(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017545
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20230131BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20230131BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20230131BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
B41J29/38 102
B41J29/00 E
B41J29/46 Z
G06F3/12 310
G06F3/12 330
G06F3/12 303
G06F3/12 355
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021121882
(22)【出願日】2021-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】松永 将門
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061BB10
2C061CG02
2C061CG15
2C061HK11
2C061HN15
(57)【要約】
【課題】利便性を向上する。
【解決手段】プリンタ2は、電源オフ状態時にプリンタ2に関する装置設定情報20を携帯端末3から取得し、NFCタグ19に記憶させる取得部90と、電源オフ状態から電源オン状態に移行したときに、NFCタグ19が記憶する装置設定情報20に含まれる仕様版数と、プリンタ2の装置側設定仕様テーブル34に含まれる仕様版数とが対応しているかを判定する判定部91と、装置設定情報20の仕様版数と装置側設定仕様テーブル34の仕様版数とが対応している場合は装置設定情報20をプリンタ2に設定する一方、装置設定情報20の仕様版数と装置側設定仕様テーブル34の仕様版数とが対応していない場合は装置設定情報20をストレージ17に記憶させる設定部92とを設ける。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源オフ状態時に情報処理装置に関する設定情報を外部装置から取得し、第1の記憶部に記憶させる取得部と、
前記電源オフ状態から電源オン状態に移行したときに、前記第1の記憶部が記憶する前記設定情報に含まれる設定仕様情報と前記情報処理装置のファームウェア情報とが対応しているかを判定する判定部と、
前記設定仕様情報と前記ファームウェア情報とが対応している場合は前記設定情報を前記情報処理装置に設定する一方、前記設定仕様情報と前記ファームウェア情報とが対応していない場合は前記設定情報を第2の記憶部に記憶させる設定部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記第2の記憶部に前記設定情報が記憶されている場合、前記情報処理装置のファームウェアを更新する更新部
をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記電源オフ状態から前記電源オン状態に移行したときに、前記第2の記憶部が記憶する前記設定情報に含まれる前記設定仕様情報と前記ファームウェア情報とが対応しているかを判定し、
前記設定部は、
前記第2の記憶部が記憶する前記設定情報に含まれる前記設定仕様情報と前記ファームウェア情報とが対応している場合は該設定情報を前記情報処理装置に設定する一方、前記第2の記憶部が記憶する前記設定情報に含まれる前記設定仕様情報と前記ファームウェア情報とが対応していない場合は該設定情報を前記情報処理装置に設定しない
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2の記憶部に前記設定情報が記憶された場合、前記ファームウェアを更新することをユーザに提示する提示部
をさらに備える請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2の記憶部に前記設定情報が記憶された場合、エラーを提示する提示部
をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記設定部が前記設定情報を前記情報処理装置に設定し終わったか又は前記第2の記憶部に記憶させ終わった後に、前記第1の記憶部から前記設定情報を削除する削除部
をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記設定仕様情報は、前記設定情報の版数であり、
前記判定部は、
前記設定情報の版数と前記ファームウェア情報の版数とが一致しているかを判定し、
前記設定部は、
前記設定情報の版数と前記ファームウェア情報の版数とが一致している場合は該設定情報を前記情報処理装置に設定する一方、前記設定情報の版数と前記ファームウェア情報の版数とが対応していない場合は該設定情報を前記第2の記憶部に記憶させる
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記設定情報には、複数の設定項目毎に前記設定仕様情報が含まれており、
前記判定部は、
前記電源オフ状態から前記電源オン状態に移行したときに、前記設定情報に含まれる、複数の前記設定項目毎の前記設定仕様情報と、前記ファームウェア情報とが対応しているかを判定し、
前記設定部は、
前記設定項目の前記設定仕様情報と前記ファームウェア情報とが対応している場合は該設定項目の前記設定情報を前記情報処理装置に設定する一方、前記設定項目の前記設定仕様情報と前記ファームウェア情報とが対応していない場合は該設定項目の前記設定情報を第2の記憶部に記憶させる
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記設定情報には、全ての設定項目に共通の前記設定仕様情報が含まれており、
前記判定部は、
前記電源オフ状態から前記電源オン状態に移行したときに、前記設定情報に含まれる前記設定仕様情報と、前記ファームウェア情報とが対応しているかを判定し、
前記設定部は、
前記設定仕様情報と前記ファームウェア情報とが対応している場合は前記設定情報を前記情報処理装置に設定する一方、前記設定仕様情報と前記ファームウェア情報とが対応していない場合は前記設定情報を第2の記憶部に記憶させる
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1の記憶部は、NFCタグである
請求項1乃至請求項9の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項11】
コンピュータに、
電源オフ状態時に情報処理装置に関する設定情報を外部装置から取得し、第1の記憶部に記憶させる取得手段と、
前記電源オフ状態から電源オン状態に移行したときに、前記第1の記憶部が記憶する前記設定情報に含まれる設定仕様情報と前記情報処理装置のファームウェア情報とが対応しているかを判定する判定手段と、
前記設定仕様情報と前記ファームウェア情報とが対応している場合は前記設定情報を前記情報処理装置に設定する一方、前記設定仕様情報と前記ファームウェア情報とが対応していない場合は前記設定情報を第2の記憶部に記憶させる設定手段と
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置及びプログラムに関し、例えば、近距離無線通信機能を持つ携帯端末を用いて情報処理装置の電源を投入することなく設定を変更する情報処理装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外部装置からセットアップ情報をプリンタ等の情報処理装置に送信し、情報処理装置がセットアップ情報に基づいてセットアップを行い、セットアップができなかった場合は設定エラーであることをパネルに表示する情報処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような情報処理装置においては、設定エラーを防ぐことでユーザの利便性を向上させることが望まれている。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、利便性を向上し得る情報処理装置及びプログラムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明の情報処理装置においては、電源オフ状態時に情報処理装置に関する設定情報を外部装置から取得し、第1の記憶部に記憶させる取得部と、電源オフ状態から電源オン状態に移行したときに、第1の記憶部が記憶する設定情報に含まれる設定仕様情報と情報処理装置のファームウェア情報とが対応しているかを判定する判定部と、設定仕様情報とファームウェア情報とが対応している場合は設定情報を情報処理装置に設定する一方、設定仕様情報とファームウェア情報とが対応していない場合は設定情報を第2の記憶部に記憶させる設定部とを設けるようにした。
