(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175764
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】インターロイキン-13受容体α2ペプチド脳がんワクチン
(51)【国際特許分類】
A61K 39/00 20060101AFI20231205BHJP
A61K 38/08 20190101ALI20231205BHJP
A61K 38/10 20060101ALI20231205BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231205BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20231205BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231205BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231205BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20231205BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20231205BHJP
C07K 14/715 20060101ALI20231205BHJP
C07K 14/47 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
A61K39/00 H ZNA
A61K38/08
A61K38/10
A61K45/00
A61P25/28
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K39/39
A61K31/4745
C07K14/715
C07K14/47
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023146554
(22)【出願日】2023-09-08
(62)【分割の表示】P 2021129288の分割
【原出願日】2011-08-23
(31)【優先権主張番号】61/376,582
(32)【優先日】2010-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500091313
【氏名又は名称】ユニヴァーシティ オヴ ピッツバーグ オヴ ザ コモンウェルス システム オヴ ハイアー エデュケーション
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125081
【弁理士】
【氏名又は名称】小合 宗一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 秀穂
(57)【要約】 (修正有)
【課題】脳がんの治療及びワクチン接種のための方法を提供する。
【解決手段】インターロイキン-13受容体α2ペプチド脳がんワクチン、並びに、それを必要とする患者に、インターロイキン-13受容体α2ペプチド脳がんワクチンを投与することを含む、方法とする。本発明は、インターロイキン-13受容体α2ペプチド、並びに、少なくとも1つの追加ペプチド及び/又は免疫刺激剤を含むレジメンも提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IL-13Rα2ペプチド、EphA2ペプチド、survivinペプチド及びWT1ペプチドを含む、医薬
組成物。
【請求項2】
IL-13Rα2ペプチド、EphA2ペプチド及びsurvivinペプチドを含む、医薬組成物。
【請求項3】
IL-13Rα2ペプチド、EphA2ペプチド、YKL-40ペプチド及びGP100ペプチドを含む、医薬
組成物。
【請求項4】
IL-13Rα2ペプチドは配列番号:1-4のいずれかを含み、EphA2ペプチドは配列番号:6を含み、survivinペプチドは配列番号:7を含み、かつ、WT1ペプチドは配列番号:8
を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
IL-13Rα2ペプチドは配列番号:1-4のいずれかを含み、EphA2ペプチドは配列番号:6を含み、survivinペプチドは配列番号:7を含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
IL-13Rα2ペプチドは配列番号:1-4のいずれかを含み、EphA2ペプチドは配列番号:6を含み、YKL-40ペプチドは配列番号:10を含み、かつ、GP100ペプチドは配列番号:
11を含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項7】
1以上のペプチドが樹状細胞に負荷される、請求項1-3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
アジュバントをさらに含む、請求項1-3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
アジュバントが、モンタニド(Montanide)ISA-51である、請求項8に記載の医薬組成
物。
【請求項10】
それを必要とする対象における、脳がんを治療、予防又は管理する方法であって、請求項1-3のいずれか1項に記載の医薬組成物を、該対象に投与することを含む、方法。
【請求項11】
対象にヘルパーT細胞エピトープを投与することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ヘルパーT細胞エピトープが、PADREペプチド、破傷風トキソイドペプチド、又はHBV128-140コアペプチドである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
対象に免疫応答調整物質を投与することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
免疫応答調整物質が、poly-ICLC又はイミキモドである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
対象がヒトである、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
対象に、皮下又は節内に医薬組成物を投与する、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
それを必要とする対象における、脳がんを治療、予防又は管理する方法であって、(i) IL-13Rα2ペプチド、EphA2ペプチド、survivinペプチド、WT1ペプチド、ヘルパーT細胞
エピトープ及びアジュバントを含む第1の医薬組成物、並びに、(ii) 免疫応答調整物質
を含む第2の医薬組成物、を該対象に投与することを含む、方法。
【請求項18】
それを必要とする対象における、脳がんを治療、予防又は管理する方法であって、(i) IL-13Rα2ペプチド、EphA2ペプチド、survivinペプチド、ヘルパーT細胞エピトープ及びアジュバントを含む第1の医薬組成物、並びに、(ii) 免疫応答調整物質を含む第2の医
薬組成物、を該対象に投与することを含む、方法。
【請求項19】
それを必要とする対象における、脳がんを治療、予防又は管理する方法であって、(i) 樹状細胞に負荷されたIL-13Rα2ペプチド、樹状細胞に負荷されたEphA2ペプチド、樹状細胞に負荷されたYKL-40ペプチド、樹状細胞に負荷されたGP100ペプチド、及びヘルパーT
細胞エピトープを含む第1の医薬組成物、並びに、(ii) 免疫応答調整物質を含む第2の
医薬組成物、を該対象に投与することを含む、方法。
【請求項20】
IL-13Rα2ペプチド、EphA2ペプチド及びもう1つのペプチドを含む、医薬組成物。
【請求項21】
他のペプチドがsurvivinペプチドである、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
他のペプチドがWT1ペプチドである、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項23】
他のペプチドがYKL-40ペプチドである、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項24】
他のペプチドがGP100ペプチドである、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項25】
患者にグリオーマのワクチン接種を行う方法であって、患者にCTL応答を発達させるの
に十分な条件下で、EphA2883-891を含む組成物を患者に導入する、方法。
【請求項26】
それを必要とする対象において脳がんを治療、予防又は管理するための、請求項1-3のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項27】
ヘルパーT細胞エピトープをさらに含む、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
ヘルパーT細胞エピトープが、PADREペプチド、破傷風トキソイドペプチド、又はHBV128-140コアペプチドである、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
免疫応答調整物質の使用をさらに含む、請求項26に記載の使用。
【請求項30】
免疫応答調整物質が、poly-ICLC又はイミキモドである、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
対象がヒトである、請求項26に記載の使用。
【請求項32】
医薬組成物が、皮下又は節内に使用するためである、請求項26に記載の使用。
【請求項33】
それを必要とする対象における、脳がんの治療、予防又は管理のために、(i) IL-13Rα2ペプチド、EphA2ペプチド、survivinペプチド、WT1ペプチド、ヘルパーT細胞エピトー
プ及びアジュバントを含む第1の医薬組成物、並びに、(ii) 免疫応答調整物質を含む第
2の医薬組成物の使用。
【請求項34】
それを必要とする対象における、脳がんの治療、予防又は管理のために、(i) IL-13Rα2ペプチド、EphA2ペプチド、survivinペプチド、ヘルパーT細胞エピトープ及びアジュバントを含む第1の医薬組成物、並びに、(ii) 免疫応答調整物質を含む第2の医薬組成物
の使用。
【請求項35】
それを必要とする対象における、脳がんの治療、予防又は管理のために、(i) 樹状細胞に負荷するIL-13Rα2ペプチド、樹状細胞に負荷するEphA2ペプチド、樹状細胞に負荷するYKL-40ペプチド、樹状細胞に負荷するGP100ペプチド及びヘルパーT細胞エピトープを含
む第1の医薬組成物、並びに、(ii) 免疫応答調整物質を含む第2の医薬組成物の使用。
【請求項36】
グリオーマに対するワクチン接種のための、CTL応答を発達させるのに十分な条件下で
、EphA2883-891を含む組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年8月24日に出願された、米国仮出願番号61/376,582の利益を主張し、これを参照として本明細書に援用する。
【0002】
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載)
本発明は、国立衛生研究所(NIH)によるグラント番号NS40923及びCA117152の下、政府の支援により行われた。政府は、当該発明に一定の権利を有する。
【0003】
(電子的に提出された資料の参照による援用)
本明細書と同時に提出された、2011年8月22日付、One 3.00 Kilobyte ASCII(Text)ファイル名「708849_ST25.TXT」として特定されるコンピューター読み取り可能なヌクレオチド/アミノ酸配列表の全体の内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0004】
1.イントロダクション
本発明は、インターロイキン-13受容体α2ペプチド脳がんワクチン、並びにそれらが必要な患者にインターロイキン-13受容体α2ペプチド脳がんワクチンを投与することを含む、脳がんを治療する方法及び脳がんのワクチン接種をする方法を提供する。本発明はインターロイキン-13受容体α2ペプチド並びに少なくとも一つの追加ペプチド及び/又は免疫賦活剤を含むワクチンレジメンも提供する。
【背景技術】
【0005】
2.背景技術
脳腫瘍は、手術、放射線治療、化学療法等の既存の方法では特に治療し難い。浸潤性の増殖パターン、血液脳関門等の因子により、悪性グリオーマの治療は他の腫瘍と比べてより問題である。患者への効果的な治療オプションが欠如しているため、免疫療法等の代替治療法の開発につながっている。
【0006】
免疫療法は、悪性グリオーマの治療において前途有望な新しいアプローチである。腫瘍抗原特異的なT細胞エピトープに対する合成ペプチドでパルスした自己グリオーマ細胞又は樹状細胞による末梢免疫の効能が、前臨床マウスモデルで実証された(Okada et al., 2001; Okada et al., 1998)。特異的なT細胞エピトープワクチンは、正常な脳の構成成分に対し、理論上自己免疫応答がないため、全グリオーマ細胞ワクチンと比べておそらく安全である。このような抗原特異的なアプローチは、巨大腫瘍抗原アプローチと比べて、より効果的であり得る。なぜなら、巨大腫瘍抗原より特定の抗原ペプチドを使用することで、より効率的に免疫原性T細胞エピトープの提示及び抗原特異的T細胞前駆体による刺激が生じるからである。
【0007】
ヒトグリオーマ関連抗原におけるT細胞免疫エピトープの同定は、ヒトグリオーマに対するこのようなワクチン開発には必要である。ヒト悪性グリオーマに対する細胞傷害性Tリンパ球(CTL)免疫エピトープは、ほとんど同定されていない。しかしながら、インターロイキン(IL)-13受容体(R)α2に由来するHLA(ヒトリンパ球抗原)-A2拘束性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)が近年同定された(Okano et al., 2002)。IL-13Rα2はヒト悪性グリオーマの大半で発現し、正常組織では発現しないことが既知であり(Debinski et al., 2000)、該同定されたエピトープ(IL-13Rα23
45-353)は、グリオーマに対するペプチドワクチンの魅力的な構成成分である。IL-13Rα2345-353ペプチドでCD8+細胞を刺激してユニークなCTL系を
作製したところ、IL-13Rα2陽性、HLA-A2陽性のグリオーマ細胞が、抗原特異的に効率的に溶解された。しかしながら、このようなペプチドワクチンが如何に効率的に特異的なCTLを誘導することができるのか、ペプチド類似体がIL-13Rα2特異的HLA-A2拘束性CTLの最適な増殖及び活性化に使用できるかどうか、については不明のままである。
【0008】
CTLエピトープとして同定されたペプチド中のあるアミノ酸を置換すると、該ペプチドのHLA(ヒトリンパ球抗原)複合体に対する結合親和性を大いに増加させ、該ペプチドの免疫原性を増加させることが実証された(Bownds et al., 2001; Chen et al., 2000)。IL-13Rα2345-353ペプチド及び他のこのようなエピトープの免疫原性を高めることは、強力かつ腫瘍特異的なペプチドワクチンの開発につながる可能性があり、悪性グリオーマの現行の治療レジームを著しく改善するであろう。しかしながら、HLA-A2拘束性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エピトープのためのポリペプチドを改善する必要が残っている。
【0009】
上述のとおり、ヒト悪性グリオーマの細胞傷害性Tリンパ球(CTL)免疫エピトープはほとんど同定されていない。グリオーマの顕著な抗原不均一性を考慮すると、一つの腫瘍特異的T細胞エピトープによる免疫治療は、抗原欠損バリアント(variants)の進行前の、病気の一時的な安定化を促すだけかもしれない。EphA2は、受容体チロシンキナーゼのEphファミリーのメンバーの1つであって、Ephファミリーは2つの主要なクラス(EphA2及びEphB)からなり、両者はリガンド(それぞれ、ephrin-A及びephrin-B)に対する特異性で区別される。EphA2は、転移巣等の進行がんで頻繁に過剰発現し、しばしば機能的に調節不全となる(Kinch et al., 2003)。悪性グリオーマの攻撃的かつ浸潤的な性質により、EphA2は当該腫瘍実体に発現するかもしれず、グリオーマワクチンの潜在的な標的になり得る。EphA2におけるT細胞免疫エピトープが同定され、がん免疫療法の潜在的な標的及び他の形態の代用マーカーとして特徴付けられた(Alves et al., 2003, and Tatsumi et al., 2003)。さらなるCTLエピトープを同定することが、悪性グリオーマの現在の治療レジメにおいて顕著な改善をもたらすであろうグリオーマに対するマルチエピトープワクチン開発の必要なステップである。
【0010】
3.概要
1態様として、本発明はHLA-A2拘束性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エピトープとして役立つIL-13α2由来のペプチドを提供する。IL-13α2ペプチドは、WLPFGFILI(配列番号:1)の置換変異バリアントであって、アミノ酸残基の少なくとも1つが、該表示された残基以外のアミノ酸に置換され得る、バリアントを含み、からなり、又はそれらから実質的になり得る。さらに、IL-13α2ペプチドは、以下の配列:WLPFGFILV(配列番号:2)、ALPFGFILV(配列番号:3)、又はELPFGFILV(配列番号:4)のいずれかを実質的に含み、からなる、又は含み得る。
【0011】
また、グリオーマに対するワクチンとしての、上記IL-13Rα2のいずれかの使用も提供する。加えて、本発明は、患者がCTL応答を誘導するのに十分な条件下で該ペプチドを導入し、患者にグリオーマのワクチン接種をする方法も提供する。さらに、本発明はTLADFDPRV(配列番号:6)の配列を有するEphA2ペプチドの使用、又はグリオーマに対するワクチンとして、該ペプチド及び生理学的に許容される担体を含む組成物も提供する。また、本発明はTLADFDPRV(配列番号:6)の配列を有するEphA2ペプチド又は該ペプチド及び生理学的に許容される担体を含む組成物が、患者のCTL応答を誘導するのに十分な条件下で患者に導入することを特徴とする、患者にグリオーマのワクチン接種をする方法も提供する。
【0012】
別の態様として、本発明は1つのIL-13Rα2ペプチド及び1、2、3又はそれ以上の脳がんに関連する追加のペプチドを有するIL-13Rα2ペプチドワクチンを提供する。特定の実施形態として、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンは、1以上のヘルパーT細胞エピトープ及び/又は免疫応答調整物質(modifier)と同時に投与される。該実施態様では、該1以上のヘルパーT細胞エピトープ及び/又は1以上の免疫応答調整物質は、該ワクチンの一部として(例えば、該IL-13Rα2ペプチド及び1、2、3又はそれ以上の脳がんに関連する追加のペプチドを含む溶液)、又は該ワクチンとは別に(すなわち、該ヘルパーT細胞エピトープ及び/又は免疫応答調整物質がワクチン製剤の一部ではない製剤として投与され得る)投与されてよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンは、無細胞ワクチンとして投与される。他の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンは、アジュバントと共に投与される。好ましい実施態様として、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、追加のペプチドと共に投与される。他の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、免疫調節剤と共に投与される。他の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、免疫調節剤での注射を含むレジメンの構成成分として、モンタニド(Montanide)ISA-51のエマルジョンとして投与される。好ましい実施
形態では、免疫刺激剤はpoly-ICLCである。他の実施形態として、ここで記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンは樹状細胞ワクチンとして投与される。
【0013】
1態様として、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、IL-13Rα2ペプチド、EphA2ペプチド、YKL-40ペプチド及びGP100を含む。特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、配列番号:1-4に表されるいずれかに記載のIL-13Rα2ペプチド、配列番号:6に表されるEphA2ペプチド、配列番号:10に表されるYKL-40ペプチド、配列番号:11に表されるGP100ペプチドを含む。他の特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、配列番号:3に表されるペプチドIL-13Rα2ペプチド、配列番号:6に表されるEphA2ペプチド、配列番号:10に表されるYKL-40ペプチド、配列番号:11に表されるGP100ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、1以上のヘルパーT細胞エピトープと同時に投与される。特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、ヘルパーT細胞エピトープがPADREペプチドである1以上のヘルパーT細胞エピトープと同時に投与される。いくつかの実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、免疫応答調整物質と同時に投与される。いくつかの実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、無細胞ワクチンである。他の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、樹状細胞ワクチンである。
【0014】
他の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、IL-13Rα2ペプチド、IEphA2ペプチド、survivinペプチド及びWT1ペプチドを含む。特定の実施形態では、配列番号:1-4に表されるいずれかに記載のIL-13Rα2ペプチド、配列番号:6に表されるEphA2ペプチド、配列番号:7に表されるsurvivinペプチド、配列番号:8に表されるWT1ペプチドを含む。他の特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、配列番号:3に表されるIL-13Rα2ペプチド、配列番号:6に表されるEphA2ペプチド、配列番号:7に表されるsurvivinペプチド、配列番号:8に表されるWT1ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは1以上のヘルパーT細胞エピトープと同時に投与される。特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンはヘルパーT細胞エピトープが破傷風トキソイドであるヘルパーT細胞エピトープと同時に投与される。いくつかの実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは1以上の免疫応答調整物質と同時に投与される。特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは免疫応答調整物質がpoly-ICLCである免疫応答調整物質と同時に投与される。特定の実施形
態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、免疫応答調整物質はMontanide
ISA-51である免疫応答調整物質と同時に投与される。いくつかの実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは無細胞ワクチンである。他の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは樹状細胞ワクチンである。
【0015】
他の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンはIL-13Rα2ペプチド、EphA2ペプチド及びsurvivinペプチドを含む。特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは配列番号:1-4に表されるいずれかのIL-13Rα2ペプチド、配列番号:6に表されるEphA2ペプチド、配列番号:7に表されるsurvivinペプチドを含む。他の特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは配列番号:3に表されるIL-13Rα2、配列番号:6に表されるEphA2ペプチド、配列番号:7に表されるsurvivinペプチドを含む。いくつかの実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、1以上のヘルパーT細胞エピトープと同時に投与される。特定の実施形態ではIL-13Rα2ペプチドワクチンは、ヘルパーT細胞エピトープが破傷風トキソイドであるヘルパーT細胞エピトープと同時に投与される。いくつかの実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは1以上の免疫応答調整物質と同時に投与される。特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、免疫応答調整物質がpoly-ICLCである免疫応答調整物質と同時に投与される。特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、免疫応答調整物質がMontanide ISA-51である免疫応答調整物質と投与される。他の実施形態では、他の実施形態ではIL-13Rα2ペプチドワクチンは樹状細胞ワクチンである。
【0016】
4.定義
本明細書で用いられる用語「約」又は「およそ」と数を組み合わせて使用した場合、参照数の1、5又は10%以内の任意の数を意味する。
【0017】
本明細書で用いられる用語「剤」は、本明細書に記載されるインターロイキン-13受容体α2ペプチド脳がんワクチンで使用されるか、又は組み合わせて使用される任意の分子、化合物及び/又は物質を意味する。該剤という用語は、タンパク質、免疫グロブリン(例えば、多選択性(multi-specific)Ig、単鎖Ig、Ig断片、ポリクローナル抗体及びその断片、モノクローナル抗体及びその断片)、ペプチド(例えば、ペプチド受容体、セレクチン)、結合タンパク質、生物製剤、化学特異性剤、化学毒性剤(Chemotoxic agent)、抗血管新生剤、小分子薬が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
本明細書で用いられる用語「アミノ酸配列同一性」とは、通常、パーセンテージで表されるアミノ酸配列アライメントのペア同士の同一性又は類似性の度合いを意味する。本明細書で用いられる用語「パーセント同一」、「同一のパーセント」、「%同一」、「%の同一」とは、アミノ酸配列に関する場合、最大のパーセント配列相同性を達成するために、必要であれば、配列のアライメントを行い、ギャップを導入した後に、該ペプチド中の対応するアミノ酸残基と同一(すなわち、該アライメント中の指定の位置にあるアミノ酸残基は同一残基)である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントを意味する。
本明細書で用いられる用語「パーセント類似」、「類似のパーセント」、「%類似」、「%の類似」とは、アミノ酸配列に関する場合、最大のパーセント配列相同性を達成するために、必要であれば、配列のアライメントを行い、ギャップを導入した後に、該ペプチド中の対応するアミノ酸残基と類似する(すなわち、後述するように、該アライメント中の指定の位置にあるアミノ酸残基の置換が同類置換)候補配列中のアミノ酸残基のパーセントを意味する。配列同一及び類似のパーセントを含む、配列相同性は、当該目的のために設計されたコンピュータアルゴリズムを含む当該技術分野でよく知られている配列アライメント技術、該コンピュータアルゴリズムのデフォルトパラメータ又はこれらを含むソフトウエアパッケージを使用して決定される。
【0019】
本明細書で用いられる用語「同類置換」とは、同じクラスの別のアミノ酸と1つのクラスのアミノ酸の置換を意味する。特定の実施形態では、同類置換はペプチドの構造若しくは機能又はその両者を変更するものではない。同類置換のためのアミノ酸のクラスは、疎水性(Met、Ala、Val、Leu、Ile)、中性親水性(Cys、Ser、Thr)、酸性(Asp、Glu)、塩基性(Asn、Gln、His、Lys、Arg)、立体構造のかく乱(conformation disrupters);(Gly、Pro)、芳香族(Trp
、Tyr、Phe)が含まれる。
【0020】
本明細書で用いられる用語「ペプチド」とは、当業者に既知のように、アミド結合により連結されたアミノ酸のポリマーを意味する。ペプチドは、共有アミド結合により4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100又はそれ以上のアミノ酸が連結されたポリマーであり得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、共有アミド結合により6-8、8-10、10-15、10-20、10-25、10-30、10-40、10-50又は25-25アミノ酸が連結されたポリマーである。特定の実施形態では、ペプチドは、共有アミド結合により50-65、50-75、50-85、50-95、50-100、75-100のアミノ酸が連結されたポリマーである。本明細書で記載されるように、該用語は共有アミド結合により連結された単一ペプチド鎖を意味することができる。該用語は、イオン結合、水素結合、ファンデルワールス力、疎水性結合等の非共有結合で結合する複数のペプチド鎖も意味することができる。当業者は、該用語が修飾されたペプチド、例えば、シグナルペプチドの切断、ジスルフィド結合の形成、グリコシル化(例えば、N-結合型グリコシル化)、プロテアーゼ切断及び脂質修飾(例えば、S-パルミトイル化)等の翻訳後修飾を含むことも認識するであろう。
【0021】
本明細書で用いられる用語「精製された」、「単離された」とは、天然資源、例えば、細胞から得られたペプチドと関連して使用さる場合、ペプチドが天然資源の汚染物質、例えば、土粒子、ミネラル、環境からの化学物質、及び/又は該天然資源からの細胞内物質、細胞内に存在する細胞破片、細胞壁物質、膜、オルガネラ、多量の核酸、炭水化物、タンパク質、及び/又は脂質などが挙げられるが、これらに限定されない、を実質的に含まないことを意味する。したがって、単離されたペプチドは、約30%、20%、10%、5%、2%又は1%(乾燥重量)未満、細胞内物質の及び/又は汚染物質を含有するポリペプチドの調製物が含まれる。本明細書で用いられる用語「精製された」、「単離された」とは、化学合成されたペプチドと関連して使用される場合、該ポリペプチドの合成に関与する化学的前駆体又は他の化学物質が実質的に含まれないペプチドを意味する。
【0022】
本明細書で用いられる用語「核酸」とは、DNA分子(例えば、cDNA又はゲノムDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)、核酸類似体を使用して作製されるDNA又はRNA類似体を含むように意図されている。核酸は、1本鎖又は2本鎖であり得る。
【0023】
本明細書で用いられる用語「予防ワクチン」とは、がんを予防するために使用される本明細書に記載されるワクチンを意味する。
【0024】
本明細書で用いられる用語「予防に有効なレジメン」とは、脳がん又はその症状の予防のために1以上の治療を行う行為の投薬、タイミング、頻度及び期間に有効なレジメンを意味する。
【0025】
本明細書で用いられる用語「治療ワクチン」とは、脳がんを治療及び/又は管理するために使用される本明細書に記載されるワクチンを意味する。
【0026】
本明細書で用いられる用語「治療に有効なレジメン」とは、脳がん又はその症状の治療及び/又は管理の1以上の治療を行う行為の投薬、タイミング、頻度及び期間のためのレジメンを意味する。
【0027】
本明細書で用いられる用語「対象」、「患者」とは、互換的に使用され、動物(例えば、鳥、両生類及び哺乳類)を意味し使用される。特定の実施形態では、対象は鳥である。他の実施形態では、対象は動物で非霊長類(例えば、ラクダ、ロバ、シマウマ、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ラット及びマウス)、及び霊長類(例えば、サル、チンパンジー及びヒト)を含む哺乳動物である。特定の実施形態では、対象は非ヒト動物である。いくつかの実施形態では、対象は家畜又はペットである。他の実施形態では、対象はヒトである。他の実施形態では、対象はヒト乳児である。他の実施形態では、対象はヒト幼児である。他の実施形態では、対象は子供である。他の実施形態では、対象は成人である。他の実施形態では、対象は高齢者である。
【0028】
本明細書で用いられる用語「ヒト乳児」は、生まれてから1歳のヒトを意味する。
【0029】
本明細書で用いられる用語「ヒト幼児」は、1歳から3歳のヒトを意味する。
【0030】
本明細書で用いられる用語「子供」とは、1歳から18歳のヒトを意味する。
【0031】
本明細書で用いられる用語「成人」とは、18歳以上のヒトを意味する。
【0032】
本明細書で用いられる用語「高齢者」とは、65歳以上のヒトを意味する。
【0033】
本明細書で用いられる用語「脳がん」とは、頭蓋内又は中央脊柱管に存在する腫瘍を意味する。脳がんとは、原発腫瘍(すなわち、頭蓋内球又は中央脊柱管にで発生した腫瘍)、二次性腫瘍(すなわち、他の組織で最初に存在していた腫瘍から発生した後に、頭蓋内球又は中央脊柱管に浸潤した腫瘍)両者を意味する。
【0034】
本明細書で用いられる用語「治療」は、脳がん又はそれに関連する病気若しくは症状の予防又は治療に使用され得る、いかなるプロトコール、方法、組成、製剤及び/又は剤も意味することができる。特定の実施形態では、「治療」は、当業者に知られた脳がん又はそれに関連する病気又は症状を治療又は予防するのに有用な生物学的療法、支持療法及び/又は他の療法を意味する。
【0035】
本明細書で用いられる用語「有効量」とは、脳がん及び/又は1以上の脳がんの症状の発達、再発、又は発病を予防し、他の療法の予防効果を高める又は改善し、脳がんの重症度、持続を減らし、1以上の症状を改善し、脳がんの進行を予防し、脳がんの退縮を起こし、及び/又は他の療法の治療効果を高める又は改善するのに十分な治療の量を意味する。
【0036】
本明細書で用いられる用語「組み合わせて」とは、対象への治療の投与と関連する場合、2以上の治療(例えば、予防及び/又は治療)の使用を意味する。「組み合わせて」という用語の使用は、対象に投与される治療(例えば、1次及び2次治療)順に限定されない。治療は、脳がんであった、脳がんである又は脳がんの可能性のある対象に、2次治療の前(例えば、1分、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間前)、と同時に、又は後で(例えば、1分、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、
8週間、又は12週間後)治療の投与を行うことができる。治療は、対象に、共に作用するなような順及び時間間隔内で投与することができる。特定の実施形態では、治療は別々に投与された場合、増加した利益を提供するような順及び時間間隔内で投与される。任意の追加の治療が、他の付加治療と任意の順序で投与することができる。
【0037】
本明細書で用いられる用語「管理する」、「管理している」、「管理」とは、対象への治療の投与との関連で、脳がんの治癒をもたらしていないが、1つの治療(例えば、予防又は治療ワクチン)又は複数の治療の組み合わせから得られる有益な効果を意味する。特定の実施形態では、対象は、病態の進行又は悪化を防ぐために、脳がんを管理するための1以上の治療(例えば、1以上の予防又は治療ワクチン)が投与される。
【0038】
本明細書で用いられる用語「予防する」、「予防している」及び「予防」とは、対象への治療の投与との関連で、1つの治療(例えば、予防又は治療薬)、又は複数の治療の組み合わせ(例えば、予防又は治療薬の組み合わせの投与から得られる、脳がんの再発、発病及び/又はそれに関連する症状の予防又は阻止を意味する。
【0039】
本明細書で用いられる用語「同時に」とは、併用効果(つまり、同時にはおそらく一斉に、又は、互いの前後の期間内に起き得る2つ以上の事象)を生み出すのに十分なほど時間が近接していることを意味する。他の剤と投与される場合、本明細書で提供されるIL-13Rα2ペプチドワクチンは、他の活性剤と共に投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるIL-13Rα2ペプチドワクチン及び1以上の他の剤(例えば、ヘルパーT細胞エピトープ、アジュバント、及び/又は免疫応答調整物質)は、対象に同時に投与され、そこで投与される本明細書で提供されるIL-13Rα2ペプチドワクチン及び1以上の他の剤は、同一組成物である。他の実施形態では、本明細書で提供されるIL-13Rα2ペプチドワクチン及び1以上の他の剤(例えば、ヘルパーT細胞エピトープ、アジュバント、及び/又は免疫応答調整物質)は同時に対象に投与され、本明細書で提供されるIL-13Rα2ペプチドワクチン及び1以上の他の剤は同一組成物ではない。一つの実施形態では、該剤は、IL-13Rα2ペプチドワクチンとともに投与される剤は、分けて注射される。特定の実施形態では、本明細書で提供されるIL-13Rα2ペプチドワクチン及び1以上の他の試薬、例えば、ヘルパーT細胞エピトープ、アジュバント及び/又は免疫応答調整物質)は、同時に対象に投与され、その併用投与は、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、10時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間又は2週間分けられる。
【0040】
本明細書で用いられる用語「脳がん関連ペプチド」とは、1以上の脳がんと関連し、かつ、HLA-A2拘束性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エピトープとして役立つぺプチドを意味する。いくつかの実施形態では、脳がん関連ペプチドは、グリオーマ関連ペプチド、すなわち、該ペプチドが関連する脳がんは、グリオーマである。好ましい実施形態では、該がん関連ペプチドはグリオーマ細胞により発現される。例となる脳がん関連ペプチドには、IL-13Rα2ペプチド、EphA2ペプチド、YKL-40ペプチド、GP100ペプチド、survivinペプチド及びWT1ペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書で用いられる用語「IL-13Rα2ペプチド」とは、IL-13Rα2タンパク質に由来し、かつ、HLA-A2拘束性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エピトープとして役立つぺプチドを意味する。特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドが由来するIL-13Rα2タンパク質は、ヒトIL-13Rα2タンパク質である。他の特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドは、配列番号:1-4のいずれかの配列を有する。いくつかの実施形態では、IL-13Rα2ペプチドは、IL-13Rα2タンパク質の天然(例えば、野生型)の形態で存在するようなIL-13Rα2ペプチドに対
して、1、2、3以上のアミノ酸変異(例えば、付加、置換、欠失)を含む。
【0042】
本明細書で用いられる用語「EphA2ペプチド」とは、EphA2タンパク質に由来し、かつ、HLA-A2拘束性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エピトープとして役立つぺプチドを意味する。特定の実施形態では、EphA2ペプチドが由来するEphA2タンパク質は、ヒトEphA2タンパク質である。他の特定の実施形態では、EphA2ペプチドは、配列番号:6の配列を有する。いくつかの実施形態では、EphA2ペプチドは、EphA2タンパク質の天然(例えば、野生型)の形態で存在するようなEphA2ペプチドに対して、1、2、3以上のアミノ酸変異(例えば、付加、置換、欠失)を含む。
【0043】
本明細書で用いられる用語「YKL-40ペプチド」とは、YKL-40タンパク質に由来し、かつ、HLA-A2拘束性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エピトープとして役立つぺプチドを意味する。特定の実施形態では、YKL-40ペプチドが由来するYKL-40タンパク質は、ヒトYKL-40タンパク質である。他の特定の実施形態では、YKL-40ペプチドは、配列番号:10の配列を有する。いくつかの実施形態では、YKL-40ペプチドは、YKL-40タンパク質の天然(例えば、野生型)の形態で存在するようなYKL-40ペプチドに対して、1、2、3以上のアミノ酸変異(例えば、付加、置換、欠失)を含む。
【0044】
本明細書で用いられる用語「GP100ペプチド」とは、GP100タンパク質に由来し、かつ、HLA-A2拘束性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エピトープとして役立つぺプチドを意味する。特定の実施形態では、GP100ペプチドが由来するGP100タンパク質は、ヒトGP100タンパク質である。他の特定の実施形態では、GP100ペプチドは、配列番号:11の配列を有する。いくつかの実施形態では、GP100ペプチドは、GP100タンパク質の天然(例えば、野生型)の形態で存在するようなGP100ペプチドに対して、1、2、3以上のアミノ酸変異(例えば、付加、置換、欠失)を含む。
【0045】
本明細書で用いられる用語「survivinペプチド」とは、survivinタンパク質に由来し、かつ、HLA-A2拘束性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エピトープとして役立つぺプチドを意味する。特定の実施形態では、survivinペプチドが由来するsurvivinタンパク質は、ヒトsurvivinタンパク質である。他の特定の実施形態では、survivinペプチドは、配列番号:7の配列を有する。いくつかの実施形態では、survivinペプチドは、survivinタンパク質の天然(例えば、野生型)の形態で存在するようなsurvivinペプチドに対して、1、2、3以上のアミノ酸変異(例えば、付加、置換、欠失)を含む。
【0046】
本明細書で用いられる用語「WT1ペプチド」とは、WT1タンパク質に由来し、かつ、HLA-A2拘束性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エピトープとして役立つぺプチドを意味する。特定の実施形態では、WT1ペプチドが由来するWT1タンパク質は、ヒトWT1タンパク質である。他の特定の実施形態では、WT1ペプチドは、配列番号:7の配列を有する。いくつかの実施形態では、WT1ペプチドは、WT1タンパク質の天然(例えば、野生型)の形態で存在するようなWT1ペプチドに対して、1、2、3以上のアミノ酸変異(例えば、付加、置換、欠失)を含む。
【0047】
本明細書で用いられる用語「無細胞ワクチン」とは、IL-13Rα2ペプチドがワクチン(例えば、IL-13Rα2に由来するペプチドが溶液中に存在する)中の細胞(例えば、樹状細胞)に負荷されていないIL-13Rα2ペプチドを含むワクチンを意味する。好ましい実施形態では、該ペプチドは、アジュバントで乳化される。他の好ましい実
施形態では、該アジュバントは、Montanide ISA 51である。
【0048】
本明細書で用いられる用語「樹状細胞ワクチン」とは、IL-13Rα2ペプチドがワクチン中の樹状細胞に負荷されるIL-13Rα2ペプチドを含むワクチンを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】
図1は、様々な濃度の天然IL-13Rα2
345-353で負荷したT2細胞に対し、IL-13Rα2-V9及びIL-13Rα2-A 1V9が、天然のIL-13Rα2
345-353又はIL-13Rα2-E 1V9と比べて、CTL反応性が高かったことを実証するデータを図示する。HLA-A2
+グリオーマ患者由来のCD8
+T細胞を、10日間、それぞれ、天然IL-13Rα2
345-353(●)、IL-13Rα2-V9(○)、IL-13Rα2-A1V9(△)、IL-13Rα2-E1V9(X)、Influenza M1
58-66ペプチド(▼)又はペプチド無し(□)で負荷した樹状細胞で刺激した。その後、該T細胞は、4時間
51Cr-放出アッセイにより、表示された濃度のIL-13Rα2
345-353又はペプチド無しで負荷し、T2細胞に対する溶解活性を試験した。E/T比は12.5であった。P<0.01は、Student-t testの両側検定による、0.1及び1nMでの天然対IL-13Rα2-A 1V9と同様に、天然対IL-13Rα2-V9である。これらのデータは、類似の結果を示す3つの独立した実験の1つを示す。
【
図2】
図2は、V9ペプチド(白丸)により誘導されたCTL系は、様々な濃度の野生型IL-13Rα2
345-353ペプチドで負荷したT2細胞に対し溶解活性が増加したことを実証するデータを図示する。3つのアゴニスト類似体(V9(白丸)、A1V9(三角);E1V9(X))又は野生型ペプチド(黒丸)それぞれによって誘導された該CTL系は、4時間
51Cr-放出アッセイにより、様々な濃度(1-100nM)のIL-13Rα2
345-353で負荷したT2細胞とともに、標的IL-13Rα2
345-353ペプチドのより低い濃度に対するCTL反応性を検討した(E/T比=50)。
【
図3】
図3は、ヒトグリオーマ細胞系に対し、天然のIL-13Rα2
345-353と比べて、より高い大きさのCTL反応性を誘導した修飾ペプチドを実証するデータを図示する。HLA-A2+グリオーマ患者に由来するCD8
+細胞を、天然のIL-13Rα2
345-353(●)、IL-13Rα2-V9(○)、IL-13Rα2-A1V9(△)又はIL-13Rα2-E1V9(X)で刺激した。10日目に、該細胞について、4時間
51Cr-放出アッセイで、ヒトグリオーマ細胞SNB19(A)及びU-251(B)(共にIL-13Rα+/HLA-A2+)に対する溶解能を試験した。SNB19グリオーマ細胞に対し、全てのE/T比での、P<0.05は、Student-t testの両側検定による、IL-13Rα2-A1V9対天然のIL-13Rα2
