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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175662
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】カバー部材
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/26 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
E03C1/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087234
(22)【出願日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2022087888
(32)【優先日】2022-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】内川 篤
(72)【発明者】
【氏名】大山 美里
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA01
2D061DA02
2D061DA03
2D061DE03
(57)【要約】
【課題】排水機器の排水を処理する排水口に取り付けられるカバー部材において、どのような排水口に対しても、排水口上端に対し同じ高さ位置に取り付けることができるカバー部材を提供する。
【解決手段】排水を処理する排水口9aに取り付け可能なカバー部材1を、前記排水口9aを覆う覆い部2と、前記覆い部2の外周に設けられ前記排水口9aの周縁に係止する鍔部3と、前記覆い部2を前記排水口9aに対して位置決めする位置決め部と、前記覆い部2に設けた、前記排水口9a内に排水を通過させる通水部5と、から構成する。また、前記排水口9aは、その内部に前記排水口9aを形成する排水口本体9により形成され、前記排水口本体9は、前記排水口9aの周縁の一部としてのフランジ部9bを備えて構成する。また、前記鍔部3は、前記フランジ部9bの全体を覆うように構成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水を処理する排水口に取り付け可能なカバー部材であって、
前記排水口を覆う覆い部と、
前記覆い部の外周に設けられ前記排水口の周縁に係止する鍔部と、
前記覆い部に設けた、前記排水口内に排水を通過させる通水部と、
から構成されることを特徴とするカバー部材。
【請求項2】
前記カバー部材は、周縁にフランジ部を備える前記排水口に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のカバー部材。
【請求項3】
前記鍔部は、前記フランジ部の全体を覆うことを特徴とする請求項2に記載のカバー部材。
【請求項4】
前記鍔部の外径は、前記フランジ部の外径とほぼ同一であることを特徴とする請求項3に記載のカバー部材。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記覆い部を前記排水口に対して位置決めする位置決め部を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載のカバー部材。
【請求項6】
前記位置決め部は、前記排水口の内側面に接する壁部であることを特徴とする請求項5に記載のカバー部材。
【請求項7】
前記カバー部材は、前記覆い部を前記排水口に対して位置決めする位置決め部を備え、
前記位置決め部は、前記フランジ部の外縁に係止する係止部であることを特徴とする請求項2に記載のカバー部材。
【請求項8】
前記通水部は、排水中の塵芥を捕集する捕集部を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4、及び請求項7のいずれか一つに記載のカバー部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水機器の排水口を覆うカバー部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
使用によって排水の生じる排水機器には、生じた排水を処理するため、排水口を備えた排水配管が取り付けられている。
排水配管の部材の内、排水機器上に排水口を形成するための排水配管の部材を、特に排水装置と呼ぶ。
洗面台や流し台や浴槽など、使用によって槽体の内部に排水を生じる排水機器であれば、槽体の底面に排水装置を取り付けることで槽体に排水口を備えることができる。また、浴室や洗濯機パンなど、使用によって水受けパン上に排水を生じる排水機器であれば、水受けパン上に排水装置を取り付けることで水受けパンに排水口が備えられる。
【0003】
また、上記した排水装置の排水口には、目的に応じて排水口を覆うカバー部材が配置される。
例えば、排水に大型の厨芥や大量の厨芥が混入する流し台のシンクに設けられた排水口には、厨芥を下流に流すことが無いようにするため、厨芥を捕集するゴミかごが配置されるが、そのままでは捕集された厨芥は排水口から露出しており、これらを見た者は不快感を生じる場合がある。
これを回避するため、特許文献1に記載の発明のように、排水口の内側面に段部を設け、この段部にゴミかごの鍔部を係止し、更にゴミかごの鍔部の上に載置するようにして、厨芥を通過させる通水部(開口)を備え、且つ排水口の内部を覆い隠すカバー部材が配置されてなる。
カバー部材が排水口内のゴミかごを覆うように配置されることで、排水口内のゴミかごやゴミかご内の厨芥を覆い隠し、捕集された厨芥が排水口から露出しないようにして流し台の使用者が不快感を生じないようにすることができる。
【0004】
また、浴室に生じる排水には毛髪等が混入している場合があり、浴室の洗い場の排水口から下流側の排水配管にこれらが流出すると、排水配管内に絡まって排水配管を詰まらせる場合がある。
そこで、特許文献2に記載のカバー部材では、排水中の毛髪などを捕集するため、通水部に、複数の小孔を設けることで排水の通過を可能とすると共に、排水に混入している毛髪などは捕集する捕集部を備えたカバー部材とし、排水口に配置してなる。
カバー部材が排水口に配置されることで、排水に混入した毛髪などを捕集し、排水配管の詰まりを未然に防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-188899号
【特許文献2】特開2003-261971号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
