IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タムロンの特許一覧

<>
  • 特開-レンズシステム、及びプログラム 図1
  • 特開-レンズシステム、及びプログラム 図2
  • 特開-レンズシステム、及びプログラム 図3
  • 特開-レンズシステム、及びプログラム 図4
  • 特開-レンズシステム、及びプログラム 図5
  • 特開-レンズシステム、及びプログラム 図6
  • 特開-レンズシステム、及びプログラム 図7
  • 特開-レンズシステム、及びプログラム 図8
  • 特開-レンズシステム、及びプログラム 図9
  • 特開-レンズシステム、及びプログラム 図10
  • 特開-レンズシステム、及びプログラム 図11
  • 特開-レンズシステム、及びプログラム 図12
  • 特開-レンズシステム、及びプログラム 図13
  • 特開-レンズシステム、及びプログラム 図14
  • 特開-レンズシステム、及びプログラム 図15
  • 特開-レンズシステム、及びプログラム 図16
  • 特開-レンズシステム、及びプログラム 図17
  • 特開-レンズシステム、及びプログラム 図18
  • 特開-レンズシステム、及びプログラム 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175426
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】レンズシステム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/63 20230101AFI20231205BHJP
   G02B 7/08 20210101ALI20231205BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20231205BHJP
   G06F 3/04847 20220101ALI20231205BHJP
   G06F 3/0485 20220101ALI20231205BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20231205BHJP
【FI】
H04N5/232 933
G02B7/08 Z
G03B15/00 F
G06F3/04847
G06F3/0485
H04N5/225 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087859
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 智治
【テーマコード(参考)】
2H044
5C122
5E555
【Fターム(参考)】
2H044DA01
2H044DA02
2H044DA03
2H044DA04
5C122EA42
5C122FA13
5C122FK12
5C122FK24
5C122FK40
5C122FL03
5C122HA82
5C122HB01
5E555AA04
5E555BA05
5E555BA06
5E555BB05
5E555BB06
5E555BC13
5E555CA12
5E555CA42
5E555CB16
5E555CB45
5E555CB55
5E555CC05
5E555DA31
5E555DB51
5E555DC02
5E555DC09
5E555DC19
5E555DC53
5E555DC84
5E555DD06
5E555EA14
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】操作が簡便であり、低遅延であり、正確にレンズ光学系を制御することが可能であるレンズシステムを実現する。
【解決手段】レンズシステム(100)は、レンズ光学系(30)と、タッチディスプレイ(21)と、仮想画面(V1)のうち前記タッチディスプレイ(21)に表示する部分を、前記タッチディスプレイ(21)に対するユーザによるスクロール操作に応じて制御すると共に、前記レンズ光学系(30)の状態が、前記仮想画面(V1)のうち前記タッチディスプレイ(21)に表示する部分に連動するように、前記レンズ光学系(30)を制御する少なくとも1つのプロセッサ(11、23)と、を含んでいる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ光学系と、
タッチディスプレイと、
仮想画面のうち前記タッチディスプレイに表示する部分を、前記タッチディスプレイに対するユーザによるスクロール操作に応じて制御すると共に、前記レンズ光学系の状態が、前記仮想画面のうち前記タッチディスプレイに表示する部分に連動するように、前記レンズ光学系を制御する少なくとも1つのプロセッサと、を含んでいる、
ことを特徴とするレンズシステム。
【請求項2】
前記タッチディスプレイは、第1の辺と、前記第1の辺に直交する第2の辺とを含む長方形の表示領域を有しており、
前記仮想画面は、前記表示領域の前記第1の辺と平行な第1の辺であって、前記表示領域の前記第1の辺よりも長い第1の辺と、前記表示領域の前記第2の辺と平行な第2の辺とを含む長方形であり、
前記スクロール操作は、前記仮想画面を、前記仮想画面の前記第1の辺と平行な方向に移動させるための操作である、
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのプロセッサは、ユーザによる操作に応じて、前記仮想画面の前記第1の辺の長さを設定する、
ことを特徴とする請求項2に記載のレンズシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記仮想画面のうち前記タッチディスプレイに表示可能な部分を、ユーザにより設定された制限端の位置を表す情報に基づいて前記仮想画面の一部に制限する、
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記仮想画面のうち前記タッチディスプレイに現在表示されている部分を表す情報を、ユーザによる操作に応じて、マーカ情報としてメモリに書き込み、
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記マーカ情報に基づいて前記仮想画面中にマーカを生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記仮想画面のうち前記タッチディスプレイに表示可能な部分を、前記マーカ情報と、前記スクロール操作においてユーザが前記タッチディスプレイをタッチした位置を表す情報又はタッチした時点で前記タッチディスプレイに表示されている部分を表す情報とに基づいて、前記仮想画面の一部に制限する、
ことを特徴とする請求項5に記載のレンズシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記仮想画面のうち前記タッチディスプレイに表示する部分を、前記マーカ情報に基づいて復元する、
ことを特徴とする請求項5に記載のレンズシステム。
【請求項8】
前記レンズ光学系の前記状態は、前記レンズ光学系のフォーカス、ズーム、絞り、又は可変NDフィルタの状態を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズシステム。
【請求項9】
レンズ光学系と、
タッチディスプレイと、
仮想画面のうち前記タッチディスプレイに表示する部分を、前記タッチディスプレイに対するユーザによるスクロール操作に応じて制御する、少なくとも1つのプロセッサと、を含み、
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記レンズ光学系を用いた撮像に関する設定が、前記仮想画面のうち前記タッチディスプレイに表示する部分に連動するように、前記設定を制御する、
ことを特徴とするレンズシステム。
【請求項10】
撮像に関する前記設定は、前記レンズ光学系を用いて撮像された画像に対する画像処理に関する設定、又は前記レンズ光学系に接続されたカメラに関する設定である、
ことを特徴とする、請求項9に記載のレンズシステム。
【請求項11】
レンズ光学系と、タッチディスプレイと、を含むレンズシステムを制御するためのプログラムであって、
少なくとも1つのプロセッサに、仮想画面のうち前記タッチディスプレイに表示する部分を、前記タッチディスプレイに対するユーザによるスクロール操作に応じて制御すると共に、前記レンズ光学系の状態が、前記仮想画面のうち前記タッチディスプレイに表示する部分に連動するように、前記レンズ光学系を制御する処理を実行させる、プログラム。
【請求項12】
レンズ光学系と、タッチディスプレイと、を含むレンズシステムを制御するためのプログラムであって、
少なくとも1つのプロセッサに、仮想画面のうち前記タッチディスプレイに表示する部分を、前記タッチディスプレイに対するユーザによるスクロール操作に応じて制御すると共に、前記レンズ光学系を用いた撮像に関する設定が、前記仮想画面のうち前記タッチディスプレイに表示する部分に連動するように、前記設定を制御する処理を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズシステム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
TikTok(登録商標)及びYouTube(登録商標)等の動画投稿サイトの普及によって、ミラーレス一眼カメラ等のカメラを用いた動画撮影の技術、及びカメラに装着されたレンズを制御する技術へのニーズが増えてきている。
【0003】