345-353と同様に、IL-13Rα2-V9対天然IL-13Rα2
345-353である。U251グリオーマ細胞に対し、Student-t testの両側検定による、IL-13Rα2-A1V9対天然のIL-13Rα2
345-353と同様に、IL-13Rα2-V9対天然IL-13Rα2
345-353の10及び40のE/T比で、P<0.05である。当該データは、類似の結果を示す異なるドナーの3つの実験の1つを示す。
【
図4】
図4は、IL-13Rα2
345-353でパルスした「コールド」のT2細胞の追加により、CTL系の抗原特異性を示すCTL活性が阻害されたことを実証するデータを図示する。それぞれのペプチド(コントロール(A);Flu(B);IL-13Rα2
345-353(C);IL-13Rα2
345-9V(D))で誘導されたCTL系を、特異的溶解能の評価のために、示されるE:T比で
51Cr-標識されたヒトグリオーマ細胞系SNB19とともに4時間培養した(●)。コールド標的阻害アッセイのため、ペプチドIL-13Rα2
345-353有(△)、無(○)でパルスした
51Cr-標識された標的SNB19細胞(1x10
3細胞/ウェル)及びコールドT2細胞(1x10
4細胞/ウェル)をCTLとともに培養した。
【
図5】
図5は、抗HLA-A2抗体の追加により、CTL系のHLA-A2-拘束性認識を示すCTL活性が阻害されたことを実証するデータを図示する。それぞれのペプチド(コントロール(A);Flu(B);IL-13Rα2
345-353(C);IL-13Rα2
345-9V(D))で誘導したCTL系を、特異的な溶解能の評価のE:T比を示す
51Cr-標識されたヒトグリオーマ細胞系SNB19とともに4時間培養した(●)。T細胞(○)によるHLA-A2-媒介認識の機能をブロックするために、抗HLA-A2抗体(W6/32;10μg/ml)を追加した。
【
図6】
図6は、天然のIL-13Rα2
345-353で負荷したEL4-HHDに対し、天然のIL-13Rα2
345-353よりも修飾したペプチドが、より高いCTL反応性を誘導したことを実証するデータを図示する。コントロールMART-1
27-35(●)、天然のIL-13Rα2
345-353(○)、IL-13Rα2-V9(△)又はIL-13Rα2-A1V9(X)のいずれかで免疫したHHDマウスから得たSPCにつき、標準的な4時間
51Cr-放出アッセイで、天然のIL-13Rα2
345-353でパルスしたEL4-HHDに対する特異的な溶解活性を試験した。
【
図7】
図7は、EL4-HHD-IL-13Rαに対し、天然のIL-13Rα2
345-353よりも修飾したペプチドが、より高いCTL反応性を誘導したことを実証するデータを図示する。コントロールMART-1
27-35(A)、天然のIL-13Rα2
345-353(B)、IL-13Rα2-V9(C)、又はIL-13Rα2-A1V9(D)のいずれかで免疫したHHDマウスから得たSPCにつき、標準的な4時間
51Cr-放出アッセイでEL4-HHD-IL-13Rα2(○)又はコントロールEL4-HHD(●)に対する特異的な溶解活性を試験した。
【
図8】
図8は、多形性膠芽腫(glioblastoma multiforme;GBM)及び未分化星状細胞腫(AA)におけるEphA2タンパク質の発現を示す。GBM(A-C)又はAA(D)の患者から得られた外科標本のパラフィン包埋切片を脱パラフィン化し、抗EphA2ポリクローナル抗体(C-20: Santa Cruz Biotechnology, Inc., Santa Cruz, Calif.)又はコントロールウサギIgG(右上隅のウインドウは各サンプル)で染色した。血管で囲まれた内皮及び腫瘍細胞で比較的密な染色が観察された(D)。検討した14GBMのうち9、及び9AAのうち6ケースがEphA2陽性であった(データ示さず)。倍率;原寸×20
【
図9】
図9は、EphA2
883-891で刺激したCD8
+細胞が、HLA-A2及びEphA2タンパク質を発現するヒトグリオーマ細胞に対し、CTL応答を誘発したことを実証するデータを図示する。HLA-A2
+グリオーマ患者からのCD8
+T細胞を、10日間EphA2
883-891で負荷したDCで刺激した。これらのT細胞を、4時間
51Cr-放出アッセイにより、ヒトグリオーマ細胞SNB19(HLA-A2+、EphA2+)(▲)、U251(HLA-A2+、EphA2+)(■)及びA172(HLA-A2-、EphA2+)(▼)に対する溶解活性を試験した。
【
図10】
図10:IL-12産生レベルがTTPと正の相関が認められた。P=0.0255は、尤度比検定に続いてコックス回帰に基づいた。黒丸は、既に進行した患者を示し、黒塗菱形は、今日に至るまで再発していない患者を表す。
【
図11】
図11:IFN-γ ELISPOTで評価したIL-13Rα2(A)、PADRE(B)、EphA2(C)、YKL-40(D)又はgp100(E)に対するT-細胞応答。全ての評価した患者のIFN-γESLIPOTアッセイの時間経過を箱ひげ図(Box Plot)で示す(箱=25回-75回 パーセンタイル値;垂直線=最少-最大)。YKL-40(D)のパネルにおいて各時点の下部にある数字は、該示された時間で評価可能な患者数を示す。これらの数は、他のGAA及びPADREに関連する。
【
図12】
図12:IFN-γ ELISPOTで評価した患者10のIL-13Rα2(■)、PADRE(*)、EphA2(▲)、YKL-40(◆)又はgp100(●)に対するT-細胞応答。
【
図13】
図13:患者6は、最長33週間まで分析され、耐久テトラマー応答を示した(IL-13Rα2テトラマー+細胞(■);EphA2テトラマー+細胞(▲);gp100テトラマー+細胞(●))(C)。IL-13Rα2-エピトープに対する陽性テトラマー応答のドットプロットの例が示される(A-B)。
【
図14】
図14:1型サイトカイン及びケモカイン応答の誘導。線グラフは、ケース番号10(■)、11(|)、16(△)、19(□)又は22(?)の1回目のワクチン後24時間と比較した、1回目ワクチン接種の前日に、RT-PCRによるIFNα1(A)、CXCL10(B)、CCL5(C)、IL-12α(D)、TLR3(E)又はCCL22(F)につき、ペアの対遺伝子発現を示す。Y軸は、pg/mlでサイトカイン/ケモカインの濃度を示す。各(A)-(F)のパネル中の数字は、各患者のΔΔC
T値の平均を用いたPaired Student t-testに基づくP値を示す。
【
図15】
図15:1型サイトカイン及びケモカイン応答の誘導。線グラフは、ケース番号9(●)、10(■)、12(記号なし)、16(△)、18(○)、19(□)又は20(▲)の1回目のワクチン後9週間と比較した1回目ワクチン接種の前日にRT-PCRによりIFNα1(A)、CXCL10(B)、IFNγ(C)、TLR3(D)のペアの相対遺伝子発現を示す。Y軸は、pg/mlでサイトカイン/ケモカインの濃度を示す。各(A)-(D)のパネル中の数字は、各患者のΔΔC
T値の平均を用いたPaired Student t-testに基づくP値を示す。
【
図16】
図16:1回目前及び4回目後ワクチン血清サンプルでLuminex分析を行った。Y軸は、pg/mlでサイトカイン/ケモカインの濃度を示す。各(A)-(E)のパネル中の数字は、濃度の平均を用いたPaired Student t-testに基づくP値を示す。
【
図17】
図17:患者1は、2回のブースターワクチンに続きGd-強化された病巣の大きさの増加を示し該病変の外科的切除が行われた。In situ hybridizationにより、ワクチン接種後の組織(B)におけるCXCL10(ダークスポット)のmRNAが検出されたが、最初に切除された腫瘍(ワクチン接種前)(A)では検出されなかった。コントロール(C)。他の2つのワクチン接種前の組織は、CXCL10メッセンジャー陽性を示さなかった。スケールバーは、100μmに相当する。ヘマトキシリン及びエオシン染色をバックグラウンドのために行った。
【
図18】
図18:臨床反応を有する患者。患者20は、17週間及び33週間MRIでGd-強化腫瘍の完全放射線応答を示した(3つの連続した切片は0週(A-C)、17週(D-F)及び33週(G-I)を示す)。2回のブースターワクチンに続き、患者1は、Gd-強化病巣の増大を示した。切除された組織は、有糸分裂活発な腫瘍(J)の兆候はないが、CD68
+マクロファージ(K)及びCD8
+T細胞(L)は顕著な浸潤があることを明らかにした。J-Lの倍率;原寸×20。
【
図19】
図19:検査のためのフロー図。治療の詳細についてセクション7.7を参照。ブースターワクチンの第2フェーズは、患者が主要なSE又は病気の進行を示さない限り、37週間後のいつからでもスタート可能で、最初のワクチン接種から3ヶ月毎に最大3年まで投与された。αDC1ワクチンは、超音波を使って、鼠径リンパ節(右及び左は、各々第1回目及び第2回目ワクチン接種を示す)及び腋窩リンパ節(右及び左は、各々3回目及び4回目のワクチン接種)にまで投与された。当該部位は、短期間で注射を繰り返すことによるリンパ節の微小環境での注射による外傷の潜在的影響を最小限にするため、ブースターワクチンのと同じ順番で回転させた。
【
図20】
図20:GBM(■)及びAG(◆)の無増悪期間(A)及び全生存期間(B)。TTP中央値は、GBM及びAGそれぞれで4及び13ヶ月であった。
【
図21】
図21:IFAペプチドワクチンは、poly-ICLCの筋肉内注射(i.m.)と組み合わせた樹状細胞ワクチンに対し、より優れたCTL活性を誘導する。C57BL/6マウスが2回の注射(0日及び7日に)を受けた。1)皮下(s.c.)IFA(IFA-OVA)でエマルジョン化されたオボアルブミン
257-264ペプチドプラス同時に、i.m.poly-ICLC(50μg/注射);2)s.c.IFA-OVAプラスi.m.生理食塩水;3)オボアルブミン
257-264ペプチドで負荷した骨髄由来樹状細胞(DC-OVA)プラスi.m.poly-ICLC;又は4)DC-OVAプラスi.m.生理食塩水。他のコントロール群は、OVA-ペプチド無しでIFA又は樹状細胞のみの注射を受けたマウスを含んだ。poly-ICLCと組み合わせたIFA-OVAワクチンは、in vivoにおいて、最も高いOVA特異的なCTLレベルを示した。IFAで乳化された非変異自己GAAペプチドとpoly-ICLCの使用は、自己免疫誘導なしにマウスの生存を改善した。これらのデータは、poly-ICLC補助型IFA-ペプチドワクチンが効果的かつ安全なワクチン戦略であることを示すことを実証する。
【発明の詳細な説明】
【0050】
本明細書は、IL-13Rα2ペプチドを含むインターロイキン13受容体α2(IL-13Rα2)ペプチドワクチンを提供する。本明細書で提供される該IL-13Rα2ペプチドワクチンは、IL-13Rα2ペプチド及び少なくとも1つの追加的な脳がん関連ペプチドを含む。
【0051】
一形態において、本明細書で提供されるIL-13Rα2ペプチドワクチンは、IL-13Rα2ペプチド及び1、2、3又はそれ以上の追加の脳がん関連ペプチドを含む。特定の実施形態では、本明細書で記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンは、1以上のヘルパーT細胞エピトープ及び/又は1以上の免疫応答調整物質とともに投与される。当該実施形態に応じて、1以上のヘルパーT細胞エピトープ及び/又は1以上の免疫応答調整物質は、ワクチンの一部(例えば、IL-13Rα2ペプチド及び1、2、3又はそれ以上の追加の脳がん関連ペプチドの溶液)又はワクチンとは別に(すなわち、ヘルパーT細胞エピトープ及び/又は免疫応答調整物質は、ワクチン製剤の一部ではない製剤として投与され得る)として投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンは、無細胞ワクチンとして投与される。他の実施形態では、本明細書で記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンは、樹状細胞ワクチンとして投与される。
【0052】
一実施形態において、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、IL-13Rα2ペプチド、EphA2ペプチド、YKL-40ペプチド及びGP100ペプチドを含む。特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、配列番号:1-4のいずれかのIL-13Rα2ペプチド、配列番号:6のEphA2ペプチド、配列番号:10のYKL-40ペプチド及び配列番号:11のGP100ペプチドを含む。他の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、配列番号:3のIL-13Rα2ペプチド、配列番号:6のEphA2ペプチド、配列番号:10のYKL-40ペプチド、配列番号:11のGP100ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、1以上のヘルパーT細胞エピトープとともに投与される。特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、ヘルパーT細胞エピトープがPADREペプチドであるヘルパーT細胞エピトープとともに投与される。いくつかの実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、1以上の免疫応答調整物質とともに投与される。いくつかの実施形態では、13Rα2ペプチドワクチンは、無細胞ワクチンである。他の実施形態では13Rα2ペプチドワクチンは、樹状細胞ワクチンである。
【0053】
他の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、IL-13Rα2ペプチド、EphA2ペプチド、survivinペプチド及びWT1ペプチドを含む。特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、配列番号:1-4のいずれかのIL-13Rα2ペプチド、配列番号:6のEphA2ペプチド、配列番号:7のsurvi
vinペプチド、配列番号:8のWT1ペプチドを含む。他の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、配列番号:3のIL-13Rα2ペプチド、配列番号:6のEphA2ペプチド、配列番号:7のsurvivinペプチド、配列番号:8のWT1ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、1以上のヘルパーT細胞エピトープとともに投与される。特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、ヘルパーT細胞エピトープが破傷風トキソイドであるヘルパーT細胞エピトープとともに投与される。いくつかの実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、1以上の免疫応答調整物質とともに投与される。特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、免疫応答調整物質がpoly-ICLCである免疫応答調整物質とともに投与される。特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、免疫応答調整物質がMontanide ISA-51である免疫応答調整物質とともに投与される。いくつかの実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、無細胞ワクチンである。他の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、樹状細胞ワクチンである。
【0054】
他の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、IL-13Rα2ペプチド、EphA2ペプチド及びsurvivinペプチドを含む。特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、配列番号:1-4のいずれかのIL-13Rα2ペプチド、配列番号:6のEphA2ペプチド、配列番号:7のsurvivinペプチドを含む。他の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、配列番号:3のIL-13Rα2ペプチド、配列番号:6のEphA2ペプチド、配列番号:7のsurvivinペプチドを含む。いくつかの実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、1以上のヘルパーT細胞エピトープととともに投与される。特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、ヘルパーT細胞エピトープが破傷風トキソイドであるヘルパーT細胞エピトープとともに投与される。いくつかの実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、1以上の免疫応答調整物質とともに投与される。特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、免疫応答調整物質がpoly-ICLCである免疫応答調整物質とともに投与される。特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、免疫応答調整物質がMontanide ISA-51である免疫応答調整物質とともに投与される。いくつかの実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、無細胞ワクチンである。他の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、樹状細胞ワクチンである。
【0055】
6.1 ペプチド
6.1.1 IL-13Rα2ペプチド
IL-13Rα2は、TGFβを産生するために単球及びマクロファージを誘導するTh2サイトカインであるIL-13とヘテロダイマーの構成成分として結合する膜糖タンパク質である(例えば、Fichtner-Feigl et al., Nat. Med., 12: 99-106, 2006参照)。
【0056】
本明細書で提供されるIL-13Rα2ペプチドワクチンは、IL-13Rα2ペプチドを含む。HLA-A2拘束性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エピトープとして役立ち得るいかなるIL-13Rα2ペプチドも本明細書に記載されるワクチン中で使用してよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるIL-13Rα2ペプチドは、配列番号:1-4のいずれかを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるIL-13Rα2ペプチドは、配列番号:3を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるIL-13Rα2ペプチドは、配列番号:1の変異型を含む。配列番号:1の変異型は少なくとも1、少なくとも2又は少なくとも3アミノ酸置換(例えば、保存的置換)付加、又は欠失を含
む。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるIL-13Rα2ペプチドは、配列番号:1と少なくとも50%、60%、70%、80%又は90%同一のアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるIL-13Rα2ペプチドは、配列番号:1と少なくとも50%~60%、50%~70%、60%~70%、70%~80%、70%~90%又は80%~90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるIL-13Rα2ペプチドは、配列番号1と少なくとも50%、60%、70%、80%又は90%類似のアミノ酸を含む。他の実施形態では、本明細書に記載されるワクチンに使用されるIL-13Rα2ペプチドは、配列番号:1と少なくとも50%~60%、50%~70%、60%~70%、70%~80%、70%~90%又は80%~90%類似のアミノ酸配列を含む。
【0059】
6.1.2 EphA2ペプチド
EphA2は、ephrinA1と相互作用することで脊索の形成に関わるチロシンキナーゼ受容体である(例えば、Naruse-Nakajima et al., Mech. Dev., 102: 95-105, 2001参照)。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるIL-13Rα2ペプチドワクチンは、EphA2ペプチドを含む。HLA-A2拘束性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エピトープとして役立ち得るいかなるEphA2ペプチドも本明細書に記載されるワクチンに使用してよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるEphA2ペプチドは配列番号:6を含む。他の実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるEphA2ペプチドは、米国特許第7,297,337号明細書に開示され
るEphA2ペプチドである。
【0061】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用される、EphA2ペプチドは配列番号:6の変異型を含み、配列番号:6の変異型は少なくとも1、少なくとも2、又は少なくとも3アミノ酸置換(例えば、保存的置換)付加、又は欠失を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチンで使用されるEphA2ペプチドは、配列番号:6と少なくとも50%、60%、70%、80%又は90%同一のアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるEphA2ペプチドは、配列番号:6と少なくとも50%~60%、50%~70%、60%~70%、70%~80%、70%~90%又は80%~90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるEphA2ペプチドは、配列番号:6と少なくとも50%、60%、70%、80%又は90%類似のアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるEphA2ペプチドは、配列番号:6と少なくとも50%~60%、50%~70%、60%~70%、70%~80%、70%~90%又は80%~90%類似のアミノ酸配列を含む。
【0063】
6.1.3 Survivinペプチド
Survivinは、大体のヒトがんで過剰発現しているアポトーシス阻害タンパク質であり、該機能の阻害によりアポトーシスが増加する(例えば、Blanc-Brude et al., Nat. Med., 8: 987-994, 2002参照)。
【0064】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるIL-13Rα2ペプチドワクチンは、survivinペプチドを含む。HLA-A2拘束性細胞傷害性Tリンパ球(CTL
)エピトープとして機能し得るいかなるsurvivinペプチドも本明細書に記載されるワクチンにおいて使用してよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチンで使用されるsurvivinペプチドは、配列番号:7を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるIL-13Rα2ペプチドは、配列番号:7を含む。他の実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるsurvivinペプチドは、米国特許出願公開第2009/0041732号明細書又はCiesielski et al., Cancer Immunol. Immunother., 59:1211-1221, 2010に記載されるsurvivinペプチドである。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるsurvivinペプチドは、配列番号7の変異型を含み、配列番号:7の変異型は、少なくとも1、少なくとも2、又は少なくとも3アミノ酸の置換(例えば、保存的置換)、付加又は欠失を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるsurvivinペプチドは、配列番号:7と少なくとも50%、60%、70%、80%又は90%同一のアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、本明細書に記載されるワクチンで使用されるsurvivinペプチドは、配列番号:7と少なくとも50%~60%、50%~70%、60%~70%、70%~80%、70%~90%又は80%~90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるsurvivinペプチドは、配列番号:7と少なくとも50%、60%、70%、80%又は90%類似のアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるsurvivinペプチドは、配列番号:7と少なくとも50%~60%、50%~70%、60%~70%、70%~80%、70%~90%又は80%~90%類似のアミノ酸配列を含む。
【0067】
6.1.4 WT1ペプチド
WT1は、腎臓の発達時に発現し、尾側の中腎小管を制御する転写因子である(例えば、Sainio, Development, 124: 1293-1299, 1997参照)。
【0068】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるIL-13Rα2ペプチドワクチンはWT1ペプチドを含む。HLA-A2拘束性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エピトープとして役立ち得るいかなるWT1ペプチドも本明細書に記載されるワクチン中で使用してよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるWT1ペプチドは配列番号:8を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるWT1ペプチドは、配列番号:8の変異型を含み、配列番号:8の変異型は、少なくとも1、少なくとも2、又は少なくとも3アミノ酸の置換(例えば、保存的置換)、付加又は欠失を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるWT1ペプチドは、配列番号:8と少なくとも50%、60%、70%、80%又は90%同一のアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるWT1ペプチドは、配列番号:8と少なくとも50%~60%、50%~70%、60%~70%、70%~80%、70%~90%又は80%~90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるWT1ペプチドは、配列番号:8と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%類似のアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるWT1ペプチドは、配列番号:8と少なくとも50%~60%、50%~70%、60%~70%、70%~80%、70%~90%又は80%~90%類似のアミノ酸配列を含む。
【0071】
6.1.5 GP100ペプチド
ヒト黒色腫関連抗原GP100は、有核哺乳動物細胞で発現するメラニン分化抗原である(例えば、Koch et al., FEBS Lett., 179: 294-298, 1985参照)。
【0072】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるIL-13Rα2ペプチドワクチンは、GP100ペプチドを含む。HLA-A2拘束性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エピトープとして役立ち得るいかなるGP100ペプチドも本明細書に記載されるワクチンの中で使用してよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるGP100ペプチドは配列番号:11を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるGP100ペプチドは、配列番号:11の変異型を含み、配列番号:11の変異型は、少なくとも1、少なくとも2、又は少なくとも3アミノ酸の置換(例えば、保存的置換)、付加又は欠失を含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるGP100ペプチドは、配列番号:11と少なくとも50%、60%、70%、80%又は90%同一のアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるGP100ペプチドは、配列番号:11と少なくとも50%~60%、50%~70%、60%~70%、70%~80%、70%~90%又は80%~90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるGP100ペプチドは、配列番号:11と少なくとも50%、60%、70%、80%又は90%類似のアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるGP100ペプチドは、配列番号:11と少なくとも50%~60%、50%~70%、60%~70%、70%~80%、70%~90%又は80%~90%類似のアミノ酸配列を含む。
【0075】
6.1.6 YKL-40ペプチド
YKL-40は分泌糖タンパク質であり、細胞外マトリクス分解及び/又は血管新生、例えば、肝線維症、関節リウマチ及び重度の変形性関節症等に関与していることが知られている(例えば Bigg et al., (2006), J Biol Chem. 281, 21082-95 参照)。
【0076】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるIL-13Rα2ペプチドワクチンはYKL-40ペプチドを含む。HLA-A2拘束性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エピトープとして役立ち得るいかなるYKL-40ペプチドも本明細書に記載されるワクチン中で使用してよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるYKL-40ペプチドは配列番号:10を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるYKL-40ペプチドは配列番号:10の変異型を含み、配列番号:10の変異型は、少なくとも1、少なくとも2、又は少なくとも3アミノ酸の置換(例えば、保存的置換)、付加、又は欠失を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるYKL-40ペプチドは、配列番号:10と少なくとも50%、60%、70%、80%又は90%同一のアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるYKL-40ペプチドは、配列番号:10と少なくとも50%~60%、50%~70%、60%~70%、70%~80%、70%~90%又は80%~90%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用され
るYKL-40ペプチドは、配列番号:10と少なくとも50%、60%、70%、80%又は90%類似のアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中で使用されるYKL-40ペプチドは、配列番号:10と少なくとも50%~60%、50%~70%、60%~70%、70%~80%、70%~90%又は80%~90%類似のアミノ酸配列を含む。
【0079】
6.2 免疫応答調整物質
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるIL-13Rα2ペプチドワクチンは免疫応答調整物質とともに投与される。免疫応答調整物質は、対象の免疫応答を調整することができる剤を含む。いくつかの実施形態では、免疫応答調整物質はTh1応答へ対象の免疫応答を偏向させる。他の実施形態では、免疫応答調整物質は、Th2応答へ対象の免疫応答を偏向させる。好ましい実施形態では、調整された免疫応答は、TLRとしても知られているTLR3等のtoll-like受容体に結合する。本明細書で提供されるIL-13Rα2ペプチドワクチンとともに投与可能である免疫応答調整物質の例としては、poly-ICLC、イミキモド(Aldara(登録商標);Beselna(登録商標))及びMIS-416(Innate Therapeutics)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
6.2.1 Poly-ICLC
ポリリシン及びカルボキシメチルセルロースで安定化されたポリイノシン(酸)ポリシチジル酸(poly-ICLC)は、合成核酸であって、Toll-like receptor-3(TLR3)リガンドとして機能する。Poly-ICLC は、Hiltonolとしても知られている。
【0081】
6.3 アジュバント
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるIL-13Rα2ペプチドワクチンはアジュバントとともに投与される。いくつかの実施形態では、「アジュバント」という用語は、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンとともに又は同一組成物中で投与された場合に、IL-13Rα2ペプチドワクチンに対する免疫応答を増強、加速、延長、強化及び/又は追加する剤を意味する。いくつかの実施形態では、アジュバントはIL-13Rα2ペプチドワクチンに対する免疫応答を起こし、アレルギー又は他の有害反応を起こさない。アジュバントは、例えば、リンパ球の補充、B及び/又はT細胞の刺激、樹状細胞の刺激、並びにマクロファージの刺激を含むいくつかのメカニズムによる免疫応答を強化することができる。
【0082】
アジュバントの具体例としては、Montanide ISA-51、Montanide ISA 50V、Montanide ISA 206、Montanide IMS 1312、VaxImmune(登録商標)(CpG7909;Coley Pharmaceuticals)、アルミニウム塩(alum)(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸化アルミニウム及び硫酸アルミニウム等)、3-O-脱アシル化モノホスホリルリピドA(MPL)(GB 2220211参照)、MF59(Novartis)、AS03(GlaxoSmithKline)、AS04(GlaxoSmithKline)、ポリソルベート80(Tween 80;ICL Americas, Inc.)、イミダゾピリジン化合物(WO2007/109812として公開された国際出願番号PCT/US2007/064857参照)、イミダゾキノリン化合物(WO2007/109813として公開された国際出願
番号PCT/US2007/064858参照)及びサポニン、例えば QS21(Kensil et al.,in Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(編者、Powell & Newman, Plenum Press, NY, 1995);米国特許第5,057,540号明細書参照)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アジュバントはFreund’s アジュバント(完全又は不完全)である。他のアジュバントは、例えばモノホスホリルリピドA(Stoute et al
., N. Engl. J. Med. 336, 86-91 (1997)参照)等の免疫刺激剤と任意に組み合わされて
よい、水中油型エマルジョン(例えば、スクアレン又はピーナッツオイル等)である。他のアジュバントはCpG(Bioworld Today, Nov. 15, 1998)である。該アジュバントは
、MPL又は3-DMP、QS-21、ポリグルタミン酸若しくはポリリシン等多量体若しくは単量体アミノ酸等の他の特異的免疫刺激剤、免疫増強剤とともに又は無しで使用することができる。IL-13Rα2ペプチドワクチンの異なる剤は、異なるアジュバントを含んでもよいし、同一のアジュバントを含んでもよい、と理解すべきである。
【0083】
6.4 ヘルパーT細胞エピトープ
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるIL-13Rα2ペプチドワクチンはヘルパーT細胞エピトープとともに投与される。ヘルパーT細胞エピトープは、免疫システムによるヘルパーT細胞応答を誘導することができる剤を含む。ヘルパーT細胞は、CD4+T細胞である。いくつかの実施形態では、ヘルパーT細胞エピトープは、Class II MHC分子により提示され、ヘルパーT細胞(CD4+T細胞)のT細胞受容体(TCR)により認識されることができ、それによりCD4+T細胞を活性化し、これらを増殖させ、IL2等のサイトカインを分泌させ、プロフェッショナル抗原提示細胞を活性化する。様々なメカニズムを通じて、活性化されたヘルパーT細胞は、キラーT細胞(CD8+T細胞としても知られている)も刺激し、それによりCD8+T細胞応答を延長させ、増加させる。本明細書で提供されるIL-13Rα2ペプチドワクチンとともに投与されることができる例となるヘルパーT細胞エピトープとしては、HBVcore128-140及び破傷風トキソイドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
6.4.1 PADREペプチド
PADREはHLA-DR結合及びT細胞受容体刺激の両者のために最適化された非天然エピトープである(例えば、Alexander et al, Immunity, 1:751-761, 1994参照)。
【0085】
6.4.2 破傷風トキソイド
人口の大多数が感作されてきた破傷風トキソイド(TT)タンパク質由来のよく特徴付けられたThエピトープ(配列番号:9)は、ヘルパーT細胞エピトープとして機能することが知られている。
【0086】
6.4.2.1 HBV Core128-140
HBVタンパク質由来のよく特徴づけられたThエピトープ(配列番号:5)は、ヘルパーT細胞エピトープとして機能することが知られている。
【0087】
6.5 ペプチドの作製と精製
本明細書に記載されるペプチドは、ペプチド合成のために当該分野で知られている任意の方法、特に、化学合成又は組み換え発現技術により作製され得る。本明細書で提供される方法は、特に指定のない限り、分子生物学、微生物学、遺伝解析、組み換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチド合成及び修飾、核酸ハイブリダイゼーション、及び当該技術の範囲内での関連分野における従来技術を含む。これらの技術は、本明細書で引用した文献に記載されており十分に文献で説明されている。例えば、Maniatis et al. (1982) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press; Sambrook et al. (1989), Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press; Sambrook et al. (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY; Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley
& Sons (1987 and annual updates); Current Protocols in Immunology, John Wiley &
Sons (1987 and annual updates) Gait (ed.)(1984) Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, IRL Press; Eckstein (ed.)(1991) Oligonucleotides and Analogues
: A Practical Approach, IRL Press; Birren et al. (eds.) (1999) Genome Analysis: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照。
【0088】
6.5.1.1 ペプチドの合成作製
本明細書に記載されるペプチドは、従来の段階的溶液又は固相合成法を使用して調製することができる(例えば、Chemical Approaches to the Synthesis of Peptide and Proteins, Williams et al., Eds., 1997, CRC Press, Boca Raton Fla.,及びその中で引用されている文献; Solid Phase Peptide Synthesis: A Practical Approach, Atherton & Sheppard, Eds., 1989, IRL Press, Oxford, England及びその中で引用されている文献)。
【0089】
あるいは、本明細書に記載されるペプチドは、例えば、Liu et al., 1996, Tetrahedron Lett. 37(7):933-936; Baca, et al., 1995, J. Am. Chem. Soc. 117:1881-1887; Tam et al., 1995, Int. J. Peptide Protein Res. 45:209-216; Schnolzer and Kent, 1992,
Science 256:221-225; Liu and Tam, 1994, J. Am. Chem. Soc. 116(10):4149-4153; Liu and Tam, 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:6584-6588; Yamashiro and Li, 1988, Int. J. Peptide Protein Res. 31:322-334に記載されているセグメント縮合法により
調製することができる。本明細書に記載されるペプチドを合成するのに有用な他の方法は、Nakagawa et al., 1985, J. Am. Chem. Soc. 107:7087-7092に記載されている。
【0090】
ジスルフィド結合の形成は、必要に応じて、マイルドな酸化剤の存在下で通常行われる。化学酸化剤を使用してもよいし、あるいは、該化合物はこれらの結合をもたらす大気酸素に単にさらしてもよい。様々な方法が当分野において知られており、これらも含まれる。例えば、Tam et al., 1979, Synthesis 955-957;Stewart et al., 1984, Solid Phase Peptide Synthesis, 2d Ed., Pierce Chemical Company Rockford, Ill.;Ahmed et al., 1975, J. Biol. Chem. 250:8477-8482;及びPennington et al., 1991 Peptides 1990 164-166, Giralt and Andreu, Eds., ESCOM Leiden, The Netherlands. 追加的な代替案が、Kamber et al., 1980, Helv. Chim. Acta 63:899-915により記載されているものが挙げられる。固相担体で行われる方法が、Albericio, 1985, Int. J. Peptide Protein Res. 26:92-97に記載されている。これらはいずれも参照によりその全体が援用される。
【0091】
6.5.1.2 ペプチドの組み換え発現
ペプチドの組み換え発現には、該ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターの構築が必要である。ペプチドをコードするポリヌクレオチドが得られれば、該ペプチドを作製するためのベクターは、当分野でよく知られた組み換えDNA技術により作製することができる。そして、ペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを発現することによるペプチドの調製方法は本明細書に記載されている。当業者周知の方法を用いて、ペプチドをコードする配列、適切な転写及び翻訳コントロールシグナルを含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法は、例えば、in vitro組み換えDNA技術、合成技術及びin vivo遺伝子組み換えを含む。したがって、プロモーターと作動可能に連結したペプチドをコードする核酸配列を含む複製可能な発現ベクターが本明細書で提供される。
【0092】
発現ベクターは、宿主細胞で核酸の発現に適した形態でペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は単離された宿主細胞である。特定の実施形態では、発現ベクターは、発現する核酸と作動可能に連結した、発現のために使用される宿主細胞に基づいて選択される1以上の制御配列を含む。発現ベクターにおいて、「作動可能に連結した」とは、目的の核酸を発現できるような形式で(例えば、in vitro転写/翻訳系中で、又は宿主細胞にベクターが導入される場合、宿主細胞中で)、制御配列に連結していることを意味することを意図する。制御配列は、プロモーター、エンハンサー及
び他の発現コントロールエレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含む。制御配列は、多くのタイプの宿主細胞中での恒常的な核酸の発現を指示するもの、ある宿主細胞中での核酸のみの発現を指示するもの(例えば、組織特異的制御配列)、特定の剤で刺激すると核酸の発現を指示するもの(例えば、誘導性制御配列)を含む。発現ベクターの設計が、トランスフォームされる宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベル等のような因子に依存することは当業者に理解される。「宿主細胞」という用語は、核酸でトランスフォーム又はトランスフェクトされた特定の対象細胞及びそのような細胞の子孫又は潜在的な子孫を含む意味である。そのような細胞の子孫は、宿主細胞ゲノム内への該核酸の産生又は挿入の成功時に起きるかもしれない変異又は環境的な影響により、該核酸でトランスフォーム又はトランスフェクトされた親細胞と同一でないかもしれない。特定の実施形態では、宿主細胞は単離されている。
