(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175510
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】報知用光源装置及び照明システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/155 20200101AFI20231205BHJP
H05B 47/125 20200101ALI20231205BHJP
H05B 47/13 20200101ALI20231205BHJP
H05B 47/195 20200101ALI20231205BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H05B47/155
H05B47/125
H05B47/13
H05B47/195
H04Q9/00 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087980
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】児玉 裕己
(72)【発明者】
【氏名】田上 直紀
(72)【発明者】
【氏名】向 健二
(72)【発明者】
【氏名】松林 容子
(72)【発明者】
【氏名】八木 裕司
【テーマコード(参考)】
3K273
5K048
【Fターム(参考)】
3K273PA03
3K273QA31
3K273QA37
3K273RA04
3K273RA05
3K273SA02
3K273SA10
3K273SA20
3K273SA21
3K273SA22
3K273SA38
3K273SA46
3K273SA57
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA59
3K273TA69
3K273UA22
3K273UA27
5K048BA07
5K048FB16
(57)【要約】
【課題】シグナル光を目立たせることができる報知用光源装置及び照明システムを提供する。
【解決手段】報知用光源装置30は、照明装置20が配置されている室内空間の内的条件及び室内空間の外的条件のうちの少なくとも一方に基づいて、色が変化するシグナル光を発する光源を有する。報知用光源装置30では、光源(第2光源31)が発するシグナル光の刺激純度において、10≦刺激純度≦100を満たす。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明装置が配置されている室内空間の内的条件及び前記室内空間の外的条件のうちの少なくとも一方に基づいて、色が変化するシグナル光を発する光源を有する報知用光源装置であって、
前記光源が発するシグナル光の刺激純度において、
10≦刺激純度≦100
を満たす
報知用光源装置。
【請求項2】
前記光源が発するシグナル光の刺激純度において、
20≦刺激純度≦100
を満たす
請求項1に記載の報知用光源装置。
【請求項3】
前記光源が発するシグナル光の刺激純度において、
50≦刺激純度≦100
を満たす
請求項1に記載の報知用光源装置。
【請求項4】
前記光源が発するシグナル光の刺激純度において、
70≦刺激純度≦100
を満たす
請求項1に記載の報知用光源装置。
【請求項5】
当該報知用光源装置が水平方向に発するシグナル光の光度は、当該報知用光源装置が鉛直方向に発するシグナル光の光度よりも高い
請求項1に記載の報知用光源装置。
【請求項6】
前記報知用光源装置の前記光源は、単色で点灯、及び、消灯することで、シグナルを報知する
請求項1に記載の報知用光源装置。
【請求項7】
前記内的条件は、当該報知用光源装置及び前記照明装置が照明する前記室内空間における、温度、湿度、空気質、匂い、人の存在の有無、人の密度、特定の人の位置、音量、会話の活性度、特定の音、人の生体情報、人の感情、及び、消費電力量を含み、
前記外的条件は、室外の気温、時間、照度、天気、交通状況、及び、災害情報を含む
請求項1に記載の報知用光源装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の報知用光源装置と、
前記室内空間を照明するベース用の複数の照明装置と、を備え、
当該報知用光源装置が発するシグナル光の色と、前記複数の照明装置のうちの前記報知用光源装置に最も近い位置に配置されている照明装置が発する光の色との差は、マックアダム楕円の50step以上である
照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、報知用光源装置及び照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温度に応じて照明が発する光の色を変化させるための技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ネットワークシステムが開示されている。このネットワークシステムは、複数の照明器具と、複数の温度センサの各々からの温度が高い場合に、当該温度センサに対応する照明器具を暖色系の光を発するように制御し、複数の温度センサの各々からの温度が低い場合に、当該温度センサに対応する照明器具を寒色系の光を発するように制御するためのコントローラとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のネットワークシステムでは、室内空間を照明するベース用の照明装置とともにネットワークシステムを用いた場合、ベース用の照明装置が発する光に対し、温度に応じて従来の照明器具が発する光の色が目立ち難い場合がある。
【0006】
そこで、本開示では、シグナル光を目立たせることができる報知用光源装置及び照明システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る報知用光源装置の一態様は、照明装置が配置されている室内空間の内的条件及び前記室内空間の外的条件の少なくとも一方に基づいて、色が変化するシグナル光を発する光源を有する報知用光源装置であって、前記光源が発するシグナル光の刺激純度において、10≦刺激純度≦100を満たす。
【0008】
また、本開示に係る照明システムの一態様は、報知用光源装置と、前記室内空間を照明するベース用の複数の照明装置と、を備え、当該報知用光源装置が発するシグナル光の色と、前記複数の照明装置のうちの前記報知用光源装置に最も近い位置に配置されている照明装置が発する光の色との差は、マックアダム楕円の50step以上である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、シグナル光を目立たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る照明システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る照明システムを示すブロック図である。
