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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175805
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】結束機
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/12 20060101AFI20231205BHJP
   B25B 25/00 20060101ALI20231205BHJP
   B21F 15/06 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
E04G21/12 105E
B25B25/00 A
B21F15/06
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023148863
(22)【出願日】2023-09-14
(62)【分割の表示】P 2019156057の分割
【原出願日】2019-08-28
(31)【優先権主張番号】P 2018168248
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森尻 剛史
(72)【発明者】
【氏名】田島 伸崇
(72)【発明者】
【氏名】杉原 進平
(57)【要約】
【課題】一対のガイドの間に、容易に鉄筋を入れられるようにした結束機を提供する。
【解決手段】鉄筋結束機は、ワイヤWを、結束対象物である鉄器にSの周囲に案内するガイド部5を備える。ガイド部5は、鉄筋Sを挿抜口53に誘導する誘導部59を備える。誘導部59は、第1のガイド51の先端側における溝部51hの端部P2より先端側に設けられ、第1のガイド51の先端から基端側に向けて、第1のガイド51と第2のガイド52との間隔が近づく方向に傾斜する傾斜面を設けて構成される、
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
ワイヤを送る送り部と、
前記本体部の一方の端部から第1の方向に延び、前記送り部で送られるワイヤを案内すると共に、前記第1の方向に沿った先端側に第1の誘導部を有した第1のガイドと、
前記第1のガイドに対し、前記第1の方向と直交する第2の方向に、結束対象物が入れられる間隔を空けて配置され、前記送り部で送られるワイヤを案内する第2のガイドと、
前記第1のガイド及び前記第2のガイドで案内されたワイヤを捩じる捩り部とを備え、
前記第1のガイドは、ワイヤを案内する溝部を備え、
前記第1の誘導部は、当該第1の誘導部の前記第1の方向に沿った先端側から基端側に向けて、前記第1のガイドと前記第2のガイドとの間隔が近づく方向に傾斜した面で構成され、前記第1の誘導部の全体が前記溝部の端部より先端側に設けられる
結束機。
【請求項2】
前記送り部で正方向に送られるワイヤに巻き癖を付ける規制部を備え、
前記規制部は、前記第1のガイドの先端側に設けられる一の規制部材を備え、
前記一の規制部材は、外周面の一部が前記第1のガイドのガイド面に突出し、
前記第1のガイドは、前記第1の誘導部の全体が前記一の規制部材より先端側に設けられる
請求項1に記載の結束機。
【請求項3】
前記一の規制部材は、螺旋状となるワイヤの送り経路に対し、径方向の外側に設けられる
請求項2に記載の結束機。
【請求項4】
前記一の規制部材は、外周面にワイヤが接する
請求項2または請求項3に記載の結束機。
【請求項5】
前記一の規制部材は、円柱状の部材で構成される
請求項2~請求項4の何れか1項に記載の結束機。
【請求項6】
前記規制部は、前記第1のガイドの基端側に設けられる他の規制部材を備えた
請求項2~請求項5の何れか1項に記載の結束機。
【請求項7】
前記他の規制部材は、螺旋状となるワイヤの送り経路に対し、径方向の内側に設けられる
請求項6に記載の結束機。
【請求項8】
前記規制部は、別の規制部材を備え、
ワイヤの正方向への送りに対し、前記別の規制部材の下流側に前記他の規制部材を備えた
請求項6または請求項7に記載の結束機。
【請求項9】
前記別の規制部材は、ワイヤが通る開口が螺旋状となるワイヤの送り経路上に設けられる
請求項8に記載の結束機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鉄筋等の結束対象物をワイヤで結束する結束機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、結束機本体に装着したワイヤリールからワイヤを引き出して結束機本体の先端に設けたガイド部に送り、ガイド部の内側に配置された鉄筋の周りにワイヤを巻き回し、結束する鉄筋結束機と称す結束機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の結束機は、ガイド部と所定の間隔を空けて設けられる下部ガイドを備え、ガイド部と下部ガイドとの間に鉄筋が入れられて結束動作が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5126101号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の結束機では、ガイド部と下部ガイドとの間に鉄筋を入れる動作で、鉄筋がガイド部の先端に当たると、ガイド部と下部ガイドとの間に鉄筋を入れることができない可能性がある。作業者は、ガイド部と下部ガイドとの間に、確実に鉄筋を入れる必要があり、作業に手間が掛かっていた。
【0006】
本開示は、このような課題を解決するためなされたもので、一対のガイドの間に、容易に鉄筋を入れられるようにした結束機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本開示に係る結束機は、本体部と、ワイヤを送る送り部と、本体部の一方の端部から第1の方向に延び、送り部で送られるワイヤを案内すると共に、第1の方向に沿った先端側に第1の誘導部を有した第1のガイドと、第1のガイドに対し、第1の方向と直交する第2の方向に、結束対象物が入れられる間隔を空けて配置され、送り部で送られるワイヤを案内する第2のガイドと、第1のガイド及び第2のガイドで案内されたワイヤを捩じる捩り部とを備え、第1のガイドは、ワイヤを案内する溝部を備え、第1の誘導部は、当該第1の誘導部の第1の方向に沿った先端側から基端側に向けて、第1のガイドと第2のガイドとの間隔が近づく方向に傾斜した面で構成され、第1の誘導部の全体が溝部の端部より先端側に設けられる。
【0008】
この結束機では、第1の誘導部が、先端側から基端側に向けて第1のガイドと第2のガイドとの間隔が近づく方向に傾斜した面で構成され、第1の誘導部の全体が第1のガイドの溝部の端部より先端側に設けられるため、結束対象物が第1の誘導部に当たると、第1のガイドと第2のガイドとの間に向かう方向に誘導される。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る結束機では、第1のガイドと第2のガイドとの間に、容易に結束対象物を入れることができ、作業の手間を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面図である。
図2】第1の実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す上面図である。
図3】第1の実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す斜視図である。
図4】第1の実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す正面図である。
図5】グリップ部の一例を示す斜視図である。
図6】第1の実施の形態の鉄筋結束機の内部構成の一例を示す側面図である。
図7】第1の実施の形態の鉄筋結束機の内部構成の要部を示す側面図である。
図8A】ガイド部の一例を示す側面図である。
図8B】ガイド部の一例を示す側面図である。
