(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175485
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】圧力開放弁
(51)【国際特許分類】
F16K 17/04 20060101AFI20231205BHJP
H01M 50/317 20210101ALI20231205BHJP
【FI】
F16K17/04 C
H01M50/317 201
F16K17/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087947
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】廣田 翔平
【テーマコード(参考)】
3H059
5H012
【Fターム(参考)】
3H059AA10
3H059BB22
3H059CC01
3H059CD04
3H059FF05
3H059FF16
5H012AA07
5H012BB01
5H012CC01
5H012DD01
5H012GG07
5H012JJ01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】小型の圧力開放弁を提供する。
【解決手段】圧力開放弁10は、開口部を含み、筐体の表面に固定されているケース部と、筐体の表面に平行な回転方向において回転可能であるようケース部によって支持されたカバー部20と、回転方向においてカバー部20が閉位置から開位置へ回転するようカバー部20を付勢する第1付勢部材と、を備える。カバー部20は、閉位置においては、カバー部20の開口部を覆い、開位置においては、カバー部20の前記開口部を開放する。ケース部は、閉位置にあるカバー部20に係合するストッパを含む。圧力開放弁は、筐体の内圧が閾値を超えると、ストッパとカバー部との係合が解除されるよう構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部のガスの内圧が上昇したときに筐体からガスを逃がす圧力開放弁であって、
開口部を含み、前記筐体の表面に固定されているケース部と、
前記筐体の前記表面に平行な回転方向において回転可能であるよう前記ケース部によって支持されたカバー部と、
前記回転方向において前記カバー部が閉位置から開位置へ回転するよう前記カバー部を付勢する第1付勢部材と、を備え、
前記カバー部は、前記閉位置においては、前記ケース部の前記開口部を覆い、前記開位置においては、前記ケース部の前記開口部を開放し、
前記ケース部は、前記閉位置にある前記カバー部に係合するストッパを含み、
前記圧力開放弁は、前記筐体の前記内圧が閾値を超えると、前記ストッパと前記カバー部との係合が解除されるよう構成されている、圧力開放弁。
【請求項2】
前記カバー部が前記ケース部に向かう方向において前記カバー部を付勢する第2付勢部材を備える、請求項1に記載の圧力開放弁。
【請求項3】
前記カバー部は、前記閉位置において前記ケース部の前記ストッパに係合する第1ロックを含む、請求項1に記載の圧力開放弁。
【請求項4】
前記カバー部は、筒部を含み、
前記ケース部は、前記筒部に挿入され、前記回転方向における回転軸として機能する軸部を含み、
前記第1ロックは、前記筒部から外方に突出している、請求項3に記載の圧力開放弁。
【請求項5】
前記カバー部は、前記開位置において前記ケース部の前記ストッパに係合する第2ロックを含む、請求項3又は4に記載の圧力開放弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の内部の圧力を調整する圧力開放弁に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力開放弁は、筐体の内部の圧力を調整するための装置である。筐体は、例えば、自動車に搭載されるバッテリーパックである。バッテリーパックの内部には、バッテリーセルなどのデバイスが収容され、密閉されている。圧力開放弁は、バッテリーパックなどの筐体に取り付けられている。例えば、圧力開放弁は、筐体に形成されている開口部を覆うように配置されている。圧力開放弁は、筐体の内部の圧力が閾値を超えると、筐体の内部のガスを外部に放出するよう動作する。圧力開放弁は、圧力の上昇に起因して筐体の内部のデバイスが損傷することを抑制できる。
【0003】
