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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175640
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】喫煙具用カートリッジおよび蓋部材
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/42 20200101AFI20231205BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20231205BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20231205BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/40
A24F40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079855
(22)【出願日】2023-05-15
(62)【分割の表示】P 2022087725の分割
【原出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(72)【発明者】
【氏名】劉 凱鵬
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC04
4B162AC06
4B162AC13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エアロゾル形成基体を保護しつつ、カートリッジ内の気体の流路を確保することが可能な喫煙具用カートリッジおよび蓋部材を提供する。
【解決手段】喫煙具用カートリッジ10は、喫煙具に装着して使用される。この喫煙具用カートリッジ10は、所定の方向に延在して設けられ、タバコ植物または非タバコ植物を含むエアロゾル形成基材12と、非多孔質材料により構成され、前記エアロゾル形成基材12の延在方向の一端E1を覆うとともに、1または複数の開口11Mを有する蓋部材11とを有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙具に装着して使用される喫煙具用カートリッジであって、 所定の方向に延在して設けられ、タバコ植物または非タバコ植物を含むエアロゾル形成基材と、 非多孔質材料により構成され、前記エアロゾル形成基材の延在方向の一端を覆うとともに、1または複数の開口を有する蓋部材と を備える喫煙具用カートリッジ。
【請求項2】
前記エアロゾル形成基材内に前記延在方向に沿って設けられるとともに、誘導加熱可能に構成されたサセプタをさらに有する請求項1に記載の喫煙具用カートリッジ。
【請求項3】
前記サセプタは合金により構成されている請求項2に記載の喫煙具用カートリッジ。
【請求項4】
前記エアロゾル形成基材を周方向に被覆する包装部材をさらに有し、 前記蓋部材は前記包装部材に接して設けられている請求項1に記載の喫煙具用カートリッジ。
【請求項5】
前記開口は、前記喫煙具に設けられた発熱体を通過させ得る形状を有している請求項1に記載の喫煙具用カートリッジ。
【請求項6】
前記開口は、前記エアロゾル形成基材の一部を露出させる請求項1に記載の喫煙具用カートリッジ。
【請求項7】
前記エアロゾル形成基材の一端と前記蓋部材との間に設けられるとともに、前記開口を塞ぐ膜状部材をさらに有する請求項1に記載の喫煙具用カートリッジ。
【請求項8】
前記エアロゾル形成基材の前記延在方向の他端に接するマウスピースをさらに有する請求項1に記載の喫煙具用カートリッジ。
【請求項9】
前記エアロゾル形成基材の前記延在方向の他端に接する支持部材と、 前記支持部材に接して設けられるとともに、前記支持部材を介して前記エアロゾル形成基材の前記他端に接続されたマウスピースとをさらに有する請求項1に記載の喫煙具用カートリッジ。
【請求項10】
前記支持部材はゴム系材料を含む請求項9に記載の喫煙具用カートリッジ。
【請求項11】
前記非多孔質材料は、ゴム系材料、樹脂系材料、金属系材料および紙系材料の少なくともいずれか一つを含む請求項1に記載の喫煙具用カートリッジ。
【請求項12】
前記蓋部材は、1の前記開口を有する請求項1に記載の喫煙具用カートリッジ。
【請求項13】
喫煙具に装着して使用され、タバコ植物または非タバコ植物を含むエアロゾル形成基材を含む喫煙具用カートリッジにおいて、前記エアロゾル形成基材の延在方向の一端に設けられた蓋部材であって、 非多孔質材料により構成され、前記エアロゾル形成基材の前記延在方向の一端を覆うとともに、1または複数の開口を有する蓋部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙具用カートリッジおよび蓋部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多様なタバコ製品が普及してきている。このタバコ製品のうち、いわゆる加熱式のタバコ製品では、タバコの成分を含むカートリッジを加熱式の喫煙具に装着することにより、火炎を用いずに加熱することができる。喫煙者は、加熱によって気化したタバコの成分を吸引し、タバコを楽しむことができる。タバコ以外の植物の成分を含むカートリッジも普及し始めている。