【0093】
従来のトランスフォーメーション又はトランスフェクション法で、発現ベクターを宿主細胞に導入することができる。当該技術には、リン酸カルシウム又は塩化カルシウム共沈殿、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション及びエレクトロポレーションを含むがこれらに限定されない。宿主細胞のトランスフォーム又はトランスフェクトに適した手法は、Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning - A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor Press, New York及び他の実習マニュアルに開示されている。特定の実施形態では、宿主細胞はペプチドをコードする核酸を含む発現ベクターで一過的にトランスフェクトされる。他の実施形態では、宿主細胞はペプチドをコードする核酸を含む発現ベクターで安定にトランスフェクトされる。したがって、本明細書で提供される宿主細胞は、本明細書に記載される又は本明細書で提供される方法に従って作製されるペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞である。
【0094】
ペプチドを発現するために様々な宿主-発現ベクター系を使用することができる。該宿主-発現ベクター系は、目的のコードする配列を作製し、その後精製可能なビヒクルを表すが、適切なヌクレオチドコーディング配列でトランスフォーム又はトランスフェクトされた場合in situでペプチドを発現し得る細胞も表す。これらは、配列をコードするペプチドを含む、組み換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA又はコスミドDNA発現ベクターでトランスフォームされた細菌(例えば、大腸菌及び枯草菌)等の微生物;配列をコードするペプチドを含む、組み換え酵母発現ベクターでトランスフォームされた酵母(例えば、サッカロミセス、ピチア);配列をコードするペプチドを含む、組み換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)でトランスフォームされた昆虫細胞系;組み換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワー・モザイクウイルス、CaMV;タバコ・モザイクウイルス、TMV)で感染された又は配列をコードするペプチドを含む、組み換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)でトランスフォームされた植物細胞系;あるいは、哺乳動物細胞のゲノム又は哺乳動物ウイルス(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス 7.5Kプロモーター)由来のプロモーターを含む組み換え発現構築物を保持する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、NS0及び3T3細胞)であるが、これらに限定されない。好ましくは、大腸菌等の細菌性の細胞、より好ましくは、真核細胞がペプチドの発現のために使用される。例えば、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要な中間初期遺伝子プロモーター要素等のベクターと組み合わせた、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)等の哺乳動物細胞は、効果的なペプチド発現系である(Foecking et al., 1986, Gene 45:101;及びCockett et al., 1990, Bio/Technology 8:2)。特定の実施形態では、本明細書に記載される又は本明細書で提供される方法に従って作製されるペプチドをコードする核酸配列の発現は、構成的なプロモーター、誘導プロモーター又は組織特異的なプロモーターにより制御される。
【0095】
細菌系では、発現されるペプチドの用途に応じて多数の発現ベクターを有利に選択する
ことができる。例えば、ペプチドの医薬組成物作製のために、多量のペプチドを作製しなければならない場合、容易に精製される融合タンパク質産物の高レベル発現を指示するベクターが望ましいであろう。当該ベクターとしては、大腸菌発現ベクターpUR278(Ruther et al., 1983, EMBO 12:1791)であり、ペプチドをコードする配列は、融合タン
パク質が作製されるように、lacZをコードする領域とインフレームで個別にベクターに連結され得る;pINベクター(Inouye & Inouye, 1985, Nucleic Acids Res. 13:3101-3109; Van Heeke & Schuster, 1989, J. Biol. Chem. 24:5503-5509)等が挙げられる
が、これらに限定されない。グルタチオン5-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として、外来ポリペプチドを発現するためにpGEXベクターを使用することもできる。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、マトリクスグルタチオン-アガロースビーズへ吸着、結合させ、続く遊離グルタチオン下での溶出により、溶解した細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、GST部分からクローン化した標的遺伝子産物を遊離できるよう、トロンビン又はXa因子プロテアーゼ開裂部位を含むように設計されている。
【0096】
昆虫系では、オウトグラファ・カリフォルニカ核多角体病ウイルス(AcNPV)を外来遺
伝子発現ベクターとして使用することができる。該ウイルスは、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞内で増殖する。配列をコードするペプチドをウイル
スの非必須領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)に個別にクローニングし、AcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に配置され得る。
【0097】
哺乳動物宿主細胞において多数のウイルス発現系を使用することができる。発現ベクターとして、アデノウイルスが使用される場合、目的の配列をコードするペプチドは、アデノウイルス転写/翻訳調節複合体、例えば、後期プロモーター及び三分節リーダー配列と連結することができる。次いで当該キメラ遺伝子は、in vitro又はin vivo組み換えによりアデノウイルスゲノムに挿入される。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、El又はE3領域)への挿入により、感染宿主中で生存可能でペプチドを発現可能な組換えウイルスを得ることができる(例えば、Logan & Shenk, 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:355-359参照)。挿入されたペプチドコーディング配列の効率のよい翻訳には、特定の開始シグナルも必要であるだろう。当該シグナルは、ATG開始コドン及び隣接配列を含む。さらに、全挿入物を確実に翻訳するために、開始コドンは所望のコード配列の読み枠と同調していなければならない。当該外来性翻訳シグナル及び開始コドンは、様々な起源のものであってよく、天然でも合成でもよい。発現効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーター等を含めることにより増強することができる(例えば、Bittner et al., 1987, Methods in Enzymol. 153:51-544参照)。
【0098】
加えて、挿入配列の発現を調節し、あるいは望ましい特定の様式で遺伝子産物を修飾及びプロセシングする宿主細胞株を選択することができる。タンパク質産物の当該修飾(例えば、糖化)及びプロセッシング(例えば、開裂)は、ペプチドの機能に関し重要であるだろう。異なる宿主細胞が、タンパク質と遺伝子産物の翻訳後プロセッシング及び修飾のために特徴的かつ特異的なメカニズムを有する。発現される外来タンパク質の正しい修飾及びプロセッシングを確実にするために、適切な細胞系又は宿主系を選択することができる。この目的を達成するために、1次転写産物の正確なプロセッシング、遺伝子産物の糖化及びリン酸化のための細胞機構を保有する真核宿主細胞を使用することができる。当該哺乳動物宿主細胞は、CHO、VERY、BHK、Hela、COS、Vero、MDCK、293、3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2O及びT47D、NS0(内在的にいかなる免疫グロブリン鎖も産生しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3O及びHsS78Bst細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
組換えペプチドの長期間高収量で作製するためには、安定的な発現が好ましい。例えば
、安定にペプチド分子を発現する細胞系を操作することができる。宿主細胞は、ウイルス複製起点を含む発現ベクターを用いるよりもむしろ、適切な発現調節エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位等)により制御されるDNA及び選択マーカーを用いてトランスフォームすることができる。外来DNAの導入に続いて、遺伝子操作した細胞を富化培地中で1~2日間増殖させてよく、次いで選択培地に切り換える。組み換えプラスミドの選択マーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞の染色体にプラスミドを安定的に組み込ませ、それを増殖させて増殖巣を形成することを可能にし、それを後にクローンニングし、細胞系へと拡大することができる。当該方法は、ペプチドを発現する細胞系を操作するために有利に使用することができる。このように操作された細胞系は、直接的又は間接的にペプチドと相互作用する組成物のスクリーニング及び評価に特に有用であり得る。一般的に知られている組み換えDNA技術の方法を、所望の組み換えクローンの選択に通常適用することができ、当該方法は、例えば、Ausubel et al. (eds.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY (1993); Kriegler, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NY (1990); and in Chapters 12 and 13, Dracopoli et al. (eds.), Current Protocols in Human Genetics, John Wiley & Sons, NY (1994); Colberre-Garapin et al., 1981, J. Mol. Biol. 150:1に記載されており、これらは、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0100】
ペプチドの発現レベルは、ベクター増幅により増加させることができる(総説については、Bebbington and Hentschel、「DNAクローニングにおいて、哺乳動物細胞中でクロー
ン化遺伝子を発現させるための、遺伝子増幅に基づくベクターの使用」、Vol.3(Academic
Press, New York, 1987))。ペプチド発現ベクター系中でマーカーが増幅可能な場合、
宿主細胞の培養液中に存在するインヒビターレベルの上昇はマーカー遺伝子のコピー数を増加させる。該増幅される領域は、該ペプチドと関連するため、ペプチド生産も増加する(Crouse et al., 1983, Mol. Cell. Biol. 3:257参照)。
【0101】
宿主細胞を用いるペプチドの組み換え発現の代替としては、例えば、T7プロモーター制御配列及びT7ポリメラーゼを用いて、ペプチドをコードする核酸を含む発現ベクターをin vitroで転写及び翻訳することができる。特定の実施形態では、Promega TNT(登録商標)又は転写及び翻訳に必要な構成成分を含む細胞溶解物若しくは細胞抽出等の結合された転写/翻訳系をペプチド生産に使用することができる。
【0102】
したがって、本明細書ではペプチドを作製するための方法が提供される。1実施形態では、該方法はペプチドを作製するのに適した培地中で、ペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞の培養を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、培地又は宿主細胞からペプチドを単離することもさらに含む。
【0103】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるペプチドを発現するために植物(例えば、Nicotiana属の植物)を操作することができる。特定の実施形態では、公知の方法を使用
してアグロ浸透(agroinfiltration)法を介して本明細書に記載されるペプチドを発現するために植物を操作することができる。例えば、目的の遺伝子をコードする核酸、例えば、本明細書に記載されるペプチドをコードする遺伝子をアグロバクテリウム(Agrobacterium)の株に導入し、続いて該株を液体培地中で栽培し、その結果生じる細菌を洗浄して
緩衝液中に懸濁する。それから、植物細胞の一部に目的の遺伝子をトランスフォームするようなアグロバクテリウム(Agrobacterium)に、本明細書に記載されるペプチドをコー
ドする核酸を含むアグロバクテリウム(Agrobacterium)に植物をさらす(例えば、注射
又は水浸を介して)。それから植物は一過的にペプチドを発現し、当該技術分野で知られている方法及び本明細書に記載される方法でペプチドを単離することができる(具体例として、Shoji et al., 2008, Vaccine, 26(23):2930-2934; and D’Aoust et al., 2008,
J. Plant Biotechnology, 6(9):930-940参照)。特定の実施形態では、植物はtobacco植
物(つまり、Nicotiana tabacum)である。他の特定の実施形態では、植物は、tobacco植物類(例えば、Nicotiana benthamiana)である。
【0104】
他の実施形態では、本明細書に記載されるペプチドを発現するために藻(例えば、クラミドモナス・レインハーディ(Chlamydomonas reinhardtii))を操作することができる
(例えば、Rasala et al., 2010, Plant Biotechnology Journal (Published online March 7, 2010)参照)。
【0105】
6.5.1.3 ペプチドの精製
本明細書に記載されるペプチド及び本明細書で記載される方法を使用して作製されるペプチドは、ペプチドの精製のために当該分野で知られた任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、Protein A後の特定の抗原に対するアフィニティーによる、及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、異なる溶解度、又は任意の他のタンパク質精製の標準的手法で精製することができる。さらに、本明細書に記載される、あるいは、他の当該分野で知られている異種ペプチドに、ペプチドを融合して精製を促進してもよい。特定のペプチドを精製するために使用される実際の条件は、一つには、合成戦略(例えば、合成作製対組み換え作製)、ペプチドの正味荷電、疎水性及び/又は親水性にもよるが、当業者には明らかである。
【0106】
6.6 医薬組成物及び投与経路
本明細書では、医薬組成物も提供される。いくつかの実施形態では,本明細書で提供される組成物は、インターロイキン13受容体α2ペプチド脳がんワクチンを含む。他の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、IL-13Rα2ペプチドワクチン並びにヘルパーT細胞エピトープ、アジュバント、及び/又は免疫応答調整物質を含む。他の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、免疫応答調整物質を含む。本明細書で提供される医薬組成物は獣医及び/又はヒト投与に適している。
【0107】
本明細書で提供される医薬組成物(例えば、IL-13Rα2ペプチドワクチンを含む組成物、IL-13Rα2ペプチドワクチン並びにヘルパーT細胞エピトープ、アジュバント及び/若しくは免疫応答調整物質を含む組成物、又は免疫応答調整物質を含む組成物)は、対象に投与される任意の形態であり得、該対象は、好ましくは動物であり、ヒトに限定されないが、哺乳動物又はウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、家禽、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット等の非ヒト動物を含み、より好ましくは哺乳動物であり、最も好ましくはヒトである。
【0108】
特定の実施形態では、本明細書で提供される組成物は(例えば、IL-13Rα2ペプチドワクチンを含む組成物、IL-13Rα2ペプチドワクチン並びにヘルパーT細胞エピトープ、アジュバント、及び/若しくは免疫応答調整物質を含む組成物、又は免疫応答調整物質を含む組成物)、液体の形態である(例えば、エリキシル剤、シロップ剤、液剤、乳剤、又は懸濁液)。本明細書で提供される液体組成物の典型的な投与経路は、非経口、皮内、腫瘍内、脳内及び髄腔内を挙げることができるが、これらに限定されない。非経口投与は、皮下、節内、静脈内、筋肉内、腹腔内及び胸腔内投与技術が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、組成物は非経口的に投与される。注射による投与の組成物は、1以上の界面活性剤、防腐剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝剤、安定化剤及び等張剤を含むことができる。特定の実施形態では、ワクチンを送達するためにポンプを使用することができる(例えば、Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 1987, 14, 201; Buchwald et al., Surgery 1980, 88: 507; Saudek et al., N. Engl. J. Med. 1989, 321: 574参照)。特定の実施形態では、該ポンプはインスリン様ポンプであるが、
これに限定されない。
【0109】
本明細書で提供される医薬組成物(例えば、IL-13Rα2ペプチドワクチンを含む組成物、IL-13Rα2ペプチドワクチン並びにヘルパーT細胞エピトープ、アジュバント、及び/若しくは免疫応答調整物質を含む組成物、又は免疫応答調整物質を含む組成物)を調製するのに使用される物質は、使用される量内で無毒であり得る。当業者には、医薬組成物中の有効成分の最適用量は、様々な因子によることが明らかである。関連要因は、対象のタイプ(例えば、ヒト)、対象の全体的な健康状態、治療を必要とする対象の脳がんのタイプ、多剤レジメンの一部としての組成物の使用、投与されるワクチンの具体的な形態、投与方法、利用される組成物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
本発明の液体組成物は、溶液、懸濁液又は他の形態であるかによるが、以下の1以上:注射用水等の滅菌希釈液、食塩水、好ましくは生理食塩水、リンガー液、等張食塩水、溶媒又は懸濁媒体として使用することができる合成モノ又はジクリセリド等の固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、シクロデキストリン、プロピレングリコール又は他の溶媒;ベンジルアルコール又はメチルパラベン等の抗菌剤;アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム等の抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩等の緩衝液;及び塩化ナトリウム又はデキストロース等の等張を調節するための試薬も含むことができる。非経口組成物は、アンプル、使い捨て注射器、又はガラス、プラスチック製若しくは他の素材の複数回投与用バイアルに封入することができる。注射用組成物は、好ましくは滅菌される。
【0111】
本明細書で提供される組成物(例えば、IL-13Rα2ペプチドワクチンを含む組成物、IL-13Rα2ペプチドワクチン並びにヘルパーT細胞エピトープ、アジュバント、及び/若しくは免疫応答調整物質を含む組成物、又は免疫応答調整物質を含む組成物)は、薬学的に許容可能な担体又はビヒクルを含むことができる。本明細書において、「薬学的に許容可能な」とは、動物での使用、より具体的にはヒトでの使用が連邦若しくは州政府の規制機関に認可されている、あるいは、米国薬局方(Pharmacopeia)若しくは他の一般的な薬局方(Pharmacopeia)に記載されていることを意味する。「担体」という用語は、医薬組成物が投与される希釈液、アジュバント、賦形剤、又はビヒクルを意味する。食塩水、水性デキストロース及びグリセロール溶液は、特に、注射剤のために、液体担体として利用することができる。適した賦形剤は、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール等を含む。適した薬学的担体の例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」 by E.W. Martinに記載されている。投与様
式に製剤を適合すべきである。
【0112】
1実施形態では、本明細書で提供される組成物(例えば、IL-13Rα2ペプチドワクチンを含む組成物、IL-13Rα2ペプチドワクチン並びにヘルパーT細胞エピトープ、アジュバント、及び/若しくは免疫応答調整物質を含む組成物、又は免疫応答調整物質を含む組成物)は、動物、特にヒトへの非経口投与に適合した薬学的組成物として、所定の方法に従って調製することができる。概して、該組成物中の成分は、例えば、活性剤の量を示すアンプル又は小袋等など密閉された容器内で、凍結乾燥粉末又は水を含まない濃縮物として単位用量形態でそれぞれ個別に又は混合して供給される。本明細書に記載される組成物を注射により投与する場合、必要に応じて、投与前に成分を混合することができるように注射用滅菌水のアンプル又は生理食塩水を提供することができる。
【0113】
本明細書で提供される組成物(例えば、IL-13Rα2ペプチドワクチンを含む組成物、IL-13Rα2ペプチドワクチン並びにヘルパーT細胞エピトープ、アジュバント、及び/若しくは免疫応答調整物質を含む組成物、又は免疫応答調整物質を含む組成物)
は、追加の予防薬、追加の治療剤、制吐剤、造血コロニー刺激因子、アジュバント治療、抗体/抗体フラグメント剤、抗うつ剤及び鎮痛剤、から選択される追加の活性薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
本明細書で提供される医薬組成物(例えば、IL-13Rα2ペプチドワクチンを含む組成物、IL-13Rα2ペプチドワクチン並びにヘルパーT細胞エピトープ、アジュバント、及び/若しくは免疫応答調整物質を含む組成物、又は免疫応答調整物質を含む組成物)は、医薬分野で周知の方法を使用して調製することができる。例えば、注射で投与されることを意図している組成物は、水溶液を形成するように、水及び/又は他の液体成分と本明細書に記載されるワクチンのペプチドを組み合わせて調製することができる。同種の溶液又は懸濁液の形成を促進するために界面活性剤を追加することができる。
【0115】
投与のための説明書と共に、容器、パック又はディスペンサー中に、本明細書に記載される医薬組成物を含むことができる。
【0116】
6.7 予防的及び治療的使用
1態様として、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンを有効量投与することにより、それを必要とする対象での脳がんを予防、治療、及び/又は管理するための方法を本明細書は提供する。
【0117】
他の態様として、患者(例えば、ヒト患者)の脳がんを予防、治療、及び/又は管理する方法であって、予防上有効なレジメン又は治療上有効なレジメンを患者に投与することを含み、脳がんと診断された患者に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は本明細書に記載される医薬組成物を投与することを含む方法を本明細書は提供する。
【0118】
他の態様として、患者(例えば、ヒト患者)の脳がんを予防、治療、及び/又は管理する方法であって、予防上有効なレジメン又は治療上有効なレジメンを患者に投与することを含み、脳がんを再発した患者に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は本明細書に記載される医薬組成物を投与することを含む方法を本明細書は提供する。
【0119】
他の態様として、患者(例えば、ヒト患者)の脳がんを予防、治療、及び/又は管理する方法であって、予防上有効なレジメン又は治療上有効なレジメンを患者に投与することを含み、本明細書に記載されるワクチンを含まない脳がん治療で失敗した又は失敗しつつある患者に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は本明細書に記載される医薬組成物を投与することを含む方法を本明細書は提供する。
【0120】
他の態様として、患者(例えば、ヒト患者)の脳がんを予防、治療、及び/又は管理する方法であって、予防上有効なレジメン又は治療上有効なレジメンを患者に投与することを含み、脳がん寛解患者に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は本明細書に記載される医薬組成物を投与することを含む方法を本明細書は提供する。
【0121】
他の態様として、患者(例えば、ヒト患者)の脳がんを予防、治療、及び/又は管理する方法であって、予防上有効なレジメン又は治療上有効なレジメンを患者に投与することを含み、本明細書に記載されるワクチンを含まない脳がん治療のために難治性である患者に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は本明細書に記載される医薬組成物を投与することを含む方法を本明細書は提供する。この態様の1実施形態では、患者は、本明細書に記載されるワクチンを含まない脳がん治療を受けてきた又は受けている。この態様の他の実施形態では、患者は、脳がんの予防、治療、及び/又は管理のた
めに、本明細書に記載されるワクチンを含まない脳がん治療を以前に受けたことがない。
【0122】
他の態様として、本明細書は、他の脳がん治療を受けてきた患者に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は本明細書に記載される医薬組成物を投与することを含む予防上有効なレジメン又は治療上有効なレジメンを患者に投与することを含む方法である、患者(例えば、ヒト患者)の脳がんを予防、治療、及び/又は管理する方法を本明細書は提供する。いくつかの実施形態では、以前の脳がん治療は、例えば、化学療法、放射線療法、外科療法、小分子療法、生物学的療法、抗体療法、ホルモン療法、免疫療法、抗血管新生療法又はそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、該患者の以前の脳がん治療は失敗している。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンの投与を含む治療上有効なレジメンは、以前の治療を受けた直後に、患者に投与される。例えば、特定の実施形態では、患者がIL-13Rα2ペプチドワクチンを投与される前に、以前の治療の結果は知られていないだろう。1実施形態では、以前の化学療法はテモゾロミド(temolozimide)である。実施形態では、以前の療法は放射線療法である。他の実施形態では、以前の療法はテモゾロミド及び放射線療法の組み合わせである。好ましい実施形態では、たテモゾロミド及び放射線療法の組み合わせは、Stuppレジメンを用いて投与される。他の実施形態では、以前の療法は外科療法である。いくつかの実施形態では、患者は併用療法の開始前に外科療法を受ける。いくつかの実施形態では、患者はテモゾロミドの前に外科療法を受ける。いくつかの実施形態では、患者は放射線療法の開始前に外科療法を受ける。本明細書に記載されるこれらの実施形態のそれぞれで、併用療法は、組み合わされる治療と共に、患者の治療、前、中、後にIL-13Rα2ペプチドワクチンを投与することができる。
【0123】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンは、脳がんの予防、治療及び/又は管理のために、単剤療法として投与され得る。他の実施形態では、本明細書で提供される方法は、それらが必要な対象に本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン及び1以上の、脳がん又は1以上のその症状の予防、治療及び/又は管理あるいは現在使用されている、使用されてきた、有用であることが知られている、又は有用であるかもしれない本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン以外の他の剤を投与する方法を含む。特定の実施形態では、併用療法は、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンと共に機能して、相加的又は相乗的効果を有する、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンの予防又は治療効果を改善する。いくつかの実施形態では、併用療法は、本明細書に記載される組成物の投与、前、間、後に投与することができる。
【0124】
他の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンの有効量を投与することを含む、脳がんの対象の免疫応答誘導のための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は本明細書に記載される組成物による該免疫応答は、対象の脳がんの予防、治療及び/又は管理に有効である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は本明細書に記載される組成物により対象で誘導される免疫応答は、対象の脳がん症状を軽減するために有効である。
【0125】
医師は、任意の従来の脳がんスクリーニング手法;神経学的検査、画像検査法(例えば、コンピューター断層撮影(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)、超音波、X線撮像、陽電子放射断層撮影(PET)スキャン)、及び生検(例えば、定位的生検(sterotactic biopsy))を用いて患者を診断することができるがこれらに限定されない。
【0126】
6.7.1 投与量及び投与頻度
脳がんの治療、予防及び/又は管理に有効な本明細書に記載される組成物(例えば、I
L-13Rα2ペプチドワクチンを含む組成物、IL-13Rα2ペプチドワクチン並びにヘルパーT細胞エピトープ、アジュバント、及び/若しくは免疫応答調整物質含む組成物又は免疫応答調整物質含む組成物)の量は、脳がんの状態、組成物が投与される患者、投与経路及び/又は脳がんのタイプによる。当該量は、標準的な臨床技術により決定され、医師の判断に従って決定され得る。
【0127】
例えば、有効量は投与手段、標的部位、患者の生理的状態(年齢、体重、健康を含む)、患者がヒト、動物であるか、他の薬物が投与されている、該治療が予防又は治療上であるか、により変わり得る。通常、患者はヒトであるが、トランスジェニック哺乳動物を含む非ヒト哺乳動物も治療することができる。治療用量は、最適な安全性と有効性を最適化するために用量設定される。
【0128】
特定の実施形態では、最適な用量範囲を同定するのを助けるために、in vitroアッセイが採用される。有効量は、in vitro又は動物モデル試験系から得られる用量反応曲線から推定され得る。
【0129】
特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは無細胞ワクチンであり、無細胞ワクチンは、IL-13Rα2ペプチド及び1、2、3、以上の追加の脳がん関連ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、例となる無細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンは、用量当たり約25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、550、600、650、700、750又は800μgの各々脳がん関連ペプチドを含む。他の実施形態では、例となる無細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンは、用量当たり約25-50、25-75、25-100、50-100、50-150、50-200、100-150、100-200、100-250、100-300、150-200、150-250、150-300、200-250、250-300、250-350、250-400、300-350、300-400、300-450、300-500、350-400、350-450、400-500、400-600、500-600、500-700、600-700、600-800又は700-800μgの各々脳がん関連ペプチドを含む。他の実施形態では、例となる無細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンは、患者キログラムあたり、約5μg-100mg、15μg-50mg、15μg-25mg、15μg-10mg、15μg-5mg、15μg-1mg、5μg-100μg、15μg-75μg、5μg-50μg、10μg-50μg、15μg-45μg、20μg-40μg又は25-35μgの各々脳がん関連ペプチドを含む。
【0130】
特定の実施形態では、無細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンは、ヘルパーT細胞エピトープとともに投与される。いくつかの実施形態では、例となる無細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンは、約25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、550、又は600μgのヘルパーT細胞エピトープとともに投与される。他の実施形態では、例となる無細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンは、約25-50、25-75、25-100、50-100、50-150、50-200、100-150、100-200、100-250、100-300、150-200、150-250、150-300、200-250、250-300、250-350、250-400、300-350、300-400、300-450、300-500、350-400、350-450、400-500、400-600又は500-600μgのヘルパーT細胞エピトープとともに投与される。
【0131】
特定の実施形態では、無細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンは、免疫応答調整物質
とともに投与される。いくつかの実施形態では、例となる無細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンは、約100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700又は1800μgの免疫応答調整物質とともに投与される。他の実施形態では、例となる無細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンは、約100-300、200-400、400-800、600-800、800-1000、800-1200、1000-1200、1000-1400、1200-1400、1200-1600、1400-1600、1400-1800又は1600-1800μgの免疫応答調整物質とともに投与される。他の実施形態では、例となる無細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンは、患者キログラムあたり約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55又は60μgの免疫応答調整物質とともに投与される。他の実施形態では、例となる無細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンは、患者キログラムあたり、約1-5、1-10、5-10、5-15、10-15、10-20、15-20、15-25、15-30,20-25、20-30、20-35、25-30、25-35、25-40、30-35、30-40、35-40、35-45、40-45、40-50、45-50、50-55又は50-60μgの免疫応答調整物質とともに投与される。
【0132】
特定の実施形態では、無細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンはアジュバントとともに投与される。いくつかの実施形態では、無細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンを含む組成物は、0.5対1、1対0.5、1対1、1対2、1対3、2対1又は3対1アジュバントと共に混合される。
【0133】
特定の実施形態では、IL-13Rα2ペプチドワクチンは樹状細胞ワクチンであって、該樹状細胞ワクチンは、IL-13Rα2ペプチドを負荷した樹状細胞及び1、2、3又はそれ以上の追加の脳がん関連ペプチドで負荷した樹状細胞を含む。いくつかの実施形態では,例となる樹状細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンは、投与量あたり脳がん関連ペプチドで負荷した樹状細胞の、約103、5x103、104、5x104、105、5x105、106、5x106、107、3x107、5x107、7x107、108、5x108、1x109、5x109、1x1010、5x1010、1x1011、5x1011又は1012を含む。他の実施形態では、例となる樹状細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンは、投与量あたり脳がん関連ペプチドで負荷した樹状細胞の、約103-104、103-105、104-105、104-106、105-106、105-107、106-107、106-108、107-108、107-109、108-109、109-1010、1010-1011又は1011-1012を含む。
【0134】
特定の実施形態では、樹状細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンは、ヘルパーT細胞エピトープとともに投与される。いくつかの実施形態では、例となる樹状細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンは、約25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、550又は600μgのヘルパーT細胞エピトープとともに投与される。他の実施形態では、例となる樹状細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンは、約25-50、25-75、25-100、50-100、50-150、50-200、100-150、100-200、100-250、100-300、150-200、150-250、150-300、200-250、250-300、250-350、250-400、300-350、300-400、300-450、300-500、350-400、350-450、400-500、400-600又は500-600μgのヘルパーT細胞エピトープとともに投与される。
【0135】
特定の実施形態では、樹状細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンは、免疫応答調整物
質とともに投与される。いくつかの実施形態では、例となる樹状細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンは、約100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700又は1800μgの免疫応答調整物質とともに投与される。他の実施形態では、例となる樹状細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンは、約100-300、200-400、400-800、600-800、800-1000、800-1200、1000-1200、1000-1400、1200-1400、1200-1600、1400-1600、1400-1800又は1600-1800μgの免疫応答調整物質とともに投与される。他の実施形態では、例となる樹状細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンは、患者キログラムあたり、約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55又は60μgの免疫応答調整物質とともに投与される。他の実施形態では、例となる樹状細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンは、患者キログラムあたり、約1-5、1-10、5-10、5-15、10-15、10-20、15-20、15-25、15-30、20-25、20-30、20-35、25-30、25-35、25-40、30-35、30-40、35-40、35-45、40-45、40-50、45-50、50-55又は50-60μgの免疫応答調整物質とともに投与される。
【0136】
特定の実施形態では、樹状細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンはアジュバントとともに投与される。いくつかの実施形態では、樹状細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンを含む組成物は、0.5対1、1対0.5、1対1、1対2、1対3、2対1又は3対1で、アジュバントと共に混合される。
【0137】
特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物(例えば、IL-13Rα2ペプチドワクチンを含む組成物、IL-13Rα2ペプチドワクチン及びヘルパーT細胞エピトープ、アジュバント、及び/若しくは免疫応答調整物質を含む組成物、又は免疫応答調整物質を含む組成物)は、単回投与として一度対象に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物(例えば、IL-13Rα2ペプチドワクチンを含む組成物、IL-13Rα2ペプチドワクチン及びヘルパーT細胞エピトープ、アジュバント、及び/又は免疫応答調整物質を含む組成物、又は免疫応答調整物質を含む組成物)は、複数回投与され(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は10回以上)、用量は、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、15日又は30日に分けられ得る。特定の実施形態ではIL-13Rα2ペプチドワクチンは、節内に(intranodally)又は皮下に投与され、免疫応答調整物質筋肉内投与される。
【0138】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物が無細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンを含む場合、0、3、6、9、12、15、18及び21週に投与し、21週間にわたって該組成物を投与することができる。特定の実施形態では、無細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンを含む組成物は、ヘルパーT細胞エピトープ、アジュバント、及び/又は免疫応答調整物質とともに投与される。特定の実施形態では、無細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンを含む本明細書に記載される組成物を、0、3、6、9、12、15、18及び21週に投与し、21週間にわたって該組成物を投与することができ、該組成物は、免疫応答調整物質とともに投与され、該免疫応答調整物質は、無細胞IL-13Rα2ペプチドワクチン各投与日に投与され、無細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンの各投与後4日目に投与される。他の特定の実施形態では、無細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンを含む本明細書に記載される組成物は、0、3、6、9、12、15、18及び21週に投与し、21週間にわたって該組成物を投与することができる。そして、該組成物は、免疫応答調整物質とともに投与され、該免疫応答調整物質は、無細胞IL-13Rα2ペプチドワクチン各投与日に投与される。特定の実施形態では、無細胞IL
-13Rα2ペプチドワクチンは、皮下投与され、免疫応答調整物質は、筋肉内投与される。
【0139】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物が樹状細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンを含む場合、該組成物は、0、2、4及び6週に投与し、6週間にわたって該組成物を投与することができる。特定の実施形態では、無細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンを含む組成物は、ヘルパーT細胞エピトープ、アジュバント及び/又は免疫応答調整物質とともに投与される。特定の実施形態では、樹状細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンを含む本明細書に記載される組成物は、0、2、4及び6週に投与し、6週間にわたって該組成物を投与することができ、該組成物は、免疫応答調整物質とともに投与され、該免疫応答調整物質投与は、樹状細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンの投与の初日に開始され、1週間に2回投与される。特定の実施形態では、樹状細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンは、節内に(intranodally)投与され、免疫応答調整物質は、筋肉内投与される。
