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特開2023-1757ノズルヘッド、ノズルヘッドの製造方法および液滴吐出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001757
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】ノズルヘッド、ノズルヘッドの製造方法および液滴吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20221226BHJP
   B41J 2/16 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
B41J2/14 501
B41J2/16 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102675
(22)【出願日】2021-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】506159976
【氏名又は名称】株式会社SIJテクノロジ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】村田 和広
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF22
2C057AF93
2C057AG02
2C057AG04
2C057AG11
2C057AP38
2C057AQ06
2C057BA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】吐出均一性の高いマルチノズルおよび当該マルチノズルを有する液滴吐出装置を提供すること
【解決手段】ノズルヘッドは、板状に設けられたプレート部と、前記プレート部に設けられ、静電吐出方式で液滴を吐出する複数の液滴吐出ノズルを含む液滴吐出ノズル部と、前記プレート部に設けられるとともに前記液滴吐出ノズル部の周辺に設けられ、複数の擬似ノズルを含む擬似ノズル部と、を含む。上記ノズルヘッドにおいて、前記複数の液滴吐出ノズルは、第1方向に並んで設けられ、前記擬似ノズル部は、前記液滴吐出ノズル部の両側に設けられてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有するプレート部と、
前記プレート部の貫通孔に対応して設けられ、静電吐出方式で液滴を吐出する複数の液滴吐出ノズルを含む液滴吐出ノズル部と、
前記プレート部のうち前記液滴吐出ノズル部の周辺に設けられ、先端部が閉塞されている複数の擬似ノズルを含む擬似ノズル部と、を含む、
ノズルヘッド。
【請求項2】
前記複数の液滴吐出ノズルは、第1方向に並んで設けられ、
前記擬似ノズル部は、前記液滴吐出ノズル部のうち前記第1方向における両側に設けられる、
請求項1に記載のノズルヘッド。
【請求項3】
前記複数の擬似ノズルは最も外側に配置された擬似ノズルから前記第1方向に向かって1mm以上5mm以下の範囲の全体にわたって設けられる、
請求項2に記載のノズルヘッド。
【請求項4】
前記擬似ノズル部は、前記液滴吐出ノズル部の前記第1方向における両側に5個以上の擬似ノズルを含む、
請求項2に記載のノズルヘッド。
【請求項5】
隣接する前記液滴吐出ノズルの間の第1距離は、隣接する前記擬似ノズルの間の第2距離と同じである、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のノズルヘッド。
【請求項6】
前記複数の液滴吐出ノズルは、第1方向および前記第1方向に交差する方向に第2方向に並んで設けられ、
前記擬似ノズル部は、前記液滴吐出ノズル部を囲むように設けられる、
請求項1に記載のノズルヘッド。
【請求項7】
前記擬似ノズルは、前記複数の液滴吐出ノズルのうち外側に設けられた液滴吐出ノズルの各々に対応するように前記第1方向における両側および前記第2方向における両側に並んで設けられ、
前記第1方向における片側および前記第2方向における片側に設けられる一列ごとの前記擬似ノズルの数は、2個以上30個以下である、
請求項6に記載のノズルヘッド。
【請求項8】
前記擬似ノズルは、枠形状を有する、
請求項6に記載のノズルヘッド。
【請求項9】
前記プレート部から前記擬似ノズルの先端部までの第1高さは、前記プレート部から前記液滴吐出ノズルの先端部までの第2高さよりも低い、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のノズルヘッド。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のノズルヘッドを含む、
液滴吐出装置。
【請求項11】
第1面、および前記第1面の反対側に第2面を有し、前記第1面側に複数の第1凹部を有する第1凹部群、および前記第1凹部群の周囲に設けられ複数の第2凹部を有する第2凹部群を含む母型を用意し、
前記第1凹部において先端部が開口された複数の第1構造体を形成し、前記第2凹部において先端部が閉塞された複数の第2構造体を形成し、および前記第1面において平面状の第3構造体を形成し、
前記複数の第1構造体および前記複数の第2構造体を遮蔽するようにレジストマスクを形成し、
前記第3構造体上に第4構造体を形成し、
