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特開2023-175467ワイヤレス給電システム及び方法並びにワイヤレス受電システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175467
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】ワイヤレス給電システム及び方法並びにワイヤレス受電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/40 20160101AFI20231205BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20231205BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087917
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】中西 秀行
(72)【発明者】
【氏名】大堀 隼輝
(72)【発明者】
【氏名】土方 亘
(72)【発明者】
【氏名】李 想
(57)【要約】
【課題】負荷側回路のインピーダンスが変動した場合であっても、インピーダンス整合を簡便に実行するワイヤレス給電システム及び方法並びにワイヤレス受電システムを提供する。
【解決手段】磁界共鳴方式を利用して送電コイル32と受電コイル41との間で電力を送受電するワイヤレス給電システム1は、受電コイル41が、受電コイル41に設けられた複数の端子の接続位置に応じて異なるコイル巻数を有する複数のコイル領域41A、41B、41Cを選択可能に構成され、コントローラ92が、複数の端子の切替により受電コイル41のインダクタンスを変更し、送電装置3の入力端IEから負荷8側の回路のインピーダンスである負荷側インピーダンスと送電装置3の入力端IEから交流電源5側の回路のインピーダンスである入力側インピーダンスとの差分を緩和する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電コイルを含む送電側共振回路を備えている送電装置と、
受電コイルを含む受電側共振回路を有する受電部を備え、前記受電コイルが受電した電力が供給される負荷に接続可能な受電装置と、
前記受電部を制御する制御装置と、
を備え、磁界共鳴方式を利用して前記送電コイルと前記受電コイルとの間で電力を送受電するワイヤレス給電システムであって、
前記受電コイルは、前記受電コイルに設けられた複数の端子の接続位置に応じて異なるコイル巻数を有する複数のコイル領域を選択可能に構成され、
前記制御装置は、前記複数の端子の切替により前記受電コイルのインダクタンスを変更し、前記送電装置の入力端から負荷側の回路のインピーダンスである負荷側インピーダンスと前記送電装置の入力端から電源装置側の回路のインピーダンスである入力側インピーダンスとの差分を緩和することを特徴とするワイヤレス給電システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記複数の端子の切替により、選択された前記コイル領域のインダクタンス及び選択された前記コイル領域と直列に配置されたコンデンサのキャパシタンスを前記送電コイルと前記受電コイルとの間での磁界共鳴を維持可能に調整することを特徴とする請求項1に記載のワイヤレス給電システム。
【請求項3】
前記送電装置は、前記送電コイルと磁界結合可能に設けられて前記送電コイルに磁界共鳴方式を利用して電力を送電する駆動コイルを有する給電部をさらに備え、
前記制御装置は、前記送電コイルと前記駆動コイルとの磁界結合における結合強さを変更するように前記給電部を制御することを特徴とする請求項1に記載のワイヤレス給電システム。
【請求項4】
前記送電装置は、前記電源装置と前記駆動コイルとの間に配置されて、前記駆動コイルでの反射電力を検出する反射電力検出部をさらに備え、
前記制御装置は、前記反射電力検出部により検出した反射電力の大きさに応じて、前記受電部又は前記給電部を制御することを特徴とする請求項3に記載のワイヤレス給電システム。
【請求項5】
前記受電装置は、前記負荷における負荷電流又は負荷電圧を測定する測定部をさらに備え、
前記制御装置は、前記測定部により検出した値に応じて、前記受電部又は前記給電部を制御することを特徴とする請求項3に記載のワイヤレス給電システム。
【請求項6】
前記送電コイルと受電コイルとの相対位置を測定する相対位置測定部をさらに備え、
前記制御装置は、前記相対位置測定部により測定した値に応じて、前記受電部又は前記給電部を制御することを特徴とする請求項3に記載のワイヤレス給電システム。
【請求項7】
交流電源を備えている電源装置と、
入力端において前記電源装置に接続され、送電コイルを含む送電側共振回路を備えている送電装置と、
受電コイルを含む受電側共振回路を有する受電部を備え、前記受電コイルが受電した電力が供給される負荷に接続可能な受電装置と、
前記受電部を制御する制御装置と、
を備え、磁界共鳴方式を利用して前記送電コイルと前記受電コイルとの間で電力を送受電するワイヤレス給電システムであって、
前記受電コイルは、前記受電コイルに設けられた複数の端子の接続位置に応じて異なるコイル巻数を有する複数のコイル領域を選択可能に構成され、
前記制御装置は、前記複数の端子の切替により前記受電コイルのインダクタンスを変更し、前記送電装置の入力端から負荷側の回路のインピーダンスである負荷側インピーダンスと前記送電装置の入力端から電源装置側の回路のインピーダンスである入力側インピーダンスとの差分を緩和し、
前記送電装置は、前記送電コイルと磁界結合可能に設けられて前記送電コイルに磁界共鳴方式を利用して電力を送電する駆動コイルを有する給電部をさらに備え、
前記制御装置は、前記送電コイルと前記駆動コイルとの磁界結合における結合強さを変更するように前記給電部を制御することを特徴とするワイヤレス給電システム。
【請求項8】
前記電源装置は、前記交流電源と前記送電装置の入力端との間に配置され、前記送電装置側からの反射電力を検出する反射電力検出部を備え、
前記制御装置は、前記反射電力検出部により検出した反射電力の大きさに応じて、前記受電部又は前記給電部を制御することを特徴とする請求項7に記載のワイヤレス給電システム。
【請求項9】
前記送電装置の入力端が内部に位置し、前記駆動コイル側からの反射電力を検出する検出する反射電力検出部をさらに備え、
前記制御装置は、前記反射電力検出部により検出した反射電力の大きさに応じて、前記受電部又は前記給電部を制御することを特徴とする請求項7に記載のワイヤレス給電システム。
【請求項10】
送電コイルを含む送電側共振回路を備えている送電装置から、磁界共鳴方式を利用して送電される電力を受電するワイヤレス受電システムであって、
受電コイルを含む受電側共振回路を有する受電部を備え、前記受電コイルが受電した電力が供給される負荷に接続可能であり、
前記受電コイルは、前記受電コイルに設けられた複数の端子の接続位置に応じて異なるコイル巻数を有する複数のコイル領域を選択可能に構成され、
前記受電部を制御する制御装置は、前記複数の端子の切替により前記受電コイルのインダクタンスを変更し、前記送電装置の入力端から負荷側の回路のインピーダンスである負荷側インピーダンスと前記送電装置の入力端から電源装置側の回路のインピーダンスである入力側インピーダンスとの差分を緩和することを特徴とするワイヤレス受電システム。
【請求項11】
前記制御装置は、前記複数の端子の切替により、選択された前記コイル領域のインダクタンス及び選択された前記コイル領域と直列に配置されたコンデンサのキャパシタンスを前記送電コイルと前記受電コイルとの間での磁界共鳴を維持可能に調整することを特徴とする請求項10に記載のワイヤレス受電システム。
【請求項12】
送電コイルを含む送電側共振回路を備えている送電装置と、
受電コイルを含む受電側共振回路を有する受電部を備え、前記受電コイルが受電した電力が供給される負荷に接続可能な受電装置と、
前記受電部を制御する制御装置と、
を備え、磁界共鳴方式を利用して前記送電コイルと前記受電コイルとの間で電力を送受電するワイヤレス給電システムを用いたワイヤレス給電方法であって、
前記受電コイルは、前記受電コイルに設けられた複数の端子の接続位置に応じて異なるコイル巻数を有する複数のコイル領域を選択可能に構成され、
前記制御装置は、前記複数の端子の切替により前記受電コイルのインダクタンスを変更し、前記送電装置の入力端から負荷側の回路のインピーダンスである負荷側インピーダンスと前記送電装置の入力端から電源装置側の回路のインピーダンスである入力側インピーダンスとの差分を緩和することを特徴とするワイヤレス給電方法。
【請求項13】
前記送電装置は、前記送電コイルと磁界結合可能に設けられ、前記送電コイルに磁界共鳴方式を利用して電力を送電する駆動コイルを有する給電部をさらに備え、
前記制御装置は、前記送電コイルと前記駆動コイルとの磁界結合における結合強さを変更するように前記給電部を制御することを特徴とする請求項12に記載のワイヤレス給電方法。
【請求項14】
前記制御装置による負荷側インピーダンスの調整は、前記受電コイルの端子を切り替えて粗調整した後に、前記給電部を制御して微調整を行うことを特徴とする請求項13に記載のワイヤレス給電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレス給電システム及び方法並びにワイヤレス受電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、磁界を利用したワイヤレス給電システムの研究開発が進められている。このような磁気を利用した給電方式としては、電磁結合(電磁誘導)方式と磁界共鳴方式とが知られている。磁界共鳴方式は、送電装置の共振回路に交流電流が流れることにより発生した磁場の振動が、受電装置の共振回路に伝わって共振することで、各共振回路のコイルで生成された磁界が強固に結合した状態(磁界共振結合)を介して電力を送電することをいう。磁界共鳴方式を利用したワイヤレス給電は、電磁結合方式を利用したワイヤレス給電と比較して、給電可能距離が長くなるという利点がある(例えば、特許文献1参照)。なお、磁界共鳴方式も磁気結合を利用する方式であるものの、本発明では理解を容易にするために、共振を利用する方式を磁界共鳴方式としている。
