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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175512
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
H01R13/42 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087988
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】芝谷 宇弥
(72)【発明者】
【氏名】古橋 友章
(72)【発明者】
【氏名】小金谷 賢
(72)【発明者】
【氏名】大須賀 寛明
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087EE11
5E087FF08
5E087FF13
5E087GG15
5E087GG26
5E087GG32
5E087MM05
5E087RR04
(57)【要約】
【課題】ハウジングの長手方向のサイズを小型化した電気コネクタを提供する。
【解決手段】メスコネクタ10は、ハウジング1とリテーナ3を備える。ハウジング1は、雌端子5を挿入可能なキャビティ11cを並列配置している。ハウジング1は、両側面から突出したリブ11rを有する。リテーナ3は、ハウジング1の挿入開口111から挿入でき、雌端子5を抜け止めできる抜け止め部31cを有する。リブ11rは、仮ロック部1frと本ロック部1srを内部に形成している。リテーナ3は、仮ロック部1fr又は本ロック部1srに係止可能な係止突起31を有する。メスコネクタ10は、相手側コネクタとの嵌合方向を規制するリブ11rをハウジング1の両側面に設け、リテーナ3との係止構造をリブ11rの内部に構成しているので、ハウジング1の長手方向のサイズを小型化できる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌端子を挿入可能なキャビティを長手方向に並列配置した横長の直方体状のハウジングと、
前記ハウジングの底面に開口した挿入開口から挿入でき、前記雌端子を抜け止めできる抜け止め部を有する横長の直方体状のリテーナと、を備え、
前記ハウジングは、
両側面の後部から相反する向きに突出し、相手側コネクタとの嵌合方向のみを規定する一対のリブと、
前記リブに対応する部位の内壁から突出した仮ロック部と、
前記リブに対応する部位の内壁から突出した本ロック部と、を有し、
前記リテーナは、その両側面から相反する向きに突出し、内側に弾性変形可能な一対の係止突起を有し、
前記リテーナを前記挿入開口に挿入して前記係止突起が前記仮ロック部を乗り越えると、前記リテーナに設けた窓孔が前記キャビティと連通して前記雌端子を前記ハウジングの内部に保持した仮係止状態になり、
前記リテーナを前記挿入開口に挿入して前記係止突起が前記本ロック部を乗り越えると、前記雌端子を前記ハウジングの内部にロックした本係止状態になる、電気コネクタ。
【請求項2】
前記リブは、相手側ハウジングとの嵌合方向に沿って形成し、相手側ハウジングに設けたあり溝にスライドするありを少なくとも一方の側面に形成している、請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングは、ハウジング本体とこのハウジング本体の前部に取り付けたフロントカバーで構成している請求項1又は2記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタに関する。特に、雌端子をハウジングの内部に係止するリテーナを備えた電気コネクタであって、電気コネクタのサイズを小型化できる電気コネクタの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
雌端子が挿入可能なキャビティを上下二段に長手方向に並列配置した多極のハウジングと、キャビティが長手方向に延在する方向と直交する方向から、ハウジングの内部に挿入可能なリテーナで電気コネクタを構成し、リテーナをハウジングの内部に挿入することで、複数の雌端子を一括してハウジングの内部に係止でき、リテーナの取り外しが容易な電気コネクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-229197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図16は、従来技術による電気コネクタの構成を示す横断面図であり、リテーナをハウジングに挿入する前の状態図である。なお、本願の図16は、特許文献1の図4に相当している。