前記レジストマスクを除去し、前記第1構造体、前記第2構造体、前記第3構造体および前記第4構造体を前記母型から離型することにより、前記第1構造体から液滴吐出ノズルを形成し、前記第2構造体から擬似ノズルを形成し、前記第3構造体および前記第4構造体からプレート部を形成する、
ノズルヘッドの製造方法。
【請求項12】
前記第1凹部の底部には絶縁層が露出される、
請求項11に記載のノズルヘッドの製造方法。
【請求項13】
前記複数の液滴吐出ノズルは、第1方向に並んで形成され、
前記複数の擬似ノズルは、前記液滴吐出ノズルに対して前記第1方向における両側に形成される、
請求項12に記載のノズルヘッドの製造方法。
【請求項14】
前記複数の擬似ノズルは最も外側に配置された擬似ノズルから前記第1方向に向かって1mm以上5mm以下の範囲の全体にわたって形成される、
請求項13に記載のノズルヘッドの製造方法。
【請求項15】
前記擬似ノズルは、前記液滴吐出ノズルの両側に5個以上形成される、
請求項13に記載のノズルヘッドの製造方法。
【請求項16】
隣接する前記液滴吐出ノズルの間の第1距離は、隣接する前記擬似ノズルの間の第2距離と同じである、
請求項12乃至15のいずれか一項に記載のノズルヘッドの製造方法。
【請求項17】
前記複数の液滴吐出ノズルは、第1方向および前記第1方向に交差する方向に第2方向に並んで形成され、
前記擬似ノズルは、前記液滴吐出ノズルを囲むように形成される、
請求項12に記載のノズルヘッドの製造方法。
【請求項18】
前記擬似ノズルは、前記複数の液滴吐出ノズルのうち外側に形成された液滴吐出ノズルの各々に対応するように前記第1方向における両側および前記第2方向における両側に並んで形成され、
前記第1方向における片側および前記第2方向における片側に形成される一列ごとの前記擬似ノズルの数は、2個以上30個以下である、
請求項17に記載のノズルヘッドの製造方法。
【請求項19】
前記擬似ノズルは、枠形状を有するように形成される、
請求項17に記載のノズルヘッドの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルヘッド、ノズルヘッドの製造方法および液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット印刷技術の工業用プロセスへの応用が行われている。例えば、液晶ディスプレー用のカラーフィルター製造工程などはその一例である。インクジェット印刷技術として、従来は機械的圧力や振動により液滴を吐出する、いわゆるピエゾ型ヘッドが多く使用されてきていたが、より微細な液滴を吐出できる静電吐出型インクジェットヘッドが注目されている。特許文献1には、静電吐出型インクジェット記録装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-34967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近では、静電吐出型インクジェットヘッド用として、生産性向上の観点から、マルチノズルの開発が進められている。しかしながら、マルチノズルの場合、各ノズル径が不均一になるおそれがある。各ノズルの径が不均一の場合、対象物に対して均一に液滴を吐出することができない。結果として、均一な像を形成することが難しい。
【0005】
そこで、本発明は、吐出均一性の高いマルチノズルおよび当該マルチノズルを有する液滴吐出装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、貫通孔を有するプレート部と、前記プレート部の貫通孔に対応して設けられ、静電吐出方式で液滴を吐出する複数の液滴吐出ノズルを含む液滴吐出ノズル部と、前記プレート部のうち前記液滴吐出ノズル部の周辺に設けられ、先端部が閉塞されている複数の擬似ノズルを含む擬似ノズル部と、を含む、ノズルヘッドが提供される。
【0007】
上記ノズルヘッドにおいて、前記複数の液滴吐出ノズルは、第1方向に並んで設けられ、前記擬似ノズル部は、前記液滴吐出ノズル部のうち前記第1方向における両側に設けられてもよい。
【0008】
上記ノズルヘッドにおいて、前記複数の擬似ノズルは、最も外側に配置された擬似ノズルから前記第1方向に向かって1mm以上5mm以下の範囲の全体にわたって設けられてもよい。
【0009】
上記ノズルヘッドにおいて、前記擬似ノズル部は、前記液滴吐出ノズル部の前記第1方向における両側に5個以上の擬似ノズルを含んでもよい。
【0010】
上記ノズルヘッドにおいて、隣接する前記液滴吐出ノズルの間の第1距離は、隣接する前記擬似ノズルの間の第2距離と同じであってもよい。
【0011】
上記ノズルヘッドにおいて、前記複数の液滴吐出ノズルは、第1方向および前記第1方向に交差する方向に第2方向に並んで設けられ、前記擬似ノズル部は、前記液滴吐出ノズル部を囲むように設けられてもよい。
【0012】
上記ノズルヘッドにおいて、前記擬似ノズルは、前記複数の液滴吐出ノズルのうち外側に設けられた液滴吐出ノズルの各々に対応するように前記第1方向における両側および前記第2方向における両側に並んで設けられ、前記第1方向における片側および前記第2方向における片側に設けられる一列ごとの前記擬似ノズルの数は、2個以上30個以下であってもよい。
【0013】
上記ノズルヘッドにおいて、前記擬似ノズルは、枠形状を有してもよい。
【0014】
