(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175613
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】道路対比での車両の傾きを推定するための装置およびその方法
(51)【国際特許分類】
B60W 40/10 20120101AFI20231205BHJP
G01P 15/00 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B60W40/10
G01P15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190777
(22)【出願日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】10-2022-0066017
(32)【優先日】2022-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】507098483
【氏名又は名称】ヒュンダイ・モービス・カンパニー・リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】518056140
【氏名又は名称】コングク ユニバーシティ インダストリアル コーオペレーション コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムーン イン スブ
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョン ファ
(72)【発明者】
【氏名】リ クン ホ
(72)【発明者】
【氏名】カン ジ スン
(72)【発明者】
【氏名】ジョ キ チュン
(72)【発明者】
【氏名】キム チャン スゥ
(72)【発明者】
【氏名】ソク ジ ウォン
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA49
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB09Z
3D241DB10Z
3D241DB14Z
3D241DB15Z
3D241DB16Z
3D241DB32Z
3D241DC45Z
(57)【要約】 (修正有)
【課題】道路対比での車両の傾きを推定するための装置およびその方法を提供する。
【解決手段】道路対比での車両の傾きを測定するための装置は、ホイール速度データを獲得するホイール速度センサ部120、IMUデータを獲得するIMUセンサ部110、ホイール速度データとIMUデータとに基づいて停止区間と運動区間を抽出する前処理部130、および停止区間で車両の傾きを推定し、運動区間で道路の傾きを推定した後、車両の傾きと道路の傾きとに基づいて道路対比での車両の傾きを推定する傾き推定部140を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイール速度データを獲得するホイール速度センサ部;
IMUデータを獲得するIMUセンサ部;
前記ホイール速度データと前記IMUデータとに基づいて停止区間と運動区間を抽出する前処理部;および
前記停止区間で車両の傾きを推定し、前記運動区間で道路の傾きを推定した後、前記車両の傾きと前記道路の傾きとに基づいて道路対比での車両の傾きを推定する傾き推定部を含む、道路対比での車両の傾きを測定するための装置。
【請求項2】
前記前処理部は、
前記IMUデータと予め定められた臨界値とを比較し、その比較した結果によって前記IMUデータが有効なデータであるか否かを点検する第1前処理部;および
前記IMUデータが有効なデータである場合、前記IMUデータのうち加速度データと前記ホイール速度データとに基づいて前記停止区間と前記運動区間を抽出する第2前処理部を含む、請求項1に記載の道路対比での車両の傾きを測定するための装置。
【請求項3】
前記運動区間は加速区間または減速区間を含み、
前記第2前処理部は前記停止区間と前記加速区間または前記減速区間と前記停止区間を一つの対で抽出する、請求項2に記載の道路対比での車両の傾きを測定するための装置。
【請求項4】
前記第2前処理部は、
前記停止区間で前記IMUセンサ部のバイアスの平均値を算出し、前記算出されたバイアスの平均値を前記IMUデータのうち角速度データから差し引いて除去する、請求項2に記載の道路対比での車両の傾きを測定するための装置。
【請求項5】
前記傾き推定部は、
