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  • 特開-車載装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175538
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】車載装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/14 20100101AFI20231205BHJP
【FI】
G01S19/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088026
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八城 美穂
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062BB01
5J062CC07
5J062DD24
(57)【要約】
【課題】少なくとも車両の現在位置の測位精度が高い場合に、現在位置を特定するために必要な情報を出力することができる車載情報処理装置を提供する。
【解決手段】車載機(車載装置)は、車両に搭載されて、複数の異なるGPS衛星(測位衛星)からの信号を受信するGPS信号受信部(受信部)と、GPS信号受信部がGPS衛星からの信号を受信した時刻を計測するGPS信号受信時刻計測部(計測部)と、GPS信号受信部が受信したGPS信号の数が閾値以上であるかを判定する測位精度判定部(判定部)と、測位精度判定部が、GPS信号の数が閾値以上であると判定した場合に、車両を特定する識別情報と、GPS信号受信部が受信した信号と、GPS信号受信時刻計測部が計測した時刻と、を関連付けた情報を出力する情報アップロード処理部(出力部)と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載装置であって、
複数の異なる測位衛星からの信号を受信する受信部と、
前記受信部が前記信号を受信した時刻を計測する計測部と、
前記受信部が受信した前記信号の数が閾値以上であるかを判定する判定部と、
前記判定部が、前記信号の数が前記閾値以上であると判定した場合に、前記車両を特定する識別情報と、前記受信部が受信した信号と、前記計測部が計測した時刻と、を関連付けた情報を出力する出力部と、を備える、
車載装置。
【請求項2】
前記出力部は、前記判定部の判定結果に係る情報と、前記車両を特定する識別情報と、前記受信部が受信した信号と、前記計測部が計測した時刻とを関連付けた情報を出力する、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記車載装置の電源が投入されてから所定時間以上経過した後で、前記受信部が受信した前記信号の数が閾値未満であるかを判定する、
請求項1または請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記車載装置と接続された携帯端末を介して、前記情報を、前記車両の外部に設置されたサーバ装置に出力する、
請求項1または請求項2に記載の車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、車両に車載機を搭載して、車載機と外部サーバとを通信回線によって接続して、車載機が取得した、車両の現在位置等の各種車両情報をサーバにアップロードする機能が開発されている。このような機能を搭載することによって、車両とインターネットとの常時接続が可能となる。このような機能を備えた車両は、コネクテッドカーと呼ばれている。
【0003】
例えば、特許文献1には、受信した複数の衛星からのGPS信号に基づいて測位を行う車載装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-310541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された車載装置にあっては、GPS衛星から受信したGPS信号と、車載の方位センサ及び距離センサを用いて、車両の現在位置の測位を行っている。しかし、測位精度については言及されておらず、測位された車両の現在位置は、精度が高い現在位置と、精度が低い現在位置とが混在したものになってしまうという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、少なくとも車両の現在位置の測位精度が高い場合に、現在位置を特定するために必要な情報を出力することができる車載装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明に係る車載装置は、車両に搭載されて、複数の異なる測位衛星からの信号を受信する受信部と、受信部が信号を受信した時刻を計測する計測部と、受信部が受信した信号の数が閾値以上であるかを判定する判定部と、判定部が、信号の数が閾値以上であると判定した場合に、車両を特定する識別情報と、受信部が受信した信号と、計測部が計測した時刻と、を関連付けた情報を出力する出力部と、を備える。
【0008】
この構成によれば、少なくとも、車両の現在位置の測位精度が高い場合に、現在位置を特定するために必要な情報を出力することができる。
【0009】