【0007】
また本発明のプログラムにおいては、コンピュータに、電源オフ状態時に情報処理装置に関する設定情報を外部装置から取得し、第1の記憶部に記憶させる取得手段と、電源オフ状態から電源オン状態に移行したときに、第1の記憶部が記憶する設定情報に含まれる設定仕様情報と情報処理装置のファームウェア情報とが対応しているかを判定する判定手段と、設定仕様情報とファームウェア情報とが対応している場合は設定情報を情報処理装置に設定する一方、設定仕様情報とファームウェア情報とが対応していない場合は設定情報を第2の記憶部に記憶させる設定手段とを実行させるようにした。
【0008】
本発明は、情報処理装置内部に予め記憶されているファームウェア情報と、外部装置から新たに取得した設定情報に含まれる設定仕様情報とが異なっている場合、設定情報を情報処理装置に適用しないようにすることで、設定仕様情報が異なることに起因する設定エラーが発生することを防止できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、利便性を向上し得る情報処理装置及びプログラムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】プリンタのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】プリンタのソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】携帯端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】携帯端末のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図7】端末側言語設定仕様テーブルの構成を示す表である。
【
図8】端末側用紙サイズ設定仕様テーブルの構成を示す表である。
【
図9】端末側用紙厚設定仕様テーブルの構成を示す表である。
【
図10】端末側IPアドレス設定仕様テーブルの構成を示す表である。
【
図11】装置側言語設定仕様テーブルの構成を示す表である。
【
図12】装置側用紙サイズ設定仕様テーブルの構成を示す表である。
【
図13】装置側用紙厚設定仕様テーブルの構成を示す表である。
【
図14】装置側IPアドレス設定仕様テーブルの構成を示す表である。
【
図15】装置設定情報書込画面の構成を示す図である。
【
図16】装置設定情報及び端末側装置設定情報の構成を示す表である。
【
図17】初回起動時装置設定値書込処理手順を示すフローチャートである。
【
図18】プリンタの機能構成を示すブロック図である。
【
図20】次回以降起動時装置設定値書込処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0012】
[1.情報処理システムの構成]
図1に示すように、情報処理システム1は、プリンタ2と携帯端末3とにより構成されている。プリンタ2と携帯端末3とは、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信であるネットワーク4により接続されており、相互にデータ通信を行う。プリンタ2はNFCユニット16を、携帯端末3はNFCユニット44をそれぞれ有している。このため、プリンタ2に携帯端末3が近付けられると、ネットワーク4を介しNFCユニット16とNFCユニット44とが通信することにより、携帯端末3からプリンタ2のNFCタグ19に装置設定情報20を書き込むことができる。さらにプリンタ2は、近距離無線通信以外の通信手段として、LAN(Local Area Network)23及びUSB(Universal Serial Bus)24により外部と通信を行う。
【0013】
[2.プリンタの構成]
[2-1.プリンタのハードウェア構成]
図2に示すように、プリンタ2は、例えば電子写真方式を用いたプリンタであり、携帯端末3から送信される印刷データを基にしてトナー等の現像剤を用いて用紙に画像を形成することにより、印刷を行う。
【0014】
このプリンタ2のハードウェアは、CPU10、ROM11、RAM12、操作パネル13、ネットワークユニット14、USBユニット15、NFCユニット16及びストレージ17により構成されている。またプリンタ2は、用紙を収納するトレイ18(
図1)を有している。CPU(Central Processing Unit)10は、不揮発性の記憶装置であるROM(Read Only Memory)11から印刷制御プログラムや通信制御プログラム等の各種プログラムを読み出して揮発性の記憶装置であるRAM(Random Access Memory)12をワークエリアとして使用することにより各種プログラムを実行し、プリンタ2を統轄制御する。
【0015】
操作パネル13は、例えばタッチパネルにより構成されており、プリンタ2の各種情報を表示すると共に、ユーザからの操作入力を取得する。ネットワークユニット14は、LAN23を介して外部装置(図示せず)から更新プログラム又は印刷データ等を受信する。USBユニット15は、USB24を介して外部装置(図示せず)から更新プログラム又は印刷データ等を受信する。
【0016】
NFCユニット16は、所定のフォーマットで装置設定情報20を書き込み可能なNFCタグ19を有している。またNFCユニット16は、プリンタ2に近付けられた携帯端末3から電磁誘導方式又は電波反射方式等の給電方法で電源と搬送波の源振が供給されることにより、プリンタ2の電源が投入されていない状態においても動作が可能である。
【0017】
ストレージ17は、不揮発性の記憶装置であり、装置設定値21及び再設定値情報22を格納する。
図4に示すように装置設定値21は、プリンタ2の各種設定情報であり、「言語」、「用紙サイズ」、「用紙厚」及び「IPアドレス」のそれぞれの設定項目に対応した行に対し、設定項目列35及び設定値列36が設けられている。設定項目列35及び設定値列36は、それぞれの行の実数値及び設定値を表している。設定項目列35は、それぞれの設定項目がどのような実数値でプリンタ2内部において取り扱われると共に携帯端末3と通信されるかを表している。設定値列36は、それぞれの設定項目がどのような設定値に設定されているかを表している。具体的に、例えば「言語」の設定項目において、設定値が「1」である場合、プリンタ2内部と、プリンタ2と携帯端末3とが通信する際に、「5000:1」という文字列が用いられる。プリンタ2は、装置設定値21に従って動作する。
【0018】
再設定値情報22は、プリンタ2に最初に電源が投入された初回起動時において、携帯端末3から指定された設定値をプリンタ2に反映させなかった設定項目の情報を保存する。詳細は後述するものの、具体的に制御部48は、装置設定情報20(
図16)における、例えば「用紙厚」の設定項目の設定値をプリンタ2に適用しない場合、設定項目列76の数値である「5002」と、仕様版数列77の数値である「1」と、設定値列78の数値である「2」とを組み合わせ、「5002:1:2」という文字列を再設定値情報22に保存する。
【0019】
[2-2.プリンタのソフトウェア構成]
図3に示すように、プリンタ2のソフトウェアは、制御部26、初期化処理部27、表示部28、装置設定管理部29、タグ情報解析部30、NFCタグ制御部31、ネットワーク通信部32及びUSB通信部33により構成されている。制御部26は、CPU10(
図2)により構成されており、初期化処理部27、表示部28、装置設定管理部29、タグ情報解析部30、NFCタグ制御部31、ネットワーク通信部32及びUSB通信部33の動作を制御する。
【0020】
初期化処理部27は、プリンタ2が起動された際に最初に呼び出され、初期化処理を行う。表示部28は、操作パネル13にプリンタ2の状態を表示する。装置設定管理部29は、ストレージ17に格納されているプリンタ2の装置設定値21を管理しており、装置設定値21(
