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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175780
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】活性医薬成分の自己制御放出
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/32 20060101AFI20231205BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231205BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20231205BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20231205BHJP
   A61K 31/5517 20060101ALI20231205BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
A61K47/32
A61K45/00
A61P25/00
A61P25/04
A61K31/5517
A61K47/02
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023147613
(22)【出願日】2023-09-12
(62)【分割の表示】P 2021180104の分割
【原出願日】2013-11-27
(31)【優先権主張番号】61/731,901
(32)【優先日】2012-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515143393
【氏名又は名称】アキュラ・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】ブジェチェコ,アルバート・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ホーレンベック,ゲイリー・アール
(57)【要約】      (修正有)
【課題】医薬品の乱用を抑止し、身体的もしくは生理学的依存性を起こす可能性を最小限に抑えるか、または低減する方法および組成物を提供する。
【解決手段】a.医薬活性成分、b.ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートをベースとするカチオン性コポリマーを含む、酸可溶性成分、およびc.緩衝成分を含み、前記緩衝成分は、前記組成物が治療効果を提供するのに適する用量を超えて摂取された場合に、前記医薬活性成分のピーク血漿濃度(Cmax)を抑制するのに充分な量で存在し、前記医薬活性成分は、精神活性薬または鎮痛剤である、乱用抑止性医薬組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.医薬活性成分、
b.ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートをベースとするカチオン性コポリマーを含む、酸可溶性成分、および
c.緩衝成分、
を含む乱用抑止性医薬組成物であって、
ここで、前記緩衝成分は、前記組成物が治療効果を提供するのに適する用量を超えて摂取された場合に、前記医薬活性成分のピーク血漿濃度(Cmax)を抑制するのに充分な量で存在し、前記医薬活性成分は、精神活性薬または鎮痛剤である、
乱用抑止性医薬組成物。
【請求項2】
前記緩衝成分は、前記組成物が治療効果を提供するのに適する用量を超えて摂取された場合に、前記医薬活性成分の放出を抑制するのに充分な量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記緩衝成分は、前記組成物が治療効果を提供するのに適する用量を超えて摂取された場合に、前記医薬活性成分のピーク血漿濃度(Cmax)に達するまで時間(Tmax)を増加するのに充分な量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記緩衝成分は、前記組成物が治療効果を提供するのに適する用量を超えて摂取された場合に、4よりも大きいように胃のpHを上昇させるのに充分な量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が治療効果を提供するのに適する用量を超えて摂取された場合に、等量の医薬活性成分を含み緩衝成分を含まない組成物が摂取された場合に比較して、前記医薬活性成分の放出が抑制される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が治療効果を提供するのに適する用量を超えて摂取された場合に、治療効果を提供するのに適する医薬活性成分の用量の該組成物の摂取に比較して、前記医薬活性成分の放出が抑制される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
a.医薬活性成分、
b.ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートをベースとするカチオン性コポリマーを含む、酸可溶性成分、および
c.緩衝成分、
を含む乱用抑止性医薬組成物であって、
ここで、前記緩衝成分は、前記組成物が治療効果を提供するのに適する用量を超えて摂取された場合に、前記医薬活性成分の放出を抑制するのに充分な量で存在し、前記医薬活性成分は、精神活性薬または鎮痛剤である、
乱用抑止性医薬組成物。
【請求項8】
前記緩衝成分は、前記組成物が治療効果を提供するのに適する用量を超えて摂取された場合に、前記医薬活性成分のピーク血漿濃度(Cmax)を抑制するのに充分な量で存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記緩衝成分は、前記組成物が治療効果を提供するのに適する用量を超えて摂取された場合に、前記医薬活性成分のピーク血漿濃度(Cmax)に達するまで時間(Tmax)を増加するのに充分な量で存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記緩衝成分は、前記組成物が治療効果を提供するのに適する用量を超えて摂取された場合に、4よりも大きいように胃のpHを上昇させるのに充分な量で存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が治療効果を提供するのに適する用量を超えて摂取された場合に、等量の医薬活性成分を含み緩衝成分を含まない組成物が摂取された場合に比較して、前記医薬活性成分の放出が抑制される、請求項7に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が治療効果を提供するのに適する用量を超えて摂取された場合に、治療効果を提供するのに適する医薬活性成分の用量の該組成物の摂取に比較して、前記医薬活性成分の放出が抑制される、請求項7に記載の組成物。
【請求項13】
a.医薬活性成分、
b.ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートをベースとするカチオン性コポリマーを含む、酸可溶性成分、および
c.緩衝成分、
を含む乱用抑止性医薬組成物であって、
ここで、前記緩衝成分は、約4より低いpHでは前記医薬活性成分の放出を実質的に抑制しないが、約4より高いpHでは前記医薬活性成分の放出を抑制するのに充分な量で存在すし、前記医薬活性成分は、精神活性薬または鎮痛剤である、
乱用抑止性医薬組成物。
【請求項14】
治療用量を超える量で前記医薬活性成分を含む組成物のある量が4より高いpHにさらされた場合に、前記医薬活性成分の放出が抑制される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
