(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175724
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】前炉システムのための酸素燃料バーナ
(51)【国際特許分類】
C03B 5/235 20060101AFI20231205BHJP
F23D 14/48 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
C03B5/235
F23D14/48 B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023142000
(22)【出願日】2023-09-01
(62)【分割の表示】P 2021185469の分割
【原出願日】2021-11-15
(31)【優先権主張番号】16/950,502
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア・ジェイコブ・ウィーバー
(72)【発明者】
【氏名】カーティス・リン・テイラー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ガラス製造システム、およびガラス製造システムの前炉システム内で少なくとも1つの酸素燃料バーナを動作させる方法を提供する。
【解決手段】前炉システム200は、バーナブロック210であって、前記バーナブロックの遠位端へと延在している放出スロート235を含む溶融ガラスタンクの上の上部構造内に耐火材料を含む、バーナブロックと、バーナブロック内の少なくとも1つの酸素燃料前炉バーナ100であって、前記酸素燃料前炉バーナが、バーナ本体135と、燃料を受容するための燃料入口104及び燃料出口を有する前記バーナ本体内の燃料パイプ101と、酸素を受容するための酸素入口及び酸素出口を有する前記バーナ本体内の酸素パイプ102を備える。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス製造システム(300)であって、
前炉システム(200,400)を備え、
前記前炉システム(200,400)は、
溶融ガラスタンク(428)を構成し、前記溶融ガラスタンクの底壁(419)及び側壁(417)のためのルーフ(416)を提供するように構成された複数の耐火レンガ(406)を備える上部構造と、
バーナブロック(210)であって、前記バーナブロックの遠位端へと延在している放出スロート(235,255)を含む前記溶融ガラスタンクの上の前記上部構造内に耐火材料を含む、バーナブロック(210)と、
長さ方向に沿った長軸を有する前記バーナブロック内の少なくとも1つの酸素燃料前炉バーナ(100)であって、前記酸素燃料前炉バーナが、
バーナ本体(135)と、
燃料を受容するための燃料入口(104)及び燃料出口を有する前記バーナ本体内の燃料パイプ(101)と、
酸素を受容するための酸素入口及び酸素出口を有する前記バーナ本体内の酸素パイプ(102)であって、前記酸素パイプが、前記燃料パイプの外側に同軸上に位置付けられ、前記酸素が前記長軸に対して直角に前記バーナ本体(135)を介して前記酸素パイプ(102)に入る酸素パイプ(102)と、を備え、
前記燃料出口が、前記酸素パイプを超え、かつ前記バーナ本体を超えて延在し、それにより、前記酸素が最初に前記燃料に到達し、ひいては、動作中に、炎(107)が遅延される、酸素燃料前炉バーナ(100)と、を備える、ガラス製造システム(300)。
【請求項2】
ガラス製造システム(300)であって、
ガラス溶融炉(315)と、
溶融ガラスタンク(428)を構成し、前記溶融ガラスタンクの底壁(419)及び側壁(417)のためのルーフ(416)を提供するように構成された複数の耐火レンガを含む上部構造を備える前炉システム(200,400)と、
バーナブロック(320)であって、前記バーナブロックの遠位端へと延在している放出スロート(235、255)を含む前記溶融ガラスタンクの上の前記上部構造内に耐火材料を含む、バーナブロック(320)と、