また、本発明に係る車載装置において、出力部は、判定部の判定結果に対応する情報と、車両を特定する識別情報と、受信部が受信した信号と、計測部が計測した時刻とを関連付けた情報を出力する。
【0010】
この構成によれば、車両の現在位置情報を、測位精度に応じた形で活用することができる。
【0011】
また、本発明に係る車載装置において、判定部は、車載装置の電源が投入されてから所定時間以上経過した後で、受信部が受信した信号の数が閾値未満であるかを判定する。
【0012】
この構成によれば、測位状態が安定するのを待ってから測位精度を判定することができる。
【0013】
また、本発明に係る車載装置において、出力部は、車載装置と接続された携帯端末を介して、情報を、車両の外部に設置されたサーバ装置に出力する。
【0014】
この構成によれば、車載装置に通信機能を持たせる必要がないため、安価な車載装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車両の現在位置の測位精度が高い場合に、現在位置を特定するために必要な情報を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施の形態の車載機を用いた車両情報モニタシステムの概略構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態の車載機の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図3図3は、実施の形態の車載機が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4図4は、実施の形態の変形例の車載機が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
(実施の形態)
図1を用いて、本発明の実施の形態の車載装置について説明する。図1は、実施の形態の車載機を用いた車両情報モニタシステムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
(車両情報モニタシステムの全体構成)
車両情報モニタシステム10は、車両5の現在位置、車両5の状態(車両の挙動、運転者の状態)等をクラウド上に置かれたサーバ装置23でモニタするシステムである。
【0020】
車両情報モニタシステム10は、車両5に搭載された車載機11と、ECU18と、スマートフォン22とを備える。また、車両情報モニタシステム10は、GPS衛星20と、サーバ装置23とを備える。
【0021】
車載機11は、車両5の現在位置の特定に必要なGPS信号を受信する。また、車載機11は、車両5に設置された各種のECU18から、車両5の状態に係る情報を取得する。また、車載機11は、当該車載機11と接続されたスマートフォン22に対して、受信または取得した各種情報を出力する。なお、車載機11は、本開示における車載装置の一例である。
【0022】
ECU18は、車両5に搭載された各種制御装置の動作を司る。また、ECU18は、各種制御装置の動作状態等に係る情報を出力する。ECU18は、例えば、車両に搭載されたエンジン制御装置、モータ制御装置、ADAS制御装置、駆動力制御装置、空調制御装置、オーディオ制御装置、ドライバモニタ装置等にそれぞれ設置される。ECU18が出力した情報は、例えば、CAN17等のネットワークを介して車載機11に送られる。
【0023】
スマートフォン22は、例えば、車両5の運転者が所持する、通信機能を備えた携帯端末である。スマートフォン22は、Bluetooth(登録商標)等による無線接続、またはUSBケーブルによる有線接続によって、車載機11と接続される。スマートフォン22は、車載機11が出力した各種情報を取得して、車両5の外部に設置されたサーバ装置23に送信する。なお、スマートフォン22の代わりに、通信機能を有する端末装置を用いてもよい。また、車載機11が通信機能を備えてもよい。このように、車両5は、当該車両5の外部に設置されたサーバ装置23と接続されて、必要に応じて情報の送受信が可能な、いわゆるコネクテッドカーの機能を備えている。
【0024】
GPS衛星20は、衛星測位を行うために必要な信号(GPS信号)を送信する衛星である。GPS衛星20は、自身の位置を特定する情報と、電波の送出時刻とを含むGPS信号を送信する。GPS衛星20は複数存在しており、各々のGPS衛星20が、それぞれGPS信号を送信する。なお、GPS衛星20は、本開示における測位衛星の一例である。
【0025】
サーバ装置23は、車両5の外部、例えばクラウド上に存在する情報処理装置である。サーバ装置23は、車載機11からスマートフォン22を介して送信された各種情報を受信する。また、サーバ装置23は、車載機11から受信した車両5の測位に必要な情報、および車両5のECU18から取得した各種情報に基づいて動作する各種アプリケーションプログラムを備えている。サーバ装置23は、受信した情報に基づいて、車両5の現在位置の測位を行うとともに、当該サーバ装置23にアクセスしたユーザのリクエストに応じて、受信した各種情報に対して、自身が備える各種アプリケーションプログラムを動作させる。これによって、サーバ装置23は、車両5の走行履歴、車両5に搭載された各種制御装置の動作状態等の各種情報を提供する。
【0026】
(車載機の詳細構成)
続いて、図1を用いて、車載機11のハードウエア構成を説明する。
【0027】
車載機11は、制御部12と、記憶部13と、GPSレシーバ14と、通信インタフェース15とを備える。
