(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175465
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】非接触給電システム、非接触給電システムの制御プログラム、車両、及び非接触給電受電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/80 20160101AFI20231205BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20231205BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231205BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20231205BHJP
B60L 5/00 20060101ALI20231205BHJP
B60L 53/12 20190101ALI20231205BHJP
B60L 53/68 20190101ALI20231205BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20231205BHJP
G16Y 20/30 20200101ALI20231205BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20231205BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/10
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J7/00 Q
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L53/12
B60L53/68
G16Y20/20
G16Y20/30
G16Y10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087915
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 和峰
(72)【発明者】
【氏名】橋本 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】橋本 眞
(72)【発明者】
【氏名】金▲崎▼ 正樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 宜久
(72)【発明者】
【氏名】谷 恵亮
(72)【発明者】
【氏名】大林 和良
(72)【発明者】
【氏名】竹村 優一
【テーマコード(参考)】
5G503
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BB01
5G503EA09
5G503FA06
5G503GB08
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
5H105BA09
5H105BB05
5H105CC04
5H105DD10
5H105EE12
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC25
5H125BC21
5H125CC04
5H125CD01
5H125DD02
5H125EE51
(57)【要約】
【課題】電力供給セグメントの異常を個別に検出できると共に、連続する複数の電力供給セグメントで異常が発生した場合でも電力供給セグメントの異常を検出可能な非接触給電システム、非接触給電システムの制御プログラム、車両、及び非接触給電受電装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係る非接触給電システムは、電力供給セグメント側に設けられた、電力供給セグメントの送電特性を計測する送電特性取得部と、車両側に設けられた、車両の受電特性を計測する受電特性取得部と、送電特性取得部によって計測された電力供給セグメントの送電特性の計測期間と受電特性取得部によって計測された車両の受電特性の計測期間とを一致させ、計測期間を一致させた電力供給セグメントの送電特性及び車両の受電特性を用いて電力供給セグメントの効率を算出し、算出された効率に基づいて電力供給セグメントの異常を判定する異常検出手段と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行路に設けられた電力供給セグメントから走行中の車両に非接触で電力を供給する非接触給電システムであって、
前記電力供給セグメント側に設けられた、前記電力供給セグメントの送電特性を計測する送電特性取得部と、
前記車両側に設けられた、前記車両の受電特性を計測する受電特性取得部と、
前記送電特性取得部によって計測された前記電力供給セグメントの送電特性の計測期間と前記受電特性取得部によって計測された車両の受電特性の計測期間とを一致させ、計測期間を一致させた前記電力供給セグメントの送電特性及び前記車両の受電特性を用いて前記電力供給セグメントの効率を算出し、算出された効率に基づいて前記電力供給セグメントの異常を判定する異常検出手段と、
を備える、非接触給電システム。
【請求項2】
車両の走行路に設けられた電力供給セグメントから走行中の車両に非接触で電力を供給する非接触給電システムの制御プログラムであって、
前記電力供給セグメントの送電特性を計測する送電特性取得手順と、
前記車両の受電特性を計測する受電特性取得手順と、
前記送電特性取得手順によって計測された前記電力供給セグメントの送電特性の計測期間と前記受電特性取得手順によって計測された車両の受電特性の計測期間とを一致させ、計測期間を一致させた前記電力供給セグメントの送電特性及び前記車両の受電特性を用いて前記電力供給セグメントの効率を算出し、算出された効率に基づいて前記電力供給セグメントの異常を判定する異常検出手順と、
