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特開2023-175383処理方法、生成装置、処理システム、プログラム、及び記憶媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175383
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】処理方法、生成装置、処理システム、プログラム、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20231205BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20231205BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087804
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】301063496
【氏名又は名称】東芝デジタルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】大村 美央
(72)【発明者】
【氏名】朝桐 智
(72)【発明者】
【氏名】小川 英紀
(72)【発明者】
【氏名】大石 佳之
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA52
3C100AA54
3C100AA57
3C100AA58
3C100BB05
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB17
3C100BB27
3C100BB29
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】不良の改善により有効な対策を生成可能な、処理方法、生成装置、処理システム、プログラム、及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】実施形態に係る処理方法は、コンピュータに、製品における不良モードの原因への対策を示す個別モデルを参照させる。さらに、前記処理方法は、前記コンピュータに、複数の前記不良モードのそれぞれについて、複数の前記原因に対してそれぞれ設定された複数の重みに応じて、複数の前記個別モデルを並べ替えて接続させることで、統合モデルを生成させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
製品における不良モードの原因への対策を示す個別モデルを参照させ、
複数の前記不良モードのそれぞれについて、複数の前記原因に対してそれぞれ設定された複数の重みに応じて、複数の前記個別モデルを並べ替えて接続させることで、統合モデルを生成させる、
処理方法。
【請求項2】
前記コンピュータに、
前記製品に関する品質データを取得させ、
前記品質データがいずれかの前記不良モードの発生を示す場合、発生した前記不良モードに対応する前記統合モデルを実行させる、
請求項1記載の処理方法。
【請求項3】
前記コンピュータに、前記統合モデルの実行時に得られる、前記複数の原因の一部に関する確認データを受信させる、請求項2記載の処理方法。
【請求項4】
前記コンピュータに、前記確認データを用いて前記複数の原因の少なくとも一部の前記重みを更新させる、請求項3記載の処理方法。
【請求項5】
前記コンピュータに、前記重みの更新に応じて、1つ以上の前記統合モデルを更新させる、請求項4記載の処理方法。
【請求項6】
前記コンピュータに
前記複数の個別モデルのいずれかに関するデータを示すユーザインタフェースを表示装置に表示させ、
前記ユーザインタフェースにおいて前記データに関する編集を受け付けさせる、
請求項1~5のいずれか1つに記載の処理方法。
【請求項7】
前記統合モデルの実行時、前記コンピュータに、並び替えられた前記複数の個別モデルの1つ以上を表示装置に表示させる、請求項1~5のいずれか1つに記載の処理方法。
【請求項8】
それぞれの前記統合モデルは、前記複数の原因のうち前記重みが閾値よりも大きい1つ以上の前記原因に対応する1つ以上の前記個別モデルを用いて生成される、請求項2~5のいずれか1つに記載の処理方法。
【請求項9】
前記統合モデルの実行時、前記複数の原因のうち前記重みが閾値よりも大きい1つ以上の前記原因に対応する1つ以上の前記個別モデルのみが実行される、請求項2~5のいずれか1つに記載の処理方法。
【請求項10】
前記複数の重みは、前記複数の原因のそれぞれの発生回数に基づくスコア、前記製品の生産ラインの構成に基づくスコア、前記製品の生産に関する人員規模に基づくスコア、複数の前記不良モードのそれぞれのリペア工数に基づくスコア、前記製品の部品の価格に基づくスコア、前記製品の生産難易度に基づくスコア、前記製品に含まれる部品の種類に基づくスコア、前記製品の生産環境に基づくスコア、前記製品の製造装置の経過年数に基づくスコア、及び前記複数の原因のそれぞれの発生時期に基づくスコアからなる第1群より選択される1つ以上を用いて決定される、請求項1~5のいずれか1つに記載の処理方法。
【請求項11】
前記複数の重みは、前記第1群より選択される前記1つ以上をニューラルネットワークに入力することで得られる、請求項10記載の処理方法。
【請求項12】
製品における不良モードの原因への対策を示す個別モデルを参照し、
複数の前記不良モードのそれぞれについて、複数の前記原因に対してそれぞれ設定された複数の重みに応じて、複数の前記個別モデルを並べ替えて接続することで、統合モデルを生成する、
生成装置。
【請求項13】
請求項12記載の生成装置と、
前記製品に関する品質データを収集する収集システムと、
を備えた処理システム。
【請求項14】
請求項1~5のいずれか1つに記載の処理方法を前記コンピュータに実行させるプログラム。
【請求項15】
請求項1~5のいずれか1つに記載の処理方法を前記コンピュータに実行させるプログラムを記憶した記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、処理方法、生成装置、処理システム、プログラム、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、不良が発生した際には、その対策が実行される。対策は、不良の改善に、より有効であることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-87110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、不良の改善により有効な対策を生成可能な、処理方法、生成装置、処理システム、プログラム、及び記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る処理方法は、コンピュータに、製品における不良モードの原因への対策を示す個別モデルを参照させる。さらに、前記処理方法は、前記コンピュータに、複数の前記不良モードのそれぞれについて、複数の前記原因に対してそれぞれ設定された複数の重みに応じて、複数の前記個別モデルを並べ替えて接続させることで、統合モデルを生成させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る処理方法を示すフローチャートである。
図2】第1データベースに保存されるデータの一例である。
図3】第2データベースに保存されるデータの一例である。
図4】生成される統合モデルの一例である。
図5】第3データベースに記憶されるデータの一例である。
図6】第3データベースに記憶されるデータの一例である。
図7】第3データベースに記憶されるデータの一例である。
図8】第3データベースに記憶されるデータの一例である。
図9】第3データベースに記憶されるデータの一例である。
図10】第3データベースに記憶されるデータの一例である。
図11】第3データベースに記憶されるデータの一例である。
図12】第3データベースに記憶されるデータの一例である。
図13】第3データベースに記憶されるデータの一例である。
図14】第3データベースに記憶されるデータの一例である。
図15】第3データベースに記憶されるデータの一例である。
図16】第3データベースに記憶されるデータの一例である。
図17】第3データベースに記憶されるデータの一例である。
図18】第3データベースに記憶されるデータの一例である。
図19】実施形態に係る処理方法に利用可能なデータの一例である。
図20】実施形態に係る処理方法に利用可能なデータの一例である。
図21】実施形態に係る処理方法に利用可能なデータの一例である。
図22】実施形態に係る処理方法に利用可能なデータの一例である。