【0005】
図16を参照すると、特許文献1による電気コネクタ(以下、コネクタと略称する)9は、横長の直方体状のハウジング91と、横長の直方体状のリテーナ92を備えている。ハウジング91は、図示しない雌端子が挿入可能なキャビティ91cを上下二段に長手方向に並列配置している。又、ハウジング91は、リテーナ92を挿入可能な挿入開口91aを底面側に開口している。
【0006】
図16を参照すると、リテーナ92は、下段側のキャビティ91cと同軸に連通し、雌端子を挿入可能な窓孔92wを有している。又、リテーナ92は、雌端子の先端部側に設けた係止部に係合可能な抜け止め部92bを上下二段に設けている。更に、リテーナ92は、一対のロック片92r・92rを両端部に形成している。ロック片92rは、鉤部92hを先端部側に形成している。一対の鉤部92h・92hは、対向配置されている。
【0007】
一方、図16を参照すると、ハウジング91は、一対のロック片92r・92rを挿入可能な一対の凹部91d・91dをハウジング91の両側面から穿設している。ハウジング91は、仮ロック突起911と本ロック突起を凹部91dの底面から突出している。鉤部92hは、仮ロック突起911又は本ロック突起912に係止できる。
【0008】
図16を参照すると、ロック片92rは、仮ロック突起911又は本ロック突起912を乗り上げて弾性変形しながら凹部91dに挿通され、所定位置まで挿通されると、ロック片92rは、弾性復帰して鉤部92hが仮ロック突起911又は本ロック突起912に係止される。
【0009】
特許文献1によるコネクタ9は、ハウジング91の側面に開口した凹部91dにロック片が挿通されてロックされるので、ロック片を直接に弾性変形させてロックを解除することでリテーナ92を外すことができる。そして、特許文献1によるコネクタ9は、リテーナ92の取り外し作業が簡単となる、としている。
【0010】
しかしながら、特許文献1によるコネクタ9は、その前部が相手側コネクタのハウジングに設けた挿入開口に挿入されるので、相手側コネクタと嵌合する方向と直交する方向に屈曲する力が作用すると、つまり、電気子コネクタに「こじり」が生じるとコネクタの耐久性に影響してくる。このため、特許文献1によるコネクタ9は、ハウジングの両側面を肉厚に形成している。一方、ハウジングの両側面を肉厚に形成することで、ハウジングの長手方向のサイズを小型化するのが容易でなくなるという構造上の問題がある。
【0011】
雌端子をハウジングの内部に係止するリテーナを備えた電気コネクタであって、ハウジングの長手方向のサイズを小型化した電気コネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0012】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、雌端子をハウジングの内部に係止するリテーナを備えた電気コネクタであって、ハウジングの長手方向のサイズを小型化した電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、リブをハウジングの両側面に設け、リテーナとの係止構造をリブの内部に構成することで、ハウジングの長手方向のサイズを小型化できると考え、これにより、以下のような新たな電気コネクタを発明するに至った。
【0014】
(1)本発明による電気コネクタは、雌端子を挿入可能なキャビティを長手方向に並列配置した横長の直方体状のハウジングと、前記ハウジングの底面に開口した挿入開口から挿入でき、前記雌端子を抜け止めできる抜け止め部を有する横長の直方体状のリテーナと、を備え、前記ハウジングは、両側面の後部から相反する向きに突出し、相手側コネクタとの嵌合方向のみを規定する一対のリブと、前記リブに対応する部位の内壁から突出した仮ロック部と、前記リブに対応する部位の内壁から突出した本ロック部と、を有し、前記リテーナは、その両側面から相反する向きに突出し、内側に弾性変形可能な一対の係止突起を有し、前記リテーナを前記挿入開口に挿入して前記係止突起が前記仮ロック部を乗り越えると、前記リテーナに設けた窓孔が前記キャビティと連通して前記雌端子を前記ハウジングの内部に保持した仮係止状態になり、前記リテーナを前記挿入開口に挿入して前記係止突起が前記本ロック部を乗り越えると、前記雌端子を前記ハウジングの内部にロックした本係止状態になる。
【0015】
(2)前記リブは、相手側ハウジングとの嵌合方向に沿って形成し、相手側ハウジングに設けたあり溝にスライドするありを少なくとも一方の側面に形成していることが好ましい。
【0016】
