IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニック株式会社の特許一覧

特開2023-175566取付型電気機器用カバーおよび取付型電気機器
<>
  • 特開-取付型電気機器用カバーおよび取付型電気機器 図1A
  • 特開-取付型電気機器用カバーおよび取付型電気機器 図1B
  • 特開-取付型電気機器用カバーおよび取付型電気機器 図2
  • 特開-取付型電気機器用カバーおよび取付型電気機器 図3A
  • 特開-取付型電気機器用カバーおよび取付型電気機器 図3B
  • 特開-取付型電気機器用カバーおよび取付型電気機器 図3C
  • 特開-取付型電気機器用カバーおよび取付型電気機器 図4
  • 特開-取付型電気機器用カバーおよび取付型電気機器 図5
  • 特開-取付型電気機器用カバーおよび取付型電気機器 図6A
  • 特開-取付型電気機器用カバーおよび取付型電気機器 図6B
  • 特開-取付型電気機器用カバーおよび取付型電気機器 図7
  • 特開-取付型電気機器用カバーおよび取付型電気機器 図8
  • 特開-取付型電気機器用カバーおよび取付型電気機器 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175566
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】取付型電気機器用カバーおよび取付型電気機器
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/18 20060101AFI20231205BHJP
   H02G 3/08 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H02G3/18 050
H02G3/08 080
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088069
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 駿
(72)【発明者】
【氏名】三宅 清太
(72)【発明者】
【氏名】川本 隆司
(72)【発明者】
【氏名】荒木 菜摘
【テーマコード(参考)】
5G361
【Fターム(参考)】
5G361AA02
5G361AB09
5G361AC01
5G361AC03
5G361AC09
5G361AD01
5G361CA02
5G361CB01
(57)【要約】
【課題】防気効果および防塵効果の低下を抑制しつつ、内部に侵入した液体を排水することができる取付型電気機器用カバーおよび取付型電気機器を提供する。
【解決手段】取付型電気機器用カバー30は、造営材に形成された第一の貫通孔11を介して取り付けられる電気機器20を取り付けるための取付金具50を収容するとともに、第一の貫通孔11を閉塞するように設置される取付型電気機器用カバー30である。また、取付型電気機器用カバー30には、カバー開口部30aと対向する底壁31と底壁31からカバー開口部30aに向けて立設し、カバー開口部30aを形成する側壁32との少なくとも一方に第二の貫通孔35が形成されている。そして、取付型電気機器用カバー30は、取付金具50が造営材と接触する前後のいずれの状態においても、取付金具50を収容可能な可撓性を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造営材に形成された第一の貫通孔を介して取り付けられる電気機器を取り付けるための取付金具を収容するとともに、前記第一の貫通孔を閉塞するように設置される取付型電気機器用カバーであって、
前記取付金具は、前記造営材への取付時および取付後に前記造営材における露出面と反対側の面または前記第一の貫通孔を形成する前記造営材の側壁面と接触可能な可動性を備えており、
前記取付型電気機器用カバーには、開口部と対向する底壁と前記底壁から前記開口部に向けて立設し、前記開口部を形成する側壁との少なくとも一方に第二の貫通孔が形成され、
前記取付型電気機器用カバーは、前記取付金具が前記造営材と接触する前後のいずれの状態においても、前記取付金具を収容可能な可撓性を備える、
取付型電気機器用カバー。
【請求項2】
前記電気機器である取付型床用コンセントを前記第一の貫通孔に取り付けるときに用いられる、
請求項1に記載の取付型電気機器用カバー。
【請求項3】
前記側壁には、前記底壁から前記開口部に向かう方向に沿って複数の溝部が形成されており、
前記底壁は、前記側壁から前記底壁の中心部に向けて漸次縮径するように形成された複数の段差部を備えている、
請求項1または2に記載の取付型電気機器用カバー。
【請求項4】
前記側壁は、前記開口部側に形成された第一の側壁と、前記底壁側に形成された第二の側壁とを備え、前記第二の側壁は、前記第一の側壁に対して中心軸からの距離が短く、少なくとも前記第一の側壁には、複数の溝部が形成されている、
請求項1または2に記載の取付型電気機器用カバー。
【請求項5】
前記底壁または前記側壁に形成された第二の貫通孔の少なくとも一方には、電線が通線されている、
請求項1または2に記載の取付型電気機器用カバー。
【請求項6】
少なくとも1つの前記第二の貫通孔には、電線が通線されている、
請求項1または2に記載の取付型電気機器用カバー。
【請求項7】
前記底壁に形成された第二の貫通孔は、前記底壁において、前記開口部と最も離れた位置よりも前記開口部側に形成されている、
請求項1または2に記載の取付型電気機器用カバー。
【請求項8】
前記底壁に形成された第二の貫通孔は、前記底壁において、前記開口部と最も離れた位置に形成されている、
