IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 平金物株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-消毒液スタンド 図1
  • 特開-消毒液スタンド 図2
  • 特開-消毒液スタンド 図3
  • 特開-消毒液スタンド 図4
  • 特開-消毒液スタンド 図5
  • 特開-消毒液スタンド 図6
  • 特開-消毒液スタンド 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175482
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】消毒液スタンド
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/18 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
A61L2/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087943
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】516203427
【氏名又は名称】平金物株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 雅章
(72)【発明者】
【氏名】和田 修
(72)【発明者】
【氏名】空門 良和
(72)【発明者】
【氏名】福田 渉
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA29
4C058BB07
4C058JJ06
4C058JJ24
(57)【要約】
【課題】消毒液スタンドを設置する設置面が傾斜している場合であっても、消毒液を水平に設置することが可能な消毒液スタンドを提供する
【解決手段】ベースプレート(10)と、ベースプレート(10)よりも上方に配置されたトッププレート(20)と、1直線状にない3点にてトッププレート(20)を支持する第1支柱(31)及び第2支柱(32)及び第3支柱(33)と、第1支柱(31)に取り付けられた消毒液載置部(40)と、を有する消毒液スタンド(1)であって、第1支柱(31)~第3支柱(33)の各々は、上下に伸縮可能な構造を有し、上端部がトッププレート(20)に固定され、下端部がベースプレート(10)に対して角度を変更可能に取り付けられており、水平面に対して傾いた設置面にベースプレート(10)が設置された場合であっても、消毒液載置部(40)は水平面と平行な状態を維持可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートと、
前記ベースプレートよりも上方に配置されたトッププレートと、
1直線状にない3点にて前記トッププレートを支持する第1支柱及び第2支柱及び第3支柱と、
前記第1支柱に取り付けられた消毒液載置部と、
を有する消毒液スタンドであって、
前記第1支柱及び前記第2支柱及び前記第3支柱の各々は、
上下に伸縮可能な構造を有し、
上端部が前記トッププレートに固定され、下端部が前記ベースプレートに対して角度を変更可能に取り付けられており、
水平面に対して傾いた設置面に前記ベースプレートが設置された場合であっても、前記消毒液載置部は前記水平面と平行な状態を維持可能である、ことを特徴とする消毒液スタンド。
【請求項2】
請求項1に記載の消毒液スタンドであって、
前記水平面に対して傾いた前記設置面に前記ベースプレートが設置された場合であっても、前記トッププレートが前記水平面と平行な状態を維持可能である、ことを特徴とする消毒液スタンド。
【請求項3】
請求項1または2に記載の消毒液スタンドであって、
前記消毒液載置部を前記第1支柱に沿って上下に移動させる消毒液載置部移動機構を備える、ことを特徴とする消毒液スタンド。
【請求項4】
請求項3に記載の消毒液スタンドであって、
前記消毒液載置部移動機構は、前記消毒液載置部を前記水平面と平行な状態で前記第1支柱に沿って上下に移動させる、ことを特徴とする消毒液スタンド。
【請求項5】
請求項3に記載の消毒液スタンドであって、
前記第1支柱は、
前記消毒液載置部移動機構の少なくとも一部を支持するガイドレール部と、
前記ガイドレール部を支持しつつ、前記ベースプレートに接続される接続部と、
を有する、ことを特徴とする消毒液スタンド。
【請求項6】
請求項3に記載の消毒液スタンドであって、
