(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175642
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】ディーゼル燃料組成物
(51)【国際特許分類】
C10L 1/196 20060101AFI20231205BHJP
C08L 33/06 20060101ALI20231205BHJP
C08K 5/101 20060101ALI20231205BHJP
C08K 5/103 20060101ALI20231205BHJP
C08L 91/00 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
C10L1/196
C08L33/06
C08K5/101
C08K5/103
C08L91/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081414
(22)【出願日】2023-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2022087942
(32)【優先日】2022-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山田 修己
(72)【発明者】
【氏名】勝川 吉隆
【テーマコード(参考)】
4H013
4J002
【Fターム(参考)】
4H013CE03
4J002AE052
4J002BG041
4J002BG051
4J002EH026
4J002EH049
4J002EH057
4J002EH058
4J002FD201
4J002FD207
4J002FD208
4J002FD209
4J002GN00
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、低温流動性(CFPP)が優れており、さらに高温安定性が高いディーゼル燃料組成物を提供することである。
【解決手段】 炭素数1~32のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)を必須構成単量体として含む(共)重合体(A)及びバイオディーゼル燃料(B)を含有するディーゼル燃料組成物であって、(共)重合体(A)の結晶化開始温度(Tcs)が-15~10℃であり、バイオディーゼル燃料(B)の重量を基準として脂肪酸モノグリセライドの含有量が0.001~0.3重量%、脂肪酸ジグリセライドの含有量が0.001~0.1重量%、脂肪酸トリグリセライドの含有量が0.001~0.1重量%であるディーゼル燃料組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数1~32のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)を必須構成単量体として含む(共)重合体(A)及びバイオディーゼル燃料(B)を含有するディーゼル燃料組成物であって、(共)重合体(A)の結晶化開始温度(Tcs)が-15~10℃であり、バイオディーゼル燃料(B)の重量を基準として脂肪酸モノグリセライドの含有量が0.001~0.3重量%、脂肪酸ジグリセライドの含有量が0.001~0.1重量%、脂肪酸トリグリセライドの含有量が0.001~0.1重量%であるディーゼル燃料組成物。
【請求項2】
ディーゼル燃料組成物の重量に基づいて、前記(共)重合体(A)を0.05~5.0重量%含む請求項1に記載のディーゼル燃料組成物。
【請求項3】
さらに軽油(C)を含み、ディーゼル燃料組成物中の前記バイオディーゼル燃料(B)の重量割合が、バイオディーゼル燃料(B)と軽油(C)の合計重量に基づいて5.0重量%以上である請求項1又は2に記載のディーゼル燃料組成物。
【請求項4】
前記(共)重合体(A)が炭素数1~15のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)を必須構成単量体として含み、(共)重合体(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて前記(a1)を5~50重量%含有する請求項1又は2に記載のディーゼル燃料組成物。
【請求項5】
前記(共)重合体(A)が炭素数1~5のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a11)を必須構成単量体として含み、(共)重合体(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて前記(a11)を5~20重量%含有する請求項1又は2に記載のディーゼル燃料組成物。
【請求項6】
バイオディーゼル燃料(B)のCFPPが-7℃以上である請求項1又は2に記載のバイオディーゼル燃料。
【請求項7】
更に、セタン価向上剤、清浄剤、酸化防止剤、潤滑性向上剤、金属不活性剤、氷結防止剤、腐食防止剤、帯電防止剤、着色剤、水抜き剤及び消泡剤からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤を含む請求項1又は2に記載のディーゼル燃料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼル燃料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
油脂、特に植物油からの油脂と低級脂肪族アルコール(例えばメタノール等)のエステル交換反応から得られる脂肪酸メチルエステルなどの脂肪酸アルキルエステルは、粘度、比重などの物性や、燃焼性が軽油に類似しており、エンジンの改造をしなくても使用できるディーゼル燃料としての可能性が古くから指摘されていた。最近、植物油を原料とする脂肪酸アルキルエステルは、リサイクル可能なバイオ燃料(例えばバイオディーゼル燃料)として、米国や欧州で広く利用され始めている。しかしながら、欧米では、主として新油の植物油由来のものが利用されていて、一般的なディーゼル燃料である軽油に比べてコスト高のために、主に軽油との混合系で使用されている。
また、日本や欧米では脂肪酸アルキルエステルからなるバイオディーゼル燃料を自動車用燃料として安全に使用するための品質規格が設定されており、日本においてはJIS-K2390に、欧州においてはEN14214に規定される品質を満足する必要がある。
【0003】
一方、レストラン、食品工場、一般家庭等で使用されて廃棄される食油(廃食油)は、凝固剤により処理して土中に埋めたり、家庭用ごみとしてそのまま捨てられ、焼却する等の方法により処理されるのが一般的であった。しかし、近年、地球環境浄化の理念の高まりに伴い、これら廃食油についても有効再利用の動きが活発化し始めており、その一つとして、低級脂肪族アルコールとのエステル交換反応により脂肪酸アルキルエステルを得て、バイオディーゼル燃料に適した油を製造する試みが始まっている。
【0004】
前記の品質規格を満足するべく、不純物を極めて少なくした高純度脂肪酸アルキルエステルは、反応後の脂肪酸アルキルエステルを水洗などの精製工程を経ることで得られるが、特に、精製工程を減圧蒸留とすることで水洗よりもさらに飽和脂肪酸アルキルエステルの含量が多い脂肪酸アルキルエステルを得ることができる。脂肪酸アルキルエステルは高純度になればなるほど本来の物性が現れ、低温において、固化する傾向がある。したがって、高純度の脂肪酸アルキルエステルを含有するバイオディーゼル燃料は流動点やCFPP(cold filter plugging point)が高く、脂肪酸アルキルエステルを高濃度で配合した場合や、低濃度でも寒冷地で使用した場合には燃料の流動性が悪化するため、フィルターやポンプの目詰まりを引き起こす場合があり、バイオディーゼル燃料を普及させるためには、低温流動性を改良する必要がある。
【0005】
一方、既存のバイオディーゼル燃料には様々な低温流動性向上剤が知られている。例えば、特許文献1には特定の炭素鎖長と分子量分布を有するアルキルメタクリレート重合体を用いることが記載されている。また、特許文献2には特定のモノマーを特定の割合で重合させたコポリマーを用いることが記載されている。しかしながら、バイオディーゼル燃料と低温流動性向上剤とを混合して得られるバイオディーゼル燃料組成物は、長期間高温環境下におかれ場合に低温流動性が劣化する問題がある。さらに、これらの重合体は純度の低いバイオディーゼル燃料に対しては、ある程度の低温流動性改善効果はあるものの、純度の高いバイオディーゼル燃料に対しては低温流動性改善効果が低い問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-350629号公報