図4)の各設定項目の設定仕様が記述された装置側設定仕様テーブル34(後述する)を有している。タグ情報解析部30は、携帯端末3からNFCタグ19に書き込まれた内容を解析する。NFCタグ制御部31は、プリンタ2の電源が投入されていない電源オフ状態においても携帯端末3から供給される電源で動作し、装置設定情報20を携帯端末3から取得し、NFCタグ19に記憶させる。
【0021】
ネットワーク通信部32は、ネットワークユニット14を制御してプリンタ2の外部と通信を行う。USB通信部33は、USBユニット15を制御してプリンタ2の外部と通信を行う。
【0022】
[3.携帯端末の構成]
[3-1.携帯端末のハードウェア構成]
図5に示すように、携帯端末3は、例えばスマートフォン等の可搬型機器、すなわちモバイル端末である。この携帯端末3のハードウェアは、CPU40、RAM41、タッチパネル42、ストレージ43及びNFCユニット44により構成されている。CPU40は、不揮発性の記憶装置であるストレージ43からOS(Operating System)、各種制御プログラムや各種アプリを読み出して揮発性の記憶装置であるRAM41をワークエリアとして使用することにより各種プログラムを実行し、携帯端末3を統轄制御する。
【0023】
タッチパネル42は、携帯端末3等の各種情報を表示すると共に、ユーザからの操作入力を取得する。ストレージ43は、不揮発性の記憶装置であり、OS、各種制御プログラム及び各種アプリと、各アプリの管理情報と、端末側装置設定情報45とを格納する。NFCユニット44は、携帯端末3が通信対象のプリンタ2に物理的に近付けられることで、NFC規格でNFCユニット16と通信を行い、プリンタ2のNFCタグ19からの情報の読み込みや、NFCタグ19への情報の書き込みを行う。
【0024】
[3-2.携帯端末のソフトウェア構成]
図6に示すように、携帯端末3のソフトウェアは、NFC通信部46及び専用アプリ47により構成されている。NFC通信部46は、ネットワーク4を介してデータの送受信を行う。専用アプリ47は、アプリケーションであり、ユーザが指定したプリンタ2の設定情報をプリンタ2のNFCタグ19へ装置設定情報20として書き込む。この専用アプリ47は、制御部48、表示部49、入力部50及び装置設定仕様管理部51により構成されている。制御部48は、CPU40により構成されており、表示部49、入力部50及び装置設定仕様管理部51の動作を制御する。表示部49は、タッチパネル42に各種アプリ画面を表示する。入力部50は、タッチパネル42からの操作入力を受け付ける。装置設定仕様管理部51は、プリンタ2の装置設定値21(
図4)に上書きされる各設定項目の装置設定仕様が記述された端末側設定仕様テーブル52(後述する)を有する。
【0025】
[4.設定仕様テーブルについて]
[4-1.携帯端末の端末側設定仕様テーブルについて]
図7、
図8、
図9及び
図10に示すように、携帯端末3の端末側設定仕様テーブル52(
図6)は、プリンタ2に関する各設定項目の設定仕様を示す情報であり、端末側言語設定仕様テーブル52A、端末側用紙サイズ設定仕様テーブル52B、端末側用紙厚設定仕様テーブル52C及び端末側IPアドレス設定仕様テーブル52Dにより構成されている。
【0026】
端末側言語設定仕様テーブル52A(
図7)は、設定項目行60A、仕様版数行61A、種別行62A、選択肢複数行63A及びデフォルト行64Aにより構成されている。これら設定項目行60A、仕様版数行61A、種別行62A、選択肢複数行63A及びデフォルト行64Aは、それぞれ、実数値列54と意味列55とが設定されている。意味列55は、端末側言語設定仕様テーブル52Aにおけるそれぞれの行が何の設定仕様のことを意味しているかを示している。実数値列54は、端末側言語設定仕様テーブル52Aにおけるそれぞれの行の項目がプリンタ2と通信される際の数値(実数値)を示している。
【0027】
設定項目行60Aは、「言語」の設定項目がどのような実数値でプリンタ2と通信されるかを表しており、「言語」の場合は「5000」という実数値が用いられることを示している。仕様版数行61Aは、設定項目の設定仕様が変更される(すなわち改版される)度に例えば1ずつ増加する版数を表しており、実数値列54の実数値が「0」の場合、「言語」の仕様版数は、「0版」であることを示している。種別行62Aは、設定項目が選択式又は文字列の何れであるかを表しており、選択式の場合は実数値列54の実数値が「0」、文字列の場合は実数値列54の実数値が「1」(後述する)となっている。端末側言語設定仕様テーブル52Aは、種別行62Aにおいて選択式が設定されているため、選択肢複数行63Aを有している。選択肢複数行63Aは、選択肢行63A0、63A1及び63A2を有している。選択肢行63A0、63A1及び63A2は、「言語」の設定項目における選択肢を表しており、実数値列54の実数値が「0」の場合は「英語」、「1」の場合は「日本語」、「2」の場合は「中国語」となっている。デフォルト行64Aは、後述する装置設定情報書込画面DIP(
図15(A))において予め表示される選択肢を表しており、端末側言語設定仕様テーブル52Aにおいては、実数値列54の実数値が「0」、すなわち「英語」が設定されている。
【0028】
端末側用紙サイズ設定仕様テーブル52B(
図8)は、端末側言語設定仕様テーブル52A(
図7)と同様に、設定項目行60B、仕様版数行61B、種別行62B、選択肢複数行63B及びデフォルト行64Bにより構成されている。この端末側用紙サイズ設定仕様テーブル52Bは、端末側言語設定仕様テーブル52Aとほぼ同様に構成されているため、詳細な説明は省略する。
【0029】
設定項目行60Bは、「用紙サイズ」の設定項目がどのような実数値でプリンタ2と通信されるかを表しており、「用紙サイズ」の場合は「5001」という実数値が用いられることを示している。仕様版数行61Bは、実数値列54の実数値が「0」であるため「用紙サイズ」の仕様版数は、「0版」であることを示している。種別行62Bは、設定項目が選択式であるため実数値列54の実数値が「0」となっている。選択肢複数行63Bは、選択肢行63B0、63B1、63B2及び63B3を有している。選択肢行63B0、63B1、63B2及び63B3は、実数値列54の実数値が「0」の場合は「A4」、「1」の場合は「A3」、「2」の場合は「A5」、「3」の場合は「A6」となっている。デフォルト行64Bは、端末側用紙サイズ設定仕様テーブル52Bにおいては、実数値列54の実数値が「0」、すなわち「A4」が設定されている。
【0030】
端末側用紙厚設定仕様テーブル52C(
図9)は、端末側言語設定仕様テーブル52A(
図7)と同様に、設定項目行60C、仕様版数行61C、種別行62C、選択肢複数行63C及びデフォルト行64Cにより構成されている。この端末側用紙厚設定仕様テーブル52Cは、端末側言語設定仕様テーブル52Aとほぼ同様に構成されているため、詳細な説明は省略する。
【0031】
設定項目行60Cは、「用紙厚」の設定項目がどのような実数値でプリンタ2と通信されるかを表しており、「用紙厚」の場合は「5002」という実数値が用いられることを示している。仕様版数行61Cは、実数値列54の実数値が「1」であるため「用紙厚」の仕様版数は、「1版」であることを示している。種別行62Cは、設定項目が選択式であるため実数値列54の実数値が「0」となっている。選択肢複数行63Cは、選択肢行63C0、63C1、63C2及び63C3を有している。選択肢行63C0、63C1、63C2及び63C3は、実数値列54の実数値が「0」の場合は「薄い」、「1」の場合は「普通」、「2」の場合は「やや厚い」、「3」の場合は「厚い」となっている。デフォルト行64Cは、端末側用紙厚設定仕様テーブル52Cにおいては、実数値列54の実数値が「1」、すなわち「普通」が設定されている。
【0032】
端末側IPアドレス設定仕様テーブル52D(
図10)は、設定項目行60D、仕様版数行61D、種別行62D、長さ行65D及びデフォルト行64Dにより構成されており、端末側言語設定仕様テーブル52A(
図7)と比較して、選択肢複数行63Aに代わる長さ行65Dを有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。この端末側IPアドレス設定仕様テーブル52Dは、端末側言語設定仕様テーブル52Aとほぼ同様に構成されているため、詳細な説明は省略する。
