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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175454
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】データ通信システムおよび車両
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20231205BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20231205BHJP
   H04W 4/44 20180101ALI20231205BHJP
   H04W 48/18 20090101ALI20231205BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20231205BHJP
   H04W 4/00 20180101ALI20231205BHJP
【FI】
G08G1/09 F
G01C21/26 A
H04W4/44
H04W48/18 113
H04W88/06
H04W4/00 110
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087897
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】海老沢 憲一
(72)【発明者】
【氏名】小林 謙吾
(72)【発明者】
【氏名】春名 恒臣
(72)【発明者】
【氏名】鍋田 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】土屋 貴寛
(72)【発明者】
【氏名】山田 紀章
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
5K067
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129EE80
2F129FF12
2F129FF18
2F129FF64
5H181AA01
5H181BB04
5K067AA43
(57)【要約】
【課題】データ通信システムを用いて情報をダウンロードまたはアップロードする車両の、無駄な電力消費を抑制する。
【解決手段】データ通信システム1のサーバ1aは、第一データD1を記憶装置1bに送信するよう制御するサーバ側データ送信制御部135と、車両が停車場所に到達した場合に、通信方式を他の通信方式へ切り替えることを指示する制御信号を車両へ送信するよう制御する信号送信制御部136と、を備え、記憶装置1bは、サーバ1aから第一データを受信するよう制御する装置側データ受信制御部161と、第一データを記憶する記憶部15と、車両2が通信方式を切り替えた場合に、記憶部に記憶されている第一データを他の通信方式にて車両2へ送信するよう制御する装置側データ送信制御部162と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと、記憶装置と、を備えるデータ通信システムであって、
前記サーバは、
車両および前記記憶装置とそれぞれ通信するサーバ側通信部と、
所定の第一データを前記記憶装置に送信するよう前記サーバ側通信部を制御するサーバ側データ送信制御部と、
前記車両が所定の停車場所に到達した場合に、前記車両と前記記憶装置との通信方式を、セルラー通信方式から、前記停車場所に設けられた通信設備を用いる他の通信方式へ切り替えることを指示する制御信号を、前記車両へ送信するよう前記サーバ側通信部を制御する信号送信制御部と、
を備え、
前記記憶装置は、
前記車両および前記サーバとそれぞれ通信する装置側通信部と、
前記サーバから前記第一データを受信するよう前記装置側通信部を制御する装置側データ受信制御部と、
前記第一データを記憶する記憶部と、
前記車両が通信方式を前記他の通信方式へ切り替えた場合に、前記記憶部に記憶されている前記第一データを前記他の通信方式にて前記車両へ送信するよう前記装置側通信部を制御する装置側データ送信制御部と、
を備える、
データ通信システム。
【請求項2】
前記記憶装置を複数備え、
前記サーバは、
前記車両から当該車両の走行予定経路を含む車両情報を受信するよう前記サーバ側通信部を制御する車両情報受信制御部と、
前記車両情報に基づいて前記車両が停車される停車場所を選定する選定部と、
を備え、
前記サーバ側データ送信制御部は、前記第一データを、複数の前記記憶装置のうち前記停車場所に対応する前記記憶装置に送信するよう前記サーバ側通信部を制御する、
請求項1に記載のデータ通信システム。
【請求項3】
前記車両情報受信制御部は、前記走行予定経路の状況に関する外部環境情報を更に受信するよう前記サーバ側通信部を制御し、
前記選定部は、前記車両情報および前記外部環境情報に基づいて前記停車場所を選定する、
請求項2に記載のデータ通信システム。
【請求項4】
前記車両情報受信制御部は、前記走行予定経路に近接する複数の前記停車場所の状況に関する設備状況情報を受信するよう前記サーバ側通信部を制御し、
前記選定部は、前記車両情報および前記設備状況情報に基づいて前記停車場所を選定する、
請求項2に記載のデータ通信システム。
【請求項5】
前記サーバ側データ送信制御部は、前記第一データとは異なる所定の第二データを、前記セルラー通信方式で前記車両へ送信するよう前記サーバ側通信部を制御する、
請求項1に記載のデータ通信システム。
【請求項6】
前記サーバ側データ送信制御部は、前記第一データおよび前記第二データとは異なる所定の第三データを、前記セルラー通信方式および前記他の通信方式のうち、予め設定された通信方式で前記車両へ送信するよう前記サーバ側通信部を制御する、
請求項5に記載のデータ通信システム。
【請求項7】
前記サーバは、前記車両から、当該車両が前記所定の停車場所において前記制御信号を受けて作成した前記他の通信方式へ切り替えることが可能であることを示す切替可能情報を受信するよう前記サーバ側通信部を制御する切替情報受信制御部を備え、
前記切替情報受信制御部は、前記切替可能情報を受信するための制御を、前記信号送信制御部が前記制御信号を前記車両へ送信するよう前記サーバ側通信部を制御した後であって、前記装置側データ送信制御部が前記第一データを前記他の通信方式にて前記車両へ送信するよう前記装置側通信部を制御する前に行う、
請求項1に記載のデータ通信システム。
【請求項8】
前記切替情報受信制御部は、前記車両から、当該車両が前記所定の停車場所において前記制御信号を受けて作成した前記他の通信方式へ切り替えることができないことを示す切替不能情報を受信するよう前記サーバ側通信部を制御し、
前記切替情報受信制御部は、前記切替不能情報を受信するための制御を、前記信号送信制御部が前記制御信号を前記車両へ送信するよう前記サーバ側通信部を制御した後に行う、