(3)前記ハウジングは、ハウジング本体とこのハウジング本体の前部に取り付けたフロントカバーで構成してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明による電気コネクタは、リブをハウジングの両側面に設け、リテーナとの係止構造をリブの内部に構成しているので、ハウジングの長手方向のサイズを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、相手側コネクタと嵌合した状態図である。
図2】前記実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、相手側コネクタと嵌合した状態を相手側コネクタから観た状態図である。
図3】前記実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、電線付きの雌端子をハウジングに挿入する前の状態図である。
図4】前記実施形態による電気コネクタに備わるハウジングの構成を示す斜視図であり、ハウジングを後部側から観た状態図である。
図5】前記実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図分解組立図である。
図6】前記実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、図6(A)は、電線付きの雌端子をハウジングに挿入する前の状態を後部側から観た状態図、図6(B)は、電線付きの雌端子をハウジングに挿入する前の状態を前部側から観た状態図、図6(C)は電線付きの雌端子をハウジングに挿入した状態を後部側から観た状態図、図6(D)は、電線付きの雌端子をハウジングに挿入した状態を前部側から観た状態図である。
図7】前記実施形態による電気コネクタの構成を示す平面図である。
図8】前記実施形態による電気コネクタの構成を示す平面図である。
図9】実施形態による相手側コネクタの構成を示す斜視図であり、図9(A)は、相手側コネクタを前部側から観た状態図、図9(B)は、相手側コネクタを後部側から観た状態図である。
図10】実施形態による相手側コネクタの構成を示す図であり、図10(A)は、相手側コネクタの正面図、図10(B)は、相手側コネクタの平面図、図10(C)は、相手側コネクタの右側面図、図10(D)は、相手側コネクタの背面図、図10(E)は、相手側コネクタの左側面図、図10(F)は、相手側コネクタの下面図である。
図11】前記実施形態による電気コネクタに備わる雌端子の構成を示す側面図である。
図12】前記実施形態による電気コネクタの構成を示す縦断面図であり、ハウジングに対して、リテーナが仮係止位置に保持された状態図である。
図13】前記実施形態による電気コネクタの要部を拡大した縦断面図であり、図13(A)は、ハウジングに対して、リテーナが仮係止位置に保持された状態図、図13(B)は、ハウジングに対して、リテーナが本係止位置に保持された状態図ある。
図14】前記実施形態による電気コネクタの動作を示す縦断面図であり、図14(A)は、ハウジングに対して、リテーナが仮係止位置に保持された状態図、図14(B)は、図14(A)に示した状態において、雌端子をキャビティに挿入した状態図、図14(C)は、図14(B)に示した状態から、リテーナをハウジングの挿入開口に更に挿入して、雌端子が本係止された状態図である。
図15】前記実施形態による電気コネクタの動作を示す横断面図であり、図15(A)は、ハウジングに対して、リテーナを底面から挿入する前の状態図、図15(B)は、ハウジングに対して、リテーナを底面から挿入してリテーナが仮係止位置に保持された状態図、図15(B)は、ハウジングに対して、リテーナを底面から更に挿入してリテーナが本係止位置に保持された状態図である。
図16】従来技術による電気コネクタの構成を示す横断面図であり、リテーナをハウジングに挿入する前の状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0020】
[電気コネクタの構成]
(全体構成)
最初に、本発明の一実施形態による電気コネクタの全体構成を説明する。図1から図8及び図11から図15を参照すると、本発明の一実施形態による電気コネクタ(以下、メスコネクタという)10は、横長の直方体状のハウジング1と横長の直方体状のリテーナ3を備えている。又、メスコネクタ10は、電線Wの端末に固定した複数の雌端子5を備えている。
【0021】
図1から図8を参照すると、実施形態では、ハウジング1は、ハウジング本体11とハウジング本体11の前部に取り付けたフロントカバー12で構成している。ハウジング本体11は、雌端子5を挿入可能なキャビティ11cを長手方向に並列配置している。リテーナ3は、ハウジング本体11の底面に開口した矩形の挿入開口111(図12参照)から挿入できる。又、リテーナ3は、雌端子5を抜け止めできる抜け止め部31cを有している(図5参照)。
