(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175602
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】半導体装置及び電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20231205BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H05K7/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156807
(22)【出願日】2022-09-29
(62)【分割の表示】P 2022087638の分割
【原出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】中島 悠太
(72)【発明者】
【氏名】小倉 圭輔
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA06
5E322AA10
5E322AA11
5E322DA04
5E322FA04
5F136BC07
5F136DA27
5F136FA01
5F136FA02
5F136FA03
5F136FA14
5F136FA53
5F136GA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】安定して半導体パッケージを冷却する半導体装置及び電力変換装置を提供する。
【解決手段】半導体装置1は、半導体パッケージ1と、半導体パッケージ11を冷却する冷却器20と、半導体パッケージ11と冷却器20との間に挟まれて設けられ、半導体パッケージ11と冷却器20との間を貫通する開口部を有するシール部材30と、開口部に充填される流動性を有する金属により構成される熱伝導部材41と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体パッケージと、
前記半導体パッケージを冷却する冷却器と、
前記半導体パッケージと前記冷却器との間に挟まれて設けられ、前記半導体パッケージと前記冷却器との間を貫通する開口部を有するシール部材と、
前記開口部に充填される流動性を有する金属により構成される熱伝導部材と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記冷却器は、前記シール部材と接触する面に、前記シール部材が挿入される第1溝を備える、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体パッケージは、前記シール部材と接触する面に、前記シール部材が挿入される第2溝を備える、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記冷却器は、前記シール部材と接触する面に、前記シール部材が挿入される第1溝を備え、
前記半導体パッケージは、前記シール部材と接触する面に、前記シール部材が挿入される第2溝を備える、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記冷却器は、銅又は銅合金により形成される、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記冷却器は、アルミニウム又はアルミニウム合金により形成される、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記冷却器は、表面に銅、銅合金、ニッケル又はニッケル合金により形成される層を有する、
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記冷却器は、表面に酸化アルミニウムの層を有する、
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体パッケージを前記冷却器に押圧する固定部材を備える、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体パッケージと前記シール部材とを固定する接着剤を備える、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体パッケージ、前記シール部材及び前記冷却器を封止する封止樹脂を備える、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の半導体装置を備える電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置及び電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体チップと、半導体チップの上側に配置されている放熱器と、放熱器と半導体チップとの間にある熱伝導材料と、を有する電子機器が開示されている。また、特許文献1には、電子機器が熱伝導材料を取り囲んでいるシール部材を有することが開示されている。さらに、特許文献1には、熱伝導材料が導電性を有し、少なくとも半導体チップの動作時に流動性を有することが開示されている。
【0003】
特許文献2には、半導体チップの発熱を冷却する冷却装置が開示されている。また、特許文献2には、半導体チップは保持枠体を接合されていること、冷却装置の受熱部材が保持枠体にシール部材を介して着脱可能に結合されること、が開示されている。さらに、特許文献2には、半導体チップの熱伝達面と保持枠体と受熱部材とで密閉空間を形成し、密閉空間内において液体金属を収容して、液体金属によって、半導体チップの発熱を受熱部材に熱伝達することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/162417号
【特許文献2】特開2010-212539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体チップを備える半導体パッケージを冷却する際に、半導体パッケージと半導体パッケージを冷却する冷却器との間に、流動性のある金属を熱伝達材料として設けて、熱接続を行う場合がある。半導体パッケージと冷却器との間の熱的接続を行うために、流動性のある金属を用いると、当該流動性のある金属が半導体パッケージと冷却器との間から流れ出して、熱的接続が損なわれる場合がある。半導体パッケージと冷却器との間の熱的接続が損なわれると、半導体パッケージに備えられる半導体チップが高温になり、動作に不具合が発生する場合がある。
