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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175408
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】デシカント空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 3/14 20060101AFI20231205BHJP
   F24F 3/00 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
F24F3/14
F24F3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087835
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 規敏
(72)【発明者】
【氏名】和田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】増田 恭大
(72)【発明者】
【氏名】三木 僚子
【テーマコード(参考)】
3L053
【Fターム(参考)】
3L053BA03
3L053BC03
3L053BC09
(57)【要約】
【課題】吸着剤を再生させるための温水の温度が変化した場合であっても、除湿性能を確保することができるデシカント空調システムを得る。
【解決手段】デシカント空調システムは、冷水が流入し、外気を冷却するプレコイルと、プレコイルで冷却された外気が通過し、外気が含む水分を吸着して外気を除湿する吸着剤と、冷水が流入し、吸着剤で除湿された外気を室内に供給するために冷却するアフターコイルと、温水が流入し、室内から排気されて吸着剤を通過する空気を温め、水分を吸着した吸着剤に含まれた水分を脱着させる再生コイルと、再生コイルに流入する温水の温度に基づいて、プレコイルに流入する冷水の温度を制御して、外気に対するプレコイル及び吸着剤による除湿性能を確保する制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷水が流入し、外気を冷却するプレコイルと、
前記プレコイルで冷却された外気が通過し、外気が含む水分を吸着して外気を除湿する吸着剤と、
冷水が流入し、前記吸着剤で除湿された外気を室内に供給するために冷却するアフターコイルと、
温水が流入し、前記室内から排気されて前記吸着剤を通過する空気を温め、水分を吸着した前記吸着剤に含まれた水分を脱着させる再生コイルと、
前記再生コイルに流入する温水の温度に基づいて、前記プレコイルに流入する冷水の温度を制御して、外気に対する前記プレコイル及び前記吸着剤による除湿性能を確保する制御部と、
を備えるデシカント空調システム。
【請求項2】
前記再生コイルに流入する温水は、太陽熱によって生成される、
請求項1に記載のデシカント空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、デシカント空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のデシカント空調システムは、外気を導入して除湿する導入通路を有する導入部と、外気を温め再生外気として外部に排気する排気通路を有する排気部とを隔壁を設けて形成し、導入通路側を通過する外気を除湿すると共に排気通路側を通過する外気によって除湿剤を再生する除湿ロータを導入通路と排気通路とに跨がって配置し、導入通路側の除湿ロータを通過した高温・乾燥した外気を適温、低湿度にする機能を有する多段式間接型気化冷却装置をこの導入通路に配置して適温・適湿にして室内に供給し、他方、排気通路において吸引された外気または室内からの還気を顕熱ロータおよび/または太陽熱によって温められた温水または温風を循環する温熱コイルを通過させ、この温められた外気が除湿ロータを経由して装置外部に排気する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-255780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デシカント空調システムに設けられたデシカント空調装置において、デシカントロータに設けられた吸着剤は、温水が流入する再生コイルを通過した空気によって水分が脱着して再生される。さらに、再生した吸着剤は、冷水が流入するプレコイルを通過した外気に含まれる水分を吸着し、水分が吸着された外気はアフターコイルを通過して室内に供給される。このように、プレコイルを通過して冷却された外気の水分が吸着剤によって吸着されることで、除湿された空気が室内に供給される。