【0003】
このようなワイヤレス給電システムでは、効率良く送電を行うために、送電装置の入力端(IE)から視て受電装置及び負荷等を含む負荷側回路のインピーダンスと、送電装置の入力端(IE)から視て電源側のインピーダンスとが等価に設定する必要がある。
【0004】
通常、送電装置の送電コイルと受電装置の送電コイルとが所定の相対位置に位置するときにインピーダンスマッチング(インピーダンス整合)が成り立つように、送電装置の共振回路及び受電装置の共振回路の各種パラメータが予め設定されている。このようなインピーダンスが不整合となる要因は、例えば、送電コイルと受電コイルとの相対的な位置関係の変化や、給電対象であるバッテリやモータ等の負荷の充電状況の変化等が考えられる。
【0005】
特許文献2には、共鳴素子と励振素子とが電磁誘導により結合され、共鳴素子から励振素子、自動整合器を通じて交流電力が整流回路に供給される受け側(給電先)において、自動整合器と励振素子とが、インピーダンス変換器を構成しており、自動整合器が、伝送距離によって変動する結合係数に応じて、共鳴素子を有する共振回路のインピーダンスを調整し、励振素子が、共鳴素子と整流回路との間のインピーダンス整合を取る構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-505369号公報
【特許文献2】特開2011-50140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のような受電コイルとは別の共振回路を設けてインピーダンス整合を実現する場合、インピーダンスの変化に応じて、共振状態を維持しながら可変インダクタや可変キャパシタを動作させる必要がある。これらの応答性を考慮すると、共振状態を維持する条件とインピーダンスを整合させる条件とが両立できず、送電コイルと受電コイルとの位置関係の変化に応じてインピーダンスを整合することは困難であるという問題があった。また、負荷の変動に応じたインピーダンス変化に対してインピーダンスを整合することも同様に困難であるという問題もあった。さらに、このようなインピーダンス整合機能を備えた受電装置は、高性能な素子等を要するためコストが高くなりがちであり、さらに受電装置が移動体や可搬機器である場合、このような受電装置に複雑な機構を搭載することは重量やサイズ、や発熱等を考慮すると現実的ではなかった。
【0008】
そこで、負荷側回路のインピーダンスが変動した場合であっても、インピーダンス整合を簡便に実行するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係るワイヤレス給電システムは、送電コイルを含む送電側共振回路を備えている送電装置と、受電コイルを含む受電側共振回路を有する受電部を備え、前記受電コイルが受電した電力が供給される負荷に接続可能な受電装置と、前記受電部を制御する制御装置と、を備え、磁界共鳴方式を利用して前記送電コイルと前記受電コイルとの間で電力を送受電するワイヤレス給電システムであって、前記受電コイルは、前記受電コイルに設けられた複数の端子の接続位置に応じて異なるコイル巻数を有する複数のコイル領域を選択可能に構成され、前記制御装置は、前記複数の端子の切替により前記受電コイルのインダクタンスを変更し、前記送電装置の入力端から負荷側の回路のインピーダンスである負荷側インピーダンスと前記送電装置の入力端から電源装置側の回路のインピーダンスである入力側インピーダンスとの差分を緩和する。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明に係るワイヤレス受電システムは、送電コイルを含む送電側共振回路を備えている送電装置から、磁界共鳴方式を利用して送電される電力を受電するワイヤレス受電システムであって、受電コイルを含む受電側共振回路を有する受電部を備え、前記受電コイルが受電した電力が供給される負荷に接続可能であり、前記受電コイルは、前記受電コイルに設けられた複数の端子の接続位置に応じて異なるコイル巻数を有する複数のコイル領域を選択可能に構成され、前記受電部を制御する制御装置は、前記複数の端子の切替により前記受電コイルのインダクタンスを変更し、前記送電装置の入力端から負荷側の回路のインピーダンスである負荷側インピーダンスと前記送電装置の入力端から電源装置側の回路のインピーダンスである入力側インピーダンスとの差分を緩和する。
【0011】
さらに、上記目的を達成するために、本発明に係るワイヤレス給電方法は、送電コイルを含む送電側共振回路を備えている送電装置と、受電コイルを含む受電側共振回路を有する受電部を備え、前記受電コイルが受電した電力が供給される負荷に接続可能な受電装置と、前記受電部を制御する制御装置と、を備え、磁界共鳴方式を利用して前記送電コイルと前記受電コイルとの間で電力を送受電するワイヤレス給電システムを用いたワイヤレス給電方法であって、前記受電コイルは、前記受電コイルに設けられた複数の端子の接続位置に応じて異なるコイル巻数を有する複数のコイル領域を選択可能に構成され、前記制御装置は、前記複数の端子の切替により前記受電コイルのインダクタンスを変更し、前記送電装置の入力端から負荷側の回路のインピーダンスである負荷側インピーダンスと前記送電装置の入力端から電源装置側の回路のインピーダンスである入力側インピーダンスとの差分を緩和する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、負荷側回路のインピーダンスが変動した場合であっても、コイル巻数が異なる複数のコイル領域から適切なコイル領域を選択し、送電コイル及び受電コイルの磁界結合の結合強さの強弱(磁界結合の疎密)を変更することにより、入力側インピーダンスと負荷側インピーダンスとの差分が緩和されるため、入力端における反射波の発生が抑制され、送電効率の低下や、それに伴うシステム障害の虞を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態に係るワイヤレス給電システムの構成を示す模式図である。
図2】駆動コイルの構成を示す模式図である。
図3】送電コイルと、コイル軸の軸線方向にオフセットして配置された3つの駆動コイル部との位置関係を示す模式図である。
図4】受電コイルの構成を示す模式図である。
図5】送電コイルと、受電コイルの3つのコイル領域との位置関係を示す模式図である。
図6】受電コイルの電気配線を示す模式図である。
図7】ワイヤレス給電システムに対応する回路図である。
図8図7に示す回路図に対応する等価回路図である。
図9】第1の実施形態に係るワイヤレス給電システムの第1の変形例の構成を示す模式図である。
図10】第1の実施形態に係るワイヤレス給電システムの第2の変形例の構成を示す模式図である。
図11】送電コイルと、送電コイルに対して傾斜して略球状に配置された8つの給電コイル部との位置関係を示す模式図である。
図12】本発明の第2の実施形態に係るワイヤレス給電システムの構成を示す模式図である。
図13】本発明の第3の実施形態に係るワイヤレス給電システムの構成を示す模式図である。
図14】実施例1~2で用いた駆動コイル、送電コイル及び受電コイルの構成を示す模式図である。
図15】実施例1の実験結果を示すグラフである。
図16】実施例2の実験結果を示すグラフである。
図17】実施例2において、負荷抵抗を50Ωに設定した場合に、送電コイルと受電コイルとの各距離における駆動コイルと受電コイルの組み合わせを示す表である。
図18】実施例2において、負荷抵抗を200Ωに設定した場合に、送電コイルと受電コイルとの各距離における駆動コイルと受電コイルの組み合わせを示す表である。
図19】実施例2において、負荷抵抗を500Ωに設定した場合に、送電コイルと受電コイルとの各距離における駆動コイルと受電コイルの組み合わせを示す表である。
図20】実施例2における送電効率を示すグラフである。
図21】負荷抵抗を50Ωに設定した場合における、実施例3の実験結果を示すグラフである。
図22】負荷抵抗を500Ωに設定した場合における、実施例3の実験結果を示すグラフである。
図23】負荷抵抗を3079Ωに設定した場合における、実施例3の実験結果を示すグラフである。
図24】実施例3において、負荷抵抗を50Ωに設定した場合に、送電コイルと受電コイルとの各距離における駆動コイルと受電コイルの組み合わせを示す表である。
図25】実施例3において、負荷抵抗を500Ωに設定した場合に、送電コイルと受電コイルとの各距離における駆動コイルと受電コイルの組み合わせを示す表である。
図26】実施例3において、負荷抵抗を3079Ωに設定した場合に、送電コイルと受電コイルとの各距離における駆動コイルと受電コイルの組み合わせを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係るワイヤレス給電システム1A及びワイヤレス給電システム1Aを用いたワイヤレス給電方法について図面に基づいて説明する。なお、以下では、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0015】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0016】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。
【0017】
<ワイヤレス給電システムの構成>