上記ノズルヘッドにおいて、前記プレート部から前記擬似ノズルの先端部までの第1高さは、前記プレート部から前記液滴吐出ノズルの先端部までの第2高さよりも低くてもよい。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、上記ノズルヘッドを含む液滴吐出装置が提供される。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、第1面、および前記第1面の反対側に第2面を有し、前記第1面側に複数の第1凹部を有する第1凹部群、および前記第1凹部群の周囲に設けられ複数の第2凹部を有する第2凹部群を含む母型を用意し、前記第1凹部において先端部が開口された複数の第1構造体を形成し、前記第2凹部において先端部が閉塞された複数の第2構造体を形成し、および前記第1面において平面状の第3構造体を形成し、前記複数の第1構造体および前記複数の第2構造体を遮蔽するようにレジストマスクを形成し、前記第3構造体上に第4構造体を形成し、前記レジストマスクを除去し、前記第1構造体、前記第2構造体、前記第3構造体および前記第4構造体を前記母型から離型することにより、前記第1構造体から液滴吐出ノズルを形成し、前記第2構造体から擬似ノズルを形成し、前記第3構造体および前記第4構造体からプレート部を形成する、ノズルヘッドの製造方法が提供される。
【0017】
上記ノズルヘッドにおいて、前記第1凹部の底部には絶縁層が露出されてもよい。
【0018】
上記ノズルヘッドにおいて、前記複数の液滴吐出ノズルは、第1方向に並んで形成され、前記複数の擬似ノズルは、前記液滴吐出ノズルに対して前記第1方向における両側に形成されてもよい。
【0019】
上記ノズルヘッドにおいて、前記複数の擬似ノズルは最も外側に配置された擬似ノズルから前記第1方向に向かって1mm以上5mm以下の範囲の全体にわたって形成されてもよい。
【0020】
上記ノズルヘッドにおいて、前記擬似ノズルは、前記液滴吐出ノズルの両側に5個以上形成されてもよい。
【0021】
上記ノズルヘッドにおいて、隣接する前記液滴吐出ノズルの間の第1距離は、隣接する前記擬似ノズルの間の第2距離と同じであってもよい。
【0022】
上記ノズルヘッドにおいて、前記複数の液滴吐出ノズルは、第1方向および前記第1方向に交差する方向に第2方向に並んで形成され、前記擬似ノズルは、前記液滴吐出ノズルを囲むように形成されてもよい。
【0023】
上記ノズルヘッドにおいて、前記擬似ノズルは、前記複数の液滴吐出ノズルのうち外側に形成された液滴吐出ノズルの各々に対応するように前記第1方向における両側および前記第2方向における両側に並んで形成され、前記第1方向における片側および前記第2方向における片側に形成される一列ごとの前記擬似ノズルの数は、2個以上30個以下であってもよい。
【0024】
上記ノズルヘッドにおいて、前記擬似ノズルは、枠形状を有するように形成されてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一実施形態を用いることにより、吐出均一性の高いマルチノズルおよび当該マルチノズルを有する液滴吐出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る液滴吐出装置の概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係るノズルヘッドの平面図および断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るノズルヘッドの平面図の拡大図である。
図4】本発明の一実施形態に係る液滴吐出ノズルの斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る液滴吐出ノズルの上面図および断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る擬似ノズルの斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る擬似ノズルの上面図および断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係るノズルヘッドの製造フロー図である。
図9】本発明の一実施形態に係るノズルヘッドの製造フロー図である。
図10】本発明の一実施形態に係るノズルヘッドの平面図および断面図である。
図11】本発明の一実施形態に係るノズルヘッドの平面図および断面図である。
図12】本発明の一実施形態に係る擬似ノズルの上面図および断面図である。
図13】本発明の一実施形態に係る擬似ノズルの上面図および断面図である。
図14】本発明の一実施形態を用いて製造されたノズルヘッドにおける液滴吐出ノズルの電子顕微鏡写真である。
図15】実施例1のノズルヘッドを用いて吐出された液滴の光学顕微鏡写真である。
図16】実施例1のノズルヘッドを用いて吐出された液滴の大きさを示すグラフである。
図17】比較例のノズルヘッドを用いて吐出された液滴の光学顕微鏡写真である。
図18】比較例のノズルヘッドを用いて吐出された液滴の大きさを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本出願で開示される発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0028】
なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、B、または-1,-2等を付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
【0029】
さらに、本発明の詳細な説明において、ある構成物と他の構成物の位置関係を規定する際、「上に」「下に」とは、ある構成物の直上あるいは直下に位置する場合のみでなく、特に断りの無い限りは、間にさらに他の構成物を介在する場合を含むものとする。
【0030】
<第1実施形態>
(1-1.液滴吐出装置100の構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る液滴吐出装置100の概略図である。
【0031】
液滴吐出装置100は、制御部110、記憶部115、電源部120、駆動部130、液滴吐出部140、および対象物保持部160を含む。
【0032】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programable Gate Array)、またはその他の演算処理回路を含む。制御部110は、あらかじめ設定された液滴吐出用プログラムを用いて、液滴吐出部140の吐出処理を制御する。
【0033】
記憶部115は、液滴吐出用プログラム、および液滴吐出用プログラムで用いられる各種情報を記憶するデータベースとしての機能を有する。記憶部115には、メモリ、SSD、または記憶可能な素子が用いられる。
【0034】
電源部120は、制御部110、駆動部130、液滴吐出部140と接続される。電源部120は、制御部110から入力される信号をもとに、液滴吐出部140に電圧を印加する。この例では、電源部120は、液滴吐出部140に対してパルス状の電圧(この例では、1000V)を印加する。なお、パルス電圧に限定されず、一定の電圧が常時印加されてもよい。ノズルヘッド150に対して電源部120から印加された電圧によりインクタンク145に保持された液体がノズルヘッド150のうち後述する液滴吐出ノズル153の先端部153a(図2(B)参照)から液滴として対象物200の方向(第3方向D3)に吐出される。
【0035】
駆動部130は、モータ、ベルト、ギアなどの駆動部材により構成される。駆動部130は、制御部110からの指示に基づき、対象物保持部160に対して液滴吐出部140(より具体的には、後述するノズルヘッド150)を相対的に一つの方向(この例では、第2方向D2)に移動させる。なお、駆動部130は、液滴吐出部140を固定して対象物を移動させてもよい。また、駆動部130は、ゴニオステージと組み合わせて用いられ、ノズルヘッド150の位置が微調整されてもよい。
【0036】
液滴吐出部140は、インクタンク145およびノズルヘッド150を含む。ノズルヘッド150には、静電吐出型のインクジェットノズルが用いられる。ノズルヘッド150の詳細については、後述する。ノズルヘッド150は、マウントおよびアタッチメント(図示せず)に固定されて用いられる。マウントおよびアタッチメントは、液滴吐出ノズル153に対応する部分にインクタンク145から供給されたインクを一時的に貯蔵する溝(長孔)を有してもよい。
【0037】
対象物保持部160は、対象物200を保持する機能を有する。対象物保持部160は、この例ではステージが用いられる。対象物保持部160が対象物200を保持する機構は特に制限されず、一般的な保持機構が用いられる。この例では、対象物200は、対象物保持部160に真空吸着している。なお、これに限定されず、対象物保持部160は固定具を用いて対象物200を保持してもよい。
【0038】
(1-2.ノズルヘッド150の構成)
以下に、ノズルヘッド150の構成について詳細に説明する。図2(A)は、ノズルヘッド150の平面図である。図2(B)は、ノズルヘッド150のC1-C2間の断面図である。図3は、ノズルヘッド150の平面図の拡大図である。図4は、液滴吐出ノズル153の斜視図である。図5(A)は、液滴吐出ノズル153の上面図である。図5(B)は、液滴吐出ノズル153におけるA1-A2間の断面図である。図6は、擬似ノズル155の斜視図である。図7(A)は、擬似ノズル155の上面図である。図7(B)は、擬似ノズル155におけるB1-B2間の断面図である。
【0039】
図2(A)および図2(B)に示すように、ノズルヘッド150は、プレート部151、液滴吐出ノズル部152、および擬似ノズル部154を含む。
【0040】
プレート部151は、板状に設けられる。プレート部151は、第1方向D1に延びる。プレート部151には、ステンレスなどの金属材料が用いられる。プレート部151の厚さは、適宜設定される。この例では、プレート部の厚さは10μm以上100μm以下である。
【0041】
図4図5(A)および図5(B)に示すように、液滴吐出ノズル部152は、プレート部151の一面側に設けられる。液滴吐出ノズル部152は、複数の液滴吐出ノズル153を含む。液滴吐出ノズル153は、第1方向D1に並んで配置される。本実施形態では、液滴吐出ノズル153-1、153-2、・・・、153-(N-1)、153-Nがプレート部151に設けられる。Nは、20以上の自然数である。この例では、N=21である。なお、液滴吐出ノズル153-1、153-2、・・・、153-(N-1)、153-Nを分けて説明する必要がない場合には、液滴吐出ノズル153として説明する。液滴吐出ノズル153には、ニッケルなどの金属材料が用いられる。液滴吐出ノズル153は、先細る形状を有する。