【
図3】
図3は、刺激純度を例示したxy色度図である。
【
図4】
図4は、その他変形例に係る照明システムを示すブロック図である。
【
図5】
図5は、その他変形例に係る別の照明システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0013】
(実施の形態)
<構成:照明システム1>
まず、実施の形態1に係る照明システム1の構成について、
図1~
図3を用いて説明する。
【0014】
図1は、実施の形態に係る照明システム1を示す概略図である。
図2は、実施の形態に係る照明システム1を示すブロック図である。
図3は、刺激純度を示したxy色度図である。
【0015】
図1に示すように、照明システム1は、会議室、オフィス、休憩室等の室内空間を照明することが可能である。具体的には、照明システム1は、照明装置20と、報知用光源装置30とを備えている。なお、照明装置20は、照明システム1の構成要素として備えていなくてもよい。この場合、照明装置20は第1制御部22を構成要素として備えていなくてもよく、第1制御部22が照明システム1の構成要素に含まれていてもよく、含まれていなくてもよい。
【0016】
[照明装置20]
照明装置20は、光を発することで、室内空間を照明することができるベース用の照明器具である。例えば、照明装置20は、天井、壁、床等の構造物に設置されることで、室内空間を照明することができる。照明装置20は、例えば、ペンダントライト、シーリングライト、スタンドライト等である。
図1では、複数の照明装置20が天井に設置されている場合を例示している。
【0017】
図1及び
図2に示すように、照明装置20は、第1光源21と、第1制御部22と、第1電源部23とを備えている。
【0018】
第1光源21は、照明装置20が室内空間を照明することとなる光を発する。第1光源21は、例えば、白色光を出射することで、室内空間を照明することができる。
【0019】
第1光源21は、基板と、基板に実装された1個又は複数の発光素子とを有する。
【0020】
基板は、例えば所定パターンの配線が形成された配線基板である。基板としては、樹脂基板、セラミック基板又は絶縁被膜された金属基板等を用いることができる。
【0021】
発光素子は、LEDによって構成されたLED素子である。発光素子は、例えば、個々にパッケージ化された表面実装(SMD:Surface Mount Device)型のLED素子であり、樹脂製等の容器(パッケージ)と、容器内に配置されたLEDチップ(ベアチップ)と、LEDチップを封止する封止部材とを備える。具体的には、発光素子は、白色光を放出するSMD型の白色LED素子である。この場合、LEDチップとしては、通電されると青色光を発する青色LEDチップが用いられ、容器に充填される封止部材としては、YAG等の黄色蛍光体が含有されたシリコーン樹脂(蛍光体含有樹脂)が用いられる。また、発光素子は、LEDチップ(ベアチップ)であるCOB(Chip On Board)型のLEDモジュールであってもよい。
【0022】
第1光源21は、第1電源部23から供給される電力によって発光する。第1電源部23は、例えば、複数の回路部品が実装された回路基板によって構成されており、商用交流電力を受電して所定の電力(例えば直流電力)に変換して当該電力を第1光源21に供給する。これにより、第1光源21の発光素子が発光する。第1電源部23は、照明装置20に内蔵されているが、照明装置20とは別体であってもよい。
【0023】
また、第1光源21は、第1制御部22によって調光制御及び/又は調色制御されるように構成されている。
【0024】
第1制御部22は、調光制御機能及び調色制御機能を有している。このため、第1制御部22は、第1光源21を制御することで、第1光源21が発する光を経時的に変化させることができる。具体的には、第1制御部22は、調光制御機能及び調色制御機能を用いて第1光源21が発する光を経時的に変化させることができる。また、第1制御部22は、第1光源21に供給する電力をON/OFFすることで、第1光源21を点灯させたり消灯させたりすることができる。
【0025】
第1電源部23は、第1光源21及び第1制御部22の動力源であり、第1光源21及び第1制御部22に電力を供給することができる。第1電源部23は、例えば、プリント基板に複数の電子部品が実装された電源回路である。なお、照明装置20は、第1電源部23を備えていなくてもよく、第1電源部23は、照明装置20の必須の構成要素ではない。
【0026】
[報知用光源装置30]
報知用光源装置30は、室内空間の内的条件及び室内空間の外的条件のうちの少なくとも一方に応じて色が変化するシグナル光を発することで、室内空間に存在する人に、シグナル光に示されるシグナルを報知することができる灯具である。ここで、内的条件は、報知用光源装置30及び照明装置20が照明する室内空間における、温度、湿度、空気質、匂い、人の存在の有無、人の密度、特定の人の位置、会話の活性度(会話量)、人の音声による音量、特定の音、人の生体情報(脈拍、体温、α波及びβ波等の脳波)、人の感情、人の精神状態、及び、消費電力量を含む。また、外的条件は、室外の気温、時間、照度、天気、交通状況、及び、災害情報を含む。このため、シグナルには、室内空間における、温度、湿度、空気質、匂い、人の存在の有無、人の密度、特定の人の位置、会話の活性度、人の音声による音量、特定の音、人の生体情報、人の感情、人の精神状態、消費電力量、室外の気温、時間、照度、天気、交通状況、及び、災害情報に関する情報が含まれる。
【0027】
また、シグナル光は、室内空間に存在する人に認識できるように、単に色を変化させたり、2種類以上の異なる色の光で選択的に点灯したりすることでシグナルを報知することができる光である。このため、報知用光源装置30は、何らかの入力指示を取得することで、色を変化させたり、2種類以上の異なる色の光で選択的に点灯したりしたシグナル光を発してもよい。シグナル光の色の変化とは、色温度の変化、出射する光の波長を変化することを含む。具体的には、報知用光源装置30は、赤色の光、黄色の光、緑色の光をそれぞれ発する独立した複数の第2光源31(31a、31b、31c)を有していてもよい。つまり、報知用光源装置30は、赤色の光を発する第2光源31a、黄色の光を発する第2光源31b、緑色の光を発する第2光源31cを有していてもよい。この場合、報知用光源装置30では、報知内容に応じて、赤色の第2光源31aを点灯したり、黄色の第2光源31bを点灯したり、緑色の第2光源31cを点灯したりする制御が行われる。つまり、報知用光源装置30は、内的条件及び外的条件の少なくとも一方に基づいて、赤色の光を発する第2光源31aと、黄色の光を発する第2光源31bと、緑色の光を発する第2光源31cとを制御する。