図1は、ワイヤレス給電システム1Aの構成を示す模式図である。ワイヤレス給電システム1Aは、磁界共鳴を利用して非接触で給電対象物2に電力を給電する。給電対象物2は、例えば、車両、ロボット飛翔体、水中ロボット、カプセル内視鏡、心臓ペースメーカー等であり、移動可能な機器又は移動不能な機器の何れであっても構わない。また、給電時に、給電対象物2は移動中又は停止の何れであっても構わない。ワイヤレス給電システム1Aは、送電装置3と、受電装置4と、を備えている。また、ワイヤレス給電システム1Aは、交流電源5を備えた電源装置5Aを備えていても良い。
【0018】
<送電装置の構成>
送電装置3は、駆動コイル31と、送電コイル32と、コンデンサ33、34と、を備えている。
【0019】
駆動コイル31及び送電コイル32は、電気伝導率の高い銅線等を円形に巻回して形成されている。なお、銅線内を流れる電流は、内部抵抗の影響によって銅線の中心部よりも表面付近を多く流れる。したがって、駆動コイル31及び送電コイル32の線材に複数の銅線を撚り合わせたリッツ線を用いた場合には、同一径の1本の銅線と比べて、リッツ線の表面積が大きくなり、より多くの電流を流すことができ、電流損失を抑制できる。
【0020】
駆動コイル31には、電源装置5Aの交流電源5から交流電力が供給される。交流電力は、例えば、周波数150kHz、電圧10Vに設定されるが、交流電源5の周波数及び電圧は任意に変更可能である。以下、駆動コイル31の交流電源5側の接点を「入力端IE」という。なお、本実施形態では、駆動コイル31と交流電源5とは、入力端IEを介して直接的に接続されている場合を例に説明するが、駆動コイル31と交流電源5とは、入力端IEを介して直接的に接続されても、交流電源5と入力端IEとの間に設けられた同軸ケーブル等を介して間接的に接続されても構わない。この場合、もし電源のインピーダンスが同軸ケーブル等のインピーダンスと整合している場合は、同軸ケーブル等の電源側端は電力の反射等が生じないため問題にはならず、入力端IEは同軸ケーブル等の負荷側端を意味する。
【0021】
駆動部35は、駆動コイル31及びコンデンサ33を直列に接続して構成された給電側共振回路を備えている。駆動コイル31のインダクタンス及びコンデンサ33のキャパシタンスによって設定される共振周波数に応じた周波数の交流電圧が駆動コイル31に流れると、駆動コイル31を貫くように振動磁場が生じる。駆動コイル31の詳しい構成については、後述する。
【0022】
駆動コイル31と送電コイル32とは磁界結合しており、駆動コイル31は、磁界共鳴方式により電力を送電コイル32に供給する。すなわち、駆動コイル31のインダクタンス及びコンデンサ33のキャパシタンスに応じて設定される共振周波数と、送電コイル32のインダクタンス及びコンデンサ34のキャパシタンスに応じて設定される共振周波数とがほぼ等しく、駆動コイル31と送電コイル32とが共振するように設計されている。これにより、駆動コイル31に交流電流が流れることにより発生した特定周波数(共振周波数)の磁場の振動が、送電コイル32に伝わり同じ特定周波数で共振することで、送電コイル32に起電力が生じる。なお、駆動コイル31から送電コイル32への電力の供給は、各コイルの位置関係による影響が低減される磁界共鳴方式が好適であるが、駆動コイル31に交流電流が流れると、駆動コイル31をコイル軸方向に貫くように生じる磁束を媒介にして、送電コイル32にも起電力が生じる電磁結合方式であっても構わない。また、磁界共鳴方式と電磁結合方式とを併用しても構わない。
【0023】
送電部36は、送電コイル32及びコンデンサ34を直列に接続して構成された送電側共振回路を備えている。送電コイル32のインダクタンス及びコンデンサ33のキャパシタンスによって設定される共振周波数に応じた周波数の交流電圧が送電コイル32に流れると、後述する受電コイル41が共振して起電力が生じる。
【0024】
交流電源5と駆動コイル31との間には、方向性結合器から成る反射電力検出部37が設けられている。反射電力検出部37は、駆動コイル31側からの反射電力を検出する。
【0025】
<受電装置の構成>
受電装置4は、給電対象物2内に設けられている。受電装置4は、受電コイル41と、コンデンサ42と、備えている。
【0026】
受電コイル41は、送電コイル32とコイル軸方向に間隔を空けて設けられている。受電コイル41は、電気伝導率の高い銅線等を円形に巻回して形成されている。なお、受電コイル41も駆動コイル31及び送電コイル32と同様に、線材にリッツ線を用いるのが好ましい。
【0027】
受電部43は、受電コイル41及びコンデンサ42を直列に接続して構成された受電側共振回路を備えている。受電コイル41のインダクタンス及びコンデンサ42のキャパシタンスによって設定される共振周波数は、送電コイル32及びコンデンサ33の共振周波数と略一致するように設定されている。これにより、送電コイル32をコイル軸方向に貫くように生じた磁場の振動によって、受電コイル41に誘導電流が流れ、受電コイル41をコイル軸方向に貫くように振動磁場が生じる。このとき、送電コイル32及び受電コイル41の磁場が共鳴して強固に結合する。受電コイル41の詳しい構成については、後述する。
【0028】
受電コイル41が共振受電した交流電力は、整流回路(AC-DCコンバータ)6及びDC-DCコンバータ7を介して負荷8に供給される。負荷8は、給電対象物2を構成するモータやバッテリ等である。
【0029】
整流回路6は、4つのダイオード61がブリッジ上に配置され、受電コイル41が受電した交流電力に対して全波整流を行い、直流電圧を出力する。なお、符号62は、整流回路6が出力した直流電圧を平滑化させるコンデンサである。
【0030】
DC-DCコンバータ7は、整流された直流電圧を予め設定された定電圧(例えば、12V)に変換する。DC-DCコンバータ7から出力された電圧は、負荷8に印加される。なお、DC-DCコンバータ7は、必要な電圧に応じて配置されればよく、適宜省略しても構わない。
【0031】
<インピーダンスマッチング機構の構成>
次に、入力端IEから受電装置4側、即ち送電装置3、受電装置4、整流回路6、DC-DCコンバータ7及び負荷8を含む回路(負荷側回路)のインピーダンス(以下、「負荷側インピーダンス」という。)と入力端IEから交流電源5側の回路のインピーダンス(以下、「入力側インピーダンス」という。)との差分を緩和させるインピーダンスマッチング処理を行うインピーダンスマッチング機構9について、図面に基づいて説明する。なお、受電装置4及びインピーダンスマッチング機構9は、ワイヤレス受電システム11を構成している。
【0032】
図2に示すように、インピーダンスマッチング機構9は、スイッチ91a~91dの切替制御により、駆動コイル31を構成する3つの駆動コイル部31A、31B、31Cの少なくとも1つ以上に電力を供給する。なお、駆動コイル部31A、31B、31Cの何れかに電力を選択的に供給可能であれば、スイッチ91a~91dの代わりに他の構成を用いても構わない。
【0033】
駆動コイル31は、3つの駆動コイル部31A、31B、31Cに分割されている。3つの駆動コイル部31A、31B、31Cは、駆動コイル31を3つに分割するものであって実質的に直列に接続されており、駆動コイル部31A、31Bは配線31ABを介して接続され、駆動コイル部31B、31Cは配線31BCを介して接続されている。なお、配線31AB、31BCは必要に応じて省略しても構わない。駆動コイル部31A、31B、31Cの各コイル軸31a、31b、31cと送電コイル32のコイル軸32aとは、通常状態において、略同軸上に位置する。なお、以下では、駆動コイル31を駆動コイル部31A、31B、31Cに3分割した場合を例に説明するが、駆動コイル部の数は2つであっても、4つ以上であっても構わない。
【0034】
駆動コイル部31A、31B、31Cは、駆動コイル部31Aが送電コイル32に最も近く、この順で送電コイル32から離間するように配置されている。したがって、送電コイル32との磁界結合の結合強さは、駆動コイル部31Aが最も強く、駆動コイル部31Cが最も小さく設定される。駆動コイル31と送電コイル32とを磁界共鳴方式で送電する場合、駆動コイル部31A、31B、31Cのインダクタンスをそれぞれ等しく設定することにより、効率的に送電を行うことができる。
【0035】
スイッチ91a~91dは、駆動コイル部31A、31B、31Cに電流を供給するためのMOSFET等から成るスイッチである。スイッチ91a、91bは、交流電源5に接続されている。スイッチ91aは、駆動コイル部31Cの一方端側とスイッチ91c側とを切替可能に構成されている。スイッチ91cは、駆動コイル部31Aの一方端側と駆動コイル部31Bの一方端側とを切替可能に構成されている。また、スイッチ91bは、駆動コイル部31Cの他方端側とスイッチ91d側とを切替可能に構成されている。スイッチ91dは、駆動コイル部31Aの他方端側と駆動コイル部31Bの他方端側とを切替可能に構成されている。
【0036】
駆動コイル部31Aに電力を供給する場合には、スイッチ91aをスイッチ91c側に切り替え、スイッチ91cを駆動コイル部31Aの一方端側に切り替え、スイッチ91bをスイッチ91d側に切り替え、スイッチ91dを駆動コイル部31Aの他方端側に切り替える。また、駆動コイル部31Bに電力を供給する場合には、スイッチ91aをスイッチ91c側に切り替え、スイッチ91cを駆動コイル部31Bの一方端側に切り替え、スイッチ91bをスイッチ91d側に切り替え、スイッチ91dを駆動コイル部31Bの他方端側に切り替える。さらに、駆動コイル部31Cに電力を供給する場合には、スイッチ91aを駆動コイル部31C側に切り替え、スイッチ91bを駆動コイル部31C側に切り替える。
【0037】
また、駆動コイル部31A、31Bに電力を供給する場合には、スイッチ91aをスイッチ91c側に切り替え、スイッチ91cを駆動コイル部31Aの一方端側に切り替え、スイッチ91bをスイッチ91d側に切り替え、スイッチ91dを駆動コイル部31Bの他方端側に切り替える。また、駆動コイル部31B、31Cに電力を供給する場合には、スイッチ91aをスイッチ91c側に切り替え、スイッチ91cを駆動コイル部31Bの一方端側に切り替え、スイッチ91bを駆動コイル部31C側に切り替える。