治療用量またはそれより低い量で前記医薬活性成分を含む組成物のある量が4より高いpHにさらされた場合に、前記医薬活性成分の放出が実質的に抑制されない、請求項13に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連先願の相互参照
本出願は、その全内容が参照により本明細書に援用される、2012年11月30日に出願され、発明の名称が「活性医薬成分の自己制御放出のための方法および組成物」である米国特許仮出願第61/731,901号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
オピウムまたはモルフィン様の特性を示す薬物のクラスは、オピオイドまたはオピオイドアゴニストと称される。アゴニストとして、特定の薬物は、脳、ならびにその他の身体組織および器官における立体特異的および飽和可能結合部位と相互作用を起こすことを特徴とする。内在性オピオイド様ペプチドは、疼痛の知覚;動作、気分、および行動;ならびに神経内分泌学的機能の調節に関連していると推定される中枢神経系の領域中に存在する。ミュー(μ)、デルタ(δ)、およびカッパ(κ)の3つの古典的なオピオイド受容体タイプが、広く研究されてきた。これら3つの受容体の各々は、脳、脊髄、および末梢中に独特な解剖学的分布を見せる。臨床的に利用されるオピオイドのほとんどは、そのモルフィンに対する類似性を反映して、μ受容体に対して比較的選択的である。しかし、標準的な治療用量において特定の受容体サブタイプに対して比較的選択的であるオピオイド含有薬物は、充分に高い用量で与えられた場合、複数の受容体サブタイプと相互作用を起こすことが多く、それは、その薬理学的効果が変化する可能性をもたらす。これは、オピオイド用量が次第に増加して耐性を超える場合に、特に当てはまる。
【0003】
オピオイドの反復使用による耐性、身体的および/または生理学的依存性(すなわち、常習性)の発達の可能性は、オピオイド鎮痛剤を含有するほとんどの薬物に特有の特徴である。習慣性発達の可能性は、疼痛管理のためのオピオイドの使用における主たる懸念事項の1つである。オピオイドの使用に付随する別の主要な懸念事項は、これらの薬物が、正当に疼痛を有する患者から、娯楽目的のための他の個人(非患者)へ転用されることである。
【0004】
薬物乱用者および/または常習者は、典型的には、1つ以上のオピオイド鎮痛剤を含有する経口投与を意図する固体剤形を入手し、そのような薬物に対する典型的な治療用量を超える量での1)注射、2)吸入、および/または3)経口摂取により、活性薬物の大部分またはさらには全量が投与可能となるように、単位剤形の粉砕、せん断、摩砕、咀嚼、溶解および/または加熱、抽出、もしくはそれ以外での不正な加工、または破壊を行い得る。
【0005】
オピオイド乱用に繋がる3つの基本的行動パターンが存在する。第一は、正当な医学的治療の状況でオピオイド薬物の使用を開始し、適正な認可を受けた医療提供者からの処方によって最初の薬物提供を受けた個人が関与する。狡猾なやり方により、このような個人は、最終的には、複数の医療提供者および/または薬局および/または他の合法的な薬物流通チャネルからの流用である不法な入手源から、自身の正当な医学的必要性をはるかに超える薬物供給の処方を求め始める場合がある。乱用の第二のパターンは、乱用を起こしやすい薬物に対する正当な医学的適応症を持たず、「恍惚状態」を求める実験的または「娯楽的」薬物使用者から始まる。乱用の第三のパターンは、上述の方法のいずれかで使用を開始し、最終的には、組織化された正当な常習治療プログラムから入手した経口投与薬物に切り替えるユーザーが関与する。
【0006】
乱用者がオピオイド含有薬物製剤の乱用に一般的に利用し得る投与経路には、様々なも
のが存在する。最も一般的な方法としては、1)非経口(例:静脈注射)、2)鼻腔内(例:鼻からの吸引)、および3)錠剤またはカプセルの経口投与を例とする、過剰量の反復的な経口摂取が挙げられる。経口用固体薬物の乱用の1つのモードは、剤形を適切な溶媒(例:水)とまず混合し、次に、続いて「恍惚状態」を得るためのオピオイドの静脈注射に適する溶液として使用するためにオピオイド成分を混合物から抽出することによる剤形からのオピオイド成分の抽出を含む。
【0007】
経口投与される薬物の乱用の可能性を減少させる試みが行われてきた。このような試みは、経口では不活性であるが、薬物を溶解してそれを非経口投与しようとした場合に薬物の効果を実質的にブロックするアンタゴニストを経口剤形に含めることに、一般的には焦点が当てられてきた。
【発明の概要】
【0008】
あらゆる試みにも関わらず、医薬品の誤用および乱用は増加を続けている。乱用され易い薬物に対する即時放出性、徐放または持続放出性、および遅延放出性製剤が挙げられるがこれらに限定されない医薬品(例:経口投与医薬品)の乱用を抑止するための新規で効果的な方法および組成物が、明らかにますます求められ続けている。特に、乱用を抑止し、身体的もしくは生理学的依存性を起こす可能性を最小限に抑えるか、または低減する方法および組成物があれば、薬物療法を求める患者のためのオピオイド鎮痛剤に有用であろう。
【0009】
本発明のある実施形態によると、乱用抑止性医薬組成物は、医薬活性成分;酸可溶性成分;および緩衝成分を含む。ある実施形態では、酸可溶性成分および緩衝成分は、組成物が意図される用量を超えて摂取された場合に、医薬活性成分の放出を抑制する。
【0010】
ある実施形態では、医薬活性成分は、乱用され易い薬物である。ある実施形態では、医薬活性成分は、狭い治療指数を有する薬物である。
ある実施形態では、酸可溶性成分としては、炭酸カルシウム、カチオン性コポリマー、またはこれらの組み合わせが挙げられ得る。特定の実施形態では、酸可溶性成分としては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、およびメチルメタクリレートをベースとするカチオン性コポリマーが挙げられる。酸可溶性成分は、医薬組成物の約1重量%から約40重量%の量で存在してよい。
【0011】
ある実施形態では、医薬活性成分は、酸可溶性成分のマトリックス中に収容される。
特定の実施形態では、緩衝成分としては、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、三塩基性リン酸ナトリウム、またはこれらの組み合わせが挙げられ得る。緩衝成分は、約45重量%から約95重量%の量で存在してよい。
【0012】
本発明は、本発明の特定の特性を説明する以下の図面を調べることによって、より詳細に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、溶解媒体のpHに対する炭酸カルシウムの影響を経時で示す図である。
図2図2は、炭酸カルシウム顆粒からの活性成分の放出に対する溶解媒体の影響を示す図である。
図3図3は、カチオン性コポリマー顆粒からの活性成分の放出を示す図である。
図4図4は、複数の錠剤が添加された場合の溶解媒体のpHの変動を示す図である。
図5図5は、単一および複数錠剤投与からの生体外での活性成分放出の比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面に関して、図面全体を通して同一である特徴は、同一の符号で示される。
ある実施形態では、本発明の製剤は、薬物製品の意図的な、または意図的ではない過剰摂取によって引き起こされる影響をブロックまたは防止するように設計される。正常な投与条件下では、本発明の製剤は、所望される薬物用量の完全な、および/または生物学的に同等である経口送達を可能とすることができる。しかし、意図的に、または意図的ではなく、過剰な用量が摂取された場合、本発明の製剤は、過剰用量の放出およびそれに続く吸収を遅延またはブロックするように作用することができる。従って、薬物乱用者が陶酔効果を経験するために乱用薬物の過剰用量を摂取するという意図的な過剰摂取の場合、その効果は、過剰の乱用薬物が自由に放出される用量と比較して、本発明の製剤では、大きく低減されることになる。このようにして、本発明の製剤は、陶酔効果を得る目的での本発明の製剤の乱用の抑制剤として作用することができる。しかし、本発明を指示通りに使用する患者は、所望される治療的治療を受けることになる。
