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特開2023-175688GDC-9545及びCDK4/6阻害剤を含む併用療法を使用した乳がん治療
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175688
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】GDC-9545及びCDK4/6阻害剤を含む併用療法を使用した乳がん治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/437 20060101AFI20231205BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231205BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231205BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20231205BHJP
   A61P 15/14 20060101ALI20231205BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231205BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20231205BHJP
   A61K 38/24 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
A61K31/437
A61K45/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P15/14
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61K31/519
A61K38/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】43
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023132463
(22)【出願日】2023-08-16
(62)【分割の表示】P 2022515505の分割
【原出願日】2021-05-10
(31)【優先権主張番号】63/023,501
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ラウフレ, ジェニファー オハラ
(72)【発明者】
【氏名】ミラン, サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】シュミット, メラニー キャロル
(72)【発明者】
【氏名】グリーン, マージョリー シー.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】局所進行性乳がん又は転移性乳がんを治療する方法を提供する。
【解決手段】GDC-9545とCDK4/6阻害剤とを含む併用療法を患者に投与することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エストロゲン受容体陽性及びHER2陰性の局所進行性乳がん(laBC)又は転移性乳がん(mBC)を、受容体陽性及びHER2陰性のlaBC又はmBCを有する患者において治療する方法であって、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩とCDK4/6阻害剤とを含む併用療法を患者に投与することを含み、前記併用療法が28日サイクルにわたって投与される、方法。
【請求項2】
エストロゲン受容体陽性及びHER2陰性の局所進行性乳がん(laBC)又は転移性乳がん(mBC)を、受容体陽性及びHER2陰性のlaBC又はmBCを有する患者において治療する方法であって、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩とパルボシクリブとを含む併用療法を患者に投与することを含み、前記併用療法が1回以上の28日サイクルにわたって投与される、方法。
【請求項3】
エストロゲン受容体陽性及びHER2陰性の局所進行性乳がん(laBC)又は転移性乳がん(mBC)を、受容体陽性及びHER2陰性のlaBC又はmBCを有する患者において治療する方法であって、
(i)最初の28日サイクルの1-28日目にGDC-9545又はその薬学的に許容される塩QDを投与すること;及び
(ii)最初の28日サイクルの1-21日目にパルボシクリブQDを投与すること
を含む投与レジメンを含む併用療法を患者に投与することを含む、方法。
【請求項4】
CDK4/6阻害剤がパルボシクリブである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
GDC-9545又はその薬学的に許容される塩が、約10mgから約100mgの量で投与される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
GDC-9545又はその薬学的に許容される塩が、約10、30、50、又は100mgの量で投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
GDC-9545又はその薬学的に許容される塩が、約30mgの量で投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
パルボシクリブが約125mgの量で投与される、請求項2から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
投与レジメンが、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、30、36、42、48、54、60、66、又は72回のサイクルを含む、請求項3から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
投与レジメンが、約2-72、2-66、2-60、2-54、2-48、2-42、2-36、2-30、2-24、2-18、又は2-12回のサイクルを含む、請求項3から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
患者が閉経前である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
患者が男性である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
患者が、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)をさらに投与される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
患者が、各サイクルの1日目にLHRHを投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
患者が、エストロゲン受容体、プロスタグランジン受容体、又はKi67のうちの1つ以上の突然変異の存在について試験される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
患者では、対照と比較して、有害事象(AE)が低減している、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
対照が、パルボシクリブと組み合わせて投与されたレトロゾールである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
グレード3以上のAEの回数又は頻度が低減される、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
患者では、対照と比較して、倦怠感、咳、疼痛、関節痛、好中球減少症、徐脈、下痢、便秘、めまい、吐き気、貧血、無力症、血小板減少症、又は掻痒からなる群より選択された1つ以上のAEの重症度が低下している、請求項16から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
患者が、対照と比較して、併用療法の投与後に、同じレベル又は低下したレベルの好中球減少症を有する、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
患者が、対照と比較して、併用療法の投与後に、同じレベル又は低下したレベルの徐脈を有する、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
患者が、対照と比較して、増加した全生存(OS)を有する、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