レンズを制御する技術として、例えば特許文献1には、操作部材の操作位置に応じてレンズの位置を移動させると共に、ショット実行の指示によりレンズを予め登録したショット位置に移動させるショット機能を搭載したレンズ制御装置が記載されている。特許文献1に記載の技術によれば、パーソナルコンピュータがモニタに表示する表示部材(スライダ)をユーザが操作することによって、レンズのフォーカス、ズーム及び絞りが制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-305006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
動画撮影のうち映画撮影においては、フォローフォーカスを使用してフォーカスを制御することがある。しかしながら、フォローフォーカスは、ベルト及びギア等の多くの機材が必要であるため、設置作業が煩雑になる、機材費用が高価になる、並びに、ギアのバックラッシ及びリングセンサ検出等による操作遅延が生じる等の欠点がある。
【0006】
手持ちカメラを使用した動画撮影においてマニュアルフォーカスリングを操作する場合、ライブビュー映像を見ながらの操作は困難であり、手振れを生じる等の欠点もある。このような欠点を軽減するためにオートフォーカスが使用されることもあるが、フォーカス対象の誤選択を生じ得るため、オートフォーカスが使用される機会は少ない。
【0007】
本発明の一態様は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、操作が簡便であり、低遅延であり、正確にレンズ光学系を制御することが可能であるレンズシステムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るレンズシステムは、レンズ光学系と、タッチディスプレイと、仮想画面のうち前記タッチディスプレイに表示する部分を、前記タッチディスプレイに対するユーザによるスクロール操作に応じて制御すると共に、前記レンズ光学系の状態が、前記仮想画面のうち前記タッチディスプレイに表示する部分に連動するように、前記レンズ光学系を制御する少なくとも1つのプロセッサと、を含んでいる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、操作が簡便であり、低遅延であり、正確にレンズ光学系を制御することが可能であるレンズシステムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係るレンズシステムの構成を示すブロック図である。
図2図1に示す操作端末のプロセッサが実行する制御処理の流れを示すフローチャートである。
図3図1に示すレンズのプロセッサが実行する制御処理の流れを示すフローチャートである。
図4図1に示すレンズシステムにおける操作端末及び仮想画面の構成を示す模式図である。
図5図1に示すレンズシステムにおける、スクロール操作に応じた、フォーカス群の制御と、操作端末及び仮想画面の構成との関係を示す模式図である。
図6図1に示すレンズシステムが実行する感度調整処理における、仮想画面の構成を示す模式図である。
図7図1に示すレンズシステムが実行する表示制限処理における、仮想画面の構成を示す模式図である。
図8図1に示すレンズシステムが実行するマーカ書込み処理における、仮想画面の構成を示す模式図である。
図9図1に示すレンズシステムが実行するマーカ読出し処理における、仮想画面の構成を示す模式図である。
図10図1に示すレンズシステムが実行するマーカ停止処理における、仮想画面の構成を示す模式図である。
図11図1に示すレンズシステムが実行するマーカ停止処理の変形例における、仮想画面の構成を示す模式図である。
図12図1に示すレンズシステムにおける操作端末及び仮想画面の構成の変形例を示す模式図である。
図13図1に示すレンズシステムにおける操作端末及び仮想画面の構成の変形例を示す模式図である。
図14図1に示す操作端末のタッチディスプレイに表示されるGUIの一実施例を示す図である。
図15図1に示すレンズシステムにおける仮想画面の構成(左図)と、操作端末のタッチディスプレイに表示されるGUIの一実施例(右図)との関係を示す図である。
図16図13に示す変形例における、操作端末のタッチディスプレイに表示されるGUIの一実施例を示す図である。
図17】本発明の実施形態2に係るレンズシステムの構成を示すブロック図である。
図18図17に示すレンズシステムにおける操作端末及び仮想画面の構成を示す模式図である。
図19図17に示す操作端末のプロセッサが実行する制御処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
以下、本発明の一実施形態である実施形態1について、詳細に説明する。
【0012】
(レンズシステムの構成)
本発明の実施形態1に係るレンズシステム100の構成について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態1に係るレンズシステム100の構成を示すブロック図である。レンズシステム100は、静止画撮影及び動画撮影のうち少なくとも一方において、被写体の像を好適に得るためにレンズ光学系を制御するためのシステムである。なお、本明細書において、「レンズ光学系」とは、少なくとも1枚の単レンズと、当該少なくとも1枚の単レンズを支持する支持部材とを有するレンズユニットを指す。
【0013】
図1に示すように、レンズシステム100は、レンズ10と、操作端末20と、を含んでいる。レンズ10と操作端末20とは、通信手段を介して互いに通信可能に接続されている。本実施形態において、レンズ10と操作端末20とは、レンズ10に含まれる通信インターフェース12と操作端末20に含まれる通信インターフェース24とを介して、USB(Universal Serial Bus)ケーブルによって接続されている。
【0014】
なお、本実施形態においては、レンズ10と操作端末20とを接続する通信手段として、USBケーブルを用いているが、本発明は、これに限定されない。レンズ10と操作端末20とを接続する通信手段は、レンズ10と操作端末20との間での電子データの送受信を媒介可能な手段であればよく、有線通信手段又は無線通信手段の何れであってもよい。無線通信手段の具体例として、Wifi(登録商標)通信、NFC(Near Field Communication)、及びBluetooth(登録商標)通信等が挙げられる。また、通信手段は、レンズ10と操作端末20とを直接的に接続するものであってもよく、間接的に接続するものであってもよい。レンズ10と操作端末20との間に介在し得るネットワークとしては、例えば、LAN(Local Area Network)、及びカメラのマウント通信が挙げられる。カメラのマウント通信を用いる一実施形態においては、例えば、カメラのマウントにレンズ10が装着されると共に、カメラに操作端末20が通信可能に接続されることによって、マウント通信が実現される。
【0015】
操作端末20は、レンズシステム100への指示としてユーザが操作を入力すると共に、レンズ光学系の状態をユーザに対して表示するための構成である。本実施形態において、操作端末20として、スマートフォンが用いられる。図1に示すように、操作端末20は、レンズ10から分離されており、タッチディスプレイ21と、メモリ22と、プロセッサ23と、通信インターフェース24と、を含んでいる。
【0016】
タッチディスプレイ21は、ユーザがタッチ操作を入力すると共に、レンズ光学系30の状態をユーザに対して表示するための構成である。本実施形態において、タッチディスプレイ21は、ユーザが入力するタッチ操作を検出するタッチセンサと、レンズ光学系30の状態をユーザに対して表示するディスプレイとが一体的に組み合わされた電子部品である。タッチセンサにおける変換の方式は、抵抗膜方式や静電容量方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、画像認識方式及び光センサ方式等の公知の方式を適宜に採用することができる。ディスプレイとしては、液晶ディスプレイ及び有機エレクトロルミネセンス(EL)ディスプレイ等の公知のディスプレイを用いることができる。
【0017】
本明細書において、「タッチ操作」とは、タッチディスプレイ21へのタッチを伴う操作を指す。また、指等でタッチディスプレイ21へ接触することを単に「タッチ」と記載する。また、「スクロール操作」とは、タッチ操作の1種であり、タッチディスプレイ21をタッチし、次いでタッチしている状態のままタッチディスプレイ21上で指等を滑らせる、一連の操作を指す。スクロール操作には、ドラッグアンドドロップ操作、フリック操作及びスワイプ操作が含まれる。
【0018】
タッチディスプレイ21は、表示領域を有している。表示領域は、タッチディスプレイ21のディスプレイのうち少なくとも一部であり、仮想画面のうち一部を物理画面領域として表示するための領域である。本明細書において、「仮想画面」とは、プロセッサ23が電子計算によって仮想空間上に生成するグラフィックを指す。また、「物理画面領域」とは、仮想画面のうちタッチディスプレイ21の表示領域に表示される部分を指す。表示領域及び仮想画面の構成は、参照する図面を代えて後述する。
【0019】
メモリ22は、リミット情報及びマーカ情報を記憶するための構成である。本実施形態において、メモリ22は、一次メモリ及び二次メモリを含んでいる。一次メモリは、リミット情報及びマーカ情報を揮発的に記憶する機能を有する。二次メモリは、制御処理プログラムP20を不揮発的に記憶する機能を有する。本実施形態において、一次メモリとして、DRAM(Dynamic Random Access Memory)が用いられ、二次メモリとして、フラッシュメモリが用いられる。なお、一次メモリに記憶されたリミット情報及びマーカ情報は、メモリ22が電源オフであっても保持されるように、電源オフ時にはEEPROM(登録商標、Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の不揮発性メモリに保存され、電源オン時にはEEPROMから一次メモリへ復元されてもよい。