【0140】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物が、樹状細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンを含む場合、0、2、4、6、10、14、18、22及び26週に投与し、26週間にわたって該組成物を投与することができる。特定の実施形態では、無細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンを含む組成物は、ヘルパーT細胞エピトープ、アジュバント及び/又は免疫応答調整物質とともに投与される。特定の実施形態では、樹状細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンを含む本明細書に記載される組成物は、0、2、4、6、10、14、18、22及び26週に投与し、26週間にわたって該組成物を投与することができ、該組成物は免疫応答調整物質とともに投与され、該免疫応答調整物質投与は、樹状細胞IL-13Rα2ペプチドワクチン投与の初日から開始され、1週間に2回投与される。特定の実施形態では、樹状細胞IL-13Rα2ペプチドワクチンは節内に(intranodally)投与され、免疫応答調整物質は、筋肉内投与される。
【0141】
6.7.2 脳がん
本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンは、脳がんの予防、治療及び/又は管理に使用され得る。任意のタイプの脳がんが、本明細書に記載される方法に従って、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンで処理され得る。例となる脳がんは、グリオーマ((例えば、毛様細胞性星状細胞腫、びまん性星状細胞腫及び未分化星状細胞腫)を含む星状細胞腫、膠芽細胞腫、乏突起膠腫、脳幹グリオーマ、非脳幹グリオーマ、上衣腫、及び1つのグリア細胞タイプ以上を含む混合腫瘍)、聴神経鞘腫、頭蓋咽頭腫(cranialpharyngioma)、髄膜腫、髄芽腫、原発性中枢神経系腫瘍、松果体(例えば、松果体星状細胞腫及び松果体実質腫瘍)及び下垂体の腫瘍が挙げられる。グリオーマにはさらに、再発悪性グリオーマ、高リスクWHOグレードII星状細胞腫、乏突起星状細胞腫、再発WHOグレードIIグリオーマ、新たに診断された悪性又は内在性脳幹グリオーマ、不完全に切除された非脳幹グリオーマ及び再発性切除不能低悪性度のグリオーマが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載される方法に従って、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンで処置され得る脳がんの追加のタイプは、成人低悪性度浸潤性テント上星状細胞腫/乏突起膠腫、成人低悪性度浸潤性テント上星状細胞腫、成人低悪性度浸潤性テント上乏突起膠腫、成人低悪性度浸潤性テント上星状細胞腫/乏突起膠腫(毛様細胞性星状細胞腫を除く)、成人低悪性度浸潤性テント上星状細胞腫(毛様細胞性星状細胞腫を除く)、成人低悪性度浸潤性テント上乏突起膠腫(毛様細胞性星状細胞腫を除く)、成人頭蓋内上衣腫、成人頭蓋内上衣腫(上衣下腫及び粘液乳頭状を除く)、成人頭蓋内未分化上衣腫、未分化グリオーマ、未分化膠芽細胞腫、毛様細胞性星状細胞腫、上衣下腫、粘液乳頭状、1~3の限られた転移性病変(実質内)、3以上の転移性病変(実質内)、軟膜転移(腫瘍性髄膜炎)、原発性中枢神経系、転移性脊椎腫瘍又は髄膜腫が挙げられる。
【0142】
1実施形態では、本明細書に記載される方法に従って、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンで処理される脳がんは、グリオーマである。特定の実施形態では、本明細書に記載される方法に従って、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンで処理される脳がんは、再発悪性グリオーマである。他の特定の実施形態では、本明細書に記載される方法に従って、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンで処理される脳がんは、再発WHOグレードIIグリオーマである。他の特定の実施形態では、本明細書に記載される方法に従って、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンで処理される脳がんは、新たに診断された悪性又は浸潤脳幹グリオーマである。他の特定の実施形態では、本明細書に記載される方法に従って、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンで処理される脳がんは、不完全に切除された非脳幹グリオーマである。他の特定の実施形態では、本明細書に記載される方法に従って、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンで処理される脳がんは、再発性切除不能低悪性度グリオーマである。1実施形態では、患者は再発悪性グリオーマ、再発性膠芽細胞腫、未分化星状細胞腫、未分化乏突起膠腫又は混合乏突起星状細胞腫の成人である。他の特定の実施形態では、患者は高リスク低悪性度グリオーマと新たに診断された成人である。他の特定の実施形態では、患者は高リスク低悪性度星状細胞腫と新たに診断された成人である。他の特定の実施形態では、患者は高リスク低悪性度乏突起星状細胞腫と新たに診断された成人である。他の特定の実施形態では、患者は、再発性高リスク低悪性度星状細胞腫の成人である。他の特定の実施形態では、患者は、再発性高リスク低悪性度乏突起星状細胞腫の成人である。他の特定の実施形態では、患者は、再発性高リスク低悪性度乏突起膠腫の成人である。他の特定の実施形態では、患者は、新たに悪性グリオーマと診断された子供である。他の特定の実施形態では、患者は内在性脳幹グリオーマの子供である。他の特定の実施形態では、患者は、非脳幹高悪性度グリオーマの切除が不完全な子供である。他の特定の実施形態では、患者は、再発性切除不能低悪性度グリオーマの子供である。他の特定の実施形態では、患者は、新たにびまん性内在性橋グリオーマと診断された子供である。他の特定の実施形態では、患者は、脳幹に関連しRT又はRTの間に化学療法なしに処置された任意の高悪性度グリオーマの子供である。他の特定の実施形態では、患者は、RTと化学療法で処置された非脳幹高悪性度グリオーマと新たに診断された子供である。他の特定の実施形態では、患者は、処置後に再発性非脳幹高悪性度グリオーマが再発した子供である。
【0143】
他の実施形態では、本明細書に記載されるに従って本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンで治療された脳がんは星状細胞腫である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるに従って本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンで治療された脳がんは、高リスクWHOグレードII星状細胞腫である。他の特定の実施形態では、本明細書に記載されるに従って本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンで治療された脳がんは、乏突起星状細胞腫(Oligo Astrocytoma)である。
【0144】
6.7.3 患者群
1実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物は、天然の対象、すなわち、脳がんではない対象に投与することができる。1実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を脳がんの危機にさらされている対象に投与することができる。
【0145】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を脳がんと診断された患者に投与することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物は、脳がんの症状を示す又は症状が悪化する前に患者に投与される。好ましい実施形態では、脳がんは、グリオーマである。
【0146】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を、脳がんの治療、予防及び/又は管理の必要な患者に投与することができる。該対象は、以前にがんの治療がなされたかもしれないし、なされていないかもしれない。あるいは、該対象は、寛解、再発、又は治療が失敗したかもしれない。該患者は、異常な細胞遺伝学を有するかもしれない。本明細書に記載される13Rα2ペプチドワクチン及び組成物は、任意の一連の脳がん治療、例えば、脳がん治療の第1、第2、第3ラインとして使用することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載されるワクチン又は医薬組成物を受ける又は受けている対象は、他の脳がん治療を受けている又は受けたことがある。他の実施形態では、本明細書に記載されるワクチン又は医薬組成物を受ける又は受けている対象は、他の脳がん治療を受けたことがない又は受けていない。
【0147】
特定の実施形態では、対象は当業者に知られた方法で脳がんと診断されているが、当該方法は、神経学的検査、イメージング法(例えば、computed tomography(CT)、磁気
共鳴画像法(MRI)、超音波、X線造影フレアー(fluid-attenuated inversion-recovery;FLAIR)配列、T2強調画像及びポジトロン断層撮影(PET)スキャン)及
び生検(定位生検)が挙げられるが、これらに限定されない。治療に対する腫瘍応答は、マクドナルド(McDonald)基準又はラノ(Response assesment in neuro-oncology;RANO)基準で評価され得る。腫瘍の大きさ又は治療に対する応答は、様々な磁気共鳴画像法;拡散強調画像、灌流強調画像、ダイナミック造影T1の透磁率画像、動的磁化率コントラスト、拡散テンソル画像、磁気共鳴分光法、解剖学的MRI T2強調画像、流体減衰反転回復(FLAIR)T2強調画像、及びガドリニウム造影T1強化画像により評価され得る。これらの画像技術は、腫瘍細胞性、白質への浸潤、低酸素症及び壊死を含む代謝異常、血管新生、毛細血管血液量又は透磁率を評価することで使用することができる。18F-フルオロミソニダゾール(18F-fluoromisonidazole)PET及び3’-デオキシ-3’-18F-フルオロチミジン(3’-deoxy-3’-18F-fluorothymidine)PET等の
ポジトロン断層法(Positron emission tomograph;PET)技術も、腫瘍応答を画像化する
ために使用することができる。
【0148】
1実施形態では、脳がん腫瘍を治療するために、放射線療法を受けている又は受けたことがある対象に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与することができる。特定の実施形態では、脳がん腫瘍を治療するために、放射線療法と同時に又は後に、対象に本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与することができる。他の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物は、脳がん腫瘍を治療するために、放射線療法前の対象に、いくつかの実施形態では、放射線療法の間及び/又は後に、対象に投与することができる。いくつかの好ましい実施形態では、放射線療法は外部分割放射線照射療法(fractionated external beam radiotherapy)、限定視野外部分割放射線照射療法(limited-field fractionated external beam radiotherapy)、全脳放射線療法(whole brain radiotherapy)、定位的放射線療法(stereotactic radiosurgery)又は頭蓋脊髄放射線療法(craniospinal radiotherapy)である。
【0149】
1実施形態では、脳がん腫瘍を治療するために、化学療法を受けている又は受けたことがある対象に本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。特定の実施形態では、脳がん腫瘍を治療するために、化学療法と同時に又は続いて対象に本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。他の実施形態では、脳がん腫瘍を治療するために、化学療法前の対象に、いくつかの実施形態では、化学療法の間及び/又は後の対象に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。いくつかの好ましい実施形態では、化学療法は、テモゾロミド(Temodar(登録商標))、ニトロソウレア、白金系レジメン、エトポシ
ド、シスプラチン、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、イリノテカン、シクロホス
ファミド、BCNU(carmustine)、カペシタビン、高用量メトトレキサート(methotrexate)、トポテカン(topotecan)、高用量ARA-C、ヒドロキシカルバミド(hydroxyurea)、α-インターフェロン、ソマトスタチン類似体、intra-CSF化学療法(リポソームシタラビン;liposomal cytarabine、メトトレキサート;methotrexate、シタラビン;cytarabine、チオテパ;thiotepa又はリツキシマブ;rituximab(Rituxan(登録商標)))である。
【0150】
1実施形態では、1以上の脳がん腫瘍を治療するための化学療法、放射線療法又は手術含む治療戦略に失敗した、治療中である、又は治療したことがある、対象に本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。好ましい実施形態では、脳がんはグリオーマである。例えば、患者は、化学療法及び手術を共に、失敗した、受けているかもしれないし、受けたことがあるかもしれない。あるいは、患者は放射線及び手術を共に受けたことがあるかもしれないし、又は受けているかもしれない。さらに、患者は化学療法及び放射線を受けたことがあるかもしれないし、又は受けているかもしれない。いくつかの好ましい実施形態では、患者が失敗した、受けている、又は受けたことがある治療の組み合わせは、切除及びテモゾロミド(Temodar(登録商標))(150-
200mg/m2)5/28スケジュール、切除及びBCNUウエハー(Gliadel(登録商標
))、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))及び化学療法、PCVの組み合わせ(CCNU
(lomustine)並びにプロカルバジン及びビンクリスチン)、高用量メトトレキサート及
びビンクリスチン、プロカルバジン、シタリビル(cytaribine)又はリツキシマブ、幹細胞レスキュー(stem cell rescue)を伴う高用量化学療法又はリツキシマブ(Rituxan(
登録商標))及びテモゾロミド(Temodar(登録商標))である。
【0151】
1実施形態では、脳がん腫瘍を除去するために外科治療を受けている又は受けたことがある対象に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。特定の実施形態では、脳がん腫瘍を除去するための外科治療時に又は術後、対象に本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。他の実施形態では、脳がん腫瘍を除去するための外科治療前に、いくつかの実施形態では、手術中及び/又は術後、対象に本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。
【0152】
特定の実施形態では、他の治療、例えば、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、手術、小分子療法、抗血管新生療法及び/又は、免疫療法を含む生物学的療法であって、治療があまりに毒性であると証明されているか、証明され得る、すなわち、対象に許容されない又は耐え難い副作用が生じる治療の代替として、対象に本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。
【0153】
特定の実施形態では、放射線療法を受けるかもしれない、受けている、又は受けたことのある対象に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。これらの対象は、化学療法、ホルモン療法、小分子療法、抗血管新生療法、及び/又は免疫療法を含む生物学的療法だけでなく、手術を受けたことがある患者である。
【0154】
他の実施形態では、ホルモン療法、及び/又は免疫療法を含む生物学的療法を受ける、受けている、受けたことがある対象に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。これらの対象は、化学療法、小分子療法、抗血管新生療法、及び/又は放射線療法だけでなく、手術を受けたことがある人である。
【0155】
特定の実施形態では、1以上の療法に難治性を示す対象に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。1実施形態では、療法に難治性を
示すがんは、少なくともがん細胞のある重大な部分が殺されないか、細胞分裂が止まらないことを意味する。がん細胞が難治性を示すか否かは、このような状況において、当分野で受け入れられている「難治性」の意味で、がん細胞の治療の有効性を分析するための任意の方法で、in vivo又はin vitroいずれにおいても決定することができる。様々な実施形態では、がん細胞の量が有意に減少していないか増加している場合、がんは難治性である。
【0156】
いくつかの実施形態では、脳がん寛解の対象に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。特定の実施形態では、対象は検出可能な脳がんがない、つまり、脳がんは本明細書に記載される従来の方法(例えば、MRI)又は当業者に知られた方法を用いて検出することができない。
【0157】
1実施形態では、グリオーマと診断された対象に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。特定の実施形態では、星状細胞腫(例えば、毛様細胞性星状細胞腫、びまん性星状細胞腫、及び未分化星状細胞腫)と診断された対象に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。他の特定の実施形態では、膠芽細胞腫と診断された対象に本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。他の特定の実施形態では、乏突起膠腫と診断された対象に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。他の特定の実施形態では、脳幹グリオーマと診断された対象に本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。他の特定の実施形態では、上衣腫と診断された対象に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。他の特定の実施形態では、1以上のグリア細胞のタイプを含む混合腫瘍と診断された対象に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。
【0158】
特定の実施形態では、再発悪性グリオーマと診断された対象に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。他の特定の実施形態では、WHOグレードII星状細胞腫の高リスクがあると診断された対象に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。他の特定の実施形態では、乏突起星状細胞腫と診断された対象に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。他の特定の実施形態では、再発WHOグレードIIグリオーマと診断された対象に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。他の特定の実施形態では、新たに診断された悪性又は内在性脳幹グリオーマの対象に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。他の特定の実施形態では、不完全に切除された非脳幹グリオーマと診断された対象に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。他の特定の実施形態では、切除不能な再発性低悪性度グリオーマと診断された対象に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。
【0159】
特定の実施形態では、聴神経鞘腫と診断された対象に、IL-13Rα2ペプチドワクチン又は本明細書に記載される組成物を投与する。他の特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成を頭蓋咽頭腫と診断された対象に投与する。他の特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を髄膜腫と診断された対象に投与する。他の特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を髄芽腫と診断された対象に投与する。他の特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を原発性中枢神経系リンパ腫と診断された対象に投与する。他の特定の実施形態では、松果腺の腫瘍(例えば、松果体の星状細胞腫瘍又は松果体の実質腫瘍)と診断された対象に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組
成物を投与する。他の特定の実施形態では、下垂体の腫瘍と診断された対象に、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を投与する。
【0160】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物が投与される対象は、ヒト成人である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物が投与される対象は、高齢者である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物が投与される対象は、ヒト子供である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物が投与される対象は、ヒト胎児である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物が投与される対象は、ヒト幼児である。
【0161】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物が投与される対象は、例えば、フローサイトメトリーにより決定されるように、HLA-A2陽性である。
【0162】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物が投与される対象は、カルノフスキーパフォーマンスステータス(Karnofsky performance status;KPS)が>60である。KPSは、化学療法薬の無作為化試験で変動する階層及び選択として使用され、0-100の範囲である。スコア>60の患者は、働くことはできないが家で過ごすことはでき、必要な介助の度合いは様々で、個人的ニーズの大半を世話することができる。スコア>70の患者は、努力して正常活動を行うが、病気のいくつかの徴候や症状を示す。スコア>80の患者は、正常活動を行うことができ、病気の軽度の兆候や症状を示すのみである。スコア>90の患者は、正常であり健康上の訴えはなく、病気の兆候や症状を示さない。
【0163】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物が投与される対象は、白血球数が約1000/mm3、1500/mm3、2000/mm3、2500/mm3、3000/mm3又は3500/mm3、又は約1000/mm3-1500/mm3、1000/mm3-2000/mm3、1500/mm3-2500/mm3、1500/mm3-3000/mm3、2000/mm3-3500/mm3若しくは2500/mm3-3500/mm3である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物が投与される対象は、白血球数が2500/mm3以上又は同等である。
【0164】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物が投与される対象は、リンパ球数が約100/mm3、200/mm3、300/mm3、400/mm3、500/mm3又は600/mm3、又は約100/mm3-400/mm3、200/mm3-400/mm3、300/mm3-500/mm3、300/mm3-600/mm3、400/mm3-500/mm3、若しくは400/mm3-600/mm3である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物が投与される対象は、リンパ球数が、400/mm3以上又は同等である。
【0165】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物が投与される対象は、血小板数が約25,000/mm3、50,000/mm3、75,000/mm3、100,000/mm3、200,000/mm3、300,000/mm3、又は約25,000/mm3-100,000/mm3、50,000/mm3-100,000/mm3、75,000/mm3-100,000/mm3、100,000/mm3-200,000/mm3、100,000/mm3-300,0
00/mm3若しくは200,000/mm3-300,000/mm3である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物が投与される対象は、血小板数が100,000/mm3以上又は同等である。
【0166】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物が投与される対象は、ヘモグロビン数が約5g/dL、10g/dL、15g/dL又は20g/dL又は約5-10g/dL、5-15g/dL、10-15g/dL若しくは10-20g/dLである。特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物が投与される対象は、ヘモグロビン数が10g/dL以上又は同等である。
【0167】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物が投与される対象は、AST、ALT、GGT、LDH及びアルカリホスファターゼ値が、正常値の上限の1、1.5、2、2.5又は3倍以内である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物が投与される対象は、AST、ALT、GGT、LDH及びアルカリホスファターゼ値が正常値の上限の2.5倍以内である。
【0168】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物が投与される対象は、全ビリルビンが約1mg/dL、1.5mg/dL、2mg/dL、2.5mg/dL又は3mg/dL又は約1.5-2.5mg/dL、1.5-3mg/dL、2-2.5mg/dL若しくは2-3mg/dLである。特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物が投与される対象は、全ビリルビンが2mg/dL以上又は同等である。
【0169】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物が投与される対象は、血清クエンチン値が正常値の上限の0.5、1、1.5、2、2.5又は3倍以内である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物が投与される対象は、血清クエンチン値が、正常値の上限の1.5倍以内である。
【0170】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物が投与される対象は、凝固試験PT及びPTTが正常値の上限の0.5、1、1.5、2、2.5又は3倍以内である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物が投与される対象は、正常値の上限内の凝固試験PT及びPTTである。
【0171】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物は、以下の患者群の1以上:高齢者;6ヶ月以下の乳児;妊婦;1歳以下の乳児;2歳以下の子供;3歳以下の子供;4歳以下の子供;5歳以下の子供;20歳以下の成人;25歳以下の成人;30歳以下の成人;35歳以下の成人;40歳以下の成人;45歳以下の成人;50歳以下の成人;70歳以上の高齢者;80歳以上の高齢者;85歳以上の高齢者;90歳以上の高齢者;95歳以上の高齢者;化学療法を受けている対象;放射線療法を受けている対象;生物学的療法を受けている対象;インターフェロン治療を受けている対象;アレルギー脱感作注射を受けている対象;違法薬物を接種している対象;成長因子(例えば、Procrit(登録商標)、Aranesp(登録商標)、Neulasta(登録商標))治療を受けている対象;インターロイキン(例えば、Proleukin(登録商標))治療を受けている対象;転移性疾患のある対象;授乳中の女性;活性ウイルス、細菌性又は真菌感染のある対象;自己免疫疾患の病歴がある対象;HIVの対象;本明細書に記載されるワクチンを含まない治験薬で治療されている対象;神経
膠腫症、頭蓋又は脊椎軟膜転移性疾患の対象;及び/又は免疫抑制療法を受けている対象に投与しないことが望ましい。
【0172】
6.7.4 併用療法
特定の実施形態では、脳がんの予防、治療及び/又は管理のために本明細書で提供される方法は、予防上及び/又は治療上有効なレジメンを、それを必要とする患者(例えば、ヒト患者)に投与することを含み、該レジメンは、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物及び1以上の追加療法を患者に投与するものであって、該追加療法は、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物ではない。本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物及び追加療法は、別々に、同時に又は連続して投与され得る。併用療法は、相加的又は相乗的に作用し得る。
【0173】
併用療法は、同一医薬組成物中で対象に投与され得る。あるいは、併用療法は、別々の医薬組成物中で、同時に対象に投与され得る。併用療法は、同一又は異なる投与経路で対象に投与され得る。
【0174】
がん(例えば、脳がん)の予防、治療及び/又は管理に、有用な、使用された又は現在使用されている任意の療法(例えば、治療薬又は予防薬)が、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物と組み合わせて本明細書に記載される方法において使用され得る。療法には、ペプチド、ポリペプチド、抗体、接合体(conjugates)、核酸分子、小分子、模倣薬(mimetic agents)、合成薬、無機分子及び/又は有機分子が挙げられるが、これらに限定されない。がん療法の非限定例としては、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、手術、小分子療法、抗血管新生療法、分化療法、エピジェネティック療法、免疫療法、標的療法、及び/又は免疫療法を含む生物学的療法が挙げられる。特定の実施形態では、本発明の予防上及び/又は治療上有効なレジメンは、治療の組み合わせの投与を含む。
【0175】
1実施形態では、以前の化学療法はテモゾロミド(temolozimide)である。実施形態では、以前の療法は放射線療法である。他の実施形態では、以前の療法はテモゾロミド(temolozimide)及び放射線療法の組み合わせである。好ましい実施形態では、Stuppレジメンを用いたテモゾロミド(temolozimide)及び放射線療法の組み合わせが投与される。他の実施形態では、以前の療法は外科療法である。いくつかの実施形態では、患者は併用療法の開始前に外科療法を受ける。いくつかの実施形態では、患者はテモゾロミド(temolozimide)の前に外科療法を受ける。いくつかの実施形態では、患者は放射線療法の開始前に外科療法を受ける。併用療法の使用を記載するこれらの実施形態のそれぞれで、患者の治療前、中、後に、IL-13Rα2ペプチドワクチンは、組み合わされている治療で投与され得る。
【0176】
本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物と組み合わせて使用されるがん治療の例は、アシビシン(acivicin);アクラルビシン(aclarubicin);
塩酸アコダゾール(acodazole hydrochloride);アクロニン(acronine);アドゼレシ
ン(adozelesin);アルデスロイキン(aldesleukin);アルトレタミン(altretamine);アンボマイシン(ambomycin); 酢酸アメタントロンアセテート; アミノグルテチミ
ド(aminoglutethimide);アムサクリン(amsacrine);アナストロゾール(anastrozole); アントラサイクリン(anthracyclin);アントラマイシン(anthramycin);アス
パラギナーゼ;アスペルリン(asperlin);アザシチジン(vidaza);アゼテパ(azetepa);アゾトマイシン(azotomycin);バチマスタット(batimastat);ベンゾデパ(benzodepa);ビカルタミド(bicalutamide);ビサントレン塩酸塩(bisantrene hydrochloride);ビスナフィドジメシレート(bisnafide dimesylate);ビスフォスフォネート(
例えば、pamidronate (aredria), ナトリウムclondronate (bonefos)、zoledronic acid (zometa)、alendronate (fosamax)、etidronate、ib及び/又はnate、cimadronate、risedromate、及びtiludromate);ビゼレシン(bizelesin);硫酸ブレオマイシン(bleomycin sulfate);ブレキナルナトリウム(brequinar sodium);ブロピリミン(bropirimine);ブスルファン(busulfan);カクチノマイシン(cactinomycin);カルステロン(calusterone);カラセミド(caracemide);カルベチマー(carbetimer);カルボプラチ
ン(carboplatin);カルムスチン(carmustine);カルビシン塩酸塩(carubicin hydrochloride);カルゼレシン(carzelesin);セデフィンゴール(cedefingol);クロロムブシル(chlorombucil);シロールマイシン(cirolemycin); シスプラチン(cisplatin); クラドリビン(cladribine);クリスナトールメシレート(crisnatol mesylate);シクロホスファミド(シクロホスファミド);シタラビン(ara-c);ダカルバジン(dacarbazine);ダカルバジン;ダクチノマイシン(dactinomycin);ダウノルビシン塩酸塩(daunorubicin hydrochloride);デシタビン(dacogen);脱メチル化剤;デキソルマ
プラチン(dexormaplatin);デザグアニン(dezaguanine);デザグアニンイフェシレート(dezaguanine ifesylate);ジアジコン(diaziquone);ドセタキセル(docetaxel);ドキソルビシン(doxorubicin);塩酸ドキソルビシン(doxorubicin hydrochloride);ドロルオキシフェン(droloxifene);ドロロキシフェンクエン酸塩(droloxifene citrate);プロピオン酸ドロモスタノロン(dromostanolone propionate);ドゥアゾマイ
シン(duazomycin);エダトレキセート(edatrexate);エフロルニチン塩酸塩(eflornithine hydrochloride);EphA2阻害剤;エルサミトルシン(elsamitrucin);エンロプ
ラチン(enloplatin);エンプロメート(enpromate);エピプロピジン(epipropidine
);エピルビシン塩酸塩(epirubicin hydrochloride);エルブロゾール(erbulozole);エソルビシン塩酸塩(esorubicin hydrochloride);エストラムスチン(estramustine);リン酸エストラムスチンナトリウム(estramustine phosphate sodium);エタニダ
ゾール(etanidazole);エトポシド(etoposide);リン酸エトポシド(etoposide phosphate);エトプリン(etoprine);ファドロゾール塩酸塩(fadrozole hydrochloride);ファザラビン(fazarabine);フェンレチニド(fenretinide);フロクスウリジン(floxuridine);リン酸フルダラビン(fludarabine phosphate);フルオロウラシル(fluorouracil);5-fdump;フルオロシタビン(flurocitabine);フォスキドン(fosquidone);フォストリエシンナトリウム(fostriecin sodium);ゲムシタビン(gemcitabine);ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDACs)ゲムシタビン塩酸塩(Gemcitabine
Hydrochloride);ヒドロキシウレア(hydroxyurea);塩酸イダルビシン(idarubicin hydrochloride);イホスファミド(ifosfamide);イルモホシン(ilmofosine);メシ
ル酸イマチニブ(gleevec、glivec); インターロイキン ii (組み換えインターロイキン ii又はril2を含む)、インターフェロンα2a;インターフェロンα2b;インターフェロン α n1;インターフェロンαn3;インターフェロンβi a;インターフェロンγi b;イプロプラチン(iproplatin);塩酸イリノテカン(イリノテカン hydrochloride);酢酸ランレオチド(lanreotide acetate);レナリドミド(レブリミド);レトロゾール(letrozole);リュープロレリン酢酸塩(leuprolide acetate);リアロゾー
ル塩酸塩(liarozole hydrochloride);ロメトレキソールナトリウム(lometrexol sodium);ロムスチン(lomustine);ロソキサントロン塩酸塩(losoxantrone hydrochloride);マソプロコール(masoprocol);マイタンシン(maytansine);メクロレタミン塩
酸塩(mechlorethamine hydrochloride);抗CD2抗体(例えば、シプリズマブ(MedImmune Inc.;国際公開第02/098370号、これらはいずれも参照によりその全体が援用される。));酢酸メゲストロール(megestrol acetate);酢酸メレンゲステロール(melengestrol acetate);メルファラン(melphalan);メノガリル(menogaril);メルカプトプリ
ン(mercaptopurine);メトトレキセート(methotrexate);メトトレキセートナトリウム(methotrexate sodium);メトプリン(metoprine);メツレデパ(meturedepa);ミチンドミド(mitindomide);マイトカルシン(mitocarcin);マイトクロミン(mitocromin);ミトギリン(mitogillin);マイトマルシン(mitomalcin);マイトマイシン(m
itomycin);マイトスペル(mitosper);ミトタン(mitotane);ミトキサントロン塩酸塩(mitoxantrone hydrochloride);ミコフェノール酸(mycophenolic acid);ノコダ
ゾール(nocodazole);ノガラマイシン(nogalamycin);オルマプラチン(ormaplatin
);オキサリプラチン(oxaliplatin);オキシスラン(Oxisuran);パクリタキセル(Paclitaxel);ペガスパルガーゼ(pegaspargase);ペリオマイシン(peliomycin);ペ
ンタマスチン(pentamustine);ペプロマイシン硫酸塩(peplomycin sulfate);ペルフォスファミド(perfosfamide);ピポブロマン(pipobroman);ピポスルファン(piposulfan);ピロキサントロン塩酸塩(piroxantrone hydrochloride)プリカマイシン(plicamycin);プロメスタン(plomestane);ポルフィマーナトリウム(porfimer sodium)
;ポルフィロマイシン(porfiromycin);プレドニマスチン(prednimustine);プロカ
ルバジン塩酸塩(procarbazine hydrochloride);ピューロマイシン(puromycin);ピ
ューロマイシン塩酸塩(puromycin hydrochloride);ピラゾフリン(pyrazofurin);リボプリン(riboprine); ログレチミド(rogletimide);サフィンゴール(safingol)
;サフィンゴール塩酸塩(safingol hydrochloride);セマスチン(semustine);シム
トラゼン(simtrazene);スパルフォセートナトリウム(sparfosate sodium);スパル
ソマイシン(sparsomycin);塩酸スピロゲルマニウム(spirogermanium hydrochloride
);スピロマスチン(spiromustine);スピロプラチン(spiroplatin);ストレプトニ
グリン(streptonigrin);ストレプトゾシン(streptozocin);スロフェヌル(sulofenur);タリソマイシン(talisomycin);テコガランナトリウム(tecogalan sodium);
テガフール(tegafur);塩酸テトキサントロン(teloxantrone hydrochloride);テモ
ポルフィン(temoporfin);テニポシド(teniposide); テロキシロン(teroxirone)
;テストラクトン(testolactone);チアミプリン(thiamiprine);チオグアニン(thioguanine);チオテパ(thiotepa);チアゾフリン(tiazofurin);チラパザミン(tirapazamine);トレミフェンクエン酸塩(toremifene citrat);酢酸トレストロン(trestolone acetate);トリシリビンリン酸塩(triciribine phosphate);トリメトレキセート(trimetrexate);グルクロン酸トリメトレキセート(trimetrexate glucuronate);トリプトレリン(triptorelin);塩酸ツブロゾール(tubulozole hydrochloride);ウ
ラシルマスタード(uracil mustard);ウレデパ(uredepa);バプレオチド(vapreotide);ベルテポルフィン(verteporfin);ビンブラスチン硫酸塩(Vinblastine Sulfate
);ビンクリスチン硫酸塩(vincristine sulfate);ビンデシン(Vindesine);ビンデシン硫酸塩(vindesine sulfate);ビネピジン硫酸塩(vinepidine sulfate);ビング
リシナート硫酸塩(vinglycinate sulfate);ビンロイロシン硫酸(vinleurosine sulfate);酒石酸ビノレルビン(vinorelbine tartrate);ビンロシジン硫酸塩(vinrosidine sulfate);ビンゾリジン硫酸塩(vinzolidine sulfate);ボロゾール(vorozole);ゼニプラチン(zeniplatin);ジノスタチン(zinostatin);ゾルビシン塩酸塩(zorubicin hydrochloride)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0177】
本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物と組み合わせて使用される他のがん治療の例は、20-epi-1,25-ジヒドロキシビタミンD3(20-epi-1,25 dihydroxyvitamin D3);5-エチニルウラシル(5-ethynyluracil);アビラテロン(abiraterone);アクラルビシン(aclarubicin);アシルフルベン(acylfulvene);アデシペノ
ール(adecypenol);アドゼレシン(adozelesin);アルデスロイキン(aldesleukin)
;ALL-TKアンタゴニスト;アルトレタミン(altretamine);アンバムスチン(ambamustine);アミドックス(amidox);アミフォスチン(amifostine);アミノレブリン酸(aminolevulinic acid);アムルビシン(amrubicin);アムサクリン(amsacrine);アナ
グレリド(anagrelide);アナストロゾール(anastrozole);アンドログラホリド(andrographolide);血管新生阻害剤;アンタゴニストD; アンタゴニストG;アンタレリ
ックス(antarelix);抗-背側形成タンパク質-1(anti-dorsalizing morphogenetic protein-1);抗アンドロゲン、抗前立腺癌剤;抗エストロゲン剤; 抗新生物薬;アンチセンスオリゴヌクレオチド; アフィジコリングリシネイト(aphidicolin glycinate);
アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシス調節剤;アプリン酸(apurinic acid
);アラ-CDP-DL-PTBA(ara-CDP-DL-PTBA);アルギニンデアミナーゼ(arginine deaminase);アスラクリン(asulacrine);アタメスタン(atamestane);アト
リムスチン(atrimustine);アキシナスタチン1(axinastatin 1);アキシナスタチン2(axinastatin 2);アキシナスタチン3(axinastatin 3);アザセトロン(azasetron); アザトキシン(azatoxin); アザチロシン(azatyrosine);バッカチンIII誘導
体(baccatin III derivatives);バラノール(balanol);バチマスタット(batimastat);BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン(benzochlorins);ベンゾイルスタウロスポリン(benzoylstaurosporine);β-ラクタム誘導体;β-アレチン(beta-alethine); β-クラマイシンB(betaclamycin B);ベツリン酸(betulinic acid);bFGF阻害剤;ビカルタミド(bicalutamide);ビサントレン(bisantrene);ビサジリジニルスペルミン(bisaziridinylspermine);ビスナファイド(bisnafide);ビストラテンA(bistratene A);ビゼレシン(bizelesin);ブレフレート(breflate);ブ
ロピリミン(bropirimine);ブドチタン(budotitane);ブチオニンスルホキシミン(buthionine sulfoximine);カルシポトリオール(calcipotriol);カルホスチンC(calphostin C);カンプトセシン誘導体;カナリアポックスIL-2(canarypox IL-2);
カペシタビン(capecitabine);カルボキサミド-アミノ-トリアゾール(carboxamide-amino-triazole);カルボキサミドトリアゾール(carboxyamidotriazole);CaRestM3; CARN 700;軟骨由来阻害剤(cartilage derived inhibitor);カルゼ
レシン(carzelesin);カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン(castanospermine);セクロピンB(cecropin B);セトロレリクス(cetrorelix);クロリ
ン(chlorins);クロロキノキサリンスルホンアミド(chloroquinoxaline sulfonamide
);シカプロスト(cicaprost);シス-ポルフィリン(cis-porphyrin);クラドリビン(cladribine);クロミフェン類似体(clomifene analogues);クロトリマゾール(clotrimazole);コリスマイシンA(collismycin A);コリスマイシンB(collismycin B);コンブレタスタチンA4(combretastatin A4);コンブレタスタチン類似体(combretastatin analogue);コナゲニン(conagenin);クラムベシジン816(crambescidin 816);クリスナトール(crisnatol); クリプトフィシン8(cryptophycin 8);クリ
プトフィシンA(cryptophycin A)誘導体;クラシンA(curacin A);シクロペンタア
ントラキノン(cyclopentanthraquinones);シクロプラタン(cycloplatam);シペマイシン(cypemycin);シタラビンオクホスフェート(cytarabine ocfosfate);細胞溶解
因子;シトスタチン(cytostatin);ダクリキシマブ(dacliximab);デシタビン(decitabine);デヒドロジデムニンB(dehydrodidemnin B);デスロレリン(deslorelin);
デキサメタゾン(dexamethasone);デキシホスファミド(dexifosfamide);デキシラゾキサン(dexrazoxane);デキシホスファミド(dexifosfamide);デキシラゾキサン(dexrazoxane);デキシベラパミル(dexverapamil);ジアジコン(diaziquone);ジデム
ニンB(didemnin B);ジドックス(didox);ジエチルノルスペルミン(diethylnorspermine);ジヒドロ-5-アザシチジン(dihydro-5-azacytidine);ジヒドロタキソール(dihydrotaxol)ジオキサマイシン(dioxamycin);ジフェニルスピロマスチン(diphenyl spiromustine);ドセタキセル(docetaxel);ドコサノール(docosanol);ジオキ
サマイシン(dioxamycin);ジフェニルスピロマスチン(diphenyl spiromustine);ド
セタキセル(docetaxel);ドコサノール(docosanol);ドラセトロン(dolasetron);ドキシフルリジン(doxifluridine);ドロロキシフェン(droloxifene);ドロナビノール(dronabinol);デュオカルマイシンSA(duocarmycin SA);エブセレン(ebselen
); エコマスチン(ecomustine);エデルフォシン(edelfosine);エドレコロマブ(edrecolomab);エフロールニチン(eflornithine);エレメン(elemene);エミテファ
ル(emitefur);エピルビシン(epirubicin);エプリステライド(epristeride);エ
ストラムスチン類似体(estramustine analogue);エストロゲンアゴニスト;エストロ
ゲンアンタゴニスト;エタニダゾール(etanidazole);エトポシドリン酸塩(etoposide
phosphate);エキセメスタン(exemestane);ファドロゾール(fadrozole);ファザ
ラビン(fazarabine);フェンレチニド(fenretinide);フィルグラスチム(filgrastim);フィナステリド(finasteride);フラボピリドール(flavopiridol);フレゼラスチン(flezelastine);フルアステロン(fluasterone);フルダラビン(fludarabine);塩酸フルオロダウノルニシン(fluorodaunorunicin hydrochloride);フォルフェニメックス(forfenimex);フォルメスタン(formestane);フォストリエシン(fostriecin);フォテムスチン(fotemustine);ガドリニウムテキサフィリン(gadolinium texaphyrin);ガリウム硝酸塩(gallium nitrate);ガロシタビン(galocitabine);ガニレ
リックス(ganirelix);ゼラチナーゼ阻害剤(gelatinase inhibitors);ゲムシタビン(gemcitabine);グルタチオン阻害剤;HMG-CoA還元酵素阻害剤(例えば、アトルバスタ
チン;セリバスタチン;フルバスタチン;lescol;lupitor;ロバスタチン;ロスバスタ
チン;シンバスタチン);ヘプスルファン(hepsulfam); ヘレグリン(heregulin);ヘキサメチレンビスアセトアミド(hexamethylene bisacetamide);ヒペリシン(hypericin);イバンドロ酸(ibandronic acid);イダルビシン(idarubicin);イドキシフェン(idoxifene);イドラマントン(idramantone);イルモホシン(ilmofosine);イロマスタット(ilomastat);イミダゾアクリドン(imidazoacridones);イミキモド(imiquimod);免疫賦活剤ペプチド;インスリン様成長因子-1 受容体阻害剤;インターフェロ
ンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン(iobenguane);ヨードドキソルビシン(iododoxorubicin);イポメアノール(ipomeanol);4 -イロプ
ラクト(4- iroplact);イルソグラジン(irsogladine);イソベンガゾール(isobengazole);イソホモハリコンドリンB(isohomohalicondrin B);イタセトロン(itasetron);ジャスプラキノリド(jasplakinolide);カハラリドF(kahalalide F);ラメラ
リン-Nトリアセテート(lamellarin-N triacetate);ランレオチド(lanreotide);レイナマイシン(leinamycin);レノグラスチム(lenograstim);レンチナン硫酸塩(lentinan sulfate);レプトルスタチン(leptolstatin);レトロゾール(letrozole);
白血病抑制因子;白血球α-インターフェロン;リュープロリド+エストロゲン+プロ
ゲステロン;リュープロレイン(leuprorelin);レバミソール(levamisole);LFA-3TIP(Biogen, Cambridge, MA;国際公開第93/0686号及び米国特許第6,162,432号明細書);リアロゾール(liarozole); 線形ポリアミン類似体(linear polyamine analogue);
親油性二糖ペプチド;脂溶性白金化合物;リソクリナミド7(lissoclinamide 7);ロバプラチン(lobaplatin);ロンブリシン(lombricine);ロメトレキソール(lometrexol);ロニダミン(lonidamine);ロソキサントロン(losoxantrone);ロバスタチン(lovastatin);ロキソリビン(loxoribine);ルートテカン(lurtotecan);ルテチウムテキサフィリン(lutetium texaphyrin);リソフィリン(lysofylline);細胞溶解ペプチド;マイタンシン(maitansine);マンノスタチン(mannostatin);マリマスタット(marimastat);マソプロコール(masoprocol); マスピン(maspin); マトリリシン阻
害剤(matrilysin inhibitors);マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリ
ル(menogaril);メルバロン(merbarone);メテレリン(meterelin);メチオニナー
ゼ(methioninase);メトクロプラミド(metoclopramide);MIF阻害剤;ミフェプリストン(mifepristone);ミルテフォシン(miltefosine);ミリモスチム(mirimostim
);ミスマッチ二本鎖RNA;マイトグアゾン(mitoguazone);マイトラクトル(mitolactol);マイトマイシン類似体(mitomycin analogues);マイトナファイド(mitonafide);マイトトキシン線維芽細胞成長因子-サポリン(mitotoxin fibroblast growth factor-saporin);ミトキサントロン(mitoxantrone);モファロテン(mofarotene);
モルグラモスチム(molgramostim);モノクローナル抗体;ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン;モノホスホリル脂質A+ミオバクテリア細胞壁sk;モピダモール(mopidamol);多
剤耐性遺伝子阻害剤;多腫瘍抑制1に基づく治療(multiple tumor suppressor 1-based therapy);マスタード(mustard)抗がん剤;マイカペルオキシドB(mycaperoxide B);ミコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン(myriaporone);N-アセチルジナリン
(N-acetyldinaline);N-置換ベンズアミド;ナファレリン(nafarelin);ナグレス
ティップ(nagrestip);ナロキソン+ペンタゾシン(naloxone + pentazocine);ナパ
ビン(napavin);ナフテルピン(naphterpin);ナルトグラスチム(nartograstim);
ネダプラチン(nedaplatin);ネモルビシン(nemorubicin);ネリドロン酸(neridronic acid);中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド(nilutamide);ニサマイシン(nisamycin);酸化窒素モジュレーターnitric oxide modulators;ニトロオキシド抗酸化剤;ニトルリン(nitrullyn);O6-ベンジルグアニン(O6-benzylguanine);オクトレオチド(octreotide);オキセノン(okicenone);オリゴヌクレオチド;オナプリストン(onapristone);オンダンセトロン(ondansetron);オンダンセトロン(ondansetron);オラシン(oracin);経口サイトカインインデューサー(oral cytokine inducer);オ
ルマプラチン(ormaplatin);オサテロン(osaterone);オキサリプラチン(oxaliplatin);オキサウノマイシン(oxaunomycin);パクリタキセル(paclitaxel);パクリタ
キセル類似体(paclitaxel analogues);パクリタキセル誘導体(paclitaxel derivatives);パラウアミン(palauamine);パルミトイルリゾキシン(palmitoylrhizoxin);
パミドロン酸(pamidronic acid);パナキシトリオール(panaxytriol);パノミフェン(panomifene);パラバクチン(parabactin);パゼルリプチン(pazelliptine);ペガスパルガーゼ(pegaspargase);ペルデシン(peldesine);ペントサンポリ硫酸ナトリ
ウム(pentosan polysulfate sodium);ペントスタ
チン(pentostatin);ペントロゾール(pentrozole);ペルフルブロン(perflubron)
;ペルホスファミド(perfosfamide);ペリリルアルコール(perillyl alcohol);フェナジノマイシン(phenazinomycin);酢酸フェニル(phenylacetate);ホスファターゼ
阻害剤;ピシバニール(picibanil);塩酸ピロカルピン(pilocarpine hydrochloride);ピラルビシン(pirarubicin);ピリトレキシム(piritrexim);プラセチンA(placetin A);プラセチンB(placetin B);プラスミノーゲン活性化因子阻害剤;白金錯体
(platinum complex);白金化合物(platinum compounds); 白金-トリアミン錯体(platinum-triamine complex); ポルフィマーナトリウム(porfimer sodium);ポルフィロマイシン(porfiromycin);プレドニゾン(prednisone);プロピルビス-アクリドンプロスタグランジンJ2(propyl bis-acridone; prostaglandin J2);プロテアソーム阻害剤;プロテインAベース免疫モジュレーター(protein A-based immune modulator);プロテインキナーゼC阻害剤;プロテインキナーゼC阻害剤、マイクロアルガル(microalgal);タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン(purpurins);ピラゾロアクリジン(pyrazoloacridine);ピロ
リドキシレーテッド(pyridoxylated)ヘモグロビンポリオキシエチレンコンジュゲート
;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;RASファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras-GAP阻害剤;脱メチル化レテルリプチ;レニウムRe186エチドロン酸塩(rhenium Re 186 etidronate;リゾキシン(rhizoxin);
リボザイム;RIIレチナミド(RII retinamide);ログレチミド(rogletimide);ロ
ヒツキン(rohitukine);ロムルチド(romurtide);ロクイニメックス(roquinimex)
;ルビギノンB1(rubiginone B1);ルボキシル(ruboxyl); サフィンゴール(safingol);サイントピン(saintopin);SarCNU;サルコフィトールA(sarcophytol A);サルグラモスチム(sargramostim);Sdi1作動薬(Sdi1 mimetics);セムスチン(semustine); 老化由来阻害剤1(senescence derived inhibitor 1);センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達モジュレーター;単鎖抗原結合タンパク質;シゾフィラン(sizofiran);ソブゾキサン(sobuzoxane);ボロカプタンナト
リウム(sodium borocaptate);フェニルアセテートナトリウム(sodium phenylacetate);ソルベロール(solverol);ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン(sonermin);スパルフォス酸(sparfosic acid);スピカマイシンD(spicamycin D);スピロムスチン(spiromustine);スプレノペンチン(splenopentin);スポンジスタチン1(spongistatin 1);スクアラミン(squalamin); 幹細胞阻害剤; 幹細胞分裂阻害剤;スチ
ピアミド(stipiamide);ストロメリシン(stromelysin)阻害剤;スルフィノシン(sulfinosine);超活性(superactive)血管作動性腸管ペプチドアンタゴニスト;スラジス
タ(suradista);スラミン(suramin);スワインソニン(swainsonin);合成グリコサミノグリカン;タルリムスチン(tallimustine);5- フルオロウラシル(5-fluorouracil);ロイコボリン(leucovorin);タモキシフェンメチオジド(tamoxifen methiodide
);タウロムスチン(tauromustine);タザロテン(tazarotene);テコガランナトリウム(tecogalan sodium);テガフール(tegafur);テルラピリリウム(tellurapyrylium);テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テモゾロミド;テニポシド;テトラクロロデカオキシド(tetrachlorodecaoxide);テトラゾミン;タリカルピン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチン模倣;サイマルファシン(thymalfasin);チモポエ
チン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;エチルエチオプルプリン錫;チラパザミン;チタノセン2塩化物;トプセンチン;トレミフェン;全能性幹細胞因子
;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリ;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻
害剤;ウベニメクス;尿生殖洞由来成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベクター系、赤血球遺伝子治療;サリドマイド;ベラレソ
ール(velaresol);ベラミン(veramine);ベルディン(verdins);ベルテポルフィン(verteporfin);ビノレルビン(vinorelbine);ビンキサルチン(vinxaltine);ビタキシン(VITAXINTM);(米国特許出願公開第2002/0168360号明細書A1、公開日;11月14日、 2002、 タイトル「Treating Inflammatory or Autoimmune Disorders by Administering Integrin αvβ3 Antagonists in Combination With Other Prophylactic or Therapeutic Agent」参照);ボロゾール(vorozole);ザノテロン(zanoterone);ゼニプラ
チン(zeniplatin);ジラスコルブ(zilascorb);ジノスタチンスチマラマー(zinostatin stimalamer)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0178】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物を組み合わせて使用される療法は、免疫調節薬である。本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物と組み合わせて使用される免疫調節薬の非限定的例は、例えば、サイトカイン、ペプチド模倣体、及び抗体のタンパク質性試薬(例えば、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、Fvs、ScFvs、Fab又はF(ab)2断片又はエピトープ結合断片)、核酸分子(例えば、アンチセンス核酸分子、及びトリプルへリックス)、小分子、有機化合物、無機化合物が挙げられる。特に、免疫調節薬は、メトトレキサート、レフルノミド、シクロホスファミド、サイトキサン、イムラン(Immuran)、シクロスポリン、ミノサイクリン、アザチオプリン、抗生
物質(例えば、FK506(tacrolimus))、メチルプレドニゾロン(methylprednisolone;MP)、コルチコステロイド、ステロイド、ミコフェノール酸モフェチル、ラパマイシン(
シロリムス)、ミゾリビン、デオキシスペルグアリン、ブレキナルブレキナル(brequinar)、マロノニトリロアミンド(malononitriloamindes)(例えば、leflunamide)、T細胞受容体モジュレーター、サイトカイン受容体モジュレーター、及びモジュレーター肥満細胞モジュレーター等が挙げられるが、これらに限定されない。免疫調節薬の他の例は、例えば、米国特許出願公開第2005/0002934号明細書、段落259-275に開示され、これらは
いずれも参照によりその全体が本明細書に援用される。1実施形態では、免疫調節薬は化学療法剤である。代替実施形態では、免疫調節薬は化学療法剤以外の免疫調節薬である。いくつかの実施形態では、本発明に従って使用される療法は、免疫調節薬ではない。
【0179】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物と組み合わせて使用される療法は抗血管新生薬である。本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物と組み合わせて使用される抗血管新生薬の非限定例は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、コンジュゲート、抗体(例えば、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、Fvs、ScFvs、Fab又はF(ab)2断片又はこれらの抗原結合断片)、TNF-αに特異的に結合する抗体等、核酸分子(例えば、アンチセンス核酸分子、及びトリプルへリックス)、有機分子、無機
分子、血管新生を減少又は阻害する小分子が挙げられる。抗血管新生薬の他の例は、例えば、米国特許出願公開第2005/0002934号明細書、段落277-282に開示され、これらはいず
れも参照によりその全体が本明細書に援用される。好ましい実施形態では、抗血管新生療法は、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))である。他の実施形態では、本発明に従っ
て使用される療法は、抗血管新生ではない。
【0180】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物と組み合わせて使用される療法は、抗炎症剤である。本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物と組み合わせて使用される抗炎症剤の非限定例は、当業者に周知の炎症性疾患の治療で有用な試薬を含む、任意の抗炎症剤を含む。抗炎症剤の非限定例は、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)、ステロイド性抗炎症剤、抗コリン薬(例えば、アトロピン硫酸塩、硝酸メチルアトロピン及び臭化イプラトロピウム(ATROVENTTM))、β2-アゴニスト(例えば、abuterol(VENTOLINTM及びPROVENTILTM)、
ビトルテロール(TORNALATETM)、レバルブテロール(XOPONEXTM)、metaproterenol(ALUPENTTM)、ピルブテロール(MAXAIRTM)、terbutlaine(BRETHAIRETM 及びBRETHINETM)
、アルブテロール(PROVENTILTM、 REPETABSTM及びVOLMAXTM)、ホルモテロール(FORADIL
AEROLIZERTM)、及びサルメテロール(SEREVENTTM及びSEREVENT DISKUSTM)及びメチル
キサンチン(例えば、テオフィリン(UNIPHYLTM、THEO-DURTM、SLO-BIDTM、及びTEHO-42TM))。NSAIDsの例は、アスピリン(aspirin)、イブプロフェン(ibuprofen)、セレコ
キシブ(CELEBREXTM)、ジクロフェナク(VOLTARENTM)、エトドラク(LODINETM)、フェノプロフェン(NALFONTM)、インドメタシン(INDOCINTM)、ケトロラック(TORADOLTM)、オキサプロジン(DAYPROTM)、ナブメトン(nabumentone)(RELAFENTM)、スリンダク(CLINORILTM)、トルメンチン(TOLECTINTM)、ロフェコキシブ(VIOXXTM)、ナプロキ
セン(ALEVETM、NAPROSYNTM)、ケトプロフェン(ACTRONTM)及びナブメトン(RELAFENTM)が挙げられるが、これらに限定されない。該NSAIDsは、シクロオキシゲナーゼ酵素(例えば、COX-1及び/又はCOX-2)を阻害することにより機能する。ステロイド性抗炎症剤の例は、グルココルチコイド、デキサメタゾン(DECADRONTM)、コルチコステロイド(例えば、methylprednisolone(MEDROLTM))、コルチゾン(cortisone)、ヒドロコルチゾン
(hydrocortisone)、プレドニゾン(prednisone)(PREDNISONETM及びDELTASONETM)、
プレドニゾロン(PRELONETM及びPEDIAPREDTM)、トリアムシノロン、アザルフィジン及びエイコサノイドの阻害剤(例えば、プロスタグランジン、トロンボキサン及びロイコトリエン)が挙げられるが、これらに限定されない。他の抗炎症剤の例は、米国特許出願公開第2005/0002934号明細書、段落290-294に開示され、これらはいずれも参照によりその全
体が本明細書に援用される。他の実施形態では、本発明に従って使用される療法は、抗血管新生ではない。
【0181】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン又は組成物と組み合わせて使用される療法は、アルキル化剤、ニトロソ尿素、代謝拮抗剤、及びアントラサイクリン、トポイソメラーゼII阻害剤、又は有糸分裂阻害剤である。アルキル化剤は、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、クロランブシル(cholormbucil)、シクロホスファミド、イホスファミド、バジン、メクロレタミン、メルファラン、及びテモゾロミドであるが、これらに限定されない。ニトロソ尿素は、カルムスチン(BCNU)及びロムスチン(CCNU)である。代謝拮抗剤、限定されないが、5-フルオロウラシル、カペシタビン、メトトレキセート、ゲムシタビン、シタラビン及びフルダラビンであるが、これらに限定されない。アントラサイクリンは、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロンであるが、これらに限定されない。トポイソメラーゼII阻害剤は、トポテカン、イリノテカン、エトポシド(etopiside)(VP-16)、及びテニポシドであるが、これらに限定されない。有糸分裂阻害剤は、タキサン(paclitaxel、docetaxel)及びビンカ・アルカロイド(vinblastine、vincristine及びvinorelbine)であるが、これらに限定されない。
【0182】
現在利用可能ながん療法及び用量、投与経路並びに推奨使用法は、当分野で知られており、Physician’s Desk Reference (60th ed., 2006)等の文献に記載されている。本発明に従って、化学療法剤の投与量及び投与頻度は、上記に記載されている。
【0183】
6.7.5 生物学的アッセイ
本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン及び組成物は、脳がんを治療、予防、又は管理する能力について試験され得る。
【0184】
6.7.5.1 In Vivoアッセイ
本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン及び構成成分は、ヒトに使用する前に、適した動物モデル系で試験され得る。該動物モデル系は、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ブタ、イヌ、ウサギ等が挙げられるが、これらに限定されない。当分野で周知の任意の動物モデルが使用され得る。手順のいくつかの面は変わってよい。いくつかの面とは、ワクチン構成成分を投与する一時的レジーム、当該ワクチン組成物が、別々に、又は混合剤として投与されるか、及びワクチン構成成分の投与頻度、であるが、これらに限定されない。
【0185】
本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン若しくは組成物、又は本明細書に記載される併用療法の有効性を評価するために、がんの動物モデルを使用することができる。脳がんのための動物モデル例は、IL-13Rα2を発現する脳がん細胞系、又はIL-13Rα2を発現する原発性ヒト腫瘍細胞を用いる異種移植研究が挙げられるが、これらに限定されない。該モデルでは、IL-13Rα2特異的T細胞応答を誘導するためにマウスは免疫され、腫瘍の増殖を阻害する能力が評価される。1実施形態では、当該免疫の前に、該腫瘍異種移植は、既存の腫瘍の増殖を阻害するためのIL-13Rα2特異的T細胞応答の能力の試験を形成する。他の実施形態では、IL-13Rα2特異的T細胞応答は、腫瘍形成を妨げるための免疫応答の能力を評価するために、腫瘍細胞の注射の前に誘導される。
【0186】
6.7.5.2 細胞毒性分析
本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチン及び組成物の毒性及び/又は有効性は、細胞培養又は実験動物中で標準的な調剤方法、例えば、LD50(集団の50%致死量)及びED50(集団50%中の治療有効量)を決定することにより、決定することができる。毒性及び有効性間の用量比は治療指数であり、LD50/ED50比として表わすことができる。大きな治療指数を示す治療レジメンが好ましい。毒性副作用を示す治療レジメンは使用可能である一方で、非感染細胞への潜在的なダメージを最小限にし、副作用を減らすために、影響を受ける組織への当該試薬をターゲットする送達システムを設計するよう注意が払われるべきである。
【0187】
6.8 製品
本発明には、包装済やラベルした医薬製品も含まれる。当該製品は、密封されたガラスバイアルや他の容器等の適した容器(vessel)又は容器(container)に、適した単位用
量形態を含む。医薬製品は、例えば、単位用量形態で本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンの構成成分を含んでよい。
【0188】
特定の実施形態では、単位用量形態は経口、静脈内、筋肉内、鼻腔内、又は皮下送達に適している。したがって、本明細書には、溶液、好ましくは滅菌され、各送達経路に適した溶液が包含される。
【0189】
いずれの医薬製品とも包装材料及び容器は、保管及び出荷中の製品の安定性を保護する
ように設計されている。さらに、本明細書で提供される製品には、使用説明書、又は医師、技師又は患者に対し、問題になっている脳がんを如何に適切に予防又は治療するかについて助言を与えるその他の情報材料が含まれている。換言すると、製品には実際の投与量、監視手順及び他の情報に限定されず、これらを含む投与レジメンを指示又は示唆する説明手段を含む。
【0190】
具体的には、例えば、箱、ボトル、チューブ、バイアル、容器、噴霧器、注入器、静脈内(i.v.)バッグ、薬袋等の包装材料を含む製品が本明細書で提供され、前記包装材料内に含まれた本明細書に記載されるワクチン又は医薬組成物の少なくとも1単位用量形態は、本明細書に記載されたワクチン又は医薬組成物が本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンを含み、かつ、該包装材料は、本明細書に記載される特定の投与量を投与して特定の投与レジメンを使用することで、脳がん又は1以上のこれらの症状を予防、管理、及び/又は治療し得る、本明細書に記載されるIL-13Rα2ペプチドワクチンを含む説明手段を含む。
【0191】
7.実施例
以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、当然のことながら、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0192】
7.1 実施例1
本実施例は、天然のIL-13Rα2345-353に対してCTL応答の誘導を増強するIL-13Rα2345-353の修飾ペプチド同定を示す。
【0193】
表1に示す3つの修飾ペプチドを合成した。これらの修飾ペプチドの結合能を、HLA-A2トランスフェクトしたT2細胞系を用いて評価した。分注したT2細胞を、1nMの修飾ペプチド又はIL-13Rα2345-353とともに1晩培養し、フローサイトメトリーにより、T2細胞上の細胞表面HLA-A2発現レベルを検討した。ペプチドエピトープとのHLA-A2の安定な結合は、さらにHLA-A2の表面発現を安定化させる(Francini et al., 2002; Alves et al., 2003)。表1の平均蛍光強度(Mean Fluorescence Intensity;MFI)に、HLA-A2の定量的発現レベルを示しているが、T2細胞と共培養したペプチド-エピトープの結合親和性と相関する。修飾ペプチドV9及びA1V9は、天然のIL-13Rα2345-353(表1)と比べて、HLA-A2により高い親和性を有し、これらの修飾ペプチドはIL-13Rα2345-353と比べてより免疫原性である可能性を示す。
【0194】
【0195】
7.2 実施例2
本実施例は、V9類似体アゴニストにより誘導されたCTLが、野生型ペプチドによるCTL誘導と比べて、より効率的にHLA-A*0201に提示されたペプチドIL-13Rα2345-353を認識したことを示す。
【0196】
HLA-A*0201+グリオーマ患者由来の樹状細胞(DCs)を、それぞれV9、A1V9、E1V9、コントロールインフルエンザ(flu)、又は野生型ペプチド(10μg/mL)でパルスし、自己CD8+T細胞を刺激するために使用した。7日目に、個々の応答細胞培養物を、1次刺激で使用した対応するペプチドで負荷した自己樹状細胞で一度再刺激した。10日目に、誘導されたT細胞系の特異的なCTL反応性について、野生型IL-13Rα2345-353又はペプチド無しで負荷したT2細胞でまず試験した。
【0197】
図1に図示するように、各野生型(IL-13R)又はアゴニスト類似体(V9、A1V9及びE1V9)で刺激されたT細胞は、100ng/ml野生型IL-13Rα2
345-353でパルスしたT2標的細胞を効率的に溶解した。一方、T2細胞上にペプチドが無いものでは、低いバックグラウンド溶解のみが観察された。コントロールflu-ペプチド又はペプチド無し(コントロール)で刺激したT細胞は、バックグラウンドレベルを超える溶解活性が一切見られなかった。当該結果は、野生型又はアゴニスト類似体で誘導されたCTL系が、野生型IL-13Rα2
345-353エピトープを発現する細胞を特異的に認識して溶解したことを示す。特に、V9ペプチドは、各エフェクター/標的(E/T)比(p=0.018、0.020及び0.011、それぞれE/T比が50、25及び12.5)で、野生型IL-13Rα2
345-353と比較して、抗原特異的CTL応答のレベルを有意に高く誘導した。同一セットの実験を、少なくとも3つの個別のHLA-A2
+グリオーマ患者で繰り返し、V9ペプチドは試験した全4ドナーで、天然のIL-13Rα2
345-353よりも恒常的に高いCTL反応性を示した(データ示さず)。
【0198】
続いて、アゴニスト類似体又は野生型ペプチドで誘導されたCTL細胞系の感受性について、4時間
51Cr-放出アッセイで、様々な濃度(1-100nM)のIL-13Rα2
345-353ペプチドで負荷したT2細胞について検討した(
図2)。全CTL細胞系が、ペプチド負荷したT2細胞に対してペプチド用量依存に溶解活性を示した。検討
した全ての濃度(P=0.029、0.039及び0.018、それぞれ、1、10及び100nM)において、アゴニスト類似体V9で誘導されたCTL系は、野生型IL-13Rα2
345-353と比べてより高いCTL反応性を示した。しかし、大きな標準偏差のため、統計学的有意差はなかった。1nM IL-13Rα2
345-353でV9誘導されたCTLにより達成された平均パーセント溶解値が、100nMペプチドで野生型ペプチド誘導されたCTLで示されたものより高いことは注目に値する。しかし、大きな標準偏差のため、統計学的有意差はなかった。当該結果は、低濃度標的野生型IL-13Rα2
345-353ペプチドを認識することができるCTL誘導において、V9ペプチドが野生型ペプチドよりも効果的であることを示す。ヒト腫瘍細胞は、HLA-分子上に低レベルの標的CTLエピトープしか発現しないため(Bakker et al., 1995; Lupetti
et al., 1998)、この能力は重要である。
【0199】
7.3 実施例3
本実施例は、修飾ペプチドにより誘導されたCTLが、天然ペプチドにより誘導されたCTLより、さらに効率的にIL-13Rα2を発現するHLA-A2+グリオーマを溶解したことを示す。
【0200】
IL-13Rα2由来エピトープを内在的に発現し提示するHLA-A2+ヒトグリオーマ細胞に対するCTL活性を増強するIL-13Rα2-V9等の修飾ペプチドの能力を検討した。ヒトグリオーマ細胞系U251及びSNB19はHLA-A2及びIL-13Rα2を発現するのに対し、ヒトグリオーマ細胞系A172はIL-13Rα2を発現するが、HLA-A2を発現しない(Okano et al., 2002)。したがって、U251及びSNB19を相対的標的グリオーマ細胞として、A172を反応のHLA-A2拘束性を示すネガティブコントロール系として使用した。
【0201】
これらのグリオーマ細胞に対するペプチド誘導CTL系の溶解能を、4時間
51Cr放出アッセイを用いて検討した。
図3に示されるように、U-251及びSNB19細胞系は、IL-13Rα2
345-353又は各その修飾ペプチドで誘導された全CTL系の細胞傷害性活性に高い反応性を示した。対照的に、A172細胞は、試験したいずれのCTL系によっても、バックグラウンドレベル(<10%)を超えて溶解することがなかったことは、IL-13Rα2
345-353又は修飾ペプチド誘導CTL系が、HLA-A2拘束的にSNB19及びU-251グリオーマ細胞を溶解したことを示唆する(データ示さず)。黒色腫関連抗原エピトープMart-1
27-35で刺激したT細胞及びペプチド無しで刺激したT細胞は、試験した全エフェクター/標的(E/T)比で、バックグラウンドレベル(<10%)の溶解しか示さなかった。当該特定の患者では、IL-13Rα2-V9及び-A1V9は両者とも、天然のIL-13Rα2
345-353ペプチドと比べて各E/T比でSNB19及びU-251のより高い溶解レベルを誘導した。
【0202】
溶解活性の特異性を決定するために、4時間
51Cr-放出アッセイにおいて、IL-13Rα2
345-353ペプチドでパルスした非放射標識(コールド)T2細胞を添加してコールド標的競合実験を行った(
図4)。天然のIL-13Rα2
345-353又はIL-13Rα2-V9により誘導されたCTL系による抗SNB19グリオーマ細胞溶解活性は、IL-13Rα2
345-353パルスしたコールドT2細胞の添加により、ほぼ完全に阻害された。しかしながら、該CTL活性が非ペプチドパルスコールドT2細胞の添加では阻害されなかったことは、CTLの溶解活性がエピトープIL-13Rα2
345-353特異的であったことを示す。
【0203】
さらに、CTL反応性においてHLA-A2を介したシグナリングをブロックするために、抗HLA-A2抗体(W6/32)を使用した。
図5に示されるように、当該抗体の添加はCTLを介した溶解を阻害し、これらのペプチドにより誘導された抗グリオーマC
TL反応性は、HLA-A2拘束性であることを確認した。
【0204】
7.4 実施例4
本実施例は、IL-13Rα2由来CTLエピトープでのHLA-A2トランスジェニック(HHD)マウスのワクチン接種を示す。
【0205】
IL-13Rα2345-353及び/又はその修飾ペプチドでの免疫が、in vivoでCTL応答を誘発することができるか否か、また、誘導されたCTL応答がIL-13Rα2345-353発現脳腫瘍に対し、治療的抗腫瘍反応を媒介することができるかを検討するために、Dr. Francois A. Lemonnier(Pasteur Institute, Paris)からH
HDマウスの提供を受けた。HHDマウスは、Db×β2ミクログロブリン(β2M)を欠失(null)し、修飾されたHLA-A2.1-β2ミクログロブリン単鎖(HHD
遺伝子)導入マウスである(Pascolo et al., 1997)。In vivo実験で、HHDマウスはインタクトなインフルエンザウイルス(Pascolo et al., 1997)等の複数のエピトープ、EphA2(Alves et al., 2003)、HER-2/neu及びhTERT(Scardino et al., 2002)、MAGE(Graff-Dubois et al., 2002)等の新規がん関連抗原、新規乳がん関連BA46(Carmon et al., 2002)に対してHLA-A2拘束性応答を示
すことが示された。それ故、これらのマウスは、潜在的な腫瘍由来HLA-A2拘束性CTLエピトープの同定及び特徴づけに有用なツールである。
【0206】
IL-13Rα2を発現するHHDマウス同系腫瘍細胞系を作製するために、HHD遺伝子トランスフェクトEL4リンパ腫細胞(EL4-HHD)を得た。EL4-HHD細胞は、Dbxβ2Mの欠損と修飾されたHLA-A2.1-β2M単鎖(Pascolo et al., 1997)の挿入により産生され、その結果、HHDマウスの同系移植を可能にする。EL4-HHD細胞に、IL-13Rα2をコードする発現プラスミドを安定にトランスフェクトした。細胞系(EL4-HHD-IL-13Rα2)は、IL-13Rα2タンパク質を発現し、同系HHDマウスへの注射の後、皮下(s.c.)及び頭蓋内(i.c.)隙間に腫瘍を形成した。
【0207】
7.5 実施例5
本実施例は、修飾ペプチドでのHHDマウスのin vivo免疫が、IL-13Rα2345-353を発現する標的細胞に対し、天然ペプチドと比べてより高いCTL応答を誘導したことを示す。
【0208】
HHDマウスに、CD4+ヘルパーT細胞応答を刺激することでCD8+CTLの刺激を促進するI-Ab-拘束性HBVコア128-140(TPPAYRPPNAPIL)(配列番号:5)T-ヘルパーエピトープ140μgの存在下、不完全Freund’sアジュバント(IFA)でエマルジョン化した100μgのIL-13Rα2-V9、-A1V9、IL-13Rα2345-353ペプチドを皮下注射(s.c.)した(7日及び14日目に)。コントロール動物には、HBVヘルパーペプチドのみを含むIFAを注射した。最後の免疫後7日目にこれらの動物を殺傷し、in vivo刺激のために使用したもの(10μM)と同一のペプチドで、5×106脾臓細胞(SPCs)をin vitro刺激した。培養6日目に、混合集団についてIL-13Rα2345-353でパルスしたIL-13Rα2又はEL4-HHDを発現するEL4-HHD細胞に対する特異的な細胞傷害性を試験した。
【0209】
EL4-HHD-IL-13Rα2及びEL4-HHDを、100μCiの51Crで60分間標識し、96ウェルV底プレート(3×103細胞/ウェル)に播いた。標識したEL4-HHDを、IL-13Rα2345-353(1μM)で37℃2時間パルスした。コントロール標的細胞はペプチドでパルスしなかった。刺激された脾臓細胞は、エ
フェクター細胞として添加して37℃4時間培養した。上清の100μLを回収して放射能をガンマカウンターで測定した。
【0210】
図6は、修飾ペプチドで誘導されたCTL応答が、天然のIL-13Rα
345-353で負荷したT2細胞を溶解することができたことを示す。コントロールの非パルスEL4-HHDは、バックグラウンドレベルを超えて、CTLにより溶解されることはなかった(
図7)。さらに、IL-13Rα2-V9での免疫は、検討した他のペプチドと比べて、天然のIL-13Rα2
345-353ペプチドでパルスしたEL4-HHD細胞に対するCTL反応性レベルがより高い傾向を示した。しかし、この差は3回のサンプル内の変動であるため統計学的に有意ではない。これらのデータは、修飾ペプチドが天然ペプチドよりも抗IL-13Rα2
345-353CTLの、より高いレベルを誘導したという、ヒトHLA-A2
+患者由来のT細胞に関する以前の一連のデータを裏付けるものである。
【0211】
EL4-HHD-IL-13Rα2細胞を溶解する
図6で使用された同一のHHDマウス由来CTLの能力について、内在的にIL-13Rα2を発現する細胞で自然に処理されるIL-13Rα2
345-353ペプチドを認識するCTL能力を評価するために検討した。
図7は、IL-13Rα2