【0033】
設定項目行60Dは、「IPアドレス」の設定項目がどのような実数値でプリンタ2と通信されるかを表しており、「IPアドレス」の場合は「5003」という実数値が用いられることを示している。仕様版数行61Dは、実数値列54の実数値が「0」であるため「IPアドレス」の仕様版数は、「0版」であることを示している。種別行62Dは、設定項目が文字列であるため実数値列54の実数値が「1」となっている。長さ行65Dは、意味列55の数値が「16」であるため、装置設定情報書込画面DIP(
図15)(後述する)の設定値フィールド83における空欄87においてユーザが入力可能なIPアドレスの文字数の上限が16文字であることを表している。デフォルト行64Dは、端末側IPアドレス設定仕様テーブル52Dにおいては、実数値列54の実数値が「” ”」、すなわち「空文字」が設定されている。
【0034】
以下では、設定項目行60A、60B、60C及び60Dをまとめて設定項目行60とも呼び、仕様版数行61A、61B、61C及び61Dをまとめて仕様版数行61とも呼び、種別行62A、62B、62C及び62Dをまとめて種別行62とも呼び、選択肢複数行63A、63B及び63Cをまとめて選択肢複数行63とも呼び、デフォルト行64A、64B、64C及び64Dをまとめてデフォルト行64とも呼ぶ。
【0035】
[4-2.プリンタの装置側設定仕様テーブルについて]
図11、
図12、
図13及び
図14に示すように、プリンタ2の装置側設定仕様テーブル34(
図3)は、プリンタ2に関する各設定項目の設定仕様を示す情報であり、装置側言語設定仕様テーブル34A、装置側用紙サイズ設定仕様テーブル34B、装置側用紙厚設定仕様テーブル34C及び装置側IPアドレス設定仕様テーブル34Dにより構成されている。
【0036】
装置側言語設定仕様テーブル34A(
図11)は、端末側言語設定仕様テーブル52A(
図7)と同様に、設定項目行70A、仕様版数行71A、種別行72A、選択肢複数行73A及びデフォルト行74Aにより構成されており、端末側言語設定仕様テーブル52Aと同じ実数値列54の実数値が設定されている。
【0037】
装置側用紙サイズ設定仕様テーブル34B(
図12)は、端末側用紙サイズ設定仕様テーブル52B(
図8)と同様に、設定項目行70B、仕様版数行71B、種別行72B、選択肢複数行73B及びデフォルト行74Bにより構成されており、端末側用紙サイズ設定仕様テーブル52Bと同じ実数値列54の実数値が設定されている。
【0038】
装置側用紙厚設定仕様テーブル34C(
図13)は、設定項目行70C、仕様版数行71C、種別行72C、選択肢複数行73C及びデフォルト行74Cにより構成されており、端末側用紙厚設定仕様テーブル52C(
図9)と比較して、仕様版数行71C及び選択肢複数行73Cが相違するものの、他の点については同様に構成されている。仕様版数行71Cは、実数値列54の実数値が「0」であるため「用紙厚」の仕様版数は、「0版」であることを示している。選択肢複数行73Cは、選択肢行73C0、73C1及び73C2を有している。選択肢行73C0、73C1及び73C2は、実数値列54の実数値が「0」の場合は「薄い」、「1」の場合は「普通」、「2」の場合は「厚い」となっている。
【0039】
このように装置側用紙厚設定仕様テーブル34C(
図13)は、端末側用紙厚設定仕様テーブル52C(
図9)と比較して、仕様版数が古く、選択肢複数行73C内の選択肢行73C0、73C1及び73C2における実数値列54の実数値と意味列55の意味との対応付けが、選択肢複数行63C内の選択肢行63C0、63C1、63C2及び63C3とは異なってる。このため、例えば、端末側用紙厚設定仕様テーブル52C(
図9)に基づき選択肢複数行63Cにおいて選択肢行63C2が選択されると、実数値列54の実数値は「2」であり、意味列55の意味は「やや厚い」となる一方、装置側用紙厚設定仕様テーブル34C(
図13)においては、選択肢複数行73Cにおいて実数値列54の実数値が「2」である選択肢行73C2は、「やや厚い」ではなく、「厚い」となる。
【0040】
装置側IPアドレス設定仕様テーブル34D(
図14)は、端末側IPアドレス設定仕様テーブル52D(
図10)と同様に、設定項目行70D、仕様版数行71D、種別行72D、長さ行75D及びデフォルト行74Dにより構成されており、装置側IPアドレス設定仕様テーブル34Dと同じ実数値列54の実数値が設定されている。
【0041】
以下では、設定項目行70A、70B、70C及び70Dをまとめて設定項目行70とも呼び、仕様版数行71A、71B、71C及び71Dをまとめて仕様版数行71とも呼び、種別行72A、72B、72C及び72Dをまとめて種別行72とも呼び、選択肢複数行73A、73B及び73Cをまとめて選択肢複数行73とも呼び、デフォルト行74A、74B、74C及び74Dをまとめてデフォルト行74とも呼ぶ。
【0042】
[5.携帯端末の動作]
まず、携帯端末3の動作について説明する。携帯端末3には、専用アプリ47が予めインストールされる。専用アプリ47は、プリンタ2の電源が投入されていない状態でNFC通信により携帯端末3からプリンタ2のNFCタグ19へ装置設定情報20を書き込む機能を提供する。携帯端末3を操作するユーザが専用アプリ47を起動すると、携帯端末3の制御部48は、装置設定仕様管理部51から端末側設定仕様テーブル52を取得して、
図15(A)に示す装置設定情報書込画面DIPをタッチパネル42に表示する。
【0043】
装置設定情報書込画面DIPには、「言語」、「用紙サイズ」、「用紙厚」及び「IPアドレス」のそれぞれの設定項目に対し、設定値フィールド80、81、82及び83が設けられており、端末側設定仕様テーブル52に基づき、設定値が表示されている。具体的に、設定値フィールド80には、端末側言語設定仕様テーブル52A(
図7)のデフォルト行64Aにおける実数値列54の実数値に対応した意味列55の意味である「英語」が、設定値フィールド81には、端末側用紙サイズ設定仕様テーブル52B(
図8)のデフォルト行64Bにおける実数値列54の実数値に対応した意味列55の意味である「A4」が、設定値フィールド82には、端末側用紙厚設定仕様テーブル52C(
図9)のデフォルト行64Cにおける実数値列54の実数値に対応した意味列55の意味である「普通」が、設定値フィールド83には、端末側IPアドレス設定仕様テーブル52D(
図10)のデフォルト行64Dにおける実数値列54の実数値に対応した意味列55の意味である「空文字」(すなわち空欄)が表示されている。
【0044】
また設定値フィールド80、81及び82には、それぞれ設定変更マーク84、85及び86が配置されている。ユーザは、設定変更マーク84、85又は86か、設定値フィールド83における空欄87を押下することにより、設定を変更可能である。例えば設定変更マーク86がユーザにより押下されると、携帯端末3の制御部48は、
図15(B)に示すように、装置設定情報書込画面DIPにおいて設定値フィールド82に重ねるように選択肢フィールド88を表示させる。このとき制御部48は、端末側用紙厚設定仕様テーブル52C(
図9)における選択肢複数行63Cの選択肢行63C0、63C1、63C2及び63C3の意味列55の意味から、「薄い」、「普通」、「やや厚い」及び「厚い」を読み出して選択肢フィールド88に表示させる。
【0045】
ここで選択肢フィールド88において「やや厚い」がユーザにより押下され選択されると、携帯端末3の制御部48は、
図15(C)に示すように、設定値フィールド82に「やや厚い」を表示させる。またユーザは、設定値フィールド83における空欄87(
図15(A))を押下し、プリンタ2に設定するIPアドレスを入力する。設定値フィールド83にIPアドレスがユーザにより入力されると、携帯端末3の制御部48は、
図15(C)に示すように、設定値フィールド83に、入力されたIPアドレスを表示させる。
図15(C)は、全ての設定項目の設定が完了した状態の装置設定情報書込画面DIPの例である。
【0046】
携帯端末3の制御部48は、この装置設定情報書込画面DIPにおいて設定値フィールド80、81、82及び83に設定された設定値に基づき、
図16に示す端末側装置設定情報45を作成し、ストレージ43(