【0020】
なお、制御処理プログラムP20は、メモリ22に含まれる二次メモリにではなく、遠隔のサーバ上に記憶されていてもよい。このような場合、制御処理プログラムP20は、サーバから、有線又は無線の任意の伝送媒体を介して、メモリ22に供給されてもよい。
【0021】
プロセッサ23は、操作端末20全体の動作を制御するための構成である。プロセッサ23は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は、それらの組み合わせである。プロセッサ23は、操作端末20のメモリ22に記憶された制御処理プログラムP20を展開及び実行することによって、操作端末20の制御処理S20を主に実行する。プロセッサ23が実行する制御処理S20は、参照する図面を代えて後述する。
【0022】
通信インターフェース24は、各種データの、操作端末20からの送信、及び操作端末20による受信を制御するための構成である。本実施形態において、通信インターフェース24として、USBインターフェースが用いられる。
【0023】
なお、操作端末20は、スマートフォンに限定されず、タッチディスプレイ21を有する端末であればよい。スマートフォン以外の操作端末20の例としては、タブレット型PC(Personal Computer)、タッチディスプレイ付きジンバル、タッチディスプレイ付きラップトップ、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートウォッチ、及びタッチパネル型のデジタルサイネージ等が挙げられる。
【0024】
レンズ10は、カメラが備えるイメージセンサ上に被写体を結像させるための構成である。本実施形態において、レンズ10として、カメラに対して着脱可能に装着されるズームレンズが用いられる。図1に示すように、レンズ10は、プロセッサ11と、通信インターフェース12と、レンズ光学系30とを含んでいる。
【0025】
プロセッサ11は、レンズ10全体の動作を制御するための構成である。プロセッサ11は、レンズ10のメモリに記憶された制御処理プログラムP10を展開及び実行すると共に操作端末20のプロセッサ23から命令信号を受信することによって、レンズ10の制御処理S10を主に実行する。本実施形態において、プロセッサ11としては、CPUが用いられる。プロセッサ11が実行する制御処理S10は、参照する図面を代えて後述する。
【0026】
通信インターフェース12は、各種データの、レンズ10からの送信、及びレンズ10による受信を制御するための構成である。本実施形態において、通信インターフェース12は、USBインターフェースが用いられる。
【0027】
レンズ光学系30は、被写体を通る光軸OA上に配置された光学要素群である。図1に示すように、レンズ光学系30は、フォーカス群31と、ズーム群32と、絞り33と、を光学要素として有する。なお、レンズ光学系30において、フォーカス群31、ズーム群32、及び絞り33の相対的な位置関係は、図1に示される位置関係には限定されず、適宜に変形可能である。
【0028】
フォーカス群31は、レンズ10に含まれるレンズ光学系30全体のピント位置を変化させるための光学要素である。フォーカス群31は、ピント位置を変化させるためにフォーカス位置を変化させる。ここで、フォーカス位置とは、レンズ光学系30内部におけるフォーカス群31に含まれる少なくとも1枚の単レンズの位置を意味し、光軸OA上で焦点が合う位置であるピント位置とは区別される。以下、本明細書において、「レンズ10に含まれるレンズ光学系30全体のフォーカス位置」を「レンズ光学系30のフォーカス」、又は、単に「フォーカス」と記載することがある。本実施形態においては、フォーカス群31が有する単レンズが光軸OAに沿って駆動されることによって、フォーカスが制御される。
【0029】
ズーム群32は、レンズ10に含まれるレンズ光学系30全体の画角(すなわち、ズーム倍率)を変化させるための光学要素である。以下、本明細書において、「レンズ10に含まれるレンズ光学系30全体の画角」を「レンズ光学系30のズーム」、又は、単に「ズーム」と記載することがある。本実施形態においては、ズーム群32が有する単レンズが光軸OAに沿って駆動されることによって、ズームが制御される。
【0030】
絞り33は、レンズ10に含まれるレンズ光学系30全体の光束径を規定し、それによって、レンズ光学系30全体の絞り値を変化させるための光学要素である。以下、本明細書において、「レンズ10に含まれるレンズ光学系30全体の絞り値」を「レンズ光学系30の絞り」、又は、単に「絞り」と記載することがある。本実施形態において、絞り33が有する絞り羽根が光軸OAに直交する方向に開閉されることによって、絞りが制御される。
【0031】
本明細書において、「レンズ光学系30を制御する」とは、レンズ光学系30の状態のうち、任意の1つ以上を変化又は維持させることを含む。レンズ光学系30の状態の例には、フォーカス、ズーム及び絞りが含まれる。
【0032】
なお、レンズ光学系30は、上述したフォーカス群31、ズーム群32及び絞り33の全てを含む構成に限定されない。本発明において、レンズ光学系30は、1つ以上の光学要素を有していればよい。フォーカス群31、ズーム群32及び絞り33以外の光学要素の例には、可変ND(Neutral Density)フィルタが含まれる。可変NDフィルタは、減光量を変化させるための光学要素である。
【0033】
また、本発明において、フォーカス群31、ズーム群32及び絞り33それぞれもまた、上述した構成に限定されない。フォーカス群31、ズーム群32及び絞り33それぞれは、レンズ光学系30のフォーカス、ズーム及び絞りそれぞれを変化させることができる構成を有していればよい。例えば、ズーム群32は、単レンズを駆動させることによってズーム倍率を変化させる光学ズームの構成に限定されず、デジタルズームの構成であってもよい。
【0034】
なお、本発明において、レンズ10は、上述した構成を有するズームレンズに限定されない。レンズ10は、フォーカス、ズーム及び絞りのうち少なくとも1つが制御されるように構成されていればよい。また、本発明において、レンズ10は、カメラに対して着脱可能に装着されてもよいし、カメラに対して一体的に装着されており、当該カメラから脱離不可能であってもよい。カメラに対して着脱可能に装着されるレンズ10の例としては、ズームレンズ、及び単焦点レンズが挙げられる。レンズ10がカメラに対して一体的に装着されているカメラの例としては、スマートフォン又はタブレット型PCに内蔵されたカメラ、コンパクトデジタルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ、遠赤外線カメラ、及び顕微鏡用カメラ等が挙げられる。
【0035】
(レンズシステムの制御処理)
レンズシステム100の制御処理S100について、以下に説明する。制御処理S100は、仮想画面のうちタッチディスプレイ21に表示する部分を、タッチディスプレイ21に対するユーザによるスクロール操作に応じて制御すると共に、レンズ光学系30のフォーカス、ズーム、又は絞りが、仮想画面のうちタッチディスプレイ21に表示する部分に連動するように、レンズ光学系30を制御する処理である。
【0036】
本実施形態において、制御処理S100においてフォーカス、ズーム及び絞りのうち何れが制御されるかは、ユーザが予め選択し操作端末20に対して入力したモードに応じて、操作端末20のプロセッサ23が決定する。以下に説明する制御処理S100は、ユーザが予めフォーカス制御モードを選択しており、フォーカスが制御される場合の処理である。しかしながら、本実施形態において、制御処理S100は、フォーカスが制御される処理に限定されず、ユーザが予めズーム制御モード又は絞り制御モードを選択している場合には、対応するズーム又は絞りが制御される。
【0037】
また、本発明において、フォーカス、ズーム及び絞りから制御対象を選択する様式は、ユーザによるモード選択に応じる様式に限定されない。制御対象は、任意のアルゴリズムによって選択され得る。
【0038】
本実施形態において、制御処理S100は、レンズ10の制御処理S10と、操作端末20の制御処理S20とを含んでいる。操作端末20のプロセッサ23が制御処理S20を実行し、制御処理S20に連動して、レンズ10のプロセッサ11が制御処理S10を実行することによって、制御処理S100が実行される。
【0039】
(操作端末の制御処理)
操作端末20の制御処理S20について、図2を参照して説明する。図2は、図1に示す操作端末20のプロセッサ23が実行する制御処理S20の流れを示すフローチャートである。制御処理S20は、仮想画面のうちタッチディスプレイ21に表示する部分を、タッチディスプレイ21に対するユーザによるスクロール操作に応じて制御すると共に、レンズ光学系30のフォーカス、ズーム、又は絞りが、仮想画面のうちタッチディスプレイ21に表示する部分に連動するように、レンズ10のプロセッサ11に命令信号を送信する処理である。
【0040】
制御処理S20は、図2に示すように、第1待機処理S21と、スクロール移動検出処理S22と、表示領域更新処理S23と、スクロール位置送信処理S24と、第2待機処理S25とを含んでいる。本実施形態において、これらの処理は、操作端末20のプロセッサ23が処理主体となって実行される。