いくつかの圧力開放弁が提案されている。
例えば特許文献1は、筐体の開口部に取り付けられたベース部と、ベース部を覆うカバー部と、を備える圧力開放弁を開示している。カバー部には、ベース部に向かう付勢力が加えられている。内圧が閾値を超えると、筐体の表面の法線方向においてカバー部がベース部から離れるようカバー部が移動する。筐体の内部のガスは、ベース部とカバー部との間の隙間、及びカバー部と筐体との間の隙間を介して外部へ放出される。
例えば特許文献2は、筐体の壁を貫通する複数の小孔と、小孔を覆うシートと、を備える圧力開放弁を開示している。内圧が閾値を超えると、シートが破断して小孔が開放される。筐体の内部のガスは、小孔を介して外部へ放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-21897号公報
【特許文献2】特許第6897730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の圧力開放弁においては、ガスの流れが、ベース部とカバー部との間の隙間、及びカバー部と筐体との間の隙間によって制限される。また、筐体の表面の法線方向における圧力開放弁の寸法が大きくなるので、レイアウト設計の自由度が小さい。特許文献2に記載の圧力開放弁においては、ガスの流れが、破断したシートによって阻害される。
【0006】
本発明は、このような課題を解決できる圧力開放弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、筐体の内部のガスの内圧が上昇したときに筐体からガスを逃がす圧力開放弁であって、
開口部を含み、前記筐体の表面に固定されているケース部と、
前記筐体の前記表面に平行な回転方向において回転可能であるよう前記ケース部によって支持されたカバー部と、
前記回転方向において前記カバー部が閉位置から開位置へ回転するよう前記カバー部を付勢する第1付勢部材と、を備え、
前記カバー部は、前記閉位置においては、前記ケース部の前記開口部を覆い、前記開位置においては、前記ケース部の前記開口部を開放し、
前記ケース部は、前記閉位置にある前記カバー部に係合するストッパを含み、
前記圧力開放弁は、前記筐体の前記内圧が閾値を超えると、前記ストッパと前記カバー部との係合が解除されるよう構成されている、圧力開放弁である。
【0008】
本発明による圧力開放弁は、前記カバー部が前記ケース部に向かう方向において前記カバー部を付勢する第2付勢部材を備えていてもよい。
【0009】
本発明による圧力開放弁において、前記カバー部は、前記閉位置において前記ケース部の前記ストッパに係合する第1ロックを含んでいてもよい。
【0010】
本発明による圧力開放弁において、前記カバー部は、筒部を含んでいてもよい。前記ケース部は、前記筒部に挿入され、前記回転方向における回転軸として機能する軸部を含んでいてもよい。前記第1ロックは、前記筒部から外方に突出していてもよい。
【0011】
本発明による圧力開放弁において、前記カバー部は、前記開位置において前記ケース部の前記ストッパに係合する第2ロックを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、外部に放出されるガスの流量を高めることができる。また、圧力開放弁のレイアウト設計の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】閉状態における圧力開放弁を示す斜視図である。
【
図2】筐体に取り付けられた圧力開放弁を示す部分断面図である。
【
図6】カバー部が閉位置にある状態における圧力開放弁を示す側面図である。
【
図7】カバー部が閉位置にある状態における圧力開放弁を示す縦断面図である。
【
図8】カバー部が閉位置にある状態における第1付勢部材を示す断面図である。
【
図9】回転方向に平行な面によってカバー部の筒部及びロックを切断した場合を示す図である。
【
図10】カバー部が上側位置にある状態における圧力開放弁を示す部分断面図である。
【
図11】カバー部が上側位置にある状態における圧力開放弁を示す縦断面図である。
【
図12】カバー部が上側位置にある状態における筒部及びロックを示す図である。
【
図13】カバー部が開位置にある状態における筒部及びロックを示す図である。
【
図14】カバー部が開位置にある状態における第1付勢部材を示す断面図である。
【