図5)に保存する。この端末側装置設定情報45は、「言語」、「用紙サイズ」、「用紙厚」及び「IPアドレス」のそれぞれの設定項目に対応した行に対し、設定項目列76、仕様版数列77及び設定値列78が設けられている。設定項目列76、仕様版数列77及び設定値列78は、それぞれの行の実数値、仕様版数及び設定値を表している。
【0047】
制御部48は、端末側言語設定仕様テーブル52A(
図7)の設定項目行60Aの実数値列54の実数値から「5000」を読み込んで端末側装置設定情報45(
図16)の「言語」の行の設定項目列76に書き込む。続いて制御部48は、端末側言語設定仕様テーブル52A(
図7)の仕様版数行61Aの実数値列54の実数値から「0」を読み込んで端末側装置設定情報45(
図16)の「言語」の行の仕様版数列77に書き込む。続いて制御部48は、装置設定情報書込画面DIP(
図15(C))の「言語」における設定値フィールド80に「日本語」が設定されているため、端末側言語設定仕様テーブル52A(
図7)の選択肢行63A1の実数値列54の実数値から「1」を読み込んで端末側装置設定情報45(
図16)の「言語」の行の設定値列78に書き込む。
【0048】
また制御部48は、端末側用紙サイズ設定仕様テーブル52B(
図8)の設定項目行60Bの実数値列54の実数値から「5001」を読み込んで端末側装置設定情報45(
図16)の「用紙サイズ」の行の設定項目列76に書き込む。続いて制御部48は、端末側用紙サイズ設定仕様テーブル52B(
図8)の仕様版数行61Bの実数値列54の実数値から「0」を読み込んで端末側装置設定情報45(
図16)の「用紙サイズ」の行の仕様版数列77に書き込む。続いて制御部48は、装置設定情報書込画面DIP(
図15(C))の「用紙サイズ」における設定値フィールド81に「A4」が設定されているため、端末側用紙サイズ設定仕様テーブル52B(
図8)の選択肢行63B0の実数値列54の実数値から「0」を読み込んで端末側装置設定情報45(
図16)の「用紙サイズ」の行の設定値列78に書き込む。
【0049】
さらに制御部48は、端末側用紙厚設定仕様テーブル52C(
図9)の設定項目行60Cの実数値列54の実数値から「5002」を読み込んで端末側装置設定情報45(
図16)の「用紙厚」の行の設定項目列76に書き込む。続いて制御部48は、端末側用紙厚設定仕様テーブル52C(
図9)の仕様版数行61Cの実数値列54の実数値から「1」を読み込んで端末側装置設定情報45(
図16)の「用紙厚」の行の仕様版数列77に書き込む。続いて制御部48は、装置設定情報書込画面DIP(
図15(C))の「用紙厚」における設定値フィールド82に「やや厚い」が設定されているため、端末側用紙厚設定仕様テーブル52C(
図9)の選択肢行63C2の実数値列54の実数値から「2」を読み込んで端末側装置設定情報45(
図16)の「用紙厚」の行の設定値列78に書き込む。
【0050】
さらに制御部48は、端末側IPアドレス設定仕様テーブル52D(
図10)の設定項目行60Dの実数値列54の実数値から「5003」を読み込んで端末側装置設定情報45(
図16)の「IPアドレス」の行の設定項目列76に書き込む。続いて制御部48は、端末側IPアドレス設定仕様テーブル52D(
図10)の仕様版数行61Dの実数値列54の実数値から「0」を読み込んで端末側装置設定情報45(
図16)の「IPアドレス」の行の仕様版数列77に書き込む。続いて制御部48は、装置設定情報書込画面DIP(
図15(C))の「IPアドレス」における設定値フィールド83に設定された「10.49.100.111」を読み込んで端末側装置設定情報45(
図16)の「IPアドレス」の行の設定値列78に書き込む。
【0051】
この状態でユーザにより携帯端末3がプリンタ2のNFCタグ19にかざされると、携帯端末3のNFCユニット44(
図5)がNFC通信でプリンタ2のNFCユニット16(
図2)と通信する。これにより携帯端末3のNFCユニット44は、プリンタ2のNFCユニット16におけるNFCタグ19に端末側装置設定情報45(
図5)を装置設定情報20(
図2)として書き込む。
【0052】
このとき携帯端末3は、それぞれの設定項目に関し、設定項目列76の実数値と仕様版数列77の実数値と設定値列78の実数値とを組み合わせた文字列をプリンタ2に送信する。これらの実数値は、プリンタ2と携帯端末3との間で予め設定の仕様の取り決めが把握された数値である。プリンタ2と携帯端末3とは、このように数値からなる文字列を通信することにより、通信量を削減する。携帯端末3は、例えば、「用紙厚」の設定項目に関しては、設定項目列76の実数値である「5002」と、仕様版数列77の実数値である「1」と、設定値列78の実数値である「2」とを組み合わせ、「5002:1:2」という文字列を、プリンタ2へ送信する。
【0053】
[6.プリンタの機能構成]
ここで、プリンタ2における後述する初回起動時装置設定値書込処理及び次回以降起動時装置設定値書込処理に関係する基本的な機能を機能ブロック図により表すと、
図18のようになる。
【0054】
取得部90は、NFCタグ制御部31(
図3)と対応しており、プリンタ2の電源オフ状態時にプリンタ2に関する設定情報としての装置設定情報20を外部装置としての携帯端末3から取得し、第1の記憶部としてのNFCタグ19(
図2)に記憶させる。
【0055】
判定部91は、制御部26(
図3)と対応しており、プリンタ2が電源オフ状態から電源オン状態に移行したときに、NFCタグ19が記憶する装置設定情報20(
図16)に含まれる設定仕様情報としての仕様版数列77における仕様版数の実数値と、プリンタ2のファームウェア情報としての装置側設定仕様テーブル34(
図11、
図12、
図13及び
図14)の仕様版数行71における仕様版数の実数値とが対応しているかを判定する。
【0056】
設定部92は、制御部26(
図3)と対応しており、装置設定情報20(
図16)の仕様版数列77の仕様版数と装置側設定仕様テーブル34(
図11~
図14)の仕様版数行71の仕様版数とが対応している場合は装置設定情報20をプリンタ2に設定する一方、装置設定情報20の仕様版数列77の仕様版数と装置側設定仕様テーブル34の仕様版数行71の仕様版数とが対応していない場合は装置設定情報20を第2の記憶部としてのストレージ17(
図2)に再設定値情報22として記憶させる。
【0057】
削除部93は、制御部26(
図3)と対応しており、設定部92が装置設定情報20をプリンタ2に設定するか又はストレージ17に記憶させ終わった後に、NFCタグ19から装置設定情報20を削除する。提示部94は、制御部26及び表示部28(
図3)と対応しており、ストレージ17に装置設定情報20が再設定値情報22として記憶された場合、エラーとしての設定エラーメッセージMS(
図19)を表示部28に表示することにより提示する。更新部95は、制御部26(
図3)と対応しており、ストレージ17に再設定値情報22が記憶されている場合、プリンタ2のファームウェアを更新する。
【0058】
[7.初回起動時装置設定値書込処理]
次に、プリンタ2による、NFCタグ19に書き込まれた装置設定情報20をプリンタ2の初回起動時に読み出してストレージ17に格納されている装置設定値21に設定する処理の具体的な処理手順について、
図17のフローチャートを用いて説明する。プリンタ2の電源が投入され起動されると、制御部26は、ROM11から初回起動時装置設定値書込処理プログラムを読み出して実行することにより初回起動時装置設定値書込処理手順RT1を開始し、ステップSP1へ移る。ステップSP1において制御部26は、NFCタグ19から装置設定情報20を初期化処理部27により取得し、ステップSP2へ移る。
【0059】
ステップSP2において制御部26は、ステップSP1においてNFCタグ19から装置設定情報20を取得した、すなわち、NFCタグ19に装置設定情報20が書き込まれているか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このとき制御部26はステップSP3へ移る。
【0060】
ステップSP3において制御部26は、「言語」、「用紙サイズ」、「用紙厚」及び「IPアドレス」の4つの設定項目毎に、装置側設定仕様テーブル34(
図11~
図14)に含まれる仕様版数(すなわち仕様版数行71における実数値列54の実数値)と装置設定情報20(
図16)に含まれる仕様版数(すなわち仕様版数列77の実数値)とを比較し、ステップSP4へ移る。具体的に制御部26は、例えば「言語」の設定項目の場合、装置側言語設定仕様テーブル34A(