患者が、対照と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、16、18、20、24ヶ月、又はそれより長い期間の増加を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
併用療法に対する患者の客観的奏効率が、完全寛解(CR)又は部分寛解(PR)を有する患者を対照よりも多くもたらす、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
併用療法に対する奏功期間が、対照と比較して増加する、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
奏功期間が、少なくとも1-3、2-6、3-8、4-10、5-12、6-15、8-20、又は1-24ヶ月増加する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
患者が、対照と比較して、増加した臨床的有用率を有する、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
患者が、対照と比較して、増加した無増悪生存を有する、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
増加が、少なくとも2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、36、42、48、50、54、60、66、又は72ヶ月である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
患者が、(i)疼痛レベル;(ii)疼痛の有無及び干渉度;(iii)身体機能;(iv)役割機能;(v)全体的な健康状態及び生活の質;又は、(vi)それらの組合せにおいて、短縮された悪化までの期間を有する、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
対照が、パルボシクリブ単独、又はレトロゾールと組み合わせて投与されたパルボシクリブである、請求項22から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
患者が閉経後である、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
患者が両側卵巣摘出術を受けている、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
患者が、併用療法の投与前に、事前の化学療法を受けていない、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
患者が、以前にタモキシフェンで治療されている、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
患者が、以前にアロマターゼ阻害剤、又はCDK4/6阻害剤、又はそれらの組合せで治療されている、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
患者が、以前にアロマターゼ阻害剤、又はCDK4/6阻害剤、又はそれらの組合せで治療されていない、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
患者が、併用療法の投与の少なくとも14日前に、外科手術、化学療法、又は放射線療法を受けていない、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
患者が、心疾患又は心機能障害を有していない、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
本明細書に記載されるlaBC又はmBCの治療のためのGDC-9545又はその薬学的に許容される塩とパルボシクリブとを含む併用療法の使用。
【請求項41】
laBC又はmBCの治療用の医薬の製造のためのGDC-9545又はその薬学的に許容される塩とパルボシクリブとを含む併用療法の使用。
【請求項42】
laBC又はmBCを有する患者における腫瘍増殖を阻害する方法であって、1回以上の28日サイクルで、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩とパルボシクリブとを含む併用療法を投与することを含む、方法。
【請求項43】
laBC又はmBCを有する患者において腫瘍退縮を生じさせる又は改善する方法であって、1回以上の28日サイクルで、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩とパルボシクリブとを含む併用療法を投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体がすべての目的のために参照することによって本明細書に組み込まれる、2020年5月12日出願の米国仮特許出願第63/023501号の利益を主張する。
【0002】
乳がんの治療のためのGDC-9545又はその薬学的に許容される塩とCDK4/6阻害剤(例えば、パルボシクリブ)とを含む併用療法が、本明細書に提供される。
【背景技術】
【0003】
ER陽性(ER+)乳がんに対する内分泌療法の有効性にもかかわらず、多くの患者は最終的に再発するか、又は耐性を発現する。このような耐性機構の1つには、エストロゲンの非存在下でER依存性の転写及び増殖を推進するESR1の突然変異が含まれる。
【0004】
したがって、再発性又は耐性のER陽性の乳がんの治療のための臨床的に活性な薬剤ついての差し迫った必要性が存在している。
【発明の概要】
【0005】
上記問題及当技術分野における他の問題に対する解決策が、本明細書に提供される。
【0006】
本実施態様は、非限定的な実施態様を例示することが意図されている詳細な説明及び例を参照することによって、より完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】GDC-9545とパルボシクリブとの併用療法で治療された本明細書に記載される患者の研究に対する時間のプロット。uPR=未確認の部分寛解;cPR=確認された部分寛解
図2】GDC-9545、並びにGDC-9545及びパルボシクリブで治療された患者全体にわたる腫瘍応答を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0008】
特に定義されていない限り、本明細書で用いられるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。例えば、Singleton et al., DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY 2nd ed., J. Wiley & Sons (New York, NY 1994); Sambrook et al., MOLECULAR CLONING, A LABORATORY MANUAL, Cold Springs Harbor Press (Cold Springs Harbor, NY 1989)を参照のこと。本発明の実施においては、本明細書に記載されるものと類似した又は同等の任意の方法、装置、及び材料を使用することができる。
【0009】
以下の定義は、本明細書で頻繁に用いられる特定の用語の理解を容易にするために提供されており、本開示の範囲を限定することを意味するものではない。本明細書で参照されるすべての参考文献は、その全体が参照することによって組み込まれる。
【0010】
本明細書で用いられる場合、特に明記されていない限り、「約」及び「およそ」という用語は、組成物又は剤形の成分の用量、量、又は重量パーセントを指す場合には、指定された用量、量、又は重量パーセントから得られるものと同等の薬理的効果を提供するために、当業者によって認識される用量、量、又は重量パーセントを意味する。等価用量、量、又は重量パーセントは、指定された用量、量、又は重量パーセントの30%、20%、15%、10%、5%、1%、又はそれ未満の範囲内でありうる。
【0011】
「GDC-9545」とは、化学名3-((1R,3R)-1-(2,6-ジフルオロ-4-((1-(3-フルオロプロピル)アゼチジン-3-イル)アミノ)フェニル)-3-メチル-1,3,4,9-テトラヒドロ-2H-ピリド[3,4-b]インドール-2-イル)-2,2-ジフルオロプロパン-1-オールを有する構造:
を有する化合物を指す。GDC-9545は、ジレデストラントとしても知られている。一実施態様では、GDC-9545は酒石酸塩である。
【0012】
「パルボシクリブ」とは、化学名6-アセチル-8-シクロペンチル-5-メチル-2-{[5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル]アミノ}ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オンを有する構造:
を有する化合物を指す。パルボシクリブは、IBRANCE(登録商標)の商品名の下で市販されている。パルボシクリブは、例示的な「CDK4/6阻害剤」-サイクリン依存性キナーゼ4及び6(それぞれ、CDK4及びCDK6)を標的とする薬剤のクラスである。
【0013】
他の例示的なCDK4/6阻害剤には、リボシクリブ(ブタン二酸-7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-{[5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル]アミノ}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド(1/1);KISQALI(登録商標)として市販される);アベマシクリブ、(2-ピリミジンアミン,N-[5-[(4-エチル-1-ピペラジニル)メチル]-2-ピリジニル]-5-フルオロ-4-[4-フルオロ-2-メチル-1-(1-メチルエチル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]、VERZENIO(登録商標)として市販される);及び、トリラクリシブ(2’-((5-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7’,8’-ジヒドロ-6’H-スピロ(シクロヘキサン-1,9’-ピラジノ(1’,2’:1,5)ピロロ(2,3-d)ピリミジン)-6’-オン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0014】
「疼痛レベルにおける悪化までの期間」とは、最初に記録された、ベースライン測定から少なくとも2ポイントの増加までの時間を指す(例えば、簡易疼痛インベントリ-ショートフォーム(BPI-SF)質問票を使用することによる)。
【0015】
「疼痛の有無及び干渉度における悪化までの期間」とは、最初に記録された、ベースライン測定から少なくとも10ポイントの増加までの時間を指す(例えば、欧州がん研究・治療機構の生活の質に関する質問票(EORTC QLQ-C30)の線形変換された疼痛スケールを使用することによる)。
【0016】
「身体機能における悪化までの期間」とは、最初に記録された、ベースライン測定から少なくとも10ポイントの低下までの時間を指す(例えば、EORTC QLQ-C30の線形変換された身体機能スケールスコアを使用することによる)。
【0017】
「役割機能における悪化までの期間」とは、最初に記録された、ベースライン測定から少なくとも10ポイントの低下までの時間を指す(例えば、EORTC QLQ-C30の線形変換された役割機能スケールスコアを使用することによる)。
【0018】
「全体的な健康状態及び生活の質における悪化までの期間」又は「GHS/QoL」とは、最初に記録された、ベースライン測定から少なくとも10ポイントの低下までの時間を指す(例えば、EORTC QLQ-C30の線形変換されたGHS/QoLスケールスコアを使用することによる)。
【0019】
「全生存」又は「OS」とは、登録から何らかの原因で死亡するまでの時間を指す。
【0020】
「客観的奏効率」又は「ORR」とは、RECIST v1.1に従って治験責任医師が決定して、4週間以上離れた2回の連続した機会における、完全寛解又は部分寛解が確認された患者の割合を指す。
【0021】
「無増悪期間」又は「TTP」とは、無作為化から客観的な腫瘍の進行までの時間を指す。
【0022】
「奏功期間」又は「DOR」とは、記録された客観的応答の最初の発生から、RECIST v1.1に従って治験責任医師が決定した疾患の進行、又は何らかの原因による死亡のうち、いずれか早い方の日付までの時間を指す。
【0023】
「無増悪生存」又は「PFS」とは、登録から、RECIST v1.1を使用して治験責任医師が決定した、最初の記録された疾患の進行の発生又は何らかの原因による死亡のうち、いずれか早い方の日付までの時間を指す。
【0024】
「臨床的有用率」又は「CBR」とは、RECIST v1.1に従って治験責任医師が決定して、疾患が少なくとも24週間安定している患者、若しくは完全寛解又は部分寛解が確認された患者の割合を指す。
【0025】
「完全寛解」又は「CR」とは、すべての標的病変及び非標的病変の消失、並びに(該当する場合には)腫瘍マーカーレベルの正常化を指す。
【0026】
「部分寛解」又は「非CR/非PD」とは、1つ以上の非標的病変の持続及び/又は(該当する場合には)正常限界を上回る腫瘍マーカーレベルの維持を指す。PRはまた、CR、新しい病変、及び非標的病変における明白な進行の不存在下での標的病変の直径の合計の30%以上の減少も指す場合がある。
【0027】
「進行性疾患」又は「PD」とは、標的病変の直径の合計の20%以上の増加、非標的病変における明白な進行、及び/又は新しい病変の出現を指す。
【0028】
「安定した疾患」又は「SD」とは、CR又はPRと認定されるのに十分な収縮も、PDと認定されるのに十分な腫瘍の増殖の増加もないことを指す。
【0029】
「局所進行性乳がん」という用語は、乳房で発生した箇所から近くの組織又はリンパ節には拡がっているが、身体の他の部分には拡がっていないがんを指す。
【0030】
「転移性乳がん」という用語は、乳房から骨、肝臓、肺、又は脳などの身体の他の部分に拡がったがんを指す。転移性乳がんは、ステージIVの乳がんと呼ばれることもある。
【0031】
「治療」という用語は、臨床病理学の過程で治療されている患者又は細胞の自然経過を変えるように設計された臨床的介入を指す。治療の望ましい効果としては、疾患進行速度の低減、疾患状態の回復又は緩和、及び予後の寛解又は改善が挙げられる。例えば、患者は、癌性細胞の増殖の低減(又は破壊)、疾患に起因する症状の軽減、疾患に罹患している者の生活の質の向上、疾患の治療に必要な他の薬剤の用量の低減、及び/又は患者の生存期間の延長を含むが、これらに限定されない、本明細書に記載される乳がんに関連する1つ以上の症状が軽減又は排除された場合、「治療」に成功する。
【0032】
疾患の「進行の遅延」という用語は、本明細書に記載される乳がんの発症を先延ばしにする、妨げる、遅延させる、遅らせる、安定化する、及び/又は延期することを指す。この遅延は、治療されているがん及び/又は患者の病歴に応じて、さまざまな時間長でありうる。当業者には明らかなように、十分な又は有意な遅延は、患者ががんを発症しないという点で予防を事実上包含しうる。
【0033】
「有効量」とは、本明細書に記載される乳がんの測定可能な改善又は予防の達成に必要とされる少なくとも最小の量である。本明細書における有効量は、患者の疾患状態、年齢、性別、及び体重、並びに患者における所望の応答を誘発する薬剤の能力などの要因に応じて異なりうる。有効量はまた、治療上有益な効果が治療の任意の毒性又は有害な効果を上回る量である。有益な又は望ましい結果には、リスクを排除又は軽減すること、重症度を軽減すること、疾患(疾患の生化学的、組織学的、及び/又は行動的症状、その合併症、及び疾患の発症中に現れる中間の病理学的表現型を含む)の発症を遅らせること、疾患に起因する1つ以上の症状を軽減すること、疾患に罹患している者の生活の質を高めること、疾患を治療するために必要とされる他の薬剤の用量を低減すること、標的化することなどによって別の薬剤の効果を強化すること、疾患の進行を遅らせること、及び/又は生存を延長することなどの結果が含まれる。幾つかの実施態様では、有効量の薬物は、がん細胞の数を減少させ、腫瘍サイズを低減させ、がん細胞の末梢器官への浸潤を阻害し(すなわち、遅らせるか、又は停止し)、腫瘍転移を阻害し(すなわち、遅らせるか、又は停止し)、腫瘍増殖を阻害し(すなわち、遅らせるか、又は停止し)、及び/又は障害に関連する症状のうちの1つ以上を軽減する効果を有しうる。有効量は、1回以上の投与で投与することができる。本明細書に記載される薬物、化合物、薬学的組成物、又は併用療法の有効量は、直接的又は間接的のいずれかで治療的処置を達成するのに十分な量でありうる。臨床的文脈で理解されるように、薬物、化合物、又は薬学的組成物の有効量は、別の薬物、化合物、又は薬学的組成物、又は併用療法と組み合わせて達成されてもされなくてもよい。したがって、「有効量」は、1つ以上の治療剤を投与する文脈で考慮されてよく、1つ以上の他の薬剤と組み合わせて、望ましい結果を達成することができるか、又は達成される場合には、単一の薬剤が有効量で与えられるとみなすことができる。
【0034】
本明細書で用いられる「E2抑制スコア」とは、その抑制がエストロゲン受容体(ER)経路活性を反映している所定の遺伝子セットの総発現レベルを反映した数値を指す。
【0035】
本明細書で用いられる「E2誘導スコア」とは、その誘導がエストロゲン受容体(ER)経路活性を反映している所定の遺伝子セットの総発現レベルを反映した数値を指す。
【0036】
本明細書で用いられる場合、「ER経路活性スコア」とは、E2誘導スコアとE2抑制スコアとの間の数学的差異を反映する数値を指す。
【0037】
