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特開2023-175456搬送制御装置および薬剤取出支援装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175456
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】搬送制御装置および薬剤取出支援装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087902
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】藤川 貴介
(72)【発明者】
【氏名】大倉 一将
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047JJ06
4C047JJ07
4C047JJ11
4C047JJ31
4C047KK25
(57)【要約】
【課題】薬剤収容部を搬送する装置の大型化を抑制する。
【解決手段】薬剤取出支援装置(1)では、薬剤収容部(100)に対して、取出位置(30)に搬送される順番が設定されている。薬剤収容部(100)の1つである第1薬剤収容部には複数の前記順番が設定されており、任意の順番を第1の順番、第1の順番の次に取出位置(30)に搬送される順番を第2の順番とし、第1薬剤収容部とは別の薬剤収容部を第2薬剤収容部とした場合、第1の順番において取出位置(30)に搬送される第1薬剤収容部の、薬剤取出完了後の位置を、第1の順番と第2の順番との間において取出位置(30)に搬送される第2薬剤収容部の個数に応じて制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を収容する複数の薬剤収容部に対して、薬剤が前記薬剤収容部から取出される取出位置に搬送される順番が設定されており、
前記複数の薬剤収容部の1つである第1薬剤収容部には複数の前記順番が設定されており、
前記複数の順番のうちの任意の順番を第1の順番とし、前記第1の順番の次に前記第1薬剤収容部が取出位置に搬送される順番を第2の順番とし、前記第1薬剤収容部とは別の薬剤収容部を第2薬剤収容部とした場合、
前記第1の順番において前記取出位置に搬送される第1薬剤収容部の、薬剤取出完了後の位置を、前記第1の順番と前記第2の順番との間において前記取出位置に搬送される前記第2薬剤収容部の個数に応じて制御する、搬送制御装置。
【請求項2】
前記薬剤収容部を、(i)前記薬剤収容部が複数保管される保管位置と、前記取出位置と前記保管位置との間に設けられた待機位置との間、および(ii)前記待機位置と前記取出位置との間において搬送する、請求項1に記載の搬送制御装置。
【請求項3】
前記個数が1以上かつ規定数以内である場合、薬剤取出完了後の前記第1薬剤収容部を前記待機位置に待機させる、請求項2に記載の搬送制御装置。
【請求項4】
薬剤取出完了後の前記第1薬剤収容部の、前記保管位置への搬送中に、当該搬送中の前記第1薬剤収容部を、前記保管位置から前記待機位置まで搬送する搬送指示を受付けた場合、当該搬送中の前記第1薬剤収容部を、前記保管位置への搬送対象から、前記待機位置への待機対象へと切り替える、請求項2に記載の搬送制御装置。
【請求項5】
前記個数が規定数を超えている場合、薬剤取出完了後の前記第1薬剤収容部を、前記待機位置に待機させることなく前記保管位置に搬送する、請求項2に記載の搬送制御装置。
【請求項6】
前記個数が0である場合、薬剤取出完了後の前記第1薬剤収容部を、前記取出位置に待機させる、請求項1に記載の搬送制御装置。
【請求項7】
前記薬剤収容部が複数保管される保管位置と前記取出位置との間に待機位置が設けられており、前記待機位置に待機可能な前記薬剤収容部の数を待機可能数とし、
前記個数が1以上かつ前記待機可能数未満である場合、薬剤取出完了後の前記第1薬剤収容部を、前記待機位置に待機させる、請求項1に記載の搬送制御装置。
【請求項8】
医師の処方に従ってグループ化されている複数種類の薬剤の取出順序は予め決められており、
第1グループに含まれる第1薬剤を収容する第1薬剤収容部が、前記第1の順番において前記取出位置に搬送される場合、
(i)前記第1の順番と、(ii)前記第1薬剤を少なくとも一部として含む第2グループにおいて最初に取出される薬剤を収容する薬剤収容部の、前記取出位置に搬送されるときの前記順番との間において、前記取出位置に搬送される前記第2薬剤収容部の個数が、前記待機可能数未満である場合に、薬剤取出完了後の前記第1薬剤収容部を、前記待機位置に待機させる、請求項7に記載の搬送制御装置。
【請求項9】
医師の処方に従ってグループ化されている複数種類の薬剤について、第1グループに含まれる薬剤の取出しが完了した後に取出される薬剤を含み、かつ前記第1グループに含まれる薬剤と同種の薬剤を少なくとも一部として含む第2グループにおける薬剤の取出順序は、前記第1グループにおいて取り出された薬剤の取出順序に応じて決定され、
前記第1グループに含まれる第1薬剤を収容する第1薬剤収容部が、前記第1の順番において前記取出位置に搬送される場合、
前記第1薬剤の取出しが完了した時点において、
(i)前記第1の順番と、(ii)前記第1薬剤を含む前記第2グループにおいて最初に取出される薬剤を収容する薬剤収容部の、前記取出位置に搬送されるときの前記順番との間において、前記取出位置に搬送される前記第2薬剤収容部の個数が、前記待機可能数未満である場合に、薬剤取出完了後の前記第1薬剤収容部を、前記待機位置に待機させる、請求項7に記載の搬送制御装置。
【請求項10】
前記個数が前記待機可能数以上である場合、薬剤取出完了後の前記第1薬剤収容部を、前記待機位置に待機させることなく前記保管位置に搬送する、請求項7に記載の搬送制御装置。
【請求項11】
前記個数が0である場合、薬剤取出完了後の前記第1薬剤収容部を、前記取出位置に待機させる、請求項7に記載の搬送制御装置。
【請求項12】
各薬剤収容部から薬剤を取出す薬剤取出作業要求に応じて、前記各薬剤収容部に順番が設定されており、
2回以上の薬剤取出作業要求がある1つの第1薬剤収容部には、それぞれの順番が設定されており、
前記第1薬剤収容部に設定されているある順番の薬剤取出作業完了後の前記第1薬剤収容部の位置を、前記ある順番と前記第1薬剤収容部に設定されているその次の順番との間の順番が設定されている薬剤収容部の個数に応じて制御する、搬送制御装置。
【請求項13】
薬剤を収容する複数の薬剤収容部のそれぞれに対して、薬剤が取出される取出位置への搬送前に薬剤収容部を一時的に待機させる待機位置へ搬送される順番が設定されており
前記複数の薬剤収容部の1つである第1薬剤収容部には複数の前記順番が設定されており、
前記複数の順番のうちの任意の順番を第1の順番とし、前記第1の順番の次に前記第1薬剤収容部が待機位置に搬送される順番を第2の順番とし、前記第1収容部とは別の薬剤収容部を第2薬剤収容部とした場合、
前記第1の順番において前記待機位置に搬送された後、前記取出位置に搬送される前記第1薬剤収容部の、薬剤取出完了後の位置を、(i)前記第2の順番と、(ii)前記待機位置への搬送があった前記第2薬剤収容部に設定された、当該搬送に対応する前記順番のうちの最後の順番と、に基づいて制御する、搬送制御装置。
【請求項14】
前記第2の順番が、前記最後の順番と連続した順番である場合、薬剤取出完了後の前記第1薬剤収容部を、前記待機位置に待機させる、請求項13に記載の搬送制御装置。
【請求項15】
前記第2の順番が、前記最後の順番と連続した順番でない場合、薬剤取出完了後の前記第1薬剤収容部を、前記待機位置に待機させることなく、前記薬剤収容部が複数保管される保管位置に搬送する、請求項13に記載の搬送制御装置。
【請求項16】
各薬剤収容部から薬剤を取出す薬剤取出作業要求に応じて、前記各薬剤収容部に順番が設定されており、
薬剤取出作業には、薬剤取出前に行われる薬剤収容部の待機位置への搬送が含まれており、
2回以上の薬剤取出作業要求がある1つの第1薬剤収容部には、それぞれの順番が設定されており、
前記第1薬剤収容部に設定されているある順番の薬剤取出作業完了後の前記第1薬剤収容部の位置を、前記第1薬剤収容部に設定されている、前記ある順番の次の順番と、前記待機位置への搬送があった順番とに応じて制御する、搬送制御装置。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載の搬送制御装置を備える薬剤取出支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、搬送制御装置および薬剤取出支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、薬剤を払出す薬剤払出装置または薬剤の取出しを支援する薬剤取出支援装置が開発されている。このような装置においては、薬剤を払出す(取出す)ために必要な時間を短縮することが望まれる。
【0003】
特許文献1には、薬剤を収容する薬剤収容部を保管する保管位置、薬剤収容部から薬剤が取出される受渡位置、および保管位置から受渡位置へ向かう薬剤収容部を待機させる待機位置が設けられた薬剤払出装置が開示されている。この薬剤払出装置は、受渡位置へ搬送される薬剤収容部に収容されている薬剤が次回の調剤で用いられない場合、当該薬剤が収容される薬剤収容部を待機位置から保管位置へ戻す。また、受渡位置へ搬送される薬剤収容部に収容されている薬剤が次回の調剤で用いられる場合には、当該薬剤を収容する薬剤収容部を次回の調剤まで待機位置で待機させる。これにより、薬剤の払出しの所要時間を短縮している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-151377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の薬剤払出装置は、薬剤収容部に収容されている薬剤が次回の調剤で用いられる場合、当該薬剤を収容する薬剤収容部を次回の調剤まで待機位置で待機させる。今回の調剤のための処方データに含まれる薬剤のうち、X種類の薬剤が次回の調剤のための処方データに含まれる場合、待機位置はX個必要となる。よって、多様な調剤に対応するためには、十分な数の待機位置を確保する必要が生じ、薬剤払出装置が大型化する懸念がある。
【0006】
本発明の一態様は、薬剤収容部を搬送する装置(例えば薬剤払出装置)の大型化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る搬送制御装置は、薬剤を収容する複数の薬剤収容部に対して、薬剤が前記薬剤収容部から取出される取出位置に搬送される順番が設定されており、前記複数の薬剤収容部の1つである第1薬剤収容部には複数の前記順番が設定されており、前記複数の順番のうちの任意の順番を第1の順番とし、前記第1の順番の次に前記第1薬剤収容部が取出位置に搬送される順番を第2の順番とし、前記第1薬剤収容部とは別の薬剤収容部を第2薬剤収容部とした場合、前記第1の順番において前記取出位置に搬送される第1薬剤収容部の、薬剤取出完了後の位置を、前記第1の順番と前記第2の順番との間において前記取出位置に搬送される前記第2薬剤収容部の個数に応じて制御する。