図9】ガイド部及びコンタクト部材の一例を示す斜視図である。
図10A】コンタクト部材の一例を示す側面図である。
図10B】コンタクト部材の一例を示す側面図である。
図11】第2のガイドを検知する出力部の一例を示す側面図である。
図12】第1の実施の形態の鉄筋結束機の機能ブロック図である。
図13】視認部の変形例を示す斜視図である。
図14A】視認部の変形例を示す斜視図である。
図14B】視認部の変形例を示す斜視図である。
図15A】ガイド部の変形例を示す斜視図である。
図15B】ガイド部の変形例を示す斜視図である。
図16A】ガイド部の他の変形例を示す斜視図である。
図16B】ガイド部の他の変形例を示す斜視図である。
図17A】ガイド部の他の変形例を示す斜視図である。
図17B】ガイド部の他の変形例を示す斜視図である。
図18】第2の実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面図である。
図19A】第3の実施の形態の鉄筋結束機の要部を示す側面図である。
図19B】第3の実施の形態の鉄筋結束機の要部を示す側面図である。
図20】第4の実施の形態の鉄筋結束機の要部を示す側面図である。
図21A】第5の実施の形態の鉄筋結束機の要部を示す斜視図である。
図21B】第5の実施の形態の鉄筋結束機の要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の結束機の実施の形態としての鉄筋結束機の一例について説明する。
【0012】
<第1の実施の形態の鉄筋結束機の例>
図1は、第1の実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面図、図2は、第1の実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す上面図、図3は、第1の実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す斜視図、図4は、第1の実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す正面図である。
【0013】
第1の実施の形態の鉄筋結束機1Aは、第1の本体部301と、第2の本体部302と、第1の本体部301と第2の本体部302を連結する長尺状の連結部303を備える。第1の本体部301は、作業者が把持可能な一対のグリップ部304L、304Rを有したハンドル部304hを備える。また、第1の本体部301は、バッテリ310Bが取り付けられる。
【0014】
図5は、グリップ部の一例を示す斜視図である。ハンドル部304hは、主に右手で把持されるグリップ部304Rに操作部304tを備える。操作部304tは、例えば、図示しない軸を支点に回動可能にグリップ部304Rに取り付けられ、グリップ部304Rの表面から突出する。操作部304tは、作業者によりグリップ部304Rと共に把持されることで、グリップ部304Rに対して回動することによって作動する。鉄筋結束機1Aは、操作部304tが作動することで所定の出力を行う出力部をグリップ部304R内に備える。操作部304tが作動することで所定の出力を行う出力部を、後述する第1の出力部と称す。
【0015】
図6は、第1の実施の形態の鉄筋結束機の内部構成の一例を示す側面図、図7は、第1の実施の形態の鉄筋結束機の内部構成の要部を示す側面図である。
【0016】
第2の本体部302は、ワイヤWが巻かれたワイヤリール20を回転可能に収容する収容部2と、収容部2に収容されたワイヤリール20に巻かれたワイヤWを送る送り部3を備える。また、第2の本体部302は、送り部3で送られるワイヤWに巻き癖を付ける規制部4と、規制部4で巻き癖が付けられるワイヤWを、結束対象物である鉄器にSの周囲に案内するガイド部5を備える。更に、第2の本体部302は、ワイヤWを切断する切断部6と、ワイヤWを捩る捩り部7と、切断部6及び捩り部7等を駆動する駆動部8を備える。
【0017】
鉄筋結束機1Aは、第2の本体部302の一方の側にガイド部5が設けられる。本実施の形態では、ガイド部5が設けられる側を前と定義する。鉄筋結束機1Aは、第1の本体部301と第2の本体部302が連結部303で連結されることで、連結部303を備えていない鉄筋結束機と比較して、ガイド部5とハンドル部304hとの間が延伸した形態となる。
【0018】
収容部2は、ワイヤリール20の着脱及び支持が可能に構成される。送り部3は、送り部材としての一対の送りギア30を備える。送り部3は、ワイヤWが一対の送りギア30の間に挟持された状態で、送りギア30を図示しないモータが回転させることで、ワイヤWを送る。送り部3は、送りギア30の回転方向に応じて、ワイヤWを矢印Fで示す正方向と、矢印Rで示す逆方向の両方に送ることが可能である。
【0019】
切断部6は、矢印Fで示すワイヤWの正方向への送りに対し、送り部3の下流側に設けられる。切断部6は、固定刃部60と、固定刃部60との協働でワイヤWを切断する可動刃部61を備える。また、切断部6は、駆動部8の動きを可動刃部61に伝達する伝達機構62を備える。
【0020】
固定刃部60は、ワイヤWが通る開口60aを備える。可動刃部61は、固定刃部60を支点とした回転動作で、固定刃部60の開口60aを通るワイヤWを切断する。
【0021】
規制部4は、送り部3で送られるワイヤWの送り方向に沿った複数個所、本例では少なくとも3か所でワイヤWに接する第1~第3の規制部材を備えることで、図7に破線で示すワイヤWの送り経路Wfに沿うような巻き癖をワイヤWに付ける。
【0022】
規制部4は、第1の規制部材が上述した固定刃部60で構成される。また、規制部4は、矢印Fで示すワイヤWの正方向への送りに対し、固定刃部60の下流側に、第2の規制部材として規制部材42を備え、規制部材42の下流側に、第3の規制部材として規制部材43を備える。規制部材42及び規制部材43は、円柱状の部材で構成され、外周面にワイヤWが接する。
【0023】
規制部4は、螺旋状となるワイヤWの送り経路Wfに合わせて、固定刃部60、規制部材42及び規制部材43が曲線上に配置される。固定刃部60は、ワイヤWが通る開口60aがワイヤWの送り経路Wf上に設けられる。また、規制部材42は、ワイヤWの送り経路Wfに対し、径方向の内側に設けられる。更に、規制部材43は、ワイヤWの送り経路Wfに対し、径方向の外側に設けられる。
【0024】
これにより、送り部3で送られるワイヤWが、固定刃部60、規制部材42及び規制部材43に接しながら通過することで、ワイヤWの送り経路Wfに沿うように、ワイヤWに巻き癖が付けられる。
【0025】
規制部4は、駆動部8の動きを規制部材42に伝達する伝達機構44を備える。規制部材42は、送り部3でワイヤWを正方向に送りワイヤWに巻き癖を付ける動作では、ワイヤWが接する位置に移動し、ワイヤWを逆方向に送り鉄筋SにワイヤWを巻き付ける動作では、ワイヤWと接しない位置に移動可能に構成される。
【0026】
図8A図8Bは、ガイド部の一例を示す側面図、図9は、ガイド部及びコンタクト部材の一例を示す斜視図、図10A図10Bは、コンタクト部材の一例を示す側面図であり、次に、一対のガイドを作動させる構成及び作用効果について説明する。
【0027】
ガイド部5は、規制部4の規制部材43が設けられる第1のガイド51と、規制部4及び第1のガイド51で巻き癖が付けられたワイヤWを捩り部7に案内する第2のガイド52を備える。
【0028】
第1のガイド51は、第2の本体部302の前側の端部に取り付けられ、矢印A1で示す第1の方向に延びる。第1のガイド51は、図7に示すように、送り部3で送られるワイヤWが摺接するガイド面51gを有した溝部51hを備える。第1のガイド51において、第2の本体部302に取り付けられる側を基端側、第2の本体部302から第1の方向に延びる側を先端側としたとき、規制部材42が第1のガイド51の基端側に設けられ、規制部材43が第1のガイド51の先端側に設けられる。第1のガイド51のガイド面51gと、規制部材42の外周面との間には、ワイヤWが通過可能な隙間が形成される。規制部材43は、外周面の一部が第1のガイド51のガイド面51gに突出する。