請求項7に記載のデータ通信システム。
【請求項9】
サーバと記憶装置とを備えるデータ通信システムと通信する車両であって、
前記データ通信システムとセルラー通信方式で通信する第一通信部と、
前記データ通信システムと、前記車両が停車される予定の停車場所に備えられた通信設備を用いた他の通信方式で通信する第二通信部と、
前記サーバから、前記車両と前記記憶装置との通信方式を、セルラー通信方式から、前記他の通信方式へ切り替えることを指示する制御信号を受信した場合に、前記記憶装置から所定の第一データを受信するよう前記第二通信部を制御するデータ受信制御部と、
を備える車両。
【請求項10】
所定の停車場所において前記制御信号を受信した場合に、前記他の通信方式へ切り替えることが可能であることを示す切替可能情報を作成する作成部と、
前記切替可能情報を前記サーバへ送信するよう前記第一通信部を制御する切替情報送信制御部と、
を備え、
前記切替情報送信制御部は、前記切替可能情報を送信するための制御を、前記サーバから前記制御信号を受信した後であって、かつ前記記憶装置から前記第一データを受信するよう前記第二通信部を制御する前に行う、
請求項9に記載の車両。
【請求項11】
前記作成部は、前記所定の停車場所において前記制御信号を受信した場合に、前記他の通信方式へ切り替えることができないことを示す切替不能情報を作成し、
前記切替情報送信制御部は、前記切替不能情報を送信するための制御を、前記サーバから前記制御信号を受信した後に行う、
請求項10に記載の車両。
【請求項12】
サーバと、記憶装置と、を備えるデータ通信システムであって、
前記サーバは、
車両および前記記憶装置とそれぞれ通信するサーバ側通信部と、
前記車両が所定の停車場所に到達した場合に、前記車両と前記記憶装置との通信方式を、セルラー通信方式から、前記停車場所に設けられた通信設備を用いる他の通信方式へ切り替えることを指示する制御信号を、前記車両へ送信するよう前記サーバ側通信部を制御する信号送信制御部と、
を備え、
前記記憶装置は、
前記車両および前記サーバとそれぞれ通信する装置側通信部と、
前記車両が通信方式を前記他の通信方式へ切り替えた場合に、所定の第一データを前記他の通信方式にて前記車両から受信するよう前記装置側通信部を制御する装置側データ受信制御部と、
前記第一データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記第一データを前記サーバへ送信するよう前記サーバ側通信部を制御する装置側データ送信制御部と、
を備える、
データ通信システム。
【請求項13】
前記サーバは、前記車両から、当該車両が前記所定の停車場所において前記制御信号を受けて作成した前記他の通信方式へ切り替えることが可能であることを示す切替可能情報を受信するよう前記サーバ側通信部を制御する切替情報受信制御部を備え、
前記切替情報受信制御部は、前記切替可能情報を受信するための制御を、前記信号送信制御部が前記制御信号を前記車両へ送信するよう前記サーバ側通信部を制御した後であって、かつ前記装置側データ受信制御部が前記車両から前記第一データを前記他の通信方式にて受信するよう前記装置側通信部を制御する前に行う、
請求項12に記載のデータ通信システム。
【請求項14】
前記切替情報受信制御部は、前記車両から、当該車両が前記所定の停車場所において前記制御信号を受けて作成した前記他の通信方式へ切り替えることができないことを示す切替不能情報を受信するよう前記サーバ側通信部を制御し、
前記切替情報受信制御部は、前記切替不能情報を受信するための制御を、前記信号送信制御部が前記制御信号を前記車両へ送信するよう前記サーバ側通信部を制御した後に行う、
請求項13に記載のデータ通信システム。
【請求項15】
サーバと記憶装置とを備えるデータ通信システムと通信する車両であって、
前記データ通信システムとセルラー通信方式で通信する第一通信部と、
前記データ通信システムと、前記車両が停車される予定の停車場所に備えられた通信設備を用いた他の通信方式で通信する第二通信部と、
前記サーバから、前記車両と前記記憶装置との通信方式を、セルラー通信方式から、前記他の通信方式へ切り替えることを指示する制御信号を受信した場合に、所定の第一データを前記記憶装置へ送信するよう前記第二通信部を制御するデータ送信制御部と、
を備える車両。
【請求項16】
所定の停車場所において前記制御信号を受信した場合に、前記他の通信方式へ切り替えることが可能であることを示す切替可能情報を作成する作成部と、
前記切替可能情報を前記サーバへ送信するよう前記第一通信部を制御する切替情報送信制御部と、
を備え、
前記切替情報送信制御部は、前記切替可能情報を送信するための制御を、前記サーバから前記制御信号を受信した後であって、かつ前記データ送信制御部が前記第一データを前記記憶装置へ送信するよう前記第二通信部を制御する前に行う、
請求項15に記載の車両。
【請求項17】
前記作成部は、前記所定の停車場所において前記制御信号を受信した場合に、前記他の通信方式へ切り替えることができないことを示す切替不能情報を作成し、
前記切替情報送信制御部は、前記切替不能情報を送信するための制御を、前記サーバから前記制御信号を受信した後に行う、
請求項16に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ通信システムおよび車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両がサーバから情報を円滑にダウンロードする、または車両がサーバへ情報を円滑にアップロードするための各種技術が提案されている。例えば特許文献1には、車載無線通信機器が出発地から目的地までの経路上で複数のアクセスポイントを決定し、決定された複数の決定アクセスポイントを情報管理サーバへ送信し、情報管理サーバが複数の決定アクセスポイントのそれぞれで車載無線通信機器へ配信する配信情報を予め生成し、車載無線通信機器が複数の決定アクセスポイントのいずれかと接続すると、当該決定アクセスポイントに対して作成されている配信情報を受信して出力する情報集約配信方法について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-272741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたような従来技術では、通信対象の車両がアクセスポイントの設けられた駐車場所に到達する前から、当該車両の通信方式がWi-Fi(登録商標)方式に切り替わっている必要があった。このため、車両が駐車場所に到達するまでの間に行う、Wi-Fi(登録商標)方式で通信する際に必要な動作(例えばビーコン受信の繰り返し等)が無駄になっていた。