図11)の仕様版数行71Aにおける実数値列54の実数値である「0」と、装置設定情報20(
図16)の「言語」の行における仕様版数列77の実数値である「0」とを比較する。ステップSP4において制御部26は、装置側設定仕様テーブル34に含まれる仕様版数と装置設定情報20に含まれる仕様版数とが一致するか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、仕様版数が一致するため現在比較を行った設定項目(以下では比較対象設定項目とも呼ぶ)に関しては装置設定情報20の設定値列78の値(すなわち設定値)をストレージ17の装置設定値21(
図4)に設定しても問題は発生しないことを表し、このとき制御部26はステップSP5へ移る。ステップSP5において制御部26は、比較対象設定項目に関し装置設定情報20(
図16)の設定値をストレージ17の装置設定値21(
図4)に設定し、ステップSP7へ移る。
【0061】
一方、ステップSP4において否定結果が得られると、このことは、仕様版数が不一致であるため比較対象設定項目に関しては装置設定情報20の設定値をストレージ17の装置設定値21に設定すると問題が発生する可能性があることを表し、このとき制御部26はステップSP6へ移る。ステップSP6において制御部26は、比較対象設定項目に関する装置設定情報20(
図16)の行における設定項目列76の実数値と仕様版数列77の数値と設定値列78の実数値とを組み合わせた文字列を再設定値情報22としてストレージ17に保存し、ステップSP7へ移る(詳細は後述する)。
【0062】
ステップSP7において制御部26は、全ての設定項目について装置側設定仕様テーブル34(
図11~
図14)に含まれる仕様版数と装置設定情報20(
図16)に含まれる仕様版数との比較が完了したか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、次に仕様版数を比較すべき設定項目は存在しないことを表し、このとき制御部26はステップSP8へ移る。一方、ステップSP7において否定結果が得られると、このことは、次に仕様版数を比較すべき設定項目がまだ存在することを表し、このとき制御部26はステップSP3へ移り、上述した処理を繰り返す。
【0063】
具体的に、比較対象設定項目が「言語」である場合、装置側言語設定仕様テーブル34A(
図11)の仕様版数行71Aにおける実数値列54の実数値は「0」であり、装置設定情報20(
図16)の仕様版数列77の実数値も「0」であるため、両者の仕様版数は一致する。このため制御部26は、ステップSP4において肯定結果を得て、ステップSP5においてストレージ17の装置設定値21(
図4)の「言語」の行の設定値として「1」を設定する。
【0064】
一方、比較対象設定項目が「用紙サイズ」である場合、装置側用紙サイズ設定仕様テーブル34B(
図12)の仕様版数行71Bにおける実数値列54の実数値は「0」であり、装置設定情報20(
図16)の仕様版数列77の実数値も「0」であるため、両者の仕様版数は一致する。このため制御部26は、ステップSP4において肯定結果を得て、ステップSP5においてストレージ17の装置設定値21(
図4)の「用紙サイズ」の行の設定値として「0」を設定する。
【0065】
また一方、比較対象設定項目が「用紙厚」である場合、装置側用紙厚設定仕様テーブル34C(
図13)の仕様版数行71Cにおける実数値列54の実数値は「0」であり、装置設定情報20(
図16)の仕様版数列77の実数値は「1」であるため、両者の仕様版数は不一致である。このため制御部26は、ステップSP4において否定結果を得て、ステップSP6において装置設定情報20(
図16)の「用紙厚」の行における、設定項目列76の実数値である「5002」と、仕様版数列77の実数値である「1」と、設定値列78の実数値である「2」とを組み合わせ、「5002:1:2」という文字列を再設定値情報22に保存する。
【0066】
さらに一方、比較対象設定項目が「IPアドレス」である場合、装置側IPアドレス設定仕様テーブル34D(
図14)の仕様版数行71Dにおける実数値列54の実数値は「0」であり、装置設定情報20(
図16)の仕様版数列77の実数値も「0」であるため、両者の仕様版数は一致する。このため制御部26は、ステップSP4において肯定結果を得て、ステップSP5においてストレージ17の装置設定値21(
図4)の「IPアドレス」の行の設定値として「10.49.100.111」を設定する。
【0067】
続いてステップSP8において制御部26は、ストレージ17に再設定値情報22が存在するか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは、再設定値情報22が存在しないためプリンタ2のファームウェアは最新であり更新する必要がないことを表し、このとき制御部26はステップSP10へ移る。ステップSP10において制御部26は、NFCタグ19の装置設定情報20をクリア(削除)することによりNFCタグ19を別の機能で使用することを可能とし、ステップSP11へ移り、初回起動時装置設定値書込処理を終了する。
【0068】
一方、ステップSP8において肯定結果が得られると、このことは、再設定値情報22が存在するためプリンタ2のファームウェアは最新でなく更新する必要があることを表し、このとき制御部26はステップSP9へ移る。ステップSP9において制御部26は、操作パネル13(
図2)に
図19に示す設定エラーメッセージMSを表示することにより、どの設定項目において設定に失敗したかをユーザに提示すると共に、プリンタ2のファームウェアを更新することをユーザに促し、ステップSP10へ移り、NFCタグ19の装置設定情報20をクリアすることによりNFCタグ19を別の機能で使用することを可能とし、ステップSP11へ移り、初回起動時装置設定値書込処理を終了する。
【0069】
ユーザは設定エラーメッセージMSに従って、LAN23又はUSB24を介してサーバ等の外部装置からプリンタ2に対して更新プログラムを送信して更新する。このためプリンタ2は、装置側設定仕様テーブル34(
図3)における装置側用紙厚設定仕様テーブル34C(
図13)が、端末側設定仕様テーブル52(
図6)における端末側用紙厚設定仕様テーブル52C(
図9)と同様の内容となる。これによりプリンタ2は、携帯端末3の端末側設定仕様テーブル52に記載された内容と同様の設定仕様となる。
【0070】
また一方、ステップSP2において否定結果が得られると、このことは、NFCタグ19に装置設定情報20が書き込まれていないため、装置側設定仕様テーブル34(
図11~
図14)に含まれる仕様版数と装置設定情報20(
図16)に含まれる仕様版数とを比較する必要はないことを表し、このとき制御部26はステップSP11へ移り、初回起動時装置設定値書込処理を終了する。
【0071】
[8.次回以降起動時装置設定値書込処理]
次に、プリンタ2による、ストレージ17に書き込まれた再設定値情報22をプリンタ2の2回目以降の起動時に読み出してストレージ17に格納されている装置設定値21に設定する処理の具体的な処理手順について、
図20のフローチャートを用いて説明する。プリンタ2の電源が投入され起動されると、制御部26は、ROM11から次回以降起動時装置設定値書込処理プログラムを読み出して実行することにより次回以降起動時装置設定値書込処理手順RT2を開始し、ステップSP21へ移る。ステップSP21において制御部26は、ストレージ17に再設定値情報22が存在するか否かを初期化処理部27により判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、再設定値情報22が存在するため、装置設定情報20内の各設定項目のうちプリンタ2の初回起動時に装置設定値21に書き込まれなかった設定項目が存在し、再設定値情報22から装置設定値21に設定値を書き込む必要があることを表し、このとき制御部26はステップSP22へ移る。
【0072】
ステップSP22において制御部26は、再設定値情報22(
図2)に保存された設定項目毎に、装置側設定仕様テーブル34(
図11~
図14)のうち、再設定値情報22(
図2)に保存された設定項目を示す装置側設定仕様テーブル34に含まれる仕様版数(すなわち仕様版数行71における実数値列54の実数値)と、再設定値情報22(
