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特開2023-1755収容容器、包装容器、及び、包装容器入り食品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001755
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】収容容器、包装容器、及び、包装容器入り食品
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/36 20060101AFI20221226BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
B65D85/36
B65D85/50 100
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102672
(22)【出願日】2021-06-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】504386509
【氏名又は名称】株式会社イーストナイン
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】本山 博文
【テーマコード(参考)】
3E035
3E096
【Fターム(参考)】
3E035AA20
3E035BA02
3E035BA08
3E035BC02
3E035BD06
3E096AA13
3E096BA30
3E096BB08
3E096CA02
3E096CA12
3E096CB03
3E096EA02X
3E096EA02Y
3E096FA19
3E096GA07
(57)【要約】
【課題】食材の水分含有量を維持できるとともに、異なる水分含有量の食材を包装できるとともに、流通性を確保できる収容容器、包装容器及び包装容器入り食品を提供すること。
【解決手段】第1食材12を収容する第1容器21に積層されるとともに、第1食材12上に配置することで一体の食品100を形成する、第1食材12と水分含有量の異なる第2食材13を収容する収容容器22は、容器21の上部に嵌合して配置され、第2食材13を収容するとともに、第2食材13を賦形する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1食材を収容する容器に積層されるとともに、前記第1食材上に配置することで一体の食品を形成する、前記第1食材と水分含有量の異なる第2食材を収容する収容容器であって、
前記容器の上部に嵌合して配置され、前記第2食材を収容するとともに、前記第2食材を賦形する、収容容器。
【請求項2】
前記容器は、前記第1食材よりも大きく形成された第1カップ部と、前記第1カップ部の上端に設けられたフランジ部と、を備え、
前記収容容器は、前記第2食材を収容する第2カップ部と、前記第2カップ部の上端に設けられた天板部と、前記天板部の外周縁に設けられた周壁部と、前記周壁部の下端に設けられ、前記フランジ部と嵌合する嵌合部と、を備える、請求項1に記載の収容容器。
【請求項3】
前記第1食材は、底部の径が上端部の径よりも小径の有底円筒状に形成され、
前記第2食材は、円柱状又は円錐台形状に形成されるとともに、前記第1食材の上端部の内径以下に形成され、
前記第1カップ部は、前記第1食材の最大外径よりも内幅が大きい矩形のカップ状に形成され、
前記フランジ部は、矩形板状に形成され、
前記第2カップ部は、前記第2食材の高さよりも深く、且つ、前記第2食材の外径と同一の内径を有する円形のカップ状に形成され、
前記天板部は矩形板状に形成され、
前記周壁部は、矩形筒状に形成され、
前記第2カップ部の底部は、前記嵌合部が前記フランジ部に嵌合した状態で、前記第1カップ部に収容された前記第1食材の上端部よりも上部に配置されるか、又は、前記第1食材の上端部の内径よりも小径の外径に形成される、請求項2に記載の収容容器。
【請求項4】
前記周壁部は、前記周壁部の周方向に直交する方向に延びるとともに、内方に窪む凹部を周方向に所定の間隔で複数有する、請求項3に記載の収容容器。
【請求項5】
前記フランジ部の角部は、円弧状に形成され、
前記嵌合部の前記フランジ部と係合する側壁の角部は、円弧状に形成され、
前記収容容器は、前記容器よりも高い弾性率を有する、請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の収容容器。
【請求項6】
前記第2食材は、焼成処理が行われ、
前記収容容器は、前記焼成処理における前記第2食材の加熱温度に対して耐熱性を有する、
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の収容容器。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の収容容器と、
前記容器と、
を備える包装容器。
【請求項8】
嵌合した前記容器及び前記収容容器を収容して密封される袋状の包装体を備える、請求項7に記載の包装容器。
【請求項9】
前記第1食材は、タルト生地であり、
前記第2食材は、タルトフィリングである、
請求項7または請求項8に記載の包装容器。
【請求項10】
請求項7乃至請求項9のいずれかに記載の包装容器と、
前記第1食材と、
前記第2食材と、
を備える包装容器入り食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を包装する収容容器、包装容器及び包装容器入り食品に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、コンビニエンスストアやスーパー等において、包装容器に包装された食品が販売されている。また、このような食品として、水分量の異なる複数の食材を組み合わせることが知られている。例えば、水分量の異なる複数の食材を組み合わせる食品として、カップ状の生地にフィリングが充填されたもの知られている。このような食品としては、例えば、ケーキ、タルト、キッシュ等が挙げられる。また、このような食品を包装する包装容器は、例えば、流通過程で食品が変形することを防止すべく、食品を収容するカップ容器と、カップ容器を収容する袋状の包装体と、を備えるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6655750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した食品では、生地とフィリングの水分含有量が異なるため、フィリングの水分が生地に移り、製造時と異なる食感となる。例えば、しっとりとした食感を求めた生地であれば、フィリングの水分が生地に移ったとしても余り問題にならない。しかしながら、サクサクとした食感の生地を提供したい場合に、フィリングの水分が生地に移ると、生地の食感が所望の食感と異なることになる。また、生地によっては、水分によって形状保持性が低下し、崩れやすくなる虞もある。よって、異なる水分含有量の食材において、水分が移ることを防止できる技術が求められている。