【0028】
また、報知用光源装置30は、常時点灯していなくてもよく、限定的な所定期間において点灯してもよい。この場合、報知用光源装置30は間欠的にシグナル光を発するため、シグナル光が照明装置20によるベース照明に馴染まなくてもよく、ベース照明による室内空間の照明環境をシグナル光が乱すことは問題になり難い。
【0029】
報知用光源装置30は、照明装置20が点灯している場合、室内空間に存在する人に認識できるようにシグナル光を発する。例えば、報知用光源装置30は、シグナル光の色を変化させることでシグナルを報知したり、シグナル光を単色で点灯したり、消灯したりすることでシグナルを報知したりすることもできる。シグナル光の色を変化させる場合、報知用光源装置30は、より多くの種類のシグナルを報知することができる。
【0030】
また、報知用光源装置30が水平方向に発するシグナル光の光度は、報知用光源装置30が鉛直方向に発するシグナル光の光度よりも高く設定されている。つまり、報知用光源装置30は、鉛直下方に照射した光よりも、水平方向に照射する光の方が明るい。例えば、(水平方向の光度/鉛直方向の光度)>1.0となる。また、(水平方向の光度/鉛直方向の光度)>1.5、(水平方向の光度/鉛直方向の光度)>2.0、(水平方向の光度/鉛直方向の光度)>3.0、又は、(水平方向の光度/鉛直方向の光度)>5.0等となってもよい。これにより、報知用光源装置30は、シグナル光を周囲に報知することで、人に効率的にシグナルを認識させることができる。また、報知用光源装置30は、鉛直下方の机上面及び床面への照射光をできるだけ抑制することができるため、照明環境を乱し難くなる。
【0031】
報知用光源装置30は、照明装置20とともに同一の室内空間に配置されている。また、報知用光源装置30は、天井、壁、床等の構造物に設置されることで、室内空間を照明することもできる。報知用光源装置30は、発するシグナル光の視認性を考慮し、例えば、床面から1~4(m)の高さに配置されている。より視認性を高めるためには、報知用光源装置30は、例えば、天井高さが2.7(mm)であり、報知用光源装置30の発光部(
図1の球状の部分)の直径が10(cm)を想定した、報知用光源装置30の発光部の高さは、2.4(m)となるように配置されていることが好ましい。さらに、報知用光源装置30が床面から2.3(m)以上の高さに配置されていれば、報知用光源装置30が人の視界を遮り難い位置に配置されることになるため、報知用光源装置30に対する視認性と視界の良好性との両立を図ることができる。
【0032】
報知用光源装置30は、例えば、ペンダントライト、シーリングライト、スタンドライト等である。
図1では、複数の報知用光源装置30が天井に設置されている場合を例示している。
【0033】
報知用光源装置30は、取得部30aと、第2光源31と、第2制御部32と、第2電源部33とを備えている。
【0034】
取得部30aは、内的条件を示す情報をセンサ等の外部装置から取得したり、外的条件を示す情報を外部装置から取得したりすることができる。また、取得部30aは、内的条件を示す情報、外的条件を示す情報を取得可能なセンサであってもよい。取得部30aは、取得した内的条件を示す情報、及び、外的条件を示す情報を第2制御部32に出力する。ここで、センサ(取得部30aがセンサの場合)及び外部装置は、温度センサ、湿度センサ、照度センサ、騒音センサ、マイクロフォン、臭気センサ、空気質センサ、カメラ、生体センサ、電力量センサ、又は、熱画像センサ等である。なお、カメラは、高機能の画像センサであり、室内空間における人の映像を撮影し、撮影した映像を処理することにより室内空間における人の存在の有無、人の密度、特定の人の位置、人の感情等をセンシングすることができる。なお、その他、公知のセンサを用いることで、内的条件及び外的条件をセンシングしてもよい。
【0035】
第2光源31は、色が変化するシグナル光を発することで室内空間に存在する人に、シグナルを報知することができる。また、第2光源31は、報知用光源装置30が室内空間を照明することとなる光を発することも可能である。また、シグナル光は、ベース照明として用いられてもよい。第2光源31は、光源の一例である。
【0036】
第2光源31は、基板と、基板に実装された1個又は複数の発光素子とを有する。
【0037】
基板は、例えば所定パターンの配線が形成された配線基板である。基板としては、樹脂基板、セラミック基板又は絶縁被膜された金属基板等を用いることができる。
【0038】
発光素子は、LEDによって構成されたLED素子である。発光素子は、例えば、個々にパッケージ化された表面実装(SMD:Surface Mount Device)型のLED素子であり、樹脂製等の容器(パッケージ)と、容器内に配置されたLEDチップ(ベアチップ)と、LEDチップを封止する封止部材とを備える。また、発光素子は、LEDチップ(ベアチップ)であるCOB(Chip On Board)型のLEDモジュールであってもよい。
【0039】
発光素子は、白色光を放出するSMD型の白色LED素子であってもよい。この場合、LEDチップとしては、通電されると青色光を発する青色LEDチップが用いられ、容器に充填される封止部材としては、YAG等の黄色蛍光体が含有されたシリコーン樹脂(蛍光体含有樹脂)が用いられてもよい。これにより、第2光源31は、白色光を放射することができる。
【0040】
また、第2光源31は、互いに異なる光色を発する複数の発光素子を配置していてもよい。例えば、複数の発光素子には、青色光を発する青色LEDと、緑色光を発する緑色LEDと、赤色光を発する赤色LEDとが含まれていてもよい。これにより、第2光源31は、白色光を放射することができる。また、第2光源31は、赤色光、青色光、緑色光をそれぞれ個々に、又は、これらを任意に組み合わせた光を出射することもできる。
【0041】
また、第2光源31は、
図1及び
図2に示すように、室内空間の内的条件及び室内空間の外的条件のうちの少なくとも一方に基づいて、色が変化するシグナル光を発する。つまり、第2光源31は、室内空間の内的条件及び室内空間の外的条件のうちの少なくとも一方に基づいて第2制御部32に制御されることで、色が変化するシグナル光を発する。
【0042】
色が変化するシグナル光を発するために、第2光源31は、第2制御部32によって調光制御及び/又は調色制御されるように構成されている。
【0043】