【特許文献2】特開2011-157555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、低温流動性(CFPP)が優れており、さらに高温安定性が高いディーゼル燃料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、鋭意検討した結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、炭素数1~32のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)を必須構成単量体として含む(共)重合体(A)及びバイオディーゼル燃料(B)を含有するディーゼル燃料組成物であって、(共)重合体(A)の結晶化開始温度(Tcs)が-15~10℃であり、バイオディーゼル燃料(B)の重量を基準として脂肪酸モノグリセライドの含有量が0.001~0.3重量%、脂肪酸ジグリセライドの含有量が0.001~0.1重量%、脂肪酸トリグリセライドの含有量が0.001~0.1重量%であるディーゼル燃料組成物である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のディーゼル燃料組成物は、低温流動性(CFPP)が優れており、さらに高温安定性が高いという効果を奏する。
なお、本発明において、高温安定性とは、長期間高温環境下におかれた場合の低温流動性(CFPP)が変化しにくいことを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のディーゼル燃料組成物は、炭素数1~32のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)を必須構成単量体として含む(共)重合体(A)及びバイオディーゼル燃料(B)を含有するディーゼル燃料組成物であって、(共)重合体(A)の結晶化開始温度(Tcs)が-15~10℃であり、バイオディーゼル燃料(B)の重量を基準としてモノグリセライドの含有量が0.001~0.3重量%、ジグリセライドの含有量が0.001~0.1重量%、トリグリセライドの含有量が0.001~0.1重量%であるディーゼル燃料組成物である。
【0011】
<(共)重合体(A)>
本発明のディーゼル燃料組成物は、(共)重合体(A)を含有する。
(共)重合体(A)は、炭素数1~32のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)を必須構成単量体として含む。
なお、本発明において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル及び/又はメタクリル」を意味する。また、(a)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0012】
炭素数1~32のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、炭素数1~15のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)[例えば、炭素数1~5のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a11){例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル等}、炭素数6~15のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a12){例えば、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸2-メチルペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸イソヘプチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n-ウンデシル、(メタ)アクリル酸イソウンデシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸イソドデシル、(メタ)アクリル酸n-トリデシル、(メタ)アクリル酸イソトリデシル、(メタ)アクリル酸n-テトラデシル、(メタ)アクリル酸イソテトラデシル、(メタ)アクリル酸n-ペンタデシル、(メタ)アクリル酸イソペンタデシル等}等]、炭素数16~32のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)[例えば、(メタ)アクリル酸n-ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸n-オクタデシル、(メタ)アクリル酸n-ノナデシル、(メタ)アクリル酸n-エイコシル、(メタ)アクリル酸n-ドコシル、(メタ)アクリル酸n-テトラコシル、(メタ)アクリル酸n-ヘキサコシル、(メタ)アクリル酸n-オクタコシル、(メタ)アクリル酸、2位に分岐を有するもの{例えば、(メタ)アクリル酸2-デシルテトラデシル、(メタ)アクリル酸2-ドデシルヘキサデシル、(メタ)アクリル酸2-テトラデシルオクタデシル等}等]等が挙げられる。
【0013】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)としては、Neodol(登録商標)23(炭素数12~13の直鎖及び分岐アルキルアルコールの混合物、SHELL社製)、Neodol(登録商標)45(炭素数14~15の直鎖及び分岐アルキルアルコールの混合物、SHELL社製)等のアルキルアルコールの混合物の(メタ)アクリル酸エステルを用いてもよい。
【0014】
(a)としては、低温流動性の観点から、炭素数1~15のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)と炭素数16~32のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)との組み合わせが好ましく、さらに好ましくは炭素数1~5のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a11)と炭素数16~32のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)との組み合わせである。
(共)重合体(A)としては、低温流動性の観点から、炭素数1~15のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)を必須構成単量体として含む(共)重合体が好ましく、さらに好ましくは炭素数1~5のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a11)を必須構成単量体として含む(共)重合体である。
【0015】
(共)重合体(A)は、前記(a)以外の単量体を構成単量体として含んでいてもよい。(a)以外の単量体としては、下記の(c)~(m)等が挙げられる。
【0016】
(c)窒素原子含有ビニル単量体((a)及び(d)~(m)を除く);
(c1)アミド基含有ビニル単量体:
(メタ)アクリルアミド、ジアルキル(炭素数1~4)置換(メタ)アクリルアミド[N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド及びN,N-ジ-n-ブチル(メタ)アクリルアミド等]、N-ビニルカルボン酸アミド[N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-n-又はイソプロピオニルアミド及びN-ビニルヒドロキシアセトアミド等]等のアミド基のみに窒素原子を有するものが挙げられる。
【0017】
(c2)ニトロ基含有単量体:
4-ニトロスチレン等が挙げられる。
(c3)1~3級アミノ基含有ビニル単量体:
1級アミノ基含有ビニル単量体{炭素数3~6のアルケニルアミン[(メタ)アリルアミン及びクロチルアミン等]、アミノアルキル(炭素数2~6)(メタ)アクリレート[アミノエチル(メタ)アクリレート等]};2級アミノ基含有ビニル単量体{アルキル(炭素数1~6)アミノアルキル(炭素数2~6)(メタ)アクリレート[t-ブチルアミノエチルメタクリレート及びメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]、ジフェニルアミン(メタ)アクリルアミド[4-ジフェニルアミン(メタ)アクリルアミド及び2-ジフェニルアミン(メタ)アクリルアミド等]、炭素数6~12のジアルケニルアミン[ジ(メタ)アリルアミン等]};3級アミノ基含有ビニル単量体{ジアルキル(炭素数1~4)アミノアルキル(炭素数2~6)(メタ)アクリレート[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]、ジアルキル(炭素数1~4)アミノアルキル(炭素数2~6)(メタ)アクリルアミド[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等]};3級アミノ基含有芳香族ビニル系単量体[N,N-ジメチルアミノスチレン等];含窒素複素環含有ビニル系単量体[モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4-ビニルピリジン、2-ビニルピリジン、N-ビニルピロール、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルチオピロリドン等]、及びこれらの塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩又は低級アルキル(炭素数1~8)モノカルボン酸(酢酸及びプロピオン酸等)塩等が挙げられる。
【0018】
(c4)4級アンモニウム塩基含有ビニル単量体:
前記3級アミノ基含有ビニル単量体を、4級化剤(炭素数1~12のアルキルクロライド、ジアルキル硫酸、ジアルキルカーボネート及びベンジルクロライド等)を用いて4級化したもの等が挙げられる。具体的には、アルキル(メタ)アクリレート系4級アンモニウム塩[(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライド等];アルキル(メタ)アクリルアミド系4級アンモニウム塩[(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド及び(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等];その他の4級アンモニウム塩基含有ビニル系単量体(ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート及びトリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド等)等が挙げられる。
【0019】
(c5)両性ビニル単量体:
N-(メタ)アクリロイルオキシ(又はアミノ)アルキル(炭素数1~10)-N,N-ジアルキル(炭素数1~5)アンモニウム-N-アルキル(炭素数1~5)カルボキシレート(又はサルフェート)[N-(メタ)アクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチルアンモニウムN-メチルカルボキシレート、N-(メタ)アクリロイルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-メチルカルボキシレート及びN-(メタ)アクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチルアンモニウムプロピルサルフェート等]。
(c6)ニトリル基含有単量体:
(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
【0020】
(d)脂肪族炭化水素系ビニル単量体:
炭素数2~20のアルケン(エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等)及び炭素数4~12のアルカジエン(ブタジエン、イソプレン、1,4-ペンタジエン、1,6-ヘプタジエン及び1,7-オクタジエン等)等が挙げられる。
【0021】
(e)脂環式炭化水素系ビニル単量体:
シクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ピネン、リモネン、インデン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等が挙げられる。
【0022】
(f)芳香族炭化水素系ビニル単量体:
スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4-ジメチルスチレン、4-エチルスチレン、4-イソプロピルスチレン、4-ブチルスチレン、4-フェニルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ベンジルスチレン、4-クロチルベンゼン及び2-ビニルナフタレン等が挙げられる。
【0023】
(g)ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン類:
炭素数2~12の飽和脂肪酸のビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル及びオクタン酸ビニル等)、炭素数1~12のアルキル、アリール又はアルコキシアルキルビニルエーテル(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ビニル-2-メトキシエチルエーテル及びビニル-2-ブトキシエチルエーテル等)及び炭素数1~8のアルキル又はアリールビニルケトン(メチルビニルケトン、エチルビニルケトン及びフェニルビニルケトン等)等が挙げられる。
【0024】
(h)エポキシ基含有ビニル単量体;
グリシジル(メタ)アクリレート及びグリシジル(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。
【0025】
(i)ハロゲン元素含有ビニル単量体;
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、塩化(メタ)アリル及びハロゲン化スチレン(ジクロロスチレン等)等が挙げられる。
【0026】
(j)不飽和ポリカルボン酸のエステル;
不飽和ポリカルボン酸のアルキル、シクロアルキル又はアラルキルエステル[不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸及びイタコン酸等)の炭素数1~8のアルキルジエステル(ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルマレエート及びジオクチルマレエート)]等が挙げられる。
【0027】
(k)ヒドロキシル基含有ビニル単量体;
ヒドロキシル基含有芳香族ビニル単量体(p-ヒドロキシスチレン等)、ヒドロキシアルキル(炭素数2~6)(メタ)アクリレート[2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び2-又は3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等]、モノ-又はジ-ヒドロキシアルキル(炭素数1~4)置換(メタ)アクリルアミド[N,N-ジヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等]、ビニルアルコール、炭素数3~12のアルケノール[(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1-オクテノール及び1-ウンデセノール等]、炭素数4~12のアルケンジオール[1-ブテン-3-オール、2-ブテン-1-オール及び2-ブテン-1,4-ジオール等]、ヒドロキシアルキル(炭素数1~6)アルケニル(炭素数3~10)エーテル(2-ヒドロキシエチルプロペニルエーテル等)、多価(3~8価)アルコール(グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ジグリセリン、糖類及び蔗糖等)のアルケニル(炭素数3~10)エーテル又は(メタ)アクリレート[蔗糖(メタ)アリルエーテル]等が挙げられる。