【0029】
第2のガイド52は、第2の本体部302の前側の端部に取り付けられる。第2のガイド52は、第1の方向と直交する矢印A2に示す第2の方向に、第1のガイド51と対向して設けられる。第1のガイド51と第2のガイド52との間は、第2の方向に沿って所定の間隔が空けられ、第1のガイド51と第2のガイド52との間に、図8A図8Bに示すように鉄筋Sが挿抜される挿抜口53が形成される。
【0030】
ガイド部5は、鉄筋Sを挿抜口53に誘導する誘導部59を備える。誘導部59は第1の誘導部の一例で、第1のガイド51の先端側に、第1のガイド51と一体に設けられ、誘導部59の先端側から基端側に向けて、第1のガイド51と第2のガイド52との間隔が近づく面を設けて構成される、具体的には、図7に示すように、誘導部59は、第1のガイド51の先端側における溝部51hの端部P2より先端側に設けられる。より具体的には、誘導部59は、第1のガイド51の先端P1から、第1のガイド51の溝部51hの端部P2の近傍に向けて、矢印A1で示す第1の方向に対し、第1のガイド51と第2のガイド52との間隔が近づく方向に傾斜する傾斜面で構成される。
【0031】
誘導部59の傾斜角度αは、後述する軸線Axを基準とすると、6°以上45°以下であることが好ましい。また、第1のガイド51は、矢印A1で示す第1の方向に沿った誘導部59の長さ、詳細には、第1のガイド51の先端P1から、第1のガイド51の先端側における溝部51hの端部P2までの長さが、10mm以上30mm以下であることが好ましい。更に、誘導部59を含む第1のガイド51の同方向における長さ、詳細には、後述するカバー部11の先端P3から、第1のガイド51の先端P1までの長さが、110mm以下であることが好ましい。
【0032】
誘導部59の傾斜角度αが6°以上であれば、第1のガイド51の先端P1から溝部51hの端部P2までの誘導部59の長さを10mmとした場合でも、第1のガイド51と第2のガイド52との間隔である挿抜口53を、1mm以上に広げることができる。但し、誘導部59の傾斜角度αが45°を超えると、第1のガイド51と第2のガイド52との間の挿抜口53に鉄筋Sを挿入する動作における鉄筋結束機1Aの移動方向とは反対側に、鉄筋Sが鉄筋結束機1Aを押す力が生じるため、鉄筋Sを誘導部59に沿わせて挿抜口53に入れづらくなる。誘導部59の長さが10mm未満であると、鉄筋Sを誘導部59に沿わせて移動させる長さが不足する。また、誘導部59の長さが30mmを超えると、鉄筋Sを誘導部59に沿わせて移動させる際の抵抗となり、鉄筋Sを誘導部59に沿わせて挿抜口53に入れづらくなる。更に、鉄筋Sが配設された配筋面と、配筋面より下側(底側)に位置する基礎構造物との距離や、手前側の配筋面と奥側の配筋面と距離が110mmという場合がある。このような場合、第1のガイド51の長さが110mmを超えると、第1のガイド51の先端が基礎構造物等に接触し、挿抜口53内の所定の位置まで、鉄筋Sを入れることができない。
【0033】
第1のガイド51は、ガイド部5の位置をハンドル部304h側から視認可能とする視認部510を備える。視認部510は第1の視認部の一例で、第2の本体部302の外形より外側に突出する。本実施の形態では、視認部510は、第1のガイド51の基端側に設けられ、第2のガイド52が設けられる側と反対の方向に向けて、第2の本体部302の外形より外側に、第2の方向に突出する。
【0034】
第2のガイド52は、図9に示すように、第1の方向及び第2の方向と直交する矢印A3に示す第3の方向に沿って対向する一対のサイドガイド52aを備える。第2のガイド52において、第2の本体部302に取り付けられる側を基端側、第2の本体部302から第1の方向に延びる側を先端側としたとき、一対のサイドガイド52aは、先端側から基端側に向けて間隔が狭くなる。一対のサイドガイド52aは、基端側が、ワイヤWが通ることが可能な間隔で対向する。
【0035】
第2のガイド52は、基端側が軸52bに支持されて第2の本体部302に取り付けられる。軸52bの軸線は、第3の方向に沿った方向である。第2のガイド52は、軸52bを支点として第2の本体部302に対して回動可能である。第2のガイド52は、先端側の端部52cが、矢印A2で示す第2の方向に第2のガイド52と対向する第1のガイド51の端部51cに対して近づく方向及び離れる方向に移動可能である。第1のガイド51の端部51cには、溝部51hの端部P2が露出する。
【0036】
第2のガイド52は、軸52bを支点とした回動で、図8Aに実線で示すように、第2のガイド52の端部52cと、第1のガイド51の端部51cとの距離が第1の距離L1である第1の位置と、図8Aに二点鎖線で示し、図8Bに実線で示すように、第2のガイド52の端部52cと、第1のガイド51の端部51cとの距離が、第1の距離L1より短い第2の距離L2である第2の位置との間を移動する。
【0037】
第2のガイド52は、第2の位置にある状態で、第2のガイド52の端部52cと、第1のガイド51の端部51cとの間が開いた状態である。第2のガイド52は、第1の位置にある状態で、第2のガイド52の端部52cと、第1のガイド51の端部51cとの間隔が広がり、第1のガイド51と第2のガイド52との間の挿抜口53に鉄筋Sを入れることがより容易になる。
【0038】
第2のガイド52は、第2の位置にある状態で、サイドガイド52aが、図8A図8Bに破線で示すワイヤWの送り経路Wfに位置する。第2のガイド52は、第1の位置にある状態では、第2のガイド52の端部52cと、第1のガイド51の端部51cとの間隔が、第2のガイド52が第2の位置にある場合より広くなるのであれば、サイドガイド52aがワイヤWの送り経路Wfに位置していても良いし、図8Aに実線で示すように、サイドガイド52aがワイヤWの送り経路Wfより外側に位置していても良い。
【0039】
第2のガイド52は、第1の位置へ移動する方向へ、捩じりコイルバネ等で構成される付勢部材54により付勢され、第1の位置へ移動した状態が保持される。
【0040】
鉄筋結束機1Aは、第1のガイド51と第2のガイド52との間の挿抜口53に挿入された鉄筋Sが当接することで鉄筋Sを検知し、第2のガイド52を作動させるコンタクト部材9Aを備える。また、鉄筋結束機1Aは、第2の本体部302の前側の端部を覆うカバー部11を備える。
【0041】
カバー部11は、第2の本体部302の前側の端部から第3の方向に沿った第2の本体部302の左右両側にかけて取り付けられる。カバー部11は、金属の板材等で構成され、第1のガイド51の基端側と第2のガイド52の基端側との間で、第2の本体部302の前側の端部の一部または全部と、第2の本体部302の前側の左右両側の一部を覆う形状である。第2の本体部302が樹脂で構成されるのに対し、カバー部11が金属で構成されることで、コンタクト部材9A及び鉄筋Sがカバー部11に当接しても、カバー部11の磨耗を低減することができる。
【0042】
コンタクト部材9Aは、軸90Aに回動可能に支持されることでカバー部11を介して第2の本体部302に取り付けられる。コンタクト部材9Aは、屈曲した形状で、軸90Aに対して一方の側に、鉄筋Sに当接させる当接部91Aが設けられ、軸90Aに対して他方の側に、第2のガイド52とつながる連結部92Aが設けられる。具体的には、第2の方向において、軸90Aに対して一方の側に当接部91Aが設けられ、他方の側に連結部92Aが設けられる。
【0043】
コンタクト部材9Aは、第1のガイド51と第2のガイド52との間の中間付近に軸90Aが設けられる。また、コンタクト部材9Aは、軸90Aで支持される部位近傍から第1のガイド51側に、鉄筋Sを結束したワイヤWが通ることが可能な間隔を空けて、矢印A3で示す第3の方向に一対の当接部91Aが設けられる。当接部91Aは、第1のガイド51の左右両側まで延びる。
【0044】
更に、コンタクト部材9Aは、軸90Aで支持される部位から第2のガイド52側に連結部92Aが設けられ、第2のガイド52において第1のガイド51と対向する側と反対側の部位に接する変位部93Aが、連結部92Aの先端側に設けられる。