図23】統合モデルを例示する模式図である。
図24】統合モデルを例示する模式図である。
図25】実施形態に係る処理システムを示す模式図である。
図26】実装基板の製造ラインを示す模式図である。
図27】実施例に係る処理システムを示す模式図である。
図28】実施形態に係る生成装置による出力例である。
図29】実施形態に係る生成装置による出力例である。
図30】実施形態に係る生成装置による出力例である。
図31】実施形態に係る生成装置による出力例である。
図32】実施形態に係る生成装置による出力例である。
図33】実施形態に係る生成装置による出力例である。
図34】実施形態に係る生成装置による出力例である。
図35】ハードウェア構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
図1は、実施形態に係る処理方法を示すフローチャートである。図2は、第1データベースに保存されるデータの一例である。図3は、第2データベースに保存されるデータの一例である。図4は、生成される統合モデルの一例である。
本実施形態は、製品を改善するためのモデルを生成するための処理方法に関する。図1に示すように、処理方法M1は、ステップS1~S7を含む。
【0009】
まず、第1データベース及び第2データベースを参照する(ステップS1)。第1データベースは、製品で発生しうる不良モードと、不良モードの原因と、原因の重みと、を記憶する。第2データベースは、原因と、その対策を示す個別モデルと、記憶する。
【0010】
図2に示すように、第1データベース100には、複数の不良モード110が記憶され、各不良モード110に対して1つ以上の原因120が紐付けられる。また、それぞれの原因120には、重み130が設定される。不良モード110は、製品で発生しうる不良(不具合、機能不全、失敗、故障など)を示す様式分類である。原因120は、不良モード110の原因を示す。1つの不良モード110には、1つ以上の原因120が紐付けられる。重み130は、原因120の重要性を示す。この例では、重みが大きいほど、原因120の重要性が高いことを示している。例えば、重み130が大きいほど、その原因120が、不良モード110の原因である可能性が高いことを示す。又は、重み130が大きいほど、その原因120の解消が、不良モード110の改善により大きく寄与することを示す。
【0011】
異なる不良モード110に対して、共通の原因120が設定されうる。図2の例では、「ブリッジ」の不良モード111と「位置ずれ」の不良モード112に対して、同じ「印刷ずれ」の原因121及び122が紐付けられている。この場合でも、原因121の重み131と、原因122の重み132と、は互いに異なりうる。それぞれの原因120の不良モード110への影響は、不良モード110ごとに異なりうるためである。「マウントずれ」についても、同様である。
【0012】
図3に示すように、第2データベース200は、複数の原因210及び複数の個別モデル220を記憶する。原因210は、原因120と紐付けられており、不良モード110の原因を示す。個別モデル220は、原因210への対策を示す。1つの原因210には、1つの個別モデル220が紐付けられる。個別モデル220は、人によって実行されても良い。個別モデル220の少なくとも一部が、プログラミング言語で記述され、コンピュータによって自動的に実行されても良い。
【0013】
第1データベース100において内容が同じである複数の原因120は、1つの原因210と紐付けられる。例えば、図2では、「印刷ずれ」の原因121及び122は、ともに原因211と紐付けられる。原因211と紐付けられた個別モデル221が、原因121及び122への対策である。
【0014】
各個別モデル220は、判断220a、処理220b、終了端子220c、及びリターン端子220dを含む。判断220aは、原因210が発生しているか判断するためのステップである。図3に示す例では、いずれの個別モデル220も、1つ目のステップが、判断ステップである。判断220aの前に、処理、準備、入出力、表示などから選択される1つ以上の別のステップが実行されても良い。1つ目のステップは、メインルーチンである統合モデルで最初に実行されるステップとなりうる。判断220aにおいて原因211が発生していると判断される場合、処理220bのステップが実行される。終了端子220cは、その個別モデル220及び統合モデルの終了を示す。処理220bが実行されると、個別モデル220及び統合モデルが終了する。判断220aにおいて、原因211が発生していると判断されない場合、リターン端子220dに進み、別の個別モデル220の1つ目のステップが実行される。リターン端子220dが別の個別モデル220と接続されていない場合は、統合モデルが終了する。
【0015】
次に、第1データベースの不良モードごとに、各原因に設定された重みに応じて、第2データベースに記憶された個別モデルを並べ替えて互いに接続する(ステップS2)。これにより、統合モデルが生成される。
【0016】
図2に示す例では、「ブリッジ」の不良モード111について、「印刷体積過多」の重みは、「マウントずれ」の重みよりも大きい。「マウントずれ」の重みは、「印刷ずれ」の重みよりも大きい。図4に示すように、重みに応じて、「マウントずれ」に対する個別モデルは、「印刷ずれ」への個別モデルよりも上位に配置される。「印刷体積過多」への個別モデルは、「マウントずれ」への個別モデルよりも上位に配置される。個別モデル同士の間で、リターン端子と最初のステップが接続され、不良モードを改善するための統合モデル250が生成される。
【0017】
次に、製品に不良が発生したか判断する(ステップS3)。例えば、生産途中又は生産後の検査工程において、製品が検査される。検査結果に基づき、製品の品質データが、所定のデータベース又は端末装置に入力される。検査において不良が確認されると、その情報は品質データに含まれる。
【0018】
不良が発生したことを示す情報が品質データに含まれる場合には、その不良が分類される不良モードについて生成された統合モデルを実行する(ステップS4)。例えば、品質データが「ブリッジ」の発生を示す情報を含む場合には、生成された複数の統合モデルから、ブリッジに対応する統合モデルが抽出される。抽出された図4に示す統合モデルが、実行される。
【0019】
統合モデルは、人によって実行されても良い。統合モデルの少なくとも一部が、プログラミング言語で記述され、コンピュータによって自動的に実行されても良い。統合モデルの実行時には、原因に関する確認データが収集される。例えば、図4に示す統合モデルが実行される場合、まず、コンピュータは、はんだペーストの印刷体積が多すぎないか調べるように、指示を出力装置に出力する。コンピュータは、人による確認結果を示す確認データを受け付ける。確認データは、検査装置によって自動的に収集されても良い。例えば、印刷体積が多すぎることを示す確認データが入力されると、コンピュータは、スキージの摩耗又は傷を確認するように指示を出力する。また、コンピュータは、その確認データを入力するように指示を出力し、確認データの入力を受け付ける。
【0020】
なお、1つの個別モデルにおける処理は、1つのプログラムファイルに記述されても良いし、複数のプログラムファイルに分割して記述されても良い。同様に、統合モデルにおける処理は、1つのプログラムファイルに記述されても良いし、複数のプログラムファイルに分割して記述されても良い。プログラムファイルごとに、実行主体が異なっても良い。
【0021】
統合モデルの実行によって得られた確認データは、第3データベースに記録される(ステップS5)。第3データベースは、対象の製品について、各原因の発生回数、製品の生産ラインの構成などを記憶する。
【0022】
第1データベースに保存された原因の重みは、第3データベースに記憶されたデータに基づいて設定される。第3データベースに記憶されたデータが更新されると、第1データベースの重みが変化する可能性がある。重みが変化すると、統合モデルに含まれる個別モデルの順序が変化する可能性がある。そのため、重みが変化された場合に、統合モデルを更新する必要があるか判断する(ステップS6)。
【0023】
統合モデルを更新する必要がある場合、重みを更新する(ステップS7)。その後、ステップS1が再度実行される。すなわち、更新後の重みに応じて、新たな統合モデルが生成される。
【0024】
図5図18は、第3データベースに記憶されるデータの一例である。