前記停止区間で前記IMUデータのうち加速度データに基づいて前記車両の傾きを推定する、請求項1に記載の道路対比での車両の傾きを測定するための装置。
【請求項6】
前記傾き推定部は、
前記運動区間で予め定められた時間ごとに速度の入力を受け、前記入力を受けた速度に基づいて一定の大きさ以上の速度を有する区間を関心領域として抽出し、
前記関心領域の各地点の速度に基づいて多数の道路の傾きを算出した後、前記算出された多数の道路の傾きの平均値を前記運動区間に対する前記道路の傾きとして最終的に推定する、請求項1に記載の道路対比での車両の傾きを測定するための装置。
【請求項7】
前記傾き推定部は、
前記運動区間のうち少なくとも一部の区間に対する速度に基づいて前記道路の傾きを推定する、請求項1に記載の道路対比での車両の傾きを測定するための装置。
【請求項8】
前記傾き推定部は、
前記運動区間で予め定められた時間ごとに位置の入力を受け、前記運動区間における開始地点と終了地点の位置に基づいて前記運動区間に対する前記道路の傾きを最終的に推定する、請求項1に記載の道路対比での車両の傾きを測定するための装置。
【請求項9】
前記傾き推定部は、
前記運動区間のうち少なくとも一部の区間に対する位置に基づいて前記道路の傾きを推定する、請求項1に記載の道路対比での車両の傾きを測定するための装置。
【請求項10】
前記傾き推定部は、
道路の形状に仮想の直線をフィッティングして前記仮想の直線と車両の位置に基づいてエラーの大きさを算出し、
前記算出されたエラーの大きさと予め定められた臨界値とを比較して道路の線形性を評価し、前記評価した結果で前記道路の線形性が適合な場合、前記道路対比での車両の傾きを推定する、請求項1に記載の道路対比での車両の傾きを測定するための装置。
【請求項11】
ホイール速度データとIMUデータを獲得する段階;
前記ホイール速度データと前記IMUデータとに基づいて停止区間と運動区間を抽出する前処理段階;
前記停止区間で車両の傾きを推定する第1推定段階;
前記運動区間で道路の傾きを推定する第2推定段階;および
前記車両の傾きと前記道路の傾きとに基づいて道路対比での車両の傾きを推定する第3推定段階を含む、道路対比での車両の傾きを測定するための方法。
【請求項12】
前記前処理段階は、
前記IMUデータと予め定められた臨界値とを比較し、その比較した結果によって前記IMUデータが有効なデータであるか否かを点検する第1前処理段階;および
前記IMUデータが有効なデータである場合、前記IMUデータのうち加速度データと前記ホイール速度データとに基づいて前記停止区間と前記運動区間を抽出する第2前処理段階を含む、請求項11に記載の道路対比での車両の傾きを測定するための方法。
【請求項13】
前記運動区間は加速区間と減速区間を含み、
前記第2前処理段階は前記停止区間と前記加速区間または前記減速区間と前記停止区間を一つの対で抽出する、請求項12に記載の道路対比での車両の傾きを測定するための方法。
【請求項14】
前記第2前処理段階は、
前記停止区間でIMUセンサ部のバイアスの平均値を算出し、前記算出されたバイアスの平均値を前記IMUデータのうち角速度データから差し引いて除去する、請求項12に記載の道路対比での車両の傾きを測定するための方法。
【請求項15】
前記第1推定段階は、
前記停止区間で前記IMUデータのうち加速度データに基づいて前記車両の傾きを推定する、請求項11に記載の道路対比での車両の傾きを測定するための方法。
【請求項16】
前記第2推定段階は、
前記運動区間で予め定められた時間ごとに速度の入力を受け、前記入力を受けた速度に基づいて一定の大きさ以上の速度を有する区間を関心領域として抽出し、
前記関心領域の各地点の速度に基づいて多数の道路の傾きを算出した後、前記算出された多数の道路の傾きの平均値を前記運動区間に対する前記道路の傾きとして最終的に推定する、請求項11に記載の道路対比での車両の傾きを測定するための方法。
【請求項17】
前記第2推定段階は、
前記運動区間のうち少なくとも一部の区間に対する速度に基づいて前記道路の傾きを推定する、請求項11に記載の道路対比での車両の傾きを測定するための方法。
【請求項18】
前記第2推定段階は、
前記運動区間で予め定められた時間ごとに位置の入力を受け、前記運動区間における開始地点と終了地点の位置に基づいて前記運動区間に対する前記道路の傾きを最終的に推定する、請求項11に記載の道路対比での車両の傾きを測定するための方法。
【請求項19】
前記第2推定段階は、
前記運動区間のうち少なくとも一部の区間に対する位置に基づいて前記道路の傾きを推定する、請求項11に記載の道路対比での車両の傾きを測定するための方法。