【0045】
コンタクト部材9Aは、軸90Aを支点として第2の本体部302に対して回動し、図10Aに示すように、当接部91Aがカバー部11から挿抜口53に突出する待機位置と、図10Bに示すように、当接部91Aがカバー部11に近づく作動位置との間を移動する。
【0046】
コンタクト部材9Aは、図10Bに示す作動位置に移動した状態では、当接部91Aが、軸90Aから矢印A2で示す第2の方向に沿って、第1のガイド51が設けられた方向に延びる形状である。よって、コンタクト部材9Aは、軸90Aを支点とした回動で、当接部91Aが軸90Aを中心とした円弧に沿って、矢印A1に示す第1の方向に沿って移動する。第1のガイド51と第2のガイド52との間の挿抜口53に鉄筋Sを挿入する動作では、鉄筋結束機1Aは、矢印A1で示す第1の方向に移動する。この鉄筋結束機1Aと鉄筋Sとの相対的な移動により、コンタクト部材9Aは、当接部91Aが矢印A1で示す第1の方向に沿った力で押され、作動位置に移動する。これにより、軸90Aを支点とした回動で当接部91Aが移動する方向が、鉄筋結束機1Aと鉄筋Sとの相対的な移動により鉄筋Sが当接部91Aを押す力の方向と沿った方向になる。また、図10Bに示す作動位置に移動した状態では、コンタクト部材9Aは、連結部92Aが、軸90Aから当接部91Aに対して前方に傾斜して、第2のガイド52が設けられた方向に延びる形状である。よって、コンタクト部材9Aは、軸90Aを支点とした回動で、変位部93Aが軸90Aを中心とした円弧に沿って、矢印A2に示す第2の方向に沿って移動する。これにより、コンタクト部材9Aは、付勢部材54に付勢されて、第2のガイド52が第1の位置にある状態では、変位部93Aが第2のガイド52によって第1のガイド51から離れる方向に押される。このため、コンタクト部材9Aは、軸90Aを支点とした回動で待機位置に移動し、当接部91Aがカバー部11から突出する。なお、本例では、コンタクト部材9Aは、第2のガイド52を付勢する付勢部材54の力で移動する構成としたが、コンタクト部材9Aを付勢する他の付勢部材を備える構成としても良い。
【0047】
当接部91Aが鉄筋Sに押し付けられると、当接部91Aが第1の方向に沿って移動する。これにより、コンタクト部材9Aは、軸90Aを支点に回動し、作動位置に移動する。コンタクト部材9Aが作動位置に移動すると、軸90Aを支点とした連結部92Aの回動で、変位部93Aが第1のガイド51に近づく方向へ移動する。これにより、変位部93Aが第2のガイド52を押し、第2のガイド52が第2の位置に移動する。このように、当接部91Aに鉄筋Sが当接し、変位部93Aが移動したことにより、第2のガイド52が第1の位置から第2の位置に移動する。
【0048】
図11は、第2のガイドを検知する出力部の一例を示す側面図であり、次に、各図を参照して第2の出力部12Aの詳細を説明する。鉄筋結束機1Aは、第2のガイド52が第2の位置に移動したことを検知して、所定の出力を行う第2の出力部12Aを備える。第2の出力部12Aは、例えば、可動子120の変位により出力が変化する構成である。本例では、コンタクト部材9Aが待機位置に移動することで、第2のガイド52が第1の位置に移動すると、第2のガイド52が可動子120から離れる方向に移動する。このように、第2のガイド52が第1の位置に移動した状態での第2の出力部12Aの出力をオフとする。これに対し、コンタクト部材9Aが作動位置に移動することで、第2のガイド52が第2の位置に移動すると、第2のガイド52が可動子120を押す方向に移動する。このように、第2のガイド52が第2の位置に移動した状態での第2の出力部12Aの出力をオンとする。なお、第2のガイドを検知する出力部を、非接触のセンサにより構成しても良い。また、第2のガイドを検知する出力部に代えて、コンタクト部材が作動位置に移動したことを検知する出力部を備える構成としても良い。
【0049】
次に、各図を参照して、捩り部7及び駆動部8について説明する。捩り部7は、ワイヤWが係合する係合部70と、係合部70を作動させる作動部71を備える。係合部70は、作動部71の動作で回転することで、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを捩じる。
【0050】
駆動部8は、捩り部7等を駆動する捩りモータ80と、減速及びトルクの増幅を行う減速機81と、減速機81を介して捩りモータ80に駆動されて回転する回転軸82と、切断部6及び規制部材42に駆動力を伝達する移動部材83とを備える。捩り部7と駆動部8は、回転軸82と、作動部71及び係合部70の回転中心が同軸上に配置される。回転軸82と、作動部71及び係合部70の回転中心を軸線Axと称す。
【0051】
係合部70は、送り部3で切断部6に送られたワイヤWが通る第1の通路と、規制部4で巻き癖が付けられ、ガイド部5で捩り部7に案内されたワイヤWが通る第2の通路が形成される。
【0052】
駆動部8は、回転軸82の回転動作で、回転軸82の軸方向に沿って作動部71を移動させる。作動部71が回転軸82の軸方向に沿って移動することで、係合部70は、ガイド部5で捩り部7に案内されたワイヤWの先端側を保持する。
【0053】
駆動部8は、作動部71が回転軸82の軸方向に沿って移動する動作と連動して、移動部材83が回転軸82の軸方向に沿って移動することで、移動部材83の動きが伝達機構44で規制部材42に伝達され、規制部材42がワイヤと接しない位置に移動する。更に、作動部71が回転軸82の軸方向に沿って移動することで、移動部材83の動きが伝達機構62で可動刃部61に伝達され、可動刃部61が作動してワイヤWが切断される。
【0054】
駆動部8は、回転軸82の軸方向に沿って移動させた作動部71を、回転軸82の回転動作で回転させる。作動部71は、回転軸82の軸回りに回転することで、係合部70でワイヤWを捩じる。
【0055】
図12は、第1の実施の形態の鉄筋結束機の機能ブロック図である。鉄筋結束機1Aは、操作部304tの操作で作動する第1の出力部15と、コンタクト部材9Aの当接部91Aに鉄筋Sが当接し、鉄筋Sが押し付けられる動作で作動する第2の出力部12Aの出力を制御部100Aで検知する。制御部100Aは、第1の出力部15と、第2の出力部12Aの出力に従い、送りギア30を駆動する送りモータ31と、捩り部7等を駆動する捩りモータ80を制御して、ワイヤWで鉄筋Sを結束する一連の動作を実行する。
【0056】
次に、鉄筋結束機1Aにより鉄筋SをワイヤWで結束する動作について説明する。作業者は、鉄筋結束機1Aのハンドル部304hを両手で把持する。すなわち、作業者は、右手でハンドル部304hのグリップ部304Rを把持し、左手でハンドル部304hのグリップ部304Lを把持する。
【0057】
作業者により操作部304tがグリップ部304Rと共に把持されると、操作部304tがグリップ部304Rに対して回動することにより作動する。操作部304tが作動すると、第1の出力部15の出力がオンになり、制御部100Aは、第1の出力部15の出力がオンになったことを検知する。
【0058】
作業者は、鉄筋結束機1Aのハンドル部304hを両手で把持し、2本の鉄筋Sの交差箇所にガイド部5の位置を合わせ、挿抜口53に鉄筋Sを入れる。
【0059】
鉄筋結束機1Aは、作業者の足元の鉄筋Sを結束するため、ガイド部5を下に向け、作業者が立った状態で使用される。結束対象である鉄筋Sがハンドル部304hから離れた位置にあり、しかも、第1の本体部301、連結部303及び第2の本体部302によって視界が遮られ、ガイド部5や2本の鉄筋Sの交差箇所が見づらい。このため、2本の鉄筋Sの交差箇所にガイド部5の位置を合わせづらい。また、鉄筋Sを結束する動作では、図7等に示すワイヤWの送り経路Wfを含む仮想面に、鉄筋Sの交差箇所を略一致させることが好ましい。
【0060】
