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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175415
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】組立式居住ユニット
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/343 20060101AFI20231205BHJP
   E04B 1/348 20060101ALI20231205BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
E04B1/343 M
E04B1/348 J
E04H1/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087845
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】510274430
【氏名又は名称】コトブキシーティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】相田 憲昭
(57)【要約】      (修正有)
【課題】組立が容易であり、取り扱い及び居住性に優れた組立式居住ユニットを提供する。
【解決手段】組立式居住ユニット100は、一対の第1の側面パネル10と、第1の側面パネルの第1縁部11に対し、取り外し可能に係合する第2の側面パネル20と、第1の側面パネルの第2縁部12に対し、取り外し可能に係合する第3の側面パネル30と、を備える。第1の側面パネル10は、第1縁部11及び第2縁部12の中間位置で互いに係合する同形状の係合縁部をそれぞれ有する少なくとも二つのサブパネル13A、13Bを係合することにより構成され、二つのサブパネル13A、13Bは、各々の主面を相対的に傾斜させた状態で、各々の係合縁部を長手方向に重ね合わさるように接触させ、少なくともいずれかのサブパネルを、係合縁部に対し直交するとともに主面に平行な回転軸を中心として回転させることにより互いに係合する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面が互いに平行な状態で対向して配置される一対の第1の側面パネルと、
前記一対の第1の側面パネルの第1縁部に対し、取り外し可能に係合する第2の側面パネルと、
前記一対の第1の側面パネルの第2縁部に対し、取り外し可能に係合する第3の側面パネルと、を備える組立式居住ユニットであって、
前記第1の側面パネルは、前記第1の側面パネルの長手方向において、前記第1縁部及び前記第2縁部の中間位置で互いに係合する同形状の係合縁部をそれぞれ有する少なくとも二つのサブパネルを係合することにより構成され、
前記二つのサブパネルは、各々の前記主面を相対的に傾斜させた状態で、各々の係合縁部を接触させ、少なくともいずれかのサブパネルを、前記係合縁部に対し直交するとともに前記主面に平行な回転軸を中心として回転させることにより互いに係合する、
組立式居住ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の組立式居住ユニットであって、
前記係合縁部は、前記サブパネルの厚み方向に凹んで形成される係合溝と、
前記係合溝に隣接して形成され、前記係合溝から前記サブパネルの厚み方向に突出する係合突条と、を有し、
前記係合溝は、前記回転軸が通過する隙間を介して、前記サブパネルの一面から凹んで形成される第1係合溝と、前記サブパネルの他面から凹んで形成される第2係合溝と、に分割され、
前記係合突条は、前記隙間を介して、前記第1係合溝に隣接して形成される第1係合突条と、前記第2係合溝に隣接して形成される第2係合突条と、に分割され、
前記二つのサブパネルは、一のサブパネルの前記第1係合突条が他のサブパネルの前記第2係合溝に嵌合するとともに、一のサブパネルの前記第2係合突条が他のサブパネルの前記第1係合溝に嵌合することにより、互いに係合する、
組立式居住ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の組立式居住ユニットであって、
前記第1係合突条及び前記第2係合突条は、前記隙間に隣接した端部において、他の部分に比べて前記サブパネルの厚み方向の突出量が小さい薄肉突条部を含み、
前記二つのサブパネルを相対的に傾斜させた状態で、前記回転軸に沿った方向に接近させる過程において、前記一のサブパネルの前記第1係合突条の薄肉突条部が、前記回転軸に沿った方向の位置上で、前記他のサブパネルの前記第2係合突条の薄肉突条部の位置を通過した後、前記他のサブパネルの前記第2係合溝の位置まで到達し、