【0006】
本開示は、安定して半導体パッケージを冷却する半導体装置及び電力変換装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一の態様によれば、半導体パッケージと、前記半導体パッケージを冷却する冷却器と、前記半導体パッケージと前記冷却器との間に挟まれて設けられ、前記半導体パッケージと前記冷却器との間を貫通する開口部を有するシール部材と、前記開口部に充填される流動性を有する金属により構成される熱伝導部材と、を備える半導体装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の半導体装置及び電力変換装置によれば、安定して半導体パッケージを冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る半導体装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る半導体装置が備える半導体パッケージの上面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る半導体装置が備える半導体パッケージの底面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る半導体装置が備える半導体パッケージの内部構成を示す上面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る半導体装置が備える半導体パッケージの内部構成を示す底面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る半導体装置の組み立てについて説明する図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る半導体装置の組み立てについて説明する図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係る半導体装置の組み立てについて説明する図である。
【
図11】
図11は、第4実施形態に係る半導体装置の分解斜視図である。
【
図12】
図12は、第5実施形態に係る半導体装置の分解斜視図である。
【
図13】
図13は、第6実施形態に係る半導体装置の分解斜視図である。
【
図14】
図14は、第7実施形態に係る半導体装置の分解斜視図である。
【
図15】
図15は、第7実施形態に係る半導体装置が備える半導体パッケージの変形例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の又は対応する機能構成を有する構成要素については、同一の又は対応する符号を付することにより重複した説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするために、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。
【0011】
平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右などの方向には、実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、弓状に丸みを帯びてもよい。平行、直角、直交、水平、垂直には、略平行、略直角、略直交、略水平、略垂直が含まれてもよい。
【0012】
例えば、略平行は、2つの線又は2つの面が互いに完全に平行でなくても、製造上許容される範囲内で互いに平行として扱うことができることを意味する。他の略直角、略直交、略水平及び略垂直のそれぞれについても、略平行と同様に、2つの線又は2つの面の相互の位置関係が製造上許容される範囲内であればそれぞれに該当することが意図される。
【0013】
≪第1実施形態≫
半導体装置1は、直流電力を交流電力に変換する電力変換装置である。
図1は、第1実施形態に係る半導体装置1の斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る半導体装置1の分解斜視図である。
図3は、第1実施形態に係る半導体装置1の断面図である。なお、
図2において、熱伝導部材41、熱伝導部材42及び熱伝導部材43の図示は省略している。また、
図3において、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12、半導体パッケージ13及び冷却器20のそれぞれの内部構成は省略して示している。
【0014】
なお、図面には、説明の便宜のため、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸(XYZ軸)からなる仮想三次元座標系(XYZ直交座標系)が設定される場合がある。例えば、図面の紙面に対して垂直な座標軸について、座標軸の丸の中に黒丸印を示す場合は紙面に対して手前側が座標軸の正の領域であることを表している。また、座標軸の丸の中にバツ印を示す場合は紙面に対して手前側が座標軸の負の領域であることを表している。
【0015】
ただし、当該座標系は、説明のために定めるものであって、本実施形態に係る半導体装置等の姿勢について限定するものではない。
【0016】
なお、本開示では、特に説明しない限り、X軸方向及びY軸方向のそれぞれは、冷却器20の冷却面となる面20Sに平行な方向、Z軸方向は、冷却器20の冷却面となる面20Sに垂直な方向とする。また、Y軸方向は、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13が並ぶ方向とする。
【0017】
半導体装置1は、直流電力を交流電力に変換する半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13を備える。なお、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13のそれぞれを区別する必要がない場合は、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13のそれぞれを総称して半導体パッケージ10という場合がある。また、半導体装置1は、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13を冷却する冷却器20を更に備える。