「投与期間」又は「サイクル」とは、本明細書に記載される1つ以上の薬剤(すなわち、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩又はパルボシクリブ)の投与を含む期間、及び本明細書に記載される1つ以上の薬剤の投与を含まない任意の期間を指す。例えば、サイクルは、全長28日間とすることができ、21日間の1つ以上の薬剤の投与、及び7日間の休止期間を含む。「休止期間」とは、本明細書に記載される薬剤(例えば、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩又はパルボシクリブ)のうちの少なくとも1つが投与されない期間を指す。一実施態様では、休止期間とは、本明細書に記載される薬剤(例えば、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩又はパルボシクリブ)のいずれも投与されない期間を指す。本明細書で提供される休止期間は、場合によっては、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩又はパルボシクリブではない別の薬剤の投与を含んでいてもよい。このような場合、休止期間中の別の薬剤の投与は、本明細書に記載される薬剤の投与の妨害になったり、不利益を与えたりすべきではない。
【0038】
「投与レジメン」とは、1回以上のサイクルを含む、本明細書に記載される薬剤の投与期間を指し、各サイクルは、本明細書に記載される薬剤の投与を異なる時間又は異なる量で含むことができる。
【0039】
「QD」とは、1日1回の化合物の投与を指す。
【0040】
「PO」とは、本明細書に記載される薬剤の経口投与を指す。
【0041】
段階的有害事象とは、NCI CTCAEによって確立された重症度の段階的尺度を指す。一実施態様では、有害事象は、以下の表に従って段階化される。
【0042】
併用療法
GDC-9545又はその薬学的に許容される塩(例えば、GDC-9545酒石酸塩)とCDK4/6阻害剤とを含む併用療法が、本明細書に提供される。一実施態様では、併用療法は、本明細書に記載される、ある特定のタイプの乳がんの治療に有用である。例えば、一実施態様では、本明細書に記載される併用療法は、エストロゲン受容体陽性(ER+)、ヒト上皮成長因子受容体2陰性(HER2-)の乳がんの治療に使用することができる。別の実施態様では、本明細書に記載される併用療法は、ER+、HER2-局所進行性乳がん(laBC)、又はER+、HER2-転移性乳がん(mBC)の治療に使用することができる。1つのこのような実施態様では、本明細書に記載される併用療法は、ER+、HER2-laBCの治療に使用することができる。1つのこのような実施態様では、本明細書に記載される併用療法は、ER+、HER2-mBCの治療に使用することができる。
【0043】
別の態様では、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩(例えば、GDC-9545酒石酸塩)とパルボシクリブとを含む併用療法が、本明細書に提供される。本明細書で用いられる場合、「パルボシクリブ」とは、パルボシクリブの遊離塩基及び任意の薬学的に許容される塩を指す。
【0044】
本明細書に記載される併用療法は、投与のための1つ以上の薬剤を含むキットとして提供することができる。一実施態様では、キットは、本明細書に記載されるパルボシクリブと組み合わせて投与するためのGDC-9545又はその薬学的に許容される塩を含む。別の実施態様では、キットは、パルボシクリブと一緒に包装されたGDC-9545又はその薬学的に許容される塩を含み、該キットは、各薬剤の別々の処方された投薬量を含む。さらに別の実施態様では、キットは、パルボシクリブと共製剤化されたGDC-9545又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0045】
治療方法
ER+、HER2-laBC又はmBCを、このようながんを有する患者において治療する方法が、本明細書に提供される。一実施態様では、該方法は、28日サイクルにわたって本明細書に記載される併用療法を患者に投与することによって、ER+、HER2-laBC又はmBCを、このようながんを有する患者において治療することを含む。
【0046】
ER+、HER2-laBC又はmBCを、このようながんを有する患者において治療する方法が、本明細書にさらに提供され、ここで、該方法は、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩とパルボシクリブとを含む併用療法を患者に投与することを含み、前記併用療法は、1回以上の28日サイクルにわたって投与される。
【0047】
ER+、HER2-laBC又はmBCを、このようながんを有する患者において治療する方法が、本明細書にさらになお提供され、ここで、該方法は、(i)最初の28日サイクルの1-28日目にGDC-9545又はその薬学的に許容される塩QDを投与すること;及び、(ii)最初の28日サイクルの1-21日目にパルボシクリブQDを投与すること、を含む投与レジメンを含む本明細書に記載される併用療法を患者に投与することを含む。
【0048】
一実施態様では、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩は、一定用量又はQD投与として投与される。一実施態様では、投与は経口(PO)であり、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩は、錠剤又はカプセルとして処方される。一実施態様では、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩は、約1mg-100mg、1mg-50mg、1mg-30mg、10mg-100mg、10mg-50mg、又は10mg-30mgQDの量で投与される。別の実施態様では、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩は、約1、5、10、15、20、25、30、50、又は100mgの量で投与される。さらに別の実施態様では、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩は、約10、30、50、又は100mgの量で投与される。さらに別の実施態様では、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩は、約30mgの量で投与される。
【0049】
一実施態様では、パルボシクリブは、添付文書に従って投与される。好ましい実施態様では、パルボシクリブは、125mgの量で投与される。
【0050】
ER+、HER2-laBC又はmBCを、このようながんを有する患者において治療する方法が、本明細書にさらになお提供され、ここで、該方法は、(i)最初の28日サイクルの1-28日目に30mgのGDC-9545又はその薬学的に許容される塩QDを投与すること;及び、(ii)最初の28日サイクルの1-21日目に125mgのパルボシクリブQDを投与すること、を含む投与レジメンを含む本明細書に記載される併用療法を患者に投与することを含む。1つのこのような実施態様では、投与レジメンは、本明細書に記載されるサイクルを2回以上含む。
【0051】
本明細書に提供される乳がんを治療する方法は、投与レジメンの一部として、本明細書に記載される併用療法の投与を含むことができる。一実施態様では、投与レジメンは1回以上のサイクルを含む。別の実施態様では、投与レジメンは少なくとも2回のサイクルを含む。別の態様では、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、30、36、42、48、54、60、66、又は72回のサイクルを含む投与レジメンが、本明細書に提供される。さらに別の実施態様では、投与レジメンは、約2-72、2-66、2-60、2-54、2-48、2-42、2-36、2-30、2-24、2-18、又は2-12回のサイクルを含む。一実施態様では、投与レジメンは、所望の応答(例えば、PFS、OS、ORR、DOR、CBR)が所望の転帰に達するまでの(例えば、本明細書に記載される対照と比較して、PFS、OS、ORR、DOR、CBRが増加)、本明細書に記載される併用療法の任意の回数のサイクルでの投与を含む。別の実施態様では、投与レジメンは、毒性が発現するか、又は患者が他の方法でさらなる投与を妨げる1つ以上の有害事象(AE)を経験するまでの、任意の回数のサイクルでの本明細書に記載される併用療法の投与を含む。さらに別の実施態様では、投与レジメンは、疾患が進行するまでの任意の回数のサイクルでの本明細書に記載される併用療法の投与を含む。
【0052】
一実施態様では、患者は閉経後の女性である。1つのこのような実施態様では、患者は、(i)60歳以上である;(ii)60歳未満であり、かつ、経口避妊薬、ホルモン補充療法、又はゴナドトロピン放出ホルモンのアゴニスト又はアンタゴニストの不存在下で、12ヶ月以上の無月経に加えて、卵胞刺激ホルモン(FSH)及び血漿エストラジオールレベルが、地域の研究機関による評価で閉経後の範囲内にある;若しくは、(iii)両側卵巣摘出術が記録されている。