排水機器の排水口に取り付けられたカバー部材は元々取り外しが可能なことから、インターネットを利用した通販、所謂Eコマースやホームセンター等で別途購入し、交換することが可能である。
これらは当初のカバー部材が破損した場合の他、よりデザインの良好な製品や使い勝手の良い製品を求めて、当初のカバー部材が使用可能であっても新しい製品を購入し交換する場合がある。
このようなカバー部材を交換する場合に、新しいカバー部材の寸法が排水機器の排水口に合致しない恐れがある、という問題がある。排水装置の排水口と当初のカバー部材は一組の部材として設計・製造されており、排水口とカバー部材は互いの寸法を参照し、カバー部材が排水口に合致する形状に構成されている。
これに対して、交換される新しいカバー部材は取り付けされる排水口の寸法を参照した設計とすることは不可能である。
【0007】
しかしながら、以下に記載する「標準寸法」を参照することで、ある程度排水口に合致する寸法のカバー部材を製造することは可能である。
標準寸法について説明すると、例えば槽体を製造するメーカーと排水口を備えた排水装置を製造するメーカー等は別々である。この異なるメーカーの作る部品を接続させる場合に、メーカー各自がまちまちの寸法を採用すると、接続箇所の寸法が合わない不具合が生じる場合がある。また、構成や機能は同じで接続部分の寸法だけ変えた製品を何種類も製造する必要が生じる場合がある。これを避けるため、工業規格とは別に、関連する複数のメーカーや販売会社等の間で使用実績・使用目的・販売目的に合わせて自発的に共有の寸法を設定する場合、又は最初に当該製品を製造した会社の寸法に関連企業が仕様を合わせた結果、自然に共有の寸法が設定される場合があり、このようにして定まった寸法が標準寸法である。
排水口の内径にこの「標準寸法」を採用した排水装置は多く、このため、排水口を備えた排水装置を製造したメーカーとは別のメーカーのカバー部材であっても、排水口の内径の標準寸法を参照して設計されていれば、平面視において、排水口に合致するようにしてカバー部材を配置することは可能である。
【0008】
しかし、排水口の高さ方向に関しては異なるメーカーのみならず、同じメーカーであっても製品ごとに高さ方向の形状や寸法が異なり、標準と言える寸法が存在しない。
これは、例えば流し台のシンクの排水口の場合、特許文献1の発明のように排水口の内側に任意の径の段を設け、この段にゴミかごの鍔を載せた上でカバー部材を載せる場合と、図5に示したように、排水口の内側に二重の段を設け、上方から順番に第一の段部、第二の段部としたとき、第一の段部にカバー部材を、第二の段部にゴミかごの突縁部を載置する場合のように、排水口内への部材の配置レイアウトが異なる場合があるためである。また、流し台のシンクは水を溜める場合があるが、この場合も目隠し用のカバー部材の通水部に更に栓蓋を取り付けることで排水が通過しないようにする場合と、カバー部材を取り外して排水口の全体を覆う栓蓋を取り付ける場合等、排水口への部材の配置レイアウトが異なる場合がある。
このように、排水口に取り付ける部材の種類、形状、構成、配置レイアウトが千差万別で、排水口の高さ方向の形状や寸法は標準寸法を設定することができなかった。
【0009】
このため、排水口を備えた排水装置と一組のものとして設計されたカバー部材以外の、ホームセンターやEコマース等で別途購入したカバー部材を排水口内に配置しようとすると、排水口の内径の標準寸法を参照した設計によりカバー部材を合致するようにして排水口内に配置することができるが、排水口の上端とカバー部材の上端の位置関係はカバー部材と排水口ごとに変化してしまい、排水口よりカバー部材の上面が使用に支障が出るほど極端に飛び出す場合や、逆にカバー部材の上面が排水口の内部に大きく落ち窪んで上面に塵芥が堆積する場合などの問題を生じる場合もあった。
本発明は上記問題点に鑑み発明されたものであって、カバー部材において、どのような排水口に対しても、排水口上端に対し同じ高さ位置に取り付けることができるカバー部材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第一の発明は、排水を処理する排水口に取り付け可能なカバー部材であって、
前記排水口を覆う覆い部と、
前記覆い部の外周に設けられ前記排水口の周縁に係止する鍔部と、
前記覆い部に設けた、前記排水口内に排水を通過させる通水部と、
から構成されることを特徴とするカバー部材である。
【0011】
第二の発明は、前記第一の発明において、前記カバー部材は、周縁にフランジ部を備える前記排水口に取り付けられることを特徴とするカバー部材である。
【0012】
第三の発明は、前記第二の発明において、前記鍔部は、前記フランジ部の全体を覆うことを特徴とするカバー部材である。
【0013】
第四の発明は、前記第三の発明において、前記鍔部の外径は、前記フランジ部の外径とほぼ同一であることを特徴とするカバー部材である。
尚、「前記鍔部の外径と前記フランジ部の外径がほぼ同一」とは、鍔部の外径がフランジ部の外径と完全に同じ径のほか、鍔部の外径がフランジ部の外径よりも若干大径の場合又は小径の場合等も含むものである。
【0014】
第五の発明は、前記第一の発明乃至前記第四の発明において、前記覆い部を前記排水口に対して位置決めする位置決め部を備えたことを特徴とするカバー部材である。
【0015】
第六の発明は、前記第五の発明において、前記位置決め部は、前記排水口の内側面に接する壁部であることを特徴とするカバー部材である。
【0016】
第七の発明は、前記第二の発明において、前記カバー部材は、前記覆い部を前記排水口に対して位置決めする位置決め部を備え、
前記位置決め部は、前記フランジ部の外縁に係止する係止部であることを特徴とするカバー部材である。
【0017】
第八の発明は、前記第一の発明乃至前記第四の発明、又は前記第七の発明において、前記通水部は、排水中の塵芥を捕集する捕集部を備えたことを特徴とするカバー部材である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、排水口の周縁にカバー部材の鍔部を係止させるため、排水口の内部又は下方の形状や寸法に関係なく、どのような排水口に対しても、同じ高さ位置にカバー部材を取り付けることができ、排水口よりカバー部材の上面が使用に支障が出るほど極端に飛び出す場合や、逆にカバー部材の上面が排水口の内部に大きく落ち窪むという場合が生じることが無い。また、位置決め部によって排水口に対するカバー部材の平面視の位置、即ち水平方向の位置も位置決めでき、排水口からカバー部材が外れて適正な使用ができなくなる、ということが無い。