脚で踏むことによって前記消毒液載置部移動機構を操作するための操作ペダルを備える、ことを特徴とする消毒液スタンド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消毒液スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建造物の出入り口等に消毒液(消毒液ボトル)を設置するための消毒液スタンドが広く知られている。例えば、特許文献1には、体温を測定するセンサーや、測定した体温を表示するモニターを備え、使い勝手に優れた消毒液スタンドに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-43398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今のコロナ禍において、消毒液スタンドの需要が特に高まっており、様々な施設に消毒液スタンドが設置されることがある。しかしながら、消毒液スタンドを設置する場所(設置面)が常に水平であるとは限られず、水勾配等によって設置面に傾斜が設けられている場合がある。この場合、消毒液を安定して設置することが難しかったり、使用者が消毒液を使用する際に消毒液を噴出させる動作が行い難くなったりするおそれがある。
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、消毒液スタンドを設置する設置面が傾斜している場合であっても、消毒液を水平に設置することが可能な消毒液スタンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、ベースプレートと、前記ベースプレートよりも上方に配置されたトッププレートと、1直線状にない3点にて前記トッププレートを支持する第1支柱及び第2支柱及び第3支柱と、前記第1支柱に取り付けられた消毒液載置部と、を有する消毒液スタンドであって、前記第1支柱及び前記第2支柱及び前記第3支柱の各々は、上下に伸縮可能な構造を有し、上端部が前記トッププレートに固定され、下端部が前記ベースプレートに対して角度を変更可能に取り付けられており、水平面に対して傾いた設置面に前記ベースプレートが設置された場合であっても、前記消毒液載置部は前記水平面と平行な状態を維持可能である、ことを特徴とする消毒液スタンドである。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、消毒液スタンドを設置する設置面が傾斜している場合であっても、消毒液を水平に設置することが可能な消毒液スタンドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】消毒液スタンド1の全体構成を表す概略斜視図である。
図2】消毒液スタンド1を左右方向の一方側から見たときの側面図である。
図3】消毒液スタンド1を上下方向の上側から見たときの平面図である。
図4図4A及び図4Bは、消毒液スタンド1を用いた消毒動作について説明する図である。
図5図5A及び図5Bは、比較例の消毒液スタンド200の設置方法について説明する図である。
図6図6A図6Cは、消毒液スタンド1の設置方法について説明する図である。
図7】水平な状態から左右方向に角度θだけ傾斜した設置面GNDに消毒液スタンド1を設置した状態について表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
(態様1)
ベースプレートと、前記ベースプレートよりも上方に配置されたトッププレートと、1直線状にない3点にて前記トッププレートを支持する第1支柱及び第2支柱及び第3支柱と、前記第1支柱に取り付けられた消毒液載置部と、を有する消毒液スタンドであって、前記第1支柱及び前記第2支柱及び前記第3支柱の各々は、上下に伸縮可能な構造を有し、上端部が前記トッププレートに固定され、下端部が前記ベースプレートに対して角度を変更可能に取り付けられており、水平面に対して傾いた設置面に前記ベースプレートが設置された場合であっても、前記消毒液載置部は前記水平面と平行な状態を維持可能である、ことを特徴とする消毒液スタンド。
【0011】
態様1の消毒液スタンドによれば、第1~第3支柱の長さ及びベースプレートに対する角度をそれぞれ調節することによって、水平方向から傾斜した設置面に設置される場合であっても、第1支柱に取り付けられた消毒液載置部を水平な状態に維持することができる。これにより、消毒液を水平に設置することが可能となる。
【0012】
(態様2)
前記水平面に対して傾いた前記設置面に前記ベースプレートが設置された場合であっても、前記トッププレートが前記水平面と平行な状態を維持可能である、態様1に記載の消毒液スタンド。
【0013】
態様2の消毒液スタンドによれば、水平方向から傾斜した設置面に設置される場合であっても、トッププレートに消毒液ボトルやその他の物を安定して載置することができる。
【0014】
(態様3)
前記消毒液載置部を前記第1支柱に沿って上下に移動させる消毒液載置部移動機構を備える、態様1または2に記載の消毒液スタンド。
【0015】