【0005】
また、このような食品を包装容器で包装して流通させる必要があることから、流通性を確保することが求められる。
【0006】
そこで本発明が解決しようとする課題は、異なる水分含有量の食材を包装できるとともに、流通性を確保できる収容容器、包装容器及び包装容器入り食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、収容容器は、第1食材を収容する容器に積層されるとともに、前記第1食材上に配置することで一体の食品を形成する、前記第1食材と水分含有量の異なる第2食材を収容する収容容器であって、前記容器の上部に嵌合して配置され、前記第2食材を収容するとともに、前記第2食材を賦形する。
【0008】
本発明の一態様によれば、包装容器は、上述の収容容器と、前記容器と、を備える。
【0009】
本発明の一態様によれば、包装容器入り食品は、上述の包装容器と、前記第1食材と、前記第2食材と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、食材の水分含有量を維持できるとともに、異なる水分含有量の食材を包装できるとともに、流通性を確保できる収容容器、包装容器及び包装容器入り食品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る包装容器入り食品の構成を示す斜視図。
図2】同包装容器入り食品の構成を示す分解斜視図。
図3】同包装容器入り食品の構成を示す断面図。
図4】同包装容器入り食品に用いられる包装容器の構成を示す斜視図。
図5】同包装容器の構成を示す側面図。
図6】同包装容器に用いられる第1容器の構成を示す斜視図。
図7】同第1容器の構成を示す側面図。
図8】同包装容器に用いられる第2容器の構成を示す斜視図。
図9】同第2容器の構成を示す平面図。
図10】同第2容器の構成を示す側面図。
図11】同包装容器入り食品を用いた食品の作り方の一例を示す説明図。
図12】他の実施形態に係る包装容器の構成を示す斜視図。
図13】他の実施形態に係る包装容器の構成を示す斜視図。
図14】他の実施形態に係る包装容器の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る包装容器入り食品1及び包装容器11について、図1乃至図14を用いて説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る包装容器入り食品1の構成を示す斜視図であり、図2は、包装容器入り食品1の構成を示す分解斜視図である。図3は、包装容器入り食品1の構成を、包装体23を省略して示す断面図である。
【0014】
図4は、包装容器入り食品1に用いられる包装容器11の構成を示す斜視図、図5は、包装容器11の構成を示す側面図である。図6は、包装容器11に用いられる第1容器21の構成を示す斜視図であり、図7は、第1容器21の構成を示す側面図である。図8は、包装容器11に用いられる第2容器22の構成を示す斜視図であり、図9は、第2容器22の構成を示す平面図であり、図10は、第2容器22の構成を示す側面図である。
【0015】
包装容器入り食品1は、食品100を構成する水分含有量が異なる複数の、本実施形態においては2種類の食材12、13を包装容器11に分けて包装した状態で流通する。包装容器入り食品1は、開封後に、2種類の食材12、13を包装容器11から取り出して、一体に組み合わせることで食品100を作ることができる。
【0016】
図1及び図2に示すように、包装容器入り食品1は、包装容器11と、第1食材12と、第1食材12とともに図11に示す例の食品100を構成する第2食材13と、を備える。また、包装容器入り食品1は、第1食材12及び第2食材13の種類に応じて、吸湿剤、乾燥剤、酸素吸収剤(脱酸素剤)、酸素吸収性フィルム等を有していても良い。本実施形態において、包装容器入り食品1は、図2に示すように、吸湿材14を有する。
【0017】
また、本実施形態において、食品100は、例えば、水分含有量の異なる2つの食材12、13を組み合わせることで構成されるものである。具体例として、食品100は、第1食材12としての生地、及び、第2食材13としてのフィリングを有し、これら生地にフィリングが載せられることで構成されるタルト、ケーキ、キッシュ等である。また、例えば、第2食材13は、形状保持性を有しており、包装容器11から取り出したときに、その形状が保持されるものである。
【0018】
本実施形態の例では、食品100は、タルトであり、第1食材12は、タルト生地であり、第2食材13は、タルトフィリングである例を用いて説明する。より具体的には、本実施形態の例では、食品は、チーズタルトであり、第2食材13であるタルトフィリングは、焼成処理される。以下、食品100をタルト100とし、第1食材12をタルト生地12とし、第2食材13をタルトフィリング13として説明する。
【0019】
図2に示すように、包装容器11は、タルト生地12及びタルトフィリング13を分けて包装する。図1乃至図3に示すように、包装容器11は、タルト生地12を収容する第1容器(容器)21と、タルトフィリング13を収容する第2容器(収容容器)22と、第1容器21及び第2容器22を収容する包装体23と、を備える。また、例えば、図2及び図3に示すように、包装容器11は、第1容器21に収容したタルト生地12を覆う保護フィルム24を備える。包装容器11は、第1容器21及び第2容器22を積層して嵌合することで一体に組み合わせることができるとともに、この一体化した第1容器21及び第2容器22を包装体23で包装する。
【0020】
以下の説明の例においては、第1容器21が下方、第2容器22が上方に配置される例を説明するとともに、第1容器21及び第2容器22の積層方向を上下方向として規定して説明する。
【0021】
例えば、第1容器21及び第2容器22は、外周形状が矩形状、具体例として外周形状が正方形状であって、角部が曲面状(円弧状)又は平面状(直線状)の面取り形状を有する容器である。