また、排水口の周縁がフランジ部を備えた場合に、このフランジ部にカバー部材の鍔部を係止させることも可能である。
また、周縁の一部としてフランジ部を備える排水口の場合、カバー部材の鍔部をフランジ部の直径と同じかより大径とし、槽体又は床面とフランジ部の継ぎ目を鍔部が覆い隠すようにすることで、意匠性が向上し、また継ぎ目に塵芥が溜まることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第一実施例の流し台を示す断面図である。
図2】第一実施例の排水口近傍を示す断面図である。
図3図2の部材構成を示す参考図である。
図4】第一実施例のカバー部材の、(a)平面図、(b)断面図、(c)底面図である。
図5】従来のカバー部材を備えた排水口近傍を示す断面図である。
図6】従来のカバー部材の断面図である。
図7】第二実施例の排水口近傍を示す断面図である。
図8】第二実施例のカバー部材の、(a)平面図、(b)断面図、(c)底面図である。
図9】第三実施例の浴室を示す断面図である。
図10】第三実施例の排水口近傍を示す断面図である。
図11図10の部材構成を示す断面図である。
図12】第三実施例のカバー部材の、(a)平面図、(b)断面図である。
図13】従来のカバー部材を備えた排水口近傍を示す断面図である。
図14】従来のカバー部材の断面図である。
図15】第四実施例の排水口近傍を示す断面図である。
図16】第四実施例のカバー部材の、(a)平面図、(b)断面図である。
図17】第五実施例を示す断面図である。
図18】第六実施例を示す断面図である。
図19】第七の実施例の(a)シンクの使用状態を示す断面図、(b)図19(a)のA部拡大図である。
図20】第八実施例の(a)カバー部材を排水口に取り付けた状態を示す断面図、(b)カバー部材を排水口から取り外した状態を示す断面図である。
図21】第九実施例の(a)カバー部材を排水口に取り付けた状態を示す断面図、(b)カバー部材を排水口から取り外した状態を示す断面図である。
図22】他の実施例の排水口近傍を示す断面図である。
図23図22の実施例のカバー部材の、(a)平面図、(b)断面図である。
図24】他の実施例の排水口近傍を示す断面図である。
図25図24の実施例のカバー部材の、(a)平面図、(b)断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の第一実施例について、図面を参照しつつ説明する。
図1乃至図6に示した、本発明の第一実施例のカバー部材1は、排水機器としての流し台Nと、その槽体であるシンクSに用いられる、排水口9a内の目隠しを目的としたカバー部材1である。
また、本実施例において、カバー部材1は、説明の都合上、発明の要件を満たさない従来のカバー部材Fと、発明の要件を満たす実施品としてのカバー部材1の2つのカバー部材を記載する。以降、本実施例の説明においては、発明の要件を満たす実施品としてのカバー部材1は単に「カバー部材1」、発明の要件を満たさない従来のカバー部材Fは「従来のカバー部材F」とそれぞれ記載し、両者は区別するものとする。
【0021】
まず、流し台Nについて説明する。
図1に示した流し台Nは以下に記載するワークトップW、キャビネットCから構成され、以下に記載する排水口本体9、継手部材11、トラップ部材12等によって排水配管が施工されると共に、排水口9aに以下に記載するゴミかご14、カバー部材1、及び従来のカバー部材Fが配置される。
ワークトップWは金属の板材からなるカウンターKと、カウンターKに設けられた、上方が開口した箱体であるシンクSとからなる。また、シンクSの底面には排水口本体9が取り付けられる取付穴Hが設けられてなる。また、取付穴Hの周縁であって、後述する排水口本体9のフランジ部9bが配置される箇所には、フランジ部9bに合わせて窪み部分が形成されている。
キャビネットCは、上方が開口し、正面に扉が備えられた箱体であって、その内部に排水口本体9等からなる排水配管が施工される。
排水装置としての排水口本体9は、有底円筒形状を成す上方が開口した部材であって、その内部にはシンクS内の排水が流入する排水口9aが形成されてなる。また、排水口9aの内部には排水口9aの上端から20ミリメートルほど下方となる位置に内側に突出した段部である第一の段部9dと、その下方に更に内側に突出した段部である第二の段部9eを備えてなる。また、排水口9aの上端から第一の段部9dまでの壁面は鉛直方向に沿って設けられている。従って、排水口9aの上端から第一の段部9dまでは「排水口9aの内径」と同一径である。
尚、以下の説明において、「排水口9aの内径」とは、「排水口9aの上端の内径」を示すものであり、第一の段部9dや第二の段部9eによって縮径した部分の径は「排水口9aの内径」とは記載しない。
また、排水口本体9は上端の外周部分に周縁に沿ってフランジ部9bが設けられてなる。またフランジ部9bの直下位置の外側面には雄ネジ部9cが設けられると共に、排水口本体9の底面近傍の側面に、側面方向に向かって排水口9aからの排水を流出させる排出口10を備えてなる。
また、排水口本体9の排水口9aの内径やフランジ部9bの外径は、「標準寸法」にて設計されている。
標準寸法について説明すると、例えば槽体を製造するメーカーと排水口9aを備えた排水装置(本実施例では排水口本体9)を製造するメーカー等は別々である。この異なるメーカーの作る部品を接続させる場合に、メーカー各自がまちまちの寸法を採用すると、接続箇所の寸法が合わない不具合が生じる場合がある。また、構成や機能は同じで接続部分の寸法だけ変えた製品を何種類も製造する必要が生じ、部材管理やコスト面で不具合である。
これを避けるため、工業規格とは別に、関連する複数のメーカーや販売会社等の間で使用実績・使用目的・販売目的に合わせて自発的に共有の寸法を設定する場合、又は最初に当該製品を製造した会社の寸法に関連企業が仕様を合わせた結果、自然に共有の寸法が設定される場合があり、このようにして定まった寸法が標準寸法である。
本実施例の排水口本体9においては、排水口9aの内径、フランジ部9bの外径、雄ネジ部9c、排水口本体9の取付穴Hに対応する位置の外径等が標準寸法である。また、排水口本体9の標準寸法に合わせて、シンクSの取付穴Hの内径等は設計されている。他方、排水口9aの上端から第一の段部9dまでの高さ方向の幅は標準寸法ではない。
また、排水口本体9は雄ネジ部9cと螺合する雌ネジ部13を備えたナット部材Dを備える。
ゴミかご14は、排水口本体9内に着脱自在に配置される部材であって、金属のパンチング材を半球状に加工した捕集部6と、捕集部6の上端に備えられた、第二の段部9e上面に載置される突縁部14aを備えて構成してなる。
尚、排水口9aの第二の段部9eの外径及び内径、ゴミかご14の突縁部14aの外径は標準寸法ではない。