図15】カバー部が開位置にある状態における圧力開放弁を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本件明細書に添付する図面においては、理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0015】
図1は、圧力開放弁10の一例を示す斜視図である。圧力開放弁10は、筐体100に取り付けられる。
図2は、筐体100に取り付けられた圧力開放弁10を示す部分断面図である。筐体100は、例えば、自動車に搭載されるバッテリーパックである。バッテリーパックの内部には、バッテリーセルなどのデバイスが収容され、密閉されている。筐体100は、表面101及び裏面102を含む。表面101は、筐体100の外部の雰囲気に接している。裏面102は、筐体100によって密閉されている内部の空間に接している。筐体100は、筐体100を貫通する通気口103を含む。圧力開放弁10は、通気口103を覆うよう筐体100に取り付けられている。
【0016】
圧力開放弁10は、筐体100の内部の圧力が閾値を超えると、筐体100の内部のガスを外部に放出するよう動作する。筐体100の内部の圧力のことを、内圧とも称する。
【0017】
圧力開放弁10について詳細に説明する。
図3は、圧力開放弁10を示す分解図である。圧力開放弁10は、カバー部20、エンドロック29、第1シール部30、第2シール部35、第1付勢部材40、第2付勢部材45及びケース部50を備える。カバー部20、エンドロック29、第1シール部30、第2シール部35、第1付勢部材40、第2付勢部材45及びケース部50を組み立てることにより、モジュール化された圧力開放弁10が得られる。圧力開放弁10は、モジュール化された状態で筐体100に取り付けられる。
【0018】
カバー部20は、筐体100の表面101に平行な回転方向D1において回転可能であるよう支持されている。筐体100の内部の圧力が閾値を超えると、カバー部20が回転方向D1において閉位置から開位置へ回転する。
図1及び
図2は、カバー部20が閉位置にある状態を示している。カバー部20が閉位置にあるとき、筐体100の通気口103は圧力開放弁10によって覆われている。カバー部20が開位置にあるとき、圧力開放弁10は、通気口103を外部と連通させる。このように、本実施の形態においては、カバー部20が回転することにより、筐体100の内部のガスを外部に放出できる。
【0019】
圧力開放弁10の各構成要素について、
図1~
図5を参照して詳細に説明する。
図4は、カバー部20を下から見た場合を示す図である。
図5は、ケース部50を下から見た場合を示す図である。「下から見る」は、筐体100から圧力開放弁10に向かう方向において圧力開放弁10を見ることを意味する。
【0020】
筐体100の表面101の法線方向を、上下方向とも称し、符号D2で表す。上下方向のうち、圧力開放弁10から筐体100に向かう方向のことを、下方向又は下方とも称する。上下方向のうち、筐体100から圧力開放弁10に向かう方向のことを、上方向又は上方とも称する。
【0021】
(ケース部)
ケース部50は、筐体100に固定されている。ケース部50は、下面51、上面52、開口部53及び軸部56を含む。下面51は、筐体100の表面101に対面している。上面52は、上下方向D2において下面51の反対側に位置している。開口部53は、下面51から上面52までケース部50を貫通している。軸部56は、上下方向D2に延びている。軸部56は、回転方向D1における回転軸として機能する。
【0022】
ケース部50は、少なくとも1つの開口部53を含む。ケース部50は、2つ以上の開口部53を含んでいてもよい。本実施の形態において、ケース部50は、軸対称の関係にある2つの開口部53を含む。開口部53の輪郭は、軸部56を中心とする円弧を含んでいてもよい。
【0023】
図3及び
図5に示すように、ケース部50は、下面51に位置する第1収容部54を含んでいてもよい。第1収容部54は、第1シール部30を収容する。ケース部50は、上面52に位置する第2収容部55を含んでいてもよい。第2収容部55は、第2シール部35を収容する。第2収容部55は、平面視において開口部53を囲んでいる。「平面視」とは、表面101の法線方向に沿って対象物を見ることを意味する。
【0024】