をコンピュータに実行させる、非接触給電システムの制御プログラム。
【請求項3】
車両の走行路に設けられた電力供給セグメントから走行中の車両に非接触で電力を供給する非接触給電システムから受電可能な車両であって、
前記車両の受電特性を計測する受電特性取得部と、
計測された受電特性を前記非接触給電システムの異常検出手段に報知する報知装置と、
を備え、
前記異常検出手段に対して、前記電力供給セグメント側に設けられた送電特性取得部によって計測された前記電力供給セグメントの送電特性の計測期間と前記受電特性取得部によって計測された車両の受電特性の計測期間とを一致させ、計測期間を一致させた前記電力供給セグメントの送電特性及び前記車両の受電特性を用いて前記電力供給セグメントの効率を算出させ、算出された効率に基づいて前記電力供給セグメントの異常を判定させる、車両。
【請求項4】
車両の走行路に設けられた電力供給セグメントから走行中の車両に非接触で電力を供給する非接触給電システムから受電可能な車両に搭載された非接触給電受電装置であって、
前記車両の受電特性を計測する受電特性取得部と、
計測された受電特性を前記非接触給電システムの異常検出手段に報知する報知装置と、
を備え、
前記異常検出手段に対して、前記電力供給セグメント側に設けられた送電特性取得部によって計測された前記電力供給セグメントの送電特性の計測期間と前記受電特性取得部によって計測された車両の受電特性の計測期間とを一致させ、計測期間を一致させた前記電力供給セグメントの送電特性及び前記車両の受電特性を用いて前記電力供給セグメントの効率を算出させ、算出された効率に基づいて前記電力供給セグメントの異常を判定させる、非接触給電受電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行中の車両に非接触で電力を供給する非接触給電システム、非接触給電システムの制御プログラム、車両、及び非接触給電受電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、走行中の車両に非接触で電力を供給する電力供給セグメントの異常を検出する技術が記載されている。具体的には、特許文献1に記載の技術は、異常判定の対象となる対象セグメントと、対象セグメントの前に電力を供給する前セグメントと対象セグメントの後に電力を供給する後セグメントの少なくとも一方と電気特性を共有し、対象セグメントの電気特性を前セグメントの電気特性と後セグメントの電気特性の少なくとも一方と比較することにより、対象セグメントの電気特性に異常があるか否かを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、電力供給セグメントの異常を個別に検出することができない。また、連続する複数の電力供給セグメントで異常が発生した場合には、電力供給セグメントの異常を検出することができない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、電力供給セグメントの異常を個別に検出できると共に、連続する複数の電力供給セグメントで異常が発生した場合でも電力供給セグメントの異常を検出可能な非接触給電システム、非接触給電システムの制御プログラム、車両、及び非接触給電受電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る非接触給電システムは、車両の走行路に設けられた電力供給セグメントから走行中の車両に非接触で電力を供給する非接触給電システムであって、前記電力供給セグメント側に設けられた、前記電力供給セグメントの送電特性を計測する送電特性取得部と、前記車両側に設けられた、前記車両の受電特性を計測する受電特性取得部と、前記送電特性取得部によって計測された前記電力供給セグメントの送電特性の計測期間と前記受電特性取得部によって計測された車両の受電特性の計測期間とを一致させ、計測期間を一致させた前記電力供給セグメントの送電特性及び前記車両の受電特性を用いて前記電力供給セグメントの効率を算出し、算出された効率に基づいて前記電力供給セグメントの異常を判定する異常検出手段と、を備える。
【0007】
本発明に係る非接触給電システムの制御プログラムは、車両の走行路に設けられた電力供給セグメントから走行中の車両に非接触で電力を供給する非接触給電システムの制御プログラムであって、前記電力供給セグメントの送電特性を計測する送電特性取得手順と、前記車両の受電特性を計測する受電特性取得手順と、前記送電特性取得手順によって計測された前記電力供給セグメントの送電特性の計測期間と前記受電特性取得手順によって計測された車両の受電特性の計測期間とを一致させ、計測期間を一致させた前記電力供給セグメントの送電特性及び前記車両の受電特性を用いて前記電力供給セグメントの効率を算出し、算出された効率に基づいて前記電力供給セグメントの異常を判定する異常検出手順と、をコンピュータに実行させる。
【0008】
本発明に係る車両は、車両の走行路に設けられた電力供給セグメントから走行中の車両に非接触で電力を供給する非接触給電システムから受電可能な車両であって、前記車両の受電特性を計測する受電特性取得部と、計測された受電特性を前記非接触給電システムの異常検出手段に報知する報知装置と、を備え、前記異常検出手段に対して、前記電力供給セグメント側に設けられた送電特性取得部によって計測された前記電力供給セグメントの送電特性の計測期間と前記受電特性取得部によって計測された車両の受電特性の計測期間とを一致させ、計測期間を一致させた前記電力供給セグメントの送電特性及び前記車両の受電特性を用いて前記電力供給セグメントの効率を算出させ、算出された効率に基づいて前記電力供給セグメントの異常を判定させる。
【0009】