請求項1または2に記載の取付型電気機器用カバー。
【請求項9】
前記第二の貫通孔の形状は、開口面が方形状、円形状、切り込まれた直線形状、および、切り込まれた十字形状のいずれかである、
請求項1または2に記載の取付型電気機器用カバー。
【請求項10】
請求項1または2に記載の取付型電気機器用カバーと、
前記取付型電気機器用カバーで収容される取付金具と、を備えている、
取付型電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、取付型電気機器用カバーおよび取付型電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の取付型電気機器用カバーとして用いられる耐火カバーが開示されている。
【0003】
耐火カバーは、耐火材料により底壁および側壁を有する有底箱状に形成されたカバー本体を備えている。カバー本体は、底壁に対向する前面で開口する開口部と、配線器具固定具を収容するための収容部と、開口部の外周に沿って延在し、前面で壁裏面に当接する当接部と、配線器具が配線器具固定具に固定されるときに、配線器具および配線器具固定具が壁材の貫通孔に配置されることによって壁材とともに挟持される被挟持部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-129850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、配線器具等を壁材に取り付ける場合、耐火カバーが壁材の貫通孔を封止することで外部からの有毒ガス、煙等の流入を抑制している。しかしながら、不意に液体が侵入した場合、耐火カバー内に液体が溜まるため、配線器具が液体によって故障してしまうという課題がある。
【0006】
そこで、本開示は、防気効果および防塵効果の低下を抑制しつつ、内部に侵入した液体を排水することができる取付型電気機器用カバーおよび取付型電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る取付型電気機器用カバーは、造営材に形成された第一の貫通孔を介して取り付けられる電気機器を取り付けるための取付金具を収容するとともに、前記第一の貫通孔を閉塞するように設置される取付型電気機器用カバーであって、前記取付金具は、前記造営材への取付時および取付後に前記造営材における露出面と反対側の面または前記第一の貫通孔を形成する前記造営材の側壁面と接触可能な可動性を備えており、前記取付型電気機器用カバーには、開口部と対向する底壁と前記底壁から前記開口部に向けて立設し、前記開口部を形成する側壁との少なくとも一方に第二の貫通孔が形成され、前記取付型電気機器用カバーは、前記取付金具が前記造営材と接触する前後のいずれの状態においても、前記取付金具を収容可能な可撓性を備える。
【0008】
また、本開示の一態様に係る取付型電気機器は、取付型電気機器用カバーと、前記取付型電気機器用カバーで収容される取付金具と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本開示の取付型電気機器用カバー等によれば、防気効果および防塵効果の低下を抑制しつつ、内部に侵入した液体を排水することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A図1Aは、造営材に設置された取付型電気機器用カバーおよび取付型電気機器の外観を示す斜視図である。
図1B図1Bは、造営材に設置された別の取付型電気機器用カバーおよび取付型電気機器の外観を示す斜視図である。
図2図2は、実施の形態に係る取付型電気機器用カバー、電気機器、機器収容部および取付金具の外観を示す斜視図である。
図3A図3Aは、側壁に第二の貫通孔が形成された取付型電気機器用カバーの外観を示す斜視図である。
図3B図3Bは、底壁に第二の貫通孔が形成された取付型電気機器用カバーの外観を示す斜視図である。
図3C図3Cは、実施の形態に係る別の取付型電気機器用カバーの外観を示す斜視図である。
図4図4は、実施の形態に係る取付型電気機器用カバーの第二の貫通孔の形状を示す図である。
図5図5は、図2のV-V線における取付型電気機器用カバー、機器収容部および取付金具を示す断面図である。
図6A図6Aは、造営材の第一の貫通孔に取付型電気機器用カバー、機器収容部および取付金具の取付状態を示す断面図である。
図6B図6Bは、別の造営材の第一の貫通孔に取付型電気機器用カバー、機器収容部および取付金具の取付状態を示す断面図である。
図7図7は、実施の形態の変形例に係る取付型電気機器用カバー、電気機器、機器収容部および取付金具の外観を示す斜視図である。
図8図8は、実施の形態の変形例に係る別の取付型電気機器用カバーの外観を示す斜視図である。
図9図9は、その他変形例に係る取付型電気機器用カバーの外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略垂直および筒状の表現を用いている。例えば、略垂直および筒状は、完全に垂直および完全に筒であることを意味するだけでなく、実質的に垂直および実質的に筒である、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略垂直および筒状は、本開示による効果を奏し得る範囲において垂直および筒という意味である。他の「略」および「状」を用いた表現についても同様である。
【0013】
また、以下の実施の形態では、取付型電気機器用カバーのフランジ部側をZ軸プラス方向と規定し、取付型電気機器用カバーの底壁側をZ軸マイナス方向と規定する。
