが供給される。混合ガスは、第1吸着塔10A内で水分が吸着剤により吸着分離されることにより、製品ガスとなる。製品ガスは、塔頂部から製品ガス排出路25、25Aを介して排出される。なお、製品ガス排出路25Aにおける開閉弁106Aは開弁されている。
【0054】
一方、第2吸着塔10Bにおいては、加熱再生工程が行われる。すなわち、開閉弁100が開弁され、対象ガスが第1導入路23に供給される。また、加熱手段13を駆動させ、対象ガスの加熱を行う。開閉弁104Bが開弁され、加熱された対象ガスが第2吸着塔10B内の吸着剤に接触すると、吸着剤の温度が上昇し、水分の脱着が行われる。第2吸着塔10Bを通過した加熱された対象ガス、すなわち、第1対象ガスは、塔底部から第1対象ガス排出路26、26Bを介して混合ガス供給路22に供給される。なお、第1対象ガス排出路26Bにおける開閉弁102B、103Bは開弁されている。第2吸着塔10Bの塔底部における温度が設定温度に到達すると、開閉弁100、104Bを閉じ、加熱手段13を停止する。これにより、加熱再生工程が終了する。なお、対象ガスの加熱温度は、170℃以上であることが好ましい。
【0055】
(ステップ2)
図2および
図4に示すように、ステップ2の第1吸着塔10Aにおいては、引き続き吸着工程が行われる。
【0056】
一方、第2吸着塔10Bにおいては、冷却工程が行われる。すなわち、開閉弁102Aが開弁され、対象ガスが第2導入路24に供給される。開閉弁103Bが開弁され、加熱されていない対象ガスが第2吸着塔10B内の吸着剤に接触すると、吸着剤の温度が下降し、吸着剤が再生する。第2吸着塔10Bを通過した加熱されていない対象ガス、すなわち、第2対象ガスは、塔頂部から第2対象ガス排出路27、27B介して混合ガス供給路22に供給される。なお、第2対象ガス排出路27Bにおける開閉弁105Bは開弁されている。第2吸着塔10Bの塔頂部における温度が設定温度に到達すると、開閉弁101A、103Bを閉じ、冷却工程が終了する。
【0057】
(ステップ3~4)
図2に示すように、ステップ3~4においては、第1吸着塔10Aと第2吸着塔10Bにおいて吸着サイクルが切り替わる。すなわち、ステップ3の終了と共に、第1吸着塔10Aにおける吸着工程が終了し、第2吸着塔10Bにおいて吸着工程が開始される。ステップ3~4における水素除去装置1の詳細な動作については、
図5~6に示す通りであり、ステップ1~2と同様の操作を、第1吸着塔10Aと第2吸着塔10Bにおいて逆にして行う。したがって、詳細は省略する。
【0058】
(ガス流れ)
図3~6に示すように、本実施形態においては、後述する実施形態3とは異なり、加熱再生工程におけるガスの流れと、冷却工程におけるガスの流れとは、逆向きである。すなわち、加熱再生工程における加熱した対象ガスは、吸着塔の塔頂部から供給され、冷却工程における加熱していない対象ガスは、吸着塔の塔底部から供給される。このようなガスの流れとすることで、製品ガスの出口側である吸着塔の塔頂部を高温に保つことができ、吸着剤の再生が促進される。また、対象ガスの入口側である吸着塔の塔底部に水分が多く付着しているため、吸着塔の外部に水分が追い出され易くなる。
【0059】
[実施形態2]
<水分除去装置>
図7を参照して、本実施形態の水分除去装置2は、原料ガスから対象ガスを製造する対象ガス製造装置3(原料ガス凝縮手段)をさらに備える点で、実施形態1の水分除去装置とは異なる。以下、対象ガス製造装置3について説明する。なお、実施形態1に係る水分除去装置1と同様の機能を有する構成要素については、説明を省略する。
【0060】
本実施形態において、「原料ガス」とは、少なくとも水素ガスと、水分と、を含むガスを示す。原料ガス中に含まれる水分の濃度は、対象ガス中に含まれる水分の濃度よりも大きければ特に制限はない。原料ガスとしては、例えば、二酸化炭素を発生しない水素ガスの発生方法である水電解法により発生したガスが挙げられる。
【0061】
対象ガス製造装置3には、原料ガスタンク14、原料ガス圧縮機15、原料ガス圧縮機後段冷却器16および原料ガス吐出気液分離器17が設けられている。原料ガスタンク14は、原料ガス圧縮機15にて圧縮する前の原料ガスから水分を除去する機能を有する。原料ガス圧縮機15は、原料ガスタンク14を通過した原料ガスを圧縮する機能を有する。原料ガス圧縮機後段冷却器16は、原料ガスを冷却し、熱を取り除くと同時に、水分を凝縮させる機能を有する。原料ガス吐出気液分離器17は、原料ガス中に含まれている水素ガスと液体となった水分の混合流体を、凝縮した水分を捕集分離することにより気液分離する機能を有する。なお、原料ガス圧縮機15の保護の観点から、対象ガス製造装置3に導入される原料ガスは、常温付近であることが好ましい。
【0062】