【0003】
加熱式の喫煙具として、たとえば、発熱体を含む喫煙具および誘導加熱体を含む喫煙具が知られている。発熱体を含む喫煙具には、たとえば、ブレード形状、棒状、ピン形状または三角形状等の発熱体が設けられており、この発熱体を、エアロゾル形成基体を含むカートリッジに挿入して使用する。誘導加熱体を含む喫煙具では、エアロゾル形成基体内にサセプタを有するカートリッジが使用される(たとえば、特許文献1)。このサセプタが誘導加熱されることにより、エアロゾル形成基体が加熱され、エアロゾルが生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2019-512235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような喫煙具に使用されるカートリッジでは、エアロゾル形成基体を保護しつつ、カートリッジ内の気体の流路を確保することが望ましい。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、エアロゾル形成基体を保護しつつ、カートリッジ内の気体の流路を確保することが可能な喫煙具用カートリッジおよび蓋部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明は、喫煙具に装着して使用される喫煙具用カートリッジである。この喫煙具用カートリッジは、所定の方向に延在して設けられ、タバコ植物または非タバコ植物を含むエアロゾル形成基材と、非多孔質材料により構成され、前記エアロゾル形成基材の延在方向の一端を覆うとともに、1または複数の開口を有する蓋部材とを備える。
【0008】
また、上記目的を達成するための本発明は、喫煙具に装着して使用され、タバコ植物または非タバコ植物を含むエアロゾル形成基材を含む喫煙具用カートリッジにおいて、前記エアロゾル形成基材の延在方向の一端に設けられた蓋部材である。この蓋部材は、非多孔質材料により構成され、前記エアロゾル形成基材の前記延在方向の一端を覆うとともに、1または複数の開口を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る喫煙具用カートリッジおよび蓋部材では、エアロゾル形成基材の一端が蓋部材に覆われるので、エアロゾル形成基材の一端が保護される。また、この蓋部材には開口が設けられているので、この開口を介して気体が流れる。よって、エアロゾル形成基体を保護しつつ、カートリッジ内の気体の流路を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る喫煙具用カートリッジの構成を表す断面図である。
図2図1に示した喫煙具用カートリッジの一方の端部の構成の一例を表す平面図である。
図3】(A)(B)は、図2に示した蓋部材の構成を、発熱体とともに表す平面図である。
図4図1に示した喫煙具用カートリッジを喫煙具に挿入した状態を表す断面図である。
図5】変形例1に係る喫煙具用カートリッジの構成を表す断面図である。
図6】変形例2に係る喫煙具用カートリッジの構成を表す断面図である。
図7】変形例3に係る喫煙具用カートリッジの構成を表す断面図である。
図8図2に示した蓋部材の他の例を表す平面図である。
図9図1に示した喫煙具用カートリッジの他の例を表す断面図である。
図10図1に示した喫煙具用カートリッジの他の例を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、図中、同一の部材には同一の符号を用いた。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0012】
〔実施形態〕 図1および図2は、本発明の一実施形態に係る喫煙具用カートリッジ(喫煙具用カートリッジ10)の構成を表している。喫煙具用カートリッジ10は、たとえば、円柱形状を有しており、所定の方向に延在している。図1は、喫煙具用カートリッジ10の延在方向の構成を表す断面図であり、図2は、この延在方向の一方の端部(後述の蓋部材11側の端部)の構成を表す平面図である。以降の説明では、喫煙具用カートリッジ10の延在方向をY方向、幅方向および高さ方向をX方向およびZ方向という場合もある。図1は喫煙具用カートリッジのYZ断面図であり、図2はXZ平面図である。
【0013】
<喫煙具用カートリッジ10の構成> 喫煙具用カートリッジ10は、たとえば、蓋部材11、エアロゾル形成基材12、サセプタ13、支持部材14、マウスピース15および包装部材16を有している。サセプタ13は、エアロゾル形成基材12内に配置されている。喫煙具用カートリッジ10では、Y方向に沿って、蓋部材11、サセプタ13を含むエアロゾル形成基材12、支持部材14およびマウスピース15がこの順に設けられている。包装部材16は、喫煙具用カートリッジ10の延在方向(Y方向)にわたって設けられており、蓋部材11からマウスピース15までが包装部材16に被覆されている。
【0014】
エアロゾル形成基材12は、蓋部材11と支持部材14との間に設けられており、Y方向に沿って延在している。このエアロゾル形成基材12は、たとえば、円柱形状に成形されており、Y方向の一端E1および他端E2を有している。エアロゾル形成基材12の一端E1は蓋部材11により覆われている。エアロゾル形成基材12の他端E2は、たとえば、支持部材14に接している。