【0038】
さらに、駆動コイル部31A、31B、31Cに電力を供給する場合には、スイッチ91aをスイッチ91c側に切り替え、スイッチ91cを駆動コイル部31Aの一方端側に切り替え、スイッチ91bを駆動コイル部31B側に切り替える。
【0039】
コントローラ92は、反射電力検出部37により検出した反射電力の大きさに応じて、スイッチ91a~91dの切替制御を行う。コントローラ92は、例えば、CPU、メモリ等により構成される。なお、コントローラ92の機能は、ソフトウェアを用いて制御することにより実現されても良く、ハードウェアを用いて動作することにより実現されても良い。コントローラ92は、記憶部93と、制御部94と、に機能分割される(図1参照)。
【0040】
そして、駆動コイル部31A、31B、31Cと送電コイル32との磁界結合の結合強さが、駆動コイル部31A、31B、31Cの送電コイル32からの距離に反比例して弱くなるため、図3に示すように、送電コイル32との磁界結合の結合強さが異なる駆動コイル部31A、31B、31Cの何れかに電力を供給することにより、送電装置3内の回路のインピーダンスを増減することができる。
【0041】
また、図4に示すように、インピーダンスマッチング機構9は、受電コイル41の一方端側の端子及び受電コイル41を略同じコイル巻数に分割して且つ実質的に直列に接続された3つの受電コイル部41a間にそれぞれ設けられた2つの端子に接続されたスイッチ91e~91fの切替制御により、受電コイル41の3つのコイル領域41A、41B、41Cの何れに通電するかを選択する。なお、受電コイル41の他方端の端子及びスイッチ91eは、整流回路6に接続されている。スイッチ91e~91fの切替制御は、反射電力検出部37により検出した反射電力の大きさに応じて、コントローラ92が行う。なお、コンデンサ42のキャパシタンスC1、C2、C3は、後述する図6のキャパシタンスC1、C2、C3に対応している。なお、コイル領域41A、41B、41Cの何れかを選択可能であれば、スイッチ91e~91fの代わりに他の構成を用いても構わない。また、以下では、受電コイル41をコイル領域41A、41B、41Cに3分割した場合を例に説明するが、受電コイル領域の数は2つであっても、4つ以上であっても構わない。
【0042】
図5は、受電コイル41のうち一部又は全部を選択的に使用する様子を示す模式図である。図5(a)は、受電コイル41の全コイル巻数に相当するコイル領域41Aを使用する場合を例示しており、図5(b)は、受電コイル41のうち送電コイル32に近く且つ全コイル巻数の2/3に相当するコイル領域41Bを使用する場合を例示しており、図5(c)は、受電コイル41のうち送電コイル32に近く且つ全コイル巻数の1/3に相当するコイル領域41Cを使用する場合を例示している。受電コイル41のインダクタンスは、コイル領域41A、41B、41Cのコイル巻数に比例して増加するため、コイル領域41Aのインダクタンスが最も大きくなり、コイル領域41Bのインダクタンスは、コイル領域41Aの2/3であり、コイル領域41Cのインダクタンスは、コイル領域41Aの1/3となる。
【0043】
受電コイル41と送電コイル32との共振状態を維持するために、選択されたコイル領域41A、41B、41Cに応じてコンデンサ42のキャパシタンスは適宜調整される。図6は、受電コイル41の電気配線を示す模式図である。図6では、理解を容易にするために、3つの受電コイル部を互いに離間して図示しているが、3つの受電コイル部は必ずしも離間させる必要はない。
【0044】
2つのMOSFET95a、95bがスイッチ91eを構成し、2つのMOSFET95c、95dが、スイッチ91fを構成する。インダクタンス(L1+L2+L3)のコイル領域41Aを使用する場合には、MOSFET95aをオフ、MOSFET95bをオン、MOSFET95cをオフ、MOSFET95dをオンにすることにより、コイル領域41Aを選択できる。このとき、コンデンサ42のキャパシタンスC3が機能する。キャパシタンスC3の値は、インダクタンス(L1+L2+L3)と共振回路を形成するものに予め設定されている。
【0045】
また、インダクタンス(L1+L2)のコイル領域41Bを使用する場合には、MOSFET95aをオフ、MOSFET95bをオン、MOSFET95cをオン、MOSFET95dをオフにすることにより、コイル領域41Bを選択できる。このとき、コンデンサ42のキャパシタンスC2が機能する。キャパシタンスC2の値は、インダクタンス(L1+L2)と共振回路を形成するものに予め設定されている。
【0046】
また、インダクタンス(L1)のコイル領域41Cを使用する場合には、MOSFET95aをオン、MOSFET95bをオフにすることにより(MOSFET95c、95dは、オンオフ何れでも構わない)、コイル領域41Cを選択できる。このとき、コンデンサ42のキャパシタンスC1が機能する。キャパシタンスC1の値は、インダクタンスL1と共振回路を形成するものに予め設定されている。
【0047】
コントローラ92は、反射電力検出部37により検出した反射電力の大きさに応じて、スイッチ91a~91dの切替制御を行う。これにより、コイル領域41A、41B、41Cの何れが選択されても、受電コイル41と送電コイル32との共振状態が維持される。なお、本実施形態では、MOSFET95a、95bから成るスイッチ91e及びMOSFET95c、95dから成るスイッチ91fを用いたが、スイッチ91e、91fの構成はこれらに限定されるものではない。
【0048】
次に、入力側インピーダンスと負荷側インピーダンスとが一致しないインピーダンス不整合が生じる要因について説明する。入力側インピーダンスと負荷側インピーダンスとの差分が大きければ大きいほど、電力の反射が大きくなり送電効率が低下する。インピーダンス不整合は、例えば、送電コイル32と受電コイル41との相対位置が変化したり送電コイル32と受電コイル41との間に異物が介在する等して送電コイル32と受電コイル41との結合係数が変化したり、バッテリの充電状況等によって負荷8の状態が変化して負荷側インピーダンスが変動することにより生じる。
【0049】
インピーダンス不整合について、図7図8に基づいて具体的に説明する。図7は、ワイヤレス給電システム1Aに対応する回路図である。図7中の「V」は電源5の電圧、「Zs」は電源5のインピーダンス(入力側インピーダンス)、「R0」は駆動コイル31の寄生抵抗、「L0」は駆動コイル31のインダクタンス、「C0」はコンデンサ33のキャパシタンス、「I0」は駆動コイル31を流れる電流、「R1」は送電コイル32の寄生抵抗、「L1」は送電コイル32のインダクタンス、「C1」はコンデンサ34のキャパシタンス、「I1」は送電コイル32を流れる電流、「k01」は駆動コイル31及び送電コイル32の結合係数、「R2」は受電コイル41の寄生抵抗、「RL」は負荷8の負荷抵抗、「L2」は受電コイル41のインダクタンス、「C2」はコンデンサ42のキャパシタンス、「I2」は受電コイル41を流れる電流、「k12」は送電コイル32及び受電コイル41の結合係数である。
【0050】
図8は、図7に示す回路図に基づく等価回路図である。図8に示す等価回路図は、駆動コイル31と送電コイル32とが共振するとともに送電コイル32と受電コイル41とが共振している状態を示している。駆動コイル31と送電コイル32との間の相互インダクタンスL0は、k01√(L0L1)、送電コイル32と受電コイル41との間の相互インダクタンスL2は、k12√(L1L2)である。図8中の「Z0」は、電源5と駆動コイル31の間、すなわち、送電装置3の入力端IEから負荷8側の回路のインピーダンス(負荷側インピーダンス)である。「Z1」は、駆動コイル31と送電コイル32の間から負荷8側の回路のインピーダンスである。「Z2」は、受電コイル41から負荷8側の回路のインピーダンスである。図8に示す等価回路により、以下の数式1~数式3が得られる。
【0051】
【数1】
【0052】
【数2】
【0053】
【数3】
【0054】
そして、例えば、送電コイル32と受電コイル41とが接近するにつれて、送電コイル32と受電コイル41との間の結合係数「k12」は大きくなるところ、数式2に基づけば、インピーダンス「Z1」が大きくなり、数式3に基づけば、インピーダンス「Z0」が小さくなることが分かる。
【0055】
そこで、インピーダンスマッチング機構9は、結合係数「k12」が大きくなるにつれて受電コイル41のインダクタンス「L2」を小さくする。これにより、インピーダンス「Z1」の増加とインピーダンス「Z0」の減少とがそれぞれ抑制されて、インピーダンス整合を維持することができる。
【0056】
具体的には、反射電力検出部37が駆動コイル31側からの反射電力を検出し、コントローラ92は、インピーダンス「Z0」が所定の閾値を下回った否かをモニタリングする。すなわち、送電コイル32と受電コイル41とが所定の距離より接近したか否かを、反射電力の大きさによりモニタリングする。
【0057】
インピーダンス「Z0」が所定の閾値を下回ったときには、コントローラ92が、図4に示したスイッチ91e~91fの切替により、コイル領域41A、41B、41Cの何れかを選択し、受電コイル41のインダクタンス「L2」を変更する。
【0058】
また、受電コイル41のインダクタンス「L2」の変更に加えて、駆動コイル31と送電コイル32の結合係数「k01」も変更しても構わない。換言すれば、インピーダンス「Z0」が所定の閾値を下回ったときには、制御部94が、受電部43及び駆動部35を制御しても構わない。具体的には、受電コイル41のインダクタンス「L2」を小さくするとともに、駆動コイル31と送電コイル32の結合係数「k01」を大きくすることにより、インピーダンス「Z0」の減少をさらに抑制することができる。これにより、送電コイル32と受電コイル41とがさらに長い距離を変化した場合にも対応できる。
【0059】