【0022】
図1から図8を参照すると、ハウジング本体11は、両側面の後部から相反する向きに突出した逆台形台状の一対のリブ11r・11rを有している。リブ11rは、外面から底部に向けて幅が狭くなったあり11dを一方の側面に形成している(図3又は図5参照)。
【0023】
一方、図9(A)を参照すると。相手側コネクタ(以下、オスコネクタという)20は、ハウジング2の前面に開口した矩形の接続開口21を有している。接続開口21は、内壁側に窪み、リブ11rが嵌合可能な一対のあり溝21d・21dを有している。これにより、リブ11rは、オスコネクタ20との嵌合方向のみを規定できる。
【0024】
図1から図9を参照すると、リブ11rは、相手側のハウジング2との嵌合方向に沿って形成し、相手側のハウジング2に設けたあり溝21dにスライドする「あり」11dを少なくとも一方の側面に形成している。
【0025】
又、図13を参照すると、ハウジング本体11は、一対の仮ロック部1fr・1frと一対の本ロック部1sr・1srを有している。一対の仮ロック部1fr・1frは、対向配置されている。同様に、一対の本ロック部1sr・1srは、対向配置されている。仮ロック部1frは、リブ11rに対応する部位の内壁から突出している。同様に、本ロック部1srは、リブ11rに対応する部位の内壁から突出している。
【0026】
図5又は図13及び図15(A)を参照すると、リテーナ3は、一対の係止突起31・31を有している。一対の係止突起31・31は、その両側面から相反する向きに突出している。一対の係止突起31・31は、外力を受けるとリテーナ3の内側に弾性変形できる。
【0027】
図14を参照して、リテーナ3を挿入開口111に挿入して、係止突起31が仮ロック部1frを乗り越えると(図13(A)参照)、リテーナ3に設けた窓孔31w(図5参照)がキャビティ11cと連通して雌端子5をハウジング1の内部に保持した仮係止状態になる。
【0028】
図14を参照して、リテーナ3を挿入開口111に挿入して係止突起31が本ロック部1srを乗り越えると(図13(B)参照)、雌端子5をハウジング1の内部にロックした本係止状態になる。
【0029】
実施形態によるメスコネクタ10は、オスコネクタ20との嵌合方向を規制するリブ11rをハウジング1の両側面に設け、リテーナ3との係止構造をリブ11rの内部に構成しているので、ハウジング1の長手方向のサイズを小型化できる。
【0030】
(雌端子の構成)
次に、実施形態による雌端子5の構成を説明する。図11又は図12を参照すると、雌端子5は、導電性を有する金属板からなることが好ましい。導電性を有する金属製の展開板を折り曲げ加工することで、先端部側が四角筒状の雌端子5を得ることができる。雌端子5は、銅合金からなることが好ましいが、銅合金に限定されない。
【0031】
図11又は図12を参照すると、雌端子5は、電線Wの端末を結線する結線部51を基端部側に有している。又、雌端子5は、雄端子6と接続可能な端子接続部52を先端部側に有している。結線部51は、インシュレーションバレル51iとワイヤーバレル51cを有している。インシュレーションバレル51iは、電線Wを被覆の上から圧着している。ワイヤーバレル51cは、電線Wの導体線を圧着している。端子接続部52は、四角筒状に形成され、内部に相手側端子が導入されることで、雄端子6と電気的に接続できる。
【0032】
図11又は図12を参照すると、端子接続部52は、一次被係止部521と二次被係止部522を下面から突出している。一次被係止部521は、端子接続部52の先端部側に形成されている。二次被係止部522は、一次被係止部521と所定の間隔を設けて形成されている。
【0033】
(ハウジングの構成)
次に、実施形態によるハウジング1の構成を説明する。図1から図8を参照すると、ハウジング1は、ハウジング本体11とハウジング本体11の前部に取り付けたフロントカバー12で構成している。実施形態によるハウジング1は、成形を容易にするため、ハウジング本体11とフロントカバー12をそれぞれ別体で構成したが、ハウジング本体11とフロントカバー12を一体で構成することもできる。
【0034】
(フロントカバーの構成)
次に、実施形態によるフロントカバー12の構成を説明する。図5を参照すると、フロントカバー12は、絶縁性を有する合成樹脂からなることが好ましい。絶縁性を有する合成樹脂を成形することで、C字状のフロントカバー12を得ることができる。
【0035】