【請求項20】
前記第3推定段階は、
道路の形状に仮想の直線をフィッティングして前記仮想の直線と車両の位置に基づいてエラーの大きさを算出し、
前記算出されたエラーの大きさと予め定められた臨界値とを比較して道路の線形性を評価し、前記評価した結果で前記道路の線形性が適合な場合、前記道路対比での車両の傾きを推定する、請求項11に記載の道路対比での車両の傾きを測定するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施例は道路対比での車両の傾きを推定するための装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にヘッドランプは一定の方向に光を照射するように設置されるが、車両の車高が変わる場合にも一定の方向に光を照射する場合には十分な視野を確保できなかったり対向車両に眩しさが発生されるようにする場合が発生することになる。
【0003】
このような車体の高さの変化をセンシングし、そのセンシングした値に基づいてヘッドランプの照射角を調整する方案が提示されるが、このような方案は車高センサを利用して車体の高さの変化をセンシングすることになる。
【0004】
しかし、車高センサを利用した車両の傾きの算出は車両の車体とサスペンション間の高さの差に基づいてなされるため、算出される車両の傾きと車両の実際の傾きの間には差が発生し、一つの車高センサを利用する場合には、算出された傾きと実際の傾きの間の差はさらに大きくなる問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施例は、道路対比での車両の傾きを推定するための装置およびその方法を提供することができる。
【0006】
実施例で解決しようとする課題はこれに限定されるものではなく、以下で説明する課題の解決手段や実施形態から把握され得る目的や効果も含まれると言える。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施例に係る道路対比での車両の傾きを測定するための装置は、ホイール速度データを獲得するホイール速度センサ部;IMUデータを獲得するIMUセンサ部;前記ホイール速度データと前記IMUデータとに基づいて停止区間と運動区間を抽出する前処理部;および前記停止区間で車両の傾きを推定し、前記運動区間で道路の傾きを推定した後、前記車両の傾きと前記道路の傾きとに基づいて道路対比での車両の傾きを推定する傾き推定部を含むことができる。
【0008】
前記前処理部は前記IMUデータと予め定められた臨界値とを比較し、その比較した結果によって前記IMUデータが有効なデータであるか否かを点検する第1前処理部;および前記IMUデータが有効なデータである場合、前記IMUデータのうち加速度データと前記ホイール速度データとに基づいて前記停止区間と前記運動区間を抽出する第2前処理部を含むことができる。
【0009】
前記運動区間は加速区間と減速区間を含み、前記第2前処理部は前記停止区間と前記加速区間または前記減速区間と前記停止区間を一つの対で抽出することができる。
【0010】
前記第2前処理部は前記停止区間で前記IMUセンサ部のバイアスの平均値を算出し、前記算出されたバイアスの平均値を前記IMUデータのうち角速度データから差し引いて除去することができる。
【0011】
前記傾き推定部は、前記停止区間で前記IMUデータのうち加速度データに基づいて前記車両の傾きを推定することができる。
【0012】
前記傾き推定部は前記運動区間で予め定められた時間ごとに速度の入力を受け、前記入力を受けた速度に基づいて一定の大きさ以上の速度を有する区間を関心領域として抽出し、前記関心領域の各地点の速度に基づいて多数の道路の傾きを算出した後、前記算出された多数の道路の傾きの平均値を前記運動区間に対する前記道路の傾きとして最終的に推定することができる。
【0013】
前記傾き推定部は、前記運動区間のうち少なくとも一部の区間に対する速度に基づいて前記道路の傾きを推定することができる。
【0014】
前記傾き推定部は前記運動区間で予め定められた時間ごとに位置の入力を受け、前記運動区間における開始地点と終了地点の位置に基づいて前記運動区間に対する前記道路の傾きを最終的に推定することができる。
【0015】
前記傾き推定部は、前記運動区間のうち少なくとも一部の区間に対する位置に基づいて前記道路の傾きを推定することができる。
【0016】