態様3の消毒液スタンドによれば、消毒液載置部にプッシュ式の消毒液ボトルを載置した場合に、載置部を上下に移動させることで、消毒液の噴出動作(消毒動作)を簡単に行うことができる。
【0016】
(態様4)
前記消毒液載置部移動機構は、前記消毒液載置部を前記水平面と平行な状態で前記第1支柱に沿って上下に移動させる、態様1~3の何れかに記載の消毒液スタンド。
【0017】
態様4の消毒液スタンドによれば、水平方向から傾斜した設置面に設置される場合であっても、消毒液の噴出動作中に消毒液ボトルが傾いてしまうこと等が抑制され、安定して消毒液の噴出動作(消毒動作)を行うことができる。
【0018】
(態様5)
前記第1支柱は、前記消毒液載置部移動機構の少なくとも一部を支持するガイドレール部と、前記ガイドレール部を支持しつつ、前記ベースプレートに接続される接続部と、を有する、態様1~4の何れかに記載の消毒液スタンド。
【0019】
態様5の消毒液スタンドによれば、ガイドレール部がベースプレートに直接接続されないので、消毒液載置部移動機構をベースプレートとは独立して可動させることができる。これにより、ベースプレートに対して第1支柱の角度が変更された場合であっても噴出動作(消毒動作)を安定して行うことができる。
【0020】
(態様6)
脚で踏むことによって前記消毒液載置部移動機構を操作するための操作ペダルを備える、態様1~5の何れかに記載の消毒液スタンド。
【0021】
態様6の消毒液スタンドによれば、操作ペダルを踏むことで、消毒液スタンドに手を触れることなく、簡単かつ安全に手の消毒を行うことができる。
【0022】
===実施形態===
本発明の実施形態に係る消毒液スタンドとして、消毒液ボトル100を設置可能な消毒液スタンド1を例に挙げて説明する。
【0023】
<消毒液スタンド1の基本構成>
図1は、消毒液スタンド1の全体構成を表す概略斜視図である。図2は、消毒液スタンド1を左右方向の一方側から見たときの側面図である。図3は、消毒液スタンド1を上下方向の上側から見たときの平面図である。
【0024】
図1図3に示されるように、消毒液スタンド1は、互いに交差する「上下方向」と「左右方向」と「前後方向」とを有するものとする。「上下方向」は、消毒液スタンド1を水平面上に設置した状態において、鉛直方向に沿った方向である。また、「前後方向」のうち、消毒液ボトル100が設置される側を「前側」とし、その反対側を「後側」とする。
【0025】
消毒液スタンド1は、ベースプレート10と、トッププレート20と、支柱30と、消毒液載置部40と、消毒液載置部移動機構50とを備えている。これらの部位は、各々金属や樹脂等によって構成される。
【0026】
ベースプレート10は、消毒液スタンド1を建造物の床等の設置面に設置する際の土台としての機能と、他の部材(支柱30や操作ペダル51等)を支持する機能とを備えた板状部材である。
【0027】
トッププレート20は、ベースプレート10よりも上下方向の上方に配置された板状部材であり、消毒液スタンド1の天面を構成する。本実施形態の消毒液スタンド1において、トッププレート20は、図2のように水平方向と平行に配置されており、その上側面に機材(例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置)や予備の消毒液ボトル100等の物品を載置することが可能である。
【0028】
支柱30は、図1等に示されるように、上下方向に長く延びた柱状の部位であり、トッププレート20を上下方向における所定の位置(高さ)に支持している。本実施形態では、第1支柱31、第2支柱32、及び第3支柱33の少なくとも3本の支柱30によって、トッププレート20を支持している。各支柱31,32,33は、それぞれ上端部がトッププレート20に接続され、下端部がベースプレート10に接続されている。なお、支柱30の上端部は、トッププレート20に対して垂直に非可動な状態で固定されている。一方、支柱30の下端部は、ベースプレート10に対して角度を変更可能に取り付けられている。
【0029】
また、各支柱31,32,33は、一直線上にない3点にてトッププレート20を支持している。具体的には、図3に示されるように、第1支柱31が前後方向の前側に配置されており、第1支柱31よりも前後方向の後側、且つ、左右方向の両外側に第2支柱32及び第3支柱33がそれぞれ配置されている。すなわち、各支柱31,32,33がそれぞれ三角形の頂点となる位置にてトッププレート20を支持している。なお、図3において上下方向に見たときに、各支柱31,32,33がベースプレート10に対して取り付けられる位置も、トッププレート20と同じ三角形の頂点となる位置である。
【0030】
