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特開2023-175668自動車の電動機の効果的な冷却のための冷却システム
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  • 特開-自動車の電動機の効果的な冷却のための冷却システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175668
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】自動車の電動機の効果的な冷却のための冷却システム
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
H02K9/19 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023088127
(22)【出願日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】10 2022 113 563.2
(32)【優先日】2022-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン エクスレン
(72)【発明者】
【氏名】ジーモン キューブラー
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609PP02
5H609PP06
5H609PP09
5H609QQ03
5H609QQ05
5H609RR01
5H609RR51
5H609SS21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自動車の電動機の効果的な冷却を可能にする。
【解決手段】第1の巻線ヘッド領域(22)に冷却された冷却剤を供給するための供給ライン(18)と、第1の巻線ヘッド領域(22)からステータ(32)を通って第2の巻線ヘッド領域(34)まで至る少なくとも1つの冷却ライン(30)と、第1の巻線ヘッド領域(22)からステータ(32)を迂回して第2の巻線ヘッド領域(34)に誘導されるバイパスライン(36)と、を有し、バイパスライン(36)が、空気を収集し、及び/又は排出するために、重力方向の最も高い位置において第1の巻線ヘッド領域(22)から出て、及び/又は重力方向の最も高い位置において第2の巻線ヘッド領域(34)に開口する。冷却能力は、最終的にバイパスライン(36)に混入された気体成分によって増加させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の電動機(12)を冷却するための冷却システム(10)であって、
前記電動機(12)の第1の巻線ヘッド領域(22)に冷却された冷却剤を供給するための供給ライン(18)と、
前記電動機(12)の、前記第1の巻線ヘッド領域(22)から、ステータ(32)を通って、特に前記ステータ(32)のステータ溝を通って、前記電動機(12)の第2の巻線ヘッド領域(34)まで至る少なくとも1つの冷却ライン(30)と、
前記第1の巻線ヘッド領域(22)から、前記ステータ(32)を迂回して前記第2の巻線ヘッド領域(34)に誘導されるバイパスライン(36)と、を有し、
前記バイパスライン(36)が、空気を収集し、及び/又は排出するために、重力方向の最も高い位置において前記第1の巻線ヘッド領域(22)から出て、及び/又は前記重力方向の最も高い位置において前記第2の巻線ヘッド領域(34)に開口する、冷却システム。
【請求項2】
前記第1の巻線ヘッド領域(22)内に導入された前記冷却剤の流れ方向が、前記第1の巻線ヘッド領域(22)内の周方向に流れる環状流を発生させ、及び/又は前記第2の巻線ヘッド領域(34)内に導入された前記冷却剤の流れ方向が、前記第2の巻線ヘッド領域(34)内の周方向に流れる環状流を発生させる、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記冷却剤の全質量流が、前記第1の巻線ヘッド領域(22)及び/又は前記第2の巻線ヘッド領域(34)を通って流れることができる、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記電動機(12)の少なくとも1つの更なる構成要素(28)を冷却するために、前記供給ライン(18)から前記第1の巻線ヘッド領域(22)の上流で前記流れ方向に分岐する分岐ライン(26)が提供され、前記分岐ライン(