前記二つのサブパネルの少なくともいずれかを、前記回転軸を中心として回転させることにより、前記二つのサブパネルが互いに係合する、
組立式居住ユニット。
【請求項4】
請求項2に記載の組立式居住ユニットであって、
前記サブパネルは、前記係合縁部の両端部において第1突起及び第2突起を備え、
前記第1突起は、前記係合溝の延設部分及び前記係合突条の延設部分を含み、
前記第2突起は、前記係合溝の延設部分及び前記係合突条の延設部分を含み、
前記二つのサブパネルの係合時に、前記第1突起及び前記第2突起のうち、一方の前記係合溝及び前記係合突条の延設部分が、他方の前記係合突条及び前記係合溝の延設部分に嵌合する、
組立式居住ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の組立式居住ユニットであって、
前記第1突起及び前記第2突起を覆うように、前記第1の側面パネルに取り付け可能な第1カバーをさらに備え、
前記第1カバーは、前記第1の側面パネルの主面に連続した面を構成するように取り付けられる、
組立式居住ユニット。
【請求項6】
請求項1に記載の組立式居住ユニットであって、
前記第2の側面パネル及び前記第3の側面パネルの少なくともいずれかが、少なくとも一つの角部に係合突起を備え、
前記第1の側面パネルは、少なくとも一つの角部に前記係合突起が挿入される係合穴を備える、
組立式居住ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載の組立式居住ユニットであって、
前記係合突起及び前記係合穴を覆うように、前記第1の側面パネルに取り付け可能な第2カバーをさらに備え、
前記第2カバーは、前記第1の側面パネルの主面に連続した面を構成するように取り付けられる、
組立式居住ユニット。
【請求項8】
請求項1に記載の組立式居住ユニットであって、
前記サブパネルは、内面側の主面内に形成された凹部と、前記凹部から前記内面側の主面よりも高い位置まで突出した突状部とを有する、
組立式居住ユニット。
【請求項9】
請求項1に記載の組立式居住ユニットであって、
前記少なくとも二つのサブパネルは、同一形状を有する、
組立式居住ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易に組立可能な組立式居住ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然災害等の不測の事態に備え、避難所の充実化が求められている。既存の避難所には種々の問題が存在するが、生活空間の確保、プライバシーの確保等、居住性の一層の充実が求められている。
【0003】
特許文献1は、複数枚の樹脂製の分割パネルを、それらの縁部同士で突き合わせて、締結具で相互に結合することにより、横断面略矩形状に形成される筒形で、その筒軸方向の両端に全面的に形成される開口を有するシェル構造と、両端に形成される開口の少なくとも一方を閉鎖するように、開口の内周縁に形成される溝部に倹飩式に嵌め込まれると共に、溝部内で移動しないように固定具で固定される壁面パネルと、を備え、建物内の床面上に設置され、シェル構造及び壁面パネルにより室内と周囲を仕切る側壁を形成する組立個室を開示している。
【0004】
特許文献1の組立個室は、一人用の宿泊、休憩室として使用される組立式の個室で、建物内の床面上への設置を前提としており、建物内で組立し、設置可能である。このような組立個室を避難所において利用することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-203151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の組立個室に代表される従来の組立式の個室は、部品点数が多く、部材の固定具を必要とするため、組立が困難であり、時間も要する。
【0007】
本発明は、組立が容易であり、取り扱い及び居住性に優れた組立式居住ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の組立式居住ユニットは、
主面が互いに平行な状態で対向して配置される一対の第1の側面パネルと、
前記一対の第1の側面パネルの第1縁部に対し、取り外し可能に係合する第2の側面パネルと、
前記一対の第1の側面パネルの第2縁部に対し、取り外し可能に係合する第3の側面パネルと、を備える組立式居住ユニットであって、