【0053】
別の実施態様では、患者は、閉経前又は閉経周辺期の(すなわち、閉経後ではない)女性である。1つのこのような実施態様では、患者は、LHRHアゴニストと、本明細書に記載される併用療法とを組み合わせて治療される。LHRHアゴニスト療法は、サイクル1の1日目の28日前に開始することができる。一実施態様では、LHRHアゴニストは、各サイクルの1日目に投与される。
【0054】
別の実施態様では、患者は男性である。1つのこのような実施態様では、患者は、LHRHアゴニストと、本明細書に記載される併用療法とを組み合わせて治療される。
【0055】
一実施態様では、本明細書に記載される患者は、エストロゲン受容体、プロスタグランジン受容体、又はKi67の存在について試験されている。一実施態様では、本明細書に記載される患者は、アメリカ臨床腫瘍学会/米国病理学会のガイドラインに従って、記録されたER陽性腫瘍を有する。1つのこのような実施態様では、本明細書に記載される患者は、記録されたHER2陰性腫瘍を有する。一実施態様では、本明細書に記載される患者は、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、エキセメスタン、又はレトロゾール)、若しくはCDK4/6阻害剤(例えば、パルボシクリブ)、若しくはそれらの組合せによる事前治療を受けている。1つのこのような実施態様では、患者は、アロマターゼ阻害剤又はCDK4/6阻害剤によるこのような治療を完了している間に、又は完了の12ヶ月以内に疾患の再発がなかった)。
【0056】
一実施態様では、本明細書に記載される患者は治療を受けていない。別の実施態様では、本明細書に記載される患者は、併用療法の投与前に、事前の化学療法を受けていない。別の実施態様では、本明細書に記載される患者は、アロマターゼ阻害剤、又はCDK4/6阻害剤、又はそれらの組合せで以前に治療されていない。1つのこのような実施態様では、CDK4/6阻害剤はパルボシクリブである。別のこのような実施態様では、アロマターゼ阻害剤は、アナストロゾール、エキセメスタン、又はレトロゾールである。一実施態様では、本明細書に記載される患者は、レトロゾール又はパルボシクリブのいずれかで以前に治療されていない。さらに別の実施態様では、本明細書に記載される患者は、本明細書に記載される併用療法の投与の少なくとも14日前に、外科手術、化学療法、又は放射線療法を受けていない。さらに別の実施態様では、本明細書に記載される患者は、SERD(例えば、フルベストラント)で、又はタモキシフェンで以前に治療されていない。別の実施態様では、タモキシフェンによる治療の最初の24か月以内に患者が疾患の再発を示さなかったことを条件に、患者は、以前にタモキシフェンで治療されていてもよい。
【0057】
本明細書に記載される方法の一実施態様では、患者は、本明細書に記載される併用療法の投与前に、1つ以上のがん療法で治療されている。本明細書に記載される方法の一実施態様では、患者は、1つ以上のがん療法に耐性のある、本明細書に記載される乳がんを有する。本明細書に記載される方法の一実施態様では、がん療法に対する耐性は、がんの再発又は難治性のがんを含む。再発とは、治療後の元の部位又は新しい部位における癌の再発を指しうる。本明細書に記載される方法の一実施態様では、がん療法に対する耐性は、抗がん療法による治療中のがんの進行を含む。本明細書に記載される方法の幾つかの実施態様では、がん療法に対する耐性は、治療に応答しないがんを含む。がんは、治療開始時に耐性である場合も、治療中に耐性になる場合もある。本明細書に記載される方法の幾つかの実施態様では、がんは、初期段階にあるか、又は後期段階にある。
【0058】
全身化学療法は、mBCを有する患者の標準治療(SOC)の1つと見なされているが、標準的なレジメン又はシーケンスは存在しない。本明細書に記載される方法の一実施態様では、本明細書に記載される患者は、本明細書に記載される併用療法の投与の前に、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン、エベロリムス、パルボシクリブ及びレトロゾール、フルベストラント、タモキシフェン、トレミフェン、酢酸メゲストロール、フルオキセメステロン(fluoxemesterone)、エチニルエストラジオール、ドキソルビシン、ペグ化リポソームドキソルビシン、エピルビシン、シクロホスファミド、ドセタキセル、パクリタキセル、アルブミン結合パクリタキセル、メトトレキサート、5-フルオロウラシル(5-FU)、メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)、カルボプラチン、シスプラチン、カペシタビン、ゲムシタビン、ビノレルビン、エリブリン、イキサベピロン、トラスツズマブ、及びペルツズマブ、又はそれらの組合せからなる群より選択された1つ以上の療法で以前に治療されている。
【0059】
本明細書に記載される方法の一実施態様では、本明細書に記載される患者は、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン、エベロリムス、パルボシクリブ及びレトロゾール、フルベストラント、タモキシフェン、トレミフェン、酢酸メゲストロール、フルオキセメステロン(fluoxemesterone)、エチニルエストラジオール、ドキソルビシン、ペグ化リポソームドキソルビシン、エピルビシン、シクロホスファミド、ドセタキセル、パクリタキセル、アルブミン結合パクリタキセル、メトトレキサート、5-フルオロウラシル(5-FU)、メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)、カルボプラチン、シスプラチン、カペシタビン、ゲムシタビン、ビノレルビン、エリブリン、イキサベピロン、トラスツズマブ、及びペルツズマブ、又はそれらの組合せからなる群より選択された単一の薬剤療法の1つ以上に耐性のある、本明細書に記載されるlaBC又はmBCを有しうる。
【0060】
本明細書に記載される方法の一実施態様では、本明細書に記載される患者は、本明細書に記載される併用療法の投与前に、例えば、乳房温存手術(すなわち、辺縁を伴った原発腫瘍の除去に焦点を合わせた乳腺腫瘤摘出術)、又はより広範囲の手術(すなわち、すべての乳房組織の完全な除去を目的とする乳房切除術)などの外科的治療を受けていてもよい。別の実施態様では、本明細書に記載される患者は、本明細書に記載される併用療法による治療後に、外科的治療を受ける場合がある。
【0061】
放射線療法は、術後に残存している顕微レベルのがん細胞を殺滅する目的で、乳房/胸壁及び/又は所属リンパ節に術後にも投与される。乳房温存手術の場合、放射線は、残存している乳房組織、及び時には所属リンパ節(腋窩リンパ節を含む)に投与される。乳房切除術の場合、局所再発の危険性がより高いと予測する因子が存在する場合、放射線がさらになお投与されうる。本明細書に提供される方法の幾つかの実施態様では、本明細書に記載される患者は、本明細書に記載される併用療法の投与前に放射線療法を受けていてもよい。本明細書に提供される方法の他の実施態様では、本明細書に記載される患者は、本明細書に記載される併用療法の後に、放射線療法を受けていてもよい。
【0062】
幾つかの実施態様では、本明細書に記載される患者は、本明細書に記載される併用療法の投与前の5年以内に他の悪性腫瘍の病歴を有していない。幾つかの実施態様では、本明細書に記載される患者は、活動性の炎症性腸疾患、慢性下痢、短腸症候群を有していないか、又は胃切除を含めた主要な上部胃腸手術を受けていない。幾つかの実施態様では、本明細書に記載される患者は、心疾患又は心機能障害を有していない。
【0063】
一実施態様では、本明細書に提供される方法による併用療法を用いた治療は、対照(例えば、非治療、標準治療(SOC)処置、又はパルボシクリブとレトロゾールとの組合せ)と比較して、患者のOSを増加させる。一実施態様では、本明細書に提供される方法による併用療法を用いた治療は、対照(例えば、非治療、標準治療(SOC)処置、又はパルボシクリブとレトロゾールとの組合せ)と比較して、患者のOSを、対照と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、16、18、20、24ヶ月、又はそれより長い期間増加させる。
【0064】
一実施態様では、本明細書に提供される方法による併用療法を用いた治療は、患者のORRの量を増加させる。1つのこのような実施態様では、本明細書に提供される方法による併用療法を用いた治療は、完全寛解(CR)又は部分寛解(PR)を有する患者を対照よりも多くもたらす。別の実施態様では、TTPは、本明細書に提供される方法による併用療法を用いた治療後の患者において増加する。さらに別の実施態様では、併用療法に対する奏功期間は、対照(例えば、非治療、標準治療(SOC)処置、又はパルボシクリブとレトロゾールとの組合せ)と比較して増加する。1つのこのような実施態様では、奏功期間は、少なくとも1-3、2-6、3-8、4-10、5-12、6-15、8-20、又は1-24ヶ月増加する。さらに別の実施態様では、本明細書に記載される患者は、対照(例えば、非治療、標準治療(SOC)処置、又はパルボシクリブとレトロゾールとの組合せ)と比較して、増加した臨床的有用率を有する。さらに別の実施態様では、患者は、対照(例えば、非治療、標準治療(SOC)処置、又はパルボシクリブとレトロゾールとの組合せ)と比較して、増加した無増悪生存を有する。