【0014】
(実施の形態)
<構成>
まず、取付型電気機器用カバー30および取付型電気機器1の構成について図1A図6Bを用いて説明する。
【0015】
図1Aは、造営材に設置された実施の形態に係る取付型電気機器用カバー30および取付型電気機器1の外観を示す斜視図である。図1Aでは、取付型電気機器用カバー30の側壁32に形成された第二の貫通孔35に電線90が接続されている場合を例示している。図1Bは、造営材に設置された別の取付型電気機器用カバー30および取付型電気機器の外観を示す斜視図である。図1Bでは、取付型電気機器用カバー30の底壁31に形成された第二の貫通孔35に電線90が接続されている場合を例示している。図2は、実施の形態に係る取付型電気機器用カバー30、電気機器20、機器収容部40および取付金具50の外観を示す斜視図である。図3Aは、側壁32に第二の貫通孔35が形成された取付型電気機器用カバー30の外観を示す斜視図である。図3Bは、底壁31に第二の貫通孔35が形成された取付型電気機器用カバー30の外観を示す斜視図である。図3Cは、実施の形態に係る別の取付型電気機器用カバー30の外観を示す斜視図である。図4は、実施の形態に係る取付型電気機器用カバー30の第二の貫通孔35の形状を示す図である。図5は、図2のV-V線における取付型電気機器用カバー30、機器収容部40および取付金具50を示す断面図である。なお、図5では、電気機器、取付型電気機器用カバー30の溝部および段差部の図示を省略している。図6Aは、造営材の第一の貫通孔11に取付型電気機器用カバー30、機器収容部40および取付金具50の取付状態を示す断面図である。図6Bは、別の造営材の第一の貫通孔11に取付型電気機器用カバー30、機器収容部40および取付金具50の取付状態を示す断面図である。
【0016】
図1A及び図1Bに示すように、取付型電気機器1は、造営材に形成された第一の貫通孔11を介して取り付けられる機器である。具体的には、取付型電気機器1は、一部分が造営材の表面から露出し、残りの部分が造営材に埋め込まれるように第一の貫通孔11に挿入されて、第一の貫通孔11に固定されている。ここで造営材とは、建物を構成する床材、天井材、壁材等の構造材である。また、造営材の表面とは、露出している造営材の面である。表面は、露出面の一例である。
【0017】
取付型電気機器1は、電気機器20を内部に収容している。電気機器20は、例えば、電力用コンセント、電力用スイッチ、通信用コネクタ、電話用モジュラジャックコンセント、LAN(Local Area Network)用コンセント、報知機、警報機、TVコンセント、据付型センサ(例えば人感センサ等)等の、造営面に取り付けられる電子機器である。図1A及び図1Bでは、電気機器20として電力用コンセントを例示している。
【0018】
電気機器20は、取付型電気機器1に対して蓋体開口部42aに収容される姿勢に変位したり、蓋体開口部42aから飛び出る姿勢に変位したりするように回動する。
【0019】
図2図3Aおよび図3Bに示すように、取付型電気機器1は、取付型電気機器用カバー30と、機器収容部40と、取付型電気機器用カバー30で収容される取付金具50とを備えている。
【0020】
次に、取付型電気機器用カバー30の具体的な構成について説明する。
【0021】
[取付型電気機器用カバー30]
取付型電気機器用カバー30は、取付金具50を収容するとともに、第一の貫通孔11を閉塞するように設置される。つまり、取付型電気機器用カバー30は、造営材の裏面側から、電気機器20および取付金具50を覆った状態で第一の貫通孔11を閉塞している。取付型電気機器用カバー30は、電気機器20を覆うために用いられる。本実施の形態では、取付型電気機器用カバー30は、電気機器20である取付型床用コンセントを第一の貫通孔11に取り付けるときに用いられる。裏面は、露出面と反対側の面の一例である。
【0022】
取付型電気機器用カバー30は、透明または不透明のカバーである。取付金具50が取付型電気機器用カバー30に収容された場合、取付型電気機器用カバー30は、取付型電気機器用カバー30を介して電力線と電気的に接続される電気機器20の接続部を視認できる程度の透明性を有していることが好ましい。
【0023】
また、取付型電気機器用カバー30は、取付金具50が造営材と接触する前後のいずれの状態においても、取付金具50を収容可能な可撓性を備えている。
【0024】
また、取付型電気機器用カバー30は、例えば、EVA(Ethylene-Vinyl Acetate)等の酢酸ビニル系の材料、ポリエチレン等の樹脂材料で構成されている。
【0025】
取付型電気機器用カバー30は、電気機器20を内部に挿入するためのカバー開口部30aが形成された有底な筒状の容器であり、一方が開口し、他方が閉鎖している。本実施の形態の取付型電気機器用カバー30は、円筒状の容器である。なお、取付型電気機器用カバー30は、角筒状の容器であってもよい。また、取付型電気機器用カバー30の形状は、円筒状、角筒状の容器に限定されない。カバー開口部30aは、開口部の一例である。
【0026】
具体的には、取付型電気機器用カバー30は、底壁31と、側壁32と、フランジ部33とを備える。
【0027】
底壁31は、カバー開口部30aと対向している取付型電気機器用カバー30の底部である。
【0028】
また、底壁31は、複数の段差部31aを有している。
【0029】
複数の段差部31aのそれぞれは、底壁31において側壁32側から底壁31の中心部に向けて漸次縮径するように形成され、溝部34の長手方向に沿って収縮可能である。本実施の形態では、複数の段差部31aは、底壁31において、カバー開口部30aから遠ざかる方向、つまりZ軸マイナス方向に沿って漸次突出するように形成されている。