26)が、前記供給ライン(18)を介して、又は前記供給ライン(18)を迂回して前記第1の巻線ヘッド領域(22)に至る、請求項2に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記分岐ライン(26)に分岐される質量流を調整するために、前記分岐ライン(26)は、アクチュエータ弁(24)を介して前記供給ライン(18)から分岐し、前記アクチュエータ弁(24)が、前記構成要素(28)に対して検出された冷却需要に応じて制御可能である、請求項4に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記第2の巻線ヘッド領域(34)が、膨張タンク(40)を介して、特に、空気を周囲環境に排出するために、前記冷却剤を搬送するためのポンプ(14)を介して、かつ前記冷却剤を冷却するためのラジエータ(16)を介して、前記供給ライン(18)に流体接続される、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記冷却剤が、15℃における0.75kg/lの最大密度、及び/又は40℃における6mm/sの最大粘度、及び/又は80℃における2.3kJ/(kg*K)の最小熱容量、及び/又は80℃における0.12W/(m/K)の最小熱伝導率、及び/又は25℃における1000nS/mの最大導電率を有する誘電液体である、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項8】
電気エネルギーを供給するための、前記電動機(12)と給電導体との電気的接触が、前記第1の巻線ヘッド領域(22)内に構成されている、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記第1の巻線ヘッド領域(22)内及び/又は前記第2の巻線ヘッド領域(34)内の巻線ヘッド、及び/又は前記構成要素(28)の電子部品が、前記冷却剤がそれらの周囲を直接流れることができるように、絶縁されずに露出して位置決めされている、請求項4に記載の冷却システム。
【請求項10】
前記電動機(12)が、前記自動車の純粋な電気駆動のために構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却システムに関し、それを用いて、自動車の電動機を効果的に冷却することができる。
【背景技術】
【0002】
自動車の電動機を冷却するための冷却システムは、米国特許出願公開第2021/0170858号明細書から既知であり、このシステムでは、冷却剤を用いて、電動機のためのパワーエレクトロニクス部品が最初に冷却され、その後、パワーエレクトロニクス部品から来る冷却剤の少なくとも一部を電動機の冷却のために分岐させ、ラジエータ内の冷却剤の冷却のために再回収する。
【0003】
自動車の電動機の冷却をより効果的に行うことが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0170858号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が対処する課題は、自動車の電動機の効果的な冷却を可能にする方策を実証することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題は、請求項1の特徴を有する冷却システムによって、本発明に従って達成される。本発明の好ましい構成は、サブクレーム及び以下の説明に明記されており、各事例において、本発明の態様を個々に又は組み合わせて構成することができる。
【0007】
本発明の一態様は、自動車の電動機を冷却するための冷却システムであって、電動機の第1の巻線ヘッド領域に冷却された冷却剤を供給するための供給ラインと、電動機の、第1の巻線ヘッド領域から、ステータを通って、特にステータのステータ溝を通って、第2の巻線ヘッド領域まで至る少なくとも1つの冷却ラインと、第1の巻線ヘッド領域からステータを迂回して第2の巻線ヘッド領域に誘導されるバイパスラインと、を有し、バイパスラインが、空気を収集し、及び/又は排出するために、重力方向の最も高い位置において第1の巻線ヘッド領域から出て、及び/又は重力方向の最も高い位置において第2の巻線ヘッド領域に開口する、冷却システムに関する。
【0008】