【0018】
さらに、半導体装置1は、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13のそれぞれと、冷却器20との間に挟まれて設けられるシール部材30を備える。シール部材30は、開口部30h1、開口部30h2及び開口部30h3を有する。シール部材30が半導体パッケージ11と冷却器20に挟まれることにより、開口部30h1に、閉塞された閉塞空間SP1が形成される。同様に、シール部材30が半導体パッケージ12と冷却器20に挟まれることにより、開口部30h2に、閉塞された閉塞空間SP2が形成される。シール部材30が半導体パッケージ13と冷却器20に挟まれることにより、開口部30h3に、閉塞された閉塞空間SP3が形成される。
【0019】
さらにまた、半導体装置1は、閉塞空間SP1に熱伝導部材41を備える。同様に、半導体装置1は、閉塞空間SP2に熱伝導部材42と、閉塞空間SP3に熱伝導部材43と、を備える。
【0020】
また、半導体装置1は、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13と、冷却器20と、を固定する固定部材50を備える。
【0021】
[半導体パッケージ10]
半導体パッケージ10により、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13のそれぞれについて説明する。
図4は、第1実施形態に係る半導体装置1が備える半導体パッケージ10の上面図である。
図5は、第1実施形態に係る半導体装置1が備える半導体パッケージ10の底面図である。
図6は、第1実施形態に係る半導体装置1が備える半導体パッケージ10の内部構成を示す上面図である。
図7は、第1実施形態に係る半導体装置1が備える半導体パッケージ10の内部構成を示す底面図である。
図6及び
図7においては、ケース10Pを点線で示す。
【0022】
半導体パッケージ10は、例えば、1相分の上下アームを構成する2つの半導体素子がパッケージされたいわゆる2in1の半導体パッケージである。また、半導体パッケージ10は、いわゆる片面冷却型の半導体パッケージである。半導体パッケージ10の内部には、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、FET(Field-Effect Transistor)等のパワートランジスタ等の半導体素子が内蔵される。
【0023】
なお、内蔵する半導体素子としては、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)やFWD(Free Wheeling Diode)等でもよい。また、載置される半導体素子は、前述のIGBTやFWDをワンチップ化したRB-IGBT(Reverse Blocking-Insulated Gate Bipolar Transistor)でもよい。さらに、載置される半導体素子は、前述のIGBTやFWDをワンチップ化したRC-IGBT(Reverse Conducting-Insulated Gate Bipolar Transistor)でもよい。
【0024】
半導体パッケージ10は、略直方体状の形状の樹脂、例えば、エポキシ樹脂、のケース10Pを備える。
【0025】
半導体パッケージ10は、ケース10Pの側面に、電流端子10a、電流端子10b及び電流端子10cを有する。電流端子10a、電流端子10b及び電流端子10cのそれぞれは、半導体パッケージ10のケース10Pの側面から突出して設けられる。半導体パッケージ10は、ケース10Pの上面10S1に、4本の制御端子10dを有する。4本の制御端子10dのそれぞれは、半導体パッケージ10のケース10Pの上面10S1から突出して設けられる。
【0026】
電流端子10a、電流端子10b及び電流端子10cのそれぞれは、例えば、負荷に電流を流すための端子である。電流端子10a、電流端子10b及び電流端子10cのそれぞれは、導電材料により形成される。4本の制御端子10dのそれぞれは、負荷に流す電流を制御するための端子である。4本の制御端子10dのそれぞれは、導電材料で形成される。
【0027】
また、半導体パッケージ10は、放熱板10Eを有する。放熱板10Eは、例えば、銅箔により形成される。半導体パッケージ10に内蔵される例えばパワートランジスタは、発熱素子であることから、冷却する必要がある。放熱板10Eは、当該発熱素子を放熱するために設けられる。放熱板10Eは、熱伝導性の高い材料、例えば、銅などの金属で形成される。放熱板10Eは、当該発熱素子に熱的に接続される。放熱板10Eは、ケース10Pの下面10S2に設けられる。
【0028】
半導体パッケージ10は、ケース10Pの内部に、半導体素子10A及び半導体素子10Bを備える。また、半導体パッケージ10は、ケース10Pの内部に、配線基板10Cと、絶縁基板10Dと、を備える。また、半導体素子10A及び半導体素子10Bのそれぞれは、配線基板10Cの上に実装される。配線基板10Cは、例えば、銅箔により形成される。配線基板10Cには、半導体素子10A又は半導体素子10Bと、電流端子10a、電流端子10b及び電流端子10cと、4本の制御端子10dのそれぞれと、を接続するための図示しない配線が形成される。絶縁基板10Dは、例えば、セラミックスにより形成される。絶縁基板10Dの-Z側に、放熱板10Eを備える。
【0029】
半導体素子11a及び半導体素子11bのそれぞれは、発熱する。半導体素子11a及び半導体素子11bのそれぞれから発生した熱は、放熱板10Eから放熱される。
【0030】
[冷却器20]
冷却器20は、半導体パッケージ10を冷却する。冷却器20の内部には、冷媒が通流する。冷却器20は、内部を通流する冷媒(例えば冷却水)と半導体パッケージ10との間で熱交換することにより、半導体パッケージ10を冷却する。なお、冷媒は水に限らず、不凍液を含む液体でもよい。
【0031】