【0008】
本発明の他の一態様に係る搬送制御装置は、各薬剤収容部から薬剤を取出す薬剤取出作業要求に応じて、前記各薬剤収容部に順番が設定されており、2回以上の薬剤取出作業要求がある1つの第1薬剤収容部には、それぞれの順番が設定されており、前記第1薬剤収容部に設定されているある順番の薬剤取出作業完了後の前記第1薬剤収容部の位置を、前記ある順番と前記第1薬剤収容部に設定されているその次の順番との間の順番が設定されている薬剤収容部の個数に応じて制御する。
【0009】
本発明の他の一態様に係る搬送制御装置は、薬剤を収容する複数の薬剤収容部のそれぞれに対して、薬剤が取出される取出位置への搬送前に薬剤収容部を一時的に待機させる待機位置へ搬送される順番が設定されており、前記複数の薬剤収容部の1つである第1薬剤収容部には複数の前記順番が設定されており、前記複数の順番のうちの任意の順番を第1の順番とし、前記第1の順番の次に前記第1薬剤収容部が待機位置に搬送される順番を第2の順番とし、前記第1収容部とは別の薬剤収容部を第2薬剤収容部とした場合、前記第1の順番において前記待機位置に搬送された後、前記取出位置に搬送される前記第1薬剤収容部の、薬剤取出完了後の位置を、(i)前記第2の順番と、(ii)前記待機位置への搬送があった前記第2薬剤収容部に設定された、当該搬送に対応する前記順番のうちの最後の順番と、に基づいて制御する。
【0010】
本発明の他の一態様に係る搬送制御装置は、各薬剤収容部から薬剤を取出す薬剤取出作業要求に応じて、前記各薬剤収容部に順番が設定されており、薬剤取出作業には、薬剤取出前に行われる薬剤収容部の待機位置への搬送が含まれており、2回以上の薬剤取出作業要求がある1つの第1薬剤収容部には、それぞれの順番が設定されており、前記第1薬剤収容部に設定されているある順番の薬剤取出作業完了後の前記第1薬剤収容部の位置を、前記第1薬剤収容部に設定されている、前記ある順番の次の順番と、前記待機位置への搬送があった順番とに応じて制御する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、薬剤収容部を搬送する装置(例えば薬剤払出装置)の大型化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態1に係る薬剤取出支援装置の概略的な構成を示す模式図である。
図2】上記薬剤取出支援装置の電気的構成を示すブロック図である。
図3】調剤の区切りを考慮した薬剤収容部の搬送制御を説明するための図である。
図4】本発明の実施形態1に係る搬送制御装置による薬剤収容部の搬送制御を説明するための図である。
図5】本発明の実施形態1に係る搬送制御装置による処理の一例を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態2に係る薬剤取出支援装置の概略的な構成を示す模式図である。
図7】上記薬剤取出支援装置の電気的構成を示すブロック図である。
図8】本発明の実施形態2に係る搬送制御装置による処理の一例を示すフローチャートである。
図9】動作例1を時系列で示した図である。
図10】動作例2を時系列で示した図である。
図11】本発明の実施形態3に係る薬剤取出支援装置の電気的構成を示すブロック図である。
図12】本発明の実施形態3に係る搬送制御装置による処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態1〕
<薬剤取出支援装置1の構成>
図1は、薬剤取出支援装置1の概略的な構成を示す模式図である。薬剤取出支援装置1は、保管位置10に保管された薬剤を取出位置30から取出すことを可能とする装置である。図1に示すように、薬剤取出支援装置1は、例えば、保管位置10、待機位置20、取出位置30および搬送装置40を有している。薬剤取出支援装置1は、薬剤取出作業要求に応じて、保管位置10に保管された薬剤を取出位置30へと搬送することにより、取出位置30からの薬剤の取出しを可能とする。当該薬剤取出作業要求は、例えば、医師が患者に対して交付する処方箋に記載された処方情報、又は使用者による入力操作に基づく、薬剤取出支援装置1(後述する制御部51)に対する動作要求である。具体的には、薬剤取出作業要求は、処方データにおける薬剤の並び順(処方の受付順)に基づく、取出位置30において薬剤を取出すための、各薬剤収容部100についての搬送要求である。処方情報は、例えば、薬剤名、分量、用法および用量を含む薬剤情報を含む。処方情報は、処方データとして、薬剤取出支援装置1の上位システム(不図示)から送信される。
【0014】
医師の処方に対応する複数種類の薬剤は、グループ化されていてよい。複数の薬剤は、処方単位で調剤(薬剤取出支援装置1からの取出)が行われ得る。そのため、複数の薬剤によって形成されるグループは、1つの処方に含まれる薬剤から構成され得る。あるいは、複数の薬剤によって形成されるグループは、1つの処方を細分化した単位であってもよい。処方に従って区分された少なくとも1つの薬剤を含むグループ(薬剤グループ)を調剤単位と称し、各グループの区切りを調剤の区切りと称する。
【0015】
本実施形態では、上述した薬剤等は、少なくとも1種類の薬剤を収容可能な薬剤収容部100に収容されている。薬剤収容部100には、複数種類の薬剤が収容されてもよく、1つの処方で調剤される薬剤数よりも多い数の薬剤が収容されていてもよい。本実施形態では、薬剤収容部100がカセットであるものとして説明する。
【0016】
保管位置10は、少なくとも1つの薬剤収容部100を保管する場所である。保管位置10には、薬剤として、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、軟膏若しくは目薬等の外用薬、散薬、又は水剤、薬剤シート(例:PTP((Press Through Package))、薬剤を分包した分包品、又は、アンプル若しくはバイアルが保管されてもよい。あるいは、保管位置10には、薬剤取出支援装置1とは異なる装置から払出された薬剤が保管されてもよい。
【0017】
待機位置20は、保管位置10と取出位置30との間に設けられている。待機位置20は、保管位置10から搬送され、取出位置30へ受け渡される薬剤収容部100(取出位置30への搬送前の薬剤収容部100)を、一時的に待機させる場所である。また、待機位置20は、取出位置30から搬送され、保管位置10へ返却される薬剤収容部100を、一時的に待機させる場所である。
【0018】
待機位置20は、薬剤収容部100を載置可能な載置部21を複数有していてよい。これにより、待機位置20に、複数の薬剤収容部100を待機させることが可能となる。但し、待機位置20には、少なくとも1つの載置部21が設けられていればよい。また、載置部21の数は、待機位置20に待機可能な薬剤収容部100の数である待機可能数と称してもよい。
【0019】
待機位置20は、保管位置10から搬送された薬剤収容部100を一時的に待機させる少なくとも1つの第1載置部と、取出位置30から搬送された薬剤収容部100を一時的に待機させる少なくとも1つの第2載置部と、を別々に有していてもよい。但し、待機位置20が第1載置部と第2載置部とを有していなくてもよく、取出位置30から搬送された薬剤収容部100が、当該薬剤収容部100が載置されていた元の載置部21に搬送されてもよい。
【0020】
取出位置30は、薬剤収容部100に収容されている薬剤が薬剤収容部100から取出される場所である。取出位置30における薬剤の取出しは、薬剤取出支援装置1を使用する使用者により行われる。使用者は、薬剤師、看護師又は医師等の資格を有しない無資格者であっても、当該資格を有する有資格者であってもよい。但し、薬剤取出支援装置1は、取出位置30において、薬剤収容部100から薬剤を取出す薬剤取出装置を備えていてもよい。
【0021】
本実施形態において、取出位置30には、薬剤収容部100から薬剤を取出すための開口と、紙面上下方向に開閉することにより当該開口を開閉するスライド方式のシャッター31が設けられている。シャッター31は通常閉状態であり、薬剤収容部100が当該位置に搬送された状態において開状態となる。取出位置30に、閉ボタン(不図示)が設けられてもよい。この場合、閉ボタンが押下されたときに、シャッター31が閉状態となってよい。
【0022】
薬剤取出支援装置1は、取出位置30を複数有していてもよい。例えば、薬剤取出支援装置1は、処方データに示される薬剤が搬送される取出位置30と、使用者による入力操作に基づいた薬剤の取出しを可能とする取出位置30と、を有していてよい。また例えば、薬剤取出支援装置1は、互いに異なる複数の処方データを受信した場合に(例えば患者毎に処方データを受信した場合に)、処方データ毎に取出位置30を割り当ててもよい。
【0023】
なお、薬剤取出支援装置1は、取出位置30において、薬剤の取出しを可能とする装置であるものとして説明するが、取出位置30において、薬剤収容部100への薬剤の充填を可能とする装置として機能してもよい。この場合、薬剤の充填についても、使用者により行われてもよいし、取出位置30において薬剤を薬剤収容部100に充填する薬剤充填装置により行われてもよい。他の実施形態においても同様である。
【0024】
本実施形態では、図1に示すように、搬送装置40は、第1搬送装置41および第2搬送装置42を有している。第1搬送装置41は、保管位置10と待機位置20との間において薬剤収容部100を搬送する装置である。第2搬送装置42は、待機位置20と取出位置30との間において薬剤収容部100を搬送する装置である。但し、保管位置10と待機位置20との間、および、待機位置20と取出位置30との間における薬剤収容部100の搬送は、1つの搬送装置により行われてもよい。
【0025】
また本実施形態では、第1搬送装置41が、保管位置10の内部における薬剤収容部100の搬送(保管位置10からの薬剤収容部100の取出しおよび保管位置10への薬剤収容部100の保管)を行っているが、これに限られない。第1搬送装置41とは別の装置が当該搬送を行ってもよい。
【0026】
図2は、薬剤取出支援装置1の電気的構成を示すブロック図である。図2に示すように、薬剤取出支援装置1は、さらに、搬送制御装置50およびタッチパネル60を有してよい。搬送制御装置50は、搬送装置40を制御することにより、保管位置10に保管された薬剤の搬送を制御する装置である。本実施形態では、搬送制御装置50は、第1搬送装置41および第2搬送装置42を制御する。タッチパネル60は、種々の情報を表示する表示装置として機能すると共に、使用者による入力操作を受付ける入力装置として機能する。
