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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175455
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】モータ制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/00 20160101AFI20231205BHJP
【FI】
H02P29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087898
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】根岸 明弘
【テーマコード(参考)】
5H501
【Fターム(参考)】
5H501AA08
5H501BB20
5H501FF01
5H501GG03
5H501HB07
5H501HB16
5H501JJ17
5H501JJ24
5H501LL10
(57)【要約】
【課題】モータの制御開始時における応答性を改善できるモータ制御装置を提供すること。
【解決手段】モータ制御装置は、PIデューティ比に基づいてモータ出力電圧を生成し、生成したモータ出力電圧によってモータを制御する処理装置と、PIデューティ比に加算するためのPIオフセット値が記憶された不揮発性メモリと、を備えている。処理装置は、制御周期でモータの目標回転速度と実回転速度とを用いてPIデューティ比を算出する(S61)。そして、処理装置は、不揮発性メモリからPIオフセット値を読み出して、算出したPIデューティ比に加算することで、モータの制御開始時におけるモータ出力電圧の生成に用いる起動時デューティ比を生成する(S63)。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ(40)を制御するモータ制御装置であって、
デューティ比に基づいてモータ出力電圧を生成し、生成した前記モータ出力電圧によって前記モータを制御する処理装置(13、14)と、
前記デューティ比に加算するためのオフセット値が記憶されたメモリ装置(16)と、を備え、
前記処理装置は、
所定周期で前記モータの目標回転速度と前記モータの実際の回転速度である実回転速度とを用いて前記デューティ比を算出する算出ステップ(S61)と、
前記メモリ装置から前記オフセット値を読み出して、算出した前記デューティ比に加算することで、前記モータの制御開始時における前記モータ出力電圧の生成に用いる前記デューティ比である起動時デューティ比を生成する生成ステップ(S63)と、を備えているモータ制御装置。
【請求項2】
前記モータの回転に応じて変化するセンサ信号を出力する回転センサ(50)と電気的接続されており、
前記処理装置は、前記モータの制御開始時から最初に前記センサ信号が変化した際の前記デューティ比を前記オフセット値として前記メモリ装置に記憶する記憶ステップ(S69)を、備えている請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記処理装置は、
前記センサ信号に基づいて前記モータが回転を開始したことを判定する開始判定ステップ(S64)と、
前記オフセット値として前記メモリ装置に記憶する前記デューティ比を取得する取得ステップ(S67)と、を備え、
前記モータの制御開始時から前記モータが回転を開始したと判定するまでの間において、前記センサ信号が変化するたびに、前記センサ信号の変化タイミングと、前記センサ信号が変化したタイミングで算出されている前記デューティ比とを関連付けて前記メモリ装置に記憶し、
前記取得ステップは、前記モータの制御開始時から最初に前記センサ信号が変化した際の前記デューティ比を前記メモリ装置から取得し、
前記記憶ステップでは、前記取得ステップで取得された前記デューティ比を前記オフセット値として前記メモリ装置に記憶する、請求項2に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記処理装置は、
前記算出ステップでは、前記目標回転速度と前記実回転速度との偏差に応じて比例項および積分項を用いて前記デューティ比を算出するものであり、
前記モータが実際に回転を開始したときの前記目標回転速度と前記実回転速度との偏差積分値と、前記積分項の定数との乗算によって前記オフセット値として記憶する前記デューティ比を取得する取得ステップ(S67)を備え、
前記記憶ステップでは、前記取得ステップで取得された前記デューティ比を前記オフセット値として前記メモリ装置に記憶する、請求項2に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
前記処理装置は、
前記メモリ装置に記憶されている前記オフセット値と、前記取得ステップにて取得した前記デューティ比との差分が閾値を超えているか否かを判定する判定ステップ(S68)を備え、