【0015】
一般的に、および本明細書にてより詳細に述べるように、本発明の医薬製剤は、活性医薬成分の放出および/または吸収を制御する1つ以上の成分を用いて設計することができる。ある実施形態では、医薬製剤は、pHを改変する特徴および/またはpH依存的溶解性の特徴を持つように設計することができる。pHを改変する特徴は、医薬組成物が適切な用量で、または過剰量で服用されたかに基づいて、胃環境のpHを改変することにより、活性成分の放出および/または吸収に影響を与えることができる。pHを改変する特徴は、医薬組成物中に1つ以上の緩衝成分および/または制酸成分を含めることによって提供することができる。pH依存的溶解性の特徴は、胃環境のpHに応じて、活性医薬成分を収容または放出することにより、活性成分の放出および/または吸収に影響を与えることができる。pH依存的溶解性の特徴は、医薬組成物中に1つ以上の酸可溶性成分を含めることによって提供することができる。
【0016】
成分
活性医薬成分
いかなる薬物、治療的に許容される薬物塩、薬物誘導体、薬物類似体、薬物相同体、または多形も、本発明に用いることができる。本発明での使用に適する薬物は、その内容が参照により本明細書に援用されるPhysician's Desk Reference, 59th Editionに見出すことができる。1つの実施形態では、薬物は、経口投与される薬物である。
【0017】
特定の実施形態では、乱用され易い薬物が用いられる。一般的に乱用され易い薬物としては、精神活性薬および鎮痛剤が挙げられ、これらに限定されないが、オピオイド、オピエート、覚せい剤、精神安定剤、鎮静剤、抗不安剤、麻薬、ならびに生理学的および/または身体的依存性を引き起こし得る薬物が挙げられる。1つの実施形態では、本発明で用いられる薬物は、アンフェタミン、アンフェタミン様化合物、ベンゾジアゼピン、およびメチルフェニデート、またはこれらの組み合わせが挙げられ得る。別の実施形態では、本発明は、本明細書で述べる薬物の分割された異性体、および/またはそれらの塩のいずれをも含んでよい。
【0018】
乱用され易い可能性のある本発明で用いられる薬物は、以下の1つ以上であってよい:アルフェンタニル、アンフェタミン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、カルフェンタニル、コデイン、デゾシン、ジアセチルモルフィン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジフェノキシラート、ジプレノルフィン、エトルフィン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、β‐ヒドロキシ‐3‐メチルフェンタニル、レボ‐α‐アセチルメタドール、レボルファノール、ロフェンタニル、メペリジン、メサドン、メチルフ
ェニデート、モルフィン、ナルブフィン、ナルメフェン、オキシコドン、オキシモルフォン、ペンタゾシン、ペチジン、プロポキシフェン、レミフェンタニル、スフェンタニル、チリジン、およびトラマドール、これらの塩、誘導体、類似体、相同体、多形、ならびに前述のいずれかの薬物の混合物。
【0019】
別の実施形態では、乱用され易い可能性のある本発明で用いられる薬物としては、以下のうちの1つ以上が挙げられる:デキストロメトルファン(3‐メトキシ‐17‐メチ‐9a,13a,14a‐モルフィナンヒドロブロミド一水和物(3-Methoxy-17-methy-9a,13a,14a-morphinan hydrobromidemonohydrate))、N‐{1‐[2‐(4‐エチル‐5
‐オキソ‐2‐テトラゾリン‐1‐イル)‐エチル]‐4‐メトキシメチル‐4‐ピペリジル}プロピオンアニリド(アルフェンタニル)、5,5‐ジアリルバルビツール酸(アロバルビタール)、アリルプロジン、アルファ‐プロジン、8‐クロロ‐1‐メチル‐6‐フェニル‐4H‐[1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]‐ベンゾジアゼピン(アルプラゾラム)、2‐ジエチルアミノプロピオフェノン(アンフェプラモン)、(±)‐α‐メチルフェネチルアミン(アンフェタミン)、2‐(α‐メチルフェネチル‐アミノ)‐2‐フェニルアセトニトリル(アンフェタミニル(amphetaminil))、5‐エチル‐5‐イソペンチルバルビツール酸(アモバルビタール)、アニレリジン、アポコデイン(apocodeine)、5,5‐ジエチルバルビツール酸(バルビタール)、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、7‐ブロモ‐5‐(2‐ピリジル)‐1H‐1,4‐ベンゾジアゼピン‐2(3H)‐オン(ブロマゼパム)、2‐ブロモ‐4‐(2‐クロロフェニル)‐9‐メチル‐6H‐チエノ[3,2‐f][1,2,4]‐トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン(ブロチゾラム)、17‐シクロプロピルメチル‐4,5α‐エポキシ‐7α[(S)‐1‐ヒドロキシ‐1,2,2‐トリメチルプロピル]‐6‐メトキシ‐6,14‐エンド‐エタノモルフィナン‐3‐オール(ブプレノルフィン)、5‐ブチル‐5‐エチルバルビツール酸(ブトバルビタール)、ブトルファノール、(7‐クロロ‐1,3‐ジヒドロ‐1‐メチル‐2‐オキソ‐5‐フェニル‐2H‐1,4‐ベンゾジアゼピン‐3‐イル)‐ジメチルカルバメート(カマゼパム)、(1S,2S)‐2‐アミノ‐1‐フェニル‐1‐プロパノール(カシン/D‐ノルシュードエフェドリン)、7‐クロロ‐N‐メチル‐5‐フェニル‐3H‐1,4‐ベンゾジアゼピン‐2‐イルアミン‐オキシド(クロルジアゼポキシド)、7‐クロロ‐1‐メチル‐5‐フェニル‐1H‐1,5‐ベンゾジアゼピン‐2,4(3H,5H)‐ジオン(クロバザム)、5‐(2‐クロロフェニル)‐7‐ニトロ‐1H‐1,4‐ベンゾジアゼピン‐2(3H)‐オン(クロナゼパム)、クロニタゼン(clonitazene)、7‐クロロ‐2,3‐ジヒドロ
‐2‐オキソ‐5‐フェニル‐1H‐1,4‐ベンゾジアゼピン‐3‐カルボン酸(クロラゼプ酸)、5‐(2‐クロロフェニル)‐7‐エチル‐1‐メチル‐1H‐チエノ[2,3‐e][1,4]‐ジアゼピン‐2(3H)‐オン(クロチアゼパム)、10‐クロロ‐11b‐(2‐クロロフェニル)‐2,3,7,11b‐テトラヒドロオキサゾロ[3,2‐d][1,4]ベンゾジアゼピン‐6(5H)‐オン(クロキサゾラム)、(-)‐メチル‐[3β‐ベンゾイルオキシ‐2β(1αΗ,5αH)‐トロパンカルボキシレート(コカイン)、4,5α‐エポキシ‐3‐メトキシ‐17‐メチル‐7‐モルフィネン‐6α‐オール(コデイン)、5‐(1‐シクロヘキセニル)‐5‐エチルバルビツール酸(シクロバルビタール)、シクロファン(cyclorphan)、シプレノルフィン(cyprenorphine)、7‐クロロ‐5‐(2‐クロロフェニル)‐1H‐1,4‐ベンゾジアゼ
ピン‐2(3H)‐オン(デロラゼパム(delorazepam))、デソモルフィン(desomorphine)、デキストロモラミド、(+)‐(1‐ベンジル‐3‐ジメチルアミノ‐2‐メチ
ル‐1‐フェニルプロピル)プロピオネート(デキストロプロポキシフェン)、デゾシン、ジアンプロミド(diampromide)、ジアモルフォン(diamorphone)、7‐クロロ‐1‐メチル‐5‐フェニル‐1H‐1,4‐ベンゾジアゼピン‐2(3H)‐オン(ジアゼパム)、4,5α‐エポキシ‐3‐メトキシ‐17‐メチル‐6α‐モルフィナノール(ジヒドロコデイン)、4,5α‐エポキシ‐17‐メチル‐3,6a‐モルフィナンジオー