【0028】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)12aが制御主体となって、制御プログラムPを実行する、一般的なコンピュータシステムの構成を有する。CPU12aは、バスライン16を介して、ROM(Read Only Memory)12b、RAM(Random Access Memory)12cと夫々接続する。
【0029】
RAM12cは主記憶装置であり、CPU12aが演算処理を行う際に、演算結果の一時記憶部として機能する。ROM12bは補助記憶装置である。ROM12bは、CPU12aが行う演算処理に必要なデータを記憶する。
【0030】
記憶部13は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の不揮発性の記憶媒体を備えた記憶装置で構成される。記憶部13は、CPU12aが実行する制御プログラムPを記憶する。なお、制御プログラムPは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、CD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。また、制御プログラムPは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納しておき、ネットワーク経由で車載機11にダウンロードしてもよい。
【0031】
(車載機の機能構成)
図2を用いて、車載機11の機能構成を説明する。図2は、実施の形態の車載機の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0032】
車載機11の制御部12は、制御プログラムPをRAM12cに展開して動作させることによって、図2に示す車載機通電制御部31と、GPS信号受信部32と、GPS信号受信時刻計測部33と、測位精度判定部34と、車両情報取得部35と、情報アップロード処理部36と、スマートフォン接続制御部37とを、機能部位として実現する。
【0033】
車載機通電制御部31は、車載機11に対する電源のON、OFFを制御する。
【0034】
GPS信号受信部32は、複数の異なるGPS衛星(測位衛星)からの信号を受信する。なお、GPS信号受信部32は、本開示における受信部の一例である。
【0035】
GPS衛星20から発信されるGPS信号は、少なくとも、GPS衛星20の位置を示す情報と、GPS信号を送信した時刻とを含む。
【0036】
GPS信号受信時刻計測部33は、GPS信号受信部32がGPS信号を受信した時刻を計測する。なお、GPS信号受信時刻計測部33は、本開示における計測部の一例である。
【0037】
GPS信号受信時刻計測部33は、具体的には、GPSレシーバ14またはCPU12aが備える内部時計によって、GPS信号を受信した時刻を計測する。また、GPS信号受信時刻計測部33は、車載機11の電源がオンになってからの経過時間を測定する。
【0038】
測位精度判定部34は、GPS信号受信部32が受信したGPS信号の数が閾値以上であるかを判定する。なお、測位精度判定部34は、本開示における判定部の一例である。
【0039】
GPSレシーバ14が受信したGPS信号から車両5の現在位置を測位するためには、最低4個の異なるGPS衛星20から受信したGPS信号が必要である。より具体的には、車両5の現在位置(X,Y,Z)と、GPS衛星20が備える内部時計とGPSレシーバ14またはCPU12aが備える内部時計との間の時刻誤差と、を特定する必要がある。即ち、4個の未知数を決定する必要があるため、最低でも4個のGPS信号を受信する必要がある。なお、GPS衛星20は、合計24機が軌道上を周回しているため、5個以上のGPS信号を受信することによって、測位精度をより一層向上させることも可能である。本実施の形態の車載機11は、閾値以上の数のGPS信号を受信した際に、車両5の現在位置を高い精度で測位することが可能であると判定する。即ち、本実施の形態においては、閾値は4以上の数値が設定される。
【0040】
車両情報取得部35は、各々のECU18から、車両情報を取得する。
【0041】
情報アップロード処理部36は、測位精度判定部34が、GPS信号の数が閾値以上であると判定した場合に、車両5を特定する識別情報と、GPS信号受信部32が受信したGPS信号と、GPS信号受信時刻計測部33が計測した時刻とを関連付けた情報を出力する。なお、情報アップロード処理部36は、本開示における出力部の一例である。ここで、車両5を特定する識別情報は、例えば、車両情報モニタシステム10を利用する各々の車両5に対して、予め発行されるID情報である。サーバ装置23には、不特定多数の車両5から情報がアップロードされるため、どの車両5からアップロードされた情報であるかを識別するために、車両5を特定する識別情報が必要になる。
【0042】
スマートフォン接続制御部37は、車載機11とスマートフォン22との通信の接続および切断を行う。
【0043】
(車載機が行う処理の流れ)
図3を用いて、車載機11が行う処理の流れを説明する、図3は、実施の形態の車載機が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0044】
車載機通電制御部31は、車載機11の電源をオンにする(ステップS11)。なお、車載機通電制御部31は、車両5のイグニッションスイッチやメインスイッチがオンになった際に、それに連動して車載機11の電源をオンにすればよい。