長さ方向に沿った長軸を有する前記バーナブロック内の少なくとも1つの酸素燃料前炉バーナ(100)であって、前記酸素燃料前炉バーナが、
バーナ本体(135)と、
燃料を受容するための燃料入口(104)及び燃料出口を有する前記バーナ本体内の燃料パイプ(101)と、
酸素を受容するための酸素入口及び酸素出口を有する前記バーナ本体内の酸素パイプ(102)であって、前記酸素パイプが、前記燃料パイプの外側に同軸上に位置付けられ、前記酸素が前記長軸に対して直角に前記バーナ本体(135)を介して前記酸素パイプ(102)に入る酸素パイプ(102)と、を備え、
前記燃料パイプが、前記酸素パイプを超え、かつ前記バーナ本体を超えて延在し、それにより、前記酸素が最初に前記燃料に到達し、ひいては、動作中に、炎(107)が遅延される、前記酸素燃料前炉バーナ(100)と、
前記酸素燃料前炉バーナによって行われる熱処理後の溶融ガラスを受容するために結合されるガラス形成装置と、
を備える、ガラス製造システム(300)。
【請求項3】
溶融ガラスタンクを構成し、前記溶融ガラスタンクの底壁(419)及び側壁(417)のためのルーフ(416)を提供するように構成された複数の耐火レンガを含む上部構造と、バーナブロック(210)であって、前記バーナブロックの遠位端へと延在している放出スロート(235,255)を含む前記溶融ガラスタンクの上の前記上部構造内に耐火材料を含む、バーナブロック(210)と、を備える、前炉システム(200,400)内で少なくとも1つの酸素燃料バーナ(100)を動作させる方法であって、
バーナ本体であって、前記バーナ本体内に、酸素を受容するための酸素入口及び酸素出口を有する酸素パイプ(102)を有する、バーナ本体を備える、前記酸素燃料前炉バーナを提供することを含み、前記酸素パイプが、燃料出口を有する燃料パイプ(101)の外側に同軸上に位置付けられ、前記燃料出口が、前記酸素パイプを超え、かつ前記バーナ本体を超えて延在し、前記酸素が前記バーナブロック(210)の長軸に対して直角に前記バーナ本体(135)を介して前記酸素パイプ(102)に入り、
前記酸素が最初に前記燃料に到達し、それにより、動作中に、炎(107)が前記放出スロートまで遅延される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される態様は、ガラス製造システムの前炉システムのための酸素燃料バーナに関
する。
【背景技術】
【0002】
ガラス製造システムは、ガラスの生産において使用されており、ガラス溶融炉におい
て溶融ガラスが生成され、次いで溶融ガラスが連続ストリームで前炉システム(又は前炉
セクション)に沿ってフィーダーボウルに送り、そこから溶融ガラスが金型充填剤又は塊
でガラス形成装置に送給される。ガラス形成装置は、受容した溶融ガラスを所望の形態又
は形状に処理する。
【0003】
前炉システムは、ガラス溶融炉とガラス形成装置との間の搬送中に溶融ガラスを調整
するように設計され、溶融ガラスを形成又は成形により適するようにする。具体的には、
前炉システムは、ガラス形成装置によって処理するために必要とされる温度まで溶融ガラ
スを加熱又は冷却するように設計される。いくつかのガラス製品場合、前炉システムによ
る処理後の溶融ガラスの温度は、ガラス形成装置の入口において、約1200℃などの目
標温度の約1℃以内に維持することを必要とする。
【0004】
従来の前炉システムは、前炉ダクトの両側に長手方向に配置された一連の比較的小型
の酸素燃料前炉バーナを通して、温度制御を提供する。それぞれの酸素燃料前炉バーナ間
の間隔は、典型的に6~18インチである。単一の前炉システムは、数百の酸素燃料前炉
バーナを収容することができ、単一のガラス炉が、1つ又は複数の前炉システムを有し得
る。典型的な前炉システムは、それに沿って溶融ガラスが流れ、一般に断熱クラウン又は
ルーフを備える、耐火材料(例えば、アルミナジルコンシリカ)で構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本概要は、提示される図面を含む以下の「発明を実施するための形態」で更に詳述さ