【0042】
プレート部151は、液滴吐出ノズル153と対応する部分(重畳する部分)に液滴吐出ノズル153の吐出口(液滴吐出ノズル153の先端部153aの開孔部153ao)の内径r153aよりも大きい内径r151oを有する貫通孔151oを有する。プレート部151の貫通孔の内径は、1μm以上100μm以下であってもよい。液滴吐出ノズル153の先端部153aの内径は、数百nm以上50μm以下、好ましくは1μm以上30μm以下、より好ましくは5μm以上20μm以下であってもよい。本実施形態において、液滴吐出ノズル153に電圧を印加してもよいし、プレート部151(またはインクタンク145)に電圧を印加してもよいし、インクに電圧を印加してもよい。プレート部151、液滴吐出ノズル153に電圧を印加する場合、電極が設けられてもよい。電極には、タングステン、ニッケル、モリブデン、チタン、金、銀、銅、白金などが設けられてもよい。このとき、プレート部151の全体に均一に電圧が印加されるように、複数の電極が設けられてもよい。また、本実施形態では、液滴吐出ノズル153、プレート部151またはインクに対して電圧を印加する例を示したが、ノズルヘッド150を保持する治具(例えば、マウントまたはアタッチメント)に電圧が印加されてよい。
【0043】
図2に示すように、擬似ノズル部154は、プレート部151のうち液滴吐出ノズル部152と同じ面に設けられる。擬似ノズル部154は、複数の擬似ノズル155を含む。擬似ノズル部154は、液滴吐出ノズル部152の周辺に設けられる。この例では、擬似ノズル部154は、液滴吐出ノズル部152の第1方向D1における両側に設けられる。また、複数の擬似ノズル155は、最も外側に配置された擬似ノズル155(擬似ノズル155-1)から所定の領域に配置されてもよい。周辺部における電界強度の観点から、複数の擬似ノズル155は最も外側に配置された擬似ノズル155から第1方向D1に向かって1mm以上5mm以下(好ましくは2mm)の範囲の全体にわたって設けられてもよい。このとき、液滴吐出ノズル部152の第1方向D1における片側に設けられる擬似ノズル155の数は、液滴吐出ノズル153の数に対して1/5以上であってもよい。例えば、液滴吐出ノズル部152の第1方向D1における片側に設けられる擬似ノズル155の数は、5個以上50個以下、好ましくは10個以上30個以下であってもよい。本実施形態の場合、21個の液滴吐出ノズル153を含む液滴吐出ノズル部152の左側に5個の擬似ノズル155(擬似ノズル155-L1~155-L5)を含む左擬似ノズル155Lが設けられる。同様に、液滴吐出ノズル部152の右側に5つの擬似ノズル155(擬似ノズル155-R1~155-R5)を含む右擬似ノズル155Rが設けられる。なお、擬似ノズル155-L1~155-L5のように分けて説明する必要がない場合には、擬似ノズル155として説明する。
【0044】
図3に示すように、隣接する液滴吐出ノズル間の距離(液滴吐出ノズル153-1と液滴吐出ノズル153-2との間の距離)D1、隣接する液滴吐出ノズル153と擬似ノズル155との間の距離(液滴吐出ノズル153-1と擬似ノズル155-L5との間の距離)D2、および隣接する擬似ノズル155間の距離(擬似ノズル155-L4と擬似ノズル155-L5との間の距離)D3は、それぞれ同じである。この例では、各ノズル間の距離D1,D2,D3は、200μmである。
【0045】
図6および図7(B)に示すように、擬似ノズル155の先端部155aは、開口部を有さず、閉塞されている。そのため、擬似ノズル155は液滴を吐出しない。擬似ノズル155には、液滴吐出ノズル153と同様の材料が用いられる。擬似ノズル155は、液滴吐出ノズル153と同様の形状を有してもよい。このとき、擬似ノズル155の高さH155(第1高さともいう。具体的には、プレート部151の上面151aから擬似ノズル155の先端部155aまでの高さ)は、液滴吐出ノズル153の高さH153(第2高さともいう。具体的には、プレート部151の上面151aから液滴吐出ノズル153の先端部153aまでの高さ)と同じであってもよい。
【0046】
ここで、複数のノズルを含むノズルヘッドを用いて静電吐出方式により液滴を吐出する場合、プレートの中央に比べてプレートの周辺領域において電場が大きくなる場合がある。本実施形態のノズルヘッド150の場合、液滴吐出ノズル部152の周りに擬似ノズル部154が配置される。つまり、電場が大きくなる領域に複数の擬似ノズル155が配置されることになる。複数の擬似ノズル155は先端部が閉塞されているため、液滴が吐出されることはない。一方、液滴吐出ノズル153が配置された領域の電場は均一になる。これにより、それぞれの液滴吐出ノズル153から吐出される液滴のサイズを均一にすることができる。
【0047】
(1-3.ノズルヘッド150の製造方法)
ノズルヘッド150の製造方法について図面を用いて説明する。図8(A)~(D),図9(A)~(C)は、ノズルヘッドの製造フローを示す断面図である。
【0048】