そこで、鉄筋結束機1Aは、ガイド部5の位置をハンドル部304h側から視認可能とする視認部510を備える。視認部510は、第1のガイド51の基端側に設けられ、第2のガイド52が設けられる側と反対の方向に向けて、第2の本体部302から第2の方向に突出する。このように、視認部510は、第2の本体部302から突出する形態で第1のガイド51に設けられ、ハンドル部304hを把持して立った状態の作業者が容易に視認部510を視認可能である。また、視認部510は、図7に示す第1のガイド51の溝部51hを通るワイヤWの送り経路Wfを含む仮想面と略一致する位置に設けられる。よって、ワイヤWの送り経路Wfを含む仮想面の位置を、視認部510の位置として視認可能である。これにより、視認部510を視認しながら、第1のガイド51の位置を、鉄筋Sの交差箇所に容易に合わせることができる。そして、第1のガイド51の位置を、鉄筋Sの交差箇所に合わせることで、鉄筋Sの交差箇所を、ワイヤWの送り経路Wfを含む仮想面に略一致させることができる。
【0061】
また、鉄筋結束機1Aは、第1のガイド51の先端側に、鉄筋Sを挿抜口53に誘導する形状の誘導部59が設けられる。作業者は、鉄筋Sを誘導部59に当て、鉄筋Sの上を誘導部59が滑るように移動させることができる。これにより、鉄筋Sに第1のガイド51の誘導部59が当てられると、挿抜口53に鉄筋Sが入る方向へ、第1のガイド51を誘導できる。誘導部59の傾斜角度αが、軸線Axを基準として5°以上45°以下であれば、鉄筋Sに第1のガイド51の誘導部59が当てられることで、挿抜口53に鉄筋Sが入る方向へ、第1のガイド51を確実に誘導できる。
【0062】
更に、鉄筋結束機1Aは、挿抜口53に鉄筋Sが入れられていない状態では、図10Aに示すように、第2のガイド52が第1の位置に移動し、第2のガイド52の端部52cと、第1のガイド51の端部51cとの間隔が広がる。これにより、挿抜口53に鉄筋Sを入れることがより容易になる。
【0063】
なお、結束対象となる鉄筋Sの奥側に、別の鉄筋、壁面等の障害物が存在する場合、第1のガイド51の先端P1が障害物に当たると、結束対象の鉄筋Sをコンタクト部材9Aの当接部91Aに当接させることができない。これに対し、第1のガイド51の先端P1から、第1のガイド51の先端側における溝部51hの端部P2までの長さが、10mm以上30mm以下であれば、第1のガイド51の先端P1が障害物に当たることが抑制され、鉄筋Sをコンタクト部材9Aの当接部91Aに当接させることができる。
【0064】
作業者は、挿抜口53に鉄筋Sを入れる方向へ鉄筋結束機1Aを移動させる動作で、コンタクト部材9Aの当接部91Aに鉄筋Sを押し付ける。
【0065】
コンタクト部材9Aは、挿抜口53に鉄筋Sを入れる方向へ鉄筋結束機1Aを移動させる動作で、鉄筋結束機1Aが移動する方向に沿った力を受けて当接部91Aが押される。これにより、コンタクト部材9Aは、当接部91Aが矢印A1で示す第1の方向に沿って移動することで軸90Aを支点に回動し、図10Bに示すように、作動位置に移動する。
【0066】
交差した2本の鉄筋Sが挿抜口53に入れられると、一方の鉄筋Sは、第1のガイド51の一方の側部に位置し、他方の鉄筋Sは、第1のガイド51の他方の側部に位置する。これに対し、コンタクト部材9Aは、一対の当接部91Aが、第1のガイド51と第2のガイド52との間から、第1のガイド51の左右両側に延びる。これにより、挿抜口53に入れられた鉄筋Sが、確実に当接部91Aに当接し、コンタクト部材9Aを作動位置に移動させることができる。また、コンタクト部材9Aの当接部91Aは、軸90Aを支点とした回動動作で、矢印A1で示す第1の方向に沿って移動する。これにより、挿抜口53に鉄筋Sを入れる方向へ鉄筋結束機1Aを移動させる動作で、当接部91Aを押すことができ、コンタクト部材9Aを作動させるため、鉄筋結束機1Aを別の方向に移動させる必要がない。
【0067】
コンタクト部材9Aが作動位置に移動すると、軸90Aを支点とした連結部92Aの回動で、変位部93Aが第1のガイド51に近づく方向へ第2のガイド52を押し、第2のガイド52が第2の位置に移動する。
【0068】
第2のガイド52が第2の位置に移動すると、第2の出力部12Aの出力がオンになり、制御部100Aは、第2の出力部12Aの出力がオンになったことを検知する。第2の出力部12Aの出力がオンとなるコンタクト部材9Aが作動位置に移動した状態では、鉄筋Sが図7に破線で示すワイヤWの送り経路Wf内であって、結束可能位置に入れられた状態である。これにより、第2の出力部12Aは、鉄筋SがワイヤWの送り経路Wf内に入れられたことを検知できる。
【0069】
制御部100Aは、第1の出力部15の出力がオンになったことを検知した状態で、第2の出力部12Aの出力がオンになったことを検知すると、送りモータ31と捩りモータ80を制御して、ワイヤWで鉄筋Sを結束する一連の動作を実行する。
【0070】
結束動作の詳細について説明すると、送りモータ31が正方向に回転し、送りギア30が正方向に回転することで、ワイヤWが矢印Fに示す正方向に送られる。送り部3で正方向に送られるワイヤWは、規制部4を構成する第1の規制部材である固定刃部60と、第2の規制部材である規制部材42を通る。規制部材42を通過したワイヤWは、第1のガイド51のガイド面51gに接することで、第3の規制部材である規制部材43に案内される。
【0071】
これにより、送り部3で正方向に送られるワイヤWは、固定刃部60、規制部材42、規制部材43と、第1のガイド51のガイド面51gに接することで円弧状に曲げられる。そして、送り部3で正方向に送られるワイヤWは、円弧状の外周方向から固定刃部60と規制部材43が接し、固定刃部60と規制部材43との間で、円弧状の内周方向から規制部材42が接することで、略円を描く巻き癖が付けられる。
【0072】
第1のガイド51の端部51cと、第2のガイド52の端部52cの間は、第2のガイド52が第2の位置に移動した状態で、所定の間隔が空く。但し、第2のガイド52が第2の位置に移動した状態では、一対のサイドガイド52aがワイヤWの送り経路Wfに位置しており、送り部3で正方向に送られるワイヤWは、上述したように規制部4で巻き癖が付けられるので、第2のガイド52の一対のサイドガイド52aの間に案内される。
【0073】
第2のガイド52の一対のサイドガイド52aの間に案内されるワイヤWは、送り部3で正方向に送られることにより、第2のガイド52の一対のサイドガイド52aで捩り部7の係合部70に案内される。そして、制御部100Aは、ワイヤWの先端部が所定の位置まで送られたと判断すると、送りモータ31の駆動を停止する。これにより、ワイヤWが鉄筋Sの周囲でらせん状に巻かれる。なお、第2のガイド52が第2の位置に移動しておらず、第2の出力部12Aの出力をオフの状態では、制御部100AはワイヤWの送りを行わない。これにより、ワイヤWが捩り部7の係合部70に係合されず、送り不良が発生することが抑制される。
【0074】
制御部100Aは、ワイヤWの正方向への送りを停止した後、捩りモータ80を正方向に回転させる。捩りモータ80を正方向に回転させることで、作動部71により係合部70を作動させ、係合部70でワイヤWの先端側を保持する。
【0075】
制御部100Aは、係合部70でワイヤWを保持するまで、捩りモータ80を回転させたと判断すると、捩りモータ80の回転を停止し、送りモータ31を逆方向に回転させる。係合部70でワイヤWを保持するまで、捩りモータ80を回転させると、移動部材83の動きが伝達機構44で規制部材42に伝達され、規制部材42がワイヤと接しない位置に移動する。
【0076】
送りモータ31が逆方向に回転すると、送りギア30が逆方向に回転し、ワイヤWが矢印Rに示す逆方向に送られる。ワイヤWを逆方向に送る動作で、ワイヤWは鉄筋Sに密着されるようにして巻き付けられる。
【0077】
制御部100Aは、ワイヤWを鉄筋Sに巻き付けるまで、送りモータ31を逆方向に回転させたと判断すると、送りモータ31の回転を停止させた後、捩りモータ80を正方向に回転させる。捩りモータ80を正方向に回転させることで、移動部材83により伝達機構62を介して可動刃部61が作動し、ワイヤWが切断される。
【0078】
ワイヤWが切断された後、捩りモータ80の正方向の回転を継続することで係合部70を回転させ、ワイヤWを捩じる。