【0027】
<搬送制御装置50の構成>
搬送制御装置50は、例えば、制御部51および記憶部55を備えている。記憶部55は、例えば、薬剤収容部100と、薬剤収容部100に収容された薬剤の種類とを対応付けたデータ、および、各薬剤収容部100の保管位置を示すデータが記憶されている。
【0028】
制御部51は、例えば、取出順管理部511、算出部512、個数判定部513、搬送制御部514、シャッター制御部515、入出力制御部516、および搬送順管理部517を備えている。
【0029】
取出順管理部511は、受信した処方データ、又は、使用者による入力操作に基づき、取出位置30から取出す、複数種類の薬剤についての取出順序を管理する。例えば、取出順管理部511は、処方データにおける薬剤の並び順(処方の受付順)を、薬剤の取出順序として決定してよい。また例えば、入出力制御部516が当該取出順序の変更指示を受付けた場合、取出順管理部511は、当該変更指示に従った薬剤の取出順序に変更してよい。また例えば、取出順管理部511は、薬剤収容部100の搬送中に、使用者による薬剤の取出指示(割込指示)を受付けた場合、取出順序を管理するテーブルを更新してもよい。
【0030】
搬送順管理部517は、取出順管理部511が決定した取出順序に従って、薬剤収容部100の搬送順序を決定し、各薬剤収容部100に対して、保管位置10から取出位置30に搬送される順番を設定してよい。
【0031】
以下の表1は、取出順管理部511が決定した取出順序、薬剤名、各薬剤が収容されているカセット(薬剤収容部100)のID、および各カセットに対して設定された取出位置30に搬送される順番の一例を示したものである。各薬剤とカセットIDは予め対応付けられており、対応付けられた薬剤とカセットIDに対して順番を設定することにより、表1のような取出順序を管理するテーブルが作成される。例えば、表1に示される場合において、取出順序1の薬剤a1は、カセットA(第1薬剤収容部)に収容されている。また、当該カセットAは、順番1および順番3で取出位置30に搬送される。カセットAには、取出位置30に搬送される順番として、順番1および順番3が設定されている。
【0032】
【表1】
薬剤収容部100は、仕切部を設けることにより、薬剤収容部100に2種類以上の薬剤を収容することも可能である。表2は、表1と同様に、取出順序、薬剤名、カセットIDおよび取出位置30に搬送される順番の別の例を示したものである。以下の表2において、取出順序1の薬剤a1および取出順序2の薬剤a2はいずれもカセットAに収容されている薬剤である。この場合、カセットAには、取出位置30に搬送される順番として、順番1、順番2および順番4が設定されている。
【0033】
【表2】
搬送順管理部517は、各カセットに設定された上記順番に基づき、薬剤収容部100を保管位置10から取出位置30に搬送させるための搬送指示を、搬送制御部514に送信する。搬送制御部514は、搬送装置40を制御することにより、当該搬送指示に従った搬送順序で、薬剤収容部100を保管位置10から取出位置30に搬送する。
【0034】
算出部512は、第1薬剤収容部に設定された順番に基づき、第2薬剤収容部の個数を算出する。第2薬剤収容部は、任意の第1薬剤収容部とは別の、少なくとも1つの薬剤収容部100である。第1薬剤収容部は、搬送順序において複数の順番が設定された薬剤収容部100であり、2回以上、取出位置30への搬送対象となる薬剤収容部100である。第1薬剤収容部に設定された複数の順番のうちの任意の順番を第1の順番とし、第1の順番の次に第1薬剤収容部が取出位置30に搬送される順番を第2の順番とする。算出部512は、第1の順番と第2の順番との間に取出位置30に搬送される第2薬剤収容部の個数を算出する。
【0035】
算出部512は、上記「第2薬剤収容部の個数」を、第1の順番と第2の順番との間に取出位置30に搬送される第2薬剤収容部の「のべ数」として算出してもよい。あるいは、算出部512は、上記「第2薬剤収容部の個数」を、第1の順番と第2の順番との間に取出位置30に搬送されるカセットIDの数として算出してもよい。例えば、カセットB-カセットC-カセットB(B・Cはいずれも第2薬剤収容部)の順に取出位置30に搬送される場合、算出部512は、「第2薬剤収容部の個数」を、3と算出してもよいし、2と算出してもよい。
【0036】
例えば、上記表1の例において、第1薬剤収容部としてのカセットAに設定された複数の「取出位置に搬送される順番」のうち、第1の順番は1であり、第2の順番は3である。当該第1の順番と第2の順番との間に取出位置30に搬送される第2薬剤収容部の個数はカセットB1つであることから、算出部512は、当該個数を1と算出する。
【0037】
例えば、算出部512は、取出位置30において第1薬剤収容部からの薬剤の取出しが完了した時点での上記順番に基づき、第2薬剤収容部の個数を算出してよい。取出しが完了した時点とは、例えば、閉ボタンが押下され、シャッター31が閉状態となった時点であってよい。また例えば、算出部512は、保管位置10から待機位置20に第1薬剤収容部が搬送された時点での搬送順序に基づき、第2薬剤収容部の個数を算出してもよい。また、例えば薬剤の取出順序が予め決まっている(つまり搬送順序が予め決まっている)場合には、算出部512は、最初の薬剤収容部100の取出位置30への搬送制御前に、第2薬剤収容部の個数を算出してもよい。
【0038】
個数判定部513は、算出部512が算出した第2薬剤収容部の個数が1個以上であるかを判定する。個数判定部513は、第2薬剤収容部の個数が1個以上である場合に、当該個数が規定数以内であるかを判定する。規定数は、例えば、待機可能数(載置部21の数)等を考慮して決定されてよい。上記規定数は、例えば1であってよい。
【0039】
搬送制御部514は、搬送装置40を制御することにより、薬剤収容部100を、保管位置10と待機位置20との間、および、待機位置20と取出位置30との間において搬送する。本実施形態では、搬送制御部514は、算出部512が算出した第2薬剤収容部の個数に応じて、薬剤取出完了後の第1薬剤収容部の位置を制御する。
【0040】
ここで、仮に、取出位置30に搬送された後、待機位置20に戻った薬剤収容部100(薬剤取出完了後の薬剤収容部)の搬送制御について、調剤の区切り(処方の区切り)を考慮して制御する場合を考える。図3は、調剤の区切りを考慮した薬剤収容部100の搬送制御を説明するための図である。図3の1001の例では、処方データに1つの調剤の区切りが存在し、処方データが2つの調剤単位(処方単位)U1,U2を含んでいる。図3の1002の例では、処方データに2つの調剤の区切りが存在し、処方データが3つの調剤単位U1~U3を含んでいる。また、図3に示す矢印方向は、薬剤の取出順序を示す。また、図3では、薬剤収容部100に1種類の薬剤が収容されているものとする。
【0041】
例えば、特許文献1に記載の薬剤払出装置(以下、従来の薬剤払出装置と称する)のように、取出位置30に搬送される薬剤収容部100に収容されている薬剤が次回の調剤に含まれる場合に、当該薬剤収容部100を待機位置20に待機させる制御を行うものとする。このような制御を行うと、最大で、調剤に含まれる薬剤の種類に相当する数の載置部21を確保する必要がある。そのため、このような制御を行おうとすると、装置が大型化してしまう。
【0042】
図3の1001では、調剤単位U1に対する調剤単位U2が、上記次回の調剤に該当する。図3の1001では、調剤単位U1,U2には、共通するA薬剤~D薬剤が含まれている。従来の薬剤払出装置の制御では、少なくとも調剤単位U1,U2に共通する薬剤の種類数の分、載置部21を準備する必要がある。そのため調剤単位U1,U2に共通する薬剤の種類数が増加すればするほど、より多くの載置部21を準備する必要がある。
【0043】
また、次回の調剤に含まれる薬剤の種類数が少ない場合、取出順序が近い薬剤を含む薬剤収容部100であっても、従来の薬剤払出装置は、薬剤収容部100を保管位置10に返却してしまう可能性がある。この場合、従来の薬剤払出装置は、薬剤収容部100から薬剤の取出しが完了してから、次に当該薬剤収容部100から薬剤を取出すために、当該薬剤収容部100を、保管位置10から取出位置30まで搬送することになる。そのため、当該薬剤収容部100を、待機位置20から取出位置30に搬送する場合と比べ、搬送の効率が低下する。
【0044】
図3の1002では、調剤単位U1に対する調剤単位U2が、上記次回の調剤に該当する。また、調剤単位U2に対する調剤単位U3が、上記次回の調剤に該当する。図3の1002では、調剤単位U1にA薬剤、調剤単位U2にB薬剤、調剤単位U3にA薬剤が含まれている。そのため、調剤単位U3のA薬剤は、調剤単位U1のA薬剤から数えて2番後に再度取り出される。それにもかかわらず、従来の薬剤払出装置は、調剤単位U1,U2の間に調剤の区切りが存在するため、調剤単位U1のA薬剤の取出完了後に、A薬剤を収容する薬剤収容部100を、取出位置30から保管位置10へと返却してしまう。
【0045】
一方、本実施形態では、搬送制御部514は、調剤の区切りを考慮せず、上述の通り、第1薬剤収容部に設定された第1の順番と第2の順番との間に取出位置30に搬送される第2薬剤収容部の個数に応じて、薬剤取出完了後の第1薬剤収容部の位置を制御する。
【0046】
具体的には、搬送制御部514は、個数判定部513によって第2薬剤収容部の個数が1以上かつ規定数以内であると判定された場合、薬剤取出完了後の第1薬剤収容部を、取出位置30から待機位置20に搬送して、待機位置20に待機させる。
【0047】
上記構成によれば、搬送制御部514は、取出しの予定が近い薬剤を収容した薬剤収容部100を、取出位置30に近い待機位置20に待機させることができる。また、規定数を既存の装置構成に基づいて定めることにより、搬送制御部514は、既存の装置構成を維持しつつ薬剤収容部100を効率よく搬送することができる。そのため、本実施形態の搬送制御装置50によれば、調剤の区切りを考慮して搬送制御を行った場合に生じ得る上述したような問題が生じる可能性を低減できる。
【0048】
図4は、搬送制御装置50による薬剤収容部100の搬送制御を説明するための図である。図4では、規定数が1に設定されており、矢印は薬剤の取出順序を示す。また、図4では、薬剤収容部100に1種類の薬剤が収容されているものとする。
【0049】