冷却器20は、冷媒口20aと、冷媒口20bと、を有する。冷媒口20a及び冷媒口20bのいずれか一方から、外部の冷媒供給源から冷却された冷媒が供給される。供給された冷媒は、冷却器20の内部を通過する。冷媒は冷却器20を通過する際に、半導体パッケージ10と熱交換する。冷却器20の内部を通過した冷媒は加熱される。そして、加熱されて温度が上昇した冷媒は、冷媒口20a及び冷媒口20bの他方から排出される。
【0032】
冷却器20は、+Z側に冷却対象と熱交換を行う面20Sを有する。冷却器20は、面20Sを介して、冷却対象と熱交換を行う。半導体装置1は、冷却器20の面20Sに、熱伝導部材を介して半導体パッケージ10を備える。半導体パッケージ10は、冷却器20により冷却される。冷却器20の面20Sには、シール部材30が接触する。すなわち、面20Sは、シール部材30と接触する面である。
【0033】
冷却器20は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金により形成される。熱伝導部材41、熱伝導部材42及び熱伝導部材43のそれぞれがガリウムを含む場合、アルミニウム又はアルミニウム合金により形成された冷却器20は、熱伝導部材によって腐食する可能性がある。熱伝導部材による冷却器20の腐食を防止するために、少なくとも面20Sに、銅、銅合金、ニッケル又はニッケル合金により形成される層(皮膜)を有してもよい。いいかえると、冷却器20は、表面に、銅、銅合金、ニッケル又はニッケル合金により形成される層(皮膜)を有してもよい。また、熱伝導部材による冷却器20の腐食を防止するために、少なくとも面20Sに、酸化アルミニウムの層を有してもよい。いいかえると、冷却器20は、表面に、酸化アルミニウムの層を有してもよい。
【0034】
なお、本実施形態において、冷却器20として、冷媒が内部を通流する冷却器を備えているが、冷却器20は、半導体パッケージ10を冷却できるものであればよい。例えば、冷却器20は、放熱用にフィンを複数備えるヒートシンクでもよい。
【0035】
[シール部材30]
シール部材30は、半導体パッケージ10と冷却器20との間に、熱伝導部材を保持する。シール部材30は、半導体パッケージ10と冷却器20との間に挟み込まれる。シール部材30は、半導体パッケージ10及び冷却器20のそれぞれと密着して設けられる。
【0036】
シール部材30は、Z軸方向に所定の厚みを有し、X軸方向及びY軸方向に延びる板状の外形を有する部材である。また、シール部材30は、Z軸方向に貫通する開口部30h1、開口部30h2及び開口部30h3を有する。すなわち、シール部材30は、組み立てると、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13と、冷却器20との間を貫通する開口部30h1、開口部30h2及び開口部30h3を有する。シール部材30は、例えば、シリコーンゴムにより形成される。開口部31h、開口部32h及び開口部30h3は、-Z側からZ軸方向を見た平面視で、それぞれ半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13が有する放熱板10Eに倣う形状を有する。
【0037】
冷却器20の面20Sにシール部材30を載置して、シール部材30の上に半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13を載置する。冷却器20と、シール部材30と、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13と、を積み重ねることにより、シール部材30の開口部30h1、開口部30h2及び開口部30h3にそれぞれ閉塞された閉塞空間が形成される。
【0038】
具体的には、シール部材30の開口部30h1には、半導体パッケージ11と冷却器20との間に、半導体パッケージ11、冷却器20及びシール部材30により閉塞された閉塞空間SP1が形成される。同様に、シール部材30の開口部30h2には、半導体パッケージ12と冷却器20との間に、半導体パッケージ12、冷却器20及びシール部材30により閉塞された閉塞空間SP2が形成される。また、シール部材30の開口部30h3には、半導体パッケージ13と冷却器20との間に、半導体パッケージ13、冷却器20及びシール部材30により閉塞された閉塞空間SP3が形成される。
【0039】
半導体装置1は、開口部30h1、開口部30h2及び開口部30h3に、それぞれ熱伝導部材41、熱伝導部材42及び熱伝導部材43を備える。いいかえると、半導体装置1は、閉塞空間SP1、閉塞空間SP2及び閉塞空間SP3に、それぞれ熱伝導部材41、熱伝導部材42及び熱伝導部材43を備える。熱伝導部材41、熱伝導部材42及び熱伝導部材43は、それぞれ開口部30h1、開口部30h2及び開口部30h3に充填される。熱伝導部材41、熱伝導部材42及び熱伝導部材43は、それぞれ閉塞空間SP1、閉塞空間SP2及び閉塞空間SP3に、気泡等が入らないように充填される。
【0040】
なお、シール部材30の形状は、図示した形状に限らず、例えば、Z軸方向に沿う断面を矩形ではなく、台形、円形、楕円形、角丸長方形状としてもよい。
【0041】
[熱伝導部材41、熱伝導部材42及び熱伝導部材43]
熱伝導部材41、熱伝導部材42及び熱伝導部材43のそれぞれは、半導体パッケージ10の熱を、冷却器20に伝導する。熱伝導部材41、熱伝導部材42及び熱伝導部材43のそれぞれは、例えば、ガリウムを主成分とし、使用状態において流動性を有する金属により構成される。
【0042】
半導体装置1は、閉塞空間SP1、閉塞空間SP2及び閉塞空間SP3に、それぞれ熱伝導部材41、熱伝導部材42及び熱伝導部材43を備える。熱伝導部材41、熱伝導部材42及び熱伝導部材43は、それぞれ閉塞空間SP1、閉塞空間SP2及び閉塞空間SP3に充填される。充填された熱伝導部材41、熱伝導部材42及び熱伝導部材43は、それぞれ半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13から冷却器20へ熱を伝達する。
【0043】
半導体装置1は、熱伝導部材41が閉塞空間SP1に充填されることにより、熱伝導部材41を半導体パッケージ11及び冷却器20のそれぞれと密着させることができる。開口部30h1が熱伝導部材41を半導体パッケージ11及び冷却器20のそれぞれと密着させることにより、半導体パッケージ11から冷却器20への熱の伝達を促進できる。特に、開口部30h1が、-Z側からZ軸方向を見た平面視で、半導体パッケージ11が有する放熱板10Eに倣う形状を有することから、半導体パッケージ11における放熱板10Eから冷却器20への熱の伝達を促進できる。同様に、熱伝導部材42を半導体パッケージ12及び冷却器20のそれぞれと密着させることにより、半導体パッケージ12から冷却器20への熱の伝達を促進できる。熱伝導部材43についても同様である。