【0022】
図3乃至図7に示すように、第1容器21は、タルト生地12を収容する第1カップ部31と、第1カップ部31の上端に設けられたフランジ部32と、を備える。第1容器21は、例えば、カレンダー成形や押し出し成形で予め成形された熱可塑性の樹脂シートを、真空成形や真空ブロー成形により賦形することで成形される。第1容器21は、食品に適した材料で形成される。第1容器21を形成する樹脂材料の例としては、ポリスチレン(Polystyrene、PS)やポリプロピレン(Polypropylene、PP)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate、PET)、生分解性樹脂等が挙げられる。例えば、第1容器21は、ポリエチレンテレフタレートにより成形される。
【0023】
第1カップ部31は、タルト生地12を収容可能なカップ状に形成される。第1カップ部31は、例えば、矩形のカップ状に形成される。また、第1カップ部31は、例えば、周方向において角部となる部位が、平面状及び/又は曲面状に湾曲する。
【0024】
具体例として、第1カップ部31は、幅が同じ長さに形成された矩形状の底部31aと、底部31aの外周面に設けられ、幅が同じ長さに形成された矩形筒状の周壁部31bと、底部31a及び/又は周壁部31bに設けられた複数のリブ31cと、を備える。第1カップ部31の内幅は、タルト生地12の最大幅(最大外径)よりも大きく設定される。具体的には、第1カップ部31は、高さ方向のそれぞれの位置において、収容したタルト生地12と対向する部位の内幅が、該対向する部位のタルト生地12の外径(幅)よりも大きく設定される。
【0025】
底部31aは、例えば、上面が平面状に形成されるとともに、外周側が中央側よりも窪む。換言すると、底部31aは、外周側の上面よりも中央側の上面が上方に位置し、該中央側の上面によって、タルト生地12を保持する。周壁部31bは、例えば、底部31aから上端部に向かってその幅が大きくなる円錐台の筒状に形成される。周壁部31bは、例えば、上端側と上端部開口において、内幅が異なる形状に形成される。具体例として、周壁部31bは、底部31aから上端側に向かって漸次内幅が大きくなるとともに、上端側の所定の位置において、内幅が大きく設定されることで、上端側の一部と上端部とで内幅に差が生じる形状に設定される。これにより、周壁部31bは、上端側において、内幅に差が形成された段差部31dが形成される。
【0026】
底部31a及び周壁部31bは、角部が直線状又は円弧状に形成される。具体例として、底部31aの角部は、例えば、直線状の面取り形状に形成される。また、周壁部31bは、段差部31dよりも下方の角部が平面状に形成され、そして、段差部31dよりも上方の角部は、四半円弧状に形成される。
【0027】
また、複数のリブ31cは、例えば、補強用、及び/又は、スタック用である。複数のリブ31cは、第1カップ部31に形成された凹凸である。なお、複数のリブ31cは、設けられる部位に応じて、その形状は適宜設定される。補強用としてのリブ31cは、第1カップ部31の強度を向上可能な形状に形成される。スタック用のリブ31cは、複数の第1容器21を重ねたときに、係合することで、上下に重なる第1容器21同士の位置合わせが可能に形成される。
【0028】
フランジ部32は、例えば、第1カップ部31の上端部の形状に沿って、第1カップ部31の周囲に設けられ、幅が同じ長さに形成された矩形板枠状に形成される。フランジ部32は、角部が湾曲して形成される。具体例として、フランジ部32の角部は、円弧状、具体例として四半円弧状に形成される。フランジ部32は、上面が略平面状に形成された矩形板枠状の天板部32aと、天板部32aから下方、又は、下方、且つ、側方に垂下する第1スカート部32bと、を備える。
【0029】
天板部32aは、例えば、四辺において平板状に形成されるとともに、角部において外方、且つ、下方に向かって若干傾斜する形状に形成される。第1スカート部32bは、例えば、天板部32aから下方、且つ、側方に向かって延びる。
【0030】
図3乃至図5図8乃至図10に示すように、第2容器22は、第2食材13を収容する第2カップ部41と、第2カップ部41の上端に設けられた天板部42と、天板部42の外周縁に設けられ、下方に延びる周壁部43と、周壁部43の下端に設けられ、フランジ部32と嵌合する嵌合部44と、を備える。
【0031】
第2容器22は、第2カップ部41にタルトフィリング13を収容するとともに、第2カップ部41でタルトフィリング13を賦形する。換言すると、第2容器22は、第2カップ部41にタルトフィリング13となる材料を充填した後に、該材料の焼成処理を行うことで、所定の硬さ及び形状のタルトフィリング13を形成するための型を構成する。
【0032】
第2容器22は、例えば、カレンダー成形や押し出し成形で予め成形された樹脂シートを、真空成形や真空ブロー成形により賦形することで成形される。第2容器22は、食品に適した材料で形成される。第2容器22は、熱可塑性樹脂材料で形成される。第2容器22は、焼成処理におけるタルトフィリング13の焼成温度(加熱温度)に対して耐熱性を有する。具体例として、第2容器22は、焼成処理におけるタルトフィリング13の焼成温度(加熱温度)よりも軟化温度が高い温度の材料で形成される。第2容器22は、例えば、第1容器21よりも高い弾性率を有する材料で形成される。また、第2容器22は、タルトフィリング13を取り出すときに変形させて、タルトフィリング13を第2カップ部41から離型させることができる材料に形成される。
【0033】
第2容器22を形成する樹脂材料の例としては、ポリスチレン(Polystyrene、PS)やポリプロピレン(Polypropylene、PP)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate、PET)、生分解性樹脂等が挙げられる。例えば、第2容器22は、ポリプロピレンにより成形される。
【0034】
第2カップ部41は、タルトフィリング13の高さよりも深く、且つ、タルトフィリング13の幅(外径)と同一の内形状を有するカップ状に形成される。第2カップ部41は、例えば、円形状、三角形状、矩形状、五角形以上の多角形状又は異形状のカップ状に形成される。本実施形態において、タルトフィリング13は、円柱状に形成されることから、第2カップ部41は、タルトフィリング13の高さよりも深く、且つ、タルトフィリング13の外径と同一の内径を有する円形のカップ状(有底円筒状)に形成される。
【0035】