第1データベースの重みは、第3データベースに記憶されたデータに基づくスコアに応じて変動する。図5に示すテーブル310は、不良モード311、対策ID312、対策313、及び件数314を含む。不良モード311は、第1データベースの不良モード110と対応する。対策313は、原因に対する個別モデルを示す。対策ID312は、それぞれの対策313を識別するための文字である。なお、不良モード311の名称と対策313の名称の組み合わせによって各対策313を識別できる場合は、対策ID312は省略されても良い。件数314は、発生した不良モードが対策313によって解決された件数を示す。換言すると、件数314は、対策313に対応する原因の発生件数を示す。対策313によって不良モード311が解決されるほど、その対策313が有効であることを示す。例えば、件数314が多いほど、対策313のスコアが大きく設定され、対策313と紐付けられる原因120の重みは大きく設定される。件数314がスコアとして用いられても良い。
【0025】
図6は、検査機の有無に応じたスコアを示すテーブル320である。テーブル320は、検査機種別321、スコア322、及びスコア323を含む。スコア322は、検査機が設けられる場合のスコアを示す。スコア323は、検査機が設けられない場合のスコアを示す。検査機が設けられる工程では、不良が検出され易い。不良が検出されることで、その後の工程への影響を低減できる。そのため、図6に示すように、各工程における検査機の有無に応じて、スコアが変化しても良い。具体的には、検査機が設けられる場合、検査機が設けられない場合に比べて、スコアが小さく設定される。
【0026】
図5及び図6に示すデータに基づいて、図7に示すテーブル330が生成されても良い。テーブル330は、不良モード331、対策ID332、対策333、件数334、工程335、検査機スコア336、及び総合スコア337を含む。不良モード331、対策ID332、対策333、及び件数334は、テーブル310の不良モード311、対策ID312、対策313、及び件数314にそれぞれ対応する。工程335は、不良モード331が発生しうる工程を示す。検査機スコア336は、工程に検査機が設けられているか否かに応じたスコアであり、図6に示すテーブル320に基づく。総合スコア337は、件数334及び検査機スコア336に基づく総合的なスコアである。この例では、総合スコア337は、件数334と検査機スコア336との積により算出されている。
【0027】
不良モードと工程との対応関係、工程と検査機との対応関係については、図5及び図6に示すテーブル310及び320に記憶されていても良いし、これらとは別のテーブルに記憶されても良い。
【0028】
件数334は、対応する原因の発生時期に応じて調整されても良い。一例として、件数334に基づくスコアをSc、過去の全ての発生件数をnall、過去の直近mヶ月間の発生件数をn、任意の係数をα(0≦α≦1)としたとき、スコアScは、以下の式で表される。
Sc=α×n/nall+(1-α)×(nall-n)/nall
例えば、直近のmヶ月の重みへの影響を大きくする場合、0.5<α≦1に設定される。直近のmヶ月の重みへの影響を小さくする場合、0≦α<0.5に設定される。α=0.5のとき、期間による重みはない。総合スコア337は、調整された件数334に基づくスコアScと、検査機スコア336と、に基づいて設定される。
【0029】
時期として、季節が考慮されても良い。件数334に基づくスコアをSc、過去の全ての発生件数をnall、春(3月-5月)における発生件数をnSpring、夏(6月-8月)における件数をnSummer、秋(9月-11月)における発生件数をnAutumn、冬(12月-2月)における発生件数をnWinter、任意の係数をα~αとしたとき、スコアScは、以下の式で表される。係数α~αのそれぞれは、0以上1以下であり、α~αの和が1となるように設定される。
Sc=(α×nSpring+α×nSummer+α×nAutumn+α×nWinter)/4×nall
例えば、ステップS3の発生が冬である場合に、冬の発生件数の重みへの影響を、他よりも大きくする場合、係数αは、係数α1~α3よりも大きく設定される。
【0030】
図8に示すテーブル340は、経過年数341及びスコア342~344を含む。経過年数341は、生産ラインに設けられる製造装置が製造されてからの経過年数を示す。一般的に、製造装置が古いほど、その工程において不良が発生し易い。不良が発生する可能性が高いほど、スコアは大きく設定される。スコア342~344は、具体的な工程ごとのスコアを示す。製造装置と不良との相関性は、工程ごとに異なる。このため、工程と経過年数との組み合わせごとにスコアが設定される。
【0031】
図9(a)に示すテーブル351は、ライン運用351a、スコア351b、及び351cを含む。ライン運用351aは、各工程又は各生産ラインでの運用方式に関する情報を示す。スコア351b及び351cは、それぞれのライン運用方式における生産方式に応じたスコアを示す。一般的に、特定の製品のみを生産する専用ラインでは、生産される製品の数が1つであり、段取り替えによる製造条件の変更がない。このため、状態の変化が少なく、一度安定な状態をつくることができれば、不良は発生し難い。従ってスコアは小さく設定される。一方で、大量ではあるが複数種類の製品が生産されるライン、又は少量で多くの品種が生産されるラインでは、不良が発生しやすく、全体に対する不良の割合が高くなる。生産現場への影響が大きいため、スコアは大きく設定される。
【0032】
図9(b)に示すテーブル352は、ある作業について、作業方式352a、スコア352b、及びアスコア352cを含む。一般的に、人による作業が増えるほど、不良の発生する可能性も高くなる。このため、人による作業が存在する場合、人による作業が無い場合に比べて、スコアが大きく設定される。
【0033】
図9(c)に示すテーブル353は、基板を分割する作業について、各作業方式におけるスコア353a~353eを含む。図9(b)~図9(c)に示すように、具体的な運用方式と不良の発生の可能性との関係、又は運用方式と不良による影響との関係に応じて、各スコアが設定されても良い。図8及び図9(a)~図9(c)のような生産ラインの構成に基づいてスコアが設定されることで、重みをより適切に設定できる。
【0034】
図10に示すテーブル360は、規模361及びスコア362~364を含む。規模361は、製品の生産現場の人員規模を示す。スコア362~364は、規模に応じた、ケースごとのスコアを示す。ケース1では、人員の規模が小さいほど、スコアが大きく設定される。例えば、規模が小さいほど、ノウハウの蓄積が少ない傾向にある。実行される個別モデルの数を増やすことで、ノウハウを増強できる。この考えに基づく場合、ケース1のようにスコアが設定される。ケース2では、人員の規模が小さいほど、スコアが小さく設定される。規模が小さい事業体では、個別モデルを実行するマンパワーが不足し、必要な最低限の個別モデルの実行のみが求められることもある。この考えに基づく場合、ケース2のようにスコアが設定される。ケース1と2の両方を考慮し、ケース3のようにスコアが設定されても良い。いずれのケースでのスコアが使用されるかは、処理方法M1の実行前に決定される。
【0035】
図11に示すテーブル370は、スキルレベル371、割合372、及び倍率373を含む。図10に示すデータに対して、図11に示すような各スキルレベルの割合がさらに考慮されても良い。スキルレベル371は、生産現場での作業者のスキルレベル(熟練度)を示す。割合372は、全体の作業者の数に対する、各スキルレベルの作業者の数の割合を示す。倍率373は、テーブル360のスコアに掛け合わされる倍率を示す。熟練者が居ない、又はビギナーが過度に多い生産現場では、不良が発生する可能性が高い。いずれかのスキルレベルの作業者の割合が、割合372で指定されている範囲から外れている場合、テーブル360のスコアに、設定された倍率373が掛け合わされる。
【0036】
図12に示すテーブル380は、要素381、人員382、及び倍率383を含む。図7又は図10に示すデータに対して、図12に示すような工程ごとの要素がさらに考慮されても良い。要素381は、工程における設備、処理などを示す。人員382は、各要素381に関わる人員の数を示す。倍率383は、工程に関するスコアに掛け合わされる倍率を示す。一般的に、人員が多いほど、個別モデルを実行するためのマンパワーが十分である可能性が高い。このため、人員が多いほど、倍率は低く設定される。不良の改善を優先する場合、倍率383として、人員の数に比例した値が設定されても良い。
【0037】
図13に示すテーブル390は、付加要素391、スコア392、及びスコア393を含む。付加要素391は、作業者に関する付加的な要素を示す。この例では、付加要素391として、作業者の技術及び知識に関する「認定制度」、作業者による複数の生産ラインの掛け持ち、及び生産ラインの当日の人員変更が登録されている。作業者に関して認定制度が設けられている事業体では、製品の品質が確保されやすい。このため、認証制度が有る場合、認証制度が無い場合に比べて、スコアが低く設定される。作業者が複数の生産ラインを掛け持ちする場合、作業者が1つの生産ラインのみを担当する場合に比べて、不良が発生しやすい。このため、掛け持ちが有る場合、掛け持ちが無い場合に比べて、スコアが大きく設定される。このように、作業者に関する付加的な要素に応じて、重みが調整されても良い。