前記記憶ステップでは、前記差分が前記閾値を超えていることを条件として、前記取得ステップにて取得した前記デューティ比を前記オフセット値として前記メモリ装置に記憶する、請求項3または請求項4に記載のモータ制御装置。
【請求項6】
前記オフセット値は、前記起動時デューティ比が、前記モータが実際に回転開始したときの前記デューティ比となるように設定されている請求項1に記載のモータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータ制御装置の一例として、特許文献1に開示されたブラシレスモータ駆動制御装置がある。ブラシレスモータ駆動制御装置は、予め定められたパターンでブラシレスモータの電機子巻線に回転磁界を発生させる同期信号が同期信号発生手段によりモータ起動開始後一定期間出力される。そして、ブラシレスモータ駆動制御装置は、これに同期して起動デューティ指令手段から予め定められたパターンで起動デューティが出力される。また、ブラシレスモータ駆動制御装置は、インバータ回路に供給される直流電圧と、予め定められた基準電圧とを比較して直流電圧の大小を判断し、直流電圧の大小に基づいて起動デューティを増減補正する
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-243698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、使用される環境によるモータの特性変化や経年劣化による負荷増加分の影響を考慮していない。このため、特許文献1では、モータの制御開始時に必要なトルクが不足し、モータの制御開始時に回転開始が遅れてしまう可能性がある。
【0005】
開示される一つの目的は、モータの制御開始時における応答性を改善できるモータ制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示されたモータ制御装置は、
モータ(40)を制御するモータ制御装置であって、
デューティ比に基づいてモータ出力電圧を生成し、生成したモータ出力電圧によってモータを制御する処理装置(13、14)と、
デューティ比に加算するためのオフセット値が記憶されたメモリ装置(16)と、を備え、
処理装置は、
所定周期でモータの目標回転速度とモータの実際の回転速度である実回転速度とを用いてデューティ比を算出する算出ステップ(S61)と、
メモリ装置からオフセット値を読み出して、算出したデューティ比に加算することで、モータの制御開始時におけるモータ出力電圧の生成に用いるデューティ比である起動時デューティ比を生成する生成ステップ(S63)と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
ここに開示されたモータ制御装置によると、メモリ装置から読み出したオフセット値を算出したデューティ比に加算して起動時デューティ比を生成する。このため、モータ制御装置は、モータの制御開始時に必要なトルクが不足することを抑制でき、モータの制御開始時における応答性を改善できる。
【0008】
この明細書において開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】モータ制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図2】メモリ配列を示す図面である。
図3】モータ制御装置のメイン処理を示すフローチャートである。
図4】モータ制御装置のPI演算処理を示すフローチャートである。
図5】モータの起動遅れがある場合のモータ回転速度とPIデューティ比の変化を示すグラフである。
図6】各相のセンサ信号を示すタイムチャートである。
図7】モータの起動遅れがある場合の偏差積分値の変化を示すグラフである。
図8】モータの起動遅れがない場合の偏差積分値の変化を示すグラフである。
図9図8のIX部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。
【0011】
(第1実施形態)
図1図6を用いて、第1実施形態のモータ制御装置に関して説明する。モータ制御装置は、モータ40を制御するものである。モータ40は、例えば、車両用空調ユニットにおけるブロワのファンを回転駆動するためのブラシレスブロワモータを採用できる。しかしながら、本開示は、これに限定されず、他の装置(ユニット)に用いられるモータ40を制御するモータ制御装置であっても採用できる。
【0012】
<全体構成>
モータ制御装置は、少なくともマイコン10を備えていればよい。マイコン10は、図1に示すように、プリドライバ20および三相インバータ30を介してモータ40と接続されている。マイコン10は、ホールIC50が接続されている。モータ制御装置は、マイコン10に加えて、プリドライバ20、三相インバータ30、ホールIC50の少なくとも一つを備えていてもよい。図面では、プリドライバ20をPRD、三相インバータ30をINV、モータ40をM、ホールIC50をHICと記載している。