継手部材11は部材間を接続するための管体であって、本実施例では、排水口本体9の排出口10とトラップ部材12を接続する管体を略L字形状に屈曲させた継手部材11と、トラップ部材12と床下配管(図示せず)を接続する直線形状の継手部材11が採用されている。
トラップ部材12は、管体をS字形状に屈曲させることで内部に封水部12aを形成するように構成した配管部材である。封水部12aは排水流路内に貯留された排水によって形成された満水状態部分であって、下水側からの臭気を含む空気や害虫類はこの封水部12aの満水状態部分を通過できない為、臭気を含む空気や害虫類の屋内側への侵入を防ぐことができる。
トラップ部材12の下流側は、床下に備えられた床下配管に接続されてなり、床下配管は下水側の配管に接続されてなる。
【0022】
図5及び図6に示した、従来のカバー部材Fは、当初排水口本体9内に着脱自在に配置される部材であって、円盤形状の目隠し部F1と、目隠し部F1の中央に設けた、排水を通過させる開口である通水部5と、目隠し部F1の周囲に設けた、第一の段部9dに載置される脚部F2とから構成されてなる。
また、この従来のカバー部材Fは、排水口本体9と一組の部材として互いの寸法を参考にしながら設計・製造されており、目隠し部F1の外径は排水口9aの内径に合致するように設計され、また脚部F2の高さは、脚部F2を第一の段部9dに載置したとき、目隠し部F1の外縁が排水口9aの上端と同じ高さとなるように設計されてなる。
【0023】
流し台Nの排水配管は以下のように施工される。尚、キャビネットCとワークトップWは、キャビネットC上にワークトップWを取り付けた状態で建物の建築時に搬入され、排水配管の施工時には建物の床面に固定されてなる。
ワークトップWのシンクSの取付穴Hに上方から排水口本体9を挿入し、取付穴Hの周縁上面に排水口本体9のフランジ部9bの下面を当接させる。次にシンクSの下方からナット部材Dの雌ネジ部13を排水口本体9の雄ネジ部9cに螺合させ、フランジ部9bとナット部材Dとで取付穴Hの周縁を挟持することで、排水口本体9をシンクSに固定する。フランジ部9bは、排水口本体9をシンクSの取付穴Hに取り付けるために必要な構成である。
次に、排水口本体9の排出口10を継手部材11の上端に接続する。
次に、継手部材11の下端をトラップ部材12の上端に接続した上で、トラップ部材12の下端を床下配管に接続する。
更に、排水口9aの第二の段部9e上にゴミかご14の突縁部14aを載置させ、第一の段部9dに従来のカバー部材Fの脚部F2を載置させることで、図5に示した、従来のカバー部材Fを採用した流し台Nの施工が完了する。
【0024】
次に本発明の要件を満たす、本実施例のカバー部材1について図4等を参照しつつ説明する。尚、図4(a)、図4(c)に点線で示した円は、カバー部材1を排水口9aに取り付けた時の、排水口9aの大きさと位置を示すものである。
尚、以下に記載する本実施例のカバー部材1は、使用者がホームセンターやEコマース等を利用して流し台Nとは別途に用意したものであり、標準寸法を参考として設計しているが、段落0021に記載した流し台Nの排水口9aを参考として設計はしていない。このため、標準寸法を参考とした部分以外は必ずしも段落0021に記載した流し台Nの排水口9aに合致するとは限らない。
但し、設計上の常識から予想される寸法は考慮して設計が行われている。例えば、排水口9aの上端から第一の段部9dまではほぼ垂直な壁面が備えられていること、また排水口9aの上端から第一の段部9dまでの縦方向の幅は従来のカバー部材Fの脚部F2を載置する関係から15ミリメートル以上の幅が設けられていること等は一般的な排水口本体9の構成としての予想できるものであり、この予想に基づき、後述する壁部4aは第一の段部9dに干渉しないよう鍔部3下面から15ミリメートルよりも短い幅に設計されている。
尚、「標準寸法」は所定の寸法であるのに対し、「常識から予想される寸法」はある程度の範囲の寸法であり、両者は明確に相違する。例えば流し台NのシンクSの排水口9aの内径の標準寸法は145ミリメートルであり、この寸法より大径でも小径でもない。対して排水口9aの上端から第一の段部9dの「常識から予想される寸法」としての縦方向の幅は15ミリメートル以上であり、例えば18ミリメートルや20ミリメートル等、15ミリメートル以上であれば様々な寸法があり得る。
図4に示したカバー部材1は、以下に記載する、覆い部2、鍔部3、位置決め部としての壁部4aから構成される。
覆い部2は、平面視排水口9a内に配置され、排水口9a内を覆い隠す壁面であって、リング部2aと、リング部2aの内部に設けられた、中心に向けて緩やかな登り勾配を成す登り勾配部2bと、中心に向けて下り勾配を成す下り勾配部2cとからなる。
また、登り勾配部2bと下り勾配部2cとの間に、使用時シンクS内から排水口9a内に排水を通過させる開口である通水部5を備えてなる。
また、リング部2aの下方に円筒形状の壁部4aを備えてなる。
壁部4aの外径は、図4(c)に点線で示した排水口9aの内径の標準寸法を参考として、壁部4aの外側面が排水口9aの内側面に当接して位置ずれを起こさない寸法に設計されている。
また、壁部4aの縦方向の幅は第一の段部9dに干渉しないよう、排水口9aの上端から第一の段部9dまでの予想される最小の幅15ミリメートルよりも充分に短い10ミリメートルに設計されている。
鍔部3は覆い部2のリング部2aから外径方向に設けられた環状の部分であって、フランジ部9b全体を上方から覆うように設けられている。また鍔部3の外径は、フランジ部9bの標準寸法を参考として、フランジ部9bの外径より若干だけ大きな径となるように構成されている。尚、鍔部3の上面はリング部2aの上面と連続しており、平面視においては鍔部3と覆い部2の境界は把握できない。排水口9aにカバー部材1を取り付けた時、排水口9aを覆う部分が覆い部2であり、排水口9aよりも外側であって排水口9aの周縁上に配置される部分が鍔部3である。
【0025】
上記したような、本発明の要件を満たすカバー部材1は、以下のようにして、従来のカバー部材Fと交換されて排水口9a取り付けられ使用されるものである。
【0026】
まず、当初排水口9a内に配置された従来のカバー部材Fを取り外す。
次に、カバー部材1の壁部4aの外側面が排水口9aの内側面に内接した状態となるようにして、排水口9aにカバー部材1を上方から取り付ける。壁部4aの外側面が排水口9aの内側面に内接することで、カバー部材1は水平方向に移動することはなくなり水平方向に対して位置決めされる。
また、図2に示したように、鍔部3がフランジ部9bの上面に当接して係止することで、カバー部材1は上下方向に対しても排水口9aに対し位置決めされる。