図5を参照すると、フロントカバー12は、横長の前面板121と一対のアーム122・122で構成している。一対のアーム122・122は、前面板121の両端部から直角に屈曲している。前面板121には、相手側端子を挿入可能な端子挿入孔12cを上下二段に長手方向に並列配置している。一対のアーム122・122は、ハウジング本体11の前部の両側面を抱持できる。
【0036】
図5を参照すると、一対のアーム122・122は、貫通した矩形のスロット12sを開口している。フロントカバー12をハウジング本体11の前面側に向かって進入すると、ハウジング本体11の前部の両側面に設けたランス113がスロット12sに係合することで、ハウジング本体11からフロントカバー12が分離困難に、フロントカバー12をハウジング本体11に係止できる。又、前面板121の上面の中央部に設けたランス12rがハウジング本体11の前面に設けた係止部に係止されることで、フロントカバー12をハウジング本体11に係止できる(図3又は図5及び図6参照)。
【0037】
(ハウジング本体の構成)
次に、実施形態によるハウジング本体11の構成を説明する。図5又は図6を参照すると、ハウジング本体11は、絶縁性を有する合成樹脂からなることが好ましい。絶縁性を有する合成樹脂を成形することで、横長の直方体状のハウジング本体11を得ることができる。
【0038】
図4又は図12を参照すると、ハウジング本体11の内部には、雌端子5を後方から挿入可能なキャビティ11cが嵌合方向に貫通している。キャビティ11cは、ハウジング本体11の長手方向に並列配置されると共に、上下二段に分かれて形成されている(図4又は図6参照)。
【0039】
図12又は図14を参照すると、キャビティ11cの先端部の底面には、雌端子5の先端部側に形成した一次被係止部521に係止可能なランス11bが配置されている。ランス11bは、キャビティ11cを構成する底壁に片持ち状に支持されている。
【0040】
図12を参照して、ハウジング本体11の後方から雌端子5をキャビティ11cに挿入すると、一次被係止部521がランス11bを押圧して、ランス11bが雌伏することで、雌端子5の更なる進入を許容できる。雌端子5の先端縁がフロントカバー12の内壁に当接すると、ランス11bが弾性復帰することで(図14(B)参照)、ランス11bが一次被係止部521を係止できる。
【0041】
図12を参照すると、ハウジング本体11は、その底面に矩形の挿入開口111を開口している。挿入開口111には、ハウジング本体11の底面側からリテーナ3を抜き差しできる。
【0042】
又、図3又は図4及び図6を参照すると、ハウジング本体11は、ロックアーム11aを上壁に設けている。ロックアーム11aは、その基端部がハウジング本体11の上壁に片持ち支持されている。ロックアーム11aは、ハウジング本体11の前部から後部に向かって延びている。
【0043】
図3を参照して、フロントカバー12を先頭にハウジング本体11をハウジング2の接続開口21に挿入すると(図9(A)参照)、ハウジング2の上内壁に押されてロックアーム11aは、ハウジング本体11の上壁に向かって撓む。ロックアーム11aの進入が停止すると、ロックアーム11aの中間部に設けたランスがハウジング2の上内壁に形成した段差に係止することで、メスコネクタ10をオスコネクタ20にロックできる(図1又は図2参照。
【0044】
図1又は図2を参照して、メスコネクタ10がオスコネクタ20にロックした状態から、ロックアーム11aの先端部側を押下することで(図4参照)、メスコネクタ10とオスコネクタ20のロックを解除できる。又、図1から図4を参照すると、ハウジング本体11は、鍔部11fを後部に形成している。鍔部11fを把持することで、メスコネクタ10をオスコネクタ20から容易に引き抜くことができる。
【0045】
(リテーナの構成)
次に、リテーナ3の構成を説明する。図5又は図6を参照すると、リテーナ3は、絶縁性を有する合成樹脂からなることが好ましい。絶縁性を有する合成樹脂を成形することで、横長の直方体状のリテーナ3を得ることができる。
【0046】
図5を参照すると、リテーナ3は、キャビティ11cと同じピッチで配列した窓孔31wを下段に有している。窓孔31wには、一定の条件下で雌端子5を挿入できる。又、リテーナ3は、雌端子5に設けた二次被係止部522(図11又は図12参照)に係合可能な抜け止め部31cを上下二段に設けている。更に、リテーナ3は、その両側面から相反する向きに突出した一対の係止突起31・31を有している。
【0047】
(相手側コネクタの構成)
次に、実施形態によるオスコネクタ20の構成を説明する。図1又は図2及び図9又は図10を参照すると、オスコネクタ20は、直方体状のハウジング2、一対の平板状の補強タブ4・4、及び、複数の雄端子6を備えている。ハウジング2は、絶縁性を有する合成樹脂からなることが好ましい。絶縁性を有する合成樹脂を成形することで、横長の直方体状のハウジング2を得ることができる。