ケース部50は、ストッパ57を含んでいてもよい。ストッパ57は、回転方向D1におけるカバー部20の位置を規制できる。例えば、ストッパ57は、閉位置にあるカバー部20に係合する。ストッパ57は、上面52から上方へ突出していてもよい。
【0025】
ケース部50は、支持部58を含んでいてもよい。支持部58は、回転方向D1において第1付勢部材40の第1端41を支持する。例えば、支持部58は、第1付勢部材40の第1端41に接触することにより、回転方向D1において第1端41が回転することを防ぐ。
【0026】
ケース部50は、締結部59を含んでいてもよい。締結部59は、例えば、
図3に示す締結具60が挿入される孔である。締結具60は、例えばボルトである。締結具60をケース部50の締結部59及び筐体100の図示しない孔に挿入し、締結具60を図示しないナットなどで固定することにより、ケース部50が筐体100に固定される。
【0027】
(第1付勢部材)
第1付勢部材40は、回転方向D1においてカバー部20が閉位置から開位置へ回転するようカバー部20を付勢する。第1付勢部材40は、例えば、上下方向D2に積層されたスプリングである。第1付勢部材40は、ケース部50に接する上述の第1端41と、カバー部20に接する第2端42と、を含む。
【0028】
(第2付勢部材)
第2付勢部材45は、カバー部20がケース部50に向かう方向においてカバー部20を付勢する。第2付勢部材45は、例えば、上下方向D2において伸縮可能なコイルスプリングである。第2付勢部材45は、カバー部20の筒部24の底部242に接する下端46と、上端47と、を含む。上端47は、エンドロック29の上部292に接していてもよい。
【0029】
(カバー部)
カバー部20は、下面21、上面22及び開口部23を含む。下面21は、ケース部50の上面52に対面している。上面22は、上下方向D2において下面21の反対側に位置している。開口部23は、下面21から上面22までカバー部20を貫通している。
【0030】
カバー部20は、閉位置においては、ケース部50の開口部53を覆う。例えば、カバー部20の開口部23は、閉位置においては、平面視においてケース部50の開口部53と重ならない。カバー部20は、開位置においては、ケース部50の開口部53を開放する。例えば、カバー部20の開口部23は、開位置においては、平面視においてケース部50の開口部53と重なる。これにより、筐体100の内部のガスが、ケース部50の開口部53及びカバー部20の開口部23を通って外部に放出される。
【0031】
カバー部20は、少なくとも1つの開口部23を含む。開口部23は、2つ以上の開口部23を含んでいてもよい。本実施の形態において、カバー部20は、ケース部50と同様に2つの開口部23を含む。開口部23の輪郭は、軸部56を中心とする円弧を含んでいてもよい。平面視において、開口部23の輪郭は、開口部53によって囲まれていてもよい。平面視において、開口部23は、開口部53の輪郭を囲んでいてもよい。
【0032】
カバー部20は、回転方向D1において回転可能であるようケース部50の軸部56によって支持されている。例えば
図4に示すように、カバー部20は、筒部24を含んでいてもよい。筒部24は、下面21から下方に突出していてもよい。筒部24は、ケース部50の軸部56に連結される。例えば、筒部24は、円筒状の側部241と、軸部56が挿入される孔が形成された底部242と、を含む。
【0033】
カバー部20には、回転方向D1において第1付勢部材40から付勢力が加えられている。付勢力に対抗するため、
図4に示すように、カバー部20は、第1ロック26を含んでいてもよい。第1ロック26は、閉位置においてケース部50のストッパ57に係合する。これにより、閉位置においてカバー部20がケース部50に対して回転することが防がれる。
図4に示すように、第1ロック26は、筒部24の側部241から半径方向において外方に突出していてもよい。
【0034】
図4に示すように、カバー部20は、第2ロック27を含んでいてもよい。第2ロック27は、後述するように、回転方向D1においてケース部50のストッパ57に係合する。これにより、回転方向D1においてカバー部20を開位置で静止させることができる。
図4に示すように、第2ロック27は、筒部24の側部241から半径方向において外方に突出していてもよい。
【0035】