【0030】
また、複数の段差部31aのそれぞれは、円形状をなし、底壁31の中心部に対して同心円状となるように配置されている。なお、段差部31aは、多角形状であってもよい。段差部31aの形状は、円形状、多角形状に限定されない。
【0031】
側壁32は、底壁31の外周縁に接続され、底壁31の外周縁からカバー開口部30aに向けて立設している。つまり、側壁32は、管状をなし、底壁31に対して略垂直に立ち上がっている。
【0032】
また、側壁32には、底壁31からカバー開口部30aに向かう方向に沿った複数の溝部34が形成されている。側壁32の全周に渡って複数の溝部34が形成されているため、側壁32の外周面および内周面には、凹部と凸部とが繰り返す凹凸面が形成されている。
【0033】
本実施の形態では、複数の溝部34のそれぞれは、側壁32における底壁31側の端縁からカバー開口部30a側の端縁に至るまで延びている。
【0034】
フランジ部33は、カバー開口部30aを形成する側壁32の端縁と接続された鍔部である。フランジ部33は、カバー開口部30aを形成する側壁32の端縁から外側の径方向に延びている。つまり、フランジ部33は、カバー開口部30aの周囲に配置され、カバー開口部30aから外側に広がる方向に延びた形成されている。
【0035】
また、フランジ部33は、機器収容部40を造営材に取付けた際に、造営材の表面と機器収容部40とに挟まれる。これにより、フランジ部33が造営材と機器収容部40との間を封止することで、取付型電気機器用カバー30は、カバー開口部30a側から第一の貫通孔11を閉塞するように設置することができる。
【0036】
また、フランジ部33の形状は、図3Aおよび図3Bに示すように、円形状である。また、フランジ部33aの形状は、図3Cに示すように、方形状であってもよい。なお、フランジ部33、33aの形状は、円形状または方形状に限定されない。例えば、フランジ部33、33aの形状は、方形状以外の多角形状であってもよい。
【0037】
また、取付型電気機器用カバー30には、カバー開口部30aと対向する底壁31と底壁31からカバー開口部30aに向けて立設し、カバー開口部30aを形成する側壁32との少なくとも一方に第二の貫通孔35が形成されている。
【0038】
第二の貫通孔35は、取付型電気機器1に形成されている給電接続部52と対応するように、給電接続部52の開口と対向する位置に形成されている。なお、第二の貫通孔35は、給電接続部52の開口と対向する位置よりも底壁31側に形成されていてもよい。
【0039】
図1Aおよび図3Aでは第二の貫通孔35が側壁32に形成されている場合を例示している。この場合、給電接続部52の開口は、図2に示すように周壁部41bに形成される。図1Bおよび図3Bでは第二の貫通孔35が底壁31に形成されている場合を例示している。この場合、給電接続部52の開口は、底部41aに形成される。
【0040】
底壁31または側壁32に形成された第二の貫通孔35の少なくとも一方には、電線90が通線されている。つまり、図1Aおよび図3Aでは、底壁31に形成された第二の貫通孔35には、電線90が通線されている場合を例示し、図1Bおよび図3Bでは、側壁32に形成された第二の貫通孔35には、電線90が通線されている場合を例示している。また、取付型電気機器用カバー30の底壁31および側壁32の両方に第二の貫通孔35が形成されている場合、電線90が第二の貫通孔35に通線されていてもよい。つまり、少なくとも1つの第二の貫通孔35には、電線90が通線されていてもよい。
【0041】
また、図1A図1B図3Aおよび図3Bでは、1つの第二の貫通孔35に1つの電線90が通線されている場合を例示したが、これには限定されない。つまり、1つの第二の貫通孔35には、複数の電線90が通線されていてもよい。
【0042】
図3Aに示すように、第二の貫通孔35が側壁32に形成されている場合、側壁32に形成された第二の貫通孔35は、側壁32において、カバー開口部30a側よりも底壁31側に形成されていてもよい。
【0043】
また、図3Bに示すように、第二の貫通孔35が底壁31に形成されている場合、底壁31に形成された第二の貫通孔35は、底壁31において、カバー開口部30aと最も離れた位置よりもカバー開口部30a側に形成されていてもよい。つまり、底壁31に形成されている複数の段差部31aがカバー開口部30aから遠ざかる方向に沿って漸次突出しているため、第二の貫通孔35は、底壁31の中心部よりも、底壁31における側壁32側に形成されていてもよい。底壁31において、カバー開口部30aと最も離れた位置は、カバー開口部30aから最も離れた底壁31の一部分である。
【0044】
また、電気機器20内部に液体が侵入しないようにすることを考えると、第二の貫通孔35は、側壁32から底壁31に亘って形成されていてもよい。
【0045】
また、第二の貫通孔35、35a、35b、35cの形状は、図4の(a)に示すような開口面が方形状、図4の(b)に示すような円形状、図4の(c)の太い実線に示すような切り込まれた直線形状、および、図4の(d)の太い実線に示すような切り込まれた十字形状のいずれかである。図4の(c)および図4の(d)の切れ込みの長さは、電線90の径に応じて切り込む。ここで、切り込まれたとは、単なる切り込みの他に、切り欠かれた場合を含む。
【0046】
