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特開2023-175393非接触給電システム、車両、及び非接触給電受電装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175393
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】非接触給電システム、車両、及び非接触給電受電装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0283 20230101AFI20231205BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20231205BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231205BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20231205BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20231205BHJP
【FI】
G06Q30/02 490
H02J50/10
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
G06Q30/06
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087816
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 和峰
(72)【発明者】
【氏名】橋本 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】橋本 眞
(72)【発明者】
【氏名】山口 宜久
(72)【発明者】
【氏名】金▲崎▼ 正樹
(72)【発明者】
【氏名】谷 恵亮
(72)【発明者】
【氏名】大林 和良
(72)【発明者】
【氏名】竹村 優一
【テーマコード(参考)】
5G503
5L049
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
5G503GB08
5L049BB23
5L049BB44
5L049BB56
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】別部品を設けることなく車両に対する給電量及び課金金額を算出可能な非接触給電システム、車両、及び非接触給電受電装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係る非接触給電システムは、車両の走行路に設けられた給電装置から走行中の車両に非接触で電力を供給する非接触給電システムであって、車両が備える電気機器のエネルギ収支に基づいて給電装置から車両への給電の開始及び停止を判定する判定手段と、判定手段の判定結果に基づいて車両に対する給電量及び課金金額を算出する課金算出手段と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行路に設けられた給電装置から走行中の車両に非接触で電力を供給する非接触給電システムであって、
前記車両が備える電気機器のエネルギ収支に基づいて前記給電装置から前記車両への給電の開始及び停止を判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて前記車両に対する給電量及び課金金額を算出する課金算出手段と、
を備える、非接触給電システム。
【請求項2】
車両の走行路に設けられた給電装置から走行中の車両に非接触で電力を供給する非接触給電システムから受電可能な車両であって、
前記車両に備えられた電気機器のエネルギ収支に基づいて前記給電装置から前記車両への給電の開始及び停止を判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果を非接触給電システムの課金装置に報知する報知手段と、
を備え、
前記課金装置が前記車両に対する給電量及び課金金額を算出する処理に前記判定結果を用いらせる、車両。
【請求項3】
車両の走行路に設けられた給電装置から走行中の車両に非接触で電力を供給する非接触給電システムから受電可能な車両に搭載された非接触給電受電装置であって、
前記車両に備えられた電気機器のエネルギ収支に基づいて前記給電装置から前記車両への給電の開始及び停止を判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果を非接触給電システムの課金装置に報知する報知手段と、
を備え、
前記課金装置が前記車両に対する給電量及び課金金額を算出する処理に前記判定結果を用いらせる、非接触給電受電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行中の車両に非接触で電力を供給する非接触給電システム、車両、及び非接触給電受電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、送電の開始に伴い所定金額を徴収金額に設定し、実際に送電した電力量又は車両が実際に受電した電力量に対応する料金と所定金額との差額により徴収金額を修正する非接触給電システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-79077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の非接触給電システムを構成するためには、電力量を計測するための装置や車両を検出するための装置等の別部品が必要になるので、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、別部品を設けることなく車両に対する給電量及び課金金額を算出可能な非接触給電システム、車両、及び非接触給電受電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る非接触給電システムは、車両の走行路に設けられた給電装置から走行中の車両に非接触で電力を供給する非接触給電システムであって、前記車両が備える電気機器のエネルギ収支に基づいて前記給電装置から前記車両への給電の開始及び停止を判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づいて前記車両に対する給電量及び課金金額を算出する課金算出手段と、を備える。