【0005】
ここで、太陽熱を集熱することで再生コイルに流入する温水が生成されていた。しかし、太陽熱は日によって不安定な熱源である。例えば、吸着剤を再生させるための温水の温度が60℃とした場合には、曇天日などは60℃の温水を生成できず、60℃の温水を生成するために、別途ヒートポンプチラーやボイラで温水を生成する必要がある。このため、温水を生成するために、別途エネルギーが必要とされることがあった。
【0006】
本開示の課題は、吸着剤を再生させるための温水の温度が変化した場合であっても、除湿性能を確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様に係るデシカント空調システムは、冷水が流入し、外気を冷却するプレコイルと、前記プレコイルで冷却された外気が通過し、外気が含む水分を吸着して外気を除湿する吸着剤と、冷水が流入し、前記吸着剤で除湿された外気を室内に供給するために冷却するアフターコイルと、温水が流入し、前記室内から排気されて前記吸着剤を通過する空気を温め、水分を吸着した前記吸着剤に含まれた水分を脱着させる再生コイルと、前記再生コイルに流入する温水の温度に基づいて、前記プレコイルに流入する冷水の温度を制御して、外気に対する前記プレコイル及び前記吸着剤による除湿性能を確保する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
第1態様に係る構成によれば、制御部は、再生コイルに流入する温水の温度に基づいて、プレコイルに流入する冷水の温度を制御して、外気に対するプレコイル及び吸着剤による除湿性能を確保する。このように、温水を強制的に一定にするのではなく、温水の温度が変化した場合には、プレコイルに流入する冷水の温度を制御して、外気に対するプレコイル及び吸着剤による除湿性能を確保する。
【0009】
これにより、吸着剤を再生させるための温水の温度が変化した場合であっても、除湿性能を確保することができる。
【0010】
第2態様に係るデシカント空調システムは、第1態様に係るデシカント空調システムにおいて、前記再生コイルに流入する温水は、太陽熱によって生成されることを特徴とする。
【0011】
第2態様に係る構成によれば、再生コイルに流入する温水は、太陽熱によって生成される。日々太陽熱が変化することで、再生コイルに流入する温水の温度も変化する。しかし、温水の温度が変化した場合には、制御部は、プレコイルに流入する冷水の温度を制御して、外気に対するプレコイル及び吸着剤による除湿性能を確保する。このように、除湿性能を確保した上で、日々変化する太陽熱を効果的に用いることができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、吸着剤を再生させるための温水の温度が変化した場合であっても、除湿性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施形態に係るデシカント空調システムを示した概略構成図である。
図2】本開示の実施形態に係るデシカント空調システムに用いられる温水供給部を示した概略構成図である。
図3】本開示の実施形態に係るデシカント空調システムに備えられた制御部の指示系統を示したブロック図である。
図4】本開示の実施形態に係るデシカント空調システムの制御部の制御フローを示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の実施形態に係るデシカント空調システムの一例について図1図4を用いて説明する。
【0015】
デシカント空調システム100は、図1に示されるように、デシカント空調装置10と、デシカント空調装置10へ低温媒体である冷水を供給する冷水供給部120と、デシカント空調装置10へ高温媒体である温水を供給する温水供給部140とを備えている。さらに、デシカント空調システム100は、各部を制御する制御部60(図3参照)を備えている。
【0016】
(デシカント空調装置10)
デシカント空調装置10は、図1に示されるように、筐体12を備え、筐体12の内部には、屋外90から外気を導入して室内92へ外気を供給する給気路20と、室内92から室内気(以下「内気」)を取り込んで屋外90に排気する排気路14とが形成されている。
【0017】