カバー部20は、上側位置と下側位置の間で上下方向D2に移動可能であるよう、ケース部50によって支持されていてもよい。カバー部20の第1ロック26は、下側位置においては、ケース部50のストッパ57に係合する。上側位置は、下側位置よりも上方にある。カバー部20の第1ロック26は、上側位置においては、ケース部50のストッパ57に係合できない。カバー部20の第2ロック27は、上側位置において、ケース部50のストッパ57に係合できる。
【0036】
(エンドロック)
エンドロック29は、ケース部50に対して固定されている。例えば、エンドロック29は、ケース部50の軸部56が嵌め込まれる筒状の側部291と、上部292と、を含む。上部292は、第2付勢部材45に上方から接触する。
【0037】
(第1シール部)
第1シール部30は、ケース部50の下面51と筐体100の表面101との間に位置する。第1シール部30は、平面視において複数の開口部53を囲んでいる。第1シール部30は、例えばガスケットである。
【0038】
(第2シール部)
第2シール部35は、ケース部50の上面52とカバー部20の下面21との間に位置する。1つの第2シール部35が、平面視において1つの開口部23を囲んでいてもよい。この場合、第2シール部35の数は、開口部23の数と同一である。第2シール部35は、例えばガスケットである。
【0039】
次に、
図6~
図9を参照して、圧力開放弁10の構成要素の位置関係について詳細に説明する。
図6は、カバー部20が閉位置にある状態における圧力開放弁10を示す側面図である。
図7は、カバー部20が閉位置にある状態における圧力開放弁10を示す縦断面図である。
図8は、カバー部20が閉位置にある状態における第1付勢部材40を示す断面図である。
図8は、
図6のA-A線断面図に相当する。
図9は、回転方向に平行な面によってカバー部20の筒部24及びロック26,27を切断した場合を示す図である。
【0040】
図7に示すように、第1付勢部材40及び第2付勢部材45には軸部56が挿入されていてもよい。軸部56に嵌め込まれたエンドロック29が、第2付勢部材45に挿入されていてもよい。
【0041】
第2付勢部材45は、上下方向D2において圧縮された状態で、カバー部20の筒部24の底部242とエンドロック29の上部292との間に配置されていてもよい。この場合、上下方向D2において伸びようとする復元力が第2付勢部材45に生じる。上述のように、エンドロック29は、ケース部50に対して固定されている。このため、第2付勢部材45の復元力は、カバー部20をケース部50に向けて付勢する付勢力として働く。
【0042】
図8及び
図9に示すように、第1付勢部材40は、回転方向D1における復元力Rが閉位置において生じた状態で、カバー部20及びケース部50に取り付けられている。
図9に示すように、閉位置にあるカバー部20の第1ロック26は、回転方向D1においてケース部50のストッパ57に係合している。第1ロック26とストッパ57の係合が、復元力Rによってカバー部20が回転することを防いでいる。なお、
図8においては、第1付勢部材40を下から見ているので、
図8における復元力Rの向きは、
図9における復元力Rの向きと反対である。
【0043】
図9に示すように、カバー部20の第2ロック27は、第1ロック26の高さH1よりも大きい高さH2を有していてもよい。
図9に示すように、第2ロック27は、第1ロック26よりも下方まで上下方向D2に延びていてもよい。
【0044】
次に、圧力開放弁10の動作の一例を説明する。圧力開放弁10は、バッテリーパックに取り付けられていると仮定する。
【0045】
バッテリーパックが正常に動作しているとき、カバー部20は、
図1及び
図7~9に示す閉位置にある。カバー部20は、第1付勢部材40によって回転方向D1に付勢されている。一方、カバー部20の第1ロック26は、回転方向D1においてケース部50のストッパ57に係合している。カバー部20は、回転方向D1において回転できないので、
図1及び
図7~9に示すように、カバー部20の開口部23がケース部50の開口部53に重なっていない状態が維持される。また、第2付勢部材45は、カバー部20を筐体100に向けて付勢する付勢力を生じさせている。このため、ケース部50の開口部53が、カバー部20の下面21及び第2シール部35によって密閉されている。
【0046】