【0044】
[固定部材50]
固定部材50は、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13のそれぞれを、冷却器20に向けて押して固定する。固定部材50が、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13のそれぞれを、冷却器20に向けて押すことにより、シール部材30が圧縮される。シール部材30が圧縮されることにより、閉塞空間SP1、閉塞空間SP2及び閉塞空間SP3のそれぞれにおいて気密を確保できる。
【0045】
固定部材50は、押さえ板51と、押さえ板52と、ボルト53a及びボルト53bと、ナット54a及びナット54bと、を備える。
【0046】
押さえ板51は、冷却器20の面20Sと反対側(Z軸方向における-Z側)に設けられる。押さえ板51は、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13のそれぞれの冷却器20と反対側(Z軸方向における+Z側)に設けられる。
【0047】
ボルト53a及びボルト53bのそれぞれは、押さえ板51及び押さえ板52が有する貫通孔を貫通する。そして、ボルト53a及びボルト53bには、それぞれナット54a及びナット54bが取り付けられる。ナット54a及びナット54bのそれぞれを締め付けることにより、押さえ板51及び押さえ板52は、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13と冷却器20とを締め付ける。押さえ板51及び押さえ板52が半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13と冷却器20とを締め付けることにより、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13は、冷却器20に向かって押される。
【0048】
固定部材50により、冷却器20に向けて、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13を押すことにより、半導体装置1が組み立てられる。固定部材50は、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13を、冷却器20に押圧する。なお、固定部材50の構成は、上記に限らず、ボルト及びナットによる締め付け方法等について、適宜変更してもよい。また、押さえ板の形状についても、上記に限らず、適宜変更してもよい。
【0049】
<半導体装置1の組み立て>
半導体装置1の組み立てについてより詳しく説明する。
図8は、第1実施形態に係る半導体装置1の製造方法について説明する図である。
【0050】
最初に、冷却器20の上に、より具体的には、冷却器20の面20Sの上に、シール部材30を載置する(
図8(a))。なお、
図8(a)、
図8(b)及び
図8(c)において、シール部材30は、断面図で示している。
【0051】
次に、シール部材30の開口部30h1、開口部30h2及び開口部30h3に、それぞれ熱伝導部材41、熱伝導部材42及び熱伝導部材43を充填する(
図8(b))。そして、シール部材30の上に、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13を載置する(
図8(c))。
【0052】
そして、固定部材50により、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13と、冷却器20と、を固定する(
図8(d))。固定部材50により、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13と、冷却器20と、を固定して、半導体装置1の組み立てを完了する。
【0053】
第1実施形態に係る半導体装置1によれば、流動性を有する熱伝導部材41、熱伝導部材42及び熱伝導部材43を備えることにより、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13を安定して冷却できる。熱伝導部材41、熱伝導部材42及び熱伝導部材43が流動性を有する、いいかえると、固体状態でない、ため、運転中に熱伝導部材41、熱伝導部材42及び熱伝導部材43が剥がれたり割れたりしない。また、半導体装置1は、閉塞空間SP1、閉塞空間SP2及び閉塞空間SP3に、それぞれ熱伝導部材41、熱伝導部材42及び熱伝導部材43を備えることから、熱伝導部材41、熱伝導部材42及び熱伝導部材43のそれぞれが、閉塞空間から外に広がることを防止できる。したがって、半導体装置1によれば、安定して半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13を冷却できる。また、半導体装置1によれば、高い信頼性を有する半導体装置を提供できる。
【0054】
例えば、半導体パッケージと冷却器との接続に、はんだ又は金属粉末焼結体を用いる場合、はんだ又は金属粉末焼結体を用いて接合する際に昇温する必要がある。半導体パッケージ及び冷却器を昇温すると、熱応力によって半導体パッケージ及び冷却器が損傷する可能性がある。また、金属粉末焼結体を用いる場合、十分な接合強度を得るために加圧する必要がある。半導体パッケージ及び冷却器を加圧すると、加圧によって半導体パッケージ及び冷却器が損傷する可能性がある。
【0055】
第1実施形態に係る半導体装置1によれば、流動性を有する熱伝導部材41、熱伝導部材42及び熱伝導部材43により、昇温又は加圧することなく、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13と冷却器20とを接続できる。したがって、半導体装置1によれば、組み立てる際に、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12、半導体パッケージ13及び冷却器20の損傷を防止できる。