【0015】
エアロゾル形成基材12は、タバコ植物または非タバコ植物を含んでいる。タバコ植物は、たとえば、タバコ葉、タバコ茎、膨張タバコまたは均質化タバコ等である。非タバコ植物は、タバコ植物以外の植物である。エアロゾル形成基材12は、非タバコ植物の葉、果肉、種子、根(鱗根、塊根等)、茎、塊茎、皮(茎皮、樹皮等)、花(花弁、おしべ、めしべ等)、幹または枝等の部位を含んでいることが好ましい。
【0016】
ここで、「植物」とは動物に対比する生物区分を意味する。ここでの植物は、草および木等のように、根があって場所が固定されて生きているような生物以外に、微細藻類および海藻等のような藻類、キノコ等の菌類等をも含む。
【0017】
エアロゾル形成基材12は、たとえば、乾燥および粉砕された非タバコ植物に、エアロゾルを発生させるエアロゾルフォーマ、微結晶セルロース、風味を追加する添加剤、保存料および結着剤または増粘剤等を適宜混合した後、粉砕または分級された粉形状または粒形状状の集合体である。エアロゾル形成基材12は、ペースト状であってもよい。また、エアロゾル形成基材12は、非タバコ植物を含む原料をシート状に成形した後、所定の幅および長さを有するように切断することにより形成されていてもよい。
【0018】
非タバコ植物の部位が葉であるとき、エアロゾル形成基材12には、好ましくは茶類を使用できる。茶類は、様々な種類の茶類の植物を含み、かつ、同じ植物であっても加工法によって異なるお茶を生成することができるためである。具体的には、たとえば、日本茶、紅茶、明日葉茶、甘茶、アマチャヅル茶、アロエ茶、イチョウ葉茶、ウーロン茶、ウコン茶、ウラジロガシ茶、エゾウコギ茶、オオバコ茶、カキオドシ茶、柿の葉茶、カミツレ茶、カモミールティ、河原決明茶、カリン茶、菊花茶、ギムネマ茶、グァバ茶、クコ茶、柔の葉茶、黒豆茶、ゲンノショウコ茶、玄米茶、ゴボウ茶、コンフリー茶、毘布茶、桜茶、サフラン茶、シイタケ茶、シソ茶、ジャスミン茶、しょうが茶、スギナ茶、セキショウ茶、センブリ茶、ソバ茶、タラノキ茶、タンポポ茶、甜茶、ドクダミ茶、杜仲茶、ナタマメ茶、ニワトコ茶、ネズミモチ茶、ハトムギ茶、ハブ茶、ビワの葉茶、プーアル茶、紅花茶、松葉茶、マテ茶、麦茶、メグスリノキ茶、ヨモギ茶、ユーカリ茶、羅漢果茶、ルイボスティおよびゴーヤ茶などが挙げられる。エアロゾル形成基材12には、飲用後の茶殻を使用しても良い。茶殻などを使用すれば高価なお茶などを再利用して有効活用することができる。
【0019】
さらに、エアロゾル形成基材12には、非タバコ植物の抽出物、いわゆるエキスおよび加工品等を用いるようにしてもよい。抽出物の形態としては、液体、水あめ状、粉末、顆粒および溶液等が挙げられる。
【0020】
エアロゾル形成基材12に含有されるエアロゾルフォーマは、たとえば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、トリエチレングリコール、乳酸、ジアセチン(グリセリンジアセタート)、トリアセチン(グリセリントリアセタート)、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ドデカンジオン酸ジメチルまたはテトラデカンサンジオン酸ジメチルなどである。なかでも、グリセリンおよびプロピレングリコールが好ましい。
【0021】
エアロゾル形成基材12に含有される微結晶セルロースは、たとえば、まず、繊維性植物のパルプからα-セルロースを生成し、次に、このα-セルロースを酸で部分的に解重合させることにより形成する。この微結晶セルロースでは、セルロースから可溶性部分が取り除かれており、不溶性部分が結晶化されている。微結晶セルロースは、粉体であってもよく、水などの溶媒に分散された懸濁液であってもよい。溶媒ヘの分散には、たとえば、高速攪拌機または高圧ホモジナイザーなどが使用できる。
【0022】
エアロゾル形成基材12は、風味添加剤を含有していることが好ましい。風味添加剤としては、たとえば、はっか、ココア、コーヒー、紅茶のエキス、または茶抽出物のカテキンの粉末等が挙げられる。エアロゾル形成基材12が含有する保存料は、食品に使用される保存料であることが好ましく、たとえば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸または安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0023】
エアロゾル形成基材12は、メントールおよび非水溶性架橋ポリマー(好ましくはポリビニルポリピロリドン)を含有していてもよい。メントールに非水溶性架橋ポリマーを組み合わせることで、メントールの昇華を効果的に抑制でき、メントールの風味を長期間保つことができる。ここで、メントールとは、天然物から得られたものに限られず、合成物でもよい。エアロゾル形成基材12は、はっか、ミント、ハッカ油、その他のメントールを含むものを含有していてもよい。
【0024】
上記風味添加剤は、マウスピース15に設けられていてもよい。たとえば、マウスピース15の壁部に風味添加剤を含浸させてもよく、風味添加剤が封入されているカプセルを、マウスピース15の壁部に埋設するようにしてもよい。あるいは、マウスピース15とエアロゾル形成基材12との間に、風味添加剤が封入されたカプセルを配置するようにしてもよい。風味添加剤がカプセルに封入されているとき、喫煙者が、カプセルを指で押圧することにより、カプセルが破壊され、風味添加剤の芳香成分が揮発する。したがって、喫煙者は、好みのタイミングで芳香成分を発生させることが可能となる。カプセルに封入された風味添加剤は、エアロゾル形成基材12に設けられていてもよく、支持部材14に設けられていてもよい。