【0007】
本発明に係る車両は、車両の走行路に設けられた給電装置から走行中の車両に非接触で電力を供給する非接触給電システムから受電可能な車両であって、前記車両に備えられた電気機器のエネルギ収支に基づいて前記給電装置から前記車両への給電の開始及び停止を判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果を非接触給電システムの課金装置に報知する報知手段と、を備え、前記課金装置が前記車両に対する給電量及び課金金額を算出する処理に前記判定結果を用いらせる。
【0008】
本発明に係る非接触給電受電装置は、車両の走行路に設けられた給電装置から走行中の車両に非接触で電力を供給する非接触給電システムから受電可能な車両に搭載された非接触給電受電装置であって、前記車両に備えられた電気機器のエネルギ収支に基づいて前記給電装置から前記車両への給電の開始及び停止を判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果を非接触給電システムの課金装置に報知する報知手段と、を備え、前記課金装置が前記車両に対する給電量及び課金金額を算出する処理に前記判定結果を用いらせる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る非接触給電システム、車両、及び非接触給電受電装置は、車両が備える電気機器のエネルギ収支に基づいて給電装置から車両への給電の開始及び停止を判定するので、別部品を設けることなく車両に対する給電量及び課金金額を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態である非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示す車両の構成を示す回路図である。
図3図3は、給電が行われていない時の車両のエネルギ収支を示す図である。
図4図4は、給電が行われている時の車両のエネルギ収支を示す図である。
図5図5は、給電判定の変形例を説明するための図である。
図6図6は、給電判定の変形例を説明するための図である。
図7図7は、給電料金の算出例を説明するための図である。
図8図8は、車両の電気特性の取得方法を説明するための図である。
図9図9は、車両の電気特性の取得方法を説明するための図である。
図10図10は、給電判定の変形例を説明するための図である。
図11図11は、給電判定の変形例を説明するための図である。
図12図12は、給電判定の変形例を説明するための図である。
図13図13は、図12に示す給電判定の変形例による効果を説明するための図である。
図14図14は、給電判定の変形例を説明するための図である。
図15図15は、給電判定の変形例を説明するための図である。
図16図16は、給電判定の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である非接触給電システムについて詳しく説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態である非接触給電システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本発明の一実施形態である非接触給電システム1は、走行中の車両に非接触で電力を供給するシステムであり、車両2、給電装置3、及び課金サーバ装置4を備えている。
【0013】
車両2は、HV(Hybrid Vehicle),EV(Electric Vehicle),PHV(Plug-in Hybrid Vehicle),FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)等の周知の車両により構成され、インターネット回線網や携帯電話回線網等の電気通信回線NWを介して情報通信可能な通信モジュールを備えている。また、図2に示すように、車両2は、バッテリの入出力電力量(バッテリ電力)とモータの入出力電力量(モータ電力)との和を演算する加算器21と、加算器21の出力と補機の消費電力量(補機電力)との和を演算する加算器22と、加算器22の出力(エネルギ収支)と給電判定閾値との大小関係を比較し、加算器22の出力が給電判定閾値より大きい場合、給電装置3からの給電が行われていることを示す給電判定信号を出力する比較器23と、を備えている。なお、モータ電力に関しては、検出値を用いるのではなく、モータに対する動作指令に対応するモータ電力をマップから読み出したり、予測される回生電力量を用いたりしてもよい。また、補機電力に関しては、検出値を用いるのではなく、補機電力のオン/オフに応じてマップから補機電力を読み出すようにしてもよい。
【0014】
図3(a),(b)に示すように、車両2が備える電気機器のエネルギ収支はバッテリからの電力供給(放電)に対してモータ等の電気機器による電力消費によって±ゼロとなる。一方、モータから回生電力が戻ってきた際もバッテリの充電が行われて車両2のエネルギ収支は±ゼロとなる。なお、図3(b)では補機電力の図示を省略している。これに対して、図4(a),(b)に示すように、受電部を介して非接触給電システム1からの給電電力が入る場合、車両2が備える電気機器のエネルギ収支はプラス側に振れる。そこで、車両2は、比較器23を利用して加算器22の出力と給電判定閾値との大小関係を比較し、加算器22の出力が給電判定閾値より大きい場合、給電装置3からの給電が行われていると判定して給電判定信号を出力する。そして、車両2は、電気通信回線NWを介して給電判定信号を車両2に割り当てられた固有の識別情報(車両ID)と共に課金サーバ装置4に送信する。なお、車両2は、給電判定信号がオンである間に車両2が移動した距離(給電区間)を算出可能なように、給電判定信号と共に車両2の位置情報(GPS信号等)を送信してもよい。
【0015】