さらに、制御部94による負荷側インピーダンス「Z0」の調整は、上述したコイル領域41A、41B、41Cの選択による受電コイル41のインダクタンス「L2」の調整(粗調整)を行った後に、図2に示したスイッチ91a~91dの切替により、駆動コイル部31A、31B、31Cを選択し、駆動コイル31と送電コイル32の結合係数「k01」の調整(微調整)を行う手順で行われても構わない。
【0060】
このようにして、本実施形態に係るワイヤレス給電システム1Aは、送電コイル32を含む送電側共振回路を備えている送電装置3と、受電コイル41を含む受電側共振回路を有する受電部43を備え、受電コイル41が受電した電力が供給される負荷8に接続可能な受電装置4と、受電部43を制御するコントローラ92と、を備え、磁界共鳴方式を利用して送電コイル32と受電コイル41との間で電力を送受電するワイヤレス給電システム1Aであって、受電コイル41は、受電コイル41に設けられた複数の端子の接続位置に応じて異なるコイル巻数を有する複数のコイル領域41A、41B、41Cを選択可能に構成され、コントローラ92が、複数の端子の切替により受電コイル41のインダクタンスを変更し、送電装置3の入力端IEから負荷8側の回路のインピーダンスである負荷側インピーダンスと送電装置3の入力端IEから交流電源5側の回路のインピーダンスである入力側インピーダンスとの差分を緩和する構成とした。
【0061】
この構成により、負荷側インピーダンスと入力側インピーダンスとが一致しない場合に、異なるコイル巻数を有する複数のコイル領域41A、41B、41Cを適宜選択し、送電コイル32及び受電コイル41の磁界結合の結合強さの強弱(磁界結合の疎密)を変更することにより、入力側インピーダンスと負荷側インピーダンスとの差分を緩和するため、入力端IEにおける反射波の発生が抑制され、送電効率の低下や、送電電力の減少に起因するシステム障害を回避することができる。
【0062】
また、本実施形態に係るワイヤレス給電システム1Aは、コントローラ92が、複数の端子の切替により、選択されたコイル領域41A、41B、41Cのインダクタンス及び選択されたコイル領域41A、41B、41Cと直列に配置されたコンデンサ42のキャパシタンスを送電コイル32と受電コイル41との間での磁界共鳴を維持可能に調整する構成とした。
【0063】
この構成により、コイル領域41A、41B、41Cの何れが選択された場合であっても、送電コイル32と受電コイル41との磁界共鳴を維持できるように、選択されたコイル領域41A、41B、41Cのインダクタンスに応じたコンデンサ42のキャパシタンスが予め設定されているため、磁界共鳴を簡便に維持することができる。
【0064】
また、本実施形態に係るワイヤレス給電システム1Aは、送電装置3が、送電コイル32と磁界結合可能に設けられて送電コイル32に電力を送電する駆動コイル31を有する駆動部35をさらに備え、コントローラ92が、送電コイル32と駆動コイル31との磁界結合における結合強さを変更するように駆動部35を制御する構成とした。
【0065】
この構成により、駆動コイル31及び送電コイル32の磁界結合の結合強さの強弱を変更することにより、駆動部35内の回路のインピーダンスが増減して、入力側インピーダンスと負荷側インピーダンスとの差分が緩和されるため、入力端IEにおける反射波の発生が抑制され、送電効率の低下や、送電電力の減少に起因するシステム障害を回避することができる。
【0066】
また、本実施形態に係るワイヤレス給電システム1Aは、送電装置3が、交流電源5と駆動コイル31との間に配置されて、駆動コイル31での反射電力を検出する反射電力検出部37をさらに備え、コントローラ92が、反射電力検出部37により検出した反射電力の大きさに応じて、受電部43又は駆動部35を制御する構成とした。
【0067】
この構成により、反射電力検出部37の検出結果に応じて、送電コイル32と受電コイル41との磁界結合における結合強さ、又は駆動コイル31と送電コイル32との磁界結合における結合強さを変更することにより、入力側インピーダンスと負荷側インピーダンスとの差分が緩和されるため、入力端IEにおける反射波の発生が抑制され、送電効率の低下や、送電電力の減少に起因するシステム障害を回避することができる。
【0068】
また、本実施形態に係るワイヤレス給電システム1Aを用いたワイヤレス給電方法は、送電コイル32を含む送電側共振回路を備えている送電装置3と、受電コイル41を含む受電側共振回路を有する受電部43を備え、受電コイル41が受電した電力が供給される負荷8に接続可能な受電装置4と、受電部43を制御するコントローラ92と、を備え、磁界共鳴方式を利用して送電コイル32と受電コイル41との間で電力を送受電するワイヤレス給電システム1Aを用いたワイヤレス給電方法であって、受電コイル41は、受電コイル41に設けられた複数の端子の接続位置に応じて異なるコイル巻数を有する複数のコイル領域41A、41B、41Cを選択可能に構成され、コントローラ92が、複数の端子の切替により受電コイル41のインダクタンスを変更し、送電装置3の入力端IEから負荷8側の回路のインピーダンスである負荷側インピーダンスと送電装置3の入力端IEから交流電源5側の回路のインピーダンスである入力側インピーダンスとの差分を緩和する構成とした。
【0069】
この構成により、負荷側インピーダンスと入力側インピーダンスとが一致しない場合に、異なるコイル巻数を有する複数のコイル領域41A、41B、41Cを適宜選択し、送電コイル32及び受電コイル41の磁界結合の結合強さの強弱を変更することにより、入力側インピーダンスと負荷側インピーダンスとの差分を緩和するため、入力端IEにおける反射波の発生が抑制され、送電効率の低下や、送電電力の減少に起因するシステム障害を回避することができる。
【0070】
また、本実施形態に係るワイヤレス給電方法は、送電装置3が、送電コイル32と磁界結合可能に設けられて送電コイル32に電力を送電する駆動コイル31を有する駆動部35をさらに備え、コントローラ92が、送電コイル32と駆動コイル31との磁界結合における結合強さを変更するように駆動部35を制御する構成とした。
【0071】
この構成により、駆動コイル31及び送電コイル32の磁界結合の結合強さの強弱を変更することにより、駆動部35内の回路のインピーダンスが増減して、入力側インピーダンスと負荷側インピーダンスとの差分が緩和されるため、入力端IEにおける反射波の発生が抑制され、送電効率の低下や、送電電力の減少に起因するシステム障害を回避することができる。
【0072】
また、本実施形態に係るワイヤレス受電システム11は、送電コイル32を含む送電側共振回路を備えている送電装置3から、磁界共鳴方式を利用して送電される電力を受電するワイヤレス受電システム11であって、受電コイル41を含む受電側共振回路を有する受電部43を備え、受電コイル41が受電した電力が供給される負荷8に接続可能であり、受電コイル41は、受電コイル41に設けられた複数の端子の接続位置に応じて異なるコイル巻数を有する複数のコイル領域41A、41B、41Cを選択可能に構成され、コントローラ92が、複数の端子の切替により受電コイル41のインダクタンスを変更し、送電装置3の入力端IEから負荷8側の回路のインピーダンスである負荷側インピーダンスと送電装置3の入力端IEから交流電源5側の回路のインピーダンスである入力側インピーダンスとの差分を緩和する構成とした。
【0073】
この構成により、負荷側インピーダンスと入力側インピーダンスとが一致しない場合に、異なるコイル巻数を有する複数のコイル領域41A、41B、41Cを適宜選択し、送電コイル32及び受電コイル41の磁界結合の結合強さの強弱を変更することにより、入力側インピーダンスと負荷側インピーダンスとの差分を緩和するため、入力端IEにおける反射波の発生が抑制され、送電効率の低下や、送電電力の減少に起因するシステム障害を回避することができる。
【0074】
また、上述した実施形態では、負荷側インピーダンスが変動する要因として、DC-DCコンバータ7のオンオフに伴う負荷電流の変動を例に説明したが、負荷側インピーダンスが変動する要因はこれに限定されるものではない。
【0075】
例えば、本実施形態では、DC-DCコンバータ7がアイドリングしているときに、入力側インピーダンスと負荷側インピーダンスとが予め整合されている構成を例示したが、例えば、DC-DCコンバータ7がアイドリングからオンに移行したとき、又はDC-DCコンバータ7がオンになった後に負荷側インピーダンスが安定したときに、入力側インピーダンスと負荷側インピーダンスとが予め整合されているように構成しても構わない。
【0076】
また、図1に図示したワイヤレス給電システム1Aでは、反射電力検出部37が、送電装置3内に配置されるとともに、送電装置3の入力端IEと駆動コイル31との間に設けられているが、反射電力検出部37を配置する位置はこれに限られない。
【0077】
例えば、図11に図示したワイヤレス給電システム1Bのように、反射電力検出部37を電源装置5A内に配置するとともに、交流電源5と送電装置3の入力端IEの間に反射電力検出部37を配置しても構わない。また、図26に図示したワイヤレス給電システム1Cのように、反射電力検出部37内に送電装置3の入力端IEを設けるとともに、反射電力検出部37を電源装置5Aと送電装置3との間に配置しても構わない。このようなワイヤレス給電システム1B、1Cであっても、ワイヤレス給電システム1Aと同様に、負荷側インピーダンスと入力側インピーダンスとの差分を緩和し、入力端IEにおける反射波の発生が抑制され、送電効率の低下や、送電電力の減少に起因するシステム障害を回避することができる。ワイヤレス給電システム1A、1B、1Cの何れの構成を採用するかは、ワイヤレス給電システムを設置する場所や環境、及び給電対象物2や送電装置3の構成に応じて適宜選択すれば良い。
【0078】
