(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175833
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】炭酸塩骨材組成物ならびにその製造および使用方法
(51)【国際特許分類】
C04B 14/26 20060101AFI20231205BHJP
C04B 28/02 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
C04B14/26
C04B28/02
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023150335
(22)【出願日】2023-09-15
(62)【分割の表示】P 2021540033の分割
【原出願日】2020-01-23
(31)【優先権主張番号】62/795,986
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515061156
【氏名又は名称】ブルー プラネット システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】カン,スンヒ
(72)【発明者】
【氏名】ユネス,モハマド アル ハッジ
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンツ,ブレント アール.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】炭酸塩骨材を作る方法を提供する。
【解決手段】本方法の態様は、炭酸塩スラリーを調製することと、例えば、基質および/または骨材粒子上の球状コーティングで例えば構成された炭酸塩骨材を生成するために十分な条件下で炭酸塩スラリーを(任意選択的に骨材基質とともに)回転ドラムに導入することによって、炭酸塩スラリーを回転作用に供することとを含む。また、本方法によって製造された骨材組成物、ならびに炭酸塩被覆骨材を含む組成物、例えばコンクリート、およびその使用も提供される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸塩スラリーを調製することと、
前記炭酸塩スラリーおよび骨材基質を回転ドラム内に導入することと、
炭酸塩被覆骨材を製造するために十分な条件下で、回転ドラム内で前記炭酸塩スラリーおよび骨材基質を混合することと
によって製造された、炭酸塩被覆骨材組成物。
【請求項2】
(a)セメントと、
(b)請求項1に記載の炭酸塩被覆骨材組成物と
を含む、コンクリート乾燥複合材。
【請求項3】
前記セメントが水硬性セメントを含む、請求項2に記載のコンクリー乾燥複合材。
【請求項4】
前記水硬性セメントがポルトランドセメントを含む、請求項3に記載のコンクリート乾燥複合材。
【請求項5】
請求項1に記載の炭酸塩被覆骨材組成物、セメントおよび液体を組み合わせることによって製造された、硬化可能組成物。
【請求項6】
前記セメントが水硬性セメントである、請求項5に記載の硬化可能組成物。
【請求項7】
前記水硬性セメントがポルトランドセメントを含む、請求項6に記載の硬化可能組成物。
【請求項8】
補助セメント材料をさらに含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の硬化可能組成物。
【請求項9】
混和剤をさらに含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の硬化可能組成物。
【請求項10】
前記硬化可能組成物が流動性である、請求項5~9のいずれか一項に記載の硬化可能組成物。
【請求項11】
請求項5~10のいずれか一項に記載の硬化可能組成物から製造された、固体形成構造物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
コンクリートは、その配置が簡単で耐荷重性が高いため、世界で最も広く使用されているエンジニアリング材料である。現在の世界のコンクリート消費量は、年間110億メートルトンを超えると推定されている。(コンクリート、微細構造、特性および材料(2006、McGraw-Hill))。
【0002】
コンクリートの主成分は、ポルトランドセメントなどのセメントに、粗骨材および細骨材、空気、ならびに水を加えたものである。従来のコンクリートの骨材には、砂、天然砂利、および砕石が含まれる。特に軽量コンクリートでは、人工骨材も使用され得る。成分材料が一緒に混合されると、骨材どうしを接着して石のような材料を形成するセメントと水が反応する水和の化学的プロセスのために、混合物が固まるか、または硬化する。成分材料の比率は、結果として得られるコンクリートの物理的特性に影響を与え、そのため、混合成分の比率は、特定用途の要件を満たすように選択される。
【0003】
二酸化炭素を排出して主成分を新たな化合物に化学結合させる高温プロセスにおいて、ポルトランドセメントは、主に石灰石、特定の粘土鉱物、および石膏から作られる。混合物を燃焼させるために必要なエネルギーは、生成されるセメント1トンあたり約4GJを消費する。
【0004】
二酸化炭素は、セメント製造プロセス自体と、製造プロセスを実行するための電力を生成するエネルギープラントとの両方によって生成されるため、セメント製造は、現在の二酸化炭素大気排出の主要な発生源である。セメントプラントは世界の二酸化炭素排出量の5%を占めると推定されている。地球温暖化と海洋酸性化とが、高まりつつある問題になり、二酸化炭素ガスの排出量(地球温暖化の主な原因)の削減要求が継続しているために、セメント製造業界はますます精査されることになる。
【0005】
セメントプラントで採用される化石燃料には、石炭、天然ガス、石油、使用済みタイヤ、都市ごみ、石油コークス、およびバイオ燃料が含まれる。燃料は、タールサンド、オイルシェール、石炭液、ならびに、合成ガスを介して製造される石炭ガス化およびバイオ燃料からも得られる。セメントプラントは、化石燃料の燃焼と、石灰岩、頁岩および他の成分をポルトランドセメントへと変更する焼成から放出されるCO2との両方から、CO2排出の主要な発生源である。セメントプラントはまた、廃熱を発生させる。さらに、セメントプラントは、NOx、SOx、VOC、粒子状物質、および水銀などの他の汚染物質を生成する。セメントプラントはまた、セメントキルンダスト(CKD)を生成し、これは、しばしば危険材料埋立地で埋め立てられる必要がある場合がある。
【0006】
CO2排出量は、地球温暖化および海洋酸性化の現象の主な原因として特定されている。CO2は燃焼の副産物であり、それは、運用上、経済上、および環境上の問題を引き起こす。CO2および他の温室効果ガスの大気中濃度上昇が、高まる地表温度および急速な気候変動につながる大気中での熱のより大きな蓄積を促進してしまうことが予期される。CO2はまた、海洋とも相互作用しており、pHを8.0へと下げている。CO2監視によれば、大気中のCO2は、1950年代の約280百万分率(ppm)から、現在は約400ppmに上昇していることが示されている。気候変動の影響は、経済的に費用がかかり、環境に有害である可能性がある。気候変動の潜在的リスクを減らすことはCO2の隔離を必要とする。
【発明の概要】
【0007】
炭酸塩骨材を製造する方法が提供されている。本方法の態様は、炭酸塩スラリーを調製することと、例えば、回転ドラム内に、例えば基質上の球状コーティングおよび/または凝集粒子からなる炭酸塩骨材を製造するために十分な条件下で炭酸塩スラリー(任意選択的に骨材基質を伴う)を導入することによって、炭酸塩スラリーを回転作用に供することとを含む。また、本方法によって製造された骨材組成物、ならびに炭酸塩被覆骨材を含む組成物、例えばコンクリート、およびその使用も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態による方法の概略図を提供し、本方法は、陽イオン源と水性炭酸塩とを組み合わせて、CO
2隔離炭酸塩沈殿物を製造する。
【
図2】本発明の実施形態による方法の概略図を提供し、本方法は、再生された水性捕捉液体と煙道ガスとを組み合わせて、CO
2隔離炭酸塩沈殿物を製造する。
【
図3】本発明の実施形態による方法のプロセスフローチャートを提供し、例えば、陽イオン源と水性炭酸塩とを組み合わせてCO
2隔離炭酸塩沈殿物を製造することを、炭酸塩スラリーの調製と結合して、炭酸塩被覆骨材を製造するために骨材基質と混合する。
【
図4】本発明の実施形態による方法のプロセスフロー図を提供し、水性炭酸塩と陽イオン源とを組み合わせてCO
2隔離炭酸塩沈殿物を製造することを、炭酸塩スラリーの調製と結合して、炭酸塩被覆骨材を製造するために骨材基質と混合する。
【
図5】本方法の実施形態によって製造された骨材組成物についてのデータの表を示し、本方法は、炭酸塩被覆骨材を製造するために炭酸塩スラリーと細骨材基質とを混合することを含む。
【
図6】本方法の実施形態によって製造された、炭酸塩被覆骨材の特性にそれが関連するときの、炭酸塩スラリーの経年の影響を示す。
【
図7】本方法の実施形態によって製造された、炭酸塩被覆骨材の特性にそれが関連するときの、炭酸塩スラリーの固形分の影響を示す。
【
図8】本方法の実施形態によって製造された、骨材組成物が配合されたコンクリート組成物についての圧縮強度データを示し、本方法は、炭酸塩被覆骨材を製造するために炭酸塩スラリーと骨材基質とを混合することを含む。
【
図9】本方法の実施形態によって製造された、骨材組成物が配合されたコンクリート組成物についての圧縮強度データを示し、本方法は、炭酸塩骨材を製造するために炭酸塩スラリーを混合することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
炭酸塩骨材を製造する方法が提供されている。本方法の態様は、炭酸塩スラリーを調製することと、例えば、回転ドラム内に、例えば基質上の球状コーティングおよび/または凝集粒子からなる炭酸塩骨材を製造するために十分な条件下で炭酸塩スラリー(任意選択的に骨材基質を伴う)を導入することによって、炭酸塩スラリーを回転作用に供することとを含む。また、本方法によって製造された骨材組成物、ならびに炭酸塩被覆骨材を含む組成物、例えばコンクリート、およびその使用も提供される。
【0010】
本発明をより詳細に説明する前に、本発明は、記載した特定の実施形態に限定されるものではなく、それ自体、もちろん様々であり得ることを理解すべきである。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のみのためであり、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、限定を意図するものではないことも理解されるべきである。
【0011】
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、下限の単位の10分の1までの、その範囲の上限と下限との間における各介在値、および、その記載範囲における別様記載のまたは介在する値は、本発明に含まれることが理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、独立してより小さな範囲に含まれ得、また、記載範囲において特に除外された任意の限界を条件として、本発明に含まれる。記載範囲が一方または両方の限界を含む場合、それらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除外する範囲も、本発明に含まれる。
【0012】
本明細書では、特定の範囲が示され、数値の前に「約」という用語が付いている。「約」という用語は、本明細書では、それが先行する正確な数、ならびにその用語が先行する数に近い数かまたはほぼその数に対する文字通りのサポートを提供するために使用される。数が、具体的に記載された数に近いかまたはほぼ等しいか否かを決定する際に、近いかまたは近似する不記載の数は、それが提示される文脈において、具体的に記載された数についての実質的均等をもたらす数であり得る。
【0013】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、この発明が属する技術の当業者によって共通して理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似または均等の任意の方法および材料もまた、本発明の実施または試験に使用することができるが、代表的な例示的方法および材料がここに記載されている。
【0014】
この明細書で引用されるすべての刊行物および特許は、各個々の刊行物または特許が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように参照により本明細書に組み込まれ、出版物が関連して引用されている方法および/または材料を記述および記載するために参照により本明細書に組み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日より前のその開示についてであり、本発明が先行発明のためにそのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、提供される発行日は、個別に確認する必要があり得る実際の発行日とは異なり得る。
【0015】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、任意の任意選択的要素を除外するために起草され得ることにさらに留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連して「単独」、「のみ」などの排他的な用語を使用する、または「否定的な」制限を使用するための先行する基礎として機能することを目的としている。
【0016】
この開示を読むと当業者には明らかであるように、本明細書に記載および図示された個々の実施形態のそれぞれは、本発明の範囲または精神から離れることなく他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離されまたは組み合わされ得る別個の構成要素および特徴を有する。列挙された任意の方法は、列挙されたイベントの順序で、または論理的に可能な任意の他の順序で実行することができる。
【0017】
装置および方法は、機能的な説明を伴って文法的流動性のために説明されているか、または説明されるが、35U.S.C.§112の下で明示的に定式化されていない限り、特許請求の範囲は、「手段」または「ステップ」の制限の構築によっていかなる場合であっても必ずしも制限されると解釈されるべきではなく、均等法論の下で特許請求の範囲によって提供される定義の意味および均等物の全範囲を与えられるべきであり、特許請求の範囲が35U.S.C.§112に基づいて明示的に定式化されている場合には、35U.S.C.§112に基づく完全な法定均等物が付与されると明示的に理解されるべきである。
【0018】
炭酸塩骨材組成物を製造する方法
上記に要約したように、本発明の態様は、炭酸塩被覆骨材などの炭酸塩骨材を製造する方法を含む。「骨材」という用語は、その従来の意味で、粒状材料、すなわち、粒または粒子からなる材料を指すために使用される。骨材が炭酸塩骨材であるとき、粒状材料の粒子は、1つ以上の炭酸塩化合物を含み、炭酸塩化合物(複数可)成分は、必要に応じて、他の物質(例えば、基質)と組み合わされ得るか、または粒子全体を構成し得る。本発明の方法によって製造される炭酸塩骨材は、以下により詳細に記載される。
【0019】
本方法の態様は、炭酸塩スラリーを調製することと、回転ドラム内に炭酸塩スラリー(任意選択的に骨材基質を伴う)を導入することと、炭酸塩骨材を製造するために十分な条件下で回転ドラム内で炭酸塩スラリーを混合することとを含む。これらの各ステップについて、以下にさらにより詳しく説明する。いくつかの実施形態では、被覆骨材は凝集し、一緒に凝集した1つ超の基質粒子の複合骨材粒子を形成する。
【0020】
炭酸塩スラリー製造
上記に要約したように、本方法の態様は、炭酸塩スラリーの製造を含む。本発明の方法で製造される炭酸塩スラリーは、以下により詳細に記載されるような、アルカリ土類金属炭酸塩粒子、例えば、炭酸カルシウム粒子、炭酸マグネシウム粒子などの金属炭酸塩粒子を含むスラリーである。炭酸塩スラリーの固形分パーセントは様々であり得るが、いくつかの例では、炭酸塩スラリーは、40~60%の固形分などの30~80%の固形分を含む。炭酸塩スラリーの粘度は様々であり得るが、いくつかの例では、炭酸塩スラリーは、300~30,000を含む、9~900などの2~300,000センチポアズ(cPまたはcp)の範囲の粘度を有する。スラリー中に存在する炭酸塩粒子のサイズは様々であり得るが、いくつかの例では、粒子のサイズは、5~50μmを含む、0.5~5μmなどの0.1~50μmの範囲である。
【0021】
上記のような炭酸塩スラリーは、任意の好都合なプロトコルを使用して製造され得る。いくつかの例では、炭酸塩スラリーはCO2隔離プロセスを用いて製造される。CO2隔離プロセスとは、ある量のガス状CO2を固体炭酸塩に変換するプロセスを意味し、そこではCO2を固体鉱物として隔離する。炭酸塩スラリーを製造するために、様々な異なるCO2隔離プロセスを採用し得る。
【0022】
いくつかの例では、炭酸塩スラリーを製造するために、アンモニアを介したCO2隔離プロセスが採用される。そのような方法の実施形態は、必要に応じて、マルチステップまたはシングルステッププロトコルを含む。例えば、いくつかの実施形態において、CO2捕捉液体とCO2のガス源との組み合わせは、結果として水性炭酸塩を製造し、水性炭酸塩はそしてその後、二価陽イオン源、例えばCa2+および/またはMg2+源と接触させられ、炭酸塩スラリーを製造する。さらに他の実施形態では、ワンステップCO2ガス吸収炭酸塩沈殿プロトコルが採用される。
【0023】
CO2含有ガスは、供給源に応じて、純粋なCO2であり得るか、または、1つ以上の他のガスおよび/または粒子成分と組み合わされ得、例えば、それは多成分ガス(すなわち、多成分ガス流)であり得る。特定の実施形態では、CO2含有ガスは、例えば、CO2含有ガスが産業プラントからの廃棄供給物である場合、産業プラントから得られる。例えば、産業プラントからの廃棄供給物として、CO2含有ガスが得られ得る産業プラントは、様々であり得る。対象産業プラントには、発電所および産業生成物製造プラント、例えば、限定されないが化学的および機械的処理プラント、製油所、セメントプラント、製鉄所など、ならびに、CO2を燃料燃焼または他の処理ステップ(セメントプラントによる仮焼など)の副産物として生成する他の産業プラントが含まれるが、これらに限定されない。対象廃棄供給物には、例えば、産業プラントによって実行されるプロセスの二次的または付随的生成物として、産業プラントによって生成されるガス流が含まれる。
【0024】