バッテリーパックの筐体100の内圧が所定の閾値を超えると、内圧がカバー部20に加える力が、第2付勢部材45がカバー部20に加える力よりも大きくなる。この結果、カバー部20が下側位置から上方に移動する。カバー部20は、内圧がカバー部20に加える力と、第2付勢部材45がカバー部20に加える力とが釣り合う上側位置まで、上方に移動する。
図10は、カバー部20が上側位置にある状態における圧力開放弁10を示す部分断面図である。
図11は、カバー部20が上側位置にある状態における圧力開放弁10を示す縦断面図である。
図12は、カバー部20が上側位置にある状態における筒部24及びロック26,27を示す図である。
【0047】
図12に示すように、カバー部20が上側位置へ移動すると、ケース部50のストッパ57とカバー部20の第1ロック26との係合が解除される。このため、上側位置にあるカバー部20は、第1付勢部材40の付勢力によって回転方向D1において開位置まで回転できる。
【0048】
図13は、カバー部20が開位置にある状態における筒部24及びロック26,27を示す図である。
図13に示すように、カバー部20が開位置まで回転すると、カバー部20の第2ロック27がケース部50のストッパ57に係合する。これにより、カバー部20の回転が停止される。
図14は、カバー部20が開位置にある状態における第1付勢部材40を示す断面図である。
図14においては、第1付勢部材40を下から見ているので、
図14における回転方向D1の向きは、
図13における回転方向D1の向きと反対である。第1ロック26と第2ロック27の位置関係は、開位置において第2シール部35が平面視で開口部23を囲うように定められていてもよい。
【0049】
図15は、カバー部20が開位置にある状態における圧力開放弁10を示す部分断面図である。カバー部20の開口部23は、開位置においてケース部50の開口部53と重なる。このため、筐体100の内部のガスが、筐体100の通気口103、ケース部50の開口部53及びカバー部20の開口部23を通って外部に放出される。
【0050】
ガスが外部に放出されるにつれて、内圧が低下する。内圧がカバー部20に加える力が、第2付勢部材45がカバー部20に加える力よりも小さくなると、第2付勢部材45の復元力によってカバー部20が下側位置へ移動する。一方、カバー部20の第2ロック27は、ケース部50のストッパ57に係合し続けている。カバー部20は、回転方向D1において回転できないので、カバー部20の開口部23がケース部50の開口部53と重なる状態が維持される。
【0051】
本実施の形態においては、上述のとおり、筐体100の内部のガスが、ケース部50の開口部53及びカバー部20の開口部23を通って外部に至ることができる。このため、上述の特許文献1のような、ガスが、上下方向におけるわずかな隙間を通って外部に至る場合に比べて、ガスの流量を高めることができる。これにより、筐体100の内圧を速やかに低減できる。
【0052】
また、本実施の形態においては、上下方向における隙間をガスの流路として利用しないので、上下方向におけるカバー部20の移動量を、従来の圧力開放弁に比べて少なくできる。このため、上下方向において圧力開放弁10に割り当てられる空間の寸法を、従来の圧力開放弁に比べて小さくできる。これにより、上下方向におけるレイアウト設計の自由度を高くできる。
【0053】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
【0054】
上述の実施の形態においては、筐体100の内圧が閾値未満である場合に、回転方向D1におけるカバー部20の第1ロック26とケース部50のストッパ57の係合が、第2付勢部材45によって維持される例を示した。しかしながら、筐体100の内圧が閾値未満である場合にカバー部20とケース部50の係合を維持するための手段は、第2付勢部材45による上下方向における付勢力には限られない。例えば、図示はしないが、上下方向における機械的な係合によって、カバー部20とケース部50の係合が維持されてもよい。この場合、上下方向における機械的な係合は、筐体100の内圧が閾値以上になると解除されるよう構成されている。機械的な係合は、例えば、爪を利用する係合である。
【符号の説明】
【0055】
10 圧力開放弁
20 カバー部
23 開口部
24 筒部
26 第1ロック
27 第2ロック
29 エンドロック
30 第1シール部
35 第2シール部
40 第1付勢部材
45 第2付勢部材
50 ケース部
53 開口部
56 軸部
57 ストッパ
58 支持部
100 筐体
103 通気口