ル(ジヒドロモルフィン),ジメノキサドール(dimenoxadol)、ジメフェタモール(dimephetamol)[sic‐Tr.Ed.]、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチルブチ
レート、ジピパノン(dipipanone)、(6aR,10aR)‐6,6,9‐トリメチル‐3‐ペンチル‐6a,7,8,10a‐テトラヒドロ‐6H‐ベンゾ[c]クロメン‐1‐オール(ドロナビノール)、エプタゾシン、8‐クロロ‐6‐フェニル‐4H‐[1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ベンゾジアゼピン(エスタゾラム)、エトヘプタジン(ethoheptazine)、エチルメチルチアムブテン、エチル‐[7‐クロロ‐5
‐(2‐フルオロフェニル)‐2,3‐ジヒドロ‐2‐オキソ‐1H‐1,4‐ベンゾジアゼピン‐3‐カルボキシレート](ロフラゼプ酸エチル)、4,5α‐エポキシ‐3‐エトキシ‐17‐メチル‐7‐モルフィネン‐6α‐オール(エチルモルフィン)、エトニトラゼン(etonitrazene)、4,5α‐エポキシ‐7α‐(1‐ヒドロキシ‐1‐メチルブチル)‐6‐メトキシ‐17‐メチル‐6,14‐エンド‐エテノ‐モルフィナン‐3‐オール(エトルフィン)、N‐エチル‐3‐フェニル‐8,9,10‐トリノルボルナン‐2‐イルアミン(フェンカムファミン(fencamfamine))、7‐[2‐(α‐メチルフェネチルアミノ)‐エチル]テオフィリン(フェネチリン)、3‐(α‐メチルフェネチルアミノ)プロピオニトリル(フェンプロポレックス(fenproporex))、N‐(1
‐フェネチル‐4‐ピペリジル)プロピオナニリド(フェンタニル)、7‐クロロ‐5‐(2‐フルオロフェニル)‐1‐メチル‐1H‐1,4‐ベンゾジアゼピン‐2(3H)‐オン(フルジアゼパム)、5‐(2‐フルオロフェニル)‐1‐メチル‐7‐ニトロ‐1H‐1,4‐ベンゾジアゼピン‐2‐(3H)‐オン(フルニトラゼパム)、7‐クロロ‐1‐(2‐ジエチルアミノエチル)‐5‐(2‐フルオロフェニル)‐1H‐1,4‐ベンゾジアゼピン‐2(3H)‐オン(フルラゼパム)、7‐クロロ‐5‐フェニル‐1‐(2,2,2‐トリフルオロエチル)‐1H‐1,4‐ベンゾジアゼピン‐2(3H)‐オン(ハラゼパム)、10‐ブロモ‐11b‐(2‐フルオロフェニル)‐2,3,7,11b‐テトラヒドロ[1,3]オキサゾロ[3,2‐d][1,4]ベンゾジアゼピン‐6(5H)‐オン(ハロキサゾラム)、ヘロイン、4,5α‐エポキシ‐3‐メトキシ‐17‐メチル‐6‐モルフィナノン(ヒドロコドン)、4,5α‐エポキシ‐3‐ヒドロキシ‐17‐メチル‐6‐モルフィナノン(ヒドロモルフォン)、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ヒドロキシメチルモルフィナン、11‐クロロ‐8,12b‐ジヒドロ‐2,8‐ジメチル‐12b‐フェニル‐4H‐[1,3]オキサジノ[3,2‐d][1,4]ベンゾジアゼピン‐4,7(6H)‐ジオン(ケタゾラム)、1‐[4‐(3‐ヒドロキシフェニル)‐1‐メチル‐4‐ピペリジル]‐1‐プロパノン(ケトベミドン)、(3S,6S)‐6‐ジメチルアミノ‐4,4‐ジフェニルヘプタン‐3‐イルアセテート(レバセチルメタドール(LAAM))、(-)‐6‐ジメチルアミノ‐4,4‐ジフェニル‐3‐ヘプタノン(レボメタドン(levomethadone))、(-)‐17‐
メチル‐3‐モルフィナノール(レボルファノール)、レボフェナシルモルファン(levophenacyl morphan)、ロフェンタニル、6‐(2‐クロロフェニル)‐2‐(4‐メチル‐1‐ピペラジニルメチレン)‐8‐ニトロ‐2H‐イミダゾ[1,2a][1,4]ベンゾジアゼピン‐1(4H)‐オン(ロプラゾラム)、7‐クロロ‐5‐(2‐クロロフェニル)‐3‐ヒドロキシ‐1H‐1,4‐ベンゾジアゼピン‐2(3H)‐オン(ロラゼパム)、7‐クロロ‐5‐(2‐クロロフェニル)‐3‐ヒドロキシ‐1‐メチル‐1H‐1,4‐ベンゾジアゼピン‐2(3H)‐オン(ロルメタゼパム)、5‐(4‐クロロフェニル)‐2,5‐ジヒドロ‐3H‐イミダゾ[2,1‐a]イソインドール‐5‐オール(マジンドール)、7‐クロロ‐2,3‐ジヒドロ‐1‐メチル‐5‐フェニル‐1H‐1,4‐ベンゾジアゼピン(メダゼパム)、N‐(3‐クロロプロピル)‐α‐メチルフェネチルアミン(メフェノレックス)、メペリジン、2‐メチル‐2‐プロピルトリメチレンジカルバメート(メプロバメート)、メプタジノール、メタゾシン(metazocine)、メチルモルフィン、N,α‐ジメチルフェネチルアミン(メタンフェタミン)、(±)‐6‐ジメチルアミノ‐4,4‐ジフェニル‐3‐ヘプタノン(メサドン)、2‐メチル‐3‐o‐トリル‐4(3H)‐キナゾリノン(メタカロン)、メチル‐[2‐フェ
ニル‐2‐(2‐ピペリジル)アセテート](メチルフェニデート)、5‐エチル‐1‐メチル‐5‐フェニルバルビツール酸(メチルフェノバルビタール)、3,3‐ジエチル‐5‐メチル‐2,4‐ピペリジンジオン(メチプリロン)メトポン(metopon)、8‐
クロロ‐6‐(2‐フルオロフェニル)‐1‐メチル‐4H‐イミダゾ[1,5‐α][1,4]ベンゾジアゼピン(ミダゾラム)、2‐(ベンズヒドリルスルフィニル)アセタミド(モダフィニル)、4,5α‐エポキシ‐17‐メチル‐7‐モルフィネン‐3,6α‐ジオール(モルフィン)、ミロフィン(myrophine)、(±)‐トランス‐3‐(1
,1‐ジメチルヘプチル)‐7,8,10,10α‐テトラヒドロ‐1‐ヒドロキシ‐6,6‐ジメチル‐6H‐ジベンゾ[b,d]ピラン‐9(6αH)‐オン(ナビロン)、ナルブフェン(nalbuphen)、ナロルフィン、ナルセイン(narceine)、ニコモルフィン
、1‐メチル‐7‐ニトロ‐5‐フェニル‐1H‐1,4‐ベンゾジアゼピン‐2(3H)‐オン(ニメタゼパム)、7‐ニトロ‐5‐フェニル‐1H‐1,4‐ベンゾジアゼピン‐2(3H)‐オン(ニトラゼパム)、7‐クロロ‐5‐フェニル‐1H‐1,4‐ベンゾジアゼピン‐2‐(3H)‐オン(ノルダゼパム)、ノルレボルファノール(norlevorphanol)、6‐ジメチルアミノ‐4,4‐ジフェニル‐3‐ヘキサノン(ノルメタドン)、ノルモルフィン、ノルピパノン(norpipanone)、パパベルソムニフェルム(Papaver
somniferum)種に属する植物の抽出液を凝固させたもの(オピウム)、7‐クロロ‐3
‐ヒドロキシ‐5‐フェニル‐1H‐1,4‐ベンゾジアゼピン‐2‐(3H)‐オン(オキサゼパム)、(シス‐トランス)‐10‐クロロ‐2,3,7,11b‐テトラヒドロ‐2‐メチル‐11b‐フェニルオキサゾロ[3,2‐d][1,4]ベンゾジアゼピン‐6‐(5H)‐オン(オキサゾラム)、4,5α‐エポキシ‐14‐ヒドロキシ‐3‐メトキシ‐17‐メチル‐6‐モルフィナノン(オキシコドン)、オキシモルフォン、パパベルソムニフェルム種(亜種セチゲルム(setigerum)を含む)に属する植物の植物
および植物部分(パパベルソムニフェルム)、パパベレタム、2‐イミノ‐5‐フェニル‐4‐オキサゾリジノン(ペモリン)、1,2,3,4,5,6‐ヘキサヒドロ‐6,11‐ジメチル‐3‐(3‐メチル‐2‐ブテニル)‐2,6‐メタノ‐3‐ベンズアゾシン‐8‐オール(ペンタゾシン)、5‐エチル‐5‐(1‐メチルブチル)バルビツール酸(ペントバルビタール)、エチル‐(1‐メチル‐4‐フェニル‐4‐ピペリジン‐カルボキシレート)(ペチジン)、フェナドキソン(phenadoxone)、フェノモルファン(phenomorphan)、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン(piminodine)、ファルコ