また、第二の貫通孔35の開口面積は、取付型電気機器用カバー30における排水機能を確保するために、図4で示すように二点鎖線の電線90の断面積よりも大きく設定されている。また、第二の貫通孔35に電線90が通線された際に、第二の貫通孔35における相当隙間面積を一定値以下にする必要がある。相当隙間面積が大きければ、取付型電気機器用カバー30に溜まった液体を排水することができるが、防気効果および防塵効果を確保するためには、相当隙間面積をできるだけ小さくすべきである。JISA2201等で要求されている相当隙間面積は、0.24cmであるため、相当隙間面積の上限を0.24cmとして、相当隙間面積が0.24cm以下となるように第二の貫通孔35を設定すべきであると考えられる。これにより、取付型電気機器用カバー30では、防気効果および防塵効果の低下の抑制と排水機能の両立を図ることができる。ここで、相当隙間面積とは、取付型電気機器用カバー30の内部を減圧した場合に外部から入ってくる空気の量を測定し、これを延べ床面積1cmあたりの隙間の面積に換算した値であり、取付型電気機器用カバー30の気密性を示す指標である。
【0047】
なお、第二の貫通孔35は、取付型電気機器用カバー30に予め形成されていてもよいが、電気機器20を第一の貫通孔11に取り付けるときに、給電接続部52の開口と対応する位置に電線90を取付型電気機器用カバー30に突き刺すことで形成されてもよい。これにより、電線90は、取付型電気機器用カバー30に第二の貫通孔35を形成するとともに、電気機器20の給電接続部52と電気的に接続される。この場合でも、取付型電気機器用カバー30における排水機能を確保するために、第二の貫通孔35の開口面積が第二の貫通孔35の開口面積よりも大きく設定されるように、第二の貫通孔35が形成される。
【0048】
次に、機器収容部40の構成について図2および図5を用いて説明する。
【0049】
[機器収容部40]
図2および図5に示すように、機器収容部40は、電気機器20を回動可能に支持する。また、機器収容部40は、造営材に形成された第一の貫通孔11に挿入された状態で第一の貫通孔11に設置される。
【0050】
機器収容部40は、筐体41と、蓋体42とを有する。
【0051】
筐体41は、電気機器20を保持する有底筒状の容器であり、一方が開口し、他方が閉鎖している。本実施の形態の筐体41は、円筒状の容器である。なお、筐体41は、角筒状の容器であってもよい。また、筐体41の形状は、円筒状、角筒状の容器に限定されない。筐体41は、造営材の第一の貫通孔11に挿入された状態で第一の貫通孔11に配置されている。
【0052】
筐体41は、底部41aと、周壁部41bとを有する。
【0053】
底部41aは、筐体開口部41cおよび蓋体42と対向する位置に配置され、取付型電気機器用カバー30の底壁31と対向している。
【0054】
周壁部41bは、底部41aの外周縁に接続され、底部41aの外周縁から筐体開口部41cに向けて立設している。つまり、周壁部41bは、底部41aに対して略垂直に立ち上がった管状をなしている。
【0055】
また、周壁部41bには、取付金具50における一対の取付部60を配置する一対の取付開口部41b1が形成されている。取付開口部41b1は、一対の取付部60と一対一で対応している。一対の取付開口部41b1は、筐体41の中心軸を線対称として互いに対向する位置に配置されている。
【0056】
また、一対の取付開口部41b1には取付金具50における一対の取付部60が設けられ、一対の取付部60が取付開口部41b1から周壁部41bの外側に向けて突出するように配置されている。この一対の取付部60は、蓋体42と対向するように配置されている。
【0057】
蓋体42は、板状をなしている。蓋体42には、中央部分が開口した蓋体開口部42aが形成されている。蓋体開口部42aは、回動する電気機器20を配置するための開口部である。つまり、蓋体開口部42aは、この開口面から電気機器20が飛び出る位置と、電気機器20が筐体41の内部に収容される位置との間における電気機器20の変位を許容する。蓋体開口部42aは、電気機器20が筐体41の内部に収容されている状態では、電気機器20の上蓋21によって閉鎖される。上蓋21は、電気機器20に取り付けられており、蓋体開口部42aを開放する姿勢と、蓋体開口部42aを閉鎖する姿勢となるように回動する。
【0058】
蓋体42は、周壁部41bに対してZ軸プラス方向側に配置されている。つまり、蓋体42は、周壁部41bに接続されている底部41a側とは反対側の周壁部41bの端縁に接続されている。
【0059】
蓋体42は、筐体41に取り付けられた状態では、周壁部41bの外径よりも大きく、筐体開口部41cから外側の径方向に延びている。つまり、蓋体42は、機器収容部40の鍔として機能することができる。このため、蓋体42は、取付金具50によって造営材とでフランジ部33を挟んで、機器収容部40を造営材に取り付けることができる。蓋体42が取付金具50とともに造営材およびフランジ部33を挟み込むため、フランジ部33によって蓋体42と造営材との間を封止することができる。つまり、取付型電気機器用カバー30が機器収容部40を覆い、造営材と蓋体42とでフランジ部33が挟まれて造営材と蓋体42との間が封止されるため、取付型電気機器用カバー30は第一の貫通孔11を閉塞することができる。
【0060】
次に、取付金具50の構成について説明する。
【0061】
[取付金具50]
取付金具50は、造営材に形成された第一の貫通孔11を介して取り付けられる電気機器20を取り付けるための金具である。取付金具50は、機器収容部40を造営材への取付時および取付後に、造営材における表面と反対側の面である裏面または第一の貫通孔11を形成する造営材の側壁面12と接触可能な可動性を備えている。
【0062】
具体的には、取付金具50は、基体51と、一対の取付部60と、一対の締付具70とを有する。