以上のようにして、カバー部材1を排水口9aに取り付けることができる。
上記本発明のカバー部材1では、高さ方向の位置決めは、鍔部3を排水口9aの周縁に係止することで行っている。このため、例えば排水口9aの上端から第一の段部9d上面までの幅が異なる排水口9aであっても、排水口9aの上端に対し、同じ高さ位置に取り付けることができる。
また、本実施例のカバー部材1が排水口本体9に接する部分は、排水口9aの内径やフランジ部9b等、標準寸法に係る部分又は設計上の常識から寸法が予想できる部分のみであるため、ほとんどの流し台Nの排水口9aに支障なく取り付けることができる。
例えば、鍔部3の外径は標準寸法を参考とした設計により排水口9aの周縁の一部である排水口本体9のフランジ部9bの外径より若干大径としたため、取り付け完了時、図2に示したように、鍔部3がフランジ部9b全体を覆い隠し、フランジ部9bとシンクSの継ぎ目を隠すことができる。
【0027】
流し台NのシンクS内に排水が生じると、シンクS内の排水は、カバー部材1の通水部5とゴミかご14を通過し、排水口9aから排水口本体9内、排出口10、継手部材11、トラップ部材12の順に通過し、床下配管から下水側に排出される。また、ゴミかご14内を排水が通過する際、排水に混入した塵芥はゴミかご14の捕集部6に捕集され、下流側に流出することは無い。
【0028】
次に、本発明の第二実施例について、図面を参照しつつ説明する。
尚、本発明の第二実施例について、排水機器や排水装置を含む配管部材、排水配管の構成・施工方法、使用方法等は、カバー部材1を除いて全て第一実施例と同様のため省略し、第二実施例のカバー部材1の構成と排水口9aへの施工方法についてのみ説明する。
【0029】
以下に、本実施例のカバー部材1について図8等を参照しつつ説明する。尚、図8(a)、図8(c)に点線で示した円は、カバー部材1を排水口9aに取り付けた時の、排水口9aの大きさと位置を示すものである。
本発明の第二実施例のカバー部材1は、使用者がホームセンターやEコマース等を利用して流し台Nとは別途に用意したものであり、標準寸法を参考として設計しているが、段落0021に記載した流し台Nの排水口9aを参考として設計はしていない。このため、標準寸法を参考とした部分以外は必ずしも段落0021に記載した流し台Nの排水口9aに合致するとは限らない。但し、設計上の常識から予想される寸法は考慮して設計が行われている。例えば、排水口9aの上端から第一の段部9dまではほぼ垂直な壁面が備えられていること、また排水口9aの上端から第一の段部9dまでの縦方向の幅は従来のカバー部材Fの脚部F2を載置する関係から15ミリメートル以上の幅が設けられていること等は一般的な排水口本体9の構成としての予想できるものであり、この予想に基づき、後述する壁部4aは第一の段部9dに干渉しないよう鍔部3下面から15ミリメートルよりも短い幅に設計されている。
図8に示したカバー部材1は、以下に記載する、覆い部2、鍔部3、位置決め部としての円筒部4bと突起部4cから構成される。
覆い部2は、平面視排水口9a内に配置され、排水口9a内を覆い隠す壁面であって、リング部2aと、リング部2aの内部に設けられた、中心に向けて緩やかな登り勾配を成す登り勾配部2bと、中心に向けて下り勾配を成す下り勾配部2cとからなる。
また、登り勾配部2bと下り勾配部2cとの間に、使用時シンクS内から排水口9a内に排水を通過させる開口である通水部5を備えてなる。
また、リング部2aの下方に、排水口9aの内径よりも小径な外側面を備えた円筒部4bと、円筒部4bの下端から外側面方向に突出した複数の突起部4cから構成される位置決め部を備えてなる。
図8(c)の点線で示した、位置決め部の突起部4cの先端に外接する外接円は、排水口9aの内径の標準寸法を参考として、排水口9aの内径とほぼ等しくなるように設計されている。このため、排水口9aにカバー部材1を取り付けた時、突起部4cの先端が排水口本体9の内部であって、排水口9aの上端から第一の段部9dまでの間の内側面に当接し、位置ずれを起こすことが無い。また、円筒部4bの縦方向の幅は、第一の段部9dに干渉しないよう排水口9aの上端から第一の段部9dまでの予想される最小の幅15ミリメートルよりも短い10ミリメートルに設計されている。
鍔部3は覆い部2のリング部2aから外径方向に設けられたリング状の部分であって、フランジ部9b全体を上方から覆うように設けられている。また鍔部3の外径は、フランジ部9bの標準寸法を参考として、フランジ部9bの外径より若干だけ大きな径となるように構成されている。尚、鍔部3の上面はリング部2aの上面と連続しており、平面視においては鍔部3と覆い部2の境界は把握できない。排水口9aにカバー部材1を取り付けた時、排水口9aを覆う部分が覆い部2であり、排水口9aよりも外側であって排水口9aの周縁上に配置される部分が鍔部3である。
【0030】
上記したような、本発明の第二実施例のカバー部材1は、以下のようにして、従来のカバー部材Fと交換されて排水口9a取り付けられ使用されるものである。
【0031】
まず、当初排水口9a内に配置された従来のカバー部材Fを取り外す。
次に、カバー部材1の位置決め部の突起部4cの先端が排水口9aの内側面に内接した状態となるようにして、排水口9aにカバー部材1を上方から取り付ける。位置決め部の突起部4c先端が排水口9aの内側面に内接することで、カバー部材1は水平方向に移動することは無くなり水平方向に対して位置決めされる。
また、図7に示したように、鍔部3がフランジ部9bの上面に当接して係止することで、カバー部材1は上下方向に対しても排水口9aに対し位置決めされる。
以上のようにして、カバー部材1を排水口9aに取り付けることができる。
上記本発明のカバー部材1では、高さ方向の位置決めは、鍔部3を排水口9aの周縁に係止することで行っている。このため、例えば排水口9aの上端から第一の段部9d上面までの幅が異なる排水口9aであっても、排水口9aの上端に対し、同じ高さ位置に取り付けることができる。
また、本実施例のカバー部材1が排水口本体9に接する部分は、排水口9aの内径やフランジ部9b等、標準寸法に係る部分又は設計上の常識から寸法が予想できる部分のみであるため、ほとんどの流し台Nの排水口9aに支障なく取り付けることができ、また目的とした機能を発揮できる。
例えば、鍔部3の外径は標準寸法を参考とした設計により排水口9aの周縁の一部である排水口本体9のフランジ部9bの外径より若干大径としたため、取り付け完了時、図7に示したように、鍔部3がフランジ部9b全体を覆い隠し、フランジ部9bとシンクSの継ぎ目を隠すことができる。