特定の実施形態で対象となるものは、化石燃料、例えば、石炭、石油、天然ガス、ならびに、限定されないがタールサンド、重油、オイルシェールなどの天然に存在する有機燃料堆積物の人工燃料生成物を燃焼する産業プラントによって生成される廃棄物流である。特定の実施形態では、発電所は、微粉炭発電所、超臨界石炭発電所、大量燃焼石炭発電所、流動床石炭発電所、ガスまたは石油燃焼ボイラーおよび蒸気タービン発電所、ガスまたは石油燃焼ボイラー単純サイクルガスタービン発電所、ならびに、ガスまたは石油燃焼ボイラー複合サイクルガスタービン発電所である。特定の実施形態で対象となるものは、合成ガス、すなわち、有機物、例えば、石炭、バイオマスなどのガス化によって生成されるガスを燃焼する発電所によって生成される廃棄物流であり、特定の実施形態では、そのようなプラントは、統合ガス化複合サイクル(IGCC)プラントである。特定の実施形態で対象となるものは、熱回収蒸気発生器(HRSG)プラントによって生成される廃棄物流である。対象廃棄物流にはまた、セメントプラントによって生成された廃棄物流も含まれる。本発明の方法でその廃棄物流を採用し得るセメントプラントには、湿式プロセスプラントと乾式プロセスプラントとの両方が含まれ、これらのプラントは、シャフトキルンまたはロータリーキルンを採用し得、予備焼成機を含み得る。これらのタイプの産業プラントのそれぞれは、単一の燃料を燃焼させ得るか、または2つ以上の燃料を連続してまたは同時に燃焼させ得る。対象廃棄物流は、例えば煙道ガスなどの産業プラント排気ガスである。「煙道ガス」とは、産業プラントの煙道としても知られる煙突にその後に送られる化石燃料またはバイオマス燃料の燃焼による燃焼生成物から得られるガスを意味する。
【0025】
これらの産業プラントは、それぞれ単一の燃料を燃焼し得、または、2つ以上の燃料を連続してまたは同時に燃焼し得る。製錬所および製油所などの他の産業プラントもまた、二酸化炭素を含む廃棄物流の有用な供給源である。
【0026】
産業廃棄物ガス流には、主要な非空気由来成分として二酸化炭素が含まれ得、または、特に石炭火力発電所の場合、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、および1つ以上の追加ガスのような追加の成分(まとめて非CO2汚染物質と呼ばれ得る)が含まれ得る。追加ガスおよび他の成分には、CO、水銀および他の重金属、および粉塵粒子(例えば、仮焼および燃焼プロセスからの)が含まれ得る。ガス流中の追加の非CO2汚染物質成分には、塩化水素およびフッ化水素などのハロゲン化物;フライアッシュ、ダストなどの粒子状物質、および、ヒ素、ベリリウム、ホウ素、カドミウム、クロム、クロムVI、コバルト、鉛、マンガン、水銀、モリブデン、セレン、ストロンチウム、タリウム、バナジウムなどの金属;炭化水素、ダイオキシン、PAH化合物などの有機物も含まれ得る。処理し得る適切なガス状廃棄物流は、いくつかの実施形態では、200ppm~1,000,000ppm;または200ppm~500,000ppm;または200ppm~100,000ppm;または200ppm~10,000;または200ppm~5,000ppm;または200ppm~2000ppm;または200ppm~1000ppm;または200~500ppm;または500ppm~1,000,000ppm;または500ppm~500,000ppm;または500ppm~100,000ppm;または500ppm~10,000;または500ppm~5,000ppm;または500ppm~2000ppm;または500ppm~1000ppm;または1000ppm~1,000,000ppm;または1000ppm~500,000ppm;または1000ppm~100,000ppm;または1000ppm~10,000;または1000ppm~5,000ppm;または1000ppm~2000ppm;または2000ppm~1,000,000ppm;または2000ppm~500,000ppm;または2000ppm~100,000ppm;または2000ppm~10,000;または2000ppm~5,000ppm;または2000ppm~3000ppm;または5000ppm~1,000,000ppm;または5000ppm~500,000ppm;または5000ppm~100,000ppm;または5000ppm~10,000;または10,000ppm~1,000,000ppm;または10,00ppm~500,000ppm;または10,000ppm~100,000ppm;または50,000ppm~1,000,000ppm;または50,000ppm~500,000ppm;または50,000ppm~100,000ppm;または100,000ppm~1,000,000ppm;または100,000ppm~500,000ppm;または、200,000ppm~2000ppmを含む200,000ppm~1000ppm、例えば、180,000ppm~2000ppm、または180,000ppm~10,000ppmを含む180,000ppm~5000ppmの量で存在するCO2を有する。
【0027】
廃棄物流、特に燃焼ガスの種々の廃棄物流は、1つ以上の追加の非CO2成分、例示のみだが、水、NOx(窒素酸化物:NOおよびNO2)、SOx(硫黄酸化物:SO、SO2およびSO3)、VOC(揮発性有機化合物)、限定されないが水銀などの重金属、および粒子状物質(気体中に懸濁された固体または液体の粒子)を含み得る。煙道ガスの温度も様々であり得る。いくつかの実施形態では、CO2を含む煙道ガスの温度は、0℃~2000℃、または0℃~1000℃、または0℃~500℃、または0℃~100℃、または0℃~50℃、または10℃~2000℃、または10℃~1000℃、または10℃~500℃、または10℃~100℃、または10℃~50℃、または50℃~2000℃、または50℃~1000℃、または50℃~500℃、または50℃~100℃、または100℃~2000℃、または100℃~1000℃、または100℃~500℃、または500℃~2000℃、または500℃~1000℃、または500℃~800℃、または、100℃~400℃を含む60℃~700℃などである。
【0028】
CO2の別のガス源は、直接空気捕捉(DAC)によって生成されたCO2のガス源である。CO2のDAC生成ガス源は、直接空気捕捉(DAC)システムによって生成される生成ガスである。DACシステムは、二酸化炭素CO2を大気から直接、分離することができる技術クラスである。DACシステムは、空気からCO2を直接、捕捉する任意のシステムであり、DACシステムに投入される空気よりも高い濃度でCO2を含む生成ガスを生成する。CO2のDAC生成ガス源におけるCO2の濃度は様々であり得、いくつかの例では、濃度が1,000ppm以上、例えば10,000ppm以上、100,000ppm以上であり、生成ガスが純粋なCO2でなくともよく、それにより、いくつかの例では生成ガスが、3%以上の非CO2成分、例えば5%以上の非CO2成分、10%以上の非CO2成分になり得る。生成流中に存在し得る非CO2成分は、投入空気および/またはDACシステムに由来する成分であり得る。いくつかの例では、DAC生成ガスにおけるCO2の濃度は、1,000~999,000ppm、例えば1,000~10,000ppm、または10,000~100,000ppm、または100,000~999,000ppmの範囲である。DAC生成ガス流は、いくつかの実施形態では、200ppm~1,000,000ppm、または200ppm~500,000ppm;または200ppm~100,000ppm;または200ppm~10,000ppm;または200ppm~5,000ppm;または200ppm~2000ppm;または200ppm~1000ppm;または200~500ppm;または500ppm~1,000,000ppm;または500ppm~500,000ppm;または500ppm~100,000ppm;または500ppm~10,000ppm;または500ppm~5,000ppm;または500ppm~2000ppm;または500ppm~1000ppm;または1000ppm~1,000,000ppm;または1000ppm~500,000ppm;または1000ppm~100,000ppm;または1000ppm~10,000;または1000ppm~5,000ppm;または1000ppm~2000ppm;または2000ppm~1,000,000ppm;または2000ppm~500,000ppm;または2000ppm~100,000ppm;または2000ppm~10,000;または2000ppm~5,000ppm;または2000ppm~3000ppm;または5000ppm~1,000,000ppm;または5000ppm~500,000ppm;または5000ppm~100,000ppm;または5000ppm~10,000;または10,000ppm~1,000,000ppm;または10,00ppm~500,000ppm;または10,000ppm~100,000ppm;または50,000ppm~1,000,000ppm;または50,000ppm~500,000ppm;または50,000ppm~100,000ppm;または100,000ppm~1,000,000ppm;または100,000ppm~500,000ppm;または、200,000ppm~2000ppmを含む200,000ppm~1000ppm、例えば、180,000ppm~2000ppm、または180,000ppm~10,000ppmを含む180,000ppm~5000ppmの量で存在するCO2を有する。
【0029】
水性捕捉液体と接触するDAC生成ガスは、任意の好都合なDACシステムによって生成され得る。DACシステムは、CO2には結合するが、(窒素および酸素などの)他の大気中の化学物質には結合しない媒体を使用して空気からCO2を抽出するシステムである。空気がCO2結合媒体を通過すると、CO2は結合媒体に「貼り付く」。そして、刺激、例えば熱、湿度などに応答して、結合したCO2が結合媒体から放出され、ガス状のCO2含有生成物が生成され得る。対象DACシステムには、水酸化物ベースのシステム;CO2収着剤/温度スイングベースのシステム、およびCO2収着剤/温度スイングベースのシステムが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの例では、DACシステムは水酸化物ベースのシステムであり、空気を水性水酸化物液体と接触させることによってCO2が空気から分離される。水酸化物ベースのDACシステムの例には、PCT公開出願番号WO/2009/155539;WO/2010/022339;WO/2013/036859;およびWO/2013/120024に記載されているものが含まれるが、これらに限定されず、それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの例では、DACシステムはCO2収着剤ベースのシステムであり、空気をアミン収着剤などの収着剤と接触させることによって空気からCO2を分離し、続いて、収着剤を1つ以上の刺激、例えば、温度変化、湿度変化などにさらすことによって、収着剤で捕捉されたCO2を放出する。そのようなDACシステムの例には、PCT公開出願番号WO/2005/108297;WO/2006/009600;WO/2006/023743;WO/2006/036396;WO/2006/084008;WO/2007/016271;WO/2007/114991;WO/2008/042919;WO/2008/061210;WO/2008/131132;WO/2008/144708;WO/2009/061836;WO/2009/067625;WO/2009/105566;WO/2009/149292;WO/2010/019600;WO/2010/022399;WO/2010/107942;WO/2011/011740;WO/2011/137398;WO/2012/106703;WO/2013/028688;WO/2013/075981;WO/2013/166432;WO/2014/170184;WO/2015/103401;WO/2015/185434;WO/2016/005226;WO/2016/037668;WO/2016/162022;WO/2016/164563;WO/2016/161998;WO/2017/184652;およびWO/2017/009241に記載されているものが含まれるが、これらに限定されず、それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
CO2のDAC生成ガス源、および炭酸塩スラリー製造におけるそれらの使用に関する更なる詳細は、WO2018/160888として公開されたPCT公開出願番号PCT/US2018/020527に見出され得、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
上記に要約したように、水性捕捉液体は、水性炭酸塩を生成するために十分な条件下でCO2のガス源と接触させられる。水性捕捉液体は様々であり得る。水性捕捉液体の例には、淡水から重炭酸塩緩衝水性媒体までが含まれるが、これらに限定されない。本発明の実施形態で採用される重炭酸塩緩衝水性媒体は、重炭酸塩緩衝液が存在する液体媒体を含む。重炭酸塩緩衝水性媒体は、必要に応じて、天然に存在するまたは人工の媒体であり得る。天然に存在する重炭酸塩緩衝水性媒体には、海、海洋、湖、沼地、河口、ラグーン、塩水、アルカリ性湖、内海などから得られる水が含まれるが、これらに限定されない。重炭酸塩緩衝水性媒体の人工供給源は様々であり得、水脱塩プラントなどによって生成されたブラインを含み得る。そのような捕捉液体に関するさらなる詳細は、PCT公開出願番号WO2014/039578;WO2015/134408;およびWO2016/057709に提供されており、それらの出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
いくつかの実施形態において、水性捕捉アンモニアは、水性炭酸アンモニウムを生成するために十分な条件下で、CO2のガス源と接触させられる。水性捕捉アンモニア中のアンモニア濃度は様々であり得、いくつかの例では、水性捕捉アンモニアは、アンモニア(NH3)を、10ppm~350,000ppm、例えば、10~10,000ppm、または10~1,000ppm、または10~5,000ppm、または10~8,000ppm、または10~10,000ppm、または100~100,000ppm、または100~10,000ppm、または100~50,000ppm、または100~80,000ppm、または100~100,000ppm、または1,000~350,000ppm、または1,000~50,000ppm、または1,000~80,000ppm、または1,000~100,000ppm、または1,000~200,000ppm、または1,000~350,000ppm、または8,000~50,000ppmを含む6,000~85,000ppmの範囲の濃度で含む。水性捕捉アンモニアは、任意の好都合な水を含み得る。水性捕捉アンモニアが生成され得る対象の水には、淡水、海水、塩水、再生水またはリサイクル水、生成水および廃水が含まれるが、これらに限定されない。水性捕捉アンモニアのpHは様々であり得、いくつかの例では9.0~13.5、例えば10.5~12.5を含む9.0~13.0の範囲である。対象水性捕捉アンモニアに関するさらなる詳細は、PCT公開出願番号WO2017/165849に提供されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
CO2含有ガスは、例えば、上記のように、任意の好都合なプロトコルを使用して、水性捕捉液体、例えば、水性捕捉アンモニアと接触させられ得る。例えば、対象の接触プロトコルには、直接接触プロトコル、例えばある容積の水性媒体を通してガスをバブリングすること、同時接触プロトコル、すなわち一方向に流れる気相流および液相流の間の接触、向流プロトコル、すなわち逆に流れる気相流と液相流との間の接触、などが含まれるが、これらに限定されない。接触は、都合がよいように、注入器、バブラー、流体ベンチュリ反応器、スパージャー、ガスフィルター、スプレー、トレイ、スクラバー、吸収器または充填カラム反応器などを使用することによって達成され得る。いくつかの例では、接触プロトコルは、従来の吸収器または吸収器泡カラム、例えば米国特許番号7,854,791;6,872,240;および6,616,733;および米国特許出願公開番号US-2012-0237420-A1に記載のものを使用し得、それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。プロセスは、バッチまたは連続プロセスであり得る。いくつかの例では、再生泡コンタクター(RFC)を採用して、CO2含有ガスを水性捕捉液体、例えば水性捕捉アンモニアと接触させ得る。いくつかのそのような例では、RFCは、触媒(他の場所で説明されているような)、例えば、RFCの内部に固定化されている触媒を使用し得る。適切なRFCに関するさらなる詳細は、米国特許番号9,545,598に見出され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
いくつかの例では、CO2の気体源は、ミクロポーラス膜コンタクターを使用して液体と接触させられる。対象ミクロポーラス膜コンタクターは、適切なハウジング内に存在するミクロポーラス膜を含み、ハウジングは、ガス入口および液体入口、ならびにガス出口および液体出口を含む。コンタクターは、分子がミクロポーラス膜の細孔を介して気体から液体に溶解し得るように、気体と液体とが膜の反対側に接触するように構成されている。膜は、任意の好都合なフォーマットで構成され得、いくつかの例では、膜は中空繊維フォーマットで構成される。採用され得る中空繊維膜反応器フォーマットには、米国特許番号7,264,725;6,872,240および5,695,545に記載のものが含まれるが、これらに限定されず、それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの例では、採用されるミクロポーラス中空繊維膜コンタクターは中空繊維膜コンタクターであり、膜コンタクターはポリプロピレン膜コンタクターおよびポリオレフィン膜コンタクターを含む。
【0035】
捕捉液体とCO2含有ガスとの間の接触は、CO2含有ガスに存在するCO2の実質的部分が、例えば重炭酸イオンを生成するために、溶液になるような条件下で起こる。実質的部分とは、80%以上を含む50%以上などの10%以上を意味する。
【0036】
CO2含有ガスと接触する捕捉液体の温度は様々であり得る。いくつかの例では、温度は、40~70℃を含む20~80℃などの-1.4~100℃の範囲である。いくつかの例では、温度は、-1.1~45℃以上など、-1.4~50℃以上の範囲であり得る。いくつかの例では、より低い温度が採用され、そのような温度は、-1.1~0℃など、-1.4~4℃の範囲であり得る。いくつかの例では、より高い温度が採用される。例えば、捕捉液体の温度は、いくつかの例では、25℃以上、例えば30℃以上であり得、いくつかの実施形態では、25~50℃、例えば、30~40℃の範囲であり得る。