給気路20と排気路14とは、仕切り壁12aによって仕切られている。そして、給気路20は、筐体12に形成された給気ダクト12bから供給ダクト12cまでの間に形成されており、排気路14は、筐体12に形成された換気ダクト12dから排気ダクト12eまでの間に形成されている。
【0018】
〔給気路20〕
給気路20には、外気の導入方向の上流側から下流側に向けて、図1に示されるように、フィルター22、給気ファン24、プレコイル26、デシカントロータ28の一部、及びアフターコイル30がこの順番で並んでいる。
【0019】
-フィルター22、給気ファン24-
フィルター22は、給気ダクト12bを覆うように配置されており、屋外90から筐体12の内部に導入される外気から埃等の異物を取り除くようになっている。
【0020】
給気ファン24は、給気ダクト12bから外気を給気路20に導入し、導入した外気を供給ダクト12cから室内92へ供給する外気(空気)の流れを給気路20に生じさせるようになっている。
【0021】
-プレコイル26-
プレコイル26は、所謂熱交換コイルであって、プレコイル26には、冷水をプレコイル26に流入させるための流入管112の一端と、プレコイル26から冷水を流出させるための流出管114の一端とが夫々接続されている。そして、プレコイル26には、冷水供給部120から冷水が供給されるようになっている。なお、プレコイル26に冷水を供給する冷水供給部120については後述する。
【0022】
この構成において、冷房時には、稼動する給気ファン24によって、給気ダクト12bから導入された外気を供給ダクト12cから室内92へ供給する外気の流れが生じる。そして、給気路20を流れる外気は、プレコイル26に流入した冷水との間で熱交換され、予め決められた温度となって、プレコイル26を通過する。
【0023】
-デシカントロータ28-
デシカントロータ28は、排気路14と給気路20とに跨って配置されており、吸着剤28aを備えている。そして、デシカントロータ28が回転することで、吸着剤28aは、排気路14と給気路20とを交互に移動するようになっている。
【0024】
この構成において、冷房時には、デシカントロータ28の吸着剤28aにおいて給気路20に移動している部分が、給気路20を流れる外気に含まれる水分を吸着する。これにより、給気路20を流れる外気が除湿される。
【0025】
-アフターコイル30-
アフターコイル30は、所謂熱交換コイルであって、アフターコイル30には、冷水をアフターコイル30に流入させるための流入管116の一端と、アフターコイル30から冷水を流出させるための流出管118の一端とが夫々接続されている。そして、アフターコイル30には、冷水供給部120から冷水が供給されるようになっている。
【0026】
この構成において、冷房時には、給気路20を流れる外気は、アフターコイル30に供給された冷水との間で熱交換され、予め決められた温度となって、アフターコイル30を通過して供給ダクト12cを通って室内92へ供給される。
【0027】
〔排気路14〕
排気路14には、内気の排気方向の上流側から下流側に向けて、図1に示されるように、再生コイル42、デシカントロータ28の他の一部、及び排気ファン44がこの順番で並んでいる。
【0028】
-再生コイル42-
再生コイル42は、所謂熱交換コイルであって、再生コイル42には、温水を再生コイル42に流入させるための流入管162の一端と、再生コイル42から温水を流出させるための流出管164の一端とが夫々接続されている。そして、再生コイル42には、温水供給部140から温水が供給されるようになっている。なお、再生コイル42に温水を供給する温水供給部140については後述する。
【0029】
-排気ファン44-
排気ファン44は、換気ダクト12dから内気を排気路14に取り込んで、取り込んだ内気を排気ダクト12eから屋外90へ排気する内気(空気)の流れを排気路14に生じさせるようになっている。
【0030】
この構成において、冷房時には、排気路14を流れる内気は、再生コイル42に流入した温水との間で熱交換され、予め決められた温度となって、再生コイル42を通過する。
【0031】
さらに、デシカントロータ28の吸着剤28aにおいて排気路14に移動している部分が、再生コイル42を通過した内気によって再生する。具体的には、デシカントロータ28の吸着剤28aの水分が、再生コイル42を通過した内気によって脱着することで、デシカントロータ28の吸着剤28aが再生する。そして、デシカントロータ28を通過した内気が、排気ダクト12eから屋外90へ排気される。
【0032】
(冷水供給部120)