【0038】
図14に示すテーブル400は、工程人員401、スコア402、及びスコア403を含む。工程又は生産ラインにおける人員の数と、掛け持ちの有無と、の両方に基づくスコアが用いられても良い。掛け持ちすることで、人員を削減することができるが、多人数での掛け持ちは複数人の作業者間での連携が必要となり、抜け漏れや重複が発生しやすくなるため、管理が難しくなる。これらを考慮して、テーブル400では、人員ごとに、掛け持ちの有無に応じてスコアが設定されている。
【0039】
図15に示すテーブル410は、リペア工数411及びスコア412を含む。リペア工数411は、不良のリペアに必要な工数を示す。スコア412は、各リペア工数に対して設定されたスコアを示す。不良のリペアに必要な工数が長いほど、その不良の発生頻度は低いことが望ましい。このため、リペア工数が長いほど、スコアは大きく設定される。例えば、第1データベースに登録された原因ごとに、リペアに必要な工数が予め登録される。登録されたリペア工数に応じて、各原因のリペア工数に関するスコアが設定される。
【0040】
図16に示すテーブル420は、単価421及びスコア422を含む。単価421は、製品の部品の単価を示す。図16の例では、単価がランク分けされて示されている。例えば、単価421として、プリント回路板の単価が用いられる。スコア422は、各単価421に対して設定されたスコアを示す。単価が高いほど、その製品に対する不良の発生頻度は低いことが望ましい。このため、単価が高いほど、スコアは大きく設定される。例えば、製品に使用される部品のリストが、予め用意される。リスト中で、不良モードと関連する部品、及びスコア設定の対象となる部品が、予め指定される。部品ごと且つ不良モードごとに、統合モデルが生成される。部品ごとの単価に応じて、統合モデルにおける個別モデルの順序が異なりうる。
【0041】
製品の生産難易度に応じてスコアが設定されても良い。図17(a)に示すテーブル431は、基板サイズ431a及びスコア431bを含む。基板サイズ431aは、プリント回路板又はプリント配線板のサイズである。基板サイズが大きいほど、生産難易度は増大する。このため、基板サイズが大きいほど、スコアは大きく設定される。図17(b)に示すテーブル432は、部品点数432a及びスコア432bを含む。部品点数432aは、1つの基板に設けられた部品の点数を示す。部品点数が多いほど、生産難易度は増大する。このため、部品点数が多いほど、スコアは大きく設定される。図17(c)に示すテーブル433は、実装密度433a及びスコア433bを含む。実装密度433aは、1つの基板への実装密度を示す。実装密度が高いほど、生産難易度は増大する。このため、実装密度が高いほど、スコアは大きく設定される。図17(d)に示すテーブル434は、間隔434a及びスコア434bを含む。間隔434aは、1つの基板に含まれる部品同士の間隔の平均値又は最小値を示す。間隔が狭いほど、生産難易度は増大する。このため、間隔が狭いほど、スコアは大きく設定される。図17(e)に示すテーブル435は、形状435a及びスコア435bを含む。形状435aは、使用される基板の形状が一般的か特殊かを示す。特殊な形状の基板が用いられる場合、一般的な形状の基板が用いられる場合に比べて、生産難易度は増大する。このため、特殊な形状の基板が用いられる場合、一般的な形状の基板が用いられる場合に比べて、スコアは大きく設定される。
【0042】
製品に含まれる部品の仕様に応じてスコアが設定されても良い。図18(a)に示すテーブル441は、機能441a及びスコア441bを含む。機能441aは、部品の機能を示す。高機能な部品ほど、製品の品質への影響が大きいため、スコアが大きく設定される。図18(b)に示すテーブル442は、価格442a及びスコア442bを含む。価格442aは、対象の部品の価格を示す。価格が高いほど、その部品に関する不良の発生頻度は低いことが望ましい。このため、価格が高いほど、スコアは大きく設定される。図18(c)に示すテーブル443は、面積443a及びスコア443bを含む。面積443aは、対象の部品の面積を示す。部品の面積が小さいほど、その部品の実装難易度が増大する。面積が大きくなるほど、難易度は低減するが、ある一定以上の面積を超えると、再び難易度が増大する。このため、中間の面積のスコアが小さく設定される。図18(d)に示すテーブル444は、高さ444a及びスコア444bを含む。高さ444aは、対象の部品の高さ寸法を示す。部品が高いほど、その部品の実装難易度が増大する。このため、部品が高いほど、スコアは大きく設定される。図18(e)に示すテーブル445は、電極ピッチ445a及びスコア445bを含む。電極ピッチ445aは、対象の部品内の電極ピッチを示す。ピッチが狭いほど、生産難易度は増大する。このため、ピッチが狭いほど、スコアは大きく設定される。例えば、部品の仕様に応じたスコアSc0は、スコア441bとして設定されたスコアSc1、スコア442bとして設定されたスコアSc2、スコア443bとして設定されたスコアSc3、スコア444bとして設定されたスコアSc4、及びスコア445bとして設定されたスコアSc5を用いて、以下の式により決定される。
Sc0=Sc1×Sc2×(Sc3+Sc4+Sc5)
【0043】
製品の生産環境に関するスコアが設定されても良い。例えば、温度、湿度、風量、風速、イオナイザーの有無、及びパーティクルカウンターの計測結果のそれぞれにスコアが設定されても良い。具体例として、パーティクルが少ない空間で製品が生産される場合、パーティクルが多い空間で製品が生産される場合に比べて、不良の発生する可能性が低下する。このため、スコアも小さく設定される。
【0044】
図19図22は、実施形態に係る処理方法に利用可能なデータの一例である。
上述した、ラインとそこで使用される装置との関係、製品と生産ラインにおける工程との関係、第1データベースと第2データベースとの間でのデータの紐付などについては、図19図22に示す各テーブルを参照することができる。図19図22に示す各テーブルについては、第1~第3データベースのいずれかに記憶されても良いし、これらとは別のデータベースに記憶されても良い。
【0045】
図19に示すテーブル450は、種別451、名称452、マシンID453、メーカ454、ライン455、製造年456、及び経過年数457を含む。種別451は、ラインで使用される装置の種類を示す。名称452は、その装置に対する名称(ラインでの通名)を示す。マシンID453は、その装置を識別するための文字である。ライン455は、その装置が設けられたラインを示す。製造年456は、その装置が製造された年を示す。製造年456には、より詳細に、さらに月日が登録されていても良い。経過年数457は、その装置が製造されてから経過した年数を示す。図19に示すテーブル450を用いて、図8に示すテーブル340の経過年数341及びスコア342~344を計算できる。又は、図8に示すテーブル340の代わりに、経過年数に応じたスコアを算出するための数式が、第3データベースに記憶されても良い。
【0046】
図20に示すテーブル460は、製品名461、型番462、基板サイズ463、部品点数464、部品間隔465、及び各工程の有無を示すデータ466~472を含む。型番462は、製品の型式を示す文字列である。基板サイズ463、部品点数464、及び部品間隔465は、図17に示す、基板サイズ431a、部品点数432a、及び間隔434aに対応する。データ466~472において、「0」は、標記の工程がその製品の生産ラインに存在しないことを示す。「1」は、標記の工程がその製品の生産ラインに存在することを示す。図20に示すテーブル460は、図17及び図18に示す各テーブルのスコアを導出する際に利用できる。
【0047】
図21に示すテーブル500は、不良モード501及びデータ502~518を含む。不良モード501は、第1データベース100に登録された不良モード110に対応する。データ502~518は、各工程における不良モードの存在を示す。「0」は、標記の工程でその不良モードが発生しないことを示す。「1」は、標記の工程でその不良モードが発生しうることを示す。
【0048】
図22に示すテーブル520は、原因521及びデータ522~538を含む。原因521は、第1データベース100に登録された原因120に対応する。データ522~538は、各工程において、不良モードと関係する原因の存在を示す。「0」は、標記の工程で、その原因が不良モードとは関係しないことを示す。「1」は、標記の工程で、その原因が不良モードと関係しうることを示す。