前記第1の側面パネルは、前記第1の側面パネルの長手方向において、前記第1縁部及び前記第2縁部の中間位置で互いに係合する同形状の係合縁部をそれぞれ有する少なくとも二つのサブパネルを係合することにより構成され、
前記二つのサブパネルは、各々の前記主面が相対的に傾斜した状態で、係合時に前記中間位置に位置する各々の係合縁部を長手方向に重ね合わさるように接触させ、少なくともいずれかのサブパネルを、前記係合縁部に対し直交するとともに前記主面に平行な回転軸を中心として回転させることにより互いに係合する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1の側面パネルを、二つのサブパネルを相対的に傾斜させた状態で重ね合わせ、相対的に回転させることにより係合させて構成することができるので、組立が容易であり、取り扱い及び居住性に優れる組立式居住ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係る組立式居住ユニットの斜視図である。
図2図2は、第1の側面パネルの内面側の主面を示す平面図である。
図3図3は、第1の側面パネルを構成するサブパネルの斜視図であり、(a)は外面側の主面を示す斜視図、(b)は内面側の主面を示す斜視図である。
図4図4は、第2の側面パネルの斜視図であり、(a)は外面側の主面を示す斜視図、(b)は内面側の主面を示す斜視図である。
図5図5は、第3の側面パネルの斜視図であり、(a)は外面側の斜視図、(b)は内面側の斜視図である。
図6図6は、図3(a)のA領域の斜視図である。
図7図7は、図6と同領域の正面図である。
図8図8は、二つのサブパネルの係合縁部の係合を開始する際の状態を示す図である。
図9図9は、サブパネルの外面側から見た二つの突起の拡大斜視図であり、(a)は第1突起の拡大斜視図、(b)は第2突起の拡大斜視図である。
図10図10は、第1カバーの図であり、(a)は斜視図、(b)は内側空間を示す図である。
図11図11は、二つのサブパネルの係合縁部の上端部の拡大図であり、(a)は第1カバーを取り付けた状態を示す図、(b)は第1カバーを取り外した状態を示す図である。
図12図12は、第2カバーの図であり、(a)は斜視図、(b)は内側空間を示す図である。
図13図13は、組立式居住ユニットの角部の拡大図であり、(a)は第2カバーを取り付けた状態を示す図、(b)は第2カバーを取り外した状態を示す図である。
図14図14は、内部空間の上方をネットで覆った状態を示す組立式居住ユニットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した組立式居住ユニットの実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る組立式居住ユニット100の斜視図を示す。組立式居住ユニット100は、一対の第1の側面パネル10と、第2の側面パネル20と、第3の側面パネル30と、を備える。第1の側面パネル10、第2の側面パネル20、及び第3の側面パネル30は、いずれもブロー成形によって成形される樹脂製部材である。また、後述する第1カバー40及び第2カバー50も樹脂製部材からなる。
【0012】
組立式居住ユニット100は、上述した各部材を組み合わせることにより容易に組立が可能であり、人の居住空間を提供することが可能である。組立式居住ユニット100は、特別な道具なしで人の手により容易に組み立てることが可能であり、自然災害等の不測の事態の発生時に、避難所等において好適に用いられる。
【0013】
組立式居住ユニット100は全体として直方体形状を呈し、その内部空間Sが人の居住空間となる。内部空間Sは、組立式居住ユニット100が配置された床面と、一対の第1の側面パネル10、第2の側面パネル20、第3の側面パネル30各々の内側面によって画定される。組立式居住ユニット100の外形である直方体形状において、ユニット長さが最も長い長手方向をX方向、X方向に直交する幅方向をY方向、X方向及びY方向に直交する高さ方向をZ方向とする。なお、床面に床パネルを別途配置することにより、より快適な内部空間Sを提供することができる。
【0014】
第1の側面パネル10は、組立式居住ユニット100の外形において、ユニット長さが最も長い長手方向(X方向)に沿って延在している床面から垂直に起立している。一対の第1の側面パネル10は、主面が互いに平行な状態で対向して配置される。第2の側面パネル20は、第1の側面パネル10の長手方向の一の縁部である第1縁部11に対し、取り外し可能に係合している。第3の側面パネル30は、第1の側面パネル10の長手方向の他の縁部である第2縁部12に対し、取り外し可能に係合している。