また、反射電力検出部37は、寄生抵抗又は寄生インダクタ等によるインピーダンスを有しているため、反射電力検出部37による検出値には誤差が生ずる。このような検出値の誤差の大きさは、給電対象物2の構成(例えば、インピーダンス変動が相対的に大きいモータ駆動やバッテリ充電、又はインピーダンス変動が相対的に小さい家電製品等の稼働)により異なることが想定される。そこで、ワイヤレス給電システム1A、1B、1Cを構築し、外部テスターで入力端IEにおける電力測定や電源側/負荷側の各インピーダンス測定を各システムに対して行い、例えば反射電力検出部37による誤差が最小もしくは誤差変動が最小の形態を、給電対象物2の構成に応じて適宜選択しても構わない。なお、反射電力検出部37による検出値の誤差自体は設計段階でオフセット設計をしたり、個々の製品の出荷検査においてオフセット調整する等して最適調整を行っても構わない。
【0079】
次に、本実施形態の変形例について説明する。なお、各種変形例は、以下に説明する構成を除いた他の構成は上述した実施形態の構成と同様である。
【0080】
<変形例1>
本変形例に係る駆動コイル31は、例えば、図11(a)~(c)に示すように、球状に配置された8つの駆動コイル部31A~31Hを備えたものであっても構わない。
【0081】
駆動コイル31は、中心が一致した状態で互いに傾斜する駆動コイル部31A~31Hから成る。駆動コイル部31A~31Hは、1つのコイルを8つに分割したものであり、実質的に直列に接続されている。駆動コイル部31A~31H間の接続関係の詳細は省略するが、図2と同様に図示しないスイッチ等によって、交流電源5からの電力を駆動コイル部31A~31Hの少なくとも何れか1つに供給可能に接続されている。
【0082】
図11(a)に示すように、駆動コイル部31Aは、コイル軸31aと送電コイル32のコイル軸32aとが略一致した状態で、すなわち送電コイル32に対して傾斜することなく送電コイル32内に収容されている。また、図11(b)に示すように、駆動コイル部31Cは、送電コイル32に対して約45度傾いた状態で、その一部が送電コイル32内に収容されている。そして、図11(c)に示すように、駆動コイル部31Eは、送電コイル32に対して約90度傾いた状態で、その一部が送電コイル32内に収容されている。さらに、駆動コイル部31B、31D、31F~31Hは、送電コイル32に対して約22.5度、約67.5度、約112.5度、約135度、約157.5度だけそれぞれ傾いた状態で、その一部が送電コイル32内に収容されている。
【0083】
このとき、駆動コイル31と送電コイル32との磁界結合は、対向する面積が大きいほど密となる。すなわち、駆動コイル部31Aのコイル軸31aと送電コイル32のコイル軸32aとが同軸上に位置するため、駆動コイル部31Aと送電コイル32との磁界結合が最も密になる。駆動コイル部31Eは、送電コイル32との磁界結合が最も疎になる。
【0084】
このような構成により、例えば、駆動コイル部31A、31C、31Eの3つを適宜切り替えて、インピーダンスマッチング処理を実行することができる。すなわち、負荷側インピーダンスが入力側インピーダンスに対して大きい状態では、図11(a)に示すように駆動コイル部31Aに電力を供給することにより、駆動コイル31と送電コイル32との磁界結合が密になり、送電装置3内の回路のインピーダンスが減少する。その結果、入力端IEにおける負荷側インピーダンスが小さくなり、入力側インピーダンスとの差分が緩和される。
【0085】
一方、負荷側インピーダンスが入力側インピーダンスに対して小さい状態では、図11(b)に示すように、駆動コイル部31Aと比べて、送電コイル32に対して傾斜する駆動コイル部31Cに電力を供給することにより、駆動コイル31と送電コイル32との磁界結合が疎になり、送電装置3内の回路のインピーダンスが増大する。その結果、入力端IEにおける負荷側インピーダンスが大きくなり、入力側インピーダンスとの差分が緩和される。
【0086】
また、負荷側インピーダンスがさらに低下すると、図11(c)に示すように、送電コイル32に対して直交する駆動コイル部31Eに電力を供給することにより、駆動コイル31と送電コイル32との磁界結合がさらに疎になり、送電装置3内の回路のインピーダンスがさらに増大し、その結果、入力端IEにおける負荷側インピーダンスが大きくなり、入力側インピーダンスとの差分が緩和される。
【0087】
このような構成により、駆動コイル部31A~31Hの少なくとも何れか1つに選択的に電力が供給されるため、駆動コイル31と送電コイル32との結合強さを調整することができる。
【0088】
また、本変形例に係る球状の駆動コイル31を構成する駆動コイル部の個数は、8つに限定されず、2つ以上であればいくつであっても構わない。また、本変形例に係る駆動コイル部31A~31Hの送電コイル32に対する傾きは、0度~180度の範囲で設定しているが、コイルの位相を考慮して、-90度~+90度の範囲で設定しても構わない。
【0089】
また、駆動コイル31は、送電コイル32内に収容されたものに限定されず、送電コイル32外に配置されても構わない。また、駆動コイル部31A~31Hの一部が送電コイル32内に配置され、その他の駆動コイル部31A~31Hが送電コイル32外に配置されても構わない。なお、駆動コイル31の送電コイル32に対する傾きが、結合係数k01が等比級数になるように切り替え可能に構成されることにより、各駆動コイル31の角度でのインピーダンス調整範囲が略一定になり、インピーダンス整合をさらに安定して行うことができる。
【0090】
<変形例2>
インピーダンスマッチング機構9は、駆動コイル31を送電コイル32に対して相対的に移動させるコイル移動機構であっても構わない。
【0091】
このようなコイル移動機構として、例えば、コイル軸31a、31b、31cとコイル軸32aとの略平行状態を維持したまま、各コイル軸31a、31b、31cがコイル軸32aに対して相対的に離間又は近接(一致)するように駆動コイル部31A、31B、31Cをコイル軸32aと垂直な方向にスライドさせるものが考えられる。
【0092】
ここで、コイル軸31a、31b、31cと送電コイル32のコイル軸32aとが同軸上に位置する場合には、送電コイル32との磁界結合が密になる(結合強さ(結合係数)が大きくなる)。一方、コイル軸31a、31b、31cが、送電コイル32のコイル軸32aに対してコイル軸31aに直行する方向にオフセットしている場合には、送電コイル32との磁界結合が疎となる(結合強さ(結合係数)が小さくなる)。
【0093】
そして、コイル移動機構によって駆動コイル31を送電コイル32に対して相対的移動させてインピーダンスを大まかに調整した上で、スイッチ91a~91dの切替制御によってインピーダンスを微調整することにより、インピーダンスを最適化しても構わない。この場合、インピーダンスの微調整を高速に行うことができるため、インピーダンスの急激な変化した場合でもスムーズに最適化することができる。
【0094】
<変形例3>
上述した変形例2では、コイル軸31a、31b、31cとコイル軸32aとの略平行状態を維持したまま駆動コイル部31A、31B、31Cをコイル軸32aと垂直な方向にスライドさせるコイル移動機構を例示したが、コイル移動機構は、駆動コイル部31A、31B、31Cをコイル軸31a、32a、33a及びコイル軸32aの軸方向と平行に移動させる構成であっても構わない。
【0095】
ここで、駆動コイル部31A、31B、31Cは、送電コイル32に接近するほど送電コイル32との磁界結合が密になり(結合係数が大きくなり)、駆動コイル部31A、31B、31Cは、送電コイル32から離れるほど送電コイル32との磁界結合が疎になる(結合係数が小さくなる)。
【0096】
そして、コイル移動機構によって駆動コイル31を送電コイル32に対して相対的移動させてインピーダンスを大まかに調整した上で、スイッチ91a~91dの切替制御によってインピーダンスを微調整することにより、インピーダンスを最適化しても構わない。この場合、インピーダンスの微調整を高速に行うことができるため、インピーダンスの急激な変化した場合でもスムーズに最適化することができる。
【0097】
<変形例4>
上述した実施形態では、コイル軸31a、31b、31cが略同軸上に配置された駆動コイル部31A、31B、31Cから成る駆動コイル31を例示したが、駆動コイル31の構成はこれに限定されるものではない。
【0098】
例えば、駆動コイル31は、コイル軸31a、31b、31cが略平行で互いに離間するようにオフセットして配置された駆動コイル部31A、31B、31Cを備えたものであっても構わない。
【0099】
このとき、駆動コイル31と送電コイル32との磁界結合は、対向する面積が大きいほど密となる。そして、スイッチ91a~91dの切替制御により、駆動コイル部31A、31B、31Cの少なくとも何れか1つに選択的に電力が供給されるため、駆動コイル31と送電コイル32との磁界結合の結合強さの強弱(磁界結合の疎密)を調整することができる。
【0100】
<変形例5>
上述した実施形態では、略同形に形成された駆動コイル部31A、31B、31Cから成る駆動コイル31を例示したが、駆動コイル部31A、31B、31Cは、互いに異なる形状であっても構わない。
【0101】
例えば、駆動コイル31は、コイル軸31a、31b、31cが略同軸上に配置されるとともに、駆動コイル部31A、31B、31Cがこの順でコイル径が徐々に小径に設定され、且つコイル高さが高くなるように形成され、略同一平面上でコイル径が拡縮する螺旋状に構成されても構わない。
【0102】
このとき、駆動コイル31と送電コイル32との磁界結合は、コイル径の差が少ないほど密となる。そして、スイッチ91a~91dの切替制御により、駆動コイル部31A、31B、31Cの少なくとも何れか1つに選択的に電力が供給されるため、駆動コイル31と送電コイル32との結合強さを調整することができる。
【0103】
<変形例6>
また、駆動コイル31は、コイル軸31a、31b、31cが略同軸上に配置されるとともに、駆動コイル部31A、31B、31Cが略同一平面上に配置され、さらに、駆動コイル部31A、31B、31Cがこの順でコイル径が徐々に小径に設定されて、同一平面上で外周から中心に向かって徐々にコイル径が小さくなるように構成されても構わない。