れる、簡潔に選定された開示の態様を単純な形態で紹介するために提供される。本概要は
、特許請求される主題の範囲を限定することを意図するものではない。
【0006】
開示される態様は、ガラス溶融炉を設計することと比較して、ガラス製造システムの
前炉システムが、いくつかの方法では、酸素燃料前炉バーナのための設計をより困難にす
ることを認識している。これらの設計の課題としては、酸素燃料前炉バーナを適切に冷却
すること、並びに燃料及び酸素の放出速度を効果的かつ効率的に管理することが挙げられ
る。
【0007】
開示される一態様は、溶融ガラスタンクを構成する複数の耐火レンガを含む上部構造
を備える前炉システムを備える。耐火材料で構成されるバーナブロックは、その遠位端へ
と延在している放出スロートを含み、バーナブロックは、溶融ガラスタンクの上の上部構
造内にある。少なくとも1つの酸素燃料前炉バーナが、長さ方向に沿った長軸を有するバ
ーナブロック内にある。燃料パイプが、一方の端部の燃料を受容するための燃料入口及び
反対側の端部の燃料出口を有するバーナ本体内にある。酸素パイプが、酸素を受容するた
めの酸素入口及び酸素出口を有するバーナ本体内にある。酸素パイプが、燃料パイプの外
側に同軸上に位置付けられる。燃料出口が、酸素パイプ及びバーナ本体を超えて延在し、
それにより、酸素が最初に燃料に到達し、ひいては、動作中に、炎が放出スロートまで遅
延される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、例示的な一態様による、ガラス製造システムの前炉システムのための酸素燃料前炉バーナの一例の断面図を示す。酸素燃料前炉バーナは、酸素とともに燃料を燃焼させて、制御された長さの炎を生成して、ガラスを熱処理するための制御された様式で熱を供給するように設計される。
【0009】
【
図2A】
図2Aは、前炉システムのための典型的なバーナブロックを示す配設の断面図をそれぞれ示す。バーナブロックは、各々が耐火材料を備え、各々がその中に位置付けられた単一の開示される酸素燃料前炉バーナを有するように示される。
【
図2B】
図2Bは、前炉システムのための典型的なバーナブロックを示す配設の断面図をそれぞれ示す。バーナブロックは、各々が耐火材料を備え、各々がその中に位置付けられた単一の開示される酸素燃料前炉バーナを有するように示される。
【0010】
【
図3】
図3は、例示的な一態様による、未処理のガラスをガラス溶融炉に提供する原材料コンテナと、放出スロートを有するガラス溶融炉から出力される溶融ガラスを受容する、バーナブロック内の複数の開示される酸素燃料前炉バーナと、を含み、放出スロートがガラス形成装置に結合される、例示的なガラス製造システムを表す。
【0011】
【
図4】
図4は、下の「実施例」セクションで説明する酸素燃料前炉バーナの動作データを生成するために使用した、作動中の前炉システムの構成要素を表す。
【0012】
【
図5A】
図5Aは、開示される酸素燃料前炉バーナの性能と、現在の最新技術の酸素燃料前炉バーナと見なされ得るものとを比較した、比較の酸素燃料前炉バーナの動作結果を要約した表である。
【0013】
【
図5B】
図5Bは、右側が、開示される酸素燃料前炉バーナによって生成された炎を示し、左側が、現在の最新技術の酸素燃料前炉バーナと見なされるものによって生成された炎を示す、走査画像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付の図面を参照して、開示される態様を説明するが、類似又は同等の要素を示すた
めに、図面全体にわたって同じ参照番号を使用する。図面は、縮尺どおりに描かれておら
ず、それらは、特定の開示される態様を単に例証するために提供される。いくつかの開示
される態様は、例証のための例示的な用途に言及しながら以下に記載される。開示される
態様の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細、関係、及び方法が記載される
ことを理解するべきである。
【0015】
図1は、ガラス製造システムの前炉システムセクションのための、100で示される