具体的には、第2光源31は、調光機能を発揮するように第2制御部32に制御されることで、出射するシグナル光の明るさを、段階的に又は次第に暗くしたり、段階的に又は次第に明るくしたりすることができる。また、第2光源31は、調色機能を発揮するように第2制御部32に制御されることで、ろうそくの火等の低い色温度から、晴天の青空のように高い色温度までの、段階的に又は次第に変化するシグナル光を発することができる。さらに、第2光源31は、xy色度図において、黒体軌跡近傍の点に限らず、黒体軌跡近傍から離れた色度点を有する光色の光を発する。さらに、第2光源31は、黒体軌跡から離れ、xy色度図の外周に寄った色度点を有する光色の光を発する。
【0044】
また、第2光源31が発するシグナル光は、刺激純度が所定範囲に設定されている。ここで、刺激純度は、所定の光色の色度点を考えた場合に、xy色度図において等エネルギーの白色点(0.333、0.333)から、その所定の色度点まで線分を引き、さらにその線分をxy色度図の外周まで延長させた場合に、その直線上の距離において、等エネルギーの白色点(0.333、0.333)から、xy色度図の外周までの距離と、等エネルギーの白色点(0.333、0.333)からその所定の光色の色度点までの距離との相対距離比である。このため、刺激純度は、彩度を示すことができる。
【0045】
等エネルギーの白色点(0.333、0.333)から、
図3のxy色度図の外周までの距離を100とした場合、刺激純度は、0~100までの数字を取り得ることができ、数字が大きくなるほど、刺激純度が高く、また彩度が高いといえる。
【0046】
具体的には、第2光源31が発するシグナル光の刺激純度は、
図3のxy色度の領域のうち、10以上100以下となる領域であってもよい。つまり、第2光源31は、第2制御部32に制御されることで、シグナル光の刺激純度において、10≦刺激純度≦100を満たすようにシグナル光を発する。
【0047】
例えば、刺激純度を10以上とすることで、等エネルギーの白色点から一定距離離れた地点を光色とすることができ、一定の目立ちやすさを確保できる。例えば、緑系統の発光色を考えた場合、刺激純度が10の場合は、「緑みの白」と認知される領域であり、白色とは異なった色と認識され得ることが判る。好ましくは、第2光源31が発するシグナル光の刺激純度は、20以上、100以下であってもよい。つまり、第2光源31は、第2制御部32に制御されることで、光の刺激純度において、20≦刺激純度≦100を満たすようにシグナル光を発してもよい。
【0048】
また、刺激純度を20以上とすることで、等エネルギーの白色点から一定距離離れた地点を光色とすることができ、どの色系統の光色においても、白色とは異なった色と認識することが可能となる。例えば、青系統の色であれば色純度を高めても比較的、色づいて認知されにくい傾向があるが(すなわち、色純度を高めても白色と認知されるような範囲が広い)、この青系統の色であっても色純度を20とすれば、ほぼ、「青味の白」と認知される色度に位置することが判る。
【0049】
より好ましくは、第2光源31が発するシグナル光の刺激純度は、50以上、100以下である。つまり、第2光源31は、第2制御部32に制御されることで、光の刺激純度において、50≦刺激純度≦100を満たすようにシグナル光を発する。
【0050】
また、刺激純度を50以上とすることで、等エネルギーの白色点から一定距離離れた地点を光色とすることができ、どの色系統の光色においても、明確に白色とは異なった色と認知することが可能となる。例えば、青系統の色であれば色純度を高めても比較的、色づいて認知されにくい傾向があるが(すなわち、色純度を高めても白色と認知されるような範囲が広い)、この青系統の色であっても色純度を50とすれば、「青味の白」と認知される色度を超えて明確に「うすい青」の認知される領域に位置することが判る。
【0051】
より好ましくは、第2光源31が発するシグナル光の刺激純度は、70以上、100以下である。つまり、第2光源31は、第2制御部32に制御されることで、光の刺激純度において、70≦刺激純度≦100を満たすようにシグナル光を発する。
【0052】
また、刺激純度を70以上とすることで、等エネルギーの白色点から一定距離離れた地点を光色とすることができ、どの色系統の光色においても、明確に白色とは異なり、鮮やかに際立った色と認知することが可能となる。例えば、緑系統の色であれば明確に「緑」と認知される領域であり、青系統の色であれば「青」と認知さる領域の境界に位置し、黄系統の色であれば「うすい黄」の領域のうち、かなり「黄」の領域に近い場所に位置し、赤系統の色であれば「赤」と認知さる領域の境界に位置することがわかる。このように、シグナル光の刺激純度を70以上とすることで、鮮やかに目立った色とすることができる。
【0053】
また、それぞれの刺激値上限を100としているが、刺激値上限を85とすることができる。刺激値が100に近づくと、彩度が上がり目立ちの効果が高まる一方で、逆に刺激が強すぎて、人の目に不快に感じるケースがあることが判った。このため、刺激純度を85以下に抑えることで、必要な目立ちを確保しつつ、過剰なレベルの刺激を抑制し適切なシグナル光とすることができる。
【0054】
これらの刺激純度の範囲を逸脱、つまり刺激純度が10未満であれば、シグナル光が目立たないことがある。このため、第2光源31が第2制御部32に制御されることで、上述の刺激純度の範囲に収まるように第2光源31がシグナル光を発する。また、シグナル光の色は、積分球で測定してもよく、スポット測色方式で測定してもよい。
【0055】
また、第2光源31は、第2電源部33から供給される電力によって発光する。第2電源部33は、例えば、複数の回路部品が実装された回路基板によって構成されており、商用交流電力を受電して所定の電力(例えば直流電力)に変換して当該電力を第2光源31に供給する。これにより、第2光源31の発光素子が発光する。また、第2電源部33は、報知用光源装置30に内蔵されているが、報知用光源装置30とは別体であってもよい。
【0056】
第2制御部32は、調光制御機能及び調色制御機能を有している。このため、第2制御部32は、第2光源31を制御することで、第2光源31が発する光を経時的に変化させることができる。具体的には、第2制御部32は、取得部30aから内的条件を示す情報、及び、外的条件を示す情報を取得することで、これらの情報に応じ、調光制御機能及び調色制御機能を用いて第2光源31が発する光を経時的に変化させることができる。また、第2制御部32は、第2光源31に供給する電力をON/OFFすることで、第2光源31を点灯、点滅又は消灯させたりすることができる。なお、第2制御部32は、報知用光源装置30に内蔵されているが、報知用光源装置30の外部に設けられていてもよい。
【0057】