前記傾き推定部は道路の形状に仮想の直線をフィッティングして前記仮想の直線と車両の位置に基づいてエラーの大きさを算出し、前記算出されたエラーの大きさと予め定められた臨界値とを比較して道路の線形性を評価し、前記評価した結果で前記道路の線形性が適合な場合、前記道路対比での車両の傾きを推定することができる。
【0017】
実施例に係る道路対比での車両の傾きを測定するための方法は、ホイール速度データとIMUデータを獲得する段階;前記ホイール速度データと前記IMUデータとに基づいて停止区間と運動区間を抽出する前処理段階;前記停止区間で車両の傾きを推定する第1推定段階;前記運動区間で道路の傾きを推定する第2推定段階;および前記車両の傾きと前記道路の傾きとに基づいて道路対比での車両の傾きを推定する第3推定段階を含むことができる。
【0018】
前記前処理段階は前記IMUデータと予め定められた臨界値とを比較し、その比較した結果によって前記IMUデータが有効なデータであるか否かを点検する第1前処理段階;および前記IMUデータが有効なデータである場合、前記IMUデータのうち加速度データと前記ホイール速度データとに基づいて前記停止区間と前記運動区間を抽出する第2前処理段階を含むことができる。
【0019】
前記運動区間は加速区間または減速区間を含み、前記第2前処理段階は前記停止区間と前記加速区間または前記減速区間と前記停止区間を一つの対で抽出することができる。
【0020】
前記第2前処理段階は前記停止区間でIMUセンサ部のバイアスの平均値を算出し、前記算出されたバイアスの平均値を前記IMUデータのうち角速度データから差し引いて除去することができる。
【0021】
前記第1推定段階は、前記停止区間で前記IMUデータのうち加速度データに基づいて前記車両の傾きを推定することができる。
【0022】
前記第2推定段階は前記運動区間で予め定められた時間ごとに速度の入力を受け、前記入力を受けた速度に基づいて一定の大きさ以上の速度を有する区間を関心領域として抽出し、前記関心領域の各地点の速度に基づいて多数の道路の傾きを算出した後、前記算出された多数の道路の傾きの平均値を前記運動区間に対する前記道路の傾きとして最終的に推定することができる。
【0023】
前記第2推定段階は、前記運動区間のうち少なくとも一部の区間に対する速度に基づいて前記道路の傾きを推定することができる。
【0024】
前記第2推定段階は前記運動区間で予め定められた時間ごとに位置の入力を受け、前記運動区間における開始地点と終了地点の位置に基づいて前記運動区間に対する前記道路の傾きを最終的に推定することができる。
【0025】
前記第2推定段階は、前記運動区間のうち少なくとも一部の区間に対する位置に基づいて前記道路の傾きを推定することができる。
【0026】
前記第3推定段階は道路の形状に仮想の直線をフィッティングして前記仮想の直線と車両の位置に基づいてエラーの大きさを算出し、前記算出されたエラーの大きさと予め定められた臨界値とを比較して道路の線形性を評価し、前記評価した結果で前記道路の線形性が適合な場合、前記道路対比での車両の傾きを推定することができる。
【発明の効果】
【0027】
実施例によると、ホイール速度データとIMUデータとに基づいて停止区間と運動区間を抽出し、停止区間で車両の傾きを推定して運動区間で道路の傾きを推定した後、車両の傾きと道路の傾きに基づいて道路対比での車両の傾きを推定するようにすることによって、道路対比での車両の傾きを正確に推定することができる。
【0028】
本発明の多様かつ有益な長所と効果は前述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解され得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】実施例に係る道路対比での車両の傾きを推定するための装置を示す図面である。
【
図2a】実施例に係る座標系を説明するための図面である。
【
図2b】実施例に係る座標系を説明するための図面である。
【
図2c】実施例に係る座標系を説明するための図面である。
【
図3】車両の傾き、道路の傾き、道路対比での車両の傾きを説明するための図面である。
【
図4】道路対比での車両の傾きを推定するための方法を示す図面である。
【
図5a】
図4に図示された道路の傾き推定区間の抽出過程を示す図面である。
【
図5b】
図4に図示された道路の傾き推定区間の抽出過程を示す図面である。
【
図5c】
図4に図示された道路の傾き推定区間の抽出過程を示す図面である。
【
図5d】
図4に図示された道路の傾き推定区間の抽出過程を示す図面である。