【0049】
図21及び図22に示すテーブル500及び520を用いて、第1データベース100に記憶された不良モード110及び原因120を、第2データベース200に記憶された原因210及び個別モデル220と紐付けることができる。
【0050】
その他、各製品の名称、各製品の工程、それらの工程の順序などを示すテーブルを用いてもよい。
【0051】
第1データベースの重みは、以上で説明した第3データベースのデータの少なくともいずれかを基に設定される。すなわち、第1データベースの重みは、各原因の発生回数に基づくスコア、生産ラインの構成に基づくスコア、生産現場での人員規模に基づくスコア、各不良モードへのリペア工数に基づくスコア、部品の価格に基づくスコア、製品の生産難易度に基づくスコア、製品に含まれる部品の種類に基づくスコア、製品の生産環境に基づくスコア、製品の製造装置の経過年数に基づくスコア、及び各原因の発生時期に基づくスコアからなる第1群より選択される1つ以上を用いて決定される。第1群から選択される1つ以上のスコアを用いることで、重みをより適切に設定できる。この結果、不良の改善により有効な統合モデルを生成可能となる。
【0052】
例えば、各データのスコアの入力に応じて、各原因の重みを出力する重み付けモデルが予め用意される。このモデルに、第3データベースに記憶された各データのスコアを入力し、各原因の重みを取得する。例えば、モデルは、ニューラルネットワークを含む。入力層の複数の端子には、複数のデータのスコアがそれぞれ入力される。出力層の複数の端子からは、複数の原因の重みがそれぞれ出力される。
【0053】
ニューラルネットワークの各ノード間の重みには、ユーザ又は予め定められたルールによって初期値が設定される。重み付けモデルからの重みに基づく統合モデルが実行されるたびに、ユーザは、その統合モデルに対するフィードバックを入力する。又は、検査機、ニューラルネットワークなどの判定結果に基づき、システムが自動でフィードバックを入力しても良い。例えば、フィードバックは、実際に不良モードを改善できた対策を含む。重み付けモデルは、フィードバックに基づき、その対策に対する重みがより大きく出力されるように、学習される。
【0054】
又は、ニューラルネットワークは、教師有り学習によって予め学習されても良い。ニューラルネットワークの学習には、複数の学習データが用いられる。各学習データは、入力データ及び教示データを含む。入力データは、入力層に入力される各データのスコアを含む。教示データは、入力データに対応する各原因の重みを含む。入力データの入力に応じて、教示データが出力されるように、ニューラルネットワークが学習される。
【0055】
図23及び図24は、統合モデルを例示する模式図である。なお、図23及び図24では、各個別モデルの具体的な内容は省略されている。
図23に示す統合モデルでは、ある不良モードについて、個別モデルA1~A6が並べられている。WA1~WA6は、個別モデルA1~A6に対応する原因の重みをそれぞれ示す。重みに応じて、各個別モデルを実行するか否かが決定されても良い。一例として、重みに対する閾値が、2に設定される。対応する重みが2を超える個別モデルのみが実行される。統合モデルが実行される際、個別モデルA1から順に実行されるが、対応する重みが2以下である個別モデルA5及びA6は、実行されない。
【0056】
又は、統合モデルは、対応する重みが閾値を超える個別モデルのみから構成されても良い。図24に示す統合モデルでは、個別モデルA1~A4が並べられている。この統合モデルには、個別モデルA5及びA6が含まれていない。この結果、対応する重みが2以下である個別モデルA5及びA6は、実行されない。図23及び図24のいずれの例においても、統合モデルの実行中には、個別モデルA5及びA6における確認データは入力されない。
【0057】
重みに応じて実行される個別モデルが選定されることで、重要性の高い個別モデルのみが実行される。例えば、不良モードが改善される可能性の低い個別モデルの実行が抑制され、統合モデルの実行時における作業者による確認の負担を低減できる。
【0058】
また、実行される個別モデルの数は、図10図14に示すテーブル360~400のような、全ての原因の重みに関わるスコアを調整することで、制御できる。例えば、テーブル360、390,又は400におけるスコアが大きくなるほど、もしくはテーブル370又は380における倍率が大きくなるほど、各原因の重みは一様に大きくなる。これにより、実行される個別モデルの数が増える。例えば、統合モデルを実行可能なマンパワーに応じて、原因の重みに関わるスコアが調整される。複数の製造拠点をもつ企業では、テーブル360を使用しないことで企業内で統一することも可能であり、テーブル360を使用することで拠点ごとの能力に合わせてスコアを調整することができる。
【0059】
実施形態の利点を説明する。
製品に不良が発生した際、一般的には、その改善のための対策が実行される。人が対策を考える場合、対策の内容は、その人の経験、知識などに依存する。このため、対策にばらつきが生じる。考えうる対策の一覧を予め用意しておき、不良が発生したときに、列挙された対策を実行することも考えられる。この場合、対策が実行される順序が、改善までに要する時間に影響する。すなわち、改善に有効な対策がより早く実行されるほど、より短い時間で不良が改善される。しかし、順序は、人の経験、知識などに依存する。順序の決定は、人への負担にもなる。特に、製品によっては、1つの不良モード対して多くの原因が存在する。また、異なる不良モードの間に、共通の原因が存在する場合もある。このため、不良モードに応じた対策を人が適切に決定することは、容易ではない。
【0060】
これらの課題について、実施形態に係る処理方法では、まず、個別モデルが参照される。個別モデルは、製品における不良モードの原因への対策を示し、予め用意される。次に、複数の不良モードのそれぞれについて、統合モデルが生成される。統合モデルは、複数の個別モデルを並べ替えて接続することで、生成される。このとき、複数の個別モデルの順序は、複数の原因に対してそれぞれ設定された複数の重みに応じて決定される。そして、これらの処理は、コンピュータにより実行可能である。
【0061】
実施形態によれば、不良モードごとに統合モデルが生成される。このため、いずれかの不良が発生したときには、その不良モードに応じた適切な統合モデルを実行できる。また、各統合モデルは、重要性又は有効性を示す重みに応じて、複数の個別モデルが並べ替えて生成される。このため、個別モデルの順序が人の知識、経験などに依存しない。また、生成された統合モデルによれば、改善により有効な個別モデルが、より早く実行され、改善までの時間を短縮できる。さらに、複数の統合モデルの生成がコンピュータにより実行されるため、人の負担を低減できる。
【0062】
実施形態によれば、不良の改善に有効な統合モデルを自動的に生成できる。
【0063】
実施形態は、特に、基板実装工程を経て生産される製品、及び樹脂成型工程又はダイカスト工程を経て生産される製品などに有効である。これらの工程では、特に多様な不良が発生しうる。また、不良の原因も多岐に亘る。このため、人による不良への対策の決定が困難である。実施形態によれば、このような工程を経て生産される製品の不良についても、有効な対策を自動的に生成可能である。
【0064】
図25は、実施形態に係る処理システムを示す模式図である。
図1に示す処理方法M1は、図25に示す処理システム1により実行可能である。処理システム1は、生成装置10、収集システム20、第1記憶装置31、第2記憶装置32、第3記憶装置33、及び実行装置40を含む。
【0065】
生成装置10は、図1に示すフローチャートを実行し、統合モデルを生成する。実行装置40は、統合モデルにおける少なくとも一部のステップを実行する。生成装置10及び実行装置40は、コンピュータである。実行装置40としての機能を、生成装置10が備えていても良い。収集システム20は、品質データを収集する。収集システム20は、各生産ラインに設けられた検査機を含む。例えば、製造実行システム(Manufacturing Execution System:MES)の機能の一部を、収集システム20として用いることができる。第1記憶装置31~第3記憶装置33は、それぞれ、第1データベース~第3データベースを記憶する。生成装置10、収集システム20、第1記憶装置31~第3記憶装置33、及び実行装置40は、互いに有線通信、無線通信、又はインターネットを介して接続される。
【0066】
(実施例)
図26は、実装基板の製造ラインを示す模式図である。