まず、図8(B)に示すように、液滴吐出ノズル153および擬似ノズル155を形成するための母型2000を用意する。本実施形態において、凹型の母型2000は、第1面2000A、および第1面2000Aの反対側に第2面2000Bを有する。母型2000は、第1母型2001および第2母型2005を含む。また、第1面2000A側には、液滴吐出ノズルを形成するための複数の第1凹部2007を有する第1凹部群2006、および前記第1凹部群2006の周囲に設けられ擬似ノズルを形成するための複数の第2凹部2009を有する第2凹部群2008が設けられる。
【0049】
母型2000は、成膜処理、フォトリソグラフィ処理、エッチング処理を行うことにより形成される。具体的には、プレート状に設けられた第1母型2001を用意する。第1母型2001は、金属基材であってもよいし、絶縁基材または半導体基材の上面に導電膜を形成されたものであってもよい。図8(A)に示すように、第1母型2001の上面のうち液滴吐出ノズル153が形成される部分に絶縁層2003が形成される。次に、図8(B)に示すように、第1母型2001上に金属材料からなる第2母型2005が形成される。第2母型2005は、金属層を成膜したのちフォトリソグラフィ法およびエッチング法などにより加工して形成されてもよい。このとき、第1凹部2007の底部には、第1母型2001が露出される。第2凹部2009の底部には、絶縁層2003が露出される。
【0050】
なお、上記において、液滴吐出ノズル153が形成される部分に絶縁層2003が形成される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1母型2001の上面全体に絶縁層2003が形成されてもよい。この場合、擬似ノズル155が形成される領域において絶縁層2003が露出する部分に導電層または触媒層が形成されてもよい。また、第2母型2005は、第1母型2001と接合されてもよい。
【0051】
次に、図8(C)に示すように、電解鋳造法(めっき法)により第1凹部2007において複数の構造体1531(第1構造体ともいう)を形成し、第2凹部2009において複数の構造体1551(第2構造体ともいう)を形成し、第1面2000Aにおいて平面状の構造体1511(第3構造体ともいう)を形成する。構造体1531、構造体1551、および構造体1511は同じタイミングで形成される。構造体1551は、構造体1531の周辺に形成される。この例では、構造体1531の群の両側に形成される。
【0052】
このとき、図8(B)に示すように、第1凹部2007の底部2007Bには絶縁層2003が露出されている。そのため、構造体1531の先端部には、絶縁層2003が存在することにより電解鋳造処理がなされない。そのため、構造体1531の先端部1531aは開孔される。これにより、先端部153aに開孔部153aoを有する液滴吐出ノズル153が形成される。一方で、構造体1551の先端部には、第1母型2001の上面が露出する(触媒層あるいは導電膜が存在する)ため、電解鋳造処理がなされる。このため、構造体1551の先端部が閉塞される。よって、擬似ノズル155が形成される。
【0053】
次に、図8(D)に示すように、液滴吐出ノズル153の先端部153aおよび擬似ノズル155の先端部155aに対応する部分にレジストマスク2011を形成する。次に、図9(A)に示すように、構造体1511の露出した部分に対して電解鋳造により構造体1513を形成する。構造体1513が形成された後、レジストマスク2011は除去される(図9(B))。
【0054】
最後に、図9(C)に示すように、母型2000から構造体1511、構造体1511、構造体1531及び構造体1551を取り外す(離型する)。これにより、構造体1511、構造体1513からプレート部151が、形成される。構造体1531から液滴吐出ノズル153が形成される。構造体1551から擬似ノズル155が形成される。以上により、ノズルヘッド150を製造することができる。
【0055】
上記において、母型2000上に電解鋳造法を用いて構造体を形成するときに、母型2000の端の領域は電場が不均一になりやすい。しかし、本実施形態の場合、母型2000の端の領域は、擬似ノズルが形成される領域である。そのため、液滴吐出ノズル153が形成される領域の電場は均一になる。これにより、液滴吐出ノズル153の形状、さらには先端部153aの開口形状を均一にすることができる。
【0056】
ゆえに、本実施形態を用いることにより、複数の液滴吐出ノズルの形状が均一になる。したがって、複数の液滴吐出ノズルによる吐出均一性を高めることができる。
【0057】
<第2実施形態>
本実施形態では、第1実施形態とは異なるノズルヘッド150Aについて説明する。具体的には、擬似ノズル部が液滴吐出ノズルを囲むように設けられている例について説明する。なお、説明の関係上、適宜部材を省略して説明する。
【0058】
(2-1.ノズルヘッド150Aの構成)
図10(A)は、ノズルヘッド150Aの平面図である。図10(B)は、ノズルヘッド150AのC1-C2間の断面図である。図10(A)および図10(B)に示すように、ノズルヘッド150Aは、プレート部151、液滴吐出ノズル部152A、および擬似ノズル部154Aを含む。
【0059】
液滴吐出ノズル部152Aは、プレート部151の一面に設けられる。液滴吐出ノズル部152Aは、複数の液滴吐出ノズル153Aを含む。液滴吐出ノズル153Aは、第1方向D1および第1方向D1と交差する(この例では直交する)第2方向D2に並んで配置される。この例では、液滴吐出ノズル部152Aは、4行×100列=400個の液滴吐出ノズルを含む。