その結果、車両の消費電力が増大してしまっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、サーバと、記憶装置と、を備えるデータ通信システムであって、前記サーバは、車両および前記記憶装置とそれぞれ通信するサーバ側通信部と、所定の第一データを前記記憶装置に送信するよう前記サーバ側通信部を制御するサーバ側データ送信制御部と、前記車両が所定の停車場所に到達した場合に、前記車両と前記記憶装置との通信方式を、セルラー通信方式から、前記停車場所に設けられた通信設備を用いる他の通信方式へ切り替えることを指示する制御信号を、前記車両へ送信するよう前記サーバ側通信部を制御する信号送信制御部と、を備え、前記記憶装置は、前記車両および前記サーバとそれぞれ通信する装置側通信部と、前記サーバから前記第一データを受信するよう前記装置側通信部を制御する装置側データ受信制御部と、前記第一データを記憶する記憶部と、前記車両が通信方式を前記他の通信方式へ切り替えた場合に、前記記憶部に記憶されている前記第一データを前記他の通信方式にて前記車両へ送信するよう前記装置側通信部を制御する装置側データ送信制御部と、を備える。
【0006】
本発明の他の態様は、サーバと記憶装置とを備えるデータ通信システムと通信する車両であって、前記データ通信システムとセルラー通信方式で通信する第一通信部と、前記データ通信システムと、前記車両が停車される予定の停車場所に備えられた通信設備を用いた他の通信方式で通信する第二通信部と、前記サーバから、前記車両と前記記憶装置との通信方式を、セルラー通信方式から、前記他の通信方式へ切り替えることを指示する制御信号を受信した場合に、前記記憶装置から所定の第一データを受信するよう前記第二通信部を制御するデータ受信制御部と、を備える。
【0007】
本発明の他の態様は、サーバと、記憶装置と、を備えるデータ通信システムであって、前記サーバは、車両および前記記憶装置とそれぞれ通信するサーバ側通信部と、前記車両が所定の停車場所に到達した場合に、前記車両と前記記憶装置との通信方式を、セルラー通信方式から、前記停車場所に設けられた通信設備を用いる他の通信方式へ切り替えることを指示する制御信号を、前記車両へ送信するよう前記サーバ側通信部を制御する信号送信制御部と、を備え、前記記憶装置は、前記車両および前記サーバとそれぞれ通信する装置側通信部と、前記車両が通信方式を前記他の通信方式へ切り替えた場合に、所定の第一データを前記他の通信方式にて前記車両から受信するよう前記装置側通信部を制御する装置側データ受信制御部と、前記第一データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている前記第一データを前記サーバへ送信するよう前記サーバ側通信部を制御する装置側データ送信制御部と、を備える。
【0008】
本発明の他の態様は、サーバと記憶装置とを備えるデータ通信システムと通信する車両であって、前記データ通信システムとセルラー通信方式で通信する第一通信部と、前記データ通信システムと、前記車両が停車される予定の停車場所に備えられた通信設備を用いた他の通信方式で通信する第二通信部と、前記サーバから、前記車両と前記記憶装置との通信方式を、セルラー通信方式から、前記他の通信方式へ切り替えることを指示する制御信号を受信した場合に、所定の第一データを前記記憶装置へ送信するよう前記第二通信部を制御するデータ送信制御部と、を備える。
【0009】
本発明の各態様は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記システムが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることによりシステムをコンピュータにて実現させるプログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一の態様(他の態様)の実施形態に係るデータ通信システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】同システムが備えるサーバの機能的構成を示すブロック図である。
図3】同システム、および本発明の他の態様の実施形態に係る車両の動作の一例を示すシーケンス図である。
図4】同システムが備える第一サーバが実行する一部処理の流れを示すフローチャートである。
図5】同システム、および本発明の他の態様の実施形態に係る車両の動作の他の例を示すシーケンス図である。
図6】同システムが扱う各種データと通信方式との関係を示す図である。
図7】同システムが備える記憶装置の機能的構成を示すブロック図である。
図8】本発明の他の態様の実施形態に係る車両の機能的構成を示すブロック図である。
図9】本発明の他の態様の実施形態に係るデータ通信システムが備えるサーバの機能的構成を示すブロック図である。
図10】同システム、および本発明の他の態様の実施形態に係る車両の動作の一例を示すシーケンス図である。
図11】同システム、および本発明の他の態様の実施形態に係る車両の動作の他の例を示すシーケンス図である。
図12】同システムが備える記憶装置の機能的構成を示すブロック図である。
図13】本発明の他の態様の実施形態に係る車両の機能的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第一発明:データ通信システム>
まず、本発明の一の態様(第一発明)の実施形態に係るデータ通信システム1について説明する。
【0012】
[データ通信システムの構成]
データ通信システム1は、車両2(詳細後述)が各種データをダウンロードするためのものである。
データ通信システム1は、図1に示したように、サーバ1aと、記憶装置1b(詳細後述)と、を備える。本実施形態に係るデータ通信システム1は、記憶装置1bを複数備える。各記憶装置1bには、車両2の図示しない停車場所に備えられた通信設備Aと接続されている。また、本実施形態に係るデータ通信システム1は、第二サーバ1cと、コアネットワーク1dと、複数の基地局1eと、を備えている。コアネットワーク1dおよび基地局1eは、セルラー通信方式で(コアネットワーク1dおよび基地局1eを介して)データの送受信を行うためのものである。
【0013】
{サーバ}
サーバ1aは、図2に示したように、サーバ側通信部11と、サーバ側記憶部と、サーバ側制御部13と、を備える。
【0014】
〔サーバ側通信部〕
サーバ側通信部11は、車両2および記憶装置1bとそれぞれ通信する。本実施形態に係るサーバ側通信部11は、第二サーバ1cとも通信する。サーバ側通信部11は、車両2と直接通信する場合には、セルラー通信方式で通信する。
【0015】
〔サーバ側記憶部〕