【0032】
流し台NのシンクS内に排水が生じると、シンクS内の排水は、カバー部材1の通水部5とゴミかご14を通過し、排水口から排水口本体9内、排出口10、継手部材11、トラップ部材12の順に通過し、床下配管から下水側に排出される。また、ゴミかご14内を排水が通過する際、排水に混入した塵芥はゴミかご14の捕集部6に捕集され、下流側に流出することは無い。
【0033】
次に、本発明の第三実施例について、図面を参照しつつ説明する。
図9乃至図14に示した、本発明の第三実施例のカバー部材1は、排水機器としての浴室の床面に備えられた排水口9aに対し、排水口9aを通過する排水中の毛髪などの塵芥の捕集を目的としたカバー部材1である。
また、本実施例において、カバー部材1は、説明の都合上、発明の要件を満たさない従来のカバー部材Fと、発明の要件を満たす実施品としてのカバー部材1の2つのカバー部材を記載する。以降、本実施例の説明においては、発明の要件を満たす実施品としてのカバー部材1は単に「カバー部材1」、発明の要件を満たさない従来のカバー部材Fは「従来のカバー部材F」とそれぞれ記載し、両者は区別するものとする。
【0034】
まず、浴室について説明する。
図9に示した浴室は、以下に記載する浴槽Bと、浴槽に隣接して設けられた洗い場パンPとから構成され、洗い場パンPの床面には、以下に記載する排水口本体9、トラップ部材12、防臭筒12c等によって排水配管が施工されると共に、排水口9aにカバー部材1、及び従来のカバー部材Fが配置される。
浴槽Bは上方が開口した箱体であって使用時にその内部に浴湯を溜めるように構成されてなる。
洗い場パンPは、浴槽Bに隣接して設けられた防水パンであって、排水口本体9が取り付けられる取付穴Hが設けられてなる。また、取付穴Hの周縁であって、後述する排水口本体9のフランジ部9bが配置される箇所には、フランジ部9bに合わせて窪み部分が形成されている。
排水口本体9は円筒形状を成す部材であって、その内部には洗い場パンP上の排水が流入する排水口9aが形成されてなる。また、排水口9aの内部には従来のカバー部材F及び防臭筒12cを取り付けるための凸部9fと、排水口本体9の下端から内周方向に突出した、防臭筒12cを水密的に取り付けるための内鍔部9gを備えてなる。
尚、以下の説明において、「排水口9aの内径」とは、「排水口9aの上端の内径」を示すものであり、内鍔部9gの内径は「排水口9aの内径」とは記載しない。
また、排水口本体9は上端の外周部分に周縁に沿ってフランジ部9bが設けられ、またフランジ部9bの直下位置の外側面には雄ネジ部9cが設けられてなる。
本実施例の排水口本体9においては、排水口9aの内径、フランジ部9bの外径、雄ネジ部9c、排水口本体9の取付穴Hに対応する位置の外径等が標準寸法である。また、排水口本体9の標準寸法に合わせて、シンクSの取付穴Hの内径等は設計されている。他方、排水口9a内に設けられた凸部9fの位置や形状は標準寸法ではない。
標準寸法の説明は、第一実施例において説明済みのため省略する。
トラップ部材12は上方に排水口本体9の雄ネジ部9cと螺合する雌ネジ部13を備えた箱体であって、内部にオワン状の封水部12aを備えてなると共に、側面に、浴槽Bからの配管を封水部12aに連通させるように接続する枝管部12bと、トラップ部材12内の排水を排出する排出口10を備えてなる。
防臭筒12cは、略円筒形状を成す部材であって、上方部分は外側に向けて拡径しており、排水口9a内の凸部9fに嵌合することで、拡径部分が内鍔部9gに当接し、防臭筒12cが内鍔部9gに水密的に接続される。防臭筒12cの上端が排水口9aに取り付けられたとき、防臭筒12cの下端は封水部12a内に配置される。封水部12a内に排水(封水)が溜まると、排水口9aから排出口10までの排水流路の一部が満水状態となる。下水側の、臭気を含んだ空気や害虫類は、この満水部分を通過することができないため、下水側から屋内側への臭気を含んだ空気や害虫類の逆流を防止することができる。
【0035】
図13及び図14に示した従来のカバー部材Fは、当初排水口9a内に配置される部材であって、円盤形状にして排水を通過させる覆い部2と、覆い部2に小孔6aを複数備えた通水部5と、通水部5の周囲に設けた、排水口9aの内側面に当接する円筒形状の脚部F2と、脚部F2の外側面に設けられた、排水口9aの凸部9fに嵌合する溝部F3とから構成されてなる。
この従来のカバー部材Fの通水部5は、複数の通水用の小孔6aから構成することで、排水中の毛髪等を捕集する機能を備えた捕集部6である。
また、この従来のカバー部材Fは、排水口本体9やトラップ部材12等と一組の部材として互いの寸法を参考にしながら設計・製造されており、脚部F2の外径は排水口9aの内径に合致するように設計され、また溝部F3は、回転ロック方式にて凸部9fに嵌合し、嵌合が完了した状態では排水口9aの上端とカバー部材1の上面は同じ高さとなるように設計されてなる。
【0036】
浴室の洗い場パンPの排水配管は以下のように施工される。尚、浴槽Bと洗い場パンPは事前に浴室に施工され、また洗い場パンPの下方には下水側に繋がる床下配管が配置されているものとする。以下の説明では、洗い場パンPへの排水配管の施工方法について説明する。まず、洗い場パンPの下方にて、トラップ部材12の枝管部12bに浴槽Bからの配管を、排出口10に床下配管を、それぞれ接続する。
次に、排水口本体9を、洗い場パンPの取付穴Hの上方から挿通し、排水口本体9の雄ネジ部9cを、トラップ部材12の雌ネジ部に螺合させる。これにより、排水口本体9のフランジ部9bとトラップ部材12上面とで取付穴Hの周縁を挟持することとなり、トラップ部材12及び排水口本体9が洗い場パンPの取付穴Hに取り付け固定される。
次に、防臭筒12cの上端の周縁を、排水口9a内の凸部9fを利用して内鍔部9gに水密的に接続する。
更に、従来のカバー部材Fの溝部F3に排水口9a内の凸部9fを回転ロックにて嵌合させて、図13に示した、従来のカバー部材Fを採用した浴室の施工が完了する。
【0037】
次に本発明の要件を満たす、本実施例のカバー部材1について説明する。
尚、以下に記載する本実施例のカバー部材1は使用者がホームセンターやEコマース等を利用して浴室の洗い場パンPの排水口9aとは別途に用意したものであり、標準寸法を参考として設計しているが、段落0034に記載した洗い場パンPの排水口9aを参考として設計はしていない。このため、標準寸法を参考とした部分以外は必ずしも段落0034に記載した洗い場パンPの排水口9aに合致するとは限らない。但し、設計上の常識から予想される寸法は考慮して設計が行われている。