冷却システムは、特に、非導電性の流体、例えば、誘電液体、特に無水プロピレングリコールを冷却剤として使用することにより、通電構成要素の直接冷却に使用することができる。それによって、通電構成要素、特に導電性レールと冷却剤との間の熱抵抗器は、最小化され、高い冷却能力を達成することができる。ここで、冷却すべき構成要素、すなわち、それぞれの巻線ヘッド領域に提供された電動機の巻線ヘッド、ステータ溝に挿入された電動機の巻線及び/又は電動機を動作させるためのパワーエレクトロニクス部品、及び/又は電子機械とパワーエレクトロニクス部品とを電気的に接続するためのバスバーは、冷却剤が流れることができる十分に密閉された容積内に配置することができ、それは、例えば、冷却剤用の通路開口を有するハウジングによって囲まれている。
【0009】
しかしながら、基本的に液体冷却剤中に気体成分が含有され得ることが見出されている。例えば、空気は、膨張タンクから混入される可能性があり、圧力損失のために液体中に溶解されたガスは漏れ出す可能性があり、及び/又は冷却剤は、冷却される構成要素の特に高温接触点において蒸発する可能性がある。液体冷却剤と比較して、気体成分では低い熱放散のみが可能である。最高点において、巻線ヘッド領域に接続されたバイパスラインを通して、巻線ヘッド領域内に存在し、及び/又は発生させられる気体を収集し、排出することが可能である。それによって、第1の巻線ヘッド領域内の巻線ヘッドをフラッシングする冷却剤の気体成分の割合を低減することができ、熱伝達性能を向上させることができる。加えて、ステータスロット内の巻線を冷却する冷却剤の気体成分の割合も低減することができ、ひいては熱伝達性能を向上させることができる。有利なことに、第2の巻線ヘッド領域に存在し、及び/又は発生させられる気体も収集され、排出される。特に好ましくは、第2の巻線ヘッド領域内へのバイパスラインの出口の近傍で、ポンプ及び/又は圧縮機に至るドレインの入口が提供され、それにより、バイパスラインから第2の巻線ヘッド領域内に押し出された気体成分を、場合によっては巻線ヘッド領域に存在する更なる気体成分とともに、ドレインを介して再びできるだけ速やかに除去することができる。この場合、バイパスラインは、第1の巻線ヘッド領域内の気体成分の予想流量が、特にプラグ流として、バイパスラインを通って伝導される冷却剤の一部によってもバイパスラインを通して押し出され得るように寸法設定することができる。それによって、バイパスライン内の気体成分の蓄積を回避することができる。液体冷却剤の一部分はバイパスラインを介して排出され、ステータ内の冷却に関与しないが、冷却能力は、最終的にバイパスラインに混入された気体成分によって増加させることができ、その結果、自動車の電動機の効果的な冷却が可能となる。
【0010】
ステータ溝に通電巻線を導入することができ、これによりロータと協働する電気モータを形成する。巻線は、ステータから軸方向に突出することができ、それぞれ割り当てられた巻線ヘッドを介して別のステータ溝内への更なる巻線に電気的に接続させることができる。異なる相に関連付けられたそれぞれのステータ溝の巻線は、異なる巻線ヘッドを介して互いに接続することができる。特に円弧状及び/又は角状である巻線ヘッドは、ステータの軸方向に対して約180°の偏向と、ステータの周方向の角度オフセットとを形成することができる。第1の軸側にステータから突出する巻線ヘッドは、第1の巻線ヘッド領域内に配置され、ステータから第1の軸側に背を向けた第2の軸側に突出する巻線ヘッドは、第2の巻線ヘッド領域内に配置される。それぞれの巻線ヘッド領域は、ステータの関連する軸側及びステータに取り付けられたハウジングによって囲まれ得る。
【0011】
第1の巻線ヘッド領域及び第2の巻線ヘッド領域は、少なくとも1つの冷却ラインを介して互いに流体接続される。例えば、冷却ラインを通して搬送される冷却剤がステータを冷却し、それによって、ステータスロット内に提供された巻線を少なくとも間接的に冷却することができるように、冷却ラインをステータの材料内に穴及び/又は凹部として形成することができる。冷却ラインの全体が搬送する質量流は、特にバイパスラインが搬送する質量流よりも著しく大きくなる。例えば、冷却ラインの全体が搬送する質量流は、バイパスラインが搬送する質量流よりも少なくとも5倍、特に少なくとも20倍、好ましくは少なくとも100倍大きい。好ましくは、冷却チャネルは、冷却剤によるステータ溝内の巻線の直接冷却を可能にするように、それぞれのステータ溝内の凹部として構成されている。
【0012】
供給ライン及びバイパスラインは、特にパイプとして構成することができ、各々は、冷却剤の漏れを回避するために、各々好適なシールを介して流体密に接続することができる。
【0013】