デイン(pholcodeine)、3‐メチル‐2‐フェニルモルフォリン(フェンメトラジン)
、5‐エチル‐5‐フェニルバルビツール酸(フェノバルビタール)、α,α‐ジメチルフェネチルアミン(フェンテルミン)、7‐クロロ‐5‐フェニル‐1‐(2‐プロピニル)‐1H‐1,
4‐ベンゾジアゼピン‐2(3H)‐オン(ピナゼパム)、α‐(2‐ピペリジル)ベンズヒドリルアルコール(ピプラドール(pipradol))、1’‐(3‐シアノ‐3,3‐ジフェニルプロピル)[1,4’‐ビピペリジン]‐4’‐カルボキシアミド(ピリトラミド)、7‐クロロ‐1‐(シクロプロピルメチル)‐5‐フェニル‐1H‐1,4‐ベン
ゾジアゼピン‐2(3H)‐オン(プラゼパム)、プロファドール(profadol)、プロヘプタジン(proheptazine)、プロメドール、プロペリジン(properidine)、プロポキシ
フェン、N‐(1‐メチル‐2‐ピペリジノエチル)‐N‐(2‐ピリジル)プロピオンアミド、メチル‐{3‐[4‐メトキシカルボニル‐4‐(N‐フェニルプロパンアミド)ピペリジノ]プロパノエート}(レミフェンタニル)、5‐sec‐ブチル‐5‐エチルバルビツール酸(セクブタバルビタール(secbutabarbital)),5‐アリル‐5‐(
1‐メチルブチル)バルビツール酸(セコバルビタール)、N‐{4‐メトキシメチル‐1‐[2‐(2‐チエニル)エチル]‐4‐ピペリジル}プロピオンアニリド(スフェンタニル)、7‐クロロ‐2‐ヒドロキシ‐メチル‐5‐フェニル‐1H‐1,4‐ベンゾジアゼピン‐2‐(3H)‐オン(テマゼパム)、7‐クロロ‐5‐(1‐シクロヘキセニル)‐1‐メチル‐1H‐1,4‐ベンゾジアゼピン‐2(3H)‐オン(テトラゼパム)、エチル‐(2‐ジメチルアミノ‐1‐フェニル‐3‐シクロヘキサン‐1‐カルボ
キシレート)(チリジン(シスおよびトランス))、トラマドール、8‐クロロ‐6‐(2‐クロロフェニル)‐1‐メチル‐4H‐[1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ベンゾジアゼピン(トリアゾラム)、5‐(1‐メチルブチル)‐5‐ビニルバルビツール酸(ビニルビタール)、(1R,2R)‐3‐(3‐ジメチルアミノ‐1‐エチル‐2‐メチル‐プロピル)フェノール、(1R,2R,4S)‐2‐[ジメチルアミノ)メチル‐4‐(p‐フルオロベンジルオキシ)‐1‐(m‐メトキシフェニル)シクロヘキサノール、各々、所望に応じて、対応する立体異性体化合物、さらには対応する誘導体、特に、エステルまたはエーテルであってよく、ならびにすべて、生理学的適合性を有する化合物、特に、塩および溶媒和物である。
【0020】
1つの実施形態では、本発明の医薬組成物は、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、モルフィン、およびオキシコドン、および/またはこれらの塩などの1つ以上のオピオイドを治療活性成分として含む。典型的には、以下でより詳細に述べるように、適切な剤形に加工される場合、薬物は、そのような剤形中に、通常処方される量で存在してよく、典型的には、製剤の総重量に基づく乾燥重量ベースで約0.5から約25パーセントである。
【0021】
単位剤形の鎮痛剤に関して、そのような薬物は、医薬的に許容される量で存在してよく;そのような薬物の標準的用量は、本技術分野にて一般的に公知であり、それは、例えば、その全内容が参照により本明細書に援用されるUnited States Pharmacopeia and National Formulary (USP 36-NF 31). Rockville, MD: United States Pharmacopeia Convention; 2013に開示されている。ある実施形態では、そのような薬物は、約5、25、50、75、100、125、150、175、または200mgの量で存在してよい。ある実施形態では、薬物は、約5から約500mg、または約5から約200mgの量で存在してよい。ある実施形態では、剤形は、治療効果を提供するのに適する量の薬物を含有する。
【0022】
ある実施形態では、医薬活性成分は、狭い治療指数を有する薬物を含んでよい。狭い治療指数を有する薬物としては、これらに限定されないが、アミノフィリン、カルバマゼピン、クリンダマイシン、クロニジン、ジゴキシン、ジソピラミド、ジフィリン(dyphylinne)、グアンチジン(guanthidine)、イソエタリンメシレート、イソプロテレノール、
レボチロキシン、炭酸リチウム、メタプロテレノール、ミノキシジル、オキシトリフィリン(oxytriphylline)、フェニトイン、パソシン(pasosin)、プリミドン、プロカイン
アミド、キニジングルコネート、テオフィリン、バルプロ酸、バルプロ酸ナトリウム、およびワルファリンナトリウムなどが挙げられ得る。単位剤形における狭い治療用量を有する薬物に関して、そのような薬物は、医薬的に許容される量で存在してよく;そのような薬物の標準的用量は、本技術分野にて一般的に公知であり、それは、例えば、その全内容が参照により本明細書に援用されるUnited States Pharmacopeia and National Formulary (USP 36-NF 31). Rockville, MD: United States Pharmacopeia Convention; 2013に開示されている。ある実施形態では、そのような薬物は、約0.025、0.05、0.1、0.2、0.3、0.5、1、2、2.5、3、4、5、6、7.5、10、25、50、75、100、125、150、175、200、および250mgの量で存在してよい。ある実施形態では、薬物は、約0.01から約1000mg、または約0.05から約500mgの量で存在してよい。ある実施形態では、剤形は、治療効果を提供するのに適する量の薬物を含有する。
【0023】
酸性溶液に可溶性である成分
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、酸性溶液に可溶性である1つ以上の成分を含む。酸性溶液とは、約1から約4のpHを有する溶液であると見なされてよい。ある実施形態では、酸可溶性成分は、僅かに酸性、中性、および/または塩基性である溶液、すなわち、約4よりも大きいpHを有する溶液における溶解性が低い。
【0024】
ある実施形態では、酸可溶性成分は、活性医薬成分と共に、粒子マトリックスの形態で医薬組成物中に含まれる。酸可溶性成分は、このマトリックスを形成するのに充分な量で医薬組成物中に含まれてよい。ある実施形態では、活性成分は、酸可溶性成分中に隔離されている。酸可溶性成分は、緩衝および/または制酸成分により、摂取された医薬組成物の量に応じて上昇または維持される環境のpHに従って、活性医薬成分の放出に影響を与えることができるものであり:医薬組成物が適切な投与量で摂取される場合、pH緩衝成分は、胃腸管pHを改変、または充分に上昇させる量では存在せず、酸可溶性成分は溶解し、活性医薬成分が放出され;医薬組成物が過剰量で摂取される場合、pH緩衝成分は、胃腸管pHを上昇させる量で存在し、従って、酸可溶性成分が溶解して活性医薬成分が放出されることが阻止される。
【0025】
ある実施形態では、酸可溶性成分は、約1重量%から約50重量%;約1重量%から約48重量%;約1重量%から約46重量%;約1重量%から約44重量%;約1重量%から約42重量%;約1重量%から約40重量%;約2重量%から約38重量%;約4重量%から約36重量%;約6重量%から約34重量%;約8重量%から約32重量%;約10重量%から約30重量%;約12重量%から約28重量%;約14重量%から約26重量%;約16重量%から約24重量%;約18重量%から約22重量%;約1重量%;約2重量%;約4重量%;約6重量%;約8重量%;約10重量%;約12重量%;約14重量%;約16重量%;約18重量%;約20重量%;約22重量%;約24重量%;約26重量%;約28重量%;約30重量%;約32重量%;約34重量%;約36重量%;約38重量%;約40重量%;約42重量%;約44重量%;約46重量%;約48重量%;または約50重量%の量で医薬組成物中に含まれる。