例示的な酸素燃料前炉バーナの断面図を示す。酸素燃料前炉バーナ100は、典型的にス
テンレス鋼で構成されるバーナ本体135を備える。酸素燃料前炉バーナ100は、一般
に、バーナブロックが酸素燃料前炉バーナ100の周囲に位置付けられるなどの、耐火材
料で構成されるバーナブロック内に設置される。例示的なバーナブロックは、下で説明す
る
図2A及び
図2Bに示されている。酸素燃料前炉バーナ100はまた、一般に、燃料の
流量及び酸素の流量を制御するための少なくとも1つの流量コントローラも含む。
【0016】
酸素燃料前炉バーナ100について示されている配設は、内側に配置された燃料パイ
プ101及び外側に配置された酸素パイプ102を含む同軸パイプ配設であり、燃料パイ
プ101は、酸素パイプ102の内側に収容される。この配設は、酸素燃料前炉バーナ1
00の燃焼プロセス(炎107に反映される)を遅延させ、それにより、最初に、一般に
バーナブロックの放出スロート内にあるバーナ本体135を超えて燃焼が生じる(下で説
明する
図2A及び
図2Bに示される放出スロートを含むバーナブロックを参照されたい)
。
【0017】
酸素又は酸素含有ガスは、酸素燃料前炉バーナ100及び酸素パイプ102の長さ方
向に対して直角に任意選択的に配向されて示されている酸素パイプ102通して形成され
る入口経路103を通して、バーナ本体135に進入する。燃料は、同じくバーナ本体1
35内に形成された燃料入口104を通して、軸方向(長さ方向)に燃料パイプ101に
進入する。燃料は、一般に、主にメタン又はプロパンであることが知られている天然ガス
を含み、酸素源は、一般にO2を含む。
【0018】
燃料パイプ101は、一般に酸素パイプ102を大体0.25’’(インチ)~6’
’の距離、長さ方向109に、バーナ本体135を超えて、かつ酸素パイプ102を超え
て延在しているように見ることができる。燃料と酸素との燃焼によって生じる炎107は
、一般に、炎107を取り囲んで示されるO2 105の低速層流層を有する。放出スロ
ートは、大気に直接放出することと置き換えることが可能であり得る。燃料出口101a
から現れる炎107の近く又はその中心に導入される、106で示される燃料パイプ10
1によって出力される燃料の層流は、一般に、75~300ft/秒の速度で移動する。
【0019】
開示される態様は、ガラス製造システムの前炉システムのための酸素燃料前炉バーナ
の設計において補償されるべき、2つの要因があることをと認識している。ガラス製造シ
ステム内に少なくとも1つの酸素燃料前炉バーナを含む前炉システムの機能は、溶融ガラ
スの温度を維持すること、又はガラス溶融炉から受容する溶融ガラスを僅かに冷却するこ
とである。本明細書では、前炉システムに必要とされる熱入力は、ガラス溶融炉に必要と
される熱入力と比較して、大幅に少ないことが認識される。結果的に、より少ない容積の
燃料及び酸素ガスが酸素燃料前炉バーナ(複数可)を通過する。
【0020】
このより少ない容積の反応ガスの流量は、反応物質の流量によってほぼ完全に冷却さ
れるように設計された酸素燃料前炉バーナの課題を提示し、反応物質は、O2又は酸素含
有ガス混合物、及び燃料である。未燃のガスの流量が少なくなるにつれて、酸素燃料前炉
バーナから運び去られ得る総熱量も少なくなる。この課題は、開示される酸素燃料前炉バ
ーナによって、以下で説明するように対処される。
【0021】
ガラス製造システムの前炉システムの酸素燃料バーナのための現在の最新技術は、前
炉環境における酸素燃料バーナの一意の課題に十分に対処しておらず、そのことが、過熱
し得、したがって早期に故障し得る酸素燃料前炉バーナをもたらすことも認識される。開
示される態様を適用することによって、酸素燃料前炉バーナ100は、本質的にあらゆる
合理的な動作状態において、上述のように一般にステンレス鋼で構成されるバーナ本体1
35の材料を含む構築材料の動作限界の範囲内のままであること、更には、通常ガラス製
造システムの寿命にわたって動作することを期待吸うことができる。
【0022】
前炉システムの現在の最新技術はまた、顧客が使用し得るバーナブロックの様々な形