図4において、パターン1は、A薬剤の取出の順番が連続している場合を示す。パターン2は、A薬剤が、B薬剤を挟んで2回取り出される場合(2つのA薬剤の順番が2つ離れている場合)を示す。パターン2は、図3の1002に示す処方データと同じである。パターン3は、A薬剤が、B薬剤およびC薬剤を挟んで2回取り出される場合(2つのA薬剤の順番が3つ離れている場合)を示す。パターン4は、A薬剤が、B薬剤~I薬剤を挟んで2回取り出される場合(2つのA薬剤の順番が9つ離れている場合)を示す。パターン4は、図3の1001に示す処方データと同じである。
【0050】
例えば図4のパターン2の場合、個数判定部513は、第2薬剤収容部の個数が1以上かつ規定数以内であると判定する。そのため、搬送制御部514は、従来の薬剤払出装置とは異なり、次回の取出し予定が近いA薬剤を収容する薬剤収容部100を、保管位置10に返却せずに、待機位置20に待機させる。従って、従来の薬剤払出装置において生じ得る、薬剤収容部100の搬送の効率が低下する可能性を低減できる。
【0051】
また、搬送制御部514は、個数判定部513によって第2薬剤収容部の個数が規定数を超えていると判定された場合、薬剤取出完了後の第1薬剤収容部を、待機位置20に待機させることなく、保管位置10に搬送する。
【0052】
本実施形態では、搬送制御部514は、薬剤取出完了後の第1薬剤収容部を、再度の取出位置30への搬送のために待機位置20に一時的に待機させることはしないが、取出位置30から待機位置20を経由して保管位置10に搬送する。例えば規定数が1に設定されている場合、搬送制御部514は、第2薬剤収容部の個数が2以上であると判定された場合、薬剤取出完了後の第1薬剤収容部を、待機位置20に待機させることなく、保管位置10に搬送する。
【0053】
上記構成によれば、搬送制御部514は、第2薬剤収容部の個数が規定数以内である場合のみ、薬剤取出完了後の第1薬剤収容部を、待機位置20に待機させることができる。つまり、薬剤取出完了後の薬剤収容部100において、更に薬剤を取出す予定がない場合、又は、更に薬剤を取出す予定はあるがその予定が近くない場合については、当該薬剤収容部100を、待機位置20に待機させず、保管位置10へ戻すことができる。そのため、待機位置20を有効に活用することができる。
【0054】
例えば図4のパターン3,4の場合、個数判定部513は、第2薬剤収容部の個数が2以上であると判定する。そのため、搬送制御部514は、従来の薬剤払出装置とは異なり、次回の取出し予定が近くないA薬剤を収容した薬剤収容部100を、待機位置20に待機させず、保管位置10に返却する。従って、搬送制御装置50によれば、上述したように待機位置20を有効に活用できるため、従来の薬剤払出装置において生じ得る、薬剤取出支援装置1が大型化する可能性を低減できる。
【0055】
さらに、搬送制御部514は、個数判定部513によって第2薬剤収容部の個数が0であると判定された場合、薬剤取出完了後の第1薬剤収容部を、取出位置30に待機させる。
【0056】
第2薬剤収容部の個数が0である場合、第1薬剤収容部に設定された第1の順番と第2の順番とが連続していることを示している。例えば、図4のパターン1に示すように、取出順序において連続している同種の薬剤が第1薬剤収容部に収容されていることを示している。また、薬剤Aおよび薬剤Bの取出順序がA-B-Aであっても、薬剤Aおよび薬剤Bが第1薬剤収容部に収容されている場合、第2薬剤収容部の個数は0である。
【0057】
上記構成によれば、搬送制御部514は、連続して取出される薬剤を収容した薬剤収容部100を、1つ目の薬剤の取出しが完了した後に搬送させず、2つ目の薬剤の取出しのために、取出位置30に待機させることができる。そのため、搬送制御装置50によれば、より効率のよい薬剤収容部100の搬送制御を実現できる。なお、従来の薬剤払出装置では、取出される薬剤が連続している場合であっても一旦待機位置に戻されるため、効率が悪い。
【0058】
また、搬送制御部514が、取出位置30から保管位置10への薬剤収容部100の搬送中に、取出順管理部511から、当該薬剤収容部100を、保管位置10から待機位置20まで搬送する搬送指示を受付けた場合を考える。
【0059】
取出順管理部511は、薬剤取出完了後の薬剤収容部100からの次の薬剤の取出し予定がなかったにもかかわらず、取出順序の変更により、当該薬剤収容部100から直近で薬剤を取出す必要が生じた場合に、上記搬送指示を搬送制御部514に送信する。薬剤取出完了後の薬剤収容部100からの次の薬剤の取出し予定が近くなかったにもかかわらず、取出順序の変更により、当該薬剤収容部100から直近で薬剤を取出す必要が生じた場合についても、同様である。
【0060】
例えば、取出順管理部511は、取出順序の変更指示又は割込指示を受付けた時点で、薬剤収容部100が待機位置20から保管位置10に搬送されている途中である場合に、当該搬送指示を搬送制御部514に送信する。また例えば、取出順管理部511は、当該時点で、薬剤収容部100が取出位置30から待機位置20に搬送されている途中である場合に、当該搬送指示を搬送制御部514に送信する。
【0061】
搬送制御部514は、上記搬送指示を受付けた場合、薬剤収容部100を、待機位置20から保管位置10に搬送中であった薬剤収容部100を、保管位置10を経由せず待機位置20に搬送する(戻す)。また、搬送制御部514は、上記搬送指示を受付けた場合、薬剤収容部100を、取出位置30から待機位置20に搬送中であった薬剤収容部100を、待機位置20に搬送した後、待機位置20にそのまま待機させる。
【0062】
このように、搬送制御部514は、上記搬送指示を受付けた場合、上記搬送中であった薬剤収容部100を、保管位置10への搬送対象から、待機位置20への待機対象へと切り替える。当該構成によれば、搬送制御部514は、取出順序の変更により、保管位置10へ返却予定の薬剤収容部100から直近で薬剤が取出されることになった場合に、当該薬剤収容部100を保管位置10に返却せず、待機位置20に待機させることができる。そのため、当該薬剤収容部100を保管位置10に返却してから待機位置20に搬送する場合よりも搬送時間を短縮できるため、より効率のよい薬剤収容部100の搬送制御を実現できる。
【0063】
なお、搬送制御部514は、待機位置20に空きがある場合に、保管位置10から待機位置20に薬剤収容部100を搬送してもよい。例えば、各載置部21にセンサを設けておくことにより、搬送制御部514は、各載置部21に薬剤収容部100が位置しているかを判定できる。但し、搬送制御部514は、薬剤収容部100が、待機位置20から取出位置30を経由して、待機位置20に再度戻ってくるまでの間については、当該薬剤収容部100分の空きが待機位置20に生じてないものと判定してよい。
【0064】
シャッター制御部515は、シャッター31を制御する。シャッター制御部515は、例えば、取出位置30の、シャッター31と対向する位置に、薬剤収容部100が搬送された状態において、シャッター31を開状態とする。シャッター制御部515は、上述の閉ボタンへの入力操作を受付けた場合に、シャッター31を閉状態とする。閉ボタンは、取出位置30に設けられる代わりに、タッチパネル60に表示されてもよい。搬送制御部514は、シャッター31を閉状態となった後、薬剤収容部100を、取出位置30から待機位置20に搬送する。
【0065】
入出力制御部516は、タッチパネル60に対する入力操作を受付けると共に、タッチパネル60への出力制御を行う。
【0066】
<搬送制御装置50の処理>
図5は、搬送制御装置50による処理の一例を示すフローチャートである。図5では、制御部51が、ある時点で取出位置30に位置する薬剤収容部100(第1薬剤収容部)の搬送先を決定し、当該薬剤収容部100を当該搬送先まで搬送する処理の一例を示す。
【0067】
図5に示すように、第1薬剤収容部が取出位置30に位置している状態において、搬送順管理部517は、第1薬剤収容部からの薬剤の取出しが完了したかを判定する(S1)。取出順管理部511は、例えばシャッター31が閉状態となった時点で、第1薬剤収容部からの薬剤の取出しが完了したと判定してよい。
【0068】
搬送順管理部517は、第1薬剤収容部からの薬剤の取出しが完了したと判定した場合(S1でYES)、取出順管理部511が決定した薬剤の取出順序に基づき、第1薬剤収容部が取出位置30への再度の搬送対象となるかを判定する(S2)。搬送順管理部517が、第1薬剤収容部が取出位置30への再度の搬送対象となると判定した場合(S2でYES)、算出部512は、第2薬剤収容部の個数を算出する(S3)。個数判定部513は、算出部512が算出した第2薬剤収容部の個数が0であるかを判定する(S4)。
【0069】
個数判定部513が、第2薬剤収容部の個数が0であると判定した場合(S4でYES)、薬剤の取出順序において、連続して第1薬剤収容部から薬剤が取出されることになる。そのため、搬送制御部514は、第1薬剤収容部を取出位置30にそのまま待機させる(S5)。シャッター制御部515は、一旦閉じたシャッター31を再度開状態とすることにより、第1薬剤収容部からの再度の薬剤の取出しを可能とする。
【0070】
個数判定部513は、第2薬剤収容部の個数が0ではない(1以上である)と判定した場合(S4でNO)、算出部512が算出した第2薬剤収容部の個数が規定数以内であるかを判定する(S6)。個数判定部513が、第2薬剤収容部の個数が規定数以内であると判定した場合(S6でYES)は、取出位置30において第1薬剤収容部から薬剤が取出されてから、次に第1薬剤収容部から薬剤が取出されるまでの期間が短いということである。そのため、搬送制御部514は、第1薬剤収容部を、保管位置10に戻さずに待機位置20に搬送して、取出位置30への次の搬送まで待機位置20に待機させる(S7)。
【0071】
個数判定部513が、第2薬剤収容部の個数が規定数を超えていると判定した場合(S5でNO)、薬剤の取出順序において、直近で第1薬剤収容部から再度、薬剤が取出されることはない。そのため、搬送制御部514は、第1薬剤収容部を、取出位置30から保管位置10まで搬送する(S8)。
【0072】
なおS1において、搬送順管理部517は、第1薬剤収容部からの薬剤の取出しが完了するまで待機する(S1でNOの場合)。また、搬送順管理部517が、第1薬剤収容部が取出位置30への再度の搬送対象とならないと判定した場合(S2でNO)、薬剤の取出順序において、第1薬剤収容部からの再度の薬剤の取出しは無い。そのため、搬送制御部514は、第1薬剤収容部を、取出位置30から保管位置10まで搬送する(S8)。
【0073】
図5では、制御部51が、第1薬剤収容部からの薬剤の取出しが完了したときに、S2以降の処理を行うものとして説明した。しかし、制御部51は、上述のように、例えば第1薬剤収容部が保管位置10から待機位置20に搬送されたとき、又は、最初の薬剤収容部100の取出位置30への搬送制御前に、S2以降の処理を行ってもよい。
【0074】
<変形例1-1>