【0013】
モータ40は、例えば、ステータと、ロータと、ロータに取り付けられたシャフトなどを備えた三相モータである。ステータは、U相、V相、W相の三相を構成している。ステータのU相、V相、W相の各々は、マイコン10の制御により、電磁石で発生する磁界の極性が切り替えられることにより、いわゆる回転磁界を発生する。ロータには、ロータマグネットが設けられている。ロータマグネットは、ステータで生じた回転磁界によってロータを回転させる。ロータには、シャフトおよびファンが固定されている。シャフトおよびファンは、ロータの回転にともなって回転する。車両用空調ユニットは、ファンがシャフトとともに回転することにより送風が可能となる。なお、以下において、モータ40の回転はロータの回転と同意である。また、モータ40の加速とは、ロータの加速を示している。
【0014】
プリドライバ20は、マイコン10から入力されたPWM信号を増幅して、三相インバータ30の各スイッチング素子をスイッチングさせるための駆動信号を生成する。プリドライバ20は、駆動信号を各スイッチング素子に印加する。
【0015】
三相インバータ30は、例えば、スイッチング素子を六個用いたブリッジ回路を備えている。三相インバータ30は、プリドライバ20からの駆動信号に応じて、モータ40のステータの各相コイルに供給する電力を切り替える。
【0016】
ホールIC50は、モータ40の回転に応じて変化するセンサ信号を出力する。ホールIC50は、各相のステータコイルに応じたセンサ信号を出力するために、U相用のセンサ素子、V相用のセンサ素子、およびW相用のセンサ素子の3つのセンサ素子を備えている。よって、ホールIC50は、図6に示すように、U相、V相、W相のそれぞれにおけるパルス波のセンサ信号を出力する。ホールIC50は、回転センサに相当する。本実施形態では、回転センサとしてホールIC50を採用しているが、これに限定されない。
【0017】
<マイコン10の構成>
図1図2を用いてマイコン10の構成に関して説明する。マイコン10は、プロセッサ、メモリ装置16、入出力インタフェースなどを備えている。また、マイコン10は、タイマーやAD変換器などの周辺回路を備えていてもよい。メモリ装置16は、RAM161や不揮発性メモリ162を含んでいる。
【0018】
マイコン10は、プロセッサがメモリ装置16に記憶されたプログラムを実行する。プロセッサは、プログラムを実行することで、メモリ装置16に記憶されたデータや入出力インタフェースから入力されたデータなどを用いつつ演算処理を行う。マイコン10は、所定の制御周期でプロセッサが演算処理を実行する。制御周期は、例えば2msなどである。しかしながら、制御周期は、これに限定されない。制御周期は、所定周期に相当する。
【0019】
マイコン10は、演算処理を行うことで各種機能を実現できる。例えば、マイコン10は、演算処理の結果であるPWM信号を入出力インタフェースから出力することで、プリドライバ20を介してモータ40を制御する。また、マイコン10は、各種機能を備えているともいえる。図1では、マイコン10の各種機能を示す機能ブロックを示している。また、図1では、機能ブロックに加えて、メモリ装置16を図示している。
【0020】
指令速度算出部11は、上位ECUなどからの指令信号に基づいて指令回転速度を算出する。指令信号は、モータ40(ロータ)の回転速度に係る速度指令値を含む制御信号である。指令信号は、例えば車室内の操作部の操作に基づいて出力される。目標速度算出部12は、指令回転速度から目標値となる目標回転速度を算出し、その目標回転速度を減算器を介して演算処理部13に出力する。指令回転速度および目標回転速度は、モータ40におけるロータの回転速度に係る速度である。
【0021】
演算処理部13は、PI制御部131と電圧補償部132とを含んでいる。PI制御部131は、減算器によって演算された目標回転速度と実回転速度との偏差が入力される。PI制御部131は、その偏差に基づいてフィードバック制御(PI制御)を実行する。
【0022】
PI制御部131は、偏差にP(比例)制御の比例ゲインを乗ずることにより比例成分(比例項)を演算するとともに、偏差の積分値にI(積分)制御の積分ゲインを乗ずることにより積分成分(積分項)を演算する。そして、PI制御部131は、これら比例成分および積分成分を加算器にて加算することでデューティ比を演算し、そのデューティ比を電圧補償部132に出力する。実回転速度は、モータ速度算出部15で算出されたロータの実際の回転速度である。なお、PI制御部131の演算によって得られたデューティ比は、演算デューティ比やPI演算結果ともいえる。演算処理部13は、ホールIC50からのセンサ信号に基づいて、モータ40の回転位置を算出してもよい。
【0023】