図2)に含まれる仕様版数とを比較し、ステップSP23へ移る。具体的に制御部26は、現在は再設定値情報22として「5002:1:2」という文字列が保存されているため、装置側用紙厚設定仕様テーブル34C(
図13)の仕様版数行71Cにおける実数値列54の実数値である「1」と、再設定値情報22において「用紙厚」を示す「5002」における「仕様版数」を示す「1」とを比較する。ここで、プリンタ2のファームウェアは初回起動時に対し更新されているため、装置側用紙厚設定仕様テーブル34C(
図13)は端末側用紙厚設定仕様テーブル52C(
図9)と同様の内容となっている。
【0073】
ステップSP23において制御部26は、装置側設定仕様テーブル34に含まれる仕様版数と再設定値情報22に含まれる仕様版数とが一致するか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、仕様版数が一致するため現在比較を行った設定項目(以下では再設定時比較対象設定項目とも呼ぶ)に関しては再設定値情報22の設定値をストレージ17の装置設定値21(
図4)に設定しても問題は発生しないことを表し、このとき制御部26はステップSP24へ移る。ステップSP24において制御部26は、再設定時比較対象設定項目に関し再設定値情報22の設定値をストレージ17の装置設定値21(
図4)に設定し、ステップSP25へ移る。
【0074】
具体的に、再設定時比較対象設定項目が「用紙厚」である場合、装置側用紙厚設定仕様テーブル34C(
図13)の仕様版数行71Cにおける実数値列54の実数値は「0」から「1」に改版されおり(図示せず)、再設定値情報22の仕様版数の数値は「1」であるため、両者の仕様版数は一致する。このため制御部26は、ステップSP23において肯定結果を得て、ステップSP24において再設定値情報22の「用紙厚」の行(すなわち「5002」で始まる行)における、設定値の実数値である「2」を読み出して、ストレージ17の装置設定値21(
図4)の「用紙厚」の設定値として「2」を設定する。
【0075】
ステップSP25において制御部26は、再設定値情報22から再設定時比較対象設定項目の情報を削除し、ステップSP26へ移る。
【0076】
一方、ステップSP23において否定結果が得られると、このことは、プリンタ2のファームウェアが更新されていない等の要因により仕様版数が不一致であるため、再設定時比較対象設定項目に関しては再設定値情報22の設定値をストレージ17の装置設定値21に設定すると問題が発生する可能性があることを表し、このとき制御部26は再設定値情報22の設定値をストレージ17の装置設定値21(
図4)に設定せずに再設定値情報22に残したままにし、ステップSP26へ移る。
【0077】
ステップSP26において制御部26は、再設定値情報22(
図2)に保存された全ての設定項目について、装置側設定仕様テーブル34に含まれる仕様版数と、再設定値情報22(
図2)に含まれる仕様版数との比較が完了したか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、次に仕様版数を比較すべき設定項目は存在しないことを表し、このとき制御部26はステップSP27へ移る。一方、ステップSP26において否定結果が得られると、このことは、次に仕様版数を比較すべき設定項目がまだ存在することを表し、このとき制御部26はステップSP22へ移り、上述した処理を繰り返す。
【0078】
ステップSP27において制御部26は、ストレージ17に再設定値情報22が存在するか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは、再設定値情報22内の全ての再設定時比較対象設定項目の設定値を装置設定値21に設定したために再設定値情報22が存在しないため、プリンタ2のファームウェアは最新であり更新する必要がないことを表し、このとき制御部26はステップSP29へ移り、次回以降起動時装置設定値書込処理を終了する。
【0079】
一方、ステップSP27において肯定結果が得られると、このことは、再設定値情報22が存在するためプリンタ2のファームウェアは最新でなく更新する必要があることを表し、このとき制御部26はステップSP28へ移る。ステップSP28において制御部26は、操作パネル13(
図2)に
図19に示す設定エラーメッセージMSを表示することにより、どの設定項目において設定に失敗したかをユーザに提示すると共に、プリンタ2のファームウェアを更新することをユーザに促し、ステップSP29へ移り、次回以降起動時装置設定値書込処理を終了する。
【0080】
ユーザは設定エラーメッセージMSに従って、LAN23又はUSB24を介してサーバ等の外部装置からプリンタ2に対して更新プログラムを送信して更新する。
【0081】
[9.効果等]
ここで、従来のプリンタにおいては、プリンタ内に予め記憶された「用紙厚」(実数値「5002」)という設定項目において、選択肢として「薄い」、「普通」及び「厚い」の3つが用意されており、「薄い」に「0」、「普通」に「1」、「厚い」に「2」という設定値の数値が割り当てられ、それらをプリンタと携帯端末との双方が認識していたとする。その場合、プリンタにおける「用紙厚」を「厚い」に設定したい場合、「5002:2」という文字列を携帯端末からプリンタへ送信する。その後、システムの仕様変更等により、設定項目の選択肢に変更が生じることがある。例えば、「用紙厚」の設定項目の選択肢に、「やや厚い」が追加されたとする。その場合、設定項目の仕様は、「薄い」に「0」、「普通」に「1」、「やや厚い」に「2」、「厚い」に「3」という設定値の数値が割り当てられる場合がある。その場合においても、それらをプリンタと携帯端末との双方が認識していれば、設定エラーは発生しない。
【0082】
しかしながら、プリンタの初回起動時点では、プリンタのファームウェアのバージョンが古く、設定項目の仕様の変更前のファームウェアがインストールされたままの場合がある。それに対し携帯端末側では設定項目の仕様の変更後として動作している場合がある。そのような状況において、プリンタの「用紙厚」の設定項目を「やや厚い」にしようとして、携帯端末からプリンタへ「5002:2」という文字列を送信すると、プリンタは、「用紙厚」の設定項目において、「厚い」に「2」という設定値の数値が割り当てられていると認識しているため、「やや厚い」ではなく、「厚い」を設定してしまい、携帯端末を操作するユーザが意図しない設定になって設定エラーが発生してしまう。この場合、プリンタを使用するユーザは設定エラーが起きていることにすら気付かずに、意図しない出力結果を得ることになる可能性もある。
【0083】
これに対しプリンタ2は、プリンタ2内部に予め記憶されている装置側設定仕様テーブル34(
図11~
図14)に仕様版数(ファームウェア版数)を含めると共に、プリンタ2が電源オフ時において携帯端末3からNFCタグ19に新たに取得する装置設定情報20(
図16)に仕様版数を含めるようにした。またプリンタ2は、初回起動時において電源オフ状態から電源オン状態に移行したときに、装置側設定仕様テーブル34の仕様版数と装置設定情報20の仕様版数とが一致するか否かを判定し、一致する場合は装置設定情報20をストレージ17の装置設定値21(
図4)に設定する(すなわちプリンタ2に設定する)一方、一致しない場合は装置設定情報20をプリンタ2に設定せずに(すなわち設定を保留し)ストレージ17に再設定値情報22として記憶させるようにした。
【0084】
このためプリンタ2は、装置側設定仕様テーブル34の仕様版数と装置設定情報20の仕様版数とが異なっている場合に装置設定情報20がプリンタ2に適用されてしまうことを防止し、プリンタ2に誤った設定がされてしまうことを防止できる。
【0085】
その後プリンタ2は、ストレージ17に再設定値情報22が存在する場合、プリンタ2のファームウェアは最新でなく更新する必要があると判断し、設定エラーメッセージMSを表示することにより、プリンタ2のファームウェアを更新することをユーザに促すようにした。
【0086】
またその後プリンタ2は、NFCタグ19の装置設定情報20を削除するようにした。このためプリンタ2は、携帯端末3から印刷データ等をNFC通信により取得する際にNFCタグ19内の十分な空きデータ量を保つことができる。
【0087】
さらにプリンタ2は、2回目以降の起動時において、ストレージ17に再設定値情報22が存在する場合、装置設定情報20内の各設定項目のうちプリンタ2の初回起動時に装置設定値21に書き込まれなかった設定項目が存在し、再設定値情報22から装置設定値21に設定値を書き込む必要があると判断し、装置側設定仕様テーブル34の仕様版数と再設定値情報22の仕様版数とが一致するか否かを判定し、一致する場合は再設定値情報22をストレージ17の装置設定値21(