搬送制御装置50は、取出順管理部511を備えていなくてもよい。この場合、搬送順管理部517は、各薬剤収容部100から薬剤を取出す薬剤取出作業要求に応じて、各薬剤収容部100に対して取出位置30に搬送される順番を設定してもよい。
【0075】
第1薬剤収容部は、2回以上の薬剤取出作業要求がある薬剤収容部100である。「2回以上の薬剤取出作業要求がある」とは、2回以上搬送対象として設定されていることを指す。1つの薬剤収容部100に対して2回以上の薬剤取出作業要求がなされることにより、第1薬剤収容部には、当該2回以上の薬剤取出作業要求それぞれに対応する順番が設定されている。従って、第1薬剤収容部には、複数の順番が設定されている。
【0076】
算出部512は、第1薬剤収容部に設定されているある順番と第1薬剤収容部に設定されているその次の順番との間の、順番が設定されている薬剤収容部100の個数を算出する。ある順番は、上記実施形態1における第1の順番に対応し、次の順番は上記実施形態1における第2の順番に対応する。
【0077】
<変形例1-2>
制御部51は、算出部512を備えていなくてもよい。この場合、個数判定部513は、取出順序を管理するテーブルに基づいて第2薬剤収容部の個数が1個以上であるかを判定する。また、個数判定部513は、第2薬剤収容部の個数が1個以上である場合に、取出順序を管理するテーブルに基づいて、第2薬剤収容部の数が規定数以内であるかを判定する。
【0078】
<変形例1-3>
搬送制御部514は、待機位置20に薬剤収容部100を待機させる必要が無い場合、当該薬剤収容部100を、保管位置10と取出位置30との間において搬送してもよい。この場合、搬送装置40が、保管位置10と取出位置30との間において薬剤収容部100を搬送する第3搬送装置を備えており、搬送制御部514は第3搬送装置を制御すればよい。例えば、個数判定部513によって第2薬剤収容部の個数が規定数を超えていると判定された場合、搬送制御部514は、第3搬送装置を用いて第1薬剤収容部を取出位置30から直接保管位置10に搬送してもよい。
【0079】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。以降の実施形態についても同様である。
【0080】
実施形態1では、調剤単位を考慮せずに薬剤収容部100の搬送制御を行うことにより、既存の装置構成を維持しつつ薬剤収容部100を効率よく搬送できる搬送制御装置50と、搬送制御装置50が制御する薬剤取出支援装置1について説明した。実施形態2では、調剤単位を考慮して薬剤収容部100の搬送制御を行った場合であっても、既存の装置構成を維持しつつ薬剤収容部100を効率よく搬送できる搬送制御装置50Aと、搬送制御装置50Aが制御する薬剤取出支援装置1Aについて説明する。
【0081】
<薬剤取出支援装置1Aの構成>
図6は、薬剤取出支援装置1Aの概略的な構成を示す模式図である。薬剤取出支援装置1Aは、搬送装置40Aと、薬剤取出部70と、薬剤取出装置80とを備える点において、薬剤取出支援装置1と異なる。
【0082】
薬剤取出部70は、薬剤の取出しを可能とする場所であり、待機位置20と取出位置30とを有している。薬剤取出支援装置1Aは、薬剤取出部70を、1つ備えていてもよいし、複数備えていてもよい。本実施形態では、薬剤取出支援装置1Aは、第1薬剤取出部71および第2薬剤取出部72を備えている。
【0083】
第1薬剤取出部71および第2薬剤取出部72の待機位置20には、それぞれ載置部21が設けられている。本実施形態では、載置部21は、第1薬剤取出部71および第2薬剤取出部72にそれぞれ2つずつ設けられている。載置部21は、第1薬剤取出部71に少なくとも1つ、第2薬剤取出部72に少なくとも1つ設けられていればよい。薬剤取出支援装置1が複数の薬剤取出部70を備えている場合、各薬剤取出部70に、少なくとも1つの載置部21が設けられていればよい。薬剤取出部70が1つである場合、当該薬剤取出部70に少なくとも1つの載置部21が設けられていればよい。
【0084】
搬送装置40Aは、第1搬送装置41および第2搬送装置42Aを備えている。第1搬送装置41は、保管位置10と待機位置20との間において、薬剤収容部100を搬送する。本実施形態では、第1搬送装置41は、保管位置10と、第1薬剤取出部71又は第2薬剤取出部72の何れかの載置部21との間において、薬剤収容部100を搬送する。
【0085】
第2搬送装置42Aは、待機位置20と取出位置30との間において、薬剤収容部100を搬送する。本実施形態では、薬剤取出部70に待機位置20および取出位置30が設けられている。そのため、第2搬送装置42Aは、薬剤取出部70に設けられている。本実施形態では、第2搬送装置42Aは、待機位置20と取出位置30との間において、載置部21を搬送する。これにより、載置部21に載置された薬剤収容部100を、待機位置20と取出位置30との間において搬送できる。但し、第2搬送装置42Aは、第2搬送装置42と同様、載置部21を搬送せず、薬剤収容部100のみを搬送してもよい。
【0086】
薬剤取出装置80は、取出位置30に位置する薬剤収容部100から薬剤を取出す装置である。薬剤取出装置80は、例えば吸着パッドを備え、吸着パッドに吸着させることにより、薬剤を薬剤収容部100から取出してもよい。
【0087】
本実施形態では、薬剤取出装置80は、第1薬剤取出装置81および第2薬剤取出装置82を備えている。第1薬剤取出装置81は、第1薬剤取出部71に対して設けられ、第1薬剤取出部71の取出位置30において、薬剤収容部100から薬剤を取出す。第2薬剤取出装置82は、第2薬剤取出部72に対して設けられ、第2薬剤取出部72の取出位置30において、薬剤収容部100から薬剤を取出す。
【0088】
<搬送制御装置50Aの構成>
図7は、薬剤取出支援装置1Aの電気的構成を示すブロック図である。図7に示すように、搬送制御装置50Aは、制御部51Aを備える点において、搬送制御装置50と異なる。また、制御部51Aは、薬剤取出装置80を制御する取出制御部521を備える点において、制御部51と異なる。
【0089】
取出制御部521は、取出位置30に薬剤収容部100が位置したときに、薬剤取出装置80を制御して、当該薬剤収容部100から薬剤を取出す。例えば、取出位置30にセンサが設けられていることにより、取出制御部521は、取出位置30に位置した薬剤収容部100を検出できる。
【0090】
本実施形態では、第1薬剤取出部71の取出位置30に薬剤収容部100に位置したときに、取出制御部521は、第1薬剤取出装置81を制御して、当該薬剤収容部100から薬剤を取出す。また、第2薬剤取出部72の取出位置30に薬剤収容部100に位置したときに、取出制御部521は、第2薬剤取出装置82を制御して、当該薬剤収容部100から薬剤を取出す。
【0091】
また、制御部51Aは、実施形態1と同様、搬送制御部514は、算出部512が算出した第2薬剤収容部の個数に応じて、第1薬剤収容部の、薬剤取出完了後の位置を制御する。以下の説明では、第2薬剤収容部の個数を算出部512が算出するものとして説明する。但し、実施形態1で述べたように、制御部51Aが算出部512を備えておらず、制御部51Aが計数した第2薬剤収容部の個数に応じて、第1薬剤収容部の、薬剤取出完了後の位置を制御してもよい。また、制御部51Aは、以下の処理を行う点において、制御部51と異なる。
【0092】
具体的には、個数判定部513は、算出部512が算出した第2薬剤収容部の個数が1個以上であるかを判定する。個数判定部513は、第2薬剤収容部の個数が1個以上である場合に、当該個数が待機可能数未満であるかを判定する。
【0093】
個数判定部513による判定に基づく、搬送制御部514による薬剤収容部100の搬送制御は、以下のとおりである。
【0094】
(制御1)搬送制御部514は、個数判定部513によって第2薬剤収容部の個数が1以上かつ待機可能数未満であると判定された場合、薬剤取出完了後の第1薬剤収容部を、取出位置30から待機位置20に搬送して、待機位置20に待機させる。
【0095】
(制御2)搬送制御部514は、個数判定部513によって第2薬剤収容部の個数が待機可能数以上であると判定された場合、薬剤の取出しが完了した第1薬剤収容部を、待機位置20に待機させることなく保管位置10に搬送する。すなわち、薬剤の取出しが完了した第1薬剤収容部を、取出位置30から待機位置20を経由して保管位置10に搬送する。
【0096】
(制御3)搬送制御部514は、個数判定部513によって第2薬剤収容部の個数が0であると判定された場合、薬剤の取出しが完了した第1薬剤収容部を、取出位置30に待機させる。
【0097】
<搬送制御装置50Aの処理>
図8は、搬送制御装置50Aによる処理の一例を示すフローチャートである。図8では、制御部51Aが、ある時点で取出位置30に位置する薬剤収容部100(第1薬剤収容部)の搬送先を決定し、当該薬剤収容部100を当該搬送先まで搬送する処理の一例を示す。
【0098】
図8におけるS11、S12、S13、S14およびS15の処理は、それぞれ実施形態1にて説明した図5におけるS1、S2、S3、S4およびS5の処理と同じである。図4と異なる処理について下記に説明する。
【0099】
ステップS14において、第2薬剤収容部の個数が0ではない(1以上である)と判定した場合(S14でNO)、算出部512が算出した第2薬剤収容部の個数が待機可能数未満であるかを判定する(S16)。個数判定部513が、第2薬剤収容部の個数が待機可能数未満であると判定した場合(S16でYES)、搬送制御部514は、第1薬剤収容部を、保管位置10に戻さずに待機位置20に搬送して、取出位置30への次の搬送まで待機位置20に待機させる(S17)。
【0100】
個数判定部513が、第2薬剤収容部の個数が待機可能数以上であると判定した場合(S16でNO)、搬送制御部514は、第1薬剤収容部を、取出位置30から保管位置10まで搬送する(S18)。
【0101】
図8では、制御部51Aが、第1薬剤収容部からの薬剤の取出しが完了したときに、S12以降の処理を行うものとして説明した。しかし、制御部51Aは、上述のように、例えば第1薬剤収容部が保管位置10から待機位置20に搬送されたとき、又は、最初の薬剤収容部100の取出位置30への搬送制御前に、S12以降の処理を行ってもよい。
【0102】
(動作例1)
以下では、実施形態2に係る薬剤取出支援装置1Aの具体的な動作例1について図9を用いて説明する。本動作例の説明では、薬剤収容部100をカセットと称する。図9は、動作例1を時系列で示した図である。図9では、第1薬剤取出部71および第2薬剤取出部72に位置するカセットおよびカセットからの薬剤の取出しを時系列で示している。
【0103】