第2カップ部41の底部は、第2容器22の嵌合部44が第1容器21のフランジ部32に嵌合した状態で、第1カップ部31に収容されたタルト生地12の上端部よりも上部に配置されるか、又は、タルト生地12の上端部の内径よりも小径の外径に形成される。好ましい形態として、第2カップ部41の底部は、例えば、タルト生地12の上端部の内径よりも小径の外径に形成され、第2容器22の嵌合部44が第1容器21のフランジ部32に嵌合した状態で、第1カップ部31に収容されたタルト生地12の上端部よりも下方に配置される。
【0036】
図9に示すように、第2カップ部41は、例えば、下面に、第2カップ部41のタルトフィリング13を取り出すときに、第2容器22を押圧してタルトフィリング13を第2カップ部41から取り出すための案内表示部41bを有する。
【0037】
例えば、案内表示部41bは、第2カップ部41の下面に円形枠状に1つ以上形成されるとともに、例えばタルトフィリング13を第2カップ部41から取り出す作業の順番を示す数字「3」が表示される。なお、作業手順によって、数字は適宜設定される。例えば、案内表示部41bは、第2カップ部41の底部に形成された窪みにより設けられる構成であってもよく、また、底部に印刷により設けられる構成されていてもよい。
【0038】
天板部42は、中央に第2カップ部41が一体に成形され、第2カップ部41において開口し、幅が同じ長さに形成された矩形板状に形成される。換言すると、天板部42は、平板状であって、且つ、第2カップ部41の周囲に設けられた正方形枠状に形成される。
【0039】
図9に示すように、天板部42は、上面に、第2カップ部41のタルトフィリング13を取り出すときに、第2容器22を引っ張って、タルトフィリング13を第2カップ部41の内周面から離間させるための案内表示部42aを有する。例えば、案内表示部42aは、天板部42の対角上に二対設けられる。例えば、案内表示部42aは、天板部42の対角上の2つの角部に形成された一対の第1案内表示42bと、天板部42の対角上の、第1案内表示42bが設けられた2つの角部とは異なる2つの角部に形成された第2案内表示42cと、を備える。なお、案内表示部42aは、二対設けられることに限定されない。例えば、タルトフィリング13を第2カップ部41の内周面から離間させる手順が一回である場合には、一対の案内表示部42aを有すれば良く、また、天板部42が例えば6以上の多角形である場合であって、第2容器を引っ張る作業を3回以上要する場合等には、二対以上の案内表示部42aが設けられてもよい。
【0040】
例えば、第1案内表示42b及び第2案内表示42cは、引っ張り方向を案内する三角枠状に形成されるとともに、タルトフィリング13を第2カップ部41から取り出す作業の順番を示す数字「1」及び「2」が表示される。なお、作業手順によって、数字は適宜設定される。例えば、第1案内表示42b及び第2案内表示42cは、天板部42に形成された窪みにより設けられる構成であってもよく、また、天板部42に印刷により設けられる構成であってもよい。
【0041】
周壁部43は、天板部42の外周縁から下方に延びる。周壁部43は、例えば、平面視で対向する二対の二面間の幅が同じ長さに形成された正方形の筒状に形成される。例えば、周壁部43は、天板部42側から下端側に向かって、その幅が漸次増加する円錐台状の筒状に形成される。換言すると、周壁部43は、下方に向かって幅が大きくなるように、上下方向に対して傾斜する。
【0042】
周壁部43は、周方向の角部が曲面状(円弧状)に形成される。周壁部43は、複数の凹部43aと、複数のリブ43bと、を有する。複数の凹部43a及び複数のリブ43bは、周壁部43の外周面に設けられた窪みである。また、複数の凹部43a及び複数のリブ43bは、周壁部43から窪むことで、天板部42の外周縁の一部が、複数の凹部43a及び複数のリブ43bの形状に沿って窪む。
【0043】
凹部43aは、周壁部43の外周面に、周壁部43に沿って上下方向に延びる。換言すると、凹部43aは、周方向に直交する方向に延びる。凹部43aは、周壁部43の外面から内方に窪む。複数の凹部43aは、例えば、周壁部43の周方向に所定の間隔を空けて複数配置される。本実施形態においては、複数の凹部43aは、周壁部43の外周面の一部の領域を除いて複数の凹部43aが周方向に等間隔に複数設けられる。なお、周壁部43の複数の凹部43aが設けられない一部の領域には、例えば、プラスチック製容器包装識別表示マークが設けられる。なお、複数の凹部43aは、周壁部43の外周面の全領域に渡って設けられる構成であってもよい。
【0044】
リブ43bは、例えば、複数の第2容器22をスタックさせるときに、スタックした第2容器22同士が嵌合することを防止するスタック用に設けられる。複数のリブ43bは、例えば、天板部42の角部(周壁部43の角部)と同数設けられ、各角部に1つのリブ43bが形成される。また、複数のリブ43bは、例えば、該角部の頂部、頂部から該角部の外周縁の延設方向の一方向にずれた位置、及び、頂部から該延設方向の他方向にずれた位置のいずれかに適宜配置される。即ち、複数のリブ43bは、天板部42の周縁の延設方向(周壁部43の周方向)で等間隔で配置されていてもよく、非等間隔で設けられていても良い。
【0045】
嵌合部44は、第1容器21のフランジ部32と嵌合する。嵌合部44は、例えば、周壁部43の下端の周方向に沿って幅が同じ長さに形成された矩形環状、換言すると、正方形状の環状に形成される。嵌合部44は、フランジ部32の天板部32aの上面と当接するとともに、第1スカート部32bの外面と当接可能に形成される。具体例として、嵌合部44は、フランジ部32の天板部32aと当接する板部44aと、フランジ部32の第1スカート部32bと当接する第2スカート部44bと、を備える。
【0046】
板部44aは、フランジ部32の天板部32aの上面と面で当接可能な形状に形成される。板部44aは、例えば、天板部32aよりも幅が狭い天板部32aと略同一形状に形成される。
【0047】
第2スカート部44bは、嵌合部44の側壁を構成する。第2スカート部44bの角部は、フランジ部32の角部の外周縁と同形状の円弧状に形成される。第2スカート部44bは、板部44aから下方へ延びる長さが、フランジ部32の第1スカート部32bの、天板部32aから下方へ延びる長さよりも長い。また、第2スカート部44bは、上下方向、換言すると、第1容器21及び第2容器22の積層方向で、第1スカート部32bの下端と係合する複数の凹部44cを有する。複数の凹部44cは、例えば、第2スカート部44bの周方向に沿って延びるとともに、第2スカート部44bの周方向に間欠的に配置される。