電圧補償部132は、起動時デューティ比など、モータ出力電圧の生成に用いるデューティ比を出力する。電圧補償部132は、モータ40が回転を開始したと判定する前の期間や加速時においては、不揮発性メモリ162から読み出したオフセット値にPI演算結果を加算して、起動時デューティ比を生成する。そして、電圧補償部132は、起動時デューティ比を出力する。起動時デューティ比は、モータ40の制御開始時からの所定期間において、モータ40の起動時の応答性を改善するために生成されたデューティ比である。起動時デューティ比は、モータ40の起動に必要なトルクを発生させるためのデューティ比ともいえる。なお、電圧補償部132は、非加速時においては、PI演算結果をモータ出力電圧の生成に用いるデューティ比として出力する。以下、オフセット値をPIオフセット値(PIO)とも称する。
【0024】
なお、本実施形態では、一例として、各相用のセンサ素子のセンサ信号が2回変化するとモータ回転開始と判定する演算処理部13を採用する。これは、確実にモータ回転開始と判断するためである。しかしながら、本開示は、これに限定されない。演算処理部13は、例えば、各相用のセンサ素子のセンサ信号が1回変化するとモータ回転開始と判定してもよい。
【0025】
モータ40の制御開示から所定期間は、目標回転速度と実回転速度との乖離が生じることがある。図5には、指令信号に応じたモータ40の制御開始に対して、実際にモータ40が回転開始するタイミングが遅れている事例を示している。図5の上段は、目標回転速度の時間変化を二点鎖線で示し、実回転速度の時間変化を実線で示している。図5の下段は、PIデューティ比の時間変換を示している。
【0026】
このため、演算処理部13は、モータ40の制御開始から遅れて、モータ回転開始と判断することになる。タイミングt2は、モータ40の制御開示時から最初にセンサ信号が変化したタイミングである。この例では、モータ40の制御開示時からタイミングt2までの期間X[ms]の起動遅延が発生している。なお、タイミングt1は、PIオフセット値を読み出すタイミングである。タイミングt3は、各相用のセンサ素子のセンサ信号が2回変化してモータ回転開始と判定するタイミングである。モータ40の制御開示時から最初にセンサ信号が変化したタイミングである。
【0027】
このように、演算処理部13は、PWM信号のPIデューティ比を調整することによりモータ40の回転速度を制御する、所謂PWM制御によりモータ40の駆動制御を行うものである。さらに、演算処理部13は、PWM信号のPIデューティ比をPIオフセット値で補正して、モータ40の起動時の応答性を改善する。
【0028】
不揮発性メモリ162には、モータ40の起動時の応答性を改善するためのPIオフセット値が記憶されている。PIオフセット値は、起動時デューティ比が、モータ40が実際に回転開始したときのPIデューティ比となるように設定されている。PIオフセット値は、モータ40の実際の回転に応じた値である。しかしながら、PIオフセット値は、予め設定された値であってもよい。
【0029】
メモリ装置16は、図2に示すように、PIオフセット値の候補値である複数のPIデューティ比(PID)をメモリ配列に記憶している。各PIデューティ比は、PI制御部131で演算された、モータ40の回転に応じたPI演算結果である。複数のPIデューティ比は、例えば、メモリ装置16のRAM161に記憶される。
【0030】
演算処理部13は、モータ40の制御開始時からモータ40が回転を開始したと判定するまでの間において、PI制御部131が演算した複数のPIデューティ比をメモリ装置16のメモリ配列に記憶する。詳述すると、演算処理部13は、各相のセンサ信号が変化するタイミングごとに、そのタイミングで演算されているPIデューティ比を記憶する。また、演算処理部13は、センサ信号の変化タイミングと、センサ信号が変化したタイミングで算出されているPIデューティ比とを関連付けて記憶する。モータ40の制御開始時は、実際にモータ40の制御を開始したタイミング(時点)である。モータ40の制御開始は、モータ40の起動開始ともいえる。
【0031】
各相のセンサ信号が変化するタイミングは、例えば、図6のタイミングU1、V1、W1、U2、V2、W2(タイミング1~6)である。タイミングU1、V1、W1のそれぞれは、U相用のセンサ素子、V相用のセンサ素子、W相用のセンサ素子のそれぞれにおいて、センサ信号が1回目に変化したタイミングである。タイミングU2、V2、W2のそれぞれは、U相用のセンサ素子、V相用のセンサ素子、W相用のセンサ素子のそれぞれにおいて、センサ信号が2回目に変化したタイミングである。
【0032】
図2の例では、PIデューティ比として、タイミングU1で10%、タイミングV1で11%、タイミングW1で12%、タイミングU2で13%、タイミングV2で14%、タイミングW2で15%が記憶されている。図2では、タイミングU1をタイミング1、タイミングV1をタイミング2、タイミングW1をタイミング3、タイミングU2をタイミング4、タイミングV2をタイミング5、タイミングW2をタイミング6としている。
【0033】