例えば図26に示すように、実装基板の製造ライン600は、印刷機602、印刷検査機604、マウンタ606、実装検査機608、リフロー炉610、及び外観検査機612を含み、基板614aを処理する。基板614aは、PWBである。PWBの基板614aが製造ライン600に投入され、電子部品が実装された実装基板(Printed Circuit Board:PCB)である基板614bが製造される。
【0067】
印刷機602は、基板614aにはんだペーストを印刷する。印刷検査機604は、はんだペーストが印刷された基板614aを撮像する。印刷検査機604は、画像から、はんだペーストが適切に印刷されているか検査する。
【0068】
マウンタ606は、基板614aの上に電子部品を実装する。図示した例では、複数のマウンタ606が、それぞれ複数の電子部品を1つの基板614aの上に実装する。実装検査機608は、電子部品が実装された基板614aを撮像する。実装検査機608は、画像から、電子部品が適切に実装されているか検査する。
【0069】
リフロー炉610は、基板614aを加熱し、はんだペーストを溶融させる。基板614aの温度が低下すると、はんだペーストが凝固し、実装された電子部品がはんだと電気的に接続される。これにより、基板614bが製造される。外観検査機612は、はんだ付けされた基板614bを撮像する。外観検査機612は、画像から、電子部品が適切にはんだ付けされているか検査する。
【0070】
図27は、実施例に係る処理システムを示す模式図である。
例えば図27に示すように、製造ライン600に、処理システム1aが適用される。処理システム1aは、生成装置10、収集システム20、及び第1データベースDB1~第4データベースDB4を備える。
【0071】
製造ライン600及び処理装置620は、収集システム20として機能する。具体的には、印刷機602、マウンタ606、及びリフロー炉610は、基板614aの処理のために予め設定された設定条件又は処理時に測定された処理条件を、ネットワークを介して第4データベースDB4に保存する。例えば、印刷機602は、印刷したはんだ量、印刷時の圧力、温度、印刷ヘッドの移動速度などを第4データベースDB4に保存する。リフロー炉610は、リフロー時の温度、圧力などを第4データベースDB4に保存する。
【0072】
印刷検査機604、実装検査機608、及び外観検査機612は、検査した基板614a又は614bの識別データ(ID)、検査結果が得られた時刻、検査機のID、検査条件、検査結果、検査結果に基づく品質データなどを、ネットワークを介して第4データベースDB4に保存する。例えば、印刷検査機604及び実装検査機608は、それぞれ、標準位置に対するはんだ及び電子部品の位置のずれ量、ずれ量に基づく検査結果など第4データベースDB4に保存する。外観検査機612は、電子部品からのはんだのはみ出し量、はみ出し量に基づく検査結果など第4データベースDB4に保存する。
【0073】
また、各検査機は、得られたデータを、検査機に対応して設けられた処理装置620に送信する。処理装置620は、受信したデータをモニタ621(表示装置)に表示可能である。各検査機には、検査員625が配置される。検査員625は、モニタ621により、検査機から得られたデータを確認できる。検査機のデータから基板614a又は614bの不良が発見された場合、検査員625は、処理装置620を用いて不良に関するデータを第4データベースDB4に保存しても良い。
【0074】
第1データベースDB1には、複数の不良モード及び複数の原因が記憶される。第2データベースDB2には、複数の原因及び複数の個別モデルが記憶される。生成装置10は、第1データベースDB1及び第2データベースDB2にアクセスし、第1データベースDB1及び第2データベースDB2のデータから、統合モデルを予め生成する。また、生成装置10は、第4データベースDB4にアクセスし、第4データベースDB4に保存されたデータを取得する。生成装置10は、取得したデータを適宜互いに紐付ける。例えば、生成装置10は、検査機ごとに、得られたデータを紐付ける。生成装置10は、基板614a又は614bごとに、その基板614a又は614bの処理において得られたデータを紐付けても良い。
【0075】
生成装置10は、得られたデータに、基板614a又は614bの不良を示すデータが含まれるか判断する。基板614a又は614bの不良を示すデータが有る場合、生成装置10は、そのデータが示す不良モードに対応する統合モデルを実行する。すなわち、処理システム1aでは、生成装置10が、図25に示す実行装置40としての機能も有する。
【0076】
例えば、処理装置620はクライアントとして動作し、生成装置10はネットワーク上のサーバとして動作する。生成装置10によって統合モデルが実行されると、各個別モデルの対策がモニタ621に表示される。対策は、例えば検査員625により実行される。対策は、メンテナンス等を担当するエンジニアにより実行されても良い。ここでは、対策が検査員625によって実行される例について説明する。検査員625は、対策の結果を処理装置620に入力する。処理装置620は、入力されたデータを生成装置10に送信する。
【0077】
生成装置10は、統合モデルの実行中に得られたデータを、第3データベースDB3に保存する。生成装置10は、第3データベースDB3へのデータの保存により、第1データベースDB1の重みが変化する場合、統合モデルを更新する必要があるか判断する。統合モデルの更新が必要である場合、生成装置10は、新たな統合モデルを生成する。
【0078】
図28は、実施形態に係る処理装置による出力例である。図29図34は、実施形態に係る生成装置による出力例である。
検査員は、検査機によって基板614a又は基板614bにおける不良が確認された場合、例えば図28に示すユーザインタフェース(UI)700にデータを入力する。UI700には、入力欄701a~705a、アイコン701b~705b、及びアイコン706が表示されている。検査員は、UI700を確認しながら、処理装置に備わる入力装置を用いてデータを入力する。
【0079】
入力欄701aには、製品(基板)のIDが入力される。検査員は、アイコン701bをクリックすることで製品の名称の一覧を表示させることができ、一覧からIDを選択することもできる。一覧の表示の代わりに、処理装置620は、処理装置620に接続されたIDの読取装置からの入力を受け付けても良い。読取装置は、バーコードリーダー、QRコード(登録商標)リーダー、カラーコードリーダー、ICタグリーダーなどである。
【0080】
入力欄702aには、印刷機602、マウンタ606、リフロー炉610などの装置のIDが入力される。検査員は、アイコン702bをクリックすることで装置の名称の一覧を表示させることができ、一覧からIDを選択することもできる。一覧の表示の代わりに、処理装置620は、製造ラインの選択を受け付けても良い。例えば、検査員が製造ラインのIDを選択することで、装置のIDを一括して選択できてもよい。基板614a又は614bの製品型番によって、予め決められたライン又は工程表を参照して、装置のIDが自動で選択されてもよい。
【0081】
入力欄703aには、作業者(検査員)のIDが入力される。検査員は、アイコン703bをクリックすることで作業者の名称の一覧を表示させることができ、一覧からIDを選択することもできる。
【0082】
入力欄704aには、不良モードを識別するためのコードが入力される。検査員は、アイコン704bをクリックすることで不良モードの名称の一覧を表示させることができ、一覧からコードを選択することもできる。
【0083】
入力欄705aには、基板614a又は614bにおいて不良が発生したロケーションが入力される。検査員は、アイコン705bをクリックすることでロケーションの一覧を表示させることができ、一覧からロケーションを選択することもできる。
【0084】
入力欄701a~705aにデータを入力すると、検査員は、アイコン706をクリックし、データの登録を完了する。生成装置10は、登録されたデータを受け付ける。生成装置10は、不良コードによって特定された不良モードと対応する統合モデルを実行する。
【0085】
生成装置10は、図29に示すUI710を、モニタ621に表示させる。UI710には、実行された統合モデルに含まれる個別モデル711a~715aが対策ランキングとして表示されている。対策ランキングは、重みを使って生成された統合モデルに含まれる個別モデルの順序である。検査員は、個別モデル711a~715aのいずれかをクリックすることで、その個別モデルにおける確認情報716を表示できる。図示した例では、個別モデル711aに関する情報が表示されている。対策を実施済みの対策ランキングで上位の個別モデルは、登録済みの確認結果と対処方法が表示されている。統合モデルが図4に示すように個別モデルを直列で配置している場合は、すべての対策ランキングは、表示されていない。表示されているのは、実施済みの個別モデルおよびこれから対策する個別モデルとなる。一例として、「はんだの印刷体積不足」に関する個別モデルが、重みに基づいて対策ランキングの上位に設定されるとする。この場合に、印刷検査機604のデータが参照され、不良が発生した部品の印刷検査結果に問題が無ければ、重みによる順序が上位であっても、「はんだの印刷体積不足」には該当しないと判断され、対策ランキングには表示されない。