状に十分に対処していないことも認識される。顧客が独自の前炉バーナブロックを設計す
ることが一般的である。これらの顧客設計のバーナブロックは、現在の最新技術の酸素燃
料前炉バーナと組み合わせた場合、意図しない結果が生じ得る。十分に適合していない酸
素燃料前炉バーナ及びバーナブロックは、不十分な流動力学によって作成されるバーナブ
ロックの極端に高い温度のため、酸素燃料前炉バーナを早期に故障させ得る。開示される
前炉バーナは、一般に、バーナブロックの特定の形状に対して本質的に不変であり、一般
に、酸素燃料前炉バーナの特定の設置にかかわらず、より低温での動作を確実にする。
【0023】
上で説明したように、少なくとも1つの酸素燃料前炉バーナを備える前炉システムは
、ガラス溶融炉から受容した溶融ガラスをガラス形成装置へと運搬する。したがって、前
炉システムは、ガラスの品質及び温度に影響を及ぼす最後の機会であると認識される。溶
融ガラスの温度均一性は、前炉システムに重要であることが認識される。酸素燃料前炉バ
ーナには、温度制御及び温度均一性の両方に対して有意な効果を有し得る。酸素燃料前炉
バーナが最高炎輝度のために設計された場合、燃焼によって生成されるより多くの熱が、
熱放射を通して溶融ガラスの頂部によって吸収される。したがって、溶融ガラスの頂部分
は、バーナブロックと接触している溶融ガラスの底部と比較して、より多くの熱を入力す
る必要があることが認識される。これは、ガラス形成装置によって受容されている溶融ガ
ラスのより均一な温度を作成する。
【0024】
溶融ガラスの温度均一性を超えて、開示される酸素燃料前炉バーナによって提供され
る輝炎(明るく見える燃焼炎)の別の主な利益は、消費される燃料の単位当たりに生成さ
れるより多くの有用な熱の生成である。黄色の輝炎を有する酸素燃料前炉バーナと、青色
の炎を有する酸素燃料前炉バーナをと比較した場合、黄色の輝炎(相対的により低い温度
)を有する酸素燃料前炉バーナは、より低い流量のO2及び燃料で動作させることができ
、それでも、同じ容積の溶融ガラスを加熱することができる。
【0025】
酸素燃料前炉バーナが、酸素燃料前炉バーナに、更には潜在的に炉を通って移動する
ガラスバッチに破滅的な損傷を与え得る過熱を前炉環境内に生じさせないことを確実にす
るために、酸素及び燃料が酸素燃料前炉バーナ内で混合されるべきでないことが認識され
る。これは、一般に、酸素燃料前炉バーナの燃焼チャンバとして金属パイプを使用したと
きに生成される熱を排除するのに十分な容積流量が存在していないことが認識されるから
である。既知の酸素燃料前炉バーナは、最高輝度を有する炎の作成を可能にしないことが
認識される。酸素燃料前炉バーナに最高炎輝度を提供するために、本明細書では、炎が比
較的長くなるように構成されるべきであること、及び燃料が比較的低い速度で酸素に導入
されるべきであることが認識される。
【0026】
上述のように典型的にステンレス鋼で構成されるバーナ本体135の材料が、その安
全動作温度の範囲内にとどまることを確実にするために、本明細書に開示されるように、
O2の燃料への導入は、バーナ本体135を超えてバーナブロックの放出スロートの中へ
延在している燃料パイプ101によって遅延される。したがって、燃料点火点は、O2の
注入点と同じではない。代わりに、O2は、酸素燃料前炉バーナの後ろで酸素燃料前炉バ
ーナに注入されるが、燃料は、酸素燃料前炉バーナの後まで(放出スロートの中へ)導入
されず、燃料点火点もまた、酸素燃料前炉バーナのバーナ本体135から十分な距離にあ
るべきであり、これは、酸素燃料前炉バーナをより低温に保つ役割を果たす。酸素燃料燃
焼中に輝炎を作成するために、本明細書では、75~300ft/秒などの定義された速
度範囲の範囲内であるように燃料速度を制御するべきであることが認識される。
【0027】
図2A及び
図2Bは、各々が、前炉システムの典型的なバーナブロック内に位置付け
られた、100で示される開示される酸素燃料前炉バーナを示す、それぞれ200及び2
50で示される配設の断面図を示し、バーナブロックは、それぞれ、210及び220で
示される。バーナブロック210、220は、各々が、(セラミック又は耐火金属又は耐