サーバ側記憶部12は、地図情報、設備情報を記憶している。地図情報は、少なくとも車両2が走行し得る範囲の道路の情報を含んでいる。設備情報は、地図情報が示す範囲内に存在する車両2が停車可能な停車場所に関する情報である。停車場所に関する情報には、各停車場所の位置、各停車場所の停車可能台数、各停車場所に備えられた通信設備の識別情報等が含まれる。本実施形態に係るサーバ側記憶部12は、半導体メモリ、ハードディスクドライブ等で構成されている。
【0016】
〔サーバ側制御部〕
サーバ側制御部13は、車両情報受信制御部131と、選定部132と、サーバ側データ受信制御部133と、設定部134と、サーバ側データ送信制御部135と、信号送信制御部136と、切替情報受信制御部137と、を備える。
【0017】
(車両情報受信制御部)
車両情報受信制御部131は、図3に示したように、車両2から車両情報を受信するようサーバ側通信部11を制御する(ステップS101)。車両情報は、当該車両2の走行予定経路を含む。走行予定経路は、例えば車両2が搭載するカーナビゲーションシステムや、車両2の乗員が所持する携帯端末のアプリケーション等に設定されたものを用いることができる。本実施形態に係る車両情報受信制御部131は、セルラー通信方式で車両情報を受信するようサーバ側通信部11を制御する。
【0018】
本実施形態に係る車両情報受信制御部131は、図示しない第三サーバ等から外部環境情報を更に受信するようサーバ側通信部11を制御する。外部環境情報は、走行予定経路の状況に関する情報である。第三サーバは、例えば、道路情報や気象情報を扱う官公庁や企業が管理するサーバである。走行予定経路の状況には、例えば、走行予定経路における渋滞や事故の有無、天候、路面の状態等が含まれる。また、本実施形態に係る車両情報受信制御部131は、図示しない第四サーバ等から設備状況情報を受信するようサーバ側通信部11を制御する。設備状況情報は、走行予定経路に近接する複数の停車場所の状況に関する情報である。第三サーバは、例えば、停車場所および当該停車場所に備えられた通信設備を管理する企業が管理するサーバである。停車場所の状況には、例えば、停車場所に備えられた通信設備の使用率、現状の停車台数等が含まれる。本実施形態に係る車両情報受信制御部131は、これらの情報を定期的に受信するようサーバ側通信部11を制御する。これにより、サーバ1aは、車両2の走行予定経路に近接する停車場所の状況をリアルタイムで把握することができる。
【0019】
(選定部)
選定部132は、サーバ側通信部11が受信した車両情報に基づいて車両2が停車される停車場所を選定する。本実施形態に係る選定部132は、車両情報、並びに外部環境情報および設備状況情報の少なくとも一方に基づいて停車場所を選定する。本実施形態に係る選定部132は、例えば図4に示したような流れで処理を実行することにより選定する。
【0020】
具体的には、選定部132は、まず、サーバ側通信部11が車両情報を受信したか否かを、受信したと判断するまで繰り返し判断する(ステップS201)。車両情報を受信したと判断した場合(ステップS201:YES)、選定部132は、受信した車両情報に含まれる走行予定経路に明示的な停車場所が含まれているか否かを判断する(ステップS202)。明示的な停車場所は、車両が停車する専用のスペースが設けられた場所を指す。明示的な停車場所には、例えば、電気自動車の充電スタンド、ガソリンスタンド、ドライブスルー型の店舗、道路のサービスエリア等が含まれる。明示的な停車場所が含まれていないと判断した場合(ステップS202:NO)、選定部132は、ステップS201の処理に戻る。一方、明示的な停車場所が含まれていると判断した場合(ステップS202:YES)、選定部132は、記憶装置1bからデータをダウンロードする旨の要求があったか否か判断する(ステップS203)。
【0021】
「ダウンロードをする旨の要求があった」には、第二サーバ1cからダウンロードを要求する旨の情報をサーバ側通信部11が受信したこと、サーバ1aの管理者によりサーバ1aの図示しない操作部にダウンロードを指示する操作がなされたこと等が含まれる。また、「ダウンロードをする旨の要求があった」には、図5に示したように、車両2からダウンロードを要求する旨の情報をサーバ側通信部11が受信した(ステップS101A)ことも含まれる。この場合、ダウンロードを要求する旨の情報を、車両情報と共に受信してもよい。また、「ダウンロードの要求」には、ダウンロードを開始する予定時刻、ダウンロードを行う停車場所、ダウンロードする第一データD1の内容等が含まれる。ダウンロードをする旨の要求が無かったと判断した場合(ステップS203:NO)、選定部132は、ステップS201の処理に戻る。
【0022】
一方、ダウンロードをする旨の要求があったと判断した場合(ステップS203:YES)、選定部132は、明示的な停車場所に通信設備が備えられ、かつその通信設備に空きがあるか否かを判断する(ステップS204)。通信設備が備えられているか否かの判断は、サーバ側記憶部12に記憶されている設備情報を参照して行う。通信設備に空きがあるか否かの判断は、サーバ側通信部11が受信した設備状況情報を参照して行う。明示的な停車場所に通信設備が備えられ、かつその通信設備に空きがあると判断した場合(ステップS204:YES)、選定部132は、車両2がダウンロードする予定のデータの記憶装置1bへの送信を、ダウンロードをする旨の要求に含まれるダウンロードを開始する予定時刻までに完了できるか否かを判断する(ステップS205)。完了できるか否かの判断は、現在の車両2の位置から明示的な停車場所までの距離および車両2の速度に基づいて判断する。なお、完了できるか否かの判断を行う際に、サーバ側通信部11が受信した外部環境情報を参照することもできる。予定時刻までに完了できると判断した場合(ステップS205:YES)、選定部132は、明示的な停車場所を、車両2が停車する停車場所に選定する(ステップS206)。一方、予定時刻までに完了できないと判断した場合(ステップS205:NO)、もしくは上記ステップS204において明示的な停車場所に通信設備が備えられていない、または通信設備が備えられているが通信設備に空きが無いと判断した場合(ステップS204:NO)、選定部132は、明示的な停車場所の周辺に存在する、空いている通信設備の情報を車両2へ通知して、ステップS201の処理に戻る。
【0023】
このように、停車場所の選定に、外部環境情報および設備状況情報の少なくとも一方を加味することで、停車場所をより的確に選定することができる。なお、選定部132は、停車場所を選定した後に、第一データを要求する旨の情報を第二サーバへ送信する(ステップS104)ための制御を行うよう構成されていてもよい。また、選定部132は、停車場所を選定した後に、当該停車場所に備えられた通信設備を予約するよう構成されていてもよい。また、選定部132は、停車場所を選定した後に、選定した停車場所でダウンロード行う旨を車両2へ予告する(ステップS104A:図10参照)よう構成されていてもよい。
【0024】
(サーバ側データ受信制御部)