【0037】
CO2含有ガスと捕捉液体とは、所望のCO2充填液体の生成に適した圧力で接触される。いくつかの例では、接触条件の圧力は、最適なCO2吸収を提供するように選択され、そのような圧力は、1ATM~100ATM、例えば、1~50ATM、例えば、20~30ATMまたは1ATM~10ATMの範囲であり得る。自然に1ATMにある場所で接触が発生する場合、任意の好都合なプロトコルを使用して、圧力を所望圧力まで上昇させ得る。いくつかの例では、接触は、最適な圧力が存在する場所、例えば、海洋および海などの水域の表面下の場所で発生する。
【0038】
CO2のガス源が水性捕捉アンモニアと接触するそれらの実施形態において、接触は、水性炭酸アンモニウムを生成するために十分な方法で実施される。水性炭酸アンモニウムは様々であり得、いくつかの例では、水性炭酸アンモニウムは、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウムの少なくとも1つを含み、いくつかの例では、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウムの両方を含む。水性重炭酸アンモニウムは、DICを含む液体と見なし得る。したがって、水性捕捉アンモニアにCO2を充填する際に、CO2捕捉液体中で溶存無機炭素(DIC)を生成するために、つまりDIC含有液体を生成するために十分な条件下で、CO2含有ガスをCO2捕捉液体に接触させ得る。DICは、溶液中の無機炭素種の濃度の合計であり、次の式で表される:DIC=[CO2
*]+[HCO3
-]+[CO3
2-]、ここで[CO2
*]は二酸化炭素([CO2])および炭酸([H2CO3])濃度の合計であり、[HCO3
-]は重炭酸塩濃度(重炭酸アンモニウムを含む)であり、[CO3
2-]は、溶液中の炭酸塩濃度(炭酸アンモニウムを含む)である。水性媒体のDICは様々であり得、いくつかの例では、3ppm~168,000ppmの炭素(C)、例えば、3~1,000ppm、または3~100ppm、または3~500ppm、または3~800ppm、または3~1,000ppm、または100~10,000ppm、または100~1,000ppm、または100~5,000ppm、または100~8,000ppm、または100~10,000ppm、または1,000~50,000ppm、または1,000~8,000ppm、または1,000~15,000ppm、または1,000~30,000ppm、または5,000~168,000ppm、または5,000~25,000ppm、または8,000~95,000ppmを含む6,000~65,000ppmの炭素(C)であり得る。液体に溶解するCO2の量は様々であり得、いくつかの例では、0.05~40mM、例えば、25~30mMを含む1~35mMの範囲である。結果として得られるDIC含有液体のpHは様々であり得、いくつかの例では4~12、例えば7~11を含む6~11、例えば8~9.5の範囲である。
【0039】
必要に応じて、CO2含有ガスは、CO2の重炭酸塩への変換を媒介する触媒(すなわち、本質的に異種または同種のいずれかの吸収触媒)の存在下で捕捉液体と接触させられる。吸収触媒として対象となるものは、8~10の範囲のpHレベルで、溶解したCO2からの重炭酸イオンの生成速度を上げる触媒である。速度増加の大きさ(例えば、触媒が存在しないコントロールと比較して)は様々であり得、いくつかの例では、適切なコントロールと比較して、2倍以上、例えば5倍以上、例えば10倍以上である。そのような実施形態に適した触媒の例に関するさらなる詳細は、米国特許番号9,707,513に見出され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
いくつかの実施形態では、結果として得られる水性炭酸アンモニウムは、バルク液体、例えばバルク溶液中に液体凝縮相(LCP)の液滴を含む二相液体である。「液体凝縮相」または「LCP」とは、重炭酸イオンを含む溶液の相を意味し、重炭酸イオンの濃度は、周囲のバルク液体よりもLCP相の方が高い。LCP液滴は、重炭酸イオンがバルク溶液の濃度を超える凝縮濃度に会合し、非結晶溶液状態で存在する準安定重炭酸塩リッチ液体前駆体相の存在を特徴とする。LCPには、インターフェイスの外部にあるバルク溶液に見出されるすべての成分が含まれている。ただし、重炭酸イオンの濃度は、バルク溶液におけるよりも高い。LCP液滴が存在するそれらの状況では、LCPおよびバルク溶液にはそれぞれイオン対と核形成前クラスター(PNC)とが含まれ得る。存在する場合、イオンは、溶液中のイオン対およびPNCと比較して長期間、そのそれぞれの相に留まる。LCP含有液体に関するさらなる詳細は、米国特許出願シリアル番号14/636,043に提供され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
上記に要約したように、マルチステップおよび単一ステップの両方のプロトコルは、CO2隔離炭酸塩スラリーをCO2含有ガス水性捕捉アンモニアから生成するために採用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、生成水性炭酸アンモニウムは、CO2隔離炭酸塩スラリー生成モジュールに送られ、そこで、二価陽イオン、例えば、Ca2+および/またはMg2+が、水性炭酸アンモニウムと組み合わされて、CO2隔離炭酸塩スラリーを生成する。さらに他の例では、水性捕捉アンモニアは、二価陽イオン、例えば、Ca2+および/またはMg2+の供給源を含み、それにより、水性炭酸アンモニウムは、それが生成されるときに二価陽イオンと結合して、CO2隔離炭酸塩スラリーの生成をもたらす。
【0042】
したがって、いくつかの実施形態では、例えば上記のように、水性炭酸アンモニウムなどの水性炭酸塩の生成に続いて、水性炭酸塩は、続いて、固体CO2隔離炭酸塩を生成するために十分な条件下で陽イオン源と組み合わされる。異なる原子価(valance)の陽イオンは、固体炭酸塩組成物を形成する可能性がある(例えば、炭酸塩鉱物の形で)。いくつかの例では、ナトリウムおよびカリウムの陽イオンなどの一価の陽イオンを採用し得る。他の例では、アルカリ土類金属の陽イオン、例えばカルシウム(Ca2+)およびマグネシウム(Mg2+)の陽イオンなどの二価の陽イオンを採用し得る。陽イオンが水性炭酸塩に添加されると、二価の陽イオンがCa2+を含む場合のアモルファス炭酸カルシウム(CaCO3)などの炭酸塩固体の沈殿が、陽イオンあたり1つの炭酸塩種イオンの化学量論比で生成され得る。
【0043】
そのような場合、任意の好都合な陽イオン源を採用し得る。対象陽イオン源には、海水淡水化プラント、汽水淡水化プラント、地下水回収施設、廃水施設などの水処理施設からのブライン、陽イオン含有量が高い溶液の濃縮流を生成する、冷却塔などを備えた施設からのブローダウン水が含まれるが、これらに限定されない。対象陽イオン源はまた、限定されないが天然の海水および地質ブラインなどの天然に存在する源であり、これらは、陽イオン濃度が様々であり得、水性炭酸アンモニウムから炭酸塩固体の生成を誘因するための準備が整った陽イオン源を提供し得る。いくつかの例では、陽イオン源は、プロセスの別のステップの廃棄物、例えば水性アンモニウム塩からのアンモニウムの再生中に生成されるカルシウム塩(例えばCaCl2)であり得る。
【0044】
さらに他の実施形態では、水性捕捉アンモニアは、例えば上記のように、陽イオンを含む。陽イオンは、任意の好都合なプロトコルを使用して、水性捕捉アンモニア中に提供され得る。いくつかの例では、水性捕捉アンモニアに存在する陽イオンは、水性アンモニウム塩からの水性捕捉アンモニアの再生に使用されるジオマスに由来する。加えて、および/または代替的に、陽イオンは、例えば上記のように、水性捕捉アンモニアを陽イオン源と組み合わせることによって提供され得る。
【0045】
採用され得る他のCO2隔離炭酸塩スラリー製造プロトコルは、アルカリ集約プロトコルを含み、そこでは、CO2含有ガスは、約10以上のpHの水性媒体と接触させられる。そのようなプロトコルの例には、米国特許番号8,333,944;8,177,909;8,137,455;8,114,214;8,062,418;8,006,446;7,939,336;7,931,809;7,922,809;7,914,685;7,906,028;7,887,694;7,829,053;7,815,880;7,771,684;7,753,618;7,749,476;7,744,761;および7,735,274に記載されているものが含まれるが、これらに限定されず、それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0046】
例えば上記のように、水性炭酸アンモニウムなどの水性炭酸塩の生成に続いて、水性炭酸塩は、固体のCO2隔離炭酸塩を生成するために十分な条件下で陽イオン源と組み合わされる。異なる原子価(valance)の陽イオンは、固体の炭酸塩組成物を形成する可能性がある(例えば、炭酸塩鉱物の形で)。いくつかの例では、ナトリウムおよびカリウム陽イオンなどの一価の陽イオンを採用し得る。他の例では、アルカリ土類金属の陽イオン、例えばカルシウムおよびマグネシウムの陽イオンなどの二価の陽イオンを採用し得る。遷移金属、例えば、Fe、Mn、Cuなども採用し得る。陽イオンを水性炭酸塩に加えると、二価の陽イオンがCa2+を含む場合、アモルファス炭酸カルシウムなどの炭酸塩固体の沈殿が、陽イオンあたり1つの炭酸塩種イオンの化学量論比で生成され得る。
【0047】
そのような場合、任意の好都合な陽イオン源を採用し得る。対象陽イオン源には、限定されないが、陽イオン含有量が高い溶液の濃縮流を生成する、海水淡水化プラント、汽水淡水化プラント、地下水回収施設、廃水施設などの水処理施設からのブラインが含まれる。対象陽イオン源はまた、限定されないが天然の海水および地質ブラインなどの天然に存在する源であり、これらは、陽イオン濃度が様々であり得、水性炭酸アンモニウムから炭酸塩固体の生成を誘因する準備が整った陽イオン源を提供し得る。いくつかの例では、陽イオン源は、プロセスの別のステップの廃棄物、例えば、水性アンモニウム塩からのアンモニアの再生中に生成されるカルシウム塩(CaCl2など)であり得る。
【0048】
上記に要約したように、水性アンモニア捕捉液体およびCO2のガス源からのCO2隔離炭酸塩の生成は、水性アンモニウム塩をもたらす。生成される水性アンモニウム塩は、アンモニウム塩のアニオンの性質に関して様々であり得、水性アンモニウム塩中に存在し得る特定のアンモニウム塩には、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム硝酸アンモニウムなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0049】
上記で概説したように、本発明の態様は、例えば上記のように、水性アンモニウム塩から水性捕捉アンモニアを再生することをさらに含む。水性捕捉アンモニウムを再生することは、水性アンモニウム塩からある量のアンモニウムを生成するために十分な方法で水性アンモニウム塩を処理することを意味する。この再生ステップ中にアンモニアに変換される投入アンモニウム塩のパーセンテージは様々であり得、いくつかの例では5~80%、例えば15~55%、いくつかの例では20~80%、例えば35~55%の範囲である。
【0050】
アンモニアは、任意の好都合な再生プロトコルを使用して、この再生ステップで水性アンモニウム塩から再生され得る。いくつかの例では、蒸留プロトコルが採用される。任意の好都合な蒸留プロトコルを採用し得るが、いくつかの実施形態では、採用される蒸留プロトコルは、アルカリ性源、例えば、ジオマスの存在下で水性アンモニウム塩を加熱してガス状アンモニア/水生成物を生成することを含み、これはそして凝縮されて液体水性捕捉アンモニアを生成し得る。いくつかの例では、プロトコルは段階的なプロセスで連続的に起こり、アルカリ性源の存在下での水性アンモニウム塩の加熱が、液体水性捕捉アンモニアの蒸留および凝縮の前に起こる。
【0051】
水性アンモニウム塩中のアンモニウムをアンモニアに変換するために十分である限り、アルカリ性源は様々であり得る。任意の好都合なアルカリ性源を採用し得る。
【0052】
この再生ステップで採用され得るアルカリ性源には、化学薬品が含まれる。アルカリ性源として採用され得る化学薬品には、水酸化物、有機塩基、超強塩基、酸化物、および炭酸塩が含まれるが、これらに限定されない。水酸化物には、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、または水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を含む、溶液中に水酸化物アニオンを提供する化学種が含まれる。有機塩基は、メチルアミンなどの第一級アミン、ジイソプロピルアミンなどの第二級アミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの第三級アミン、アニリンなどの芳香族アミン、ピリジン、イミダゾールおよびベンズイミダゾールなどのヘテロ芳香族、ならびにそれらのさまざまな形態を含む、概して窒素塩基である炭素含有分子である。プロトン除去剤としての使用に適した超強塩基には、ナトリウムエトキシド、ナトリウムアミド(NaNH2)、水素化ナトリウム(NaH)、ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジエチルアミド、およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミドが含まれる。例えば、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化ベリリウム(BeO)、および酸化バリウム(BaO)を含む酸化物もまた、使用され得る適切なプロトン除去剤である。
【0053】
対象アルカリ性源はまた、シリカ源である。シリカの供給源は、シリカの供給源が所望のアルカリ性を与えるために十分である限り、純粋なシリカ、または他の化合物、例えば鉱物と組み合わせたシリカを含む組成物であり得る。いくつかの例では、シリカの供給源は天然に存在するシリカの供給源である。天然に存在するシリカの供給源には、砂またはより大きな岩の形をしていてもよいシリカ含有岩石が含まれる。供給源がより大きな岩石である場合、いくつかの例では、岩石は、それらのサイズを縮小してそれらの表面積を増やすために分解されている。対象となるものは、0.01mm~1m、例えば0.1mm~500cm、1mm~100cm、例えば1mm~50cmの範囲の最長寸法を含む構成要素からなるシリカ源である。シリカ源は、必要に応じて表面処理され得、供給源の表面積が増やされる。様々な異なる、天然に存在するシリカ源を採用し得る。対象となる天然に存在するシリカ源には、限定されないが火成岩が含まれ、これらの岩には、コマチアイト、ピクライト質玄武岩、キンバーライト、ランプロアイト、かんらん岩などの超マフィック岩;玄武岩、輝緑岩(ドレライト)、斑れい岩などの苦鉄質岩;安山岩および閃緑岩などの中間岩;デイサイトおよび花崗閃緑岩などの中間珪長質岩;流紋岩、アプライト、ペグマタイトおよび花崗岩などの珪長質岩が含まれる。また、人工のシリカ源も対象となるものである。人工のシリカ源には、限定されないが廃棄物流、例えば、鉱業廃棄物;化石燃料燃焼灰;スラグ、例えば鉄鋼スラグ、リンスラグ;セメントキルン廃棄物;石油精製/石油化学精製廃棄物、例えば油田およびメタンシームブライン;石炭シーム廃棄物、例えばガス生産ブラインおよび石炭シームブライン;紙加工廃棄物;軟水化、例えばイオン交換廃ブライン;シリコン処理廃棄物;農業廃棄物;金属仕上げ廃棄物;高pH繊維廃棄物;および苛性スラッジが含まれる。鉱業廃棄物には、地球からの金属またはその他の貴重なまたは有用な鉱物の抽出からの任意の廃棄物が含まれる。対象廃棄物には、pHを上げるために使用される鉱業からの廃棄物が含まれ、これには、バイエルアルミニウム抽出プロセスからの赤泥;例えばカリフォルニア州モスランディングにおける海水用マグネシウム抽出からの廃棄物;浸出を伴う他の採掘プロセスからの廃棄物が含まれる。石炭火力発電所などの化石燃料を燃焼させるプロセスからの灰は、多くの場合、シリカが豊富である灰を生成する。いくつかの実施形態では、化石燃料の燃焼、例えば石炭火力発電所から生じる灰は、フライアッシュ、例えば煙突から出る灰、およびボトムアッシュを含むシリカ源として提供される。シリカ源およびそれらの使用に関する追加の詳細は、米国特許番号9,714,406に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
本発明の実施形態では、灰がアルカリ性源として採用される。特定の実施形態において対象となるものは、灰としての石炭灰の使用である。この発明で採用される石炭灰は、微粉炭、亜炭、瀝青炭または亜瀝青炭の燃焼から、発電所ボイラーまたは石炭燃焼炉、例えば、連鎖格子ボイラー、サイクロンボイラーおよび流動床ボイラーで生成される残留物を指す。このような石炭灰には、排気ガスまたは煙道ガスによって炉から運ばれる細かく分割された石炭灰であるフライアッシュ、炉の底に凝集物として集まるボトムアッシュが含まれる。
【0055】
フライアッシュは、概して高度に異種成分からなり、石英、ムライト、さまざまな酸化鉄などのさまざまな識別可能な結晶相を持つガラス状粒子の混合物を含む。対象フライアッシュには、タイプFおよびタイプCのフライアッシュが含まれる。上記で参照したタイプFおよびタイプCのフライアッシュは、上記のようにCSA規格A23.5およびASTM C618によって定義されている。これらのクラスの主な違いは、灰におけるカルシウム、シリカ、アルミナ、鉄の成分量である。フライアッシュの化学的性質は、燃焼した石炭の化学的含有量(すなわち、無煙炭、瀝青炭、亜炭)に大きく影響される。対象フライアッシュには、実質的な量のシリカ(二酸化ケイ素、SiO2)(アモルファスと結晶の両方)と石灰(酸化カルシウム、CaO、酸化マグネシウム、MgO)とが含まれる。
【0056】
より硬く、より古い無煙炭と瀝青炭とを燃焼させると、典型的には、クラスFのフライアッシュが生成される。クラスFのフライアッシュは本質的にポゾランであり、10%未満の石灰(CaO)を含んでいる。より若い亜炭または亜瀝青炭の燃焼から生成されるフライアッシュは、ポゾラン特性を有することに加えて、いくつかの自己セメント特性も持っている。水の存在下では、クラスCのフライアッシュは、時間の経過とともに硬化して強度を増す。クラスCのフライアッシュは、概して20%超の石灰(CaO)を含む。アルカリおよび硫酸塩(SO4