【0056】
また、例えば、半導体パッケージと冷却器との接続に、はんだ又は金属粉末焼結体を用いる場合、固体状のはんだ又は金属粉末焼結体が半導体機器の運転中に熱応力によって破損する可能性がある。また、例えば、半導体パッケージと冷却器との接続に、はんだ又は金属粉末焼結体を用いる場合、電気自動車に用いると、車両走行中の振動によって固体状のはんだ又は金属粉末焼結体が破損する可能性がある。固体状のはんだ又は金属粉末焼結体が破損すると、熱を伝える機能及び接着する機能が損なわれる。特に電気自動車向けの半導体装置において、振動が生じた場合でも熱を伝える役割および固定の役割が保たれることが求められている。
【0057】
第1実施形態に係る半導体装置1によれば、流動性を有する熱伝導部材41、熱伝導部材42及び熱伝導部材43を用いることにより、振動等によって破損して、機能が劣化することを防止できる。
【0058】
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態に係る半導体装置について説明する。第2実施形態に係る半導体装置は、第1実施形態に係る半導体装置1と、半導体パッケージの固定手段が異なる。第2実施形態に係る半導体装置は、接着剤により半導体パッケージを固定する。
【0059】
図9は、第2実施形態に係る半導体装置2の組み立てについて説明する図である。
図9(a)、
図9(b)及び
図9(c)は、それぞれ
図8(a)、
図8(b)及び
図8(c)と同じ内容であることから説明を省略する。
図9(d)からの処理について説明する。
【0060】
シール部材30の上に、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13を載置した後に、固定治具150により、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12、半導体パッケージ13及び冷却器20を固定する(
図9(d))。
【0061】
そして、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13と、シール部材30との接合部分に接着剤60を塗布する(
図9(e))。また、半導体パッケージ11と半導体パッケージ12との間と、半導体パッケージ12と半導体パッケージ13との間にも接着剤60を塗布する。そして、接着剤60が硬化するまで一定期間放置する。
【0062】
そして、接着剤60が硬化後、固定治具150を取り外す(
図9(f))。半導体装置2の組み立てを完了する。
【0063】
第2実施形態に係る半導体装置2によれば、第1実施形態に係る半導体装置1と同様に、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13を安定して冷却できる。また、第2実施形態に係る半導体装置2によれば、より小型化できる。
【0064】
≪第3実施形態≫
次に、第3実施形態に係る半導体装置について説明する。第3実施形態に係る半導体装置は、第1実施形態に係る半導体装置1と、半導体パッケージの固定手段が異なる。第3実施形態に係る半導体装置は、封止樹脂により半導体パッケージを固定する。
【0065】
図10は、第3実施形態に係る半導体装置3の組み立てについて説明する図である。
図10(a)、
図10(b)及び
図10(c)は、それぞれ
図8(a)、
図8(b)及び
図8(c)と同じ内容であることから説明を省略する。
図10(d)からの処理について説明する。なお、
図10(d)及び
図10(e)において、型270は断面図で示す。
【0066】
シール部材30の上に、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13を載置した後に、型270に入れて、固定治具250により固定する(
図10(d))。
【0067】
そして、型270に、封止樹脂80を型270に充填する(
図10(e))。そして、封止樹脂80が硬化するまで一定期間放置する。そして、封止樹脂80が硬化後、固定治具250を取り外す(
図10(f))。そして、半導体装置3の組み立てを完了する。
【0068】
組み立てた半導体装置3は、封止樹脂80を備える。封止樹脂80は、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13と、冷却器20と、シール部材30と、を封止する。
【0069】
第3実施形態に係る半導体装置3によれば、第1実施形態に係る半導体装置1と同様に、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13を安定して冷却できる。また、第3実施形態に係る半導体装置3によれば、封止樹脂80を備えることにより、外部環境からの影響を抑制して、耐環境性を向上できる。
【0070】
≪第4実施形態≫
次に、第4実施形態に係る半導体装置について説明する。
図11は、第4実施形態に係る半導体装置4の分解斜視図である。なお、
図11において、熱伝導部材の図示は省略している。第4実施形態に係る半導体装置4は、第1実施形態に係る半導体装置1におけるシール部材30に換えて、シール部材330を備える。
【0071】
シール部材330は、半導体パッケージ10と冷却器20との間に、熱伝導部材を保持する。シール部材330は、半導体パッケージ10と冷却器20との間に挟み込まれる。シール部材330は、半導体パッケージ10及び冷却器20のそれぞれと密着して設けられる。
【0072】
シール部材330は、Z軸方向に所定の厚みを有し、X軸方向及びY軸方向に延びる板状の外形を有する部材である。また、シール部材330は、Z軸方向に貫通する開口部330hを有する。すなわち、シール部材330は、組み立てると、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13と、冷却器20との間を貫通する開口部330hを有する。シール部材30は、例えば、シリコーンゴムにより形成される。
【0073】
冷却器20の面20Sにシール部材330を載置して、シール部材330の上に半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13を載置する。冷却器20と、シール部材330と、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13と、を積み重ねることにより、シール部材330の開口部330hに、閉塞された閉塞空間が形成される。