【0041】
(第1待機処理)
第1待機処理S21は、タッチディスプレイ21に対するユーザによるタッチを待機する処理である。タッチディスプレイ21のタッチセンサが、ユーザによるタッチを検出していない(「NO」)間は、プロセッサ23は第1待機処理S21をループする。タッチディスプレイ21のタッチセンサが、ユーザによるタッチを検出し、タッチディスプレイ21におけるタッチされた位置を基準位置として通知する信号をプロセッサ23に送信する(「YES」)と、プロセッサ23は続くスクロール移動検出処理S22を開始する。
【0042】
(スクロール移動検出処理)
スクロール移動検出処理S22は、タッチディスプレイ21に対するユーザによるスクロール操作の長さ及び方向を検出する処理である。スクロール移動検出処理S22において、タッチディスプレイ21のタッチセンサは、タッチディスプレイ21における現在タッチされている位置を現在位置として通知する信号をプロセッサ23に送信する。次いで、プロセッサ23は、所定の方向に沿った、第1待機処理S21において受信した基準位置から現在位置への長さ及び方向それぞれをスクロール移動の長さ及び方向として検出する。例えば、スクロール操作において、ユーザが、タッチディスプレイ21を初めにタッチした位置(基準位置)から、タッチディスプレイ21上で指等を直線的により長く滑らせる程、プロセッサ23はより大きな長さを検出する。
【0043】
(表示領域更新処理)
表示領域更新処理S23は、表示領域に表示されるグラフィックユーザインターフェース(GUI)をスクロール移動に応じて更新する処理である。例えば、プロセッサ23は、第1待機処理S21において物理画面領域として表示されていた領域を基準領域として、基準領域およびスクロール移動に応じて、仮想画面のうち物理画面領域として表示する領域を決定する。次いで、プロセッサ23は、決定された領域を、物理画面領域として表示領域に表示する。この一連の処理によって、プロセッサ23は、表示領域更新処理S23を実現する。
【0044】
本実施形態において、プロセッサ23は、第1待機処理S21において基準位置に物理画面領域として表示されていたGUIが、ユーザによるタッチ位置(現在位置)に追従するように、表示領域を更新する。また、プロセッサ23は、表示領域が、仮想画面の内部から、端部を越えて、外部を表示することができないように、表示領域を更新する。例えば、スクロール移動の長さが所定の値よりも大きい場合、プロセッサ23は、表示領域の端部が、仮想画面の端部に重なるように、表示領域を更新する。
【0045】
(スクロール位置送信処理)
スクロール位置送信処理S24は、レンズ10のプロセッサ11へ、命令信号としてスクロール位置を表す情報を送信する処理である。プロセッサ23は、スクロール位置として、仮想画面における物理画面領域の座標を算出する。次いで、プロセッサ23は、スクロール位置を表す情報を、レンズ10の通信インターフェース12及び操作端末20の通信インターフェース24を介して、レンズ10のプロセッサ11へ命令信号として送信する。
【0046】
(第2待機処理)
第2待機処理S25は、ユーザがタッチディスプレイ21にタッチしていた指等をタッチディスプレイ21から離す操作(デタッチ操作)を待機する処理である。タッチディスプレイ21のタッチセンサが、ユーザによるデタッチを検出していない(「NO」)間は、プロセッサ23は、スクロール移動検出処理S22、表示領域更新処理S23、スクロール位置送信処理S24及び第2待機処理S25をループする。したがって、ユーザがデタッチ操作をせずにスクロール操作を継続している間、プロセッサ23は、スクロール移動検出処理S22、表示領域更新処理S23及びスクロール位置送信処理S24を連続的に実行する。タッチディスプレイ21のタッチセンサが、ユーザによるデタッチを検出し、デタッチを通知する信号をプロセッサ23に送信する(「YES」)と、プロセッサ23は、制御処理S20を第1待機処理S21へ戻す。
【0047】
(レンズの制御処理)
レンズ10の制御処理S10について、図3を参照して説明する。図3は、図1に示すレンズ10のプロセッサ11が実行する制御処理S10の流れを示すフローチャートである。制御処理S10は、レンズ光学系30のフォーカス、ズーム、又は絞りが、仮想画面のうちタッチディスプレイ21に表示する部分に連動するように、レンズ光学系30を制御する処理である。
【0048】
制御処理S10は、図3に示すように、命令待機処理S11と、フォーカス位置算出処理S12と、フォーカス群駆動処理S13とを含んでいる。本実施形態において、これらの処理は、レンズ10のプロセッサ11が処理主体となって実行される。
【0049】
(命令待機処理)
命令待機処理S11は、操作端末20のプロセッサ23からの命令信号として、スクロール位置を表す情報を待機する処理である。レンズ10のプロセッサ11は、命令信号を受信していない(「NO」)間、命令待機処理S11をループする。プロセッサ11は、命令信号を受信する(「YES」)と、続くフォーカス位置算出処理S12を開始する。
【0050】
(フォーカス位置算出処理)
フォーカス位置算出処理S12は、続くフォーカス群駆動処理S13においてフォーカス群を移動させる目標として、フォーカス位置を、スクロール位置を表す情報を参照して算出する処理である。本実施形態において、スクロール位置とフォーカス位置との対応関係は、レンズ10のメモリに記憶された制御処理プログラムP10によって規定されている。プロセッサ11は、スクロール位置を表す情報を参照して、制御処理プログラムP10に基づいて、フォーカス位置を算出する。
【0051】
なお、本実施形態において、スクロール位置とフォーカス位置とは互いにリニアな相関関係を有し、したがって、スクロール位置の変化量とフォーカス位置の変化量とは正比例する。しかしながら、本発明において、スクロール位置とフォーカス位置との対応関係は、このような相関関係に限定されず、ユーザによる操作によって、適宜に変更可能であってもよい。例えば、スクロール位置とフォーカス位置との対応関係は、スクロール位置の変化量とピント位置の変化量とが正比例になる関係であってもよい。
【0052】
(フォーカス群駆動処理)
フォーカス群駆動処理S13は、フォーカス群31を駆動させる処理である。プロセッサ11は、フォーカス群31が有する単レンズに関連付けられたモータに命令信号を送信し、モータを駆動させ、これによって単レンズを駆動させる。これによって、フォーカス位置算出処理S12において算出されたフォーカス位置が、フォーカス群31において達成される。
【0053】
単レンズの駆動が完了すると、プロセッサ11は、制御処理S10を命令待機処理S11へ戻す。
【0054】
(操作端末及び仮想画面の構成)
レンズシステム100における仮想画面について、図4を参照して説明する。図4は、図1に示すレンズシステム100における操作端末20及び仮想画面V1の構成を示す模式図である。図4において、下側から上側へ向かう鉛直方向を第1の方向、左側から右側へ向かう水平方向を第2の方向とする。
【0055】
図4に示すように、操作端末20のタッチディスプレイ21は、タッチディスプレイ21のディスプレイ全体に広がる表示領域R1を有している。表示領域R1には、仮想画面V1のうち一部が物理画面領域として表示される。表示領域R1の形状は、第1の方向に平行な第1の辺ER1と、第2の方向に平行な第2の辺ER2とを含む長方形である。
【0056】
本実施形態において、仮想画面V1の形状は、第1の方向と平行な第1の辺EV1と、第2の方向と平行な第2の辺EV2とを含む長方形である。第1の辺EV1は、表示領域R1の第1の辺ER1よりも長く、第2の辺EV2は、表示領域R1の第2の辺ER2と同一の長さである。
【0057】
なお、本発明において、仮想画面V1の構成は、第2の辺EV2が表示領域R1の第2の辺ER2と同一の長さである本実施形態の構成に限定されない。仮想画面V1の第2の辺EV2は、例えば、表示領域R1の第2の辺ER2よりも短くてもよく、長くてもよい。
【0058】
本実施形態において、ユーザは、スクロール操作として、仮想画面V1を第1の方向と平行な方向に移動させるための操作をタッチディスプレイ21に入力することによって、レンズシステム100を制御することができる。ここで、スクロール操作は、第1の方向と平行でなくともよく、スクロール移動の方向が第1の方向に平行な成分を少なくとも部分的に含んでいればよい。
【0059】
(スクロール操作と仮想画面との関係)
レンズシステム100におけるスクロール操作について、図5を参照して説明する。図5は、図1に示すレンズシステム100における、スクロール操作に応じた、フォーカス群31の制御と、操作端末20及び仮想画面V1の構成との関係を示す模式図である。
【0060】
図5において、Xは、フォーカス位置を示す模式図であり、フォーカス群31が上側に位置する程、フォーカス位置が近接端(MOD)に近いことを示し、フォーカス群31が下側に位置する程、フォーカス位置が無限遠端(INF)に近いことを示す。なお、本発明において、近接端(MOD)と無限遠端(INF)との位置関係は、Xに示す関係に限定されず、適宜に変更してもよい。
【0061】
図5において、Yは、タッチディスプレイ21におけるユーザのタッチ位置HB1と仮想画面V1との関係を示す模式図である。指針G1は、表示領域R1の固定された位置にプロセッサ23によって表示されるGUIであり、仮想画面における物理画面領域の座標をユーザに対して通知する。指針G1は、仮想画面V1のうち何れの部分が物理画面領域として表示領域R1に表示されているかとは独立して、表示領域R1の固定された位置に表示される。