2-)含有量は、概してクラスCのフライアッシュの方が高い。いくつかの実施形態では、例えば上記のように、フライアッシュをクラスFフライアッシュの特性により近づけて生成するようにクラスCフライアッシュに存在する成分の量を抽出することを意図して、クラスCフライアッシュを使用して例えば上記のように水性アンモニウム塩からアンモニアを再生することが対象となり、例えば、20%CaOを有するクラスCフライアッシュ中のCaOの95%を抽出することができ、したがって、1%CaOを有する、修復されたフライアッシュ材料が得られる。
【0057】
フライアッシュ材料は、排気ガスに浮遊している間に固化し、例えば電気集じん器またはフィルターバッグなどのさまざまなアプローチを使用して収集される。粒子は排気ガスに浮遊している間に固化するため、フライアッシュ粒子は概して球形で、サイズは0.5μm~100μmの範囲である。対象フライアッシュには、少なくとも約80重量%が45ミクロン未満の粒子を含むものが含まれる。また、本発明の特定の実施形態において対象となるものは、高アルカリ流動床燃焼器(FBC)フライアッシュの使用である。
【0058】
また、本発明の実施形態において対象となるものは、ボトムアッシュの使用である。ボトムアッシュは、石炭の燃焼により石炭燃焼ボイラー内で凝集物として形成される。そのような燃焼ボイラーは、湿式底ボイラーまたは乾式底ボイラーであり得る。湿式または乾式底ボイラーで製造される場合、ボトムアッシュは水中で急冷される。急冷により、90%が0.1mm~20mmの粒子サイズ範囲内に入るサイズを有する凝集物が得られ、ボトムアッシュ凝集物は、この範囲内で凝集物サイズの広い分布を有する。ボトムアッシュの主な化学成分は、Fe、Ca、Mg、Mn、Na、Kの酸化物の量が少ないシリカおよびアルミナ、ならびに、硫黄および炭素である。
【0059】
特定の実施形態において対象となるものはまた、火山灰を灰として使用することである。火山灰は小さなテフラ、つまり直径2ミリメートル未満の、火山噴火によって作られた粉砕岩石およびガラスの破片で構成されている。
【0060】
本発明の1つの実施形態では、セメントキルンダスト(CKD)がアルカリ性源として採用される。灰および/またはCKDが生成された燃料の性質、および燃料の燃焼手段は、結果として得られる灰および/またはCKDの化学組成に影響を与える。したがって、灰および/またはCKDは、pHを調整するための手段の一部、または唯一の手段として使用され得、様々な他の成分は、灰および/またはCKDの化学組成に基づいて、特定の灰および/またはCKDとともに利用され得る。
【0061】
本発明の特定の実施形態では、スラグがアルカリ性源として採用される。スラグは、唯一のpH調整剤として、または1つ以上の追加のpH調整剤、例えば灰などと組み合わせて使用され得る。スラグは、金属の処理から生成され、酸化カルシウムおよび酸化マグネシウム、ならびに鉄、シリコンおよびアルミニウム化合物を含み得る。特定の実施形態では、pH調整材料としてのスラグの使用は、沈殿生成物への反応性シリコンおよびアルミナの導入を介して追加の利点を提供する。対象スラグには、鉄製錬からの高炉スラグ、鉄および/または鋼の電気アークまたは高炉処理からのスラグ、銅スラグ、ニッケルスラグおよびリンスラグが含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
上記に示したように、灰(または特定の実施形態ではスラグ)は、水のpHを所望レベルに調製する唯一の方法として、特定の実施形態で採用される。さらに他の実施形態では、1つ以上の追加のpH調製プロトコルが、灰の使用と併せて採用される。
【0063】
また、特定の実施形態において対象となるものは、アルカリ性源として、他の廃棄物材料、例えば、破砕または解体またはリサイクルまたは返送されたコンクリートまたはモルタルの使用である。採用されると、コンクリートは溶解して砂と骨材とを放出し、これらは、必要に応じて、プロセスの炭酸塩製造部分にリサイクルされ得る。解体および/またはリサイクルされたコンクリートまたはモルタルの使用については、以下でさらに説明する。
【0064】
特定の実施形態において対象となるものは、鉱物アルカリ性源である。そのような場合に水性アンモニウム塩と接触する鉱物アルカリ性源は様々であり得、対象となる鉱物アルカリ性源には、例えば、上記のようにケイ酸塩、炭酸塩、フライアッシュ、スラグ、石灰、セメントキルンダストなどが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの例では、鉱物アルカリ性源は、例えば上記のように岩石を含む。
【0065】
実施形態において、アルカリ性源は、例えば、以下により詳細に記載されるように、ジオマスである。
【0066】
これらの実施形態において水性アンモニウム塩が加熱される温度は様々であり得るが、いくつかの例では、温度は25~185℃のような25~200℃の範囲である。所望温度を提供するために採用される熱は、蒸気、煙道ガス廃熱などの廃熱源など、任意の好都合な供給源から取得され得る。
【0067】
蒸留は任意の圧力で実施され得る。蒸留が大気圧で行われる場合、蒸留が行われる温度は様々であり得、いくつかの例では、60~100℃などの50~120℃、例えば70~90℃の範囲である。いくつかの例では、蒸留は大気圧未満の圧力で行われる。そのような実施形態における圧力は様々であり得るが、いくつかの例では、大気圧未満の圧力は、1~14psig、例えば2~6psigの範囲である。蒸留が大気圧未満の圧力で実施される場合、蒸留は、大気圧で実施される実施形態と比較して、低温で実施され得る。大気圧未満の圧力が採用されるいくつかの実施形態では、温度は、所望のようにこのような場合において様々であり得るが、温度は、15~60℃、例えば25~50℃の範囲である。大気圧未満の圧力の実施形態において対象となるものは、蒸留中に採用される熱のすべてではないにしても、いくつかについての廃熱の使用である。そのような場合に採用され得る廃熱源には、煙道ガス、プロセス蒸気凝縮物、CO2捕捉によって生成される吸収熱、および結果として生じる炭酸アンモニウム生成、および冷却液(例えば、上記のように、発電所、工場などの、ガスを含むCO2の同じ場所にある供給源からのものなど)、ならびにそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
水性捕捉アンモニア再生はまた、直流電流が水性アンモニウム塩に導入されてアンモニアを再生する、電気分解媒介プロトコルを使用して達成され得る。任意の好都合な電気分解プロトコルを採用し得る。水性アンモニウム塩からのアンモニアの再生に適合され得る電気分解プロトコルの例は、米国特許番号7,727,374および8,227,127、ならびに公開されたPCT出願公開番号WO/2008/018928に記載されている電気分解システムからの1つ以上の要素を採用し得、それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0069】
いくつかの例では、水性捕捉アンモニアは、例えば上記のような熱および/または電流の形で、エネルギーの入力なしに水性アンモニウム塩から再生される。そのような場合、水性アンモニウム塩は、例えば上記のように、再生された水性捕捉アンモニアを生成するために十分な方法で、ジオマス源などのアルカリ性源と組み合わされる。そして、結果として得られた水性捕捉アンモニアは、例えば、ストリッピングプロトコル等を介してなど、エネルギーの入力によって精製されない。
【0070】
結果として得られる再生された水性捕捉アンモニアは、例えば、採用される特定の再生プロトコルに応じて様々であり得る。いくつかの例では、再生された水性捕捉アンモニアは、0.1~25モル/リットル(M)の範囲、例えば12.0~16.0Mを含む4~20M、ならびに、上記で提供された水性捕捉アンモニアのために提供された範囲のいずれかの濃度のアンモニア(NH3)を含む。水性捕捉アンモニアのpHは様々であり得、いくつかの例では、10.0~12.5などの10.0~13.0の範囲である。いくつかの例では、例えば、水性捕捉アンモニアが、例えば上記のように、エネルギーの入力を含まないジオマス媒介プロトコルで再生される場合、再生された水性捕捉アンモニアは、陽イオン、例えば、Ca2+などの二価の陽イオンをさらに含み得る。さらに、再生された水性捕捉アンモニアは、ある量のアンモニウム塩をさらに含み得る。いくつかの例では、アンモニア(NH3)は、0.05~4モル/リットル(M)の範囲、例えば、0.1~2Mを含む0.05~1Mの濃度で存在する。水性捕捉アンモニアのpHは様々であり得、いくつかの例では8.0~11.0、例えば8.0から10.0の範囲である。水性捕捉アンモニアは、イオン、例えば、0.1~5モル/リットル(M)、例えば0.5~3Mを含む0.1~2Mの範囲の濃度のアンモニウム(NH4
+)などの一価の陽イオン、0.05~2モル/リットル(M)、例えば、0.2~1Mを含む0.1~1Mの範囲の濃度のカルシウム(Ca2+)などの二価の陽イオン、0.005~1モル/リットル(M)、例えば、0.01~0.5Mを含む0.005~0.1Mの範囲の濃度のマグネシウム(Mg2+)などの二価の陽イオン、0.005~1モル/リットル(M)、0.01~0.5Mを含む0.005~0.1Mの範囲の濃度の硫酸塩(SO4
2-)などの二価の陰イオンをさらに含み得る。
【0071】
方法の態様は、例えば上記のように、CO2隔離炭酸塩を生成するために十分な条件下で、例えば上記のように、再生された水性捕捉アンモニアをCO2のガス源と接触させることをさらに含む。言い換えれば、本方法は、再生されたアンモニアをプロセスにリサイクルすることを含む。そのような場合、再生された水性捕捉アンモニアは、唯一の捕捉液体として使用され得るか、または別の液体、例えば、補給水と組み合わされて、CO2捕捉液体として使用するために適した水性捕捉アンモニアを生成し得る。再生された水性アンモニアが追加の水と組み合わされる場合、任意の好都合な水を採用し得る。水性捕捉アンモニアがそこから生成され得る、対象の水には、淡水、海水、塩水、生成水および廃水が含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
いくつかの実施形態において、添加剤は、例えば以下に記載されるように、陽イオン源中に、および/または水性アンモニウム塩から再生された水性アンモニア捕捉液体中に存在する。添加剤には、例えば、マグネシウム(Mg2+)、ストロンチウム(Sr2+)、バリウム(Ba2+)、ラジウム(Ra2+)、アンモニウム(NH4
+)、硫酸塩(SO4
2-)、リン酸塩(PO4
3-、HPO4
2-、またはH2PO4
-)などのイオン種、例えばH2NCOO-のような、例えばオキシレート、カルバメート基などのカルボキシレート基、例えばマンガン(Mn)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、クロム(Cr)などの遷移金属の陽イオンが含まれ得る。いくつかの例では、添加剤は、陽イオン源に、および/または水性アンモニウム塩から再生された水性アンモニア捕捉液体に意図的に添加される。他の例では、添加剤は、方法のいくつかの実施形態の間に、アルカリ性源から、例えば、上記のようなジオマスから抽出される。いくつかの実施形態では、添加剤は、CO2隔離炭酸塩沈殿物の反応性に影響を及ぼし、例えば、いくつかの例では、炭酸カルシウムスラリーは、検出可能な方解石のモルホロジーを有さず、アモルファス炭酸カルシウム(ACC)、バテライト、アラゴナイト、またはそのようなモルホロジーの任意の組み合わせを含む他のモルホロジーであり得る。
【0073】
図1は、エネルギーの入力を含み、「ホット」プロセスと見なし得る、本発明の実施形態の概略図を提供する。
図1に示すように、煙道ガスおよび水性アンモニア(NH
3(aq))を含有するCO
2が、CO
2捕捉モジュールに組み合わされ、それにより、CO
2枯渇煙道ガスおよび水性炭酸アンモニウム(NH
4)
2CO
3(aq)の生成がもたらされる。そして、水性炭酸アンモニウムを、水性塩化カルシウム(CaCl
2(aq))および水性塩化アンモニウム(NH
4Cl(aq))、ならびに、(例えば、炭酸塩コーティングモジュール内の改質モジュールおよび/または新たな骨材基質からの)アップサイクルされたジオマスと組み合わされ、炭酸カルシウムは、CO
2隔離炭酸塩材料のコーティングを含む骨材生成物を製造するために、アップサイクルされたジオマスおよび/または新たな骨材基質を沈殿およびコーティングする。骨材生成物に加えて、炭酸塩コーティングモジュールは、水性アンモニウム塩、具体的には水性塩化アンモニウム(NH
4Cl(aq))をもたらし、そして、水性アンモニウム塩が改質モジュールに運ばれる。改質モジュールでは、水性アンモニウム塩を固体ジオマス(CaO(s))と組み合わせて、アップサイクルされ得るジオマス骨材と最初の再生水性アンモニア液体とがもたらされ、これには、水性アンモニア(NH
3(aq))、水性塩化カルシウム(CaCl
2(aq))および水性塩化アンモニウム(NH
4Cl(aq))が含まれる。そして、最初の再生水性アンモニア液体はストリッパーモジュールに運ばれ、そこで、蒸気によって提供される熱が採用されて、最初の再生液体から水性アンモニア(NH
3(aq))捕捉液体が静置される。(
図1では、化学反応式はバランスが取れておらず、説明のみを目的としていることに留意されたい)。
【0074】
図2は、蒸気ストリッピングまたは高圧システムが採用されていない本発明の別の実施形態の概略図を提供し、それにより、図示されたプロセスは、コールドプロセスと見なされ得る。
図2に示されるように、煙道ガスなどのCO
2リッチガスは、ガス吸収炭酸塩沈殿(GACP)モジュールで水性塩化カルシウム(CaCl
2(aq))および水性塩化アンモニウム(NH
4Cl(aq))も含む水性アンモニア(NH
3(aq))捕捉液体と組み合わされ、これにより、CO
2枯渇ガスと炭酸カルシウムスラリー(CaCO
3(s))とが生成される結果となる。ガス吸収炭酸塩沈殿(GACP)モジュールでは、改質モジュールからの懸濁液は、浮遊固体を含む水溶液として、または固体を含まない水溶液としてのいずれかで、二酸化炭素(CO
2)のガス源と直接、接触し、それにより、モジュール内の固体炭酸カルシウム(CaCO
3)が生成される。GACPモジュールでは、pHは塩基性であり得、いくつかの例では9以上であり、水性アンモニア(またはアルカリ性)濃度は0.20mol/L以上であり、カルシウムイオン濃度は0.10mol/L以上であり得る。GACPにおける温度は様々であり得、いくつかの例では15~35℃などの10~40℃の範囲であり、いくつかの例では温度は周囲温度以下であり、2~5℃などの2~10℃の範囲である。いくつかの例では、GACPモジュール内に供給される水性アンモニア捕捉液体は、熱源、例えば、発電所からの高温煙道ガスなどの廃熱源、および吸着または吸収の原理を使用して、例えば、冷却プロセスを推進するために必要なエネルギーを提供する、熱源入力を備えた吸収または吸着式の冷凍機またはチラーを使用して、冷却される。GACPによって生成された炭酸カルシウムスラリーに関して、いくつかの例では、スラリー沈殿炭酸カルシウムは、検出可能な方解石のモルホロジーを有さず、アモルファス(ACC)、バテライト、アラゴナイト、またはそのようなモルホロジーの任意の組み合わせを含む他のモルホロジーであり得る。そして、結果として得られた炭酸カルシウムスラリーは、炭酸塩凝集モジュールに運ばれ、そこで、それはアップサイクルされたジオマス(例えば、改質モジュールからの)および/または新たな骨材基質と組み合わされて、CO
2隔離炭酸塩材料を含む凝集骨材生成物を生成する。炭酸塩凝集モジュールでは、GACPモジュールからのCaCO
3スラリーが処理され、純粋なCaCO
3岩石として、またはCaCO
3と改質モジュールからのジオマスダスト/超微細材料との混合物として、コンクリート用の骨材岩石が生成される。炭酸カルシウムスラリー(CaCO
3(s))に加えて、GACPモジュールはまた、水性塩化アンモニウム(NH
4Cl(aq))を生成し、そして、塩化アンモニウム(NH
4Cl(aq))が改質モジュールに運ばれる。改質モジュールでは、水性塩化アンモニウム(NH
4Cl(aq))を固体ジオマス(CaO(s))と組み合わせて、アップサイクルされ得るジオマス骨材と、水性アンモニア(NH
3(aq))、水性塩化カルシウム(CaCl
2(a))および水性塩化アンモニウム(NH
4Cl(aq))を含む、再生水性アンモニア液体とをもたらす。改質モジュールでは、ガス吸収炭酸塩沈殿(GACP)モジュールからの水性塩化アンモニウム(NH
4Cl)溶液とジオマスとを混合することにより、金属酸化物、例えば酸化カルシウム(CaO)が抽出され、結果として、水性アンモニア(NH
3)へのアンモニウム(NH
4
+)イオンの部分的な改質が行われ、ジオマスからのカルシウム(Ca
2+)イオンが溶解する。そして、再生された水性アンモニア液体は、GACPモジュールに送られる。(
図2では、化学反応式はバランスが取れておらず、説明のみを目的としていることに留意されたい)。必要に応じて、例えば、塩化アンモニウム(NH
4Cl)、カルシウムイオン、水性アンモニアなどの化学種を、改質されたジオマスの表面および細孔から、ならびに、炭酸カルシウム(CaCO
3)スラリーから除去して回収する場合、最終脱水の前に、(a)例えば、湿度チャンバーなどでの低品位蒸気、高温煙道ガスからの廃熱などを使用した、蒸らし;(b)浸漬、例えば、低塩分水を骨材の細孔に拡散させて、望ましい化学種を抽出すること;(c)超音波処理、例えば、超音波周波数を連続またはバッチプロセスに適用して、骨材に衝撃を与えて望ましい化学種を放出すること;および(d)化学的添加、例えば、添加剤を使用して骨材を化学的に中和することの技術の1つ以上を使用して材料が洗浄され得る。
【0075】
いくつかの例では、CO2ガス/水性捕捉アンモニアモジュールは、捕捉およびアルカリ濃縮反応器の組み合わせを含み、反応器は、コア中空繊維膜構成要素(例えば、複数の中空繊維膜を含むもの);コア中空繊維膜構成要素を取り囲み、コア中空繊維膜構成要素が存在する第1の液体流路を定義するアルカリ濃縮膜構成要素;ならびに、アルカリ濃縮膜構成要素およびコア中空繊維膜構成要素を含むように構成されたハウジングであって、アルカリ濃縮膜構成要素とハウジングの内面との間に第2の液体流路を規定するように構成されたハウジングを含む。いくつかの例では、アルカリ濃縮膜構成要素は管として構成され、中空繊維膜構成要素は管内で軸方向に配置される。いくつかの例では、ハウジングは管として構成され、ハウジングおよびアルカリ濃縮膜構成要素は同心である。本発明の態様は、例えば上記のように、捕捉およびアルカリ濃縮反応器の組み合わせをさらに含む。
【0076】
上記の「ホット」および「コールド」プロセスに関するさらなる詳細は、PCT出願シリアル番号PCT/US2019/048790に見出され、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0077】