特に、第1の巻線ヘッド領域内に導入された冷却剤の流れ方向が、第1の巻線ヘッド領域内の周方向に流れる環状流を発生させ、及び/又は第2の巻線ヘッド領域内に導入された冷却剤の流れ方向が、第2の巻線ヘッド領域内に周方向に流れる環状流を発生させることが、提供される。例えば、冷却剤は、少なくとも比例して接線方向を向く流れ方向で、それぞれの巻線ヘッド領域内に導入させることができる。好ましくは、特定の巻線ヘッド領域に入るときの冷却剤の特定の流れ方向は、電動機のロータの回転軸の軸方向よりも接線方向に大きく向いている。これは、それぞれの巻線ヘッド領域内の環状流をもたらし得、これは、巻線ヘッドの特に良好なフラッシング、ひいては高い冷却能力を達成するのに役立ち得る。第1の巻線ヘッド領域内に流れる冷却剤を通して、第1の巻線ヘッド領域内に既にある冷却剤を、少なくとも1つの冷却チャネル内に変位させることができる。
【0014】
好ましくは、冷却剤の全質量流が、第1の巻線ヘッド領域及び/又は第2の巻線ヘッド領域(34)を通って流れることができる。搬送装置、特にポンプ又は圧縮機によって提供される冷却剤の質量流は、第1の巻線ヘッド領域及び第2の巻線ヘッド領域に到達することができる。結果として、冷却剤の全質量流は、熱放散のために巻線ヘッド内で利用可能であり得る。
【0015】
特に好ましくは、供給ラインからの第1の巻線ヘッド領域の上流で流れ方向に分岐する分岐ラインは、電動機及び/又はその一部のパワーエレクトロニクス部品、及び/又は電子機械とパワーエレクトロニクス部品とを電気的に接続するバスバーを冷却するために提供され、分岐ラインは、供給ラインを介して、又は供給ラインを迂回して、第1の巻線ヘッド領域に至る。それによって、冷却剤は、電動機のパワーエレクトロニクス部品、例えば、制御回路及び/又はパルスインバータの冷却にも使用することができる。それによって、パワーエレクトロニクス部品の別個の冷却を省くことができる。巻線ヘッドを冷却するために分岐ラインを介して分岐した冷却剤の質量流が再び利用可能となるように、分岐ラインを介して分岐した冷却剤は、供給ラインの下流に戻されるか、又は第1の巻線ヘッド領域に直接供給される。
【0016】
特に、分岐ラインは、分岐ライン内に分岐した質量流を調整するためにアクチュエータ弁を介して供給ラインを出ることが提供され、アクチュエータ弁は、パワーエレクトロニクス部品及び/又は電子機械とパワーエレクトロニクス部品とを接続するバスバーのうちの少なくとも一部に対する検出された冷却需要に応じて制御可能である。制御弁を用いて、冷却する構成要素の冷却に現在必要なだけの冷却剤を供給ラインから分岐させることが可能である。それによって、不必要な圧力損失を回避することができる。したがって、油圧の損失をできるだけ少なくして、最適な冷却を達成することができる。
【0017】
第2の巻線ヘッド領域は、膨張タンクを介して、特に、空気を周囲環境に排出するために、冷却剤を搬送するためのポンプを介して、かつ冷却剤を冷却するためのラジエータを介して、供給ラインに流体接続される。それによって、冷却剤に対して冷却剤回路を形成することができる。そうすることで、冷却剤回路は、気体成分を周囲環境内に出力することができる。冷却剤回路はまた、冷却剤の気体成分を凝縮及び再利用することによって閉じることができる。冷却剤を冷却するためのラジエータは、特に、自動車の前方ラジエータによって構成され得る。好ましくは、ポンプは、冷却剤を搬送するために、電動機によって電気的に駆動され得る。
【0018】
冷却剤が、15℃で0.75kg/lの最大密度、及び/又は40℃で6mm/sの最大粘度、及び/又は80℃で2.3kJ/(kg*K)の最小熱容量、及び/又は80℃で0.12W/(m/K)の最小熱伝導率、及び/又は25℃で1000nS/mの最大導電率を有する誘電液体であることが特に好ましい。好適な非導電性の液体は、WO95/07323 A1に明記され、その内容は、本明細書によって本発明の一部と称される。これにより、熱伝達を損なわせ得る絶縁を介在させることなく、通電構成要素を直接冷却することが許容される。
【0019】
特に、電気エネルギーを供給するための電動機と給電導体との電気接触は、第1の巻線ヘッド領域内に構成されている。給電導体は、電気エネルギーを、エンジンモード又は発電機モードで動作する電動機と交換するために、第1の巻線ヘッド領域から誘導され得る。給電導体は、典型的には電気絶縁を有する。加えて、関連付けられた巻線ヘッドとの給電導体の接触点において、高度の熱が発生する。冷却剤は、最初に、給電導体が提供された第1の巻線ヘッド領域に供給されるため、冷却剤は、なおも、特に低温で存在することができ、対応する高い熱量を迅速に吸収することができる。ここで、給電導体が提供されない第2の巻線ヘッド領域において、対応する低い熱伝達能力が必要であり、冷却剤の特定の中間加熱が許可され得ると考えることができる。