【0065】
本明細書に提供される一実施態様では、患者は、本明細書に提供される方法による併用療法を用いた治療後に、CRを有すると診断される。本明細書に提供される一実施態様では、患者は、本明細書に提供される方法による併用療法を用いた治療後に、PRを有すると診断される。本明細書に提供される一実施態様では、患者は、本明細書に提供される方法による併用療法を用いた治療後に、SDを有すると診断される。
【0066】
本明細書に記載されるlaBC又はmBCの治療のための、本明細書に記載されるGDC-9545又はその薬学的に許容される塩とパルボシクリブとを含む本明細書に記載される併用療法の使用が、本明細書にさらに提供される。
【0067】
本明細書に記載されるmBCの治療のための、本明細書に記載されるGDC-9545又はその薬学的に許容される塩とパルボシクリブとを含む本明細書に記載される併用療法の使用が、本明細書にさらに提供される。本明細書に記載されるlaBCの治療のための、本明細書に記載されるGDC-9545又はその薬学的に許容される塩とパルボシクリブとを含む本明細書に記載される併用療法の使用が、本明細書にさらになお提供される。
【0068】
本明細書に記載されるlaBC又はmBCの治療用の医薬の製造のための、本明細書に記載されるGDC-9545又はその薬学的に許容される塩とパルボシクリブとを含む本明細書に記載される併用療法の使用が、本明細書にさらに提供される。本明細書に記載されるmBCの治療用の医薬の製造のための、本明細書に記載されるGDC-9545又はその薬学的に許容される塩とパルボシクリブとを含む本明細書に記載される併用療法の使用が、本明細書にさらになお提供される。本明細書に記載されるlaBCの治療用の医薬の製造のための、本明細書に記載されるGDC-9545又はその薬学的に許容される塩とパルボシクリブとを含む本明細書に記載される併用療法の使用が、本明細書にさらに提供される。
【0069】
本明細書に記載される併用療法を投与することによる、本明細書に記載される患者における、腫瘍増殖を阻害する方法又は腫瘍退縮を生じる方法もまた、本明細書に提供される。一実施態様では、本明細書に記載される1回以上の28日サイクルで、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩とパルボシクリブとを投与することを含む併用療法を投与することによって、本明細書に記載されるlaBCを有する患者における腫瘍増殖を阻害する方法が、本明細書に提供される。一実施態様では、本明細書に記載される1回以上の28日サイクルで、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩とパルボシクリブとを投与することを含む併用療法を投与することによって、本明細書に記載されるmBCを有する患者における腫瘍増殖を阻害する方法が、本明細書に提供される。
【0070】
一実施態様では、本明細書に記載される1回以上の28日サイクルで、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩とパルボシクリブとを投与することを含む併用療法を投与することによって、本明細書に記載されるmBCを有する患者において腫瘍退縮を生じさせる又は改善する方法が、本明細書に提供される。一実施態様では、本明細書に記載される1回以上の28日サイクルで、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩とパルボシクリブとを投与することを含む併用療法を投与することによって、本明細書に記載されるlaBCを有する患者において腫瘍退縮を生じさせる又は改善する方法が、本明細書に提供される。
【0071】
併用治療の開発は、例えば、許容可能な毒性を維持しつつ有効性の改善につながりうる併用療法のための薬剤の選択を含めて、課題を有している。1つの特定の課題は、併用の漸進的な毒性を識別する必要性である。本明細書に記載される方法の一実施態様では、本明細書に記載される併用療法(例えば、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩及びパルボシクリブ)は、時差投与スケジュールを含む投与レジメンで投与される。1つのこのような実施態様では、患者は、対照(例えば、SOC療法又はパルボシクリブ及びレトロゾール)と比較して、低下した有害事象(AE)の回数又はグレードを有する。
【0072】
本明細書に記載される方法の一実施態様では、投与レジメンは、パルボシクリブ及びレトロゾールの投与と比較して、グレード2又はグレード3若しくはそれより高いグレードの有害事象の回数又は頻度を低下させる。1つのこのような実施態様では、投与レジメンは、グレード3以上のAEの回数又は頻度を排除する。
【0073】
本明細書に記載される方法の別の実施態様では、投与は、いずれかの薬剤単独での投与と比較して、グレード2又はグレード3若しくはそれより高いグレードの有害事象の回数又は頻度を低下させる。
【0074】
有害事象が発生した場合、次の4つの選択肢が存在すると一般的に理解されている:(1)任意選択的な併用療法を用いてそのまま治療を継続;(2)投与レジメンにおける1つ以上の薬剤の用量を調整;(3)投与レジメンにおける1つ以上の薬剤の投与を一時中断;又は、(4)投与レジメンにおける1つ以上の薬剤の投与を中止。
【0075】
本明細書に記載される方法の一実施態様では、本明細書に記載される患者は、倦怠感、咳、疼痛、関節痛、好中球減少症、徐脈、下痢、便秘、めまい、吐き気、貧血、無力症、血小板減少症、又は掻痒を含む1つ以上の有害事象を経験する。1つのこのような実施態様では、本明細書に記載される患者は、1つ以上のこのようなAEと同じレベル又は低下したレベル/重症度を有する。別の実施態様では、本明細書に記載される患者は、1つ以上のこのようなAEより低下した重症度を有する。一実施態様では、本明細書に記載される患者は、対照と比較して、低下した、好中球減少症、下痢、又は徐脈の重症度を有する。1つのこのような実施態様では、対照は、(i)どちらかの薬剤単独;(ii)パルボシクリブ及びレトロゾール;又は、(iii)SOC療法である。
【0076】
一実施態様では、本明細書に記載される患者は、対照と比較して、併用療法の投与後に、同じレベル又は低下したレベルの好中球減少症を有する。1つのこのような実施態様では、対照は、パルボシクリブ単独;GDC-9545又はその薬学的に許容される塩単独;パルボシクリブ及びレトロゾール;若しくは、SOC療法である。別の実施態様では、対照は、パルボシクリブ単独、又はパルボシクリブ及びレトロゾールである。さらに別の実施態様では、本明細書に記載される患者は、対照と比較して、併用療法の投与後に、同じレベル又は低下したレベルの徐脈を有する。別の実施態様では、対照は、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩単独、若しくは、パルボシクリブ及びレトロゾールである。
【0077】
一実施態様では、本明細書に記載される併用療法を用いた治療を受けている本明細書に記載される患者が経験する(一又は複数の)有害事象は、本明細書に記載されるように、比較的減少する。
【0078】
本明細書に記載される方法の一実施態様では、本明細書に記載される患者は、下痢を含む有害事象を経験する。本明細書に記載される方法の一実施態様では、治療された全患者の75%未満、60%未満、50%未満、40%未満、33%未満、25%未満、20%未満、12%未満、又は5%未満が、本明細書に記載される併用療法を用いた治療に由来する好中球減少症、下痢、又は徐脈のうちの1つ以上を経験する。本明細書に記載される方法の一実施態様では、治療された全患者の85%未満、75%未満、60%未満、50%未満、40%未満、33%未満、25%未満、20%未満、17%未満、10%未満、又は5%未満が、本明細書に記載される併用療法を用いた治療に由来する、本明細書に記載される下痢を経験する。本明細書に記載される方法の一実施態様では、治療された全患者の60%未満、50%未満、45%未満、33%未満、25%未満、10%未満、又は5%未満が、本明細書に記載される併用療法を用いた治療に由来する好中球減少症を経験する。本明細書に記載される方法の一実施態様では、治療された全患者の75%未満、60%未満、50%未満、40%未満、33%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、又は8%未満が、本明細書に記載される併用療法を用いた治療に由来する、本明細書に記載される徐脈を経験する。患者が本明細書に記載される併用療法を用いた治療に由来する好中球減少症、下痢、及び徐脈からなる群より選択される1つ以上のAEを経験する幾つかの実施態様では、重症度はグレード2以下である。一実施態様では、本明細書に記載される患者は、本明細書に記載される併用療法を用いた治療に由来する好中球減少症、下痢、及び徐脈からなる群より選択された1つ以上のAEを経験しない(AEの重症度はグレード2より高い)。