実施形態2では、調剤単位を考慮した薬剤収容部100の搬送制御を行う。以下の表3は、調剤単位(グループ)に含まれる薬剤の取出順序、薬剤名、カセットIDの一例を示したものである。動作例1において、各調剤単位に含まれる薬剤および当該薬剤が収容されているカセットIDは、以下の表3に示すとおりである。動作例1では、以下の表3のように、取出順管理部511が管理する複数種類の薬剤の取出順序は、予め決められており、医師の処方に従ってグループ化されている。また、搬送順管理部517は、当該取出順序に従って、搬送順序を決定し、各薬剤収容部100に対して、待機位置20から取出位置30に搬送される順番を設定する。
【0104】
動作例1において、第1グループに含まれる第1薬剤を収容する第1薬剤収容部が、第1の順番において取出位置30に搬送される場合、算出部512は、次のように第2薬剤収容部の個数を算出する。すなわち、算出部512は、(i)第1の順番と、(ii)第1薬剤を少なくとも一部として含む第2グループにおいて最初に取出される薬剤を収容する薬剤収容部100が取出位置30に搬送される順番との間において、取出位置30に搬送される第2薬剤収容部の個数を算出する。
【0105】
例えば、表3に示す例において、第1グループ(グループ1)に含まれる第1薬剤が薬剤a1である場合、第1薬剤収容部はカセットAである。また、第1薬剤を少なくとも一部として含む第2グループは、グループ3である。
【0106】
【表3】
表3に示すように、取出順序1~4の薬剤は、カセットA~Dに収容されている。本動作例では、第1搬送装置41により、カセットAおよびカセットBは第1薬剤取出部71の待機位置20に位置しており、カセットCおよびカセットDは、第2薬剤取出部72の待機位置20に位置している時間T1から説明する。
【0107】
図9において、白抜き矢印は、各カセットから薬剤が取出作業中であることを示している。なお、取出作業は、第2搬送装置42Aによる待機位置20から取出位置30へのカセットの搬送、および、薬剤取出装置80による各カセットからの薬剤の取出しを含む。
【0108】
時間T1から時間T2までの間において、カセットAおよびカセットCは取出作業中であり、カセットBおよびカセットDは待機位置20に待機している。
【0109】
時間T2においてカセットAからの薬剤の取出作業が完了すると、搬送制御装置50Aは、<搬送制御装置50Aの処理>にて上述したフロー処理(以下、処理2と称する)を行う。このとき、カセットCは、まだ薬剤の取出作業中であるとする。ここで、薬剤取出支援装置1Aの待機可能数は4である。算出部512は、グループ1に含まれる薬剤a1を収容するカセットAが、順番1で取出位置30に搬送される場合の、第2薬剤収容部の個数を次のように算出する。すなわち、算出部512は、順番1と、薬剤a1を含むグループ3において最初に取出される薬剤a1を収容するカセットAの順番8とに基づいて、第2薬剤収容部の個数を6と算出する。第2薬剤収容部の個数6は、待機可能数4以上であるため、カセットAは保管位置10まで搬送される。そして、時間T2から時間T3までの間において、第1薬剤取出部71の待機位置20には、第1搬送装置41によって順番5のカセットEが搬送されるとともに、カセットBからの薬剤の取出しが実行される。
【0110】
時間T3において、カセットBおよびカセットCからの薬剤の取出しが完了すると、搬送制御装置50Aは、上記処理2を行う。算出部512は、カセットBについては順番3と順番8から前記個数を4と算出する。カセットCについては順番2と順番8から前記個数を5と算出する。カセットBおよびカセットCのいずれの場合においても第2薬剤収容部の個数は待機可能数4以上である。そのため、カセットBおよびカセットCは、薬剤取出完了後、保管位置10まで搬送される。そして、待機位置20には、順番6のカセットFおよび順番7のカセットGが搬送される。
【0111】
時間T3と時間T4の間において、待機位置20に待機していたカセットDからの薬剤の取出しが実行される。なお、カセットEに収容される薬剤e1はグループ2に含まれるため、グループ1に含まれる薬剤の取出しが終わるまで、取出作業は実行されない。
【0112】
時間T4において、カセットDからの薬剤の取出しが完了すると、搬送制御部514は、上記処理2を行う。算出部512は、カセットDについて、順番4と順番8から、前記個数を3と算出する。算出部512が算出した個数3は、待機可能数4未満であるため、カセットDは待機位置20に待機させられる。当該カセットDの薬剤取出完了後の搬送制御は、以下のように説明できる。当該制御は、第1グループ(グループ1)に含まれる第1薬剤(薬剤d1)を収容する第1薬剤収容部(カセットD)が、第1の順番(順番4)において取出位置30に搬送される場合の制御である。算出部512は、(i)第1の順番(順番4)と、(ii)第2グループ(グループ3)において最初に取出される薬剤(薬剤a1)を収容する薬剤収容部(カセットA)の、取出位置30に搬送されるときの順番(順番8)との間における第2薬剤収容部の個数を算出する。搬送制御部514は、前記個数(3個)が待機可能数(4個)未満である場合に、薬剤取出完了後の第1薬剤収容部を、待機位置20に待機させる。
【0113】
このように、グループ化された処方の区切りを考慮して、第2グループにおいて最初に取出されるまでの第2薬剤収容部の個数が待機可能数未満である場合に、待機位置に待機させることにより、薬剤収容部をより効率よく搬送させることができる。
【0114】
時間T4と時間T5との間において、カセットEおよびカセットGは取出作業中であり、カセットFおよびカセットDは待機位置20において待機中である。
【0115】
時間T5において、カセットEからの薬剤の取出しが完了すると、搬送制御装置50Aは、上記処理2を行う。このとき、カセットGは、まだ薬剤の取出し中であるとする。本動作例の場合、カセットEは、取出位置30への再度の搬送が必要ないため、保管位置10まで搬送される。そして、待機位置20には、順番8のカセットAが搬送される。
【0116】
時間T5と時間T6との間において、カセットFおよびカセットGは取出作業中であり、カセットAおよびカセットDは待機位置20において待機中である。
【0117】
時間T6において、カセットFおよびカセットGからの薬剤の取出しが完了すると、搬送制御装置50Aは、それぞれのカセットについて上記処理2を行う。カセットFおよびカセットGは、いずれも取出位置30への再度の搬送が必要ないため、搬送装置40Aによって、取出位置30から保管位置10まで搬送される。そして、待機位置20には、順番9のカセットCおよび順番10のカセットBが搬送される。
【0118】
時間T6と時間T7との間において、カセットAおよびカセットDは取出作業中であり、カセットBおよびカセットCは待機位置20において待機中である。
【0119】
時間T7において、カセットAおよびカセットDからの薬剤の取出しが完了すると、搬送制御装置50Aは、それぞれのカセットについて上記処理2を行う。カセットAおよびカセットDは、いずれも取出位置への再度の搬送が必要ないため、保管位置10まで搬送される。
【0120】
時間T7~においてカセットAおよびカセットBから薬剤が取出されることにより、グループ1~グループ3までの薬剤の取出し作業が完了する。
【0121】
(調剤単位での搬送制御-1つの調剤単位における薬剤の取出順序が予め決まっていない場合)
取出順管理部511は、薬剤の取出順序として、調剤単位の順序を決定してよい。例えば、取出順管理部511は、処方の受付順に従い、調剤単位の順序を決定してもよい。また例えば、当該取出順序の変更指示を受付けた場合、取出順管理部511は、当該変更指示に従って、調剤単位の順序を決定してもよい。
【0122】
つまり、取出順管理部511は、調剤単位に含まれる薬剤の取出順序を決定しなくてよい。調剤単位に含まれる薬剤の取出順序は、例えば、薬剤が第1薬剤取出部71および第2薬剤取出部72の何れに搬送されたか、並びに、薬剤が第1薬剤取出装置81および第2薬剤取出装置82の何れに搬送されたかによって、決められる。また、調剤単位に含まれる薬剤の取出順序は、例えば、第1薬剤取出装置81が薬剤の取出しに要する時間と、第2薬剤取出装置82が薬剤の取出しに要する時間との相違によって、決められる。
【0123】
但し、取出順管理部511は、下記に示す第2グループに含まれる薬剤の取出順序については、処方データに含まれる任意の調剤単位である第1グループにおいて取出された薬剤の取出順序に応じて決定してよい。搬送順管理部517は、当該取出順序に従って、搬送順序を決定し、各薬剤収容部100に対して、待機位置20から取出位置30に搬送される順番を設定する。第2グループは、第1グループとは異なる調剤単位であって、第1グループに含まれる薬剤の取出しが完了した後に取出される薬剤を含む、第1グループよりも後ろの順番が設定された調剤単位である。また、第2グループは、第1グループに含まれる薬剤と同種の薬剤を少なくとも一部として含む調剤単位である。表3を参照しつつ、具体的に説明すると、第1グループをグループ1とすると、第2グループはグループ3である。よって、グループ3に含まれる薬剤の取出順序については、グループ1において取出された薬剤の取出順序に応じて決定されてよい。
【0124】
ここで、第1グループに含まれる任意の薬剤(第1薬剤と称する)を収容する第1薬剤収容部が、第1の順番において取出位置30に搬送される場合を考える。この場合、算出部512は、第1の順番と下記に示す特定の順番との間において取出位置30に搬送される第2薬剤収容部の個数を算出する。特定の順番は、第1薬剤を含む第2グループにおいて最初に取出される薬剤を収容する薬剤収容部100の、取出位置30に搬送されるときの順番を指す。
【0125】
そして、個数判定部513が、このように算出された第2薬剤収容部の個数が待機可能数未満であると判定した場合に、搬送制御部514は、薬剤取出完了後の第1薬剤収容部を、待機位置20に搬送してよい。
【0126】
第2グループに含まれる薬剤の取出順序は、第1グループにおいて取り出された薬剤の取出順序に応じて決定される。また、搬送制御部514は、上述した第2薬剤収容部の個数が待機可能数未満である場合に、薬剤取出完了後の第1薬剤収容部を待機位置20に待機させる。そのため、第2グループにおいて第1薬剤が取出し可能となるまでに、待機位置20に空きがなくなってしまうという事態を回避でき、薬剤収容部100をより効率よく搬送することができる。
【0127】
なお、本実施形態においても、搬送制御部514は、待機位置20に薬剤収容部100を待機させる必要が無い場合、当該薬剤収容部100を、保管位置10と取出位置30との間において搬送してもよい。
【0128】
(動作例2)
以下では、実施形態2に係る薬剤取出支援装置1Aの別の動作例2について説明する。動作例2において、各調剤単位に含まれる薬剤および当該薬剤が収容されているカセットIDは、以下の表4示すとおりである。
【0129】