【0045】
スマートフォン接続制御部37は、車載機11とスマートフォン22とが接続されたかを判定する(ステップS12)。車載機11とスマートフォン22とが接続されたと判定される(ステップS12:Yes)とステップS13に進む。一方、車載機11とスマートフォン22とが接続されたと判定されない(ステップS12:No)とステップS12を繰り返す。
【0046】
ステップS12において、車載機11とスマートフォン22とが接続されたと判定されると、GPS信号受信部32は、GPS信号を受信する(ステップS13)。
【0047】
測位精度判定部34は、GPS信号受信部32が受信したGPS信号の数が閾値以上であるかを判定する(ステップS14)。GPS信号受信部32が受信したGPS信号の数が閾値以上であると判定される(ステップS14:Yes)とステップS15に進む。一方、GPS信号受信部32が受信したGPS信号の数が閾値以上であると判定されない(ステップS14:No)とステップS16に進む。
【0048】
ステップS14において、GPS信号受信部32が受信したGPS信号の数が閾値以上であると判定されると、情報アップロード処理部36は、GPS信号受信部32が受信したGPS信号と、各GPS信号が受信された時刻とを、サーバ装置23にアップロードする(ステップS15)。その後、ステップS17に進む。
【0049】
一方、ステップS14において、GPS信号受信部32が受信したGPS信号の数が閾値以上であると判定されないと、GPS信号受信時刻計測部33は、車載機11の電源がオンになってからの経過時間が所定時間以内であるかを判定する(ステップS16)。車載機11の電源がオンになってからの経過時間が所定時間以内であると判定される(ステップS16:Yes)とステップS13に戻る。一方、車載機11の電源がオンになってからの経過時間が所定時間以内であると判定されない(ステップS16:No)とステップS17に進む。
【0050】
ステップS15に続いて、または、ステップS16において、車載機11の電源がオンになってからの経過時間が所定時間以内であると判定されないと、車両情報取得部35は、各々のECU18から、車両情報を取得する(ステップS17)。
【0051】
情報アップロード処理部36は、車両情報取得部35が取得した車両情報を、サーバ装置23にアップロードする(ステップS18)。
【0052】
車載機通電制御部31は、車載機11の電源がオフであるかを判定する(ステップS19)。車載機11の電源がオフであると判定される(ステップS19:Yes)と、車載機11は、図3の処理を終了する。一方、車載機11の電源がオフであると判定されない(ステップS19:No)と、ステップS13に戻る。
【0053】
なお、図3のフローチャートには記載しないが、情報アップロード処理部36は、例えば、ステップS18において、車両5を一意に特定する識別情報もサーバ装置23にアップロードする。
【0054】
(実施の形態の作用効果)
以上説明したように、実施の形態の車載機11(車載装置)は、車両5に搭載されて、複数の異なるGPS衛星20(測位衛星)からの信号を受信するGPS信号受信部32(受信部)と、GPS信号受信部32がGPS衛星20からの信号を受信した時刻を計測するGPS信号受信時刻計測部33(計測部)と、GPS信号受信部32が受信したGPS信号の数が閾値以上であるかを判定する測位精度判定部34(判定部)と、測位精度判定部34が、GPS信号の数が閾値以上であると判定した場合に、車両5を特定する識別情報と、GPS信号受信部32が受信した信号と、GPS信号受信時刻計測部33が計測した時刻と、を関連付けた情報を出力する情報アップロード処理部36(出力部)と、を備える。したがって、少なくとも、車両5の現在位置の測位精度が高い場合に、現在位置を特定するために必要な情報を出力することができる。また、車載機11自身は測位を行わないため、構成を簡素化することができる。
【0055】
また、実施の形態の車載機11(車載装置)において、測位精度判定部34(判定部)は、車載機11(車載装置)の電源が投入されてから所定時間以上経過した後で、GPS信号受信部32(受信部)が受信したGPS信号の数が閾値未満であるかを判定する。したがって、測位状態が安定するのを待って、測位精度を判定することができる。
【0056】
また、実施の形態の車載機11(車載装置)において、情報アップロード処理部36(出力部)は、車載機11(車載装置)と接続されたスマートフォン22(携帯端末)を介して、車載機11が取得した情報を、車両5の外部に設置されたサーバ装置23に出力する。したがって、車載機11は、少なくともGPS信号を受信できる機能を備えればよいため、車載機11を安価に提供することができる。
【0057】
(実施の形態の変形例)
次に、前記した実施の形態の変形例について説明する。この変形例の車載機11a(非図示)は、GPS信号の捕捉数に対応した情報をサーバ装置23にアップロードするものである。以下の説明では、GPS信号とその受信時刻とを、GPS信号の捕捉数とともにサーバ装置23にアップロードする例を説明する。これにより、サーバ装置23は、車載機11aから取得したGPS信号を、その受信状態に応じて活用することができる。
【0058】