【0062】
指針スクロール領域VS1は、仮想画面V1のうち指針G1と重なり得る領域を、第2の方向に沿って仮想画面V1内で拡張してなる領域であって、仮想画面V1の一部である。表示領域R1は、仮想画面V1の外部を表示しないように、プロセッサ23によって制御される。そのため、指針スクロール領域VS1は、仮想画面V1のうち一部に限定されている。
【0063】
図5左図及び中央図に示すように、タッチ位置HB1が下方向に移動すると、タッチ位置HB1に表示されていたGUIがタッチ位置HB1に追従して移動するように、プロセッサ23が表示領域R1を更新する。したがって、図5において、仮想画面V1を基準とすると、表示領域R1に物理画面領域として表示される部分は上側に移動する。プロセッサ11は、表示領域R1の制御に連動して、フォーカス位置が近接端(MOD)に近づくように、レンズ光学系30を制御する。ここで、タッチ位置HBへのGUIの追従は、仮想画面V1の第1の辺EV1に平行な方向に沿っていればよい。
【0064】
図5中央図及び右図に示すように、表示領域R1が仮想画面V1の内部から外部へ越えないように、表示領域R1は制御される。また、指針スクロール領域VS1の上端部はフォーカス位置の近接端に対応し、指針スクロール領域VS1の下端部はフォーカス位置の無限遠端に対応している。したがって、スクロール移動の長さが所定の値よりも大きいスクロール操作がユーザによって入力された場合でも、表示領域R1の制御とレンズ光学系30の制御との連動が維持される。
【0065】
(レンズシステムの付加的な制御処理)
本実施形態において、レンズシステム100の制御処理S100は、感度調整処理S30と、表示制限処理S40と、マーカ処理S50とをさらに含んでいる。感度調整処理S30、表示制限処理S40及びマーカ処理S50それぞれは、制御処理S10及び制御処理S20とは独立した処理として、ユーザによる操作に応じて、プロセッサ11及びプロセッサ23によって実行される。ここで、ユーザによる操作は、スクロール操作に限定されない。ユーザによる操作の例には、タッチディスプレイ21に表示されるスライダ及びボタン等のGUIに対するタッチ操作、並びに操作端末20が備える物理スイッチに対する操作が含まれる。
【0066】
(感度調整処理)
感度調整処理S30は、ユーザによる操作に応じて、仮想画面V1の第1の辺EV1の長さを設定する処理である。感度調整処理S30について、図6を参照して説明する。図6は、図1に示すレンズシステム100が実行する感度調整処理S30における、仮想画面V1の構成を示す模式図である。
【0067】
感度調整処理S30において、操作端末20のプロセッサ23は、ユーザによる操作に応じて、仮想画面V1の第1の辺EV1の長さを設定する。例えば、図6に示すように、プロセッサ23は、ユーザによる操作に応じて、第1の辺EV1の長さを長さLV1から長さLV2へと変化させる。これによって、第1の方向に沿った指針スクロール領域VS1の長さもまた、第1の辺EV1の長さに連動して、変化する。ここで、指針スクロール領域VS1の上端部及び下端部それぞれは、レンズ光学系30に含まれる光学要素の可動範囲の一端及び別の一端と対応するよう、制御処理プログラムP10によって規定されている。したがって、第1の辺EV1の長さを変化させることによって、制御処理S10及び制御処理S20における操作感度の調整が実現される。
【0068】
例えば、図6において、制御処理S10においてレンズ光学系30に含まれる光学要素を可動範囲の一端から別の一端まで駆動させるために、ユーザは、少なくとも、第1の方向に沿った指針スクロール領域VS1の長さのスクロール操作を入力する。したがって、感度調整処理S30によって長さLV2を大きくする程、光学要素を一定に駆動させるために要求されるスクロール操作の長さは長くなり、したがって操作感度は低い。対して、感度調整処理S30によって長さLV2を小さくする程、操作感度は高い。操作感度が低いほど、ユーザはレンズシステム100を繊細に操作することができ、操作感度が高いほど、ユーザはレンズシステム100をダイナミックに操作することができる。
【0069】
(表示制限処理)
表示制限処理S40は、仮想画面V1のうちタッチディスプレイ21に表示可能な部分を、ユーザにより設定された制限端を表す情報に基づいて仮想画面V1の一部に制限する処理である。表示制限処理S40について、図7を参照して説明する。図7は、図1に示すレンズシステム100が実行する表示制限処理S40における、仮想画面V1の構成を示す模式図である。
【0070】
表示制限処理S40において、操作端末20のプロセッサ23は、図7に示すように、ユーザによる操作に応じて、第1の制限端L1及び第2の制限端L2を仮想画面V1に設定する。さらに、プロセッサ23は、第1の制限端L1及び第2の制限端L2それぞれの位置を表す情報を、リミット情報としてメモリ22に書き込む。
【0071】
さらに、表示制限処理S40は、部分的に、上述した操作端末20の制御処理S20と並行して、プロセッサ23によって実行される。例えば、プロセッサ23は、リミット情報を表示制限処理S40において参照しながら、指針G1が第1の制限端L1と第2の制限端L2との間に制限されるように、表示領域更新処理S23において表示領域R1を制御する。換言すれば、表示制限処理S40によって、仮想画面V1のうちタッチディスプレイ21に表示可能な部分が、仮想画面V1の一部に制限される。
【0072】
ここで、指針スクロール領域VS1の上端部及び下端部それぞれは、レンズ光学系30に含まれる光学要素の可動範囲の一端及び別の一端と対応するよう、制御処理プログラムP10によって規定されている。そのため、制御処理S20におけるタッチディスプレイ21に表示可能な部分を仮想画面V1の一部に制限することによって、制御処理S10における光学要素の可動範囲が第1の制限端L1と第2の制限端L2との間に対応する範囲に制限される。
【0073】
(マーカ処理)
マーカ処理S50は、仮想画面V1のうち一部を表す情報を、ユーザによる操作に応じて、マーカ情報としてメモリ22に書き込むか、又は、ユーザによる操作に応じて、書き込まれたマーカ情報を参照してレンズ光学系30を制御する処理である。マーカ処理S50は、マーカ書込み処理S51と、マーカ読出し処理S52と、マーカ停止処理S53とを含んでいる。マーカ書込み処理S51、マーカ読出し処理S52、及びマーカ停止処理S53それぞれは、互いに独立した処理として、ユーザによる操作に応じて、プロセッサ11及びプロセッサ23によって実行される。
【0074】
(マーカ書込み処理)
マーカ書込み処理S51は、仮想画面V1のうちタッチディスプレイ21に現在表示されている部分を表す情報を、ユーザによる操作に応じて、マーカ情報としてメモリ22に書き込むと共に、マーカ情報に基づいて仮想画面V1中にマーカを生成する処理である。マーカ書込み処理S51について、図8を参照して説明する。図8は、図1に示すレンズシステム100が実行するマーカ書込み処理S51における、仮想画面V1の構成を示す模式図である。
【0075】
本実施形態においては、仮想画面V1のうちタッチディスプレイ21に現在表示されている部分は、指針G1を基準に表される。マーカ書込み処理S51において、操作端末20のプロセッサ23は、ユーザによる操作に応じて、仮想画面V1のうち指針G1と重なって現在表示されている位置を表す情報を、マーカ情報IMCとしてメモリ22に書き込む。プロセッサ23は、書込みと共に、図8に示すように、マーカ情報IMCに関連付けられたマーカGMCを、仮想画面V1のうち指針G1に重なっている位置に生成する。マーカGMCは、仮想画面V1における「C」マーカが設けられた位置をユーザに対して通知するGUIである。
【0076】
図8左図において、2つのマーカGMA及びGMBはそれぞれ、メモリ22に記憶されているマーカ情報IMA及びIMBに関連付けられ、仮想画面V1における「A」マーカ及び「B」マーカが生成された位置をユーザに対して通知するGUIである。仮想画面V1のうち物理画面領域内に位置しているマーカGMAは、表示領域R1内にGUIとして表示されている。対して、仮想画面V1のうち物理画面領域外に位置しているマーカGMBは、表示領域R1内には表示されていない。
【0077】
(マーカ書込み処理の変形例)
なお、本実施形態において、マーカ書込み処理S51は、仮想画面V1のうち指針G1と重なって現在表示されている位置を表す情報を、マーカ情報として書き込むことによって、実行される。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されない。プロセッサ23は、ユーザの操作に応じて、適宜に情報を参照して、マーカ情報を書き込んでもよい。例えば、プロセッサ23は、ユーザがタッチディスプレイ21をタッチした位置を表す情報を参照して、マーカ情報を参照してもよい。
【0078】
(マーカ読出し処理)
マーカ読出し処理S52は、仮想画面V1のうちタッチディスプレイ21に表示する部分を、マーカ情報に基づいて復元すると共に、レンズ光学系30を制御する処理である。マーカ読出し処理S52について、図9を参照して説明する。図9は、図1に示すレンズシステム100が実行するマーカ読出し処理S52における、仮想画面V1の構成を示す模式図である。
【0079】
マーカ読出し処理S52において、操作端末20のプロセッサ23は、ユーザによる操作に応じて、メモリ22に記憶されたマーカ情報を読み出す。図9においては、プロセッサ23は、メモリ22に記憶されたマーカ情報IMA、IMB及びIMCのうち、ユーザによる操作に基づいて、マーカ情報IMAを読み出すものとする。次いで、プロセッサ23は、図9に示すように、マーカ情報IMAに関連付けられたマーカGMAと指針G1とが重なるように、表示領域R1を制御する。これによって、マーカ情報IMAがメモリ22に書き込まれたときに、仮想画面V1のうち表示領域R1に物理画面領域として表示されていた部分が、再び表示領域R1に表示される。換言すれば、表示領域R1が復元される。