図4)に設定する(すなわちプリンタ2に設定する)一方、一致しない場合は再設定値情報22をプリンタ2に設定せずに(すなわち設定を保留し)ストレージ17に再設定値情報22として記憶させたままにした。
【0088】
このためプリンタ2は、ファームウェアが更新されていた場合、電源オフ時において携帯端末3からNFCタグ19に取得した装置設定情報20(
図16)のうち、初回起動時に再設定値情報22としてストレージ17に退避させた設定項目の設定値を、装置設定値21(
図4)に設定(すなわちプリンタ2に設定)できる。
【0089】
一方、プリンタ2は、ファームウェアが更新されていない場合、電源オフ時において携帯端末3からNFCタグ19に取得した装置設定情報20(
図16)のうち、初回起動時に再設定値情報22としてストレージ17に退避させた設定項目の設定値を、装置設定値21(
図4)に設定しないことにより、2回目以降の起動時においても、プリンタ2に誤った設定がされてしまうことを防止できる。その場合プリンタ2は、プリンタ2のファームウェアは最新でなく更新する必要があると判断し、設定エラーメッセージMSを表示することにより、プリンタ2のファームウェアを更新することをユーザに促すようにした。
【0090】
以上の構成によればプリンタ2は、電源オフ状態時にプリンタ2に関する装置設定情報20を携帯端末3から取得し、NFCタグ19に記憶させる取得部90と、電源オフ状態から電源オン状態に移行したときに、NFCタグ19が記憶する装置設定情報20(
図16)に含まれる仕様版数と、プリンタ2の装置側設定仕様テーブル34(
図11、
図12、
図13及び
図14)に含まれる仕様版数とが対応しているかを判定する判定部91と、装置設定情報20の仕様版数と装置側設定仕様テーブル34の仕様版数とが対応している場合は装置設定情報20をプリンタ2に設定する一方、装置設定情報20の仕様版数と装置側設定仕様テーブル34の仕様版数とが対応していない場合は装置設定情報20をストレージ17に記憶させる設定部92とを設けるようにした。
【0091】
これによりプリンタ2は、プリンタ2内部に予め記憶されている装置側設定仕様テーブル34の仕様版数と、携帯端末3から新たに取得した装置設定情報20の仕様版数とが異なっている場合、装置設定情報20をプリンタ2に適用しないようにすることで、仕様版数が異なることに起因する設定エラーが発生することを防止できる。
【0092】
[10.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、初回起動時装置設定値書込処理手順RT1(
図17)におけるステップSP9において、操作パネル13(
図2)に設定エラーメッセージMS(
図19)を表示させ、ファームウェアを更新することをユーザに促し、ユーザは設定エラーメッセージMSに従って、LAN23又はUSB24を介して外部装置からプリンタ2に対して更新プログラムを送信して更新する場合について述べた。本発明はこれに限らず、設定エラーメッセージMS(
図19)において、ファームウェアをプリンタ2自身が更新することを表示し、プリンタ2の制御部26がLAN23又はUSB24を介してサーバ等の外部装置から更新プログラムを取得して更新しても良い。その場合、ファームウェアを更新する手間をユーザに強いらないようにできる。
【0093】
また上述した実施の形態においては、装置設定情報20(
図16)は、複数の設定項目毎に互いに独立して仕様版数が設定される場合について述べた。本発明はこれに限らず、装置設定情報20(
図16)は、全ての設定項目をまとめた1つの共通の仕様版数が設定されても良い。
【0094】
さらに上述した実施の形態においては、初回起動時装置設定値書込処理手順RT1(
図17)におけるステップSP9において、操作パネル13(
図2)に設定エラーメッセージMS(
図19)を表示する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば音声を出力する等、他の種々の提示手段により、どの設定項目において設定に失敗したかをユーザに提示すると共に、プリンタ2のファームウェアを更新することをユーザに促しても良い。次回以降起動時装置設定値書込処理手順RT2(
図20)のステップSP28においても同様である。
【0095】
さらに上述した実施の形態においては、近距離無線通信の一種であるNFC通信によりプリンタ2と携帯端末3とで通信を行う場合について述べた。本発明はこれに限らず、携帯端末3がプリンタ2に近接した際に携帯端末3から他の種々の給電方法で電源をプリンタ2へ供給可能な、他の種々の近距離無線通信によりプリンタ2と携帯端末3とで通信を行っても良い。
【0096】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。また、本発明は、上述した各実施の形態及び上述した他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用する場合や、該抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加する場合にも本発明の適用範囲が及ぶものである。
【0097】
さらに上述した実施の形態においては、取得部としての取得部90と、判定部としての判定部91と、設定部としての設定部92とによって、情報処理装置としてのプリンタ2を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる取得部と、判定部と、設定部とによって、情報処理装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、近距離無線通信で携帯端末が情報処理装置の設定を変更する場合に利用できる。
【符号の説明】
【0099】
1……情報処理システム、2……プリンタ、3……携帯端末、4……ネットワーク、10……CPU、11……ROM、12……RAM、13……操作パネル、14……ネットワークユニット、15……USBユニット、16……NFCユニット、17……ストレージ、18……トレイ、19……NFCタグ、20……装置設定情報、21……装置設定値、22……再設定値情報、23……LAN、24……USB、26……制御部、27……初期化処理部、28……表示部、29……装置設定管理部、30……タグ情報解析部、31……NFCタグ制御部、32……ネットワーク通信部、33……USB通信部、34……装置側設定仕様テーブル、34A……装置側言語設定仕様テーブル、34B……装置側用紙サイズ設定仕様テーブル、34C……装置側用紙厚設定仕様テーブル、34D……装置側IPアドレス設定仕様テーブル、35……設定項目列、36……設定値列、40……CPU、41……RAM、42……タッチパネル、43……ストレージ、44……NFCユニット、45……端末側装置設定情報、46……NFC通信部、47……専用アプリ、48……制御部、49……表示部、50……入力部、51……装置設定仕様管理部、52……端末側設定仕様テーブル、52A……端末側言語設定仕様テーブル、52B……端末側用紙サイズ設定仕様テーブル、52C……端末側用紙厚設定仕様テーブル、52D……端末側IPアドレス設定仕様テーブル、54……実数値列、55……意味列、60A、60B、60C、60D、70A、70B、70C、70D……設定項目行、61A、61B、61C、61D、71A、71B、71C、71D……仕様版数行、62A、62B、62C、62D、72A、72B、72C、72D……種別行、63A、63B、63C、73A、73B、73C……選択肢複数行、63A0、63A1、63A2、63B0、63B1、63B2、63B3、63C0、63C1、63C2、63C3、73C0、73C1、73C2……選択肢行、64A、64B、64C、64D、74A、74B、74C、74D……デフォルト行、65D、75D……長さ行、76……設定項目列、77……仕様版数列、78……設定値列、80、81、82、83……設定値フィールド、84、85、86……設定変更マーク、87……空欄、88……選択肢フィールド、DIP……装置設定情報書込画面、MS……設定エラーメッセージ、90……取得部、91……判定部、92……設定部、93……削除部、94……提示部、95……更新部。