例えば、GPS信号を受信しにくい地下駐車場で車載機11の電源をオンにした場合、実施の形態で説明した車載機11では、地下駐車場から地上に出て、閾値以上のGPS信号を受信するまでは、車両5の測位に必要なGPS信号をサーバ装置23にアップロードしない。したがって、車両5が地下駐車場にいることはわからない。これに対して、実施の形態の変形例の車載機11aでは、受信したGPS信号の数が閾値に満たない場合であっても、車載機11aは、受信したGPS信号をサーバ装置23にアップロードするため、サーバ装置23は、送信されたGPS信号を用いて、測位精度は落ちるが、車両5の現在位置を推定することができる。
【0059】
(車載機が行う処理の流れ)
図4を用いて、実施の形態の変形例の車載機11aが行う処理の流れを説明する、図4は、実施の形態の変形例の車載機が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0060】
図4のフローチャートに示す処理の流れは、実施の形態で説明した図3のフローチャートとほぼ同じであるため、相違点のみを説明する。
【0061】
図3のフローチャートでは、補足したGPS衛星20の数が閾値未満であって、尚且つ車載機11の電源オンから所定時間を超えている場合は、GPS信号のアップロードを行わなかった。これに対して、図4のフローチャートでは、補足したGPS衛星20の数が閾値未満であって、尚且つ車載機11の電源オンから所定時間を超えている場合であっても、GPS信号のアップロードを行う。
【0062】
即ち、図4のステップS24において、測位精度判定部34は、GPS信号受信部32が受信したGPS信号の数が閾値以上であるかを判定する。GPS信号受信部32が受信したGPS信号の数が閾値以上であると判定される(ステップS24:Yes)とステップS25に進む。一方、GPS信号受信部32が受信したGPS信号の数が閾値以上であると判定されない(ステップS24:No)とステップS26に進む。
【0063】
ステップS24において、GPS信号受信部32が受信したGPS信号の数が閾値以上であると判定されないと、GPS信号受信時刻計測部33は、車載機11の電源がオンになってからの経過時間が所定時間以内であるかを判定する(ステップS26)。車載機11の電源がオンになってからの経過時間が所定時間以内であると判定される(ステップS26:Yes)とステップS23に戻る。一方、車載機11の電源がオンになってからの経過時間が所定時間以内であると判定されない(ステップS26:No)とステップS25に進む。
【0064】
ステップS24において、GPS信号受信部32が受信したGPS信号の数が閾値以上であると判定されるか、または、ステップS26において、車載機11の電源がオンになってからの経過時間が所定時間以内であると判定されないと、情報アップロード処理部36は、GPS信号受信部32が受信したGPS信号の数と、GPS信号と、各GPS信号が受信された時刻とを、サーバ装置23にアップロードする(ステップS25)。
【0065】
それ以外の処理の内容は、図3のフローチャートと同じであるため、説明を省略する。
【0066】
なお、図4のフローチャートでは、ステップS26において、GPS信号受信時刻計測部33は、車載機11aの電源がオンになってからの経過時間が所定時間以内であるかを判定しているが、この判定は省略してもよい。即ち、車載機11aは、電源がオンになってからの経過時間に関わらずに、受信したGPS信号の数とGPS信号と受信時刻とをサーバ装置23にアップロードしてもよい。
【0067】
また、図4のフローチャートでは、測位精度判定部34(判定部)の判定結果に係る情報として、受信したGPS信号の数をアップロードしている。そして、GPS信号を受信したサーバ装置23は、GPS信号の数に基づいて、測位精度が高いか低いかを判定する。これ以外に、車載機11aは、単にGPS信号のみをアップロードしてもよい。また、車載機11aは、GPS信号とともに、受信したGPS信号の数が閾値以上か閾値未満かを示す情報をアップロードしてもよい。
【0068】
(実施の形態の変形例の作用効果)
以上説明したように、実施の形態の変形例の車載機11(車載装置)において、情報アップロード処理部36(出力部)は、測位精度判定部34(判定部)の判定結果に係る情報と、車両5を特定する識別情報と、GPS信号受信部32(受信部)が受信したGPS信号と、GPS信号受信時刻計測部33(計測部)が計測した時刻とを関連付けた情報を出力する。したがって、出力されたGPS信号を取得したサーバ装置23は、当該GPS信号を、そのときの測位精度に応じて活用することができる。
【0069】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上述した実施の形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、この実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
5 車両
10 車両情報モニタシステム
11、11a 車載機(車載装置)
12 制御部
13 記憶部
14 GPSレシーバ
18 ECU
20 GPS衛星(測位衛星)
22 スマートフォン(携帯端末)
23 サーバ装置
31 車載機通電制御部
32 GPS信号受信部(受信部)
33 GPS信号受信時刻計測部(計測部)
34 測位精度判定部(判定部)
35 車両情報取得部
36 情報アップロード処理部(出力部)
37 スマートフォン接続制御部
図1
図2
図3
図4