【0063】
基体51は、取付金具50の基礎となる部分であり、筐体41に収容されている。基体51は、電気機器20が取り付けられる部分である。基体51は、機器収容部40が造営材に取り付けられた状態において、電気機器20が取付型電気機器1に対して基体51に収容される姿勢、蓋体開口部42aから電気機器20の一部が飛び出た姿勢となるように、電気機器20を保持することができる。蓋体開口部42aから電気機器20の一部が飛び出た姿勢では、基体51は、取付型電気機器1が床材に取り付けられた場合、電気機器20の接続口の開口面が斜め上方を向くように保持することができる。
【0064】
一対の取付部60は、一対の取付開口部41b1と一対一で対応している。一対の取付部60は、一対の取付開口部41b1を挿通し、周壁部41bの外周面から突出した状態で配置されている。これにより、一対の取付部60は、造営材と接触することができる。具体的には、一対の取付部60は、機器収容部40を造営材への取付時および取付後に、造営材における表面と反対側の面である裏面または第一の貫通孔11を形成する造営材の側壁面12と接触することができる。
【0065】
一対の締付具70のそれぞれは、固定金具71と、軸部材72とを備えている。
【0066】
固定金具71は、軸部材72の回転によりZ軸方向に沿って移動可能である。また、固定金具71は、軸部材72の回転によりZ軸方向に沿って移動することで取付部60を回動させることができる。そして、締付具70が露出面側から締め付けることで、固定金具71は、取付部60を介して造営材の裏面から締め付けることができる。
【0067】
例えば、図6Aに示すように、軸部材72を所定方向に回転させた場合、固定金具71は、基体51に当接して回転が規制され、Z軸プラス方向に沿って上昇する。このとき、固定金具71は、周壁部41bの外周面を摺動して、押し上がる。また、軸部材72を所定方向と反対方向に回転させた場合、固定金具71は、基体51に当接して回転が規制され、Z軸マイナス方向に沿って下降する。このとき、固定金具71は、周壁部41bの外周面を摺動して、押し下がる。
【0068】
また、図6Bに示すように、締付具70を所定方向に回転させた場合、固定金具71は、基体51の規制部に当接して回転が規制され、Z軸プラス方向に沿って上昇する。このとき、取付部60は、取付部60における蓋体42側の端縁を支点として、周壁部41bの外周面から外方に向かって広がるように回動することもできる。また、締付具70を所定方向と反対方向に回転させた場合、固定金具71は、基体51の規制部に当接して回転が規制され、Z軸マイナス方向に沿って下降する。このとき、取付部60は、取付部60における蓋体42側の端縁を支点として、周壁部41bの外周面から外方に近づくように回動することもできる。
【0069】
図2および図5に示すように、一対の軸部材72は、周壁部41bの外周面の近傍において、Z軸方向に沿って配置されたネジ部材である。一対の軸部材72は、筐体41の周壁部41bを挟むように配置され、蓋体42、基体51のフランジ部、一対の取付部60、および、一対の固定金具71のそれぞれに挿通されている。
【0070】
取付金具50を造営材への取付時および取付後に、軸部材72を造営材の露出面側から締め付けることで、取付金具50は、造営材と接触する。軸部材72の締め付けによって、軸部材72の頭部が蓋体42を造営材側に押圧するとともに、固定金具71が取付部60を造営材側に押圧することで、蓋体42と取付部60とで造営材および取付型電気機器用カバー30のフランジ部33を挟むことができる。つまり、軸部材72は、所定方向に回転させることにより、固定金具71を蓋体42に近付けるように取付部60を造営材に押圧することで、造営材を挟持する力を発生させることができる。
【0071】
<作用効果>
次に、本実施の形態における取付型電気機器用カバー30の作用効果について説明する。
【0072】
上述したように、本実施の形態の取付型電気機器用カバー30は、造営材に形成された第一の貫通孔11を介して取り付けられる電気機器20を取り付けるための取付金具50を収容するとともに、第一の貫通孔11を閉塞するように設置される取付型電気機器用カバー30である。また、取付金具50は、造営材への取付時および取付後に造営材における露出面と反対側の面または第一の貫通孔11を形成する造営材の側壁面12と接触可能な可動性を備えている。また、取付型電気機器用カバー30には、カバー開口部30aと対向する底壁31と底壁31からカバー開口部30aに向けて立設し、カバー開口部30aを形成する側壁32との少なくとも一方に第二の貫通孔35が形成されている。そして、取付型電気機器用カバー30は、取付金具50が造営材と接触する前後のいずれの状態においても、取付金具50を収容可能な可撓性を備える。
【0073】
これによれば、取付型電気機器用カバー30では、第一の貫通孔11を閉塞するように設置されるため、造営材の裏面側の領域から造営材の表面側の領域への空気の流入、および、塵の流入を抑制することができる。
【0074】
また、取付型電気機器用カバー30の内部に液体が侵入したとしても、取付型電気機器用カバー30の底壁31と側壁32との少なくとも一方に形成された第二の貫通孔35から侵入した液体を排出することができる。
【0075】
したがって、取付型電気機器用カバー30では、防気効果および防塵効果の低下を抑制しつつ、内部に侵入した液体を排水することができる。つまり、取付型電気機器用カバー30は、防気効果および防塵効果の低下の抑制と排水機能の両立を図ることができる。
【0076】