第1支柱31は、接続部311と、ガイドレール部312と、軸部313とを有している。接続部311は、ベースプレート10に対して第1支柱31の角度を変更可能に接続する部位であり、パイプ材や棒状の部材によって形成されている。本実施形態において、接続部311の下端部は、公知のアジャスターボルト314を介してベースプレート10の所定位置に取り付けられている(図2等参照)。これにより、接続部311とベースプレート10とのなす角度が自在に変更可能となる。但し、ベースプレート10に対して接続部311の角度を変更可能に取り付けられるのであれば、アジャスターボルト314以外の接続部材が用いられても良い。
【0031】
ガイドレール部312は、図1に示されるような前後方向における前側の面が切り欠かれた角型の中空部材によって形成され、軸部313及び後述する移動機構軸部54を該角型の中空部材の内側に、スライド移動可能に支持する部位である。ガイドレール部312は、例えば、ステンレスやその他の金属板を折り曲げて製作されるが、リップ溝形鋼管等の規格部品を使用しても良い。ガイドレール部312は接続部311の前側に固定されており、ガイドレール部312自体はベースプレート10及びトッププレート20の何れとも接続されていない。
【0032】
軸部313は、ガイドレール部312の内側に摺動可能に内接する角型部材であり、ガイドレール部312の長手方向に沿ってスライド移動可能に支持されている。図2に示されるように、軸部313は、ガイドレール部312の上端部よりも上側に延出するように設けられており、軸部313の上端部はトッププレート20の下側面に固定されている。
【0033】
このような構成により、第1支柱31は、全体としてベースプレート10に対する取り付け角度を自在に変更することが可能となっている。また、軸部313がガイドレール部312の内側をスライド移動することにより、第1支柱31は上下方向(第1支柱31の長手方向)に沿って伸縮可能な構造を有している。すなわち、上下方向において、トッププレート20を支持する位置(高さ)を変更することが可能となっている。なお、第1支柱31には、上下方向においてガイドレール部312に対する軸部313の相対位置(高さ)を固定するための位置固定ねじ61が設けられている。当該位置固定ねじ61を締めることで、軸部313がガイドレール部312に沿ってスライド移動することが抑制され、第1支柱31全体としての長さ(高さ)を固定することができる。
【0034】
第2支柱32は、接続部321と、シリンダ部322と、軸部323とを有している。接続部321は、ベースプレート10に対して第2支柱32の角度を変更可能に接続する部位であり、第1支柱31の接続部311とほぼ同様の構成を有している。接続部321の下端部は、アジャスターボルト324を介してベースプレート10の所定位置に取り付けられている。
【0035】
シリンダ部322は、パイプ材等によって形成され、軸部323を該パイプ材等の内側に、スライド移動可能に支持する部位である。シリンダ部322は、図2のように接続部321と同軸となるように、該接続部321の上端部に接続されている。軸部323は、シリンダ部322の内側に摺動可能に内接する円柱若しくはパイプ状の部材であり、シリンダ部322の長手方向に沿ってスライド移動可能に支持されている。図2に示されるように、軸部323は、シリンダ部322の上下方向の上端部よりも上側に延出するように設けられており、軸部323の上端部はトッププレート20の下側面に固定されている。
【0036】
第3支柱33は、接続部331と、シリンダ部332と、軸部333とを有している。第3支柱33の機能及び構成は第2支柱32と同様であるため、ここでは各部の説明は省略する
【0037】
第2支柱32及び第3支柱33も、第1支柱31と同様に、各々ベースプレート10に対する取り付け角度を自在に変更することが可能である。また、上下方向(長手方向)に沿って伸縮可能な構造を有し、位置固定ねじ62(63)によってシリンダ部322(332)と軸部323(333)との相対位置をそれぞれ固定することができる。これにより、上下方向において、トッププレート20を支持する位置(高さ)を自在に調整することが可能となっている。
【0038】
消毒液載置部40は、消毒液ボトル100を載せて置くための部位であり、載置台41と、載置台支持部42とを有している。載置台41は、消毒液ボトル100を載せるための平面部を備えた台であり、水平面と平行に配置されている。載置台支持部42は、載置台41を支持しつつ、消毒液載置部40を第1支柱31に取り付けるための部位である。本実施形態において、載置台支持部42は、図2に示されるように第1部分42aと第2部分42bとがL字形に組み合わされることによって構成されており、第1部分42aは載置台41を下側面に固定されている。一方、第2部分42bは後述する移動機構軸部54に取り付けられており、移動機構軸部54を介して第1支柱31のガイドレール部312に支持されている。
【0039】