図12に示したカバー部材1は、ステンレス又は銅等の金属の薄板から構成され、以下に記載する、覆い部2及び鍔部3を構成する円盤部7と、位置決め部としての係止部8から構成される。
円盤部7は、フランジ部9bの外径よりも若干大径な円形の平板であり、施工完了時排水口9a及びフランジ部9bに対し同心円状となるように配置される。配置された際に、排水口9aの上方に位置して平面視排水口9aを覆う部分が覆い部2であり、平面視フランジ部9bを覆う部分が鍔部3となる。
具体的には、図12(a)の点線で示した排水口9aを示す円の内側が覆い部2であり、外側が鍔部3である。覆い部2には、排水を通過させる小孔6aを複数備えた通水部5が備えられてなる。本実施例のカバー部材1の通水部5は、複数の通水用の小孔6aから構成することで、排水中の毛髪等を捕集する機能を備えた捕集部6であって、排水はこの小孔6aを通過するが、排水に含まれる毛髪等の塵芥はこの小孔6aを通過できず捕集される。
係止部8は、円盤部7の外縁から円周全体に下方に向かって設けられた突状であって、図10に示したように、フランジ部9bの外側面に係止される。
【0038】
上記したような、本発明の要件を満たすカバー部材1は、以下のようにして、従来のカバー部材Fと交換されて排水口9a取り付けられ使用されるものである。
【0039】
まず、当初排水口9a内に配置された従来のカバー部材Fの嵌合を解除し排水口9aから取り外す。
次に、カバー部材1を、円盤部7が平面視排水口9aやフランジ部9bに対し同心円となる位置に配置して、円盤部7を排水口本体9に覆いかぶせる。
更に、カバー部材1の係止部8の内側面がフランジ部9bの外側面に当接するようにして係止させることで、カバー部材1は水平方向に対して位置決めされる。また、図10に示したように、鍔部3がフランジ部9bの上面の外縁に当接して係止されることで、カバー部材1は上下方向に対しても排水口9aに対し位置決めされる。
以上のようにして、カバー部材1を排水口9aに取り付けることができる。
上記本発明のカバー部材1では、高さ方向の位置決めは、鍔部3をフランジ部9bの上端に係止することで行っている。このため、排水口9aの内部形状に関係なく、排水口本体9に対し、同じ高さ位置に取り付けることができる。
また、本実施例のカバー部材1が排水口本体9に接する部分は、フランジ部9b等、標準寸法に係る部分又は設計上の常識から寸法が予想できる部分のみであるため、ほとんどの洗い場パンPの排水口9aに支障なく取り付けることができ、また目的とした機能を発揮できる。
【0040】
浴室の洗い場パンP上に排水が生じると、洗い場パンP上の排水は、カバー部材1の捕集部6の小孔6aを通過し、排水口9aから排水口本体9内、防臭筒12c、トラップ部材12内の順に通過し、トラップ部材12の排出口10から床下配管を介し下水側に排出される。また、捕集部6を排水が通過する際、排水に混入した毛髪等は捕集部6に捕集され、下流側に流出することは無い。
【0041】
次に、本発明の第四実施例について、図面を参照しつつ説明する。
尚、本発明の第四実施例について、排水機器や排水装置を含む配管部材、排水配管の構成・施工方法、使用方法等は、カバー部材1を除いて全て第三実施例と同様のため省略し、第三実施例のカバー部材1の構成と排水口9aへの施工方法についてのみ説明する。
【0042】
以下に記載する本発明の第四実施例のカバー部材1は使用者がホームセンターやEコマース等を利用して流し台Nとは別途に用意したものであり、標準寸法を参考として設計しているが、段落0034に記載した洗い場パンPの排水口9aを参考として設計はしていない。このため、標準寸法を参考とした部分以外は必ずしも段落0034に記載した洗い場パンPの排水口9aに合致するとは限らない。但し、設計上の常識から予想される寸法は考慮して設計が行われている。例えば、排水口9aの上端から凸部9fまではほぼ垂直な壁面が備えられていること、また排水口9aの上端から凸部9fまでの縦方向の幅は従来のカバー部材Fの肉厚を考慮し5ミリメートル以上の幅が設けられていること等は一般的な排水口本体9の構成としての予想できるものであり、この予想に基づき、後述する壁部4aは凸部9fに干渉しないよう高さ方向の幅は5ミリメートルよりも短い幅に設計されている。
図15及び図16に示したカバー部材1は、ステンレス又は銅等の金属の薄板から構成され、以下に記載する、覆い部2及び鍔部3と、位置決め部としての壁部4aから構成される。
覆い部2は、円盤形状にして排水口9aの内部に配置される部分であって、その内部には排水を通過させる小孔6aを複数備えた通水部5が備えられてなる。本実施例のカバー部材1の通水部5は、複数の通水用の小孔6aから構成することで、排水中の毛髪等を捕集する機能を備えた捕集部6であって、排水はこの小孔6aを通過するが、排水に含まれる毛髪等の塵芥はこの小孔6aを通過できず捕集される。
壁部4aは、覆い部2の周囲から上方に向かって3ミリメートル程度の長さに延設された円筒形状を成す部分であって、排水口9aの内径の標準寸法を参考として、壁部4aの外側面が排水口9aの内側面に当接するように構成されてなる。
鍔部3は、壁部4aの上端の外方向に向かって設けたリング状の部分であって、フランジ部の外径の標準寸法を参考として、フランジ部9bの外径より若干だけ大径となるように構成されてなる。
【0043】
本発明の第四実施例のカバー部材1は、以下のようにして、従来のカバー部材Fと交換されて排水口9a取り付けられ使用されるものである。
【0044】
まず、当初排水口9a内に配置された従来のカバー部材Fの嵌合を解除し排水口9aから取り外す。
次に、カバー部材1の壁部4aの外側面が排水口9aの内側面に当接した状態となるようにして、排水口9aにカバー部材1を上方から取り付ける。壁部4aが排水口9aの内側面に当接することで、カバー部材1は水平方向に移動することは無くなり水平方向に対して位置決めされる。
また、図15に示したように、鍔部3が、フランジ部9bを含む排水口9aの周縁の上面に当接して係止されることで、カバー部材1は上下方向に対しても排水口9aに対し位置決めされる。
以上のようにして、カバー部材1を排水口9aに取り付けることができる。
上記本発明のカバー部材1では、高さ方向の位置決めは、鍔部3をフランジ部9bの上端に係止することで行っている。このため、排水口9aの内部形状に関係なく、排水口本体9に対し、同じ高さ位置に取り付けることができる。
また、本実施例のカバー部材1が排水口本体9に接する部分は、フランジ部9b等、標準寸法に係る部分又は設計上の常識から寸法が予想できる部分のみであるため、ほとんどの洗い場パンPの排水口9aに支障なく取り付けることができ、また目的とした機能を発揮できる。
【0045】