サーバ側データ受信制御部133は、図3、5に示したように、第二サーバ1cから、車両2がダウンロードするための各種データを受信するようサーバ側通信部11を制御する(ステップS105)。なお、サーバ1aが各種データをサーバ側記憶部12に記憶している場合、サーバ側データ受信制御部133は、サーバ側記憶部12が記憶する各種データを読み込むよう構成されていてもよい。その場合、データ通信システム1は、第二サーバ1cを備えていなくてもよい。
【0025】
本実施形態に係るサーバ側データ受信制御部133が取得する各種データには、第一データD1、第二データD2、第三データD3の三種類がある。各データは、データ量およびデータの消費期限に応じて、第一データD1、第二データD2、第三データD3のいずれかに分類されている。データの消費期限は、送受信に要する時間がこれを過ぎるとデータの価値が失われてしまう期限である。また、送受信する際の好ましい通信方式は、データごとに異なる。通信方式には、セルラー通信方式、他の通信方式、他の広域無線通信方式等が含まれる。他の通信方式には、車両2が停車される予定の停車場所に備えられた通信設備を用いた通信方式である。他の通信方式には、例えば、停車場所に備えられたアクセスポイントを用いたWi-Fi(登録商標)方式、停車場所に備えられた通信ケーブルを用いた有線通信方式等が含まれる。他の広域無線通信方式には、例えばBDT(大量データ転送プログラム)等が含まれる。
【0026】
第一データD1には、図6に示したように、データ量が比較的大きい(基地局等に負荷をかける)データや、ダウンロードに緊急を要しない(時間、日のオーダーで送受信すればよい)データが含まれる。すなわち、第一データD1は、無線リソースの空き状況に応じて、送受信する際の通信方式を、セルラー通信方式、他の通信方式、他の広域無線通信等の中から使い分けることができるデータである。本実施形態に係る第一データD1には、例えば、FOTA(Firmware Over The Air)が含まれる。FOTAには、車両2に自動運転機能を持たせる、または車両2の自動運転機能を更新するためのファームウェア、車両2にインフォテイメント機能を持たせる、または車両2のインフォテイメント機能を更新するためのファームウェア等が含まれる。
【0027】
第二データD2は、第一データD1とは異なるデータである。第二データD2には、データ量が第一データD1よりも小さい(基地局等に負荷をかけない)データや、ダウンロードを第一データD1よりも急ぐ(秒のオーダーしか送受信に時間をかけられない)データが含まれる。すなわち、第二データD2は、送受信する際の通信方式を、セルラー通信方式とするのが好ましいデータである。具体的には、第二データD2には、例えば、車両2の位置、車両2の速度制御、ウインカーの操作指示、落下物の位置情報、路肩への停車指示、車両2の車両側制御部24が各種制御に用いるパラメータ等が含まれる。
【0028】
第三データD3は、第一データD1および第二データD2とは異なるデータである。第三データD3には、データ量が第一データD1よりも小さく、かつ第二データD2よりも大きいデータや、ダウンロードを第一データD1よりも急ぐが第二データD2ほどは急がない(分のオーダーで送受信すればよい)データが含まれる。すなわち、第三データD3は、送受信する際の通信方式を、無線リソースの空き状況に応じて、送受信する際の通信方式を、セルラー通信方式および他の通信方式の中から使い分けることができるデータである。本実施形態に係る第三データD3には、例えば、車両2の中で楽しむためのエンターテイメントコンテンツが含まれる。エンターテイメントコンテンツには、映画、音楽、ゲームソフト、これらをユーザが利用する際に当該ユーザに視聴を求めるCM等が含まれる。
【0029】
(設定部)
設定部134は、第三データD3を、車両2へ送信する際の通信方式を設定する。本実施形態に係る設定部134が設定する通信方式は、セルラー通信方式および他の通信方式のいずれかである。設定部134は、図示しない操作部になされた操作に応じて設定するよう構成されていてもよいし、第三データD3の条件(データ量、データの消費期限、データ通信システム1の管理者と第三データを必要とするユーザとの契約内容等)に応じて自動で設定するよう構成されていてもよい。なお、設定部134は、第一データD1を車両2へ送信する際の通信方式を設定するよう構成されていてもよい。
【0030】
(サーバ側データ送信制御部)
サーバ側データ送信制御部135は、図3、5に示したように、所定の第一データD1を記憶装置1bに送信するようサーバ側通信部11を制御する(ステップS106)。本実施形態に係るサーバ側データ送信制御部135は、第一データD1を、複数の記憶装置1bのうち停車場所に対応する記憶装置1bに送信するようサーバ側通信部11を制御する。本実施形態に係るサーバ側データ送信制御部135は、第一データD1を、複数の記憶装置1bのうち選定部132が選定した停車場所に対応する記憶装置1bに送信するようサーバ側通信部11を制御する。「停車場所に対応する」には、当該停車場所に最も距離が近いことや、当該停車場所と最も通信が行いやすいこと、当該停車場所専用であること等が含まれる。上述したように、選定部132によって、停車場所が適切に絞られているため、サーバ側データ送信制御部135は、停車する可能性のない停車場所に対応する記憶装置1bへ第一データD1を送信してしまうことが無い。また、予め停車場所に対応する記憶装置1bに送信しておくことで、車両2は第一データD1のダウンロードをより早く行うことができるようになる。なお、サーバ側データ送信制御部135は、第一データD1を緊急で車両2に送信する旨の要求を受けた場合に、第一データD1をセルラー通信方式で送信するための制御を行うよう構成されていてもよい。
【0031】
サーバ側データ送信制御部135は、所定の第二データD2を、セルラー通信方式で車両2へ送信するようサーバ側通信部11を制御する。これにより、第二データD2は、コアネットワーク1d及び基地局1eを介して、車両2へ送信される。このため、車両2は、第二データD2を、場所を選ばず(例えば道路上を走行中に)直ちに取得することができる。
【0032】
サーバ側データ送信制御部135は、所定の第三データD3を、セルラー通信方式および他の通信方式のうち、設定部134が設定した(予め設定された)通信方式で車両2へ送信するようサーバ側通信部11を制御する。これにより、第三データD3は、セルラー通信方式が設定されている場合には、コアネットワーク1d及び基地局1eを介して車両2へ送信される。一方、他の通信方式が設定されている場合、第三データD3は、記憶装置1bおよび通信設備Aを介して車両2へ送信される。このため、車両2は、場合によってセルラー通信方式で送信することも他の通信方式で送信することもできる第三データD3の送信に柔軟に対応することができる。
【0033】