【0060】
図10(A)および図10(B)に示すように、擬似ノズル部154Aは、プレート部151のうち液滴吐出ノズル部152Aと同じ面に設けられる。擬似ノズル部154Aは、複数の擬似ノズル155Aを含む。擬似ノズル部154Aは、液滴吐出ノズル部152Aの周辺に設けられる。この例では、擬似ノズル部154Aは、液滴吐出ノズル部152Aを囲むように設けられる。第1方向D1における両側(左右両側)および第2方向D2における両側(上下両側)に一列ごとに設けられる擬似ノズルの数は、2個以上30個以下であってもよい。具体的には、液滴吐出ノズル部152Aの左右両側に5列の擬似ノズル155Aが設けられる。また、液滴吐出ノズル部152Aの上下両側に2行の擬似ノズル155Aが設けられる。なお、液滴吐出ノズル部152Aが、1000行×1000列=1,000,000個の液滴吐出ノズルを含むとき、上下左右の各側に20行(列)の擬似ノズル155Aが設けられてもよい。この場合、複数の擬似ノズル155Aは、最も外側に配置された擬似ノズル155(擬似ノズル155-1)から隣接する擬似ノズル155A間の間隔(ピッチ)10μmであってもよい。
【0061】
本実施形態を用いることにより、複数の液滴吐出ノズルの形状が均一になる。したがって、複数の液滴吐出ノズルによる吐出均一性を高めることができる。
【0062】
<第3実施形態>
本実施形態では、第1実施形態および第2実施形態とは異なるノズルヘッドについて説明する。具体的には、擬似ノズルが枠状に設けられている例について説明する。なお、第1実施形態および第2実施形態と重複する部分については、適宜省略して説明する。
【0063】
(3-1.ノズルヘッド150Bの構成)
図11(A)は、ノズルヘッド150Bの平面図である。図11(B)は、ノズルヘッド150BのC1-C2間の概略断面図である。図11(A)および図11(B)に示すように、ノズルヘッド150Bは、プレート部151、液滴吐出ノズル部152B、および擬似ノズル部154Bを含む。
【0064】
液滴吐出ノズル部152Bは、プレート部151の一面に設けられる。液滴吐出ノズル部152Bは、複数の液滴吐出ノズル153Bを含む。液滴吐出ノズル153Bは、第1方向D1および第1方向D1と交差する第2方向D2に並んで配置される。この例では、液滴吐出ノズル部152Bは、4行×100列=400個の液滴吐出ノズルを含む。
【0065】
図11(A)および図11(B)に示すように、擬似ノズル部154Bは、プレート部151のうち液滴吐出ノズル部152Bと同じ面に設けられる。擬似ノズル部154Bは、複数の擬似ノズル155Bを含む。擬似ノズル部154Bは、液滴吐出ノズル部152Bの周辺に設けられる。この例では、擬似ノズル部154Bは、液滴吐出ノズル部152Bを囲むように設けられる。具体的には、液滴吐出ノズル部152Bを囲む4つの枠形状を有する擬似ノズル155Bが設けられる。このとき、擬似ノズル155Bは、図11(B)に示すように、矩形状を有してもよいし、先端部に向かって先細る形状を有してもよい。
【0066】
本実施形態を用いることにより、複数の液滴吐出ノズルの形状が均一になる。したがって、複数の液滴吐出ノズルによる吐出均一性を高めることができる。
【0067】
<第4実施形態>
本発明の第1実施形態では、擬似ノズル155の高さH155は、液滴吐出ノズル153の高さH153と同じ例である例が示されたが、本発明はこれに限定されない。本実施形態では、第1実施形態とは異なるノズルヘッドについて説明する。具体的には、液滴吐出ノズルの高さと、擬似ノズルの高さと異なる例について説明する。なお、第1実施形態および第2実施形態と重複する部分については、適宜省略して説明する。
【0068】
図12(A)は、擬似ノズル155Cの上面図である。図12(B)は、擬似ノズル155CにおけるB1-B2間の断面図である。擬似ノズル155Cの高さH155Cは、液滴吐出ノズル153の高さH153よりも低くてもよい。これにより、液滴吐出ノズル153が液滴を吐出するときに邪魔にならない。したがって、本発明の一実施形態を用いることにより、安定して液滴を吐出することができる。
【0069】
<第5実施形態>
本実施形態では、第1実施形態とは異なるノズルヘッドについて説明する。具体的には、擬似ノズルに充填物が充填される例について説明する。なお、第1実施形態および第2実施形態と重複する部分については、適宜省略して説明する。
【0070】
図13(A)は、擬似ノズル155Dの上面図である。図13(B)は、擬似ノズル155DにおけるB1-B2間の断面図である。擬似ノズル155Dには、充填物157が充填されてもよい。充填物157は、擬似ノズル155の先端部のみに設けられてもよいし、プレート部151まで充填されてもよい。このとき、擬似ノズル155Dには、インク材料とは異なる材料が充填されていてもよい。この例では、擬似ノズル155には、樹脂材料が充填される。また、充填物157には、樹脂材料の他にガラス材料、セラミック材料が用いられてもよい。また、充填する材料によっては、形成される電場が変化する場合がある。そのため、電界均一化の観点からは、金属材料または導電性材料を用いて充填されてもよい。さらに、充填物157には電界による吐出力が働かないような液体、例えば非極性溶剤、シリコーン、炭化水素系溶剤、イオン性液体が用いられてもよい。本実施形態を用いることにより、安定して液滴を吐出することができる。