消毒液載置部移動機構50は、第1支柱31の長手方向に沿って消毒液載置部40を上下に移動させるための機構であり、操作ペダル51と、ペダル支持部52と、押し上げ部53と、移動機構軸部54とを有している。操作ペダル51は、使用者が脚で踏むことによって消毒液載置部移動機構50を操作するための板状のペダルである。ペダル支持部52は、操作ペダル51を前後方向の中央位置付近にて支持しつつ、ベースプレートに接続する。本実施形態では、ペダル支持部52によって支持されている操作ペダル51の前後方向の一方側(前側)端部を使用者が踏んで押し下げることで、操作ペダル51の前後方向の他方側(後側)端部が上方に押し上げられる。押し上げ部53は、操作ペダル51の前後方向の後側端部に取り付けられ、操作ペダル51と一体的に動作することで、移動機構軸部54を上下方向の上側に押し上げるための部位である。
【0040】
移動機構軸部54は、第1支柱31のガイドレール部312の内側に摺動可能に内接する角型部材であり、ガイドレール部312の長手方向に沿ってスライド移動可能に支持されている。図2に示されるように、移動機構軸部54は、軸部313よりも上下方向の下側に配置され、その下端部が押し上げ部53に当接するように設けられている。また、移動機構軸部54の前後方向の前側には、消毒液載置部40の載置台支持部42(42b)が取り付けられている。なお、様々なサイズの消毒液ボトル100に広く対応可能とするために、移動機構軸部54に対する載置台支持部42の上下方向における取付け位置を調整可能な構造としても良い。
【0041】
使用者が消毒を行う際の消毒液載置部移動機構50の具体的な動作については後で説明する。
【0042】
消毒液ボトル100は、消毒液等の液体を貯留し、プッシュ動作によって当該液体を噴出する所謂「プッシュボトル」に相当し、市販の消毒液入りボトル等を使用することが可能である。消毒液ボトル100は、液体貯留部101と、プッシュ部102と、噴出口103とを有する。プッシュ部102を上下方向の下側に押し込むと(プッシュ動作)、液体貯留部101の内部に貯留されている消毒液が噴出口103から所定量だけ噴出される。
【0043】
<消毒液スタンド1を用いた消毒動作>
使用者が、本実施形態の消毒液スタンド1を用いて手の消毒を行う際の動作について簡単に説明する。図4A及び図4Bは、消毒液スタンド1を用いた消毒動作について説明する図である。
【0044】
先ず、建造物等の床等の平面に消毒液スタンド1のベースプレート10を設置する。以下では、ベースプレート10が設置される平面を「設置面GND」とも呼ぶ。次いで、噴出口103が前後方向の前側を向くようにして、消毒液ボトル100を消毒液載置部40(載置台41)の上に載置する。そして、支柱31~33を上下方向に伸縮させ、位置固定ねじ61~63を用いてそれぞれ位置(高さ)を固定することでトッププレート20の位置(高さ)を調整する。具体的には、図4Aのように、トッププレート20の下側面が、消毒液ボトル100のプッシュ部102の上側面と当接するように、トッププレート20の位置(高さ)が調整される。このとき、トッププレート20の上下方向における位置(高さ)をTL1とし、消毒液載置部40の載置台41の上下方向における位置(高さ)をTL2とする。
【0045】
使用者は、図4Aの状態から、噴出口103の下方に手をかざして、操作ペダル51の前側端部を踏む。すると、図4Bのように、操作ペダル51の後側端部が上下方向の上側に押し上げられ、押し上げ部53を介して移動機構軸部54がガイドレール部312の長手方向に沿って上側に押し上げられる。すると、移動機構軸部54に接続されている載置台支持部42、及び、載置台支持部42に支持された載置台41も移動機構軸部54と共にガイドレール部312の長手方向に沿って上側に押し上げられる。すなわち、載置台41の上下方向における位置(高さ)がTL2からTL3へ移動する。一方、トッププレート20の上下方向における位置(高さ)をTL1は変わらない。
【0046】
このように、消毒液載置部移動機構50によって載置台41を移動させることによって、トッププレート20と載置台41との間の距離が、(TL3-TL2)だけ短くなる。このとき、トッププレート20によって消毒液ボトル100のプッシュ部102がプッシュされ、噴出口103から消毒液が噴出される。したがって、使用者は、操作ペダル51を足で踏む動作を行うだけで、消毒液スタンド1に手を触れることなく、簡単かつ安全に手の消毒を行うことができる。
【0047】
<消毒液スタンド1の設置について>
続いて、消毒液スタンド1を設置する際に生じる問題及びその解決方法について説明する。先ず、比較例として、従来型の消毒液スタンド200を設置面GNDに設置する場合について説明する。図5A及び図5Bは、比較例の消毒液スタンド200の設置方法について説明する図である。
【0048】