なお、対象ガス製造装置3は、原料ガス凝縮手段として原料ガス圧縮機後段冷却器16および原料ガス吐出気液分離器17を設けていればよく、原料ガスタンク14および原料ガス圧縮機15は必ずしも設けられていなくてもよい。原料ガスタンク14および原料ガス圧縮機15を設けることで、原料ガス中の水分の凝縮および除去がし易くなり、また、原料ガスの体積を低下させることで水分除去装置1がコンパクトになる。
【0063】
<水分除去方法>
本実施形態の水分除去方法は、原料ガスを圧縮後、冷却し水分を凝縮除去して、対象ガスを得る凝縮工程をさらに備える点で実施形態1の水分除去方法とは異なる。以下、凝縮工程について説明する。なお、実施形態1に係る水分除去方法と同様の説明は省略する。
【0064】
(凝縮工程)
凝縮工程とは、原料ガスを圧縮後、冷却し水分を凝縮除去することで、対象ガスを製造する工程である。
【0065】
図7に示す対象ガス製造装置3において、原料ガス圧縮機後段冷却器16により原料ガスを冷却し、熱を取り除くと同時に、水分を凝縮させる。冷却により凝縮した水分は、原料ガス吐出気液分離器17によって除去される。冷却温度は、適宜設定されるが、例えば、40℃以下に冷却することが好ましい。
【0066】
(圧縮工程)
本実施形態の水分除去方法は、凝縮工程前に圧縮工程を備えていてもよい。圧縮工程とは、原料ガスを圧縮する工程である。
【0067】
図7に示す対象ガス製造装置3において、原料ガス圧縮機15により原料ガスを圧縮する。圧縮は、例えば、0.01MPaG程度の原料ガスを、例えば、0.5MPaG以上0.8MPaG以下に圧縮してもよい。
【0068】
[実施形態3]
<水分除去方法>
本実施形態の水分除去方法は、ガス流れの点で実施形態1の水分除去方法とは異なる。以下、本実施形態における実施形態1との相違点を、
図2および8~12を参照しながら説明する。なお、
図8に示す本実施形態の水分除去装置の構成に関しては、
図1に示す実施形態1の水分除去装置と同様であるため、説明を省略する。
【0069】
(ステップ1)
図2および
図9に示すように、ステップ1の第1吸着塔10Aにおいては、吸着工程が行われる。すなわち、開閉弁110Aは開弁され、混合ガス供給路22、22Aから第1吸着塔10Aの塔底部に対し混合ガスが供給される。混合ガスは、第1吸着塔10A内で水分が吸着剤により吸着分離されることにより、製品ガスとなる。製品ガスは、塔頂部から製品ガス排出路25、25Aを介して排出される。なお、製品ガス排出路25Aにおける開閉弁113Aは開弁されている。
【0070】
一方、第2吸着塔10Bにおいては、加熱再生工程が行われる。すなわち、開閉弁111Bが開弁され、対象ガスが第1導入路23に供給される。また、加熱手段13を駆動させ、対象ガスの加熱を行う。加熱された対象ガスが第2吸着塔10B内の吸着剤に接触すると、吸着剤の温度が上昇し、水分の脱着が行われる。第2吸着塔10Bを通過した加熱された対象ガス、すなわち、第1対象ガスは、塔頂部から第1対象ガス排出路26、26Bを介して混合ガス供給路22に供給される。なお、第1対象ガス排出路26Bにおける開閉弁112Bは開弁されている。第2吸着塔10Bの塔頂部における温度が設定温度に到達すると、開閉弁100、111Bを閉じ、加熱手段13を停止する。これにより、加熱再生工程が終了する。なお、対象ガスの加熱温度は、170℃以上であることが好ましい。
【0071】
(ステップ2)
図2および
図10に示すように、ステップ2の第1吸着塔10Aにおいては、引き続き吸着工程が行われる。
【0072】
一方、第2吸着塔10Bにおいては、冷却工程が行われる。すなわち、開閉弁111Bが開弁され、対象ガスが第2導入路24に供給される。加熱されていない対象ガスが第2吸着塔10B内の吸着剤に接触すると、吸着剤の温度が下降し、吸着剤が再生する。第2吸着塔10Bを通過した加熱されていない対象ガス、すなわち、第2対象ガスは、塔頂部から第2対象ガス排出路27、27B介して混合ガス供給路22に供給される。なお、第2対象ガス排出路27Bにおける開閉弁112Bは開弁されている。第2吸着塔10Bの塔頂部における温度が設定温度に到達すると、開閉弁100、111Bを閉じ、冷却工程が終了する。
【0073】
(ステップ3~4)
図2に示すように、ステップ3~4においては、第1吸着塔10Aと第2吸着塔10Bにおいて吸着サイクルが切り替わる。すなわち、ステップ3の終了と共に、第1吸着塔10Aにおける吸着工程が終了し、第2吸着塔10Bにおいて吸着工程が開始される。ステップ3~4における水素除去装置1の詳細な動作については、
図11~12に示す通りであり、ステップ1~2と同様の操作を、第1吸着塔10Aと第2吸着塔10Bにおいて逆にして行う。したがって、詳細は省略する。
【0074】