【0048】
図1及び図2に示すように、包装体23は、嵌合した第1容器21及び第2容器22を収容する。包装体23は、例えばピロー包装である。包装体23は、袋状に形成される。包装体23は、例えば、熱可塑性の樹脂フィルムで形成され、ヒートシールによって袋状に形成される。包装体23は、例えば、包装容器入り食品1の製品情報や、意匠性を持たせるためのデザインが印刷される。
【0049】
図2及び図3に示すよう、保護フィルム24は、樹脂フィルムである。保護フィルム24は、第1容器21の第1カップ部31に収容されたタルト生地12の上部を保護する。なお、保護フィルム24は、例えば、酸素吸収フィルムで形成されていてもよい。
【0050】
図2及び図3に示すように、タルト生地12は、底壁が平板状に形成されたカップ状(有底円筒状)に形成される。具体例として、タルト生地12は、円板状の底壁12aと、底壁12aに形成された筒状に形成された周壁12bと、周壁12bに形成された上端部12cと、を有する。
【0051】
タルト生地12は、焼成処理されるときの焼成温度が所定の温度に設定される。この所定の焼成温度は、タルト生地12の水分含有量が所定の水分含有量となる温度である。タルト生地12の所定の水分含有量は、タルトフィリング13の水分含有量よりも小さく設定される。周壁12bは、底壁12a側が、上端部側よりも小径に形成される。タルト生地12は、例えば、クッキー生地、ビスケット生地、パイ生地等によって形成される。
【0052】
上端部12cは、表面積を確保可能に、例えば曲面状に形成される。上端部12cは、例えば、周方向に複数の曲面状の凸部が並ぶ縄模様が付された形状に形成される。
【0053】
タルトフィリング13は、タルト生地12よりも水分含有量が多い。タルトフィリング13は、例えば、焼成されたチーズタルト用のチーズタルトフィリングである。タルトフィリング13は、タルト生地12内に配置可能に、円柱状又は円錐台形状に形成される。
【0054】
タルトフィリング13は、例えば、焼成前の材料を第2容器22の第2カップ部41に充填され、そして、焼成処理される。タルトフィリング13は、第2容器22の第2カップ部41によって、所定の形状に形成される。即ち、タルトフィリング13は、第2カップ部41に充填された後に焼成処理されることで、第2カップ部41の内部形状に賦形される。
【0055】
また、タルトフィリング13は、第2容器22の第2カップ部41に収容された姿勢で、上端部の外径が、タルト生地12の周壁12bの少なくとも上端部の内径以下に、より好ましくは、周壁12bの少なくとも上端部の内径よりも小さく形成される。
【0056】
次に、このように構成された包装容器入り食品1のチーズタルト100の作り方を、図11を用いて説明する。
【0057】
先ず、図1に示すような包装容器入り食品1の包装体23を開封し、一体に嵌合した第1容器21及び第2容器22を包装体23から取り出す。次に、第1容器21から第2容器22を取り外す。なお、第1容器21のフランジ部32及び第2容器22の嵌合部44を平面視で正方形状とし、フランジ部32及び嵌合部44の角部を円弧状に形成している。このため、第1容器21及び第2容器22を積層方向と直交する周方向に回転させることで、第1容器21から第2容器22を取り外すことができる。
【0058】
次に、図11のST1に示すように、第2容器22の天板部42の対角上にある一対の角部を両手で摘まみ、一対の角部が離間する方向に、一対の角部を引っ張る。このとき、例えば、第1案内表示42bが設けられた一対の角部を摘まんで、引っ張る。これにより、第2カップ部41の摘まんだ一対の角部に隣接する部位が引っ張られて、タルトフィリング13と第2カップ部41の内周面との間に隙間が生じ、タルトフィリング13と第2カップ部41との間に空気が入る。
【0059】
次に、図11のST2に示すように、ST1と同様に、第2容器22の天板部42の対角上にある他の一対の角部を両手で摘まみ、一対の角部が離間する方向に、一対の角部を引っ張る。このとき、例えば、第2案内表示42cが設けられた一対の角部を摘まんで、引っ張る。これにより、第2カップ部41の摘まんだ一対の角部に隣接する部位が引っ張られて、タルトフィリング13と第2カップ部41の内周面との間に隙間が生じ、タルトフィリング13と第2カップ部41との間に空気が入る。
【0060】
このように、天板部42の二対の角部を順に摘まんで引っ張ることで、タルトフィリング13の全周に渡って、第2カップ部41の内周面との間に空気が入り、タルトフィリング13が第2カップ部41から離型し易くなる。
【0061】
次に、図11のST3に示すように、第2容器22を、天板部42が下方となる姿勢とし、タルトフィリング13がタルト生地12と対向する位置に、第2容器22を配置する。そして、第2カップ部41の下面に表示された案内表示部41bを目印に、第2カップ部41の底部を押す。これにより、第2カップ部41の底部の中心側がタルト生地12に向かって押されることから、タルトフィリング13が第2カップ部41の底部から離間する。これにより、図11のST4に示すように、タルトフィリング13がタルト生地12上に載置され、チーズタルト100が作られる。第2容器22を取り外し、そして、チーズタルト100を第1容器21から取り出すことで、チーズタルト100を食することができる。なお、第1容器21を、器(皿)として使用してもよい。
【0062】
このように構成された包装容器入り食品1は、包装容器11の第1容器21及び第2容器22に、それぞれ水分含有量の異なる二種類の食材であるタルト生地12及びタルトフィリング13を収容する。このため、包装容器入り食品1を製造し、流通させる過程において、タルトフィリング13の水分がタルト生地12に移ることを防止できる。よって、包装容器入り食品1は、タルト生地12の食感を損なうことがない。
【0063】
また、タルト生地12の触感を損なうことがないことから、消費期限及び賞味期限を延ばすことも可能となり、食品ロスを低減することも可能となる。なお、タルト生地12の水分含有量が変わることを防止できるため、実際に試作した包装容器入り食品1の菌検査試験ところ、良好な結果がでて、消費期限及び賞味期限を延ばしたときの安全性も確認できた。
【0064】
また、包装容器11は、第1容器21上に第2容器22を積層し、そして、第1容器21のフランジ部32に第2容器22の嵌合部44を嵌合させる。即ち、第1容器21及び第2容器22は、一体に組み合わせることができるため、包装容器入り食品1は、流通過程において、第1容器21及び第2容器22が相対的に移動することを防止できる。