【0080】
さらに、プロセッサ23は、レンズ10のプロセッサ11へ、命令信号としてスクロール位置を表す情報を送信する。プロセッサ11は、命令信号を受信すると、命令信号に応じて、レンズ光学系30を制御する。プロセッサ11による命令信号受信及びレンズ光学系30の制御は、上述したレンズ10の制御処理S10と同様に実行される。
【0081】
(マーカ停止処理)
マーカ停止処理S53は、仮想画面V1のうちタッチディスプレイ21に表示可能な部分を、マーカ情報と、基準位置又はタッチした時点で表示されている部分を表す情報とに基づいて、仮想画面V1の一部に制限する処理である。マーカ停止処理S53について、図10を参照して説明する。図10は、図1に示すレンズシステム100が実行するマーカ停止処理S53における、仮想画面V1の構成を示す模式図である。
【0082】
マーカ停止処理S53は、少なくとも部分的に、上述した操作端末20の制御処理S20と並行して、プロセッサ23によって実行される。例えば、プロセッサ23は、メモリ22に記憶されたマーカ情報をマーカ停止処理S53において参照しながら、指針G1が仮想画面V1の一部に制限されるように、表示領域更新処理S23において表示領域R1を制御する。換言すれば、マーカ停止処理S53によって、仮想画面V1のうちタッチディスプレイ21に表示可能な部分が、仮想画面V1の一部に制限される。
【0083】
ここで、プロセッサ23は、マーカ停止処理S53において、マーカ情報に加えて、第1待機処理S21においてユーザがタッチした位置(基準位置)を表す情報又はタッチした時点でタッチディスプレイに表示されている部分(スクロール位置)を表す情報をさらに参照して、指針G1が制限される仮想画面V1の一部を決定する。
【0084】
プロセッサ23が基準位置を表す情報を参照する場合について、説明する。例えば、図10左図に示すように、基準位置が2つのマーカGMB及びGMCの間であるときには、プロセッサ23は、指針G1が制限される仮想画面V1の一部を、2つのマーカGMB及びGMCの間であると決定する。また、図10中央図に示すように、基準位置がマーカGMC上であるときには、プロセッサ23は、指針G1が制限される仮想画面V1の一部を、マーカGMCを挟むように位置する2つのマーカGMA及びGMBの間であると決定する。また、図10右図に示すように、基準位置が、1つ以上のマーカのうち仮想画面の端部に最も近いマーカGMAと当該端部との間である時には、プロセッサ23は、指針G1が制限される仮想画面V1の一部を、当該端部とマーカGMAとの間であると決定する。
【0085】
プロセッサ23が、スクロール位置を表す情報を参照する場合について、説明する。例えば、タッチした時点でのスクロール位置が2つのマーカGMB及びGMCの間である場合、プロセッサ23は、基準位置を参照する場合と同様に、指針G1が制限される仮想画面V1の一部を、2つのマーカGMB及びGMCの間であると決定する。他の場合に関しても、プロセッサ23は、基準位置を参照する場合と同様に、マーカ停止処理S53を実行する。
【0086】
(マーカ停止処理の変形例)
本発明の一実施形態におけるマーカ停止処理S53は、上述の処理に限定されない。変形例として、マーカ停止処理S53は、仮想画面V1のうちタッチディスプレイ21に表示可能な部分を、マーカ情報と基準位置を表す情報とに基づいて仮想画面V1の一部に一時的に制限する処理であってもよい。マーカ停止処理S53の変形例について、図11を参照して説明する。図11は、図1に示すレンズシステム100が実行するマーカ停止処理S53の変形例における、仮想画面V1の構成を示す模式図である。
【0087】
図11X及びYに示すように、タッチ位置HB1が上方向に移動すると、タッチ位置HB1に表示されるGUIがタッチ位置HB1に追従して移動するように、プロセッサ23が表示領域R1を制御する。図11Y及びZに示すように、指針G1がマーカGMCに重なる位置までタッチ位置HB1が移動すると、プロセッサ23は、タッチ位置HB1へのGUIの追従を一時停止する。これによって、タッチ位置HB1が上方向へ移動しても、GUIが変化しなくなる。タッチ位置HB1が上方向にさらに移動し、スクロール移動の長さが所定の値を超えると、図11Z及びWに示すように、プロセッサ23は、タッチ位置HB1へのGUIの追従を再開する。
【0088】
(実施形態1の作用効果)
本実施形態において、レンズ光学系30のフォーカス群31、ズーム群32、又は絞り33が、仮想画面V1のうちタッチディスプレイ21の表示領域R1に表示される部分(物理画面領域)に連動するように、レンズ光学系30が制御される。また、本実施形態において、ユーザは、タッチディスプレイ21に対するスクロール操作によって、レンズ光学系30を操作することができる。したがって、レンズシステム100の操作は簡便である。さらに、直線的な動作であるスクロール操作によってレンズ光学系30が操作されるため、スクロール操作とレンズ光学系30の制御との間に高いリニアリティが実現される。また、ユーザによる操作をレンズ光学系30まで伝達する経路にベルト、ギア及びリングセンサ等の機材を含めなくともよいため、ギア駆動までの制御遅延、ギアのバックラッシによる遅延、及びリングセンサによる操作検出までの遅延が無い、又は減じられる。また、レンズシステム100は、構成が簡素であり、軽量であり、設置が容易である。したがって、レンズシステム100は、低遅延である。さらに、ユーザは、表示領域R1を目視することによってレンズ光学系30の状態を把握しながらレンズ光学系30を操作することができる。したがって、レンズシステム100は、正確にレンズ光学系30を制御することが可能である。
【0089】
また、本実施形態において、表示領域R1及び仮想画面V1は長方形である。また、第1の方向に沿った仮想画面V1の第1の辺EV1は、第1の方向に沿った表示領域R1の第1の辺ER1よりも長く、スクロール操作は、仮想画面V1を第1の方向と平行な方向に移動させるための操作である。したがって、ユーザが入力するスクロール操作の方向に沿うように、仮想画面V1のうち表示領域R1に表示する部分を制御することができるため、ユーザは、表示領域R1から、レンズ光学系30の状態をより直感的に把握することができる。
【0090】
また、本実施形態において、仮想画面の第1の辺の長さは、ユーザによる操作に応じて、設定される。仮想画面V1の一部である指針スクロール領域VS1の端部それぞれは、レンズ光学系30の光学要素の可動範囲に対応しているため、ユーザは、第1の辺の長さを変化させることによって、操作感度を変更することができる。また、ユーザは、ギア等の機材の付替えを伴わずに、操作感度を変更することができるため、操作が簡便である。
【0091】
また、本実施形態において、仮想画面V1のうち表示領域R1に表示可能な部分は、ユーザにより設定された制限端の位置を表す情報(リミット情報)に基づいて、仮想画面V1の一部に制限される。また、レンズ光学系30は、仮想画面V1のうち表示領域R1に表示される部分に連動するように制御されるため、表示可能な部分を制限することによって、レンズ光学系30の光学要素の可動範囲を制限することができる。したがって、ユーザは、より正確にレンズ光学系30を制御することができる。また、マニュアル操作に起因する誤操作が減じられる。
【0092】
また、本実施形態において、プロセッサ23は、仮想画面V1のうち表示領域R1に現在表示されている部分を表す情報を、ユーザによる操作に応じて、マーカ情報としてメモリに書き込むと共に、マーカ情報に基づいて仮想画面V1中にマーカを生成する。したがって、ユーザは、マーカ情報に関連付けられて表示領域R1に表示されるマーカを目印として把握することによって、より正確にレンズ光学系30を操作することができる。
【0093】
また、本実施形態において、仮想画面V1のうち表示領域R1に表示可能な部分を、マーカ情報と、基準位置を表す情報又はスクロール位置を表す情報とに基づいて仮想画面の一部に制限する。したがって、マーカが仮想画面V1における制限端としても機能するため、ユーザは、より正確にレンズ光学系30を制御することができる。また、マニュアル操作に起因する誤操作が減じられる。
【0094】
また、本実施形態において、仮想画面V1のうち表示領域R1に表示する部分を、マーカ情報に基づいて復元すると共に、レンズ光学系を制御する。したがって、ユーザは、仮想画面のうち、予め所望の状態に対応する部分を、マーカ情報としてメモリに記憶させておけば、任意の時点で、所望の状態を復元することができる。
【0095】
また、本実施形態において、レンズ光学系30の状態は、レンズ光学系のフォーカス群31、ズーム群32、又は絞り33の状態を含む。したがって、ユーザは、レンズ光学系30のフォーカス位置、ズーム倍率、又は絞り値を容易に制御することができる。
【0096】
また、本実施形態において、レンズ光学系30とタッチディスプレイ21とは分離されている。したがって、ユーザがタッチディスプレイ21に対して入力する操作に起因する振動が、レンズ光学系30に伝達されない。したがって、ユーザによる操作に起因する手振れが生じない。
【0097】
(実施形態1の変形例)
本実施形態のレンズシステム100において、プロセッサ23は、少なくとも1つ以上の仮想画面V1を生成すればよく、例えば、複数の仮想画面V1を生成してもよい。
【0098】