生成炭酸塩組成物は大きく異なり得る。沈殿生成物は、例えば、2つ以上の異なる炭酸塩化合物、例えば、3つ以上の異なる炭酸塩化合物、5つ以上の異なる炭酸塩化合物などの1つ以上の異なる炭酸塩化合物を含み得、これらには、不明瞭なアモルファス炭酸塩化合物が含まれる。本発明の沈殿生成物の炭酸塩化合物は、分子式Xm(CO3)nを有する化合物であり得、ここで、Xは、炭酸基またはその複数基と化学的に結合することができる任意の元素または元素の組み合わせであり、ここで、Xは、特定の実施形態では、アルカリ金属ではなく、アルカリ土類金属であり、ここで、mおよびnは化学量論的な正の整数である。これらの炭酸塩化合物は、Xm(CO3)n・H2Oの分子式を有し得、分子式に1つ以上の構造水が含まれている。クーロメトリー滴定として記載されたプロトコルを使用するクーロメトリーによって決定される場合、生成物中の炭酸塩の量は、40%以上、例えば70%以上、80%以上であり得る。
【0078】
沈殿生成物の炭酸塩化合物は、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、硫黄、ホウ素、シリコン、ストロンチウム、およびそれらの組み合わせのイオン種などであるがこれらに限定されない、多数の異なる陽イオンを含み得る。対象となるものは、炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウム化合物などの二価金属の陽イオンの炭酸塩化合物である。対象となる特定の炭酸塩化合物には、炭酸カルシウム鉱物、炭酸マグネシウム鉱物、および炭酸カルシウムマグネシウム鉱物が含まれるが、これらに限定されない。対象となる炭酸カルシウム鉱物には、方解石(CaCO3)、アラゴナイト(CaCO3)、バテライト(CaCO3)、イカ石(CaCO3・6H2O)、およびアモルファス炭酸カルシウム(CaCO3)が含まれるが、これらに限定されない。対象となる炭酸マグネシウム鉱物には、マグネサイト(MgCO3)、バリントナイト(MgCO3・2H2O)、ネスケホナイト(MgCO3・3H2O)、ランフォーダイト(MgCO3・5H2O)、ハイドロマグニサイト、およびアモルファス炭酸カルシウムマグネシウム(MgCO3)が含まれるが、これらに限定されない。対象となる炭酸カルシウムマグネシウム鉱物には、ドロマイト(CaMg)(CO3)2)、ハンタイト(Mg3Ca(CO3)4)、セルゲイバイト(Ca2Mg11(CO3)13・H2O)が含まれるが、これらに限定されない。また、Na、K、Al、Ba、Cd、Co、Cr、As、Cu、Fe、Pb、Mn、Hg、Ni、V、Znなどで形成された炭酸塩化合物も対象となる。生成物の炭酸塩化合物は、水和の1つ以上の水を含み得、または無水であり得る。いくつかの例では、沈殿物中の炭酸マグネシウム化合物の重量が、沈殿物中の炭酸カルシウム化合物の重量を超える。例えば、沈殿物中の炭酸マグネシウム化合物の重量は、沈殿物中の炭酸カルシウム化合物の重量を5%以上、例えば、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、超え得る。いくつかの例では、沈殿物中の炭酸マグネシウム化合物と炭酸カルシウム化合物との重量比は、1.5~5対1の範囲であり、例えば、2~3対1を含む2~4対1である。いくつかの例では、沈殿生成物は、二価金属イオン水酸化物、例えば、カルシウムおよび/またはマグネシウム水酸化物などの水酸化物を含み得る。
【0079】
炭酸塩の製造およびそれによって製造された炭酸塩の使用方法に関するさらなる詳細は、US2014-0322803-A1として公開された米国特許出願番号14/204,994、US2014-0271440A1として公開された14/214,129、US2016-0082387A1として公開された14/861,996、US2016-0121298A1として公開された14/877,766、ならびに、米国特許番号9,707,513および9,714,406に提供されており、それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0080】
本発明の方法で採用される炭酸塩スラリーはまた、固体金属炭酸塩を沈殿させるために十分な条件下で可溶性金属の陽イオン反応物および可溶性炭酸塩の陰イオン反応物が組み合わされるプロトコルなどの非CO2隔離プロトコルを使用して調製され得る。
【0081】
必要に応じて、炭酸塩スラリーを1回または複数回、洗浄し得る。必要に応じて、1つ以上の添加剤を炭酸塩スラリーに導入し得る。いくつかの例では、スラリーは、乾燥炭酸塩粉末などの乾燥炭酸塩組成物を再湿潤させることによって調製され得る。
【0082】
炭酸塩スラリーからの炭酸塩骨材の製造
例えば上記のような炭酸塩スラリーの製造に続いて、炭酸塩スラリーは、回転ドラム内に導入され、炭酸塩骨材を製造するために十分な条件下で回転ドラム内で混合される。いくつかの例では、炭酸塩スラリーは、骨材基質とともに回転ドラム内に導入され、そして回転ドラム内で混合されて、炭酸塩被覆骨材を製造する。いくつかの例では、スラリー(および基質)が回転ドラム内に導入され、混合は、炭酸塩スラリーの製造直後、例えば、炭酸塩スラリーを調製してから12時間以内、例えば、6時間以内、4時間以内に開始される。いくつかの例では、全プロセス(すなわち、スラリー調製の開始から炭酸塩骨材生成物の入手まで)が15時間以内、例えば、10時間以内、5時間以内、例えば、3時間以内、1時間以内に実施される。
【0083】
採用される場合、任意の好都合な骨材基質を使用し得る。適切な骨材基質の例には、天然鉱物骨材材料、例えば、炭酸塩岩、砂(例えば、天然ケイ砂)、砂岩、砂利、花崗岩、閃緑岩、斑れい岩、玄武岩など;ならびに、例えば高炉スラグ、フライアッシュ、都市ごみ、および再生コンクリートなどの産業副産物骨材材料などの合成骨材材料が含まれるが、これらに限定されない。これらの場合、骨材基質には、炭酸塩スラリーの粒子とは異なる材料が含まれる。他の例では、基質は、以前の製造からの、本明細書に記載されたプロセスから形成された骨材であり得る。ある場合には、そのような基質は、特により微細なコア基質粒子が採用される、以前の製造サイクルにおいて、炭酸塩スラリーと一緒に凝集した非炭酸塩粒子の凝集であり得る。そのような凝集した複合基質は、軽量特性を有すること、軽量コンクリートに適した特性を最終骨材に与えることなどの特定の利点を有し得、または、CO2隔離炭酸塩を含む骨材のより大きな割合を有し、コンクリートに配置されたときに骨材のCO2隔離の可能性を増やし、したがって、ライフサイクル分析においてコンクリートのうちの具体化されたCO2が低下し得る。
【0084】
炭酸塩スラリー、および存在する場合に、骨材基質は、所望の炭酸塩骨材を生成するために十分な時間期間、回転ドラム内で混合される。期間は様々であり得るが、いくつかの例では、時間期間は10分~5時間の範囲であり、例えば15分~3時間以上の範囲である。
【0085】
混合中および/または混合後に、結果として得られた炭酸塩骨材を乾燥させ得る。必要に応じて、任意の好都合なプロトコルを使用して乾燥を行い得る。いくつかの例では、結果として得られた炭酸塩骨材の乾燥は、例えば混合中に熱を加えることによって、製造中に起こり得る。そのようなプロトコルは、例えば、混合容器を直接、加熱すること、例えば、熱を供給するために廃棄エネルギーを使用すること、または、例えば、化石燃料燃焼プロセスからの高温の煙道ガスで、例えば混合容器の内部を加熱することを含み、それにより、炭酸塩骨材が生成される内部雰囲気の温度が、15℃~260℃の間であり、または、15℃~30℃、または15℃~50℃、または15℃~200℃の間、または、20℃~200℃の間であり、例えば20℃~60℃、または25℃~75℃、または25℃~150℃、または30℃~250℃の間であり、例えば30℃~150℃、または30℃~200℃、40℃~250℃の間であり、炭酸塩骨材を乾燥させる。他の例では、結果として得られた炭酸塩骨材の乾燥は、製造後、例えば、骨材が混合および/または骨材製造容器を出た後に起こり得る。好都合なプロトコルには、周囲条件下で、例えば、生産プラントの骨材貯蔵ベイおよび/またはサイロの外で、または、例えば、外部要素から離れた屋根付きドームまたは密閉容器内で、結果として得られた炭酸塩骨材を開放雰囲気で乾燥させることが含まれる。実施形態のいくつかの例では、乾燥方法は、例えば、以下に記載されるように、結果として得られた骨材を硬化させることを含み得る。実施形態の他の例では、本方法は、結果として得られた炭酸塩骨材を乾燥させることを含まなくてもよい。
【0086】
必要に応じて、方法は、結果として得られた骨材生成物を硬化させることを含み得、これは、スラリーから生じた炭酸塩からなる骨材生成物の部分に特有である。基質が存在しない場合、硬化は炭酸塩自体の内部で発生し得る。基質および/または複合材が存在する場合、硬化は、炭酸塩自体だけでなく、炭酸塩と存在する他の材料との間の両方でも起こり得る。硬化方法は、屋外、水中、化学物質が添加された水中、空気中に続いて水中、温度および湿度が制御されたチャンバー内、UV、マイクロ波または他の形態の放射線下、あるいは必要に応じて、炭酸塩骨材の製造中のドラム自体内でさえも、行われ得る。硬化する時間は、放射線を使用する場合の数秒から、製造中にドラム内で発生する場合の数分、空気中、水中などで硬化する場合の数時間または数日もの期間までの範囲である。硬化のもう1つの態様は、CO2隔離炭酸塩沈殿物のモルホロジーである。例えば、炭酸カルシウムからなるCO2隔離炭酸塩沈殿物について、バテライトモルホロジーは、アモルファス炭酸カルシウム(ACC)相とともに、スラリー段階と初期硬化段階とで観察される。炭酸塩骨材が硬化して実効的に脱水すると、アラゴナイトと方解石とが形成され始め、ACC相が消える。
【0087】
炭酸塩スラリーが回転ドラム内で骨材基質と混合される場合、結果として得られる炭酸塩骨材は炭酸塩被覆骨材であり、骨材の粒子状部材は、完全ではないにしても少なくとも部分的に炭酸塩材料でコーティングされたコア材料を含む。いくつかの例では、特にコア粒子がより細かい場合、炭酸塩スラリーはコア材料の1つ超の粒子を一緒に結合して凝集した複合材にする。
【0088】
例えば上記のように、炭酸塩コーティングがCO2隔離プロセスを用いて製造される場合、結果として得られた骨材組成物は、CO2隔離骨材組成物であると見なされ得る。いくつかの例では、CO2隔離骨材組成物は、コアの表面の少なくとも一部上にコアおよびCO2隔離炭酸塩コーティングを有する骨材粒子を含む。CO2隔離炭酸塩コーティングは、CO2隔離炭酸塩材料で構成されている。「CO2隔離炭酸塩材料」とは、CO2ガスがその材料から容易に生成されて大気中に放出されないように、貯蔵安定性がある形式で実質的な量のCO2を貯蔵する材料を意味する。特定の実施形態では、CO2隔離材料は、例えば1つ以上の炭酸塩化合物として存在する、5%以上、例えば10%以上、25%以上、例えば50%以上、例えば75%以上、90%以上のCO2を含む。追加の実施形態では、CO2隔離材料は、基質粒子なしで100%の独立した粒子を形成し得る。本発明によるコーティング中に存在するCO2隔離材料は、例えば、以下により詳細に記載されるように、1つ以上の炭酸塩化合物を含み得る。CO2隔離材料中の炭酸塩の量は、例えば、クーロメトリーによって決定されると、コア基質なしで粒子が形成される場合、またはコア基質がコア基質なしで形成された粒子である場合、10%以上、20%以上、40%以上、例えば70%以上、80%以上、例えば100%であり得る。
【0089】
CO2隔離材料は、例えば本明細書に記載されるように、CO2が材料内に隔離される(すなわち、固定される)方法で、CO2の長期的または恒久的な貯蔵を提供し、隔離されたCO2は大気の一部にならない。材料がその意図された使用のために従来の条件下で維持される場合、材料は、あるとしても、材料からのCO2の実質的な放出がない状態で、隔離されたCO2を長期間(例えば、1年以上、5年以上、10年以上、25年以上、50年以上、100年以上、250年以上、1000年以上、10,000年以上、1,000,000年以上、さらには100,000,000年以上)、固定されたままとする。CO2隔離材料に関しては、それらがその意図された用途と一致する方法で、それらの寿命にわたって採用される場合、生成物からのCO2ガス放出に関して測定された劣化の量は、あるとしても、年間0.5%、特定の実施形態では年間0.1%など、年間1%を超えない。いくつかの例では、本発明によって提供されるCO2隔離材料は、意図された使用について、少なくとも1、2、5、10、または20年、または20年超、例えば100年超の間、通常のpHの降雨を含む通常の温度および湿度の条件にさらされたときに、それらの総CO2の1%、5%、または10%を超えて放出しない。そのような安定性を合理的に予測することができる任意の適切な代用マーカーまたは試験を使用し得る。例えば、高温条件および/または中程度からより極端なpH条件を含む加速試験は、長期間にわたる安定性を合理的に示すことができる。例えば、組成物の意図する使用および環境に応じて、組成物のサンプルは、50、75、90、100、120、または150℃に、1、2、5、25、50、100、200、または500日、相対湿度10%~50%で曝露され得、その炭素の、1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、または50%未満の損失は、所与の期間(例えば、地球のリソスフェア地殻の先カンブリア時代の石灰岩および苦灰岩のように、1、10、100、1000、1,000,000、1,000,000,000年、または1,000,000,000年超)における本発明の材料の安定性の十分な証拠とみなされ得る。
【0090】
主題の骨材組成物の被覆粒子のコーティング中に存在するCO2隔離炭酸塩材料は、様々であり得る。いくつかの例では、炭酸塩材料は反射率が高い微結晶/アモルファス炭酸塩材料である。本発明のコーティングに存在する微結晶/アモルファス材料は、高反射率であり得る。材料が高反射率であり得るため、それを含むコーティングは、総表面反射率(TSR)値が高くなり得る。TSRは、フィールド内の水平面および低傾斜面の太陽反射率を測定するためのASTM E1918標準試験方法などの、任意の好都合なプロトコルを使用して決定され得る(R.Levinson、H.Akbari、P.Berdahl、太陽反射率の測定-パートII:実用的な方法のレビュー、LBNL2010も参照)。いくつかの例では、例えば上記で参照したプロトコルを使用して測定されると、バックシートは、Rg,0=0.0~Rg,0=1.0、例えば、Rg,0=0.40~Rg,0=0.98を含むRg,0=0.25~Rg,0=0.99の範囲のTSR値を示す。
【0091】
いくつかの例では、炭酸塩材料を含むコーティングは、近赤外(NIR)光を高度に反射し、いくつかの例では、50~99%などの10~99%の範囲になる。NIR光とは、700ナノメートル(nm)から2.5mmの範囲の波長を持つ光を意味する。NIR反射率は、ポータブル放射計を使用して室温付近の材料の放射照度を決定するためのASTM C1371-04a(2010)e1標準試験方法(http://www.astm.org/Standards/C1371.htm)、または、参照太陽スペクトル放射照度:37°傾斜面での直接法線および半球のASTM G173-03(2012)標準表(http://rredc.nrel.gov/solar/spectra/am1.5/ASTMG173/ASTMG173.html)などの任意の好都合なプロトコルを使用して決定され得る。いくつかの例では、コーティングは、例えば、上記で参照されたプロトコルを使用して測定された場合、Rg;0=0.0~Rg;0=1.0、例えば、Rg;0=0.40~Rg;0=0.98を含むRg;0=0.25~Rg;0=0.99の範囲のNIR反射率値を示す。
【0092】
いくつかの例では、炭酸塩コーティングは紫外線(UV)光を高度に反射し、いくつかの例では50~99%などの10~99%の範囲である。UV光とは、400nm~10nmの範囲の波長を有する光を意味する。UV反射率は、参照太陽スペクトル放射照度:37°傾斜面での直接法線および半球のASTM G173-03(2012)標準表などの任意の好都合なプロトコルを使用して決定され得る。いくつかの例では、材料は、例えば、上記で参照されたプロトコルを使用して測定された場合、Rg,0=0.0~Rg,0=1.0、例えば、Rg,0=0.4~Rg,0=0.98を含むRg,0=0.25~Rg,0=0.99の範囲のUV値を示す。
【0093】
いくつかの例では、コーティングは可視光を反射し、例えば、可視光の反射率は、様々であり得、いくつかの例では10~99%、例えば10~90%の範囲である。可視光とは、380nm~740nmの範囲の波長を有する光を意味する。可視光の反射特性は、参照太陽スペクトル放射照度:37°傾斜面での直接法線および半球のASTM G173-03(2012)標準表などの任意の好都合なプロトコルを使用して決定され得る。いくつかの例では、コーティングは、例えば、上記で参照されたプロトコルを使用して測定された場合、Rg,0=0.0~Rg,0=1.0、例えば、Rg,0=0.4~Rg,0=0.98を含むRg,0=0.25~Rg,0=0.99の範囲の可視光反射値を示す。
【0094】
炭酸塩成分を構成する材料は、いくつかの例では、アモルファスまたは微結晶である。材料が微結晶である場合、例えば、X線回折パターンのFWHMに適用されるScherrer方程式を使用して決定されるように、結晶サイズは小さく、いくつかの例では、直径が1000ミクロン以下、例えば直径10ミクロン以下を含む直径100ミクロン以下である。いくつかの例では、結晶サイズは、直径が1000μm~0.001μm、例えば1~0.001μmを含む10~0.001μmの範囲である。いくつかの例では、結晶サイズは、反射される光の波長(複数可)を考慮して選択される。例えば、可視スペクトルの光が反射される場合、材料の結晶サイズ範囲は、フォトニックバンドギャップを生じさせるように、「反射される」範囲の半分未満になるように選択され得る。例えば、光の反射波長範囲が100~1000nmである場合、材料の結晶サイズは、50nm以下、例えば、1~50nm、例えば5~25nmの範囲であるように選択され得る。いくつかの実施形態では、本発明の方法によって製造される材料は、棒状の結晶およびアモルファス固体を含み得る。棒状の結晶は、構造が様々であり得、特定の実施形態では、10対1などの500対1の範囲の長さ対直径比を有する。特定の実施形態では、結晶の長さは、5μm~100μmなどの0.5μm~500μmの範囲である。さらに他の実施形態では、実質的に完全にアモルファスの固体が生成される。
【0095】