【0079】
制御部100Aは、ワイヤWを捩じるまで、捩りモータ80を正方向に回転させたと判断すると、捩りモータ80を逆方向に回転させる。捩りモータ80を逆方向に回転させることで、係合部70を初期位置に復帰させ、ワイヤWの保持を解除する。これにより、鉄筋Sを結束したワイヤWを係合部70から抜くことが可能になる。
【0080】
制御部100Aは、係合部70等を初期位置に復帰させるまで、捩りモータ80を逆方向に回転させたと判断すると、捩りモータ80の回転を停止させる。
【0081】
作業者は、ワイヤWで結束された鉄筋Sを挿抜口53から抜く方向へ鉄筋結束機1Aを移動させる。鉄筋Sを挿抜口53から抜く方向へ鉄筋結束機1Aを移動させる動作で、コンタクト部材9Aの当接部91Aを押す力が掛からなくなると、付勢部材54の力で、第2のガイド52が第2の位置から第1の位置に移動する。
【0082】
第2のガイド52が第1の位置に移動すると、コンタクト部材9Aは、変位部93Aが第1のガイド51から離れる方向に押され、軸90Aを支点とした回動で待機位置に移動し、当接部91Aがカバー部11から突出する。
【0083】
作業者が、ワイヤWで結束された鉄筋Sを挿抜口53から抜く方向へ鉄筋結束機1Aを移動させる動作で、第2のガイド52が第1の位置に移動し、第2のガイド52の端部52cと、第1のガイド51の端部51cとの間隔が広がる。これにより、挿抜口53から鉄筋Sを抜くことがより容易になる。
【0084】
図13、14A、図14Bは、視認部の変形例を示す斜視図である。図13では、第1のガイド51と第2のガイド52との間の挿抜口53の位置を、ハンドル部304h側から視認可能とする視認部511を備える。
【0085】
視認部511は第2の視認部の一例で、カバー部11に設けられ、矢印A3で示す第3の方向に沿って左右の両側方に突出する。視認部511は、矢印A2で示す第2の方向において、図7に示す軸線Ax上に位置する。鉄筋Sを結束する動作では、図7に示すワイヤWの送り経路Wfを含む仮想面と、軸線Axに、鉄筋Sの交差箇所を略一致させることが好ましい。これにより、作業者は、鉄筋結束機1Aのハンドル部304hを両手で把持し、視認部510及び視認部511の位置を確認しながら、鉄筋Sの交差箇所に視認部510及び視認部511位置を合わせるようにして、挿抜口53に鉄筋Sを入れることができ、鉄筋Sに対して第1のガイド51の向きを合わせることが可能となる。
【0086】
図14A図14Bでは、交差した鉄筋Sに対する鉄筋結束機1Aの位置及び向きを、ハンドル部304h側から視認可能とし、鉄筋Sに対して第1のガイド51の向きを合わせることが可能な第2の視認部である視認部512(A、B)を備える。図14Aでは、視認部512Aは、カバー部11に設けられ、矢印A2で示す第2方向及び矢印A3で示す第3の方向に対して所定の角度で左右の両方向に突出する。一対の視認部512Aの角度は、略90°である。
【0087】
図14Bでは、視認部512Bは、一対のコンタクト部材9Aのそれぞれに設けられ、矢印A2で示す第2方向及び矢印A3で示す第3の方向に対して所定の角度で左右の両方向に延びる色を変えた線、線を示す凹凸形状等で構成される。一対の視認部512Bの角度は、略90°である。
【0088】
これにより、作業者は、鉄筋結束機1Aのハンドル部304hを両手で把持し、視認部512A、512Bの位置を確認しながら、視認部512A、512Bの向きを、交差した各鉄筋Sの向きに合わせるようにして、挿抜口53に鉄筋Sを入れることができる。
【0089】
図15A図15Bは、ガイド部の変形例を示す斜視図である。図15Aでは、ガイド部5Bは、鉄筋Sを挿抜口53に誘導する第2の誘導部である誘導部59Bを、挿抜口53と対向して第2のガイド52が設けられる側に備える。
【0090】
ガイド部5Bは、第3のガイド520を第2のガイド52の先端側に備える。第3のガイド520は、カバー部11を介して第2の本体部302に取り付けられる。第2のガイド52は、第1のガイド51に対して離れる方向及び近づく方向に移動する構成であるが、第3のガイド520は、第1のガイド51に対して離れる方向及び近づく方向に移動しない。
【0091】
第3のガイド520は、第2のガイド52を覆う形態で、矢印A1で示す第1の方向に沿って第2のガイド52の前方及び矢印A2で示す第2の方向に沿って第1のガイド51と反対方向に延び、第3のガイド520の先端側に誘導部59Bが設けられる。
【0092】
誘導部59Bは、第3のガイド520の先端から第2のガイド52の先端側に向けて、第3のガイド520と第1のガイド51との間隔が近づく面を設けて構成される。具体的には、誘導部59Bは、第3のガイド520の先端から、第2のガイド52の先端に向けて、矢印A1で示す第1の方向に対し、第3のガイド520と第1のガイド51との間隔が近づく方向に傾斜する傾斜面で構成される。
【0093】
図15Aの構成では、鉄筋Sに第3のガイド520の誘導部59Bを当て、鉄筋Sの表面を誘導部59Bが滑るように移動させることができる。そのため、誘導部59Bは、挿抜口53に鉄筋Sが入る方向へ、第3のガイド520を誘導できる。
【0094】
図15Bでは、ガイド部5Cは、鉄筋Sを挿抜口53に誘導する第2の誘導部である誘導部59Cを、挿抜口53と対向して第2のガイド52が設けられる側に備える。
【0095】
ガイド部5Cは、第3のガイド521を第2のガイド52の先端側に備える。第3のガイド521は、カバー部11を介して第2の本体部302に取り付けられる。第2のガイド52は、第1のガイド51に対して離れる方向及び近づく方向に移動する構成であるが、第3のガイド521は、第1のガイド51に対して離れる方向及び近づく方向に移動しない。
【0096】
第3のガイド521は、第2のガイド52を覆う形態で、矢印A1で示す第1の方向に沿って第1のガイド51の誘導部59と対向する部位まで第2のガイド52の前方に延び、第3のガイド520の先端側に、第1のガイド51の誘導部59と対向して誘導部59Cが設けられる。
【0097】
図15Bの構成では、第3のガイド521は、矢印A1で示す第1の方向に沿った長さが、第1のガイド51より長い。これにより、鉄筋Sに第3のガイド521の誘導部59Cを当て、鉄筋Sの表面を誘導部59Cが滑るように移動させて、鉄筋Sが第1のガイドの誘導部59と第3のガイド521の誘導部59Cの間に入れられることで、第3のガイド521の誘導部59Cに沿うようにして、鉄筋Sを挿抜口53へ誘導できる。
【0098】
図16A図16B図17A図17Bは、ガイド部の他の変形例を示す斜視図である。図16A図16Bでは、ガイド部5Dは、誘導部59と視認部510が設けられたガイドカバー部540を備える。第1のガイド51は、図7で説明したガイド面51gを有した溝部51h及び規制部材43を有し、ワイヤWを案内するガイドアーム51dを備える。更に、第1のガイド51はガイドカバー部540を備え、ガイドカバー部540はガイドアーム51dに対して着脱可能に構成される。ガイドアーム51dに設けられた溝部51h、規制部材43等の構成は、ワイヤWに巻き癖を付けるために必要であり、精度が要求されるため、ガイドアーム51dは、第2の本体部302に固定される部位として構成する。
【0099】
これに対し、誘導部59と視認部510は、ワイヤWに巻き癖を付けるために必要でない。そのため、ガイド面51gを有した溝部51h及び規制部材43に比較すると精度が要求されないため、ガイドアーム51dに対して独立した部位として、着脱可能に構成できる。
【0100】
誘導部59と視認部510が設けられたガイドカバー部540を、ガイドアーム51dに対して着脱可能に構成することで、ガイドカバー部540を交換可能である。また、必要に応じて、図16Aに示すようにガイドカバー部540を取り外した状態、図16Bに示すようにガイドカバー部540を取り付けた状態で使用できる。更に、他の機能を持ったガイドカバーをガイドアーム51dに取り付けることもできる。
【0101】