プロセッサ23が複数の仮想画面V1を生成する構成について、図12を参照して説明する。図12は、図1に示すレンズシステム100における操作端末20及び仮想画面V1の構成の変形例を示す模式図である。図12において、左側から右側へ向かう水平方向を第1の方向、下側から上側へ向かう鉛直方向を第2の方向とする。図12に示すように、本変形例において、3つの仮想画面V11、V12及びV13がプロセッサ23によって生成されている。仮想画面V11、V12及びV13はそれぞれ、制御処理プログラムP20によって、ズーム(Zoom)、フォーカス(Focus)及び絞り(Iris)に関連付けられている。プロセッサ23は、第1待機処理S21においてユーザが初めにタッチした位置(基準位置)が、仮想画面V11、V12及びV13の何れに含まれるかを参照して、フォーカス、ズーム及び絞りから制御対象を選択する。3つの表示領域R11、R12及びR13はそれぞれ独立して、プロセッサ23によって制御される。
【0099】
プロセッサ23が複数の仮想画面V1を生成する構成は、図12に示す変形例に限定されない。プロセッサ23が複数の仮想画面V1を生成する別の構成について、図13を参照して説明する。図13は、図1に示すレンズシステム100における操作端末20及び仮想画面V1の構成の変形例を示す模式図である。図13に示すように、本変形例において、2つの仮想画面V14及びV15がプロセッサ23によって生成されている。仮想画面V14及びV15は両方とも、制御処理プログラムP20によって、フォーカスに関連付けられているが、それぞれは異なる第1の辺の長さを有する。したがって、フォーカス制御について2種類の操作感度が実現される。2つの表示領域R14及びR15は連動して、プロセッサ23によって制御される。例えば、ユーザが表示領域R14をスクロール操作すると、プロセッサ23はスクロール操作された表示領域R14を制御すると共に、スクロール操作されていない表示領域R15を、表示領域R14に連動するように制御する。
【0100】
(GUIの実施例)
本実施形態のレンズシステム100において、タッチディスプレイ21に表示されるGUIの一実施例を、図14を参照して説明する。図14は、図1に示す操作端末20のタッチディスプレイ21に表示されるGUIの一実施例を示す図である。
【0101】
図14左図に示すように、本実施形態において、タッチディスプレイ21に表示されるGUIとして、ズームレンズが備えるフォーカスリングを模したGUIが表示される。図14右図に示されるメニュー画面には、感度調整処理S30(上部に位置するスライダ)、表示制限処理S40(下部に位置する数字「1」「2」)及びマーカ処理S50(中央部に位置するペンを模したマーク)をユーザが操作するためのGUIが表示される。
【0102】
タッチディスプレイ21に表示されるGUIの別の一実施例を、図15を参照して説明する。図1に示すレンズシステム100における仮想画面V1の構成(左図)と、操作端末20のタッチディスプレイ21に表示されるGUIの一実施例(右図)との関係を示す図である。図15に示すように、仮想画面V1のうちタッチディスプレイ21に表示される部分が変化すると、変化に連動してGUIが変化する。例えば、表示される部分が変化する(図15左図)と、フォーカスリングを模したGUIが、フォーカスリングの回転を模した様式で、変化する。
【0103】
また別の一実施例として、図16は、図13に示す変形例における、操作端末20のタッチディスプレイ21に表示されるGUIの一実施例を示す図である。
【0104】
(実施形態2)
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0105】
(レンズシステムの構成)
本発明の実施形態2に係るレンズシステム200の構成について、図17を参照して説明する。図17は、本発明の実施形態2に係るレンズシステム200の構成を示すブロック図である。レンズシステム200は、図17に示すように、操作端末40を含んでいる。
【0106】
操作端末40は、タッチディスプレイ21と、メモリ22と、プロセッサ23と、レンズ光学系50とを含んでいる。本実施形態において、操作端末40として、スマートフォンが用いられる。
【0107】
なお、本実施形態において、操作端末20は、スマートフォンに限定されず、タッチディスプレイ21及びレンズ光学系50を有する端末であればよい。スマートフォン以外の操作端末20の例としては、背面タッチディスプレイを備えたカメラ、ハンディカム、及びカメラを内蔵したスマートウォッチが挙げられる。
【0108】
レンズ光学系50は、フォーカス群31と、ズーム群32と、絞り33とを有している。フォーカス群31、ズーム群32及び絞り33それぞれは、上述した実施形態と同様に制御される。
【0109】
また、本実施形態において、プロセッサ23は、レンズ光学系50を用いて撮像された画像に対する画像処理を制御する、又は、レンズ光学系50に接続されたカメラの設定を変更することができる。例えば、レンズシステム200において、ズーム群32による光学ズームに加えて、又はこれに代えて、デジタルズームが行われてもよい。また例えば、レンズシステム200において、レンズ光学系50の光軸OA上に位置する、スマートフォンが備えるカメラのISO感度の変更が行われてもよい。換言すれば、プロセッサ23は、仮想画面V1のうちタッチディスプレイ21に表示する部分を、タッチディスプレイ21に対するユーザによるスクロール操作に応じて制御すると共に、レンズ光学系50を用いた撮像に関する設定が、仮想画面V1のうちタッチディスプレイ21に表示する部分に連動するように、設定を制御する。本実施形態において、撮像に関する設定の例としては、レンズ光学系50を用いて撮像された画像に対する画像処理に関する設定、及びレンズ光学系50と接続されたカメラに関する設定が挙げられる。
【0110】
デジタルズーム及びISO感度の設定変更は、プロセッサ23が、メモリ22に記憶された制御処理プログラムP20を展開及び実行することによって、実行される。
【0111】
なお、レンズシステム200において、プロセッサ23が制御する画像処理は、デジタルズームに限定されない。画像処理の例としては、デジタルズーム、露出補正、及びフィルタ処理が挙げられる。また、フィルタ処理の例としては、ソフトフォーカス、ノイズ追加及びぼかし処理が挙げられる。また、レンズシステム200において、プロセッサ23が制御するカメラに関する設定の例としては、ISO感度が挙げられる。
【0112】
プロセッサ23は、画像処理のパラメータを調整する。例えば、画像処理がデジタルズームである場合、プロセッサ23は、レンズ光学系50を用いて撮像された画像に対するデジタルズームの拡大率が、仮想画面V1のうちタッチディスプレイ21に表示する部分に連動するように、デジタルズームを制御する。また例えば、画像処理が露出補正である場合、プロセッサ23は、レンズ光学系50を用いて撮像された画像の露出補正の段階が、仮想画面V1のうちタッチディスプレイ21に表示する部分に連動するように、露出補正を制御する。また例えば、画像処理がフィルタ処理である場合、プロセッサ23は、レンズ光学系50を用いて撮像された画像に対するフィルタ強度が、仮想画面V1のうちタッチディスプレイ21に表示する部分に連動するように、フィルタ処理を制御する。
【0113】
制御されるカメラの設定がISO感度である場合、プロセッサ23は、例えば、カメラのISO感度が、仮想画面V1のうちタッチディスプレイ21に表示する部分に連動するように、ISO感度を制御する。
【0114】
(操作端末及び仮想画面の構成)
レンズシステム200における仮想画面について、図18を参照して説明する。図18は、図17に示すレンズシステム200における操作端末40及び仮想画面V1の構成を示す模式図である。
【0115】
図18に示すように、操作端末40のタッチディスプレイ21は、表示領域R1と表示領域R2とを有している。本実施形態において、表示領域R1は、タッチディスプレイ21のディスプレイの一部に広がっている。表示領域R2は、操作端末40のイメージセンサによって得られた被写体の像をユーザに対して表示するライブビューモニタとして機能する。
【0116】
(レンズシステムの制御処理)
レンズシステム200の制御処理S200について、図19を参照して説明する。図19は、図17に示す操作端末40のプロセッサ23が実行する制御処理S200の流れを示すフローチャートである。
【0117】
制御処理S200は、図19に示すように、第1待機処理S21と、スクロール移動検出処理S22と、表示領域更新処理S23と、フォーカス位置算出処理S12と、フォーカス群駆動処理S13と、第2待機処理S25とを含んでいる。なお、制御処理S200において、フォーカス位置算出処理S12及びフォーカス群駆動処理S13は、操作端末40のプロセッサ23によって実行される。
【0118】
(ソフトウェアによる実現例)
レンズシステム100及び200それぞれ(以下、「システム」と呼ぶ)の機能は、当該システムとしてレンズ光学系30又は50及びタッチディスプレイ21を機能させるための制御処理プログラムP10及びP20、特に制御処理プログラムP20により実現することができる。
【0119】
上記制御処理プログラムP10及びP20は、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記システムが備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記制御処理プログラムP10及びP20は、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記システムに供給されてもよい。
【0120】