【0104】
このとき、駆動コイル31と送電コイル32との磁界結合は、コイル径の差が少ないほど密となる。そして、スイッチ91a~91dの切替制御により、駆動コイル部31A、31B、31Cの少なくとも何れか1つに選択的に電力が供給されるため、駆動コイル31と送電コイル32との磁界結合の結合強さの強弱(磁界結合の疎密)を調整することができる。
【0105】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係るワイヤレス給電システム1Dについて図面に基づいて説明する。図12は、第2の実施形態に係るワイヤレス給電システム1Dの構成を示す模式図である。なお、本実施形態に係るワイヤレス給電システム1Dは、上述した第1の実施形態に係るワイヤレス給電システム1Aと以下の点で相違し、その他の構成は共通する。したがって、共通する構成は、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0106】
本実施形態に係るワイヤレス給電システム1Dは、例えば、送電コイル32と受電コイル41との距離が略一定を維持するように送電装置3及び受電装置4が固定された状態で、負荷8に相当するバッテリの充電が進むにつれてインピーダンス「Z0」が変動する場合に、インピーダンスの整合を維持するものである。
【0107】
受電装置4は、DC-DCコンバータ7と負荷8との間に設けられて、負荷8に供給される負荷電圧又は負荷電流の少なくとも何れか一方を測定する測定部96を備えている。例えば、負荷8に電力が供給されると、負荷電圧は定電圧まで増加し、負荷電流は急増する。そして、このときの負荷側インピーダンス「Z0」は、急激に小さくなる。一方で、入力側インピーダンス「Zs」は、所定値(例えば50Ω)で固定されており、入力側インピーダンス「Zs」と負荷側インピーダンス「Z0」とがマッチングせず、入力端IEにおいて反射波が発生して送電効率が低下したり、送電電力が足りずにシステム障害を招く虞がある。さらに、
【0108】
そこで、コントローラ92は、測定部96の測定結果に応じて、スイッチ91a~91dを切り替えて、駆動コイル31と送電コイル32との磁界結合の結合強さを調整して結合係数「k01」を調整し、送電装置3内の回路のインピーダンスを増減する。または、コントローラ92は、負荷側インピーダンス「Z0」の変動に応じて、スイッチ91e~91fを切り替えて、送電コイル32と受電コイル41との磁界結合の結合強さを調整して結合係数「k12」を調整し、受電装置4内の回路のインピーダンスを増減させる。これにより、負荷側インピーダンス「Z0」が大きくなり、入力側インピーダンス「Zs」との差分が緩和される。
【0109】
このような構成により、本実施形態に係るワイヤレス給電システム1Dは、測定部96の測定結果に応じて、送電コイル32と受電コイル41との磁界結合における結合強さ、又は駆動コイル31と送電コイル32との磁界結合における結合強さを変更することにより、入力側インピーダンスと負荷側インピーダンスとの差分が緩和されるため、入力端IEにおける反射波の発生が抑制され、送電効率の低下や、送電電力の減少に起因するシステム障害を回避することができる。
【0110】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係るワイヤレス給電システム1Eについて図面に基づいて説明する。図13は、第3の実施形態に係るワイヤレス給電システム1Eの構成を示す模式図である。なお、本実施形態に係るワイヤレス給電システム1Eは、上述した第1の実施形態に係るワイヤレス給電システム1Aと以下の点で相違し、その他の構成は共通する。したがって、共通する構成は、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0111】
例えば、給電対象物2の移動に伴って送電コイル32と受電コイル41との相対位置が変化する場合、具体的には、受電コイル41が送電コイル32に接近すると、送電コイル32と受電コイル41との磁気結合の結合強さが大きくなり、受電コイル41が送電コイル32から離れると、送電コイル32と受電コイル41との磁気結合の結合強さが小さくなり、送電コイル32と受電コイル41と磁気結合の結合状態が変動する。そこで、本実施形態に係るワイヤレス給電システム1Eは、送電コイル32と受電コイル41との相対位置が変化する場合に、インピーダンスの整合を維持する。
【0112】
送電装置3は、送電コイル32と受電コイル41との相対位置を測定する相対位置測定部38を備えている。相対位置測定部38は、例えば、レーザ測長器や3次元カメラ等である。なお、相対位置測定部38は、受電装置4に設けられても構わない。また、相対位置測定部38は、送電コイル32と受電コイル41との距離だけでなく、各コイル軸の相対的な傾きも併せて計測するのが好ましい。コントローラ92は、相対位置測定部38の計測結果に応じて、負荷側インピーダンス「Z0」を算出する。そして、負荷側インピーダンス「Z0」が所定の閾値を下回ったときには、コントローラ92は、スイッチ91e~91fの切替により、コイル領域41A、41B、41Cの何れかを選択し、受電コイル41のインダクタンス「L2」を変更する。
【0113】
または、受電コイル41のインダクタンス「L2」の変更に加えて、駆動コイル31と送電コイル32の結合係数「k01」も変更しても構わない。換言すれば、インピーダンス「Z0」が所定の閾値を下回ったときには、コントローラ92は、受電部43と駆動部35を制御しても構わない。具体的には、コントローラ92は、上述したコイル領域41A、41B、41Cの選択による受電コイル41のインダクタンス「L2」の変更して、受電コイル41のインダクタンス「L2」を小さくするとともに、図2に示したスイッチ91a~91dの切替により、駆動コイル部31A、31B、31Cを選択し、駆動コイル31と送電コイル32の結合係数「k01」を大きくして、インピーダンス「Z0」の減少をさらに抑制することができる。これにより、送電コイル32と受電コイル41とがさらに長い距離を変化した場合にも対応できる。
【0114】
このような構成により、本実施形態に係るワイヤレス給電システム1Eは、相対位置測定部38の計測結果に応じて、送電コイル32と受電コイル41との磁界結合における結合強さ、又は駆動コイル31と送電コイル32との磁界結合における結合強さを変更することにより、入力側インピーダンスと負荷側インピーダンスとの差分が緩和されるため、入力端IEにおける反射波の発生が抑制され、送電効率の低下や、送電電力の減少に起因するシステム障害を回避することができる。
【0115】
また、上述した各実施形態では、インピーダンスの虚部をゼロにして無効電力の発生を抑制するために、駆動コイル31、送電コイル32及び受電コイル41を全て共振状態とした場合を例に説明した。しかしながら、例えば、駆動コイル31にコンデンサ33を接続させない場合であっても、入力インピーダンスに無効電力が生じるものの、送電自体は可能であるから、送電コイル32及び受電コイル41のみを共振状態としても構わない。
【0116】
また、上述した各実施形態では、駆動コイル31、送電コイル32及び受電コイル41を備えている3コイルシステムの構成を例に説明したが、駆動コイル31を設けず、送電コイル32及び受電コイル41のみを有する2コイルシステムのワイヤレス給電システムとしてもよい。この場合には、送電コイル32を複数の送電コイル部に分割し、各送電コイル部と受電コイル41との相対位置を変える構成とすることで、負荷側インピーダンスを制御することができる。
【0117】
なお、送電コイル32及び受電コイル41から成る2コイルシステムは、負荷側インピーダンスを変動させるために、送電コイル32の位置を移動させると、送電コイル32のコイル軸32aと受電コイル41のコイル軸とが同軸に位置せずに送電効率が低下する虞があるのに対し、駆動コイル31、送電コイル32及び受電コイル41から成る3コイルシステムは、駆動コイル31を介して送電コイル32に送電することにより、送電コイル32と受電コイル41との位置関係を変えることなく、駆動コイル31と送電コイル32との磁気結合の結合強さを調整することで、負荷側インピーダンスを制御することができ、良好な送電効率を維持することができる。
【0118】
また、上述した各実施形態では、駆動コイル31、送電コイル32及び受電コイル41を備えている3コイルシステムの構成を例に説明したが、受電コイル41に加えて第2受電コイルを備えた4コイルシステムを採用したワイヤレス給電システムの構成としても良い。この場合には、受電コイル41は、送電コイル32とほぼ等しい共振周波数に設定され、磁界共鳴方式により電力が伝送される。受電コイル41と第2受電コイルは非接触に配置され、電磁結合(電磁誘導)方式又は磁界共鳴方式により電力が伝送される。なお、4コイルシステムは、送電コイル32及び受電コイル41が、他の電気回路と独立した共振用のコイルであるため、駆動中に共振周波数が変化することがないため設計が容易であり、また電力の伝送距離を長くすることができる。
【実施例0119】
<実施例1>
第1の実施形態に係るワイヤレス給電システム1Aを用いて、負荷8の負荷抵抗を変化させた場合において負荷側インピーダンス「Z0」及びインピーダンス「Z1」の変化を確認するために行った実験(実施例1)について説明する。なお、本実験で用いた駆動コイル31、送電コイル32及び受電コイル41の構造を図14に示す。
【0120】
・駆動コイル