【0086】
また、統合モデルの実行時は、個別モデルの少なくとも一部が並列で処理されても良い。個別モデルが並列で処理される場合は、すべての対策ランキングが表示され、上位の個別モデルから順に対策が確認又は実行される。統合モデル中の個別モデルの処理が、直列であるか並列であるかについては、統合モデルの処理状況によってソフトウェアによりモードを切り替えることができてもよい。切り替えは、ソフトウェアによって自動で行われてもよいし、ユーザにより選択されてもよい。モード切り替えの基準として、例えば、実行中の個別モデルの件数や、生成装置10の処理速度の指標としてCPUやメモリの使用率などを用いることができる。統合モデルが、直列で処理する場合は対策を早く表示することができ早期に対策を実行でき、並列で処理する場合は全ての対策を一括で表示することができる。
【0087】
確認情報716に表示された内容(対策)が実行される。確認項目には、個別モデルの名称だけではなく、実際の作業の内容が表示されてもよい。例えば、スキージの摩耗確認であれば、検査員に印刷機を停止させ、スキージペーストをふき取り、目視で摩耗による変形がないかを確認するよう指示を表示する。対策は、例えば検査員により実行される。対策は、メンテナンス等を担当するエンジニアにより実行されても良い。検査員は、確認の結果を入力欄716a~716dに入力し、アイコン717をクリックしてデータを登録する。生成装置10は、登録された確認データを受信する。検査員は、不良の原因が特定されるまで、表示された順序711b~715bに従って、個別モデルによって示された対策を実行していく。
【0088】
モニタ621には、表示される対策(個別モデル)を絞り込むための画面が表示されても良い。生成装置10は、図30に示すUI720を、モニタ621に表示させる。UI720には、入力欄721a~727a、アイコン722b~727b、及びアイコン728が表示されている。
【0089】
入力欄721aには、期間が入力される。期間が入力されると、入力された期間において、個別モデルが適用された製品、その製品への対策、実行された対策での確認結果および対処方法が検索される。検索結果には、対策を実行しなかった場合も含まれ、その場合は確認結果および対処方法が表示されなくてもよい。入力欄722aには、製品IDが入力される。製品IDが入力されると、その製品IDの製品に対して過去に有効であった個別モデルが検索される。同様に、入力欄723a~726aには、それぞれ、製品コード、装置ID、作業者ID、ロケーションを入力可能である。入力されたデータに関わる製品に対して過去に有効であった個別モデルが検索される。検査員は、アイコン722b~726bをクリックすることで、製品、装置、作業者、ロケーションの名称の一覧をそれぞれ表示させ、一覧からID又はコードを選択することもできる。
【0090】
また、検査員は、不良コードを入力欄727aに入力することもできる。不良コードが入力されると、その不良コードによって特定される不良モードと対応した統合モデルが表示される。また、検査員は、アイコン727bをクリックすることで不良モードの名称の一覧を表示させることができ、一覧からコードを選択することもできる。
【0091】
UI720に示した複数の項目の全てが、必ずしも入力される必要はない。複数の項目の1つ以上が入力されれば良い。検索のための条件を入力すると、検査員は、アイコン728をクリックする。生成装置10は、検索条件を受け付け、検索条件に合致する対策(個別モデル)をモニタ621に表示させる。
【0092】
又は、入力欄721aに期間が入力されると、生成装置10は、入力された期間に得られた品質データ、確認データなどに基づいて、各原因の重みを算出しても良い。生成装置10は、算出された重みに応じて個別モデルを並べ替え、新しい統合モデルを生成する。例えば、直近の特定の期間を指定することで、直近で発生している不良モードに有効な統合モデルを生成できる。また、過去の統合モデルに対して実行された結果を、新しい統合モデルを適用して再度対策指示を表示させることができてもよい。過去の結果に対して、新しい統合モデルを適用することにより、過去の統合モデルでは表示されていなかった対策を実行することができる。この場合、過去の統合モデルおよび個別モデルによる対策指示、実行された結果も記録として記憶されている。
【0093】
図30に示すように、入力欄721aに期間が入力されたときの機能を、上述した機能の間で切り替えるためのアイコン729がUI720に表示されても良い。ユーザは、アイコン729をクリックすることで、入力欄721aに期間が入力されたときの機能を切り替えることができる。すなわち、期間が入力された場合に、個別モデルが適用された製品、対策などを検索する機能と、期間に応じた統合モデルを生成する機能と、を切り替えることができる。
【0094】
不良の原因が特定されると、検査員は、統合モデルの実行結果を生成装置10に入力する。生成装置10は、図31に示すように、統合モデルの実行結果を入力するためのUI730を、モニタ621に表示させる。UI730には、入力欄731a~734a、アイコン731b~734b、及びアイコン735が表示される。
【0095】
入力欄731aには、製品IDが入力される。入力欄732aには、不良の原因のコードが入力される。入力欄733aには、統合モデルを実行した際に、不良モードに対して有効であった対策のコードが入力される。入力欄734aには、有効であった対策に関するメモが入力される。検査員は、アイコン731b~733bをクリックすることで、製品、原因、不良モードの名称の一覧をそれぞれ表示させ、一覧からID又はコードを選択することもできる。検査員は、アイコン734bをクリックすることで、過去に入力されたメモを参照することもできる。
【0096】
製品ID、原因コード、対策コードは、図29で提示した内容に基づいて、生成装置10が自動で入力しても良い。検査員は、必要データを入力すると、アイコン735をクリックする。これにより、入力されたデータが生成装置10に送信される。生成装置10は、受信したデータを、適宜第3データベースDB3に保存する。また、必要に応じて、統合モデルを更新する。
【0097】
図32に示すように、生成装置10は、個別モデルを編集又は確認するためのUI740を表示させても良い。UI740には、入力欄741、検索結果742、編集領域743、及びアイコン744が表示される。入力欄741には、期間が入力される。入力された期間に発生した不良モードが検索され、その不良モードの原因に関する情報が検索結果742に表示される。
【0098】
検索結果742には、個別モデルの名称と、個別モデルが登録または更新された日付、個別モデルによって対策指示が発生した件数を示す発生件数、対策指示の実施状況を示すステータスが表示される。個別モデルID、個別モデルの登録者、個別モデルが適用されている製品のコードまたは名称などが表示されてもよい。ステータスの表示方法は、例えば、対策が未実施の個別モデルでは未対策、対策を実施中の個別モデルでは対策中、対策が完了している個別モデルでは対策済みなどと表示する。発生件数すべてが未対策の場合に未対策と表示されてもよいし、1件でも未対策が含まれる場合に未対策と表示されてもよい。また、未対策、対策中、対策済みの各件数を内訳として表示してもよい。編集領域743には、原因の名称743a、入力欄743b、743c、アイコン743d、及びアイコン743eが表示される。入力欄743bには、設定する個別モデルのコードが入力される。入力欄743cには、設定する個別モデルに関するメモが入力される。
【0099】
ユーザは、アイコン743dをクリックすることで対策の名称の一覧を表示させることができ、一覧から対策を選択することもできる。選択された対策のコードが、入力欄743bに入力される。この場合、UI740において、選択された対策を含む個別モデルを確認及び編集できる。また、ユーザは、アイコン743eをクリックすることで、過去に入力されたメモを参照することもできる。ユーザは、検査員、製造ラインの管理者、又は処理システムの管理者などである。
【0100】
個別モデルの確認及び編集が完了すると、ユーザは、アイコン744をクリックする。これにより、編集された内容が第2データベースDB2に登録される。
【0101】