特に、取付金具50によって造営材の第一の貫通孔11に電気機器20を取り付ける場合、取付金具50が可動しても、可撓性を備える取付型電気機器用カバー30が取付金具50の可動に応じて変形することができる。つまり、造営材への電気機器20の取付の前後において、取付型電気機器用カバー30に収容された取付金具50を操作することができる。
【0077】
また、本実施の形態の取付型電気機器1は、取付型電気機器用カバー30と、取付型電気機器用カバー30で収容される取付金具50と、を備えている。
【0078】
この取付型電気機器1においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0079】
また、本実施の形態の取付型電気機器用カバー30は、電気機器20である取付型床用コンセントを第一の貫通孔11に取り付けるときに用いられる。
【0080】
これによれば、造営材が床材である場合、床下からの空気の侵入を抑制することができる。このため、第一の貫通孔11における断熱性能を高めることで、床上の領域の空気環境を所定の状態に保つことができる。
【0081】
また、本実施の形態の取付型電気機器用カバー30において、側壁32には、底壁31からカバー開口部30aに向かう方向に沿って複数の溝部34が形成されている。そして、底壁31は、側壁32から底壁31の中心部に向けて漸次縮径するように形成された複数の段差部31aを備えている。
【0082】
これによれば、底壁31には段差部31aが形成されているため、溝部34の長手方向に沿って収縮することができるため、取付型電気機器用カバー30は、取付金具50の可動に応じてより変形し易くなる。このため、取付型電気機器用カバー30における可撓性をより確保することができる。
【0083】
また、本実施の形態の取付型電気機器用カバー30において、底壁31または側壁32に形成された第二の貫通孔35の少なくともいずれか一方には、電線90が通線されている。
【0084】
これによれば、第二の貫通孔35に電線90が通線されていても、取付型電気機器用カバー30の内部に侵入している液体が電線90を伝って排出される。
【0085】
また、本実施の形態の取付型電気機器用カバー30において、少なくとも1つの第二の貫通孔35には、電線90が通線されている。
【0086】
これによれば、第二の貫通孔35に電線90が通線されることで、第二の貫通孔35における相当隙間面積が小さくなるため、取付型電気機器用カバー30における防気効果および防塵効果の低下を抑制することができる。
【0087】
また、本実施の形態の取付型電気機器用カバー30において、底壁31に形成された第二の貫通孔35は、底壁31において、カバー開口部30aと最も離れた位置よりもカバー開口部30a側に形成されている。
【0088】
これによれば、取付型電気機器用カバー30の底壁31が物体の一部に接したとしても、第二の貫通孔35が側壁32側に形成されているため、底壁31の第二の貫通孔35から液体を排水することができる。
【0089】
また、本実施の形態の取付型電気機器用カバー30において、第二の貫通孔35の形状は、開口面が方形状、円形状、切り込まれた直線形状、および、切り込まれた十字形状のいずれかである。
【0090】
これによれば、取付型電気機器用カバー30に第二の貫通孔35を容易に形成することができるため、取付型電気機器用カバー30は、防気効果および防塵効果の低下の抑制と排水機能の両立を図ることができる。
【0091】
(実施の形態の変形例)
まず、取付型電気機器1の構成について図7および図8を用いて説明する。
【0092】
図7は、実施の形態の変形例に係る取付型電気機器用カバー30e、電気機器20、機器収容部40および取付金具50の外観を示す斜視図である。図8は、実施の形態の変形例に係る別の取付型電気機器用カバー30eの外観を示す斜視図である。
【0093】
以下では、図7および図8に示すように、本変形例における取付型電気機器用カバー30eの基本的な構成は、実施の形態の取付型電気機器用カバーと基本的な構成と同様であるため、本変形例における取付型電気機器用カバー30eの基本的な構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。本変形例では、取付型電気機器用カバー30eの側壁32に第一の側壁131および第二の側壁132が設けられている点で実施の形態と相違する。
【0094】
本変形例において、取付型電気機器用カバー30eの側壁32は、カバー開口部30a側に形成された第一の側壁131と、底壁31側に形成された第二の側壁132とを有している。
【0095】
第一の側壁131は、側壁32の一部であり、第二の側壁132よりもZ軸プラス方向側に位置している。側壁32の最外周を円で規定した場合において、第一の側壁131の曲率は、側壁32の曲率と同様である。
【0096】
第二の側壁132は、側壁32の一部であり、第一の側壁131よりもZ軸マイナス方向側に位置している。第二の側壁132は、側壁32の一部を切り欠くことで形成されている。つまり、第二の側壁132は、第一の側壁131に対して中心軸からの距離が短い。言い換えれば、側壁32の中心軸から第二の側壁132までの距離L2は、側壁32の中心軸から第一の側壁131までの距離L1よりも短い。第二の側壁132の形成によって側壁32の底壁31側が絞られている。
【0097】
本変形例においても、第二の貫通孔35は、底壁31と側壁32との少なくとも一方に形成されている。本変形例の図7および図8では、側壁32に第二の貫通孔35が形成されている場合を例示している。
【0098】