【表4】
図10は、動作例2を時系列で示した図である。図10では、第1薬剤取出部71および第2薬剤取出部72に位置するカセットおよびカセットからの薬剤の取出しを時系列で示している。
【0130】
表4に示すように、取出順序1~4の薬剤は、カセットA~Dに収容されている。本動作例では、第1搬送装置41により、カセットAおよびカセットBは第1薬剤取出部71の待機位置20に位置しており、カセットCおよびカセットDは、第2薬剤取出部72の待機位置20に位置している状態の時間T1から説明する。
【0131】
時間T1から時間T2までの間において、カセットAおよびカセットCは取出作業中であり、カセットBおよびカセットDは待機位置20に待機している。
【0132】
時間T2においてカセットAからの薬剤の取出しが完了すると、搬送制御装置50Aは、上記処理2を行う。このとき、カセットCは、まだ薬剤の取出し中であるとする。本動作例の場合、表4に示すように第2薬剤収容部の個数が3であり、待機可能数4未満であるため、カセットAは順番5として、待機位置20に待機させられる。
【0133】
時間T2から時間T3までの間において、カセットBおよびカセットCは取出作業中であり、カセットAおよびカセットDは待機位置20において待機中である。
【0134】
時間T3において、カセットBおよびカセットCからの薬剤の取出しが完了すると、搬送制御装置50Aは、それぞれのカセットについて上記処理2を行う。カセットBについて、第2薬剤収容部の個数は2であり、カセットCについて第2薬剤収容部の個数は1である。いずれも第2薬剤収容部の個数が待機可能数4未満であるため、カセットBおよびカセットCは順番6および7として待機位置20に待機させられる。
【0135】
時間T3と時間T4との間において、カセットDは取出作業中であり、カセットA、カセットBおよびカセットCは待機位置20において待機中である。待機中のカセットAに収容される薬剤a1の次の取出順序はグループ2に含まれるため、グループ1に含まれる薬剤の取出しが終わるまで、取出作業は実行されない。
【0136】
時間T4において、カセットDからの薬剤の取出しが完了すると、搬送制御部514は、上記処理2を行う。カセットDについて第2薬剤収容部の個数は0であり、待機可能数4未満であるため、カセットDは順番8として待機位置20に待機させられる。
【0137】
時間T4と時間T5との間において、カセットAおよびカセットCは取出作業中であり、カセットBおよびカセットDは待機位置20において待機中である。
【0138】
時間T5において、カセットAおよびカセットCからの薬剤の取出しが完了すると、搬送制御装置50Aは、それぞれのカセットについて上記処理2を行う。なお、カセットAの方がカセットCよりも早く薬剤の取出しが完了したものとする。カセットAについては、第2の順番のカセットAから、第3の順番までの間の第2薬剤収容部の個数4が待機可能数4以上である。そのため、カセットAは、薬剤取出完了後、保管位置10まで搬送される。カセットCについては、取出位置30への再度の搬送が必要ないため、保管位置10まで搬送される。そして、待機位置20のカセットAが載置されていた場所には、順番9のカセットEが搬送される。
【0139】
時間T5と時間T6との間において、カセットBおよびカセットDは取出作業中であり、カセットEは待機位置20において待機中である。
【0140】
時間T6において、カセットBおよびカセットDからの薬剤の取出しが完了すると、搬送制御部514は、上記処理2を行う。カセットBおよびカセットDは、取出位置30への再度の搬送が必要ないため、保管位置10まで搬送される。そして待機位置20のカセットBが載置されていた場所には、順番10のカセットAが搬送される。
【0141】
時間T6と時間T7との間において、カセットEは取出作業中であり、カセットAは待機位置20において待機中である。
【0142】
時間T7において、カセットEからの薬剤の取出しが完了すると、搬送制御装置50Aは、上記処理2を行う。カセットEは、取出位置への再度の搬送が必要ないため、保管位置10まで搬送される。
【0143】
時間T7の後、カセットAから薬剤が取出されることにより、グループ1~グループ3までの薬剤の取出し作業が完了する。
【0144】
上述したように、調剤の区切りを考慮して薬剤取出完了後の薬剤収容部100の搬送制御を行う場合、従来の薬剤払出装置のように、少なくとも調剤単位に含まれる薬剤の種類数の分だけ、載置部21の準備が必要となる可能性がある。また、従来の薬剤払出装置のように、取出順序が近い薬剤を含む薬剤収容部100であっても保管位置10に返却してしまう可能性がある。
【0145】
しかし、搬送制御装置50Aによれば、待機位置20に空きがある場合(載置部21に空きがある場合)には、薬剤収容部100を待機位置20に待機させることができる。そのため、待機位置20を有効に利用することができる。また、搬送制御装置50Aによれば、既存の装置構成(既存の載置部21の数)を維持しつつ、薬剤収容部100を効率よく搬送することができる。さらに、待機位置20に空きがある場合には、取出順序が近い薬剤を含む薬剤収容部100を、保管位置10に返却せずに、待機位置20に待機させることができる。そのため、搬送制御装置50Aによれば、当該薬剤収容部100を保管位置10に返却する場合に比べ、効率のよい薬剤収容部100の搬送制御を実現できる。
【0146】
また、搬送制御部514は、個数判定部513によって第2薬剤収容部の個数が待機可能数以上であると判定された場合、薬剤の取出しが完了した第1薬剤収容部を、取出位置30から待機位置20を経由して保管位置10に搬送する。そのため、待機位置20に空きがない場合には、薬剤収容部100を保管位置10に搬送できる。従って、載置部21の数が少ない場合であっても、薬剤収容部100の搬送制御をスムーズに行うことができる。
【0147】
また、搬送制御部514は、個数判定部513によって第2薬剤収容部の個数が0であると判定された場合、薬剤の取出しが完了した第1薬剤収容部を、取出位置30に待機させる。そのため、搬送制御部514は、連続して取出される薬剤を収容した薬剤収容部100を、1つ目の薬剤の取出しが完了した後に搬送させず、2つ目の薬剤の取出しのために、取出位置30に待機させることができる。従って、搬送制御装置50Aによれば、より効率のよい薬剤収容部100の搬送制御を実現できる。
【0148】
(変形例)
上述した動作例2において、搬送制御装置50Aは、各カセットからの薬剤の取出しが完了した時点で上記処理2を行い、薬剤取出完了後の薬剤収容部100の位置を制御している。例えば、動作例2において、時間T5でカセットAからの薬剤の取出しが完了した時点でカセットAの薬剤取出完了後の位置を判断し、保管位置10まで搬送することにより、カセットAが載置されていた位置に、次のカセットEが搬送されている。この場合、カセットAよりもカセットCの方が薬剤取出の完了が早い場合、カセットCが載置されていた位置に次のカセットEが搬送される。
【0149】
しかしながら、カセットEの載置先は、処方データを受信した段階で制御部51Aによって決められていてもよい。制御部51Aは、過去の搬送データなどを考慮して、グループ2に含まれる薬剤のうち、どの薬剤の取出しが早く完了するかを予想し、カセットEの載置先を決定してもよい。例えば、制御部51Aが、グループ2に含まれる薬剤において、薬剤a1の取出が最も早く完了すると予想する場合、搬送制御部514は、カセットAが載置されていた位置に次のカセットEを搬送する。この場合、カセットAよりもカセットCの薬剤取出が早く完了した場合であっても、カセットCが載置されていた位置には、次のカセットEは搬送されない。
【0150】
〔実施形態3〕
実施形態3では、調剤単位を考慮せずに薬剤収容部100の搬送制御を行う搬送制御装置50Bと、搬送制御装置50Bが制御する薬剤取出支援装置1Bについて説明する。
【0151】
本実施形態の薬剤取出支援装置1Bの概略的な構成は、図1に示すように、薬剤取出支援装置1と同じである。しかし、薬剤取出支援装置1Bは、搬送制御装置50Bを備える点で、実施形態1の薬剤取出支援装置1と異なる。
【0152】
<搬送制御装置50Bの構成>
図11は、薬剤取出支援装置1Bの電気的構成を示すブロック図である。図11に示すように、搬送制御装置50Bは、取出順管理部511、算出部512および個数判定部513を備えていない点において、実施形態1の制御部51と異なる。
【0153】
実施形態3において、搬送順管理部517は、受信した処方データ、又は、使用者による入力操作に基づき搬送順序を決定し、各薬剤収容部100に対して、取出位置30への搬送前に待機位置20へ搬送させる順番を設定する。
【0154】
第1薬剤収容部は、複数の順番が設定された薬剤収容部100である。第2薬剤収容部は、任意の第1薬剤収容部とは別の薬剤収容部100である。第1収容部に設定された複数の順番のうちの任意の順番を第1の順番とし、第1の順番の次に第1薬剤収容部が取出位置30に搬送される順番を第2の順番とする。
【0155】
搬送制御部514は、第1の順番において待機位置20に搬送された後、取出位置30に搬送される第1薬剤収容部の、薬剤取出完了後の位置を、以下(i)および(ii)に基づいて制御する。(i)は第2の順番であり、(ii)は、待機位置20への搬送があった第2薬剤収容部に設定された、待機位置20へ搬送される順番のうちの最後の順番である。
【0156】
待機位置20への搬送があった第2薬剤収容部とは、搬送により、待機位置20へ到達した(待機位置20への搬送が完了した)第2薬剤収容部、および保管位置10または取出位置30から待機位置20までの搬送途中の第2薬剤収容部を含む。待機位置20への搬送があった第2薬剤収容部は、搬送制御部514が、保管位置10から待機位置20への搬送指示を受けた薬剤収容部100であってもよい。例えば、搬送制御部514は、ある薬剤収容部100に対する保管位置10から待機位置20への搬送指示を受けた時点で、当該薬剤収容部100は第2薬剤収容部として待機位置20への搬送があったと判断してもよい。
【0157】
搬送制御部514は、薬剤取出完了後の薬剤収容部100の、待機位置20へ搬送される次回の順番と、待機位置20へ搬送があった薬剤収容部100の順番とに基づいて、薬剤取出完了後の薬剤収容部100の位置を制御することができる。これにより、既存の装置構成を維持しつつ、薬剤収容部を効率良く搬送することが可能となる。
【0158】
搬送制御部514による薬剤収容部100の搬送制御は、以下のとおりである。
【0159】
(制御1)搬送制御部514は、上記第2の順番が、上記最後の順番と連続した次の順番である場合、薬剤取出完了後の第1薬剤収容部を、待機位置20に待機させる。
【0160】