【0025】
エアロゾル形成基材12に含有される結着剤または増粘剤は、たとえば、グアーガム、キサンタンガム、ゴム、セルロース結合剤、有機酸、有機酸の共役塩基塩、多糖類およびこれらの組み合わせである。ゴムは、たとえば、アラビアゴムおよびローカストビーンガムなどである。セルロース結合剤は、たとえば、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロース、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどである。有機酸の共役塩基塩は、たとえば、アルギン酸ナトリウムおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムなどである。多糖類は、カラナギン、寒天およびペクチンなどである。
【0026】
エアロゾル形成基材12内に設けられたサセプタ13は、たとえば、矩形の平面(XY平面)形状を有する板状部材である。サセプタ13は、たとえば、単一の板状部材により構成されている。サセプタ13は、たとえば、エアロゾル形成基材12の中心軸に沿って設けられており、XZ平面において、エアロゾル形成基材12の中央部に配置されている(図2)。サセプタ13のY方向の大きさ(以下、長さという。)は、エアロゾル形成基材12のY方向の大きさとほぼ同じであり、エアロゾル形成基材12の一端E1には、サセプタ13が露出している。サセプタ13の長さは、たとえば、12mm~18mmである。サセプタ13の幅(X方向の大きさ)は、たとえば、1.0mm~2.5mmである。サセプタ13の厚み(Z方向の大きさ)は、たとえば、0.11~0.63mmである。
【0027】
サセプタ13は、誘導加熱可能に構成されている。サセプタ13は、喫煙具(たとえば、後述の図4の喫煙具20)に挿入され、サセプタ13に誘導電流が流れることにより、誘導加熱される。これにより、エアロゾル形成基材12が十分な温度に加熱され、エアロゾルが発生する。
【0028】
サセプタ13は、たとえば、複数の磁性体金属材料を含む合金により構成されている。この複数の磁性体金属材料は、互いにキュリー温度が異なっている。磁性体金属材料は、強磁性体金属材料、常磁性体金属材料および反磁性体金属材料を含む。強磁性体金属材料は、外部磁界を加えると外部磁界と同じ方向の磁気を強く帯び、外部磁界をゼロにしても強い磁気が残る材料であり、たとえば鉄、ニッケル、コバルト、およびフェライト系ステンレス等である。強磁性体金属材料の比透磁率は、1よりも極めて大きく、たとえば、鉄の比透磁率は5000程度、ニッケルの比透磁率は600程度、コバルトの比透磁率は250程度、フェライト系ステンレスの比透磁率は1000~1800程度である。
【0029】
常磁性体金属材料は、外部磁界を加えると外部磁界と同じ方向の磁気を弱く帯び、外部磁界をゼロにすると磁気を帯びなくなる材料であり、たとえばアルミニウム、クロム、白金およびマンガン等である。常磁性体金属材料の比透磁率は1よりもわずかに大きく、たとえば、アルミニウムの比透磁率は1.000021程度、白金の比透磁率は1.000265程度、マンガンの比透磁率は1.000830程度である。
【0030】
反磁性体金属材料は、外部磁界を加えると外部磁界と反対方向の磁気を弱く帯び、外部磁界をゼロにすると磁気を帯びなくなる材料であり、たとえば銅、グラファイトおよびビスマス等である。反磁性体金属材料の比透磁率は、1よりもわずかに小さく、たとえば、銅の比透磁率は0.999990程度、グラファイトの比透磁率は0.99980程度、ビスマスの比透磁率は0.999834程度である。
【0031】
強磁性体金属材料は、交流磁界が発生すると、誘導電流が流れてジュール熱が発生するとともに、分子同士の摩擦および振動によって熱(ヒステリシス損失)が発生する。このため、強磁性体金属材料は、常磁性体金属材料および反磁性体金属材料に比べて容易に誘導加熱される。このため、サセプタ13は、互いにキュリー温度が異なる複数の強磁性金属材料を含んでいることが好ましい。
【0032】
また、強磁性体金属材料は、キュリー温度が高く、たとえば、ニッケルのキュリー温度は358℃程度である。このため、喫煙具用カートリッジ10が、たとえば200℃の高温で加熱されても、サセプタ13がキュリー温度に達することはなく、強磁性体の性質が維持される。したがって、エアロゾル形成基材12を安定して加熱することができる。サセプタ13は、たとえば、ニッケル、クロム、アルミニウム、ケイ素、マンガン、炭素、リン、硫黄および鉄等を含む合金により構成されている。サセプタ13は、鉄およびニッケルを含む合金により構成されていてもよく、鉄およびコバルトを含む合金により構成されていてもよい。
【0033】
サセプタ13は、強磁性体金属材料および常磁性体金属材料を含む合金、たとえば鉄、クロムおよびアルミニウムを含む合金により構成されていてもよい。サセプタ13は、強磁性体金属材料および反磁性体金属材料を含む合金、たとえば鉄および銅を含む合金により構成されていてもよい。
【0034】