そして、演算処理部13は、複数のPIデューティ比からPIオフセット値を選択する。言い換えると、演算処理部13は、複数のPIデューティ比から一つを選択し、選択したPCデューティ比をPIオフセット値として、不揮発性メモリ162に記憶する。このとき、演算処理部13は、実際のモータ40の制御開示時に最も近いタイミングで記憶されたPIデューティ比をPIオフセット値として記憶する。図2の例では、タイミングU1と関連付けられているPIデューティ比である10%をPIオフセット値として記憶する。よって、PIデューティ比やPIオフセット値は、変更(更新)可能な状態でメモリ装置16(不揮発性メモリ162)に記憶されているといえる。なお、モータ40を実際に回転させる前は、PIオフセット値のデフォルト値が記憶されている。
【0034】
モータ出力演算部14は、電圧補償部132で生成された起動時デューティ比に基づいて、三相インバータ30を制御するためのPWM信号を生成する。モータ出力演算部14は、生成したPWM信号をプリドライバ20に出力する。演算処理部13とモータ出力演算部14は、処理装置に相当する。
【0035】
モータ速度算出部15は、ホールIC50からのセンサ信号に基づいて、ロータの回転速度(実回転速度)を算出する。
【0036】
<処理動作>
図3図6を用いてマイコン10の処理動作に関して説明する。マイコン10は、電源オンで図3に示すフローチャート(メイン処理)の実行を開始する。また、マイコン10は、電源オンから電源オフになるまでの間、制御周期ごとに、図3に示すフローチャートの実行を開始する。なお、電源オンとは、マイコン10の動作電源の供給開始ともいえる。
【0037】
ステップS10では、PIオフセット値を読み出す。演算処理部13は、不揮発性メモリ162に記憶されているPIオフセット値を読み出す。演算処理部13は、図5のタイミングt1でPIオフセット値を読み出す。
【0038】
ステップS20では、モータ40が停止しているか否かを判定する。演算処理部13は、モータ40が停止していると判定するとステップS30へ進み、停止していると判定しないとステップS40へ進む。これは、モータ40が動き出してからのPIデューティ比を不揮発性メモリ162に記憶するためである。演算処理部13は、ホールIC50からのセンサ信号に基づいてモータ40が停止しているか否かを判定する。演算処理部13は、各相用のセンサ素子のセンサ信号が2回変化するまでは停止していると判定し、2回変化した場合に停止していると判定しない。
【0039】
ステップS30では、回転開始フラグをオフに設定する。演算処理部13は、回転開始フラグをオフに設定する。回転開始フラグは、メモリ装置16の一部に設けられている。
【0040】
ステップS40では、目標回転速度を取得する。指令速度算出部11は、指令回転速度を算出する。目標速度算出部12は、指令回転速度から目標値となる目標回転速度を算出する。つまり、目標速度算出部12は、演算によって目標回転速度を取得する。
【0041】
ステップS50では、目標回転速度の設定処理を行う。演算処理部13は、所定の加速度で速度を上昇させるために、制御周期ごとに到達させる目標回転速度を設定する。
【0042】
ステップS60では、PI演算処理を行う。演算処理部13は、PI演算処理を行う。PI演算処理に関しては、後ほど図4を用いて説明する。
【0043】
ステップS70では、モータ出力を更新する。モータ出力演算部14は、電圧補償部132から出力されたデューティ比に基づいて、三相インバータ30を制御するためのPWM信号を生成して、PWM信号をプリドライバ20に出力する。電圧補償部132から出力されるデューティ比は、後ほど説明するステップS61やステップS63で更新される。よって、モータ出力演算部14は、電圧補償部132から出力されたデューティ比に基づいて生成したPWM信号を出力することでモータ出力を更新することになる。
【0044】
ここで、図4を用いてPI演算処理に関して説明する。演算処理部13は、制御周期ごとに、図4のフローチャートに示す処理を実行する。
【0045】
ステップS61では、目標回転速度と実回転速度を用いてPI演算を行う(算出ステップ)。PI制御部131は、上記のように、目標回転速度と実回転速度とを用いてPI演算結果を算出する。なお、演算処理部13は、上記のように、モータ40の制御開始時からモータ40が回転を開始したと判定するまでの間において、各相のセンサ信号が変化するタイミングごとに、PI演算結果(PIデューティ比)をメモリ装置16のメモリ配列に記憶する。
【0046】
ステップS62では、加速時であるか否かを判定する。演算処理部13は、ステップS50で設定した目標回転速度に基づいて加速時であるか否かを判定する。演算処理部13は、モータ40が加速時であると判定するステップS63に進む。演算処理部13は、モータ40が加速時であると判定しないと図4のフローチャートを終了する。
【0047】