(まとめ)
本発明の第1の態様におけるレンズシステム(100、200)は、レンズ光学系(30、50)と、タッチディスプレイ(21)と、仮想画面(V1)のうち前記タッチディスプレイに表示する部分を、前記タッチディスプレイに対するユーザによるスクロール操作に応じて制御すると共に、前記レンズ光学系の状態が、前記仮想画面のうち前記タッチディスプレイに表示する部分に連動するように、前記レンズ光学系を制御する少なくとも1つのプロセッサ(11、23)と、を含んでいる。第1の態様によれば、操作が簡便であり、低遅延であり、正確にレンズ光学系を制御することが可能であるレンズシステムを実現することができる。
【0121】
本発明の第2の態様におけるレンズシステム(100、200)は、第1の態様において、前記タッチディスプレイは、第1の辺(ER1)と、前記第1の辺に直交する第2の辺(ER2)とを含む長方形の表示領域(R1)を有しており、前記仮想画面は、前記表示領域の前記第1の辺と平行な第1の辺であって、前記表示領域の前記第1の辺よりも長い第1の辺(EV1)と、前記表示領域の前記第2の辺と平行な第2の辺(EV2)とを含む長方形であり、前記スクロール操作は、前記仮想画面を、前記仮想画面の前記第1の辺と平行な方向に移動させるための操作である。この構成は、操作が簡便であり、低遅延であり、正確にレンズ光学系を制御することが可能であるレンズシステムを実現するために、より一層効果的である。
【0122】
本発明の第3の態様におけるレンズシステム(100、200)は、第2の態様において、前記少なくとも1つのプロセッサは、ユーザによる操作に応じて、前記仮想画面の前記第1の辺の長さを設定する。この構成は、操作が簡便であり、低遅延であり、正確にレンズ光学系を制御することが可能であるレンズシステムを実現するために、より一層効果的である。
【0123】
本発明の第4の態様におけるレンズシステム(100、200)は、第1~第3の態様の何れか1つにおいて、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記仮想画面のうち前記タッチディスプレイに表示可能な部分を、ユーザにより設定された制限端(L1、L2)の位置を表す情報(リミット情報)に基づいて前記仮想画面の一部に制限する。この構成は、操作が簡便であり、低遅延であり、正確にレンズ光学系を制御することが可能であるレンズシステムを実現するために、より一層効果的である。
【0124】
本発明の第5の態様におけるレンズシステム(100、200)は、第1~第4の態様の何れか1つにおいて、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記仮想画面のうち前記タッチディスプレイに現在表示されている部分を表す情報を、ユーザによる操作に応じて、マーカ情報(IMA、IMB、IMC)としてメモリ(22)に書き込み、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記マーカ情報に基づいて前記仮想画面中にマーカ(GMA、GMB、GMC)を生成する。この構成は、操作が簡便であり、低遅延であり、正確にレンズ光学系を制御することが可能であるレンズシステムを実現するために、より一層効果的である。
【0125】
本発明の第6の態様におけるレンズシステム(100、200)は、第5の態様において、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記仮想画面のうち前記タッチディスプレイに表示可能な部分を、前記マーカ情報と、前記スクロール操作においてユーザが前記タッチディスプレイをタッチした位置(基準位置)を表す情報又はタッチした時点で前記タッチディスプレイに表示されている部分(スクロール位置)を表す情報とに基づいて、前記仮想画面の一部に制限する。この構成は、操作が簡便であり、低遅延であり、正確にレンズ光学系を制御することが可能であるレンズシステムを実現するために、より一層効果的である。
【0126】
本発明の第7の態様におけるレンズシステム(100、200)は、第5又は第6の態様において、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記仮想画面のうち前記タッチディスプレイに表示する部分を、前記マーカ情報に基づいて復元する。この構成は、操作が簡便であり、低遅延であり、正確にレンズ光学系を制御することが可能であるレンズシステムを実現するために、より一層効果的である。
【0127】
本発明の第8の態様におけるレンズシステム(100、200)は、第1~第7の態様において、前記レンズ光学系の前記状態は、前記レンズ光学系のフォーカス(フォーカス群31)、ズーム(ズーム群32、32A)、絞り(絞り33)、又は可変NDフィルタの状態を含む。この構成は、操作が簡便であり、低遅延であり、正確にレンズ光学系を制御することが可能であるレンズシステムを実現するために、より一層効果的である。
【0128】
従来技術には、レンズ光学系(30、50)を用いた撮像に関する、画像処理設定又はカメラ設定等の設定を制御するための操作性、遅延及び正確性に欠点がある。そのため、操作が簡便であり、低遅延であり、正確に、レンズ光学系を用いた撮像に関する設定を制御することが可能であるレンズシステムの実現が求められている。
【0129】
本発明の第9の態様におけるレンズシステム(200)は、レンズ光学系(50)と、タッチディスプレイ(21)と、仮想画面(V1)のうち前記タッチディスプレイに表示する部分を、前記タッチディスプレイに対するユーザによるスクロール操作に応じて制御する、少なくとも1つのプロセッサ(23)と、を含み、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記レンズ光学系を用いた撮像に関する設定が、前記仮想画面のうち前記タッチディスプレイに表示する部分に連動するように、前記設定を制御する。第9の態様によれば、操作が簡便であり、低遅延であり、正確にレンズ光学系を制御することが可能であるレンズシステムを実現することができる。また、第9の態様によれば、操作が簡便であり、低遅延であり、正確に、レンズ光学系を用いた撮像に関する設定を制御することが可能であるレンズシステムを実現することができる。
【0130】
本発明の第10の態様におけるレンズシステム(200)は、第9の態様において、撮像に関する前記設定は、前記レンズ光学系を用いて撮像された画像に対する画像処理に関する設定、又は前記レンズ光学系に接続されたカメラに関する設定である。この構成は、操作が簡便であり、低遅延であり、正確にレンズ光学系を制御することが可能であるレンズシステムを実現するために、より一層効果的である。また、この構成によれば、操作が簡便であり、低遅延であり、正確に、レンズ光学系を用いた撮像に関する設定を制御することが可能であるレンズシステムを実現することができる。
【0131】
本発明の第11の態様におけるプログラム(制御処理プログラムP10、P20)は、レンズ光学系と、タッチディスプレイと、を含むレンズシステムを制御するためのプログラムであって、少なくとも1つのプロセッサに、仮想画面のうち前記タッチディスプレイに表示する部分を、前記タッチディスプレイに対するユーザによるスクロール操作に応じて制御すると共に、前記レンズ光学系の状態が、前記仮想画面のうち前記タッチディスプレイに表示する部分に連動するように、前記レンズ光学系を制御する処理を実行させる。この構成は、操作が簡便であり、低遅延であり、正確にレンズ光学系を制御することが可能であるレンズシステムを実現するために、より一層効果的である。
【0132】
本発明の第12の態様におけるプログラム(制御処理プログラムP20)は、レンズ光学系と、タッチディスプレイと、を含むレンズシステムを制御するためのプログラムであって、少なくとも1つのプロセッサに、仮想画面のうち前記タッチディスプレイに表示する部分を、前記タッチディスプレイに対するユーザによるスクロール操作に応じて制御すると共に、前記レンズ光学系を用いた撮像に関する設定が、前記仮想画面のうち前記タッチディスプレイに表示する部分に連動するように、前記設定を制御する処理を実行させる。この構成は、操作が簡便であり、低遅延であり、正確にレンズ光学系を制御することが可能であるレンズシステムを実現するために、より一層効果的である。また、この構成は、操作が簡便であり、低遅延であり、正確に、レンズ光学系を用いた撮像に関する設定を制御するが可能であるレンズシステムを実現するために、より一層効果的である。
【0133】
本発明の第13の態様におけるレンズシステム(100)は、第1~第10の態様の何れか1つにおいて、前記レンズ光学系(30)と前記タッチディスプレイ(21)とは分離されている。この構成は、操作が簡便であり、低遅延であり、正確にレンズ光学系を制御することが可能であるレンズシステムを実現するために、より一層効果的である。
【0134】
(付記事項)
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0135】
10 レンズ
11、23 プロセッサ
12、24 通信インターフェース
20、40 操作端末
21 タッチディスプレイ
22 メモリ
30、50 レンズ光学系
31 フォーカス群
32 ズーム群
33 絞り
100、200 レンズシステム
ER1、EV1 第1の辺
ER2、EV2 第2の辺
IMA、IMB、IMC マーカ情報
R1、R11、R12、R13、R14、R15、R2 表示領域
V1、V11、V12、V13、V14、V15 仮想画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19