345-353、IL-13Rα2-V9又は-A1V9での免疫が、EL4-HHD-IL-13Rα2細胞に対する特異的なCTL反応性を誘導したことを示す。コントロールEL4-HHDは、バックグラウンドレベルを超えて溶解されなかったため、CTL反応性は抗原特異的であった。修飾ペプチドIL-13Rα2-V9及び-A1V9は、EL4-HHD-IL-13Rα細胞に対する天然のIL-13Rα2
345-353と比べて、CTL反応性をより高く誘導した(全エフェクター/標的比でp<0.05)。EL4-HHD-IL-13Rα2腫瘍となったHHDマウスにおけるIL-13Rα2
345-353又は修飾されたIL-13Rα2ペプチドでのワクチン接種in vivo抗腫瘍効果を現在評価中である。
【0212】
7.6 実施例6
本実施例は、EphA2がHLA-A2拘束性CTLエピトープとして利用可能であることを示す。
【0213】
5個のHLA-A2及び3個のDR4 T細胞エピトープが以前同定されたように(Tatsumi et al., 2003)、EphA2は魅力的な腫瘍関連抗原であり、腫瘍ワクチンの標的である。
図8に示されるように、ヒト多形性膠芽腫(GBM)14ケースのうち9ケースが、未分化星状細胞腫(AA)9ケースのうち6ケースが、高レベルのEphA2を発現する。加えて、EphA2
883-891エピトープで刺激されたHLA-A2
+グリオーマ患者から得たCD8
+細胞で、抗グリオーマCTL反応性が誘導された(
図9)。EphA2
883-891で負荷したT2細胞を用いた並行アッセイは、コントロールの負荷しなかったT2標的と比較してペプチド特異的な応答を示したことから、この応答はEphA2
883-891エピトープ特異的であった(図示せず)。当該データは、EphA2
883-891がCTLエピトープとして役立ち得ることを強く示唆する。
【0214】
7.7 実施例7
本実施例は、ヒト白血球抗原(HLA)-A2+の再発悪性グリオーマの患者へのグリオーマ関連抗原(GAA)エピトープ用の合成ペプチドで負荷した新たなα1型極性化樹状細胞(αDC1)ワクチン接種及びpoly-ICLC投与の安全性及び免疫原性を評価するために行ったフェーズI/II試験を記載する。当該ペプチド用のGAAは、EphA2、インターロイキン-13受容体(IL-13R)α2、YKL-40及びgp100である。
【0215】
7.7.1 患者及び方法
7.7.1.1 患者
治験審査委員会(IRB)及び米国食品医薬品局(FDA)(BB-IND#12415)によるインフォームドコンセントと承認を得た再発悪性グリオーマの患者が登録された。患者の臨床的特徴は、表2及び表3Aに集約されている。登録条件は、多形性膠芽腫(GBM)又は未分化星状細胞腫(AA);未分化乏突起膠腫(AO)又は未分化乏突起星状細胞腫(AOA)を含む未分化グリオーマ(AG);最大2回の以前の再発;>18歳;カルノフスキーパフォーマンスステータス(Karnofsky performance status)>60;十分な肝機能、腎機能及びHLA-A2+が挙げられる。コルチコステロイドの最少用量(デキサメタゾン最大4mg/日)が許容された。22人の患者が登録され、少なくとも1回ワクチン接種を受けた。22人の患者のうち19人がスケジュールされた最初の4回の免疫を完了した;3人の患者(患者4、11、13)が、早期の腫瘍の進行のためにプロトコールから脱落した。9人の患者がブースターワクチン接種を完了した。少なくとも4回ワクチン接種を受けた(n=19)及び少なくとも1回ワクチン接種を受けた(n=22)それぞれの患者の免疫原性及び安全性データを提示する。
【0216】
【0217】
【0218】
【0219】
【0220】
【0221】
7.7.1.2 臨床試験設計
本研究は、GAA負荷したαDC1ワクチン接種及びpoly-ICLC(Hiltonol(登録商標)、 Oncovir、 Inc.)投与の毒性、並びに免疫誘導及び予備的臨床反応を評価するために設計した。最初のワクチンのコースは、短期間での注射の繰り返しによるリンパ節の微小環境での注射誘発外傷の潜在的な影響を最小限にするために、各鼠径部及び腋窩リンパ節クラスタを回転させながら、2週間毎に1又は3×10
7αDC1/注射の4超音波ガイド節内(i.n.)投与からなる(
図19)。最初の評価可能な10患者は、1×10
7αDC1/注射(用量レベル1)を受け、次に9人が3×10
7αDC1/注射(用量レベル2)を受けた。全患者が1日目以降8週間にわたり、1週間に2回(2回/週)poly-ICLC(20μg/kg)筋肉内(i.m.)注射を受けた。4回のワクチン接種後、主要な有害事象(adverse events;AD)のない不変(stable disease)又は退行(regression of disease)を示した患者は、追加ワクチン接種の
適格者であった。13週から開始して、これらの患者は追加ワクチン接種と同量で4週間毎に最大5回までワクチン注射及び筋肉内poly-ICLC注射を、最初の追加ワクチンから開始して1週間に2回受けた(第1ブースターフェーズ)。第1ブースターフェーズ後、主要な有害事象又は腫瘍進行を示さない患者は、最初のワクチン接種から最長3年まで追加ワクチン(3ヶ月毎)及びpoly-ICLC(各週)の同量を受けた(第2ブースターフェーズ)。
【0222】
7.7.1.3 毒性評価及び停止規則
試験は、米国国立がん研究所共通用語規準第3.0版(National Cancer Institute Common Toxicity Criteria version 3.0)を用いて、処置関連有害事象(treatment-related AE)を継続的に監視した。それらが、多分、おそらく又は間違いなく、治療に関連すると判断された場合、以下は用量制限毒性(DLT)と考えられた:≧グレード2 過感受性;≧グレード3 非血液学的/代謝毒性;≧グレード3 poly-ICLCの一時的中止4週間後治まらなかった血液学的(リンパ球減少を除く)又は代謝毒性。停止規則は、任意の時点で観察されたDLT比が≧33%で、少なくとも2回DLTが観察されたことがある場合は、用量レベルが過度に毒性で、その発生を停止することが正当化されると考えられるような場合に実行した。
【0223】
7.7.1.4 ペプチド
当該研究で使用されたHLA-A2拘束性ペプチドは:ALPFGFILV(配列番号:3;IL-13Rα2345-353:1A9V);TLADFDPRV(配列番号:6;EphA2883-891);IMDQVPFSV(配列番号:11;GP100209-217:M2);及びSIMTYDFHGA(配列番号:10;YKL-4020
1-210)を含む。ヘルパーT細胞応答用に最適化された非天然エピトープ(例えば、Alexander et al, Immunity, 1:751-761, 1994参照)であるpan-DRエピトープ(PADRE)でもαDC1を負荷した。自動固相ペプチド合成によりペプチドを合成した。純度、無菌性、同一性、有効性、発熱性及び安定性を含む多数の品質保証調査でペプチドを試験した。
【0224】
7.7.1.5 ワクチン調製
樹状細胞培養用に、白血球除去輸血製品から単球を得て、ElutraTMシステムを用いて精製した。Aastrom Repli細胞システムを用いて、滅菌カートリッジ中、1000U/mL GM-CSF及び1000U/mL IL-4を追加したCellGenix抗生物質無添加培地中で単球を培養した。未成熟樹状細胞(iDC)を6日目に採取して凍結保存した。各ワクチン接種前に分注した凍結iDCを解凍し、さらに 臨床グレードのIL-1β(10ng/mL)、TNF-α(10ng/mL)、IFN-α(3000U/ml)、IFN-y(1000U/mI)及びpoly-I:C(20μg/mI)で、5%CO2中37℃で48時間成熟化及び極性化し、4-6時間GAAペプチドと共に負荷した。採取2時間前に該培養液中にPADREペプチドを添加した。αDC1放出の基準は、グラム染色及び細菌培養での不稔性;マイコプラズマ陰性;エンドトキシン<5.0 E.U./kg体重;αDC1上でのCD86及びHLA-DR両者の70%以上の発現が挙げられる。
【0225】
7.7.1.6 末梢血(PBMS)の採取
末梢血(50-60ml)は、ワクチン接種(ワクチン接種前)のための各来院時と同様に、0、9及び33週に採血した。10%ジメチルスルホキシド/90%FBS中でFicoll単離PBMSを凍結保存した。
【0226】
7.7.1.7 ELISPOTアッセイ
Enzyme-linked immunosorbent spot(ELISPOT)アッセイを、若干修正して以前記載されたように(例えば、Kirkwood et al, Clin.Cancer Res., 15:1443-1451, 2009参照)実施した。手短にいうと、野生型IL-13Rα345-353、EphA2883-891、GP100209-217及びYKL-40202-211で1週間負荷した自己の照射されたPBMCによる以下のin vitro刺激で、バッチPBMCサンプルを同時に評価した。陽性ELISPOT応答は、ワクチン接種前のレベルに対するスポット形成T細胞での2倍増加と任意の抗原に対する少なくとも2つの連続したワクチン後時点での少なくとも10スポット/20,000細胞として定義した。
【0227】
7.7.1.8 テトラマーアッセイ
フィコエリトリン(PE)共役HLA-A*0201/ALPFGFILV(配列番号:3)(IL-13Rα2-テトラマー)、HLA-A*0201/IMDQVPFSV
(配列番号:11)(gp100-テトラマー)及びHLA-A*0201/TLADFDPRV(配列番号:6)(EphA2-テトラマー)は、ピッツバーグ大学ペプチド製造施設で合成したペプチドを用いて、エモリー大学ワクチンセンター内(Atlanta, GA
)にある米国国立アレルギー及び感染症テトラマー施設(National Institute of Allergy and Infectious Disease tetramer facility)で製造した。フルオレセインイソチオシアネート(FITC)共役抗ヒトCD8は、BD Biosciencesから入手した。テトラマーアッセイ(例えば、Weber t al, J Immunother., 31:215-23, 2008; and Celis, Cancer, 110:203-14, 2007参照)による全CD8+細胞陽性の(0.1+B)%と
なるペプチドの1時点での陽性応答を定義することができ、Bは、ベースラインでの陽性パーセントであり、全ケースで0.01%未満であった。彼/彼女が任意のペプチドに対して2つの連続する1時点応答を示した場合、患者は応答したと考えた。
【0228】
7.7.1.9 サイトカイン及びケモカインアッセイ
全RNAサンプルは、PAXgene Blood RNA System(PreAnalytix, Switzerland)を用いてPBMCから得た。RT-PCRを3回実施し、GAPDHに対して値を標準化し、相対的mRNAの発現はΔΔCT法を用いて算出した(例えば、Livak and Schmittgen, Methods, 25:402-8, 2001参照)。以
前記載されたように(例えば、Zczepanski et al, Cancer Res., 69:3105-3113, 2009参
照)、ルミネックスアッセイ(Luminex-based assay)を血清サンプル中で実施した。事前に試験したマルチプレックスプレート(Invitrogen)は検量線及びサイトカイン標準品(R&D Systems)を含んでいた。CXCL10のための放射性標識されたcRNAプローブで、In situ hybridization(例えば、Fallert and Reinhart, J Virol Methods, 99:23-32, 2002参照)に記
載されているように、オートラジオグラフィー暴露14日の期間で実施した。
【0229】
7.7.1.10 放射線応答監視
腫瘍の大きさは、9、17、25及び33週、その後3ヶ月毎にコントラスト増強MRIスキャンを用いて評価した。MRI前処置外観に基づく、McDonald基準及びガドリニウム(Gd)増強T1強調画像、T2強調画像上のシグナル延長領域、あるいは両者の組み合わせで応答を評価した。
【0230】
7.7.1.11 他の臨床的エンドポイント
全生存期間は、研究エントリーから死亡日までの間隔により定義した。無増悪期間(TTP)評価にMRIスキャンを使用した。
【0231】
7.7.2 結果
7.7.2.1 臨床毒性のまとめ
表4に全22患者について、処置関連有害事象(Treatment-related
AE)を記載している。グレード3又は4の毒性、研究中の死亡、及び第1ブースターフェーズ中のどの用量でも、DLTはなかった。自己免疫の発生はなかった。毒性プロファイルはどの用量レベルでも同等であった。グレード1又は2注射部位反応はほぼ共通していた(82%)。疲労(73%)、筋肉痛(32%)、発熱(23%)、寒け/悪寒(18%)、頭痛(32%)を含むグレード1インフルエンザ様症状は共通し、通常各ワクチン接種後24時間に限定された。1患者においてグレード2リンパ球減少を記録した(5%)。
【0232】
【0233】
7.7.2.2 αDC1によるIL-12産生
表3A-3Bに示されるように、αDC1によるCD40L誘導IL-12 p70産生レベルは、実質的に患者間で変化し、TTPと正の相関が認められた。しかし、IFN-γ ELISPOT応答、患者の年齢又は腫瘍タイプとは相関していなかった。
【0234】
7.7.2.3 GAAに対するエピトープ特異的免疫応答誘導
4回のワクチン接種の最初のコースを終了した全19患者が、免疫学的監視(モニタリ
ング)可能なPBMCを有していた。患者17、21及び22から得たPBMCは、ELISPOT及びテトラマーアッセイの両者を行うためには不十分な量であり、機能的なELISPOTアッセイを優先した。予定の最初の4回ワクチン接種は、各IFN-γ ELISPOT又はテトラマーアッセイによる、用量レベル1及び2それぞれで、10中6及び9中5において、少なくとも1つのワクチン標的GAAに対する免疫応答を誘導した。患者6、7、8、16、19、20及び22において、いくつかの表示値がブースターワクチンに続く陽性応答の基準に達した。要するに、評価可能な患者19人のうち11人(58%)が、最初の4回ワクチン接種後陽性反応を示し、19人のうち3人(患者8、19及び20;16%)が、ブースターワクチン接種後にのみ陽性反応を示した。
【0235】
陽性反応率(テトラマー又はELISPOTのいずれかによる)は、フィッシャーの正確確率検定(Fisher’s exact test)あたり、2つのαDC1用量にわたり有意な差を示さなかった。さらに、3週から9週の陽性スポットの合計に基づくELISPOT応答の大きさは、2つのαDC1用量レベルにわたり同等であった(Wilcoxon検定)。したがって、IFN-γ ELISPOT応答の期間経過は、両者の用量レベルからの結果を組み合わせて表している(
図11)。gp100エピトープは、試験したGAAペプチド中最も高い反応性を示した(IL-13Rα2-、EphA2-及びYKL-40-由来ペプチドに対し、それぞれ、p=0.0001、0.0003及び0.0005;Wilcoxon検定による)。他のエピトープのために、ブースターワクチンは特異的反応の誘導を改善するように思われた。一過的な反応の減少が概して13週に観察された。これは、9週まで陽性反応を示した何人かの患者が、腫瘍進行(患者2、9、18及び21)又はリンパ球減少(患者10)のためにブースターフェーズに参加しなかったため、全データが全患者のためにプールされる場合、全体の反応減少が生じることによることを反映しているのかもしれない。患者10は、IL-13Rα2及びgp100由来エピトープ同様PADREに対しても最も高いIFN-γ ELISPOT応答を示した(
図12)。しかし、当該患者のテトラマー分析は、全く反応がなかった(表3A)。30ヶ月以上不変(stable disease)を示す患者6は、テトラマー(
図13)及びELISPOTアッセイで耐久性及び高レベル応答を示した。
【0236】
7.7.2.4 1型サイトカイン及びケモカイン応答の誘導
PBMCのRT-PCR分析(
図14及び15)により、1回目ワクチン接種後及び4回目ワクチン接種後両者で、いくつかの1型サイトカイン及びケモカイン、具体的にはIFN-α1、CXCL10及びTLR3のmRNA発現の発現増加が明らかになった。IFN-γは、4回目ワクチン接種後に発現増加がみられたが、1回目ワクチン接種後ではみられなかった。このことは、IFN-γ発現増加が、先天性の免疫応答より、適応免疫応答の誘導と関連している可能性を示唆している。制御性T細胞を引き付けることが知られているCCL22(例えば、Muthuswamy et al., Cancer Res. 68:5972-5978, 2008参
照)及びCCL5レベルが、1回目ワクチン接種後のサンプルのペア分析で減少していた。Perforin、Granzyme B、COX-2及びFoxp3レベルは、有意に変化しなかった。
【0237】
5人の患者からの、ワクチン接種前及びワクチン接種後の使用可能な血清サンプル中の、サイトカイン及びケモカインのパネルについてタンパク質レベルで評価した(
図16)。その中で、ワクチン接種後血清で、IFN-α、CXCL10、IL-15、MCP-1及びMIP-1βが有意に発現増加していた。IL-17は、RT-PCR及び血清分析の両者において、検出可能範囲以下であった。
【0238】
加えて、ワクチン接種後放射線進行のため切除された使用可能な5個の腫瘍のうち3個が、脳腫瘍部位へのCD8
+T細胞の効果的なトラフィッキングに重要なケモカインであるCXCL10(例えば、Nishimura et al., Cancer Res 66:4478-4487, 2006; and Fuj
ita et al., Cancer Res 69:1587-1595, 2009参照)のmRNAを発現していた(代表的
なケースとして
図17)。当該データは、一般的に免疫不全の悪性グリオーマ患者に、今回のレジメンが全身性、多機能的な免疫応答を誘導することを示している。
【0239】
7.7.2.5 免疫組織化学データ
7ケースGAAケースの免疫組織化学データを表5にまとめている。当該データは、gp100の発現が原発性高悪性度グリオーマでは非常に低いかもしれないことを示している。免疫組織化学のために、以下のポリクローナル抗体(Ab)及び対応する2次抗体を使用した:抗ヒト(h)IL-13Rα2(ヤギIgG; R&D Systems);抗ヒトEphA2(H-77)(ウサギIgG; Santa Cruz Biotechnology);抗ヒトYKL-40(ウサギIgG; Quidel)及び抗ヒトgp100(ヤギIgG; Santa Cruz Biotechnology)。
【0240】
【0241】
7.7.2.6 臨床結果
2人の患者(患者1及び20)が客観的に臨床的な腫瘍の退行を経験した(反応率=9%)。両患者はELISPOTでは非応答者であったが、テトラマー応答者であった。再発性GBMの患者20は、ワクチン接種後17週目に、ベースラインMRIと比較してGd強化質量の消失に基づく完全寛解を示した。これは、治療開始以来少なくとも13ヶ月間耐久し継続した(
図18A-I)。再発性GBMの患者1は、9週目に部分寛解を示した。2回のブースターワクチンに続き、Gd強化病変が拡大した。しかしながら、病変の生検で、CD8
+T細胞及びCD68+マクロファージの強い浸潤と有糸分裂活発な腫瘍の痕跡はないことが明らかとなった(
図18J-L)。したがって、当該患者はワクチン接種開始後7ヶ月で、再発前に1回の追加ワクチン接種を受けた。9人の患者(41%;GBM及びAGでそれぞれ4及び5)が少なくとも12ヶ月間進行が無かった。5人の患者は進行が無いままで(表3A)、ブースターワクチンを受け続けた。TTP中央値は、GBM及びAGそれぞれ、4月及び13月である(
図20)。
【0242】
7.7.3 結論
本実施例に記載された研究は、poly-ICLCと組み合わせた新規GAA由来ペプチドで負荷したαDC1ワクチンを評価した。当該知見は、安全性及び免疫原性と同様、当該アプローチの予備的な有効性を示す。
【0243】
7.8 実施例8
本実施例は、poly-ICLCと組み合わせたHLA-A2拘束性グリオーマ抗原ペプチドワクチン接種を含む再発WHOグレードIIグリオーマの成人に対する治療レジメンの安全性及び有効性の研究を記載する。
【0244】
7.8.1 合理性(Rational)
本実施例は、再発WHOグレードIIグリオーマの患者における抗腫瘍T細胞応答を効率的に誘導するように設計されたワクチンレジームを記載する。該レジームは、グリオーマ関連抗原(GAA)由来細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エプトープ-ペプチドの皮下注射とpoly-ICLCの同時筋肉内(simultaneous intramuscular; i.m.)投与とを組み合わせる。
【0245】
テント上低悪性度グリオーマ(LGG)の成人は、放射線療法(RT)に続く手術又は手術による処置後2年腫瘍進行の重大なリスクがある(24%)。本実施例に記載された研究は、腫瘍再発リスクを減らす免疫予防的及び免疫療法的可能性を有し、生存率の改善につながる可能性がある。治療的に、免疫治療アプローチは、腫瘍性低悪性度II腫瘍細胞の無痛的な膨張を抑制する可能性がある。予防的に、該アプローチは再発性LGGの約半分で起きる未分化トランスフォーメーションを防ぐ可能性がある。LGGのより遅い成長率(悪性グリオーマと比較して)は、複数の免疫を繰り返すのに十分な時間を与えるはずであり、GAA特異的免疫の高レベルな誘導をもたらす可能性がある。加えて、poly-ICLCは前臨床脳腫瘍モデルでワクチン効果を促進すること(例えば、Zhu et al., J.Transl.Med., 5: 10, 2007参照)、悪性グリオーマ患者で安全であること(例えば
、Salazar et al., Neurosurgery, 38: 1096-1103, 1996参照)が示されている。したが
って、poly-ICLCと組み合わせたこの形態のワクチンは、強力な抗グリオーマ免疫応答を誘導し、かつ、安全だろうと仮説を立てている。
【0246】
7.8.2 目的
本実施例は、再発WHOグレードIIグリオーマの成人でのワクチン研究を記載する。本実施例の目的は、追加の研究で使用し得る免疫学的及び安全性データを収集することを含む。本実施例に記載される研究の患者は最小2年間追跡され得る。そのため、実際2年の全生存(OS)率並びに6月及び2年無増悪生存(PFS)率を予備的手法で決定することができる。
【0247】
7.8.2.1 GAA特異的T細胞応答の誘導
この形態のワクチンに反応したGAAペプチドに対するワクチン接種後末梢血単核細胞(PBMC)での応答率及び免疫応答の度合いを、IFN-γ-enzyme-linked immuno-spot(ELISPOT)及びテトラマーアッセイを用いて決定することができる。
【0248】
7.8.2.2 安全性
レジメン規定毒性(RLT)の頻度に基づく早期停止規則と共に、ワクチンレジームに関与する有害事象の発生率と重症度を評価することができる。
【0249】
7.8.2.3 臨床反応
標準的なWHO応答基準を用いて放射線応答を決定することができる。6月及び2年無
増悪生存率(progression-free survival;PFS)を連続磁気共鳴画像法(MRI)スキャンに基づき予備的方法で評価することができる。
【0250】
7.8.2.4 生物学的相関のための腫瘍組織
進行、生検/切除を行う患者が推奨される。ワクチン接種後腫瘍組織が利用できるときは、GAA発現状態及びGAA特異的T細胞の浸潤を分析することができる。
【0251】
7.8.3 患者選択
7.8.3.1 適正基準
病理学的基準-患者は、以前の生検若しくは切除、又は再手術時(今回の研究へのエントリー前の再手術も許容される。しかし、最初のワクチン投与前少なくとも4週間は、術後デキサメタゾン(Decadron)を絶たなければならない。)のいずれかで組織学的に確認された再発性テント上WHOグレードII星状細胞腫、乏突起星状細胞腫又は乏突起グリオーマを有する。本研究の患者は、体外照射療法及び/又は化学療法を以前に受けているはずである。以前の治療に関し、本研究の患者は2回以内、以前に再発のために処置を受けているはずである。再発は、最初の治療後の進行として定義する(つまり、最初の治療として使用された場合、照射+/-化学療法)。したがって、本研究の患者は3回以前に治療を受けているはずという意図である。患者が再発した病気のために外科的切除を受け、最大12週まで抗がん治療が開始されておらず、該患者がもう1つの外科的切除を受ける場合、これは1切除とみなされる。
【0252】
本研究の患者は、フローサイトメトリーに基づきHLA-A2陽性であるべきである。
【0253】
本研究の患者は、以前の治療の毒性効果から回復しているべきである。いかなる治験薬からも4週間;以前の細胞傷害性治療から4週間及び/又は、ビンクリスチン投与から少なくとも2週間、ニトロソ尿素化合物投与から4週間、プロカルバジン投与から3週間、及びインターフェロン、タモキシフェン、サリドマイド、シス(cis)-レチノイン酸等
の非細胞傷害性剤から1週間(放射線増感剤はカウントしない)。以前の放射線療法(RT)に関し、RT(又は放射線手術)の完了から少なくとも6ヶ月経っていなければならない。
【0254】
本研究の患者は、>18歳であるべきである。
【0255】
本研究の患者は、>60のカルノフスキーパフォーマンスステータス(Appendix I)であるべきである。
【0256】
本研究での女性患者の出産の可能性は、血清β-HCGの妊娠検査を行うべきである。
【0257】
患者は全身感染がないべきである。活動性感染の患者(抗生物質治療が必要であろうとなかろうと)は、該感染の完全な回復後適格である可能性がある。抗生物質治療中の患者は、処置を始める前に少なくとも7日間抗生物質を絶つべきである。
【0258】
本研究の患者は、白血球数≧2500/mm3;リンパ球≧400/mm3;血小板≧100,000/mm3、ヘモグロビン≧10.0g/dL、正常値の上限2.5×以内のAST、ALT、GGT、LDH、アルカリホスファターゼ及び総ビリルビン≦2.0mg/dL並びに正常値の上限血清1.5×以内のクリアチニンとして測定される十分な臓器機能を有すべきである。本研究の患者は凝固試験並びにPT及びPTTが、正常値の上限内にあるべきである。
【0259】
7.8.3.2 除外基準
本研究の患者は、神経膠腫症、大脳、頭蓋、脊髄軟膜転移症が存在する場合、除外すべきである。
【0260】
最初の診断がWHOグレードIIグリオーマであったとしても、再発病のための病理学的診断が、より悪性なグリオーマ(すなわち、WHOグレードIII又はIV)へのトランスフォーメーションを示す場合、本研究から患者を除外すべきである。
【0261】
本研究の患者は、放射線療法;化学療法;インターフェロン(例えば、Intron-A(登録商標));アレルギー脱感作注射;成長因子(例えば、Procrit(登録商標)、Aranesp(登録商標)、Neulasta(登録商標));インターロイキン(例えば、Proleukin(登録商標));及び/又は任意の治験治療薬を含む、同時処置又は投薬を受けている場合、除外すべきである。
【0262】
本研究の患者は、細胞傷害性又は免疫抑制治療を必要とする自己免疫疾患、又は内臓障害を伴う自己免疫疾患を以前に患ったことがないべきである。これらの治療を必要とする活性自己免疫疾患を伴う本研究の患者も除外すべきである。NSAIDの薬を必要とする軽度の関節炎は、除外すべきではない。
【0263】
本研究の患者は、本研究に入る前4週間以内に免疫抑制剤を使用していた又は免疫抑制剤の使用を予定されている患者を除外すべきである。周術期及び/又は放射線療法中に、デキサメタゾン又は他のコルチコステロイド薬が使用されている場合、本研究の最初のワクチン投与前少なくとも4週間、患者により漸減され、中断すべきである。局所的なコルチコステロイド及び吸入ステロイド(例えば、Advair(登録商標)、Flovent(登録商標)、Azmacort(登録商標))は許容すべきである。
【0264】
本研究の患者は、以下の診断:既知の転移を伴わない皮膚の扁平上皮細胞がん;既知の転移を伴わない皮膚の基底細胞がん;非浸潤性乳がん(DCIS又はLCIS);非浸潤性子宮頸癌;及び/又は5年以上再発又は転移の兆候がなく、治療が成功している遠隔転移のない任意のがん、を除く別のがんの診断を受けている場合、除外すべきである。
【0265】
本研究の患者は、アルコール中毒又は違法薬物であることが分かっている人を除外すべきである。
【0266】
免疫欠損の患者は本治療に反応が見込めないため、HIV陽性患者は本研究から除外すべきである。
【0267】
7.8.4 ペプチドワクチン
7.8.4.1 ペプチド
以下のペプチド、IL-13Rα2345-3531A9V(ALPFGFILV;配列番号:3);EphA2883-891(TLADFDPRV;配列番号:6);Survivin96-104:M2(LMLGEFLKL;配列番号:7);WT1126
-134:Y1(YMFPNAPYL;配列番号:8);及び破傷風トキソイド(TetA830)(AQYIKANSKFIGITEL;配列番号:9)がワクチン製剤に含まれ得る。
【0268】
全ペプチドを合成することができ、HPLCで該合成ペプチドを精製することができる合成ペプチドの同一性は、質量分析による質量及びアミノ酸配列の検証で確かめることができる。それぞれのペプチドのロットは、FDAによる同一性、純度、無菌性、発熱性で評価することができる。
【0269】
ペプチドは、GMP条件下バイアルに入れ-70℃で保存可能である。乾燥凍結したペプチドの安定性は、質量分析で毎年試験することができる。
【0270】
7.8.4.2 他の試薬
Montanide ISA-51(SEPPIC Inc., Fairfield, NJ)は、ペプチドワクチン中で追加の剤として使用可能である。
【0271】
7.8.4.3 投与量及び調製
1つの水中油型エマルジョン(すなわち、容量/注射が1mL)を形成するために、4つのHLA-A2拘束性GAAペプチド(300μg/ペプチド)及び破傷風ペプチド(ペプチド-tet;200μg)各々を含む水溶液(500μL)を1/1でMontanide ISA-51とともに混合することができる。
【0272】
7.8.4.4 投与
本研究の患者は、インタクト排出腋窩リンパ節に右又は左上腕で皮下にワクチン接種される。排出節としてインタクト腋窩リンパ節を持たない患者のケースでは、インタクト鼠径リンパ節同じ側の上部の腿にワクチンを投与し得る。
【0273】
0、3、6、9、12、15、18及び21週の週にワクチンを投与することができる。
【0274】
7.8.5 Poly-ICLC
Poly-ICLCを、Bioserv, Corporation(San Diego, California)のGMP施
設で調製して、パッケージングすることができる。Poly-ICLCを、2mg/ccの濃度で半透明の溶液の1ccを含むバイアル中で供給することができる。Poly-ICLCは室温で数日間安定であるが、約4℃で冷凍保存することができる。
【0275】
7.8.5.1 投与量及び投与
20μg/kgから1640μg/注射の用量で、各ワクチン接種後0、4日目に2回の注射で、筋肉内注射でPoly-ICLCを投与することができる。
【0276】
poly-ICLC投与(20μg/kg i.m.及び最大1640μg/注射)の最初のコースは、最初のGAA/TTワクチン当日及び該ワクチン接種後4日目に投与することができる。繰り返しのワクチン接種(3、6、9、12、15、18及び21週)後それぞれで、ワクチン接種後当日及びワクチン接種後4日にpoly-ICLC(20μg/kg i.m.及び最大1640μg/注射)を投与することができる。
【0277】
注射部位に関し、poly-ICLCは排出腋窩リンパ節での抗原提示プロセスを促進すると思われているため、先のペプチド注射部位(例えば、先のペプチド注射部位の中央から3cm未満)と接近してpoly-ICLCを筋肉内投与(i.m.)投与すべきである。
【0278】
Poly-ICLCは、患者の体重あたり処方される量で(最大1640μg/注射)、バイアルから供給する際には無菌操作で筋肉内投与(i.m.)すべきである。最初の処置前及び処置後少なくとも20分間はバイタルサインを監視することができる。
【0279】
7.8.6 処置プラン
本実施例に記載された研究は、再発WHOグレードIIグリオーマのHLA-A2+患者でのGAA/TTペプチドワクチン及びpoly-ICLCの免疫原性、安全性、臨床的有効性を評価するための患者の2つのコホートを使用することができる。ペプチドワク
チンは局所的に隔離され、免疫応答は主に局所的に、排出リンパ節で生じるため、ワクチン投与量はレシピエントの大きさ(体重又は体表面積による)に比例してスケールアップされる必要はない。薬に関して当然のことであるが、その効果は、体液内での分布に関連している。poly-ICLCの用量に関し、悪性グリオーマの患者に安全かつ生物学的応答を誘導することが示されている(例えば、Salazar et al. , Neurosurgery, 38: 1096-1103, 1996)一定用量(20μg/kg/注射及び最大1640μg/注射)を使用することができる。
【0280】
7.8.6.1 スケジュール
0、3、6、9、12、15、18及び21週にGAA/TTワクチンの皮下注射で患者を処置することができる。各ワクチン接種後当日及び4日目に(例えば、木曜日にワクチンを投与する場合、ワクチン接種当日及び続く月曜日にpoly-ICLCを投与することができる。)筋肉内(I.m.)にpoly-ICLCを投与することができる(20μg/kg/注射及び最大1640μg/注射)。poly-ICLC投与前又は後2時間以内に各ワクチンを投与することができる。
【0281】
臨床来院又はMRI検査で、あらゆる可能な有害事象、レジメン規定毒性(RLT)同様、臨床/放射線応答について患者を評価することができる。MRIスキャンは、0、12及び24週に実施することができる。12週でのスキャンが明確な腫瘍進行を示す場合、患者は脱落し得る。
【0282】
最初のワクチン接種前に得た末梢血単核細胞(PBMC)をベースラインサンプルとして使用することができる。患者がRLT又は腫瘍進行なく、2つの免疫学的アッセイ(ELISPOT又はテトラマー)でいずれも陽性応答を示す場合、患者が腫瘍進行、免疫応答の喪失又はRLTを示すまでは、34-40週とその後3ヶ月毎の間のいつでもから開始する追加のGAA/TTワクチン(例えば、セクション7.8.6.2参照)を患者に提供することができる。
【0283】
7.8.6.2 付加療法
0(ベースライン)、12、15、18、21及び24週に、患者のPBMCのGAAペプチドに対するGAA特異的T細胞応答の存在を評価することができる。GAAペプチドのいずれかで当該応答が観察される場合、永続的な応答を示すGAAでの追加ワクチン接種同様、最初のワクチン接種から34-40週とその後12ヶ月毎から最長2年までの間のいつでもから開始するpoly-ICLCを患者は受けることができる。追加のPBMCサンプルは、免疫学的監視のために12週毎(ワクチン投与のための同一の来院で)に得ることができる。追加ワクチンは以下のいずれかの条件、1)腫瘍進行、2)RLT又は3)2つの連続する時点での陰性免疫学的応答、の時に終了することができる。
【0284】
7.8.6.3 用量変更
7.8.6.3.1 poly-ICLCの用量変更
発熱及び疲労を含む、グレード2又はそれより大きなインフルエンザ様症状のために、poly-ICLCは、症状がグレード0になるまで中断することができる。ワクチン接種日にグレード2又はそれより大きなインフルエンザ様症状が起き、ワクチン接種後4日目までグレード0に戻らない場合、ワクチン接種後4日目の次のpoly-ICLC投与は飛ばすることができる。患者が、4日目に症状がない場合(グレード0)、poly-ICLCは最初の投与量の50%で再開することができる。ワクチン接種後4日目にpoly-ICLC投与後にグレード2又はそれより大きなインフルエンザ様症状が起きる場合、次のワクチンサイクルでは、2つのpoly-ICLC投与(ワクチン後0日及び4日に)を最初の投与量の50%で行うことができる。アセトアミノフェン650-1000mg又は任意のNSAIDによる前処置を行うことができる。さらなる投薬によく耐え
るのであれば、最初の投与量は続けて再開することができる。
【0285】
肝酵素評価>4xベースライン又はグレード2若しくはそれより大きな他の予測不能で耐え難い副作用の場合、毒性がグレード1又はそれ以下に減少するまでpoly-ICLCを中断することができる。それから最初の投与量の半分でPoly-ICLCを再投与し、患者を綿密に観察することができる。poly-ICLCを次のワクチンサイクル時に再開することができない場合、患者はRLTにより脱落し得る。
【0286】
研究エントリー時にグレード3又はそれより少ないリンパ球減少(我々の適格基準は400細胞/μLを必要とする)を示す患者のために、研究中のグレード3リンパ球減少の発生又は継続的な存在によりpoly-ICLCの中断を強制するものではない。しかしながら、グレード 4 リンパ球減少の場合poly-ICLCを一時中断することができる。また、グレード3 リンパ球減少であっても、poly-ICLCの属性が強く疑われる場合、poly-ICLC 投与を一時中断することができる。当該ケースでは、全リンパ球数が少なくとも 400/μLに戻ってくる時に最初の投与量の半分で再投与することができる。
【0287】
患者は、グレード1毒性のための最初の投与量のままでよい。しかしながら、該投与量はグレード2血液学的または非血液学的毒性(このセクションの前半で概説されるように一過的な発熱や疲労を除く)のために50%まで減少することができる。50%投与量レベルで最低2週間毒性がない場合、投与量を開始時の量に増大することができる。その後の毒性は、それらが発生した場合、50%まで投与量の減少を必要とし、それ以上の増大は許されないかもしれない。減少させた投与量で毒性が再発生する場合、患者の処置をあきらめるかもしれない。
【0288】
7.8.6.3.2 ペプチドワクチンのための遅延投薬
poly-ICLC投与が一時停止される状況下において、該事象が、ペプチド/ISA-51ワクチンに起因しない場合、予定通りにワクチン投与を続けるべきである。該事象がpoly-ICLC及びペプチドワクチン両者に起因する場合、両者を一時停止することができる。該事象が、ペプチド/ISA-51ワクチンのみにより、poly-ICLCにはよらないると考えられる場合、ワクチン及びpoly-ICLC投与を一時停止することができる。併発疾患又は研究室で他の毒性の原因を評価する必要がある場合等、有害事象の評価が限定される状況下において、4週間までワクチンスケジュールを中断することができる。4週間まで1つのワクチン投与の遅延は、有害事象による場合、原因にかかわらず、プロトコール違反と考えられないだろう。有害事象が原因で1以上のワクチン接種が4週間まで遅延する場合、原因にかかわらず、処置を中断すべきである。
【0289】
研究の間中、レジメン規定毒性(RLT)に則って患者を観察することができる。多分、おそらく、あるいは間違いなく処置に関連すると判断される場合、以下はRLTと考えられる。それらが起きれば、患者個人を研究から外し、さらなる注射を投与することはできない。
【0290】
≧グレード2又はそれ以上 気管支けいれん又は全身性蕁麻疹(過敏症)
【0291】
≧グレード2又はそれ以上 剥脱性紅皮症、アナフィラキシー又は血管虚脱等のアレルギー反応
【0292】
≧グレード2又はそれ以上 自己免疫疾患(例えば、甲状腺機能低下症、自己免疫性脳炎)
【0293】
任意の≧グレード3 次の有害事象に特に注意を払うワクチン接種に、多分、おそらく、あるいは間違いなく関連する毒性
【0294】
≧グレード3 ペプチドワクチン又はpoly-ICLC投与による注射部位反応
【0295】
≧グレード3 血液学的毒性又は肝毒性
【0296】
≧グレード3 神経毒性:炎症性/リンパ性浸潤の病理学的所見での生検又は切除を必要とする腫瘍進行又は炎症性免疫応答(すなわち、偽腫瘍進行)のいずれかを示すサイン及び兆候
【0297】
≧グレード3 十分な制吐剤予防なしで吐き気や嘔吐がRLTとは考えられない
【0298】
遅延投薬>4週間 各poly-ICLC又はペプチドワクチンのための
【0299】
治療は以下の理由(i)上記で定義したレジメン限定的毒性;(ii)病気の進行-MRIスキャンでの最大直径の総和の少なくとも25%増加又は以前に非強化腫瘍でコントラスト増強の出現、で中断することができる。しかしながら、偽腫瘍進行が疑われる場合、患者に4mg/日までデキサメタゾンを認め、4-8週間後に再検査を行うことができる。>4mg/日デキサメタゾンが必要な場合、あるいは、画像研究の繰り返しで病気の進行の基準を満たしている場合、該患者は研究から外し、さらなる研究は中断することができる。しかしながら、ステロイド投与量が<4mg/日、かつ、画像研究の繰り返しで病気の進行の基準を満たしていない場合、該患者は研究を続けることができ、ここに規定された研究処置を受けることができる。腫瘍進行又は偽腫瘍進行が疑われるどのケースでも、対象が本研究に残るか否かを決定するために見直されるべきである。(iii)さらなるワクチン投与又はpoly-ICLC投与を妨げる併発疾患(iv)妊娠:妊娠した患者は、妊娠期間中追跡し続けられるだろう。
【0300】
7.8.6.4 処置期間
有害事象による処置の遅延がない場合、21週間処置、又は以下の基準のうち1つが適用されるまで続けることができる(8回ワクチン接種):レジメン規定毒性(RLT);病気の進行及び/又はさらなる処置の投与を妨げる併発疾患
【0301】
7.8.6.5 同時処置
7.8.6.5.1 許容
熱のため、アセトアミノフェンを使用することができる(325mg錠剤、1又は2 経口、4時間毎)。アセトアミノフェンでの患者の前処置は、poly-ICLC副作用による当然の結果として開始される。処置後8時間以上続く熱は、潜在的感染の観点から評価される。
【0302】
軽度の局所的な痛みのために、経口アヘン(オキシコドン、5-10mg経口、3-4時間毎)を計画することができる。軽度-中等度以上のグレードの痛みは、治療以外の原因のために調査され、それに応じて管理することができる。
【0303】
ワクチン/poly-ICLC治療(0週)開始前少なくとも4週間は、デキサメタゾン(又は類似のコルチコステロイド薬)を使用すべきではない。デキサメタゾン(4mg/日まで)は、偽腫瘍進行の状態で使用し、できる限り早く減量/中断することができる。
【0304】
示されたとおりに抗けいれん薬を使用すべきである。
【0305】
必要に応じて、制吐薬を投与することができる。
【0306】
他の許容可能な薬は、ステロイド外用薬;非ステロイド抗炎症剤;抗ヒスタミン(例えば、Claritin(登録商標)、Allegra(登録商標));セクション7.8.6.5.2に記載されているものを除く慢性薬;インフルエンザワクチン(少なくとも2週間研究ワクチン接種の開始前又は少なくとも8回目のワクチン接種後2週間にこれらを投与すべきである);及び/又はコルチコステロイド薬は、経口又は吸入により投与される(例えば、Advair(登録商標)、Flovent(登録商標)、Azmacort(登録商標))、を含むことができる。
【0307】
7.8.6.5.2 許容不能
本研究の患者は、放射線療法;化学療法;インターフェロン(例えば、Intron-A(登録商標));アレルギー脱感作アレルギー脱感作注射;成長因子(例えば、Procrit(登録商標)、Aranesp(登録商標)、Neulasta(登録商標));インターロイキン(例えば、Proleukin(登録商標));及び/又は任意の治験治療薬を含む、同時処置又は投薬を受けている場合、除外すべきである。
【0308】
7.8.7 相関/特別研究
7.8.7.1 免疫学的監視
7.8.7.1.1 Enzyme Linked Immuno-SPOT (ELISPOT)アッセイ
GAAワクチン投与前後の末梢血単核細胞(PBMC)中のグリオーマ関連抗原(GAA)応答性Tリンパ球前駆体の頻度をELISPOTアッセイで測定することができる。ELISPOTで測定された生物学的応答は、アッセイ間の変動を避けるために、1個人の少なくとも同一の時点で行うことができる。ワクチン接種の成功は、抗原特異的、MHC拘束的様式でサイトカインを分泌することができるT細胞のクローン集団を刺激する。ELISPOTアッセイは、CD8+T細胞集団のGAA特異的免疫応答同様、ヘルパーTTペプチドに対し反応するCD4+T細胞を評価するために使用することができる。IFN-γ産生は1型T細胞応答を算定することで評価することができる。
【0309】
同一抗原に対する2つの連続するワクチン接種後の時点の任意の時点で(12、15、18、21及び24週)、スポットの数がベースラインで2倍、少なくとも10スポット/20,000細胞存在する場合、ワクチン接種後のスポットの数が、ワクチン接種前の値の少なくとも3倍の標準偏差の場合、対象は反応したと考えられる。応答は抗原のどれか1つでもあり得る。
【0310】
7.8.7.1.2 患者のPBMC中のGAA反応性T細胞のテトラマー分析
テトラマー解析は、末梢血中のGAA特異的CD8+T細胞存在の評価を、高感度で、該細胞のin vitro再刺激なしに可能にする。悪性グリオーマの患者から利用可能な以前のデータに基づいて、腫瘍抗原ワクチンで免疫された患者の何人か、全員ではない、で観察され得るペプチド応答性CD8+T細胞の頻度の顕著(対数又はそれ以上)な増加を予測する。予備的な方法では、該PBMCでCNS腫瘍及びケモカイン受容体(例えば、CXCR3 and CCR5)へのT細胞ホーミング(例えば、Zhu et al., J.Transl.Med., 5: 10, 2007参照)を行うとされているインテグリン受容体最晩期抗原(VLA)4の表面発現を評価することもできる。テトラマー分析のための手順は、十分に確立されている。
【0311】
テトラマーアッセイは、ベースライン時とワクチン接種後の5つの時点(12、15、18、21及び24週)で行うことができる。テトラマーアッセイによる全CD8+細胞
陽性の(1+B)%となるペプチドの1時点の陽性反応を定義することができ、Bはベースラインでのパーセント陽性であり、それは通常0.1%未満と考えられる。ELISPOT反応の定義に類似し、彼/彼女が任意のペプチドに対して2つの連続する1時点応答を示した場合、患者は応答したと考えられる。
【0312】
7.8.7.1.3 リンパ球集合のフローサイトメトリック分析
ワクチン前後の連続時点で、CD4+及びCD8+T細胞の数と同様に、CD4+/Foxp3+T制御細胞の数を評価することができる。
【0313】
7.8.7.1.4 血清中の自己免疫分析
保存血清で自己抗体の存在を評価することができる。
【0314】
7.8.7.2 原発性及び再発性腫瘍組織の評価
患者の使用可能な腫瘍組織でのGAA発現は、免疫組織化学(IHC)及び逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)で評価できる(ワクチン接種前又はワクチン接種後のそれぞれ、又は両者)。
【0315】
ワクチン接種後に腫瘍が再発する場合、どのように腫瘍がワクチンの効果を免れたのかを評価することは重要であり得る。この目的を達成するために、組織利用性(tissue-availability)を認めるのと同様、以下の特定の事項を評価することができる。