【0020】
好ましくは、第1の巻線ヘッド領域内及び/又は第2の巻線ヘッド領域内の巻線ヘッド、及び/又はパワーエレクトロニクス電子部品は、冷却剤がそれらの周囲を直接流れることができるように、絶縁されずに露出して位置決めされる。これにより、通電構成要素と冷却剤との間の特に低い熱伝達抵抗が許容される。冷却剤は、短絡を回避するために、特に誘電液体として構成されている。
【0021】
特に好ましくは、電動機は、自動車を純粋な電気駆動のために構成されている。それによって、電動機は、その動作中に高いエネルギーを生成するように設計されており、それに応じて高い冷却需要(冷却要求)に対応する必要がある。冷却システムを用いて冷却能力が向上したため、冷却需要の増大を低い設計コストで提供することができる。特に、冷却システムにより、電動機がスポーツカー又はレースカーであっても純粋に電気的に駆動するように構成され得るように、特に高い冷却能力が許容される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】自動車の電動機のための冷却システムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、好ましい実施形態例に基づいて添付図面を参照して以下に例示的に説明されるが、以下に提示される特徴は、個別でも組み合わせでも本発明の態様を表すことができる。
【0024】
図1に示す冷却システム10は、自動車を電気的に駆動するために提供される電動機12(「走行用駆動装置」)を冷却するために提供され得る。冷却剤、特に誘電性冷却剤は、冷却剤を所望の動作温度に冷却するために、ポンプ14からラジエータ16に供給され得る。ラジエータ16から、冷たい冷却剤は、フィルタ20を通過した後、供給ライン18を介して、電動機12の第1の巻線ヘッド領域22に供給され得る。特に、分岐ライン26を介して冷却剤の質量流の一部分を、電動機12の構成要素28、例えば、パワーエレクトロニクス電子部品に供給するために、供給ライン18内にアクチュエータ弁24がある。そして、必要に応じて構成要素28を冷却する。構成要素28から来る冷却剤は、再び供給ライン18に供給されてもよく、又は別個の端末を介して電動機12の第1の巻線ヘッド領域22に直接供給されてもよい。
【0025】
第1の巻線ヘッド領域22では、環状流が生じ得、それを用いて、第1の巻線ヘッド領域22内に提供される巻線ヘッド及び供給ラインを冷却することができる。ステータ32、特にステータ溝に提供された電動機12の巻線を冷却するために、冷却剤を第1の巻線ヘッド領域22から複数の冷却ライン30に押し込むことができる。冷却ライン30は、電動機12の軸方向に対向する側にある第2の巻線ヘッド領域34内に開口する。第2の巻線ヘッド領域34では、環状流が生じ得、それを用いて、第2の巻線ヘッド領域34内に提供された巻線ヘッドを冷却することができる。
【0026】
巻線ヘッド領域22,34内に液圧によるアンダーカットが生じる可能性があり、及び/又は気体成分が発生し得るので、第1の巻線ヘッド領域22の重力方向の最高位置にバイパスライン36を位置させ、第1の巻線ヘッド領域22に形成された気体成分を収集し、バイパスライン36を通して搬送される液体を用いて、ステータ32を越えて第2の巻線ヘッド領域34内に液体冷却剤を搬送することができる。好ましくは、バイパスライン36は、重力方向の最も高い位置又はそれよりやや下の位置において、第2の巻線ヘッド領域34内に開口する。第2の巻線ヘッド領域34には、ドレイン38が接続されており、ドレイン38は、バイパスライン36から供給された気体成分をできるだけ速やかに排出して膨張タンク40に供給するために、第2の巻線ヘッド領域34内へのバイパスライン36の合流部の近傍に接続されることが特に好ましい。気体成分は、膨張タンク40から周囲環境に出力され、特に吸収体として構成された空気乾燥機42内で乾燥及び/又は凝縮され得る。液体冷却剤は、ポンプ14から膨張タンク40の外に回路内で戻して搬送することができる。
【符号の説明】
【0027】
10 冷却システム
12 電動機
14 ポンプ
16 ラジエータ
18 供給ライン
20 フィルタ
22 第1の巻線ヘッド領域
24 アクチュエータ弁
26 分岐ライン
28 構成要素
30 冷却ライン
32 ステータ
34 第2の巻線ヘッド領域
36 バイパスライン
38 ドレイン
40 膨張タンク
42 空気乾燥機
図1
【外国語明細書】