コーティング材料の密度、気孔率、および透過性は、用途によって異なり得る。密度に関しては、材料の密度は様々であり得るが、いくつかの例では、密度は5g/cm3~0.01g/cm3、例えば2.7g/cm3~0.4g/cm3を含む3g/cm3~0.3g/cm3の範囲である。気孔率に関しては、BET法によって決定されるガス表面吸着によって決定され(Brown Emmett Teller(例えば、http://en.wikipedia.org/wiki/BET_theory、S.Brunauer、P.H.EmmettおよびE.Teller、J.Am.Chem.Soc.、1938、60、309.doi:10.1021/ja01269a023に記載のように)、気孔率は、いくつかの例では、100m2/g~0.1m2/g、例えば、40m2/g~1.5m2/gを含む60m2/g~1m2/gの範囲であり得る。透過性に関しては、いくつかの例では、材料の透過性は、1~5ダルシーを含む1~10ダルシーなどの、0.1~100ダルシーの範囲であり得る(例えば、H.Darcy、Les Fontaines Publiques de la Ville de Dijon、Dalmont、Paris(1856)に記載されたプロトコルを使用して決定されるように)。透過性は、材料の吸水率を評価することによっても特徴付けられ得る。吸水プロトコルによって決定されるように、例えば、材料の吸水は、いくつかの実施形態では、0~25%、例えば2~9%を含む1~15%の範囲である。
【0096】
材料の硬度も様々であり得る。いくつかの例では、材料は3以上、例えば6以上を含む5以上のモース硬度を示し、硬度は、いくつかの例では、3~8、例えば5~6を含む4~7モースの範囲である(例えば、米国鉱物学会連合に記載されているプロトコル「鉱物硬度のモーススケール」を使用して決定されるように)。硬度はまた、例えば、ASTM C1167に記載されたプロトコルを使用して決定されるように、引張強度の観点から表され得る。そのような場合、材料は、100~3000N、例えば、500~1800Nを含む400~2000Nの圧縮強度を示し得る。
【0097】
上記で概説したように、本発明の炭酸塩コーティングは、1つ以上の炭酸塩材料を含む。炭酸塩材料とは、不明瞭なアモルファス炭酸塩化合物を含む、2つ以上の異なる炭酸塩化合物、例えば、3つ以上の異なる炭酸塩化合物、5つ以上の異なる炭酸塩化合物などの1つ以上の炭酸塩化合物を含む材料または組成物を意味する。対象となる炭酸塩化合物は、分子式Xm(CO3)nを有する化合物であり得、ここで、Xは、炭酸基またはその複数基と化学的に結合することができる任意の元素または元素の組み合わせであり、ここで、Xは、特定の実施形態では、アルカリ金属ではなく、アルカリ土類金属であり、ここで、mおよびnは化学量論的な正の整数である。これらの炭酸塩化合物は、分子式Xm(CO3)n・H2Oを有し得、分子式に1つ以上の構造水が存在する。クーロメトリー滴定として記載されたプロトコルを使用するクーロメトリーによって決定されると、炭酸塩材料の炭酸塩化合物中の炭酸塩の量は、40%以上、例えば70%以上、80%以上であり得る。対象となる炭酸塩化合物は、可視スペクトルにわたって、0.6以上、0.7以上、0.8以上、0.9以上、0.95以上などの、0.05以上の反射率値を有するものである。
【0098】
炭酸塩化合物は、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、硫黄、ホウ素、シリコン、ストロンチウム、およびそれらの組み合わせのイオン種などであるがこれらに限定されない、多数の異なる陽イオンを含み得る。対象となるものは、炭酸カルシウム化合物および炭酸マグネシウム化合物などの二価金属の陽イオンの炭酸塩化合物である。対象となる特定の炭酸塩化合物には、炭酸カルシウム鉱物、炭酸マグネシウム鉱物、および炭酸カルシウムマグネシウム鉱物が含まれるが、これらに限定されない。対象となる炭酸カルシウム鉱物には、方解石(CaCO3)、アラゴナイト(CaCO3)、アモルファスバテライト前駆体/無水アモルファス炭酸塩(CaCO3)、バテライト(CaCO3)、イカ石(CaCO3・6H2O)、およびアモルファス炭酸カルシウム(CaCO3)が含まれるが、これらに限定されない。対象となる炭酸マグネシウム鉱物には、マグネサイト(MgCO3)、バリントナイト(MgCO3・2H2O)、ネスケホナイト(MgCO3・3H2O)、ランフォルダイト(MgCO3・5H2O)、ハイドロマグニサイト、およびアモルファス炭酸マグネシウムカルシウム(MgCaCO3)が含まれるが、これらに限定されない。対象となる炭酸カルシウムマグネシウム鉱物には、ドロマイト(CaMg)(CO3)2)、ハンタイト(Mg3Ca(CO3)4)、およびセルゲイバイト(Ca2Mg11(CO3)13・H2O)が含まれるが、これらに限定されない。また、重炭酸塩化合物、例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなども対象となる。炭酸塩化合物は、1つ以上の水和水を含み得るか、または無水であり得る。いくつかの例では、沈殿物中の炭酸マグネシウム化合物の重量が、沈殿物中の炭酸カルシウム化合物の重量を超える。例えば、沈殿物中の炭酸マグネシウム化合物の重量は、沈殿物中の炭酸カルシウム化合物の重量を5%以上、例えば、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、超え得る。いくつかの例では、沈殿物中の炭酸マグネシウム化合物と炭酸カルシウム化合物との重量比は、例えば、2~3対1を含む2~4対1などの、1.5~5対1の範囲である。
【0099】
いくつかの例では、炭酸塩材料は、二価金属イオン水酸化物、例えば、カルシウムおよび/またはマグネシウム水酸化物などの水酸化物をさらに含み得る。炭酸塩化合物は、識別成分として機能する1つ以上の成分を含み得、これらの1つ以上の成分は、炭酸塩化合物の供給源を識別し得る。例えば、生成物の炭酸塩化合物組成物中に存在し得る成分を識別することには、塩化物、ナトリウム、硫黄、カリウム、臭化物、シリコン、ストロンチウム、マグネシウムなどが含まれるが、これらに限定されない。任意のそのような供給源識別または「マーカー」要素は、概して少量、例えば、2000ppm以下の量などの20,000ppm以下の量で存在する。特定の実施形態では、「マーカー」化合物はストロンチウムであり、これは、アラゴナイト格子に組み込まれた沈殿物中に存在し得、10,000ppm以下を構成し、特定の実施形態では、3~10,000ppm、例えば5~5000ppm、5~1000ppm、例えば5~500ppm、5~100ppmの範囲である。別の対象「マーカー」化合物はマグネシウムであり、これは炭酸塩化合物中のカルシウムの最大20%モル置換の量で存在し得る。組成物の識別成分は、特定の媒体源、例えば、海水、ラグーン水、ブラインなどに応じて様々であり得る。特定の実施形態では、炭酸塩材料の炭酸カルシウム含有量は、25%w/w以上、例えば40%w/w以上、50%w/w以上、例えば60%w/wである。炭酸塩材料は、特定の実施形態において、それが沈殿した水源によって影響を受ける、したがって、その水源を反映しているカルシウム/マグネシウム比を有する。特定の実施形態では、カルシウム/マグネシウムのモル比は、10/1~1/5のCa/Mg、例えば、5/1~1/3のCa/Mgの範囲である。特定の実施形態では、炭酸塩材料は、炭酸塩と水酸化物化合物との比を識別する水源を有することを特徴とし、特定の実施形態では、この比は、100対1、例えば10対1、1対1の範囲である。いくつかの例では、炭酸塩材料は、ケイ酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、ヒ酸塩などであるがこれらに限定されない、1つ以上の追加のタイプの非炭酸塩化合物をさらに含み得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、炭酸塩材料は、毒性特性浸出手順、抽出手順毒性試験、合成沈殿浸出手順、カリフォルニア廃棄物抽出試験、可溶性閾値限界濃度、米国試験材料協会抽出テスト、および複数の抽出手順からなるグループから選択された1つ以上の試験により、環境に浸出しないと予測された1つ以上の汚染物質を含む。試験、および試験の組み合わせは、可能性がある汚染物質および組成物の貯蔵条件に応じて選択され得る。例えば、いくつかの実施形態では、組成物は、As、Cd、Cr、Hg、およびPb(またはそれらの生成物)を含み得、これらのそれぞれは、石炭火力発電所の廃ガス流中に見出され得る。TCLPはAs、Ba、Cd、Cr、Pb、Hg、Se、およびAgを試験するため、TCLPは、本明細書に記載されている骨材の適切な試験であり得る。いくつかの実施形態では、本発明の炭酸塩組成物は、Asを含み、組成物は、Asを環境に浸出させないことが予測される。例えば、組成物のTCLP抽出物は、5.0mg/L未満のAsを提供し得、これは、組成物がAsに関して危険ではないことを示している。いくつかの実施形態において、本発明の炭酸塩組成物は、Cdを含み、組成物は、Cdを環境に浸出させないと予測される。例えば、組成物のTCLP抽出物は、1.0mg/L未満のCdを提供し得、これは、組成物がCdに関して危険ではないことを示している。いくつかの実施形態では、本発明の炭酸塩組成物は、Crを含み、組成物は、Crを環境に浸出させないと予測される。例えば、組成物のTCLP抽出物は、5.0mg/L未満のCrを提供し得、これは、組成物がCrに関して危険ではないことを示している。いくつかの実施形態では、本発明の炭酸塩組成物はHgを含み、組成物はHgを環境に浸出させないと予測される。例えば、組成物のTCLP抽出物は、0.2mg/L未満のHgを提供し得、これは、組成物がHgに関して危険ではないことを示している。いくつかの実施形態では、本発明の炭酸塩組成物は、Pbを含み、組成物は、Pbを環境に浸出させないと予測される。例えば、組成物のTCLP抽出物は、5.0mg/L未満のPbを提供し得、これは、組成物がPbに関して危険ではないことを示している。いくつかの実施形態では、本発明のものを含む炭酸塩組成物および骨材は、所与の試験における異なる汚染物質の組み合わせに関して無害であり得る。例えば、炭酸塩組成物は、所与の試験におけるすべての金属汚染物質に関して無害であり得る。組成物のTCLP抽出物は、例えば、Asで5.0mg/L、Baで100.0mg/L、Cdで1.0mg/L、Crで5.0mg/L、Pbで5.0mg/L、Hgで0.2mg/L、Seで1.0mg/L、Agで5.0mg/L未満であり得る。実際、本発明の組成物に関するTCLP分析で試験された金属のすべてではないにしても大部分は、検出限界を下回り得る。いくつかの実施形態では、本発明の炭酸塩組成物は、所与の試験におけるすべての(例えば、無機、有機など)汚染物質に関して無害であり得る。いくつかの実施形態では、毒性特性浸出手順、抽出手順毒性試験、合成沈殿浸出手順、カリフォルニア廃棄物抽出試験、可溶性閾値限界濃度、米国試験材料協会抽出試験、および複数抽出手順からなるグループから選択された試験の任意の組み合わせにおけるすべての汚染物質に関して無害であり得る。したがって、本発明のものを含む炭酸塩組成物および骨材は、廃ガス流、二価の陽イオンの産業廃棄物源、プロトン除去剤の産業廃棄物源、または、環境に放出された場合に汚染物質と見なされ得るそれらの組み合わせからの様々な化学種(またはそれらの副産物)とともに、CO2を(例えば、炭酸塩、重炭酸塩、またはそれらの組み合わせとして)効果的に隔離し得る。本発明の組成物は、環境汚染物質(例えば、Hg、Ag、As、Ba、Be、Cd、Co、Cr、Cu、Mn、Mo、Ni、Pb、Sb、Se、Tl、V、Zn、またはそれらの組み合わせなどの金属および金属の副産物)を浸出不可能な形で組み込んでいる。
【0101】
上記で概説したように、炭酸塩材料は、CO2隔離炭酸塩材料である。「CO2隔離」とは、材料が、例えば人間が使用する燃料源に由来するCO2、例えば人間の活動または微生物による植物腐敗などの自然供給源に由来し得る大気中のCO2から生成されたことを意味し、化石燃料燃焼からの人間由来の化石燃料CO2と腐敗からのそれとの混合は、両方ともCO2が本来は光合成由来である植物由来源を有する。例えば、いくつかの実施形態では、CO2隔離材料は、例えば電気生産における化石燃料の燃焼から得られるCO2から生成される。そのようなCO2の供給源の例は、化石燃料を燃焼して例えばCO2含有ガス(複数可)の形でCO2を生成する、発電所、産業製造プラント等が挙げられるが、これらに限定されない。化石燃料の例としては、これらに限定されないが、石油、石炭、天然ガス、タールサンド、ゴムタイヤ、バイオマス、シュレッドなどが挙げられる。CO2隔離材料の製造方法のさらなる詳細は、以下に提供される。
【0102】
CO2隔離材料は、成分を、化石燃料起源であるか、または現代の植物からか識別し、両方とも光合成中にCO2を分別し、したがってCO2隔離であると識別する同位体プロファイルを有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、CO2材料中の炭素原子は、かつて材料を作っていた化石または現代の両方の植物由来CO2がそこから由来する化石燃料(例えば、石炭、石油、天然ガス、タールサンド、樹木、草、農業植物)の相対的な炭素同位体組成(δ13C)を反映している。炭素同位体プロファイリングに加えて、またはその代わりに、酸素(δ18O)、窒素(δ15N)、硫黄(δ34S)および他の微量元素のものなどの他の同位体プロファイルを使用して、CO2隔離材料がそこから由来する産業CO2源を生成するために使用された化石燃料源を識別し得る。例えば、対象の別のマーカーは(δ18O)である。本発明のCO2隔離材料の識別子として採用され得る同位体プロファイルは、米国特許出願公開番号2014/0234946として公開された米国特許出願シリアル番号14/112,495にさらに記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0103】
上記で概説したように、本発明の骨材組成物は、コア領域(複数可)およびコア表面の少なくとも一部でのCO2隔離炭酸塩コーティングを有する粒子を含み、いくつかのコア粒子の場合、コア粒子を接続して凝集を形成する。コーティングは、コア粒子(複数可)の表面の10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上をカバーし得る。炭酸塩層の厚さは、必要に応じて様々であり得る。いくつかの例では、厚さは、10μm~500μmを含む、1μm~1000μmなどの、0.1μm~25mmの範囲であり得る。
【0104】
本明細書に記載の骨材組成物の被覆粒子のコアは、非常に様々であり得る。コアは、任意の好都合な骨材材料で構成され得る。適切な骨材材料の例には、天然鉱物骨材材料、例えば、炭酸塩岩、砂(例えば、天然ケイ砂)、砂岩、砂利、花崗岩、閃緑岩、斑れい岩、玄武岩など、および、産業副産物骨材材料、例えば、爆風炉スラグ、フライアッシュ、都市ごみ、再生コンクリート、炭酸塩スラリー凝集物などの合成骨材材料が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの例では、コアは炭酸塩コーティングとは異なる材料を含む。
【0105】
骨材組成物の被覆粒子および凝集した骨材複合粒子の物理的特性は、様々であり得る。本発明の骨材は、骨材が、それが採用される用途、例えばそれが採用される建築材料について所望の特性を提供する限り、様々であり得る密度を有する。特定の例において、骨材粒子の密度は、0.6~5gm/cc、例えば、1.1~5gm/cc、例えば、1.3gm/cc~3.15gm/cc、1.8gm/cc~2.7gm/ccの範囲である。本発明の実施形態における、例えば軽量骨材についての他の粒子密度は、1.1~2.2gm/cc、例えば、1.2~2.0g/ccまたは1.4~1.8g/ccの範囲であり得る。いくつかの実施形態において、本発明は、50lb/lb/ft3~200lb/ft3、または75lb/ft3~175lb/ft3、または50lb/ft3~100lb/ft3、または75lb/ft3~125lb/ft3、またはlb/ft3~115lb/ft3、または100lb/ft3~200lb/ft3、または125lb/ft3~lb/ft3、または140lb/ft3~160lb/ft3、または50lb/ft3~200lb/ft3のかさ密度(単位重量)の範囲の骨材を提供する。本発明のいくつかの実施形態では、軽量骨材、例えば、75lb/ft3~125lb/ft3、例えば90lb/ft3~115lb/ft3のかさ密度(単位重量)を有する骨材を提供する。
【0106】
本発明の骨材組成物を構成する骨材粒子の硬度も様々であり得、特定の例では、モーススケールで表される硬度は、1.0~9、例えば1~7、1~6または1~5の範囲である。いくつかの実施形態において、本発明の骨材のモース硬度は、2~5、または2~4の範囲である。いくつかの実施形態では、モース硬度は2~6の範囲である。ロックウェル、ビッカース、またはブリネルスケールなどの他の硬度スケールを使用して骨材を特徴付け得、モーススケールのものと均等の値を使用して本発明の骨材を特徴付け得、例えば、ビッカース硬度レーティング250は、モース硬度のレーティング3に対応し、スケール間の変換は当技術分野で知られている。
【0107】
骨材の耐摩耗性も、例えば道路表面で使用する場合に重要であり得、高い耐摩耗性の骨材が表面の研磨を防ぐために役立つ。耐摩耗性は硬度に関係するが、同じではない。本発明の骨材は、ASTM C131-03などの当技術分野で認められた方法で測定した場合、天然石灰石と同様の耐摩耗性を有する骨材、または天然石灰石よりも優れた耐摩耗性を有する骨材、ならびに天然石灰石よりも低い耐摩耗性を有する骨材を含む。いくつかの実施形態では、本発明の骨材は、ASTM C131-03で測定した場合、50%未満、または40%未満、または35%未満、または30%未満、または25%未満、または20%未満、または15%未満、または10%未満の耐摩耗性を有する。
【0108】
本発明の骨材はまた、特定の範囲内の気孔率を有し得る。当業者によって理解されるように、ある場合には、高度気孔率の骨材が望まれ、他の場合には、中程度気孔率の骨材が望まれ、他の場合には、低度気孔率であるまたはゼロ気孔率骨材が望まれる。本発明のいくつかの実施形態の骨材の気孔率は、オーブン乾燥後の吸水とそれに続く60分間の完全浸漬によって測定され、乾燥重量%として表され、1~40%、例えば2~20%または2~15%、2~10%、さらには3~9%の範囲であることができる。
【0109】