【
図6】
図4に図示されたバイアスの除去原理を説明するための図面である。
【
図7】
図4に図示された車両の傾き推定原理を説明するための図面である。
【
図8a】実施例に係る速度ベースの道路の傾き算出原理を説明するための図面である。
【
図8b】実施例に係る速度ベースの道路の傾き算出原理を説明するための図面である。
【
図9a】実施例に係る位置ベースの道路の傾き算出原理を説明するための図面である。
【
図9b】実施例に係る位置ベースの道路の傾き算出原理を説明するための図面である。
【
図10】
図4に図示された道路の線形性評価原理を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0031】
ただし、本発明の技術思想は説明される一部の実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現され得、本発明の技術思想範囲内であれば、実施例間にその構成要素のうち一つ以上を選択的に結合、置き換えて使うことができる。
【0032】
また、本発明の実施例で使われる用語(技術および科学的用語を含む)は、明白に特に定義されて記述されない限り、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に一般的に理解され得る意味で解釈され得、辞書に定義された用語のように一般的に使われる用語は関連技術の文脈上の意味を考慮してその意味を解釈できるであろう。
【0033】
また、本発明の実施例で使われた用語は実施例を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。
【0034】
本明細書で、単数型は文面で特に言及しない限り複数型も含むことができ、「Aおよび(と)B、Cのうち少なくとも一つ(または一つ以上)」と記載される場合、A、B、Cで組み合わせできるすべての組み合わせのうち一つ以上を含むことができる。
【0035】
また、本発明の実施例の構成要素を説明するにおいて、第1、第2、A、B、(a)、(b)等の用語を使うことができる。
【0036】
このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって該当構成要素の本質や順番または順序などに限定されない。
【0037】
そして、或る構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素はその他の構成要素に直接的に連結、結合または接続される場合だけでなく、その構成要素とその他の構成要素の間にあるさらに他の構成要素によって「連結」、「結合」または「接続」される場合も含むことができる。
【0038】
また、各構成要素の「上(うえ)または下(した)」に形成または配置されるものとして記載される場合、上(うえ)または下(した)は二つの構成要素が互いに直接接触する場合だけでなく、一つ以上のさらに他の構成要素が二つの構成要素の間に形成または配置される場合も含む。また、「上(うえ)または下(した)」で表現される場合、一つの構成要素を基準として上側方向だけでなく下側方向の意味も含むことができる。
【0039】
図1は実施例に係る道路対比での車両の傾きを推定するための装置を示す図面であり、
図2a~
図2cは実施例に係る座標系を説明するための図面であり、
図3は車両の傾き、道路の傾き、道路対比での車両の傾きを説明するための図面である。
【0040】
図1を参照すると、実施例に係る道路対比での車両の傾きを推定するための装置は、IMU(Inertial Measurement Unit)センサ部110、ホイール速度センサ部120、前処理部130、および傾き推定部140を含むことができる。
【0041】
IMUセンサ部110は加速度(acceleration)、回転角速度(rotation rate)のような車両の動きに対するデータすなわち、IMUデータを獲得することができる。加速度はボディフレーム(body frame)上でx、y、z軸加速度と重力(gravitational force)を含み、回転角速度はボディフレーム上でx、y、z軸角速度を含むことができる。
【0042】
この時、
図2aのボディフレームは車両の動きにしたがって一緒に動く車両基準座標系であり、
図2bのロードフレーム(road frame)は道路の傾きに合わせて変わる道路基準座標系であり、
図2cのナビゲーションフレーム(navigation frame)は車両の動きに関係なく基準点を基準に変わらない座標系をそれぞれ示す。