火金属合金などの)耐火材料で構成され、簡単にするために、バーナブロックの入力側に
位置付けられた単一の酸素燃料前炉バーナ100を有するように示されている。バーナブ
ロックは、
図2Aに示される放出スロート235、210と、
図2Bに示されるバーナブ
ロック220の放出スロート255と、を含む。放出スロート235及び235の遠位端
は、280で示される前炉システム環境に結合される。溶融ガラスは、一般に、下で説明
する
図4に示すように、バーナブロック210及び220の下側になる。
【0028】
図3は、例示的な態様による、例示的なガラス製造システム300を示す。ガラス製
造システム300は、未処理のガラスをガラス溶融炉315に提供する原材料コンテナ3
10を含み、ガラス溶融炉315から出力された溶融ガラスを受容するバーナブロック3
20に位置付けられた複数の開示される酸素燃料前炉バーナ100が存在し、バーナブロ
ック320は、放出スロート235又は255を含む。放出スロート235又は255は
、ガラス形成装置330に結合される。
【実施例0029】
開示される態様は、以下の特定の実施例によって更に例証され、これは、任意の方法
で本開示の範囲又は内容を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0030】
上で説明した酸素燃料前炉バーナ100に類似する前炉システムのプロトタイプ酸素
燃料前炉バーナは、
図4に示される作動中の前炉システム400のバーナブロック210
又は220に設置された上で説明した特徴とともに構築した。複数の耐火レンガ406で
構成された上部構造と、ガラス溶融物431として示される溶融ガラスをその中に有する
溶融ガラスタンク428の上の上部構造内のバーナブロック210又は220と、バーナ
ブロック210又は220に位置付けられた少なくとも1つの酸素燃料前炉バーナ100
と、を含む、前炉システム400が示されている。上部構造の耐火レンガ406は、クラ
ウン(又はルーフ)416、底部419、及び側壁417に提供するように、並びに冷却
孔418を画定するように構成され、底部419及び側壁417は、溶融ガラスタンク4
28を画定する。冷却孔418の上には、ダンパブロック423が存在する。
【0031】
顧客は、前炉システム400のゾーン全体を、
図1に示される酸素燃料前炉バーナ1
00の設計に類似する開示される酸素燃料前炉バーナと交換し、温度センサ及び流量セン
サを使用して、酸素燃料前炉バーナ及びガラス溶融物に関連した様々なデータ点を取得し
た。顧客はまた、現在の最新技術による酸素燃料前炉バーナもまた、同じ前炉システム内
に有した。現在の最新技術の酸素燃料前炉バーナは、O
2及び燃料を一緒にバーナ本体の
内部に導入し、したがって、酸素が燃料(一般に天然ガスを含む)と接触するバーナ本体
の地点で炎が生成される。現在の最新技術の酸素燃料前炉バーナの内部構造は、本明細書
で輝炎に寄与しないと認識される比較的高い速度で、酸素及び燃料を一緒に導入する。
【0032】
顧客は、酸素燃料前炉バーナ100(
図5Aで「新型バーナ」と表記する)の性能と
、現在の最新技術の酸素燃料前炉バーナ(
図5Aで「交換前」と表記する)の性能とを比
較し、燃料は、天然ガスであり、
図5Aは、これらの酸素燃料前炉バーナの動作結果の比
較を要約した表である。このデータから、開示される酸素燃料前炉バーナ100の場合、
現在の最新技術酸素燃料前炉バーナと比較したときに、同じガラス温度を維持するために
、天然ガスの流量が約2%少ないことが証明される。この試験によって実証された他の性
能要因としては、(上述のように典型的にステンレス鋼である)バーナ本体材料の安全な
動作温度限度の範囲内にとどめる、開示される酸素燃料前炉バーナの能力が挙げられる。
【0033】
顧客は、
図5Bに示されるスキャンされた画像に示すことができるそれらの評価コメ
ントによって、このことに注目した。開示される酸素燃料前炉バーナ100からの輝きは
、右側に示され、炎がバーナ本体を超えて始まっていることを見ることができ、現在の最
新技術の酸素燃料前炉バーナからの白熱光は、左側に示されている。左側では、酸素燃料