なお、第2制御部32が報知用光源装置30の構成要素に含まれていてもよく、この場合、照明システム1の構成に第2制御部32が含まれていればよい。
【0058】
第2電源部33は、第2光源31及び第2制御部32の動力源であり、第2光源31及び第2制御部32に電力を供給することができる。第2電源部33は、例えば、プリント基板に複数の電子部品が実装された電源回路である。なお、報知用光源装置30は、第2電源部33を備えていなくてもよく、第2電源部33は、報知用光源装置30の必須の構成要素ではない。
【0059】
[報知用光源装置30のシグナル光の色と照明装置20の光の色との関係]
ここでは、報知用光源装置30が発するシグナル光の色と照明装置20が発する光の色との関係について説明する。
【0060】
報知用光源装置30が発するシグナル光の色と、複数の照明装置20のうちの報知用光源装置30に最も近い位置に配置されている照明装置20が発する光の色との差は、マックアダム楕円の50step以上である。つまり、人は、報知用光源装置30が発するシグナル光を見た場合、報知用光源装置30に最も近い位置に配置されている照明装置20が発する光の色とシグナル光の色とが異なることを認識できる。これにより、ベース照明に対してシグナル光をより目立たせることができる。
【0061】
[報知用光源装置30が発するシグナル光の具体例]
ここでは、報知用光源装置30が発するシグナル光の変化について、以下のケースを用いて説明する。
【0062】
また、室内空間は、複数にエリアごと区分されているものとし、1つのエリアには、1以上の報知用光源装置30が対応するように配置されているものとする。室内空間は、壁等によって物理的に複数にエリアに区分されていてもよく、任意の設定で仮想的に複数にエリアに区分されていてもよい。
【0063】
まず、ケース1では、報知用光源装置30は、室内空間の内的条件及び室内空間の外的条件のうちの少なくとも一方が温度である場合、取得部30aが温度を示す情報(内的条件を示す情報及び室内空間を示す情報のうちの少なくとも一方)を取得することで、複数にエリアのそれぞれの温度の違いを、発するシグナル光の色温度を変化させることで報知する。内的条件の場合では、温度が室温に相当する。この場合、室温が高いエリアに配置されている報知用光源装置30ほど色温度の低い暖色系のシグナル光を発し、室温が低いエリアに配置されている報知用光源装置30ほど色温度の高い寒色系のシグナル光を発する。このため、人は、室温が高いエリアと室温が低いエリアとを認識することができる。外的条件の場合は、温度が室外の気温に相当する。この場合、室外の気温が高いほど、報知用光源装置30は色温度の低い暖色系のシグナル光を発し、室外の気温が低いほど、報知用光源装置30は色温度の高い寒色系のシグナル光を発する。このため、人は、室外の気温を認識することができる。なお、ここでは、各条件に対応した暖色系、寒色系の選択事例を上記に示した。ただし、その選択は、利用者の意向等に合わせて、適宜設定し得るものである。寒色系、暖色系の選択を上記の記載とは逆にしてもよく、下記においても同様に逆にしてもよい。
【0064】
次の、ケース2では、報知用光源装置30は、室内空間の内的条件が湿度である場合、取得部30aが湿度を示す情報(内的条件を示す情報)を取得することで、複数にエリアのそれぞれの湿度の違いを、発するシグナル光の色温度を変化させることで報知する。具体的には、湿度が高いエリアに配置されている報知用光源装置30ほど色温度の低い暖色系のシグナル光を発し、湿度が低いエリアに配置されている報知用光源装置30ほど色温度の高い寒色系のシグナル光を発する。この場合、人は、湿度が高いエリアと湿度が低いエリアとを認識することができる。
【0065】
次の、ケース3では、報知用光源装置30は、室内空間の内的条件が空気質である場合、取得部30aが空気質を示す情報(内的条件を示す情報)を取得することで、複数にエリアのそれぞれの空気質の違いを、発するシグナル光の色温度を変化させることで報知する。具体的には、空気質が悪いエリアに配置されている報知用光源装置30ほど色温度の低い暖色系のシグナル光を発し、空気質が良いエリアに配置されている報知用光源装置30ほど色温度の高い寒色系のシグナル光を発する。この場合、人は、空気質が悪いエリアと空気質が良いエリアとを認識することができる。
【0066】
次の、ケース4では、報知用光源装置30は、室内空間の内的条件が匂いである場合、取得部30aが匂いを示す情報(内的条件を示す情報)を取得することで、複数にエリアのそれぞれの匂いの違いを、発するシグナル光の色温度を変化させることで報知する。具体的には、匂いが強いエリアに配置されている報知用光源装置30ほど色温度の低い暖色系のシグナル光を発し、匂いが弱いエリアに配置されている報知用光源装置30ほど色温度の高い寒色系のシグナル光を発する。この場合、人は、匂いが強いエリアと匂いが弱いエリアとを認識することができる。
【0067】
次の、ケース5では、報知用光源装置30は、室内空間の内的条件が単位面積当たりに人が存在している人数(人の密度)である場合、取得部30aが人の密度を示す情報(内的条件を示す情報)を取得することで、複数にエリアのそれぞれの単位面積当たりの人の密度の違いを、発するシグナル光の色温度を変化させることで報知する。具体的には、単位面積当たりの人の密度が高いエリアに配置されている報知用光源装置30ほど色温度の低い暖色系のシグナル光を発し、単位面積当たりの人の密度が低いエリアに配置されている報知用光源装置30ほど色温度の高い寒色系のシグナル光を発する。この場合、人は、混雑度合いを認識することができる。
【0068】
次の、ケース6では、報知用光源装置30は、室内空間の内的条件が特定の人の位置を示す場合、取得部30aが特定の人の位置を示す情報(内的条件を示す情報)を取得することで、複数にエリアにおいて存在する特定の人の位置を、発するシグナル光の色温度を変化させることで報知する。具体的には、特定の人が存在しているエリアに配置されている報知用光源装置30が色温度の低い暖色系のシグナル光を発してもよく、特定の人が存在していないエリアに配置されている報知用光源装置30が色温度の高い寒色系のシグナル光を発してもよい。この場合、人は、特定の人の在不在を認識することができる。
【0069】
次の、ケース7では、報知用光源装置30は、室内空間の内的条件が会話の活性度である場合、取得部30aが会話の活性度を示す情報(内的条件を示す情報)を取得することで、複数にエリアのそれぞれの会話の活性度の違いを、発するシグナル光の色温度を変化させることで報知する。具体的には、会話の活性度が高いエリアに配置されている報知用光源装置30ほど色温度の低い暖色系のシグナル光を発し、会話の活性度が低いエリアに配置されている報知用光源装置30ほど色温度の高い寒色系のシグナル光を発する。この場合、人は、交流が活性化しているエリアと非活性のエリアとを認識することができる。