【0028】
(l)ポリオキシアルキレン鎖含有ビニル単量体;
ポリオキシアルキレングリコール(アルキレン基の炭素数2~4、重合度2~50)、ポリオキシアルキレンポリオール[上記3~8価のアルコールのポリオキシアルキレンエーテル(アルキレン基の炭素数2~4、重合度2~100)]、ポリオキシアルキレングリコール又はポリオキシアルキレンポリオールのアルキル(炭素数1~4)エーテルのモノ(メタ)アクリレート[ポリエチレングリコール[数平均分子量(以下、Mnと略記する):100~300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn:130~500)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(Mn:110~310)(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキシド付加物(2~30モル)(メタ)アクリレート及びモノ(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレン(Mn:150~230)ソルビタン等]等が挙げられる。
【0029】
(m)イオン性基含有ビニル単量体;
(m1)アニオン性基含有ビニル単量体:
モノカルボン酸基含有ビニル単量体{不飽和モノカルボン酸[(メタ)アクリル酸、α-メチル(メタ)アクリル酸、クロトン酸及び桂皮酸等]、不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1~8)エステル(マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル及びイタコン酸モノアルキルエステル等)};ジカルボン酸基含有ビニル単量体(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びシトラコン酸等)等が挙げられる。
【0030】
(m2)スルホン酸基含有ビニル単量体:
炭素数2~6のアルケンスルホン酸[ビニルスルホン酸及び(メタ)アリルスルホン酸等]、炭素数6~12の芳香族ビニル基含有スルホン酸[α-メチルスチレンスルホン酸等]、スルホン酸基含有(メタ)アクリルエステル系単量体[スルホプロピル(メタ)アクリレート及び2-(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸等]、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド系単量体[2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等]、スルホン酸基と水酸基を含有するビニル単量体[3-(メタ)アクリルアミド-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、3-アリロキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸及び3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸等]、アルキル(炭素数3~18)アリルスルホコハク酸エステル[ドデシルアリルスルホコハク酸エステル等]等が挙げられる。
【0031】
(m3)硫酸エステル基含有ビニル単量体:
ポリ(n=2~30)オキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン等:付加形態は、単独、ランダム付加又はブロック付加のいずれでもよい。)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル、ポリ(重合度2~30)オキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン等:付加形態は、単独、ランダム付加又はブロック付加のいずれでもよい。)ビスフェノールAモノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル等が挙げられる。
【0032】
(m4)リン酸基含有ビニル単量体:
(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数2~6)リン酸モノエステル[(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート等]及び(メタ)アクリロイルオキシホスホン酸[2-アクリロイルオキシエチルホスホン酸]等が挙げられる。
【0033】
(共)重合体(A)の構成単量体中の炭素数1~32のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)の重量割合は、(共)重合体(A)を構成する単量体の合計重量を基準として、低温流動性及び(B)との相溶性の観点から、90~100重量%が好ましく、更に好ましくは97~100重量%である。
(共)重合体(A)の構成単量体中の炭素数1~15のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)の重量割合は、(共)重合体(A)を構成する単量体の合計重量を基準として、低温流動性の観点から、5~50重量%が好ましく、更に好ましくは5~35重量%である。
(共)重合体(A)の構成単量体中の炭素数1~5のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a11)の重量割合は、(共)重合体(A)を構成する単量体の合計重量を基準として、低温流動性の観点から、5~20重量%が好ましく、更に好ましくは10~20重量%である。
(共)重合体(A)の構成単量体中の炭素数16~32のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)の重量割合は、(共)重合体(A)を構成する単量体の合計重量を基準として、低温流動性の観点から、50~95重量%が好ましく、更に好ましくは65~95重量%である。
(共)重合体(A)の構成単量体中の単量体(c)の重量割合は、(共)重合体(A)を構成する単量体の合計重量を基準として、低温流動性及び(B)との相溶性の観点から、10重量%以下が好ましく、更に好ましくは3重量%以下である。
(共)重合体(A)の構成単量体中の単量体(k)の重量割合は、(共)重合体(A)を構成する単量体の合計重量を基準として、低温流動性及び(B)との相溶性の観点から、10重量%以下が好ましく、更に好ましくは3重量%以下である。
(共)重合体(A)の構成単量体中の(c)~(m)の合計重量割合は、(共)重合体(A)を構成する単量体の合計重量を基準として、低温流動性及び(B)との相溶性の観点から、10重量%以下が好ましく、更に好ましくは3重量%以下である。
【0034】
(共)重合体(A)の結晶化開始温度(Tcs)は、-15~10℃であり、低温流動性の観点から、-13~5℃が好ましく、さらに好ましくは-10~2℃である。
本発明において、結晶化開始温度(Tcs)は、示差走査熱量計「UNIX(登録商標)DSC7」(PERKIN-ELMER社製)を使用し、試料5mgを10℃/分の等温速度で50℃から-80℃まで冷却したときに観測される結晶化開始温度である。結晶化開始温度(Tcs)は、DSC曲線のベースラインから最も高温側の発熱ピークに至るまでの立上がり部のうちの最も負の傾きの大きい点を通る接線である下降接線と、前記ベースラインとの交点の温度として定義される。
なお、(A)の結晶化開始温度は、(メタ)アクリル酸エステル(a)および他のラジカル重合性単量体(c)~(m)の構成比率によって、調整することができる。結晶化開始温度(Tcs)を上げるには、炭素数の大きいアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル(a)の構成比率を増やすことで調整することができる。また、結晶化開始温度(Tcs)を下げるには、炭素数の大きいアルキル基を有するメタ(アクリル)酸エステル(a)の構成比率を減らすこと、あるいは、結晶性の低い他のラジカル重合性単量体(c)~(m)を共重合することで調整することができる。
【0035】