【0026】
適切な酸可溶性成分の例としては、炭酸カルシウム、キトサン、例えばEudragit(登録商標)E PO、Eudragit(登録商標)E 12.5などのジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、およびメチルメタクリレートのカチオン性コポリマー、二および三塩基性リン酸カルシウム、ならびに水酸化マグネシウムが挙げられる。
【0027】
緩衝および/または制酸成分
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、1つ以上の緩衝および/または制酸成分を含む。そのような成分は、医薬組成物が適切な量で摂取された場合、胃のpHの上昇をもたらすことができる。ある実施形態では、そのような成分は、医薬組成物が適切な量で摂取された場合、約4よりも大きいpHへと胃のpHを迅速に、および持続的に上昇させることができる。
【0028】
ある実施形態では、緩衝および/または制酸成分は、医薬組成物が適切な治療量で服用された場合は、胃のpHは影響を受けないが、医薬組成物が過剰量で摂取された場合は、胃のpHを上昇させることができるような量で含まれてよい。ある実施形態では、緩衝および/または制酸成分は、約45重量%から約95重量%;約50重量%から約90重量%;約55重量%から約85重量%;約60重量%から約80重量%;約65重量%から約75重量%;約45重量%;約50重量%;約55重量%;約60重量%;約65重量%;約70重量%;約75重量%;約80重量%;約85重量%;約90重量%;または約95重量%の量で医薬組成物中に含まれる。
【0029】
適切な緩衝および/または制酸成分の例としては、これらに限定されないが、水酸化アルミニウム、アルミン酸ビスマス、炭酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次没食子酸ビスマス、次硝酸ビスマス、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、アミノ酢酸ジヒドロキシアルミニウム、炭酸ジヒドロキシアルミニウムナトリウム、グリシ
ン、グリシン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、三塩基性リン酸ナトリウム、およびリン酸三カルシウムが挙げられる。
【0030】
ある実施形態では、1つの成分は、酸可溶性成分、ならびに緩衝および/または制酸成分の両方として作用し得る。そのような適切な成分の例としては、炭酸カルシウム、二および三塩基性リン酸カルシウム、および水酸化マグネシウムが挙げられる。
【0031】
追加の成分
本発明はまた、本発明の医薬組成物からの剤形の製造を容易とするために、および/または本発明の医薬組成物を含む剤形の放出プロファイルを改変するために、所望に応じてその他の成分も含んでよい。
【0032】
本発明のある実施形態は、1つ以上の医薬的に許容される充填剤/希釈剤を含む。1つの実施形態では、Avicel PH(微結晶セルロース)が、製剤に用いられる充填剤
である。Avicel PHは、20から約200μmの範囲、好ましくは約100μm
の平均粒子サイズを有し得る。密度は、1.512~1.668g/cmの範囲である。Avicel PHは、約36000の分子量を有するはずである。Avicel PHの有効性は、固形分ベースで、製剤の約10から65重量パーセントの量で存在する場合に最適である。典型的な充填剤は、乾燥重量ベースで、全組成物の10から65重量パーセントで存在してよい。その他の成分としては、糖および/またはポリオールが挙げられ得る。約20から約400ミクロンの粒子サイズ、および約0.3から約0.9g/mLの密度を有するラクトースも挙げられ得る。
【0033】
本発明のある実施形態では、乾燥重量ベースで約10から65重量パーセントで存在してよい充填剤は、製剤内の物質に結合特性を付与するだけでなく、直接圧縮のために許容される製剤重量を得るために、直接圧縮可能製剤(以下で述べる)のかさ重量を増加させることもできるバインダーとしても機能する。ある実施形態では、追加の充填剤は、選択されるバインダーと同じレベルの結合特性を提供する必要はないが、製剤の均質性に寄与することができ、ブレンドされた後、製剤からの分離を阻止することができる。さらに、好ましい充填剤は、組成物の流動性または形成された錠剤の溶解プロファイルに有害な影響を与えない。
【0034】
1つの実施形態では、本発明は、1つ以上の医薬的に許容される崩壊剤を含んでよい。そのような崩壊剤は、当業者に公知である。本発明において、崩壊剤としては、これらに限定されないが、約104ミクロンの粒子サイズおよび約0.756g/mLの密度を有するデンプングリコール酸ナトリウム(Explotab(登録商標))、約2から約32ミクロンの粒子サイズおよび約0.462g/mLの密度を有するデンプン(例:Starch 21)、約400ミクロンの粒子サイズおよび約1.22g/mLの密度を有
するCrospovidone(登録商標)、ならびに約37から約73.7ミクロンの粒子サイズおよび約0.529g/mLの密度を有するクロスカルメロースナトリウム(Ac‐Di‐Sol)が挙げられ得る。選択される崩壊剤は、製剤の圧縮性、流動性、および均質性に寄与するべきである。さらに、崩壊剤は、分離を最小限に抑え、製剤に即時放出プロファイルを提供することができる。ある実施形態では、(1もしくは複数の)崩壊剤は、直接圧縮可能製剤の固形分ベースで、約2から約25重量パーセントの量で存在する。さらに、製剤に添加される制酸剤は、制酸成分の泡立ちによって、錠剤が低pH環境に導入された際の錠剤の崩壊を補助することができ、従って、追加の崩壊剤の必要性が低減される可能性がある。
【0035】
1つの実施形態では、本発明は、コロイド状二酸化ケイ素が挙げられるがこれに限定さ
れない1つ以上の医薬的に許容される流動促進剤を含んでよい。1つの実施形態では、約0.029から約0.040g/mLの密度を有するコロイド状二酸化ケイ素(Cab‐O‐Sil(登録商標))を用いて、製剤の流動特性を改善することができる。そのような流動促進剤は、固形分ベースでの製剤に対して約0.1から約1重量パーセントの量で提供されてよい。しかし、本発明に基づいて、コロイド状二酸化ケイ素は1つの特定の流動促進剤であるが、類似の特性を有する公知の、または今後開発されるその他の流動促進剤が、製剤中のその他の賦形剤および活性成分との適合性を有し、製剤の流動性、均質性、および圧縮性に大きな影響を与えない限りにおいて、用いられてよいことは理解される。
【0036】
1つの実施形態では、本発明は、ステアリン酸マグネシウムが挙げられるがこれに限定されない1つ以上の医薬的に許容される滑沢剤を含んでよい。1つの実施形態では、ステアリン酸マグネシウムは、約450から約550ミクロンの粒子サイズ、および約1.00から約1.80g/mLの密度を有する。1つの実施形態では、ステアリン酸マグネシウムは、圧縮の過程でのダイス壁と本発明の医薬組成物との間の摩擦の低減に寄与することができ、錠剤の排出を容易とすることができ、従って、加工が促進される。ある実施形態では、滑沢剤は、ポンチおよびダイスへの付着を阻止し、ならびに/またはホッパー中のおよび/もしくはダイスへの粉末の流動を補助する。本発明の実施形態では、約5から約50ミクロンの粒子サイズ、および約0.1から約1.1g/mLの密度を有するステアリン酸マグネシウムが、医薬組成物に用いられる。特定の実施形態では、滑沢剤は、固形分ベースで、製剤の約0.1から約2重量パーセントを成すべきである。適切な滑沢剤は、安定であり、混合後に製剤内で重合を起こさない。許容されるまたは同等の特性を示す本技術分野にて公知の、または今後開発されるその他の滑沢剤としては、ステアリン酸、硬化油、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、およびLubritab(登録商標)が挙げられる。