ステップS63では、PI演算結果として、PI演算結果にPIオフセット値を加算した値とする(生成ステップ)。つまり、電圧補償部132は、ステップS61で算出されたPI演算結果に、ステップS10で読み出したPIオフセット値を加算して、新たなPI演算結果とする。言い換えると、電圧補償部132は、ステップS61で算出したPI演算結果にPIオフセット値を加算することで、モータ出力電圧の生成に用いるデューティ比を補正する。新たなPI演算結果は、起動時デューティ比である。
【0048】
このため、電圧補償部132は、加速時であると判定しない場合(非加速時)、モータ出力電圧の生成に用いるデューティ比として、ステップS61のPI演算結果を出力する一方、電圧補償部132は、加速時であると判定した場合、モータ出力電圧の生成に用いるデューティ比として、ステップS63で算出した新たなPI演算結果を出力する。また、モータ40が回転を開始したと判定する前の期間においてはモータ40を加速させている。よって、電圧補償部132は、モータ40が回転を開始したと判定する前の期間では加速時と判定することになる。よって、電圧補償部132は、モータ40が回転を開始したと判定する前の期間においては、モータ出力電圧の生成に用いるデューティ比として、ステップS63で算出した新たなPI演算結果を出力する。
【0049】
ステップS64では、モータ回転開始を判定する(開始判定ステップ)。演算処理部13は、センサ信号に基づいてモータ40が回転を開始したことを判定する。本実施形態の演算処理部13は、各相用のセンサ素子のセンサ信号が2回変化するとモータ回転開始と判定する。
【0050】
ステップS65では、PIオフセット値の保存タイミングであるか否かを判定する。演算処理部13は、ステップS64でモータ回転開始と判断し、さらに、回転開始フラグにオフが設定されている判定すると、PIオフセット値の保存タイミングとみなしてステップS66へ進む。一方、演算処理部13は、ステップS64でモータ回転開始と判断し、さらに、回転開始フラグにオフが設定されていると判定しないと、PIオフセット値の保存タイミングでないとみなして図4のフローチャートを終了する。ステップS66でYES判定した場合は、モータ回転開始との判断前の分岐ともいえる。一方、ステップS66でNO判定した場合は、モータ回転開始と判断後の分岐ともいえる。
【0051】
ステップS66では、回転開始フラグをオンに設定する。演算処理部13は、回転開始フラグをオンに設定する。つまり、演算処理部13は、回転開始フラグをオフからオンに切り替える。
【0052】
ステップS67では、PIオフセット値候補のPIデューティ比を取得する(取得ステップ)。本実施形態では、一例として、RAM161からPIオフセット値候補のPIデューティ比を読み出す例を採用する。演算処理部13は、RAM161に記憶されている複数のPIデューティ比から最初にセンサ信号に変化があったPIデューティ比を、PIオフセット値候補として読み出す。例えば、演算処理部13は、図5のタイミングt3で、タイミングt2におけるPIオフセット値を読み出す。読み出したPIデューティ比は、PIオフセット値として不揮発性メモリ162に記憶するPIデューティ比に相当する。
【0053】
ステップS68では、PID-PIO>±閾値[%]を判定する(判定ステップ)。ここでのPIDは、ステップS67で取得したPIデューティ比である。PIOは、ステップS10で読み出したPIオフセット値である。よって、演算処理部13は、不揮発性メモリ162に記憶されているPIオフセット値と、ステップ67にて取得したPIデューティ比との差分が閾値を超えているか否かを判定する。閾値は、予め設定された値である。
【0054】
演算処理部13は、PID-PIO>±閾値と判定すると、PIOを更新する必要があるとみなしてステップS69へ進む。一方、演算処理部13は、PID-PIO>±閾値と判定しないと、PIOを更新する必要がないとみなして図4のフローチャートを終了する。なお、ステップS68は、省略することもできる。つまり、演算処理部13は、ステップS67を実行するたびにステップS69を行ってもよい。
【0055】
ステップS69では、PIデューティ比をPIオフセット値として記憶する(記憶ステップ)。演算処理部13は、差分が閾値を超えていることを条件として、ステップS67で取得したPIデューティ比をPIオフセット値として不揮発性メモリ162に記憶する。言い換えると、演算処理部13は、不揮発性メモリ162に記憶されているPIオフセット値を、ステップS67で取得したPIデューティ比に更新する。これによって、マイコン10は、不揮発性メモリ162の書換え回数が増えることを抑制できる。言い換えると、マイコン10は、不揮発性メモリ162への書込み頻度を抑制できる。
【0056】
なお、マイコン10が提供する手段および/または機能は、実体的なメモリ装置16に記録されたソフトウェアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、マイコン10がハードウェアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、またはアナログ回路によって提供することができる。