浴室の洗い場パンP上に排水が生じると、洗い場パンP上の排水は、カバー部材1の捕集部6の小孔6aを通過し、排水口9aから排水口本体9内、防臭筒12c、トラップ部材12内の順に通過し、トラップ部材12の排出口10から床下配管を介し下水側に排出される。また、捕集部6を排水が通過する際、排水に混入した毛髪等は捕集部6に捕集され、下流側に流出することは無い。
【0046】
また、上記した第一実施例では、シンクSの底面とフランジ部9bの外縁はほぼ同じ高さのため、鍔部3の厚み分、シンクSの底面であって排水口9aの周縁に上向きの段差が生じることとなる。
これに対し、図17に示した第五実施例又は図18に示した第六実施例のように、流し台の水受け部であるシンクSの排水口9a及びフランジ部9bが、シンクSの底面よりも低い位置となるように構成しても良い。
【0047】
図17に示した第五実施例では、水受け部であるシンクSの底面に設けた取付穴Hの周縁に、シンクSの底面よりも陥没した部分を設けることで、排水口本体9をシンクSに取り付けた状態において、シンクSの底面に窪み部Rを形成し、この窪み部Rの下端部分に排水口9a及びフランジ部9b上面が位置する構造としている。
第五実施例では、カバー部材1を排水口9aに配置した状態で、鍔部3の上面と水受け部であるシンクSの底面とが略同一となるように窪み部Rの深さを調整している。
【0048】
これに対し、図18に示した第六実施例では、第五実施例よりも陥没した部分をより深くしたことで窪み部Rをより深くし、カバー部材1を排水口9aに配置した状態で、鍔部3の上面が、水受け部であるシンクSの底面よりも充分に低い位置となるように窪み部Rの深さを調整している。
このように構成することで、第一実施例のカバー部材1を用いた流し台と異なり、シンクSの底面であって排水口9aの周縁に上向きの段差を生じない構成とすることができる。
【0049】
尚、上記第五実施例及び第六実施例では、カバー部材1の鍔部3の外径は、フランジ部9bの外径と同じ径に構成されている。第一実施例ではカバー部材1の鍔部3の外径は、ほぼ同一で若干だけカバー部材1の鍔部3を大径とすることで、フランジ部9bとシンクSの底面との継ぎ目を鍔部3が覆い隠す構成としていたが、第五実施例及び第六実施例では、鍔部3の外径とフランジ部9bの外径とを完全に同じ径に構成し、窪み部R内にカバー部材1を配置可能な構成としている。
【0050】
上記のような、鍔部3の外径とフランジ部9bの外径とを完全に同じ径に構成したカバー部材1は、窪み部Rを備えた槽体の排水口9aの他、図19に示した第七実施例のように、窪み部Rを備えない槽体の排水口9aに用いても良い。
【0051】
また、上記した第一実施例乃至第七実施例においては、排水口9aの周縁にはフランジ部9bが備えられ、その上面を周縁部として構成しているが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、水受け部の底面にフランジ部9bの無い開口を設けて排水口9aとした排水機器に、本発明のカバー部材1を用いても良い。
【0052】
また、第一実施例乃至第七実施例においては、排水口9aの周縁にフランジ部9bを備えた構成としているが、図20に示した第八実施例、また図21に示した第九実施例のように、排水口9aの周縁にフランジ部9bを備えない構成の排水口9aとする構成としても良い。
【0053】
図20に示した第八実施例では、槽体である流し台のシンクSの底面に標準寸法に基づく内径の開口を設けることで、周縁にフランジ部9bを備えない排水口9aを構成している。
この第八実施例では、この排水口9aの周縁に雄ネジ部9cを設け、この雄ネジ部9cの下方に、雌ネジ部13を備えたナット部材Dを利用し、外側面に取付部9hを備えた排水口本体9を固定している。
【0054】
図21に示した第九実施例では、槽体である流し台のシンクSの底面に標準寸法に基づく内径を備えた窪み部分を設けることで、周縁にフランジ部9bを備えない排水口9aを構成している。
この第九実施例では、窪み部分の底面に開口を設けて、ネジ等を備えた継手部材11を接続し、継手部材11の下流側を図示しないトラップ部材12に接続する構成としている。
【0055】
図20に示した第八実施例のカバー部材1は、位置決め部として壁部4aを備えた第一実施例のカバー部材1と同一の構成であり、図21に示した第九実施例のカバー部材1は、置決め部として円筒部4bと突起部4cを備えた第二実施例のカバー部材1と同一の構成である。また、第八実施例のカバー部材1と第九実施例のカバー部材1の鍔部3など各部の寸法は排水口9a及びフランジ部9bの標準寸法を参考に設計されている(取り付ける排水口9aにフランジ部9bは存在しないが、寸法自体はフランジ部9bの標準寸法を参照して設計されている)。
【0056】
本発明の実施例は以上であるが、本発明のカバー部材1は発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の設計変更を加えても良い。
例えば、図22及び図23のカバー部材のように、鍔部3の外縁をフランジ部9bの途中部分までの位置としたカバー部材1や、図24及び図25のカバー部材のように、鍔部3の外縁をフランジ部9bに最小限載置される位置としたカバー部材1としても良い。
【0057】
また、上記各実施例では、排水口9aを備えた排水機器を、流し台N又は浴室としているが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、排水機器を洗面台や浴槽としても良い。
【0058】
また、壁部4aは必ずしも直下方向に延出された円筒形状を成す必要はなく、例えば図24及び図25に示したカバー部材の壁部4aのように、下方ほど拡径する円錐台形状とし、円錐の下端が排水口9a内に当接する形状としても良い。
【符号の説明】
【0059】
1 カバー部材 2 覆い部
2a リング部 2b 登り勾配部
2c 下り勾配部 3 鍔部
4a 壁部 4b 円筒部
4c 突起部 5 通水部
6 捕集部 6a 小孔
7 円盤部 8 係止部
9 排水口本体 9a 排水口
9b フランジ部 9c 雄ネジ部
9d 第一の段部 9e 第二の段部
9f 凸部 9g 内鍔部
9h 取付部 10 排出口
11 継手部材 12 トラップ部材
12a 封水部 12b 枝管部
12c 防臭筒 13 雌ネジ部
14 ゴミかご 14a 突縁部
B 浴槽 C キャビネット
D ナット部材 F 従来のカバー部材
F1 目隠し部 F2 脚部
F3 溝部 H 取付穴
K カウンター N 流し台
P 洗い場パン R 窪み部
S シンク W ワークトップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25