(信号送信制御部)
信号送信制御部136は、車両2が所定の停車場所に到達した(ステップS107)場合に、車両2と記憶装置1bとの通信方式を、セルラー通信方式から、停車場所に設けられた通信設備を用いる他の通信方式へ切り替えることを指示する制御信号を、車両2へ送信するようサーバ側通信部11を制御する(ステップS109)。「車両2が所定の停車場所に到達した場合」には、例えば、当該車両2が停車場所に停止した際に送信してきた停車情報をサーバ側通信部11が受信した(ステップS108)場合や、当該車両2が停車場所に停止したことを停車場所に備えられた監視設備が検知したこと等が含まれる。本実施形態に係る信号送信制御部136は、セルラー通信方式で制御信号を送信するようサーバ側通信部11を制御する。
【0034】
また、本実施形態に係る信号送信制御部136は、車両2が第一データD1のダウンロードを完了した場合に、車両2と記憶装置1bとの通信方式を、他の通信方式からセルラー通信方式へ切り替えることを指示する第二制御信号を、車両2へ送信するようサーバ側通信部11を制御する(ステップS109)。「車両2が第一データD1のダウンロードを完了した場合」には、記憶装置1bから第一データD1の送信を完了した旨の情報を受信した(ステップS115)こと、車両2から第一データD1の受信を完了した旨の情報を受信したこと等が含まれる。
【0035】
(切替情報受信制御部)
切替情報受信制御部137は、車両2から、切替可能情報を受信するようサーバ側通信部11を制御する(ステップS110)。切替可能情報は、当該車両2が所定の停車場所において制御信号を受けて作成した他の通信方式へ切り替えることが可能であることを示す情報である。切替可能情報には、例えば停車場所に備えられたアクセスポイント(通信設備)が作成するビーコンを受信したことを示す信号等が含まれる。本実施形態に係る切替情報受信制御部137は、切替可能情報を受信するための制御を、信号送信制御部136が制御信号を車両2へ送信するようサーバ側通信部11を制御した(ステップS109)後であって、記憶装置1bの装置側データ送信制御部が第一データD1を他の通信方式にて車両2へ送信するよう装置側通信部を制御する(ステップS114)前に行う。これにより、車両2が停車場所に到着し、サーバ1aから他の通信方式への切替指示を行った後に、車両2が他の通信方式による通信が実際に可能であることを示す情報を作成しサーバ1aに送るので、車両2は切替指示を受ける前からアクセスポイントのビーコンを検出する等のステップが不要となる。なお、切替可能情報は、車両2が通信方式の切り替えを済ませた旨の情報であってもよい。
【0036】
また、切替情報受信制御部137は、車両2から、切替不能情報を受信するようサーバ側通信部11を制御する(ステップS110)。切替不能情報は、当該車両2が所定の停車場所において制御信号を受けて作成した他の通信方式へ切り替えることができないことを示す情報である。本実施形態に係る切替情報受信制御部137は、切替不能情報を受信するための制御を、信号送信制御部136が制御信号を車両2へ送信するようサーバ側通信部11を制御した後に行う。これにより、車両2が停車場所に停車する前にアクセスポイントが発するビーコンを検出する試みが不要となる。さらに、サーバ1aが検知できていないアクセスポイント設備の故障等で他の通信方式が使用できない場合に、その旨を車両2からサーバ1aに通知することができる。
【0037】
{記憶装置}
記憶装置1bは、図7に示したように、装置側通信部14と、装置側記憶部15(記憶部)と、装置側制御部16と、を備える。
【0038】
〔装置側通信部〕
装置側通信部14は、車両2および上記サーバ1aとそれぞれ通信する。装置側通信部14は、車両2とは他の通信方式で通信する。
【0039】
〔装置側記憶部〕
装置側記憶部15は、第一データD1を記憶可能に構成されている。本実施形態に係る装置側記憶部15は、半導体メモリ、ハードディスクドライブ等で構成されている。なお、装置側記憶部15は、第二データD2、第三データD3を記憶可能に構成されていてもよい。
【0040】
〔装置側制御部〕
装置側制御部16は、装置側データ受信制御部161と、装置側データ送信制御部162と、を備える。
【0041】
(装置側データ受信制御部)
装置側データ受信制御部161は、図3、5に示したように、上記サーバ1aから第一データD1を受信するよう装置側通信部14を制御する(ステップS106)。そして、装置側データ受信制御部161は、装置側通信部14が受信した第一データD1を装置側記憶部15に記憶させる。
【0042】
(装置側データ送信制御部)
装置側データ送信制御部162は、車両2が通信方式を他の通信方式へ切り替えた(ステップS111)場合に、装置側記憶部15に記憶されている第一データD1を他の通信方式にて車両2へ送信するよう装置側通信部を制御する(ステップS114)。本実施形態に係る装置側データ送信制御部162は、車両2が接続鍵を用いてアクセスしてきた(ステップS113)ことを契機として、第一データD1を車両2へ送信するための制御を行う。接続鍵は、車両2が通信方式を切り替え、コアネットワーク1dと他の通信方式で接続された(ステップS111)ことを契機として、コアネットワーク1dが発行した(ステップS112)ものである。なお、装置側データ受信制御部161は、第一データD1を送信し終えた後、その旨を示す情報をサーバ1aへ送信する(ステップS115)よう構成されていてもよい。
【0043】
[データ通信システムの作用効果]
以上説明してきたデータ通信システム1によれば、通信対象の車両2が他の通信方式の通信設備(例えばWi-Fi(登録商標)のアクセスポイント)が設けられた停車場所に到達した後になってから、車両2が通信方式を他の方式に切り替えるようになる。このため、車両2が停車場所に到達するまでの間、車両2が無駄な動作(例えばWi-Fi(登録商標)通信におけるビーコン受信の繰り返し等)をしなくて済むようになる。その結果、車両2の消費電力を低減することができる。
【0044】
<第二発明:車両>
次に、本発明の他の態様(第二発明)の実施形態に係る車両2について説明する。
【0045】
[車両の構成]
車両2は、上記データ通信システム1と通信する。
車両2は、図8に示したように、第一通信部21と、第二通信部22と、車両側記憶部23と、車両側制御部24と、を備える。
【0046】
〔第一通信部〕
第一通信部21は、上記データ通信システム1とセルラー通信方式で通信する。
【0047】
〔第二通信部〕
第二通信部22は、上記データ通信システム1と、他の通信方式で通信する。
【0048】
〔車両側記憶部〕
車両側記憶部23は、各種データを記憶可能に構成されている。本実施形態に係る車両側記憶部23は、半導体メモリ、ハードディスクドライブ等で構成されている。
【0049】
〔車両側制御部〕