エアロゾル形成基材12とマウスピース15との間に設けられた支持部材14は、エアロゾル形成基材12の他端E2を支持するとともに、エアロゾル形成基材12で発生するエアロゾルを冷却する役割を担っている。支持部材14は、たとえば、エアロゾル形成基材12の他端E2に接している。支持部材14は、たとえば、エアロゾル形成基材12の直径とほぼ同じ直径を有する円柱形状に成形されており、その側面は包装部材16に接している。これにより、支持部材14のY方向の位置が固定される。支持部材14の側面は、包装部材16に接着されていてもよい。
【0035】
この支持部材14には、Y方向に延在する流路14Pが設けられている。流路14Pは、たとえば、支持部材14をY方向に貫通する貫通孔により構成されている。この流路14Pを介して、エアロゾル形成基材12とマウスピース15との間をY方向に気体が通過する。
【0036】
支持部材14は、たとえば、複数の筒状部材の集合体であり、筒状部材各々の空洞により流路14Pが構成されている。即ち、支持部材14には、複数の流路14Pが設けられている。複数の筒状部材により支持部材14を構成することにより、支持部材14の表面積が大きくなり、冷却機能を高めることが可能となる。支持部材14は、1の筒状部材により構成されていてもよい。支持部材14の大きさは、たとえば、外径が4.0mm~7.5mm、Y方向の長さ(中心軸に沿った長さ)が50mm以下である。なお、支持部材14は、その機能および構成等に応じて、上記に例示した大きさとは異なる大きさおよび形状を有していてもよい。
【0037】
支持部材14は、耐熱性材料により構成されていることが好ましい。耐熱性材料として、たとえば、シリコンゴム等のゴム系材料を挙げることができる。たとえば、シリコンゴムのシートを丸めた複数の筒状部材により支持部材14を形成することができる。支持部材14を耐熱性材料により構成することにより、支持部材14をエアロゾル形成基材12に隣接して設けることが可能となる。支持部材14は、上記ゴム系材料の他、紙系材料、樹脂系材料または金属系材料等により構成されていてもよく、これらのシートを用いて構成されていてもよい。紙系材料としては、たとえば、紙および厚紙等を用いることができ、樹脂系材料としては、ポリマー等を用いることができる。
【0038】
支持部材14は、1の円柱状部材により構成されていてもよく、この円柱状部材に貫通孔を設けることにより、流路14Pを形成するようにしてもよい。支持部材14を構成する円柱部材は、たとえば、ガラス、セラミックまたは耐熱性樹脂材料等を含んでいる。
【0039】
マウスピース15は、支持部材14に接して設けられており、支持部材14を介してエアロゾル形成基材12の他端E2に接続されている。このマウスピース15は、喫煙具用カートリッジ10のY方向の他方の端部、即ち、吸口を構成している。マウスピース15は、たとえば紙等により構成されている。マウスピース15は、微粒子を取り除くフィルターを含んでいてもよく、たとえば、セルロースアセテートフィルター等を含んでいる。このフィルターにより、エアロゾル形成基材12で生成された水蒸気およびエアロゾル中の微粒子の一部が、ろ過される。
【0040】
マウスピース15と反対の端部を構成する蓋部材11は、エアロゾル形成基材12の一端E1を覆っている。ここで、「エアロゾル形成基材12の一端E1を覆う」とは、蓋部材11が、Y方向において、エアロゾル形成基材12の一端E1の延長上に存在する状態を表し、蓋部材11がエアロゾル形成基材12の一端E1に接していてもよく(図1)、蓋部材11がエアロゾル形成基材12の一端E1と離間して設けられていてもよい(たとえば、後述の図5)。この蓋部材11を設けることにより、エアロゾル形成基材12の一端E1が外部に曝されないので、エアロゾル形成基材12を保護することができる。
【0041】
蓋部材11は、たとえば、エアロゾル形成基材12の直径とほぼ同じ直径を有する円形の板状部材により構成されている。蓋部材11の円周面は、包装部材16に接している。これにより、蓋部材11のY方向の位置が固定され、蓋部材11と支持部材14との間のエアロゾル形成基材12およびサセプタ13の位置が維持される。蓋部材11の円周面は、包装部材16に接着されていてもよい。
【0042】
蓋部材11は、非多孔質材料により構成されており、耐熱性を有していることが好ましい。耐熱性の非多孔質材料としては、たとえば、ゴム系材料、樹脂系材料、金属系材料および紙系材料等が挙げられ、蓋部材11は、これらの少なくとも一つを含んでいる。ゴム系材料は、たとえば、シリコンゴム等であり、樹脂系材料は、たとえば、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、塩化ビニル、フッ素樹脂、PET(Polyethyleneterephthalate)、PTFE(polytetrafluoroethylene)等が挙げられ、金属系材料は、たとえば、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)および真鍮(Cu-Zn)等である。紙系材料は、たとえば、圧縮成形されている紙および厚紙等が挙げられる。
【0043】