【0074】
半導体装置4は、開口部330hに、熱伝導部材を備える。当該熱伝導部材は、開口部330hに充填される。
【0075】
第4実施形態に係る半導体装置4によれば、第1実施形態に係る半導体装置1と同様に、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13を安定して冷却できる。
【0076】
≪第5実施形態≫
次に、第5実施形態に係る半導体装置について説明する。
図12は、第5実施形態に係る半導体装置5の分解斜視図である。なお、
図12において、熱伝導部材の図示は省略している。第5実施形態に係る半導体装置5は、第1実施形態に係る半導体装置1におけるシール部材30に換えて、シール部材431、シール部材432及びシール部材433を備える。
【0077】
シール部材431、シール部材432及びシール部材433は、半導体パッケージ10と冷却器20との間に、熱伝導部材を保持する。シール部材431、シール部材432及びシール部材433は、半導体パッケージ10と冷却器20との間に挟み込まれる。シール部材431、シール部材432及びシール部材433は、半導体パッケージ10及び冷却器20のそれぞれと密着して設けられる。
【0078】
シール部材431、シール部材432及びシール部材433は、Z軸方向に所定の厚みを有し、X軸方向及びY軸方向に延びる板状の外形を有する部材である。また、シール部材431、シール部材432及びシール部材433は、それぞれZ軸方向に貫通する開口部431h、開口部432h及び開口部433hを有する。すなわち、シール部材431は、組み立てると、半導体パッケージ11と冷却器20との間を貫通する開口部431hを有する。シール部材432は、組み立てると、半導体パッケージ12と冷却器20との間を貫通する開口部432hを有する。シール部材433は、組み立てると、半導体パッケージ13と冷却器20との間を貫通する開口部433hを有する。シール部材431、シール部材432及びシール部材433は、例えば、シリコーンゴムにより形成される。
【0079】
冷却器20の面20Sにシール部材431、シール部材432及びシール部材433を載置して、シール部材431、シール部材432及びシール部材433の上に半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13を載置する。冷却器20と、シール部材431と、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12と、を積み重ねることにより、シール部材431の開口部431hに、閉塞された閉塞空間が形成される。同様に、冷却器20と、シール部材432及びシール部材433と、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13と、を積み重ねることにより、開口部432h及び開口部433hのそれぞれに、閉塞された閉塞空間が形成される。
【0080】
半導体装置5は、開口部431h、開口部432h及び開口部433hに、熱伝導部材を備える。当該熱伝導部材は、それぞれ開口部431h、開口部432h及び開口部433hに充填される。
【0081】
第5実施形態に係る半導体装置5によれば、第1実施形態に係る半導体装置1と同様に、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13を安定して冷却できる。
【0082】
≪第6実施形態≫
次に、第6実施形態に係る半導体装置について説明する。
図13は、第6実施形態に係る半導体装置6の分解斜視図である。なお、
図13において、熱伝導部材の図示は省略している。第6実施形態に係る半導体装置6は、第1実施形態に係る半導体装置1における冷却器20に換えて、冷却器520を備える。
【0083】
冷却器520は、+Z側の面520Sに、+Z側からZ軸方向に見た平面視でシール部材30に倣う形状の溝520gを有する。シール部材30を冷却器520に載置する際に、シール部材30は、溝520gに挿入される。シール部材30が溝520gに挿入されることにより、冷却器520にシール部材30を載置する際に、シール部材30を冷却器520に対して位置決めできる。
【0084】
第6実施形態に係る半導体装置6によれば、第1実施形態に係る半導体装置1と同様に、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13を安定して冷却できる。また、第6実施形態に係る半導体装置6によれば、半導体装置6の組み立て作業を容易にできる。
【0085】
なお、溝520gが第1溝の一例である。
【0086】
≪第7実施形態≫
次に、第7実施形態に係る半導体装置について説明する。
図14は、第7実施形態に係る半導体装置7の分解斜視図である。なお、
図14において、熱伝導部材の図示は省略している。第7実施形態に係る半導体装置7は、第4実施形態に係る半導体装置4において、冷却器20に換えて、冷却器620を備える。
【0087】
冷却器620は、+Z側の面620Sに、+Z側からZ軸方向に見た平面視でシール部材431、シール部材432及びシール部材433に倣う形状のそれぞれ溝620g1、溝620g2及び溝620g3を有する。シール部材431を冷却器620に載置する際に、シール部材431は、溝620g1に挿入される。シール部材431が溝620g1に挿入されることにより、冷却器620にシール部材431を載置する際に、シール部材431を冷却器620に対して位置決めできる。同様に、シール部材432及びシール部材433のそれぞれを冷却器620に載置する際に、シール部材432及びシール部材433は、それぞれ溝620g2及び溝620g3に挿入される。
【0088】
第7実施形態に係る半導体装置7によれば、第1実施形態に係る半導体装置1と同様に、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13を安定して冷却できる。また、第7実施形態に係る半導体装置7によれば、半導体装置7の組み立て作業を容易にできる。
【0089】
また、半導体パッケージ10において、シール部材を挿入する溝を備えてもよい。