【実施例0071】
以下に、本発明の一実施形態に係るノズルヘッドの実施例について説明する。
【0072】
<1.ノズルヘッドの構成>
以下に、本発明の一実施形態を用いて擬似ノズルを有するノズルヘッドと、比較例として擬似ノズルを設けないノズルヘッドについて説明する。
【0073】
(実施例1のノズルヘッド)
実施例1のノズルヘッドの構成は以下のとおりである。
液滴吐出ノズル:21個×1列
擬似ノズル:液滴吐出ノズルの両側に5個
実施例1のノズルヘッドは、電解鋳造法により形成され、マウントに接着された。
【0074】
図14は、液滴吐出ノズルの電子顕微鏡写真である。図14に示すように、液滴吐出ノズルが一列に並んで設けられる。液滴吐出ノズルの構成は、以下のとおりである。
隣接する液滴吐出ノズル間の距離:200μm
液滴吐出ノズルの高さ:50μm
液滴吐出ノズルの先端部の内径:20μm
液滴吐出ノズルの底部から先端部への傾き:20°
【0075】
(比較例のノズルヘッド)
比較例におけるノズルヘッドの構成は以下のとおりである。
液滴吐出ノズル:100個×1列
擬似ノズル:なし
比較例のノズルヘッドは、電解鋳造法により形成された。
【0076】
<2.液滴吐出結果>
図15は、実施例1のノズルヘッドを用いて吐出された液滴の光学顕微鏡写真である。図16は、実施例1のノズルヘッドを用いて吐出された液滴の大きさ(直径)を示すグラフである。図17は、比較例のノズルヘッドを用いて吐出された液滴の光学顕微鏡写真である。図18は、比較例のノズルヘッドを用いて吐出された液滴の大きさ(直径)を示すグラフである。
【0077】
図17および図18に示すように、比較例のノズルヘッドを用いた場合、1個目の液滴吐出ノズルから吐出された液滴は、5個目の液滴吐出ノズルから吐出された液滴よりも43%大きい。また、100個目の液滴吐出ノズルから吐出された液滴は、96個目の液滴吐出ノズルから吐出された液滴よりも39%大きい。
【0078】
一方、図15および図16に示すように、実施例1のノズルヘッドを用いた場合、1個目の液滴吐出ノズルから吐出された液滴は、4個目の液滴吐出ノズルから吐出された液滴よりも13%大きい。また、21個目の液滴吐出ノズルから吐出された液滴は、17個目の液滴吐出ノズルから吐出された液滴よりも7%大きい。
【0079】
したがって、本発明の一実施形態に係る実施例1のノズルヘッドを用いることにより、比較例のノズルヘッドに比べて吐出される液滴の大きさを均一にすることができることが確認された。
【0080】
(変形例)
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に想到し得るものであり、それら変更例および修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、各実施形態の組み合わせ若しくは設計変更を行ったもの、又は、処理の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0081】
本発明の第1実施形態では、擬似ノズル155は、液滴吐出ノズル153と同様の形状を有する例を示したが、本発明はこれに限定されない。擬似ノズル155は、液滴吐出ノズル153とは異なる形状を有してもよい。例えば、矩形状を有してもよいし、円錐形状を有してもよいし、半円形状を有してもよい。つまり、擬似ノズル155は、プレート部151から突出するような形状を有していればよい。
【0082】
本発明の第1実施形態では、隣接する液滴吐出ノズル間の距離D1、隣接する液滴吐出ノズル153と擬似ノズル155との間の距離D2、および隣接する擬似ノズル155間の距離D3は、それぞれ同じである例を示したが、本発明はこれに限定されない。隣接する液滴吐出ノズル間の距離D1、隣接する液滴吐出ノズル153と擬似ノズル155との間の距離D2、および隣接する擬似ノズル155間の距離D3は、それぞれ異なってもよい。例えば、隣接する擬似ノズル155間の距離D3は、隣接する液滴吐出ノズル間の距離D1、隣接する液滴吐出ノズル153と擬似ノズル155との間の距離D2よりも小さくしてもよい。これにより、電場の均一性を高めることができる。
【符号の説明】
【0083】
100・・・液滴吐出装置,110・・・制御部,115・・・記憶部,120・・・電源部,130・・・駆動部,140・・・液滴吐出部,145・・・インクタンク,150・・・ノズルヘッド,151・・・プレート部,151a・・・上面,151o・・・貫通孔,152・・・液滴吐出ノズル部,153・・・液滴吐出ノズル,153a・・・先端部,153ao・・・開孔部,154・・・擬似ノズル部,155・・・擬似ノズル,155a・・・先端部,157・・・充填物,160・・・対象物保持部,200・・・対象物,1511・・・構造体,1531・・・構造体,1531a・・・先端部,1533・・・構造体,1551・・・構造体,2000・・・母型,2001・・・第1母型,2003・・・絶縁層,2005・・・第2母型,2006・・・第1凹部群,2007・・・第1凹部,2008・・・第2凹部群,2009・・・第2凹部,2011・・・レジストマスク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18