【0057】
<効果>
以上のように、マイコン10は、不揮発性メモリ162から読み出したPIオフセット値を、算出したPIデューティ比に加算して起動時デューティ比を生成する。このため、マイコン10は、モータ40の制御開始時に必要なトルクが不足することを抑制でき、モータ40の制御開始時における応答性を改善できる。また、マイコン10は、使用される環境によるモータ40の特性変化や経年劣化による負荷増加が生じた場合でも応答性を改善できる。
【0058】
また、マイコン10は、実際にモータ40を回転させた場合のPIデューティ比をPIオフセット値として採用している。よって、マイコン10は、使用される環境によるモータ40の特性変化や経年劣化による負荷増加の影響をより一層低減でき、制御開始時における応答性を改善できる。
【0059】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本開示のその他の形態として、第2実施形態に関して説明する。上記実施形態および第2実施形態は、それぞれ単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。本開示は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【0060】
(第2実施形態)
図7図9を用いて、第2実施形態のモータ制御装置に関して説明する。本実施形態では、主に、第1実施形態との相違点に関して説明する。本実施形態のモータ制御装置は、第1実施形態と同様の構成を有している。本実施形態では、マイコン10(演算処理部13)によるPIオフセット値として記憶するデューティ比を取得する方法が第1実施形態と異なる。
【0061】
図7図9では、目標回転速度の時間変化を二点鎖線、プログラム認識回転速度の時間変化を破線、実回転速度の時間変化を実線で示している。タイミングt10は、モータ40の実際の起動タイミングである。タイミングt11は、モータ40が回転を開始したとマイコン10が判定したタイミングである。モータ40の起動は、モータ40が実際に回転し始めたことを意味している。
【0062】
演算処理部13は、ステップS67において、モータ40が実際に回転を開始したときの目標回転速度と実回転速度との偏差積分値と、積分項の定数との乗算によってPIオフセット値として記憶するPIデューティ比を取得する(取得ステップ)。積分項の定数は、積分ゲインである。
【0063】
なお、演算処理部13は、ステップS68を実行する場合、ここで取得したPIデューティ比を記憶させない場合もある。よって、PIオフセット値として記憶するPIデューティ比は、PIオフセット値候補のPIデューティ比ともいえる。また、演算処理部13は、ステップS68を実行しなくてもよい。この場合、ここで取得したPIデューティ比は、不揮発性メモリ162に記憶されるPIオフセット値ともいえる。以下においては、PIオフセット値として記憶するPIデューティ比を単にPIオフセット値とも称する。
【0064】
まず、演算処理部13は、実偏差積分値(ADIV)をメモリ装置16に記憶する。図7の下段に示すように、実偏差積分値は、モータ40が回転を開始したと判定した時の偏差積分値である。
【0065】
次に、演算処理部13は、時間Aを推定する。時間Aは、図7の上段に示す時間である。時間Aは、モータ40の実際の起動タイミング(t10)から、モータ回転開始時速度(SV)に到達(t11)するまでの経過時間である。時間Aは、モータ40が回転を開始したと判定した時のプログラム認識回転速度であるモータ回転開始時速度(SV)と、設定したモータ加速度(SA)とから推定する。プログラム認識回転速度は、マイコン10が認識している速度である。設定したモータ加速度は、上位ECUなどから、指令信号とともに指示される。演算処理部13は、モータ回転開始時速度(SV)/設定したモータ加速度(SA)を演算することで時間Aを推定する。
【0066】
ここで、演算処理部13は、理想偏差積分値(IDIV)を算出する。理想偏差積分値は、図8に示すように、モータ40の起動遅れがない場合の理想的な偏差積分値である。理想偏差積分値は、モータ40の実際に起動してから、モータ40が回転を開始したとマイコン10が判定するまでの偏差積分値である。演算処理部13は、速度偏差(VDEV)×時間A/制御周期、を演算することで理想偏差積分値を算出する。速度偏差は、図9に示すように、モータ40の加速に伴って制御周期毎に発生する。速度偏差は、モータ加速度×制御周期で表すことができる。
【0067】
また、演算処理部13は、起動時偏差積分値(SDIV)を算出する。起動時偏差積分値は、実際にモータ40が起動した時の偏差積分値である。演算処理部13は、実偏差積分値から理想偏差積分値を減算することで、起動時偏差積分値を算出する。
【0068】