(共)重合体(A)のSP値は、低温流動性及び(B)との相溶性の観点から、8.5~9.3(cal/cm3)1/2が好ましく、更に好ましくは8.7~9.2(cal/cm3)1/2である。
なお、本発明におけるSP値は、Fedors法(Polymer Engineering and Science,February,1974,Vol.14、No.2、P147~154)の152頁(Table.5)に記載の数値(原子又は官能基の25℃における蒸発熱及びモル体積)を用いて、同153頁に記載の数式(28)により算出される値を意味する。具体的には、Fedors法のパラメータである下記表1に記載のΔei及びΔviの数値から、分子構造内の原子及び原子団の種類に対応した数値を用いて、下記数式に当てはめることで算出することができる。
SP値=(ΣΔei/ΣΔvi)1/2
【0036】
【0037】
(共)重合体(A)のSP値は、前記SP値の算出方法を用いて(A)を構成する各単量体に由来する構成単位(ビニル基が重合反応により単結合となった構造)のSP値を算出し、仕込み時の各構成単量体の重量分率に基づいて相加平均した値を意味する。例えば、単量体がメタクリル酸メチルの場合、メタクリル酸メチルに由来する構成単位は、原子団として、CH3が2個、CH2が1個、Cが1個、CO2が1個なので、下記数式により、メタクリル酸メチルに由来する構成単位のSP値は9.933(cal/cm3)1/2であることが分かる。同様に計算して、メタクリル酸エチルに由来する構成単位のSP値は9.721(cal/cm3)1/2であることがわかる。
ΣΔei=1125×2+1180+350+4300=8080
ΣΔvi=33.5×2+16.1-19.2+18.0=81.9
δ=(8080/81.9)1/2=9.933(cal/cm3)1/2
共重合体がメタクリル酸メチル50重量%とメタクリル酸エチル50重量%との重合物である場合、共重合体のSP値は、下記の通り各単量体に由来する構成単位のSP値の重量分率に基づいて相加平均することにより算出される。
共重合体のSP値=(9.933×50+9.721×50)/100=9.827
また、(A)の重量分率に基づいて計算するSP値は、使用する単量体、重量分率を適宜調整することにより所望の範囲にすることができる。具体的には、アルキル基の炭素数の長い単量体を多く使用することでSP値を小さくすることができ、アルキル基の炭素数の短い単量体を多く使用することでSP値を大きくすることができる。
【0038】
(共)重合体(A)の重量平均分子量(以下、Mwと略記する)は、低温流動性及び(B)との相溶性の観点から、10,000~100,000が好ましく、更に好ましくは15,000~50,000である。
なお、本発明においてMw及び数平均分子量(以下Mnと略記する)は以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略記する)によって測定することができる。
<MwおよびMnの測定条件>
装置 :「HLC-8320GPC」[東ソー(株)製]
カラム :「TSKgel GMHXL」[東ソー(株)製]2本
「TSKgel Multipore H XL-M 1本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:10.0μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン(TS 基準物質 :標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)
12点(分子量:589、1,050、2,630、9,100、19,500、37,900、96,400、190,000、355,000、1,090,000、2,110,000、4,480,000)[東ソー(株)製]
【0039】
(共)重合体(A)は、公知の製造方法によって得ることができ、具体的には前記の単量体を溶剤中で重合触媒存在下に溶液重合する方法が挙げられる。
溶剤としては、トルエン、キシレン、アルキル(炭素数3~10)ベンゼン、メチルエチルケトン、鉱物油、炭化水素油、エステル油、軽油及びバイオディーゼル燃料等が挙げられる。
重合触媒としては、アゾ系触媒(アゾビスイソブチロニトリル及びアゾビスバレロニトリル等)及び過酸化物系触媒(ベンゾイルパーオキシド、クミルパーオキシド及びラウリルパーオキシド等)が挙げられる。
更に必要により、連鎖移動剤(炭素数2~20のアルキルメルカプタン等)を使用することもできる。
重合温度は、好ましくは50~140℃であり、更に好ましくは70~120℃である。また、上記の溶液重合の他に、塊状重合、乳化重合又は懸濁重合により(A)を得ることができる。
(A)の重合形態としては、ランダム付加重合体又は交互共重合体のいずれでもよく、また、グラフト共重合体又はブロック共重合体のいずれでもよい。
(A)のMwは、重合時の温度、単量体濃度(溶媒濃度)、触媒量又は連鎖移動剤量等の重合条件を調整することにより調整可能である。
【0040】
前記(共)重合体(A)を高濃度に含む溶液を作成し、作成した溶液とバイオディーゼル燃料(B)と混合してもよい。
(共)重合体(A)を高濃度に含む溶液に用いる基剤としては、鉱物油(溶剤精製油、パラフィン油、イソパラフィンを含有する高粘度指数油、イソパラフィンの水素化分解による高粘度指数油及びナフテン油等)、合成潤滑油[炭化水素系合成潤滑油(ポリ-α-オレフィン系合成潤滑油等)及びエステル系合成潤滑油等が挙げられる。
溶液中の(共)重合体(A)の含有量は、ハンドリング性の観点から、溶液の重量を基準として、30~70重量%が好ましい。
溶液中の基剤の含有量は、ハンドリング性の観点から、溶液の重量を基準として、30~70重量%が好ましい。
【0041】
<バイオディーゼル燃料(B)>
本発明のディーゼル燃料組成物はバイオディーゼル燃料(B)を含有する。
本発明において「バイオディーゼル燃料」とは、天然油のエステル化又はエステル交換から製造され、ディーゼルエンジンに動力を供給するために使用される脂肪酸アルキルエステルのことを言う。いくつかの形態では、バイオディーゼル燃料は、触媒の存在下に天然油をアルコール(例えば、エタノール又はメタノール等)でエステル化してアルキルエステルを形成することによって製造される。
【0042】
天然油としては、例えば、菜種油、ごま油、大豆油、トウモロコシ油、向日葵油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、ベニバナ油、米油、ココナッツ油、キリ油、ヒマシ油、サフラワー油、紅花油、ピーナッツ油、綿実油、アマニ油、マスタード油等の植物性油脂類、牛油、豚油、鯨油、魚油等の動物性油脂、及びこれらの廃食油や、これらの油脂類の製造工程で得られるダーク油、モノグリセリド、ジグリセリド、遊離脂肪酸などの脂肪酸誘導体等が挙げられる。
【0043】
上記脂肪酸アルキルエステルとしては、例えば、炭素数8~24(好ましくは炭素数8~22)の脂肪酸と炭素数1~5のアルコール(好ましくは炭素数1~3のアルコール)からなるエステル化合物からなる群から選択される1種又は2種以上の混合物等を挙げることができる。
【0044】
本発明において、バイオディーゼル燃料(B)は脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸ジグリセライド及び脂肪酸トリグリセライドを含む。
脂肪酸モノグリセライドの含有量は、バイオディーゼル燃料(B)の重量を基準として、低温流動性及び高温安定性の観点から、0.001~0.3重量%であり、好ましくは0.001~0.1重量%である。
脂肪酸ジグリセライドの含有量は、バイオディーゼル燃料(B)の重量を基準として、低温流動性及び高温安定性の観点から、0.001~0.1重量%であり、好ましくは0.001~0.05重量%である。
脂肪酸トリグリセライドの含有量は、低温流動性及び高温安定性の観点から、バイオディーゼル燃料(B)の重量を基準として、0.001~0.1重量%であり、好ましくは0.001~0.05重量%である。
バイオディーゼル燃料(B)中の脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸ジグリセライド、及び脂肪酸トリグリセライドそれぞれの量が上記範囲であることで、高温安定性に優れ、さらに重合体が前記特定の(共)重合体(A)であることにより、何らかの相互作用により、低温での流動性が優れるものと推察される。