冷水供給部120は、図1に示されるように、一端がプレコイル26に接続されてプレコイル26に流入する冷水が流れる流入管112と、一端がプレコイル26に接続されてプレコイル26から流出する冷水が流れる流出管114とを備えている。さらに、冷水供給部120は、流入管112から分岐してアフターコイル30に接続される流入管116と、流出管114から分岐してアフターコイル30に接続される流出管118とを備えている。また、冷水供給部120は、流入管112の他端及び流出管114の他端が夫々接続されるヒートポンプチラー122を備えている。
【0033】
さらに、流入管112においてプレコイル26側の部分には、冷水の温度を検出する検温部112aが設けられ、流入管116には、冷水の温度を検出する検温部116aが設けられている。また、流出管114においてプレコイル26側の部分には、流量を調整するためのバルブ114aが設けられており、流出管118には、流量を調整するためのバルブ118aが設けられている。
【0034】
この構成において、冷房時には、ヒートポンプチラー122で生成された冷水は、流入管112及び流出管114を流れ、ヒートポンプチラー122とプレコイル26との間で循環する。同様に、ヒートポンプチラー122で生成された冷水は、流入管112、116及び流出管118、114を流れ、ヒートポンプチラー122とアフターコイル30との間で循環する。
【0035】
(温水供給部140)
温水供給部140は、図2に示されるように、太陽熱集熱器142と、温水を貯める貯湯槽144と、太陽熱集熱器142を流れる温水と貯湯槽144を流れる温水との間で熱交換させる熱交換器146とを備えている。
【0036】
さらに、温水供給部140は、太陽熱集熱器142と熱交換器146との間で温水が流れる循環管150と、貯湯槽144と熱交換器146との間で温水が流れる循環管152とを備えている。また、温水供給部140は、貯湯槽144の温水の温度を検出する検温部144aを備えている。
【0037】
さらに、循環管150には、温水の流れを生じさせるポンプ150aが設けられ、循環管152には、温水に流れを生じさせるポンプ152aが設けられている。
【0038】
また、温水供給部140は、一端が再生コイル42に接続されて貯湯槽144から再生コイル42に流入する温水が流れる流入管162と、一端が再生コイル42に接続されて再生コイル42から流出して貯湯槽144へ向かう温水が流れる流出管164とを備えている。
【0039】
さらに、流入管162には、温水の流れを生じさせるポンプ162a、流れる温水の量を制御するバルブ162b、及び温水の温度を検出する検温部162cが、温水の流れ方向の上流側から下流側に向けてこの順番で設けられている。
【0040】
また、流出管164には、流れる温水の量を制御するバルブ164aとバルブ164bとが、温水の流れ方向の上流側から下流側へ向けてこの順番で設けられている。
【0041】
さらに、温水供給部140は、温水の流れ方向においてバルブ162bに対して下流側の部分の流入管162から分岐する分岐管166と、温水の流れ方向においてバルブ164aとバルブ164bとの間の部分の流出管164から分岐する分岐管168とを備えている。
【0042】
また、分岐管166には、流れる温水の量を制御するバルブ166aが設けられ、分岐管168には、流れる温水の量を制御するバルブ168aが設けられている。
【0043】
(その他)
デシカント空調システム100は、図1に示されるように、デシカント空調装置10によって室内92に供給される外気の温湿度を検知する外気検知部180と、デシカント空調装置10よって室内92に供給された内気の温湿度を検知する内気検知部182とを備えている。
【0044】
(制御部60)
制御部60は、図3に示されるように、外気検知部180、内気検知部182、及び検温部162c、112a、116a、144aからの情報に基づいて、ヒートポンプチラー122等の各部を制御するようになっている。
【0045】
また、制御部60は、予め計算されたデシカント性能曲線を取得している。デシカント性能曲線とは、再生コイル42に流入する温水の温度と、デシカントロータ28のデシカント性能と、プレコイル26に流入する冷水の温度等から導出される除湿曲線である。
【0046】
例えば、定格能力においては、温水が60〔℃〕、冷水が13〔℃〕で設計される場合がある。このときには、例えば、温水が50〔℃〕であったり、温水が40〔℃〕であったりする場合に、デシカント性能曲線から、定格能力と同様の除湿能力とするための冷水の温度が求められるようになっている。つまり、外気の温湿度、内気の温湿度、温水の温度、及び冷水の温度から除湿性能が導出できるようになっている。