前炉バーナのバーナ本体から現れることが示される炎の燈色の輝きが見られ、バーナ本体
のステンレス鋼の動作限度に勝り得ることを示した。この現在の最新技術の酸素燃料前炉
バーナは、過剰な温度に起因するバーナ本体のステンレス鋼の耐腐食性の低下及び物理的
な弱化のため、早期に故障する可能性がある。
【0034】
様々な開示された実施形態について上述してきたが、それらは単なる例として提示されており、限定するものではないことを理解されたい。本開示に開示される主題に対する多くの変更は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱せずに、本開示に従ってなされ得る。加えて、特定の特徴はいくつかの実施例のうちの1つのみに関して開示されている場合があるが、かかる特徴は、任意の所定の又は特定の用途にとって望ましく、有利であり得るため、他の実施例のうちの1つ以上の他の特徴と組み合わされてもよい。
<付記>
[形態1]
前炉システム(200)であって、
溶融ガラスタンクを構成する複数の耐火レンガを備える上部構造と、
バーナブロック(210)であって、前記バーナブロックの遠位端へと延在している放出スロート(235)を含む前記溶融ガラスタンクの上の前記上部構造内に耐火材料を含む、バーナブロック(210)と、
長さ方向に沿った長軸を有する前記バーナブロック内の少なくとも1つの酸素燃料前炉バーナ(100)であって、前記酸素燃料前炉バーナが、
バーナ本体(135)と、
燃料を受容するための燃料入口(104)及び燃料出口を有する前記バーナ本体内の燃料パイプ(101)と、
酸素を受容するための酸素入口及び酸素出口を有する前記バーナ本体内の酸素パイプ(102)であって、前記酸素パイプが、前記燃料パイプの外側に同軸上に位置付けられる、酸素パイプ(102)と、を備え、
前記燃料出口が、前記酸素パイプを超え、かつ前記バーナ本体を超えて延在し、それにより、前記酸素が最初に前記燃料に到達し、ひいては、動作中に、炎(107)が遅延される、酸素燃料前炉バーナ(100)と、を備える、前炉システム(200)。
[形態2]
ガラス製造システム(300)であって、
ガラス溶融炉(315)と、
溶融ガラスタンクを構成する複数の耐火レンガを含む上部構造を備える前炉システム(200)と、
バーナブロック(320)であって、前記バーナブロックの遠位端へと延在している放出スロート(235、255)を含む前記溶融ガラスタンクの上の前記上部構造内に耐火材料を含む、バーナブロック(320)と、
長さ方向に沿った長軸を有する前記バーナブロック内の少なくとも1つの酸素燃料前炉バーナ(100)であって、前記酸素燃料前炉バーナが、
バーナ本体(135)と、
燃料を受容するための燃料入口(104)及び燃料出口を有する前記バーナ本体内の燃料パイプ(101)と、
酸素を受容するための酸素入口及び酸素出口を有する前記バーナ本体内の酸素パイプ(102)であって、前記酸素パイプが、前記燃料パイプの外側に同軸上に位置付けられ、
前記燃料パイプが、前記酸素パイプを超え、かつ前記バーナ本体を超えて延在し、それにより、前記酸素が最初に前記燃料に到達し、ひいては、動作中に、炎(107)が遅延される、酸素パイプ(102)と、
前記酸素燃料前炉バーナによって行われる熱処理後の溶融ガラスを受容するために結合されるガラス形成装置と、を備える、酸素燃料前炉バーナ(100)と、を備える、ガラス製造システム(300)。
[形態3]
溶融ガラスタンクを構成する複数の耐火レンガを含む上部構造と、バーナブロック(210)であって、前記バーナブロックの遠位端へと延在している放出スロート(235)を含む前記溶融ガラスタンクの上の前記上部構造内に耐火材料を含む、バーナブロック(210)と、を備える、前炉システム(200)内で少なくとも1つの酸素燃料バーナ(100)を動作させる方法であって、
バーナ本体であって、前記バーナ本体内に、酸素を受容するための酸素入口及び酸素出口を有する酸素パイプ(102)を有する、バーナ本体を備える、前記酸素燃料前炉バーナを提供することを含み、前記酸素パイプが、燃料出口を有する燃料パイプ(101)の外側に同軸上に位置付けられ、前記燃料出口が、前記酸素パイプを超え、かつ前記バーナ本体を超えて延在し、