【0043】
【0044】
IMUセンサ部110はジャイロスコープ(gyroscope)センサと加速度(acceleration)センサを含むことができる。まず、加速度センサはボディフレーム上で加速度と重力を測定することができる。IMUセンサ部100の3軸加速度と重力はボディフレーム上で測定され得る。また、ジャイロスコープセンサはボディフレーム上で角速度を測定することができる。角速度は車両の縦方向の動きが考慮されるため、車両のピッチ動きが測定されなければならない。したがって、単一y一軸ジャイロスコープが使われ得るが、単一y一軸ジャイロスコープがなくても具現可能であるが性能が低下する可能性がある。
【0045】
ホイール速度センサ部120は、CAN(Controller Area Network)を通じてホイール速度データを獲得することができる。この時、ホイール速度データは駆動ホイール(driving wheel)ではなく二つのリアホイール(rear wheel)の速度を平均して獲得できるが、必ずしもこれに限定されない。
【0046】
前処理部130はIMUセンサ部110から獲得したIMUデータとホイール速度センサ部120から獲得したホイール速度データを前処理することができる。前処理部130は第1前処理部131と第2前処理部132を含むことができる。
【0047】
第1前処理部131は、IMUデータが有効なデータであるか否かを点検することができる。例えば、第1前処理部131はIMUデータが予め定められた臨界値以上の場合に有効なデータと判断し、臨界値未満の場合に有効でないデータと判断することができる。
【0048】
第2前処理部132は、IMUデータとホイール速度データとに基づいて停止区間と運動区間を抽出することができる。停止区間は車両が停止状態である区間であって、ホイール速度データが0である区間であり得る。運動区間は車両が減速または加速する区間であり得る。
【0049】
第1前処理部131は、IMUデータからIMUエラーを除去することができる。IMUエラーは、バイアス(bias)とゼロ平均ホワイトノイズ(zero mean white noise)の二つのタイプがある。このようなエラーは加速度と角速度を積分する場合、大きな問題となり得る。車両が停止する場合、ジャイロスコープの出力は唯一バイアスと雑音のみである。
【0050】
実施例ではジャイロスコープのバイアスを除去してIMUデータの質を向上させ、平均値を通じてバイアスを推定してゼロ平均ホワイトノイズを除去する。
【0051】
傾き推定部140は、前処理されたIMUデータとホイール速度データに基づいて道路対比での車両の傾きを推定することができる。傾き推定部140は第1傾き推定部141、第2傾き推定部142、第3傾き推定部143、線形性評価部144を含むことができる。
【0052】
第1傾き推定部141は、停止状態での車両の傾きを推定することができる。第1傾き推定部141は、第2前処理部132から抽出された停止区間で車両の傾きを推定することができる。
【0053】
第2傾き推定部142は、運動状態での道路の傾きを推定することができる。第2傾き推定部142は、第2前処理部132から抽出された運動区間で道路の傾きを推定することができる。
【0054】
【0055】
線形性評価部144は、道路の傾きを算出するための道路の線形性(直線性)を評価することができる。例えば、道路の線形性に適合であると評価した場合にのみ推定過程を遂行して第3傾き推定部143が道路対比での車両の傾きを推定することができる。
【0056】
図4は道路対比での車両の傾きを推定するための方法を示す図面であり、
図5a~
図5dは
図4に図示された道路の傾き推定区間の抽出過程を示す図面であり、
図6は
図4に図示されたバイアスの除去原理を説明するための図面であり、
図7は
図4に図示された車両の傾き推定原理を説明するための図面である。
【0057】
図4を参照すると、実施例に係る車両の傾きを測定するための装置(以下、傾き推定装置という)はIMUデータとホイール速度データを受信することができる(S110)。
【0058】
次に、傾き推定装置は受信されたIMUデータが有効なデータであるか否かを点検することができる(S120)。この時、傾き測定装置は予め定められたパラメータに基づいてIMUデータが有効なデータであるか否かを点検することができる。予め定められたパラメータは加速度、操舵角、道路の傾きを含むことができる。
【0059】