【0065】
例えば、本実施形態の包装容器11とは異なり、第1容及び第2容器が相対的に移動する包装容器であると、収容(包装)した第1食材12及び第2食材13が流通過程に印加される外力や衝撃によって崩れたり変形したりする虞がある。また、第1容器及び第2容器が流通過程において相対的に移動すると、上方に配置された第2容器が傾く等、上側の第2容器の姿勢が変わり、包装容器入り食品を重ねて配置することができない虞もある等、流通性を損なう虞もある。また、このような第1容器及び第2容器が相対的に移動する包装容器である場合には、第1容器及び第2容器を固定するために、熱収縮する樹脂フィルム等で第1容器及び第2容器を拘束するなど、他の固定部材及び製造工程を要することになる。
【0066】
しかしながら、本実施形態の包装容器入り食品1は、第1容器21及び第2容器22を積層し、そして嵌合する簡素な構成で、第1容器21及び第2容器22の相対的な移動を防止できるとともに、流通性を確保できる。即ち、包装容器入り食品1及び包装容器11は、第1容器21及び第2容器22を嵌合させて一体化することで、流通過程、例えば、搬送又は陳列したときに第2容器22の姿勢が変わることを防止できる。よって、包装容器入り食品1は、流通過程において重ねて配置することができるとともに、重ねた包装容器入り食品1が落下することを防止できる。また、包装容器入り食品1を重ねることもできるため、搬送量を向上させることができる。
【0067】
また、包装容器入り食品1及び包装容器11は、第1容器21及び第2容器22を包装体23で包装する構成である。このため、包装容器入り食品1は、包装体23内のガスによって、包装体23に外力が印加されても、第1容器21及び第2容器22が変形することを極力防止できる。なお、包装容器入り食品1及び包装容器11は、包装体23内に、ガスを所定の充填量だけ充填させて、当該ガスにより包装体23にクッション性を持たせて、第1容器21及び第2容器22が変形することを抑制する構成としてもよい。
【0068】
また、第1容器21及び第2容器22を嵌合させて一体とした状態で、第1容器21及び第2容器22が包装体23内に収容されることから、包装容器11は、搬送中に第1容器21及び第2容器22が離間する方向に外力が印加されても、包装体23によって第1容器21及び第2容器22が離間する方向の移動を規制できる。よって、包装容器入り食品1及び包装容器11は、流通過程において第1容器21及び第2容器22が離間することを防止できる。
【0069】
また、これら第1容器21及び第2容器22の嵌合、及び、包装体23による第1容器21及び第2容器22の包装により、タルト生地12は、第2容器22が一体に嵌合する第1容器21に収容される。このため、タルト生地12は、第1容器21の第1カップ部31の内周面、及び、第2容器22の第2カップ部41の外面との間に所定の隙間を維持できる。よって、包装容器入り食品1は、第1容器21内において、タルト生地12が過度に移動することを抑制でき、タルト生地12が崩れることを防止できる。
【0070】
また、第2容器22は、第2カップ部41によって、タルトフィリング13を賦形すること、及び、賦形したタルトフィリング13の形状を維持することができる。また、第2容器22は、タルトフィリング13の焼成処理における加熱温度に耐熱性を有することから、タルトフィリング13用の型として用いることができる。このため、タルトフィリング13の製造を第2容器22によって行うことができるため、タルトフィリング13の製造が容易となる。
【0071】
また、タルトフィリング13を成形したあと、第2容器22を第1容器21に嵌合させて、包装体23で包装することで流通させることができる。よって、包装容器入り食品1は、焼成処理したタルトフィリング13を離型する必要が無いことから、製造が容易となる。
【0072】
第1容器21及び第2容器22は、第1容器21のフランジ部32及び第2容器22の嵌合部44を平面視で正方形状とし、各角部を円弧状とした。このため、第1容器21及び第2容器22を積層方向と直交する周方向に相対的に回転させることで、第1容器21から第2容器22を取り外すことができる。
【0073】
これは、第1容器21及び第2容器22を回転させると、フランジ部32の角部が嵌合部44の内周面を押圧し、嵌合部44を変形させることで、フランジ部32が嵌合部44から逃げる為である。
【0074】
また、フランジ部32の角部を下方に傾斜する形状とすることで、フランジ部32が嵌合部44の凹部44cを乗り上げることが容易となり、包装容器11は、フランジ部32及び嵌合部44の嵌合解除に要する回転方向の力を低減することができる。
【0075】
また、第2容器22は、第1容器21よりも高い弾性率を有することで、第1容器21及び第2容器22の嵌合解除をするときに、第1容器21のフランジ部32の押圧によって第2容器22の嵌合部44を変形させ易い。よって、包装容器11は、第1容器21及び第2容器22の嵌合解除を容易にすることができる。
【0076】
また、包装容器11は、回転させるだけで第1容器21から第2容器22を取り外すことができることから、第1容器21を強い力で把持する必要がない。よって、包装容器11は、第1容器21から第2容器22を取り外すときに、第1カップ部31の変形を抑制できることから、第1容器21が変形してタルト生地12が崩れること防止できる。
【0077】
第1容器21は、複数のリブ31cを有し、また、第2容器22は、複数のリブ43bを有する。このため、第1容器21及び第2容器22のそれぞれは、複数の第1容器21をスタックするとき及び複数の第2容器22をスタックするときに、各容器21、22に設けられたリブ31c、43bが重なることで、周方向の位置を規定することができる。同様に、第1容器21及び第2容器22は、複数の第1容器21をスタックするとき及び複数の第2容器22をスタックするときに、複数のリブ31c、43bが下方に位置する容器21、22に当接することで、スタックされた第1容器21同士及びスタックされた第2容器22同士が深く入り込み、嵌合することを防止できる。
【0078】
第1容器21は、第1カップ部31を矩形のカップ状とすることで、周方向で角部が形成されることから、強度を向上させることができる。よって、流通過程等において、側方からの外力が印加されたとしても、第1容器21は、第1カップ部31が変形することを抑制できる。また、矩形のカップ状の第1カップ部31の内面と円形のカップ状のタルト生地12との間に隙間が生じることから、第1カップ部31が変形しても、該隙間が変形代となり、タルト生地12に外力が印加して崩れることを抑制できる。