蓋部材11には、蓋部材11をY方向に貫通する開口11Mが設けられている。この開口11Mからエアロゾル形成基材12の一部が露出されており、開口11Mを介して、外部からエアロゾル形成基材12の一端E1に気体が流入し、また、エアロゾル形成基材12の一端E1から喫煙具用カートリッジ10の外部に気体が排出される。即ち、蓋部材11に開口11Mを設けることにより、喫煙具用カートリッジ10のY方向の気体の流路が確保される。蓋部材11には、たとえば、一つの開口11Mが設けられている。蓋部材11には、複数の開口11Mが設けられていてもよいが、開口11Mを1つにすることにより、エアロゾル形成基材12を保護しやすくなる。開口11Mは、蓋部材11をY方向に貫通していることが望ましいが、開口11Mは、蓋部材11をY方向に貫通していなくてもよく、たとえば、凹部により構成されていてもよい。
【0044】
開口11Mは、たとえば、蓋部材11のX方向およびZ方向の中央部に配置されている(図2)。開口11Mは、たとえば、円形の平面(XZ平面)形状を有している。この円形の開口11Mの直径は、たとえば、サセプタ13のX方向およびZ方向の大きさよりも大きくなっている。たとえば、サセプタ13のX方向の大きさが1.8mm、Z方向の大きさが0.13mmであるとき、開口11Mの直径は、2.5mmである。
【0045】
開口11Mは、サセプタ13に対向する位置に設けられていてもよい。これにより、開口11Mを介して外部からエアロゾル形成基材12の一端E1に流入した空気がサセプタ13を効率的に冷却し、サセプタ13の過度な温度上昇を抑えることが可能となる。
【0046】
図3(A)(B)は各々、蓋部材11とともに、発熱体31を表している。蓋部材11は、この発熱体31を含む喫煙具に挿入されるカートリッジに使用されてもよい。発熱体31は、たとえば、ブレード形状、棒状、ピン形状、三角形状または多角形状を有する金属であり、エアロゾル形成基材に挿入されて加熱する。たとえば、ブレード形状を有する発熱体31のX方向の大きさは8mm以下であり、1mm~5mmであることが好ましく、Z方向の大きさは8mm以下であり、0.1mm~3mmであることが好ましく、Y方向の大
きさは20mm以下である。たとえば、棒状、ピン形状または多角形状を有する発熱体31の直径は8mm以下であり、0.1mm~5mmであることが好ましく、Y方向の大きさは20mm以下である。発熱体31は、円柱、角柱、円錐および角錐等の形状を有していてもよく、上記以外の形状を有していてもよい。
【0047】
蓋部材11の開口11Mは、この発熱体31を通過させ得る形状を有していることが好ましい。具体的には、開口11Mの直径が、この発熱体31のX方向およびZ方向の大きさよりも大きいことが好ましい。あるいは、開口11Mが変形して発熱体31を通過させてもよい。これにより、発熱体(たとえば、発熱体31)を含む喫煙具用の喫煙具用カートリッジにも、蓋部材11を用いることが可能となる。即ち、蓋部材11を、誘導加熱式の喫煙具(後述の図4の喫煙具20)に使用されるカートリッジ(たとえば、喫煙具用カートリッジ10)と、発熱体を含む喫煙具に使用されるカートリッジとで共用することが可能となる。開口11Mは、蓋部材11のXZ平面の中央部に配置されていてもよく(図3(A))、中央部から外れた位置に配置されていてもよい(図3(B))。
【0048】
包装部材16は、蓋部材11、エアロゾル形成基材12、支持部材14およびマウスピース15を周方向に被覆している。たとえば、紙等のシート状部材を蓋部材11、エアロゾル形成基材12、支持部材14およびマウスピース15の周方向に巻くことにより、包装部材16を形成することができる。複数のシート状部材を用いて、包装部材16を形成するようにしてもよい。
【0049】
<喫煙具用カートリッジ10の使用方法> 図4は、喫煙具用カートリッジ10の使用方法の一例を表している。喫煙具用カートリッジ10は、誘導加熱式の喫煙具20に装着することにより使用される。喫煙具20は、挿入口21、コイル22および回路基板(図示せず)を含んでいる。
【0050】
挿入口21は、喫煙具20に喫煙具用カートリッジ10を挿入するための孔部であり、喫煙具20の端部から所定の方向に延在して設けられている。この挿入口21を介して喫煙具用カートリッジ10が喫煙具20に挿入される。コイル22は、喫煙具20に挿入された喫煙具用カートリッジ10の周方向を囲むように設けられている。回路基板は、コイル22への交流電流の供給を制御するCPUを含んでいる。
【0051】
喫煙者が、喫煙具用カートリッジ10を挿入口21に挿入した後、喫煙具20の電源を入れると、回路基板によってコイル22に交流電流が供給される。これにより、エアロゾル形成基材12内に設けられたサセプタ13に誘導電流が流れ、サセプタ13にジュール熱およびヒステリシス損失に起因する熱が発生する。即ち、サセプタ13が誘導加熱される。この誘導加熱されたサセプタ13から伝達される熱によって、サセプタ13の周囲のエアロゾル形成基材12が加熱され、エアロゾルが生成される。
【0052】
このとき、喫煙者がマウスピース15をくわえて吸引すると、蓋部材11の開口11Mを介して、喫煙具用カートリッジ10の外部からエアロゾル形成基材12の一端E1に空気が流入する。この空気の流入によって、エアロゾル形成基材12で生成されたエアロゾルが支持部材14の流路14Pおよびマウスピース15を介して喫煙者の口内に流入する。
【0053】