この取付型電気機器用カバー30eに機器収容部40を収容する場合、機器収容部40に設けられている取付金具50が第二の側壁132以外の側壁32の部分に対応するように、機器収容部40および取付金具50を取付型電気機器用カバー30eに収容する。つまり、機器収容部40および取付金具50の位置決めをすることができる。
【0099】
また、少なくとも第一の側壁131には、複数の溝部34が形成されている。また、本実施の形態の第二の側壁132にも、複数の溝部34が形成されている。
【0100】
取付型電気機器用カバー30eのフランジ部33の形状は、図7に示すように、円形状である。また、フランジ部33の形状は、方形状であってもよい。なお、フランジ部33の形状は、円形状または方形状に限定されない。例えば、フランジ部33の形状は、方形状以外の多角形状であってもよい。
【0101】
このような、本変形例の取付型電気機器用カバー30eにおいて、側壁32は、カバー開口部30a側に形成された第一の側壁131と、底壁31側に形成された第二の側壁132とを備えている。また、第二の側壁132は、第一の側壁131に対して中心軸からの距離が短い。そして、少なくとも第一の側壁131には、複数の溝部34が形成されている。
【0102】
これによれば、第一の側壁131に複数の溝部34が形成されているため、取付型電気機器用カバー30eは、取付金具50の可動に応じて変形することができる。このため、取付型電気機器用カバー30eにおける可撓性をより確保することができる。
【0103】
(その他の変形例)
以上、本開示に係る取付型電気機器用カバーおよび取付型電気機器について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を実施の形態に施したものも、本開示の範囲内に含まれてもよい。
【0104】
例えば、上記各実施の形態に係る取付型電気機器用カバー30は、図9に示す構成であってもよい。図9は、その他変形例に係る取付型電気機器用カバー30の外観を示す斜視図である。底壁31に形成された第二の貫通孔35は、底壁31において、カバー開口部30aと最も離れた位置に形成されていてもよい。これによれば、第二の貫通孔35は、底壁31において、取付型電気機器用カバー30における最も液体が溜まりやすい個所に形成されているため、液体をより排水し易くなる。
【0105】
以下に、上記各実施の形態に基づいて説明した取付型電気機器用カバーおよび取付型電気機器の特徴を示す。
<技術1>
造営材に形成された第一の貫通孔を介して取り付けられる電気機器を取り付けるための取付金具を収容するとともに、前記第一の貫通孔を閉塞するように設置される取付型電気機器用カバーであって、
前記取付金具は、前記造営材への取付時および取付後に前記造営材における露出面と反対側の面または前記第一の貫通孔を形成する前記造営材の側壁面と接触可能な可動性を備えており、
前記取付型電気機器用カバーには、開口部と対向する底壁と前記底壁から前記開口部に向けて立設し、前記開口部を形成する側壁との少なくとも一方に第二の貫通孔が形成され、
前記取付型電気機器用カバーは、前記取付金具が前記造営材と接触する前後のいずれの状態においても、前記取付金具を収容可能な可撓性を備える、
取付型電気機器用カバー。
<技術2>
前記電気機器である取付型床用コンセントを前記第一の貫通孔に取り付けるときに用いられる、
技術1に記載の取付型電気機器用カバー。
<技術3>
前記側壁には、前記底壁から前記開口部に向かう方向に沿って複数の溝部が形成されており、
前記底壁は、前記側壁から前記底壁の中心部に向けて漸次縮径するように形成された複数の段差部を備えている、
技術1または2に記載の取付型電気機器用カバー。
<技術4>
前記側壁は、前記開口部側に形成された第一の側壁と、前記底壁側に形成された第二の側壁とを備え、前記第二の側壁は、前記第一の側壁に対して中心軸からの距離が短く、少なくとも前記第一の側壁には、前記複数の溝部が形成されている、
技術1~3のいずれか1に記載の取付型電気機器用カバー。
<技術5>
前記底壁または前記側壁に形成された第二の貫通孔の少なくとも一方には、電線が通線されている、
技術1~4のいずれか1に記載の取付型電気機器用カバー。
<技術6>
少なくとも1つの前記第二の貫通孔には、電線が通線されている、
技術1~5のいずれか1に記載の取付型電気機器用カバー。
<技術7>
前記底壁に形成された第二の貫通孔は、前記底壁において、前記開口部と最も離れた位置よりも前記開口部側に形成されている、
技術1~6のいずれか1に記載の取付型電気機器用カバー。
<技術8>
前記底壁に形成された第二の貫通孔は、前記底壁において、前記開口部と最も離れた位置に形成されている、
技術1~7のいずれか1に記載の取付型電気機器用カバー。
<技術9>
前記第二の貫通孔の形状は、開口面が方形状、円形状、切れ込まれた直線形状、および、切り込まれた十字形状のいずれかである、
技術1~8のいずれか1に記載の取付型電気機器用カバー。
<技術10>
技術1~9のいずれか1に記載の取付型電気機器用カバーと、
前記取付型電気機器用カバーで収容される取付金具と、を備えている、
取付型電気機器。
【0106】
なお、上記の実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
1 取付型電気機器
11 第一の貫通孔
12 側壁面
20 電気機器
30、30e 取付型電気機器用カバー
30a カバー開口部(開口部)
31 底壁
31a 段差部
32 側壁
34 溝部
35 第二の貫通孔
50 取付金具
131 第一の側壁
132 第二の側壁
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9