骨材粒子の寸法は様々であり得る。本発明の骨材組成物は、いくつかの実施形態において微細なものまたは粗いものとして分類され得る粒子状組成物である。本発明の実施形態による細骨材は、ほぼ完全に第4番篩(ASTM C125およびASTM C33)を通過する粒子状組成物である。本発明の実施形態による細骨材組成物は、10μm~4.75mm、例えば、50μm~3.0mm、75μm~2.0mmの範囲の平均粒子サイズを有する。本発明の粗骨材は、主に第4番篩(ASTM C125およびASTM C33)上に保持される組成物である。本発明の実施形態による粗骨材組成物は、平均粒子サイズが4.75mm~200mm、例えば4.75~150mm、5~100mmの範囲である組成物である。本明細書で使用される場合、「骨材」はまた、いくつかの実施形態において、3インチ~12インチ、さらには3インチ~24インチなどのより大きなサイズ、または12インチ~48インチ、または48インチ超などのより大きなサイズを含み得る。
【0110】
代表的なワークフロー
図3は、本発明の実施形態による方法のプロセスフローチャートを提供し、例えば、陽イオン源と水性炭酸塩とを組み合わせてCO
2隔離炭酸塩沈殿物を製造することを、炭酸塩スラリーの調製と結合して、炭酸塩被覆骨材を製造するために骨材基質と混合する。
【0111】
図4は、本発明の実施形態による方法のプロセスフロー図を提供し、水性炭酸塩および陽イオン源を組み合わせてCO
2隔離炭酸塩沈殿物を製造することを、炭酸塩スラリーの調製と結合して、炭酸塩被覆骨材を製造するために骨材基質と混合する。
【0112】
コンクリート乾燥複合材
また、適切な硬化液(以下に説明するような)と組み合わせると、コンクリートまたはモルタルへと固まって硬化する硬化可能組成物を生成するコンクリート乾燥複合材も提供される。本明細書に記載のコンクリート乾燥複合材は、例えば上記のような、ある量のCO2隔離骨材、および水硬性セメントなどのセメントを含む。「水硬性セメント」という用語は、その従来の意味で採用され、水、または溶媒が水である溶液、例えば混和剤溶液と組み合わせた後に固まって硬化する組成物を指す。本発明のコンクリート乾燥複合材と水性液体との組み合わせによって製造された生成物が固まって硬化することは、水との反応時にセメントから形成される水和物の製造に起因し、水和物は本質的に水に不溶性である。
【0113】
本発明の骨材は、純粋なポルトランドセメントと組み合わせると、従来のコンクリートで使用される従来の天然岩石骨材の代わりとしての使用が見出される。特定の実施形態における対象の他の水硬性セメントは、ポルトランドセメントブレンドである。「ポルトランドセメントブレンド」という句は、ポルトランドセメント成分および実質的な量の非ポルトランドセメント成分を含む水硬性セメント組成物を含む。本発明のセメントはポルトランドセメントブレンドであるため、セメントはポルトランドセメント成分を含む。ポルトランドセメント成分は、任意の好都合なポルトランドセメントであり得る。当技術分野で知られているように、ポルトランドセメントは、ポルトランドセメントクリンカー(90%超)、硬化時間を制御する限られた量の硫酸カルシウム、および最大5%の微量成分(さまざまな基準で許容されている)を粉砕することによって生成される粉末組成物である。反応について二酸化炭素を供給するために使用される排気ガスにSOxが含まれている場合、追加の硫酸カルシウムの必要性を相殺するために、セメントまたは骨材のいずれかとして、沈殿した材料に十分な硫酸塩が硫酸カルシウムとして存在し得る。欧州規格EN197.1で定義されているように、「ポルトランドセメントクリンカーは、ケイ酸カルシウム(3CaO.SiO2および2CaO.SiO2)の少なくとも3分の2の質量で構成される水硬性材料であり、残部は、アルミニウム含有および鉄含有クリンカー相ならびに他の化合物からなる。SiO2に対するCaOの比は、2.0未満であってはならない。マグネシウム含有量(MgO)は5.0質量%を超えてはならない」。MgOに関する懸念は、硬化反応の後半に水酸化マグネシウム、ブルーサイトが形成され、セメントの変形および弱化および亀裂を引き起こし得ることである。炭酸マグネシウム含有セメントの場合、ブルーサイトは、MgOの場合のようには形成されない。特定の実施形態において、本発明のポルトランドセメント構成要素は、ASTM基準、および米国材料試験協会のC150(タイプI-VIII)の仕様(ASTM C50-ポルトランドセメントの標準仕様)を満たす任意のポルトランドセメントである。ASTM C150は、8種類のポルトランドセメントをカバーしており、それぞれが異なる特性を持ち、それらの特性について特に使用される。
【0114】
水硬性セメントとして対象となるものはまた、炭酸塩含有水硬性セメントである。そのような炭酸塩含有水硬性セメント、その製造および使用の方法は、米国特許番号7,735,274に記載されており、その出願の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0115】
特定の実施形態では、水硬性セメントは、ポルトランドセメントおよび炭酸塩含有水硬性セメントなどの2つ以上の異なる種類の水硬性セメントのブレンドであり得る。特定の実施形態では、ブレンド中の第1のセメント、例えばポルトランドセメントの量は、10~90%(w/w)、例えば30~70%(w/w)、40~60%(w/w/)の範囲であり、例えば、80%OPCと20%炭酸塩水硬性セメントとのブレンドである。
【0116】
いくつかの例では、コンクリート乾燥複合組成物、および、それから製造されたコンクリートは、本発明の骨材を含まないコントロール組成物のCarbonStarレーティング(CSR)よりも低いCSRを有する。CarbonStarレーティング(CSR)は、生成物の製造自体がいかに炭素集約的であるか(つまり、製造CO2の観点から)と比較して、任意の生成物についての具体化された炭素(CaCO3の形式で)を特徴付ける値である。CSRは、コンクリートの単位におけるCO2の具体化質量に基づくメトリックである。コンクリートにおける3つの成分-水、セメントおよび骨材-のうち、セメントが断然、CO2排出に対する最も実質的な要因であり、質量で約1:1である(1トンのセメントが約1トンのCO2を生成する)。したがって、コンクリートの1立方ヤードが600lbのセメントを使用する場合、そのCSRは600である。600lbのセメントを含み、例えば上記のように骨材の少なくとも一部が炭酸塩被覆骨材である、本発明の実施形態によるコンクリートの1立方ヤードは、600未満であるCSRを有し、例えばCSRは、550以下、例えば500以下、400以下、例えば250以下、例えば100以下であり得、いくつかの例では、CSRは、負の値、例えば-100以下、例えば-500以下、-1000以下になり得、いくつかの例では、600lbのセメントを有するコンクリートの1立方ヤードのCSRは、500~-5000、例えば-100~-4000、-500~-3000の範囲であり得る。本発明の炭酸塩被覆骨材を含むコンクリートの所与の立方ヤードのCSRを決定するために、コンクリート立方ヤードのセメント成分の製造のために生成されるCO2の初期値が決定される。例えば、ヤードに600lbのセメントが含まれている場合、初期値600がヤードに割り当てられる。次に、ヤード内の炭酸塩コーティングの量が決定される。炭酸塩の分子量は100a.u.であり、炭酸塩の44%はCO2であるため、ヤードに存在する炭酸塩コーティングの量に0.44を掛け、その結果の値を初期値から差し引いてヤードについてのCSRを求める。例えば、コンクリートミックスの所与のヤードが600lbのセメント、300lbの水、1429lbの細骨材、1739lbの粗骨材で構成されている場合、1ヤードのコンクリートの重量は4068lbであり、CSRは600lbである。このミックスの骨材の全質量の10%が、例えば上記のように炭酸塩コーティングに置き換えられると、コンクリートの改訂ヤードに存在する炭酸塩の量は317lbである。この値に0.44を掛けると、139.5になる。この数値を600から差し引くと、CSRは460.5になる。
【0117】
硬化可能組成物
水硬性セメントをある量の骨材(モルタル、例えば砂については細かい、コンクリートについては細かいものの有無にかかわらず粗い)および水と同時に組み合わせることによって、またはセメントを骨材と事前に組み合わせて結果として得られた乾燥成分を水と組み合わせることによってのいずれかで、コンクリートおよびモルタルなどの本発明の硬化可能組成物は製造される。本発明のセメント組成物を使用するコンクリートミックスについて粗骨材材料の選択は、約3/8インチの最小サイズを有し得、これらの限界の間のグラデーションを含めて、その最小から1インチ以上までサイズを変えることができる。細かく分割された骨材はサイズが3/8インチより小さく、再び200篩サイズ程度まではるかに細かいサイズに目盛り付けされ得る。細骨材は、本発明のモルタルおよびコンクリートの両方に存在し得る。セメントの乾燥成分中の骨材に対するセメントの重量比は様々であり得、特定の実施形態では、1:10~4:10、例えば2:10~5:10、55:1000~70:100の範囲である。
【0118】
乾燥成分が組み合わされて硬化可能組成物、例えばコンクリートを生成する液相、例えば水性流体は、所望のように、純水から、1つ以上の溶質、添加剤、共溶媒などを含む水まで様々であり得る。硬化可能組成物を調製する際に組み合わされる液相に対する乾燥成分の比率は様々であり得、特定の実施形態では、2:10~7:10、例えば3:10~6:10、4:10~6:10の範囲である。
【0119】
特定の実施形態において、セメントは、1つ以上の混和剤とともに採用され得る。混和剤は、基本的なコンクリート混合物では得られない望ましい特性をコンクリートに提供するため、またはコンクリートの特性を変更して特定の目的またはコスト削減のためにより容易に使用可能にまたはより適したものにするためにコンクリートに添加される組成物である。当技術分野で知られているように、混和剤は、コンクリートまたはモルタルの成分として使用される水硬性セメント、骨材、および水以外の任意の材料または組成物であり、その何らかの特性を高めるか、またはコストを下げる。採用される混和剤の量は、混和剤の性質に応じて様々であり得る。特定の実施形態では、これらの成分の量は、1~50%w/w、例えば2~10%w/wの範囲である。
【0120】
対象となる混和剤には、セメント系材料:ポゾラン;ポゾランおよびセメント系材料;および名目上不活性な材料などの細かく分割された鉱物混和剤が含まれる。ポゾランには、珪藻土、オパリンチャート、粘土、頁岩、フライアッシュ、シリカフューム、火山凝灰岩が含まれ、プミサイトがいくつかの公知のポゾランである。特定の粉砕された高炉スラグと高カルシウムフライアッシュとは、ポゾラン特性とセメント特性との両方を備えている。名目上不活性な材料には、細かく分割された生の石英、苦灰石、石灰岩、大理石、花崗岩なども含まれることができる。フライアッシュはASTM C618で定義されている。
【0121】
対象の他のタイプの混和剤には、可塑剤、促進剤、遅延剤、空気連行剤、発泡剤、減水剤、腐食防止剤、および顔料が含まれる。
【0122】
したがって、対象となる混和剤には、硬化促進剤、硬化遅延剤、空気連行剤、消泡剤、アルカリ反応性低減剤、結合混和剤、分散剤、着色混和剤、腐食防止剤、防湿混和剤、ガス形成剤、透過性低減剤、ポンピングエイド、収縮補償混和剤、殺真菌性混和剤、殺菌性混和剤、殺虫性混和剤、レオロジー修飾剤、細かく分割された鉱物混和剤、ポゾラン、骨材、湿潤剤、強度増強剤、撥水剤、および任意のその他のコンクリートまたはモルタル混和剤または添加剤が含まれるが、これらに限定されない。混和剤は当技術分野で周知であり、上記のタイプまたは任意の他の所望タイプの任意の適切な混和剤を使用し得、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許番号7,735,274を参照されたい。
【0123】
いくつかの例では、硬化可能組成物は、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国出願公開番号2014/0234946として公開された米国特許出願シリアル番号14/112,495に記載されているように、液体または固体形態であり得る、ある量の重炭酸塩リッチ生成物(BRP)混和剤を使用して製造される。
【0124】
特定の実施形態において、本発明の硬化可能組成物は、例えば、繊維強化コンクリートが望まれる場合に、繊維とともに採用されるセメントを含む。繊維は、ジルコニア含有材料、鋼、炭素、ガラス繊維、または合成材料、例えば、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン、高強度アラミド(すなわち、ケブラー(登録商標))、またはそれらの混合物で作ることができる。
【0125】
硬化可能組成物の成分は、任意の好都合なプロトコルを使用して組み合わせることができる。作業時に各材料を混合し得、または、材料の一部または全部を事前に混合し得る。あるいは、一部の材料は、高範囲減水混和剤などの混和剤の有無にかかわらず水と混合され、そして、残りの材料はそれと混合され得る。混合装置として、任意の従来の装置を採用することができる。例えば、ホバートミキサー、スラントシリンダーミキサー、オムニミキサー、ヘンシェルミキサー、V型ミキサー、およびナウタミキサーを採用することができる。
【0126】
硬化可能組成物(例えば、コンクリート)を生成するための成分の組み合わせに続いて、硬化可能組成物は、いくつかの例では、最初は流動可能組成物であり、そして所与の期間後に硬化する。硬化時間は様々であり得、特定の実施形態では、30分~48時間、例えば30分~24時間、1時間~4時間の範囲である。
【0127】
硬化生成物の強度も様々であり得る。特定の実施形態では、硬化セメントの強度は、5Mpa~70MPa、例えば10MPa~50MPa、20MPa~40MPaの範囲であり得る。特定の実施形態では、本発明のセメントから製造された硬化生成物は、例えば、ASTM C1157に記載されている試験方法を使用して決定されると、非常に耐久性がある。
【0128】
構造物
本発明の態様は、本発明の骨材および硬化可能組成物から生成される構造物をさらに含む。したがって、さらなる実施形態は、本発明の骨材を含む人工構造物およびそれらの製造方法を含む。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるような1つ以上の骨材を含む人工構造物を提供する。人工構造物は、建物、ダム、堤防、車道、または骨材もしくは岩を組み込んだ任意の他の人工構造物など、骨材を使用し得る任意の構造物であり得る。いくつかの実施形態では、本発明は、化石燃料源からのCO2を含む本発明の骨材を含む、人工構造物、例えば、建物、ダム、または車道を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、化石燃料源からのCO2を含む本発明の骨材を提供することを含む、構造物を製造する方法を提供する。これらの構造物は、本発明の骨材および/または硬化可能組成物から生成されるので、それらは、重炭酸塩媒介CO2隔離プロトコルによって生成されるものとしてそれらを識別するマーカーまたは成分を含む。
【0129】
実用性
主題の骨材組成物およびそれを含む硬化可能組成物は、上記の砕かれ安定したCO2隔離生成物、ならびに建築または建設材料などの様々な異なる用途で使用が見出される。本発明の硬化可能組成物の使用が見出される特定の構造物には、舗装、建築構造物、例えば、建物、基礎、高速道路/道路、高架道路、駐車場構造物、レンガ/ブロック壁、ならびにゲート、フェンスおよびポールが含まれるが、これらに限定されない。本発明のモルタルは、レンガなどの建設ブロックを一緒に結合し、建設ブロック間の隙間を埋めるための使用が見出される。モルタルは、既存の構造物を修正するためにも使用でき、例えば、他の用途のうちでもとりわけ、元のモルタルが損傷または侵食されたセクションを置き換えるなどとすることができる。
【0130】
以下の例は、限定ではなく説明のために提供されている。
【0131】
実験
A.炭酸塩スラリー調製
1)改質蒸留プロセスからのカルシウム含有溶液をダンプ反応として(NH4)2CO3/NH4HCO3溶液と組み合わせる(詳細はWO2017/165849として公開されたPCT/US2017/024146に見出され得、その開示は参照により本明細書に組み込まれる)。
a.順序は関係ない。
b.溶液の濃度はコーティングと沈殿物収量とに影響を与えない。
c.炭酸塩溶液のpHはコーティングに影響を与えないが、NH4HCO3の溶解度が制限されているため炭酸塩濃度に影響を与え得る(NH4HCO3溶液では1M未満である必要がある)。
2)30分~1時間の沈降後、CaCO3スラリーは真空ポンプまたは液体サイクロンを使用して可能な限り多く脱水される。濾液は保存され、再生コンクリート骨材(RCA)などのジオマスの存在下でアンモニアを改質するために使用される。
3)脱水したCaCO3を真水と組み合わせて(CaCO3沈殿物と水との容積比1:5)、20秒間、穏やかに攪拌する。そして、混合物を8分間、超音波処理する。
4)混合物は、真空ポンプ、液体サイクロン、デカンター遠心分離機などを使用して可能な限り多く脱水される。濾液は廃棄され得る。
5)3)を繰り返す。
6)4)を繰り返す。
7)濾過されたCaCO3ケーキに真水(通常は脱水ケーキの約15重量%)を加えて、CaCO3スラリーの所望の固形分(約55%)を達成する。
8)ケーキと水との混合物を完全に混合して、均質なヨーグルト状のスラリーを形成する。スラリーの経時は3時間を超えない。
9)湿ったスラリーの赤外線特性は、アモルファス炭酸カルシウム(ACC)およびバテライトのモルホロジーを示している。
【0132】
B.炭酸塩スラリーを使用して炭酸塩被覆骨材を調製
1)骨材基質岩石およびCaCO3スラリーを、回転コンクリートミキサー(すなわち、回転ドラム)内に配置する。
2)コンクリートミキサーを、被覆骨材表面が比較的、乾燥して滑らかになる(指で触れても剥がれない)まで、通気ヒーター(例えば、29℃の周囲ヘッドスペースおよび26℃の岩石表面)で15分~3時間、回転させる。コーティングがこの段階を通過すると、コーティングは粉状になり始め、非常に弱くなる。
3)任意選択的に、熱を加える代わりに、被覆骨材を取り出し、空気中で一晩、乾燥させる。
【0133】
C.炭酸塩スラリーを使用して炭酸塩骨材を調製
1)CaCO3スラリーを回転コンクリートミキサー内に配置する。
2)コンクリートミキサーを通気ヒーターで15分~3時間、回転させる(例えば、29℃の周囲ヘッドスペースと26℃の岩石表面)。
3)混合容器によっては、ケーキングを防ぐために、凝集スラリー片を手作業で絶えずこすり落とす。エアナイフも機能する。
4)凝集片が形成され、表面が比較的、乾燥して滑らかになると(指で触れても剥がれない)、凝集した骨材を取り出して空気中で一晩、乾燥させる(骨材がわずかに湿った状態で、例えば、表面乾燥飽水状態(SSD)で使用できる場合は、この手順は必要ない場合がある)。
【0134】
D.結果
図5は、本方法の実施形態によって製造された骨材組成物のデータの表を示し、本方法は、炭酸塩スラリーと細骨材基質とを混合して炭酸塩被覆骨材を製造することを含む。この実施形態では、アップサイクルされた再生コンクリート骨材(RCA)微粉が、基質として使用され(