【0079】
第2容器22は、二対の角部を順に摘まんで引っ張ることで、容易にタルトフィリング13と第2カップ部41との間に空気を入れて、タルトフィリング13を第2カップ部41から離間させることができる。このため、第2容器22は、タルトフィリング13を容易に取り出すことができる。
【0080】
第2容器22は、第2カップ部41の周囲に、天板部42を介して連続する周壁部43を有し、そして、周壁部43の下端の嵌合部44が、第1容器21のフランジ部32に嵌合する。このため、第2カップ部41は、周壁部43と隙間を空けて、周壁部43の幅方向の内部に配置される。また、嵌合部44は、側方からの外力が印加されても、天板部42及び第1容器21のフランジ部32に支持されて、変形が抑制される。よって、流通過程において、外力が印加しても、タルトフィリング13が収容される第2カップ部41が変形することを抑制できる。また、このような構成とすることで、離型等のために第2容器22を第1容器21よりも弾性率を高い材料としても、第2カップ部41の変形を防止できる。よって、タルトフィリング13の形状が変形する(崩れる)ことを防止できる。
【0081】
また、第2容器22は、周壁部43に、上下方向に延びる複数の凹部43aを有する。このため、周壁部43は、複数の凹部43aによって高い座屈強度を有するため、上下方向の外力による第2容器22の変形を抑制できるため、タルトフィリング13を保護できる。加えて、第2容器22は、複数の凹部43aが周壁部43を蛇腹状とすることで、対角上の角部を摘まんで第2容器22を変形させるときに、周壁部43の変形を容易とすることができる。
【0082】
これらのように、包装容器入り食品1及び包装容器11は、タルト生地12及びタルトフィリング13を別に包装したとしても、流通性を維持できるとともに、タルト生地12及びタルトフィリング13の破損や変形を防止できる。また、包装容器入り食品1及び包装容器11は、タルト生地12及びタルトフィリング13の破損や変形を防止できることから、流通過程による商品価値の喪失を防止できる。
【0083】
上述したように本実施形態に係る包装容器入り食品1及び包装容器11によれば、異なる水分含有量の食材12、13を包装できるとともに、流通性を確保できる。
【0084】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。上述した例では、食品100は、チーズタルトの例を示し、異なる水分含有量の食材をタルト生地12及びタルトフィリング13の例を用いて説明したがこれに限定されない。また、上述した例では、食品100は、タルト、ケーキ及びキッシュ等の例も示したが、これら以外の食品100であってもよいことは勿論である。
【0085】
また、例えば、包装容器入り食品1及び包装容器11は、2つの異なる水分含有量の食材12、13を用いた食品100の例を示したが、例えば、食材は、2種類でなく3種類以上であってもよい。例えば、3種類の異なる水分含有量の食材を包装する場合には、図12に示すように、包装容器入り食品1の包装容器11は、第1容器21又は第2容器22と嵌合される第3容器26を有する構成とすればよい。なお、図12に示す例は、第3容器26は、第2容器22に嵌合する嵌合部26aを有し、第2容器22の上部に嵌合する例を示す。
【0086】
また、上述した例では、平面視で正方形状の第1容器21及び第2容器22の例を用いて説明したがこれに限定されない。例えば、図13に示すように、第1容器21及び第2容器22は、平面視で長方形状としてもよい。また、第2カップ部41は、平面視で長方形状としてもよい。さらに他の例では、第1容器21及び第2容器22は、平面視で円形状としてもよい。
【0087】
また、上述した例では、第1容器21の第1カップ部31を矩形のカップ状の例を説明したが、これに限定されず、第1カップ部31は、円形のカップ状としてもよい。
【0088】
また、上述した例では、周壁部43は、スタック用の複数のリブ43bを有する構成を説明したが、このスタック用のリブ43bは、複数ではなく単数であってもよく、また、周壁部43ではなく、他の位置に設けられる構成であってもよい。例えば、リブ43bは、第2カップ部41に単数又は複数設けられる構成であってもよい。即ち、リブ43bは、複数の第2容器22をスタックしたときに、第2容器22同士が嵌合することを防止できれば、適宜設定可能である。
【0089】
また、上述した例で、第2容器22の嵌合部44が第2スカート部44bを有する例を説明したが、第1容器21に第2容器22を嵌合した状態で、この第2スカート部44bの下端が第1容器21の第1カップ部31の底部まで延びる構成としてもよい。このような構成とすることで、第2スカート部44bが第1カップ部31の周囲を覆うため、第1カップ部31が外力によって変形することを抑制できる。
【0090】
また、上述した例では、第1容器21がフランジ部32を有し、第2容器22が嵌合部44を有する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、図14に示すように、第1容器21が嵌合部44を有し、第2容器22がフランジ部32を有する構成としてもよい。なお、図14において、第2容器22を第1容器21から離れた状態を二点鎖線で示す。
【0091】
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0092】
1…包装容器入り食品、11…包装容器、12…第1食材(タルト生地)、12a…底壁、12b…周壁、13…第2食材(タルトフィリング)、14…吸湿材、21…第1容器(容器)、22…第2容器(収容容器)、23…包装体、24…保護フィルム、26…第3容器、26a…嵌合部、31…第1カップ部、31a…底部、31b…周壁部、31c…リブ、31d…段差部、32…フランジ部、32a…天板部、32b…第1スカート部、41…第2カップ部、41b…案内表示部、42…天板部、42a…案内表示部、42b…第1案内表示、42c…第2案内表示、43…周壁部、43a…凹部、43b…リブ、44…嵌合部、44a…板部、44b…第2スカート部、44c…凹部、100…食品(タルト)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2021-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1食材を収容する容器に積層されるとともに、前記第1食材上に配置することで一体の食品を形成する、前記第1食材と水分含有量の異なる第2食材を収容する収容容器であって、