【0037】
特定の実施形態では、賦形剤の選択における最も重要な基準は、賦形剤が良好な内容物の均一性を達成し、および所望に従って活性成分を放出するということである。賦形剤は、混合された形態において、非常に優れた結合特性、および均質性、ならびに良好な圧縮性、凝集性、および流動性を有することにより、圧縮の過程におけるホッパー内での粉末の分離が最小限に抑えられる。
【0038】
制御薬物放出剤形
本明細書で述べるように、本発明の医薬製剤は、活性医薬成分の過剰用量の放出、およびそれに続く吸収を遅延またはブロックするように製剤することができる。ある実施形態では、医薬製剤は、pHを改変する特徴および/またはpH依存的溶解性の特徴を持つように設計することができる。pHを改変する特徴は、医薬組成物が適切な用量で、または過剰量で服用されたかに基づいて、胃環境のpHを改変することにより、活性成分の放出および/または吸収に影響を与えることができる。pHを改変する特徴は、医薬組成物中に1つ以上の緩衝および/または制酸成分を含めることによって提供することができる。pH依存的溶解性の特徴は、胃腸管環境のpHに応じて、活性医薬成分を収容または放出することにより、活性成分の放出および/または吸収に影響を与えることができる。pH依存的溶解性の特徴は、医薬組成物中に1つ以上のpH可溶性成分を含めることによって提供することができる。
【0039】
ある実施形態では、医薬組成物は、組成物が適切な量で服用される場合、pHを改変する特徴による影響は最小限であり(すなわち、胃環境のpHが実質的に改変されないか、または所望されるレベルに維持される)、pH依存的溶解性の特徴による影響は最大限であり(すなわち、活性医薬成分が放出される)、それによって、活性成分の放出および/または吸収が可能となるように製剤することができる。しかし、医薬組成物が過剰に摂取
される場合、ある実施形態では、組成物は、pHを改変する特徴による影響は最大限であり(すなわち、胃環境のpHが上昇される)、pH依存的溶解性の特徴による影響は最小限であり(すなわち、酸可溶性成分が不溶性であり、従って、溶解しない)、それによって、活性成分の放出および/または吸収が阻止されるように製剤される。
【0040】
ある実施形態では、医薬組成物は、粒子状マトリックスが粒子状形態で形成されるように、活性医薬成分を(1もしくは複数の)酸可溶性成分と、適切ないずれかのプロセスにより(すなわち、乾式または湿式造粒、ホットメルト押出など)密接に混合することによって作製することができる。このマトリックスからの薬物の放出は、この場合、医薬組成物が摂取された際のマトリックスに近接する周囲のpH環境によって制御することができる。低pH環境(すなわち、pH1~4)では、マトリックスは、溶解し、薬物を迅速に放出し易くなることができるが;それより高いpH環境(すなわち、pH>4)では、マトリックスは、不溶性となり易く、薬物の放出は抑制され、不完全となる可能性が高く、それによって、吸収される薬物のレベルが低下することになる。
【0041】
ある実施形態では、単一単位用量において、単一単位用量が摂取された際に、胃pHがpH1~4の範囲内に維持される点まで(1もしくは複数の)緩衝および/または制酸成分が胃pHを中和するのに充分な量の(1もしくは複数の)緩衝および/または制酸成分と、酸可溶性薬物マトリックスの必要とされる量がさらに混合される。酸可溶性薬物マトリックス/制酸剤/緩衝剤のブレンドは、錠剤またはカプセルなどであるが前記剤形に限定されない経口固体剤形に形成されてよい。
【0042】
結果として、正常な投与条件下(すなわち、1もしくは2個の錠剤)にて単一用量が摂取される場合に、(1もしくは複数の)緩衝/制酸成分が胃酸の一部を中和するが、胃酸はpH1~4の範囲を維持するように、pHを改変する特徴およびpH依存的溶解性の特徴を有する医薬組成物を製剤することができる。このような条件下では、酸可溶性薬物マトリックスは、酸性胃環境中で可溶性であり、薬物は、胃で迅速に放出され、血流中へ吸収されることが可能である。
【0043】
意図的に、または意図的ではなく過剰用量が摂取される条件下では(すなわち、3個以上の錠剤)、過剰摂取からの(1もしくは複数の)緩衝および/または制酸成分の量は、ここで、胃pHの迅速で持続的な上昇(>pH4)を引き起こすのに充分であり得る。従って、酸可溶性薬物マトリックスは、より高いpHの胃環境中で溶解性が低下し得るものであり、マトリックスからの薬物の放出は、抑制され得る。ある実施形態では、酸可溶性マトリックスからの薬物の抑制は、生物学的に制御された高いpH環境を有する(すなわち、pH5.5~8)腸管および下部胃腸管へと酸可溶性マトリックス粒子を移動させることができる胃腸管通過によってさらに補助される。過剰摂取からの薬物放出の全体としての抑制の結果として、正常胃pH(すなわち、pH1~4)で薬物を放出する同一の経口用量と比較して、Tmaxの増加およびCmaxの減少を有する薬物動態プロファイルが得られる。
【0044】
本発明の適切な製剤および剤形としては、これらに限定されないが、本発明の医薬組成物から製造される粉末、カプレット、丸剤、坐薬、ジェル、軟質ゼラチンカプセル、カプセル、および圧縮錠剤が挙げられる。剤形は、当業者の必要性に応じて、規則的または不規則的形状を含むいかなる形状であってもよい。
【0045】
本発明の医薬組成物を含む圧縮錠剤は、直接圧縮錠剤または間接圧縮錠剤であってよい。1つの実施形態では、本発明の剤形は、湿式造粒および乾式造粒(例:スラッグ法またはローラー圧縮)によって作製されてよい。製剤の方法および賦形剤の種類は、錠剤の迅速な圧縮を可能とする所望される物理的特性が錠剤製剤に付与されるように選択される。
圧縮後の錠剤は、外観、堅さ、崩壊能、および許容される溶解プロファイルなどのいくつかの追加の属性を有する必要がある。
【0046】
充填剤およびその他の賦形剤の選択は、典型的には、薬物の化学的および物理的特性、加工の過程での混合物の挙動、ならびに最終錠剤の特性に依存する。そのようなパラメーターの調節は、該当分野の当業者の一般的理解の範囲内であると理解される。適切な充填剤および賦形剤は、上記でより詳細に記載している。
【0047】
本発明の剤形の製造は、直接圧縮、ならびにスラッグ法およびローラー圧縮を含む湿式および乾式造粒法を含んでよい。
ある実施形態では、その全内容が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2012/0202839号に記載のように、1つ以上の成分が隔離されていてよい。
【0048】
本発明を用いて、即時放出および制御薬物放出製剤が製造されてよい。制御放出製剤としては、遅延放出、二峰性(bi-modal)および三峰性(tri-modal)放出、持続的放出お
よび徐放経口固体投与製剤が挙げられ得る。
【0049】
本明細書で用いられる場合、「約」の用語は、参照される値の±10%を意味するものと理解される。例えば、「約45%」は、事実上、40.5%から49.5%を意味するものと理解される。
【0050】
本明細書で用いられる場合、「生物学的同等性」の用語は、薬物のCmax、Tmax、または濃度曲線下面積「AUC」のうちの1つ以上が、参照薬物に対する同じマーカーの75%から120%以内であることを意味するものと理解される。
【0051】
本発明の特定の態様は、限定することではなく説明することを意図する以下の実施例によって示される場合、より良く理解されるであろう。