図5のサンプルNo.1)、例えば上記のように、また
図1および
図2にさらに示されるように、米国カリフォルニア州ベイエリアのサプライヤーから調達した未処理のRCA微粉を原材料として使用して、本方法の実施形態によって製造された。原材料を最初に塩化アンモニウム溶液と混合して、改質塩化アンモニウム溶液とアップサイクルされたジオマス骨材、すなわちアップサイクルされたRCA微粉とを生成し、そして後者を洗浄および乾燥してから、基質としてそれを使用して炭酸塩被覆骨材を製造した。
図5に示されるように、サンプルNo.2~8は、上記の方法の異なる実施形態を表す。各サンプルについて、上記の基質は、炭酸塩スラリーと混合され、本方法が炭酸アンモニウム溶液を塩化カルシウム-アンモニウム溶液と組み合わせてCO
2隔離炭酸塩沈殿物を製造する場合の方法の実施形態によって調製される。炭酸塩スラリーは、コンクリートミキサー、すなわち混合ドラムにおいて15~120分間、異なる量の基質と、例えば、基質に対するスラリーの異なる比率、例えば、1:1、1:2、1:4、1:6などで組み合わされた。混合中、凝集した混合物は、それが凝集しなくなるまで手動で定期的に分解された。混合した後、炭酸塩被覆骨材生成物を放置して、周囲条件下の開放雰囲気で硬化させた。一例では、例えば、サンプルNo.2は、23%の炭酸カルシウム(CaCO
3)である炭酸塩被覆骨材をもたらした。グラデーションが、No.4×No.100(コーティング前)から1/2”×No.50(コーティング後)に変わった。吸収は6.3%から13%に増加した。バルク表面飽和密度(SSD)は2.38から2.3に減少した。別の例では、例えば、
図5のサンプルNo.8は、CaCO
3が60%である炭酸塩被覆骨材をもたらした。グラデーションが、No.4×No.100(コーティング前)から3/4” ×No.8(コーティング後)に変わった。吸収は6.3%から15%に増加した。バルクSSDは2.38から2.33に減少した。
図5の表に記載された骨材組成物は、本方法のいくつかの実施形態から生成され得る炭酸塩被覆骨材の例である。
【0135】
図6は、炭酸塩スラリーの経時が本方法のいくつかの実施形態にどのように関連するかを例示している。例えば上記のように、3つの別々の炭酸塩スラリー、およそ55%の固形分を調製し、各スラリーを使用して、炭酸塩被覆骨材を製造した。炭酸塩被覆骨材を製造する方法の一実施形態では、炭酸塩スラリーは、骨材基質と混合する前に2時間、経過していた。炭酸塩被覆骨材を製造する本方法の別の実施形態では、炭酸塩スラリーは骨材基質と混合する前に4時間、経過していた。炭酸塩被覆骨材を製造する本方法の第3の実施形態では、炭酸塩スラリーは、骨材基質と混合する前に96時間(4日)、経過していた。経過時間がより多い炭酸塩スラリーはより低品質の炭酸塩被覆骨材につながることを示唆する顕著な違いがある。
図6で使用される試験方法は、次のとおりである。
質量増加:乾燥後の重量増加%を計算する。重量増加はCaCO
3ローディングと考えられる。例えば、コーティング/乾燥後の被覆されていない骨材の100gの重量は50%の重量増加で150gに増加した。
%コーティング:質量増加(骨材におけるCaCO
3の量)に基づいて、どのくらいCaCO
3が、開始CaCl
2および(NH
4)
2CO
3濃度に基づいて骨材にローディングされたかを計算する。
振とう後のコーティング%:相対耐久性試験により、コーティングされた乾燥骨材を篩振とう機に入れ、75秒間、激しく振とうする。これにより、弱く付着したコーティングが脱落する。
振とう後の質量増加:振とう前の新たにコーティングされた乾燥骨材と比較した重量損失%を計算する。
【0136】
図7は、例えば上記のような本方法の実施形態による炭酸塩被覆骨材の製造に関連する場合の、炭酸塩スラリー中の固形分%の影響を示している。
図7の様々な炭酸塩スラリーの固形分は、19%~63%の固形分の範囲であり、それぞれ「ミルク」から「溶けたアイスクリーム」と記述される一貫性を有している。
図9のデータが示唆するものは、炭酸塩スラリー中の目標固形分が、炭酸塩被覆骨材を製造するための本方法のこれらの実施形態について約45%~55%の固形分の範囲にあることである。
【0137】
図8および
図9は、本方法の実施形態によって製造された、それぞれ炭酸塩被覆骨材および炭酸塩骨材から構成されるコンクリート乾燥複合材を例示し、本方法は、例えば上記のようにCO
2隔離プロセスからCO
2隔離炭酸塩沈殿物を製造することを含む。
図8は、例えば上記のように、砂、セメント、補助セメント材料(SCM)および水と組み合わせて、本発明の実施形態によって製造されたCO
2隔離骨材を使用したコンクリート乾燥複合材の4”×8”シリンダーの圧縮強度データを示す。
図8のコンクリート乾燥複合材試験片C47、C48およびC49は、CaCO
3が9.5%である粗いCO
2隔離骨材を用いて調製され、例えば上記のように製造された、粗いアップサイクルされたRCAを基質として使用した。
図8のコンクリート乾燥複合材C47、C48およびC49のそれぞれにおいて、従来の粗骨材の100%が粗いCO
2隔離骨材に置き換えられ、コンクリート乾燥複合材試験片の材料の残りは、(i)砂、C47についてOrca砂、C48およびC49についてアップサイクルRCA砂、(ii)タイプII/Vポルトランドセメント、(iii)SCMによるポルトランドセメントの25%置換、C47およびC48についてはフライアッシュ、C49についてはスラグセメントを使用した。各試験片は、28日間の硬化後に4,000psiを超える圧縮強度を達成し、C47およびC49は28日間で5,000psiを超える圧縮強度を達成した。
【0138】
図8はまた、CO
2隔離骨材として粗い複合炭酸塩骨材を使用したコンクリート乾燥複合材、C53の4”×8”シリンダーの圧縮強度データを示している。この場合、CO
2隔離骨材は、例えば上記のように本発明の実施形態によって製造され、炭酸塩スラリーは、コンクリート混合ドラム中で、アップサイクルされたRCA微粉、例えば、第100番(0.149mm)篩スクリーンを100%通過した微粉と組み合わされて、例えば4質量部のアップサイクルRCA微粉、および例えば9質量部のCaCO
3である粗い複合炭酸塩骨材を製造した。試験片C53中の粗い複合骨材を、粗いアップサイクルRCA、Orca砂、タイプll/Vポルトランドセメント、および水と組み合わせて、コンクリート乾燥複合材を製造した。
【0139】
コンクリート乾燥複合材試験片C54およびC57の4”×8”シリンダーの圧縮強度データを
図9に示す。これらの複合材は、100%CaCO
3凝集骨材をCO
2隔離骨材として、砂、セメントおよび水とともに用いた。炭酸塩骨材は、本発明の実施形態に従って生成され、本方法は、炭酸アンモニウム溶液をカルシウム-アンモニウム含有溶液と混合して、CO
2隔離炭酸塩沈殿物を製造することを含んだ。一度、洗浄および脱水すると、例えば上記のように本方法の特定の実施形態において、炭酸塩スラリーは、凝集を促進するために、コンクリート混合ドラム、すなわち回転作用を引き起こす装置に導入された。混合ドラム内の凝集混合物は、それが凝集しなくなるまで定期的に手動で分解させた。生成された炭酸塩骨材を混合ドラムから取り出し、周囲条件下の開放雰囲気で硬化、すなわち乾燥させた。コンクリート乾燥複合材C54は、上記のような100%CaCO
3凝集骨材、粗いアップサイクルRCA、Orca砂、タイプII/Vポルトランドセメントおよび水を使用し、28日間の硬化後に4,000psi超を達成した。コンクリート乾燥複合材C57は、骨材が3/8”×No.8のグラデーションに合うように手作業で粉砕されることを除いて、上記のような100%CaCO
3凝集骨材を用い、それは、従来の粗骨材の100%、Orca砂、タイプll/Vセメント、および水を置き換え、56日間の硬化後に4,000psi超を達成した。
【0140】
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本開示は以下の付記によっても定義される。
1.炭酸塩被覆骨材を製造する方法であって、
炭酸塩スラリーを調製することと、
炭酸塩スラリーおよび骨材基質を回転ドラムに導入することと、
炭酸塩被覆骨材を製造するために十分な条件下で、回転ドラム内で炭酸塩スラリーおよび骨材基質を混合することと
を含む方法。
2.炭酸塩スラリーが金属炭酸塩粒子のスラリーである、付記1に記載の方法。
3.金属炭酸塩粒子が炭酸カルシウム粒子である、付記2に記載の方法。
4.金属炭酸塩粒子が炭酸カルシウムマグネシウム粒子である、付記2に記載の方法。
5.炭酸塩粒子が隔離されたCO2を含む、付記3または4に記載の方法。
【0141】
6. 炭酸塩スラリーが40~60%の固形分を含む、付記1~5のいずれかに記載の方法。
7.スラリーが2~300,000センチポアズの範囲の粘度を有する、付記1~6のいずれかに記載の方法。
8.炭酸塩スラリーがCO2隔離プロセスを使用して調製される、付記1~7のいずれかに記載の方法。
9.CO2隔離プロセスが、
a)水性炭酸塩を生成するために十分な条件下で、水性捕捉液体をCO2のガス源と接触させ、そして、CO2隔離炭酸塩沈殿物を生成するために十分な条件下で、陽イオン源および水性炭酸塩を組み合わせること、または、
b)CO2隔離炭酸塩を生成するために十分な条件下で、陽イオン源を含む水性アンモニア捕捉液体をCO2のガス源と接触させること
を含む、付記8に記載の方法。
10.水性捕捉液体が、水性捕捉アンモニアおよび任意選択的に添加剤を含む、付記9に記載の方法。
【0142】
11.方法が沈殿物を洗浄することを含む、付記9または10に記載の方法。
12.スラリーが添加剤を含む、付記1~11のいずれかに記載の方法。
13.添加剤が、ポリマー(例えば、ポリ酢酸ビニル接着剤)、有機/無機接着剤(例えば、エポキシ、ケイ酸塩接着剤、コンクリート接着剤)、およびセメント混和剤、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、付記12に記載の方法。
14.骨材基質が微細な基質粒子を含む、付記1~13のいずれかに記載の方法。
15.骨材基質が粗い基質粒子を含む、付記1~14のいずれかに記載の方法。
【0143】
16.骨材が軽量骨材を含む、付記1~15のいずれかに記載の方法。
17.基質骨材が、付記1~16のいずれかに記載の方法によって一緒に結合された細骨材の凝集を含む、付記1~16のいずれかに記載の方法。
18.骨材基質が天然に存在する骨材を含む、付記1~17のいずれかに記載の方法。
19.骨材基質が修復された再生コンクリートを含む、付記1~17のいずれかに記載の方法。
20.方法が、炭酸塩スラリーおよび骨材基質を回転ドラムに導入し、炭酸塩スラリーを調製してから4時間以内に混合を開始することを含む、付記1~19のいずれかに記載の方法。
【0144】
21.炭酸塩スラリーおよび骨材基質が、回転混合物中で10分~5時間の範囲の時間、混合される、付記1~20のいずれかに記載の方法。
22.方法が、炭酸塩被覆骨材を乾燥および/または硬化することをさらに含む、付記1~21のいずれかに記載の方法。
23.炭酸塩被覆骨材が、0.1μm~50mmの範囲の厚さを有する炭酸塩コーティングを含む、付記1~22のいずれかに記載の方法。
24.炭酸塩被覆骨材が、2~6の範囲のモース硬度を有する炭酸塩コーティングを含む、付記1~23のいずれかに記載の方法。
25.方法が1時間以内に実施される、付記1~24のいずれかに記載の方法。
【0145】
26.付記1~25のいずれかに従って製造された炭酸塩被覆骨材組成物。
27.(a)セメントと、
(b)付記26に記載の骨材組成物と
を含む、コンクリート乾燥複合材。
28.セメントが水硬性セメントを含む、付記27に記載のコンクリート乾燥複合材。
29.水硬性セメントがポルトランドセメントを含む、付記28に記載のコンクリート乾燥複合材。
【0146】
30.付記26に記載の骨材、セメントおよび液体を組み合わせることによって製造された硬化可能組成物。
31.セメントが水硬性セメントである、付記30に記載の硬化可能組成物。
32.水硬性セメントがポルトランドセメントを含む、付記31に記載の硬化可能組成物。
33.補助セメント材料をさらに含む、付記30~32のいずれかに記載の硬化可能組成物。
34.混和剤をさらに含む、付記30~33のいずれかに記載の硬化可能組成物。
【0147】
35.硬化可能組成物が流動性である、付記30~34のいずれかに記載の硬化可能組成物。
36.付記30~35のいずれかに従って硬化可能組成物から製造された固体形成構造物。
37.固体生成物へと硬化する硬化可能組成物を生成するために十分な方法で、付記26に記載の骨材、セメントおよび液体を組み合わせることを含む、方法。
38.液体が水性液体を含む、付記37に記載の方法。
【0148】
39.炭酸塩骨材を製造する方法であって、
炭酸塩スラリーを調製することと、
炭酸塩スラリーを回転ドラムに導入することと、
炭酸塩骨材を製造するために十分な条件下で、回転ドラム内で炭酸塩スラリーを混合することと
を含む、方法。
40.炭酸塩スラリーが金属炭酸塩粒子のスラリーである、付記39に記載の方法。
41.金属炭酸塩粒子が炭酸カルシウム粒子である、付記40に記載の方法。
42.金属炭酸塩粒子が炭酸カルシウムマグネシウム粒子である、付記40に記載の方法。
【0149】
43.炭酸塩粒子が、隔離されたCO2を含む、付記40~42のいずれかに記載の方法。
44.炭酸塩スラリーが40~60%の固形分を含む、付記39~43のいずれかに記載の方法。
45.スラリーが2~300,000センチポアズの範囲の粘度を有する、付記39~44のいずれかに記載の方法。
46.炭酸塩スラリーがCO2隔離プロセスを用いて調製される、付記39~45のいずれかに記載の方法。
【0150】
47.CO2隔離プロセスが、
a)水性炭酸塩を生成するために十分な条件下で、水性捕捉液体をCO2のガス源と接触させ、そして、CO2隔離炭酸塩沈殿物を生成するために十分な条件下で、陽イオン源および水性炭酸塩を組み合わせること、または、
b)CO2隔離炭酸塩を生成するために十分な条件下で、陽イオン源を含む水性アンモニア捕捉液体をCO2のガス源と接触させること
を含む、付記46に記載の方法。
48.水性捕捉液体が、水性捕捉アンモニアおよび任意選択的に添加剤を含む、付記47に記載の方法。
49.方法が沈殿物を洗浄することを含む、付記47または48に記載の方法。
50.方法が1時間以内に実施される、付記39~49のいずれかに記載の方法。
【0151】
51.炭酸塩骨材を製造する方法であって、
炭酸塩スラリーを調製することと、
炭酸塩骨材生成物を製造するために十分な条件下で炭酸塩スラリーを回転作用にさらすことと
を含む、方法。
52.炭酸塩スラリーが金属炭酸塩粒子のスラリーである、付記51に記載の方法。
53.金属炭酸塩粒子が炭酸カルシウム粒子である、付記52に記載の方法。
54.金属炭酸塩粒子が炭酸カルシウムマグネシウム粒子である、付記53に記載の方法。
55.炭酸塩粒子が、隔離されたCO2を含む、付記51~54のいずれかに記載の方法。
【0152】
56.炭酸塩スラリーが40~60%の固形分を含む、付記51~55のいずれかに記載の方法。
57.スラリーが2~300,000センチポアズの範囲の粘度を有する、付記51~56のいずれかに記載の方法。
58.炭酸塩スラリーがCO2隔離プロセスを用いて調製される、付記51~57のいずれかに記載の方法。
59.CO2隔離プロセスが、
a)水性炭酸塩を生成するために十分な条件下で、水性捕捉液体をCO2のガス源と接触させて、そして、CO2隔離炭酸塩沈殿物を生成するために十分な条件下で、陽イオン源および水性炭酸塩を組み合わせること、または、
b)CO2隔離炭酸塩を生成するために十分な条件下で、陽イオン源を含む水性アンモニア捕捉液体をCO2のガス源と接触させること
を含む、付記58に記載の方法。
【0153】
60.水性捕捉液体が、水性捕捉アンモニアおよび任意選択的に添加剤を含む、付記59に記載の方法。
61.方法が沈殿物を洗浄することを含む、付記59または60に記載の方法。
62.方法が1時間以内に実施される、付記59~61のいずれかに記載の方法。
63.炭酸塩スラリーが骨材基質と組み合わされて回転作用を受け、炭酸塩骨材生成物が炭酸塩被覆骨材を含む、付記51~61のいずれかに記載の方法。
【0154】
前述した発明は、理解を明確にするために例示および例としていくらか詳細に説明されてきたが、この発明の教示に照らして当業者には、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、特定の変更および修正をそれに行い得ることが容易に明らかである。
【0155】
したがって、上記は単に本発明の原理を説明するものである。当業者は、本明細書に明示的に記載または示されていないが、本発明の原理を具体化し、その精神および範囲内に含まれる様々な構成を考案することができることが理解される。さらに、本明細書に記載されたすべての例および条件付き言語は、主に、本発明の原理および本発明者が技術を促進するために寄与する概念を読者が理解することを支援することを意図しており、そのような具体的に列挙された例および条件に限定されるものではないと解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態を本明細書にて記載するすべての記載、ならびにそれらの具体例は、それらの構造的および機能的均等物の両方を包含することを意図している。さらに、そのような均等物には、現在知られている均等物および将来開発される均等物、すなわち、構造に関係なく、同じ機能を実行する任意の開発要素が含まれることが意図される。さらに、本明細書に開示されているものはすべて、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かにかかわらず、公衆に進呈することは意図されていない。
【0156】
したがって、本発明の範囲は、本明細書に示され、説明される例示的な実施形態に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲によって具体化される。特許請求の範囲では、35U.S.C.§112(f)または35U.S.C.§112(6)は、請求項にて「ための手段」という正確な句または「ためのステップ」という正確な句がそのような制限の冒頭に記載されている場合にのみ、請求項の制限について適用されると明示的に定義されており、そのような正確な句が請求項における制限で使用されていない場合、35U.S.C.§112(f)または35U.S.C.§112(6)は適用されない。
【0157】
関連出願への相互参照
35U.S.C.§119(e)に準拠して、この出願は、2019年1月23日に提出された米国仮特許出願シリアル番号62/795,986の出願日の優先権を主張し、その出願の開示が参照により本明細書に組み込まれる。