例えば、傾き推定装置はIMUデータとホイール速度データに基づいて車両の加速度が予め定められた加速度以下であるか、車両の操舵角が予め定められた操舵角以上であるか、車両が位置する道路の傾きが予め定められた道路の傾き(pitch方向)以上の場合であるか、予め定められた道路の傾き(roll方向)以上である場合、IMUデータとホイール速度データが有効でないデータであると判断して傾き推定過程を終了することができる。
【0060】
このような理由は、加速度は急加速の場合にサスペンション運動によるノイズが大部分であり、操舵角はY軸加速度の変化を引き起こし、一定の大きさ以上の道路の傾きは荷重による道路対比での車両の傾きの静的変化を起こすため、これを考慮するためである。
【0061】
次に、傾き推定装置は受信されたIMUデータとホイール速度データに基づいて道路の傾き推定区間を抽出することができる(S130)。この時、道路の傾き推定区間は停止後加速される停止-加速区間と減速後停止される減速-停止区間を含むことができる。実施例に係る道路の傾き推定区間では停止後加速または走行中に減速後停止状態を判断するため、IMUデータのうちIMU加速度データを利用している。
【0062】
具体的には、傾き推定装置は
図5aのIMU加速度データを受信し、受信されたIMU加速度データをフィルタリングして一定の大きさ以上のIMU加速度データを抽出することができる。
【0063】
傾き推定装置はフィルタリングされたIMU加速度データとホイール速度データに基づいて、
図5bのように、停止区間、加速区間、減速区間を区分することができる。
【0064】
この時、停止区間と加速区間または減速区間と停止区間は、加速度の大きさが一定の値以上の区間を運動区間すなわち、加速区間と減速区間として決定することができる。
【0065】
傾き推定装置は、
図5cおよび
図5dのように区分された停止区間、加速区間、減速区間に基づいて、停止-加速区間または減速-停止区間を道路の傾き推定区間として抽出することができる。
【0066】
実施例では、このように停止-加速区間または減速-停止区間でのIMUデータとホイール速度データを利用して道路対比での車両の傾きを推定しようとする。
【0067】
次に、傾き推定装置は停止区間でバイアスの平均値を算出し、算出されたバイアスの平均値をIMUデータすなわち、IMU角速度データから差し引いて除去することができる(S140)。
【0068】
図6のように角速度系の出力値すなわち、IMU角速度データはバイアスが含まれて高いため、バイアスの平均値を差し引いて除去して低くなることが分かる。
【0069】
次に、傾き推定装置は停止区間でIMUデータすなわち、IMU加速度データに基づいて静的な車両の傾きすなわち、ピッチ(pitch)、ロール(roll)を推定することができる(S150)。この時、
図7のように停止区間で重力(g
n)の位置に基づいて静的な車両の傾きを推定するが、静的な車両の傾きは次の[数1]、[数2]のように定義される。
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
次に、傾き推定装置はIMUデータに基づいて道路の傾きを推定することができる(S160)。道路の傾きは加速度、速度、位置に基づいて算出され得るが、各道路の傾きは次の[数3]、[数4]、[数5]のように定義される。
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
この時、加速度、速度、位置の関係は次の[数6]、[数7]のように定義される。
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
図8a~
図8bは、実施例に係る速度ベースの道路の傾き算出原理を説明するための図面である。
【0084】
図8aを参照すると、傾き推定装置は運動区間で予め定められた時間ごとに速度の入力を受け、入力を受けた速度に基づいて一定の大きさ以上の速度を有する区間を関心領域として抽出することができる。
【0085】
傾き推定装置は、各地点の速度に基づいて多数の第1道路の傾きを算出することができる。
【0086】
傾き推定装置は算出された多数の第1道路の傾きを平均して一つの第2道路の傾きを算出するが、第2道路の傾きを最終道路の傾きとして算出することになる。
【0087】
図8bを参照すると、実施例では速度に対する開始マージンと終了マージンを考慮して、運動区間全体ではなく一部の運動区間でのみ道路の傾きを算出しようとする。
【0088】
例えば、全体運動区間のうち、開始部分の一部の運動区間と終了部分の一部の運動区間を除いた残りの区間で入力を受けた速度に基づいて道路の傾きを算出することになる。