<蓋部材11および喫煙具用カートリッジ10の作用効果> 本実施形態の喫煙具用カートリッジ10では、非多孔質材料からなる蓋部材11が、エアロゾル形成基材12の一端E1を覆っている。これにより、エアロゾル形成基材12の一端E1が外部に曝されないので、たとえば、エアロゾル形成基材12の一端E1への物理的接触または化学的接触等に起因するエアロゾル形成基材12の損傷等が抑えられる。したがって、エアロゾル形成基材12を保護することができる。
【0054】
また、この蓋部材11は1または複数の開口11Mを有している。これにより、この開口11Mを介して外部からエアロゾル形成基材12の一端E1に気体が流入し、また、エアロゾル形成基材12の一端E1から外部へと気体が排出される。即ち、喫煙具用カートリッジ10内の気体の流路が確保される。よって、喫煙具用カートリッジ10および蓋部材11では、エアロゾル形成基材12を保護しつつ、カートリッジ内の気体の流路を確保することが可能となる。
【0055】
さらに、この開口11Mが、発熱体(たとえば、図3(A)(B)の発熱体31)を通過させ得る形状を有することにより、発熱体を含む喫煙具および誘導加熱体を含む喫煙具(たとえば、図4の喫煙具20)の両方に、喫煙具用カートリッジ10を使用することが可能となる。即ち、ハイブリッドカートリッジの実現が可能となる。
【0056】
以下、上記実施形態で説明した喫煙具用カートリッジの変形例を説明する。なお、以下では、説明の重複を避けるため、上記実施形態で説明した喫煙具用カートリッジの各構成と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0057】
〔変形例1〕 図5は、変形例1に係る喫煙具用カートリッジ(喫煙具用カートリッジ10A)の断面(YZ断面)構成を表している。この喫煙具用カートリッジ10Aは、エアロゾル形成基材12の一端E1と蓋部材11との間に膜状部材17を有している。この点において、喫煙具用カートリッジ10Aは、上記実施形態の喫煙具用カートリッジ10(図1)と異なる。この点を除き、変形例1に係る喫煙具用カートリッジ10Aは、上記実施形態で説明した喫煙具用カートリッジ10と同様の構成を有しており、同様の作用効果を奏する。
【0058】
膜状部材17は、蓋部材11の開口11Mを塞ぐように設けられている。膜状部材17は、たとえば、円形の平面(XZ平面)形状を有しており、この円の直径は、エアロゾル形成基材12の直径とほぼ同じである。膜状部材17は、たとえば、厚さ(Y方向の大きさ)5.0mm以下、好ましくは0.01mm~1.0mmの膜であり、気体を透過可能に構成されている。
【0059】
膜状部材17は、多孔質材料または不織布等により構成されている。具体的には、膜状部材17は、金属系材料、紙系材料、樹脂系材料、繊維系材料またはゴム系材料等により構成することができる。金属系材料としては、たとえば、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)および真鍮(Cu-Zn)等が挙げられる。金属系材料は、焼結金属および金属パウダー焼結等も含む。紙系材料としては、たとえば、紙、圧縮成形されている紙および厚紙等が挙げられる。樹脂系材料としては、たとえば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、アクリル、塩化ビニル、フッ素樹脂、PETおよびPTFE等が挙げられる。繊維系材料としては、たとえば、アセテート(アセチルセルロース)、ジアセテート、トリアセテートおよびポリエステル等が挙げられる。ゴム系材料としては、たとえば、シリコンゴム等が挙げられる。膜状部材17は、ガラス、ホウケイ酸ガラス、セラミックまたは石英等により構成されていてもよい。このような膜状部材17を設けることにより、開口11Mに起因するエアロゾル形成基材12の構成材料の漏れ等が抑えられ、エアロゾル形成基材12を保持することができる。
【0060】
〔変形例2〕 図6は、変形例2に係る喫煙具用カートリッジ(喫煙具用カートリッジ10B)の断面(YZ断面)構成を表している。この喫煙具用カートリッジ10Bは、Y方向に沿って、蓋部材11、サセプタ13を含むエアロゾル形成基材12およびマウスピース15をこの順に有しており、エアロゾル形成基材12の他端E2にマウスピース15が接している。即ち、喫煙具用カートリッジ10Bは、支持部材(図1の支持部材14)を有していない。この点において、喫煙具用カートリッジ10Bは、上記実施形態の喫煙具用カートリッジ10(図1)と異なる。この点を除き、変形例2に係る喫煙具用カートリッジ10Bは、上記実施形態で説明した喫煙具用カートリッジ10と同様の構成を有しており、同様の作用効果を奏する。
【0061】
喫煙具用カートリッジ10Bでは、エアロゾル形成基材12が、包装部材16により支持される。換言すれば、エアロゾル形成基材12を支持可能な包装部材16を用いることにより、支持部材を省略することが可能となる。このような喫煙具用カートリッジ10Bでは、支持部材が設けられていないので、部品数を少なくして、コストを下げることが可能となる。
【0062】
〔変形例3〕 図7は、変形例3に係る喫煙具用カートリッジ(喫煙具用カートリッジ10C)の断面(YZ断面)構成を表している。この喫煙具用カートリッジ10Cでは、包装部材16に孔部16Hが設けられている。この点において、喫煙具用カートリッジ10Cは、上記実施形態の喫煙具用カートリッジ10(図1)と異なる。この点を除き、変形例3に係る喫煙具用カートリッジ10Cは、上記実施形態で説明した喫煙具用カートリッジ10と同様の構成を有しており、同様の作用効果を奏する。