【0070】
次の、ケース8では、報知用光源装置30は、外的条件が天気である場合、取得部30aが天気を示す情報(外的条件を示す情報)を取得することで、天気の変化を、発するシグナル光の色温度を変化させることで報知する。具体的には、天気が晴れであれば報知用光源装置30が昼白色の光を発し、天気が曇り又は雨であれば報知用光源装置30が昼光色の光を発し、天気が晴天であれば昼白色よりも色温度の高い寒色系のシグナル光を発する。この場合、人は、屋外の天候を認識することができる。また、外的条件が照度の場合でも、ケース8と同様である。
【0071】
次の、ケース9では、報知用光源装置30は、内的条件が人の生体情報である場合、取得部30aが人の生体情報(内的条件を示す情報)を取得することで、人の生体情報の違いを、発するシグナル光の色温度を変化させることで報知する。具体的には、人の生体情報に示される集中度が高いエリアに配置されている報知用光源装置30ほど色温度の低い暖色系のシグナル光を発し、人の生体情報に示される集中度が低いエリアに配置されている報知用光源装置30ほど色温度の高い寒色系のシグナル光を発する。この場合、人は、人の集中度の高いエリアと人の集中度の低いエリアとを認識することができる。例えば、集中度の高いエリアを周囲に知らせることができる。
【0072】
次の、ケース10では、報知用光源装置30は、内的条件が室内空間の雰囲気である場合、取得部30aが室内空間の雰囲気を示す情報(内的条件を示す情報)を取得することで、室内空間の雰囲気の違いを、発するシグナル光の色温度を変化させることで報知する。ここで、室内空間の雰囲気とは、音、温度、湿度、空気質、生体情報等を含めた、室内空間における環境である。具体的には、室内空間の雰囲気が悪いエリアに配置されている報知用光源装置30ほど色温度の低い暖色系のシグナル光を発し、室内空間の雰囲気が良いエリアに配置されている報知用光源装置30ほど色温度の高い寒色系のシグナル光を発する。この場合、人は、室内空間の雰囲気が良いエリアと室内空間の雰囲気が悪いエリアとを認識することができる。例えば、室内空間における生産性を可視化することに役立てることができる。
【0073】
次の、ケース11では、報知用光源装置30は、内的条件が室内空間の消費電力量である場合、取得部30aが消費電力量を示す情報(内的条件を示す情報)を取得することで、室内空間の消費電力量の違いを、発するシグナル光の色温度を変化させることで報知する。具体的には、室内空間の消費電力量が多いほど、報知用光源装置30が色温度の低い暖色系のシグナル光を発し、室内空間の消費電力量が少ないほど、報知用光源装置30が色温度の高い寒色系のシグナル光を発する。この場合、人は、室内空間の消費電力量が多いか少ないかを認識することができる。
【0074】
ケース1~11の場合、第2光源31は、第2制御部32に制御されることで、xy色度図上の黒体軌跡に対するシグナル光の色偏差が、-6≦色偏差≦15を満たすようにシグナル光を発してもよい。これにより、報知用光源装置30のシグナル光が照明装置20によるベース照明に馴染むため、室内空間における照明環境を乱さないようにすることができる。
【0075】
また、ケース1~11の場合、第2光源31は、第2制御部32に制御されることで、彩度の高いシグナル光を発してもよい。
【0076】
このように、照明システム1では、ケース1~11の場合、シグナル光が照明環境を乱さない。
【0077】
次の、ケース12では、報知用光源装置30は、室内空間の内的条件が人の有無である場合、取得部30aが人の有無を示す情報(内的条件を示す情報)を取得することで、複数にエリアのそれぞれにおける人の有無(在不在)を、点灯又は消灯することで報知する。具体的には、人が存在しているエリアに配置されている報知用光源装置30が点灯し、人が存在していないエリアに配置されている報知用光源装置30が消灯する。
【0078】
ケース12の場合、第2光源31は、第2制御部32に制御されることで、室内空間における床面の最高照度50(lx)以上を満たすようにシグナル光を発してもよい。これにより、報知用光源装置30のシグナル光が照明装置20によるベース照明に馴染むため、室内空間における照明環境を乱さないようにすることができる。また、人の在不在について、報知することができる。
【0079】
次の、ケース13では、報知用光源装置30は、室内空間の内的条件が人の音声による音量である場合、取得部30aが人の音声による音量を示す情報(内的条件を示す情報)を取得することで、発するシグナル光を変化させることで報知する。具体的には、人の音声による音量が所定値以上のエリアでは、報知用光源装置30が発するシグナル光を点滅させる。この場合、シグナル光が点滅することによって、周囲に存在する人に注意を引かせることができる。
【0080】
ケース13の場合、第2光源31は、第2制御部32に制御されることで、室内空間における床面の最高照度50(lx)以上の点滅を規則的に繰り返すようなシグナル光を発してもよい。これにより、周囲に存在する人に注意を引かせることで、騒音の発生を抑制することが期待できる。
【0081】
また、ケース13の場合、第2光源31は、第2制御部32に制御されることで、室内空間における床面の最高照度50(lx)以上の点滅を不規則に繰り返すようなシグナル光を発してもよい。これにより、点滅によって注意を引いた周囲に存在する人に不快感を与えることで、騒音の発生を抑制することが期待できる。
【0082】
例えば、図書館、美術館等のように人が静かに過ごすべき環境において、大声で会話する人及びその周囲に存在する人に対してシグナルを発することができる。
【0083】
次の、ケース14では、報知用光源装置30は、室内空間の内的条件が人の音声による音量である場合、取得部30aが人の音声による音量を示す情報(内的条件を示す情報)を取得することで、複数にエリアのそれぞれの人の音声による音量の違いを、発するシグナル光の色温度を変化させることで報知する。具体的には、人の音声による音量が高いエリアに配置されている報知用光源装置30ほど色温度の低い暖色系のシグナル光を発し、人の音声による音量が低いエリアに配置されている報知用光源装置30ほど色温度の高い寒色系のシグナル光を発する。この場合、人は、人の音声による音量が高いエリアと人の音声による音量が低いエリアとを認識することができる。
【0084】
次の、ケース15では、報知用光源装置30は、室内空間の内的条件が特定の音である場合、取得部30aが特定の音を示す情報(内的条件を示す情報)を取得することで、発するシグナル光を変化させることで報知する。具体的には、特定の音が発生したエリアでは、報知用光源装置30が発するシグナル光を点滅させる。この場合、シグナル光が点滅することによって、周囲に存在する人に注意を引かせることができる。