【0015】
上述した係合により、第1の側面パネル10、第2の側面パネル20、第3の側面パネル30は、床面から安定した状態で垂直に起立している。具体的な係合の方法は後述する。
【0016】
図2は、第1の側面パネル10の内部空間Sに面した内面側の主面を示す平面図である。第1の側面パネル10は長手方向を有する平板状の部材である。特に本実施形態において第1の側面パネル10は、第1縁部11及び第2縁部12の中間位置で互いに係合する同形状の係合縁部131をそれぞれ有する少なくとも二つのサブパネル13(13A、13B)を係合することにより構成される。サブパネル13A、13Bの係合部分の両端部には、第1カバー40が取り外し可能に取り付けられている。なお、本実施形態では、一対の第1の側面パネル10を構成する4枚のサブパネル13は、同一形状であるが、同一のサイズとし、上述の係合縁部131や、後述する第2及び第3の側面パネル20,30との係合部分を同一とするものであれば、外面側又は内面側の主面の形状をそれぞれ異ならせてもよい。
【0017】
図3は、サブパネル13(13A、13B)の斜視図であり、(a)は外面側の主面を示す斜視図、(b)は内面側の主面を示す斜視図である。サブパネル13A、13Bは、それぞれ他方のサブパネルとの係合部分である係合縁部131において係合可能である。
サブパネル13は、係合縁部131の両端部において、互いに形状の異なる第1突起134、第2突起135を備えている。すなわち、二つのサブパネル13A、13Bは同形状であるが、係合時に、サブパネル13Aの第1突起134がサブパネル13Bの第2突起に嵌合し、サブパネル13Aの第2突起135がサブパネル13Bの第1突起に嵌合する(図11(b)参照)。
【0018】
図3(a)に示すように、外側に露出する外面側の主面はほぼ平らな面により構成されており、外から見て優れた意匠性を有している。図3(b)に示すように、内面側の主面には、凹部132が主面内に形成され、かつ凹部132から内面側の主面よりも高い位置まで突出した突状部133が形成される。凹部132が存在することにより、内部空間Sに入った人に対し、空間の広がりを感じさせることができる。また、突状部133が存在することにより、人が第1の側面パネル10に寄りかかり、第1の側面パネル10が倒れてしまうことを抑制することができる。また、突状部133は、スマートフォンのような小物を置くための台などに活用可能である。
さらに、サブパネル13において、突条部133のX方向側方には、X方向に沿って延び、Y方向に貫通する長孔138が形成されている。
【0019】
第1の側面パネル10はユニット長さが最も長い長手方向を有する部材であり、その大きさゆえに搬送の煩わしさ、保管スペースの占有などが問題となり得る。しかしながら、本実施形態においては、第1の側面パネル10が二つのサブパネル13A、13Bから構成されており、人が居住しない搬送時、保管時などにおいては、サブパネルに分割して取り扱うことが可能であり、取り扱いの利便性が向上する。
【0020】
図4は、第2の側面パネル20の斜視図であり、(a)は外面側の主面を示す斜視図、(b)は内面側の主面を示す斜視図である。第2の側面パネル20は、中央に人が通過可能な開口22を有しており、全体形状はパネルよりもフレームに近い。
【0021】
第2の側面パネル20は、左右の両縁部に係合突起24及び係合凸部26を有している。係合突起24は、縁部の上下に位置する少なくとも一つの角部(本実施形態では二つの角部)に設けられ、後述する第1の側面パネル10の係合穴15に挿入される。係合凸部26は、縁部上において複数設けられ、後述する第1の側面パネル10の係合凹部16(図2図3参照)に挿入される。
【0022】
図5は、第3の側面パネル30の斜視図であり、(a)は外面側の斜視図、(b)は内面側の斜視図である。第3の側面パネル30は、第2の側面パネル20の開口22の部分に、平板32を取り付けた形状を有している。したがって、第2の側面パネル20と第3の側面パネル30とは、外枠を構成する部分の形状が共通な金型によってそれぞれブロー成形される。
【0023】
第3の側面パネル30は、左右の両縁部に係合突起34及び係合凸部36を有している。係合突起34は、縁部の上下に位置する少なくとも一つの角部(本実施形態では二つの角部)に設けられ、後述する第1の側面パネル10の係合穴15に挿入される。係合凸部36は、縁部上において複数設けられ、後述する第1の側面パネル10の係合凹部16(図2図3参照)に挿入される。
【0024】