車両側制御部24は、車両情報送信制御部241と、信号受信制御部242と、作成部243と、切替情報送信制御部244と、車両側データ受信制御部245(データ受信制御部)と、を備える。
【0050】
(車両情報送信制御部)
車両情報送信制御部241は、図3、5に示したように、車両情報を、データ通信システム1のサーバ1aへ送信するよう第一通信部を制御する(ステップS101)。本実施形態に係る車両情報送信制御部241は、車両情報をセルラー通信方式で送信するよう第一通信部21を制御する。また、本実施形態に係る車両情報送信制御部241は、車両情報を定期的に送信するよう第一通信部21を制御する。なお、車両情報送信制御部241は、車両2が所定の停車場所に停車した場合に、車両が停車場所に停車した旨の停車情報を送信するための制御を行う(ステップS108)よう構成されていてもよい。
【0051】
(信号受信制御部)
信号受信制御部242は、サーバ1aから、制御信号を受信するよう第一通信部21を制御する(ステップS109)。本実施形態に係る信号受信制御部242は、車両情報をセルラー通信方式で送信するよう第一通信部21を制御する。
【0052】
(作成部)
作成部243は、所定の停車場所において制御信号を受信した場合に、切替可能情報を作成する。切替可能情報は、他の通信方式へ切り替えることが可能であることを示す情報である。このため、本実施形態に係る作成部243は、制御信号を受信した場合であって、車両2が他の通信方式へ切り替えることが可能な状態である場合に、切替可能情報を作成する。
【0053】
また、作成部243は、所定の停車場所において制御信号を受信した場合に、切替不能情報を作成する。切替不能情報は、他の通信方式へ切り替えることができないことを示す情報である。このため、本実施形態に係る作成部243は、制御信号を受信した場合であって、車両2が他の通信方式へ切り替えることができない状態である場合に、切替不能情報を作成する。
【0054】
(切替情報送信制御部)
作成部243が切替可能情報を作成した場合、切替情報送信制御部244は、切替可能情報を上記サーバ1aへ送信するよう第一通信部21を制御する(ステップS110)。本実施形態に係る切替情報送信制御部244は、切替可能情報を送信するための制御を、上記サーバ1aから制御信号を受信した(ステップS109)後であって、かつ記憶装置1bから第一データD1を受信するよう第二通信部22を制御する(ステップS114)前に行う。
【0055】
一方、作成部243が切替不能情報を作成した場合、切替情報送信制御部244は、切替不能情報を上記サーバ1aへ送信するよう第一通信部21を制御する(ステップS110)。本実施形態に係る切替情報送信制御部244は、切替不能情報を送信するための制御を、上記サーバ1aから制御信号を受信した(ステップS109)後に行う。
【0056】
(車両側データ受信制御部)
車両側データ受信制御部245は、上記サーバ1aから制御信号を受信した場合に、記憶装置1bから所定の第一データD1を受信するよう第二通信部22を制御する。本実施形態に係る車両側データ受信制御部245は、まず、車両側データ受信制御部245は、コアネットワーク1dから記憶装置1bへ接続するための接続鍵を取得する(ステップS112)。次に、車両側データ受信制御部245は、接続鍵を用いて記憶装置1bへアクセスする(ステップS113)。そして、車両側データ受信制御部245は、第二通信部22を介して第一データD1を取得する(ステップS114)。本実施形態に係る車両側データ受信制御部245は、第二通信部22が受信した第一データD1を、車両側記憶部23に記憶させる。なお、車両側データ受信制御部245は、第一データD1を受信し終えた後、その旨を示す情報をデータ通信システム1へ送信するよう構成されていてもよい。
【0057】
[車両の作用効果]
以上説明してきた本実施形態に係る車両2によれば、他の通信方式の通信設備(例えばWi-Fi(登録商標)のアクセスポイント)が設けられた停車場所に到達した後になってから、通信方式を他の方式に切り替える。このため、停車場所に到達するまでの間、無駄な動作(例えばWi-Fi(登録商標)通信におけるビーコン受信の繰り返し等)をしなくて済む。その結果、車両2の消費電力を低減することができる。
【0058】
<第三発明:データ通信システム>
次に、本発明の他の態様(第三発明)の実施形態に係るデータ通信システム3について説明する。なお、説明の便宜上、上記第一発明の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0059】
[データ通信システムの構成]
データ通信システム3は、車両4(詳細後述)が各種データをアップロードするためのものである。
データ通信システム3は、図1に示したように、サーバ3aと、記憶装置3b(詳細後述)と、を備える。本実施形態に係るデータ通信システム3は、記憶装置3bを複数備える。各記憶装置3bには、車両2の図示しない停車場所に備えられた通信設備Aと接続されている。また、本実施形態に係るデータ通信システム1は、コアネットワーク1dおよび複数の基地局1eの他に、第二サーバ3cを備えている。
【0060】
本実施形態に係るアップロードする各種データには、上記第一、第二発明と同様、第一データD1、第二データD2、第三データD3の三種類がある。
【0061】
本実施形態に係る第一データD1には、例えば、車両2が備える各種センサ(カメラ等)が得た3次元構造情報(周囲の画像)、車両4のメンテナンス情報等が含まれる。3次元構造情報は、例えば、地図の生成、事故現場の状況の把握、工事現場の状況の把握等に活用される。メンテナンス情報には、例えば、車両4の走行ログ、各種スイッチの操作ログ等が含まれる。
【0062】
また、本実施形態に係る第二データD2には、例えば、車両2の位置、車両2の速度制御、ウインカーの操作指示、落下物の位置情報、路肩への停車指示等が含まれる。
【0063】
また、本実施形態に係る第三データD3には、例えば、車両2が備える各種センサ(カメラ等)が得た3次元構造情報(周囲の画像)等が含まれる。3次元構造情報は、例えば、地図の生成、事故現場の状況の把握、工事現場の状況の把握等に活用される。
【0064】
{サーバ}
サーバ3aは、図9に示したように、サーバ側通信部11およびサーバ側記憶部12の他に、サーバ側制御部31を備える。
【0065】
〔サーバ側制御部〕
サーバ側制御部31は、車両情報受信制御部131、選定部132、設定部134、信号送信制御部136および切替情報受信制御部137の他に、サーバ側データ受信制御部311と、サーバ側データ送信制御部312と、を備える。
【0066】
(サーバ側データ受信制御部)
サーバ側データ受信制御部311は、第一発明におけるサーバ側データ受信制御部133とは異なり、図10、11(車両4から要求する場合)に示したように、記憶装置3bから第一データD1を受信するようサーバ側通信部11を制御する(ステップS118)。そして、サーバ側データ受信制御部311は、サーバ側通信部11が受信した第一データD1をサーバ側記憶部12に記憶させる。