(i)抗原損失(loss):IHC及びRT-PCRを用いて、再発した腫瘍が標的GAA、HLA-A2及び抗原プロセッシングに関与するトランスポーターのような抗原プロセッシング機械部品(machinery components)を発現しているか否かを評価することができる、(ii)抗アポトーシスアップレギュレーション分子:Survivinは標的化されるかもしれないが、他の抗アポトーシス分子はアップレギュレートされるかもしれない。例えば、cFLIP(細胞内FLICE(Fas関連デスドメイン様IL-1β変換酵素)阻害タンパク質);及び(iii)免疫細胞浸潤:腫瘍がワクチン誘導免疫応答を免れるかもしれない1つの理由は、該腫瘍を浸潤する反応性T細胞の失敗である。これを検討するために、新鮮な切除された腫瘍組織(固定又は凍結されない)が利用できる時は、腫瘍浸潤リンパ球(TILs)を単離し、各GAAのためのHLA-A2テトラマーを用いて、それらの数、表現型、抗原特異性の特徴づけを行うことができる。マルチカラーフローサイトメトリーを用いて、テトラマー+TILの機能、生存をパーフォリン/IFN-γ及びアネキシンVそれぞれの染色で決定することができる。コントロール組織は、本研究ではない患者からのワクチン前腫瘍(可能であれば)及び再発腫瘍を含むことができる。当該研究は、ワクチン誘導T細胞が脳腫瘍部位に効率的にトラフィックし得るか並びにその機能及び生存を維持し得るかを評価することができる。
【0316】
7.8.8 研究パラメータ
この研究は外来を基本に、0、3、6、9、12、15、18、21及び24週に評価されるようスケジュールされた患者で行うことができる。当該期間ののち、患者が追加のワクチン接種を受けない場合、該患者は研究から外すことができ、同様の腫瘍型の患者のために通常なされるように、それ以降2-4月毎に臨床的に追跡することができる。患者に進行性腫瘍があることが判明した場合、化学療法又は切除等の他の治療を受けることができる。患者が追加ワクチンを受ける場合、該追加ワクチンは12週毎に投与され、患者が脱落(withdraw)するまで臨床的、免疫学的及び放射線(MRI)モニタリングを来院時毎(q12週)行うことができる。寛解の対象は、追加の2回のワクチン接種を12週間隔で再処置され、その後追跡される。ワクチン接種は、スケジュールされたワクチン接種の間いつでも、進行又は許容できない毒性のいずれの患者も中止することができる。
【0317】
7.8.8.1 前処置(スクリーニング及びベースラインデータ)
以下の手順は治療を続行する前に実施することがある:インフォームドコンセントはスクリーニングの開始前に取得する必要がある;HLAタイピング(HLA-A2陽性のフローサイトメーター評価);診断の文章化(病理学的);神経学的検査及びパフォーマンスステータスを含む完全な病歴と身体診察(バイタルサイン及び体重と共に);ワクチン部位はインタクト排出リンパ節の確認でデザインされる;人口統計情報を記録すべきである;CBC及び血小板を評価すべきである;PT/PTTを評価すべきである;電解質、クレアチニン、血中尿素窒素、糖、AST、ALT、ALKリン、総ビリルビン、LDH、カルシウム及びアルブミンを含む、包括的な代謝パネルを評価すべきである;GGT、リン、マグネシウムを評価すべきである;in vitroアッセイのために採血すべきである;糖尿病患者のHGBA1Cを実施すべきである;心臓の症状、病歴又は現在の病気の患者にECG及びエコー図を実施すべきである;尿検査を実施すべきである;病気のベースライン状態を評価するために脳のMRIをとるべきである;及び/又は女性の出産の可能性は血清β-HCGの妊娠検査を行うべきである。
【0318】
7.8.8.2 処置中の評価
以下の手順を治療の進行に伴って実施することができる;投与前(ワクチン接種当日のワクチン投与0、3、6、9、12、15、18及び21週間前):バイタルサイン、体重、パフォーマンスステータス及び神経機能を含む、病歴と身体;in vitroアッセイのために採血すべきである;電解質、クレアチニン、血中尿素窒素、糖、AST、ALT、ALKリン、総ビリルビン、LDH、カルシウム及びアルブミンを含む化学物質を評価すべきである(0週を除く);臨床上示された場合、AEDレベルを評価すべきである;神経学的評価及び皮膚検査(注射部位)を含めるように、以前の用量から患者の有害事象をスクリーニングすべきである;及び/又はMRIを行うべきである(ワクチン注射の来院中12週のみに)
【0319】
ワクチン投与後、全患者は各GAAペプチドワクチン投与後少なくとも20分間は、有害事象について綿密に観察すべきである。同日に、各ワクチン接種後、poly-ICLC(i.m. 30mg/kg)が投与することができ、poly-ICLC注射後、少なくとも20分間は患者をモニタリングすることができる。
【0320】
7.8.8.3 24週(8回ワクチン接種後)評価
ワクチンサイクルが完了した後、以下の手順を実施することができる;バイタルサイン、体重、Karnofskyパフォーマンスステータス及び神経機能を含む病歴及び身体;in vitroアッセイのために採血すべきである(3、6及び9週を除く);差があるCBC及び血小板を評価すべきである(0週を除く);電解質、クレアチニン、血中尿素窒素、糖、AST、ALT、ALKリン、総ビリルビン、LDH、カルシウム及びアルブミンを含む化学物質が評価すべきである(0週を除く);臨床上示される場合AEDレベルを評価すべきである;神経学的評価及び皮膚検査(注射部位)を含むため、以前の投与量から有害事象のために患者をスクリーニングすべきである;及び/又はMRIを行うべきである。
【0321】
7.8.8.4 追加ワクチンでの評価 (追加ワクチンでのケース)
追加ワクチンを投与する前に、以下の手順が実施される得る;バイタルサイン、体重、Karnofskyパフォーマンスステータス及び神経機能を含む病歴及び身体;in vitroアッセイのために採血すべきである(3、6及び9週を除く);差があるCBC及び血小板を評価すべきである(0週を除く);電解質、クレアチニン、血中尿素窒素、糖、AST、ALT、ALKリン、総ビリルビン、LDH、カルシウム及びアルブミンを含む化学物質が評価すべきである(0週を除く);臨床上示される場合AEDレベルを評価すべきである;神経学的評価及び皮膚検査(注射部位)を含むため、以前の投与量から有害事象のために患者をスクリーニングすべきである;及び/又はMRIを行うべきで
ある。
【0322】
追加ワクチン投与後、各ワクチン投与後少なくとも20分間は、有害事象について全患者を綿密に観察すべきである。追加ワクチンは、以下の条件のいずれかで終了し得る:1)腫瘍進行;2)RLT;又は3)追加ワクチン接種開始後、連続した2つの時点で免疫応答陰性。
【0323】
【0324】
【0325】
7.8.9 効果の測定
7.8.9.1 目的
7.8.9.1.1 免疫原性
ワクチン接種後PBMCのGAAペプチドに対するCD8+T細胞応答の応答率及び大きさは、IFN-γ ELISPOT及び2次アッセイとしてフローサイトメトリーによるテトラマー分析を用いて評価することができる。
【0326】
ELISPOTアッセイは、サイトカイン-発現として抗原特異的T細胞の機能的な状態を示す。テトラマーを用いるフローサイトメトリー分析は、主な患者由来のPBMCのインビトロ操作や抗原特異的T細胞上のホーミング受容体(integrins)発現等の表現型解析なしに、抗原結合T細胞の頻度比較的正確な推定を可能にする。
【0327】
末梢血中の応答を測定する生物学的アッセイは、アッセイ間の変動を避けるために、同一の時点で行い得る。
【0328】
フローサイトメトリーを用いて、CD4+T細胞、CD4+/Foxp3+制御T細胞等のリンパ球分画の数も評価することができる。加えて、進行腫瘍の減量手術を受ける患者は、腫瘍組織が入手できれば、抗原特異的CTLの浸潤が、フローサイトメトリーで、エピトープ特異的MHVテトラマーと共に腫瘍浸潤リンパ球が評価することができる。
【0329】
7.8.9.1.2 安全性
再発性グレードIIグリオーマの患者における、4つのHLA-A2拘束性グリオーマ関連抗原(GAA)エピトープペプチドと併用してクラスII MHC拘束性破傷風トキソイド(TT)由来のヘルパーT細胞及びi.m. poly-ICLC投与の安全性を決定することができる。
【0330】
エンドポイントは、ワクチン接種後の患者群で通常実施されるように、綿密な臨床経過観察と標準的基準を用いて、有害事象の発生率及び重症度を含むことができる。レジメンは、所定のコホート内の患者のうち、>33%でRLTが進む場合、受け入れ難いほど毒性であると考えられる。
【0331】
7.8.9.1.3 応答及び無増悪生存期間
コントラスト増強のMRIスキャンを用いて、12週、24週、その後3ヶ月毎に腫瘍再発を最小限で評価することができる。低悪性度グリオーマはコントラスト投与で概して増強しない浸潤性腫瘍であるため、応答及び無増悪生存の評価のために、腫瘍(すなわち、標的病変)をT2又はFLAIR MRI画像で測定することができる。ベースラインで増強した病変がある場合、WHOグレードII腫瘍に関する病理情報が該腫瘍の状態を真に表しているかについて慎重な議論を行うことができる。増強した腫瘍がグレードIIと考えられる場合、増強した病変の大きさを評価することができる。加えて、後述するように、以前は非増強腫瘍での増強の出現は、進行(PD)と考えられる。
【0332】
(A)応答(RECIST基準による)
完全寛解(CR):全標的病変の消失
【0333】
部分寛解(PR):標的病変の最大直径(LD)の総和が少なくとも30%減少し、ベースライン合計LDを参照とする。
【0334】
進行(PD):標的病変のLD合計が少なくとも20%増加し、処置開始又は以前に非強化腫瘍でコントラスト増強の出現以来、報告された最小合計LDを参照とする。偽腫瘍進行のために、低用量ステロイドに変更し、PDを有すると宣言される前に再度画像化される。
【0335】
不変(SD):PRにふさわしい収縮も、PDにふさわしい十分な増加もなく、処置開始以来最小合計LDを参照とする
【0336】
(B)全生存期間(OS)及び無増悪生存期間(PFS)
PFSは、治療開始から増悪又は死亡の時までの期間として定義される。全患者は、最小2年間追跡されるため、実際の2年OS及びPFSを決定することができる。
【0337】
7.8.9.1.4 ワクチン接種後の腫瘍組織解析
本研究において、全患者から腫瘍組織が得られるわけではない。しかしながら、ワクチン接種前及び/又はワクチン接種後に得られた全ての腫瘍組織において、以下の(i)抗原損失、(ii)抗アポトーシス分子のアップレギュレーション、(iii)免疫細胞浸潤、を予備的な方法で評価することができる。
【0338】
7.8.10 統計的考察
7.8.10.1 免疫学的応答の評価
免疫応答の評価は、IFN-γ ELISPOT及びテトラマーアッセイを用うことができる。
【0339】
応答者はIFN-γ ELISPOT又はテトラマーアッセイのいずれかで対応してき
た患者と定義することができる。9対象中少なくとも4応答があれば、コホートはさらなる調査に値するとみなすことができる。その真の応答率が<17%の場合、4又はそれ以上の応答を観察するための可能性が<5%あり、真の応答率が>66%である場合、3又はほとんどない応答を観察する可能性は<5%であるというプロパティ(property)を当該基準は有する。
【0340】
7.8.10.2 安全性の実証及び評価
毒性を評価するためにNCI有害事象共通用語基準(AE)(CTCAE 3.0)を使用することができる。毒性は、治療に、多分、おそらく、あるいは間違いなく関連した有害事象と考えることができる。目的のカテゴリ毎の毒性の最大評点を、各患者のために記録し、集計結果は、カテゴリや悪性度により集計することができる。
【0341】
安全のため、レジメンは、レジメン規定毒性(RLT)≧33%及び少なくとも2RLTが観察された場合はいつでも過度に毒性であると考えることができる。
【0342】
本研究設計は、以下のプロパティがある:当該患者群の真のRLT比が≧45%であれば、発生がとまるであろうという可能性が少なくとも90%あり;真のRLT比が≦9%であれば、発生がとまらないであろうという可能性が少なくとも90%あり、レジメンは、安全であると考えられる。
【0343】
7.8.10.3 臨床エンドポイントの評価
全患者について少なくとも2年間追跡することができるので、実際の2年全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)及び反応率を予備的エンドポイントとして集計することができる。PFSは、連続MRI撮影画像に基づく、治療開始から進行までの時間間隔として定義する。適切な場合には予備的解析により、画像化応答及びOS/PFSに対する免疫応答との関係を調査することができる(フィッシャーの正確確率検定及びログランク検定各々を使用して)。
【0344】
7.8.10.4 人口統計データ
評価可能な全患者のベースライン記述統計学は、人口統計学的変数(年齢、性別、人種/民族)、Karnofsky又はLanskyパフォーマンスステータス、登録時の病期とステータス(安定した病気、進行性の病気)、以前使用された治療レジメン(階層Cのため)で規定することができる。
【0345】
7.9 実施例9
本実施例は、高リスクWHOグレードII星状細胞腫及び乏突起星状細胞腫の患者にpoly-ICLC投与と組み合わせたHLA-A2拘束性グリオーマ抗原ペプチドでのワクチン接種の有効性を評価するための研究を記載する。
【0346】
7.9.1 合理性
本実施例は、再発WHOグレードII星状細胞腫及び乏突起星状細胞腫の患者、すなわち、手術のみ又は手術プラス術後放射線療法後、進行5年の可能性が>50%である、における抗腫瘍T細胞応答を効率的に誘導するように設計したワクチンレジームを記載する。本実施例で提供された研究に記載されたレジームは、グリオーマ関連抗原(GAA)由来細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エピトープペプチドの皮下注射とpoly-ICLCの同時筋肉内投与(simultaneous intramuscular; i.m.)とを組み合わせる。
【0347】
テント上低悪性度グリオーマ(LGG)の成人は、放射線療法(RT)に続く手術又は手術による処置後2年腫瘍進行の重大なリスクがある(24%)。当該患者の好ましくないサブセットのために、進行の2年リスクは40-50%である。本実施例に記載された
研究は、腫瘍再発リスクを減らす免疫予防的及び免疫療法的可能性を有し、生存率の改善につながる可能性がある。治療的に、免疫治療アプローチは、腫瘍性低悪性度II腫瘍細胞の無痛的な膨張を抑制する可能性がある。予防的に、該アプローチは再発性LGGの約半分で起きる未分化トランスフォーメーションを防ぐ可能性がある。LGGのより遅い成長率(悪性グリオーマと比較して)は、複数の免疫を繰り返すのに十分な時間を与えるはずであり、GAA特異的免疫の高レベルな誘導をもたらす可能性がある。加えて、poly-ICLCは前臨床脳腫瘍モデルでワクチン効果を促進すること(例えば、Zhu et al., J.Transl.Med., 5: 10, 2007参照)、悪性グリオーマ患者で安全であること(例えば、Salazar et al., Neurosurgery, 38: 1096-1103, 1996参照)が示されている。したがっ
て、poly-ICLCと組み合わせたこの形式のワクチンは、強力な抗グリオーマ免疫応答を誘導し、かつ、安全だろうと仮説を立てている。
【0348】
7.9.2 目的
本実施例は、WHOグレードII星状細胞腫及び乏突起星状細胞腫の成人でのワクチン研究を記載する。本実施例の目的は、追加の研究で使用できる可能性のある免疫学的安全性データを収集することを含む。本実施例に記載される研究の患者は、最小2年間追跡され得る。そのため、実際2年の全生存(OS)率並びに6月及び2年無増悪生存(PFS)率を予備的手法で決定することができる。
【0349】
7.9.2.1 GAA特異的T細胞応答の誘導
この形態のワクチンに反応したGAAペプチドに対するワクチン接種後末梢血単核細胞(PBMC)での応答率及び免疫応答の度合いを、IFN-γ-enzyme-linked immuno-spot(ELISPOT)及びテトラマーアッセイを用いて決定することができる。
【0350】
7.9.2.2 安全性
レジメン規定毒性(RLT)の頻度に基づく早期停止規則と共に、ワクチンレジームに関与する有害事象の発生率と重症度を評価することができる。
【0351】
7.9.2.3 細胞傷害性
標準的なWHO応答基準を用いて放射線応答を決定することができる。2年無増悪生存率(progression-free survival;PFS)を連続磁気共鳴画像法(MRI)スキャンに基づき予備的方法で評価することができる。
【0352】
7.9.2.4 生物学的相関のための腫瘍組織
進行、生検/切除を行う患者が推奨される。ワクチン接種後腫瘍組織が利用できるときは、GAA発現状態及びGAA特異的T細胞の浸潤を分析することができる。
【0353】
7.9.2.5 GAA特異的T細胞応答の誘導へのRTの影響
2つのコホートにおけるGAA特異的免疫応答の応答率及び免疫応答の度合いを、IFN-γ-enzyme-linked immuno-spot(ELISPOT)及びテトラマーアッセイを用いて決定することができる。
【0354】
7.9.3 患者選択
7.9.3.1 適正基準
病理学的基準-患者は、テント上WHOグレードII星状細胞腫又は乏突起星状細胞腫の病理学的診断を受けているべきである。
【0355】
本研究の患者はフローサイトメトリーに基づきHLA-A2陽性であるべきである。
【0356】
本研究の患者は以前の治療の毒性効果から回復しているべきである。いかなる治験薬からも4週間;以前の細胞傷害性治療から4週間及び/又は、ビンクリスチン投与から少なくとも2週間、ニトロソ尿素化合物投与から4週間、プロカルバジン投与から3週間、及びインターフェロン、タモキシフェン、サリドマイド、cis-レチノイン酸等の非細胞傷害性剤から1週間(放射線増感剤はカウントしない)。以前の放射線療法(RT)に関し、RT(又は放射線手術)の完了から少なくとも6ヶ月経っていなければならない。
【0357】
患者が以前にRTを受けたか否かに基づいて、患者の2つのコホートを解析すべきである。コホート1:患者は、手術又は生検のみを受けているべきであり(術後放射線又は化学療法なし)、不変又は進行(最初の手術/生検から進行なし)を示すベースライン MRIスキャン(最初のワクチン接種4週間以内)であるべきである。コホート2:患者は、登録前≧6月に完了し、不変又は進行を示す最初のワクチン接種前4週間以内でベースライン MRIスキャンである、手術又は生検及び放射線療法(RT)(外部分割放射線照射療法放射線療法及び/又は定位的放射線療法を含む)を受けているべきである。
【0358】
本研究の患者は、(i)年齢≧40歳 任意の切除範囲で;(ii)年齢18-39歳
完全な切除で(術後MRI 外観>1cm 残留疾患、術後空洞の端から、どちらか
側方に、前側後側に又は上外下方に、残存T2又はFLAIR異常の最大寸法に基づく)又は、(iii)年齢18-39歳、神経外科医定義GTRで、しかし腫瘍の大きさは≧4cm(軸及び/又は冠状T2又はFLAIR MR画像に基づく最大術前腫瘍直径)。全患者は、≧18歳であるべきである。
【0359】
本研究の患者は、>60のカルノフスキーパフォーマンスステータス(Appendix I)であるべきである。
【0360】
本研究での女性患者の出産の可能性は、血清β-HCGの妊娠検査を行うべきである。
【0361】
患者は全身感染がないべきである。活動性感染の患者(抗生物質治療が必要であろうとなかろうと)は、該感染の完全な回復後適格である可能性がある。抗生物質治療中の患者は、処置を始める前に少なくとも7日間抗生物質を断つべきである。
【0362】
本研究の患者は、白血球数≧2500/mm3;リンパ球≧400/mm3;血小板≧100,000/mm3、ヘモグロビン≧10.0g/dL、正常値の上限2.5×以内のAST、ALT、GGT、LDH、アルカリホスファターゼ及び総ビリルビン≦2.0mg/dL並びに正常値の上限血清1.5×以内のクリアチニンとして測定される十分な臓器機能を有すべきである。本研究の患者は凝固試験並びにPT及びPTTが、正常値の上限内にあるべきである。
【0363】
7.9.3.2 除外基準
本研究の患者は、神経膠腫症、大脳、頭蓋、脊髄軟膜転移症が存在する場合、除外すべきである。
【0364】
本研究の患者は、以前に化学療法又は放射線療法以外の任意のタイプの抗グリオーマ治療を受けていた場合、除外すべきである。
【0365】
本研究の患者は、放射線療法;化学療法;インターフェロン(例えば、Intron-A(登録商標));アレルギー脱感作注射;成長因子(例えば、Procrit(登録商標)、Aranesp(登録商標)、Neulasta(登録商標));インターロイキン(例えば、Proleukin(登録商標));及び/又は任意の治験治療薬を含む、同時処置又は投薬を受けている場合、除外すべきである。
【0366】
本研究の患者は、細胞傷害性又は免疫抑制治療を必要とする自己免疫疾患、又は内臓障害を伴う自己免疫疾患を以前に患ったことがないべきである。これらの治療を必要とする活性自己免疫疾患を伴う本研究の患者も除外すべきである。NSAIDの薬を必要とする軽度の関節炎は、除外すべきではない。
【0367】
本研究の患者は、本研究に入る前4週間以内に免疫抑制剤を使用していた又は免疫抑制剤の使用を予定されている患者を除外すべきである。周術期及び/又は放射線療法中に、デキサメタゾン又は他のコルチコステロイド薬が使用されている場合、本研究の最初のワクチン投与前少なくとも4週間患者により減らされ、中断すべきである。局所的なコルチコステロイド及び吸入ステロイド(例えば、Advair(登録商標)、Flovent(登録商標)、Azmacort(登録商標))は許容すべきである。
【0368】
本研究の患者は、以下の診断:既知の転移を伴わない皮膚の扁平上皮細胞がん;既知の転移を伴わない皮膚の基底細胞がん;非浸潤性乳がん(DCIS又はLCIS);非浸潤性子宮頸癌;及び/又は5年以上再発又は転移の兆候がなく、治療が成功している遠隔転移のない任意のがん、を除く別のがんの診断を受けている場合、除外すべきである。
【0369】
本研究の患者は、アルコール中毒又は違法薬物であることが分かっている人は除外すべきである。
【0370】
免疫欠損の患者は、本治療に反応が見込めないため、HIV陽性患者は本研究から除外すべきである。
【0371】
7.9.4 ペプチドワクチン
7.9.4.1 ペプチド
以下のペプチドが、IL-13Rα2345-3531A9V(ALPFGFILV;配列番号:3);EphA2883-891(TLADFDPRV;配列番号:6);Survivin96-104:M2(LMLGEFLKL;配列番号:7);WT112
6-134:Y1(YMFPNAPYL;配列番号:8);及び破傷風トキソイド(TetA830)(AQYIKANSKFIGITEL;配列番号:9)がワクチン製剤に含まれ得る。
【0372】
全ペプチドを合成することができ、HPLCで該合成ペプチドを精製することができる合成ペプチドの同一性は、質量分析による質量及びアミノ酸配列の検証で確かめることができる。それぞれのペプチドのロットは、FDAによる同一性、純度、無菌性、発熱性で評価することができる。
【0373】
ペプチドは、GMP条件下バイアルに入れ-70℃で保存可能である。乾燥凍結したペプチドの安定性は、質量分析で毎年試験することができる。
【0374】
7.9.4.2 他の試薬
Montanide ISA-51(SEPPIC Inc., Fairfield, NJ)は、ペプチドワクチン中で追加の剤として使用可能である。
【0375】
7.9.4.3 投与量及び調製
水中油型エマルジョン(すなわち、全容量/注射が1mL)を形成するために、4つのHLA-A2拘束性GAAペプチド(300μg/ペプチド)及び破傷風ペプチド(ペプチド-tet;200μg)各々を含む水溶液(500μL)をMontanide ISA-51とともに1/1で混合することができる。
【0376】
7.9.4.4 投与
本研究の患者は、インタクト排出腋窩リンパ節に右又は左上腕で皮下にワクチン接種され得る。排出節としてインタクト腋窩リンパ節を持たない患者のケースでは、インタクト鼠径リンパ節同じ側の上部の腿にワクチンを投与し得る。
【0377】
0、3、6、9、12、15、18及び21週の週にワクチンを投与することができる。
【0378】
7.9.5 Poly-ICLC
Poly-ICLCを、Bioserv, Corporation(San Diego, California)のGMP施
設で調製して、パッケージングすることができる。Poly-ICLCを、2mg/ccの濃度で半透明の溶液の1ccを含むバイアル中で供給することができる。Poly-ICLCは室温で数日間安定であるが、約4℃で冷凍保存することができる。
【0379】
7.9.5.1 投与量及び投与
20μg/kgから1640μg/注射の用量で、各ワクチン接種後0、4日目に2回の注射で、筋肉内注射でPoly-ICLCを投与することができる。
【0380】
poly-ICLC投与(20μg/kg i.m.及び最大1640μg/注射)の最初のコースは、最初のGAA/TTワクチン当日及び該ワクチン接種後4日目に投与することができる。繰り返しのワクチン接種(3、6、9、12、15、18及び21週)後それぞれで、ワクチン接種後当日及びワクチン接種後4日にpoly-ICLC(20μg/kg i.m.及び最大1640μg/注射)を投与することができる。
【0381】
注射部位に関し、poly-ICLCは排出腋窩リンパ節での抗原提示プロセスを促進すると思われているため、先のペプチド注射部位(例えば、先のペプチド注射部位の中央から3cm未満)と接近してpoly-ICLCをi.m.投与すべきである。
【0382】
Poly-ICLCは、患者の体重あたり処方される量で(最大1640μg/注射)、バイアルから供給する際には無菌操作で筋肉内(i.m.)投与すべきである。最初の処置前及び処置後少なくとも20分間はバイタルサインを監視することができる。
【0383】
7.9.6 処置プラン
本実施例に記載された研究は、予後不良因子でWHOグレードII星状細胞腫又は乏突起星状細胞腫のHLA-A2+患者でのGAA/TTペプチドワクチン及びpoly-ICLCの免疫原性、安全性、臨床的有効性を評価するための患者の2つのコホートを使用することができる。ペプチドワクチンは局所的に隔離され、免疫応答は主に局所的に、排出リンパ節で生じるため、ワクチン投与量はレシピエントの大きさ(体重又は体表面積による)に比例してスケールアップされる必要はない。薬に関して当然のことであるが、その効果は、体液内での分布に関連している。poly-ICLCの用量に関し、悪性グリオーマの患者に安全かつ生物学的応答を誘導することが示されている(例えば、Salazar et al. , Neurosurgery, 38: 1096-1103, 1996)一定用量(20μg/kg/注射及び最大1640μg/注射)を使用することができる。
【0384】
7.9.6.1 スケジュール
コホート1での適格性のある患者は、手術又は生検のみ(術後放射線照射又は化学療法なし)を受け、不変又は退行(最初の手術/生検から進行なし)を示すベースラインMRIスキャン(最初のワクチンの4週間以内)であるべきであり、コホート2の患者は、登録前≧6月RTを完了し、不変又は退行を示すベースラインMRIスキャン(1回目のワ
クチン前4週間以内)であるべきである。全患者が最初のワクチン前少なくとも4週間、デキサメタゾン又は類似のコルチコステロイドを断っていなければならない。
【0385】
0、3、6、9、12、15、18及び21週にGAA/TTワクチンの皮下注射で患者を処置することができる。各ワクチン接種後当日及び4日目に(例えば、木曜日にワクチンを投与する場合、ワクチン接種当日及び続く月曜日にpoly-ICLCを投与することができる。)筋肉内(I.m.)にpoly-ICLCを投与することができる(20μg/kg/注射及び最大1640μg/注射)。poly-ICLC投与前又は後2時間以内に各ワクチンを投与することができる。
【0386】
臨床来院又はMRI検査で、あらゆる可能な有害事象、レジメン規定毒性(RLT)同様、臨床/放射線応答について患者を評価することができる。
【0387】
最初のワクチン接種前に得た末梢血単核細胞(PBMC)をベースラインサンプルとして使用することができる。患者がRLT又は腫瘍進行なく、2つの免疫学的アッセイ(ELISPOT又はテトラマー)でいずれも陽性応答を示す場合、患者が腫瘍進行、免疫応答の喪失又はRLTを示すまでは、34-40週とその後3ヶ月毎の間のいつでもから開始する追加のGAA/TTワクチン(例えば、セクション7.9.6.2参照)を患者に提供することができる。
【0388】
7.9.6.2 付加療法
0(ベースライン)、12、15、18、21及び24週に、GAAペプチドに対するGAA特異的T細胞応答の存在を患者のPBMCで評価することができる。GAAペプチドのいずれかで当該応答が観察される場合、永続的な応答を示すGAAでの追加ワクチン接種同様、最初のワクチン接種から34-40週とその後12ヶ月毎から最長2年までの間のいつでもから開始するpoly-ICLCを患者は受けることができる。追加のPBMCサンプルは、免疫学的監視のために12週毎(ワクチン投与のための同一の来院で)に得ることができる。追加ワクチンは以下のいずれかの条件、1)腫瘍進行、2)RLT又は3)2つの連続する時点での陰性免疫学的応答、の時に終了することができる。
【0389】
7.9.6.3 用量変更
7.9.6.3.1 poly-ICLCのための用量変更
発熱及び疲労を含む、グレード2又はそれより大きなインフルエンザ様症状のために、poly-ICLCは、症状がグレード0になるまで中断することができる。ワクチン接種日にグレード2又はそれより大きなインフルエンザ様症状が起き、ワクチン接種後4日目までグレード0に戻らない場合、ワクチン接種後4日目の次のpoly-ICLC投与は飛ばすることができる。患者が、4日目に症状がない場合(グレード0)、poly-ICLCは最初の投与量の50%で再開することができる。ワクチン接種後4日目にpoly-ICLC投与後にグレード2又はそれより大きなインフルエンザ様症状が起きる場合、次のワクチンサイクルでは、2つのpoly-ICLC投与(ワクチン後0日及び4日に)を最初の投与量の50%で行うことができる。アセトアミノフェン650-1000mg又は任意のNSAIDによる前処置を行うことができる。さらなる投薬によく耐えるのであれば、最初の投与量は続けて再開することができる。
【0390】
肝酵素評価>4x ベースライン又はグレード2若しくはそれより大きな他の予測不能で耐え難い副作用の場合、毒性がグレード1又はそれ以下に減少するまでpoly-ICLCを中断することができる。それから最初の投与量の半分でPoly-ICLCを再投与し、患者を綿密に観察することができる。poly-ICLCを次のワクチンサイクル時に再開することができない場合、患者はRLTにより脱落し得る。
【0391】
患者は、グレード1若しくは2血液学的毒性、又はグレード1非血液学的毒性の最初の投与量のままかもしれない。50%投与量レベルで最低2週間毒性がない場合、調査員の裁量で投与量を開始時の量に増大することができる。その後の毒性は、それらが発生した場合、50%まで投与量の減少を必要とし、それ以上の増大は許されないかもしれない。減少させた投与量で毒性が再発生する場合、患者に対する治療を取りやめ得る。
【0392】
7.9.6.3.2 ペプチドワクチンのための遅延投薬
poly-ICLC投与が一時停止される状況下において、該事象がペプチド/ISA-51ワクチンに起因しない場合、予定通りにワクチン投与を続けるべきである。併発疾患又は研究室で他の毒性の原因を評価する必要がある場合等、有害事象の評価が限定される状況下において、4週間までワクチンスケジュールを中断することができる。偽腫瘍進行以外の有害事象が原因でワクチン投与が4週間以上遅延する場合、原因にかかわらず、処置を中断すべきである。
【0393】
研究の間中、レジメン規定毒性(RLT)に則って患者を観察することができる。多分、おそらく、あるいは間違いなく処置に関連すると判断される場合、以下はRLTと考えられる。それらが起きれば、患者個人を研究から外し、さらなる注射を投与することはできない。
【0394】
≧グレード2又はそれ以上 気管支けいれん又は全身性蕁麻疹(過敏症)
【0395】
≧グレード2又はそれ以上 剥脱性紅皮症、アナフィラキシー又は血管虚脱のようなアレルギー反応
【0396】
≧グレード2又はそれ以上 自己免疫疾患(例えば、甲状腺機能低下症、自己免疫性脳炎)
【0397】
任意の≧グレード3 次の有害事象に特に注意を払うワクチン接種に多分、おそらく、あるいは間違いなく関連する毒性
【0398】
≧グレード3 ペプチドワクチン又はpoly-ICLC投与による注射部位反応
【0399】
≧グレード3 血液学的毒性又は肝毒性
【0400】
≧グレード3 神経毒性:炎症性/リンパ性浸潤の病理学的所見での生検又は切除を必要とする腫瘍進行又は炎症性免疫応答(すなわち、偽腫瘍進行)のいずれかを示すサイン及び兆候
【0401】
≧グレード3 十分な制吐剤予防なしで吐き気や嘔吐がRLTとは考えられない
【0402】
遅延投薬> 4週間 各poly-ICLC又はペプチドワクチンのための
【0403】
治療は以下の理由(i)上記で定義したレジメン限定的毒性;(ii)病気の進行-MRIスキャンでの最大直径の総和の少なくとも25%増加又は以前に非強化腫瘍でコントラスト増強の出現、で中断することができる。しかしながら、偽腫瘍進行が疑われる場合、患者に4mg/日までデキサメタゾンを認め、4-8週間後に再検査を行うことができる。>4mg/日デキサメタゾンが必要な場合、あるいは、画像研究の繰り返しで病気の進行の基準を満たしている場合、該患者は研究から外し、さらなる研究は中断することができる。しかしながら、ステロイド投与量が<4mg/日、かつ画像研究の繰り返しで病気の進行の基準を満たしていない場合、該患者は研究を続けることができ、ここに規定さ
れた研究処置を受けることができる。腫瘍進行又は偽腫瘍進行が疑われるどのケースでも、対象が本研究に残るか否かを決定するために見直されるべきである。(iii)さらなるワクチン投与又はpoly-ICLC投与を妨げる併発疾患(iv)妊娠:妊娠した患者は、妊娠期間中追跡し続けられるだろう。
【0404】
7.9.6.4 処置期間
有害事象による処置の遅延がない場合、21週間処置、又は以下の基準のうち1つが適用されるまで続けることができる(8回ワクチン接種):レジメン規定毒性(RLT);病気の進行及び/又はさらなる処置の投与を妨げる併発疾患
【0405】
7.9.6.5 同時処置
7.9.6.5.1 許容
熱のため、アセトアミノフェンを使用することができる(325mg錠剤、1又は2 経口、4時間毎)。アセトアミノフェンでの患者の前処置は、poly-ICLC副作用による当然の結果として開始される。処置後8時間以上続く熱は、潜在的感染の観点から評価される。
【0406】
軽度の局所的な痛みのために、経口アヘン(オキシコドン、5-10mg経口、3-4時間毎)を計画することができる。軽度-中等度以上のグレードの痛みは、治療以外の原因のために調査され、それに応じて管理することができる。
【0407】
ワクチン/poly-ICLC治療(0週)開始前少なくとも4週間は、デキサメタゾン(又は類似のコルチコステロイド薬)を使用すべきではない。デキサメタゾン(4mg/日まで)は、偽腫瘍進行の状態で使用し、できる限り早く減量/中断することができる。
【0408】
示されたとおりに抗けいれん薬を使用すべきである。
【0409】
必要に応じて、制吐薬を投与することができる。
【0410】
他の許容可能な薬は、ステロイド外用薬;非ステロイド抗炎症剤;抗ヒスタミン(例えば、Claritin(登録商標)、Allegra(登録商標));セクション7.8.6.5.2に記載されているものを除く慢性薬;インフルエンザワクチン(少なくとも2週間研究ワクチン接種の開始前又は少なくとも8回目のワクチン接種後2週間にこれらを投与すべきである); 及び/又はコルチコステロイド薬は、経口又は吸入により投与される(例えば、Advair(登録商標)、Flovent(登録商標)、Azmacort(登録商標))を含むことができる。
【0411】
7.9.6.5.2 許容不能
許容不能な投薬は、インターフェロン治療(例えば、Intron-A(登録商標));化学療法;アレルギー脱感作アレルギー脱感作注射;成長因子(例えば、Procrit(登録商標)、Aranesp(登録商標)、Neulasta(登録商標));インターロイキン(例えば、Proleukin(登録商標));任意の治験治療薬及び/又は違法薬物を含む。
【0412】
7.9.7 相関/特別 研究
7.9.7.1 免疫学的監視
7.9.7.1.1 ELISPOTアッセイ
GAAワクチン投与前後の末梢血単核細胞(PBMC)中のグリオーマ関連抗原(GAA)応答性Tリンパ球前駆体の頻度をELISPOTアッセイで測定することができる。
ELISPOTで測定された生物学的応答は、アッセイ間の変動を避けるために、1個人の少なくとも同一の時点で行うことができる。ワクチン接種の成功は、抗原特異的、MHC拘束的様式でサイトカインを分泌することができるT細胞のクローン集団を刺激する。ELISPOTアッセイは、CD8+T細胞集団のGAA特異的免疫応答同様、ヘルパーTTペプチドに対し反応するCD4+T細胞を評価するために使用することができる。IFN-γ産生は1型T細胞応答を算定することで評価することができる。
【0413】
同一抗原に対する2つの連続するワクチン接種後の時点の任意の時点で(12、15、18、21及び24週)、スポットの数がベースラインで2倍、少なくとも10スポット/20,000細胞存在する場合、ワクチン接種後のスポットの数が、ワクチン接種前の値の少なくとも3倍の標準偏差の場合、対象は反応したと考えられる。応答は抗原のどれか1つでもあり得る。
【0414】
7.9.7.1.2 患者のPBMC中のGAA応答性T細胞のテトラマー解析
GAAワクチン投与前後の末梢血単核細胞(PBMC)中のグリオーマ関連抗原(GAA)応答性Tリンパ球前駆体の頻度をELISPOTアッセイで測定することができる。ELISPOTで測定された生物学的応答は、アッセイ間の変動を避けるために、1個人の少なくとも同一の時点で行うことができる。ワクチン接種の成功は、抗原特異的、MHC拘束的様式でサイトカインを分泌することができるT細胞のクローン集団を刺激する。ELISPOTアッセイは、CD8+T細胞集団のGAA特異的免疫応答同様、ヘルパーTTペプチドに対し反応するCD4+T細胞を評価するために使用することができる。IFN-γ産生は1型T細胞応答を算定することで評価することができる。
【0415】
テトラマーアッセイは、ベースライン時とワクチン接種後の5つの時点(12、15、18、21及び24週)で行うことができる。テトラマーアッセイによる全CD8+細胞陽性の(1+B)%となるペプチドの1時点の陽性反応を定義することができ、Bはベースラインでのパーセント陽性であり、それは通常0.1%未満と考えられる。ELISPOT反応の定義に類似し、彼/彼女が任意のペプチドに対して2つの連続する1時点応答を示した場合、患者は応答したと考えられる。
【0416】
7.9.7.1.3 リンパ球集団のフローサイトメトリー分析
ワクチン前後の連続時点で、CD4+及びCD8+T細胞の数と同様に、CD4+/Foxp3+T制御細胞の数を評価することができる。
【0417】
7.9.7.1.4 血清中の自己免疫分析
保存血清で自己抗体の存在を評価することができる。
【0418】
7.9.7.2 原発性及び再発性腫瘍組織の評価
患者の使用可能な腫瘍組織でのGAA発現は、免疫組織化学(IHC)及び逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)で評価することができる(ワクチン接種前又はワクチン接種後のそれぞれ、又は両者)。
【0419】
ワクチン接種後に腫瘍が再発する場合、どのように腫瘍がワクチンの効果を免れたのかを評価することは重要であり得る。この目的を達成するために、組織利用性を認めるのと同様、以下の特定の事項を評価することができる。(i)抗原損失:IHC及びRT-PCRを用いて、再発した腫瘍が標的GAA、HLA-A2及び抗原プロセッシングに関与するトランスポーター等の抗原プロセッシング機械部品を発現しているか否かを評価することができる、(ii)抗アポトーシスアップレギュレーション分子:Survivinは標的かされるかもしれないが、他の抗アポトーシス分子はアップレギュレートされるかもしれない、例えば、cFLIP(細胞内FLICE(Fas関連デスドメイン様IL-
1β変換酵素)阻害タンパク質);及び(iii)免疫細胞浸潤:腫瘍がワクチン誘導免疫応答を免れるかもしれない1つの理由は、該腫瘍を浸潤する反応性T細胞の失敗である。これを検討するために、新鮮な切除された腫瘍組織(固定又は凍結されない)が利用できる時は、腫瘍浸潤リンパ球(TILs)を単離し、各GAAのためのHLA-A2テトラマーを用いて、それらの数、表現型、抗原特異性の特徴づけを行うことができる。マルチカラーフローサイトメトリーを用いて、テトラマー+TILの機能、生存をパーフォリン/IFN-γ及びアネキシンVそれぞれの染色で決定することができる。コントロール組織は、本研究ではない患者からのワクチン前腫瘍(可能であれば)及び再発腫瘍を含むことができる。当該研究は、ワクチン誘導T細胞が脳腫瘍部位に効率的にトラフィックし得るか並びにその機能及び生存を維持し得るかを評価することができる。
【0420】
7.9.8 研究パラメータ
この研究は外来を基本に、0、3、6、9、12、15、18、21及び24週に評価されるようスケジュールされた患者で行うことができる。当該期間の後、患者が追加のワクチン接種を受けない場合、該患者は研究から外すことができ、同様の腫瘍型の患者のために通常なされるように、それ以降2-4月毎に臨床的に追跡することができる。患者に進行性腫瘍があることが判明した場合、化学療法又は切除等の他の治療を受けることができる。患者が追加ワクチンを受ける場合、該追加ワクチンは12週毎に投与され、患者が脱落(withdraw)するまで臨床的、免疫学的及び放射線(MRI)モニタリングを来院時毎(q12週)行うことができる。寛解の対象は、追加の2回のワクチン接種を12週間隔で再処置され、その後追跡される。ワクチン接種は、スケジュールされたワクチン接種の間いつでも、進行又は許容できない毒性のいずれの患者も中止することができる。
【0421】
7.9.8.1 前処置(スクリーニング及びベースラインデータ)
以下の手順は治療を続行する前に実施することがある:インフォームドコンセントはスクリーニングの開始前に取得する必要がある;HLAタイピング(HLA-A2陽性のフローサイトメーター評価);診断の文章化(病理学的);神経学的検査及びパフォーマンスステータスを含む完全な病歴と身体診察(バイタルサイン及び体重と共に);ワクチン部位はインタクト排出リンパ節の確認でデザインされる;人口統計情報を記録すべきである;CBC及び血小板を評価すべきである;PT/PTTを評価すべきである;電解質、クレアチニン、血中尿素窒素、糖、AST、ALT、ALKリン、総ビリルビン、LDH、カルシウム及びアルブミンを含む、包括的な代謝パネルを評価すべきである;GGT、リン、マグネシウムを評価すべきである;in vitroアッセイのために採血すべきである;糖尿病患者のHGBA1Cを実施すべきである;心臓の症状、病歴又は現在の病気の患者にECG及びエコー図を実施すべきである;尿検査を実施すべきである;病気のベースライン状態を評価するために脳のMRIをとるべきである;及び/又は女性の出産の可能性は血清β-HCGの妊娠検査を行うべきである。
【0422】
7.9.8.2 処置中の評価
以下の手順を治療の進行に伴って実施することができる;投与前(ワクチン接種当日のワクチン投与0、3、6、9、12、15、18及び21週間前):バイタルサイン、体重、パフォーマンスステータス及び神経機能を含む、病歴と身体;in vitroアッセイのために採血すべきである;電解質、クレアチニン、血中尿素窒素、糖、AST、ALT、ALKリン、総ビリルビン、LDH、カルシウム及びアルブミンを含む化学物質を評価すべきである(0週を除く);臨床上示された場合、AEDレベルを評価すべきである;神経学的評価及び皮膚検査(注射部位)を含めるように、以前の用量から患者の有害事象をスクリーニングすべきである;及び/又はMRIを行うべきである(ワクチン注射の来院中12週のみに)
【0423】
ワクチン投与後、各GAAペプチドワクチン投与後少なくとも20分間は、有害事象に
ついて全患者を綿密に観察すべきである。同日に、各ワクチン接種後、poly-ICLC(i.m. 30mg/kg)が投与することができ、poly-ICLC注射後、少なくとも20分間は患者をモニタリングすることができる。
【0424】
7.9.8.3 24週(8回ワクチン接種後)評価
ワクチンサイクルが完了した後、以下の手順を実施することができる;バイタルサイン、体重、Karnofskyパフォーマンスステータス及び神経機能を含む病歴及び身体;in vitroアッセイのために採血すべきである(3、6及び9週を除く);差があるCBC及び血小板を評価すべきである(0週を除く);電解質、クレアチニン、血中尿素窒素、糖、AST、ALT、ALKリン、総ビリルビン、LDH、カルシウム及びアルブミンを含む化学物質が評価すべきである(0週を除く);臨床上示される場合AEDレベルを評価すべきである;神経学的評価及び皮膚検査(注射部位)を含むため、以前の投与量から有害事象のために患者をスクリーニングすべきである;及び/又はMRIを行うべきである。
【0425】
7.9.8.4 追加ワクチン(追加ワクチンでのケース)での評価
追加ワクチンを投与する前に、以下の手順が実施される得る;バイタルサイン、体重、Karnofskyパフォーマンスステータス及び神経機能を含む病歴及び身体;in vitroアッセイのために採血すべきである(3、6及び9週を除く);差があるCBC及び血小板を評価すべきである(0週を除く);電解質、クレアチニン、血中尿素窒素、糖、AST、ALT、ALKリン、総ビリルビン、LDH、カルシウム及びアルブミンを含む化学物質が評価すべきである(0週を除く);臨床上示される場合AEDレベルを評価すべきである;神経学的評価及び皮膚検査(注射部位)を含むため、以前の投与量から有害事象のために患者をスクリーニングすべきである;及び/又はMRIを行うべきである。
【0426】
追加ワクチン投与後、各ワクチン投与後少なくとも20分間は、有害事象について全患者を綿密に観察すべきである。追加ワクチンは、以下の条件のいずれかで終了し得る:1)腫瘍進行;2)RLT;又は3)追加ワクチン接種開始後、連続した2つの時点で免疫応答陰性。
【0427】
【0428】
【0429】
7.9.9 効果の測定
7.9.9.1 目的
7.9.9.1.1 免疫原性
ワクチン接種後PBMCのGAAペプチドに対するCD8+T細胞応答の応答率及び大きさは、IFN-γ ELISPOT及び2次アッセイとしてフローサイトメトリーによるテトラマー分析を用いて評価することができる。
【0430】
ELISPOTアッセイは、サイトカイン-発現として抗原特異的T細胞の機能的な状態を示す。テトラマーを用いるフローサイトメトリー分析は、主な患者由来のPBMCのインビトロ操作や抗原特異的T細胞上のホーミング受容体(integrins)発現等の表現型解析なしに、抗原結合T細胞の頻度比較的正確な推定を可能にする。
【0431】
末梢血中の応答を測定する生物学的アッセイは、アッセイ間の変動を避けるために、同一の時点で行い得る。
【0432】
フローサイトメトリーを用いて、CD4+T細胞、CD4+/Foxp3+制御T細胞等のリンパ球分画の数も評価することができる。加えて、進行腫瘍の減量手術を受ける患者は、腫瘍組織が入手できれば、抗原特異的CTLの浸潤が、フローサイトメトリーで、エピトープ特異的MHVテトラマーと共に腫瘍浸潤リンパ球が評価することができる。