本実施形態の組立式居住ユニット100は、第1の側面パネル10、第2の側面パネル20、第3の側面パネル30の3種類の上記部材を組み合わせることによって組み立てられている。ただし、第2の側面パネル20、第3の側面パネル30は共通のパネルであってもよい。たとえば、第2の側面パネル20の代わりに第3の側面パネル30を用いることにより、二つの第3の側面パネル30が、長手方向の両端に設けられてもよい。この場合、人が通過可能な開口22はX方向に存在せず、上方が人が通過可能な開口となる。
【0025】
図6は、サブパネル13の係合縁部131の一部、具体的には図3(a)のA領域の斜視図であり、図7は、同領域の正面図である。図8は、二つのサブパネル13A、13Bの係合縁部131の係合を開始する際の状態を示す図である。係合縁部131は、サブパネル13の一辺に沿って延びており、二つのサブパネル13A、13Bを係合する役割を果たす。
【0026】
図8に示すように、ユーザは、二つのサブパネル13A、13Bの係合時に、まず、それぞれの主面を相対的に傾斜させた状態で、それぞれの係合縁部131を長手方向に重ね合わさるように接触させる。これにより、第1係合溝131a1と第2係合突条131b2が、第2係合溝131a2と第1係合突条131b1がY方向において対向している。さらにユーザは、少なくともいずれかのサブパネルを、係合縁部131に対し直交するとともに主面に平行な回転軸AXを中心として、矢印X方向に回転させる。これにより、ユーザは、図2に示すように二つのサブパネル13A、13Bを互いに係合することができる。また、ユーザは、二つのサブパネル13A、13Bの係合後、二つのサブパネル13A、13Bを矢印X方向と逆方向に回転させることにより、二つのサブパネル13A、13Bを分離することができる。このように、本実施形態においては、二つのサブパネル13A、13Bの係合及び分離を容易に行うことができ、組立式居住ユニット100の利便性が増すことになる。
【0027】
係合縁部131の構成及び係合の方法についてより詳しく説明する。係合縁部131は、サブパネル13の一辺に沿って延びる長手状の係合溝131a及び長手状の係合突条131bを有する。係合溝131aは、サブパネル13の厚み方向に凹んで形成され、Y方向に垂直な平面となる底面と、底面の両側で、X方向に垂直な平面となる一対の側壁面とで構成される断面矩形形状の溝である。係合突条131bは、係合溝131aに並んで隣接して形成され、サブパネル13の厚み方向に突出する突条である。即ち、係合縁部131では、係合溝131aの一方の側壁面に対して外面側の主面、又は内面側の主面に沿ってX方向に延在する部分が係合溝131aの底面を構成し、該X方向に延在する部分の先端縁から厚み方向に屈曲して延びる部分によって係合突起131bが構成され、係合凸条131bの内側面が係合溝131aの他方の側壁面を構成する。したがって、係合縁部131では、回転軸AXが通過する隙間Gに対してZ方向一方側に、外面側の主面から延びる断面L字形の長尺状のフック部139が形成され、回転軸AXが通過する隙間Gに対してZ方向一方側に、内面側の主面から延びる断面L字形の長尺状のフック部139が形成される。
【0028】
前記係合溝131aは、回転軸AXが通過する隙間Gを介して、サブパネル13の一面(外面側または内面側の主面)から凹んで形成される第1係合溝131a1と、サブパネル13の他面(内面側または外面側の主面)から凹んで形成される第2係合溝131a2と、に分割されている。係合突条131bも、隙間Gを介して、第1係合溝131a1に隣接して形成される第1係合突条131b1と、第2係合溝131a2に隣接して形成される第2係合突条131b2と、に分割されている。これにより、二つのサブパネル13A、13Bは、一のサブパネル(サブパネル13A)の第1係合突条131b1が他のサブパネル(サブパネル13B)の第2係合溝131a2に嵌合するとともに、一のサブパネル(サブパネル13A)の第2係合突条131b2が他のサブパネル(サブパネル13B)の第1係合溝に嵌合することにより、互いに係合する。
【0029】
上記構成によれば、係合縁部131において、係合溝131a及び係合突条131bの嵌合方向が、サブパネル13の主面に対し、異なる二方向(X方向及びY方向)を含んでいるため、二つのサブパネル13A、13Bの係合がより強固なものとなる。
また、二つのサブパネル13A,13Bが係合した状態では、互いの長尺状のフック部139の対向端部同士が当接するまで、隙間Gの高さ寸法分だけZ方向に相対的に移動するだけで、Z方向にも大きながたつきは抑制されている。さらに、二つのサブパネル13A,13Bは、Z方向で対向する、長尺状のフック部139の対向端部同士が当接するまで、それぞれの主面を相対的に傾斜させることができ、この状態で、二つのサブパネル13A,13Bの係合、又は分離を許容している。