【0067】
(サーバ側データ送信制御部)
サーバ側データ送信制御部312は、第一発明におけるサーバ側データ送信制御部135とは異なり、サーバ側記憶部12に記憶されている第一データD1を第二サーバ3cへ送信するようサーバ側通信部11を制御する(ステップS119)。
【0068】
{記憶装置}
記憶装置3bは、図12に示したように、装置側通信部14および装置側記憶部15(記憶部)の他、装置側制御部32を備える。
【0069】
〔装置側制御部〕
装置側制御部32は、装置側データ受信制御部321と、装置側データ送信制御部322と、を備える。
【0070】
(装置側データ受信制御部)
装置側データ受信制御部361は、図10、11に示したように、車両4が通信方式を他の通信方式へ切り替えた(ステップS111)場合に、所定の第一データD1を他の通信方式にて車両4から受信するよう装置側通信部34を制御する(ステップS114)。
【0071】
(装置側データ送信制御部)
装置側データ送信制御部362は、装置側記憶部15に記憶されている第一データD1を上記サーバ3aへ送信するようサーバ側通信部11を制御する(ステップS118)。
【0072】
[データ通信システムの作用効果]
以上説明してきた本実施形態に係るデータ通信システム3によれば、第一発明におけるデータ通信システム1と同様、通信対象の車両4が他の通信方式の通信設備(例えばWi-Fi(登録商標)のアクセスポイント)が設けられた停車場所に到達した後になってから、車両4が通信方式を他の方式に切り替えるようになる。このため、車両4が停車場所に到達するまでの間、車両4が無駄な動作(例えばWi-Fi(登録商標)通信におけるビーコン受信の繰り返し等)をしなくて済むようになる。その結果、車両4の消費電力を低減することができる。
【0073】
<第四発明:車両>
次に、本発明の他の態様(第四発明)の実施形態に係る車両4について説明する。なお、説明の便宜上、上記第二発明の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0074】
[車両の構成]
車両4は、上記データ通信システム3と通信する。
車両4は、図13に示したように、第一通信部21、第二通信部22および車両側記憶部23の他、車両側制御部41を備える。
【0075】
〔車両側制御部〕
車両側制御部41は、車両情報送信制御部241、信号受信制御部242、作成部243および切替情報送信制御部244の他に、車両側データ送信制御部411(データ送信制御部)を備える。
【0076】
(車両側データ送信制御部)
車両側データ送信制御部411は、図10、11に示したように、上記サーバ3aから制御信号を受信した(ステップS109)場合に、所定の第一データD1を記憶装置3bへ送信するよう第二通信部22を制御する(ステップS114)。
【0077】
[車両の作用効果]
以上説明してきた車両4によれば、第二発明における車両2と同様、他の通信方式の通信設備(例えばWi-Fi(登録商標)のアクセスポイント)が設けられた停車場所に到達した後になってから、通信方式を他の方式に切り替える。このため、停車場所に到達するまでの間、無駄な動作(例えばWi-Fi(登録商標)通信におけるビーコン受信の繰り返し等)をしなくて済む。その結果、車両4の消費電力を低減することができる。
【0078】
<第一~第四発明その他>
なお、上記第一発明実施形態に係るデータ通信システム1は、上記第三発明実施形態に係るデータ通信システム3の機能を有していてもよい。具体的には、サーバ1aのサーバ側制御部13は、第三発明におけるサーバ側データ受信制御部311およびサーバ側データ送信制御部312を備えていてもよい。また、記憶装置の装置側制御部16は、第三発明における装置側データ受信制御部321および装置側データ送信制御部322を備えていてもよい。その場合、選定部132は、明示的な停車場所に通信設備が備えられ、かつその通信設備に空きがあると判断した場合(ステップS204:YES)に、これから行うのがダウンロードであるか否かを判断してもよい。そして、これから行うのがダウンロードである場合にはステップS205の処理に進み、ダウンロードではない(アップロードである)場合にはステップS205の処理をスキップしてステップS206の処理に進むようにしてもよい。
【0079】
また、上記第二発明実施形態に係る車両2は、上記第四発明実施形態に係る車両4の機能を有していてもよい。具体的には、車両側制御部24は、第四発明における車両側データ送信制御部411を備えていてもよい。
【0080】
また、上記データ通信システム1、3、車両2、4(以下、装置1~4)機能は、当該装置1~4としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置1~4の各制御ブロック(特にサーバ側制御部13、31、装置側制御部16、32、車両側制御部24、41に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。この場合、上記装置1~4は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記実施形態で説明した各機能が実現される。上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0081】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0082】
また、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
1、3 データ通信システム
1a、3a サーバ
11 サーバ側通信部
12 サーバ側記憶部
13、31 サーバ側制御部
131 車両情報受信制御部
132 選定部
133、311 サーバ側データ受信制御部
134 設定部
135、312 サーバ側データ送信制御部
136 信号送信制御部
137 切替情報受信制御部
1b、3b 記憶装置
14、34 装置側通信部
15 記憶部
15 装置側記憶部
16、32 装置側制御部
161、321、361 装置側データ受信制御部
162、322、362 装置側データ送信制御部
1c、3c 第二サーバ
1d コアネットワーク
1e 基地局
2、4 車両
21 第一通信部
22 第二通信部
23 車両側記憶部
24、41 車両側制御部
241 車両情報送信制御部
242 信号受信制御部
243 作成部
244 切替情報送信制御部
245 車両側データ受信制御部
411 車両側データ送信制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13