【0433】
7.9.9.1.2 安全性
グレードII星状細胞腫及び乏突起星状細胞腫の患者での、クラスIIMHC拘束性破
傷風トキソイド(TT)由来のヘルパーT細胞及びi.m. poly-ICLCと組み合わせた4つのHLA-A2拘束性グリオーマ関連抗原(GAA)エピトープペプチド投与の安全性を決定することができる。
【0434】
エンドポイントは、ワクチン接種後の患者群で通常実施されるように、綿密な臨床経過観察と標準的基準を用いて、有害事象の発生率及び重症度を含むことができる。レジメンは、所定のコホート内の患者のうち、>33%でRLTが進む場合、受け入れ難いほど毒性であると考えられる。
【0435】
7.9.9.1.3 応答及び無増悪生存期間
コントラスト増強のMRIスキャンを用いて、12週、24週、その後3ヶ月毎に腫瘍再発を最小限で評価することができる。低悪性度グリオーマはコントラスト投与で概して増強しない浸潤性腫瘍であるため、応答及び無増悪生存の評価のために、腫瘍(すなわち、標的病変)をT2又はFLAIR MRI画像で測定することができる。ベースラインで増強した病変がある場合、WHOグレードII腫瘍に関する病理情報が該腫瘍の状態を真に表しているかについて慎重な議論を行うことができる。増強した腫瘍がグレードIIと考えられる場合、増強した病変の大きさを評価することができる。加えて、後述するように、以前は非増強腫瘍での増強の出現は、進行(PD)と考えられる。
【0436】
(A)応答(RECIST基準による)
完全寛解(CR):全標的病変の消失
【0437】
部分寛解(PR):標的病変の最大直径(LD)の総和が少なくとも30%減少し、参照ベースライン合計LDとして取る。
【0438】
進行(PD):標的病変のLD合計が少なくとも20%増加し、処置開始又は以前に非強化腫瘍でコントラスト増強の出現以来、報告された最小合計LDを参照とする。偽腫瘍進行のために、低用量ステロイドに変更し、PDを有すると宣言される前に再度画像化される。
【0439】
不変(SD):PRにふさわしい収縮も、PDにふさわしい十分な増加もなく、処置開始以来最小合計LDを参照とする。
【0440】
(B)全生存期間(OS)及び無増悪生存期間(PFS)
PFSは、治療開始から増悪又は死亡の時までの期間として定義される。全患者は、最小2年間追跡されるため、実際の2年OS及びPFSを決定することができる。
【0441】
7.9.9.1.4 ワクチン接種後の腫瘍組織解析
本研究において、全患者から腫瘍組織が得られるわけではない。しかしながら、ワクチン接種前及び/又はワクチン接種後に得られた全ての腫瘍組織において、以下の(i)抗原損失、(ii)抗アポトーシス分子のアップレギュレーション、(iii)免疫細胞浸潤、を予備的な方法で評価することができる。
【0442】
7.9.10 統計的考察
7.9.10.1 免疫学的応答の評価
免疫応答の評価は、IFN-γ ELISPOT及びテトラマーアッセイを用うことができる。
【0443】
応答者はIFN-γ ELISPOT又はテトラマーアッセイのいずれかで対応してきた患者と定義することができる。9対象中少なくとも4応答があれば、コホートはさらな
る調査に値するとみなすことができる。その真の応答率が<17%の場合、4又はそれ以上の応答を観察するための可能性が<5%あり、真の応答率が>66%である場合、3又はほとんどない応答を観察する可能性は<5%であるというプロパティを当該基準は有する。
【0444】
7.9.10.2 安全性の実証及び評価
毒性を評価するためにNCI有害事象共通用語基準(AE)(CTCAE 3.0)を使用することができる。毒性は、治療に、多分、おそらく、あるいは間違いなく関連した有害事象と考えることができる。目的のカテゴリ毎の毒性の最大評点を、各患者のために記録し、集計結果は、カテゴリや悪性度により集計することができる。
【0445】
安全のため、レジメンは、レジメン規定毒性(RLT)≧33%及び少なくとも2RLTが観察された場合はいつでも過度に毒性であると考えることができる。
【0446】
本研究設計は、以下のプロパティがある:当該患者群の真のRLT比が≧45%であれば、発生がとまるであろうという可能性が少なくとも90%あり;真のRLT比が≦9%であれば、発生がとまらないであろうという可能性が少なくとも90%あり、レジメンは安全であると考えられる。
【0447】
7.9.10.3 臨床エンドポイントの評価
全患者について少なくとも2年間追跡することができるので、実際の2年全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)及び反応率を予備的エンドポイントとして集計することができる。PFSは、連続MRI撮影画像に基づく、WHOグレードII星状細胞腫又は乏突起星状細胞腫の患者の病理学的診断から進行までの時間間隔として定義する。適切な場合には予備的解析により、画像化応答及びOS/PFSに対する免疫応答との関係を調査することができる(フィッシャーの正確確率検定及びログランク検定各々を使用して)。
【0448】
7.9.10.4 人口統計データ
評価可能な全患者のベースライン記述統計学は、人口統計学的変数(年齢、性別、人種/民族)、Karnofsky又はLanskyパフォーマンスステータス、登録時の病期とステータス(安定した病気、進行性の病気)及び/又は以前使用された治療レジメンで規定することができる。
【0449】
7.10 実施例10
本実施例は、新たに診断された悪性若しくは内在性脳幹グリオーマ(BSG)、非脳幹悪性グリオーマ(HGG)の不完全な切除、又は再発性切除不能低悪性度グリオーマ(LGG)の子供へのHLA-A2拘束性グリオーマ抗原ペプチドでのワクチン接種とpoly-ICLCとの組み合わせの効果を評価するための研究を記載している。
【0450】
7.10.1 合理性
現在のところ、小児悪性グリオーマのための効果的な治療方法は存在しない。免疫療法、特に活性ワクチン接種には、効果的かつ安全な方法として発達する可能性がある。GAA特異的ペプチドを用いるワクチンは、理論上自己免疫脳炎の懸念がなく、グリオーマ特異的免疫応答を誘導することができるため、全グリオーマ由来抗原と比較して、より可能性がある。最近の研究からの証拠では、小児グリオーマ及び内在性脳幹グリオーマは、グリオーマ関連抗原(GAA)の発現パターンが類似し、ワクチン治療により標的となる可能性がある。内在性脳幹グリオーマ、悪性グリオーマの不完全な切除の子供の予後不良の観点から、当該腫瘍での放射線療法後の免疫の活性と安全性を評価することが適切である。同様に、根深い低悪性度グリオーマでも、類似のGAAスペクトルを発現する。当該病
変は、罹患率と死亡率の増加と共に、従来の治療に一般的に難治性となるため、少なくとも2つの化学療法若しくは生物学的療法レジメン又は照射後に症状が進行した患者でのワクチン治療の潜在的な効果を評価することは適切である。
【0451】
GAAペプチドとpoly-ICLCとの併用投与は、抗GAA CTL応答の誘導及び脳腫瘍部位への抗原特異的T細胞トラフィッキングを顕著に高める。本実施例に記載された研究では、悪性グリオーマ又は難治性低悪性度グリオーマと新たに診断された小児患者に、poly-ICLCの筋肉内投与と組み合わせて複数の新規GAA由来HLA-A2拘束性CTLエピトープでワクチン接種することができる。
【0452】
7.10.2 目的
本実施例は、悪性若しくは難治性脳幹グリオーマ(BSG)又は不完全に切除された非脳幹高悪性度グリオーマ(HGG)若しくは再発性切除不能低悪性度グリオーマ(LGG)と新たに診断された子供でのワクチン研究を記載する。
【0453】
7.10.2.1 GAA特異的T細胞応答の誘導
この形態のワクチンに反応したGAAペプチドに対するワクチン接種後末梢血単核細胞(PBMC)での応答率及び免疫応答の度合いを、IFN-γ-enzyme-linked immuno-spot(ELISPOT)及びテトラマーアッセイを用いて決定することができる。
【0454】
7.10.2.2 安全性
新たに診断された悪性脳幹グリオーマ(BSG)の子供、及び新たに診断された不完全に切除された非脳幹悪性グリオーマ(HGG)の子供において、レジメン規定毒性(RLT)の頻度に基づく早期停止規則でワクチンレジームに関連する有害事象の発生率と重症度を評価することができる。2つの化学療法若しくは生物学的療法レジメン又は照射後に進行した処置-難治性、切除不能低悪性度グリオーマの患者における、ワクチンレジーム
に関連する有害事象の発生率と重症度も評価することができる。
【0455】
7.10.2.3 臨床反応
標準的なWHO応答基準を用いて放射線応答を決定することができる。2年無増悪生存率(progression-free survival;PFS)を連続磁気共鳴画像法(MRI)スキャンに基づき予備的方法で評価することができる。
【0456】
7.10.2.4 生物学的相関のための腫瘍組織
非脳幹腫瘍が進行した患者のために、生検/腫瘍減量を奨励することができる。ワクチン接種後腫瘍組織が利用できる時は、GAA発現状態及びGAA特異的T細胞の浸潤を分析することができる。
【0457】
7.10.3 患者選択
7.10.3.1 適正基準
病理学的基準-患者はグリオーマを有するだろう。いくつかの実施形態では、グリオーマ患者は以下の階層のうちの1つである:(i)階層A:新たに診断されたびまん性内在性橋グリオーマ又は任意の生検診断による脳幹を含む高悪性度グリオーマ;(ii)階層B:新たに診断された不完全な切除、非脳幹高悪性度グリオーマ(すなわち、画像化で可視可能な残存腫瘍);又は、(iii)階層C:以前の2つの化学療法若しくは生物学的療法レジメン及び/又は放射線療法にもかかわらず再発した任意のサブタイプの切除不能、進行性低悪性度グリオーマ、(iv)階層D:放射線療法で処置された、あるいは照射中化学療法なしに処置された脳幹を含む、新たに診断されたびまん性内在性橋グリオーマ(DIPG)又は任意の生検診断による脳幹を含む高悪性度グリオーマ*、(v)階層E
:放射線療法あるいは照射中化学療法なしに処置された新たに診断された非脳幹高悪性度グリオーマ*(HGG)、(vi)階層F:処置後に再発した再発性非脳幹高悪性度グリオーマ*。患者は以前の治療の毒性効果から回復していなければならない。高悪性度グリオーマの適格な組織学は、多形性膠芽腫(GBM)、未分化星状細胞腫(AA)又は神経膠肉腫を含む。任意の乏突起膠腫構成成分をもつ患者は、本実施例に記載された特定のプロトコールにふさわしくないかもしれない。
【0458】
本研究の患者はフローサイトメトリーに基づきHLA-A2陽性であるべきである。
【0459】
階層A及びBの患者は、5000-6000 cGy間の総線量で外部分割放射線照射療法として定義される標準的な照射野RTを受けているべきである。当該階層の患者は、RTの完了4-12週間内に登録されるべきである。
【0460】
本研究の患者は、臨床的に安定であるべきであり、低用量(わずか0.1mg/kg/日、最大4mg/日 デキサメタゾン)コルチコステロイドを、研究登録少なくとも1週間前に断つべきである。
【0461】
本研究の患者は、研究時に3歳及び21歳以下であるべきである。
【0462】
本研究の患者は、≧50のパフォーマンスステータス(ps)であるべきである。;(Karnofsky>16歳以上ならば、Lansky<16歳以下ならば)。
【0463】
本研究の初経後の女性患者は、血清βHCG陰性を示すべきである。
【0464】
本研究の患者は、全身感染がないべきである。抗体治療の患者は、処置を始める前に少なくとも7日間抗生物質を服用しないべきである。
【0465】
本研究の患者は、以下に測定される十分な臓器機能を有するべきである:(i)骨髄:ANC>1,000/μL;血小板>100,000/μL(輸血に頼らない);ヘモグロビン>8g/dl(輸血され得る);(ii)肝臓:ビリルビン≦1.5x年齢の割に施設正常値(institutional normal);SGPT(ALT)<3x施設正常値及びアルブミン≧2g/dl;(iii)腎臓:年齢に基づく血清クレアチニン若しくはクレアチニンクリアランス又はラジオアイソトープGFR≧70ml/分/1.73m2。
本研究の患者は、年齢の正常範囲内で、凝固試験並びにPT及びPTTを受けるべきである。
【0466】
本研究の患者は、明白な心臓、胃腸、肺又は精神疾患がないべきである。
【0467】
階層Cの患者のために、以前の化学療法の効果の回復が必要かもしれない。
【0468】
7.10.3.2 除外基準
本研究の階層A及び階層Bの患者は、軟膜転移疾患の存在がある場合、除外されるべきである。
【0469】
本研究の患者は、全体の完全に切除された腫瘍、すなわち、研究の時点で、MRIスキャンで可視化できる残留疾患がない場合、除外されるべきである。
【0470】
本研究の階層A及び階層Bの患者は、以前の化学療法又は放射線療法以外の任意のタイプの抗グリオーマ治療を受けていた場合、除外されるべきである。(本研究の階層Cの患
者は、以前に少なくとも2つの化学療法若しくは生物学的療法レジメン及び/又は放射線
療法を受けているべきである。)
【0471】
本研究の患者は、放射線療法;化学療法;インターフェロン(例えば、Intron-A(登録商標));アレルギー脱感作注射;成長因子(例えば、Procrit(登録商標), Aranesp(登録商標), Neulasta(登録商標));インターロイキン(例えば、Proleukin(登録商標));及び/又は任意の治験治療薬を含む、同時処置又は投薬を受けている場合、除外すべきである。
【0472】
本研究の患者は、細胞傷害性又は免疫抑制治療を必要とする自己免疫疾患、又は内臓障害を伴う自己免疫疾患を以前に患ったことがないべきである。これらの治療を必要とする活性自己免疫疾患を伴う本研究の患者も除外すべきである。NSAIDの薬を必要とする軽度の関節炎は、除外すべきではない。
【0473】
本研究の患者は、本研究に入る前4週間以内に免疫抑制剤を使用していた又は免疫抑制剤の使用を予定されている患者を除外すべきである。周術期及び/又は放射線療法中に、デキサメタゾン又は他のコルチコステロイド薬が使用されている場合(わずか0.1mg/kg/日、最大4mg/日 デキサメタゾン)、研究登録前少なくとも1週間患者により減らすべきである。局所的なコルチコステロイドは許容すべきである。
【0474】
本研究の患者は、アルコール中毒又は違法薬物であることが分かっている人は除外すべきである。
【0475】
免疫欠損の患者は、本治療に反応が見込めないため、HIV陽性患者は本研究から除外すべきである。
【0476】
7.10.4 ペプチドワクチン
7.10.4.1 ペプチド
以下のペプチド、IL-13Rα2345-3531A9V(ALPFGFILV;配列番号:3);EphA2883-891(TLADFDPRV;配列番号:6);Survivin96-104:M2(LMLGEFLKL;配列番号:7);及び破傷風ト
キソイド(TetA830)(AQYIKANSKFIGITEL;配列番号:9)がワクチン製剤に含まれ得る。
【0477】
全ペプチドを合成することができ、HPLCで該合成ペプチドを精製することができる合成ペプチドの同一性は、質量分析による質量及びアミノ酸配列の検証で確かめることができる。それぞれのペプチドのロットは、FDAによる同一性、純度、無菌性、発熱性で評価することができる。
【0478】
ペプチドは、GMP条件下バイアルに入れ-70℃で保存可能である。乾燥凍結したペプチドの安定性は、質量分析で毎年試験することができる。
【0479】
7.10.4.2 他の試薬
Montanide ISA-51(SEPPIC Inc., Fairfield, NJ)は、ペプチドワクチン中で追加の剤として使用可能である。
【0480】
7.10.4.3 投与量及び調製
水中油型エマルジョン(すなわち、全容量/注射が800μL)を形成するために、全4つのHLA-A2拘束性GAAペプチド(300μg/ペプチド)及び破傷風ペプチド(ペプチド-tet;200μg)各々を含む水溶液(400μL)がMontanide ISA-51とともに混合され得る。
【0481】
7.10.4.4 投与
本研究の患者は上腕又は大腿に皮下ワクチン接種される。
【0482】
ワクチンは、RT終了後(1週)、4-12週から開始からQ3Wk投与した。
【0483】
7.10.5 Poly-ICLC
Poly-ICLCを、Bioserv, Corporation(San Diego, California)のGMP施
設で調製して、パッケージングすることができる。Poly-ICLCを、2mg/ccの濃度で半透明の溶液の1ccを含むバイアル中で供給することができる。Poly-ICLCは室温で数日間安定であるが、約4℃で冷凍保存することができる。
【0484】
7.10.5.1 投与量及び投与
poly-ICLC投与(30μg/kg i.m)の最初の期間は、最初のGAA/TTワクチン当日に投与することができる。繰り返しのワクチン接種(Q3週)後それぞれで、ワクチン接種後当日にpoly-ICLC(30μg/kg i.m.)を投与することができる。
【0485】
注射部位に関し、poly-ICLCは排出腋窩リンパ節での抗原提示プロセスを促進すると思われているため、先のペプチド注射部位(例えば、先のペプチド注射部位の中央から3cm未満)と接近してpoly-ICLCをi.m.投与すべきである。
【0486】
Poly-ICLCは、患者の体重あたり処方される量で(最大1640μg/注射)、バイアルから供給する際には無菌操作で筋肉内(i.m.)投与すべきである。最初の処置前及び処置後少なくとも20分間はバイタルサインを監視することができる。
【0487】
7.10.6 処置プラン
本実施例に記載された研究は、新たに診断された内在性脳幹グリオーマ(BSG)、又は生検診断によるGBMのHLA-A2+子供でのGAA/TTペプチドワクチン及びpoly-ICLCの免疫原性、安全性及び予備的臨床効果を評価するための3つの階層(strata)、AA若しくは脳幹を含む神経膠肉腫(階層A);不完全に切除された非脳幹GBM、AA若しくは神経膠肉腫(階層B);再発性進行性低悪性度グリオーマ(階層C)を使用することができる。
【0488】
7.10.6.1 スケジュール
診断後(階層A及びB)又は病気進行後(階層C)、本実施例に記載された研究に従って、潜在的に適格性のある患者を議論することができる。階層A及びBの全患者は、分画外部放射線療法(fractionated external beam radiation therapy;FEBRT)を受けることができる。患者をHLA-A2状態と評価することができる。適格性スクリーニング並びにベースラインMRI及び研究室での研究は、本研究の参加登録2週間以内で最初のワクチン接種の3週間以内に完了すべきである。階層A及びBの患者は、FEBRT完了後4-12週間以内に本研究に参加するために登録すべきである。当該患者のための研究登録の時期は、RT後MRI(典型的には4週に行う)が、増加した増強又は質量効果の兆候を示し、患者が臨床上症候性/悪化であるかに依る。その場合、患者が臨床上安定/改善し、低用量(0.1mg/kg/日 最大4mgデカドロン)又はステロイドなし×1週間である場合、研究登録を行うであろう。
【0489】
3週間毎最大8サイクル、患者にGAA/TTワクチンの皮下注射を処置することができる。ワクチンと同日に、筋肉内(i.m.)poly-ICLC (30μg/kg
i.m.)を投与することができる。各ワクチンは、i.m. poly-ICLC投与の直前に投与することができる。注射部位に関し、poly-ICLCは先のペプチド注射部位(例えば、先のペプチド注射部位の中央から3cm未満)と接近してpoly-ICLCをi.m.投与すべきである。
【0490】
患者は任意の可能性のある有害事象、RLT同様、臨床来院及びMRI検査による臨床/放射線応答について評価することができる。追跡MRIは、7週から開始して9週毎に行うことができる(7、16及び25週)。
【0491】
ベースラインサンプルとして、最初のワクチン接種前に得たPBMCを使用することができる。ワクチン接種後サンプルとして、7、16及び25週にPBMCを得ることができる。少なくとも1人の参加者からある時点で得た全PBMCサンプルについて、免疫学的アッセイを行うことができるため、アッセイ間の変動を避けることができるだろう。
【0492】
7.10.6.2 追加“連続”治療
予定された8回目のワクチン接種後、患者が放射線応答(すなわち、完全又は部分的応答)あるいはRLTなく安定した症状を示す場合、8回目のワクチン接種後6週から開始して、その後6週毎に最初のワクチン接種から2年まで、腫瘍進行及びRLTがない限り、患者にpoly-ICLCと組み合わせて追加のペプチドワクチン接種を行うことができる。免疫学的監視のため、ワクチン投与のための来院時に追加のPBMCサンプルを得ることができる。追加ワクチンは、1)腫瘍進行、2)RLT又は3)患者の脱落のいずれの場合、終了することができる。
【0493】
7.10.6.3 用量変更
7.10.6.3.1 poly-ICLCのための用量変更
アセトアミノフェン又は任意のNSAIDによる前処置を各poly-ICLC投与前に行うべきである。注射後、48時間以上続くグレード2又はそれより連続する症状のため、次のpoly-ICLCは最初の投与量の67%にすべきである(すなわち、20μg/kg)。さらなる投与が中断される場合、最初の投与量を結果的に再開することができる。ある投与量を減らしてもグレード2又はそれより大きな症状が再度起き、>48時間続く場合、該患者はRLTにより脱落し得る。
【0494】
肝酵素評価>5xベースライン(グレード3)又は≧7日続くいずれの耐え難いグレード2非血液学的毒性は、毒性がグレード1又はそれ以下に減少するまでpoly-ICLCを保留することができる。それから最初の投与量の2/3(すなわち、20μg/kg)でPoly-ICLCを再投与し、患者を綿密に観察することができる。投与量を減らしても同一の用量限定毒性が再度起きる場合、参加者はRLTにより脱落し得る。
【0495】
グレード3又はそれ以上の血液学的毒性のために、次の投与が与えられる時までに毒性がグレード1又はそれ以下に解決されない限り、次の投与量を67%(すなわち、20μg/kg)まで減少するべきである。次の投与が与えられる時までに毒性が解決されない場合、患者に処置をしない。投与量を減少するにもかかわらず、同一の用量制限血液学的毒性が再度起きる場合、患者はRLTにより処置をあきらめるかもしれない。
【0496】
7.10.6.3.2 ペプチドワクチンのための遅延投薬
poly-ICLC投与が一時停止される状況下において、該事象がペプチド/ISA-51 ワクチンに起因しない場合、予定通りにワクチン投与を続けるべきである。併発疾患又は研究室で他の毒性の原因を評価する必要がある場合等、有害事象の評価が限定される状況下において、6週間までワクチンスケジュールを中断することができる。偽腫瘍進行以外の有害事象が原因でワクチン投与が6週間以上遅延する場合、原因にかかわらず
、処置を中断すべきである。
【0497】
研究の間中、レジメン規定毒性(RLT)に則って患者を観察することができる。多分、おそらく、あるいは間違いなく処置に関連すると判断される場合、以下はRLTと考えられる。それらが起きれば、患者個人を研究から外し、さらなる注射を投与することはできない。
【0498】
≧グレード2又はそれ以上気管支けいれん又は全身性蕁麻疹(過敏症)
【0499】
≧グレード2又はそれ以上 剥脱性紅皮症、アナフィラキシー又は血管虚脱等のアレルギー反応
【0500】
≧グレード3 ペプチドワクチン又はpoly-ICLC投与による注射部位反応を含む、多分、おそらく、あるいは間違いなく治療レジメンに関連する、任意の≧グレード3
非血液学的毒性(肝毒性を除く)
【0501】
≧グレード3 33%投与量減少したにもかかわらず再発する又は次の期日(due)までにグレード1若しくはそれ以下にまでに解決しない血液学的又は肝毒性
【0502】
33%投与量減少したにもかかわらず>7日続く又は次の期日(due)までにグレード1若しくはそれ以下にまでに解決しない、耐え難いグレード2非血液学的毒性
【0503】
グレード2又はそれより大きな投与量の減少にもかかわらず>48時間続く全身症状
【0504】
≧グレード3 レジメン関連炎症性免疫応答(すなわち、0.3mg/kg/日デカドロン(最大12mg/日)の7日試験に反応しない偽腫瘍進行、及び/又は可能であれば減量手術を必要とする)による神経毒性
【0505】
≧グレード3 十分な制吐剤予防にもかかわらず吐き気や嘔吐
【0506】
遅延投薬>6週間 PTP以外の毒性によるpoly-ICLCかペプチドワクチンのための
【0507】
治療は以下の理由で中断することができる(i)上記で定義したPTP以外のレジメン限定的毒性;(ii)病気の進行-MRIスキャンでの最大腫瘍直径及びその垂直直径の産物の少なくとも25%増加(iii)さらなるワクチン投与又はpoly-ICLC投与を妨げる6週間以上の併発疾患(iv)妊娠:妊娠した患者は、妊娠期間中追跡し続けられるだろう。
【0508】
7.10.6.4 処置期間
有害事象による処置の遅延がない場合、セクション7.10.6.3.2のOff-処置の1つが起きるまでは、25週間処置を続けることができる(8回ワクチン接種及びそれに続く25週に来院)。
【0509】
7.10.6.5 同時処置
7.10.6.5.1 許容
患者は、各poly-ICLC投与30-60分前に、アセトアミノフェン用量(15mg/kg最大1000mgまで)を受けるべきである。注射後の熱のため、アセトアミノフェン(15mg/kg最大1000mgまで各4-6時間、必要に応じて、4g/日を超えず)を投与することができる。48時間以上続く熱の患者は感染の可能性が有ると
評価すべきである。
【0510】
軽度の局所的な痛みのために、経口アヘン(タイレノール及びコデイ0.5mg/kg
経口、4時間毎)を使用することができる。
軽度-中等度以上のグレードの痛みは、非治療関連原因のために調査され、それに応じて管理されるであろう。
【0511】
デキサメタゾン-わずか0.1mg/kg/日、最大4mg/日を少なくとも1週間ワクチン/poly-ICLC治療開始前に(0週)。デキサメタゾン投与量は偽腫瘍進行の状態で増加し、できる限り早く減量/中断することができる。
【0512】
示されたとおりに抗けいれん薬を使用すべきである。
【0513】
必要に応じて、制吐薬を投与することができる。
【0514】
他の許容可能な薬は、ステロイド外用薬;非ステロイド抗炎症剤;抗ヒスタミン(例えば、Claritin(登録商標), Allegra(登録商標));セクション7.10.6.5.2に記載されているものを除く慢性薬;及び/又はインフルエンザワクチン(少なくとも2週間研究ワクチン接種の開始前又は少なくとも8回目のワクチン接種後2週間にこれらを投与すべきである)が挙げられる。
【0515】
7.10.6.5.2 許容不能
許容不能な治療は、インターフェロン治療(例えば、Intron-A(登録商標));化学療法;アレルギー脱感作注射;経口又は吸入投与されるコルチコステロイド薬(例えば、Advair(登録商標)、Flovent(登録商標)、Azmacort(登録商標));成長因子(例えば、Procrit(登録商標)、Aranesp(登録商標)、Neulasta(登録商標));インターロイキン(例えば、Proleukin(登録商標));他の治験薬及び/又は違法薬物が挙げられる。
【0516】
7.10.7 相関/特別研究
7.10.7.1 免疫学的監視
7.10.7.1.1 ELISPOTアッセイ
GAAワクチン投与前後の末梢血単核細胞(PBMC)中のグリオーマ関連抗原(GAA)応答性Tリンパ球前駆体の頻度をELISPOTアッセイで測定することができる。ELISPOTで測定された生物学的応答は、アッセイ間の変動を避けるために、1個人の少なくとも同一の時点で行うことができる。ワクチン接種の成功は、抗原特異的、MHC拘束的様式でサイトカインを分泌することができるT細胞のクローン集団を刺激する。ELISPOTアッセイは、CD8+T細胞集団のGAA特異的免疫応答同様、ヘルパーTTペプチドに対し反応するCD4+T細胞を評価するために使用することができる。IFN-γ産生は1型T細胞応答を算定することで評価することができる。
【0517】
同一抗原に対する2つの連続するワクチン接種後の時点の任意の時点で(12、15、18、21及び24週)、スポットの数がベースラインで2倍、少なくとも10スポット/20,000細胞存在する場合、ワクチン接種後のスポットの数が、ワクチン接種前の値の少なくとも3倍の標準偏差の場合、対象は反応したと考えられる。応答は抗原のどれか1つでもあり得る。
【0518】
7.10.7.1.2 患者のPBMC中のGAA応答性T細胞のテトラマー解析
テトラマー解析は、末梢血中のGAA特異的CD8+T細胞存在の評価を、高感度で、該細胞のin vitro再刺激なしに可能にする。悪性グリオーマの患者から利用可能
な以前のデータに基づいて、腫瘍抗原ワクチンで免疫された患者の何人か、全員ではない、で観察され得るペプチド応答性CD8+T細胞の頻度の顕著(対数又はそれ以上)な増加を予測する。予備的な方法では、該PBMCでCNS腫瘍及びケモカイン受容体(例えば、CXCR3 and CCR5)へのT細胞ホーミング(例えば、Zhu et al., J.Transl.Med., 5: 10, 2007参照)を行うとされているインテグリン受容体最晩期抗原(VLA)4の表面発現を評価することもできる。テトラマー分析のための手順は、十分に確立されている。
【0519】
テトラマーアッセイは、ベースライン時とワクチン接種後の5つの時点(12、15、18、21及び24週)で行うことができる。テトラマーアッセイによる全CD8+細胞陽性の(1+B)%となるペプチドの1時点の陽性反応を定義することができ、Bはベースラインでのパーセント陽性であり、それは通常0.1%未満と考えられる。ELISPOT反応の定義に類似し、彼/彼女が任意のペプチドに対して2つの連続する1時点応答を示した場合、患者は応答したと考えられる。
【0520】
7.10.7.1.1 リンパ球集団のフローサイトメトリー分析
ワクチン前後の連続時点で、CD4+及びCD8+T細胞の数と同様に、CD4+/Foxp3+T制御細胞の数を評価することができる。
【0521】
7.10.7.2 原発性及び再発性腫瘍組織の評価
患者の使用可能な腫瘍組織でのGAA発現は、免疫組織化学(IHC)及び逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)で評価できる(ワクチン接種前又はワクチン接種後のそれぞれ、又は両者)。
【0522】
ワクチン接種後に腫瘍が再発する場合、どのように腫瘍がワクチンの効果を免れたのかを評価することは重要であり得る。この目的を達成するために、組織利用性を認めるのと同様、以下の特定の事項を評価することができる。(i)抗原損失:IHC及びRT-PCRを用いて、再発した腫瘍が標的GAA、HLA-A2及び抗原プロセッシングに関与するトランスポーター等の抗原プロセッシング機械部品を発現しているか否かを評価することができる、(ii)抗アポトーシスアップレギュレーション分子:Survivinは標的かされるかもしれないが、他の抗アポトーシス分子はアップレギュレートされるかもしれない、例えば、cFLIP(細胞内FLICE(Fas関連デスドメイン様IL-1β変換酵素)阻害タンパク質);及び(iii)免疫細胞浸潤:腫瘍がワクチン誘導免疫応答を免れるかもしれない1つの理由は、該腫瘍を浸潤する反応性T細胞の失敗である。これを検討するために、新鮮な切除された腫瘍組織(固定又は凍結されない)が利用できる時は、腫瘍浸潤リンパ球(TILs)を単離し、各GAAのためのHLA-A2テトラマーを用いて、それらの数、表現型、抗原特異性の特徴づけを行うことができる。マルチカラーフローサイトメトリーを用いて、テトラマー+TILの機能、生存をパーフォリン/IFN-γ及びアネキシンVそれぞれの染色で決定することができる。コントロール組織は、本研究ではない患者からのワクチン前腫瘍(可能であれば)及び再発腫瘍を含むことができる。当該研究は、ワクチン誘導T細胞が脳腫瘍部位に効率的にトラフィックし得るか並びにその機能及び生存を維持し得るかを評価することができる。
【0523】
7.10.8 研究パラメータ
本研究は、最大8個のワクチン接種のために3週間毎に評価されるように、スケジュールされた患者と、外来患者として行うことができる。患者が継続段階の一環として、6週間毎に投与され、追加のワクチンを受けた場合、臨床的、免疫学的及び放射線学(MRI)のモニタリングが、治療を終了させるための基準の一つになるまで、全ての来院(Q6Wk)で行い得る。ワクチン接種は、スケジュール中の任意の時点で、進行性疾患又は許容できない毒性を持ついかなる患者のために停止することがある。
【0524】
7.10.8.1 前処置(スクリーニング及びベースラインデータ)
以下の手順は治療を続行する前に実施することがある:インフォームドコンセントはスクリーニングの開始前に取得する必要がある;HLAタイピング(HLA-A2陽性のフローサイトメーター評価);及び診断の文章化(非脳幹原発(すなわち、階層 B);の組織学的;病理学的又は脳幹原発の画像化);神経学的検査及びパフォーマンスステータスを含む完全な病歴と身体診察(バイタルサイン及び体重と共に)同時投薬人口統計情報は記録すべきである;差があるCBC及び血小板は評価すべきである;PT/PTTは評価すべきである;電解質、クレアチニン、血中尿素窒素、糖、AST、ALT、ALKリン、総ビリルビン、LDH、カルシウム及びアルブミンを含む、包括的な代謝パネルは評価すべきである;GGT、リン、マグネシウムは評価すべきである;in vitroアッセイのために採血すべきである;尿検査を実施すべきである;脳のMRIを行うべきである;及び/又は女性の出産の可能性は血清β-HCGの妊娠検査を行うべきである。
【0525】
7.10.8.2 処置中の評価
以下の手順が、治療の進行に伴って実施され得る;投与前:バイタルサイン、体重、パフォーマンスステータス、併用投薬及び神経機能を含む、病歴と身体;in vitroアッセイのために採血すべきである;電解質、クレアチニン、血中尿素窒素、糖、AST、ALT、ALKリン、総ビリルビン、LDH、カルシウム及びアルブミンを含む化学物質が評価すべきである;患者は、神経学的評価及び皮膚検査(注射部位)を含めるように、以前の用量から有害事象をスクリーニングすべきである;及び/又はMRIをすべきである(第6週から初めて9週間毎、すなわち、6、15、24週)。
【0526】
ワクチン投与後、各GAAペプチドワクチン投与後少なくとも20分間は、有害事象について全患者を綿密に観察すべきである。同日に、各ワクチン接種後、poly-ICLC(i.m.30mg/kg)を投与することができ、poly-ICLC注射後、少なくとも20分間は患者をモニタリングすることができる。
【0527】
7.10.8.3 24週(8回ワクチン接種後)評価
ワクチンサイクルが完了した後、以下の手順を実施することができる;病歴、バイタルサイン、体重、全身状態、併用投薬及び神経機能を含む身体;in vitroアッセイのために採血すべきである;差があるCBC及び血小板は評価すべきである;電解質、クレアチニン、血中尿素窒素、糖、AST、ALT、ALKリン、総ビリルビン、LDH、カルシウム及びアルブミンを含む化学物質が評価すべきである(0週を除く);及び/又は、神経学的評価及び皮膚検査(注射部位)を含む、以前の用量から患者は有害事象をスクリーニングされるべきである。
【0528】
7.10.8.4 追加“連続”ワクチン接種での評価
追加ワクチンを投与する前に、以下の手順が実施される得る;病歴、バイタルサイン、体重、全身状態、併用投薬及び神経機能を含む身体;in vitroアッセイのために採血すべきである;差があるCBC及び血小板は評価すべきである;電解質、クレアチニン、血中尿素窒素、糖、AST、ALT、ALKリン、総ビリルビン、LDH、カルシウム及びアルブミンを含む化学物質が評価すべきである(0週を除く);神経学的評価及び皮膚検査(注射部位)を含む以前の用量から、患者は有害事象をスクリーニングされるべきである;及び/又はMRIを行うべきである。
【0529】
追加ワクチンで投与した後、全患者は、各ワクチン接種後少なくとも20分間は、有害事象について綿密に観察すべきである。追加ワクチンは、以下の条件のいずれかで終了し得る:1)腫瘍進行;2)RLT;又は3)追加ワクチン接種開始後、連続した2つの時点で免疫応答陰性。
【0530】
【0531】
7.10.9 効果の測定
7.10.9.1 目的
7.10.9.1.1 免疫原性
ワクチン接種後PBMCのGAAペプチドに対するCD8+T細胞応答の応答率及び大きさは、IFN-γ ELISPOT及び2次アッセイとしてフローサイトメトリーによるテトラマー分析を用いて評価することができる。
【0532】
ELISPOTアッセイは、サイトカイン-発現として抗原特異的T細胞の機能的な状態を示す。テトラマーを用いるフローサイトメトリー分析は、主な患者由来のPBMCのインビトロ操作や抗原特異的T細胞上のホーミング受容体(integrins)発現等の表現型解析なしに、抗原結合T細胞の頻度比較的正確な推定を可能にする。
【0533】
末梢血中の応答を測定する生物学的アッセイは、アッセイ間の変動を避けるために、同一の時点で行うことができる。
【0534】
フローサイトメトリーを用いて、CD4+T細胞、CD4+/Foxp3+制御T細胞等のリンパ球分画の数も評価することができる。加えて、進行腫瘍の減量手術を受ける患者は、腫瘍組織が入手できれば、抗原特異的CTLの浸潤が、フローサイトメトリーで、エピトープ特異的MHVテトラマーと共に腫瘍浸潤リンパ球を評価することができる。
【0535】
7.10.9.1.2 安全性
クラスII MHC拘束性破傷風トキソイド(TT)由来のヘルパーT細胞及びi.m. poly-ICLCと組み合わせた4つのHLA-A2拘束性グリオーマ関連抗原(GAA)エピトープ-ペプチドの安全な投与は、脳幹及び非脳幹悪性グリオーマと新たに診断された患者で、直ちに次の照射(それぞれ階層 A及びB)と治療難治性、切除不能、低悪性度グリオーマ(階層C)を決定することができる。
【0536】
エンドポイントは、ワクチン接種後の患者群で通常実施されるように、綿密な臨床経過観察と標準的基準を用いて、有害事象の発生率及び重症度を含むことができる。レジメンは、所定のコホート内の患者のうち、>33%でRLTが進む場合、受け入れ難いほど毒性であると考えられる。
【0537】
7.10.9.1.3 応答及び無増悪生存期間
応答及び無増悪生存期間の評価のために、ガドリニウム(Gd)-強化T1 MRI画像又はT2強調画像からの非強化コンポーネントの腫瘍から腫瘍(すなわち、標的病変)を測定することができる。
(A)応答(RECIST基準による)
【0538】
完全寛解(CR):安定な又は改善する神経学的検査を伴い、少なくとも6週間維持された、コルチコステロイド(又は副腎交換の用量のみ)の安定又は減少する用量で、全ての目に見える腫瘍と腫瘤効果のMRI上の完全な消失。
【0539】
部分寛解(PR):安定な又は改善する神経学的検査を伴い、少なくとも6週間維持された、コルチコステロイド(又は副腎交換の用量のみ)の安定又は減少する用量で、腫瘍の大きさの50%以上又は同等の減少。
【0540】
進行(PD):神経学的異常や神経学的状態を悪化させ、腫瘍の進行とは無関係の原因では説明できない(例えば、抗けいれん薬、コルチコステロイド毒、電解質異常、敗血症、高血糖、等)、又は二次元測定の25%以上の増加、又は安定した神経学的状態又はイメージングを維持するために必要なコルチコステロイドの増量。
【0541】
不変(SD):神経学的検査は、少なくとも安定しており、メンテナンスコルチコステロイドは増加していない、そして、MR画像は、PRの基準及び進行性疾患の基準も満たさない。該カテゴリに可能な臨床的有益(possible clinical benefit)として報告される場合、安定的疾患の状態は、少なくとも12週間維持されなければならない。
【0542】
偽-進行性疾患(Pseudo-PD):研究上残り、最終的に、SD、PR又はCRを経験する偽-進行の患者は、応答測定のために、それぞれ、両方偽PD及びSD、PR又はCRのどちらか、として分類することができる。
【0543】
(B)全生存期間(OS)及び無増悪生存期間(PFS)
PFSは、治療開始から増悪又は死亡の時までの期間として定義される。全患者は、OS及びPFSを決定するために従う。
【0544】
7.10.9.1.4 ワクチン接種後の腫瘍組織解析
本研究において、全患者から腫瘍組織が得られるわけではない。しかしながら、ワクチン接種前及び/又はワクチン接種後に得られた全ての腫瘍組織において、以下の(i)抗原損失、(ii)抗アポトーシス分子のアップレギュレーション、(iii)免疫細胞浸潤を予備的な方法で評価することができる。
【0545】
7.10.10 統計的考察
7.10.10.1 免疫学的応答の評価
免疫応答の評価は、IFN-γ ELISPOT及びテトラマーアッセイを用うことができる。
【0546】
応答者はIFN-γ ELISPOT又はテトラマーアッセイのいずれかで対応してきた患者と定義することができる。9対象中少なくとも5応答があれば、層(階層)はさらなる調査に値するとみなすことができる。その真の応答率が<18%の場合、5又はそれ以上の応答を観察するための可能性が<5%あり、真の応答率が>68%である場合、4又はほとんどない応答を観察する可能性は<5%であるというプロパティを当該基準は有する。
【0547】
7.10.10.2 安全性の実証及び評価
毒性を評価するためにNCI有害事象共通用語基準(AE)(CTCAE 3.0)を使用することができる。毒性は、治療に、多分、おそらく、あるいは間違いなく関連した有害事象と考えることができる。目的のカテゴリ毎の毒性の最大評点を、各患者のために記録し、集計結果は、カテゴリや悪性度により集計することができる。
【0548】
安全のため、レジメンは、レジメン規定毒性(RLT)≧33%及び少なくとも2RLTが観察された場合はいつでも過度に毒性であると考えることができる。
【0549】
本研究設計は、以下のプロパティ:当該患者群の真のRLT比が≧42%であれば、発生がとまるであろうという可能性が少なくとも90%あり;真のRLT比が≦8.7%であれば、発生がとまらないであろうという可能性が少なくとも90%あり、レジメンは、安全であると考えられる。
【0550】
7.10.10.3 臨床的エンドポイントの評価
臨床応答は実証されており、反応率とその95%信頼限界は計算することができる。全患者が、全生存期間(OS)及び無増悪生存期間(PFS)の評価に従い得る。PFSは、死又は進行と診断された患者の時間間隔として、階層A及びB用に定義され、連続MRI撮影画像に基づく、死又は進行に登録された研究時間から階層Cを定義している。適切な場合には、予備的解析では、臨床応答及びOS/PFSに対する免疫応答の関係を調査することができる(フィッシャーの正確確率検定及びログランク検定各々を使用して)。
【0551】
7.10.10.4 人口統計データ
評価可能な全患者のベースライン記述統計学は、人口統計学的変数(年齢、性別、人種/民族)、Karnofsky又はLanskyパフォーマンスステータス、登録時の病期とステータス(不変、進行)及び/又は以前使用された治療レジメン(階層Cのため)で規定することができる。
【0552】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願は、個々の刊行物又は特許出願が具体的であるように本明細書中で参考として援用し、個別に参照により援用される。上述の発明は、理解を明確にする目的のために例示及び実施例によってある程度詳細に説明してきたが、当業者は、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明の記載に照らして容易に明らかであり得る特定の変更及び修飾を行うことができる。
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【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-10-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるグリオーマの治療のための医薬組成物であって、該医薬組成物は、無細胞であり、アジュバント、1又は複数のヘルパーT細胞エピトープ、IL-13Rα2ペプチド、EphA2ペプチド及びsurvivinペプチドを含み、該IL-13Rα2ペプチドが配列番号:1~4のいずれか1つを含み、該EphA2ペプチドが配列番号:6を含み、前記グリオーマは前記対象において以前に治療がなされていない、医薬組成物。
【請求項2】
アジュバントが、モンタニド(Montanide)ISA-51である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
IL-13Rα2ペプチド、EphA2ペプチド、survivinペプチド、及びWT1ペプチドを含む無細胞医薬組成物が、アジュバントと1対1の割合で混合されている、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
医薬組成物が皮下投与用に製剤化されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
survivinペプチドが配列番号:7を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
グリオーマがWHOグレードII低悪性度グリオーマである、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
グリオーマが再発性グリオーマ又は再発性膠芽細胞腫である、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
対象におけるグリオーマを治療するための併用医薬であって、
(i)無細胞であり、アジュバント、1又は複数のヘルパーT細胞エピトープ、IL-13Rα2ペプチド、EphA2ペプチド及びsurvivinペプチドを含み、該IL-13Rα2ペプチドが配列番号:1~4のいずれか1つを含み、該EphA2ペプチドが配列番号:6を含む、第1の医薬組成物と、
(ii)免疫応答調整物質を含む第2の医薬組成物とを含み、
前記グリオーマは前記対象において以前に治療がなされていない、
併用医薬。
【請求項9】
アジュバントが、モンタニド(Montanide)ISA-51である、請求項8に記載の併用医薬。
【請求項10】
IL-13Rα2ペプチド、EphA2ペプチド及びsurvivinペプチドを含む無細胞医薬組成物が、アジュバントと1対1の割合で混合されている、請求項8又は9に記載の併用医薬。
【請求項11】
免疫応答調整物質が、poly-ICLCである、請求項8~10のいずれか1項に記載の併用医薬。
【請求項12】
1400~1800μgの免疫応答調整物質を含む、請求項8~11のいずれか1項に記載の併用医薬。
【請求項13】
10回以上の投与用に製剤化されており、少なくとも3日あけて投与される、請求項8~12のいずれか1項に記載の併用医薬。
【請求項14】
第1の医薬組成物が皮下投与用に製剤化されており、第2の医薬組成物が筋肉内投与用に製剤化されている、請求項8~13のいずれか1項に記載の併用医薬。
【請求項15】
さらにベバシズマブを含む、請求項8~14のいずれか1項に記載の併用医薬。
【請求項16】
survivinペプチドが配列番号:7を含む、請求項8~15のいずれか1項に記載の併用医薬。
【請求項17】
グリオーマがWHOグレードII低悪性度グリオーマである、請求項8~16のいずれか1項に記載の併用医薬。
【請求項18】
グリオーマが再発性グリオーマ又は再発性膠芽細胞腫である、請求項8~16のいずれか1項に記載の併用医薬。