【0048】
図9又は図10を参照すると、一対の補強タブ4・4は、ハウジング2の両側面に圧入されている。補強タブ4の先端部は、図示しないプリント基板に開口したスルーホールに挿入され、補強タブ4の先端部がプリント基板のスルーホールにハンダ接合されることで、プリント基板に対するオスコネクタ20の接合強度を補強できる。
【0049】
図9又は図10を参照すると、雄端子6は、ピンコンタクトからなり、一端部側と他端部側が略直角に屈曲している。雄端子6の一端部側は、ハウジング2に圧入されていると共に、接続開口21に臨んで配置されている(図9(A)参照)。
【0050】
図9又は図10を参照すると、雄端子6の他端部は、その先端部が図示しないプリント基板に開口したスルーホールに挿入され、雄端子6の他端部の先端部がプリント基板のスルーホールにハンダ接合されることで、オスコネクタ20を介して、プリント基板とメスコネクタ10を電気的に接続できる。又、実施形態によるオスコネクタ20は、メスコネクタ10がプリント基板の面と略平行に挿抜される、サイドタイプの電気コネクタである。オスコネクタ20は、メスコネクタ10がプリント基板の面と直交する方向から挿抜される、トップタイプの電気コネクタで構成することもできる。
【0051】
[電気コネクタの作用]
次に、実施形態によるメスコネクタ10の動作を説明しながら、メスコネクタ10の作用及び効果を説明する。
【0052】
最初に、図12又は図14(A)を参照して、電線W付き雌端子5をハウジング本体11の後方に配置しておく。又、図15(A)に示すようにリテーナ3をハウジング本体11の下方に配置しておく。次に、リテーナ3をハウジング本体11の挿入開口111(図12参照)に挿入する。
【0053】
リテーナ3を挿入開口111に挿入して、係止突起31が仮ロック部1frを乗り越えると(図13(A)参照)、リテーナ3に設けた窓孔31w(図5参照)がキャビティ11cと連通してリテーナ3をハウジング1の内部に保持した仮係止状態になる。
【0054】
図13(A)に示した仮係止可能状態において、雌端子5をキャビティ11cに挿入し、雌端子5の先端縁がフロントカバー12の内壁に当接すると(図14(B)参照)、図14(B)に示すように、ランス11bが弾性復帰して一次被係止部521に一次係止する。これにより、雌端子5をハウジング本体11から抜け止めできる。
【0055】
次に、図14(B)に示した仮係止状態から、リテーナ3を挿入開口111の奥部に挿入して、係止突起31が本ロック部1srを乗り越えると(図13(B)参照)、雌端子5をハウジング1の内部にロックした本係止状態になる(図13(C)参照)。図13(C)に示した本係止状態では、抜け止め部31cが二次被係止部522の後方に進出することで、雌端子5は二次係止される。このように、メスコネクタ10は、ランス11bと抜け止め部31cの協働により、雌端子5を二重係止している。
【0056】
実施形態によるメスコネクタ10は、雌端子5をハウジング1の内部に係止するリテーナ3を備えた電気コネクタであって、オスコネクタ20との嵌合方向を規制するリブ11rをハウジング1の両側面に設け、リテーナ3との係止構造をリブ11rの内部に構成しているので、ハウジング1の長手方向のサイズを小型化できる。
【0057】
例えば、本発明による電気コネクタは、プラグであってよく、このプラグに接続される相手側コネクタがリセプタクルであってよい。実施形態による電気コネクタが電線付きのコネクタであって、相手側コネクタがプリント基板に実装されるプリント基板用コネクタであってよく、このように、一方のコネクタと他方のコネクタが互いに嵌合可能な一組のコネクタは、いわゆるワイヤー・ツゥー・ボード・コネクタ(Wire to Board Connector)と呼ばれている。
【0058】
例えば、本発明による電気コネクタは、一方のコネクタ及び他方のコネクタが電線付きのコネクタであってよく、このように、一方のコネクタと他方のコネクタが電線を介在して互いに嵌合可能な一組のコネクタは、いわゆるワイヤー・ツゥー・ワイヤー・コネクタ(Wire to Wire Connector)と呼ばれている。又、中継コネクタとも呼ばれている。
【符号の説明】
【0059】
1 ハウジング
1fr 仮ロック部
1sr 本ロック部
3 リテーナ
5 雌端子
10 メスコネクタ(電気コネクタ)
11c キャビティ
11r リブ
20 オスコネクタ(相手側コネクタ)
31 係止突起
31c 抜け止め部
31w 窓孔
111 挿入開口
図1
図2
図3
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