図15は、第7実施形態に係る半導体装置7が備える半導体パッケージの変形例である半導体パッケージ110の斜視図である。半導体装置7において、半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13のそれぞれに換えて、半導体パッケージ110を用いてもよい。
【0090】
半導体パッケージ110は、下面110S2に、+Z側からZ軸方向に見た平面視でシール部材431、シール部材432及びシール部材433に倣う形状のそれぞれ溝110gをケース110Pに有する。シール部材431、シール部材432及びシール部材433のそれぞれに半導体パッケージ110を載置する際に、シール部材431、シール部材432及びシール部材433のそれぞれに対して半導体パッケージ110を位置決めできる。
【0091】
なお、半導体パッケージ110を、第4実施形態に係る半導体装置4の半導体パッケージ11、半導体パッケージ12及び半導体パッケージ13のいずれかに適用してもよい。
【0092】
溝620g1、溝620g2及び溝620g3のそれぞれが第1溝の一例、溝110gが第2溝の一例である。
【0093】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1、2、3、4、5、6、7 半導体装置
10、11、12、13 半導体パッケージ
20 冷却器
20S 面
30 シール部材
30h1、30h2、30h3 開口部
41、42、43 熱伝導部材
50 固定部材
60 接着剤
80 封止樹脂
110 半導体パッケージ
110g 溝
110S2 下面
330 シール部材
330h 開口部
431、432、433 シール部材
431h、432h、433h 開口部
520 冷却器
520g 溝
520S 面
620 冷却器
620g1、620g2、620g3 溝
620S 面
【手続補正書】
【提出日】2022-09-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1半導体パッケージ、第2半導体パッケージ及び第3半導体パッケージと、
前記第1半導体パッケージ、第2半導体パッケージ及び第3半導体パッケージのそれぞれを冷却する冷却器と、
前記第1半導体パッケージ、第2半導体パッケージ及び第3半導体パッケージのそれぞれと前記冷却器との間に挟まれて設けられ、前記第1半導体パッケージと前記冷却器との間を貫通する第1開口部と、前記第2半導体パッケージと前記冷却器との間を貫通する第2開口部と、前記第3半導体パッケージと前記冷却器との間を貫通する第3開口部と、を有するシール部材と、
前記第1開口部、前記第2開口部及び前記第3開口部のそれぞれに充填される流動性を有する金属により構成される熱伝導部材と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
ケースの下面に設けられる放熱板を有する半導体パッケージと、
前記半導体パッケージを冷却する冷却器と、
前記半導体パッケージと前記冷却器との間に挟まれて設けられ、前記半導体パッケージと前記冷却器との間を貫通し、前記放熱板に倣う形状を有する開口部を有するシール部材と、
前記開口部に充填される流動性を有する金属により構成される熱伝導部材と、
を備える半導体装置。
【請求項3】
前記冷却器は、前記シール部材と接触する面に、前記シール部材が挿入される第1溝を備える、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体パッケージは、前記シール部材と接触する面に、前記シール部材が挿入される第2溝を備える、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記冷却器は、前記シール部材と接触する面に、前記シール部材が挿入される第1溝を備え、
前記半導体パッケージは、前記シール部材と接触する面に、前記シール部材が挿入される第2溝を備える、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記冷却器は、銅又は銅合金により形成される、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記冷却器は、アルミニウム又はアルミニウム合金により形成される、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記冷却器は、表面に銅、銅合金、ニッケル又はニッケル合金により形成される層を有する、
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記冷却器は、表面に酸化アルミニウムの層を有する、
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体パッケージを前記冷却器に押圧する固定部材を備える、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体パッケージと前記シール部材とを固定する接着剤を備える、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記半導体パッケージ、前記シール部材及び前記冷却器を封止する封止樹脂を備える、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項13】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の半導体装置を備える電力変換装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本開示の一の態様によれば、第1半導体パッケージ、第2半導体パッケージ及び第3半導体パッケージと、前記第1半導体パッケージ、第2半導体パッケージ及び第3半導体パッケージのそれぞれを冷却する冷却器と、前記第1半導体パッケージ、第2半導体パッケージ及び第3半導体パッケージのそれぞれと前記冷却器との間に挟まれて設けられ、前記第1半導体パッケージと前記冷却器との間を貫通する第1開口部と、前記第2半導体パッケージと前記冷却器との間を貫通する第2開口部と、前記第3半導体パッケージと前記冷却器との間を貫通する第3開口部と、を有するシール部材と、前記第1開口部、前記第2開口部及び前記第3開口部のそれぞれに充填される流動性を有する金属により構成される熱伝導部材と、を備える半導体装置を提供する。