なお、バイオディーゼル燃料(B)中の脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸ジグリセライド、及び脂肪酸トリグリセライドの量は、それぞれJIS K2390の「5.17 モノグリセライド」、「5.18 ジグリセライド」、「5.19 トリグリセライド」の記載に準拠して測定することができる。
【0045】
バイオディーゼル燃料(B)中の脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸ジグリセライド及び脂肪酸トリグリセライドの合計重量割合は、低温流動性及び高温安定性の観点から、0.003~0.5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.003~0.2重量%である。
【0046】
バイオディーゼル燃料(B)のCFPP(cold filter plugging point)は、-7℃以上が好ましく、さらに好ましくは-6℃以上である。
バイオディーゼル燃料中の脂肪酸アルキルエステルの炭素数・構成比率が同じである場合、バイオディーゼル燃料が高純度(バイオディーゼル燃料中の脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸ジグリセライド及び脂肪酸トリグリセライドの含有量が少ない)であるほどCFPPは高くなるところ、本発明においては、バイオディーゼル燃料(B)が高純度でCFPPが高くても、前記(A)を用いることにより、低温流動性が優れるものとすることができる。
なお、CFPPは、JIS K2288の「軽油-目詰まり点試験方法」の記載に準拠して測定することができる。
【0047】
本発明において、バイオディーゼル燃料(B)は、廃棄される食油(廃食油)由来のバイオディーゼル燃料であることが好ましい。
廃食油は、熱が加えられる等により脂肪酸中に飽和脂肪酸成分が多く、特により結晶化温度の高い炭素数が長い(炭素数18~22)飽和脂肪酸成分が多い傾向があり、廃食油由来のバイオディーゼル燃料のCFPPが高い傾向があるところ、本発明においては、前記(A)を用いることにより、低温流動性が優れるものとすることができる。
バイオディーゼル燃料(B)に含まれる脂肪酸アルキルエステルのうち、炭素数8~22の飽和脂肪酸アルキルエステル成分の割合は、低温流動性の観点から、バイオディーゼル燃料(B)の重量を基準として、3.0~92.0重量%が好ましく、更に好ましくは3.0~64.0重量%である。
バイオディーゼル燃料(B)に含まれる脂肪酸アルキルエステルのうち、炭素数18~22の飽和脂肪酸アルキルエステル成分の割合は、低温流動性の観点から、バイオディーゼル燃料(B)の重量を基準として、3.0~15.0重量%が好ましく、更に好ましくは3.0~12.0重量%である。
【0048】
<ディーゼル燃料組成物>
本発明のディーゼル燃料組成物は、前記(共)重合体(A)と前記バイオディーゼル燃料(B)とを含有する。
ディーゼル燃料組成物中の(共)重合体(A)の含有量は、低温流動性及び(B)との相溶性の観点から、0.05~5.0重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1~1.0重量%である。
ディーゼル燃料組成物中の(B)の含有量は、低温流動性の観点から、4.95重量%以上が好ましく、さらに好ましくは29.70重量%以上であり、特に好ましくは49.50~99.0重量%である。
【0049】
ディーゼル燃料組成物中の(共)重合体(A)の結晶化開始温度(Tcs)とバイオディーゼル燃料(B)のCFPPとの差の絶対値は、低温流動性の観点から、0~16℃が好ましく、さらに好ましくは0~4℃である。
【0050】
本発明のディーゼル燃料組成物は、一般的なディーゼル燃料として用いられる燃料を含有していてもよく、例えば、軽油(C){JIS K2204で規格化されている1号軽油、2号軽油、3号軽油等}を含んでもよい。
ディーゼル燃料組成物中の(C)の含有量は、低温流動性の観点から、94.05重量%以下が好ましく、さらに好ましくは69.30重量%以下であり、特に好ましくは49.50重量%以下である。
【0051】
本発明のディーゼル燃料組成物のCFPPは、低温流動性の観点から、-10℃以下が好ましく、さらに好ましくは-15℃以下である。
ディーゼル燃料組成物のCFPPは、バイオディーゼル燃料(B)のCFPPと比較して、4℃以上降下していることが好ましく、さらに好ましくは9℃以上である。
【0052】
本発明のディーゼル燃料組成物は、セタン価向上剤、清浄剤、酸化防止剤、潤滑性向上剤、金属不活性剤、氷結防止剤、腐食防止剤、帯電防止剤、着色剤、水抜き剤及び消泡剤からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤を含んでもよい。
【0053】
セタン価向上剤としては、例えば、硝酸エチル、硝酸メトキシエチル、硝酸イソプロピル、硝酸アミル、硝酸ヘキシル、硝酸ヘプチル、硝酸オクチル、硝酸2-エチルヘキシル、硝酸シクロヘキシルなどの脂肪族ニトレート;ジ-tert-ブチルペルオキシドなどの過酸化物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。セタン価向上剤の含有量は特に限定されないが、例えば、ディーゼル燃料組成物全量に対して0.001~10重量%であることが好ましい。
【0054】
清浄剤としては、例えば、イミド系化合物;ポリブテニルコハク酸無水物とエチレンポリアミン類とから合成されるポリブテニルコハク酸イミドなどのアルケニルコハク酸イミド;ペンタエリスリトールなどの多価アルコールとポリブテニルコハク酸無水物から合成されるポリブテニルコハク酸エステルなどのコハク酸エステル;ジアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ビニルピロリドンなどとアルキルメタクリレートとのコポリマーなどの共重合系ポリマー、カルボン酸とアミンの反応生成物等の無灰清浄剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。清浄剤の含有量は特に限定されないが、例えばディーゼル燃料組成物全量に対して0.001~0.5重量%であることが好ましい。
【0055】
酸化防止剤としては、例えば、N,N'-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジブチル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジオクチル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジトリル-p-フェニレンジアミン、N-トリル-N'-キシレニル-p-フェニレンジアミン等のアミン系酸化防止剤;2-t-ブチルフェノール、2,6-ジターシャリブチルフェノール、2,6-ジターシャリブチル-4-メチルフェノール、2,4-ジメチル-6-ターシャリブチルフェノール、2,4,6-トリ-t-ブチルフェノール等のフェノール系酸化防止剤;ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’-チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’-チオジブチレート、ジラウリルサルファイド等の硫黄系酸化防止剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。酸化防止剤の含有量は特に限定されないが、例えば、ディーゼル燃料組成物全量に対して0.001~10重量%であることが好ましい。
【0056】
潤滑性向上剤としては、例えば、リノール酸、オレイン酸、ステアリン酸等のカルボン酸類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。潤滑性向上剤の含有量は特に限定されないが、例えば、ディーゼル燃料組成物全量に対して0.001~10重量%であることが好ましい。
【0057】