搬送制御部514による当該制御により、待機位置20に搬送する順番が近い(取出順序が近い)薬剤収容部100を、待機位置20に待機させることができ、効率のよい薬剤収容部100の搬送制御を実現できる。
【0161】
(制御2)搬送制御部514は、上記第2の順番が、上記最後の順番と連続した順番でない場合、薬剤取出完了後の第1薬剤収容部を、待機位置20に待機させることなく、保管位置10に搬送する。
【0162】
搬送制御部514による当該制御により、待機位置20に搬送する順番が近い(取出順序が近い)薬剤収容部100のみを待機位置20に待機させることができる。これにより、待機位置20を有効活用することができる。
【0163】
<搬送制御装置50Bの処理>
図12は、搬送制御装置50Bによる処理の一例を示すフローチャートである。図12では、制御部51Bが、ある時点で取出位置30に位置する薬剤収容部100(第1薬剤収容部)の搬送先を決定し、当該薬剤収容部100を当該搬送先まで搬送する処理の一例を示す。
【0164】
図12に示すように、第1薬剤収容部が取出位置30に位置している状態において、搬送順管理部517は、第1薬剤収容部からの薬剤の取出しが完了したかを判定する(S31)。
【0165】
搬送順管理部517は、第1薬剤収容部からの薬剤の取出しが完了したと判定した場合(S31でYES)、薬剤収容部100の搬送順序に基づき、第1薬剤収容部が取出位置30への再度の搬送対象となるかを判定する(S32)。搬送順管理部517が、第1薬剤収容部が取出位置30への再度の搬送対象となると判定した場合(S32でYES)、搬送制御部514は、第1薬剤収容部に設定された第1の順番と第2の順番が連続しているかを判定する(S33)。搬送制御部514が、第1の順番と第2の順番が連続していると判定した場合(S33でYES)、搬送制御部514は、第1薬剤収容部を取出位置30にそのまま待機させる。
【0166】
搬送制御部514は、第1の順番と第2の順番が連続していないと判定した場合(S33でNO)、次の判定を行う。すなわち、搬送制御部514は、第1薬剤収容部に設定された第2の順番が、待機位置20への搬送があった第2薬剤収容部に設定された、待機位置20へ搬送される順番のうちの最後の順番と連続しているかを判定する(S35)。
【0167】
搬送制御部514が第2の順番が最後の順番と連続していると判定した場合(S35でYES)、搬送制御部514は、第1薬剤収容部を待機位置20搬送して待機させる(S36)。
【0168】
搬送制御部514は、第2の順番が最後の順番と連続していないと判定した場合(S35でNO)、搬送制御部514は、第1薬剤収容部を取出位置30から保管位置10まで搬送する(S37)。
【0169】
なおS1において、搬送順管理部517は、第1薬剤収容部からの薬剤の取出しが完了するまで待機する(S31でNOの場合)。また、搬送順管理部517が、第1薬剤収容部が取出位置30への再度の搬送対象とならないと判定した場合(S32でNO)、薬剤の取出順序において、第1薬剤収容部からの再度の薬剤の取出しは無い。そのため、搬送制御部514は、第1薬剤収容部を、取出位置30から保管位置10まで搬送する(S35)。
【0170】
以下の表5は、薬剤名、カセットID、および搬送順管理部517が薬剤取出作業要求に応じて各カセットに対して設定した順番の一例を示したものである。例えば、カセットA~Eに対して、以下の表5に示すように待機位置20へ搬送される順番が設定されているとする。第1の順番である順番1において待機位置20へ搬送されたカセットAからの薬剤の取出しが完了した時点において、カセットB、C、DおよびEの待機位置20への搬送があったとする。この場合、第2薬剤収容部であるカセットB、C、DおよびEのそれぞれに設定された順番のうちの最後の順番は、カセットEに設定された順番5である。当該順番5と、第1薬剤収容部であるカセットAに設定されている第2の順番である順番6は連続している。よって、第1の順番である順番1において待機位置20へ搬送されたカセットAは、薬剤の取出し完了後、取出位置30から待機位置20に搬送される。
【0171】
一方、第1の順番である順番1において待機位置20へ搬送されたカセットAからの薬剤の取出しが完了した時点において、カセットBおよびCの待機位置20への搬送があったとする。この場合、第2薬剤収容部であるカセットBおよびCのそれぞれに設定された順番のうち、最後の順番である順番3と、カセットAに設定されている第2の順番である順番6とは連続していない。よって、第1の順番である順番1において待機位置20へ搬送されたカセットAは、薬剤の取出し完了後、保管位置10に搬送される。
【0172】
【表5】
薬剤収容部100は、仕切部を設けることにより、薬剤収容部100に2種類以上の薬剤を混在しないように収容することも可能である。以下の表6は、1つのカセットに複数の薬剤が収容されている場合の、薬剤名、カセットID、および搬送順管理部517が薬剤取出作業要求に応じて各カセットに対して設定した順番の一例を示したものである。
【0173】
以下の表6に示すように、1つのカセットに複数の薬剤が収容されている場合、1つのカセットに対して連続した順番が設定される場合がある。搬送制御部514は、第1薬剤収容部に設定された第1の順番と第2の順番が連続していると判定した場合、搬送制御部514は、第1薬剤収容部を取出位置30にそのまま待機させる。具体的には、表6では、カセットAに順番1,2が設定されている。そのため、搬送制御部514は、カセットAからの薬剤a1の取出しが完了した後、カセットAを取出位置30にそのまま待機させる。
【0174】
【表6】
<変形例3-1>
変形例3-1では、搬送順管理部517による各薬剤収容部100に対する順番設定の変形例を示す。
【0175】
搬送順管理部517は、各薬剤収容部100から薬剤を取出す薬剤取出作業要求に応じて、各薬剤収容部100に対して待機位置20に搬送される順番を設定してもよい。当該薬剤取出作業要求は、上述したように、処方データにおける薬剤の並び順(処方の受付順)に基づく、取出位置30において薬剤を取出すための、各薬剤収容部100についての搬送要求である。よって、薬剤取出作業は、薬剤収容部100からの薬剤取出前に実行される、薬剤収容部100の待機位置20への搬送を含む。
【0176】
本変形例では、第1薬剤収容部は、2回以上の薬剤取出作業要求がある薬剤収容部100である。1つの薬剤収容部100に対して2回以上の薬剤取出作業要求がなされることにより、第1薬剤収容部には、当該2回以上の薬剤取出作業要求それぞれに対応する順番が設定されている。第2薬剤収容部は、任意の第1薬剤収容部とは別の、少なくとも1つの薬剤収容部100である。
【0177】
搬送制御部514は、第1薬剤収容部に設定されているある順番の薬剤取出作業完了後の第1薬剤収容部の位置を、(1)第1薬剤収容部に設定されている、ある順番の次の順番と、(2)第1薬剤収容部の待機位置20への搬送があった後、待機位置20への搬送があった第2薬剤収容部に設定されている順番のうちの最後の順番と、に応じて制御する。待機位置20への搬送があったとは、搬送により、薬剤収容部100が待機位置20へ到達した(待機位置20への搬送が完了した)こと、および、薬剤収容部100が保管位置10または取出位置30から待機位置20までの搬送途中であることを含む。
【0178】
表7は、薬剤名、カセットID、および搬送順管理部517が薬剤取出作業要求に応じて各カセットに対して設定した順番の一例を示したものである。
【0179】
上記表6に示される場合では、同じカセットAに収容されている薬剤a1および薬剤a2に対応して、カセットAに対して連続する複数の順番(順番1、2)が設定されている。一方、表7の例では、薬剤a1および薬剤a2に対応する順番が1つ(順番1)しか設定されていない。表7に示される場合において、カセットAは、2回の薬剤取出作業要求の対象(待機位置20への搬送対象)となっており、各薬剤取出作業要求に対応する順番(順番1および順番3)が設定されている。
【0180】
【表7】
搬送順管理部517は、第1薬剤収容部に設定されている、ある順番の次の順番と、待機位置20への搬送があった順番とが連続した順番である場合、第1薬剤収容部に設定されているある順番の薬剤取出作業完了後の第1薬剤収容部を、取出位置30から待機位置20に搬送して、待機位置20に待機させる。
【0181】
表7の例において、順番1で待機位置20に搬送されたカセットAからの薬剤の取出が完了した時点において、順番2のカセットBが待機位置20に搬送された状態であるとする。この場合、第1薬剤収容部であるカセットAに設定されている順番1がある順番であり、カセットAに設定されている次の順番は順番3である。順番3と、カセットBに設定されている順番2(上記最後の順番に対応)は連続しているため、搬送制御部514は、薬剤a2を取出した後のカセットAを取出位置30から待機位置20に搬送して、待機位置20に待機させる。
【0182】
搬送順管理部517は、第1薬剤収容部に設定されている、ある順番の次の順番と、待機位置20への搬送があった順番が連続した順番でない場合、第1薬剤収容部に設定されているある順番の薬剤取出作業完了後の第1薬剤収容部を、待機位置20に待機させることなく保管位置10に搬送する。
【0183】
例えば、第1薬剤収容部であるカセットAに設定されている順番1がある順番であり、カセットAに設定されている次の順番が順番4であるとする。また、順番1で待機位置20に搬送されたカセットAからの薬剤の取出が完了した時点において、順番2のカセットBは搬送があった状態であり、順番3のカセットCは、待機位置20への搬送が開始されていない状態であるとする。この場合、次の順番である順番4と、上記最後の順番に対応する順番2とは連続していないため、カセットAを待機位置20に待機させることなく保管位置10に搬送する。
【0184】
〔ソフトウェアによる実現例〕
上記薬剤取出支援装置(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0185】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0186】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0187】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0188】
[付記事項]
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0189】
1、1A、1B・・・薬剤取出支援装置
10・・・保管位置
20・・・待機位置
30・・・取出位置
50、50A、50B・・・搬送制御装置
100・・・ 薬剤収容部
図1
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