本発明に係る非接触給電受電装置は、非接触給電受電装置車両の走行路に設けられた電力供給セグメントから走行中の車両に非接触で電力を供給する非接触給電システムから受電可能な車両に搭載された非接触給電受電装置であって、前記車両の受電特性を計測する受電特性取得部と、計測された受電特性を前記非接触給電システムの異常検出手段に報知する報知装置と、を備え、前記異常検出手段に対して、前記電力供給セグメント側に設けられた送電特性取得部によって計測された前記電力供給セグメントの送電特性の計測期間と前記受電特性取得部によって計測された車両の受電特性の計測期間とを一致させ、計測期間を一致させた前記電力供給セグメントの送電特性及び前記車両の受電特性を用いて前記電力供給セグメントの効率を算出させ、算出された効率に基づいて前記電力供給セグメントの異常を判定させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る非接触給電システム、非接触給電システムの制御プログラム、車両、及び非接触給電受電装置は、車両側と電力供給セグメント側とで取得タイミングを一致させて取得した電力情報を用いて電力供給セグメントの異常を判定するので、電力供給セグメントの異常を個別で検出できると共に、連続する複数の電力供給セグメントで異常が発生した場合でも電力供給セグメントの異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態である非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す車両の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す電力供給セグメントの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、サーバ装置の取得タイミング調整部及び異常判定部の動作を説明するための図である。
【
図5】
図5は、給電可能電力特性の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、車両が2.6mm走行するのに要する時間と車速との関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である非接触給電システムについて詳しく説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態である非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態である非接触給電システム1は、走行中の車両に非接触で電力を供給するシステムであり、車両2、電力供給セグメント3、及びサーバ装置4を備えている。
【0014】
車両2は、HV(Hybrid Vehicle),EV(Electric Vehicle),PHV(Plug-in Hybrid Vehicle),FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)等の周知の車両により構成され、インターネット回線網や携帯電話回線網等の電気通信回線NWを介して情報通信可能な通信モジュールを備えている。
図2に示すように、車両2は、電力供給セグメント3から供給された電力を受電する受電器21及び受電器21が受電した電力を整流する整流器22を備えている。整流器22は、整流した電力をバッテリ23、補機・エアコン24、及びモータ25等の車両2の各部に供給する。
【0015】
車両2は、電力供給セグメント3からバッテリ23への入力電力(受電)波形を計測する電気特性取得部26を備えている。電気特性取得部26は、計測したバッテリ23への入力電力波形に関する情報を、バッテリ23への入力電力波形を計測した時刻に関する情報(計測時刻情報)及び車両2毎に割り当てられた固有の識別情報に関する情報(車両ID)と共に電気通信回線NWを介してサーバ装置4に送信する。計測時刻情報としては、電波時計を用いて計時された計測時間の時刻情報や車両2が電力供給セグメント3上を走行している期間のカウント値を例示できる。
【0016】
図3に示すように、電力供給セグメント3は、系統からの直流電圧を整流する整流器31と、整流器31によって整流された直流電圧を交流電圧に変換する複数のインバータ32a~32dと、複数のインバータ32a~32dから出力された交流電圧を車両2に送電する複数の送電器33a~33dと、を備えている。
【0017】
電力供給セグメント3は、送電器33a~33dの入力電力(送電)波形を計測する電気特性取得部34を備えている。電気特性取得部34は、計測した送電器33a~33dの入力電力波形に関する情報を、送電器33a~33dの入力電力波形を計測した時刻に関する情報(計測時刻情報)、電力供給セグメント3毎に割り当てられた固有の識別情報に関する情報(セグメントID)、及び電力を供給した車両2の車両IDに関する情報と共に電気通信回線NWを介してサーバ装置4に送信する。計測時刻情報としては、電波時計を用いて計時された計測時間の時刻情報や車両2が電力供給セグメント3上を走行している期間のカウント値を例示できる。また、送信する入力電力波形に関する情報は、少なくとも1つ以上の時間でプロットした情報(2時30分1秒、2時30分1.1秒時点等)であり、例えば入力電力波形の特徴点としてピーク電力となった時の時間やピーク電力の半分になった時の時間等をピックアップして送信してもよい。
【0018】
図1に戻り、サーバ装置4は、ワークステーション等の情報処理装置によって構成され、電気通信回線NWを介して車両2及び電力供給セグメント3と接続されている。サーバ装置4は、電気通信回線NWを介して車両2及び電力供給セグメント3との間で情報通信を行う。サーバ装置4は、情報処理装置内部のCPU等の演算処理装置がコンピュータプログラムを実行することにより、取得タイミング調整部41及び異常判定部42として機能する。
【0019】
取得タイミング調整部41は、電気通信回線NWを介して電気特性取得部26及び電気特性取得部34から情報を取得し、取得した情報内に含まれる車両IDに基づいて同じ車両2に関するバッテリ23への入力電力波形と送電器33a~33dの入力電力波形とを紐付けする。そして、