金属不活性剤としては、例えば、エチレンジアミン等のアミノ化合物;N,N'-ジサリチリデン-1,2-ジアミノプロパン、N,N'-ジサリチリデン-2-シクロヘキサンジアミン、N,N'-ジサリチリデンエチレンジアミン、N,N'-ビス(ジメチルサリチリデン)エチレンジアミン、N,N'-ビス(ジメチルサリチリデン)エチレンテトラミン、サリチルアルドキシム等のサリチリデン系化合物;1-[ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル-1,2,4-トリアゾール、1-(1-ブトキシエチル)-1,2,4-トリアゾール、4,4’-メチレンビス(2-ウンデシル-5-メチルイミダゾール)、ビス[(N-メチル)イミダゾール-2-イル]カルビノールオクチルエーテル等のトリアゾール系化合物;4-アルキルベンゾトリアゾール、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾトリアゾール、5,5’-メチレンビスベンゾトリアゾール、1-[ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル)トリアゾール、1-[ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル)ベンゾトリアゾール、1-(ノニルオキシメチル)ベンゾトリアゾール、1-(1-ブトキシエチル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。金属不活性化剤の含有量は特に限定されないが、例えば、ディーゼル燃料組成物全量に対して0.001~10重量%であることが好ましい。
【0058】
氷結防止剤としては、例えば、ポリグリコールエーテル等が挙げられ、氷結防止剤の含有量は特に限定されないが、例えばディーゼル燃料組成物全量に対して0.001~0.5重量%であることが好ましい。
【0059】
腐食防止剤としては、脂肪族アミン及びその塩、有機リン酸エステル、有機スルホン酸塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。腐食防止剤の含有量は特に限定されないが、例えば、ディーゼル燃料組成物全量に対して0.001~10重量%であることが好ましい。
【0060】
帯電防止剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、 両性系界面活性剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。帯電防止剤の含有量は特に限定されないが、例えばディーゼル燃料組成物全量に対して0.001~0.5重量%であることが好ましい。
【0061】
着色剤としては、例えば、アゾ染料等が挙げられ、着色剤の含有量は特に限定されないが、例えばディーゼル燃料組成物全量に対して0.001~0.5重量%であることが好ましい。
【0062】
水抜き剤としては、例えば、メタノール、2-プロパノールが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。水抜き剤の含有量は特に限定されないが、例えばディーゼル燃料組成物全量に対して0.001~0.5重量%であることが好ましい。
【0063】
消泡剤としては、例えば、シリコン系化合物が挙げられ、消泡剤の含有量は特に限定されないが、例えばディーゼル燃料組成物全量に対して0.001~0.5重量%であることが好ましい。
【0064】
本発明のディーゼル燃料組成物は、従来と比較して低温において優れた流動特性を有するので、ディーゼル燃料組成物として有用である。
【実施例0065】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0066】
<製造例1~27、比較製造例1~3>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、窒素吹き込み管及び減圧装置を備えた反応容器に、表2~3に記載の基剤(n)を表2~3に記載の量投入し、別のガラス製ビーカーに、表2~3に記載の単量体配合物100重量部、連鎖移動剤としてのドデシルメルカプタンを表2~3に記載の重量部、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.1部、及び2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.2部を投入し、20℃で撹拌、混合して単量体溶液を調製し、滴下ロートに投入した。反応容器の気相部の窒素置換(気相酸素濃度:100ppm以下)を行った後、密閉下系内温度を80℃に保ちながら、2時間かけて単量体溶液を滴下し、滴下終了から2時間、85℃で熟成した後、120~130℃に昇温後、同温度で減圧下(0.027~0.040MPa)残存モノマーを除去し、共重合体(A-1)~(A27)及び共重合体(H-1)~(H-3)を含む溶液(D-1)~(D-27)及び(D’-1)~(D’-3)を得た。
得られた共重合体(A-1)~(A-27)及び(H-1)~(H-3)のSP値を上記の方法で計算し、Mw及び結晶化開始温度を上記の方法で測定した。結果を表2~3に示す。
【0067】
【0068】
【0069】
表2~3に記載の単量体の組成は、以下に記載した通りである。
(a-1):メタクリル酸メチル
(a-2):メタクリル酸n-ブチル
(a-3):メタクリル酸n-オクチル
(a-4):アクリル酸n-デシル
(a-5):メタクリル酸n-デシル
(a-6):アクリル酸n-ドデシル
(a-7):メタクリル酸n-ドデシル
(a-8):アクリル酸とD23とのエステル{アクリル酸ドデシル/アクリル酸トリデシル=50/50(重量%)、重量比=直鎖C12:分岐C12:直鎖C13:分岐C13=40:10:40:10)、(シェルケミカルズ製ネオドール23をアクリル酸とエステル化したメタクリル酸エステル)}
(a-9):メタクリル酸とD23とのエステル{メタクリル酸ドデシル/メタクリル酸トリデシル=50/50(重量%)、重量比=直鎖C12:分岐C12:直鎖C13:分岐C13=40:10:40:10)、(シェルケミカルズ製ネオドール23をメタクリル酸とエステル化したメタクリル酸エステル)}
(a-10):アクリル酸n-テトラデシル
(a-11):メタクリル酸n-テトラデシル
(a-12):アクリル酸とD45とのエステル{アクリル酸テトラデシル/アクリル酸ペンタデシル=50/50(重量%)、重量比=直鎖C14:分岐C14:直鎖C15:分岐C15=40:10:40:10、(シェルケミカルズ製ネオドール45をアクリル酸とエステル化したメタクリル酸エステル)}
(a-13):メタクリル酸とD45とのエステル{メタクリル酸テトラデシル/メタクリル酸ペンタデシル=50/50(重量%)、重量比=直鎖C14:分岐C14:直鎖C15:分岐C15=40:10:40:10、(シェルケミカルズ製ネオドール45をメタクリル酸とエステル化したメタクリル酸エステル)}
(a-14):アクリル酸n-ヘキサデシル
(a-15):メタクリル酸n-ヘキサデシル
(a-16):アクリル酸n-オクタデシル
(a-17):メタクリル酸n-オクタデシル
(a-18):アクリル酸n-エイコシル
(a-19):メタクリル酸n-エイコシル
(a-20):アクリル酸n-ドコシル
(a-21):メタクリル酸n-ドコシル
(a-22):メタクリル酸2-デシルテトラデシル
(a-23):メタクリル酸2-ドデシルヘキサデシル
(a-24):メタクリル酸2-テトラデシルオクタデシル
(c-1):N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート
(k-1):ヒドロキシエチルメタクリレート
(n-1)鉱物油-1:YUBASE2(SKルブリカンツ製、100℃動粘度:2.41mm2/s、40℃動粘度:8.65mm2/s、粘度指数:96)鉱物油-1
(n-2)鉱物油-2:YUBASE3(SKルブリカンツ製、100℃動粘度:3.10mm2/s、40℃動粘度:12.40mm2/s、粘度指数:112)
(n-3)鉱物油-3:YUBASE4(SKルブリカンツ製、100℃動粘度:4.21mm2/s、40℃動粘度:19.12mm2/s、粘度指数:126)
(n-4)炭化水素系油:ポリ-α-オレフィン基油(Exxon Mobil製SpectraSyn2、100℃動粘度:1.70mm2/s、40℃動粘度:5.0mm2/s、粘度指数:N/A)