図5Aは、水平な設置面GNDに、消毒液スタンド200を設置した状態について表している。比較例の消毒液スタンド200は、ベースプレート210と本体部230と消毒液載置部240とを有し、消毒液ボトル100を載置することが可能である。ベースプレート210及び消毒液載置部240は、それぞれ、本実施形態の消毒液スタンド1のベースプレート10及び消毒液載置部40(載置台41)に相当する部位である。本体部230はベースプレート210に固定され、消毒液載置部240を支持する部位である。
【0049】
図5Aでは、水平な設置面GNDに消毒液スタンド200が設置され、消毒液載置部240に消毒液ボトル100が載置された状態について表している。使用者が消毒を行う際には、消毒液載置部240上で消毒液ボトル100のプッシュ動作を行うことで、片手ずつ消毒を行うことができる。
【0050】
しかしながら、消毒液スタンド200を設置する設置面GNDが常に水平であるとは限らない。例えば、水勾配等の傾斜が設けられている設置面や、建造物の立地上、傾斜した設置面に消毒液スタンド200を設置する必要が生じる場合がある。図5Bは、水平な状態から前後方向に角度θだけ傾斜した設置面GNDに消毒液スタンド200を設置した状態について表している。図5Bの場合、設置面GNDの傾斜に応じて本体部230や消毒液載置部240も傾くため、消毒液ボトル100も傾斜した状態で消毒液載置部240に載置されている。したがって、消毒液ボトル100が消毒液載置部240からずり落ちてしまったり、使用者が安全にプッシュ動作を行えなくなったりするおそれがある。
【0051】
これに対して、本実施形態の消毒液スタンド1は、設置面GNDが水平面に対して傾いた場合であっても、当該設置面GNDに安全に設置することが可能である。図6A図6Cは、本実施形態の消毒液スタンド1の設置方法について説明する図である。
【0052】
図6Aは、水平な設置面GNDに、消毒液スタンド1を設置した状態について表している。この場合、図4で説明した方法により、消毒液ボトル100のプッシュ動作(消毒動作)を行うことができる。また、トッププレート20の上面には、図6Aのように物品M(例えば、予備の消毒液等)が置かれているものとする。
【0053】
次に、図6Bは、水平な状態から前後方向に角度θだけ傾斜した設置面GNDに消毒液スタンド1を設置した状態について表している。この場合、ベースプレート10は設置面GNDに沿って水平から角度θだけ傾斜した状態で設置される。一方、ベースプレート10に対して角度を変更可能に接続されている3本の支柱31~33は、それぞれ鉛直方向(上下方向)に沿った状態を維持することが可能である。すなわち、ベースプレート10に対する支柱31~33の角度を、ベースプレート10の法線方向から角度θだけ傾けることによって、支柱31~33を鉛直に保つことができる。
【0054】
また、3本の支柱31~33の長さを調整することによってトッププレート20を水平面と平行な状態に維持することが可能である。図6Bの場合、前後方向における前側(第1支柱31側)が、後側(第2支柱32及び第3支柱33側)よりも上下方向の下側へ下がるように設置面GNDが傾斜している。この場合、例えば、前側の第1支柱31を伸長させ、後側の第2支柱32及び第3支柱33を収縮させることにより、それぞれの支柱31~33がトッププレート20を支持している高さを揃えることができる。これにより、トッププレート20を水平な状態とすることができる。したがって、トッププレート20の上面に置かれている物品Mも、傾斜によってずり落ちたりすることなく安定して載置された状態を維持しやすい。
【0055】
さらに、トッププレート20が支持される位置(高さ)TL1、及び、消毒液載置部40(載置台41)が支持される位置(高さ)TL2も、図6Aの場合と同じ位置(高さ)に調整することが可能である。
【0056】
図6Bの状態において、第1支柱31が鉛直方向(上下方向)に沿った状態に維持されることによって、該第1支柱31に取り付けられている消毒液載置部40(載置台41)は水平な状態を維持することができる。これにより、水平な状態の消毒液載置部40(41)に消毒液ボトル100が載置されることとなる。したがって、本実施形態の消毒液スタンド1では、比較例(図5B)で説明したような問題は生じ難く、使用者は安全に消毒液ボトル100を使用することができる。
【0057】
また、消毒液スタンド1が傾斜した設置面GNDに設置された状態であっても、消毒液載置部移動機構50によって、安定した消毒動作を行うことができる。図6Bの状態から、使用者が操作ペダル51の前側端部を踏むと、図4Bで説明したのと同様にして、押し上げ部53を介して移動機構軸部54が第1支柱31(ガイドレール部312)に沿って上側に押し上げられる。そして、移動機構軸部54に接続されている消毒液載置部40が上下方向の上側に移動し、載置台41の高さがT2(図6B参照)からT3(図6C参照)へ上昇する。これにより、載置台41に載置されている消毒液ボトル100のプッシュ部102がトッププレート20に押し付けられ噴出口103から消毒液が噴出される。したがって、使用者は、設置面GNDが水平である場合と同様に消毒動作を行うことができる。