【0085】
ケース15の場合、第2光源31は、第2制御部32に制御されることで、室内空間における床面の最高照度50(lx)以上の点滅を規則的に繰り返すようなシグナル光を発してもよい。これにより、周囲に存在する人に注意を引かせることで、音の発生原因を特定することが期待できる。例えば、飲食店などにおいて、スタッフへのコールボタンに代えてシグナル光を発してもよい。
【0086】
次の、ケース16では、報知用光源装置30は、室内空間の内的条件が特定の音である場合、取得部30aが特定の音を示す情報(内的条件を示す情報)を取得することで、複数にエリアのそれぞれの特定の音の違い(種類)を、発するシグナル光の色温度を変化させることで報知する。具体的には、特定の音の種類に応じて色温度の低い暖色系のシグナル光を発したり、色温度の高い寒色系のシグナル光を発したりする。この場合、人は、特定の音が発生したエリアを認識することができる。
【0087】
次の、ケース17では、報知用光源装置30は、室内空間の外的条件が時間である場合、取得部30aが時間を示す情報(外的条件を示す情報)を取得することで、発するシグナル光を変化させることで所定の時間に報知する。具体的には、所定の時間に至ると、報知用光源装置30が発するシグナル光を点滅させる。この場合、シグナル光が点滅することによって、周囲に存在する人に注意を引かせることができる。
【0088】
ケース17の場合、第2光源31は、第2制御部32に制御されることで、室内空間における床面の最高照度50(lx)以上の点滅を規則的に繰り返すようなシグナル光を発してもよい。これにより、周囲に存在する人に注意を引かせることで、所定の時間に至ったことを人に認識させることが期待できる。
【0089】
次の、ケース18では、報知用光源装置30は、室内空間の外的条件が時間である場合、取得部30aが時間を示す情報(外的条件を示す情報)を取得することで、所定の時間に至ったことを、発するシグナル光の色温度を変化させることで報知する。具体的には、所定の時間に至った場合には色温度の低い暖色系のシグナル光を発したり、所定の時間に至っていない場合には色温度の高い寒色系のシグナル光を発したりする。この場合、人は、所定の時間に至ったことを認識することができる。
【0090】
また、ケース18の場合、第2光源31は、第2制御部32に制御されることで、彩度の高いシグナル光を発してもよい。これにより、報知用光源装置30のシグナル光が室内空間に存在する人に認知され易くなるため、シグナル光を目立たせて周囲に存在する人に注意を引かせることで、所定の時間に至ったことを人に認識させることが期待できる。
【0091】
次の、ケース19では、報知用光源装置30は、室内空間の内的条件が人の体温である場合、取得部30aが人の体温を示す情報(内的条件を示す情報)を取得することで、複数にエリアに存在する人の体温の違いを、発するシグナル光の色温度を変化させることで報知する。具体的には、人の体温が所定温度以上の場合には色温度の低い暖色系のシグナル光を発したり、人の体温が所定温度未満の場合には色温度の高い寒色系のシグナル光を発したりする。この場合、人は、体温が所定温度以上か否かを認識することができる。
【0092】
次の、ケース20では、報知用光源装置30は、室内空間の外的条件が交通状況である場合、取得部30aが交通状況を示す情報(外的条件を示す情報)を取得することで、近隣又は周囲の交通状況を、発するシグナル光の色温度を変化させることで報知する。具体的には、交通状況において道路が混雑している場合には色温度の低い暖色系のシグナル光を発したり、交通状況において道路が混雑していない場合には色温度の高い寒色系のシグナル光を発したりする。この場合、人は、交通状況を認識することができる。
【0093】
また、室内空間の内的条件及び室内空間の外的条件を用いる場合、報知用光源装置30は内的条件のシグナル光と外的条件のシグナル光とを合わせた中間のシグナル光の色を発してもよい。
【0094】
<照明システムにおける課題>
ところで、照明システム1のように、光を使って室内空間の内的条件または外的条件に関する報知を行うアイデア自体は散見されるが、このようなアイデアは実用化には至っていないのが実情である。発明者らがこのようなアイデアの実用化を目的として実際に市場導入を見据えて実地試験を行ったところ、種々の課題が顕在化した。
【0095】
顕在化した課題の1つは、報知用光源装置30が報知のために発する光(以下、シグナル光とも記載される)が目立ちすぎると室内空間における照明環境が乱されることである。シグナル光は、報知を目的とすることからある程度は目立つ必要がある。しかしながら、室内空間が照明装置20によって好ましい照明環境となるよう設計されているところ、付加的に設置した報知用光源装置30が発するシグナル光によって照明環境が乱されることは極力抑える必要がある。例えば、室内空間がオフィス空間などである場合、シグナル光が過度に目立つと、執務者の業務効率低下等につながる懸念がある。
【0096】
このような課題は、これまでにない新規の課題である。このような課題は、これまで認識されていなかった課題であり、課題の解決法も知られていない。照明設計は、定常状態、すなわち、人の目が照明環境に視覚的に順応した状態を想定して行われることが一般的であり、動的に明るさまたは色が変化する報知用光源装置30を想定して照明設計が行われることは一般的ではない。
【0097】
すなわち、上記の課題は従来にない全く新しいサービス展開を進める中で初めて見出された課題であり、課題の発見自体に技術的価値があるものである。さらに、今回の課題が動的な照明に関するものであり、課題解決のアプローチにおいても、従来の定常状態を前提とした照明設計技術を適用することができない。つまり、課題認識、及び、課題解決の両面で従来にない全く新しい技術検討を要する。
【0098】
<作用効果>
本実施の形態における報知用光源装置30及び照明システム1の作用効果について説明する。
【0099】
上述したように、本実施の形態に係る報知用光源装置30は、照明装置20が配置されている室内空間の内的条件及び室内空間の外的条件のうちの少なくとも一方に基づいて、色が変化するシグナル光を発する光源を有する。報知用光源装置30では、光源(第2光源31)が発するシグナル光の刺激純度において、(1)10≦刺激純度≦100を満たす。
【0100】
例えば、照明装置が室内空間を照明している場合、報知用光源装置が刺激純度の範囲(1)を逸脱してシグナル光を発すれば、シグナル光が目立たなくなってしまうことがある。報知用光源装置がシグナル光を発しても、目立たなければ、シグナル光が示すシグナルを周囲に報知することは困難になる。