(n-5)エステル系-1:2-エチルヘキシルアルコールとアジピン酸とのジエステル(100℃動粘度:2.40mm2/s、40℃動粘度:7.80mm2/s、粘度指数:135)
(n-6)エステル系-2:2-エチルヘキシルアルコールとドデカン二酸とのジエステル(100動粘度:3.70mm2/s、40℃動粘度:13.70mm2/s、粘度指数:169)
【0070】
<実施例1~39、比較例1~6>
製造例1~27で得られた共重合体(A-1)~(A-27)又は比較製造例1~3で得られた比較例用の共重合体(H-1)~(H-3)を含む溶液(D-1)~(D-27)又は(D’-1)~(D’-3)と、バイオディーゼル燃料(B-1)~(B-11)、(B’-1)とを表4~5に記載の通り配合し、ディーゼル燃料組成物(V1)~(V39)、(V’1)~(V’6)を得た。ディーゼル燃料組成物(V1)~(V39)、(V’1)~(V’6)のCFPP及び高温安定性を以下の方法で測定した。結果を表4~5に示す。
【0071】
【0072】
【0073】
表中に記載の燃料{バイオディーゼル燃料(B)及び軽油(B’)}は以下の通りである。なお、表において、バイオディーゼル燃料を一部「BDF」と略記する。
燃料(B-1):バイオディーゼル燃料油(ケイナンクリーン株式会社製、「ReESEL」。廃食油由来脂肪酸メチルエステル。炭素数18~22の飽和脂肪酸メチルエステルの含有量3.7重量%、脂肪酸モノグリセライド0.005重量%、脂肪酸ジグリセライド0.005重量%、脂肪酸トリグリセライド0.005重量%)。
燃料(B-2):バイオディーゼル燃料油(廃食油由来脂肪酸メチルエステル。炭素数18~22の飽和脂肪酸メチルエステルの含有量3.7重量%、脂肪酸モノグリセライド0.001重量%、脂肪酸ジグリセライド0.001重量%、脂肪酸トリグリセライド0.001重量%)。
燃料(B-3):バイオディーゼル燃料油(廃食油由来脂肪酸メチルエステル。炭素数18~22の飽和脂肪酸メチルエステルの含有量3.7重量%、脂肪酸モノグリセライド0.1重量%、脂肪酸ジグリセライド0.05重量%、脂肪酸トリグリセライド0.05重量%)。
燃料(B-4):バイオディーゼル燃料油(廃食油由来脂肪酸メチルエステル。炭素数18~22の飽和脂肪酸メチルエステルの含有量3.7重量%、脂肪酸モノグリセライド0.3重量%、脂肪酸ジグリセライド0.1重量%、脂肪酸トリグリセライド0.1重量%)。
燃料(B-5):バイオディーゼル燃料油(ケイナンクリーン株式会社製、「ReESEL」。廃食油由来脂肪酸メチルエステル。炭素数18~22の飽和脂肪酸メチルエステルの含有量3.7重量%、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸ジグリセライド及び脂肪酸トリグリセライドが検出下限以下)。
燃料(B-6):バイオディーゼル燃料油(廃食油由来脂肪酸メチルエステル。炭素数18~22の飽和脂肪酸メチルエステルの含有量3.7重量%、脂肪酸モノグリセライド0.8重量%、脂肪酸ジグリセライド0.2重量%、脂肪酸トリグリセライド0.2重量%)。
燃料(B-7):バイオディーゼル燃料油(ケイナンクリーン株式会社製、「ReESEL」。廃食油由来脂肪酸メチルエステル。炭素数18~22の飽和脂肪酸メチルエステルの含有量3.0重量%、脂肪酸モノグリセライド0.005重量%、脂肪酸ジグリセライド0.005重量%、脂肪酸トリグリセライド0.005重量%)。
燃料(B-8):バイオディーゼル燃料油(ケイナンクリーン株式会社製。廃食油由来脂肪酸メチルエステル。炭素数18~22の飽和脂肪酸メチルエステルの含有量3.0重量%、脂肪酸モノグリセライド0.005重量%、脂肪酸ジグリセライド0.005重量%、脂肪酸トリグリセライド0.005重量%)。
燃料(B-9):バイオディーゼル燃料油(廃食油由来脂肪酸メチルエステル。炭素数18~22の飽和脂肪酸メチルエステルの含有量12.0重量%、脂肪酸モノグリセライド0.005重量%、脂肪酸ジグリセライド0.005重量%、脂肪酸トリグリセライド0.005重量%)。
燃料(B-10):バイオディーゼル燃料油(ケイナンクリーン株式会社製、「ReESEL」。廃食油由来脂肪酸メチルエステル。炭素数18~22の飽和脂肪酸メチルエステルの含有量3.0重量%、脂肪酸モノグリセライド0.005重量%、脂肪酸ジグリセライド0.005重量%、脂肪酸トリグリセライド0.005重量%)。
燃料(B-11):バイオディーゼル燃料油(廃食油由来脂肪酸メチルエステル。炭素数18~22の飽和脂肪酸メチルエステルの含有量15.0重量%、脂肪酸モノグリセライド0.005重量%、脂肪酸ジグリセライド0.005重量%、脂肪酸トリグリセライド0.005重量%)。
燃料(B’-1):JIS K2204で規格化されている2号軽油
【0074】
<燃料(B-2)~(B-4)及び(B-6)>
脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリドとして、富士フイルム和光純薬(株)から購入したモノオレイン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセロール及びトリオレインを用い、それぞれを燃料(B-5)に対して上記添加量となるよう添加し、室温で混合したものを燃料(B-2)~(B-4)及び(B-6)として使用した。
【0075】
<燃料(B-9)>
脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリドとしては富士フイルム和光純薬(株)から購入したモノオレイン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセロール及びトリオレインを、炭素数8~16飽和脂肪酸メチルエステル及び炭素数18~22飽和脂肪酸メチルエステルとしては富士フイルム和光純薬(株)より購入したパルミチン酸メチル、ステアリン酸メチルを用い、それぞれを燃料(B-1)に対して上記添加量となるよう添加し、室温で混合したものを燃料(B-9)として使用した。
【0076】
<燃料(B-11)>
脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリドとしては富士フイルム和光純薬(株)から購入したモノオレイン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセロール及びトリオレインを、炭素数8~16脂肪酸メチルエステルおよび炭素数18~22脂肪酸メチルエステルとしては富士フイルム和光純薬(株)から購入したパルミチン酸メチル、ステアリン酸メチルを用い、それぞれを燃料(B-1)に対して上記添加量となるよう添加し、室温で混合したものを燃料(B-11)として使用した。
【0077】
<飽和脂肪酸組成比の測定方法>
バイオディーゼル燃料(B)の脂肪酸組成比は、EN14103に準拠した分析法で測定した。
【0078】
<CFPP試験>
各燃料(バイオディーゼル燃料及び軽油)、実施例及び比較例で得たディーゼル燃料組成物について、JIS K2288「軽油-目詰まり点試験方法」に記載の方法に準拠して測定を行った。即ち、45mlの試料を試験管にとり、冷却する。試料の温度が1℃下がるごとに2kPa(水柱200mm)の減圧下で、目開き45μmの金網付きろ過器を通して試料を吸い上げ、試料20mlが金網付きろ過器を通過するのに要する時間を測定した。このようにして、試料のろ過通過時間が60秒を超えたときの温度を読み取り、CFPPの結果として表4~5に記載した。また、燃料のみのCFPPと組成物のCFPPの差(「組成物」-「燃料のみ」)を組成物のCFPPの低下度として表4~5に記載した。
【0079】
<高温安定性試験>
実施例及び比較例で得たディーゼル燃料組成物50gを密栓できる容器に入れて高温(100℃)で、14日間保管した。ディーゼル燃料組成物のCFPPと高温保管後のディーゼル燃料組成物のCFPPとの差の絶対値を算出し、高温保管後の変化度として表4~5に記載した。
本発明のディーゼル燃料組成物は、低温流動性(CFPP)が優れており、さらに高温安定性が高いディーゼル燃料組成物であるので、寒冷地などにおいて好適に使用でき、高温安定性が高いことから品質安定性に優れ、また、上記ディーゼル燃料組成物は、軽油などのディーゼル燃料と混合して用いることができるため、バイオディーゼル燃料として好適に使用することが可能である。