【0030】
さらに本実施形態においては、第1係合突条131b1及び第2係合突条131b2は、隙間Gに隣接した端部において、他の部分に比べてサブパネル13の厚み方向の突出量が小さい薄肉突条部131cを含んでいる。すなわち、薄肉突条部131cは、第1係合突条131b1及び第2係合突条131b2の隙間Gに隣接した端部が、高さ方向において一定量切除されることにより形成される。第1係合突条131b1は第1薄肉突条部131c1を含み、第2係合突条131b2は第2薄肉突条部131c2を含む。
【0031】
図8に示すように、ユーザは、二つのサブパネル13A、13Bを相対的に傾斜させた状態で、両者を回転軸AXに沿った方向に接近させ、それぞれの係合縁部131を接触させる。この過程において、一のサブパネル(サブパネル13A)の第1係合突条131b1の第1薄肉突条部131c1が、回転軸AXに沿った方向の位置上で、他のサブパネル(サブパネル13B)の第2係合突条131b2の第2薄肉突条部131c2の位置を通過した後、他のサブパネル(サブパネル13B)の第2係合溝131a2まで到達する。
その後、ユーザが、二つのサブパネル13A、13Bの少なくともいずれかを、回転軸AXを中心として矢印X方向に回転させることにより、二つのサブパネル13A、13Bが互いに係合する。
【0032】
本実施形態においては、二つの係合突条131bの間の隙間Gに隣接した端部において、サブパネル13の厚み方向の突出量が小さい薄肉突条部131cが形成されている。この構成により、二つのサブパネル13A、13Bのそれぞれの係合縁部131を、図8に示すように重なり合わせることが可能となり、二つのサブパネル13A、13Bを相対的に回転させて容易に係合することができる。
【0033】
図9は、サブパネル13の外面側から見た二つの突起の拡大斜視図であり、(a)は第1突起134の拡大斜視図、(b)は第2突起135の拡大斜視図である。図10は、第1カバー40の図であり、(a)は斜視図、(b)は内側空間を示す図である。図11は、二つのサブパネル13A、13Bの係合縁部131の上端部の拡大図であり、(a)は第1カバー40を取り付けた状態を示す図、(b)は第1カバー40を取り外した状態を示す図である。
【0034】
図3で説明したように、サブパネル13は、係合縁部131の両端部において、図9(a)の第1突起134、図9(b)の第2突起135を備えている。すなわち、第1突起134及び第2突起135は、係合縁部131を外側に延長した延設部分に形成されている。
【0035】
そして、図3図9(a)に示すように、第1突起134は、係合溝131aの延設部分及び係合突条131bの延設部分を含んでいる。一方、図3(a)、図9(b)に示すように、第2突起135も、係合溝131aの延設部分及び係合突条131bの延設部分を含んでいる。このような構成により、図11(b)に示すように、二つのサブパネル13A、13Bの係合時に、第1突起134の係合突条131bの延設部分が、第2突起135の係合溝131aの延設部分に嵌合するとともに、第2突起135の係合突条131bの延設部分が、第1突起134の係合溝131aの延設部分に嵌合する。これにより、係合縁部131の両端においても安定的に係合状態を維持することができる。
また、係合縁部131の両端部には、第1突起134及び第2突起135の側方でY方向両側に開放した切り欠き部136,137がそれぞれ形成されている。
【0036】
さらに、図11(a)に示すように、ユーザは、第1カバー40を第1突起134、第2突起135及び切り欠き部136,137を覆うように、第1の側面パネル10に取り付けることができる。第1カバー40の内部空間42は、第1カバー40を取り付ける前の二つのサブパネル13A、13Bの係合部分(係合縁部131の両端部)の形状に合致しており、第1カバー40の取り付けにより、二つのサブパネル13A、13Bの係合をより強固に維持することができる。
【0037】
また、第1カバー40は、第1の側面パネル10の主面(外面側及び内面側の双方)に連続した面を構成するように取り付けられる。よって、第1カバー40は、第1突起134、第2突起135及び切り欠き136,137を覆うととともに、第1の側面パネル10と一体化した外観を達成するので、優れた意匠性を提供することができる。
【0038】
図12は、組立式居住ユニット100の角部に取り付けられる第2カバー50(図1参照)を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は内側空間を示す図である。図13は、組立式居住ユニット100の角部の拡大図であり、(a)は第2カバー50を取り付けた状態を示す図、(b)は第2カバー50を取り外した状態を示す図である。