【0079】
バイオマーカー
乳がんは、分子シグネチャーと多種多様な突然変異プロファイルとによって定義される多くの異なるサブタイプを有する異質性疾患である。本明細書に記載される患者は、診断方法を使用して、若しくは本明細書に記載される併用療法に対する患者の応答の治療又は予測を通知するためのキットを使用して、ER+ HER2-laBC又はmBCについて試験することができる。一実施態様では、患者は、米国特許出願公開第2020/0082944号に記載されるものなど、ER経路活性スコアを決定することによって試験することができる。幾つかの実施態様では、患者試料を採取し、試験して、ER経路活性スコアを決定する。スコアは、E2誘導スコア(AGR3、AMZ1、AREG、C5AR2、CELSR2、CT62、FKBP4、FMN1、GREB1、IGFBP4、NOS1AP、NXPH3、OLFM1、PGR、PPM1J、RAPGEFL1、RBM24、RERG、RET、SGK3、SLC9A3R1、TFF1、及びZNF703に記載されている遺伝子の平均zスコア発現から決定される)からE2抑制スコア(BAMBI、BCAS1、CCNG2、DDIT4、EGLN3、FAM171B、GRM4、IL1R1、LIPH、NBEA、PNPLA7、PSCA、SEMA3E、SSPO、STON1、TGFB3、TP53INP1、及びTP53INP2を含む遺伝子の平均zスコア発現から決定される)を差し引くことによって、41遺伝子シグネチャーを使用して計算することができる。
【0080】
一実施態様では、ER経路活性スコアを決定するために用いられる患者に由来する試料は、腫瘍組織試料(例えば、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)した、新鮮凍結(FF)した、保存した、新鮮な、又は凍結した腫瘍組織試料)である。
【0081】
場合によっては、本明細書に記載される患者は、測定されたER経路活性スコアが、約-1.0から約-0.2の間(例えば約-0.9から約-0.2の間、例えば約-0.8から約-0.2の間、例えば約-0.7から約-0.2の間、例えば約-0.6から約-0.2の間、例えば約-0.5から約-0.2の間、例えば約-0.4から約-0.2の間、又は例えば約-0.3から約-0.2の間)である、本明細書に記載される併用療法を投与される。場合によっては、試料からのER活性スコアは、-1.0未満でありうる。
【0082】
幾つかの実施態様では、研究治療の安全性及び有効性と相関している可能性のある要因を特定するために、本明細書に記載される患者の試料を、追加のバイオマーカーについて評価することができる。
【0083】
本明細書に記載される方法の一実施態様では、NGS、全ゲノム配列決定(WGS)、他の方法、又はそれらの組合せを、本明細書に記載される患者に由来する血液試料及び腫瘍組織から得られたDNAに使用することができる。このような試料を分析して、治験薬への反応を予測する、より重篤な疾患状態への進行に関連する、治験薬に対する獲得耐性に関連する、又は疾患生物学の知識及び理解を高めることができる、生殖系列(例えば、BRCA1/2)及び体細胞の変化を特定することができる。
【0084】
実施態様:
以下に、本発明の例示的な実施態様を提供する。
【0085】
実施態様1.エストロゲン受容体陽性及びHER2陰性の局所進行性乳がん(laBC)又は転移性乳がん(mBC)を、受容体陽性及びHER2陰性のlaBC又はmBCを有する患者において治療する方法であって、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩とCDK4/6阻害剤とを含む併用療法を患者に投与することを含み、前記併用療法が28日サイクルにわたって投与される、方法。
【0086】
実施形態2.エストロゲン受容体陽性及びHER2陰性の局所進行性乳がん(laBC)又は転移性乳がん(mBC)を、受容体陽性及びHER2陰性のlaBC又はmBCを有する患者において治療する方法であって、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩とパルボシクリブとを含む併用療法を患者に投与することを含み、前記併用療法が1回以上の28日サイクルにわたって投与される、方法。
【0087】
実施態様3.エストロゲン受容体陽性及びHER2陰性の局所進行性乳がん(laBC)又は転移性乳がん(mBC)を、受容体陽性及びHER2陰性のlaBC又はmBCを有する患者において治療する方法であって、
(i)最初の28日サイクルの1-28日目にGDC-9545又はその薬学的に許容される塩QDを投与すること;及び
(ii)最初の28日サイクルの1-21日目にパルボシクリブQDを投与すること
を含む投与レジメンを含む併用療法を患者に投与することを含む、方法。
【0088】
実施態様4.CDK4/6阻害剤がパルボシクリブである、実施態様1に記載の方法。
【0089】
実施態様5.GDC-9545又はその薬学的に許容される塩が、約10mgから約100mgの量で投与される、実施態様1から4のいずれかに記載の方法。
【0090】
実施態様6.GDC-9545又はその薬学的に許容される塩が、約10、30、50、又は100mgの量で投与される、実施態様5に記載の方法。
【0091】
実施態様7.GDC-9545又はその薬学的に許容される塩が、約30mgの量で投与される、実施態様5に記載の方法。
【0092】
実施態様8.パルボシクリブが約125mgの量で投与される、実施態様2から7のいずれかに記載の方法。
【0093】
実施態様9.投与レジメンが、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、30、36、42、48、54、60、66、又は72回のサイクルを含む、実施態様3から8のいずれかに記載の方法。
【0094】
実施態様10.投与レジメンが、約2-72、2-66、2-60、2-54、2-48、2-42、2-36、2-30、2-24、2-18、又は2-12回のサイクルを含む、実施態様3から8のいずれかに記載の方法。
【0095】
実施態様11.患者が閉経前である、実施態様1から8のいずれかに記載の方法。
【0096】
実施態様12.患者が男性である、実施態様1から8のいずれかに記載の方法。
【0097】
実施態様13.患者が、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)をさらに投与される、実施態様11又は12に記載の方法。
【0098】
実施態様14.患者が、各サイクルの1日目にLHRHを投与される、実施態様13に記載の方法。
【0099】
実施態様15.患者が、エストロゲン受容体、プロスタグランジン受容体、又はKi67のうちの1つ以上の突然変異の存在について試験される、実施態様1から14のいずれかに記載の方法。
【0100】
実施態様16.患者では、対照と比較して、有害事象(AE)が低減している、実施態様1から15のいずれかに記載の方法。
【0101】
実施態様17.対照が、パルボシクリブと組み合わせて投与されたレトロゾールである、実施態様16に記載の方法。
【0102】
実施態様18.グレード3以上のAEの回数又は頻度が低減される、実施態様16又は17に記載の方法。
【0103】
実施態様19.患者では、対照と比較して、倦怠感、咳、疼痛、関節痛、好中球減少症、徐脈、下痢、便秘、めまい、吐き気、貧血、無力症、血小板減少症、又は掻痒からなる群より選択された1つ以上のAEの重症度が低下している、実施態様16から18のいずれかに記載の方法。
【0104】
実施態様20.患者が、対照と比較して、併用療法の投与後に、同じレベル又は低下したレベルの好中球減少症を有する、実施態様1から19のいずれかに記載の方法。
【0105】
実施態様21.患者が、対照と比較して、併用療法の投与後に、同じレベル又は低下したレベルの徐脈を有する、実施態様1から20のいずれかに記載の方法。
【0106】
実施態様22.患者が、対照と比較して、増加した全生存(OS)を有する、実施態様1から21のいずれかに記載の方法。
【0107】
実施態様23.患者が、対照と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、16、18、20、24ヶ月、又はそれより長い期間の増加を有する、実施態様22に記載の方法。
【0108】
実施態様24.併用療法に対する患者の客観的奏効率が、完全寛解(CR)又は部分寛解(PR)を有する患者を対照と比較して多くもたらす、実施態様1から23のいずれかに記載の方法。
【0109】
実施態様25.併用療法に対する奏功期間が、対照と比較して増加する、実施態様1から24のいずれかに記載の方法。
【0110】