【0047】
なお、制御部60による各部の制御については、後述する作用と共に説明する。
【0048】
(作用)
次に、デシカント空調システム100の作用について、図4に示すフロー図を用いて説明する。なお、温水供給部140においては、各ポンプ150a、152a、162a、及び熱交換器146が稼動し、温水は各配管を循環している。
【0049】
デシカント空調装置10を稼働させると、給気ファン24及び排気ファン44が作動し、デシカントロータ28が回転する。そして、制御部60は、ステップS100で、内気の目標温度と目標湿度を図示せぬ入力部から取得する。
【0050】
次に、ステップS200で、制御部60は、外気検知部180から外気の温度及び湿度を取得し、内気検知部182から内気の温度及び湿度を取得する。
【0051】
次に、ステップS300で、制御部60は、取得した各値に基づいて必要除湿量を導出する。
【0052】
次に、ステップS400で、制御部60は、検温部162cから再生コイル42に流入する温水の温度を取得し、この温水の温度に基づいて必要除湿量を確保するためにプレコイル26に流入する冷水の温度をデシカント性能曲線から導出する。
【0053】
例えば、温水の温度が60〔℃〕のときに冷水の温度を13〔℃〕と導出し、温水の温度が45〔℃〕のときに冷水の温度を7〔℃〕と導出する。
【0054】
次に、ステップS500では、制御部60は、ステップS400で導出した温度の冷水が生成されるようにヒートポンプチラー122を制御する。そして、制御部60が、検温部112aによって検出された冷水の温度を取得して一連の動作を終了する。さらに、一連の動作が終了した後、予め決められた時間毎に、前述した工程が再度実施される。つまり、再生コイル42に流入する温水の温度が変化した場合に、その変化後の温水の温度に基づいて制御部60が、各部を制御する。
【0055】
(まとめ)
以上説明したように、デシカント空調システム100においては、再生コイル42に流入する温水の温度に基づいて、プレコイル26に流入する冷水の温度を制御して除湿性能を確保する。このため、吸着剤28aを再生させるための温水の温度が変化した場合であっても、除湿性能を確保することができる。
【0056】
また、デシカント空調システム100においては、再生コイル42に流入する温水は、太陽熱によって生成される。太陽熱は日によって不安定な熱源であるため、例えば、晴天日と曇天日では温水の温度が異なってしまう。しかし、前述したように、再生コイル42に流入する温水の温度に基づいて、プレコイル26に流入する冷水の温度を制御して除湿性能を確保する。このため、日々変化する太陽熱を効果的に用いることができる。
【0057】
なお、本開示を特定の実施形態について詳細に説明したが、本開示は係る実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。上記実施形態では、内気の目標温度及び目標湿度に基づいて、制御部60が各部を制御したが、例えば、給気温度、給気露点温度、還気露点温度を制御対象としてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、温水の温度が許容される温水の温度を下回った場合には、例えば、分岐管166及び分岐管168の間に介装された温水チラー(図示略)などの熱源装置で昇温した温水を再生コイル42に流入させてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、冷水はヒートポンプチラー122によって生成されたが、晴天日など高温の温水が十分な熱量で得られる場合には、再生コイルに供給する温水の温度を高くするとともに、プレコイルに供給する冷水の温度を高めるようにしても、前述のデシカント性能曲線等を用いて説明されるように、除湿性能を確保できる場合がある。このような場合には、地中熱を熱源に用いて生成した中温の冷水をプレコイルに供給するようにしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、制御部60が、バルブ162bを制御して温水の流量を制御してもよく、バルブ114aを制御して冷水の流量を制御してもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 デシカント空調装置
26 プレコイル
28a 吸着剤
30 アフターコイル
42 再生コイル
60 制御部
図1
図2
図3
図4