なお、受電部の出力点(モータ、バッテリ、補機等に電力を送る手前。図6(a)参照)の電気特性(電圧、電流、及び電力のうちの少なくとも一つ)だけで給電判定を行うことも可能である。しかしながら、この場合、出力点の電気特性を検出するセンサが接続されている電気配線を切断し、出力点をバイパスする電気配線を設けることにより、実際には給電されているのにも関わらず給電されていないようにみせる不正が行われる可能性がある。このため、図5図6(a),(b)に示すように、受電部の電気特性と給電判定閾値の大小関係を比較することにより給電判定を行う比較器24と、加算器21の出力(エネルギ収支)と給電判定閾値(補機電力をオフセットさせた値)の大小関係を比較することにより給電判定を行う比較器25と、を設け、比較器24の給電判定結果と比較器25の給電判定結果とが一致する場合に給電判定信号を出力するようにするとよい。
【0016】
図1に戻り、給電装置3は、系統からの直流電圧を整流する整流器と、整流器によって整流された直流電圧を交流電圧に変換する複数のインバータと、複数のインバータから出力された交流電圧を車両2側に送電する複数の送電器と、を備えている。
【0017】
課金サーバ装置4は、ワークステーション等の情報処理装置によって構成され、電気通信回線NWを介して車両2及び給電装置3と接続されている。課金サーバ装置4は、電気通信回線NWを介して車両2及び給電装置3との間で情報通信を行う。また、課金サーバ装置4は、情報処理装置内部のCPU等の演算処理装置がコンピュータプログラムを実行することにより、給電判定部41及び課金算出部42として機能する。
【0018】
給電判定部41は、車両2から送信された給電判定信号及び車両IDに基づいて車両2に対する給電動作が行われた時間(給電時間)や区間(給電区間)を判定し、判定された給電時間や給電区間に関する情報を車両IDと共に課金算出部42に出力する。課金算出部42は、給電判定部41から出力された給電時間や給電区間に基づいて車両2への給電量を算出し、算出された給電量に従って車両IDに対応する車両2のユーザに対して給電料金(課金料金)を課金する。なお、図7(a)~(e)に示すように、車両2の受電電力量をその大きさに応じて予めクラス分けしておき、課金算出部42は、各クラスの給電時間や給電区間に応じて給電料金を算出してもよい。
【0019】
以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態である非接触給電システム1では、課金サーバ装置4は、車両2が備える電気機器のエネルギ収支に基づいて給電装置3から車両2への給電の開始及び停止を判定するので、別部品を設けることなく車両2に対する給電量及び課金金額を算出することができる。
【0020】
なお、給電装置が車両に接触して給電する場合、図8(a)に示すように、給電装置と車両とのインターフェース部の電流(充電電流)を受電部の電気特性として検出するとよい。また、図8(b)に示すように、インターフェース部とバッテリとの間にダイオード素子やスイッチング素子等の逆流防止用の素子が配設されている場合、インターフェース部と素子との間の電圧(受電端電圧)を受電部の電気特性として検出してもよい。さらに、図8(c)に示すように、インターフェース部とバッテリとの間に正負逆接続時の短絡防止のための整流器が配設されている場合には、整流器の入力電圧(受電端電圧)を受電部の電気特性として取得してもよい。また、図8(d)に示すように、給電装置の出力が交流出力であっても同じ検出点で電気特性を検出することができる。さらに、給電装置が車両に非接触で給電する場合も、給電装置が車両に接触して給電する場合と同じ検出点で電気特性を検出できる。
【0021】
また、図9に示すように、受電部の電気特性として交流部の出力側の充電電流を検出する場合、図10(a)に示すように、充電電流は小電流領域を通る半波波形となるために、周期毎に入力電流が判定閾値を跨ぎ、処理回数が増加する。このため、図10(b)に示すように、充電電流に対してピークホールド処理を施した後に給電判定閾値と比較するとよい。なお、受電部の電気特性として受電端電圧を検出する場合には、図11(a),(b)に示すように、受電端電圧を整流した上でピークホールド処理を施すとよい。また、入力電流をそのまま用いて給電判定を行うのではなく、図12に示すように、入力電流をフィルタに入力し、フィルタ後段の平滑化された入力電流(充電電流)を用いて給電判定を行うようにしてもよい。図13(a)に示すように、入力電流は小電流領域を通る半波波形となるために、周期毎に入力電流が給電判定閾値を跨ぎ、処理回数が増加する。これに対して、フィルタ後段の平滑化された充電電流を用いた場合、図13(b)に示すように、給電判定閾値を跨ぐ回数が減少するので、処理回数の増加を抑制できる。
【0022】
また、図14(a),(c)に示すように車両2から給電判定信号が出力されなくなったタイミングで給電のカウントを停止すると、細かな料金算出が増え、無用に算出データが多くなりメモリのひっ迫を招く可能性がある。このため、図14(b)に示すように、車両2から給電判定信号が出力されなくなってから予め定めた猶予期間(猶予区間)内に車両2から給電判定信号が出力されるようになった場合、給電時間や給電区間のカウントを継続することが望ましい。また、この場合、図15(a)~(c)に示すように、猶予期間を超えて給電判定の出力の停止が認められた場合、実際に給電判定信号の出力が停止した時間に遡って給電料金を算出するとよい。また、猶予期間中の充電機会損失時間を別途カウントし、給電料金算出時に充電機会損失時間に相当する料金を減算してもよい。また、充電機会損失時間を加味して非接触給電システム1の給電料金単価を定めてもよい。また、図16(a),(b)に示すように、受電電力帯に応じて非接触給電システム1の給電料金単価を定め、各受電電力帯で何カウントしたかを加味して非接触給電システム1の給電料金を算出してもよい。例えば図16(a),(b)に示す例では、非接触給電システム1の給電料金は(第1電力帯のカウント値×第1電力帯給電料金単価)+(第2電力帯のカウント値×第2電力帯給電料金単価)+αのように算出することができる。
【0023】
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0024】
1 非接触給電システム
2 車両
3 給電装置
4 課金サーバ装置
21,22 加算器
23,24,25 比較器
41 給電判定部
42 課金算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16