実施態様26.奏功期間が、少なくとも1-3、2-6、3-8、4-10、5-12、6-15、8-20、又は1-24ヶ月増加する、実施態様25に記載の方法。
【0111】
実施態様27.患者が、対照と比較して、増加した臨床的有用率を有する、実施態様1から26のいずれかに記載の方法。
【0112】
実施態様28.患者が、対照と比較して、増加した無増悪生存を有する、実施態様1から27のいずれかに記載の方法。
【0113】
実施態様29.増加が、少なくとも2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、36、42、48、50、54、60、66、又は72ヶ月である、実施態様28に記載の方法。
【0114】
実施態様30.患者が、(i)疼痛レベル;(ii)疼痛の有無及び干渉度;(iii)身体機能;(iv)役割機能;(v)全体的な健康状態及び生活の質;又は、(vi)それらの組合せにおいて、短縮された悪化までの期間を有する、実施態様1から29のいずれかに記載の方法。
【0115】
実施態様31.対照が、パルボシクリブ単独、又はレトロゾールと組み合わせて投与されたパルボシクリブである、実施態様22から30のいずれかに記載の方法。
【0116】
実施態様32.患者が閉経後である、実施態様1から31のいずれかに記載の方法。
【0117】
実施態様33.患者が両側卵巣摘出術を受けている、実施態様32に記載の方法。
【0118】
実施態様34.患者が、併用療法の投与前に、事前の化学療法を受けていない、実施態様1から33のいずれかに記載の方法。
【0119】
実施態様35.患者が、以前にタモキシフェンで治療されている、実施態様1から33のいずれかに記載の方法。
【0120】
実施態様36.患者が、以前にアロマターゼ阻害剤、又はCDK4/6阻害剤、又はそれらの組合せで治療されている、実施態様1から33のいずれかに記載の方法。
【0121】
実施態様37.患者が、以前にアロマターゼ阻害剤、又はCDK4/6阻害剤、又はそれらの組合せで治療されていない、実施態様1から33のいずれかに記載の方法。
【0122】
実施態様38.患者が、併用療法の投与の少なくとも14日前に、外科手術、化学療法、又は放射線療法を受けていない、実施態様1から33のいずれかに記載の方法。
【0123】
実施態様39.患者が、心疾患又は心機能障害を有していない、実施態様1から33のいずれかに記載の方法。
【0124】
実施態様40.本明細書に記載されるlaBC又はmBCの治療のためのGDC-9545又はその薬学的に許容される塩とパルボシクリブとを含む併用療法の使用。
【0125】
実施態様41.laBC又はmBCの治療用の医薬の製造のためのGDC-9545又はその薬学的に許容される塩とパルボシクリブとを含む併用療法の使用。
【0126】
実施態様42.laBC又はmBCを有する患者における腫瘍増殖を阻害する方法であって、1回以上の28日サイクルで、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩とパルボシクリブとを含む併用療法を投与することを含む、方法。
【0127】
実施態様43.laBC又はmBCを有する患者において腫瘍退縮を生じさせる又は改善する方法であって、1回以上の28日サイクルで、GDC-9545又はその薬学的に許容される塩とパルボシクリブとを含む併用療法を投与することを含む、方法。
【0128】
次の実施例は、限定ではなく、例示として提示されている。
【実施例0129】
患者:適格な患者は、ER+(HER2-)転移性乳がんを有しており、24か月以上の補助内分泌療法で、及び/又は不治の、局所的に進行した、又は転移性環境での内分泌療法で治療されており、かつ療法から臨床的利益を得ている間に(すなわち、少なくとも6ヶ月間の腫瘍反応又は安定した疾患)再発又は進行した、進行性又は転移性環境での2回以下の事前の療法を伴っていた。パルボシクリブを受けている患者では、CDK4/6iによる事前治療は許容されなかった。
【0130】
安全性。治療によって発現したAE(TEAE)が、それぞれ、コホートA及びBで治療された患者の78%及び96%で報告されている。コホートAでは、患者の58%がGDC-9545に関連するAEを有していた;これらは、倦怠感、トランスアミナーゼの増加、及び下痢の3つのグレード3の事象を除き、概してグレード1-2であった。AEが原因で研究治療を中止した患者はいなかった。コホートBでは、患者の58%がGDC-9545に関連するAEを有していた;AEは、69歳の女性で報告されたT波反転を伴うグレード3のQT延長のSAE1件を除き、グレード1又は2の重症度であった。この患者は、441ミリ秒のベースラインQTcFを有しており、サイクル6の1日目の訪問では、無症候性ながら、彼女のQTcFは506ミリ秒であった。この症例は、既存の冠状動脈疾患(冠状動脈の30-50%の狭窄)、右脚ブロック、及び同時期のプレガバリンの使用の可能性にについての患者の病歴によって混乱した。QT延長に対応して、パルボシクリブ及びGDC-9545による治療を中止し、それにより、QT延長は発症後約16日で解消した。
【0131】
徐脈のAEが、コホートAの患者3人(8%)及びコホートBの15人(31%)で報告された;グレード2のめまいも経験した1人の患者(コホートB)のグレード2の徐脈を除き、全員がグレード1かつ無症候性であった。ECGデータは、コホートAとBで同様の心拍数の変化を示し、パルボシクリブの追加による心拍数のさらなる変化はなかった。心拍数(HR)の変化は、治療が完了するとベースラインに戻った。両方のコホートの平均最大HR変化は、ベースラインHRが60bpm以上の場合は19及び20ビート/分(bpm)であり、ベースラインHRが60bpm未満の場合はコホートA及びBでそれぞれ13bpmであった。
【0132】
薬物動態。パルボシクリブと組み合わせたGDC-9545の曝露は、概して、単剤GDC-9545で観察された曝露と同等であった。パルボシクリブPKは、GDC-9545を与えた場合でも変化せず、報告された値と一致していた。
【0133】
薬理的効果。ER(10/12、83%)、PR(7/8、88%)、及びKi67(9/12、75%)のタンパク質レベルの低下、並びにER経路シグネチャースコア(8/12、67%)(Guan et al, Cell, 2019)が、評価可能な対になった治療前及び治療中の生検で観察された(n=12)。
【0134】
ctDNA ESR1突然変異対立遺伝子頻度のベースラインからの減少が、両方のコホートの全患者で観察された(n=26)。
【0135】
臨床活動。コホートAでは、22/40の患者(55%)が、CR、PR、又は進行性疾患の最初の発生が24週間以降に観察された患者として定義される臨床的利益を導き出した。ベースラインで測定可能な疾患を有していた患者の4/31(13%)で部分寛解が観察された。コホートBでは、35/48(81%)の患者が臨床的利益を有しており、14/45(33%)がPRを有していた。両方のコホートで、フルベストラント治療歴のある患者[コホートA及びBでそれぞれ、2/7(29%)及び2/3(67%)]及び登録時に検出可能なESR1突然変異を有していた患者[8/13(62%)及び11/11(100%)]で、臨床的利益が観察された。
【0136】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、「含む(comprise、comprises、及びcomprising)」という語句は、文脈上別段の必要がある場合を除き、非排他的な意味で用いられる。本明細書に記載される実施態様は、「からなる」及び/又は「から本質的になる」実施態様を含むことが理解される。
【0137】
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別のことを指示しない限り、範囲の上限及び下限と、その記載された範囲内の任意の他の記載された値又は介在する値との間の、下限の単位の10分の1までの各介在値が、本明細書に包含されるものと理解されたい。より小さい範囲(rangers)に独立して含めることができるこれらの小さい範囲の上限及び下限もまた、記載された範囲における具体的に除かれる限界値を条件として、本明細書に包含される。記載された範囲に限界値の一方又は両方が含まれる場合、それらの含まれる限界値のいずれか又は両方を除く範囲もまた、本明細書に含まれる。
【0138】
前述の説明及び関連する図面に提示された教示の利益を有する、これらの発明が関係する当業者には、本明細書に記載される発明の多くの修正及び他の実施態様が思い浮かぶであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施態様に限定されるべきではなく、修正及び他の実施態様は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されているものと理解されたい。本明細書では特定の用語が用いられているが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ用いられているのであって、限定の目的ではない。
図1
図2
【外国語明細書】