【0058】
このとき、載置台41は、第1支柱31のガイドレール部312に沿って移動するが、本実施形態の消毒液スタンド1では、傾斜した設置面GNDに設置された状態であっても、第1支柱31を鉛直に保つこと可能である。したがって、載置台41は水平面と平行な状態を維持したまま、第1支柱31(ガイドレール部312)に沿って上下に移動することが可能である。これにより、消毒動作中に消毒液ボトル100が傾いたり、プッシュ部102が押され難くなったりすることが抑制されるので、安定して消毒液の噴出動作を行うことができる。
【0059】
また、第1支柱31を構成している部材のうち、ベースプレート10に接続されているのは接続部311だけであり、ガイドレール部312はベースプレート10と接続されていない。したがって、ベースプレート10に対する第1支柱31の角度が変更された場合であっても、ガイドレール部312には角度変更の影響が及びにくい。そのため、ガイドレール部312に支持されている移動機構軸部54は、角度変更の影響を受けずに動作可能である。つまり、ベースプレート10の設置角度が水平方向から傾斜している場合であっても、消毒液載置部移動機構50をベースプレート10から独立して可動させることができる。これにより、傾斜した設置面GNDに消毒液スタンド1が設置された場合であっても、安定した消毒液の噴出動作を行うことができる。
【0060】
なお、図6では前後方向に傾斜した設置面GNDに消毒液スタンド1を設置した場合について説明したが、他の方向に傾斜した設置面GNDに消毒液スタンド1を設置することも可能である。図7は、水平な状態から左右方向に角度θだけ傾斜した設置面GNDに消毒液スタンド1を設置した状態について表す図である。
【0061】
図6では、左右方向における右側(第3支柱33側)が、左側(第2支柱32側)よりも上下方向の下側へ下がるように設置面GNDが傾斜している。この場合、支柱31~33をそれぞれベースプレート10の法線方向から角度θだけ傾斜させ、且つ、右側に位置する第3支柱33を伸長させ、左側に位置する第2支柱32を収縮させる。これにより、消毒液載置部40(載置台41)及びトッププレート20を水平面と平行な状態に保ち、且つ、トッププレート20が支持されている高さを調整することができる。したがって、図6Cの場合と同様に、消毒液ボトル100から安定して消毒液を噴出させることができる。
【0062】
また、設置面GNDが他の方向に傾斜している場合であっても、ベースプレート10に対する支柱31~33の角度、及び、支柱31~33の長さを適当に調節することで、上記と同様に、消毒液ボトル100から安定して消毒液を噴出させることが可能である。
【0063】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのは言うまでもない。
【0064】
上述の実施形態において、消毒液スタンド1のトッププレート20は、3本の支柱30(第1支柱31、第2支柱32、及び第3支柱33)によって支持されていたが、支柱30の数はこの限りではない。例えば、4本以上の支柱30によってトッププレート20が支持さていても良い。このような場合でも、ベースプレート10に対する各支柱30の角度が変更可能であり、また、各支柱30が伸縮な構造であれば、消毒液載置部40(載置台41)及びトッププレート20を水平に維持することが可能であり、消毒液ボトル100を水平に設置することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 消毒液スタンド、
10 ベースプレート、
20 トッププレート、
30 支柱、
31 第1支柱、311 接続部、312 ガイドレール部、313 軸部、
314 アジャスターボルト、
32 第2支柱、321 接続部、322 シリンダ部、323 軸部、
324 アジャスターボルト、
33 第3支柱、331 接続部、332 シリンダ部、333 軸部、
334 アジャスターボルト、
40 消毒液載置部、
41 載置台、42 載置台支持部、
50 消毒液載置部移動機構、
51 操作ペダル、52 ペダル支持部、53 押し上げ部、
54 移動機構軸部、
61 位置固定ねじ、62 位置固定ねじ、63 位置固定ねじ、
100 消毒液ボトル、
101 液体貯留部、102 プッシュ部、103 噴出口、
200 消毒液スタンド(比較例)、
210 ベースプレート、230 本体部、240 消毒液載置部、
GND 設置面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7