前記容器は、前記第1食材よりも大きく形成された第1カップ部と、前記第1カップ部の上端に設けられたフランジ部と、を備え、
前記収容容器は、前記第2食材を収容するとともに、前記第2食材を賦形する第2カップ部と、前記第2カップ部の上端に設けられた矩形板状の天板部と、前記天板部の外周縁に設けられた矩形筒状の周壁部と、前記周壁部の下端に設けられ、前記フランジ部と嵌合する嵌合部と、を備え、
前記周壁部は、前記周壁部に沿って上下方向に延びるとともに、前記周壁部の周方向に所定の間隔で形成された、内方に窪む複数の凹部を有する収容容器。
【請求項2】
前記第1食材は、底部の径が上端部の径よりも小径の有底円筒状に形成され、
前記第2食材は、円柱状又は円錐台形状に形成されるとともに、前記第1食材の上端部の内径以下に形成され、
前記第1カップ部は、前記第1食材の最大外径よりも内幅が大きい矩形のカップ状に形成され、
前記フランジ部は、矩形板状に形成され、
前記第2カップ部は、前記第2食材の高さよりも深く、且つ、前記第2食材の外径と同一の内径を有する円形のカップ状に形成され
前記第2カップ部の底部は、前記嵌合部が前記フランジ部に嵌合した状態で、前記第1カップ部に収容された前記第1食材の上端部よりも上部に配置されるか、又は、前記第1食材の上端部の内径よりも小径の外径に形成される、請求項1に記載の収容容器。
【請求項3】
前記フランジ部の角部は、円弧状に形成され、
前記嵌合部の前記フランジ部と係合する側壁の角部は、円弧状に形成され、
前記収容容器は、前記容器よりも高い弾性率を有する、請求項1又は請求項2に記載の収容容器。
【請求項4】
前記第2食材は、焼成処理が行われ、
前記収容容器は、前記焼成処理における前記第2食材の加熱温度に対して耐熱性を有する、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の収容容器。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の収容容器と、
前記容器と、
を備える包装容器。
【請求項6】
嵌合した前記容器及び前記収容容器を収容して密封される袋状の包装体を備える、請求項5に記載の包装容器。
【請求項7】
前記第1食材は、タルト生地であり、
前記第2食材は、タルトフィリングである、
請求項5又は請求項6に記載の包装容器。
【請求項8】
請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の包装容器と、
前記第1食材と、
前記第2食材と、
を備える包装容器入り食品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の一態様によれば、収容容器は、第1食材を収容する容器に積層されるとともに、前記第1食材上に配置することで一体の食品を形成する、前記第1食材と水分含有量の異なる第2食材を収容する収容容器であって、前記容器は、前記第1食材よりも大きく形成された第1カップ部と、前記第1カップ部の上端に設けられたフランジ部と、を備え、前記収容容器は、前記第2食材を収容するとともに、前記第2食材を賦形する第2カップ部と、前記第2カップ部の上端に設けられた矩形板状の天板部と、前記天板部の外周縁に設けられた矩形筒状の周壁部と、前記周壁部の下端に設けられ、前記フランジ部と嵌合する嵌合部と、を備え、前記周壁部は、前記周壁部に沿って上下方向に延びるとともに、前記周壁部の周方向に所定の間隔で形成された、内方に窪む複数の凹部を有する
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0091】
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1]
第1食材を収容する容器に積層されるとともに、前記第1食材上に配置することで一体の食品を形成する、前記第1食材と水分含有量の異なる第2食材を収容する収容容器であって、
前記容器の上部に嵌合して配置され、前記第2食材を収容するとともに、前記第2食材を賦形する、収容容器。
[2]
前記容器は、前記第1食材よりも大きく形成された第1カップ部と、前記第1カップ部の上端に設けられたフランジ部と、を備え、
前記収容容器は、前記第2食材を収容する第2カップ部と、前記第2カップ部の上端に設けられた天板部と、前記天板部の外周縁に設けられた周壁部と、前記周壁部の下端に設けられ、前記フランジ部と嵌合する嵌合部と、を備える、[1]に記載の収容容器。
[3]
前記第1食材は、底部の径が上端部の径よりも小径の有底円筒状に形成され、
前記第2食材は、円柱状又は円錐台形状に形成されるとともに、前記第1食材の上端部の内径以下に形成され、
前記第1カップ部は、前記第1食材の最大外径よりも内幅が大きい矩形のカップ状に形成され、
前記フランジ部は、矩形板状に形成され、
前記第2カップ部は、前記第2食材の高さよりも深く、且つ、前記第2食材の外径と同一の内径を有する円形のカップ状に形成され、
前記天板部は矩形板状に形成され、
前記周壁部は、矩形筒状に形成され、
前記第2カップ部の底部は、前記嵌合部が前記フランジ部に嵌合した状態で、前記第1カップ部に収容された前記第1食材の上端部よりも上部に配置されるか、又は、前記第1食材の上端部の内径よりも小径の外径に形成される、[2]に記載の収容容器。
[4]
前記周壁部は、前記周壁部の周方向に直交する方向に延びるとともに、内方に窪む凹部を周方向に所定の間隔で複数有する、[3]に記載の収容容器。
[5]
前記フランジ部の角部は、円弧状に形成され、
前記嵌合部の前記フランジ部と係合する側壁の角部は、円弧状に形成され、
前記収容容器は、前記容器よりも高い弾性率を有する、[2]乃至[4]のいずれか一項に記載の収容容器。
[6]
前記第2食材は、焼成処理が行われ、
前記収容容器は、前記焼成処理における前記第2食材の加熱温度に対して耐熱性を有する、
[1]乃至[5]のいずれか一項に記載の収容容器。
[7]
[1]乃至[6]のいずれか一項に記載の収容容器と、
前記容器と、
を備える包装容器。
[8]
嵌合した前記容器及び前記収容容器を収容して密封される袋状の包装体を備える、[7]に記載の包装容器。
[9]
前記第1食材は、タルト生地であり、
前記第2食材は、タルトフィリングである、
[7]または[8]に記載の包装容器。
[10]
[7]乃至[9]のいずれかに記載の包装容器と、
前記第1食材と、
前記第2食材と、
を備える包装容器入り食品。