前記酸素が最初に前記燃料に到達し、それにより、動作中に、炎(107)が前記放出スロートまで遅延される、方法。
[形態1A]
ガラス製造システム(300)であって、
前炉システム(200,400)を備え、
前記前炉システム(200,400)は、
溶融ガラスタンク(428)を構成し、前記溶融ガラスタンクの底壁(419)及び側壁(417)のためのルーフ(416)を提供するように構成された複数の耐火レンガ(406)を備える上部構造と、
バーナブロック(210)であって、前記バーナブロックの遠位端へと延在している放出スロート(235,255)を含む前記溶融ガラスタンクの上の前記上部構造内に耐火材料を含む、バーナブロック(210)と、
長さ方向に沿った長軸を有する前記バーナブロック内の少なくとも1つの酸素燃料前炉バーナ(100)であって、前記酸素燃料前炉バーナが、
バーナ本体(135)と、
燃料を受容するための燃料入口(104)及び燃料出口を有する前記バーナ本体内の燃料パイプ(101)と、
酸素を受容するための酸素入口及び酸素出口を有する前記バーナ本体内の酸素パイプ(102)であって、前記酸素パイプが、前記燃料パイプの外側に同軸上に位置付けられる、酸素パイプ(102)と、を備え、
前記燃料出口が、前記酸素パイプを超え、かつ前記バーナ本体を超えて延在し、それにより、前記酸素が最初に前記燃料に到達し、ひいては、動作中に、炎(107)が遅延される、酸素燃料前炉バーナ(100)と、を備える、ガラス製造システム(300)。
[形態2A]
ガラス製造システム(300)であって、
ガラス溶融炉(315)と、
溶融ガラスタンク(428)を構成し、前記溶融ガラスタンクの底壁(419)及び側壁(417)のためのルーフ(416)を提供するように構成された複数の耐火レンガを含む上部構造を備える前炉システム(200,400)と、
バーナブロック(320)であって、前記バーナブロックの遠位端へと延在している放出スロート(235、255)を含む前記溶融ガラスタンクの上の前記上部構造内に耐火材料を含む、バーナブロック(320)と、
長さ方向に沿った長軸を有する前記バーナブロック内の少なくとも1つの酸素燃料前炉バーナ(100)であって、前記酸素燃料前炉バーナが、
バーナ本体(135)と、
燃料を受容するための燃料入口(104)及び燃料出口を有する前記バーナ本体内の燃料パイプ(101)と、
酸素を受容するための酸素入口及び酸素出口を有する前記バーナ本体内の酸素パイプ(102)であって、前記酸素パイプが、前記燃料パイプの外側に同軸上に位置付けられる、酸素パイプ(102)と、を備え、
前記燃料パイプが、前記酸素パイプを超え、かつ前記バーナ本体を超えて延在し、それにより、前記酸素が最初に前記燃料に到達し、ひいては、動作中に、炎(107)が遅延される、前記酸素燃料前炉バーナ(100)と、
前記酸素燃料前炉バーナによって行われる熱処理後の溶融ガラスを受容するために結合されるガラス形成装置と、
を備える、ガラス製造システム(300)。
[形態3A]
溶融ガラスタンクを構成し、前記溶融ガラスタンクの底壁(419)及び側壁(417)のためのルーフ(416)を提供するように構成された複数の耐火レンガを含む上部構造と、バーナブロック(210)であって、前記バーナブロックの遠位端へと延在している放出スロート(235,255)を含む前記溶融ガラスタンクの上の前記上部構造内に耐火材料を含む、バーナブロック(210)と、を備える、前炉システム(200,400)内で少なくとも1つの酸素燃料バーナ(100)を動作させる方法であって、
バーナ本体であって、前記バーナ本体内に、酸素を受容するための酸素入口及び酸素出口を有する酸素パイプ(102)を有する、バーナ本体を備える、前記酸素燃料前炉バーナを提供することを含み、前記酸素パイプが、燃料出口を有する燃料パイプ(101)の外側に同軸上に位置付けられ、前記燃料出口が、前記酸素パイプを超え、かつ前記バーナ本体を超えて延在し、
前記酸素が最初に前記燃料に到達し、それにより、動作中に、炎(107)が前記放出スロートまで遅延される、方法。