図17A図17Bでは、ガイドカバー部540Bは、誘導部59に代えて、鉄筋Sの位置を補正可能な係止部541を備える。係止部541は、ガイドカバー部540Bがガイドアーム51dに取り付けられた状態では、第1のガイド51から第2のガイド52方向に突出し、挿抜口53に入れられたワイヤWが係止可能に構成される。これにより、挿抜口53に入れられたワイヤWに係止部541を係止させ、鉄筋Sを持ち上げる方向に移動させて位置を補正した後、鉄筋Sの結束動作を行うことができる。
【0102】
<第2の実施の形態の鉄筋結束機の例>
図18は、第2の実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面図である。第2の実施の形態の鉄筋結束機1Bは、長尺状の形状ではなく、本体部10にハンドル部10hが突出する形態で設けられ、ハンドル部10hの前側に、鉄筋結束機1Bを作動させる操作を受けるトリガ10tが設けられる。鉄筋結束機1Bは、本体部10の一方の側にガイド部5が設けられる。
【0103】
ガイド部5は、鉄筋Sを挿抜口53に誘導する誘導部59を備える。誘導部59は、第1のガイド51の先端側に設けられ、第1のガイド51の先端から基端側に向けて、第1のガイド51と第2のガイド52との間隔が近づく方向に傾斜する傾斜面を設けて構成される、その他の構成は、第1の実施の形態の鉄筋結束機1Aと同様である。
【0104】
作業者は、鉄筋結束機1Bのハンドル部10hを把持し、2本の鉄筋Sの交差箇所にガイド部5の位置を合わせ、挿抜口53に鉄筋Sを入れる。
【0105】
鉄筋結束機1Bは、ガイド部5の位置を視認可能とする視認部510を備えることで、視認部510を視認しながら、第1のガイド51の位置を、鉄筋Sの交差箇所に容易に合わせることができる。
【0106】
また、鉄筋結束機1Bは、第1のガイド51の先端側に、鉄筋Sを挿抜口53に誘導する形状の誘導部59が設けられる。これにより、鉄筋Sに第1のガイド51の誘導部59が当てられると、挿抜口53に鉄筋Sが入る方向へ、第1のガイド51を誘導できる。
【0107】
更に、鉄筋結束機1Bは、挿抜口53に鉄筋Sが入れられていない状態では、第2のガイド52が第1の位置に移動し、第2のガイド52の端部52cと、第1のガイド51の端部51cとの間隔が広がる。これにより、挿抜口53に鉄筋Sを入れることがより容易になる。
【0108】
作業者は、挿抜口53に鉄筋Sを入れる方向へ鉄筋結束機1Bを移動させる動作で、コンタクト部材9Aの当接部91Aに鉄筋Sを押し付ける。
【0109】
コンタクト部材9Aは、挿抜口53に鉄筋Sを入れる方向へ鉄筋結束機1Aを移動させる動作で、鉄筋結束機1Aが移動する方向に沿った力を受けて当接部91Aが押される。これにより、コンタクト部材9Aは、当接部91Aが矢印A1で示す第1の方向に沿って移動することで軸90Aを支点に回動し、図10Bの説明と同様に、作動位置に移動する。
【0110】
コンタクト部材9Aの当接部91Aは、軸90Aを支点とした回動動作で、矢印A1で示す第1の方向に沿って移動する。これにより、挿抜口53に鉄筋Sを入れる方向へ鉄筋結束機1Aを移動させる動作で、当接部91Aを押すことができ、コンタクト部材9Aを作動させるため、鉄筋結束機1Aを別の方向に移動させる必要がない。
【0111】
コンタクト部材9Aが作動位置に移動すると、軸90Aを支点とした連結部92Aの回動で、変位部93Aが第1のガイド51に近づく方向へ第2のガイド52を押し、第2のガイド52が第2の位置に移動する。
【0112】
第2のガイド52が第2の位置に移動すると、図11で説明した第2の出力部12Aの出力をオンになる。第2の出力部12Aの出力がオンとなるコンタクト部材9Aが作動位置に移動した状態では、鉄筋Sが図7に破線で示すワイヤWの送り経路Wf内であって、結束可能位置に入れられた状態である。これにより、第2の出力部12Aは、鉄筋SがワイヤWの送り経路Wf内に入れられたことを検知できる。
【0113】
作業者がトリガ10tを操作することで、図示しない第1の出力部の出力がオンになる。コンタクト部材9Aの当接部91Aに鉄筋Sが押し付けられておらず、コンタクト部材9Aが待機位置にあり、第2の出力部12Aの出力がオフの状態では、トリガ10tが操作されて、図示しない第1の出力部の出力がオンになっても、ワイヤWで鉄筋Sを結束する一連の動作が実行されない。これに対し、トリガ10tが操作されて、図示しない第1の出力部の出力がオンになった状態で、コンタクト部材9Aの当接部91Aに鉄筋Sが押し付けられ、コンタクト部材9Aが作動位置に移動して、第2の出力部12Aの出力がオンになると、ワイヤWで鉄筋Sを結束する一連の動作が実行される。または、作業者は、コンタクト部材9Aの当接部91Aに鉄筋Sを押し付けた状態で、トリガ10tを操作する。トリガ10tが操作されることで、図示しない第1の出力部の出力がオンになり、ワイヤWで鉄筋Sを結束する一連の動作が実行される。
【0114】
<第3の実施の形態の鉄筋結束機の例>
図19A図19Bは、第3の実施の形態の鉄筋結束機の要部を示す側面図である。
【0115】
第3の実施の形態の鉄筋結束機1Cは、コンタクト部材と第2のガイドが連動しない構成であり、図1等で説明したように、第1の本体部301と第2の本体部302が長尺状の連結部303で連結された形態、または、図18で説明したように、長尺状の形状ではなく、本体部10にハンドル部10hが突出する形態に適用される。
【0116】
鉄筋結束機1Cは、ワイヤを案内するガイド部5を備える。ガイド部5は、第1のガイド51と第2のガイド52を備える。第1のガイド51及び第2のガイド52は、図1等で説明した第2の本体部302、または、図18で説明した本体部10の前側の端部に取り付けられ、矢印A1で示す第1の方向に延びる。第2のガイド52は、第1の方向と直交する矢印A2で示す第2の方向に、第1のガイド51と対向して設けられる。第2のガイド52は、図示しない軸を支点とした回転で、第1のガイド51に対して近づく方向と離れる方向に移動可能に構成されていても良い。ガイド部5は、鉄筋を挿抜口53に誘導する誘導部59を備える。誘導部59は、第1のガイド51の先端側に設けられる。
【0117】
第1のガイド51は、ガイド部5の位置を視認可能とする視認部510を備える。視認部510は、第1のガイド51の基端側に設けられ、第2のガイド52が設けられる側と反対の方向に向けて、第2の本体部302から第2の方向に突出する。
【0118】
鉄筋結束機1Cは、鉄筋Sが当接するコンタクト部材9Bを備える。コンタクト部材9Bは、軸90Bに回動可能に支持されることでカバー部11を介して第2の本体部302または本体部10に取り付けられる。コンタクト部材9Bは、軸90Bに対して一方の側に、鉄筋Sを当接する当接部91Bが設けられる。コンタクト部材9Bは、当接部91Bが、軸90Bから矢印A2で示す第2の方向に沿って、第1のガイド51が設けられた方向に延びる。
【0119】
コンタクト部材9Bは、第1のガイド51と第2のガイド52の中間付近に軸90Bが設けられる。また、コンタクト部材9Bは、第1のガイド51と第2のガイド52との間で、軸90Bで支持される部位近傍から第1のガイド51側に、一対の当接部91Bが設けられる。当接部91Bは、鉄筋Sを結束したワイヤWが通ることが可能な間隔を空けて、第3の方向に沿った両側に設けられる。当接部91Bは、第1のガイド51の左右両側まで延びる。
【0120】
コンタクト部材9Bは、軸90Bを支点として回動し、図19Aに示すように、当接部91Bがカバー部11から挿抜口53に突出する待機位置と、図19Bに示すように、当接部91Bがカバー部11に近づく作動位置との間を移動する。コンタクト部材9Bは、待機位置へ移動する方向へ図示しない付勢部材により付勢され、待機位置へ移動した状態が保持される。
【0121】
鉄筋結束機1Cは、コンタクト部材9Bが作動位置に移動したことを検知する第2の出力部14Aを備える。図19Aに示すように、コンタクト部材9Bが待機位置に移動すると、コンタクト部材9Bの当接部91Bが可動子140から離れる方向に移動する。このように、コンタクト部材9Bが待機位置に移動した状態での第2の出力部14Aの出力をオフとする。これに対し、当接部91Bが鉄筋に押し付けられ、図19Bに示すように、コンタクト部材9Bが作動位置に移動することで、コンタクト部材9Bの当接部91Bが可動子140を押す方向に移動する。このように、コンタクト部材9Bが作動位置に移動した状態での第2の出力部14Aの出力をオンとする。