【0089】
図9a~
図9bは、実施例に係る位置ベースの道路の傾き算出原理を説明するための図面である。
【0090】
図9aを参照すると、傾き推定装置は運動区間で予め定められた時間ごとに位置の入力を受け、開始地点と終了地点の位置に基づいて道路の傾きを算出することになる。
【0091】
図9bを参照すると、実施例では位置に対する開始マージンと終了マージンを考慮して、運動区間全体ではなく一部の運動区間でのみ道路の傾きを算出しようとする。
【0092】
例えば、全体運動区間のうち、開始部分の一部の運動区間と終了部分の一部の運動区間を除いた残りの区間で入力を受けた位置に基づいて道路の傾きを算出することになる。
【0093】
この時、開始マージンと終了マージンは開始マージン比率と終了マージン比率で設定され得る。ここでは開始マージンと終了マージンをすべて考慮した例を説明しているが、必ずしもこれに限定されず、開始マージンと終了マージンのうち少なくとも一つを適用することができる。
【0094】
また、開始マージンと終了マージンは同一のマージン比率を有することができるが、必ずしもこれに限定されず、状況によって互いに異なるマージン比率を有し得る。例えば、停止後加速である区間では開始マージン比率が終了マージン比率より大きく、減速後停止区間では開始マージン比率より終了マージン比率が大きく設定され得る。
【0095】
次に、傾き推定装置は道路の線形性を評価することができる(S170)。
【0096】
図10は、
図4に図示された道路の線形性評価原理を説明するための図面である。
【0097】
図10を参照すると、傾き推定装置は道路の形状に仮想の直線をフィッティングし、仮想の直線と車両の位置に基づいてエラーの大きさを算出して算出されたエラーの大きさに基づいて道路の線形性を評価することができる。
【0098】
例えば、傾き推定装置はエラーの大きさが予め定められた臨界値以上の場合、道路が屈曲が激しいため道路の傾きを算出するための道路の線形性に不適合であると判断して、道路対比での車両の傾きを推定せずに推定過程を終了することになる。
【0099】
反面、傾き推定装置はエラーの大きさが予め定められた臨界値未満の場合、道路が屈曲が激しくないため道路の傾きを算出するための道路の線形性に適合であると判断することができる。
【0100】
次に、傾き推定装置は道路の線形性に適合すると判断される場合、推定された車両の傾きと道路の傾きに基づいて道路対比での車両の傾きを推定することができる(S180)。このような道路対比での車両の傾きは次の[数8]のように定義される。
【0101】
【0102】
本実施例で使われる「~部」という用語は、ソフトウェアまたはFPGA(field-programmable gate array)またはASICのようなハードウェア構成要素を意味し、「~部」は何らかの役割を遂行する。しかし、「~部」はソフトウェアまたはハードウェアに限定される意味ではない。「~部」はアドレッシングできる保存媒体にあるように構成されてもよく、一つまたはそれ以上のプロセッサを再生させるように構成されてもよい。したがって、一例として、「~部」はソフトウェア構成要素、客体指向ソフトウェア構成要素、クラス構成要素およびタスク構成要素のような構成要素と、プロセス、関数、属性、プロシーザー、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、ドライバ、ファームウェア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレイ、および変数を含む。構成要素と「~部」内で提供される機能は、さらに小さい数の構成要素および「~部」で結合されたり追加的な構成要素と「~部」にさらに分離され得る。それだけでなく、構成要素および「~部」はデバイスまたはセキュリティマルチメディアカード内の一つまたはそれ以上のCPUを再生させるように具現されてもよい。
【0103】
前記では本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野の熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更できることが理解できるであろう。
【符号の説明】
【0104】
110:IMUセンサ部
120:ホイール速度センサ部
130:前処理部
131:第1前処理部
132:第2前処理部
140:傾き推定部
141:第1傾き推定部
142:第2傾き推定部
143:第3傾き推定部
144:線形性評価部