駆動コイル31は、直径300mmに形成されており、直径350mmの送電コイル32内に収容されている。駆動コイル31は、球状に配置された異なる傾きの10つの駆動コイル部31A~31Jから成る。駆動コイル部31Aは、送電コイル32と平行(傾き約0度)に配置され、駆動コイル部31Bは、送電コイル32に対して約10度だけ傾いて配置され、駆動コイル部31Cは、送電コイル32に対して約20度だけ傾いて配置され、駆動コイル部31Dは、送電コイル32に対して約30度だけ傾いて配置され、駆動コイル部31Eは、送電コイル32に対して約40度だけ傾いて配置され、駆動コイル部31Fは、送電コイル32に対して約50度だけ傾いて配置され、駆動コイル部31Gは、送電コイル32に対して約60度だけ傾いて配置され、駆動コイル部31Hは、送電コイル32に対して約70度だけ傾いて配置され、駆動コイル部31Iは、送電コイル32に対して約80度だけ傾いて配置され、駆動コイル部31Jは、送電コイル32と垂直(傾き約90度)に配置されている。
【0121】
駆動コイル部31A~31Jは、素線径0.04mm、直径0.9mmのリッツ線を用いており、インダクタンスを278μH、コンデンサを4.05nFに設定した。
【0122】
・受動コイル
受電コイル41は、4つのコイル領域41A、41B、41C、41Dを選択可能に構成されている。受電コイル41は、直径350mmに設定され、素線径0.04mm、直径0.9mmのリッツ線から成る。各コイル領域41A、41B、41C、41Dのコイル巻数、インダクタンス、コンデンサの抵抗値は、以下の通りに設定した。
・コイル領域41A
コイル巻数:56、インダクタンス:1488μH、コンデンサ:0.756nF
・コイル領域41B
コイル巻数:28、インダクタンス:744μH、コンデンサ:1.512nF
・コイル領域41C
コイル巻数:10、インダクタンス:266μH、コンデンサ:4.234nF
・コイル領域41D
コイル巻数:5、インダクタンス:133μH、コンデンサ:8.367nF
【0123】
また、駆動コイル31を含む共振回路、送電コイル32を含む共振回路及び受電コイル41を含む共振回路の各共振周波数は、それぞれ150Hzに設定されている。
【0124】
・実験手順
まず、受電コイル41をコイル領域41Aに固定し、駆動コイル31を駆動コイル部31Aに固定した状態で、送電コイル32と受電コイル41とを350mmから50mmずつ接近させて、各距離における負荷側インピーダンス「Z0」を計測した。その結果を図15に示す。
【0125】
図15によれば、送電コイル32と受電コイル41とが接近するにつれて、負荷側インピーダンス「Z0」が小さくなることが分かる。これは、数式1及び数式2により、送電コイル32と受電コイル41とが接近して結合係数「k12」が大きくなるにつれて、インピーダンス「Z1」が大きくなる一方、負荷側インピーダンス「Z0」は小さくなるためである。
【0126】
<実施例2>
次に、ワイヤレス給電システム1Aにおいて、反射電力検出部37から入力された値に応じて、最適な駆動コイル部31A~31J及びコイル領域41A~41Dを選択することにより、負荷側インピーダンス「Z0」が略一定に維持されることを確認するために行った実験(実施例2)について説明する。なお、本実施例で用いた駆動コイル31、受電コイル41は、実施例1と同様である。
【0127】
・実験手順
本実施例では、駆動コイル部31A~31J及びコイル領域41A~41Dの何れかを選択したときの負荷側インピーダンス「Z0」は、予め実験等により取得されて記憶部93に記憶されており、負荷側インピーダンス「Z0」が約50Ωを維持するために最適な駆動コイル部31A~31J及びコイル領域41A~41Dの組み合わせを選択可能である。なお、駆動コイル部31A~31J及びコイル領域41A~41Dが選択されたときのインダクタンス、キャパシタンス及び共振周波数等の数値を記憶部93に予め記憶し、反射電力検出部37が検出した反射電力に応じて、最適な駆動コイル部31A~31J及びコイル領域41A~41Dを選択するように構成しても構わない。
【0128】
負荷8の負荷抵抗を50Ω、200Ω、500Ωと変更した場合に、送電コイル32と受電コイル41とを350mmから50mmずつ接近させたときの負荷側インピーダンス「Z0」を計測した。その結果を図16に示す。
【0129】
また、負荷抵抗を50Ωに設定し、送電コイル32と受電コイル41とを350mmから50mmずつ接近させて、各距離において選択された駆動コイル31及び受電コイル41の組み合わせを示す表を図17に示す。また、負荷抵抗を200Ωに設定し、送電コイル32と受電コイル41とを350mmから50mmずつ接近させて、各距離において選択された駆動コイル31及び受電コイル41の組み合わせを示す表を図18に示す。また、負荷抵抗を500Ωに設定し、送電コイル32と受電コイル41とを350mmから50mmずつ接近させて、各距離において選択された駆動コイル31及び受電コイル41の組み合わせを示す表を図19に示す。なお、図17図19中の駆動コイルの種類「2-1」~「2-10」は駆動コイル部31A~31Jにそれぞれ対応し、受電コイルの種類「1-1」~「1-4」は、コイル領域41A~41Dにそれぞれ対応する。
【0130】
また、数式4に基づいて算出される負荷抵抗50Ωにおける伝送効率を図20に示す。
【0131】
【数4】
【0132】
図16によれば、負荷抵抗が50Ω、200Ω、500Ωの何れであっても、送電コイル32と受電コイル41との距離が350mm以下において、負荷側インピーダンス「Z0」が約50Ωに保たれていることが分かる。また、図20によれば、このときの伝送効率も約90%以上を維持していることが分かる。
【0133】
すなわち、最適なコイル領域41A~41Dを選択して、受電コイル41のインダクタンスを調整することにより、負荷側インピーダンス「Z0」を簡便に制御して、インピーダンス整合を実行できる。また、駆動コイル部31A~31Jを選択し、駆動コイル31と送電コイル32の結合係数「k01」を調整することで、インピーダンス整合をさらに簡便に実行できる。
【0134】
<実施例3>
次に、ワイヤレス給電システム1Aにおいて、負荷抵抗が変化するとともに送電コイル32と受電コイル41との距離が変化する場合であっても、負荷側インピーダンス「Z0」が所定範囲内に収まることを確認するために行った実験及びシミュレーション(実施例3)について説明する。なお、本実施例で用いた受電コイル41は、実施例1と同様である。
【0135】
・駆動コイル
本実施例では、駆動コイル31が、球状に配置された異なる傾きの6つの駆動コイル部から成る点で実施例1と相違し、その他の構成は実施例1と同様である。各駆動コイル部は、結合係数「k01」が、√(78/32)すなわち1.56倍の間隔になるように以下のように配置されている。
・駆動コイル部No.3-1
結合係数「k01」:約0.45、傾斜角度:0°
・駆動コイル部No.3-2
結合係数「k01」:約0.41、傾斜角度:22°
・駆動コイル部No.3-3
結合係数「k01」:約0.26、傾斜角度:49°
・駆動コイル部No.3-4
結合係数「k01」:約0.17、傾斜角度:64°
・駆動コイル部No.3-5
結合係数「k01」:約0.11、傾斜角度:73°
・駆動コイル部No.3-6
結合係数「k01」:約0.07、傾斜角度:79°
【0136】
・実験手順
負荷抵抗は、負荷8の充電状況を想定した50Ω、500Ω、3079Ωに設定し、送電コイル32と受電コイル41とを350mmから50mmずつ接近させたときの負荷側インピーダンス「Z0」の変化を図21図23に示す。なお、図21は、負荷抵抗を50Ωに設定したものであり、図22は、負荷抵抗を500Ωに設定したものであり、図23は、負荷抵抗を3079Ωに設定したものである。
【0137】
また、負荷抵抗を50Ωに設定し、送電コイル32と受電コイル41とを350mmから50mmずつ接近させた場合に、各距離において選択された駆動コイル31及び受電コイル41の組み合わせを示す表を図24に示す。また、負荷抵抗を500Ωに設定し、送電コイル32と受電コイル41とを350mmから50mmずつ接近させて、各距離において選択された駆動コイル31及び受電コイル41の組み合わせを示す表を図25に示す。また、負荷抵抗を3079Ωに設定し、送電コイル32と受電コイル41とを350mmから50mmずつ接近させて、各距離において選択された駆動コイル31及び受電コイル41の組み合わせを示す表を図26に示す。なお、図24図26中の受電コイルの種類「1-1」~「1-4」は、コイル領域41A~41Dにそれぞれ対応する。
【0138】
図21図23によれば、負荷8の負荷抵抗が50Ω、500Ω、3079Ωの何れの場合であっても、駆動コイル31及び受電コイル41を適宜選択することにより、負荷側インピーダンス「Z0」の変化を、目標値50Ωに対して32~78Ωの範囲内に留めることができたことが分かる。すなわち、電力反射率5%以下を実現でき、送電コイル32と受電コイル41との距離の変動や負荷8の負荷抵抗の変動にかかわらず、インピーダンス整合を実現できる。
【0139】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、上記以外にも種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0140】
1A、1B、1C、1D、1E:ワイヤレス給電システム
11 :ワイヤレス受電システム
2 :給電対象物
3 :送電装置
31 :駆動コイル
31A~31H:駆動コイル部
31a~31c:(駆動コイルの)コイル軸
32 :送電コイル
32a:(送電コイルの)コイル軸
33、34:コンデンサ
35 :駆動部
36 :送電部
37 :反射電力検出部
38 :相対位置測定部
4 :受電装置
41 :受電コイル
41A、41B、41C、41D:コイル領域
42 :コンデンサ
43 :受電部
5 :交流電源
5A :電源装置
6 :整流回路
61 :ダイオード
62 :コンデンサ
7 :DC-DCコンバータ
8 :負荷
9 :インピーダンスマッチング機構
91a~91f:スイッチ
92 :コントローラ
93 :記憶部
94 :制御部
95a、95b、95c、95d:MOSFET
96 :測定部
IE :入力端
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