そして、演算処理部13は、PIオフセット値を算出する。演算処理部13は、起動時偏差積分値からPIオフセット値を算出する。詳述すると、演算処理部13は、P項定数×回転速度偏差+I項定数×起動時偏差積分値を演算することでPIオフセット値を算出する。実際のモータ起動時は、速度偏差が0である。よって、演算処理部13は、I項定数×起動時偏差積分値、を演算することでPIオフセット値を算出する。P項定数は、比例ゲインである。
【0069】
このように、第2実施形態のマイコン10は、演算によってPIオフセット値を算出(取得)することができる。なお、第2実施形態のモータ制御装置は、第1実施形態のモータ制御装置と同様の効果を奏することができる。
【0070】
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範畴や思想範囲に入るものである。
【0071】
開示されている技術的思想
この明細書は、以下に列挙された複数の項に記載された複数の技術的思想を開示しており、かつ、後続の技術的思想において先行する技術的思想を択一的に引用することにより示された複数の組み合わせ技術的思想を開示している。
【0072】
技術的思想1
モータ(40)を制御するモータ制御装置であって、
デューティ比に基づいてモータ出力電圧を生成し、生成した前記モータ出力電圧によって前記モータを制御する処理装置(13、14)と、
前記デューティ比に加算するためのオフセット値が記憶されたメモリ装置(16)と、を備え、
前記処理装置は、
所定周期で前記モータの目標回転速度と前記モータの実際の回転速度である実回転速度とを用いて前記デューティ比を算出する算出ステップ(S61)と、
前記メモリ装置から前記オフセット値を読み出して、算出した前記デューティ比に加算することで、前記モータの制御開始時における前記モータ出力電圧の生成に用いる前記デューティ比である起動時デューティ比を生成する生成ステップ(S63)と、を備えているモータ制御装置。
【0073】
技術的思想2
前記モータの回転に応じて変化するセンサ信号を出力する回転センサ(50)と電気的接続されており、
前記処理装置は、前記モータの制御開始時から最初に前記センサ信号が変化した際の前記デューティ比を前記オフセット値として前記メモリ装置に記憶する記憶ステップ(S69)を、備えている技術的思想1に記載のモータ制御装置。
【0074】
技術的思想3
前記処理装置は、
前記センサ信号に基づいて前記モータが回転を開始したことを判定する開始判定ステップ(S64)と、
前記オフセット値として前記メモリ装置に記憶する前記デューティ比を取得する取得ステップ(S67)と、を備え、
前記モータの制御開始時から前記モータが回転を開始したと判定するまでの間において、前記センサ信号が変化するたびに、前記センサ信号の変化タイミングと、前記センサ信号が変化したタイミングで算出されている前記デューティ比とを関連付けて前記メモリ装置に記憶し、
前記取得ステップは、前記モータの制御開始時から最初に前記センサ信号が変化した際の前記デューティ比を前記メモリ装置から取得し、
前記記憶ステップでは、前記取得ステップで取得された前記デューティ比を前記オフセット値として前記メモリ装置に記憶する、技術的思想2に記載のモータ制御装置。
【0075】
技術的思想4
前記処理装置は、
前記算出ステップでは、前記目標回転速度と前記実回転速度との偏差に応じて比例項および積分項を用いて前記デューティ比を算出するものであり、
前記モータが実際に回転を開始したときの前記目標回転速度と前記実回転速度との偏差積分値と、前記積分項の定数との乗算によって前記オフセット値として記憶する前記デューティ比を取得する取得ステップ(S67)を備え、
前記記憶ステップでは、前記取得ステップで取得された前記デューティ比を前記オフセット値として前記メモリ装置に記憶する、技術的思想2に記載のモータ制御装置。
【0076】
技術的思想5
前記処理装置は、
前記メモリ装置に記憶されている前記オフセット値と、前記取得ステップにて取得した前記デューティ比との差分が閾値を超えているか否かを判定する判定ステップ(S68)を備え、
前記記憶ステップでは、前記差分が前記閾値を超えていることを条件として、前記取得ステップにて取得した前記デューティ比を前記オフセット値として前記メモリ装置に記憶する、技術的思想3または技術的思想4に記載のモータ制御装置。
【0077】
技術的思想6
前記オフセット値は、前記起動時デューティ比が、前記モータが実際に回転開始したときの前記デューティ比となるように設定されている技術的思想1~5のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
【符号の説明】
【0078】
10…マイコン、11…指令速度算出部、12…目標速度算出部、13…演算処理部、131…PI制御部、132…電圧補償部、14…モータ出力演算部、15…モータ速度算出部、16…不揮発性メモリ、20…プリドライバ、30…三相インバータ、40…モータ、50…ホールIC
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9