実施例1
2つの溶解容器を調製した:一方の容器は、25ミリ当量のHClおよび単一の市販炭酸カルシウム制酸剤錠剤(Tums(登録商標))を含有し、他方の容器は、25ミリ当量のHClおよび5個の炭酸カルシウム制酸剤錠剤を含有していた。各容器のpHをモニタリングし、結果を図1に示す。単一錠剤の場合、錠剤は、約30分間で完全に反応し、単一錠剤の溶解は、pHの変化を示さなかった。しかし、5個の錠剤の導入では、10分間でpH4.5超までという比較的速いpHの上昇の結果となり、90分後、容器中には、著しい量の溶解しなかった固体が見られた。従って、低レベル(500mg)の炭酸カルシウムは、pHにほとんど影響を与えることなく完全に溶解可能であったが、過剰量の炭酸カルシウムの場合、迅速なpH上昇が発生して高pH環境が作り出され、そこでは、炭酸カルシウムは低い溶解性を示すことが分かった。炭酸カルシウムは、pH改変剤としての能力、およびpH依存的溶解性を示した。
【0052】
実施例2
自己制御剤形の設計において直面する課題は、単一用量が服用された場合に即時放出錠剤に付随する所望される迅速な放出速度を損なうことなく、高められたpHでの制御(すなわち、よりゆっくりした、または不完全な放出)を行うことである。炭酸カルシウムを、アルプラゾラムを含有する直接ブレンドマトリックス錠剤(direct blend matrix tablets)および乾式造粒錠剤の両方で評価し、ここで、顆粒は、薬物放出を制御するために
炭酸カルシウムを含有し、顆粒外部の炭酸カルシウムは、pH変化を起こすためであった。両手法共に、低pH(pH1)と比較して、高いpH(およそpH6)での単一錠剤において、よりゆっくりしたアルプラゾラムの放出が得られる結果となったが、この場合、放出の隔たりは、所望されるほど高くはなかった(図2)。しかし、この結果から、pH
環境に応じた薬物放出の制御に、顆粒を用いることができることが示される。顆粒は、薬物のよりゆっくりした、および/または不完全な放出が見られるように、高められたpHでの浸食または崩壊を阻害する機能成分と共に存在する薬物から構成されてよい。錠剤の顆粒外部分は、素早く放出されて反応を起こす必要があるpH制御剤を主として含有してよい。
【0053】
実施例3
Eudragit(登録商標)E PO(EPO)は、ジメチルアミノエチルメタクリ
レート、ブチルメタクリレート、およびメチルメタクリレートをベースとするカチオン性コポリマーである。技術文献によると、このポリマーは、pH5までの酸に可溶性であり;pH5より上では、それは、溶解せずに膨潤する。EPOポリマー中に5%のアルプラゾラムを含有する乾式顆粒を作製し、-16メッシュおよび+20メッシュ(16/20)ならびに-20メッシュおよび+30メッシュ(20/30)のサイズ画分を回収した。これらの顆粒サイズ画分に対する溶解を、EPOが可溶性である低pH(pH1.5)およびEPOの溶解性が低い高pH(pH6)の両方で行った。結果を図3に示す。低pHでは、粒子サイズに関係なく、15分以内で、迅速で完全なアルプラゾラムの放出が起こる。しかし、高pHでは、両サイズ画分共に、アルプラゾラムの放出は非常に遅延され、不完全であるが、小さい方の画分が僅かに高い。この溶解シミュレーションは、錠剤が指示通りに(pH1)および過剰に(pH6)服用された場合の考え得る極限pHでの固定pH条件を表すものであることには留意されたい。次の実施例は、指示通りの服用時にはpHに影響を与えないが、過剰摂取時には迅速にpHを上昇させるpH改変システムについて調べる。
【0054】
実施例4
炭酸カルシウムを主たるpH改変剤として用いる試験を続いて行い、5%アルプラゾラム/EPO顆粒から、15分間で比較的迅速にアルプラゾラムが放出される結果を得た(60%)。炭酸カルシウムに対して上記で見られた10分間でpH5までのpH変化(図1)は、アルプラゾラムの放出も迅速であり、15分間で完了すると仮定すると、速いものであると認識され得るが、アルプラゾラム/EPO顆粒では、炭酸カルシウムは、pH変化に対して充分に迅速に影響を与えない可能性がある。以前の実験において、炭酸水素ナトリウムが、より迅速なpH効果を有することが示されており、2分間未満で、酸媒体をpH1からpH6まで上昇させる。従って、主として迅速なpH上昇を制御するために炭酸水素ナトリウムを、上昇したpHのより持続的な制御のために炭酸カルシウムを、プロトタイプ製剤に添加した。本発明の代表的な製剤を、以下の表に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
プロトタイプ製剤を錠剤とし、pH改変剤を錠剤中に含有させ、0.55NのHCl媒体(約pH1.6)中で動的に反応させる動的試験を実施した。自己制御有り、および無しの両方の複数錠剤用量、ならびに自己制御有りの単一用量を試験し、比較した。溶解媒体pHおよび薬物放出をモニタリングした。図4に示されるように、プロトタイプ複数錠剤において、pHの迅速な上昇が観察され、pH6までの上昇が2分間未満で発生してい
る。従って、pHの迅速な上昇には、錠剤中に含有されるpH改変剤で影響を与えることができる。
【0057】
さらに、図5に示されるように、単一錠剤は、アルプラゾラムを15分で放出しており、このことは、単一錠剤の即時放出特性が、搭載された自己制御システムによる影響を受けないことを示している。しかし、自己制御を有する複数錠剤は、ほぼ単一用量分が15分間で放出され、過剰分のアルプラゾラムは、およそ2時間にわたって遅延放出されることを示している。比較として、自己制御を持たない複数錠剤は、すべてのアルプラゾラム用量(およそ9mg)が、およそ15分間で放出されることを示しており、一方、同じ時間点で、自己制御を有する複数錠剤は、20%のアルプラゾラムしか放出されていない。明らかに、プロトタイプ自己制御アルプラゾラム錠剤は、意図される通りに、アルプラゾラムの単一用量を放出することを示したが、複数錠剤は、自己制御を持たない過剰用量と比較して、過剰用量の放出の抑制を示している。
【0058】
当業者であれば、広く記載される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、具体的な実施形態で示される本発明に数多くの変更および/または改変を行ってよいことは理解される。さらに、上記で引用される各々およびすべての参考文献は、本明細書に完全に示されているかのごとく、参照により本明細書に援用される。
[1]a.医薬活性成分、b.酸可溶性成分、およびc.緩衝成分、を含む乱用抑止性医薬組成物であって、ここで、前記酸可溶性成分および前記緩衝成分は、前記組成物が意図される用量を超えて摂取された場合に、前記医薬活性成分の放出を抑制する、乱用抑止性医薬組成物。
[2]前記医薬活性成分が、乱用され易い薬物を含む、[1]に記載の組成物。
[3]前記医薬活性成分が、狭い治療指数を有する薬物を含む、[1]に記載の組成物。[4]前記酸可溶性成分が、炭酸カルシウム、カチオン性コポリマー、またはこれらの組み合わせを含む、[1]に記載の組成物。
[5]前記酸可溶性成分が、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、およびメチルメタクリレートをベースとするカチオン性コポリマーを含む、[1]に記載の組成物。
[6]前記医薬活性成分が、前記酸可溶性成分のマトリックス中に収容されている、[1]に記載の組成物。
[7]前記酸可溶性成分が、前記医薬組成物の約1重量%から約40重量%の量で存在する、[1]に記載の組成物。
[8]前記緩衝成分が、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、三塩基性リン酸ナトリウム、またはこれらの組み合わせを含む、[1]に記載の組成物。
[9]前記緩衝成分が、約45重量%から約95重量%の量で存在する、[1]に記載の組成物。
図1
図2
図3
図4
図5