図4(a)~(c)に示すように、取得タイミング調整部41は、取得した情報内に含まれる計測時刻情報に基づいて、紐付けされたバッテリ23への入力電力波形の計測期間と送電器33a~33dの入力電力波形の計測期間とを一致させる。
図4(a)~(c)に示す例では、送電器Aの入力電力波形の立ち上がり時刻とバッテリ23への入力電力波形の立ち上がり時刻とが時間T=T2で一致し、送電器Bの入力電力波形の立ち上がり時刻とバッテリ23への入力電力波形の立ち上がり時刻とが時間T=T4で一致し、送電器Aの入力電力波形の消弧時刻とバッテリ23への入力電力波形の消弧時刻とが時間T=T5で一致し、送電器Bの入力電力波形の消弧時刻とバッテリ23への入力電力波形の消弧時刻とが時間T=T6で一致している。
【0020】
異常判定部42は、取得タイミング調整部41によって計測期間が一致されたバッテリ23への入力電力波形及び送電器33a~33dの入力電力波形を用いて電力供給セグメント3の異常を判定し、異常と判定された電力供給セグメント3のセグメントIDに関する情報を管理者等に通知する。例えば
図4(a)~(c)に示す例では、時間T=T2~T5におけるバッテリ23の受電電力量から時間T=T4~T5における送電器Bの送電電力量を減算した値を、時間T=T2~T5における送電器Aの送電電力量で除算することにより、送電器Aの平均充電効率を算出する。そして、異常判定部42は、算出された平均充電効率が所定範囲内にない場合、送電器Aに異常があると判定し、送電器AのセグメントIDを管理者等に通知する。同様にして異常判定部42は送電器Bの異常を判定する。なお、異常判定部42は、平均充電効率ではなく任意のタイミングにおける充電効率を用いて異常判定を行ってもよい。但し、この場合、任意のタイミングとしては、複数の送電器が駆動されているタイミング(例えば
図4(a)~(c)に示す時間T=T4~T5)は除外するものとする。なお、
図4(a)~(c)に示す時間T=T1,T3はそれぞれ送電器A及び送電器Bの給電が許可されたタイミングを示す。
【0021】
以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態である非接触給電システム1では、サーバ装置4が、バッテリ23への入力電力波形の計測期間と送電器33a~33dの入力電力波形の計測期間とを一致させた後、バッテリ23への入力電力波形及び送電器33a~33dの入力電力波形から求められる電力供給セグメント3の効率に基づいて電力供給セグメント3に異常が発生しているか否かを判定する。これにより、電力供給セグメント3の異常を個別で検出することができる共に、連続する複数の電力供給セグメント3で異常が発生した場合でも電力供給セグメント3の異常を検出することができる。
【0022】
〔一致の定義〕
走行中給電では、車両の走行によって受電器と送電器の位置関係が時々刻々と変化する。この位置関係の変化は給電電力の上限値(電力の送りやすさ)の変化とも言え、例えば給電電力を制御せずに給電電力の上限値で給電を続けている場合に電力波形の計測期間がずれると、車両側と電力供給セグメント側とで効率を比較するための電力に大きな差が生じる。ここで、計量法では、~50kWでは5%、~500kWでは3%が計測精度(計測誤差)の上限として定められている。また、計測精度のカタログ値は2.5%とある。こうした中で電力計測を行うにあたっての要求計測精度は3%等の高い計測精度が求められることがわかる。ここで、計測精度の上限が3%と定められている中でセンサの計測精度が2.5%であるときには計測精度に0.5%の余裕しかなく、0.5%を超えた誤差(条件変化)は許容されない。このため、上述した“一致”の定義としては、0.5%未満の変化に収まる条件変化を要件とする。
【0023】
例えば受電器の長さが1.5mである場合、給電可能電力特性は
図5に示すようになる。なお、
図5に示す給電可能電力特性は送電器に対する受電器の位置で給電可能電力特性を正規化したものである。
図5に示すように、受電器と送電器の位置関係が15cm変化することによって電力の値は28%変動することがわかる。このため、0.5%の変動幅という観点でみると、2.6mmのずれで0.5%変動することから、距離としては2.6mm以下の電力取得タイミングの精度が必要となる。2.6mmについて車速に応じた時間を整理すると
図6に示すようになり、一致に相当する時間を50μs以下に設定すると、おおよその車速をカバー可能であると言える。但し、本例では受電器の長さを1.5mとしたが、長さが半分の0.75mであれば一致に相当する時間も半分の25μs以下となり、受電器や給電器の大きさ及び車両の走行速度に応じて一致の具体的な値は変化する。
【0024】
〔電気特性取得部の校正〕
計測用の送電器の周囲に車両の横ずれ位置と地上高を測定する機器を配置し、車両が計測用の送電器を通過する際の電力量を計測し、計測した電力量が機器の測定値と電力量との組み合わせの効率から算出される電力量との間に差分があった場合、差分が小さくなるように車両側の電気特性取得部の換算ゲインを調整してもよい。また、横ずれ位置と地上高を測定する機器を車両に配置し、車両が計測用の送電器を通過する際の電力量を計測し、計測した電力量が機器の測定値との組み合わせから算出される電力量との間に差分があった場合、差分が小さくなるように電力セグメント側の電気特性取得部の換算ゲインを調整してもよい。
【0025】
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0026】
1 非接触給電システム
2 車両
3 電力供給セグメント
4 サーバ装置
21 受電器
22 整流器
23 バッテリ
24 補機・エアコン
25 モータ
26 電気特性取得部
31 整流器
32a~32d インバータ
33a~33d 送電器
41 取得タイミング調整部
42 異常判定部
NW 電気通信回線