【0039】
上述したように、第2の側面パネル20は、少なくとも一つの角部に係合突起24を備えている。一方、図2図3に示すように、第1の側面パネル10は、少なくとも一つの角部に係合突起24が挿入される係合穴15を備える。図13(b)に示すように、第1の側面パネル10及び第2の側面パネル20の係合時に、係合突起24が係合穴15を貫通し、係合穴15に嵌合することにより、第1の側面パネル10及び第2の側面パネル20は、安定的に係合状態を維持することができる。
【0040】
さらに、図13(a)に示すように、ユーザは、第2カバー50を係合突起24及び係合穴15を覆うように、第1の側面パネル10に取り付けることができる。第2カバー50の内部空間52は、第2カバー50を取り付ける前の第1の側面パネル10の角部の形状に合致しており、具体的には、第2カバー50の内部空間52に形成された凸部品52aが、係合穴15から突出した係合突起24の凹部24aに嵌まり込む。したがって、第2カバー50の取り付けにより、第1の側面パネル10及び第2の側面パネル20の係合をより強固に維持することができる。
【0041】
また、第2カバー50は、第1の側面パネル10の主面、特に外面側の主面に連続した面を構成するように取り付けられる。よって、第2カバー50は、係合突起24及び係合穴15を覆うととともに、第1の側面パネル10と一体化した外観を達成するので、外から見て優れた意匠性を提供することができる。
【0042】
また、上述したように、第2の側面パネル20は係合凸部26を備え、第1の側面パネル10は、係合凸部26が挿入される係合凹部16を備える。第1の側面パネル10及び第2の側面パネル20の係合時に、係合凸部26が係合凹部16に挿入され、係合凹部16に嵌合することにより、第1の側面パネル10及び第2の側面パネル20は、第2カバー50を取り付ける前に、より安定的に係合状態を維持することができる。
【0043】
なお、図5に示すように、第3の側面パネル30も係合突起34及び係合凸部36を備えている。係合突起34及び係合凸部36は、第2の側面パネル20の係合突起24及び係合凸部26と同じ機能を有している。よって、第1の側面パネル10及び第3の側面パネル30も、安定的に係合状態を維持することができる。
【0044】
上述したように、本実施形態の組立式居住ユニット100は、特別な道具なしで人の手により容易に組み立てることが可能である。また、第1の側面パネル10のような大きな部材を二つのサブパネル13A、13Bのように容易に組み立て及び分解が可能な部材で構成することにより、搬送、保管が容易となり、取り扱いの利便性と居住性を両立させることができる。
【0045】
なお、上述した各部材は、例えば樹脂により形成することが可能であり、軽量化を図ることができるが、各部材の材料は特に限定されない。各部材は、ブロー成形の他に、例えば3Dプリンタを用いて形成することができる。このように、各部材を樹脂製部材とすることで、屋外保管が可能となり、組立式居住ユニット100としての取り扱い性を向上することができる。
【0046】
また、図14に示すように、本実施形態の組立式居住ユニット100は、第1の側面パネル10に形成された穴部140、及び第1カバー40に形成された穴部44に挿入されたパイプ60の上部にネット62を掛けることで、内部空間Sの上方及び第2の側面パネル20の開口22を覆うようにしてもよい。また、パイプ60の高さを変えることで、内部空間Sの上方を居住空間として大きく確保することができる。
【0047】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0048】
10 第1の側面パネル
11 第1縁部
12 第2縁部
13 サブパネル
13A サブパネル
13B サブパネル
15 係合穴
16 係合凹部
20 第2の側面パネル
24 係合突起
26 係合凸部
30 第3の側面パネル
34 係合突起
36 係合凸部
40 第1カバー
50 第2カバー
100 組立式居住ユニット
131 係合縁部
131a 係合溝
131a1 第1係合溝
131a2 第2係合溝
131b 係合突条
131b1 第1係合突条
131b2 第2係合突条
131c 薄肉突条部
131c1 第1薄肉突条部
131c2 第2薄肉突条部
132 凹部
133 突状部
134 第1突起
135 第2突起
AX 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14