【0122】
図1等で説明したように、第1の本体部301と第2の本体部302が長尺状の連結部303で連結された形態に適用した場合、操作部304tが操作されることにより第1の出力部15の出力がオンになったことを検知した状態で、コンタクト部材9Bが作動位置に移動することで、第2の出力部14Aの出力がオンになったことを検知すると、上述したように、送りモータ31と捩りモータ80を制御して、ワイヤWで鉄筋Sを結束する一連の動作を実行する。
【0123】
また、図18で説明したように、長尺状の形状ではなく、本体部10にハンドル部10hが突出する形態に適用した場合、トリガ10tが操作されて、図示しない出力部の出力がオンになった状態で、コンタクト部材9Bの当接部91Bに鉄筋Sが押し付けられ、コンタクト部材9Bが作動位置に移動して、第2の出力部14Aの出力がオンになると、ワイヤWで鉄筋Sを結束する一連の動作が実行される。
【0124】
コンタクト部材と第2のガイドが連動しない構成でも、ガイド部5の位置を視認可能とする上述した視認部510を備えることで、視認部510を視認しながら、第1のガイド51の位置を、鉄筋Sの交差箇所に容易に合わせることができる。
【0125】
また、第1のガイド51の先端側に、鉄筋Sを挿抜口53に誘導する形状の誘導部59を備えることで、鉄筋Sに第1のガイド51の誘導部59が当てられると、挿抜口53に鉄筋Sが入る方向へ、第1のガイド51を誘導できる。
【0126】
<第4の実施の形態の鉄筋結束機の例>
図20は、第4の実施の形態の鉄筋結束機の要部を示す側面図である。
【0127】
第4の実施の形態の鉄筋結束機1Dは、コンタクト部材を備えていない構成であり、図1等で説明したように、第1の本体部301と第2の本体部302が長尺状の連結部303で連結された形態、または、図18で説明したように、長尺状の形状ではなく、本体部10にハンドル部10hが突出する形態に適用される。
【0128】
鉄筋結束機1Dは、ワイヤを案内するガイド部5を備える。ガイド部5は、第1のガイド51と第2のガイド52を備える。第1のガイド51及び第2のガイド52は、図1等で説明した第2の本体部302、または、図18で説明した本体部10の前側の端部に取り付けられ、矢印A1で示す第1の方向に延びる。第2のガイド52は、第1の方向と直交する矢印A2で示す第2の方向に、第1のガイド51と対向して設けられる。第2のガイド52は、図示しない軸を支点とした回転で、第1のガイド51に対して近づく方向と離れる方向に移動可能に構成されていても良い。ガイド部5は、鉄筋を挿抜口53に誘導する誘導部59を備える。誘導部59は、第1のガイド51の先端側に設けられる。
【0129】
第1のガイド51は、ガイド部5の位置を視認可能とする視認部510を備える。視認部510は、第1のガイド51の基端側に設けられ、第2のガイド52が設けられる側と反対の方向に向けて、第2の本体部302から第2の方向に突出する。
【0130】
コンタクト部材を備えていない構成でも、ガイド部5の位置を視認可能とする上述した視認部510を備えることで、視認部510を視認しながら、第1のガイド51の位置を、鉄筋Sの交差箇所に容易に合わせることができる。
【0131】
また、第1のガイド51の先端側に、鉄筋Sを挿抜口53に誘導する形状の誘導部59を備えることで、鉄筋Sに第1のガイド51の誘導部59が当てられると、挿抜口53に鉄筋Sが入る方向へ、第1のガイド51を誘導できる。
【0132】
なお、コンタクト部材を備えていない構成でも、結束対象となる鉄筋Sの奥側に、別の鉄筋、壁面等の障害物が存在する場合、第1のガイド51の先端P1が障害物に当たると、結束対象の鉄筋Sをコンタクト部材9Aの当接部91Aに当接させることができない。これに対し、第1のガイド51の先端P1から、第1のガイド51の先端側における溝部51hの端部P2までの長さが、10mm以上30mm以下であれば、第1のガイド51の先端P1が障害物に当たることが抑制され、鉄筋Sをカバー部11に当接させることができる。
【0133】
<第5の実施の形態の鉄筋結束機の例>
図21A及び図21Bは、第5の実施の形態の鉄筋結束機の要部を示す斜視図である。
【0134】
第5の実施の形態の鉄筋結束機1Eは、ガイド部5の第1のガイド51、51Eに突出部57を備える。突出部57は、矢印A3に示す第3の方向に沿って第1のガイド51、51Eの側方に突出する部位を設けて構成される。
【0135】
突出部57は、図21Aでは、第1のガイド51の一方の側板部と他方の側板部の上端部を、第3の方向に沿ってそれぞれ外側に曲げる形態で構成される。図21Bでは、第1のガイド51Eは、上述したガイド面51gを有した溝部51h及び規制部材43を有し、ワイヤWを案内するガイドアーム51dが、金属の板材で構成されるカバー部57Aで覆われる構成である。突出部57は、ガイドアーム51dの一方の側部を覆うカバー部57Aの上端部と、他方の側部を覆うカバー部57Aの上端部を、第3の方向に沿ってそれぞれ外側に曲げる形態で構成される。なお、突出部57は、第1のガイド51、ガイドアーム51dまたはカバー部57Aの側部に凹凸形状を設けることで構成してもよい。
【0136】
第1のガイド51は、挿抜口53に鉄筋Sを入れる動作で鉄筋Sが当たりやすい。そこで、第1のガイド51に側方に突出する形態の突出部57を備えることで、第1のガイド51の剛性、特に、第1のガイド51を第3の方向に沿った面方向に曲げる力に対する剛性が向上する。これにより、第1のガイド51の変形に起因する結束不良の発生を抑制できる。また、第1のガイド51Eでも同様に、カバー部57Aの側方に突出する形態の突出部57を備えることで、カバー部57Aの剛性が向上し、カバー部57Aでガイドアーム51dが補強されることで、第1のガイド51E全体の剛性が向上する。これにより、カバー部57Aのみならず、ガイドアーム51dを含む第1のガイド51Eの変形に起因する結束不良の発生を抑制できる。
【符号の説明】
【0137】
1A、1B、1C、1D、1E・・・鉄筋結束機、10・・・本体部、10h・・・ハンドル部、10t・・・トリガ、11・・・カバー部、12A、14A・・・第2の出力部、120・・・可動子、15・・・第1の出力部、2・・・収容部、20・・・ワイヤリール、3・・・送り部、30・・・送りギア、31・・・送りモータ、4・・・規制部、42・・・規制部材、43・・・規制部材、44・・・伝達機構、5、5B、5C、5D・・・ガイド部、51、51E・・・第1のガイド、51d・・・ガイドアーム、51g・・・ガイド面、51h・・・溝部、P2・・・端部、51c・・・端部、52・・・第2のガイド、52a・・・サイドガイド、52b・・・軸、52c・・・端部、53・・・挿抜口、54・・・付勢部材、57・・・突出部、57A・・・カバー部、59・・・誘導部(第1の誘導部)、59B、59C・・・誘導部(第2の誘導部)、510、511・・・視認部(第1の視認部)、512A、512B・・・視認部(第2の視認部)、520、521・・・第3のガイド、540、540B・・・ガイドカバー部、541・・・係止部、6・・・切断部、60・・・固定刃部、60a・・・開口、61・・・可動刃部、62・・・伝達機構、7・・・捩り部、70・・・係合部、71・・・作動部、8・・・駆動部、80・・・捩りモータ、81・・・減速機、82・・・回転軸、83・・・移動部材、9A、9B・・・コンタクト部材、90A、90B・・・軸、91A、91B・・・当接部、92A・・・連結部、93A・・・変位部、100A・・・制御部、301・・・第1の本体部、302・・・第2の本体部、303・・・連結部、304h・・・ハンドル部、304L、304R・・・グリップ部、304t・・・操作部、W・・・ワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19A
図19B
図20
図21A
図21B