図33に示すように、生成装置10は、各要素のスコアを編集するためのUI750を表示させても良い。UI750には、入力欄751、入力欄752、アイコン753、検索結果754、編集領域755、及びアイコン756が表示される。入力欄751には、期間が入力される。期間が入力されると、入力された期間に登録されたスコアテーブルが検索結果として表示される。入力欄752に、スコアテーブルの名称が直接指定されても良い。ユーザは、入力欄751又は752にデータを入力すると、アイコン753をクリックする。入力されたデータに対応した検索結果754が表示される。検索結果754には、日付、スコアコード、スコアテーブル名、及び登録件数が表示されている。日付は、スコアテーブルが登録された日を示す。スコアコードは、それぞれのスコアテーブルを識別するための文字列である。登録件数は、スコアテーブルを参照している個別モデルの件数である。
【0102】
例えば、検索結果754に表示されたいずれかのデータをクリックすると、スコアの編集領域755に、選択されたスコアテーブルに関するデータが表示される。図示した例では、編集領域755に、スコアテーブルに含まれる検査機種別、スコアコード、有無、スコア値が表示されている。ユーザは、各行の入力欄755a又は755bにデータを入力し、それぞれの検査機種別の有無に関する条件とスコア値を編集できる。編集が完了すると、ユーザは、アイコン756をクリックする。アイコン756のクリックにより、編集されたスコアが登録される。
【0103】
図34に示すように、生成装置10は、統合モデルを確認するためのUI760を表示させても良い。UI760の表示領域761には、任意の統合モデルにおける個別モデルの順位が表示される。ユーザは、UI760の表示領域761を通して、任意の統合モデルにおいて個別モデルがどのような順序で並んでいるか確認できる。
【0104】
表示領域761において、ユーザが、個別モデルの順位を変更可能であっても良い。統合モデルの編集が完了すると、ユーザは、アイコン762をクリックする。これにより、編集された内容が登録される。
【0105】
PCBを製造するための製造ラインには、複数のメーカによってそれぞれ製造された設備が設けられ、設備ごとにエンジニアが配備される。例えば、不良が発生した際には、各エンジニアが、担当するそれぞれ設備について原因を調査して対策を実行する。
【0106】
一例として、印刷機602については、メタルマスクの清掃及び状態確認、スキージの清掃及び取付状態確認、バックアッププレートの清掃及び状態確認、設備内部の清掃、温調器又はエアコンの確認、装置駆動部のグリスアップなどが実行される。マウンタ606については、ノズルの清掃及び状態確認、ヘッド部のメンテナンス、フィーダーの清掃及び状態確認、設備内部の清掃、装置駆動部のグリスアップなどが実行される。リフロー炉610については、炉内のフラックス除去及び清掃、ラビリンスの高さ調整及び状態確認、酸素濃度計等の各種センサの清掃及び状態確認、リフローパレットの清掃及び状態確認、ファンの清掃及び状態確認、温度プロファイルの確認などが実行される。
【0107】
各エンジニアがそれぞれの設備について原因を調査し、対策を実行する場合、総計すると多くの時間が費やされる。従来、製造ライン600の全体を通して、不良に対する最適な対策を実行することが困難であった。
【0108】
この課題について、処理システム1aによれば、不良モードごとに、製造ライン600に対する対策が順序づけられた統合モデルが生成される。不良が発生した際には、その不良モードに対応した統合モデルに従って対策が順次実行される。例えば、統合モデルに従って対策を実行することで、有効性の低い対策、必要の無い対策などが、実行され難くなる。不良モードの原因をより早期に発見でき、製造ライン600の復旧を早めることができる。
【0109】
図35は、ハードウェア構成を示す模式図である。
生成装置10及び実行装置40のそれぞれは、例えば図35に示すコンピュータ90の構成をそれぞれ含む。コンピュータ90は、CPU91、ROM92、RAM93、記憶装置94、入力インタフェース95、出力インタフェース96、及び通信インタフェース97を含む。
【0110】
ROM92は、コンピュータ90の動作を制御するプログラムを格納している。ROM92には、上述した各処理をコンピュータ90に実現させるために必要なプログラムが格納されている。RAM93は、ROM92に格納されたプログラムが展開される記憶領域として機能する。
【0111】
CPU91は、処理回路を含む。CPU91は、RAM93をワークメモリとして、ROM92又は記憶装置94の少なくともいずれかに記憶されたプログラムを実行する。プログラムの実行中、CPU91は、システムバス98を介して各構成を制御し、種々の処理を実行する。
【0112】
記憶装置94は、プログラムの実行に必要なデータや、プログラムの実行によって得られたデータを記憶する。
【0113】
入力インタフェース(I/F)95は、コンピュータ90と入力装置95aとを接続する。入力I/F95は、例えば、USB等のシリアルバスインタフェースである。CPU91は、入力I/F95を介して、入力装置95aから各種データを読み込むことができる。
【0114】
出力インタフェース(I/F)96は、コンピュータ90と出力装置96aとを接続する。出力I/F96は、例えば、Digital Visual Interface(DVI)やHigh-Definition Multimedia Interface(HDMI(登録商標))等の映像出力インタフェースである。CPU91は、出力I/F96を介して、出力装置96aにデータを送信し、出力装置96aに画像を表示させることができる。
【0115】
通信インタフェース(I/F)97は、コンピュータ90外部のサーバ97aと、コンピュータ90と、を接続する。通信I/F97は、例えば、LANカード等のネットワークカードである。CPU91は、通信I/F97を介して、サーバ97aから各種データを読み込むことができる。
【0116】
記憶装置94は、Hard Disk Drive(HDD)及びSolid State Drive(SSD)から選択される1つ以上を含む。入力装置95aは、マウス、キーボード、マイク(音声入力)、及びタッチパッドから選択される1つ以上を含む。出力装置96aは、モニタ及びプロジェクタから選択される1つ以上を含む。タッチパネルのように、入力装置95aと出力装置96aの両方の機能を備えた機器が用いられても良い。
【0117】
生成装置10及び実行装置40のそれぞれの機能は、1つのコンピュータによって実現されても良いし、複数のコンピュータの協働により実現されても良い。上記の種々のデータの処理は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク及びハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD-ROM、DVD±R、DVD±RWなど)、半導体メモリ、又は、他の非一時的なコンピュータで読取可能な記録媒体(non-transitory computer-readable storage medium)に記録されても良い。
【0118】
例えば、記録媒体に記録された情報は、コンピュータ(または組み込みシステム)により読み出されることが可能である。記録媒体において、記録形式(記憶形式)は任意である。例えば、コンピュータは、記録媒体からプログラムを読み出し、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させる。コンピュータにおいて、プログラムの取得(または読み出し)は、ネットワークを通じて行われても良い。
【0119】
以上で説明した実施形態によれば、不良の改善に有効な統合モデルを自動的に生成可能な、処理方法、生成装置、処理システム、プログラム、及び記憶媒体が提供される。
【0120】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0121】
1:処理システム、 10:生成装置、 20:収集システム、 31:第1記憶装置、 32:第2記憶装置、 33:第3記憶装置、 40:実行装置、 90:コンピュータ、 100:第1データベース、 200:第2データベース、 250:統合モデル、 600:製造ライン、 602:印刷機、 604:印刷検査機、 606:マウンタ、 608:実装検査機、 610:リフロー炉、 612:外観検査機、 614a,614b:基板、 620:処理装置、 621:モニタ、 625:検査員、 DB1:第1データベース、 DB2:第2データベース、 DB3:第3データベース、 DB4:第4データベース、 M1:処理方法
図1
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