(ガス流れ)
図9~12に示すように、本実施形態においては、上述の実施形態1とは異なり、加熱再生工程におけるガスの流れと、冷却工程におけるガスの流れとは、順向きである。すなわち、加熱再生工程における加熱した対象ガスおよび冷却工程における加熱していない対象ガスは、吸着塔の塔底部から供給される。
【0075】
[実施形態4]
本実施形態の水分除去装置は、実施形態2と同様に、原料ガスから対象ガスを製造する対象ガス製造装置3をさらに備える点で、実施形態3の水分除去装置とは異なる。なお、本実施形態の対象ガス製造装置3は、実施形態2の対象ガス製造装置3と同様の機能を有するため、説明を省略する。
【0076】
また、本実施形態の水分除去方法は、実施形態2と同様に、原料ガスを凝縮して、対象ガスを得る凝縮工程をさらに備える点で実施形態3の水分除去方法とは異なる。なお、凝縮工程は、実施形態2の凝縮工程と同様の工程であるため、説明を省略する。
【実施例0077】
以下、実施例が説明される。ただし以下の例は、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0078】
<実施例1>
図7に示す水分除去装置2を用いて、原料ガスからの対象ガスの製造および
図2~6に示す吸着サイクルを繰り返すことにより、原料ガスおよび対象ガスからの水分の除去および製品ガスの精製のシミュレーションを行った。
【0079】
原料ガスとしては、水電解法により発生した、水分を含む水素ガスを使用した。
図7に示す対象ガス製造装置3により、原料ガスから水分を圧縮および凝集することで、対象ガスを製造した。具体的には、原料ガスは、0.01MPaG、40℃で原料ガスタンク14に供給後、原料ガス圧縮機15にて0.5MPaGまで圧縮された。圧縮された原料ガスは、原料ガス圧縮機後段冷却器16にて20℃以下に冷却され、水分が凝縮された。凝縮された水分は、原料ガス吐出気液分離器17によって除去され、対象ガスを得た。対象ガスは、水分を約2体積%含んでいた。
【0080】
次に、
図7に示す水分除去装置2により、対象ガスから水分を除去することで、製品ガスを精製した。吸着剤としては、ゼオライトを使用した。吸着サイクルの各工程の条件は、以下のように設定した。吸着サイクル時間(1サイクル)は、12時間とした。
【0081】
(吸着工程)
吸着時間 :12時間
流量 :50Nm3/h
塔内圧力 :0.8MPaG
対象ガス温度:20℃
【0082】
(加熱再生工程)
加熱再生時間 :6時間
塔底部温度 :170℃
第1対象ガス流量:20Nm3/h
塔内圧力 :0.8MPaG
【0083】
(冷却工程)
冷却時間 :6時間
塔頂部温度 :20℃
第2対象ガス流量:20Nm3/h
塔内圧力 :0.8MPaG
【0084】
上述の条件でシミュレーションを行った結果、製品ガス中における水分含有濃度は2.3ppmであった。また、製品ガスの回収率は99.8%であった。
【0085】
なお、製品ガスの回収率の値は、以下の式(1)より算出した。
製品ガス回収率(%)=(1サイクル当りに吸着塔に供給される対象ガス量-1サイクル当りに吸着塔から排出される製品ガス量)/(1サイクル当りに吸着塔に供給される対象ガス量)×100・・・(1)
【0086】
実施例1のシミュレーション結果から、上述の水分除去装置1を用いることで、水分を大幅に除去できることが示された。また、製品ガスの回収率も99.8%であり、水素ガスの回収率の低下を抑制できることも確認された。
【0087】
このように、本開示に記載の水分除去方法および水分除去装置を用いることによって、水素ガスの回収率を低下させることなく、水分を含む水素ガスから水分を除去することができる。また、本開示に記載の水素ガスの発生方法は、二酸化炭素を発生させないことから、地球温暖化ガスを削減することができ、持続可能な開発目標(SDGs)の一部活動に貢献することができる。
【0088】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,2 水分除去装置、3 対象ガス製造装置、10A 第1吸着塔、10B 第2吸着塔、11 混合ガス冷却器、12 混合ガス気液分離器、13 加熱手段、14 原料ガスタンク、15 原料ガス圧縮機、16 原料ガス圧縮機後段冷却器、17 原料ガス吐出気液分離器、18 弁体、20 対象ガス供給路、21 対象ガス分岐路、22,22A,22B 混合ガス供給路(混合ガス供給手段)、23,23A,23B 第1導入路、24,24A,24B 第2導入路、25,25A,25B 製品ガス排出路、26,26A,26B 第1対象ガス排出路、27,27A,27B 第2対象ガス排出路、100,101A~106A,101B~106B,110A~113A,110B~113B 開閉弁。