【0063】
孔部16Hは、包装部材16を厚み方向に貫通して設けられている。この孔部16Hは、たとえば、エアロゾル形成基材12に達している。換言すれば、エアロゾル形成基材12の周囲の包装部材16に孔部16Hが設けられている。包装部材16は、複数の孔部16Hを有していてもよく、1の孔部16Hを有していてもよい。この孔部16Hは、カートリッジ内の気体の流路として機能する。エアロゾル形成基材12の周囲の包装部材16に孔部16Hを設けることにより、より効率的にエアロゾル形成基材12に外部の空気を流入させることができる。孔部16Hは、支持部材14の周囲等、他の位置に設けられていてもよい。
【0064】
喫煙具用カートリッジ10Cでは、蓋部材11の開口11Mとともに、包装部材16の孔部16Hが、カートリッジ内の気体の流路として機能する。具体的には、開口11Mから流入した空気がエアロゾル形成基材12の軸方向(Y方向)に沿って流れ、かつ、孔部16Hからエアロゾル形成基材12の外周面を通り、その内部に空気が流入する。これにより、サセプタ13により加熱されたエアロゾル形成基材12の中心軸付近のエアロゾルと、それよりも温度が低いエアロゾル形成基材12の外周側のエアロゾルとが混合される。したがって、喫煙者は、喫煙具用カートリッジ10Cを用いることにより、喫煙具用カートリッジ10と比較して、より濃い風味および味わいを得ることが可能となる。
【0065】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で種々改変することができる。
【0066】
たとえば、上述の実施形態および変形例では、誘導加熱式の喫煙具20(図4)に使用される喫煙具用カートリッジ10を例に挙げて説明したが、本発明の喫煙具用カートリッジは、発熱体を含む喫煙具に使用されてもよい。即ち、本発明の喫煙具用カートリッジは、サセプタ(図1等のサセプタ13)を有していなくてもよい。
【0067】
また、上述の実施形態および変形例では、蓋部材11の開口11Mが蓋部材11の中央部(エアロゾル形成基材12の中心軸上)に設けられている例を図示したが(図2)、開口11Mは、他の位置に設けられていてもよい。
【0068】
図8は、開口11Mの配置の他の例を表している。蓋部材11の中央部から外れた位置に設けられていてもよい。
【0069】
また、上述の実施形態および変形例では、蓋部材11の開口11Mが円形の平面形状を有する例について説明したが、開口11Mの平面形状は楕円および四角形等の他の形状であってもよい。
【0070】
また、上述の実施形態および変形例では、包装部材16が、蓋部材11、エアロゾル形成基材12、支持部材14およびマウスピース15全てを被覆している例を図示したが(たとえば、図1)、蓋部材11、エアロゾル形成基材12、支持部材14およびマウスピース15の一部が包装部材16から露出されていてもよい。
【0071】
図9は、包装部材16による被覆の他の例を表している。たとえば、このように蓋部材11の一部が包装部材16から突出
しており、包装部材16から露出されていてもよい。
【0072】
また、上述の変形例3では、蓋部材11に開口11Mを設けるとともに、包装部材16に孔部16Hを設ける例について説明したが、蓋部材11に開口を設けることに代えて、包装部材16に孔部16Hを設けるようにしてもよい。
【0073】
図10は、蓋部材11の他の例を表している。たとえば、このように蓋部材11が開口(図1の開口11M)を有しておらず、包装部材16に複数の孔部16Hが設けられていてもよい。この喫煙具用カートリッジでは、孔部16Hにより、カートリッジ内の気体の流路が確保される。
【0074】
また、上述の実施形態および変形例では、開口11Mが蓋部材11をY方向に貫通している例について説明したが、開口11Mは蓋部材11を貫通していなくてもよい。たとえば、開口11Mは、蓋部材11のうち、エアロゾル形成基材12側の面に設けられた凹部であってもよい。このとき、エアロゾル形成基材12の構成材料の漏れを抑えることが可能となる。たとえば、包装部材16に孔部16Hが設けられているとき(たとえば、図7および図10)、エアロゾル形成基材12の構成材料が、孔部16Hから外部に漏れるおそれがある。蓋部材11に凹部形状の開口11Mを設けることにより、孔部16Hから漏れだす前に、エアロゾル形成基材12の構成材料を開口11Mで受けることが可能となり、この漏れを抑えることができる。
【0075】
あるいは、凹部形状の開口11Mは、蓋部材11のうち、エアロゾル形成基材12と反対側、即ち、喫煙具(たとえば、図4の喫煙具20)への挿入側に設けられていてもよい。このとき、喫煙具への喫煙具用カートリッジ10の挿入が容易となる。詳細には、喫煙者が凹部形状の開口部11M付近を押すことにより、蓋部材11が変形するので、喫煙具の挿入口の口径が小さい場合であっても、蓋部材11が変形して喫煙具用カートリッジ10を喫煙具に容易に挿入することができる。
【符号の説明】
【0076】
10 喫煙具用カートリッジ、11 蓋部材、11M 開口、12 エアロゾル形成基材、13 サセプタ、14 支持部材、14P 流路15 マウスピース、16 包装部材、16H 孔部、17 膜状部材、20 喫煙具、21 挿入口、22 コイル、31 発熱体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10