【0101】
そこで本実施の形態では、報知用光源装置30が範囲(1)を満たすようにシグナル光を発すれば、シグナル光における一定の目立ちやすさを確保できる。このため、シグナル光が室内空間に存在する人に認知されるため、報知用光源装置30のシグナル光の色を調節することでベース照明に対してシグナル光を目立たせることができる。
【0102】
特に、報知するシグナルが警報等のように緊急性を要する情報である場合、シグナル光によって周囲に報知することができるため、人は、当該情報をすぐに認識することができる。また、ベース照明に対してシグナル光を際立たせることができるため、結果としてより華やかな空間を演出することができるため、室内空間にエンターテイメント性を付加することが可能となる。
【0103】
また、本実施の形態に係る報知用光源装置30では、光源が発するシグナル光の刺激純度において、(2)20≦刺激純度≦100を満たす。
【0104】
これによれば、刺激純度が高過ぎると、人は、報知用光源装置30が発したシグナル光を不快に感じることがある。本実施の形態では、刺激純度を上述の範囲(2)にすることで、人がシグナル光を不快に感じないようにすることができる。また、シグナル光の色が白色とは異なった色と認知することが可能となるため、ベース照明に対してシグナル光をより目立たせることができる。つまり、不快感の抑制と、シグナル光による目立ちやすさとの両立を図ることができる。
【0105】
また、本実施の形態に係る報知用光源装置30では、光源が発するシグナル光の刺激純度において、(3)50≦刺激純度≦100を満たす。
【0106】
これによれば、シグナル光の色が頻繁に変化する場合、上述の範囲(1)、(2)よりも狭い範囲(3)に設定されているため、色の変化による人の目が順応し易くなる。また、シグナル光の色が白色とは異なった色であることを明確に認知することが可能となるため、ベース照明に対してシグナル光をより目立たせることができる。つまり、色の変化による人の目の順応性と、シグナル光による目立ちやすさとの両立を図ることができる。
【0107】
また、本実施の形態に係る報知用光源装置30では、光源が発するシグナル光の刺激純度において、(4)70≦刺激純度≦100を満たす。
【0108】
これによれば、シグナル光の色が頻繁に変化する場合、上述の範囲(1)~(3)よりも狭い範囲(4)に設定されているため、色の変化による人の目がより順応し易くなる。また、シグナル光の色が白色とは明確に異なり、鮮やかに際立った色と認知することが可能となるため、ベース照明に対してシグナル光をより目立たせることができる。つまり、色の変化による人の目の順応性と、シグナル光による目立ちやすさとの両立を図ることができる。
【0109】
また、本実施の形態に係る照明システム1では、報知用光源装置30と、室内空間を照明するベース用の複数の照明装置20と、を備える。そして、報知用光源装置30が発するシグナル光の色と、複数の照明装置20のうちの報知用光源装置30に最も近い位置に配置されている照明装置20が発する光の色との差は、マックアダム楕円の50step以上である。
【0110】
これによれば、シグナル光の色が頻繁に変化する場合、報知用光源装置30のシグナル光の色と、報知用光源装置30に最も近い位置に配置されている照明装置20の光の色との差がマックアダム楕円の50step以上であれば、ベース照明に対してシグナル光を目立たせることができる。
【0111】
また、本実施の形態に係る照明システム1において、当該報知用光源装置30が水平方向に発するシグナル光の光度は、当該報知用光源装置30が鉛直方向に発するシグナル光の光度よりも高い。
【0112】
これによれば、水平方向の光度を鉛直方向よりも強くすることで、周囲に効率よく報知することができる。また、机上面及び床面への照射光をできるだけ抑制することができるため、照明環境を乱し難い。
【0113】
また、本実施の形態に係る報知用光源装置30において、報知用光源装置30の光源は、単色で点灯、及び、消灯することで、シグナル光を報知する。
【0114】
これによれば、光源が複数の光の色を発する場合に比べて報知用光源装置30を安価かつ簡素な構成にすることができる。
【0115】
また、本実施の形態に係る報知用光源装置30において、内的条件は、報知用光源装置30及び照明装置20が照明する室内空間における、温度、湿度、空気質、匂い、人の存在の有無、人の密度、特定の人の位置、会話の活性度、人の音声による音量、特定の音、人の生体情報、人の感情、及び、消費電力量を含む。そして、外的条件は、室内空間に対する外側の空間である室外空間における気温、時間、照度、天気、交通状況、及び、災害情報を含む。
【0116】
これによれば、内的条件及び/又は外的条件を用いることで、ベース用の照明装置20による照明環境を乱さないように、報知用光源装置30は、シグナル光によって様々なシグナルを報知することができる。
【0117】
(その他変形例)
以上、本開示に係る報知用光源装置及び照明システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0118】
例えば、上記実施の形態に係る照明システム1aは、
図4のような構成であってもよい。
図4は、その他変形例に係る照明システム1aを示すブロック図である。
図4に示すように、照明装置20は、制御部5及び照明システム1aから独立しており、制御部5及び照明システム1aと通信を行わなくてもよい。制御部5は、上述の第2制御部と同様の構成であってもよい。
【0119】
また、上記実施の形態に係る照明システム1bは、
図5のような構成であってもよい。
図5は、その他変形例に係る別の照明システム1bを示すブロック図である。
図5に示すように、制御部5にサーバ装置6が通信可能に接続され、サーバ装置6に外部情報源9が通信可能に接続され、サーバ装置6は、外部情報源9から得た情報を制御部5へ提供してもよい。
【0120】
また、サーバ装置6は、室内空間が所属する地域における天気情報、室内空間が所属する地域における災害情報、室内空間が所属する地域の周辺の交通情報、または、現在の時刻情報等を管理し、これらの情報を制御部5へ提供するコンピュータ装置である。外部情報源9は、センサであってもよいし、サーバ装置6と異なる他のサーバ装置であってもよい。例えば、外部情報源9によってJアラート等の災害情報がサーバ装置6へ提供されれば、制御部5は、災害情報に基づいて報知用光源装置30を発光させることができる。
【0121】
その他、上記実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0122】
1、1a、1b 照明システム
20 照明装置
30 報知用光源装置
31、31a、31b、31c 第2光源(光源)